JP4070510B2 - 複屈折フィルム、光学補償層一体型偏光板、画像表示装置、並びに複屈折フィルムの製造法 - Google Patents

複屈折フィルム、光学補償層一体型偏光板、画像表示装置、並びに複屈折フィルムの製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶セルの光学補償に好適な位相差板、並びにそれを用いた積層偏光板及び液晶表示装置などを形成しうる複屈折フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種液晶表示装置の光学補償用の二軸位相差板は、ポリマーフィルム延伸技術を用いて作製されてきた。例えば、ロール間引張り延伸法、ロール間圧縮延伸法、テンター横一軸延伸法で作製する方法(特開平3−33719号公報)、フィルムの強度の関係で、異方性を持つような条件で二軸延伸することによって位相差板を得る方法(特開平3−24502号公報)等が開示されている。また、正の光学異方性をもつ一軸延伸高分子フィルムと、面内の位相差の値が小さい負の光学異方性をもつ二軸延伸高分子フィルムとを併用し、光学補償板として配設する方法もある(特開平4−194820号公報)。かかる延伸技術等を用い、nx≧ny>nzの特性をもたせた位相差フィルムを作製し、これを駆動セルと偏光子の間に配置することによって、液晶セルを視角補償した液晶表示装置を形成している。
【0003】
しかしながら、上記に示される延伸技術では、精密な延伸操作が必要であり、延伸倍率及び軸などの延伸条件の詳細な設定や、精密な制御を必要とする。また、ボーイング現象を解決する必要もある。さらに延伸するためには、フィルムにある程度の厚みがないと延伸することができないため、延伸された位相差フィルムや液晶表示装置が厚型化する問題点がある。
【0004】
一方、従来、各種液晶表示装置の光学補償用の位相差板としては、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる重合体を、無機化合物(SUSベルト、銅薄板、ガラス、Siウエハ等)上に塗工し作られてきた。例えば、米国特許第5,344,916号公報、同第5,395,918号公報(特表平8−511812号公報)、同第5,480,964号公報には、ポリイミドをSiウエハ上に塗工し、負の複屈折膜を作製する方法等も開示されている。米国特許第5,580,950号公報には、ポリイミドをフィルム化し、負の複屈折膜(nx≒ny>nz)を作製する方法も開示されている。
【0005】
また、米国特許第6,074,709号公報には、ポリイミド層をガラス、光学的等方性ポリマー層、異方性ポリマー層又は異方性セラミック層へ積層してなる負の複屈折層(nx≒ny>nz)を呈する広角化層について開示されている。
【0006】
以上のように、従来は、ポリイミド等からなる重合体溶液を無機化合物上に塗工し、あるいはガラス、ポリマー又はセラミックからなる支持体にポリイミド層を積層することにより位相差フィルムを作製し、これを駆動セルと偏光子の間に配置することによって、液晶セルの視角補償した液晶表示装置を形成している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で作製した位相差フィルムは、光学フィルムとして使用する場合には、一度無機化合物上への塗工を行った後、使用用途への転写あるいは自立フィルムとしての巻き取りを行うなど、数回の工程を経る必要があり、量産性に劣る問題点がある。また、基材として使用する無機化合物のコストが高いなどという課題もある。また、上記の特表平8-511812号公報には、ポリイミドを用いた一軸性位相差板が開示されているが、この場合は、0nm≒(nx−ny)・dの特性を有する負の複屈折性位相差板しか作製できない問題点がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、位相差板、積層偏光板及び液晶表示装置等の薄型化を可能としつつ、光学補償性能に優れる液晶表示装置等を形成しうる、負の複屈折性を有する二軸性複屈折フィルム、これを用いた光学補償層一体型偏光板、ならびに該複屈折フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを、寸法変化する基材上に塗工、乾燥、フィルム化することにより、薄型の二軸性複屈折フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶媒に溶解してなる溶液を基材に塗工し、乾燥後、フィルム化する工程において、寸法変化する基材を用いて形成してなる複屈折フィルムであって、その複屈折率が0.0005〜0.5の範囲にあり、かつ下記の式(1)から(3)を全て満たすことを特徴とする複屈折フィルムを提供するものである。
nx>ny>nz (1)
3nm≦(nx−ny)・d (2)
(nx−nz)/(nx−ny)>1 (3)
(式(1)から(3)において、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚である。)
【0011】
前記複屈折フィルムにおいては、前記基材の乾燥時においての最大寸法変化率が1%以上であることが好ましい。
【0012】
前記複屈折フィルムにおいては、前記基材が偏光板の保護フィルム材料であってもよい。
【0013】
