JP3620839B2 - 液晶表示装置、およびそれに用いる位相差薄膜、積層偏光板 - Google Patents

液晶表示装置、およびそれに用いる位相差薄膜、積層偏光板 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードの液晶表示装置、ならびにそれに用いる位相差フィルムおよび偏光板に関するものである。
【0002】
従来、液晶表示装置(以下、LCDと略称することがある)としては、正の誘電率異方性を有する液晶を、相互に対向する基板間に水平配向したいわゆるTNモードが主として使われている。しかし、このようなTNモードではその駆動特性上、黒表示をしようとしても基板近傍の液晶分子により複屈折が生じる結果、光漏れが生じ完全な黒表示を行うことが困難であった。これに対し、VA(Vertical Alignment)モードは非駆動状態において液晶分子が基板面に対して略垂直な配向を有するため、光は液晶層を、その偏光面をほとんど変化させること無く通過し、その結果基板の上下に偏光板を配置することにより非駆動状態でほぼ完全な黒色表示が可能である。具体的な表示方式としては、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式などがある。
【0003】
しかしながら、VAモードではパネル法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、法線方向からズレた方向からパネルを観察する場合、液晶の有する複屈折の影響を受け光漏れが発生する結果、視野角が狭くなるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、斜め方向から観察する場合に生じる液晶層の複屈折を補償する目的で、ny=nx>nzとなる屈折率異方性を有する位相差板を液晶層と偏光板の間に配置すれば有効であることが、これまで数多く開示されている。例えば、高分子フィルムを用いたものとして特許第2047880号があり、液晶分子のコレステリック配向を利用したものとして特許第2972892号があり、ポリイミド薄膜を用いたものとして特表平8−511812号、USP5344916などが挙げられる。しかし、これらにて液晶層の複屈折を補償しても、クロスニコル状態の偏光板が有する特性により、偏光板の光軸からズレた方位においては偏光板による光漏れが生じてしまうため、コントラストの低下が生じてしまい、十分な広視野角化を達成できないという問題がある。
【0005】
従って、VAモードの広視野角化を達成するために、nx>ny=nzの屈性率異方性を有する光学異方性層とnx=ny>nzの屈折率異方性を有する光学異方性層を少なくとも一層ずつ用いる構成(A)や、nx>ny>nzという二軸性の屈折率異方性を有する光学異方性層を少なくとも一層以上用いる構成(B)が必要となっている。
【0006】
構成(A)においては、セル中の液晶分子の複屈折と偏光板の視角特性をそれぞれ補償するような形で2層以上の光学異方性層が必要なことから、光学部材を積層することによる厚みの増大、また工程の煩雑化が課題となる。
【0007】
一方、構成(B)においては、nx>ny>nzのような二軸性を有する位相差フィルムを得るためには、一般にポリマーフィルムを延伸し、3次元の屈折率nx、ny及びnzを制御する方法が用いられている。延伸による制御方法としては、平面の2方向(x方向及びy方向)の延伸、テンターによる延伸のような一方を固定した固定端一軸延伸が利用される。これにより、平面内位相差値△nd(=(nx−ny)d)及び厚み方向位相差値Rth(=(nx−nz)d)を制御する。
【0008】
現在、二軸性を有する位相差フィルムを得るために使用されている光学的に透明なポリマーフィルムとしては、主にノルボルネン系、セルロース系などが挙げられる。二軸性の位相差フィルムによるVAの広視野角化においては、液晶層の複屈折を補償に関して厚み方向位相差Rthが重要な役割を果たす。しかし、現状の材料においては、延伸した場合にも分子鎖の面内配向性は高くないため、発現する厚み方向の複屈折、すなわち面内最大屈折率と厚み方向の屈折率の差は0.0003〜0.005程度である。従って、一枚のフィルムにてRthを大きくするためには厚肉化が必要となったり、また位相差フィルムが複数枚必要になることから、厚みの増大、また工程の煩雑化が課題となる。
【0009】
これに対し、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれるポリマーを用いた場合には、高分子の主鎖方向に芳香族環または芳香族複素環を持つため、主鎖に垂直方向と比べて屈折率が大きくなることから、分子として大きな複屈折を有すること、またその分子鎖が基板に平行に配向しやすいために、面内最大屈折率と厚み方向屈折率の差が大きいものが簡便に得られる利点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡便に、視角依存性の小さい広視野角な垂直配向(VA:Vertical Alignment)モードの液晶表示装置を提供することを目的とする。さらには、それに用いる二軸性位相差フィルム、補償偏光板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、二枚の直交する偏光板の間に、垂直配向モードの液晶セル(すなわち、外部電界が印加されていない非駆動状態においてセル基板に対して略垂直な方向に配向する液晶分子を充填してなる液晶セル)と、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)およびポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)である位相差薄膜とを有することを特徴とする視野角依存性の非常に小さい広視野角液晶表示装置を提供するものである。
