JP2010243872A - 偏光素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性が高く、従来よりも均一な光学物性を発現する偏光素子を製造することが
できる偏光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】プラズマ生成領域Pzを挟んでターゲット面Ta,Tbが対向する一対のタ
ーゲット111a,111bを備え、プラズマ生成領域Pzからスパッタ粒子Pを放出す
るスパッタ装置110を用い、基板1の一面1aがターゲット面Ta,Tbと略平行にな
るように基板1を配置し、凸条部13の延在方向に交わる第1の方向から、凸条部13の
一方の側面13aにスパッタ粒子を堆積させ、複数の第1細線14aを形成する工程と、
第1の方向とは基板1表面(被処理面1a)に投影した方位が正反対である第2の方向か
ら、凸条部13の他方の側面13bにスパッタ粒子を堆積させて複数の第2細線14bを
形成し、第1細線14aと第2細線14bとを有する細線14を形成する工程と、を有す
ることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、偏光素子の製造方法に関するものである。
様々な電気光学装置の光変調装置として、液晶装置が用いられている。液晶装置の構造
として、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持されているものが広く知られ、所定
の偏光された光を液晶層に入射するための偏光素子や、電圧無印加時に液晶分子の配列を
制御する配向膜が備えられる構成が一般的である。
偏光素子としては、ヨウ素や二色性染料を含む樹脂フィルムを一方向に延伸することで
、ヨウ素や二色性染料を延伸方向に配向させて製造するフィルム型の偏光素子や、透明な
基板上にナノスケールの細線を敷き詰めて形成されるワイヤーグリッド型の偏光素子が知
られている。
ワイヤーグリッド型偏光素子は、無機材料から構成するため、耐熱性に優れているとい
う特長を有しており、特に耐熱性が要求される箇所に好適に使用される。例えば、液晶プ
ロジェクタのライトバルブ用の偏光素子として好適に用いられる。このようなワイヤーグ
リッド型の偏光素子としては、例えば特許文献1のような技術が開示されている。
特許文献1では、金属膜をエッチングしてパターニングし細線を形成する従来の方法に
代え、基板上に形成した凹凸部に対して斜め方向からの斜方スパッタ法で金属材料を堆積
させ、堆積した金属微粒子層を細線としている。この方法によると、可視光領域で所望の
消光比をもち、強い光に対する耐光特性のある偏光板が提供できるとしている。
特開2008−216957号公報
しかしながら、上記従来の偏光素子の製造方法においては、斜方スパッタを行って基板
上の凸部に細線を形成すると、基板の面内の位置によって細線の材料である無機微粒子の
堆積量に偏りが生じるという課題がある。すなわち、特許文献1に示された方法では、基
板の表面において金属材料の材料源からの距離が様々に異なる。そのため、堆積される各
金属材料は基板の表面の位置によって目標の大きさに対して例えば±50%程度の偏りが
できてしまう。金属材料の大きさに偏りが生じると、隣り合う細線間の距離や、細線の幅
・高さなど、偏光素子の光学物性に密接な関係のあるパラメータが変わってしまうため、
偏光素子全体で均一な光学物性を発現することができない。
そこで、本発明は、耐光性が高く、従来よりも均一な光学物性を発現する偏光素子を製
造することができる偏光素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の偏光素子の製造方法は、基板の一面側に平面視
略ストライプ状に設けられた複数の凸条部に、前記一面に対して斜め方向からスパッタ粒
子を堆積させ、前記凸条部の表面に堆積された細線状の薄膜によって複数の細線を形成す
る偏光素子の製造方法であって、プラズマ生成領域を挟んでターゲット面が対向する一対
のターゲットを備え、前記プラズマ生成領域から前記スパッタ粒子を放出するスパッタ装
置を用い、前記基板の一面が前記ターゲット面と略平行になるように前記基板を配置し、
前記凸条部の延在方向に交わる第1の方向から、前記凸条部の一方の側面に前記スパッタ
粒子を堆積させ、複数の第1細線を形成する工程と、前記第1の方向とは前記基板表面に
投影した方位が正反対である第2の方向から、前記凸条部の他方の側面に前記スパッタ粒
子を堆積させて複数の第2細線を形成し、前記第1細線と前記第2細線とを有する前記細
線を形成する工程と、を有することを特徴とする。
