JP2009048157A - 液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフトが軽減された液晶表示装置の提供。
【解決手段】透過軸が互いに直交に配置された第1及び第2の偏光子(11,12)と、該一対の偏光子の間に配置された、黒表示時に略垂直配向となる液晶層(13)と、第1の光学異方性層(14)と、第2の光学異方性層(15)とを有する液晶表示装置であって、第1の光学異方性層(14)が、波長400nm〜700nmにおける面内レターデーション(Re)及び厚み方向のレターデーション(Rth)が長波長ほど大きい性質を有する、光学的に二軸性の光学異方性層であり、第2の光学異方性層(15)の波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRth(550)が、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満たすことを特徴とする液晶表示装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、視野角特性が改善された液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は液晶セル内の液晶分子の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、及び偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、ディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化して作製した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から観察されることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
しかし、VAモードでは、パネル法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、斜め方向からパネルを観察すると光漏れが発生し、視野角が狭くなるという問題があった。この問題を解決するためにフィルムの3次元方向の屈折率がいずれも異なる、光学的に二軸の位相差板を用いることによりVAモードの視野角特性を改善することが提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、上記の方法はある波長域(例えば550nm付近の緑光)に対して光漏れを低減しているのみであり、それ以外の波長域(例えば450nm付近の青光、650nm付近の赤光)に対する光漏れは考慮していない。このため例えば黒表示をして斜めから観察すると、青色や赤色に着色するいわゆるカラーシフト(以下、「色味付き」という場合もある)の問題があった。
カラーシフトの問題を解決する手段として特定の波長分散性を示す2枚の位相差フィルムを用いる方法が提案されている(特許文献2)。
特開2003−344856号公報 特許第3648240号
しかし、近年の高い表示品位の要求を満たすべく、前記課題についてさらなる性能向上が求められている。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため手段は以下の通りである。
[1] 透過軸が互いに直交に配置された第1及び第2の偏光子と、該一対の偏光子の間に配置された、黒表示時に略垂直配向となる液晶層と、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、
第1の光学異方性層が、波長400nm〜700nmにおける面内レターデーション(Re)及び厚み方向のレターデーション(Rth)が長波長ほど大きい性質を有する、光学的に二軸性の光学異方性層であり、
第2の光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRth(550)が、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満たす、
ことを特徴とする液晶表示装置。
[2] 第1の光学異方性層のNz(Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5)値が、0.5〜10であることを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[3] 第1の光学異方性層のNz値が、1.1〜5であることを特徴とする[1]の液晶表示装置。
[4] 第1の光学異方性層が、Re(550)>20nmを満たすことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 第1の光学異方性層が、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置:
式(1) -2.5×Re(550)+300 <Rth(550) <-2.5×Re(550)+500
式(2) -2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450
式(3) -2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550 。
[6] 第1の光学異方性層が下記3つの式の全てを満たすことを特徴とする[1]の液晶表示装置:
Re(550) >20nm
0.5 <Nz <10
-2.5×Re(550)+300 <Rth(550) < -2.5×Re(550)+500
式中、Re(λ)及びRth(λ)はそれぞれ、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション及び厚み方向のレターデーション(単位:nm)であり、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5とする。
[7] 第1の光学異方性層が、さらに下記式を満たすことを特徴とする[6]の液晶表示装置:
-2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450 。
[8] 第1の光学異方性層が、さらに下記式を満たすことを特徴とする[5]又は[6]の液晶表示装置:
-2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550 。
[9] 第1の光学異方性層が、下記式(6)〜(9)をさらに満たすことを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの液晶表示装置:
式(6) 0.60 ≦Re(450)/Re(550)≦ 1
式(7) 1 ≦Re(630)/Re(550)≦ 1.25
式(8) 0.60 ≦Rth(450)/Rth(550)≦ 1
式(9) 1 ≦Rth(630)/Rth(550)≦ 1.25 。
[10] 第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの液晶表示装置。
[11] 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも含有することを特徴とする[10]の液晶表示装置。
[12] 前記Re発現剤が、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする[11]の液晶表示装置:
Figure 2009048157
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
[13] 前記Re発現剤として、互いに異なる二種以上の化合物を含むことを特徴とする[11]又は[12]の液晶表示装置。
[14] 前記Re発現剤として、前記式(A)で表される化合物及び下記式(a)で表される棒状化合物をそれぞれ少なくとも一種含有することを特徴とする[12]又は[13]の液晶表示装置。
一般式(a):Ar1−L12−X−L13−Ar2
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、芳香族基であり;L12及びL13はそれぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−基であり;Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
[15] 第1の光学異方性層の厚みが、30〜200μmであることを特徴とする[1]〜[14]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 第2の光学異方性層が、下記式(4)を満たすことを特徴とする[1]〜[15]のいずれかの液晶表示装置:
式(4) Rth(630)−Rth(450) ≦0 。
[17] 第2の光学異方性層が、下記式(5)を満たすことを特徴とする[1]〜[15]のいずれかの液晶表示装置:
式(5) Rth(630)−Rth(450) >0 。
[18] 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなる又は含むことを特徴とする[1]〜[17]のいずれかの液晶表示装置。
[19] セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも含有することを特徴とする[18]の液晶表示装置。
[20] 前記Rth発現剤が、250nm〜380nmに吸収極大がある化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする[19]の液晶表示装置。
[21] 第2の光学異方性層が、液晶組成物から形成された層からなる又は含むことを特徴とする[1]〜[17]のいずれかの液晶表示装置。
[22] 第2の光学異方性層の厚みが、30〜200μmであることを特徴とする[1]〜[21]のいずれかの液晶表示装置。
[23] 第1及び/又は第2の偏光子の外側の面に、透湿度が300g/(m2・day)以下である保護フィルムを有することを特徴とする[1]〜[22]のいずれかの液晶表示装置。
[24] 前記保護フィルムが、ノルボルネン系ポリマーフィルムからなることを特徴とする[23]の液晶表示装置。
本発明によれば、広範囲の視野角において高いコントラストの画像を表示可能であり、且つカラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また実質的に直交もしくは平行とは、厳密な角度±10°の範囲を意味する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、フィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(21)及び式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009048157
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書では、Re(450)、Re(550)、Re(630)、Rth(450)、Rth(550)、Rth(630)等のRe(λ)及びRth(λ)の値は、測定装置により3以上の異なる波長(例としてλ=479.2、546.3、632.8、745.3nm)を用いて測定し、それぞれの波長からRe、Rthを算出するものとする。これらの値をコーシーの式(第3項まで、Re=A+B/λ2+C/λ4)にて近似して値A、B、Cを求める。以上より波長λにおけるRe、Rthをプロットし直し、そこから各波長λでのRe(λ)およびRth(λ)を求めることができる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置の一態様を図1に示す。図1は、VAモードの液晶表示装置の構成例であり、VAモードの液晶セル13と、液晶セル13を挟んで配置された一対の第1の偏光子11と第2の偏光子12とを有する。第1の偏光子11と液晶セル13との間には、第1の光学異方性層14、及び第2の偏光子12と液晶セル13との間には、第2の光学異方性層15を有する。偏光子11及び12は、それぞれの透過軸を互いに直交にして配置されている。また、第1の光学異方性層14は、その面内遅相軸を第1の偏光子11の吸収軸に対して直交にして配置されているのが好ましい。
偏光子11及び12は、いずれがバックライト側であっても、表示面側であってもよい。また、第1の光学異方性層14及び第2の光学異方性層15はそれぞれ、偏光子11及び12の保護フィルムとして、それぞれの表面に接触させて配置されていてもよい。また、偏光子11と第1の光学異方性層14との間、及び偏光子12と第2の光学異方性層15との間には、それぞれ保護フィルムが別途配置されていてもよいが、その場合は、該保護フィルムは、位相差が0に近い、等方性のフィルムであるのが好ましい。
図1に示す態様では、第1の光学異方性層14は、波長400nm〜700nmにおけるRe及びRthが、長波長ほど大きい性質を有する、光学的に二軸性の光学異方性層である。また、第2の光学異方性層15は、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRth(550)が、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満足する。本実施の形態では、この光学特性を満足する第1の光学異方性層14及び第2の光学異方性層15を利用することで、黒表示時の法線方向及び斜め方向における光漏れを解消するとともに、黒表示時の斜め方向に生じるカラーシフトを軽減している。第1の光学異方性層14と第2の光学異方性層15との好ましい組み合せの一例は、第1の光学異方性層14が下記式(a)〜(c)を満足し、且つ第2の光学異方性層15が、下記式(d)を満足する例である。
式(a) Re(550) > 20 nm
式(b) 0.5 < Nz < 10
式(c) -2.5×Re(550)+300 < Rth(550) < -2.5×Re(550)+500
式(d) Rth(550)/Re(550) > 10
なお、式中、Re(λ)及びRth(λ)はそれぞれ、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション及び厚み方向のレターデーション(単位:nm)であり、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5とする。