【0012】
本発明の液晶表示装置においては、前記位相差薄膜は、平面内の最大屈折率と厚み方向の屈折率の差が0.01〜0.4の範囲にあることが好ましい。
【0013】
本発明の液晶表示装置において、前記の位相差薄膜と偏光板とは、位相差薄膜の平面内の最大屈折率方位と偏光板の吸収軸とが直交もしくは平行となるように配置されていることが好ましい。
【0014】
前記の液晶表示装置において、前記位相差薄膜の平面内の位相差値△nd=(nx−ny)dが300nm以下であり(ただし、dは薄膜の厚さである)、かつその平面内の最大屈折率方位と隣接する偏光板の吸収軸とが直交するように配置されていることがより好ましい。
【0015】
また、本発明は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)であることを特徴とするVAモードの液晶セル用位相差薄膜を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)である位相差薄膜と、偏光板とを積層してなることを特徴とするVAモードの液晶セル用積層偏光板を提供するものである。
本発明の液晶表示装置において、前記位相差薄膜が一枚であり、前記液晶セルの片側にのみ配置されていることが好ましい。
また、本発明の位相差薄膜の製造方法は、、前記ポリマーをポリマー基材上に塗工してポリマー層を形成した積層体を得、この積層体を延伸処理する製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示装置は、二枚の直交する偏光板の間に、VAモードの液晶セルと、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnx及びny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzという屈折率の関係を有する位相差薄膜とを有するものである。位相差薄膜の厚さは特に限定されないが、液晶表示装置の薄型化を図りつつ均質なフィルムを提供する観点より、0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmである。
【0018】
位相差薄膜を形成するポリマーとしては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種が用いられる。光学的に透明なものが好ましく用いられる。本発明の位相差薄膜の特性を満足しうるものであれば、従来公知のポリマー材料を適宜使用でき、単独で又は任意の組合せで用いることができる。
【0019】
例えば、ポリイミドとしては、特表平8−511812号公報に記載されているような芳香族酸二無水物とポリ芳香族ジアミンからなる可溶性ポリイミドが好ましく用いられる。ポリアリールエーテルケトンとしては、特開2001−64226号公報、特開2001−49110号公報に記載の含フッ素アリールエーテルケトン重合体が好ましく用いられる。
【0020】
これらのポリマーの分子量は特に限定はないが、重量平均分子量(Mw)として1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは2,000〜500,000の範囲が望ましい。
【0021】
位相差薄膜の製造条件、プロセスに関しては、本発明の位相差薄膜の特性(nx>ny>nz)を満足しうる方法であればよく、特に限定はない。Rthの大きなフィルムを、薄層で、かつ簡素な工程にて効率よく製造できる点より、ポリマーを樹脂フィルム又はシート等のポリマー基材上に塗工し、必要に応じて伸張/延伸処理を行うのがよい。
【0022】
ポリマーを樹脂フィルム又はシート等に塗工する場合は、加熱溶融方法によってもよく、また溶媒に溶解させて溶液として塗布することもできる。製造効率及び光学異方性制御の観点からはポリマー溶液を塗工する方法が好ましい。その溶媒としては、例えばポリイミドを溶解させる溶媒は、ポリイミドを溶解できるものであれば特に制限はなく、ポリマーの種類に応じて適宜選択することができる。溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフエノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどを挙げることができる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。ポリマー溶液は、粘度の点より、溶媒100重量部に対して、上記ポリマーを5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部を混合して用いるのがよい。
【0023】
前記のポリマー基材としては、ポリマー材料との一体品として使用する観点より、光学的に透明なものが望ましい。光学的に透明であれば特に限定はない。
【0024】
ポリマー基材の材料としては、例えば、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、液晶ポリマー系等を挙げることができる。
【0025】
