JP5328405B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
VAモード液晶表示装置は、他の液晶表示モードと比較して一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラスト及び色味の変化が大きいという問題もある。この問題を解決するために、液晶セルの上下に偏光板をその吸収軸を互いに直交させて配置し、さらに、偏光板のそれぞれと液晶セルとの間に、光学的に2軸性の位相差膜を配置することにより、視角によるコントラスト低下を低減できることが知られている(例えば、特許文献1)。また、液晶セルの上下それぞれに、光学的に2軸性で光学異方性が等しい位相差膜を備えた液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献2)。また、前記位相差膜に要求される光学特性を満足するポリマーフィルム、例えば、セルロースアシレート系ポリマーフィルム及びノルボルネン系ポリマーフィルムが提案されている(例えば、特許文献3及び4)。
このVAモード液晶表示装置の光学補償方式では、同一のフィルムを上下に配置して光学補償しているので、大量生産した場合コスト上のメリットがある。
従って、本発明は、視野角特性に優れるとともに、環境湿度に依存した表示特性の変動が少ない液晶表示装置を提供することを課題とする。
[1] バックライト、液晶セル、該液晶セルと前記バックライトとの間に配置された第1偏光子、前記液晶セルに対して前記第1偏光子と反対側に配置された第2偏光子、前記第1偏光子と前記液晶セルとの間に配置された第1位相差膜、及び前記第2偏光子と前記液晶セルとの間に配置された第2位相差膜を有する液晶表示装置であって、下記(式1)及び(式2)を満たし、且つ前記第1位相差膜及び前記第2位相差膜の面内レターデーションRe及び膜厚方向レターデーションRthが10nmより大きいことを特徴とする液晶表示装置:
ΔRe2 10-80(548)及びΔRth2 10-80(548)はそれぞれ、第2位相差膜の温度25℃・相対湿度10%及び温度25℃・相対湿度80%の環境下における波長548nmの面内レターデーションの差、ならびに膜厚方向レターデーションの差であり、Re2 60(548)及びRth2 60(548)はそれぞれ、第2位相差膜の温度25℃相対湿度60%環境下で測定した波長548nmの面内レターデーション及び膜厚方向レターデーションである。
(I) 30≦Re(548)≦80
(II)70≦Rth(548)≦140
ここで、Re(λ)及びRth(λ)はそれぞれ、波長λ[nm]で測定した面内レターデーション[nm]及び膜厚方向レターデーション[nm]である。
[3] 前記第1及び第2位相差膜それぞれの、TD方向とMD方向の弾性率の平均値E1ave(Mpa)及びE2ave(Mpa)が、下記(式3)を満たすことを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置:
0<E1ave−E2ave<4000 (式3) 。
[4] 前記第1及び第2位相差膜がそれぞれ、1種又は2種以上のポリマーを主成分として含み、前記第1及び第2位相差膜の主成分が互いに異なることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの液晶表示装置。
[5] 前記第1位相差膜が、1種又は2種以上のセルロースアシレート系ポリマーを主成分として含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記第2位相差膜が、1種又は2種以上のシクロオレフィン系ポリマーを主成分として含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記第2位相差膜が、アセチル、プロピオニル及びブチリルから選択される少なくとも二種のアシル基を有するセルロースアシレートを主成分として含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[8] VAモードであることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
まず、本明細書で用いられる用語について、説明する。
(レターデーション、Re、Rth)
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(X)及び式(XI)よりRthを算出することもできる。
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
また、本明細書において、位相差膜及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
図1のVAモード液晶表示装置は、液晶セルLC(表示面側基板1、バックライト側基板3、及び液晶層5、からなる)と、液晶セルLCを挟持して配置される一対の表示面側偏光板P1及びバックライト側偏光板P2とを有する。なお、ポリビニルアルコールフィルム系偏光膜からなる偏光子は、通常、双方の表面に保護フィルムを有する偏光板として液晶表示装置に組み込まれるのが一般的であるが、図1では、外側に配置される保護フィルムは省略した。偏光板P1及びP2は、それぞれ偏光膜8a(第2偏光膜)及び偏光膜8b(第1偏光膜)を有し、偏光膜8a及び8bは、その吸収軸9a及び9bを互いに直交方向にして配置されている。液晶セルLCはVAモードの液晶セルであり、黒表示時には、図1に示す通り、液晶層5はホメオトロピック配向になる。基板1及び3は、それぞれ内面に、配向膜(図示せず)と電極層(図示せず)を有し、さらにいずれか一方の内面には、カラーフィルタ層(図示せず)を有する。
(I) 30nm≦Re(548)≦80nm
