JP2010539554A - ナノスケールのワイヤグリッドを組み込んだ窓用低放射膜 - Google Patents

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Abstract

窓(101)用の高透過性および低放射性のフィルムまたは被膜(102)が、いわゆる温室効果による加熱が最大になるように設計されている。この効果は、伝導性のグリッドおよび/または格子(102)の使用によって達成され、グリッド(102)は、長波長赤外(黒体)放射線(105)に対して一様な伝導性を示すフィルムとして作用するように選択された太さおよび間隔を有する。伝導性グリッドフィルム(102)は、黒体放射線(105)に対する高い反射性を有するとともに、可視・近赤外光(104)に対して高い透過性を示し、よって、その光を透過させる。

Description

関連出願の参照
本出願は、2007年9月19日に出願された米国仮特許出願第61/994,370号であって発明の名称が「ナノスケールのワイヤグリッドを組み込んだ窓用低放射膜」であるものの優先権の効果を米国特許法第119条(e)に従って主張しており、その出願は、引用により全体的に本明細書に合体する。
本発明は、高透過性と低放射性とを有する窓用膜(フィルムまたは被膜)に関する。この技術は、建物、乗物および受動的太陽熱吸収器における窓についてエネルギー削減強化(energy-saving enhancement)という特定の用途を有するが、それに限定されない。
二重ガラス窓においては、窓の中心部を通過する熱移動のうちの約60%が、伝導によっても対流によってでもなく、長波長赤外線の吸収および再放射によって発生し、その長波長赤外線は、室温と同等の温度において物体から放出されるいわゆる黒体放射線であり、5−20ミクロンの波長領域を有する。この現象が起こる理由は、ガラスという材料が、その波長領域において放射エネルギーを強く吸収し、また、80−90%の放射率のおかげで、ガラスは、さらに、加熱時に、その波長領域において放射エネルギーを強く放出する。このように、ガラスは、長波長赤外線に対して透過性を有しないが、吸収および再放射によってガラスは、いくつかの点で、あたかも透過性を有すかのごとく作用する。
従来から、このような熱移動は、複数のガラス表面のうちの少なくとも一つに低放射膜を添加することによって低下させられる。例えば、アルミニウム、銀または金より成る薄い(10nmより薄い)フィルムは、約10%−約25%の放射率を有しており、このことは、(a)このフィルムが、長波長赤外線に対して高い反射性を有することと、(b)このフィルムは、加熱時、それの熱を、放散するのではなく、保持する傾向があることとを意味する。しかし、それらフィルムは、それでも高い透過性を有しており、すなわち、それらフィルムは、可視・近赤外(NIR)光のうちの大部分が、減衰することなく、通過することを可能にする。これにより、窓ガラス板間のエアギャップを通過する放射熱移動が急激に低下し、よって、二重ガラス構造が窓として機能することをなおも可能にしつつ、二重ガラス構造の有効断熱値が増加する。
「誘電体ミラー(dielectric mirror)」は、2つの材料(例えば、金属、および透過性のセラミックまたはポリマ)間での誘電率の不一致量が極大化する多層構造物である。この構造により、光学的指数(インデックス)の不一致であって広帯域の波長において非常に高い反射率を生じさせるものが発生し、この構造においては、コーナ周波数(すなわち、高透過性と高反射性との間におけるカットオフ)が、複数層の厚さによって決まる。本質的には、誘電体ミラーは、反射防止膜とは全く逆のものである。1990年代から、複数枚の金属フィルムを、長波長「黒体」赤外放射線の反射率が極大化するように交互に並んだ金属層および誘電体層として組み合わせることにより、それら金属フィルムの低放射特性を強化することが標準的なプラクティスとなってきている。これにより、2.5%というように低い放射率が、それにもかかわらず可視・太陽放射線のうちの大部分を透過させる構造により、実現される(例えば、文献「International Glazing Database」第15.1版に報告されているように、AFG Sunbelt社の低放射(Low−E)ガラスについては、Tvis=41.4%かつTsol=21.5%)。
より最近では、熱分解セラミック製被膜もまた、低放射窓フィルタとして利用されている(例えば、文献「International Glass Review」の2002年1月号中、John D. Siegel著の「The MSVD Low E 'Premium Performance' Myth」において説明されている)。そのような被膜は、酸化スズ(SnO)のような半結晶性金属酸化物であって、化学気相成長(蒸着)(CVD)法によって前記ガラス上に被着されるものである。それら被膜は、金属被膜および金属誘電体被膜より高い放射性を有する傾向があるが、可視・近赤外光子に対する透過性をより強く有する。このことにより、それら被膜に、高い太陽熱利得係数(SHGC)が付与され、この特性により、それら被膜は、寒冷・晴天気候帯により適したものとなる。それら被膜は、さらに、「軟質である」金属被膜より強靱(ロバスト)であり、よって、工業的環境において扱い易く、その理由は、例えば、それら被膜が、ブラシを使用しない洗浄法を必要としないというものである。酸化インジウムスズ(ITO)、すなわち、ビデオ・ディスプレイにおいて広く使用されている伝導性(conductive、導電性)セラミックもまた、低放射膜としての限定された用途を有し、その用途は特に、光学機器を低温状態に維持するために設計された「ヒート・ミラー」である。文献「Transparent Conducting Oxides」のMRS Bulletinの2000年8月号において、David S. GinleyとClark Brightは、他の「低放射」セラミック被膜を開示しており、それら被膜には、酸化カドミウムスズ(CdSnO),酸化亜鉛スズ(ZnSnO),酸化マグネシウムインジウム(MgIn),酸化ガリウムインジウム(GaInO),酸化亜鉛インジウム(ZnIn),酸化銅アルミニウム(CuAlO)およびシリコン窒化アルミニウム(AlSiN)がある。
残念ながら、非常に高い透過性を有する熱分解性の低放射膜についてであっても、光子についてのある程度の反射および吸収も、その被膜自体に、可視波長、特に、近赤外波長において発生し、その結果、その被膜によって被覆されたガラス板は、可視光に対しては80−90%の透過率しか有しないし、太陽スペクトル全体に対しては50−65%の透過率を有し、これに対し、板厚が6mmである標準的な透明フロートガラスについては、77%であり、また、同じ板厚を有する低鉄ガラスについては、最大で90%である。この特性により、前記ガラス板を通過する前記太陽熱利得が減少し、このことは、太陽による暖房を必要とする寒冷気候地帯、または太陽熱を集めて蓄積することを主要な用途とする受動的太陽光利用装置において、望ましくないかもしれない。
分布型ブラッグリフレクタおよびルゲート・フィルタを含む特定の光学フィルタは、黒体波長において作動するように設計することが可能であり、また、特定の限られた波長帯域においては、理想的なロングパスフィルタとして作用するように見えるかもしれない。すなわち、それら光学フィルタは、しきい波長より長い帯域においては、放射エネルギーを反射し、また、そのしきい波長より短い帯域においては、放射エネルギーを透過させる。しかし、それら光学フィルタはすべて、実際には、バンドリフレクタであり、このことは、それら光学フィルタが、別のしきい波長より長い帯域において、再び、透過性を示すようになることを意味する。実際、現実世界における材料の実用上の制約により、一般に、それらリフレクタの帯域が、せいぜい数百ナノメートルであるというように限定され、この大きさは、約15,000ナノメートルの波長帯域を有する黒体スペクトルのうちのわずかな部分である。