また、本発明は、前記の複屈折フィルムと、偏光子または偏光板とを組み合わせてなる光学補償層一体型偏光板を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、前記の複屈折フィルムまたは光学補償層一体型偏光板を、液晶セルの少なくとも片側に配置したことを特徴とする液晶表示装置、及び前記の複屈折フィルムまたは光学補償層一体型偏光板を用いたことを特徴とする自発光型表示装置を提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶媒に溶解してなる溶液を基材に塗工し、乾燥後、フィルム化する複屈折フィルムの製造方法であって、塗工直後から乾燥直後までの前記基材の寸法変化率が1%以上であることを特徴とする複屈折フィルムの製造方法を提供するものである。本製造方法によれば、nx>ny>nzという屈折率の関係を有する複屈折フィルムを簡易に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の複屈折フィルムは、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶媒に溶解してなる溶液を基材に塗工し、乾燥後、フィルム化する工程において、寸法変化する基材を用いて形成してなる複屈折フィルムであって、その複屈折率が0.0005〜0.5の範囲にあり、かつ下記の式(1)から(3)を全て満たすものである。
nx>ny>nz (1)
3nm≦(nx−ny)・d (2)
(nx−nz)/(nx−ny)>1 (3)
(式(1)から(3)において、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚である。)
【0017】
本発明の方法にて作製した複屈折フィルムは、図4に示すように、フィルムの厚さ方向の軸に対して垂直方向に延び、かつ、このフィルムの厚み内に含まれる複数の軸に沿った屈折率のうち最大値を示す方向に延びる軸を主軸とし、この主軸方向の屈折率をnx、この主軸と厚さ方向の軸の双方に垂直な軸に沿った方向の屈折率をny、厚さ方向の軸に沿った方向の屈折率をnzとし、フィルムの厚さをdとしたとき、式(1)で表される特性;nx>ny>nzを有し、式(2)の関係;3nm≦(nx−ny)・dと、式(3)の関係;(nx−nz)/(nx−ny)>1と、を全て満たすものである。本方法を用いることにより、二軸性位相差板を容易に得ることができる。
【0018】
上述した特表平8−511812号公報記載の方法では、ポリイミドを用いた一軸性位相差板が開示されているが、ここでは0nm≒(nx−ny)・dの特性を有する負の複屈折性位相差板しか作製できない。これに対し、本発明の複屈折フィルムは、式(1)の特性を有する二軸性位相差板であり、しかも本発明の方法を用いることにより容易に作製し得る利点がある。
【0019】
なお、本発明において、複屈折率(Δn)は次式で定義される。
Δn=(nx−nz)・d/厚み
【0020】
本発明において、複屈折フィルムの複屈折率(△n)の値は、0.0005〜0.5の範囲であるのがよく、0.0005未満の場合は厚型の位相差板となり、0.5を越える場合は薄型の位相差板となり位相差制御が困難となる。そのため、生産性に優れた薄型の二軸性位相差板を得るためには、△nの値は好ましくは0.001〜0.2、より好ましくは0.002〜0.15の範囲であるのがよい。
【0021】
複屈折フィルムの厚みは、特に限定されないが、液晶表示装置の薄型化を図りつつ、視角補償機能に優れ、かつ均質なフィルムを提供する観点より、0.1〜50μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmであるのがよい。
【0022】
本発明の複屈折フィルムを形成する場合、材料として、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを用いる。これらのポリマーは、耐熱性、耐薬品性に優れ、剛性に富み、透明性に優れる等の理由から、二軸性位相差板の材料として適している。
【0023】
前記のポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドは、特に限定はなく、本発明の複屈折フィルム特性を満足しうるものであれば、従来公知のポリマー材料を適宜使用でき、単独で又は任意の組み合せで用いることができる。これらのポリマーの分子量は、特に限定はないが、重量平均分子量(Mw)として1,000〜1,000,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは2,000〜500,000の範囲であるのがよい。
【0024】
ここで、ポリマー材料として用いるポリイミドとしては、特表平8−511812号公報に記載の液晶ディスプレイの負複屈折層に使用され、0.001〜0.2の負複屈折値を有し、下記の一般式で表される芳香族二無水物とポリ芳香族ジアミンから調製された、溶媒に溶解可能な可溶性ポリイミドが好ましく用いられる。
【0025】
【化1】
Figure 0004070510
【0026】
〔式中、G及びG’は、共有結合、CH基、C(CH基、C(CX基(Xはハロゲンである)、CO基、O原子、S原子、SO基、Si(R)基(RはH、炭素原子数1〜20を有するフェニル、置換フェニル、アルキル及び置換アルキルから成る群から別々に選ぶ)、及びN(R)基(R基は前記定義のもの)から成る群から別々に選ぶ;