ポリマー基材の厚みは、使用目的等に応じて適宜決定することができるが、強度や薄層化などの点より、5〜500μmが好ましく、より好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜150μmであるのがよい。
【0026】
また、塗工処理は、スピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等の適宜な方法で行うことができる。
【0027】
塗工後は、自然乾燥(風乾)または40℃〜200℃で加熱することにより、前記樹脂フィルムまたはシート上に前記ポリマーを固定化して、樹脂フィルム又はシート上にポリマー層を形成する。得られた光学異方性層は、前記樹脂フィルムまたはシートの一体品として積層体の形態で用いてもよく、前記樹脂フィルムまたはシートから剥離して用いることもできる。
【0028】
また、光学特性を満足するために、ポリマー層を前記樹脂フィルムまたはシートとの積層体の形態で以下の伸張/収縮処理を実施してもよいし、ポリマー層を樹脂フィルムまたはシートから剥離して以下の伸縮/収縮処理を実施してもよい。なお、ポリマー層の形成に際しては、安定剤や可塑剤や金属類などからなる種々の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0029】
伸張/収縮処理は、本発明の光学異方性層の特性を満足しうる処理であれば、特に限定はない。伸張方法としては一般的に延伸法がある。自由端−軸延伸、固定端−軸延伸が好ましいが、逐次2軸延伸、同時2軸延伸も利用できる。また、収縮によって△ndを発現させることも可能である。塗工基材である樹脂フィルム又はシートの寸法変化を利用して収縮させたり、積極的に基材に収縮性能をもたせたものを用いることもできる。この際には、延伸機等を利用して収縮率を制御することが望ましい。
【0030】
前記の位相差薄膜は、その面内の最大屈折率方位と偏光板吸収軸とを直交に配置する場合には、LCDの広視野角化をはかる点より、平面内位相差値△ndは300nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10〜250nm、さらに好ましくは20nm〜200nmである。厚み方向位相差値Rthは、20〜600nmであるのが好ましく、より好ましくは30〜500nmである。△ndを10〜300nmの範囲にすることにより、全方位において十分な表示コントラストを保つ広視野角LCDを得ることができる。
【0031】
また、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)及びポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれるポリマーを用いた場合には、高分子の主鎖方向に芳香族環または芳香族複素環を持つため、主鎖に垂直な方向と比べて屈折率が大きくなることから、分子として大きな複屈折を有し、またその分子鎖が水平面内に配向しやすいために、面内最大屈折率と厚み方向屈折率の差(△n)が0.01〜0.4のものが簡便に得られる。面内最大屈折率と厚み方向屈折率の差(△n)が0.01以上であれば、位相差フィルムを複数枚積層する必要がなくなるため、薄層化が可能となる。△nは、0.01〜0.2の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜0.15の範囲であるのがよい。
【0032】
本発明の位相差薄膜は、Rthを塗布によって、△ndを例えば延伸によって主に制御できるため、従来の位相差フィルムのように複数枚積層する必要がなく、簡便に、しかも一枚の薄膜にてVAモードの液晶セルの複屈折を補償するのに必要な位相差フィルムとなり得る。なお、必要に応じて複数枚を積層して用いてもよい。
【0033】
次に、本発明の位相差薄膜と偏光板とを積層してなる積層偏光板について説明する。積層偏光板は、光学補償機能を有する補償偏光板として用いられる。
【0034】
本発明で用いる偏光板は、特に限定されないが、その基本的な構成は、二色性物質含有のポリビニルアルコール系偏光フィルム等からなる偏光子の片側又は両側に、適宜の接着層、例えばビニルアルコール系ポリマー等からなる接着層を介して、保護層となる透明保護フィルムを接着したものからなる。
【0035】
偏光子(偏光フィルム)としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施してなり、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム等からなる偏光フィルムなどでもよい。中でも、ヨウ素又は二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムが好ましい。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光フィルムの厚さは、1〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
【0036】