ワイヤグリッド型ポラライザは、自身を通過する光のうち、50%をわずかに超える部分を減衰させ、その減衰は、光のうち、ある偏光方向を有する部分を当該ポラライザから離れる向きに反射する一方で、その光のうち、それの偏光方向とは直交する偏光方向を有する部分が当該ポラライザを透過することを可能にすることによって行われる。ワイヤグリッド型ポラライザは、赤外光を吸収するのではなく反射するものであるが、1960年代から、例えば、発明者がSriramらである米国特許第4,512,638号において、説明されてきた。1990年代および2000年代にナノスケールのリソグラフィ技術が登場し、可視波長において反射を行うブロードバンドなワイヤグリッド型ポラライザであって、ハイエンドな光学機器およびレーザ技術(例えば、発明者がPerkinsらである米国特許第6,122,103号において説明されている)と共に使用されるものを作成することが可能となった。そのようなデバイスには、複数本の金属ワイヤ(技術的には、「グリッド」よりむしろ「格子」であるが、「グリッド」という用語の方が一般的に使用される)であって、太さ(幅)が数十ナノメートルであり、間隔が数百ナノメートルであるものが必要である。それらワイヤグリッド型ポラライザの利点の一つは、それらポラライザが可視光を偏光する際に効果的であるのとちょうど同じように、長波長赤外放射線を、そして、マイクロ波およびラジオ波の波長さえも、反射/偏光する際に効果的であるということである。
伝導性(conductive、熱伝導性)を有するメッシュ、グリッドおよび多孔板(drilled plates)が多数知られており、それらは、マイクロ波および無線周波数放射線に対するシールド(遮蔽)としてか、またはそれらマイクロ波および無線周波数放射線のリフレクタとして使用される。一例は、電子レンジの扉であってガラス製または透明プラスチック製であるものを被覆する金属スクリーン(網またはメッシュ)である。そのメッシュ内の穴が、電子レンジのマグネトロンによって出力される5−12cmの波長より実質的に小さい限り、そのメッシュは、それら波長に対して、まるで、伝導性を一様に示すフィルムまたは板のごとく作用するであろうし、よって、そのメッシュは、マイクロ波の放射線を反射するであろう。しかし、可視光は、そのメッシュの穴より非常に小さい波長を有するため、可視光は、まるで非伝導性材料内の穴を通過するかのように、前記メッシュの穴を通過することが可能である。このように、電子レンジの内部において食物が調理されている様子は、人間の操作を、有害なマイクロ波放射線に曝露することなく、視認することが可能である。
本明細書の背景技術の欄に存在する情報であって、本明細書に引用されているすべての文献およびそれら文献についての説明のすべてを含むものは、技術的な参照のみを目的としており、本発明の範囲が拘束されるべき主題として考慮すべきではない。
本発明に係る技術は、窓ガラスおよび他の建材であって透過性(transparent)または半透過性(translucent)を有するものの有効断熱値を増加させることに関するものであり、その増加は、デバイス、構造物または乗物内における太陽熱の保存を促進するために、だいたい250nmから2500nmまでの波長を有する太陽スペクトルに対する高い透過性を維持しつつ、室温を有する物体によって放出される長波長(黒体)赤外線に対する、それら窓ガラス等の放射率を低下させることによって行われる。本発明の一実施態様においては、長波長赤外光に対する窓の放射率(emissivity)を低下させるデバイスは、伝導性材料から成るフィルムである。そのフィルムは、複数の薄い伝導材料エレメントと複数のボイド部(空乏部)との配列としてのパターンを有するように形成される。それら複数の薄い伝導材料エレメントは、それの伝導材料が長波長赤外光に対して高い反射性を有するとともに、可視・近赤外光に対して高い透過性を有するように、距離を隔てて配置される。
本発明の別の実施態様においては、それら薄い伝導材料エレメントが、マイクロスケールやナノスケールのワイヤグリッド、格子または被膜であって高透過・低放射(Low-E)窓フィルム(以下、「グリッド付き(gridded,グリッド化された)低放射フィルム」という。)を形成するように設計されたものという形式を採用することが可能である。そのグリッド付き低放射フィルムは、放出可能な黒体放射量を制限しつつ、太陽放射の摂取量を最大化することにより、建物、乗物および受動的太陽利用デバイスの温度を調節するという特定の用途を有するが、それに限定されない。
本発明に係るグリッド付き低放射フィルムまたは被膜は、窓の有効断熱値を、従来のガラスまたはポリマがとり得る有効断熱値を実質的に超えるように、増加させる。本発明に係るグリッド付き低放射フィルムは、太陽スペクトルに対する透過性が、従来の低放射フィルムおよび被膜より高い。本発明に係る低放射フィルムまたは被膜は、建物、乗物および、寒冷・晴天気候において特に有用である受動的太陽利用デバイスにおける太陽熱の吸収および捕捉を改善する。
本発明に係る技術は、グリッド付き低放射フィルムまたは被膜を有する窓が、美観上、従来のガラス製またはポリマ製の窓に対し、光学的により類似することを可能にする。本発明に係る低放射フィルムまたは被膜は、 それの基本的な機能をいかなる方法によっても変更することなく、材料上に、その材料が、厚いか薄いか、強いか弱いか、硬いか柔らかいか、モノリシック(一体的)であるか複数部品の組合せであるかを問わず、配置することが可能である。
本発明の他の特徴、詳細、実用性および効果は、添付した図面において図示されるとともに後続するクレームにおいて定義されているように、本発明の種々の実施形態についての、後述の、より具体的な文章による説明から明らかとなるであろう。
すべての図面において、互いに密接に関係する複数の要素に同一の符号が付されていることに注意されたい。
図1は、標準的なガラス製またはプラスチック製の窓板を概略的に示す図である。 図2は、低放射金属メッシュによって被覆されたガラス製またはプラスチック製の窓板の一実施形態を概略的に示す図である。 図3は、周期が異なる複数の低放射金属グリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、太陽放射線および室温での黒体放射線につき、強度と波長との関係を示すグラフである。 図4は、周期が異なる複数の熱分解性酸化インジウムスズ(ITO)製の低放射グリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、太陽放射線につき、強度と波長との関係を示すグラフである。 図5は、周期が異なる複数の熱分解性酸化インジウムスズ(ITO)製の低放射グリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、室温での物体から放出される黒体放射線につき、強度と波長との関係を示すグラフである。 は、二重窓の一実施形態であって、その二重窓においては、極性が互いに異なる2つの低放射ワイヤ格子が、当該窓のうち、互いに対向する複数の表面上に配置されているものを示す分解図である。