このように製造することで、ターゲットから放出されたスパッタ粒子が第1の方向から
基板の一面に斜めに堆積する。このとき、ターゲットまでの距離によって基板の一面内の
スパッタ粒子の堆積量に偏りが生じ、各第1細線の大きさに偏りが生じる。しかし、スパ
ッタ粒子を第2の方向から堆積させることで、各第1細線上のスパッタ粒子の堆積量に第
1細線の大きさの偏りとは正反対の偏りを生じさせることができる。これにより、第1細
線の大きさの偏りと第2細線の大きさの偏りとを相殺させ、基板の一面に均一な大きさの
細線を形成することができる。また、基板の凸条部に細線を形成することで、従来のフィ
ルム型の偏光素子等と比較して、耐光性を向上させることができる。また、対向させた一
対のターゲットを用いる対向ターゲットスパッタ法により細線を形成することで、その他
の方法を用いる場合と比較して細線の生産性を向上させることができる。
したがって、本発明の偏光素子の製造方法によれば、耐光性が高く、従来よりも均一な
光学物性を発現する偏光素子を製造することができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記基板は、前記一対のターゲットの中間点を
通り前記ターゲット面に平行な仮想面上であって、前記ターゲットの前記スパッタ粒子の
放出側に配置することを特徴とする。
このように製造することで、基板の一面内のスパッタ粒子の堆積量の偏りを小さくする
ことができるだけでなく、堆積量の偏りを基板の一面内で対称にすることができる。した
がって、細線の大きさをより均一に形成することができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記基板の一面と反対側の面を互いに対向させ
た一対の前記基板を用い、一対の前記基板に一括して前記細線を形成することを特徴とす
る。
このように製造することで、一対の基板の双方に同時に細線を形成することができるの
で、偏光素子の生産性を向上させることができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記基板を前記ターゲット面と平行で前記スパ
ッタ粒子の放出方向と交差する搬送方向に搬送しながら前記第1細線を形成する工程と、
前記基板を前記一面の法線回りに反転させ、前記基板を搬送しながら前記第2細線を形成
する工程と、を有することを特徴とする。
このように製造することで、基板の一面に第1の方向からスパッタ粒子を堆積させて第
1細線を形成した後、基板の一面に第2の方向からスパッタ粒子を堆積させて第2細線を
形成することができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記基板を前記ターゲット面と平行で前記スパ
ッタ粒子の放出方向と交差する搬送方向に搬送しながら前記第1細線を形成する工程と、
前記基板を前記搬送方向と平行な回転軸回りに反転させ、前記基板を搬送しながら前記第
2細線を形成する工程と、を有することを特徴とする。
このように製造することで、基板の一面に第1の方向からスパッタ粒子を堆積させて第
1細線を形成した後、基板の一面に第2の方向からスパッタ粒子を堆積させて第2細線を
形成することができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記細線を形成した後、前記細線の上にさらに
前記細線を積層して形成することを特徴とする。
このように製造することで、各々の細線の大きさのばらつきを小さくすることができる
また、本発明の偏光素子の製造方法は、前記一対のターゲットを複数用い、前記一対の
ターゲット同士は、前記スパッタ粒子の放出方向が前記基板を向くように互いに正反対の
向きに配置され、第1の前記一対のターゲットにより前記第1細線を形成し、第2の前記
一対のターゲットにより前記第2細線を形成することを特徴とする。
このように製造することで、基板を反転させることなく細線を形成することができ、生
産性を向上させることができる。
また、本発明の偏光素子の製造方法は、第1の前記スパッタ装置の前記ターゲットの材
料と、第2の前記スパッタ装置の前記ターゲットの材料を異ならせ、前記第1細線と前記
第2細線とを異なる材料により形成することを特徴とする。
このように製造することで、異なる材料の第1細線と第2細線との組合せにより所望の
特性を有する細線を形成することができる。
本発明の第1実施形態に係る偏光素子の製造装置の概略図である。 図1に示す製造装置の模式的な斜視図である。 第1実施形態の偏光素子の製造工程を示す工程断面図である。 第1実施形態の偏光素子の製造工程を示す工程断面図である。 図1に示す偏光素子の製造装置の拡大図である。 本発明の第2実施形態に係る偏光素子の製造装置の拡大図である。 本発明の第3実施形態に係る偏光素子の製造装置の拡大図である。 本発明の第4実施形態に係る偏光素子の製造装置の拡大図である。 第4実施形態の偏光素子の製造工程を示す工程断面図である。