次に、本実施の形態の作用を説明するため、まず、比較のために、従来のVAモードの液晶表示装置の問題点を明らかにする。図12に、一般的なVAモードの液晶表示装置の構成を示す模式図を示す。VAモードの液晶表示装置は、一般的には、電圧無印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対して垂直配向する液晶層を有する液晶セル53と、該液晶セル53を挟持し、且つ互いの透過軸方向(図12では縞線で示した)を直交させて配置された偏光板51及び偏光板52とを有する。図12中、光は、偏光板51側から入射するものとする。電圧無印加時に、法線方向、即ち、z軸方向に進む光が入射した場合、偏光板51を通過した光は、直線偏光状態を維持したまま、液晶セル53を通過し、偏光板52において完全に遮光される。その結果、コントラストの高い画像を表示できる。
しかし、図13に示す様に、斜光入射の場合には状況が異なる。光が、z軸方向でない斜め方向、即ち、偏光板51および52の偏光方向に対して斜めの方位(いわゆるOFF AXIS)から入射する場合、入射光は、液晶セル53の垂直配向した液晶層を通過する際に、斜め方向のレターデーションの影響を受け、その偏光状態が変化する。さらに、偏光板51と偏光板52の見かけの透過軸が直交配置からずれる。この2つの要因のため、OFF AXISにおける斜め方向からの入射光は、偏光板52で完全に遮光されず、黒表示時に光抜けが生じ、コントラストを低下させることになる。
ここで、極角と方位角を定義する。極角はフィルム面の法線方向、即ち、図12及び図13中のz軸からの傾き角であり、例えば、フィルム面の法線方向は、極角=0度の方向である。方位角は、x軸の正の方向を基準に反時計回りに回転した方位を表しており、例えばx軸の正の方向は方位角=0度の方向であり、y軸の正の方向は方位角=90度の方向である。前述したOFF AXISにおける斜め方向とは、極角が0度ではない場合で且つ、方位角=45度、135度、225度、315度の場合を主に指す。
従来、VAモードの液晶表示装置の、かかる斜め方向のコントラストの低下を、二軸プレートとCプレートを用いることで解消することが提案されている(例えば、前記特許文献2)。ところで、従来光学補償フィルムには種々の延伸ポリマーフィルムが用いられているが、一般的には、延伸ポリマーフィルムは、面内レターデーションReがRe(450) ≧ Re(550) ≧ Re(650)であり、厚さ方向のRthがRth(450) ≧ Rth(550) ≧ Rth(650)の関係を満足する、すなわち、Re及びRthともに短波長ほど大きい値を持つもの(以下、この性質を「順分散性」という場合がある)がほとんどである。
図14に、二軸プレート及びCプレートを用いた従来のVAモード液晶表示装置の一例の模式図を示す。図14の液晶表示装置は、液晶セル53と一対の偏光板51及び52を有し、偏光板51と液晶セル53との間にAプレートの光学補償フィルム54、偏光板52と液晶セル53との間にCプレートの光学補償フィルム55を有する。図15に、図14の構成における補償機構について、ポアンカレ球を用いて説明した図を示す。ポアンカレ球は偏光状態を記述する三次元マップで、球の赤道上は直線偏光を表している。ここで、液晶表示装置内における光の伝播方向は方位角=45度、極角=34度である。図15中、S2軸は、紙面下から上に垂直に貫く軸であり、図15は、ポアンカレ球を、S2軸の正の方向から見た図である。ここで、S1、S2、S3座標は、ある偏光状態のストークスパラメーターの値を表している。また図15は、平面的に示されているので、偏光状態の変化前と変化後の点の変位は、図中直線の矢印で示されているが、実際は、液晶層や光学補償フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、それぞれの光学特性に応じて決定される特定の軸の回りに、特定の角度回転させることで表される。
図14中の偏光板51を通過した入射光の偏光状態は、図15では点(i)に相当し、図14中の偏光板52の吸収軸によって遮光される偏光状態は、図15では点(ii)に相当する。従来、VAモードの液晶表示装置において、斜め方向におけるOFF AXISの光抜けは、出射光の偏光状態が点(ii)からずれていることに起因する。光学補償フィルムは、一般的に、液晶層における偏光状態の変化も含めて、入射光の偏光状態を正しく点(i)から点(ii)に変化させるために用いられる。
Aプレートである光学補償フィルム54を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図15中の「A」を付された矢印で示される軌跡をたどる。ポアンカレ球上での回転角度は、液晶表示装置を観察する斜め方向からの実効的なレターデーションΔn’d’を光の波長λで割った値Δn’d’/λに比例する。上記した通り、光学補償フィルム54として一般的な延伸ポリマーフィルムを用いると、Reは波長が短いほど大きくなり、R、G、Bで実効的なレターデーションReは異なり、且つ波長λの逆数も短波長であるほど大きくなることから、波長が異なるR、G、Bの各波長においては、回転角度はB>G>Rの順となる。すなわち回転後におけるR、G、Bの偏光状態、すなわち(S1、S2、S3)座標は図15に示す通りとなる。
液晶セル53の液晶層は正の屈折率異方性を示し、垂直配向しているので、液晶層を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図15中「LC」を付された上から下への矢印で示さる軌跡をたどり、S1軸周りの回転として表される。
次に、Cプレートである光学補償フィルム54を通過する際の、B,G,Rの偏光状態の変換は、ポアンカレ球上では、図15中、「C」を付した矢印で示されている通り、S1−S2面の法線方向への移動で表される。図15に示す通り、この移動によっては、S1座標が一致せず、異なる偏光状態にあるR光、G光、B光の全てを、点(ii)の偏光状態に変換することは不可能である。このずれた波長の光が偏光板52で遮断されないため光漏れが生じる。光の色はR、G、Bの足し合わせからなるので、特定の波長の光だけが光漏れすると、R、G、Bの足し合わせの比率がずれるために、色味の変化が起こる。これが、液晶表示装置を斜め方向から見たときに「色味変化」となって観察される。
ここで、本明細書においては、R、G、Bの波長として、Rは波長630nm、Gは波長550nm、Bは波長450nmを用いた。R、G、Bの波長は必ずしもこの波長で代表されるものではないが、本発明の効果を奏する光学特性を規定するのに適当な波長であると考えられる。
本発明者は、この従来の問題点を解決するため、以下の点に着目した。黒表示時のVAモードの液晶セルやCプレート等に代表される厚み方向のレターデーションRthが面内レターデーションReと比較して大きい複屈折媒体を通過することによる偏光状態の変換は、図15中、「LC」及び「C」の矢印で示される通り、ポアンカレ球上では、R光、G光及びB光のいずれについてもS1座標についての変位はほとんどない。従って、偏光子を通過した後、最初に、Aプレート等に代表される光学的に二軸性の面内に光軸を有する第1の光学異方性層を通過した後のR光、B光及びG光の偏光状態が、図2に示す通り、ポアンカレ球上のS1座標として概ね一致していれば、その後、垂直配向状態の液晶層や所定の光学特性を満足する第2の光学異方性層を通過しても、R光、B光及びG光の偏光状態のS1座標は一致する。従って、R光、B光及びG光の状態がS1座標についても一致していない従来の図15の状態よりも、色味変化は軽減される。
その後、図3に示す通り、VAモードの液晶セルを通過すると、R光、G光及びB光の偏光状態は、図中矢印13で示す様に変化し、S3座標が相違して分離してしまうが、この分離は、第2の光学異方性層の波長分散性を利用することで解消することができる。より具体的には、第2の光学異方性層に、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満足し、且つそのRthの波長分散性が順分散性を示す材料を用いれば、図4に示す通り、図中矢印15で示す様に、R光、G光及びB光のS1座標を相違させることなく、いずれについてもS1軸上、即ち、消光点(ii)の偏光状態に変換することができる。その結果、斜め方向において、より色味付きを軽減できるとともに、コントラストをより改善することができる。
図2〜図4に示した光学補償機構は一例であり、本発明はこの態様に限定されない。本発明では第1の光学異方性層が、そのRe及びRthが逆波長分散性を示していればよく、第2の光学異方性層のRe及びRthの波長依存性については特に制限されない。第2の光学異方性層のRthの波長依存性は、順分散性、逆分散性及び一定のいずれであってもよい。液晶セルのモード及び光学特性に応じて、第2の光学異方性層のRthの波長依存性を選択することで、より視野角コントラストを向上させるとともに、色味変化を小さくすることができる。
第1及び第2の光学異方性層のレターデーション値は、垂直配向モード、例えばVAモードでは、第1の光学異方性層のRth(550)と、第2の光学異方性層のRth(550)との和が、100nm〜400nm程度であるのが好ましく、200nm〜300nm程度であるのがより好ましい。
次に、本発明に使用可能な第1の光学異方性層、及び第2の光学異方性層について、その光学特性、材料、及び製造方法等の好ましい態様について、詳細に説明する。
[第1の光学異方性層の光学特性]
(Re及びRthの波長分散特性)
本発明の液晶表示装置には、図2に示した変換を可能とする性質を有する第1の光学異方性層を利用する。その必要条件は、波長400nm〜700nmにおけるRe及びRthが、逆波長分散性であること、及び光学的に二軸性であることである。
前記第1の光学異方性層の波長分散性は、Re及びRthの双方が逆分散性を示しているが、具体的には、下記式(6)〜(9)
式(6) 0.60 ≦Re(450)/Re(550)≦ 1
式(7) 1 ≦Re(630)/Re(550)≦ 1.25
式(8) 0.60 ≦Rth(450)/Rth(550)≦ 1
式(9) 1 ≦Rth(630)/Rth(550)≦ 1.25
を満たしているのが好ましく、下記式(6)’〜(9)’
式(6)’ 0.65 ≦Re(450)/Re(550) ≦1
式(7)’ 1 ≦Re(630)/Re(550) ≦1.20
式(8)’ 0.65 ≦ Rth(450)/Rth(550) ≦1
式(9)’ 1 ≦Rth(630)/Rth(550) ≦1.20
を満たしているのがより好ましく、下記式(6)”〜(9)”
式(6)” 0.70 ≦Re(450)/Re(550) ≦1
式(7)” 1 ≦Re(630)/Re(550) ≦1.15
式(8)” 0.70 ≦ Rth(450)/Rth(550) ≦1
式(9)” 1 ≦Rth(630)/Rth(550) ≦1.15
を満たしているのがよりさらに好ましい。
(第1の光学異方性層のReとRthとの関係)
さらに、本発明者は、(1) 種々のRe及び/又はRthの光学異方性層を通過する際の偏光状態変化を表す回転行列を求め;(2) 入射光のストークスパラメータ(S1、S2、S3)に(1)で求めた回転行列を作用させ、光学異方性層を通過後の(S1’、S2’、S3’)を計算により求め;且つ(3) (2)で求めたS1’が、消光点のS1座標と一致するよう、Re及びRthを最適化した結果、波長450、550及び630nmにおいて、Re及びRthが図5に示すグラフの関係を満足する光学異方性層によれば、R光、B光及びG光の偏光状態について、ポアンカレ球上のS1座標として概ね一致させることが可能となることを見出した。さらに、実際に、いくつかの試料を作製して、その効果を確かめた結果、第1の光学異方性層が下記式(1)〜(3)を満足していると、Re及びRthの大きさ(即ち、回転軸及び回転角度)によらず、第1の光学異方性層に入射したR光、G光及びB光がそれぞれの変換の軌跡をたどって、いずれも、消光点と同一のS1座標を示す偏光状態(図中太い帯状の線)に変換されることを見出した。Re及びRthが逆波長分散性であり、且つ下記式(1)〜(3)を満足する光学的に二軸性の第1の光学異方性層を用いると、従来例と比較して、斜め方向における色味付きの軽減効果を格段に高くすることができる。
式(1) -2.5×Re(550)+300 <Rth(550) <-2.5×Re(550)+500
式(2) -2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450
式(3) -2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550 。
前記第1の光学異方性層は、下記式(1)’〜(3)’を満足するのが、より優れた効果が得られるので好ましい。
式(1)’ -2.5×Re(550)+320 < Rth(550) < -2.5×Re(550)+480
式(2)’ -2.5×Re(450)+270 < Rth(450) < -2.5×Re(450)+430
式(3)’ -2.5×Re(630)+370 < Rth(630) < -2.5×Re(630)+530
(第1の光学異方性層のNz値)
Nz値はRe及びRthの変数であり、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5で定義される。第1の光学異方性層のNz値は、0.5〜10であるのが好ましく、1.1〜5であるのがより好ましく、1.3〜4.7であるのがさらに好ましい。
第1の光学異方性層のNz値が大きいほど、より広い範囲の方位角方向から観察した場合に生じるカラーシフトを軽減できるので好ましい。二軸性の第1の光学異方性層を、一定の極角方向から観察した場合、その方向の方位角に応じて、みかけのReが増減する。例えば、第1の光学異方性層をパネルに対して水平方向に配した場合、みかけのReは、方位角が大きいほど大きくなり、方位角が小さいほど小さくなる。Nz値が小さい、即ち、Reが大きいと、方位角に依存したみかけのReの増減幅も大きくなり、所定の方位角において適性な表示特性を示しても、他の方位角においては、わずかな光漏れやカラーシフトが生じる場合がある。Reが一般的な製造適性の範囲であり、且つ方位角に依存したみかけのReの増減幅を、観察者が表示特性の変動として認識できない程度の範囲に抑制するためには、Nz値は、0.5以上であるのが好ましい。また、Reが大きすぎると偏光子と貼り合わせ時の軸ズレや、フィルム面内での軸バラツキが生じた際に、パネルを正面から見たときの光漏れが大きくなり正面コントラスト比の低下に繋がる。この観点で第1の光学異方性層の好ましいRe値の上限を検討すると、Reは130nmを大きく超えないのが好ましい。第1の光学異方性層のRe及びRthが、図5に示す関係を満足しつつ、Reが130nm以下を可能とする、即ち、観察方向の方位角に依存した光漏れやカラーシフトをより軽減するためには、図6に示す通り、Nzは1.1以上であるのが好ましい。さらに、1.3以上であるのがより好ましい。
