JP2005325386A - 薄膜構造体およびその製造方法 - Google Patents

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哲 日下
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Abstract

【課題】 金属材料と誘電体材料を対向するターゲットとして用いたスパッタリング法により基板上にほぼ垂直に立ち金属材料層と誘電体材料層が密着した2層の板状構造体が形成され偏光光学素子として応用できる。偏光特性を向上させるには、一方の材料層に他方の材料粒子が混入するのを防止する必要がある。
【解決手段】 本発明の薄膜構造体の製造方法においては、スパッタガスのイオン化エネルギーを12eV以上15eV以下とし、圧力を0.02Pa以上0.1Pa以下で成膜する。これにより2層構造の一方の層中に他方の材料が含有される含有率を10重量%以下とすることにより良好な偏光特性を提供できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、画像表示技術あるいはその他の光学分野で使用される偏光光学素子などに応用される板状構造を有する薄膜構造体、およびその製造方法に関するものである。
従来、基板表面の法線に対して一定角度を有する方向から粒子を入射させて薄膜を形成すると、膜成長初期に形成される島状膜のために入射粒子が進入できない影の領域が発生し(シャドーイング効果)、微小な柱状構造あるいは板状構造が形成されることが知られている。
特許文献1には、金属材料と誘電体材料を対向するターゲットとして用いたスパッタリング法により基板表面の法線に対して一定角度を有する2方向から同時に粒子を入射することにより、複数の板状構造を有する薄膜構造体を製造する方法が開示されている。この方法によると基板上にほぼ垂直に立った板状の構造(以下、板状体という)が複数、平行に形成される。図1はこの薄膜構造体の、板状体の板面に垂直な断面模式図である。図1に示すように、この薄膜構造体においては基板100上に成長した板状の構造体110が2層に分かれた層構造を有し、かつ層間に空隙106が形成されている。
さらに同文献には、この技術で製作された薄膜構造体は、2層構造の一方をなす金属材料層101に平行な偏光(s偏光)を反射し、金属材料層101に垂直な偏光(p偏光)を透過する偏光子として機能することが示されている。この構成の偏光子は、従来の金属線のみからなるワイヤグリッド偏光子に比べ、金属材料層101と誘電体材料層102の2層に分かれた2層構造になっていることから耐熱性に優れている。またこの偏光子を構成している材料が全て無機材料であることから耐久性が高いという特徴を有している。
特開平15−215336号公報
しかし発明者らの追試によれば、上記の薄膜構造体を構成する板状体は、図2に模式的に示すように誘電体材料層102に金属材料粒子104が、金属材料層101に誘電体材料粒子103がそれぞれ微量混入していることがわかった。この混入の原因は、成膜を行う際に粒子の散乱などによる基板への粒子入射方向の不均一性が原因であると推定される。
金属材料層に誘電体粒子が混在していると金属中の電子の伝導度が低下し結果としてs偏光の反射率が低下する。また誘電体材料層に金属粒子が混在していると金属の微粒子化により誘電体中における光の吸収が発生するためp偏光の透過率が低下する。すなわち、誘電体材料層に金属材料粒子が、金属材料層に誘電体材料粒子が混入することにより偏光子の特性が低下するという問題点があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、材料の混入を抑制する薄膜構造体の製造方法を提供し、優れた特性を有する偏光子を提供することを目的とする。
本発明においては下記の解決手段より上記課題を解決した。
(1)本発明の薄膜構造体の製造方法においては、スパッタリング法により、互いに異なる2材料のターゲットを用い、基板表面の法線に対して一定角度を有する2方向から同時に異なる前記2材料の粒子もしくは原子もしくはイオンをそれぞれ前記基板表面に入射することにより、基板表面に2層構造を有し、その板面が基板表面に対して略垂直または傾斜した板状体を複数、互いに略平行に成長させる。その際、スパッタガスのイオン化エネルギーを12eV以上15eV以下とする。
ただしスパッタガスがN(Nは2以上の整数)種類のガスからなる混合ガスである場合には、i番目の不活性ガスのイオン化エネルギーをEi、分圧をPiとするとき、混合ガスのイオン化エネルギーEを下式(数1)により定義する。
Figure 2005325386
このようなスパッタガスを用いることにより、誘電体材料層に金属材料粒子が、金属材料層に誘電体材料粒子が混入することを防止でき、特性の良好な偏光子を提供することができる。
(2)スパッタガスとして、クリプトンまたはキセノンを用いることが望ましい。これらのガスは(1)の条件を満たし、これらのスパッタガスを用いることにより、誘電体材料層に金属材料粒子が、金属材料層に誘電体材料粒子が混入することを防止できる。