Aは、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ又は炭素原子数1〜20のアルキル、置換アルキル、チオアルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アリール、置換アリール、脂肪族あるいは芳香族エステル及びそれらの混合物から成る群から選ぶ;Bは、ハロゲン、C1−3アルキル、C1−3ハロゲン化アルキル、フェニル又は置換フェニル(フェニル環上の置換基はハロゲン、C1−3アルキル、C1−3ハロゲン化アルキル及びそれらの混合物から成る群から選ぶ);
zは、0〜3の整数である;
nは、0〜4の整数である;及び
p及びqは、それぞれ0〜3及び1〜3の整数であり、p及びqが1より大きいとき、ベンジル又は置換ベンジル基間の結合基はG’である;そして膜の負複屈折値は、G,G’,BおよびA、およびn,p,qおよびzの値の選択によりポリイミドの面内配向度を制御することによって決定される、該面内配向度はポリイミド主鎖の剛性および線状性に影響を与え、ポリイミド主鎖の剛性および線状性が高い程、ポリイミドの負複屈折値の値が高くなる。〕
【0027】
前記の二無水物、芳香族ジアミンは、特表平8−511812号公報に記載のものを適宜使用することができる。
【0028】
また、ポリマー材料として用いるポリエーテルケトンとして、ポリアリールエーテルケトンがある。ポリアリールエーテルケトンは、繰り返し単位中にエーテル基(−O−)とケトン基(C(=O))を有し、それらがアリール基で連結されているものを言い、その一般式は次式(化2)で表される。
【0029】
【化2】
Figure 0004070510
(式中、Fはフッ素原子であり、A’はハロゲン原子、低級アルキル基又は低級アルコキシ基であり、xおよびyは0〜4の整数であり、mは0又は1である。また、rは重合度を表し、Rは一般式(化3)で表される基である。)
【0030】
【化3】
Figure 0004070510
(式中、zおよびx’は0〜4の整数であり、sは0又は1であり、Rは2価の芳香族基である。A’及びFは(化2)と同様である。)
【0031】
なかでも、一般式(化2)において、好ましくはy=0のものであり、より好ましくはy=0かつx’=0のものである。
【0032】
また、上記の一般式(化3)において、2価の芳香族基(R)は、下記の6種のいずれかであることが好ましい。
【0033】
【化4】
Figure 0004070510
【0034】
このような好ましいポリアリールエーテルケトンの具体例としては、下記の構造式(化5)または(化6)で表されるようなものが挙げられる。rは重合度である。
【0035】
【化5】
Figure 0004070510
【0036】
【化6】
Figure 0004070510
【0037】
本発明の複屈折フィルムを作製する場合、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミド等のポリマー材料を、寸法変化する基材上に塗工し、乾燥することにより、基材の面内の収縮差を利用し塗工したポリマー材料に面内の屈折率差をもたせる。基材としては、乾燥時の寸法変化率が1%以上のものがよく、均一な光学補償フィルムを得るためには3%以上が好ましく、さらに好ましくは5%以上であるのがよい。塗工後、基材の少なくとも一方向を固定あるいは延伸するか、もしくは基材の固定なしで乾燥を行う。
【0038】
本発明において、基材の寸法変化率は、塗工直後から乾燥直後までの最大寸法変化率のことであり、以下のように表される。
寸法変化率(%)=|1−熱処理による最大寸法/初期寸法|×100
【0039】
前記の基材としては、ガラス転移点(Tg)の低い高分子フィルム、弾性率の高い高分子フィルム、材料との線膨張が同等もしくはそれより大きい基材、熱伝達率が高い基材、アスペクト比が高い基材、厚みの薄い基材などがある。寸法変化率の制御が容易である点より、基材としてはプラスチック基材が好ましい。
【0040】
基材に収縮性を持たせるには、例えば、▲1▼基材の固定なしに乾燥し、全方位に収縮性を持たせる方法、▲2▼少なくとも一方向以上固定しそれ以外に収縮性をもたせる方法、▲3▼金属ベルトの線膨張を利用する方法、▲4▼フィルム搬送時にテンター固定で収縮制御する方法、▲5▼事前に基材を膨張させて乾燥により収縮率を上げる方法、▲6▼基材に乾燥工程前に延伸をかけて硬化収縮させる方法など、その方法は限定されるものではない。
【0041】
ここで、前記のプラスチック基材としては、適宜な材料を用いることができるが、透明性に優れるポリマーからなるフィルムなどが好ましい。そのポリマーの例としては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、液晶ポリマー系等を挙げることができる。
【0042】
前記プラスチック基材は、単層物であってもよいし、例えば強度や耐熱性、ポリマーの密着性の向上等の種々の目的で異種ポリマーをラミネートしたフィルムなどの如く複層物であってもよい。また複屈折による位相差を生じないものであってもよいし、複屈折による位相差を生じるものであってもよい。
【0043】
前記プラスチック基材の厚さは、使用目的等に応じて適宜決定することができるが、強度や薄層化などの点より、好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは10〜200μm、特に好ましくは15〜150μmの範囲であるのがよい。
【0044】