(II) 70nm≦Rth(548)≦140nm
さらに、下記式(I)’及び(II)’を満足しているのがより好ましい。
(I)’ 40nm≦Re(548)≦60nm
(II)’ 100nm≦Rth(548)≦140nm
また、第1及び第2位相差膜のReの差は、20nm以下であるのが好ましく;及び第1及び第2位相差膜のRthの差は、30nm以下であるのが好ましい。
[第1及び第2位相差膜]
本発明では、バックライト側に配置される第1位相差膜及び表示面側に配置される第2相差膜は、それぞれ下記(式1)及び(式2)を満足する。本発明では、この条件を満足する位相差膜を用いることで、環境湿度に依存する表示特性の変動を軽減することができる。
なお、所定の温度及び相対湿度の環境下におけるRe及びRthは、該環境下に測定対象試料を2時間以上放置した後に測定するものとする。差を求める場合も、それぞれの環境下に上記時間以上放置した後、それぞれの環境下でのRe及びRthを測定し、差を求めるものとする。
0<E1ave−E2ave<4000 (式3)
下記(式3)’を満足するのがより好ましい。
0 <E1ave−E2ave< 3500 (式3)’
弾性率を上記の式の範囲となるように調整することにより、前記(式1)及び(式2)を満たす位相差膜を用いた液晶表示装置の環境湿度に依存する表示特性の変動をより軽減することが出来る。
ここで、「MD方向」とは、フィルム製造時の搬送方向を意味し、フィルムを長尺状に作製する場合は、フィルムの長手方向と一致する。一方「TD方向」は、それに垂直な幅方向を意味する。なお、フィルム試料の弾性率は、フィルム試料10mm×150mmを、温度25℃・相対湿度60%で2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ―R2(東洋精機製))で、チャック間距離50mm、温度25℃、延伸速度10mm/分で測定することができる。MD方向の弾性率はMD150mm、TD10mmの試料をMD方向に引っ張ることにより測定し、TD方向の弾性率はMD10mm、TD150mmの試料をTD方向に引っ張ることにより測定し、それらの値から、平均値E1ave及びE2aveが算出できる。
あるいは、第1位相差膜にプロピオニル基及び/又はブチリル基を有するセルロースアシレートフィルムを用い、第2位相差膜にセルロースアセテートフィルムを用いるのも好ましい。
また、第1位相差膜及び第2位相差膜にアシル置換度が互いに異なるセルロースアシレートフィルムを用い、第1位相差膜にアシル置換度が高いセルロースアシレートフィルムを用いるのも好ましい。
但し、これは一例であって、この組み合わせに限定されない。以下、これらのポリマーフィルムについて、詳細に説明する。
前記位相差膜の作製に用いるセルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
前記位相差膜の作製に用いるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.50〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.70〜2.97がさらに好ましい。また、前記セルロースアシレートは、アセチル基に代えて、又はアセチル基とともに、アセチル基以外のアシル基で置換されていてもよい。中でも、アセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも一種のアシル基を有するセルロースアシレートが好ましく、及びアセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも二種のアシル基を有するセルロースアシレートがより好ましい。さらに、アセチル基と、プロピオニル及び/又はブチリル基とを有するセルロースアシレートが好ましく、アセチル基の置換度が1.0〜2.97で、プロピオニル及び/又はブチリル基の置換
度が0.2〜2.5のセルロースアシレートがより好ましい。
なお、前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法で作製する場合は、下記の液晶化合物等の添加剤は、セルロースアシレート組成物の溶液中に添加される。例えば、下記の液晶化合物等を有機溶媒に溶解した溶液を、セルロースアシレート組成物の溶液に添加してもよい。
・円盤状化合物:
また、前記位相差膜として用いるセルロースアシレートフィルム中には、波長250nm〜380nmに吸収極大がある円盤状化合物の少なくとも一種を添加するのも好ましい。前記円盤状化合物は液晶性であっても非液晶性であってもよい。前記円盤状化合物とともに前記液晶化合物(好ましくは、一般式(A)で表される液晶化合物及び/又は一般式(a)で表される液晶化合物)を用いると、レターデーション(Re及びRth)の発現性を調整するこができ、また前記の他の液晶化合物をフィルム中へ溶解しやすくなる効果も期待できるため好ましい。
フィルム中の波長250nm〜380nmに吸収極大がある円盤状化合物の含有量は、主成分であるセルロースアシレートフィルムに対して、0.1〜30質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。この範囲であると、ブリードアウトなどを起こすことなく、添加効果が得られる。
Re及びRthが、前記式(I)及び(II)を満足する光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Re発現剤として、液晶化合物の少なくとも一種を添加するのが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する性質を有する化合物である。
液晶化合物を秤量した後にサンプル瓶に取り分け、有機溶媒(例えばメチレンクロライドなど)で均一な溶液系としてから溶媒をドライアップすることで行なう。