以上のように黒表示時の光漏れ、色付きの方位角依存性、軸ズレ許容度の観点からは第1の光学異方性層のReが小さい、すなわちNzが大きい方が好ましい。一方、VAモードの光学補償に必要な、第1及び第2の光学異方性層のRthの和は、100〜400nm程度であるので、第1の光学異方性層のNz値が大きいほど、例えば、第1の光学異方性層のRthが大きいほど、第2の光学異方性層に必要とされるRthは小さくなる。液晶層及び第2の光学異方性層を通過することによる偏光状態の変換が、いずれの波長においても消光点に達するためには、第2の光学異方性層のRthが順波長分散性(波長が短いほど値が大きくなる性質)を示すことが好ましいが、第2の光学異方性層のRthが小さくなると、その順分散性を急峻にする必要が生じる。その様な性質のフィルム等を作製するのは困難であり、製造適性の観点では、Nzは10以下であるのが好ましく、さらに、図6に示す通り、Nzは5以下であるのがより好ましく、4.7以下であるのがさらに好ましいい。
第1の光学異方性層のNzの好ましい範囲の上限値について、より具体的に説明する。
上記した通り、VAモードの光学補償には、第1の光学異方性層のRth(550)と第2の光学異方性層のRth(550)の和が、100〜400nmであるのが好ましいので、第1の光学異方性層のRth(550)が大きくなると、第2の光学異方性層の最適なRth(550)は小さくなる。その関係を図7に模式的に示す。図7中の点A及び点A’はそれぞれ、VAモードの液晶表示装置を光学補償する第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の好ましい組合せの一例の光学特性を示す点である。もし仮に、第1の光学異方性層のNz値が大きくなる、即ち、第1の光学異方性層の光学特性が点Aから点Bに移動すると、第1の光学異方性層のReは減少し且つRthは増加する。一方、第1の光学異方性層の光学特性の変化に伴い、第2の光学異方性層に求められる好ましい光学特性も、点A’から点B’へと移動し、即ち、第2の光学異方性層に求められる最適なRth値は小さくなる。
ところで、第1の光学異方性層の所定のRe(λ)及びRth(λ)が与えられた時、視野角に依存した光漏れ、カラーシフト低減のために必要とされる第2の光学異方性層のRthの波長分散性は、第2の光学異方性層のRth(550)、液晶層のΔnd(550)およびΔndの波長分散性によって決まる。説明を容易にするために、理想的な第1の光学異方性層を用いた場合を考える。
今、第1の光学異方性層のレターデーションの波長分散が、λ/n(nは正の実数)で与えられた時を考える。この時パネルを斜め方向から観察すると、第1の光学異方性層を透過後の偏光状態が波長によって変わらないことが理想である。ポアンカレ球での回転量はΔnd/λによって決まること、視野角光漏れ、カラーシフトを低減するためには、第2の光学異方性層を通過後に全波長の光の偏光状態を消光点と一致させる必要がある。「450nmと550nmの光が消光点に一致する」という条件から下記式(11)が成り立つ。ここで、ΔndVAは液晶層のΔndを表し、RthBはフィルムBのRthを表す。(450)、(550)、(630)はそれぞれ450nm、550nm、630nmでのRthを表す。
式(11)を整理すると、式(12)のように表現できる。同様に「630nmと550nmの光が消光点に一致する」という条件から式(13)が成り立つ。式(12)及び式(13)により、式(14)となる。
ここで、
δ(RthB)=RthB(630)−RthB(450)
δ(ΔndVA)=ΔndVA(630)−ΔndVA(450)
と定義する。δ(RthB)<0の時、第2の光学異方性層のRthは順分散性を示し、δ(RthB)>0の時、第2の光学異方性層のRthは逆分散性を示す。δ(RthB)、δ(ΔndVA)を使って式(14)を書き直すと式(15)となる。
通常RthB(550)はΔndVA(550)より小さい。液晶層のΔndが順分散性を示す時、式(9)の右辺は負の値を示す。式(15)左辺のδ(RthB)も負の値を持つため、第2の光学異方性層のRthは順分散性を示す。いま、第2の光学異方性層のRth(550)が小さくなると、式(15)右辺第一項の絶対値が大きくなる。そのため、左辺のδ(RthB)は負で絶対値が大きくなり、順分散性が大きくなる。
Figure 2009048157
以上の議論から、第1の光学異方性層のNz値が大きすぎると、VAモードの光学補償において、第2の光学異方性層に求められるRthが小さくなり、それに伴い、第2の光学異方性層は、Rthについて急峻な順分散性が要求されることになる。第2の光学異方性層に要求される特性のポリマーフィルムを作製する場合は、製造適性の観点から、ポリマーフィルムにはRthの順分散性の程度にある程度の限界がある。その点を考慮すると、第2光学異方性層のRthに求められる順分散性の程度が大きくなり過ぎないように、第1光学異方性層のNz値は、10以下とするのが好ましく、5以下とするのがより好ましく、4.7以下とするのがさらにより好ましい。
(第1の光学異方性層のNz調整方法)
第1の光学異方性層のNzを調整する方法は、第1の光学異方性層の材料等に応じて異なる。第1の光学異方性層をセルロースアシレートフィルムから作製する場合は、Nzを上げる方法の例としては、後述する一般式(A)で表される化合物を添加する、その添加量を増加する、セルロースアシレートの置換度を下げる、延伸倍率を下げるなどの方法がある。一方、Nzを下げる方法の例としては、後述する一般式(A)で表される化合物の添加量を減少させる、セルロースアシレートの置換度を上げる、延伸倍率を上げるなどの方法がある。
[第2の光学異方性層]
本発明の液晶表示装置は、前記第1の光学異方性層と組み合わせて、Nz値が比較的大きい値を有する第2の光学異方性層を用いるのが好ましく、具体的には、第2の光学異方性層は、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満たす。第2の光学異方性層は、|Rth(550)/Re(550)|>15を満足しているのがより好ましい。また、|Re(550)|は、小さいほど好ましい。この光学特性を満足する第2の光学異方性層により、図4に示す偏光状態の変換が可能となる。
前記第2の光学異方性層のRthの波長分散性については特に制限されず、下記式(4)を満足する逆分散性であっても、下記式(5)を満足する順分散性であってもよい。中でも、下記式(5)を満足するRthが順分散性を示す第2の光学異方性層を用いるのがより好ましい。
式(4) Rth(630)-Rth(450)>0
式(5) Rth(630)-Rth(450) ≦0
[第1及び第2の光学異方性層の作製]
前記第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の材料については特に制限されない。第1及び第2の光学異方性層がポリマーフィルムである又はポリマーフィルムを含んでいると、偏光子と貼り合わせることができる。また、単独の部材として、例えば、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込むことができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
本発明において、第1及び第2の光学異方性層の形成に用いるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.50〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.70〜2.97がさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造されるのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
[Re発現剤]
第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Re発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。
第1の光学異方性層として利用するセルロースアシレートフィルムは、Re発現剤として、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも一種を含有していてもよい。
Figure 2009048157
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(A)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(B)で表される化合物が好ましい。
Figure 2009048157
一般式(B)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(A)又は(B)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 2009048157
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(A)又は(B)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(A)又は(B)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 2009048157
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Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
前記一般式(A)又は(B)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2009048157
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物を、前記Re発現剤として用いてもよい。
また、Re発現剤として、一種の化合物を単独で、又は二種類以上の化合物を混合して用いることができる。Re発現剤として互いに異なる二種類以上の化合物を用いると、レターデーションの調整範囲が広がり、容易に所望の範囲に調整できるので好ましい。
前記Re発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、前記Re発現剤を、ドープ中に添加してもよい。添加はいずれのタイミングで行ってもよく、例えば、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
また、前記第1の光学異方性層用のフィルムの作製にはRe発現剤として2種以上の化合物を用いてもよい。特に、前記一般式(A)で表される液晶性化合物とともに、下記一般式(a)で表される棒状化合物をRe発現剤として用いるのが好ましい。前記一般式(A)で表される化合物の割合が、化合物(A)と化合物(a)の総質量に対して10%〜90%であることが好ましく、20%〜80%であることがさらに好ましい。
一般式(a):Ar1−L12−X−L13−Ar2
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、芳香族基であり;L12及びL13はそれぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−基であり;Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
上記一般式(a)において、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L12およびL13は、それぞれ独立に、−O−CO−または−CO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基および置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基および置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましく、窒素原子または硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N’−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)および非芳香族性複素環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
置換アリール基および置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基およびアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分およびアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基および非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分およびアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基およびアルコキシ基が好ましい。
一般式(a)において、L12およびL13は、それぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−およびそれらの組合せからなる基より選ばれる二価の連結基である。
一般式(a)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基またはエチニレン基である。
以下に、一般式(a)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