偏光子(偏光フィルム)の片側又は両側に設ける透明保護層となる保護フィルム素材としては、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルム等が好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等があげられるが、これに限定されるものではない。偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明保護フィルムは、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護フィルムの厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは5〜150μmとされる。なお、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムとすることもできる。
【0037】
保護層に用いられる透明保護フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理などを施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮フィルムを、透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。
【0038】
一方、反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止フィルムなどの形成により達成することができる。また、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や透明微粒子の配合方式など、適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
【0039】
前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等が挙げられ、導電性を有する無機系微粒子を用いてもよく、また、架橋又は未架橋のポリマー粒状物等からなる有機系微粒子等を用いることもできる。透明微粒子の使用量は、透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部、とくに5〜50重量部が一般的である。
【0040】
透明微粒子配合のアンチグレア層は、透明保護フィルムそのものとして、あるいは透明保護フィルム表面への塗工層等として設けることができる。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能など)を兼ねるものであってもよい。なお、上記の反射防止層やスティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、それらの層を設けたシートなどからなる光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0041】
偏光子と保護層である透明保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。これにより、湿度や熱の影響で剥がれにくく、光透過率や偏光度に優れるものとすることができる。かかる接着層は、水溶液の塗工乾燥層等として形成されるものであるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。特に、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、ポリビニルアルコールからなる接着剤を用いることが好ましい。
【0042】
位相差薄膜と偏光板とを一体化する場合は、▲1▼本発明の位相差薄膜(複屈折層)を、接着剤又は粘着剤を介して偏光子又は偏光板に転写・積層する方法(図1、図2参照)、▲2▼ポリマー基材に形成した基材付き位相差薄膜を、そのまま偏光子の保護層として利用し、接着剤又は粘着剤を介して積層する方法(図3参照)、▲3▼ポリマー基材を偏光子として、直接偏光子に本発明の位相差薄膜を形成する方法(図4参照)、▲4▼ポリマー基材上に形成した基材付き位相差薄膜を、接着剤又は粘着材を介して偏光板と積層する方法(図5参照)等を挙げることができる。
【0043】
図例を説明すると、図1では保護フィルム(22)が貼り合わされた偏光子(21)に、接(粘)着層(4)を介して位相差薄膜(1)が積層されている。
【0044】
図2に示す例では、偏光子(21)の両面に保護フィルム(22)が貼り合わされた偏光板(2)の片側の保護フィルム面に、接(粘)着層(4)を介して位相差薄膜(1)が積層されている。
【0045】
図3に示す例では、保護フィルム基材(22)上に直接位相差薄膜を積層した基板付き複屈折性フィルムを、偏光子(21)の保護層として利用する。偏光子の他面には、別の保護フィルム(22)が貼り合わされている。
【0046】
図4に示す例では、偏光子(21)をポリマー基材として用い、これに位相差薄膜(1)を積層して積層偏光板を形成する。偏光子の他面には、保護フィルム(22)が貼り合わされている。
【0047】
図5に示す例では、偏光板(2)に、粘(接)着層(4)を介してポリマー基材(すなわちフィルム基材)(5)と位相差薄膜(1)との一体品が貼り合わされている。また、フィルム基材の外側には、液晶セルと貼り合せるための粘(接)着層(4)が形成されている。なお、図5ではフィルム基材を液晶セル側とした例を示したが、フィルム基材(5)を偏光板側に積層し、位相差薄膜(1)を液晶セル側に積層してもよい。
【0048】