上記の方法で準備した液晶性評価用の化合物をスライドガラスとカバーガラスに挟み込み、該ホットステージで10℃/分の速度で加熱しながら該偏光顕微鏡で経時変化を観察する。
その結果、上記液晶化合物が均一な液晶相を形成する場合は液晶性を示すと判断し、均一な液晶相を示さずに等方相である場合や不均一である場合には液晶性がないと判断できる。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
前記位相差膜とし用いるセルロースアシレートフィルムには、液晶化合物(好ましくは、前記一般式(A)で表される液晶化合物)に代えて、又はそれとともに、下記一般式(a)で表される棒状化合物が添加されているのが好ましい。該棒状化合物は液晶性であっても非液晶性であってもよいが、液晶化合物であるのが好ましい。前記棒状化合物を用いると、液晶化合物がセルロースアシレートフィルム内で配向する際、互いに配向してレターデーションの発現に寄与するため、また前記液晶化合物をフィルム中へ溶解しやすくなる効果も期待できるため好ましい。
一般式(a):Ar1−L12−X−L13−Ar2
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、芳香族基であり;L12及びL13はそれぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−基であり;Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2及びL3は、それぞれ独立に、−O−CO−又はCO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
以下に、一般式(a)で表される化合物の具体例を示す。
具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
この場合、上記の重合性の液晶化合物に併用して、光重合開始剤などの低分子化合物を用いることができる。
また、前記液晶化合物とともに、前記円盤状化合物をセルロースアシレート組成物中に添加する態様では、前記円盤状化合物の添加量はセルロースアシレート組成物の全質量に対して、0.1〜30質量%であるのが好ましく、0.5〜20質量%がさらに好ましく、1〜10質量%がよりさらに好ましい。
本発明に用いる位相差膜としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加することができる。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
高温多湿環境下において、セルロースアシレートフィルム中の添加剤がフィルム外に析出や揮発することを防止するために、少なくとも1種の脂肪族多価アルコールエステルを添加してもよい。脂肪族多価アルコールエステルは、脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸とのエステルである。
脂肪族多価アルコール:
前記脂肪族多価アルコールは、下記一般式(V)で表される。
(V) R1−(OH)m
式中、R1はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数を表し、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表し、mは2〜20が好ましい。
前記脂肪族多価アルコールエステル形成に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができるが、セルロースエステルフィルムの透湿性向上、保留性向上の観点から、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いることが好ましい。
具体的には、使用可能なモノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、及びアラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。これらは更に置換基を有していてもよい。
前記芳香環としては、芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環、p−テルフェニル環、ジフェニルメタン環、トリフェニルメタン環、ビベンジル環、スチルベン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等)や芳香族複素環、例えば、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
前期シクロアルキル環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環等が挙げられる。
前記位相差膜として利用するセルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトリベンジルアミン(TBA)である。
表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理を実施する。酸処理又はアルカリ処理を実施することが好ましく、アルカリ処理を実施することがさらに好ましい。
表示面側に配置される第2位相差膜の好ましい例として、シクロオレフィン系ポリマーを主成分として含有し、TD方向に0.1〜100%の延伸倍率、MD方向に0〜90%の延伸倍率で延伸されたシクロオレフィンポリマーフィルムが挙げられる。また、上記した通り、第2位相差膜にプロピオニル基及び/又はブチリル基を有するセルロースアシレートフィルムを用いる態様では、第1位相差膜にセルロースアセテートフィルムを用いるのも好ましい。