<第一実施形態>
以下、本発明の実施形態に係る偏光素子の製造方法について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る偏光素子の製造装置の概略構成を示す模式図である。図2は図1
に示す製造装置の模式的な斜視図である。
なお、以下の説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各
部材の位置関係を説明する。この際、水平面内における所定の方向をX軸方向、水平面内
においてX軸方向と直交する方向をZ軸方向、垂直面内においてX軸方向とZ軸方向のそ
れぞれの直交する方向をY軸方向とする。本実施形態の場合、細線の延在方向をX軸方向
とし、細線の配列軸をY軸方向としている。また、以下の全ての図面においては、図面を
見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせている。
まず、本実施形態に係る偏光素子の製造装置について説明する。
図1に示すように、偏光素子の製造装置100は液晶装置の構成部材となる基板1上に
スパッタ法により細線を形成する装置である。製造装置100は、基板1を収容する真空
チャンバー101と、基板1の表面(被処理面1a)にAl等の光反射性材料やゲルマニ
ウム等の光吸収性材料からなる細線をスパッタ法により形成するスパッタ装置110とを
備えている。
真空チャンバー101には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための排気制
御装置(図示略)が配管を介して接続されている。また実際の製造装置100では、真空
チャンバー101の真空度を保持した状態での基板1の搬入/搬出を可能とするロードロ
ックチャンバー(図示略)が、真空チャンバー101のX軸負方向外側に備えられている
。ロードロックチャンバーにも、これを独立して真空雰囲気に調整する排気制御装置が接
続されている。ロードロックチャンバーと真空チャンバー101とは、チャンバー間を気
密に閉塞するゲートバルブ(図示略)を介して接続されている。かかる構成により、真空
チャンバーを大気に解放することなく基板1の出し入れを行えるようになっている。真空
チャンバー101の下方(Y軸負方向側)には、スパッタ装置110が連結されている。
スパッタ装置110は2枚のターゲット111a,111bを対向配置してなる対向タ
ーゲット型のスパッタ装置であり、第1のターゲット111aは略平板状の第1電極11
2aに装着され、第2のターゲット111bは略平板状の第2電極112bに装着されて
いる。
第1電極112a及び第2電極112bは、それらの一端部(Y軸負方向側端部)に接
続された側壁部材113と、第1電極112a及び第2電極112bのX軸方向両端部に
それぞれ接続された側壁部材114とともにスパッタ装置110の真空チャンバーとなる
箱形筐体を構成している。ただし、箱形筐体を構成する第1電極112a、第2電極11
2b、及び側壁部材113,114は互いに絶縁された構造である。
第1電極112a、第2電極112b、及び側壁部材113,114からなる箱形筐体
は、第1電極112a及び第2電極112bの側壁部材113と反対側の端部にスパッタ
粒子Pが排出される開口部110aを有している。そして、開口部110aを介して真空
チャンバー101に接続され、かかる接続構造により箱形筐体の内部は真空チャンバー1
01の内部と連通している。
また、スパッタ装置110は、箱型筐体のターゲット111a,111bが対向する空
間(プラズマ生成領域Pz)に放電用のアルゴンガスGを流通させるガス供給部115を
備えている。
第1電極112a、第2電極112bに支持されたターゲット111a,111bは、
基板1上に形成する細線の構成物質を含む材料、例えばアルミニウム、モリブデンのよう
な金属材料やシリコン、ゲルマニウムのような半金属材料からなるものとされる。またタ
ーゲット111a,111bは互いに対向するターゲット面Ta,Tbが略平行になるよ
うに設置されている。ここで、ターゲット111a,111bの互いに対向するターゲッ
ト面Ta,Tbは、垂直面(XY平面)と略平行に設置されている。
第1電極112aには直流電源又は高周波電源からなる電源116aが接続され、第2
電極112bには直流電源又は高周波電源からなる電源116bが接続されており、各電