(3)またスパッタガスとしてアルゴン、クリプトン、キセノンから選ばれた少なくとも2種類のガスを混合した混合ガスを使用することが望ましい。
これらのガスが(1)の条件を満たせば、それらをスパッタガスとして用いることにより、誘電体材料層に金属材料粒子が、金属材料層に誘電体材料粒子が混入することを防止できる。
(4)上記の基板は表面に平行な複数の直線状凹凸構造を有していることが望ましい。
あらかじめ直線状凹凸構造を有している基板を用いることにより、基板表面に対してほぼ垂直に立ち、この直線の方向に沿った板面をもつ板状体を得ることができ、これにより偏光子としての機能を発揮させることが可能となる。
(5)互いに異なる材料は金属材料と誘電体材料であることが望ましい。
これらの材料の組み合わせにより、板状体は金属材料層と誘電体材料層が密着した2層構造となり、偏光子として適した構造が実現できる。
(6)スパッタガスの圧力は0.02Pa以上0.1Pa以下とすることが望ましい。
スパッタガスの圧力を上記範囲とすることにより、スパッタリングにおいて安定な放電が維持でき、板状体を安定に作製することができる。
(7)基板表面に対して略垂直または傾斜して成長した板面をもち、互いに異なる材料からなる2層構造の板状体を有する薄膜構造体において、2層構造の一方の層の構成材料中に他方の層の構成材料が含有される含有率をともに10重量%以下、より望ましくは2重量%以下とする。
互いの材料の混入の割合を上記の範囲に抑えることにより、優れた特性の偏光子を提供することができる。
(8)2層構造のうち、金属材料は銀、銅、アルミニウム、金、パラジウム、またはこれらの金属を2種類以上含み、その1種類を主成分とする合金であることが望ましい。
これらの金属を用いることにより、偏光特性における消光比が大きい金属材料層を形成することができる。
(9)誘電体材料はシリカ又はアルミナ若しくはフッ化マグネシウムであることが望ましい。
これらの誘電体を用いることにより、上記金属材料と固溶せず、屈折率が低く透明な誘電体材料層を形成することができる。
(10)複数の互いに略平行に配列された板状体を有する上記の薄膜構造体を用いて偏光光学素子とする。
スパッタリング法による成膜工程のみで優れた特性を有する偏光光学素子を提供することができる。
本発明により、誘電体材料層に金属材料粒子が、また金属材料層に誘電体材料粒子が混入するのを抑えた2層構造板状体を有する薄膜構造体を作製することができる。この薄膜構造体を利用することにより、優れた特性を備えた偏光光学素子を提供することができる。
基板表面の法線に対して一定角度を有する2方向から同時に金属と誘電体の粒子をそれぞれ入射することにより、金属材料層と誘電体材料層が2層に分かれた板状の構造(以下、板状体という)を成長させることができる。その際、板状体中の誘電体材料層に金属材料粒子が、または金属材料層に誘電体材料粒子が混入する原因を、発明者らは成膜時の粒子の散乱による成膜指向性の低下にあると推察した。
本発明においては、一定範囲のイオン化エネルギーをもつスパッタガスを用いることによって、放電ガス圧を低圧化することができ成膜指向性を向上させることができることを見出した。放電ガス圧の低圧化を行うにあたっては、ガスのイオン化エネルギーが大きな影響を及ぼす。
マグネトロンスパッタ法に代表されるスパッタ成膜で、安定な放電を持続させるには電子の供給が重要となる。低ガス圧による放電は気体分子が少なくなることから電離する電子の量も減少し放電を安定させることが難しいが、電離する確率を増やせば、電子の量も増える。すなわちイオン化エネルギーが低いガスの方が電子を発生させる確率は大きい。そのため、同じガス圧での放電において、イオン化エネルギーの低いガスの方が電子の量が多い。ゆえに、イオン化エネルギーの低いガスのほうが低ガス圧で放電が可能である。
上記の傾向を定量的に確認するため、混合ガスを用いて見かけ上のイオン化エネルギーを変化させて成膜を行った。ここで、スパッタガスがN(Nは2以上の整数)種類のガスからなる混合ガスである場合には、i番目の不活性ガスのイオン化エネルギーをEi、分圧をPiとするとき、混合ガスの見かけ上のイオン化エネルギーEを下式(数2)により定義した。
Figure 2005325386
イオン化エネルギー15.3eV(アルゴン:分圧75%、クリプトン:分圧25%)、イオン化エネルギー15.1eV(アルゴン:分圧60%、クリプトン:分圧40%)では放電が安定しなかった。しかしイオン化エネルギー14.9eV(アルゴン:分圧50%、クリプトン:分圧50%)では放電が安定し成膜が行えた。
現実的にスパッタガスとして使用できる単一元素の気体のうち、イオン化エネルギーが最も低いのはキセノンであり12.1eVである。このことから、スパッタガスのイオン化エネルギーは12eV以上15eV以下の範囲であることが好ましい。また、イオン化エネルギー14.0eVのクリプトン、もしくは、上記イオン化エネルギーの範囲のアルゴン、クリプトン、キセノンの内少なくとも2種類からなる混合ガスをスパッタガスとして使用することが好ましい。