図1は、通常のガラスまたはプラスチック製の窓板101を概略的に示す図である。その窓板101は、紫外光子103が入射すると、その紫外光子103を吸収し、その理由は、紫外波長が当該窓の材料の透過帯域の外側にあるというものである。窓板101は、近紫外光、可視光または近赤外(NIR)光の光子104が入射すると、その光子104を透過させ、その理由は、その光子104の波長が当該窓の材料の透過帯域の内側にあるというものである。窓板101は、長波長赤外(黒体)の光子105が入射すると、この場合にも、その光子105を吸収し、その理由は、その光子105の長波長が当該窓の材料の透過帯域の外側にあるというものである。しかしながら、このエネルギーを吸収する際に、窓板101はそれ自体で加熱され、それにより、シュテファン・ボルツマンの法則に従い、窓板101自体の黒体放射線をそれ自体で増加させる。したがって、図1に示すように、黒体光子105は、平行状態であるか拡散状態であるかを問わず、窓板101を「通過」するように見えるかもしれない。
この挙動は、一般的であり、かつ、透過性材料にとって当然のことであるが、この挙動は、建材であってその建材を板厚方向に横切る(例えば、寒い日に暖かい家の窓を横切る)につれて発生する温度勾配が大きいものにおいて望ましくなく、その理由は、当該挙動により、熱が建物から放射という形態によって逃げることが可能となるというものである。
図2は、上記と同じ窓板101を概略的に示す透視(cutaway)図であり、この窓板101は、ワイヤメッシュ、ワイヤ格子またはワイヤグリッド102が当該窓板101の表面に追加されている点で、上記の窓板101とは異なる。複数本のワイヤ間の間隔が、黒体放射線の波長より実質的に小さくなるように、すなわち、5ミクロンから20ミクロンまでの長さより小さくなるように選択されており、その一方で、前記間隔が、可視光の波長のうちの大部分またはすべてより大きくなるように、すなわち、600ナノメートルすなわち0.6ミクロンより大きくなるように選択されている。この範囲内にあれば、実際の間隔が、ワイヤグリッド102の透過特性および反射特性に実質的な影響を及ぼすであろう。しかしながら、前記ワイヤの幅(太さ)は、前記間隔より十分に小さくなるように選択され、その結果、当該窓板101の表面のうち前記ワイヤによって実際に遮蔽される部分が最小となる。例えば、前記ワイヤの幅(太さ)が15ナノメートルであり、かつ、前記間隔が1500ナノメートルであると、当該窓板101の表面の約1%が遮蔽され、99%が遮蔽されない。この場合、当該窓板101の表面がワイヤグリッド102によって幾何学的に遮蔽されることは、当該窓板101の全透過率において実質的な役割を果たさない。
図2においては、紫外光子103は吸収され、また、近紫外光子/可視光子/近赤外光子104は、図1において前述したのと同様に、透過する。しかしながら、黒体光子105に対しては、 ワイヤグリッド102は、表面が平らで伝導性を有する板と同視される。したがって、黒体光子105は、反射する。この特徴は、2つの効果をもららす。第1に、この特徴により、窓板101の表面が、他の物体から放出された黒体光子105を吸収することが防止される。第2に、この特徴により、窓板101が、自身の黒体光子を、窓板101の表面を通過するように放出することが防止され、その理由は、そのようは光子は、当該窓板101の材料内に戻るように反射して再吸収されるに過ぎないということである。したがって、ワイヤグリッド102は、長波長赤外放射線において窓板101の有効放射率を大きく低下させる。
前記複数本のワイヤが互いに平行に並ぶとともに、広い間隔を有する限り、それらワイヤは、長波長を反射するとともに短波長を透過させるという目標の機能を実現するために、特に真っ直ぐに延びることも、特に厚さ(太さ)が均一であることも要求されない。前記複数本のワイヤの間隔も太さも、当該グリッドが低放射膜(フィルム)として機能することに実質的な影響を及ぼすことなく、数十ナノメートルでのばらつきがあるかも知れない。しかしながら、それらワイヤは、良質な伝導体であるために十分な太さおよび長さを要求されない。複数本のワイヤが、10ナノメートルより細く、かつ、周辺環境において容易に酸化する伝導体から成り、かつ、それの酸化物は、不良な伝導体である場合には、それらワイヤは、酸化を防止する透過材料によって被覆されていないと、今回の用途に適していないかもしれない。被覆なしで使用する場合には、例えば、銀、アルミニウムまたは金より成る金属伝導体であって、ワイヤの太さが15ナノメートル以上のものが、うまく機能するが、他の材料および他の太さを採用することも可能である。
この効果は、ファラデー・ケージの効果に類似しており、これは、周期構造物を有するメッシュスクリーンであって、そのスクリーンは、ミリメートル、センチメートルまたはメートルのスケールで構造が反復するとともに、RF放射線を遮断する一方で、短波長放射線を邪魔することなく通過することを可能にする。この効果はまた、電子レンジに見られるマイクロ波シールドスクリーンにも類似している。また、ある表面上に配置された複数本の伝導性ワイヤのグリッドまたは格子と、複数子の穴または線状の複数のギャップの配列というパターンを形成された伝導性の板またはフィルムとの間における差は、言葉の意味からすれば大きいが、前記グリッドまたは格子の電気的または光学的な性能という点では、ほとんど重要ではないかもしくは全く重要ではない。したがって、本明細書において使用されるように、グリッド、格子、およびパターン付きフィルムというそれぞれの用語は、互いに置換可能である。実施時に発生し得るこのような多様性を考慮すると、長波長赤外光に対する窓の放射率を低下させるデバイスは、複数の薄い伝導材料エレメントおよび複数のボイド部の配列としてパターンを形成された伝導材料フィルムとして一般化することが可能である。前記複数の薄い伝導材料エレメントは、それの伝導材料が、(可視光および近赤外光に対してより)長波長赤外光に対して高い反射性を有するとともに、(長波長赤外光に対してより)可視光および近赤外光に対して高い透過性を有するように、距離を離れて配置される。
任意に選択可能な事項として、前記グリッドまたは格子を、赤外光に対して不透過性を有する誘電体の層によって被覆(オーバコート)することが可能であるが、その被覆は、当該グリッドが低放射窓用膜として機能することに対して実質的な影響を与えることなく行われ、しかも、その被覆は、その被膜(overcoat, covering, coatings)の膜厚が、その被膜材料における黒体光子の消光距離より実質的に小さいことを条件として行われる。ダイヤモンドのような材料であって、可視放射線、近赤外放射線および黒体放射線に対して透過性を有するものにより成る被膜は、いくつかの用途において望ましいかもしれない。しかし、そのような被膜は、前記ワイヤグリッドの耐久性を向上させるかもしれないが、それら被膜は、前記ワイヤグリッドがグリッド付き低放射面(gridded low-emissivity surface)として機能するために必要であるわけではない。
前記「ワイヤ」は、低放射材料または複数の材料の積層体より成るストリップとすることが可能であり、また、今回の目的のために、透過性伝導酸化物を使用すると、長波長(黒体)赤外放射線に対する反射率を実質的に阻害することなく、太陽放射線に対する透過率が極大化するであろう。そのような透過性伝導酸化物は、誘電体ミラーを形成するために、モノリシックな態様で(一体物として)使用したり、複数の層が交互に並ぶ態様で使用することが可能である。金属および酸化物より成る誘電体ミラー(metal-and-oxide dielectric mirror)のストリップは、前記放射率を増加させるために使用することも可能であるが、このストリップは、酸化物のみより成るストリップより低い透過率を有する。