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Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2009048157
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)および(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。
棒状化合物は、文献記載の方法により合成できる。文献としては、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J. Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。
Re発現剤をポリマーを上回る高い配向度で配向させることにより、高Reを付与することができる。このためには、Re発現剤が液晶性を有することが好ましい。Re発現剤として利用する前記液晶性化合物は、所望により添加される他の添加剤とともに、ポリマー組成物(好ましくはセルロースアシレート組成物)中に添加する。より具体的には、Re発現剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、ポリマー溶液(好ましくはセルロースアシレート溶液)中に添加する。全添加剤に対する液晶性化合物の質量比は40〜100質量%が好ましく、50〜100質量%がさらに好ましい。また、前記液晶性化合物の添加量は、0.1〜30質量%であるのが好ましく、0.5〜20質量%がさらに好ましく、1〜10質量%がよりさらに好ましい。
[フィルムの延伸処理]
本発明において、第1の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルムは延伸処理を行い製造されることが好ましい。延伸方向は幅方向及び長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、(フィルムのガラス転移温度+20℃)以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くすると、フィルムを長手方向に延伸できる。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによっても、フィルムを幅方向に延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
溶剤を含有した状態のフィルムを延伸する方法も好ましく用いることができる。この場合、フィルム中の溶剤含量はフィルム中の全固形分に対して、0質量%以上100質量%以下が好ましく、5質量%以上80質量%以上がさらに好ましい。溶剤を含有した状態でフィルムを延伸することにより、フィルムの実効ガラス転移温度が低下し、より低い延伸温度で破断することなく所望の延伸倍率でフィルムを延伸することが可能となる。
フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。特に、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%である。延伸速度は1%/分〜100%/分が好ましく、5%/分〜80%/分がさらに好ましく、10%/分〜60%/分がよりさらに好ましい。
また、前記延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸した後に、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下緩和工程)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%がよりさらに好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がより好ましい。
緩和工程の延伸倍率及び時間を、上記範囲にすることにより、レターデーション発現剤の配向度が高まり、高レターデーションで且つ正面および膜厚方向のレターデーションの変動が小さいセルロースアシレートフィルムが得られる。
[フィルム物性]
次に、本発明において、第1の光学異方性層に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムの物性について説明する。
(ヘイズ)
前記セルロースアシレートフィルムのヘイズは、0.01%以上〜0.8%以下であることが好ましい。より好ましくは0.05%以上0.6%以下である。ヘイズが0.8%を越えると液晶表示装置のコントラストの低下する傾向がある。ヘイズが低いほど光学的性能が優れるが、原料選択や製造管理も考慮すると上記範囲が好ましい。
前記一般式(A)で表されるRe発現剤は、フィルムの延伸処理を行っても、フィルムのヘイズが上昇し難く、特に好ましい。
なお、ヘイズの測定は、フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定することができる。
(透過率)
フィルムの透過率は、試料13mm×40mmを、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、測定することができる。本発明において、第1の光学異方性層に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムの波長380nmにおける透過率は、10%以下が好ましく、5%以下がさらに好ましく、1%以下がよりさらに好ましい。また、波長430nmにおける透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がさらに好ましく、90%以上がよりさらに好ましい。前記範囲に透過率を制御することにより、該光学異方性層を組み込んだ液晶表示の視角による色味変化を軽減することができる。
(弾性率、破断点伸度)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムの弾性率は2000MPa以上6000MPa以下が好ましく、3000MPa以上5500MPa以下がさらに好ましい。また、搬送方向(以下、「MD方向」と称することがある)に対するこれと垂直方向(以下、「TD方向」と称することがある)の弾性率の比(TD/MD)は、0.1以上10以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
また、破断点伸度は、3%以上50%以上が好ましく、5%以上40%以下さらに好ましい。またMD方向に対するTD方向の破断点伸度の比(TD/MD)は、0.1以上50以下が好ましく、0.5以上20以下がさらに好ましい。
弾性率、破断点伸度は、フィルム試料10mm×150mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ―R2(東洋精機製))で、チャック間距離50mm、温度25℃、延伸速度10mm/分で行うことより求めることができる。
弾性率および破断点伸度を上記範囲に制御することにより、偏光板加工適性に優れ、かつ液晶表示装置に組み込んで長時間連続点灯使用しても、ムラが生じ難いという特長が得られる。
(摩擦係数)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムの静摩擦係数は、0.1以上3.0以下が好ましく、0.2以上2.0以下がより好ましい。また、動摩擦係数は0.05以上2.5以下が好ましく、0.1以上1.5以下がより好ましい。静摩擦係数および動摩擦係数を上記範囲に制御することにより、長尺ロールを安定に製造することができる。
なお、フィルムの摩擦係数はJIS−K−7125(1987)に準じ、フィルムの表裏面が接触するように切り出し、200gの重りを載せ、サンプル移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で重りを水平に引っ張り、重りが移動する前の最大荷重(Fs)および重りが移動中の平均荷重(Fd)を測定し、下記式より静摩擦係数および動摩擦係数(μm)を求める。
静摩擦係数=Fs(gf)/重りの重さ(gf)
動摩擦係数=Fd(gf)/重りの重さ(gf)
(カール)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムは、湿度によるカール変化が小さいことが好ましい。前記セルロースアシレートフィルムの相対湿度1%あたりのカール値変化は0.02以下が好ましく、0.015以下がさらに好ましく、0.010以下がよりさらに好ましい。相対湿度1%あたりのカール値変化を上記範囲にすることにより偏光板加工後に使用環境湿度変化による変形が小さくなり、液晶表示装置の使用環境の変化に伴う光漏れを防止することができる。
なお、カール度の測定は該フィルムを幅手方向50mm、長手方向2mmに切断し、所定の湿度で24時間調湿し、曲率スケールを用いて該フィルムのカール値を測定することにより求めることができる。カール値は1/Rで表され、Rは曲率半径で単位はmを用いる(JIS K7619参照)。
湿度によるカール変化はフィルム中の添加剤濃度分布を調節することにより制御することができる。添加剤の濃度分布は以下の方法により測定することができる。
延伸前のフィルムのxz平面と平行な断面について、製膜時の支持体側から空気界面側にかけて5等分してそれぞれの箇所を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で測定する。セルロースアシレートの分解物由来の正イオンピークm/Z=109(C652 +)と、添加剤の(分子+H+)イオンのピークとの強度比をとることにより、添加剤濃度分布を求める。
前記一般式(A)で表されるRe発現剤は、後述する一般式(I)で表されるRth発現剤よりも製膜時の支持体側の濃度が高くなる特徴を有しており、両者を併用すると添加剤のフィルム厚み方向における濃度分布の調節が容易となり、湿度によるカール変化を低減する上で特に好ましい。
(ガラス転移温度)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(以下Tgと称す場合がある)は、130℃以上200℃以下が好ましく、150℃以上180℃以下がさらに好ましい。セルロースアシレートフィルムのガラス転移温度を上記範囲に制御することによる熱による寸度変化が小さく、かつ加工適性に優れたフィルムが得られる。
なお、フィルムのTgは以下の方法により測定できる。フィルム試料5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に、動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定する。縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引く。この直線1と直線2の交点は、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度、即ち、ガラス転移領域に移行し始める温度であり、これをガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とする。
(熱膨張係数)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムの熱膨張係数は10ppm/℃以上100ppm/℃以下が好ましく、15ppm/℃以上80ppm/℃以下がさらに好ましく、20ppm/℃以上60ppm/℃以下がよりさらに好ましい。熱膨張係数が前記範囲となることにより、光学異方性層が組み込まれた液晶表示装置を連続点灯した場合の、表示ムラの発生を抑制できる。
なお、フィルムの熱膨張係数は熱機械測定装置で一定荷重で昇温させた場合の温度あたりの寸度変化として測定することができる。
(寸度変化)
本発明において、第1の光学異方性層に用いられるセルロースアシレートフィルムの寸度変化率は、小さいのが好ましい。具体的には、60℃90%RH100時間処理前後での寸度変化率は0.10%以下が好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。また、80℃10%RH24時間処理前後での寸度変化率は0.10%以下が好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。また、MD方向に対するTD方向の寸度変化率の絶対値の比(MD/TD)は0.1以上100以下が好ましい。寸度変化率を上記範囲にすることにより偏光板加工後に使用環境湿度変化による変形が小さくなり、液晶表示装置の使用環境の変化に伴う光漏れが防止することができる。
なお、寸度変化率は、以下のようにして算出することができる。まず、フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃、60%RHで24時間調湿し、ピンゲージ(ミツトヨ(株)製 EF−PH)にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とする。1枚の試料をESPEC製 temp. & humid. Chamber PR−45にて、60℃90%RH24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定し、もう1枚の試料をヤマト製 constant temperature oven DN64にて、80℃10%RH24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定する。なお、本発明における寸度変化率は、すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した値とする。下記式によりそれぞれの条件における寸法変化率を求めることができる。
60℃90%RHでの寸法変化率={(L0−L1)/L0}×100
80℃10%RHでの寸度変化率={(L0−L2)/L0}×100
(膜厚変動)