本発明の薄膜構造体は、偏光光学素子への応用を意図しているため、板状の構造を有することが望ましい。表面が平坦な基板に成膜を行うと円柱状構造を有する膜が形成されやすく、板状の構造は得られ難い。これに対し、直線状の凹凸構造をもった基板に成膜を行うと板状の構造が製造しやすい。この直線状の凹凸構造は、その直線に垂直な断面が三角波状、正弦波状、矩形波状などであることが好ましい。
このような凹凸構造を有する基板を作製する方法の一例を説明する。ここで示す方法はゾルゲル材料を用いた成形法であるが、他の方法であってもよい。まずゾルゲル材料としてテトラエトキシシラン(TEOS)系ゾル液をスピンコータにより平坦な表面をもつ基板に塗布する。この液を乾燥させ、まだ柔軟性を有しているうちに、例えば平行な複数のV字状溝が形成された成形型を押し当てる。このままの状態で、加熱・乾燥を行い、その後に成形型を離型する。さらに、350℃程度に加熱することにより、SiO2を主成分とする直線状の凹凸構造を有する層が基板表面に形成される。
また金属材料層と誘電体材料層の2層に分かれた板状体を形成するためには固溶しない誘電体と金属の組み合わせを選ぶことが重要である。さらに金属材料としては、偏光特性における消光比が大きく得られる材料を選ぶ必要がある。また、誘電体材料としては、屈折率が低く透明な材料が必要である。
以上を考慮すると、金属材料としては銀、銅、アルミニウム、金、パラジウムなどが好ましい。またはこれらの金属を2種類以上含み、その1種類を主成分とする合金であってもよい。誘電体材料としては、シリカ、アルミナあるいはフッ化マグネシウムなどが好ましい。
以下に本発明の薄膜構造体の作製方法について詳細に説明する。図3は薄膜構造体を作製する際に用いた成膜装置の模式図である。この装置は、真空容器200、RFマグネトロンスパッタカソード201、DCマグネトロンスパッタカソード202、誘電体ターゲット203、金属ターゲット204、基板205を備えている。真空容器200内にRFマグネトロンスパッタカソード201、DCマグネトロンスパッタカソード201を対向した状態に設置し、基板205を両カソード203、204の中央に置く。
真空容器200内を3mPa程度の真空度になるまで排気を行い、この真空排気の後、スパッタガスを導入し、真空容器内を所定のガス圧になるように調整する。RFマグネトロンスパッタカソード201とDCマグネトロンスパッタカソード202に同時にそれぞれ高周波電圧と直流電圧を印加し、プラズマを発生させて所定の時間誘電体材料と金属材料をスパッタし、基板上に金属材料層と誘電体材料層の2層に分かれた板状体を作製する。
図2では2つのターゲット203、204は、基板205へ入射するスパッタ粒子が基板表面に平行な方向から対向して入射するように配置されている。このような配置だけでなく、スパッタ粒子が基板に対して斜め方向から入射するようにターゲットを配置してもよい。
上記の成膜により、複数の板状体がほぼ平行に基板上に立った状態で形成される。基板に対する板状体の板面の角度は条件によって変化し、ほぼ垂直な場合もあるが、傾斜した状態となることもある。基板上に複数の板状体がほぼ平行に立った状態の構造体が本発明における薄膜構造体である。
この板状体は、金属材料層と誘電体材料層の2層に分かれた構造を有するが、一方の材料層中に他方の材料粒子が混入している量の定量測定には、走査電子顕微鏡/X線エネルギー分散解析法(SEM/EDX、Scanning Electron Microscope/Energy-Dispersive X-ray analysis)を用いた。本測定用には周期15 μmで断面形状が頂角140度の三角形状である基板を上記の方法で準備し、この上に形成した薄膜構造体を試料として使用した。基板の両斜面に対して垂直な方向から電子線を入射させることにより、金属材料層中の誘電体の重量比を定量測定した。
作製した薄膜構造体の偏光特性として消光比と透過率を測定した。s偏光の透過率をs、p偏光の透過率をpとした時、消光比、透過率は以下の式(数3)、(数4)で定義される。
Figure 2005325386
Figure 2005325386
本発明を以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示す成膜装置において、RFマグネトロンスパッタカソードにSiO2ターゲット、DCマグネトロンスパッタカソードにAgPd(Pd:2wt%)ターゲットを取り付け、両ターゲットを対向して配置した。基板表面には上記のゾルゲル材料の成形によって周期270nmの直線状凹凸構造を作製した。断面形状は頂角140度の三角形状である。この基板を対向するターゲットに対して直線状の溝の方向が垂直になるように設置した。
スパッタガスとしてクリプトンを用い、SiO2とAgPdの堆積速度が等しくなるようにスパッタリング条件を調整して成膜を行った。このとき、スパッタガス圧は0.076Paであった。