並びにバックライト側に配置される第1位相差膜及び表示面側に配置される第2位相差膜の双方に、アシル置換度が互いに異なり、同じアシル基を有するセルロースアシレートフィルムを用いる態様では、第1位相差膜の好ましい例は、アシル置換度(d1)が2.3〜2.8のセルロースアシレートであり、第2の位相差膜の好ましい例は、アシル置換度(d2、但しd2>d1を満足する)が2.3〜3.0のセルロースアシレートフィルムである。
本発明の液晶表示装置には、前記第1及び第2位相差膜として用いられるポリマーフィルムを、直線偏光膜(偏光膜フィルム)と一体化させた偏光板を用いることができる。前記偏光板は、前記位相差膜と直線偏光膜(以下、単に「偏光膜」、「偏光フィルム」とい
う場合は「直線偏光膜」をいうものとする)とを積層することによって作製することができる。前記位相差膜として用いるセルロースアシレートフィルムは、直線偏光膜の保護膜を兼ねていてもよい。
ポリマーフィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
下記表中に記載の割合で各成分を混合して、セルロースアシレート溶液をそれぞれ調製した。各セルロースアシレート溶液を、バンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後、下記表に記載の条件でそれぞれ延伸した。なお、表1中、TD方向とは、搬送方向に対して垂直な方向(即ち幅方向)を意味する。延伸後、乾燥して、下記表中に記載の厚みのセルロースアシレート系フィルムをそれぞれ作製し、位相差膜B、C、D及びGとして用いた。
市販されているシクロオレフィン系ポリマーフィルム“ZEONOR”(日本ゼオン製)を、下記表中に記載の条件で延伸して、シクロオレフィン系ポリマーフィルムをそれぞれ作製し、位相差膜A及びEとして用いた。
市販されているTD80UL(富士フイルム製)を保護フィルムFとした。
これらの結果を、下記表3に示す。
また、表示面側及びバックライト側に配置される位相差膜の双方が、Re及びRthが10nmより大きい液晶表示装置では、極角60°且つ方位角45°方向から観察した時の光漏れが抑えられ、ならびに極角60°且つ方位角0〜360°から観察した時の色変化が軽減されることが理解できる。
上記実施例1で作製した位相差膜A〜Dについて、上記した方法で、TD方向及びMD方向の弾性率をそれぞれ測定し、平均値Eaveを算出した。結果を下記表に示す。
3 液晶セル下側基板
5 液晶層(液晶分子)
8a 表示面側偏光膜(第2偏光子)
8b バックライト側偏光膜(第1偏光子)
9a、9b 偏光膜の吸収軸
10a 表示面側位相差膜(第2位相差膜)
10b バックライト側位相差膜(第1位相差膜)
P1、P2 偏光板
LC 液晶セル
BL バックライト
Claims (8)
- バックライト、液晶セル、該液晶セルと前記バックライトとの間に配置された第1偏光子、前記液晶セルに対して前記第1偏光子と反対側に配置された第2偏光子、前記第1偏光子と前記液晶セルとの間に配置された第1位相差膜、及び前記第2偏光子と前記液晶セルとの間に配置された第2位相差膜を有する液晶表示装置であって、下記(式1)及び(式2)を満たし、且つ前記第1位相差膜及び前記第2位相差膜の面内レターデーションRe及び膜厚方向レターデーションRthが10nmより大きいことを特徴とする液晶表示装置:
ΔRe2 10-80(548)及びΔRth2 10-80(548)はそれぞれ、第2位相差膜の温度25℃・相対湿度10%及び温度25℃・相対湿度80%の環境下における波長548nmの面内レターデーションの差、ならびに膜厚方向レターデーションの差であり、Re2 60(548)及びRth2 60(548)はそれぞれ、第2位相差膜の温度25℃相対湿度60%環境下で測定した波長548nmの面内レターデーション及び膜厚方向レターデーションである。 - 前記第1及び第2位相差膜がそれぞれ、下記式(I)〜(II)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置:
(I) 30≦Re(548)≦80
(II)70≦Rth(548)≦140
ここで、Re(λ)及びRth(λ)はそれぞれ、波長λ[nm]で測定した面内レターデーション[nm]及び膜厚方向レターデーション[nm]である。 - 前記第1及び第2位相差膜それぞれの、TD方向とMD方向の弾性率の平均値E1ave(Mpa)及びE2ave(Mpa)が、下記(式3)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置:
0<E1ave−E2ave<4000 (式3) 。 - 前記第1及び第2位相差膜がそれぞれ、1種又は2種以上のポリマーを主成分として含み、前記第1及び第2位相差膜の主成分が互いに異なることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1位相差膜が、1種又は2種以上のセルロースアシレート系ポリマーを主成分として含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2位相差膜が、1種又は2種以上のノルボルネン系ポリマーを主成分として含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2位相差膜が、アセチル、プロピオニル及びブチリルから選択される少なくとも二種のアシル基を有するセルロースアシレートを主成分として含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- VAモードであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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