本発明の位相差薄膜は、偏光板と組み合わせることが出来る他、各種位相差板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等と組み合せて用いることもできる。位相差板としては、ポリマーを一軸延伸したもの、二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性高分子を塗布したもの等が挙げられる。拡散制御フィルムは、視野角を制御するための拡散、散乱、屈折を利用したフィルムや、解像度に関わるギラツキ、散乱光等を制御する拡散、散乱、屈折を利用したフィルム等を用いることができる。輝度向上フィルムは、コレステリック液晶の選択反射とλ/4板を用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異方性散乱を利用した散乱フィルム等を用いることができる。また、ワイヤーグリツド型偏光子と組合せて用いてもよい。
【0049】
接着剤(粘着剤)としては、特に限定はなく、例えばアクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の透明な感圧性接着剤など、適宜な接着剤を用いることができる。光学フィルム等の光学特性の変化を防止する点より、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。また加熱や加湿条件下に剥離等を生じないものが好ましく用いられる。
【0050】
本発明による積層偏光板は、各種液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができるが、その適用に際しては、必要に応じ前記の接着剤や粘着剤を介して、偏光板や反射板、半透過反射板、輝度向上フィルムなどの他の光学層の1層又は2層以上を積層することができる。
【0051】
前記の反射板は、それを偏光板に設けて反射型偏光板を形成するためのものである。反射型偏光板は、通常液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)などを形成する。反射型偏光板は、バックライト等の光源の内蔵を省略でき、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式など、適宜な方式にて行うことができる。その具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどが挙げられる。
【0052】
また、微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした上記の透明保護フィルムの上に、その微細凹凸構造を反映させた反射層を有する反射型偏光板なども挙げられる。表面微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点を有する。この透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式など、適宜な方式にて金属を透明保護フィルムの表面に直接付設する方法などにより形成することができる。
【0053】
半透過型偏光板は、上記の反射型偏光板において、半透過型の反射層としたものであり、反射層で光を反射しかつ透過するハーフミラー等が挙げられる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成する。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0054】
さらに前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの(3M社製「D−BEF」等)、コレステリック液晶層、就中コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの(日東電工社製「PCF350」、Merck社製「Transmax」)の如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0055】
前記の2層又は3層以上の光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるものであるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができる利点がある。なお、積層には、上記の粘着剤等の適宜な接着手段を用いることができる。
【0056】
本発明の積層偏光板には、他の光学層や液晶セル等の他部材と接着するための粘着層もしくは接着層を設けることもできる。その粘(接)着層は、アクリル系等の従来公知の粘着剤等を用いて適宜形成することができる。中でも、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等とすることもできる。粘(接)着層は必要に応じて必要な面に設ければよい。
【0057】
積層偏光板に設けた粘(接)着層が表面に露出する場合には、その粘(接)着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的にセパレータにて仮着カバーすることが好ましい。セパレータは、上記の透明保護フィルム等に準じた適宜な薄葉体に、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤による剥離コートを設ける方式などにより形成することができる。
【0058】
なお、上記の偏光板や光学部材を形成する偏光子や透明保護フィルム、光学層や粘(接)着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線吸収能を持たせたものなどであってもよい。
【0059】