形成された薄膜構造体の斜視模式図を図4に示す。凹凸構造を有する基板20の表面に、AgPdを主成分とする金属材料層1とSiO2を主成分とする誘電体材料層2が互いに密着した2層構造の板状体10が、平板状基板22の表面に対してほぼ垂直に立つかたちで形成された。2層の板状体の間には空隙6が存在する。
SEM/EDXを用いて上記薄膜構造体の金属材料層(AgPd層)中の誘電体(SiO2)の重量比を定量測定した。その結果、AgPd層中にSiO2が1.2重量%存在していた。
(実施例2)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンに変えて、薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。SEM/EDX測定を行った結果、AgPd層中にSiO2が0.8重量%存在していた。
(実施例3)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをクリプトンとアルゴンを1:1の割合で混合した混合ガスに変えて薄膜構造体を作製した。上記の定義によれば混合ガスのイオン化エネルギーは14.8eVである。スパッタガス圧は0.087Paとした。測定の結果、AgPd層中にSiO2が6重量%存在していた。
(実施例4)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとアルゴンを1:1の割合で混合した混合ガスに変えて薄膜構造体を作製した。この場合、混合ガスのイオン化エネルギーは13.9eVである。スパッタガス圧は0.074Paとした。測定の結果、AgPd層中にSiO2が1.1重量%存在していた。
(実施例5)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとクリプトンを1:1の割合で混合した混合ガスに変えて薄膜構造体を作製した。この場合、混合ガスのイオン化エネルギーは13.0eVである。スパッタガス圧は0.062Paとした。測定の結果、AgPd層中にSiO2が1.1重量%存在していた。
(実施例6)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、誘電体をアルミナに変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、AgPd層中にAl23が0.9重量%存在していた。
(実施例7)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、誘電体をフッ化マグネシウムに変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、AgPd層中にMgF2が1.0重量%存在していた。
(実施例8)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、金属を金に変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、Au層中にSiO2が0.7重量%存在していた。
(実施例9)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、金属を銀に変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、Ag層中にSiO2が0.8重量%存在していた。
(実施例10)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、金属を銅に変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、Cu層中にSiO2が0.9重量%存在していた。
(実施例11)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンとし、金属をアルミニウムに変えて薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.05Paとした。測定の結果、Al層中にSiO2が1.0重量%存在していた。
(比較例1)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをアルゴンに変え、スパッタガス圧を0.1Paとして成膜を実施した。しかし、放電が安定せず成膜が行えなかった。
(比較例2)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをキセノンに変え、スパッタガス圧を0.01Paとして成膜を実施した。しかし、放電が安定せず成膜が行えなかった。
(比較例3)
実施例1と同様の成膜方法でスパッタガスをアルゴンに変え、薄膜構造体を作製した。スパッタガス圧は0.3Paとした。SEM/EDX測定を行った結果、AgPd層中にSiO2が11重量%存在していた。