前記グリッドまたは格子の構造は、大きな表面をマイクロ構造でパターンニング(patterning, パターン形成、模様付け、模様形成)するいくつかの方法により、敷設(形成)することが可能である。例えば、前記表面を、フォトリソグラフィ法、電子ビーム・リソグラフィ法、ナノインプリント・リソグラフィ法またはマイクロコンタクト・プリンティング法を用いてパターニングすることが可能である。要求される特徴寸法(feature sizes)は、現行技術によって容易に達成可能であり、大きな問題はない。例えば、ビデオ・ディスプレイ業界は、数平方メートルの面積を有する領域をパターニングするための高いスループットを有する設備を採用しており、そのような面積は、建築に用いられるガラスをパターニングするのに必要な寸法に匹敵する。
より一層粗い(精密ではない)方法を用いることも可能である。例えば、顕微鏡でないと見えない程度に小さいビーズまたは他の物体を、皮膜の被着(膜形成)に先立ち、ガラス表面上に分散させ、その後、それらビーズまたは他の物体を拭い捨てることが可能である。その被膜は、ステンシルを用いるか、またはインクジェットにより、前記ガラス表面上に塗布したり、ゾルゲル・インクまたはブロック・コポリマを用いる化学的自己組織化により、パターニングすることが可能である。
一実施態様においては、前記低放射膜の表面パターニング工程および被着工程は、ゾルゲル法により、一回の作業として実施することが可能であり、このことは、例えば、文献「International Semiconductor Conference」2006年9月号第1巻中、第179−182頁におけるManea, E.、Budianu, E.、Purica, M.、Podaru, C.、Popescu, A.、Cernica, I.およびBabarada, F.の共著に係る「Optical Characterization Of SnO2 thin Films, Prepared by Sol Gel Method, for "Honeycomb" Textured Silicon Solar Cells」において説明されており、この文献は、引用によって本明細書に合体する。この方法の意図は、窓および他の建材用の透過性グリッド付き低放射面よりむしろ、太陽電池(photovoltaics)用の低反射面を生成することにあった。しかし、同じ方法を、本明細書に記載されているように、PbO、ITOおよび他のグリッド付き低放射金属酸化物材料より成るハニカム構造物を、ガラス製または透過性ポリマ製の基板上に生成するために用いることが可能である。
別の実施態様においては、パターニング方法が、前記ガラス表面を、ポリスチレン−b−ポリ(メタクリル酸メチル)(PS-b-PMMA)のような自己組織化ジブロック・コポリマで被覆する方法である。この方法の一例においては、前記低放射膜が最初に前記ガラス表面上に被着させられる。次に、スチレン/ベンゾシクロブテン/メタクリル酸メチル(BCB/MMA)のランダム・コポリマであって成分比率が例えば56:2:42であるものが、0.3重量%のトルエン溶液に溶解させられ、それが、前記低放射面上に、厚さ(depth)が8−12ナノメートルになるまで被着させられ、前記コポリマの架橋のために250℃で30分間、焼成され、そして、最後に、残留ポリマを除去するために、トルエンに5分間、浸漬される。この方法によれば、前記自己組織化ポリマフィルムのためにアンカポイントとして作用する分子「ブラシ」が生成される。
次に、約70%のPSと約30%のPMMAを含有するブロック・コポリマが、1%のトルエン溶液に溶解させられ、それが、前記ガラス表面上に、厚さ(depth)が約30ナノメートルになるまで被着させられ、そして、真空オーブン内において160−190℃で12時間、焼成される。それらの条件のもと、前記コポリマフィルムは自己組織化し、それにより、各々垂直に延びている複数のPMMAシリンダ(円筒部)が、PSマトリクス(PS製の格子またはグリッド)において、ハニカム形状を成す規則正しい配列を成す。前記フィルムのうちのPS成分の架橋を行ってPMMA成分を可溶性にするために、そのサンプルが、その後、真空状態で、かつ、水銀UVランプ(水銀灯)が、25J/cmより多い総放射線量を実現するために用いられる環境で、硬化させられる。そのサンプルは、その後、PMMAを溶解させるために、氷酢酸に15分間、浸漬され、これにより、そのPMMAによって先に占められていた複数の領域内に空の円筒状の孔(pores)が複数形成される。エッチング剤がその後、それら孔の真下にある複数の空間内において前記低放射層(低放射膜)を溶解させるために、塗布される。
前記エッチング剤の実際の化学的性質、および、そのエッチング剤を前記表面に塗布する時間の長さは、前記低放射面の組成および厚さに依存する。一般に、フッ化水素(HF)溶液を、金属酸化物を攻撃するために使用することが可能であり、また、塩化水素(HCI)のような、フッ素を含有しない酸を、金属を攻撃するために使用することが可能であり、この際、前記ポリマのマスクは、もとのままとされる。そのエッチ・マスクは、その後、アセトンによって除去され、そして、この方法が終了する。
これで、このガラス板は、低放射グリッドによって被覆され、そのグリッドの孔サイズおよび間隔は、次の関係によって定義されるように、PS−b−PMMAコポリマの分子量の関数である。その関係は、P=(0.5556)*(W/100)0.64、およびD=P/1.74で表され、ここに、「P」は、孔間隔、すなわち、中心間距離であり、「W」は、分子量(単位:ダルトン)であり、そして、「D」は、孔径である。
別の実施態様においては、前記表面がフォトリソグラフィを用いてパターニングされる。ガラス製のリソグラフィック・フォトマスクが、標準的なCADおよび印刷の技術を用いて形成される。DesignCAD LTは、フォトマスク設計のための一般的なツールであり、そのツールの出力値を、Photo Sciences Corporationから販売されているような自動マスク印刷サービスにアップロードすることが可能である。そのマスクは、正方形グリッドの画像を有し、この画像は、表面上に結像されると、各々約0.6−約0.8ミクロンである複数のギャップを有し、それらギャップは、約0.9−約1.1ミクロンの周期(ピッチ)で間隔をあけている。それらの寸法(サイズ)において、グリッドは、直交する複数本のワイヤであって各々約3ミクロンの太さを有するものから構成され、この特徴寸法(feature size)は、標準的な水銀蒸気UVランプ(水銀灯)を用いて250−400ナノメートルの波長で照射を行うことによって容易に実現できるものである。より小さい特徴寸法とすることが非常に望ましいが、サブ波長干渉技術または超(極端)紫外線(EUV)反射型光学機器が必要となるかもしれず、それらにより、必要な設備のコストおよび複雑さが増加する。
前記表面は、MicroChem社のKMPR 1000のような高速露光・UV感応型のフォトレジスト材により、インクジェットプリンタを用いて、約1ミクロンの厚さ(深さ)まで被覆され、そして、クリーンルーム条件のもとで100℃で5分間、焼成される。深さ寸法の精度を上げることは、現像されたレジスト内における特徴物(形状)についてのアクペクト比を適正化する場合を除き、重要ではなく、また、被膜も、ミクロンのスケール(オーダ)で特に一様であることも平坦であることも要求されない。プラスマイナス50−90%の高さ寸法のばらつきは、完全に許容でき、この製法の結果を実質的に阻害することにはならず、その理由は、前記低放射膜自体、一般的には、1ミクロンより非常に薄いし、一般的には、0.2ミクロンまたはそれ以下のオーダであるというものである。
