JP2005352403A - 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、バックライトシステムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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【課題】 直線偏光分離フィルムと直線偏光フィルムとを積層した光学フィルムを簡便に製造しうる方法を提供すること。
【解決手段】 直線偏光分離フィルムと、1/2波長板と、直線偏光フィルムとが、この順で積層されている光学フィルムの製造方法であって、
直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図3
【解決手段】 直線偏光分離フィルムと、1/2波長板と、直線偏光フィルムとが、この順で積層されている光学フィルムの製造方法であって、
直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】 図3
Description
本発明は、直線偏光分離フィルムと、1/2波長板と、直線偏光フィルムとを積層した光学フィルムの製造方法に関する。また本発明は、当該製造方法により得られた光学フィルムに関する。かかる光学フィルムは、輝度向上偏光フィルムなどとして好適であり、バックライトシステムおよび液晶表示装置に好適に用いられる。
図6に示すような直線偏光分離フィルム(1)と直線偏光フィルム(3)とが積層された光学フィルムA′(直線偏光分離積層フィルム)は、透過型液晶表示装置などの液晶セルに貼り合せて用いられる光学素子である。前記直線偏光分離フィルム(1)は、透過軸に平行な振動面を有する偏光はその振動面を保ったまま透過させ、反射軸に平行な振動面を有する偏光は反射させる機能を有し、その透過軸と反射軸は互いに直交しているものである。また前記直線偏光フィルム(2)は、その透過軸に平行な振動面を有する偏光はそのまま透過させ、吸収軸に平行する振動面を有する偏光は吸収する機能を有し、その透過軸と吸収軸は互いに直交しているものである。前記直線偏光分離積層フィルムは、図7に示すように透過型液晶表示装置の照明装置(バックライト:BL)と液晶セル(LC)との間に配置されて、表示画面の明るさを向上させるために用いられている。
上記直線偏光分離フィルム(1)、直線偏光フィルム(3)は、それぞれロール状態で生産されているが、直線偏光分離フィルム(1)はロールの流れ方向(走行方向)が偏光透過軸になり、直線偏光フィルム(3)ではロールの幅方向が偏光透過軸になっている。そのため、図6に示すような直線偏光分離積層フィルムを製造するには、直線偏光分離フィルム(1)の偏光透過軸と、直線偏光フィルム(3)の偏光透過軸とを合わせるため、一方のロールの流れ方向を90°ずらして積層する必要がある。一般的には、それぞれのフィルムを所定サイズに打ち抜いて貼り合せているので、大量生産するには工程が多く、人手が多くなり、またコスト高になるという問題がある。その改善策として、帯状の光学フィルムに、打ち抜いた他の光学フィルム積層体を積層したのち、裁断するという方法が提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1の方法では、煩雑な工程を有するため大量生産には不適であり、またコスト高でもあった。
また、透過型液晶表示装置として、直線偏光分離フィルム(1)と直線偏光フィルム(3)との間に1/2波長板を配置したものが提案されている(特許文献2参照)。特許文献2のように、1/2波長板を配置した場合にも、1/2波長板を配置していないものと同様に表示画面の明るさを向上させることが可能である。しかし、特許文献2は、直線偏光分離フィルム(1)と直線偏光フィルム(3)との間に単に1/2波長板を配置しているにすぎないものであり、直線偏光分離積層フィルムを簡便に製造できるものではなく、上記同様に製造工程の面で好ましくない。
特開2000−241625号公報
特開2000−284127号公報
本発明は、直線偏光分離フィルムと直線偏光フィルムとを積層した光学フィルムを簡便に製造しうる方法を提供することを目的とする。
また本発明は、前記製造方法により得られた光学フィルムを提供すること、さらには当該光学フィルムを用いたバックライトシステムを提供すること、さらには液晶表示装置を提供することすることを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、直線偏光分離フィルムと、1/2波長板と、直線偏光フィルムとが、この順で積層されている光学フィルムの製造方法であって、
直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法、に関する。
直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法、に関する。
上記本発明では、直線偏光分離フィルムと、直線偏光フィルムとの積層にあたり、その間に、1/2波長板を存在させている。直線偏光分離フィルムを透過した偏光は、1/2波長板により偏光の方向が90°回転するため、直線偏光分離フィルムのロールの流れ方向と直線偏光フィルムの流れ方向を一致させた状態において、両者の偏光透過軸が揃う。このように、1/2波長板を存在させることで、同じ流れ方向で、直線偏光分離フィルムの偏光透過軸と直線偏光フィルムの偏光透過軸とを合わせることができ、それぞれのフィルムのロールとロールとを、いわゆるロールトゥロールで積層することが可能になり、簡便に光学フィルム(直線偏光分離積層フィルム)を製造することができる。