源116a,116bから供給される電力によりプラズマ生成領域Pzにプラズマを発生
させるようになっている。第1電極、第2電極のターゲットと反対側にはそれぞれターゲ
ット111a,111bを冷却するための冷却部117a,117bが設けられている。
冷却部117a,117bには、冷媒循環部118a,118bが配管等を介して接続
されている。冷却部117a,117bは、ターゲット111a,111bとほぼ同一の
平面寸法に形成されており、それぞれ第1電極112a、第2電極112bを介してター
ゲット111a,111bと平面視で重なる位置に配設されている。冷却部117a,1
17bは内部に冷媒を流通させる冷媒流路を備えており、かかる冷媒流路に対して冷媒循
環部118a,118bから供給される冷媒を循環させることでターゲット111a,1
11bの冷却を行うようになっている。
Z軸方向からの平面視で矩形状の第1の冷却部117aを取り囲むようにして矩形枠状
の永久磁石、電磁石、これらを組み合わせた磁石等からなる第1の磁界発生部119aが
配設されている。同様に第2の冷却部117bを取り囲む第2の磁界発生部119bが配
設されている。
第1の磁界発生部119aと第2の磁界発生部119bとは、対向配置されたターゲッ
ト111a,111bの外周部で互いに対向して配置されている。そして、これらの磁界
発生部119a,119bがターゲット111a,111bを取り囲むZ方向の磁界をス
パッタ装置110内に発生させ、かかる磁界によってプラズマに含まれる電子をプラズマ
生成領域Pz内に拘束する電子拘束手段を構成している。
真空チャンバー101の内部のスパッタ装置110の開口部110aの上方(Y軸正方
向側)には、図2に示すように、基板1をその被処理面1aである一面が垂直(XY平面
と平行)になるようにして保持する基板ホルダー102が設けられている。図示は省略す
るが、基板ホルダー102は、基板ホルダー102を図示略のロードロックチャンバー側
からその反対側へ水平(X軸と平行な方向)に搬送するための移動手段を備えるとともに
、基板1の搬送方向(X軸方向)と直交する水平方向(Z軸方向)の位置を調整する調整
手段と、基板1をZ軸周り又はX軸周りに回転させる回転手段と、を備えている。
次に、細線の形成に上記の製造装置100を用いた偏光素子の製造方法について説明す
る。図3及び図4は偏光素子の製造方法の説明図である。
まず、図3(a)に示すように、ガラス基板等の基板材料1Aを用意し、基板材料1A
の一面側にレジスト材料をスピンコートにより塗布し、これをプリベークすることでレジ
スト層2aを形成する。レジスト材料としては、例えば、化学増幅型のポジ型フォトレジ
ストTDUR−P338EM(東京応化工業(株)社製)を用いる。本実施形態では、レ
ジスト層2aを例えば約200nmに形成する。
次に、例えば波長が266nmのレーザ光を露光光として用いた二光束干渉露光法によ
りレジスト層2aを露光する。二光束干渉露光法では、レジスト層2aに干渉光を照射す
ることで、レーザ光の波長よりも狭い形成ピッチでレジスト層2aを露光する。次いで、
レジスト層2aをベーク(PEB)した後、レジスト層2aを現像する。これにより、図
3(b)に示すように、縞状のパターンを有するレジスト2を形成する。また、本実施形
態では、レジスト2の縞状のパターンのピッチは例えば140nmであり、高さは例えば
約200nmである。
次に、レジスト2を介してドライエッチング処理を行い、基板材料1Aを約50nm〜
約150nm程度掘り下げることで基板材料1Aをパターニングする。そして、図3(c
)に示すように被処理面1aに溝部12、凸条部13を有する基板1を形成する。本実施
形態では、溝部12が例えば約100nmの深さとなるまでエッチングを行う。また、本
実施形態では、エッチングガスにC,CF,CHFの混合ガスを用い、反応条
件として、ガス流量:C/CF/CHF=20/30/30sccm、放電出
力:300W、圧力:5Pa、反応時間:30〜40secでエッチングを行う。
以上により、基板1の被処理面1aである一面側に平面視で略ストライプ状の複数の凸
条部13が形成される。本実施形態では形成された凸条部13の高さh2は例えば約10
0nmであり、ピッチdは例えば140nmである。ここで、凸条部13の高さh2を5
0nm≦h2≦300nmの範囲とすると、偏光素子の生産性を必要以上に低下させるこ
となく所望の性能が得られ、量産化する上で好ましい。
次に、図1に示す偏光素子の製造装置100により、凸条部13が形成された基板1の
被処理面1aに対して図4(a)に示すように斜め方向からスパッタ粒子Pを堆積させ、
凸条部13の一方の側面13aに第1細線14aを形成する。なお、図4(a)〜図4(