次に、前記被覆されたガラス製またはポリマ製のシートが、連続走査型UVフォトリソグラフィシステム(例えば、Anvik Corporationから入手可能な複数のシステムのうちの一つであって、1時間当り、約20平方メートルのスループットを実現する能力のあるもの)内に配置され、そして、前記フォトマスクについての、投影された縮小画像によって露光される。この方法によれば、眼に見える継ぎ目が残らず、また、今回の描画時には、特徴寸法が1ミクロンに制限されるが、将来、より小さい特徴寸法が利用可能となる可能性がある。前記連続した走査およびパターニングを行う製法は、前記ガラスを前後に移動させることを必要とし、その一方、パターニングのための設備自体は動かない。したがって、必要なフロアの広さは、パターニング対象となる最大のガラス板の長さおよび幅の約2倍に広さに、3つの側における約2メートルのアクセス通路(連絡通路)を加えたものである。あるシステムが3m×4mのガラスをパターニングするために必要なフロアの広さは、約10m×約10mである。露光波長は、一般的には、365nmであり(とはいえ、他のUV波長も利用可能であり、X線波長でもうまくいく)、KMPR 1000で1ミクロン被覆するために必要な照射量は、約70ジュール/cmである。露光後に焼成を100℃で3分間行うことが推奨されるが、今回の目的達成のために不可欠であるわけではない。
次に、そのサンプルが、MicroChem社のSU−8または2.38%TMAH(0.26N)水溶性アルカリ現像液のような現像液を用いて120秒間、リンスされる(濯ぎが行われる)。この時点で、前記レジスト内に、ワイヤグリッドの目標形状を有するボイド部(直線グリッドパターン)が存在する。前記低放射膜は、その後、前述の標準的な被着法を用いて、前記レジスト内の複数の穴(前記ボイド部)を通過して、前記表面上に被着される。最後に、残留レジストが、アセトンまたはMicroChem社のRemover PG(NMP)のような「剥離剤」という溶剤を用いて、80℃で10分間、槽に浸漬されるか、または、プラズマ・エッチャを用いて、洗い流される。例えば、反応型イオン・エッチャにより、その剥離作業を、10秒以内で、次の条件で行うことが可能である。その条件とは、電力:200W、O2の流量:80sccm、CF4の流量:8sccm、圧力:100ミリトリチェリ、温度:10℃である。レジストの剥離作業が完了すると、微細な(マイクロ構造の)パターンが形成された低放射面が完成する。
実施態様の別の例においては、前記レジストのパターニングが、標準的なオフセット印刷法を用いて行われ、その方法は、時々、ローラ型ナノインプリント・リソグラフィ法すなわちRNILと称される。印刷板すなわち「シム」が、金属、セラミック、ポリマ、または耐久性を有する他の材料(例えば、100ミクロンの厚さを有するニッケル・シート)により構成されるが、そのシムは、そのシム上に、顕微鏡でしか見えない複数のノブのパターンを有するように形成され、それらノブは、目標である複数の穴のサイズおよび形状を有するように(または、他の目標パターンを有するように)形成されるが、通常は、微細構造を有するようにパターニングされた水晶のマスタ(マスタパターン)からのエンボス加工を行うことは必ずしも必要ではない。そのシムは、円筒状のローラの周りに巻き付けられる。パターニングされるべき表面(例えば、窓ガラス板)は、その後、液状レジストまたはマスク材(例えば、MicroChem社のNano PMMA Coploymerを1%、アニソール内に含有させたもの)で被覆され、前記ローラであって前記レジストを乾燥させて硬化させるために設定された温度(例えば、ガラス転移温度)まで加熱されたものが、ガラス表面上を横切るように、標準的な印刷法で、印刷プレスと本質的に同じ装置を用いて、ローラ掛けされる。そのパターニングされた表面は、その後、完全に乾燥および硬化することが可能であり、それら乾燥および硬化は、周辺の条件のもとに、焼成工程(例えば、160℃で30分間)により行われるか、または、紫外線硬化ランプ(例えば、波長が285nmである水銀灯)による露光(照射)により行われる。その低放射膜は、その後、前記印刷されたパターンにより(例えば、スパッタリング法または化学気相成長法により)被着され、そのパターニングされたレジストは、前述のように、剥離される。非常に似ている方法であって軟質および硬質の表面の双方をパターニングするためのものが、2008年4月9日−11日に大韓民国Gyeonggi-doのKINTEXにおいて開催された会議「International Conference on Smart Manufacturing Application」における、Shuhuai Lan、Hyejin Lee、Jun Ni、Soohun LeeおよびMoongu Leeによる「Survey on Roller-type Nanoimprint Lithography (RNIL) Process」において説明されている。
これまでのいくつかの説明は、例示的な用途のためにのみ意図されており、本発明の範囲を限定するものと考えるべきではない。広範囲の他のパターニング法を、本発明の主旨を逸脱することなく、使用することが可能であり、本発明の主旨は、可視スペクトルに対して非常に高い透過性を有する低放射面であって微細パターニングによってグリッドが形成されたものである。
図3は、間隔が異なる複数の低放射ワイヤグリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、太陽光と、室温での物体から放出される黒体放射線との双方につき、強度と波長との関係を示すグラフである。高透過性を有する市販の低放射フィルムの反射スペクトルが比較例として示されている(出典:文献「International Glazing Database」第15.1版)。選択された範囲内にあるすべてのグリッドは、太陽から放出される可視・近赤外光に対して高い透過性を有するとともに、黒体放射線に対して高い反射性を有し、また、いずれの場合にも、前記グリッドの性能が、可視・近赤外波長に対する透過性をより高く実現しつつ、モノリシック低放射フィルムに匹敵することが望ましい。このようなグリッドのすべておよびそれらグリッドと実質的に同じ光学的性質を有する派生的構造物は、グリッド付き低放射窓フィルムとして使用される場合には、本発明の実施形態であると考えられる。
さらに注目すべきことは、図3における複数本のカーブ(曲線グラフ)が、すべての波長において一様な反射を行う理想金属より成る複数のワイヤグリッドを示しているということである。例えばアルミニウムは、完全な金属に十分に近似し、その結果、アルミニウム製ワイヤグリッドの応答特性が、図3においてグラフで示す応答特性に十分に近似するであろう。しかし、銅および金のような「不完全な」金属は、近赤外線および長波長赤外線において高い反射性を示すが、可視スペクトルの、より短い波長においてかなり低い反射性を示し(および、対応するエネルギーにおいて電子に対して低い伝導性を示し)、これが、それら銅および金という金属がそれぞれ黄色および赤色に見える理由である。そのような金属が用いられて低放射ワイヤグリッドまたは格子が形成される場合には、反射スペクトルが可視波長において低下する(凹む)であろうし、よって、反射率と波長との関係を表す複数のカーブは、図3におけるカーブに対して右側にシフトするであろう。
同時に、可視波長における透過スペクトルは、理想金属より増加している(例えば、金は、緑色光に対応する、約500nmの波長において透過率のピーク値を示すが、理想金属の透過スペクトルは何らピーク値を示さない)。その結果、前記グリッドまたは格子は、太陽放射線に対して全体的により高い透過性を示すようになる。しかし、それら「不完全な」金属は、黒体波長において高い反射性を示すため、前記グリッドは、同等の低放射特性を維持する。SnOのような透過性伝導性酸化物については、前記グラフがさらに右側に対してシフトし、その理由は、それら材料が、長波長赤外線に対して高い反射性を維持しつつ、可視光に対してほぼ完全な透過性を示すというものである。図3は、550nmの穴が600nmの周期で並んだパターン(模様)を有する低放射面であれば、同じ材料より成るモノリシックなフィルムと同等な放射率を示し、その一方で、65%少ない材料を使用するとともに、太陽スペクトルに対する透過性を非常に向上させる。