上記光学フィルムの製造方法において、直線偏光分離フィルムの偏光透過軸の方向を方向a、1/2波長板の遅相軸方向を方向b、直線偏光フィルムの吸収軸方向を方向cとしたとき、
方向aと方向bの成す角度θr=45°±10°または135°±10°とし、
方向aと方向cの成す角度θp=0°±10°、とすることが好ましい。
方向aと方向bの成す角度θr=45°±10°または135°±10°とし、
方向aと方向cの成す角度θp=0°±10°、とすることが好ましい。
上記方向aと方向bの成す角度θrを45°±10°または135°±10°にすることで、1/2波長板により、直線偏光分離フィルムを透過する偏光の方向を90°回転させて、直線偏光フィルムの偏光透過軸に合わせることができる。角度θrは、45°±5°または135°±5°が好ましい。最も好ましくは、45°または135°である。
また方向aと方向cの成す角度θp=0°±10°にすることで、直線偏光分離フィルムを透過する偏光の方向と、直線偏光フィルムの偏光透過軸が揃い、輝度を向上させることができる。角度θpは、0°±5°が好ましい。最も好ましくは、0°である。
上記光学フィルムの製造方法において、1/2波長板は、液晶材料により作製されたものが好適に用いられる。
1/2波長板としては、特に制限されないが、プラスチックフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。これらのなかでも、ロールとロールを積層するにあたり、流れ方向において、前記角度θrを45°±10°または135°±10°を満足するような、遅相軸の位相差層を形成しやすいことから、1/2波長板は液晶材料により作製されたものを用いるのが好適である。
上記光学フィルムの製造方法において、直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、および/または、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、粘着剤層または接着剤層を介して行なうことが好ましい。
また本発明は、上記製造方法により得られた光学フィルム、に関する。
また本発明は、上記光学フィルムの直線偏光フィルムに、位相差板が積層していることを特徴とする光学フィルム、に関する。
また本発明は、上記光学フィルムに、少なくとも光源を配置してなることを特徴とするバックライトシステム、に関する。
また本発明は、上記光学フィルムまたはバックライトシステムに、少なくとも液晶セルを配置してなることを特徴とする液晶表示装置、に関する。
以下に本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の光学フィルム(A)の断面図であり、直線偏光分離フィルム(1)、1/2波長板(2)、直線偏光フィルム(3)が、この順で積層されている。
また、図2は、直線偏光分離フィルム(1)の偏光透過軸方向a、1/2波長板(2)の遅相軸方向b、直線偏光フィルム(3)の吸収軸方向cの関係を示す。図2では、最も好ましい態様として、偏光透過軸の方向aと遅相軸方向b1の成す角度θr=45°の場合と、偏光透過軸の方向aと遅相軸方向b2の成す角度θr=135°の場合を、同一図面上で表している。なお、1/2波長板(2)には、偏光透過軸方向aを投射した、偏光透過軸方向a′を記載している。また、偏光透過軸方向aと吸収軸方向cの成す角度θp=0°の場合を表している。なお、直線偏光フィルム(3)の偏光透過軸方向は、吸収軸方向cに直交する方向である。
直線偏光分離フィルム(1)としては、グリッド型偏光子、屈折率差を有する2種以上の材料による2層以上の多層薄膜積層体、ビームスプリッターなどに用いられる屈折率の異なる蒸着多層薄膜、複屈折を有する2種以上の材料による2層以上の複屈折層多層薄膜積層体、複屈折を有する2種以上の樹脂を用いた2層以上の樹脂積層体を延伸したもの、直線偏光を直交する軸方向で反射/透過することで分離するものなどがあげられる。
例えばポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートに代表される延伸により位相差を発生する材料やポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、JSR社製のアートンに代表されるノルボルネン系樹脂等の位相差発現量の少ない樹脂を交互に多層積層体として一軸延伸して得られるものを用いることができる。直線偏光分離フィルム(1)の具体例としては、3M社製のDBEF等があげられる。直線偏光分離フィルム(1)の厚さは、通常、50〜200μm程度である。
1/2波長板(2)の正面位相差(Δnd)は、通常、230〜330nm程度が好ましく、250〜310nmであることがより好ましい。さらには1/2波長板(2)としては、前述の通り、液晶材料により作製されたものが好適である。液晶材料により作製された1/2波長板は、たとえば、下記方法により作製できる。たとえば、配向基材上に液晶ポリマーまたは液晶モノマーを塗布、配向後に硬化して配向した液晶ポリマー層を形成させる方法(1)、基材フィルム上に形成した液晶ポリマー層を配向基材に転写し、配向させる方法(2)等を採用できる。
液晶ポリマーは、主鎖型、側鎖型またはこれらの複合型の各種骨格のポリマーを特に制限なく使用できるが、液晶状態でネマチック配向し、液晶転移点以下ではガラス状態となる液晶ポリマーが好ましい。