d)では、スパッタ粒子Pの入射方向を矢印で表している。
具体的には、まず基板1をロードロックチャンバー内に搬入して基板ホルダー102に
よって保持し、排気制御装置によってロードロックチャンバー内を所望の真空度に減圧す
る。ロードロックチャンバーが所望の真空度に達したら、真空チャンバーとの間のゲート
バルブを開き、基板1を基板ホルダー102の移動手段によりX軸正方向に移動させて真
空チャンバー101内に搬送する。本実施形態では、真空チャンバー101内の真空度は
、例えば約0.1Paである。
図5は、スパッタ装置110と基板1との位置関係を示す図1の拡大図である。
図5に示すように、真空チャンバー101に搬入された基板1は、被処理面1aがター
ゲット111a,111bのターゲット面Ta,Tbと平行に保たれた状態で基板ホルダ
ー102によって保持されている。このとき、凸条部13の延在方向はX軸と平行になっ
ている。また、基板1は一対のターゲット111a,111bの中間点を通りターゲット
面Ta,Tbに平行な仮想面V上に配置され、図2に示すように真空チャンバー101内
をX軸正方向に搬送される。基板1の搬送速度は例えば2cm/minである。
ここで、本実施形態では、ターゲット111a,111bとして120mm角のシリコ
ンからなるものを用い、対向するターゲット111a,111bのターゲット面Ta,T
bの間隔Sは例えば約60mmである。また、ターゲット111a,111bの上端(Y
軸正方向側の端部)と基板1の下端(Y軸負方向側の端部)との間の垂直方向(Y軸方向
)の距離Dは、例えば約110mmである。
また、本実施形態では、電源116a,116bの1kWの電源電力により、第1電極
112aと第2電極112bとの間に周波数100kHz、パルス幅4016nsのパル
ス電圧を印加する。
このようにスパッタ装置110の第1電極112aと第2電極112bとの間に電圧を
印加し、ガス供給部115によってプラズマ生成領域Pzにアルゴンガスを導入すること
で、プラズマ生成領域Pzにプラズマが発生する。発生したプラズマ雰囲気中のアルゴン
イオンはターゲット111a,111bに衝突して、ターゲット111a,111bから
細線の材料であるシリコンをスパッタ粒子Pとしてたたき出す。ターゲット111a,1
11bからたたき出されプラズマに含まれるスパッタ粒子Pのうち、プラズマから開口部
110a側へ飛行するスパッタ粒子Pのみが選択的に真空チャンバー101内に放出され
る。
対向ターゲット型のスパッタ装置110を用い、基板1の被処理面1aをターゲット面
Ta,Tbと平行にすることで、開口部110aから真空チャンバー101内に放出され
たスパッタ粒子Pが基板1の被処理面1aに対して約0°〜30°の角度で入射する。ま
た、スパッタ装置110のターゲット111aがスパッタ粒子Pを放出する方向(第1の
方向)は基板1表面(被処理面1a)に投影した方位がY軸方向と略平行となる。スパッ
タ粒子Pを凸条部13の延在方向(X軸方向)と交わるY軸方向から堆積させることで、
図4(a)に示すようにスパッタ粒子Pは凸条部13の一方の側面に斜め方向から堆積し
て第1細線14aを形成する。このように基板1をX軸正方向に搬送しながら凸条部13
にスパッタ粒子Pを堆積させ、凸条部13の一方の側面13aに第1細線14aを形成す
る。
スパッタ装置110からスパッタ粒子Pを放出して凸条部13の側面13aに堆積させ
る際には、図1に示すようにスパッタ装置110のターゲット111a,111bを取り
囲む矩形枠状の磁界発生部119a,119bにより発生させた磁界によってプラズマに
含まれる電子を補足ないし反射させる。これにより基板1の近傍の空間にプラズマが侵出
することを防止し、基板1へのプラズマによる影響を除去することができる。したがって
、プラズマによる基板1へのダメージを抑制し、低ダメージ成膜を実現することができる
。また、基板1への2次電子、ターゲット111a,111b等からの輻射熱を抑制する
ことができ、低温成膜を実現することができる。
また、対向ターゲット型のスパッタ装置110では、開口部110aから放出されない
スパッタ粒子Pは、主にターゲット111a,111bに入射して再利用されるため、極
めて高いターゲット利用効率を得られるようになっている。さらにスパッタ装置110に
おいては、ターゲット間隔Sを狭めることで開口部110aから放出されるスパッタ粒子
Pの指向性を高めることができる。したがって、基板1に到達するスパッタ粒子Pの入射
角は高度に制御されたものとなり、スパッタ粒子Pを高精度に堆積させることができる。
尚、スパッタ装置110の開口部110aにスパッタ粒子Pを遮るシャッター103が