本発明の複屈折フィルムは、ポリマー材料を溶媒に溶解したポリマー溶液を、前記の基板上に流延又は塗布し、塗膜を乾燥させることにより製造することができる。例えばポリイミドを溶解させる溶媒は、ポリイミドを溶解できるものであれば特に制限はなく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;フェノール、バラクロロフエノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオールのようなアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリルのようなニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系溶媒;あるいは二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブなどを単独あるいは混合して使用することが可能である。ポリマー溶液として塗工する場合は、粘度の点より、溶媒100重量部に対して、上記ポリマーを5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部を混合して用いるのがよい。
【0045】
また塗工処理は、スピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等の適宜な方法で行うことができる。塗工に際しては、必要に応じポリマー層の重畳方式なども採ることができる。
【0046】
塗工後、自然乾燥(風乾)又は60〜200℃で加熱することにより、基材上に前記ポリマーを固定化して、基材上にポリマー層を形成する。得られた複屈折フィルムは、支持基材との一体物として積層体の形態で用いてもよいし、ポリマー層を基材から剥離して複屈折フィルムとして用いてもよい。なお、ポリマー層の形成に際しては、安定剤や可塑剤や金属類などからなる種々の添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0047】
図1に示すように、複屈折フィルム(1)は、必要に応じ粘着層を介して偏光子(2)を接着した状態で光学補償一体型偏光板として実用に供することもできる。図例の場合、偏光子(2)の外側に保護フィルム(3)が接着されている。また、図2に示すように、必要に応じ粘着層を介して偏光板(11)を接着した状態で光学補償一体型偏光板として実用に供することもできる。図例の偏光板の場合、偏光子(2)の両側に保護フィルム(3)が接着されている。また、図3に示すように、その複屈折フィルム(1)を有する側に粘着層(図では省略)を介し液晶セル(21)を接着してなる実用形態とすることもできる。かかる偏光子や偏光板等との一体化により、取り扱い作業性がより向上し、また液晶表示装置等の組み立て工程を簡易化することができる。
【0048】
本発明で用いる偏光板は、特に限定されないが、その基本的な構成は、二色性物質含有のポリビニルアルコール系偏光フィルム等からなる偏光子の片側又は両側に、適宜の接着層、例えばビニルアルコール系ポリマー等からなる接着層を介して、保護層となる透明保護フィルムを接着したものからなる。
【0049】
偏光子(偏光フィルム)としては、例えばポリビニルアルコールや部分ホルマール化ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系ポリマーよりなるフィルムに、ヨウ素や二色性染料等よりなる二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適宜な処理を適宜な順序や方式で施してなり、自然光を入射させると直線偏光を透過する適宜なものを用いることができる。ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルム等からなる偏光フィルムなどでもよい。中でも、ヨウ素又は二色性染料を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムが好ましい。特に、光透過率や偏光度に優れるものが好ましい。偏光フィルムの厚さは、1〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
【0050】
偏光子(偏光フィルム)の片側又は両側に設ける透明保護層となる保護フィルム素材としては、適宜な透明フィルムを用いることができる。中でも、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーからなるフィルム等が好ましく用いられる。そのポリマーの例としては、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂等があげられるが、これに限定されるものではない。偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明保護フィルムは、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。透明保護フィルムの厚さは、任意であるが一般には偏光板の薄型化などを目的に500μm以下、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは5〜150μmとされる。なお、偏光フィルムの両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で異なるポリマー等からなる透明保護フィルムとすることもできる。
【0051】
保護層に用いられる透明保護フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理などを施したものであってもよい。ハードコート処理は、偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばシリコーン系、ウレタン系、アクリル系、エポキシ系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り性等に優れる硬化皮フィルムを、透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。