主鎖型の液晶ポリマーとしては、芳香族単位等からなるメソゲン基を結合した構造を有する縮合系のポリマー、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリエステルイミド系などのポリマーがあげられる。メソゲン基となる前記芳香族単位としては、フェニル系、ビフェニル系、ナフタレン系のものがあげられ、これら芳香族単位は、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
側鎖型の液晶ポリマーとしては、ポリアクリレート系、ポリメタクリレート系、ポリシロキサン系、ポリマロネート系の主鎖を骨格とし、側鎖に環状単位等からなるメソゲン基を有するものがあげられる。メソゲン基となる前記環状単位としては、たとえば、ビフェニル系、フェニルベンゾエート系、フェニルシクロヘキサン系、アゾキシベンゼン系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、フェニルピリミジン系、ジフェニルアセチレン系、ジフェニルベンゾエート系、ビシクロへキサン系、シクロヘキシルベンゼン系、ターフェニル系等があげられる。なお、これら環状単位の末端は、たとえば、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基等の置換基を有していてもよい。
また、いずれの液晶ポリマーのメソゲン基も屈曲性を付与するスペーサー部を介して結合していてもよい。スペーサー部としては、ポリメチレン鎖、ポリオキシメチレン鎖等があげられる。スペーサー部を形成する構造単位の繰り返し数は、メソゲン部の化学構造により適宜に決定されるがポリメチレン鎖の繰り返し単位は0〜20、好ましくは2〜12、ポリオキシメチレン鎖の繰り返し単位は0〜10、好ましくは1〜3である。
前記液晶ポリマーの分子量は特に制限されないが重量平均分子量が2千〜10万程度のものが好ましい。液晶ポリマーの重量平均分子量が大きくなると、液晶としての配向性から、液晶ポリマーの重量平均分子量は、5万以下とするのがより好ましい。また、液晶ポリマーの重量平均分子量が小さくなると非流動層としての成膜性に乏しくなる傾向があることから、液晶ポリマーの重量平均分子量は、2.5千以上とするのがより好ましい。
液晶モノマーは、前記同様の液晶配向を示す各種骨格を有し、かつ末端に、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合やエポキシ基等の重合性官能基を少なくとも1つ有する液晶性化合物である。液晶ポリマーの耐久性を向上させるためは、液晶モノマーとして重合性官能基を2つ以上有するものを用い、重合とともに架橋させることができる。なお、液晶モノマーとしては、重合後にネマチック配向性を示すものが好ましい。
液晶モノマー中には、通常、重合開始剤を含有する。重合開始剤は、液晶モノマーの重合方法に応じたものが適宜に選択される。液晶モノマーの重合方法としては、たとえば、紫外線重合があげられ、この場合には光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア(Irgacure)907,同184、同651、同369などを例示できる。光重合開始剤の添加量は、重合性液晶モノマーの種類等を考慮して、配向性を乱さない程度に加えられる。通常、重合性液晶モノマー100重量部に対して、0.5〜30重量部程度が好ましい。特に3重量部以上が好ましい。
配向基材としては、従来より知られている各種のものを使用できる。たとえば、透明基材フィルム上にポリイミドやポリビニルアルコール等からなる薄層の配向膜を形成してそれをラビングする方法により形成したもの、透明基材を延伸処理した延伸フィルム、シンナメート骨格やアゾベンゼン骨格を有するポリマーまたはポリイミドに偏光紫外線を照射したもの等を用いることができる。配向基材において、配向膜等の配向方向を制御することにより、形成する液晶ポリマー層の遅相軸を制御することができる。
前記基材フィルムとしては、液晶ポリマー層を形成できる透明基材を特に制限なく使用できる。たとえば、単層または積層の各種プラスチックフィルムやガラス板、金属等を使用できる。プラスチックフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。
なお、液晶ポリマー層の形成法は、特に制限されない。前記液晶モノマー、液晶ポリマーの塗布は、これらを溶媒に溶解した溶液を用いる溶液塗布、または溶融塗布のいずれの方法を採用することもできる。
前記液晶ポリマー、液晶モノマーの溶液を調製する際に用いられる溶媒は、液晶ポリマー、液晶モノマー等の種類により異なり適宜に決定される。たとえば、通常、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、シクロヘキサノンなどを用いることができる。溶液の濃度は、液晶ポリマー、液晶モノマー等の溶解性や1/2波長板(2)となる液晶層の膜厚に依存し、適宜に決定できる。通常3〜50重量%、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した前記の溶液の塗布方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法などを採用すること好ましい。塗布後、溶媒を除去し、液晶ポリマー層を形成させる。溶媒の除去条件は、特に限定されず溶媒をおおむね除去でき、液晶層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、ホットプレート上での加熱などを利用して溶媒を除去する。