本発明の位相差薄膜及び積層偏光板は、VAモードの液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができ、例えば、偏光板を液晶セルの片側又は両側に配置してなる反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型等の液晶表示装置に用いることができる。特に垂直配向モードの反射型液晶ディスプレイの視角補償フィルムとして、最も好適に用いることができ、正面と斜視の広い視角範囲で優れた表示品位を実現し、広視野角の液晶表示装置とすることができるる。
【0060】
本発明において、液晶セルを形成する基板の材質や厚みは、特に限定されず、ガラス基板やプラスチック基板等、適宜なものを用いることができる。
【0061】
また、液晶セルの両側に偏光板や光学部材を設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えばプリズムアレイシートやレンズアレイシート、光拡散板やバックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0062】
図5は本発明の液晶表示装置の一例を示す図である。VAモードの液晶セル(3)のバックライト側に、本発明の位相差薄膜(1)が積層配置され、それに偏光板(6)が積層されている。液晶セル(3)の視認側には偏光板(7)が積層配置されている。なお、積層には必要に応じて粘着剤又は接着剤を用いることができる。
【0063】
また図6は、図5の液晶表示装置の軸関係を示す図である。図例では、位相差薄膜の平面内の最大屈折率方位(nx)とバックライト側偏光板(6)の吸収軸(a)がほぼ直交するように配置されており、視認側偏光板(7)の吸収軸(a)はバックライト側の偏光板の吸収軸とは直交関係にある。また、図6では位相差薄膜(1)がバックライト側にのみ配置された例を示したが、位相差薄膜(1)は液晶セル(3)の両側に配置されていてもよく、視認側だけに配置されていてもよい。
【0064】
図は本発明の実施の一例を示すものであり、例えば、図6において、位相差薄膜(1)の代わりに、nx>ny=nzの特性をもつポリマーや高分子液晶あるいは重合性液晶からなる位相差板と位相差薄膜(1)とを組み合わせたものを用いてもよい。
【0065】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、フィルムの特性は以下の方法で評価した。
【0066】
(位相差の測定)
位相差計(王子計測機器社製、KOBRA21ADH)を用いて測定した。
【0067】
(実施例1)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(≒6FDA)および2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(≒PFMB≒TFMB)から合成されたポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い15wt%で調製した溶液を、50μm厚みのトリアセチルセルロースフィルム上に塗布した。その後100℃で10分乾燥処理することにより、残存溶剤量が7%、厚みが6μmの薄膜を得た。その後、トリアセチルセルロースフィルムに形成された薄膜を基材ごと160℃の温度で5%縦一軸延伸した。
【0068】
トリアセチルセルロースフィルムから剥離した薄膜の特性は、△nd=60nm、Rth=250nm、d=5.5μmであり、△n=(nx−nz)=0.045、nx>ny>nzの位相差薄膜の特性を有していた。
【0069】
この位相差薄膜を、粘着剤を介し、nx方向と偏光板吸収軸が直交するように貼りあわせた。これを、位相差薄膜が液晶セル側となるよう、粘着剤にてVAパネルに貼りあわせた。なお、逆側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように、偏光板のみを粘着剤を介してVAパネルに貼り合せて液晶表示装置を作製した。
【0070】
(比較例1)
ポリノルボルネン系フィルム(JSR製、ARTONフィルム)を175℃で固定端横延伸にて1.3倍で延伸したところ、厚み80μmのフィルムを得た。このフィルムは、△nd=50nm、Rth=120nmであり、△n=0.0015、nx>ny>nzの位相差フィルムであった。
【0071】
この位相差フィルムを、粘着剤を介し、nx方向と偏光板吸収軸が直交するように貼りあわせた。これを、位相差フィルムが液晶セル側となるよう、粘着剤にてVAパネルに貼りあわせた。なお、逆側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように、偏光板のみを粘着剤を介してVAパネルに貼り合せて液晶表示装置を作製した。
【0072】
(比較例2)
実施例1同様の溶液を用い、トリアセチルセルロース上に塗布した。その後100℃で10分熱処理後、完全透明で剥離後平滑なフィルムを得た。このフィルムは、△nd=0.5nm、Rth=220nm、d=5.8μmであり、△n=nx−nz=0.038、nx≒ny>nzの特性を持つ位相差薄膜であった。
【0073】
この位相差薄膜を、粘着剤を介し、nx方向と偏光板吸収軸が直交するように貼りあわせた。これを、位相差薄膜が液晶セル側となるよう、粘着剤にてVAパネルに貼りあわせた。なお、逆側には、偏光板の吸収軸同士が直交するように、偏光板のみを粘着剤を介してVAパネルに貼り合せて液晶表示装置を作製した。