【0052】
一方、反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止フィルムなどの形成により達成することができる。また、スティッキング防止は隣接層との密着防止を目的に、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式等による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。
【0053】
前記の透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等が挙げられ、導電性を有する無機系微粒子を用いてもよく、また、架橋又は未架橋のポリマー粒状物等からなる有機系微粒子等を用いることもできる。透明微粒子の使用量は、透明樹脂100重量部あたり2〜70重量部、とくに5〜50重量部が一般的である。
【0054】
透明微粒子配合のアンチグレア層は、透明保護フィルムそのものとして、あるいは透明保護フィルム表面への塗工層等として設けることができる。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角を拡大するための拡散層(視角補償機能など)を兼ねるものであってもよい。なお、上記の反射防止層やスティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、それらの層を設けたシートなどからなる光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0055】
偏光子と保護層である透明保護フィルムとの接着処理は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーからなる接着剤、あるいは、ホウ酸やホウ砂、グルタルアルデヒドやメラミン、シュウ酸などのビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤から少なくともなる接着剤等を介して行うことができる。これにより、湿度や熱の影響で剥がれにくく、光透過率や偏光度に優れるものとすることができる。かかる接着層は、水溶液の塗工乾燥層等として形成されるものであるが、その水溶液の調製に際しては必要に応じて、他の添加剤や、酸等の触媒も配合することができる。特に、PVAフィルムとの接着性に優れる点から、ポリビニルアルコールからなる接着剤を用いることが好ましい。
【0056】
偏光板と複屈折フィルムとを積層して積層偏光板を形成する場合、両者を粘着層等の適宜な接着手段を用いて積層することができるが、これに限定されるものではない。例えば、偏光板の保護層として用いられるトリアセチルセルロース等のポリマーフィルムを基材として用い、この上にポリマー層(複屈折層)を形成することも可能である。その後、トリアセチルセルロース等のポリマーフィルムを偏光子と接着し、偏光子の他方にはトリアセチルセルロース等のポリマーフィルムのみを接着すれば良い。このような方法で積層する場合には、複屈折フィルム支持基材を偏光板の片側の保護フィルムとして使用できる。
【0057】
積層に用いられる粘着層としては、特に限定はなく、例えばアクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等の透明な感圧接着剤など、適宜なものを用いることができる。光学フィルム等の光学特性の変化を防止する点より、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。また加熱や加湿条件下に剥離等を生じないものが好ましく用いられる。
【0058】
本発明の複屈折フィルムは、各種位相差板、拡散制御フィルム、輝度向上フィルム等と組合せて用いることもできる。位相差板としては、ポリマーを一軸延伸したもの、二軸延伸したもの、Z軸配向処理したもの、液晶性高分子を塗布したもの等が挙げられる。拡散制御フィルムは、視野角を制御するための拡散、散乱、屈折を利用したフィルムや、解像度に関わるギラツキ、散乱光等を制御する拡散、散乱、屈折を利用したフィルム等を用いることができる。輝度向上フィルムは、コレステリック液晶の選択反射とλ/4板を用いた輝度向上フィルムや、偏光方向による異方性散乱を利用した散乱フィルム等を用いることができる。また、ワイヤーグリツド型偏光子と組合せて用いてもよい。
【0059】
本発明による複屈折フィルムや光学補償層一体型偏光板は、各種液晶表示装置の形成などに好ましく用いることができるが、その適用に際しては、必要に応じ前記の粘着層等を介して、偏光板や反射板、半透過反射板、輝度向上フィルムなどの他の光学層の1層または2層以上を積層することができる。特に、偏光板と本発明の複屈折フィルムを積層した積層偏光板は、光学補償機能を有する偏光板(光学補償層一体型偏光板)として用いられる。
【0060】
前記の反射板は、それを偏光板に設けて反射型偏光板を形成するためのものである。反射型偏光板は、通常液晶セルの裏側に配置され、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置(反射型液晶表示装置)などを形成する。反射型偏光板は、バックライト等の光源の内蔵を省略でき、液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式など、適宜な方式にて行うことができる。その具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどが挙げられる。