本発明の解釈上、前記低放射グリッドの形成が、断熱表面上に複数本の伝導性ワイヤ(ライン)を被着する方法によるか、固体伝導フィルム(solid conducting film)内に複数個の穴をエッチングする方法によるか、他の方法によるかは問われない。複数のグリッド開口部を詰めて配置する仕方は、正方形もしくは六角形の対称性を示すものとしたり、よく調整された平均的なサイズ(太さ)および間隔を有する複数の開口部を擬似的にランダムに配置するものとすることが可能である。一方、前記複数個の穴の形状は、当該デバイスの機能を実質的に変更することなく、正方形としたり、円形としたり、三角形としたり、不規則形状としたり、他のいかなる形状とすることが可能であるが、穴が、ある方向における寸法が他の方向における寸法に対して非常に長い場合には、偏光効果を有する傾向がある。
図3のグラフは、また、複数本の伝導性ワイヤが平行に並んだ格子であってワイヤグリッド型ポラライザとしても知られているものにつき、反射率と波長との関係も示している。このような構造は、それの偏光効果により、それの反射率が、近紫外線から遠赤外線まで及ぶ広い波長帯域に亘って実質的に一定である(この場合には、約44%)という調味深い性質を有する。同様に、前記格子は、それの偏光効果により、全波長に亘って約40−約50%の放射率を有し、これは、通常のガラスの放射率である80−90%より実質的に低い。ワイヤグリッド型ポラライザは、光学の分野において普及しているが、それらポラライザは、窓および他の建材において低放射フィルムとして使用されてこなかった。このような使用は、本発明の実施形態であると考えられる。これまでと同様に、注目すべきことは、前記ワイヤ型格子の複数本のワイヤが、透過性を有する誘電体の層であって、その層の厚さが当該誘電体における黒体光子の消光(消失)距離より実質的に短いものによって被覆されるか、または、ダイヤモンドのように、黒体放射線に対しても透過性を有する材料によって被覆されると、前記ワイヤ型格子の低放射特性が保存される。
図4は、周期が異なる複数の熱分解性ITOグリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、太陽放射線につき、強度と波長との関係を示すグラフである。そのグラフが明確に示すように、そのグリッド構造は、モノリシックなITOフィルムより高い透過性を、可視光に対しても近赤外太陽放射線に対しても有する。
図5は、周期が異なる複数の熱分解性ITOグリッドにつき、反射率と波長との関係を示すとともに、室温での物体から放出される黒体放射線につき、強度と波長との関係を示すグラフである。そのグラフが明確に示すように、グリッドのサイズが増加するにつれて、黒体波長における赤外光に対する反射率(概して、1から放射率を引いた値に等しい)が、せいぜい数パーセントだけ、変化する。よって、放射率の「ペナルティ」は、透過率ゲインより小さく、このことは、それら微細構造の被膜が窓ガラスに組み込まれると、その窓は、消費された熱についてBTUで測定されるか支出されたドルで測定されるように、寒冷晴天天候においてより効果的である。
他の熱分解性・透過性・低放射膜のスペクトルは、厳密には、ここに示すグラフとは異なっているかもしれないが、全体的な形状や機能は、本質的には同じであろうし、全体的な性能特性値において共通するであろう。注目すべきことは、高透過性・低放射膜は、サーモクロミック(thermochromic)またはサーモリフレクティブ(thermoreflective)な窓フィルタを好適に補完する物であり、その理由は、それら膜は、低放射機能をSHGCの調節から切り離すというものであり、よって、そのようなサーモクロミックまたはサーモリフレクティブな窓フィルタに利用可能な透過率の範囲を増加させる。
図6は、本発明の別の実施形態についての分解図を示しており、本実施形態においては、2枚の窓ガラス板401,401’が、互いに対向する面上において、グリッド402,402’によって被覆されている。格子から放出される黒体放射線は本質的に偏光されるため、極性が異なる2つのワイヤ格子型ポラライザを二重ガラス窓のうち、互いに対向する2つの表面上に、一方のポラライザからの出射光が他方のポラライザによって強く反射されるように、設置することが可能である(ここに、一方のポラライザと他方のポラライザとは、相互に置換可能である)。これは、窓の有効放射率を0に非常に近づけるためのもう一つの手法である。しかし、それらポラライザが可視光の領域において偏光を行うようにも設計されていると、互いに交差するそれらポラライザは、高い反射性を有する窓であってほとんど光を透過させないものとなるであろう。
このような設計構造が通常の建築用の窓(例えば、固体であり、透過性を有し、拡散性を有しない壁要素であって、その壁要素を通して人間が物体および景色を観察可能であるもの)として使用される実用性が極大化するのは、前記ワイヤ型格子の間隔が、図3に示すように、可視光に対して高い透過性を有する一方で、黒体放射線を偏光させる(そして、それにより、反射する)ように調節された場合である。
これに代えて、前記ワイヤ型格子の間隔を、可視光が、前記格子の通過時に、強く偏光されるように設定すると、前記窓は、任意に選択可能なデポラライザ406が前記2つのポラライザ間におけるどこかの位置に設置されない限り、可視スペクトルにおいてほぼ完全な反射性を示すように見えることになる。そのデポラライザ406の目的は、そのデポラライザ406を通過する可視・近赤外光の偏光ベクトルを設定量(通常、90度)回転させ、それにより、ワイヤ型格子401から放出された可視光であって偏光されたものが、ワイヤ型格子401’により、反射ではなく、透過させられるようにすることにある(ここに、ワイヤ型格子401とワイヤ型格子401’とは、相互に置換可能である)。
一実施態様においては、デポラライザ406は、例えば波長が0.25−2.5ミクロンである太陽スペクトルの領域内において光子の極性を回転させるが、波長が5−20ミクロンである黒体光子の極性を変化させないように選択される。これに代えて、デポラライザの材料が黒体放射線に対して不透過性を示す場合には、そのデポラライザは、黒体光子の極性を効果的に不規則化しつつ、黒体光子の吸収と再放射とを行う傾向がある。この場合、各ワイヤ型格子は、すべての極性において黒体光子を受け、また、各ワイヤ型格子は、この黒体放射線を概して55%反射/減衰させ、その結果、当該デバイス全体の有効放射率が約20%となり、これは、通常のガラスの放射率である80−90%より非常に低い。
そのようなデバイスが低放射窓として使用される実用性が極大化するのは、デポラライザ406が可視光、近赤外光および黒体放射線に対して同時に透過性を示す場合である。このことが実現され得るのは、デポラライザ406の厚さが1個の黒体光子の消光距離より小さい場合、または、前記デポラライザのうち、厚さがそのデポラライザより薄いいくつかの部分(例えば、構造的な材料または基板材料)が、太陽スペクトルと黒体スペクトルとの双方における光の波長に対して透過性を示す材料から構成される場合である。この場合、ダイヤモンドが望ましい材料であり、この材料は、構造的に強く、水に溶解せず、そして、0.25−30.0ミクロンの領域から透過性を示す。塩化ナトリウムを含む他の材料は、同様な波長域において透過性を示すが、水蒸気に溶解し、そのため、完全な乾燥および密封が必要である。いずれの場合にも、黒体放射線に対して透過性を示すデポラライザは、黒体光子をデポラライズしないし、吸収/再放射もしないし、その結果、繰り返すが、一方のワイヤ型格子から放出される黒体放射線が、他方のワイヤ型格子によってほぼ完全に反射され、それにより、当該デバイス全体の有効放射率が5%より低い一方で、可視・近赤外光に対する当該デバイス全体の透過率(ワイヤ間隔に依存する)が窓材料自体の透過率にほぼ一致するかもしれない。