本発明において、第1の光学異方性層に使用されるセルロースアシレートフィルムは、平面性に優れているのが好ましい。具体的には、膜厚の最大高低差(P−V値)が1μm以下あり、且つ下記式で表される膜厚のRMS値が0.07μm以下であることが好ましい。膜厚のP−V値は、0.8μm以下であるのがより好ましく、0.6μm以下であるのがさらに好ましく、0.4μm以下であるのがよりさらに好ましい。また、膜厚のRMS値は、0.06μm以下であるのがより好ましく、0.05μm以下であるのがよりさらに好ましく、0.04μm以下であるのがよりさらに好ましい。前記範囲のP−V値及びRMS値を有するフィルムは、平面性に優れ、偏光板等に貼り合わせる際に、ムラが生じ難く、かかるフィルムを用いると、ムラのないパネルを提供することができる。
Figure 2009048157
なお、膜厚の最大高低差(P−V値)および膜厚のRMS値は、FUJINON 縞解析装置(FX−03)により測定できる。測定面積はφ=60mmの範囲とする。
(配向角度変動)
本発明において、第1の光学異方性層に使用されるセルロースアシレートフィルムは、60mm×60mmの範囲内における配向角分布の最大値と最小値の差が、0.40度以下であることが好ましく、より好ましくは0.30度以下であり、さらに好ましくは0.20度以下であり、よりさらに好ましくは0.10度以下である。このように、微小領域における配向角分布を改良したフィルムは、クロスニコル観察時におけるムラを著しく軽減することができ、かかるフィルムを用いるとムラのないパネルを提供することができる。
なお、本発明において「配向角度」とは、フィルム面内の特定方向を基準として、これとポリマーフィルムの配向方向の角度を指すものではない。しかし「配向角度の最大値と最小値の差」という言う場合においては、任意ではあるが共通の方向を基準とし、これとポリマーフィルムの配向方向とのなす角度の最大値と最小値の差を意味するものであるため、一義的にその値を決定することができる。
また、本発明においてポリマーフィルムの配向角分布は、OPTIPRO(XY走査ステージ、ハロゲンランプ光+550nm干渉フィルター)により測定する。この時測定面積は60mm×60mmとし、口径3mmのビームを用いて4mm間隔で測定を行う。
(光弾性係数)
本発明において、第1の光学異方性層に使用されるセルロースアシレートの光弾性係数は、搬送方向およびこれと垂直な方向ともに、25×10-8cm2/N以下が好ましく、18×10-8cm2/Nがさらに好ましい。光弾性係数はエリプソメーターにより求めることができる。光弾性係数を上記範囲に制御することにより、光学異方性層をくみこんだ液晶表示装置を連続点灯した場合の表示ムラを防止することができる。
[Rth発現剤]
第2の光学異方性層としての条件を満足するフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を作製するために、フィルム中に、Rth発現剤を添加するのが好ましい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 2009048157
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
前記Rth発現剤としては下記一般式(III)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(III)の化合物に関して詳細に説明する
Figure 2009048157
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)におけるR2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR4として好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(III)におけるR5として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐又は環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 2009048157
一般式(III)におけるAr1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表す。
一般式(III)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(III)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、又は2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基及びこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明における一般式(III)で表される化合物において、Ar1はL1及びL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、及びL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが特に好ましい。
一般式(III)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(III)で表される化合物としては、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
Figure 2009048157
一般式(IV)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(IV)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2009048157
一般式(V)中、R2、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R14は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
Figure 2009048157
一般式(V−A)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―A)中、R2、R5、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Figure 2009048157
一般式(V−B)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―B)中、R2、R5、R11、R13、R14、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)及び(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R2、R5がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−又はNR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
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一般式(III)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(III)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 2009048157
式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R2、R13、及びR5は先に記載した通りであり、R4は水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。
Figure 2009048157
式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R2、R13、R4、R5、Ar1、及びL1は先に記載した通りである。
Figure 2009048157
式中、B及びB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2及びL2は先に記載したAr1、L1と同義である。
上記一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
第2の光学異方性層に用いるRth発現剤として、下記式(X)で表される化合物を用いるのも好ましい。下記式(X)で表される化合物はRthを発現させるとともに、発現されたRthは順分散波長依存性を示す。
Figure 2009048157
式中、nは1または2の整数を示す。R1とR2は各々水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を表し、さらにR1とR2は互いに同一もしくは異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない、さらにR1とR2は結合して一体化してもよくその場合は環状アミノ基を形成するのに必要な原子段を表す。R3はカルボキシル基、−COOR5、−COR5、または−SO25を表し、R4はカルボキシル基、−COOR6、または−COR6を表し、R5とR6は各々炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を表し、さらにR5とR6は結合してもよく、一体化した場合は、1,3−ジオキソシクロヘキサン、バルビツール酸、1,2−ジアザ−3,3−ジオキサンシクロペンタンまたは2,4−ジアゾ−1−アルコキシ−3,3−ジオキソシクロヘキサンの核を形成するに必要な原子団を表す。nが2のときは、R1、R2、R6の少なくとも1つがアルキレン基又はアリーレン基を表し、二量体を形成してもよい。
1及びR2がそれぞれ表す炭素数1〜20のアルキル基は、置換されていてもよく、また炭素鎖中に不飽和結合を有していてもよい。その具体例には、メチル基、エチル基、ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、エイコシル基、メトキシエチル基、エトキシプロピル基、2−エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、クロロプロピル基、N,N−ジエチルプロピル基、シアノエチル基、フエネチル基、ペンチル基、p−t−ブチルフエネチル基、p−t−オクチルフェノキシエチル基、3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−フリルエチル基等が含まれる。また、R1及びR2がそれぞれ表す炭素数6〜20のアリール基は、置換されていてもよく、その具体例には、トリル基、フェニル基、アニシル基、メシチル基、クロロフェニル基、2,4−ジ−tert−アミルフェニル基、ナフチル基等が含まれる。但しR1とR2は同時に水素原子とはなり得ない。さらにR1とR2は結合して一体化してもよく、その場合は環状アミノ基(例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ピペラジノ基等)を形成するのに必要な原子団を表す。
3はカルボキシル基、−COOR5、−COR5、または−SO25を表し、R4はカルボキシル基、−COOR6、または−COR6を表す。R5とR6は各々アルキル基、アリール基を表し、それぞれR1又はR2が表すアルキル基及びアリール基と同意義である。さらにR5とR6は結合してもよく、一体化した場合は、1,3−ジオキソシクロヘキサン環(例えば、ジメドン、1,3−ジオキソ−5,5−ジエチルシクロヘキサン等)、1,3−ジアザ−2,4,6−トリオキソシクロヘキサン環(例えばバルビルール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1−フェニルバルビツール酸、1−メチル−3−オクチルバルビツール酸、1−エチル−オクチルオキシカルボニルエチルバルビツール酸等)、1,2−ジアザ−3,5−ジオキソシクロペンタン環(例えば、1,2−ジアザ−1,2−ジメチル3,5−ジオキソシクロペンタン、1,2−ジアザー1,2−ジフェニル−3,5−ジオキソシクロペンタノン等)、または2,4−ジアザ−1−アルコキシ−3,5−ジオキソシクロヘキセン環(例えば、2,4−ジアザ−1−エトキシ−4−エチル−3,5−ジオキソシクロヘキセン、2,4−ジアザ−1−エトキシ−4−(3−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)プロピル)−3,5ジオキソシクロヘキセン等)を形成する必要な原子団を表す。
nが2のときは、R1、R2、R6の少なくとも1つがアルキレン基又はアリーレン基を表し、二量体を形成してもよい。
一般式(X)において特に好ましいのは、下記一般式(XI)で表される化合物である。
Figure 2009048157
式中、R1、R2、R4は前記一般式(X)中のそれぞれと同義である。R7は−COOR6、または−SO26を表し、R6は前記一般式(X)中のそれと同義である。
以下に前記一般式(X)で表される化合物の具体例を列挙するが、これらに限定されるものではない。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
前記Rth発現剤として、前記一般式(I)、(III)〜(V)又は(X)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(III)〜(V)で表されるRth発現剤の併用も好ましい。
前記第2の光学異方性層として使用されるフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤としても機能し得るし、及び/又は波長分散調製剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記第2の光学異方性層として用いるセルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
[波長分散調整剤]
また、第2の光学異方性層としての条件を満足するフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を作製するために、フィルム中に、波長分散調整剤を添加してもよい。波長分散調製剤としては、上記前記紫外線吸収剤を利用することができる。
[可塑剤]
前記第1及び第2の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルム中には、トリフェニルホスフェート、ビフェニルホスフェート等の可塑剤を添加してもよい。