【0061】
また、微粒子を含有させて表面を微細凹凸構造とした上記の透明保護フィルムの上に、その微細凹凸構造を反映させた反射層を有する反射型偏光板なども挙げられる。表面微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させ、指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点を有する。この透明保護フィルムのば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式など、適宜な方式にて金属を透明保護フィルムの表面に直接付設する方法などにより形成することができる。
【0062】
また、反射板は、上記した偏光板の透明保護フィルムに直接付設する方式に代えて、その透明保護フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。反射板の反射層は、通常、金属からなるので、その反射面がフィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などから好ましい。
【0063】
半透過型偏光板は、上記の反射型偏光板において、半透過型の反射層としたものであり、反射層で光を反射しかつ透過するハーフミラー等が挙げられる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成する。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0064】
さらに前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの(3M社製「D−BEF」等)、コレステリック液晶層、就中コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもの(日東電工社製「PCF350」、Merck社製「Transmax」)の如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0065】
前記の2層又は3層以上の光学層を積層した光学部材は、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるものであるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができる利点がある。なお、積層には、上記の粘着層等の適宜な接着手段を用いることができる。
【0066】
本発明の複屈折フィルム(二軸性位相差板)や光学補償層一体型偏光板等には、他の光学層や液晶セル等の他部材と接着するための粘着層等を設けることもできる。その粘着層は、アクリル系等の従来公知の粘着剤等を用いて適宜形成することができる。中でも、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性等の点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層であることが好ましい。また、微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層等とすることもできる。粘着層は必要に応じて必要な面に設ければよい。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
【0067】
複屈折フィルム(二軸性位相差板)や光学補償層一体型偏光板等に設けた粘着層が表面に露出する場合には、その粘着層を実用に供するまでの間、汚染防止等を目的にセパレータにて仮着カバーすることが好ましい。セパレータは、上記の透明保護フィルム等に準じた適宜な薄葉体に、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤による剥離コートを設ける方式等により形成することができる。
【0068】
なお、上記の複屈折フィルムや光学補償層一体型偏光板を構成する偏光子や透明保護フィルム、粘(接)着層などの各層は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式等の適宜な方式により紫外線吸収能を持たせたもの等であってもよい。
【0069】
本発明の複屈折フィルムは、フィルム単独または必要に応じて他の複屈折フィルム、例えば、他の位相差フィルム、液晶フィルム、光散乱フィルム、回折フィルム、偏光フィルム等と組み合せた積層体として各種の光学用途、具体的には、各種液晶表示素子の光学補償部材として利用することができる。例えば、工業的に製造されているヨウ素系や染料系の偏光フィルムと複屈折フィルムとを組み合わせることにより、液晶表示素子の複屈折性を補償、調整する機能を有する偏光板とすることができる。
【0070】
ここでいう液晶表示素子には、例えばSTN(Super Twisted Nematic)セル、TN(Twisted Nematic)セル、IPS(In−Plane Switching)セル、VA(Vertical Alighned)セル、OCB(Optically Alighned Birefringence)セル、HAN(Hybrid Alighned Nematic)セル、ASM(Axially Symmetric Alighned Microcell)セル、強誘電・反強誘電セル及びこれらに規則正しい配向分割を行ったもの、ランダムな配向分割を行った物等の各種のセルが含まれる。本発明の複屈折フィルムは、VA(Vertical Alighned)セルの光学補償に非常に優れている。