【0074】
(視野角特性評価)
上記で得られた液晶表示装置の視野角特性を測定した。測定には、ELDIM社製EZContrastを用いた。偏光板の吸収軸方位とは異なる、斜め方位におけるコントラスト低下に関しての測定結果を表1に示す。なお、偏光板の吸収軸方位は、観察者側が0°、バックライト側が90°である。
【0075】
【表1】
Figure 0003620839
【0076】
評価の結果、本実施例では位相差薄膜1枚により、コントラストの視角依存性が少ない広視野角のパネルが得られたが、比較例では、広視野角であっても分厚い位相差フィルムが2枚必要であったり、また位相差薄膜のみでは広視野角な表示装置が得られない結果となっている。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、簡便に視角依存性の小さい広視野角なVAモードの液晶表示装置を得ることができる。すなわち、広視野角化を達成するために、nx>ny=nzの屈性率異方性を有する光学異方性層とnx=ny>nzの屈折率異方性を有する光学異方性層を少なくとも一層ずつ用いる構成を採らないため、光学部材を積層することによる厚みの増大や工程の煩雑化が解消される。
【0078】
また、本発明の位相差薄膜は、高分子の主鎖方向に芳香族環または芳香族複素環を持つポリマーを用いているため、垂直方向と比べて主鎖方向の屈折率が大きくなることから、分子として大きな複屈折を有し、またその分子鎖が面内に平行に配向しやすいために、薄膜であっても面内最大屈折率と厚み方向屈折率の差(Rth)が大きい。したがって、ノルボルネン系やセルロース系の位相差フィルム等と異なり複数枚積層する必要がなく、1枚で用いることができるため、厚みの増大や積層することによる工程の煩雑化が解消される。これを偏光板と組み合わせてVAモードの液晶セルに配置することにより、簡便に視角依存性の小さい広視野角なVAモードの液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層偏光板の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の積層偏光板の他の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の積層偏光板の他の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の積層偏光板の他の一例を示す断面模式図である。
【図5】本発明の積層偏光板の他の一例を示す断面模式図である。
【図6】本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【図7】本発明の液晶表示装置の一例の軸関係を示す図である。
【符号の説明】
1 位相差薄膜(複屈折層)
2 偏光板
21 偏光子
22 保護フィルム
3 液晶セル
4 接着層又は粘着層
5 ポリマー基材
6 バックライト側偏光板
7 視認側偏光板

Claims (7)

  1. 二枚の直交する偏光板の間に、垂直配向モードの液晶セルと、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)およびポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)である位相差薄膜とを有することを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記位相差薄膜の平面内の最大屈折率方位と前記偏光板吸収軸とが、直交若しくは平行となるように配置された請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記位相差薄膜の平面内の最大屈折率方位と隣接する偏光板の吸収軸とが直交するように配置された請求項1記載の液晶表示装置。
  4. 前記位相差薄膜が一枚であり、前記液晶セルの片側にのみ配置されている請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
  5. ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)およびポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)であることを特徴とするVAモードの液晶セル用位相差薄膜。
  6. ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(アミドイミド)およびポリ(エステルイミド)からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーからなり、かつ面内の2方向の屈折率をnxおよびny、厚み方向の屈折率をnzとした場合、nx>ny>nzの関係を満たし、平面内の最大屈折率と厚み方向屈折率との差が0.01〜0.4の範囲であり、厚みが0.1〜50μmであり、平面内の位相差値Δnd(=(nx−ny)d)が10nm以上300nm以下(ただし、dは薄膜の厚さである)である位相差薄膜と、偏光板とを積層してなることを特徴とするVAモードの液晶セル用積層偏光板。
  7. 請求項5記載の位相差薄膜の製造方法であって、前記ポリマーをポリマー基材上に塗工してポリマー層を形成した積層体を得、この積層体を延伸処理する製造方法。
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