液晶ポリマー、液晶モノマーの配向は、液晶ポリマーまたは液晶モノマーが液晶状態を示す温度において、熱処理により行なう。当該熱処理温度は、液晶ポリマーまたは液晶モノマーにより適宜に調整する。熱処理方法としては、上記の乾燥方法と同様の方法で行なうことができる。また熱処理時間は、熱処理温度および前記液晶ポリマーまたは液晶モノマーにより異なるため一概には言えないが、通常10秒〜2時間、好ましくは20秒〜30分の範囲で選択される。
なお、液晶モノマーの硬化は、その種類に応じて各種手段を採用できるが、たとえば、光照射による光重合性法を採用できる。光照射は、たとえば、紫外線照射により行なう。紫外線照射条件は、十分に反応を促進するために、不活性気体雰囲気中とすることが好ましい。高圧水銀紫外ランプが代表的に用いられる。メタハライドUVランプや白熱管などの別種ランプを使用することもできる。なお、紫外線照射時の液晶層表面温度が液晶温度範囲内になるように、コールドミラー、水冷その他の冷却処理あるいはライン速度を速くするなどして適宜に調整する。
また液晶ポリマー層の厚さは、特に制限されないが、通常1〜20μm程度、さらには2〜10μmの範囲で調整するのが好ましい。なお、液晶ポリマー層は1層形成することもでき、さらには多層形成することもできる。
前記液晶ポリマー層は、前記配向基材とともに1/2波長板(2)として用いることができ、また配向基材から剥離して、1/2波長板(2)として用いることができる。
直線偏光フィルム(3)は、通常、偏光板と称されるものであり、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えば、サンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
直線偏光分離フィルム(1)と1/2波長板(2)との積層、1/2波長板(2)と直線偏光フィルム(3)との積層は、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なう。図3では、直線偏光分離フィルム(1)と1/2波長板(2)とを、ロールトゥロールで積層したのち、引き続いて、1/2波長板(2)と直線偏光フィルム(3)とをロールトゥロールで連続的に積層している。また、図示していないが、直線偏光分離フィルム(1)と1/2波長板(2)とを、ロールトゥロールで積層して積層ロール状物を得たのち、当該積層ロール状物の1/2波長板(2)と直線偏光フィルム(3)とをロールトゥロールで積層することができる。また、1/2波長板(2)と直線偏光フィルム(3)とを積層したのちに、1/2波長板(2)と直線偏光分離フィルム(1)とを積層させることができる。
前記積層は、重ね置いただけでも良いが、作業性や、光の利用効率の観点より各層を接着剤や粘着剤を用いて積層することが望ましい。その場合、接着剤または粘着剤は透明で、可視光領域に吸収を有さず、屈折率は、各層の屈折率と可及的に近いことが表面反射の抑制の観点より望ましい。各層は、それぞれ別途配向膜状などでモノドメインを形成し、透光性基材へ転写などの方法によって順次積層していく方法や、接着層などを設けず、配向のために、配向膜などを適宜形成し、各層を順次直接形成して行くことも可能である。また、1/2波長板(2)は熱ラミネーションにより、直線偏光分離フィルム(1)または直線偏光フィルム(3)に直接積層することができる。
各層および(粘)接着層には、必要に応じて拡散度合い調整用に更に粒子を添加して等方的な散乱性を付与することや、紫外線吸収剤、酸化防止剤、製膜時のレベリング性付与の目的で界面活性剤などを適宜に添加することができる。
接着剤や粘着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
前記接着剤や粘着剤にはベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また接着剤には、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す接着剤層などであってもよい。
接着剤や粘着剤は、通常、ベースポリマーまたはその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の接着剤溶液として用いられる。溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の接着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
粘着層や接着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
図4は、図1の光学フィルム(A)における直線偏光フィルム(3)に、位相差板(4)が積層している場合の断面図である。
位相差板(4)は使用目的に応じた適宜な位相差板が用いられる。位相差板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板(4)板の厚さは、通常0.5〜200μmであることが好ましく、特に1〜100μmであることが好ましい。
また位相差板(4)を、視角補償フィルムとして偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。
このような視角補償位相差板としては、他に二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルム、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