【0071】
なお、本発明の複屈折フィルムは、VA(Vertical Alighned)セルの光学補償に非常に優れているので、VAモードの液晶表示装置用の視角補償フィルムとして、最も好適に用いることができる。
【0072】
液晶セルの片側または両側に前記光学素子を配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による複屈折フィルムは液晶セルの片側または両側に配置することができる。両側に複屈折フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。更に、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護版、プリズムアレイシート、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0073】
また、本発明の複屈折フィルム、光学補償層一体型偏光板は、有機ELディスプレイなどの自発光型表示装置にも、液晶表示装置と同様にして用いることができる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、光学フィルムの特性は以下の方法で評価した。
【0075】
(位相差、配向軸精度の測定)
位相差計(王子計測機器社製、KOBRA21ADH)を用いて測定した。
【0076】
(屈折率測定)
王子計測機器社製KOBRA21ADHを用いて590nmにおける屈折率を測定した。
【0077】
(膜圧測定)
アンリツ製デジタルマイクロメーターK−351C型を使用して測定した。
【0078】
(実施例1)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、重量平均分子量(Mw)7万、△nが約0.04のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い25wt%に調製した溶液を、縦軸固定した厚さ80μmのトリアセチルセルロース上に塗布した。その後150℃で5分熱処理後、完全透明で平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での横方向の寸法変化率は4%であった。また、フィルムはnx>ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0079】
(実施例2)
実施例1と同様の溶液を用い、これを縦軸固定した厚さ75μmのポリエチレンテレフタレート上に塗布した。その後150℃で5分熱処理後、完全透明で剥離後平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での横方向の寸法変化率は2%であった。またフィルムはnx>ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった
【0080】
(実施例3)
実施例1と同様の溶液を用い、これをトリアセチルセルロース上に塗布した。その後150℃5分間熱処理後、完全透明で剥離後平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での縦方向の寸法変化率は1.5%、横方向の寸法変化率は1%であった。またフィルムはnx>ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0081】
(実施例4)
2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)と、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(TFMB)から合成された、△nが約0.005のポリイミドを、溶媒にシクロヘキサノンを用い25wt%に調製した溶液を、実施例1で用いた基材を同様に固定した上に塗布した。その後150℃で5分熱処理後、完全透明で平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での横方向の寸法変化率は4%であった。また、フィルムはnx>ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0082】
(実施例5)
次の構造式(化7)で示されるポリアリールエーテルケトンA(株式会社日本触媒製)にMIBKを溶媒として用い20%に調整した溶液を、実施例1と同様に固定を行った基材上に塗布し、その後150℃で5分熱処理後、完全透明で平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での横方向の寸法変化率は4%であった。またフィルムはnx>ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0083】
【化7】
Figure 0004070510
【0084】
(比較例1)
実施例1で用いた溶液を用い、これを縦横固定を行ったトリアセチルセルロース上に塗布し、150℃で5分熱処理後、完全透明で平滑なフィルムを得た。この時用いた基材の150℃×5分での横方向の寸法変化率は0.02%であった。またフィルムはnx≒ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0085】