[液晶組成物]
前記第2の光学異方性層は、液晶組成物から形成された層であってもよいし、かかる層とポリマーフィルムとの積層体であってもよい。前記液晶組成物は少なくとも1種の液晶性化合物を含有する。該液晶性化合物は、分子構造が円盤状であるディスコティック液晶から選択されるのが好ましい。該ディスコティック液晶の好ましい化合物例には、特開2001−27706号公報に記載の化合物が含まれる。
前記液晶組成物は、硬化性の組成物であるのが好ましく、重合反応により硬化して層となるために、重合性成分を含有しているのが好ましい。液晶性化合物そのものが重合性であっても、別途重合性モノマーを添加してもよいが、液晶性化合物そのものが重合性であるのが好ましい。また、前記硬化性液晶組成物は、所望により、重合開始剤、配向制御剤、界面活性剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
前記第2の光学異方性層は、硬化性液晶組成物を塗布液として調製し、ポリマーフィルム等からなる支持体の表面又は配向膜の表面に塗布し、液晶性化合物の分子、好ましくは円盤状分子、を所望の配向状態にした後、光照射及び/又は加熱により、重合を開始させて、かかる配向状態に分子を固定して形成することができる。前記第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するためには、円盤状分子をホメオトロピック配向状態、即ち、その円盤面の光軸と層面とのなす角が直交する配向状態、に固定して、第2の光学異方性層を形成するのが好ましい。
前記第2の光学異方性層を硬化性液晶組成物から形成する場合は、ポリマーフィルム等の支持体上に形成するのが一般的である。支持体であるポリマーフィルムの複屈折性を積極的に利用して、積層体として第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であっても、また支持体にはレターデーションがほぼ0のフィルム(例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等)を用いて、前記硬化性液晶組成物からなる層のみで、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足する態様であってもよい。
[光学補償フィルム]
また、本発明において、前記第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層は、光学補償フィルムとして、液晶表示装置に組み込まれていてもよい。前記第1の光学異方性層として用いられる光学補償フィルムは、上記したセルロースアシレートフィルムであるのが好ましく、Re発現剤の少なくとも一種を含有するセルロースアシレートフィルムであるのがより好ましい。また、前記第2の光学異方性層として用いられる光学補償フィルムは、上記したセルロースアシレートフィルムであるのが好ましく、Rth発現剤の少なくとも一種を含有するセルロースアシレートフィルムであるのがより好ましい。また、本発明に用いられる光学補償フィルムは、膜厚が30〜200μmであるのが好ましい。
一般的に、大画面表示装置において、斜め方向のコントラストの低下及び色味付きが顕著となるので、本発明の光学補償フィルムは、特に大画面液晶表示装置に用いるのに適している。大画面用液晶表示装置用の光学補償フィルムとして用いる場合は、例えば、フィルム幅を1470mm以上として成形するのが好ましい。また、前記光学補償フィルムは、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられたフィルムを、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片であってもよい。ロール状に巻き上げられたフィルムは、その状態で保管・搬送等され、実際に液晶表示装置に組み込む際や偏光子等と貼り合わされる際に、所望の大きさに切断されて用いられる。また、同様に長尺状に作製されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子等と、長尺状のまま貼り合わされた後に、実際に液晶表示装置に組み込む際に、所望の大きさに切断されて用いられる。ロール状に巻き上げられた光学補償フィルムの一態様としては、ロール長が2500m以上のロール状に巻き上げられた態様が挙げられる。
[偏光板]
また、本発明では、第1及び/又は第2の光学異方性層は、偏光子の保護フィルムであってもよい。例えば、偏光子と、その片面に前記光学補償フィルムとを有する偏光板を、前記光学補償フィルムを液晶セル側にして配置してもよい。該偏光板は、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた偏光板(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)を、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片であってもよい。大画面液晶表示装置用とするためには、上記した通り、偏光板の幅は1470mm以上とする。
図8(a)及び(b)に、本発明に使用可能な偏光板の一態様の断面模式図をそれぞれ示す。図8(a)に示す偏光板は、ヨウ素や二色性色素によって染色されたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子11と、その一方の面に、保護フィルムとして配置された光学補償フィルム14と、その他方の面に、保護フィルム16とを有する。光学補償フィルム14は、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足する。この偏光板を液晶表示装置に組み込む際は、光学補償フィルム14を、液晶セル側にして配置するのが好ましい。
保護フィルム16は、より外側に配置されるので、低透湿性の材料を用いるのが耐久性の点で好ましい。具体的には、透湿度が300g/(m2・day)以下のフィルムを用いるのが好ましく、100g/(m2・day)以下のフィルムを用いるのがより好ましい。透湿度の下限値については特に制限されないが、一般的には、フィルムの透湿度は、10g/(m2・day)程度が下限である。かかる特性を示す保護フィルムとしては、ノルボルネン系ポリマーフィルムが好ましく、市販品であるゼオノアフィルム等を用いることができる。ここで、フィルム透湿度は40℃60%RHで測定された値のことを示す。詳細はJIS0208に記載されている。
なお、透湿度が低いフィルムが偏光子との接着性が低い等の理由により、図8(b)に示す通り、偏光子11と低透湿性のフィルム16との間に、偏光子11の保護フィルム16’を別途配置してもよい。保護フィルム16’としては、セルロースアシレートフィルムが好ましい。
なお、偏光子11と光学補償フィルム14との間にも、別途偏光子を保護する機能を有する保護フィルムを配置してもよいが、かかる保護フィルムが光学補償能を低下させないように、レターデーションがほぼ0であるフィルム、例えば、特開2005−138375に記載のセルロースアシレートフィルム等、を用いるのが好ましい。
[液晶表示装置]
本発明は、VAモード等の垂直配向モードの液晶表示装置に適用するのが好ましい。本発明の液晶表示装置の一態様は、VAモードの液晶表示装置であり、VAモードの液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを有し、一方の偏光板として、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足するフィルムを保護フィルムとして有する偏光板を備えた液晶表示装置である。この偏光板(以下、「第1の偏光板」という)と組み合わせて用いる偏光板(以下、「第2の偏光板」という)は、例えば、偏光子と、その一方の面に前記第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足するフィルムを保護フィルムとして有する偏光板である。前記第1の光学異方性層は、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足しているとともに、偏光子を保護する機能を有する層であるのが好ましく、かかる観点から、前記第1の光学異方性層はセルロースアシレートフィルムからなるのが好ましく、Re発現剤を含有するセルロースアシレートフィルムからなるのがより好ましい。前記第2の偏光板は、前記第2の光学異方性層を液晶セル側にして配置される。前記第2の光学異方性層は、第2の光学異方性層に要求される光学特性を満足しているとともに、偏光子を保護する機能を有する層であるのが好ましく、かかる観点から、前記第2の光学異方性層はセルロースアシレートフィルムからなるのが好ましく、Rth発現剤を含有するセルロースアシレートフィルムからなるのがより好ましい。前記第2の光学異方性層を硬化性液晶組成物から形成してもよく、かかる場合は、セルロースアシレートフィルム等のポリマーフィルムを偏光子の保護フィルムとして配置し、該ポリマーフィルムを支持体として、該支持体上に前記硬化性液晶組成物からなる第2の光学異方性層を形成してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
・実施例1
[本発明の光学補償フィルム(第1光学異方性層用フィルム)101〜105、及び107〜111の作製]
表1中に記載の割合となるように、各成分を混合して、セルロースアシレート溶液をそれぞれ調製した。各セルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後、表1に記載の条件でそれぞれ延伸した。延伸後、乾燥して、表1中に記載の厚みのセルロースアシレートフィルム101〜105及び107〜111を、それぞれ作製した。
[比較例用光学補償フィルム(比較例用第1光学異方性層用フィルム)106の作製]
市販されているノルボルネン系ポリマーフィルム“ZEONOR”(日本ゼオン製)を、表1中に記載の条件で延伸して、ノルボルネン系フィルム106を作製した。
作製した各フィルムについて、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長450nm、550nm、630nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。表2中に、各波長におけるRe及びRth、波長550nmにおけるNz値、ならびに上記式(3)の下限値及び上限値を併せて示す。下記表2に示す通り、フィルム101〜105、107〜111はいずれも第1光学異方性層に要求される光学的二軸性、並びにRe及びRthが逆波長分散性を示す光学補償フィルムであるが、フィルム106は、Re及びRthが順波長分散性であるので、第1の光学異方性層に要求される特性を満足していない光学補償フィルムであることが理解できる。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
[フィルム物性の測定]
(ヘイズ)
試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
(透過率)
フィルム試料13mm×40mmについて、25℃,60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、波長380nmおよび430nmの透過率を測定した。
(弾性率、破断点伸度)
弾性率、破断点伸度、および破断強度は、フィルム試料10mm×150mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ−R2(東洋精機製))で、チャック間距離50mm、温度25℃、延伸速度10mm/分で測定することにより求めた。
(摩擦係数)
JIS−K−7125(1987)に準じ、フィルムの表裏面が接触するように切り出し、200gの重りを載せ、サンプル移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で重りを水平に引っ張り、重りが移動する前の最大荷重(Fs)および重りが移動中の平均荷重(Fd)を測定し、下記式より静摩擦係数および動摩擦係数(μm)を求めた。
静摩擦係数=Fs(gf)/重りの重さ(gf)
動摩擦係数=Fd(gf)/重りの重さ(gf)
(カール)
フィルムを幅手方向50mm、長手方向2mmに切断し、所定の湿度で24時間調湿し、曲率スケールを用いて該フィルムのカール値を測定した。カール値は1/Rで表した。
(フィルムの厚み方向における添加剤の濃度分布の測定)
延伸前のフィルムのxz平面と平行な断面について、製膜時の支持体側から空気界面側にかけて5等分してそれぞれの箇所を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で測定した。セルロースアシレートの分解物由来の正イオンピークm/Z=109(C652 +)と、添加剤の(分子+H+)イオンのピークとの強度比を求めた。なお、測定箇所は、製膜時の支持体側に近い側からB1、B2、CT、A2、A1とした。これらの測定箇所は、フィルムの厚み方向において均等な間隔を有する。CTの強度比に対する強度比を下記表に示した。
(ガラス転移温度)
フィルム試料5mm×30mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後に動的粘弾性測定装置(バイブロン:DVA-225(アイティー計測制御株式会社製))で、つかみ間距離20mm、昇温速度2℃/分、測定温度範囲30℃〜200℃、周波数1Hzで測定した。縦軸に対数軸で貯蔵弾性率、横軸に線形軸で温度(℃)をとった時に、貯蔵弾性率が固体領域からガラス転移領域へ移行する際に見受けられる貯蔵弾性率の急激な減少を固体領域で直線1を引き、ガラス転移領域で直線2を引いた。
この直線1と直線2の交点は、昇温時に貯蔵弾性率が急激に減少しフィルムが軟化し始める温度すなわち、ガラス転移領域に移行し始める温度であり、これをガラス転移温度Tg(動的粘弾性)とした。
(熱膨張係数)
フィルムの熱膨張係数はティー・エイ・インスツルメント社製TMA2940、荷重0.04Nで30℃より80℃まで3℃/分の昇温させ、1℃あたりの寸度変化を測定した。
(寸度変化)