ねじれネマティック液晶セルがデポラライザとして広く使用されており、この液晶セルには、その液晶セルの偏光特性をオンとオフとに切り換えることができるという利点がある。本明細書に開示されているワイヤグリッド型ポラライザおよび他のワイヤ型格子は、ネマテックおよびねじれネマテック液晶セルのために効果的なアライメント層を形成し、それにより、作動する低放射窓デバイスのために必要な部品点数を削減する。ワイヤ型のグリッドおよび格子をアライメント層として使用することは、本発明の一実施形態であると考えられる。よって、ワイヤ型格子を、ポラライザ、アライメント層および低放射面のすべてとして同時に機能するように使用することが可能である。他のすべての点で、液晶セルおよび他のデポラライザの構造、製法および用途が広く知られている。
いくつかの例示的な実施形態が本明細書において図面を用いて説明されるとともに文章によって説明されているが、本発明がそれらの特定の構成に限定されないことを理解すべきである。特定の用途または特定の製法の要求を満たすように、反射防止膜またはフィルムのような、任意に選択可能な光学部品を追加したり、移動させることが可能であり、また、特定の部品を省略したり、組み合わせたり、置換することにより、いくつかの実施形態の低級版を提供することが可能である。例えば、ワイヤグリッドを、ナノスケールの金属ロッド、リング、正方形または他の形状を擬似的にランダムに分散したものに置き換えることが可能である。この態様によれば、効果は劣るが製造コストが安価になる可能性がある。
本発明の種々な実施形態における材料および構造は剛体である可能性があるが、低放射フィルムが本明細書に記載された機能を実現するために剛体である必要はない。さらに、本発明の実施形態における種々の部品が、互いに接着(接合)されるか、または直接的に物理的に互いに接触するように図示されるとともに文章によって説明されているが、本発明の他の実施形態は、それら部品が互いに隣接しているのみであって物理的には互いに分離している場合でも、同様に機能するであろう。よって、グリッド付き低放射フィルムは、1個の硬い(曲り難い)物体(例えば、窓、ガラス製ブロック、スパンドレルまたは可動パネル)または複数個の硬い物体の集まり(例えば、フィルタ付きのステージライト、または光学的ワークベンチに取り付けられた複数の部品の集まり)として具現化することが可能であるが、それら低放射フィルムは、例えば、テント材、毛布、カーテンまたはアップリケ・フィルムであってガラス窓、スパンドレル、ガラス製ブロックおよび他の建材の表面に接着され得るもののような柔らかい(フレキシブルな、曲り易い)物体として具現化することも可能である。
グリッド付き低放射窓デバイスを製造するために種々の他の材料を用いることが可能であり、そのような材料には、金属、セラミック、ガラス、ナノ構造およびマイクロ構造を有するフォトニック材料が含まれ、さらに、氷、液体および蒸気すら含まれる。その窓デバイスは、断熱特性を向上させるように設計された特徴物を含むものとすることが可能であり、そのような特徴構物は、エアギャップ、真空ギャップ、泡、ビーズ、ファイバ・パッドまたはエアロゲルを含むが、それらに限定されない。その窓デバイスは、乗物または建物の壁のうちの構造部品として機能するのに十分である厚さおよび硬さを有するものとすることができる。その窓デバイスは、複合表面によって包囲したり、複合表面上に形成することが可能である。その窓デバイスは、着色して美観を向上させたり、より一般的な建材に似せるためにカムフラージュすることが可能である。
前述の種々の層についての具体的な構成態様は、本明細書に記載されているものとは異なるものとすることが可能であり、また、選択された材料および波長に応じて、本発明の本質的な構造および機能を変更することなく、互いに異なる複数の層(different layers)を、複数の合体層(single layers)、複数の合体対象物(single objects)、複数の合体デバイス(single devices)または複数の合体材料(single materials)に結合することが可能である。上述の説明においては、多くの具体的事項が存在するが、それら具体的事項は、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではなく、むしろ、本発明のいくつかの例示的な実施形態についての説明を提供するにすぎないと解釈すべきである。それら具体的事項は、当該デバイスを、別の材料を用い、かつ、別の構成態様を有するように製作する種々の可能性である。
さらに、当該デバイス内の様々な位置における光の偏光状態を変更するために、当該デバイスに一つまたは複数の別のポラライザを、それらポラライザが反射型であるか吸収型であるかを問わず、また、それら別のポラライザ同士が互いに平行であり、かつ、もとの2つのポラライザに対しても平行であるか、それら別のポラライザ同士がある角度を成すように回転位置がずれており、かつ、もとの2つのポラライザに対しても回転位置がずれているかを問わず、組み込むことが可能である。さらに、種々のライン間隔(ワイヤ間隔)を有する複数のワイヤグリッドを、実際の反射率、透過率およびみかけ放射率を、当該デバイス内における種々の位置において特定の波長に適合させるために、採用することが可能である。また、液晶デポラライザは、ネマテック、ねじれネマテック、スメテック、固体/結晶、および他の物理/分子状態から得られる広範囲の様々な組合せを、電場、テクスチャ付き表面、内部ガイドワイヤ、または、成分分子の向きを変更するための他の手段を有するかまたは有しない状態で採用することが可能である。レンズ、プリズム集光フィルム(prismatic films)、または反射性を有する複数の部品の非平行配置の採用により、当該デバイスからの反射光をいずれの向きにも送ることができるか、または、建物および乗物のような大きい鏡面近傍に時々発生する、眩しい「第2の太陽」という効果を制限するために拡散させることが可能である。そのような実施形態は、本発明に属すると考えられる。
本発明の作用の本質的原理を損なわない多数の他の変形例が存在する。例えば、前述の複数の層のいずれかまたはすべては、ドーピングされた材料、ナノ構造材料またはマイクロ構造材料によって構成することが可能であり、それら材料は、積層ポリマ光フィルムおよびカスタム・メイド(custom)のフォトニック結晶を含むが、これに限定されない。分布型ブラッグリフレクタ(DBR)またはルゲート・フィルタのようなバンドリフレクタを少なくとも一つ、当該デバイスの反射率または透過率を特定の波長において調整するために追加することが可能である。種類の如何を問わず、反射型であるか吸収型であるかを問わず、美観のために色フィルタを追加することが可能である。窓のための低放射強化ちょいう当該デバイスの基本的な性質を変更することなく、様々な角度からの入射光の集光または偏向を支援するために、一つまたは複数の層を非平面形状(例えば、放物線状)としたり、他の形状を有するリフレクタもしくは同様なデバイスを組み込むことが可能である。