なお、位相差板(4)は2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。2可視光域等の広い波長範囲でλ/4板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対してλ/4板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えばλ/2板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。
(バックライトシステム)
前記光学フィルム(A)には、少なくとも光源(BL)を配置してバックライトシステムを構築できる。光源たる導光板の下側(液晶セルの配置面とは反対側)には拡散反射板の配置が望ましい。平行光化フィルムにて反射される光線の主成分は斜め入射成分であり、平行光化フィルムにて正反射されてバックライト方向へ戻される。ここで背面側の反射板の正反射性が高い場合には反射角度が保存され、正面方向に出射できずに損失光となる。従って反射戻り光線の反射角度を保存せず、正面方向へ散乱反射成分を増大させるため拡散反射板の配置が望ましい。
前記光学フィルム(A)には、少なくとも光源(BL)を配置してバックライトシステムを構築できる。光源たる導光板の下側(液晶セルの配置面とは反対側)には拡散反射板の配置が望ましい。平行光化フィルムにて反射される光線の主成分は斜め入射成分であり、平行光化フィルムにて正反射されてバックライト方向へ戻される。ここで背面側の反射板の正反射性が高い場合には反射角度が保存され、正面方向に出射できずに損失光となる。従って反射戻り光線の反射角度を保存せず、正面方向へ散乱反射成分を増大させるため拡散反射板の配置が望ましい。
前記光学フィルム(A)とバックライト光源(BL)の間には適当な拡散板を設置することが望ましい。斜め入射し、反射された光線をバックライト導光体近傍にて散乱させ、その一部を垂直入射方向へ散乱せしめることで光の再利用効率が高まるためである。拡散板としては、表面凹凸形状による物の他、屈折率が異なる微粒子を樹脂中に包埋する等の方法で得られる。この拡散板は前記光学フィルム(A)とバックライト間に挟み込んでも良いし、平行光化フィルムに貼り合わせてもよい。
前記光学フィルム(A)を貼り合わせた液晶セルをバックライトと近接して配置する場合、フィルム表面とバックライトの隙間でニュートンリングが生じる恐れがあるが、前記光学フィルム(A)の導光板側表面に表面凹凸を有する拡散板を配置することによってニュートンリングの発生を抑制することができる。
(液晶表示装置)
液晶表示装置には、常法に従って、各種の光学層等が適宜に用いられて作製される。液晶セルの両側に偏光板が配置されている。上記光学フィルム(A)は、図5に示すように液晶セルの光源側に適用される。図5は、図1の光学フィルム(A)を液晶表示装置に適用した場合の断面図である。液晶セル(LC)の両側には直線偏光フィルム(3)がそれらの透過軸が直交になるように配置されている。なお、図5において、図4の光学フィルムを図1の光学フィルム(A)に代えて用いることができる。
液晶表示装置には、常法に従って、各種の光学層等が適宜に用いられて作製される。液晶セルの両側に偏光板が配置されている。上記光学フィルム(A)は、図5に示すように液晶セルの光源側に適用される。図5は、図1の光学フィルム(A)を液晶表示装置に適用した場合の断面図である。液晶セル(LC)の両側には直線偏光フィルム(3)がそれらの透過軸が直交になるように配置されている。なお、図5において、図4の光学フィルムを図1の光学フィルム(A)に代えて用いることができる。
液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学素子、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明の光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
(その他の材料)
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板があげられる。
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板があげられる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行なうことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
また、偏光板は上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板または反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
本発明の光学フィルムには、粘着層または接着層を設けることもできる。粘着層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。前記光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。粘着層または接着層は前記例示のものを用いることができる。
粘着層等の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記光学素子等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