透明フィルム試料30mm×120mmを2枚用意し、25℃60%RHで24時間調湿し、ピンゲージ(ミツトヨ(株)製 EF−PH)にて、両端に6mmφの穴を100mmの間隔で開け、パンチ間隔の原寸(L0)とする。1枚の試料をESPEC製 temp. & humid. Chamber PR−45にて、60℃90%RH24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L1)を測定し、もう1枚の試料をヤマト製 constant temperature oven DN64にて、80℃10%RH24時間処理した後のパンチ間隔の寸法(L2)を測定した。なお、本発明における寸度変化率は、すべての間隔の測定において最小目盛り1/1000mmまで測定した値とした。下記式によりそれぞれの条件における寸度変化率を求めた。
60℃90%RHの寸法変化率={(L0−L1)/L0}×100
80℃10%RHの寸法変化率={(L0−L2)/L0}×100
(膜厚変動)
膜厚の最大高低差(P−V値)および膜厚のRMS値は、FUJINON 縞解析装置(FX−03)により面積はφ=60mmの範囲を測定して求めた。
(配向角度分布)
フィルムの配向角分布は、OPTIPRO(XY走査ステージ、ハロゲンランプ光+550nm干渉フィルター)により測定した。この時測定面積は60mm×60mmとし、口径3mmのビームを用いて4mm間隔で測定を行った。
(光弾性係数)
フィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引っ張り応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター(M150、日本分光(株))で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
式:光弾性係数=レターデーション変化量/応力変化量。
作製したフィルム104、108及び109について、上記フィルム物性の測定結果を、下記表3に示す。
Figure 2009048157
[本発明の偏光板101〜105、及び107〜111の作製]
上記で作製した各光学補償フィルム(第1光学異方性層用フィルム)の表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した各ポリマーフィルムと、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士フイルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、各光学補償フィルム(第1の光学異方性層)とTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板101〜105、および107〜111をそれぞれ得た。この際、各光学補償フィルムのMD方向およびTD80ULの遅相軸が、偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
[比較例用偏光板106の作製]
光学補償フィルム106の表面に12W・分/m2の条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。また、ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル(株)製、タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製、タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
上記で表面処理した光学補償フィルム106に上記接着剤溶液を塗布した後、鹸化処理済みのフジタックTD80UL(富士フイルム社製)とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板106を作製した。
[第2の光学異方性層用フィルム201〜205、および210〜213の作製]
下記表4中に記載の割合となるように、各成分を混合して、セルロースアシレート溶液をそれぞれ調製した。各セルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後、それぞれ延伸した。なお、下記表中、TD方向とは、搬送方向と直交する方向を意味する。延伸後、乾燥して、下記表中に記載の厚みのセルロースアシレートフィルム201〜205、および210を、それぞれ作製した。
[第2の光学異方性層用フィルム206〜208]
また、市販のTD80UL(富士フイルム社製)、TF80UL(富士フイルム社製)、及びTVD80SLD(富士フイルム社製)を、それぞれ第2の光学異方性層用ポリマーフィルム206〜208として用いた。
作製した各フィルムについて、上記方法により自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて波長450nm、550nm、630nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めた。下記表5中に、各波長におけるRe及びRthをそれぞれ示す。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
[第2光学異方性層用フィルム214の作製]
<セルロースアシレートフィルム(支持体1)の作製>
(セルロースアシレート溶液Aの調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液Aを調製した。
セルロースアセテート溶液Aの組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第一溶媒) 402.0質量部
メタノール(第二溶媒) 60.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
マット剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第一溶媒) 76.3質量部
メタノール(第二溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート溶液A 10.3質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液を調製した。
添加剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――
下記のレターデーション低下剤 49.3質量部
下記の波長分散調整剤 4.9質量部
メチレンクロライド(第一溶媒) 58.4質量部
メタノール(第二溶媒) 8.7質量部
セルロースアセテート溶液D 12.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2009048157
Figure 2009048157
(セルロースアセテートフィルムの作製)
上記セルロースアセテート溶液Aを94.6質量部、マット剤溶液を1.3質量部、添加剤溶液4.1質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でレターデーション低下剤および波長分散調整剤のセルロースアセテートに対する質量比はそれぞれ12%、1.2%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させ、厚さ80μmの長尺状のセルロースアセテートフィルム(支持体1)を製造した。得られたフィルムの面内レターデーション(Re)は1nm、厚み方向のレターデーション(Rth)は3nmであった。
また、|Re(400)−Re(700)|は 4nmであり、|Rth(400)−Rth(700)|は12nmであった。
(配向膜の形成)
支持体1の表面をケン化後、そのケン化面に下記の組成の配向膜塗布液をワイヤーバーコーターで20ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、膜を形成した。次に、形成した膜にフィルムの遅相軸方向と平行の方向にラビング処理を施して配向膜を形成した。
配向膜塗布液の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
化合物B 0.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(光学異方性層の形成)
次に、下記の組成の光学異方性層塗布液を、ワイヤーバーで硬化後の厚さ方向のRthが100nmとなるように塗布した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記の円盤状液晶性化合物 1.8g
エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 0.2g
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 0.06g
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 0.02g
含フッ素ポリマー(下記の化合物A) 0.01g
メチルエチルケトン 3.9g
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
これを金属の枠に貼り付けて、125℃の恒温槽中で3分間加熱し、円盤状液晶性化合物を配向させた。次に、120W/cm高圧水銀灯を用いて、30秒間UV照射し円盤状液晶性化合物を架橋した。UV硬化時の温度を80℃として、位相差膜を得た。光学異方性層の厚さは、1.4μmであった。その後、室温まで放冷した。このようにして、第2光学異方性層用フィルム214を製作した。このフィルムの光学特性を下記表5に他のフィルムの光学特性とともに示す。
Figure 2009048157
Figure 2009048157
Figure 2009048157
[偏光板201〜208、210〜214の作製]
上記で作製した各ポリマーフィルム(第2の光学異方性層用フィルム)の表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した各ポリマーフィルムと、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士フイルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、各ポリマーフィルム(第2の光学異方性層)とTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板201〜208、および210〜214をそれぞれ得た。この際、各ポリマーフィルム及びTD80ULのMD方向が、偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
[液晶表示装置001〜022の作製]
VAモードの液晶TV(LC37−GE2、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して、液晶セルとして用いた。図1の構成で、外側保護フィルム(不図示)、偏光子11及び第1の光学異方性層14として偏光板101〜111のいずれかを、液晶セル13として上記のVA液晶セルを、外側保護フィルム(不図示)、偏光子12及び第2の光学異方性層15として偏光板201〜208及び210〜214のいずれかを用い、下記表6に示す組み合わせで、粘着剤を用いて貼り合わせ、各液晶表示装置を作製した。この際、偏光板101〜111については、光学補償フィルム101〜111が液晶セル13側になるように、かつ、偏光板201〜208、及び210〜214については、フィルム201〜208、及び210〜214が液晶セル13側になるように貼り合わせた。
なお、各光学補償フィルム101〜111の遅相軸は、偏光板101の吸収軸と直交するように貼り合わせた。
[液晶表示装置001〜022の評価]
(パネルの色味視野角評価)
上記作製したVAモードの液晶表示装置001〜022について、図1中の偏光子11側(即ち、偏光板101〜109側)にバックライトを設置し、各々について測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、黒表示におけるカラーシフトおよびコントラスト比を算出した。
(極角方向の黒カラーシフト)
黒表示において、液晶セルの法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向(方位角45度)に視角を倒した場合の色度の変化Δxθ、Δyθは、極角0〜80度の間で、常に下記数式(II)および(III)を満たすことが好ましい。
数式(II): 0≦Δxθ≦0.1
数式(III): 0≦Δyθ≦0.1
[式中、Δxθ=xθ−xθ0、Δyθ=yθ−yθ0であり、(xθ0、yθ0)は黒表示における液晶セル法線方向で測定した色度、(xθ、yθ)は黒表示における液晶セル法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向に極角θ度まで視角を倒した方向で測定した色度]
(方位角方向の黒カラーシフト)
また、液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、さらに前記方向を基点とし該法線を中心として360度回転させて色度を測定した場合における色度変化Δxφ、が、Δyφは方位角0から360度の間で常に下記数式(IV)および(V)を満たすことが好ましい。
数式(IV): −0.02≦Δxφ≦0.1
数式(V): −0.02≦Δyφ≦0.1
[式中、Δxφ=xφ−xφ0、Δyφ=yφ−yφ0であり、(xφ0、yφ0)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒して測定した色度、(xφ、yφ)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、該法線方向を中心として方位角φの方向から測定した色度]
(視野角の評価)
方位角45度・極角60度におけるコントラスト比(CR@φ=45/Θ=60)が大きいほど視野角が広いことを意味する。
結果を下記表6に示す。
Figure 2009048157
なお、ニュートラルグレー(x=0.30、y=0.30)に近い色度座標上においては、Δx<0.01、Δy<0.01の範囲の色差は人間の目では識別できないことが知られている(マクアダムの楕円、参考文献:「色彩光学」大田 登 著 pp.118 図5(4.1)。