(比較例2)
実施例1と同様の溶液を用い、これをガラス板上に塗工した。その後100℃で10分熱処理後、完全透明で剥離後平滑なフィルムを得た。このフィルムはnx≒ny>nzの複屈折層を持つ位相差板であった。
【0086】
上記の実施例及び比較例で得られた位相差板について、nx、ny及びnzの値から、(nx−ny)×d、(nx−nz)×d、(nx−nz)/(nx−ny)の値を算出した。その結果及び得られた複屈折フィルムの厚みを、表1にまとめて示す。
【0087】
【表1】
Figure 0004070510
【0088】
以上の結果から、本発明の複屈折フィルムの光学特性は、(nx−ny)×dの値が3nm以上、かつ(nx−nz)/(nx−ny)>1であり、薄型のフィルムであることがわかる。
【0089】
次に、上記の実施例1で作製した位相差板と偏光板(日東電工(株)製、商品名「HEG1425DU」)を、アクリル系粘着剤を介し積層して光学補償層一体型偏光板を得た。これを液晶セルのバックライト側に偏光板が外側となるように接着して液晶表示装置を作製した。その表示特性を調べたところ、正面と斜視の広い視角範囲でコントラストと表示の均質性に優れ、良好な表示品位であった。
【0090】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶液状態にし、乾燥時に寸法変化する基材を用いて形成するだけで、3nm<(nx−ny)・dと、(nx−nz)/(nx−ny)>1を満足する二軸性位相差フィルムを容易に得ることができる。得られたフィルムは薄層であり、nx>ny>nzの特性を持つ、均一・透明で極めて優れた光学的性質を有する位相差板であり、液晶セルの視角補償した液晶表示装置を形成できる。
【0091】
また、本発明の複屈折フィルム又はこれを偏光子あるいは偏光板に積層してなる光学補償層一体型偏光板を、液晶セルの少なくとも片側に配置し又は自発光型表示装置に用いることにより、正面と斜視の広い視角範囲で表示品位に優れる薄型の表示装置を実現できる。
【0092】
また、本発明の複屈折フィルムの製造方法によれば、複屈折率が0.0005〜0.5の範囲にあって、その光学特性がnx>ny>nz(ただしnx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率である)を満たす複屈折フィルムを、容易にしかも高い生産効率にて製造することができ、量産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学補償層一体型偏光板の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の光学補償層一体型偏光板の一例を示す断面模式図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の一例を示す断面模式図である。
【図4】本発明の光学フィルムの軸方向を示す図である。
【符号の説明】
1:複屈折フィルム
2:偏光子
3:保護フィルム
11:偏光板
21:液晶セル
nx,ny,nz・・・・厚み方向をZ軸、Z軸に垂直な面内の延伸方向をX軸、X軸及びZ軸に垂直な方向をY軸としたときの、それぞれの軸方向の屈折率

Claims (7)

  1. ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶媒に溶解してなる溶液を基材に塗工し、乾燥後、フィルム化する工程において、寸法変化する基材を用いて形成してなる複屈折フィルムであって、その複屈折率が0.0005〜0.5の範囲にあり、かつ下記の式(1)から(3)を全て満たすことを特徴とする複屈折フィルム。
    nx>ny>nz (1)
    3nm≦(nx−ny)・d (2)
    (nx−nz)/(nx−ny)>1 (3)
    (式(1)から(3)において、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、dはフィルム厚である。)
  2. 前記基材の乾燥時においての最大寸法変化率が1%以上である請求項1に記載の複屈折フィルム。
  3. 前記基材が偏光板の保護フィルム材料である請求項1または2に記載の複屈折フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の複屈折フィルムと、偏光子または偏光板とを組み合わせてなる光学補償層一体型偏光板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の複屈折フィルムまたは請求項4に記載の光学補償層一体型偏光板を、液晶セルの少なくとも片側に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の複屈折フィルムまたは請求項4に記載の光学補償層一体型偏光板を用いたことを特徴とする自発光型表示装置。
  7. ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド及びポリエステルイミドからなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを溶媒に溶解してなる溶液を基材に塗工し、乾燥後、フィルム化する複屈折フィルムの製造方法であって、塗工直後から乾燥直後までの前記基材の寸法変化率が1%以上であることを特徴とする複屈折フィルムの製造方法。
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