以下、本発明を実施例をあげて、具体的に説明する。
実施例1
(直線偏光分離フィルム)
3M社製のDBEFを用いた(ロール状態)。ロールの長手方向が偏光透過軸方向である。
(直線偏光分離フィルム)
3M社製のDBEFを用いた(ロール状態)。ロールの長手方向が偏光透過軸方向である。
(1/2波長板)
トリアセチルセルロースフィルムを斜め45°(対フィルムロールの長手方向に対して45°)にラビングした後、液晶材料(BASF社製,LC242)を塗布して配向、UV硬化させ液晶層を形成したものを、トリアセチルセルロースフィルムとともにロール状態にて作製したものを用いた。1/2波長板の正面位相差Δndを測定したところ、Δnd=270nmであった。
トリアセチルセルロースフィルムを斜め45°(対フィルムロールの長手方向に対して45°)にラビングした後、液晶材料(BASF社製,LC242)を塗布して配向、UV硬化させ液晶層を形成したものを、トリアセチルセルロースフィルムとともにロール状態にて作製したものを用いた。1/2波長板の正面位相差Δndを測定したところ、Δnd=270nmであった。
正面位相差は、面内屈折率が最大となる方向をX軸、X軸に垂直な方向をY軸とし、それぞれの軸方向の屈折率をnx、nyとして、550nmにおける屈折率nx、nyを自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA21ADH)により計測した値と、位相差層の厚さd(nm)から、正面位相差Δnd:(nx−ny)×d、を算出した。
(直線偏光フィルム)
日東電工社製の直線偏光板(TEG1465DU)を用いた(ロール状態)。ロールの長手方向が吸収軸方向である。
日東電工社製の直線偏光板(TEG1465DU)を用いた(ロール状態)。ロールの長手方向が吸収軸方向である。
(光学フィルムの作製)
上記1/2波長板の側にアクリル系粘着剤(日東電工社製,厚み20μm)を塗布して直線偏光分離フィルムと1/2波長板とを、ロールトゥロールで貼り合わせて、積層ロールを作製した。次いで、積層ロールの1/2波長板側に、アクリル系粘着剤(日東電工社製,厚み20μm)を塗布し、上記直線偏光フィルムとをロールトゥロールで貼り合わせた。かかる製法により、図1に示す光学フィルムを簡便に、かつ低コストで大量生産をすることができた。
上記1/2波長板の側にアクリル系粘着剤(日東電工社製,厚み20μm)を塗布して直線偏光分離フィルムと1/2波長板とを、ロールトゥロールで貼り合わせて、積層ロールを作製した。次いで、積層ロールの1/2波長板側に、アクリル系粘着剤(日東電工社製,厚み20μm)を塗布し、上記直線偏光フィルムとをロールトゥロールで貼り合わせた。かかる製法により、図1に示す光学フィルムを簡便に、かつ低コストで大量生産をすることができた。
一方、直線偏光分離フィルムと直線偏光分離フィルムとを90°ずらしてアクリル系粘着剤(日東電工社製,厚み20μm)により貼り合わせてサンプルを作製した。当該サンプルと、実施例で得られた光学フィルムとは光学特性が同等であった。
1 直線偏光分離フィルム
2 1/2波長板
3 直線偏光フィルム
4 位相差板
LC 液晶セル
BL 光源
2 1/2波長板
3 直線偏光フィルム
4 位相差板
LC 液晶セル
BL 光源
Claims (8)
- 直線偏光分離フィルムと、1/2波長板と、直線偏光フィルムとが、この順で積層されている光学フィルムの製造方法であって、
直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、いずれも、それぞれのロールとロールとを積層することにより行なうことを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 直線偏光分離フィルムの偏光透過軸の方向を方向a、1/2波長板の遅相軸方向を方向b、直線偏光フィルムの吸収軸方向を方向cとしたとき、
方向aと方向bの成す角度θr=45°±10°または135°±10°とし、
方向aと方向cの成す角度θp=0°±10°、とすることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。 - 1/2波長板が、液晶材料により作製されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の光学フィルムの製造方法。
- 直線偏光分離フィルムと1/2波長板との積層、および/または、1/2波長板と直線偏光フィルムとの積層を、粘着剤層または接着剤層を介して行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた光学フィルム。
- 請求項5記載の光学フィルムの直線偏光フィルムに、位相差板が積層していることを特徴とする光学フィルム。
- 請求項5または6記載の光学フィルムに、少なくとも光源を配置してなることを特徴とするバックライトシステム。
- 請求項5もしくは6記載の光学フィルム、または請求項7記載のバックライトシステムに、少なくとも液晶セルを配置してなることを特徴とする液晶表示装置。
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2004
- 2004-06-14 JP JP2004175800A patent/JP2005352403A/ja active Pending
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