上記表に示した結果から、本発明の実施例である液晶表示装置No.001〜011、並びに013〜022は、比較例用の液晶表示装置No.012(第1の光学異方性層フィルムとして、Re及びRthが順波長分散性のセルロースアシレートフィルム(No.106)を用いた液晶表示装置)と比較して、いずれも、斜め方向におけるコントラストが格段に高く、且つ斜め方向から観察した場合に生じる画像の色味つきが軽減されていた。
特に、液晶表示装置No.001〜010、014及び016〜022は、第1の光学異方性層が、上記式(1)〜(3)の全てを満足するセルロースアシレートフィルム(No.101〜105、及び108〜111)をそれぞれ用いているので、コントラストが特に高く、また斜め方向から観察した場合に生じる画像の色味つきが格段に軽減されていることが理解できる。
また、フィルムNo.104及び108をそれぞれ有する液晶表示装置No.006及び014は、フィルムNo.109を有する液晶表示装置No.015と比較して、正面コントラストが高く、且つ斜め方向における色味付きも低く、より優れていた。これは、表3に示したとおり、フィルムNo.104及び108は、ヘイズ値等の種々のフィルム物性が好ましい範囲に調整されているので、より表示特性の改善に寄与したものと考えられる。
・実施例2
[液晶表示装置51〜67の作製]
さらに、実施例1と同様な方法で、ポリマー種、レターデーション発現剤の添加量、延伸温度、延伸倍率等をかえて、種々の第1光学異方性層用フィルム及び第2光学異方性層用フィルムをそれぞれ作製し、それぞれを偏光膜に貼り付けて偏光板を作製し、下記表7に示す本発明のVAモードの液晶表示装置51〜67を同様に作製した。
[液晶表示装置51〜67の官能評価]
作製した液晶表示装置51〜67について以下の官能評価を行って、以下の基準で評価した。
暗室内で黒表示時の斜め方向での光漏れ、カラーシフトの官能評価を行なった。
(光漏れの評価基準)
◎:全ての極角方向、方位角方向で光漏れがほとんど観察されない。
○:極角が60度より大きい領域で、やや光漏れが観察される。
△:極角が60度より小さい領域でも、やや光漏れが観察される。
(カラーシフトの評価基準)
◎:全ての極角方向、方位角方向で色味付きがほとんど観察されない。
○:極角60度方向で、液晶セルの法線を中心として360度回転させた時、やや色味付きが観察される。
△:極角60度方向で、液晶セルの法線を中心として360度回転させた時、色味付 きが観察される。
[液晶表示装置51〜67の詳細な評価結果]
液晶表示装置57:極角60度、方位角45度での光漏れと色味付きは少ないが、浅い観察方位角、深い観察方位角方向での光漏れと色味付きが観察された。
液液晶表示装置58:極角60度、深い観察方位角方向で赤味が観察された。
液液晶表示装置59:青味が観察された
液液晶表示装置60:赤味が観察された
液液晶表示装置63〜67:液晶表示装置51〜62と比較して、光漏れ量が多い。
液晶表示装置51〜67に用いた第1及び第2光学異方性層の光学特性、その評価結果を下記表に示す。また、液晶表示装置51〜67に用いた第1の光学異方性層のRe及びRthをプロットし、それを、式(1)-2.5×Re(550)+300 <Rth(550) <-2.5×Re(550)+500の範囲、及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフを図9に;式(2)-2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450の範囲及び及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフを図10に;並びに式(3)-2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550の範囲及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフを図11に;それぞれ示した。なお、各フィルムの光学特性を示すプロットの表示については、下記の表の最下欄に示した。
Figure 2009048157
上記表7に示した評価結果、及び図9〜11のグラフに示した、第1の光学異方性層の光学特性のプロットから、本発明の実施例のVAモード液晶表示装置の中でも、第1の光学異方性層が式(1)〜(3)を満足し、且つNz値が1.1〜5を満足していると、特に光漏れが少なく、且つカラーシフトが少なくなることが理解できる。
本発明の液晶表示装置の一例の概略断面図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 図2に示す偏光状態の変換を可能とする光学異方性層のRe−Rthの相関関係をシミュレーションにより求めた結果を示すグラフである。 図5中に、Nz=1.1、Nz=1.3、Nz=4.7、及びNz=5を追加したグラフである。 第1の光学異方性層のNz値の増減と第2の光学異方性層のRthの増減との関係を説明するために用いた模式図である。 本発明に使用可能な偏光板の例の断面模式図である。 実施例2で用いた種々の第1の光学異方性層のRe及びRthのプロットを、式(1)の範囲、及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフである。 実施例2で用いた種々の第1の光学異方性層のRe及びRthのプロットを、式(2)の範囲、及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフである。 実施例2で用いた種々の第1の光学異方性層のRe及びRthのプロットを、式(3)の範囲、及びNz値が1.1〜5.0の範囲とともに示したグラフである。 一般的なVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 一般的なVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 従来のVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 従来のVAモードの液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。
符号の説明
11、51 偏光子
12、52 偏光子
13、53 液晶セル
14、24 第1の光学異方性層
15、25 第2の光学異方性層
16、16’ 外側保護フィルム
54 光学補償フィルム(Aプレート)
55 光学補償フィルム(Cプレート)

Claims (24)

  1. 透過軸が互いに直交に配置された第1及び第2の偏光子と、該第1及び第2の偏光子の間に配置された、黒表示時に略垂直配向となる液晶層と、第1の光学異方性層と、第2の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、
    第1の光学異方性層が、波長400nm〜700nmにおける面内レターデーション(Re)及び厚み方向のレターデーション(Rth)が長波長ほど大きい性質を有する、光学的に二軸性の光学異方性層であり、
    第2の光学異方性層の波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRth(550)が、0nm<|Re(550)|<10nmかつ|Rth(550)|/|Re(550)|>10を満たす、
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 第1の光学異方性層のNz(Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5)値が、0.5〜10であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 第1の光学異方性層のNz値が、1.1〜5であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 第1の光学異方性層が、Re(550)>20nmを満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  5. 第1の光学異方性層が、下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    式(1) -2.5×Re(550)+300 <Rth(550) <-2.5×Re(550)+500
    式(2) -2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450
    式(3) -2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550 。
  6. 第1の光学異方性層が下記3つの式の全てを満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置:
    Re(550) >20nm
    0.5 <Nz <10
    -2.5×Re(550)+300 <Rth(550) < -2.5×Re(550)+500
    式中、Re(λ)及びRth(λ)はそれぞれ、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション及び厚み方向のレターデーション(単位:nm)であり、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5とする。
  7. 第1の光学異方性層が、さらに下記式を満たすことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置:
    -2.5×Re(450)+250 <Rth(450) <-2.5×Re(450)+450 。
  8. 第1の光学異方性層が、さらに下記式を満たすことを特徴とする請求項5又は6に記載の液晶表示装置:
    -2.5×Re(630)+350 <Rth(630) <-2.5×Re(630)+550 。
  9. 第1の光学異方性層が、下記式(6)〜(9)をさらに満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    式(6) 0.60 ≦Re(450)/Re(550)≦ 1
    式(7) 1 ≦Re(630)/Re(550)≦ 1.25
    式(8) 0.60 ≦Rth(450)/Rth(550)≦ 1
    式(9) 1 ≦Rth(630)/Rth(550)≦ 1.25 。
  10. 第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記セルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも含有することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
  12. 前記Re発現剤が、下記一般式(A)で表される化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置:
    Figure 2009048157
    式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
  13. 前記Re発現剤として、互いに異なる二種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
  14. 前記Re発現剤として、請求項12中の式(A)で表される化合物及び下記式(a)で表される棒状化合物をそれぞれ少なくとも一種含むことを特徴とする請求項12又は13に記載の液晶表示装置。
    一般式(a):Ar1−L12−X−L13−Ar2
    上記一般式(a)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、芳香族基であり;L12及びL13はそれぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−基であり;Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
  15. 第1の光学異方性層の厚みが、30〜200μmであることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 第2の光学異方性層が、下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    式(4) Rth(630)−Rth(450) ≦0 。
  17. 第2の光学異方性層が、下記式(5)を満たすことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置:
    式(5) Rth(630)−Rth(450) >0 。
  18. 第2の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなる又は含むことを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  19. セルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも含有することを特徴とする請求項18に記載の液晶表示装置。
  20. 前記Rth発現剤が、250nm〜380nmに吸収極大がある化合物の少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
  21. 第2の光学異方性層が、液晶組成物から形成された層からなる又は含むことを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  22. 第2の光学異方性層の厚みが、30〜200μmであることを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  23. 第1及び/又は第2の偏光子の外側の面に、透湿度が300g/(m2・day)以下である保護フィルムを有することを特徴とする請求項1〜22のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  24. 前記保護フィルムが、ノルボルネン系ポリマーフィルムからなることを特徴とする請求項23に記載の液晶表示装置。
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