以上、本発明の種々の実施形態を、ある程度の具体性を有するか、または、少なくとも一つの個別の実施形態を参照しながら、説明してきたが、当業者であれば、本発明の主旨からも範囲からも逸脱することなく、前述の開示された実施形態に対して多くの変更を加えることが可能である。上述の説明に含まれるか本明細書に添付された添付図面に図示されたすべての事項は、具体的な複数の実施形態のみについての説明であると解釈すべきであって、限定するものでないと解釈すべきである。方向についてのすべての言及、例えば、近位、遠位、上側、下側、内側、外側、上方向、下方向、左方向、右方向、横方向、前側、後側、上端、下端、上方に、下方に、垂直、水平、時計方向および反時計方向は、読者が本発明を理解することを助けるために、区別という目的においてのみ使用され、本発明を、特に、位置、向きまたは使用法に関して本発明を限定することはない。接続に関する言及、例えば、装着、連結、接続および接合は、広く解釈すべきであり、特記されない限り、集まった複数の要素間に介在する中間部材、および複数の要素間の相対運動を含むことが可能である。したがって、接続に関する言及は、2つの要素が互いに直接的に接続されるとともに互いに一体的であることを必ずしも意味しない。後続する特許請求の範囲において定義される本発明のうちの基本的な要素から逸脱することなく、細部または構造を変更することが可能である。

Claims (34)

  1. 長波長赤外光に対する窓の放射率を低下させる装置であって、
    伝導材料より成る複数の薄い伝導材料エレメントと複数のボイド部との配列を成すパターンを有するように形成された伝導材料フィルムを含み、
    前記複数の薄い伝導材料エレメントは、前記伝導材料が、長波長赤外光に対して高反射性を有するとともに、可視・近赤外光に対して高透過性を有するように、互いに距離を隔てて配置された装置。
  2. 前記パターンは、グリッドを含む請求項1に記載の装置。
  3. 前記パターンは、格子を含む請求項1に記載の装置。
  4. 前記格子は、さらに、ポラライザとして機能するように構成された請求項3に記載の装置。
  5. 前記格子は、さらに、液晶アライメント層として機能するように構成された請求項3に記載の装置。
  6. 前記フィルムは、前記窓のガラス板の表面上における被膜を含む請求項1に記載の装置。
  7. 前記複数の薄い伝導材料エレメントは、1ナノメートル以上の幅を有する請求項1に記載の装置。
  8. 前記複数の薄い伝導材料エレメント間の前記距離は、約20ミクロンより小さく、約0.1ミクロンより大きい請求項1に記載の装置。
  9. 前記伝導材料は、金属製または金属酸化物製のワイヤメッシュを含む請求項1に記載の装置。
  10. 前記複数の伝導材料エレメントは、複数のワイヤセグメントが擬似的にランダムに分散したものを含む請求項1に記載の装置。
  11. 前記複数の薄い伝導材料エレメントは、さらに、伝導性酸化物製の複数のストリップを含み、
    前記パターンは、誘電体ミラーを形成するために、交互に並んだ複数の層を成すように構成された前記複数のストリップの配列を含む請求項1に記載の装置。
  12. 前記複数の薄い伝導材料エレメント間の前記距離は、不均一である請求項1に記載の装置。
  13. さらに、前記伝導材料を被覆する薄層誘電体を含み、
    その薄層誘電体は、可視放射線、赤外放射線および長波長赤外(黒体)放射線の各々に対して透過性を有する請求項1に記載の装置。
  14. さらに、前記伝導材料を被覆する薄層誘電体を含み、
    その薄層誘電体は、長波長赤外(黒体)放射線に対して不透過性を有し、
    前記薄層誘電体の厚さは、前記誘電体における前記長波長赤外(黒体)放射線の消失距離より非常に小さい請求項1に記載の装置。
  15. さらに、前記伝導材料より成る別のフィルムを含み、
    その別のフィルムの前記パターンは、別の格子を含み、
    それら2つの格子は、互いに直角に並んでいる請求項3に記載の装置。
  16. さらに、前記伝導材料の前記2枚のフィルムの間に配置されたデポラライザを含み、
    前記2つの格子は、可視放射線、近赤外放射線および長波長赤外(黒体)放射線を偏光し、
    前記デポラライザは、前記長波長赤外(黒体)放射線の偏光状態を変化させることなく、前記可視放射線および前記近赤外放射線の偏光ベクトルを回転させる請求項15に記載の装置。
  17. 低放射窓であって、
    ガラス板と、
    複数の薄い伝導材料エレメントと複数のボイド部との配列を成すパターンを有するように形成された伝導材料フィルムと
    を含み、
    前記複数の薄い伝導材料エレメントは、前記伝導材料が、長波長赤外光に対して高反射性を有するとともに、可視近赤外光に対して高透過性を有するように、互いに距離を隔てて配置された窓。
  18. 前記パターンは、グリッドを含む請求項17に記載の低放射窓。
  19. 前記パターンは、格子を含む請求項17に記載の低放射窓。
  20. 前記格子は、さらに、ポラライザとして機能するように構成された請求項19に記載の低放射窓。
  21. 前記格子は、さらに、液晶アライメント層として機能するように構成された請求項19に記載の低放射窓。
  22. 前記フィルムは、当該窓のガラス板の表面上における被膜を含む請求項17に記載の低放射窓。
  23. 前記薄い伝導材料エレメントは、1ナノメートル以上の幅を有する請求項17に記載の低放射窓。
  24. 前記複数の薄い伝導材料エレメント間の前記距離は、約20ミクロンより小さく、約0.1ミクロンより大きい請求項17に記載の低放射窓。
  25. 前記伝導材料は、金属製または金属製酸化物製のワイヤメッシュを含む請求項17に記載の低放射窓。
  26. 前記複数の薄い伝導材料エレメントは、複数のワイヤセグメントが擬似的にランダムに分散したものを含む請求項17に記載の低放射窓。
  27. 前記複数の薄い伝導材料エレメントは、さらに、伝導性酸化物製の複数のストリップを含み、
    前記パターンは、誘電体ミラーを形成するために、交互に並んだ複数の層を成すように構成された前記複数のストリップの配列を含む請求項17に記載の低放射窓。
  28. 前記複数の薄い伝導材料エレメント間の前記距離は、不均一である請求項17に記載の低放射窓。
  29. さらに、前記伝導材料を被覆する薄層誘電体を含み、
    その薄層誘電体は、可視放射線、赤外放射線および長波長赤外(黒体)放射線の各々に対して透過性を有する請求項17に記載の低放射窓。
  30. さらに、前記伝導材料を被覆する薄層誘電体を含み、
    その薄層誘電体は、長波長赤外(黒体)放射線に対して不透過性を有し、
    前記薄層誘電体の厚さは、前記誘電体における前記長波長赤外(黒体)放射線の消失距離より非常に小さい請求項17に記載の低放射窓。
  31. さらに、前記伝導材料よりなる別のフィルムを含み、
    その別のフィルムの前記パターンは、別の格子を含み、
    それら2つの格子が、互いに直角に並んでいる請求項19に記載の低放射窓。
  32. さらに、前記伝導材料の前記2枚のフィルムの間に配置されたデポラライザを含み、
    前記2つの格子は、可視放射線、近赤外放射線および長波長赤外(黒体)放射線を偏光し、
    前記デポラライザは、前記長波長赤外(黒体)放射線の偏光状態を変化させることなく、前記可視放射線および前記近赤外放射線の偏光ベクトルを回転させる請求項31に記載の低放射窓。
  33. 低放射窓であって、
    ガラス板と、
    そのガラス板上に支持された複数のナノスケール伝導性ワイヤのグリッドと
    を含み、
    前記複数のナノスケール伝導性ワイヤは、前記グリッドが、長波長赤外光に対して高反射性を有するとともに、可視近赤外光に対して高透過性を有するように、互いに距離を隔てて配置された窓。
  34. さらに、前記複数のナノスケール伝導性ワイヤを被覆する薄層誘電体を含み、
    その薄層誘電体は、長波長赤外(黒体)放射線に対して不透過性を有し、
    前記薄層誘電体の厚さは、前記誘電体における前記長波長赤外(黒体)放射線の消失距離より非常に小さい請求項33に記載の低放射窓。
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