以上の実施例、比較例の結果を表1にまとめる。偏光特性の測定は一部の試料について波長1550nmにおいて行った。
Figure 2005325386
以上の結果からつぎのようなことが言える。
金属材料層中への誘電体材料粒子の混入の度合いは、偏光特性の評価から10重量%以下ならば十分少ないと言える。さらに2重量%以下であれば混在がほとんどないと言え、偏光特性も良好でもっとも望ましい状態である。
比較例1、2と実施例1〜5を比較してみれば明らかなように、イオン化エネルギーが12〜15eVのスパッタガスを用いれば、スパッタガスの圧力が0.02Pa以上0.1Pa以下の範囲で安定して成膜が行える。
また比較例3と実施例1〜5を比較すると、ガス圧が低いほうが金属材料層中の誘電体材料粒子の含有率を低くできることがわかる。
実施例1と実施例6、実施例7をみると、誘電体材料がシリカ、アルミナ、フッ化マグネシウムであれば金属材料層中の誘電体材料粒子の含有率を十分低くできるのは明らかである。
また実施例1と実施例8〜11をみると、金属材料が金、銀、銅、アルミニウム、銀パラジウムであれば金属材料層中の誘電体粒子の含有率を十分低くできる。これらの金属材料間の他の組合せの合金であっても同様である。
本発明の薄膜構造体は上記のように偏光特性を有するので、偏光光学素子として利用できる。本発明の薄膜構造体は基板上に成膜工程のみによって形成できるため、光通信分野、あるいは光計測分野での応用だけでなく、液晶表示装置用の偏光板としても利用できる可能性がある。
従来の板状構造を有する薄膜構造体の断面を模式的に表した図である。 従来の2層構造の問題点を説明する断面模式図である。 本発明に使用した成膜装置の構成を示す図である。 本発明の薄膜構造体を示す模式図である。
符号の説明
1、101 金属材料層
2、102 誘電体材料層
10 板状体
20 凹凸構造を有する基板
22、100 平板状基板
103 誘電体材料粒子
104 金属材料粒子
200 真空容器
201 RFマグネトロンスパッタカソード
202 DCマグネトロンスパッタカソード
203 誘電体ターゲット
204 金属ターゲット

Claims (13)

  1. 互いに異なる2材料のターゲットを用い、基板表面の法線に対してそれぞれ一定角度を有する2方向から同時に異なる前記2材料の粒子もしくは原子もしくはイオンを前記基板表面に入射することにより、該基板表面に2層構造を有し、その板面が前記基板表面に対して略垂直または傾斜した板状体を複数、互いに略平行に成長させる、スパッタリング法による薄膜構造体の製造方法において、スパッタガスのイオン化エネルギーを12eV以上15eV以下とすることを特徴とする薄膜構造体の製造方法。
  2. 前記スパッタガスは、クリプトンもしくはキセノンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜構造体の製造方法。
  3. 前記スパッタガスはアルゴン、クリプトン、キセノンから選ばれた少なくとも2種類のガスのガスであることを特徴とする請求項1に記載の薄膜構造体の製造方法。
  4. 前記基板は表面に平行な複数の直線状凹凸構造を有していることを特徴とする請求項1、2または3に記載の薄膜構造体の製造方法。
  5. 前記互いに異なる材料が金属材料と誘電体材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜構造体の製造方法。
  6. 前記スパッタガスの圧力が0.02Pa以上0.1Pa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜構造体の製造方法。
  7. 基板表面に対して略垂直または傾斜して成長した板面をもち、互いに異なる材料からなる2層構造の板状体を有する薄膜構造体において、前記2層構造の一方の層の構成材料中に他方の層の構成材料が含有される含有率がともに10重量%以下であることを特徴とする薄膜構造体。
  8. 前記含有率が2重量%以下であることを特徴とする請求項7に記載の薄膜構造体。
  9. 前記基板は表面に平行な複数の直線状凹凸構造を有していることを特徴とする請求項7または8に記載の薄膜構造体。
  10. 前記互いに異なる材料が金属材料と誘電体材料であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の薄膜構造体。
  11. 前記金属材料は銀、銅、アルミニウム、金、パラジウム、またはこれらの金属を2種類以上含み、その1種類を主成分とする合金であることを特徴とする請求項10に記載の薄膜構造体。
  12. 前記誘電体材料はシリカ又はアルミナ若しくはフッ化マグネシウムであることを特徴とする請求項10に記載の薄膜構造体。
  13. 複数の互いに略平行に配列された前記板状体を有する請求項7〜12のいずれか一項に記載の薄膜構造体を用いたことを特徴とする偏光光学素子。
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