設けられている場合には、基板1上にスパッタ粒子Pを堆積させる際に基板1の裏面1b
へのスパッタ粒子Pの入射を防止するようにシャッター103を部分的に閉じた状態や半
開状態にしてもよい。また、シャッター103を全開にして基板1の表面(被処理面1a
)と裏面1bの双方に凸条部を設け、表面(被処理面1a)と裏面1bの双方に一括して
スパッタ粒子Pを堆積させてもよい。また、シャッター103は必ずしも設けられていな
くてもよい。
図1及び図5に示すスパッタ装置110により第1細線14aを形成すると、基板1の
被処理面1a内では、ターゲット111a,111bに近い凸条部13に堆積するスパッ
タ粒子Pは多くなる。また、ターゲット111a,111bから遠い凸条部13に堆積す
るスパッタ粒子Pは少なくなる。そのため、凸条部13の一方の側面13aに形成される
第1細線14aの体積は、図4(a)に示すように、スパッタ装置110のターゲット1
11a,111bに近い(Y軸負方向側)ほど大きく、ターゲット111a,111bか
ら遠い(Y軸正方向側)ほど小さくなる傾向がある。
これにより、基板1の被処理面1aの垂直(Y軸)方向において第1細線14aの体積
に偏りができてしまう。すなわち凸条部13上には第1細線14aがスパッタ装置110
のターゲット111a,111bから遠い側から近い側へ、例えば約30nm〜約50n
m程度の膜厚の範囲で形成される。このときの膜厚のばらつきは例えば約32%程度にな
っている。
そこで、本実施形態では、第1細線14aを形成する際にスパッタ粒子Pを堆積させた
方向と逆の方向から凸条部13の他方の側面13bにスパッタ粒子Pを堆積させて第2細
線を形成する。換言すると、基板1表面(被処理面1a)に投影した方位が、図5に示す
基板1の一端1c側から他端1d側に向かう方向(第1の方向)と正反対である、基板1
の他端1d側から一端1c側に向かう方向(第2の方向)から、スパッタ粒子Pを堆積さ
せて第2細線を形成する。
具体的には、基板1をX軸正方向に搬送しながら第1細線14aを形成した後、基板1
がスパッタ装置110の開口部110a上を通過してスパッタ装置110と垂直(Y軸)
方向に重ならない位置まで移動したら、基板1の搬送を停止する。
次いで、基板ホルダー102の回転手段を用い、例えばZ軸と略平行な基板1の法線を
回転軸として基板1を180°反転させる。これにより、図5に示すスパッタ装置110
に対して基板1の一端1c側と他端1d側が入れ替わり、他端1d側がスパッタ装置11
0のターゲット111a,111bに近く、一端1c側がスパッタ装置110のターゲッ
ト111a,111bから遠くなる。
これにより、図4(b)に示すように、凸条部13の一方の側面13aに形成された第
1細線14aの体積は、スパッタ装置110のターゲット111a,111bに近い(Y
軸負方向側)ほど小さく、スパッタ装置110のターゲットから遠い111a,111b
(Y軸正方向側)ほど大きくなる。すなわち、スパッタ装置110に対する第1細線14
aの配置が反転され、第1細線14aの体積の偏りが垂直(Y軸)方向で逆転する。
このように基板ホルダー102の回転手段を用いて基板1を反転させた後、図1及び図
5に示すように基板1を基板ホルダー102の移動手段によってX軸負方向に搬送し、ス
パッタ装置110の開口部110a上を通過させながらスパッタ装置110によりスパッ
タ粒子Pを放出する。これにより、図4(b)に示すように、スパッタ粒子Pを凸条部1
3の他方の側面13bに第1細線14aと同様に斜め方向から堆積させて第2細線14b
を形成し、凸条部13の各々に第1細線14aと第2細線14bとからなる細線14を形
成する。これにより、基板1の被処理面1aに凸条部13と細線14を備えた偏光素子1
0が形成される
このとき、基板1上のスパッタ装置110のターゲット111a,111bに近い凸条
部13に堆積するスパッタ粒子Pは多くなり、ターゲット111a,111bから遠い凸
条部13に堆積するスパッタ粒子Pは少なくなる。そのため、第2細線14bの体積は、
スパッタ装置110のターゲット111a,111bに近い(Y軸負方向側)ほど大きく
、ターゲット111a,111bから遠い(Y軸正方向側)ほど小さくなる傾向がある。
しかし、本実施形態では、第1細線14aを形成した後に基板1をスパッタ装置110
に対して反転させたことで、第1細線14aの体積は、第2細線14bとは逆にスパッタ
装置110のターゲット111a,111bに近いほど小さく、ターゲット111a,1
11bから遠いほど大きくなっている。そのため、基板1の被処理面1aの複数の凸条部
13の他方の側面13bには、第1細線14aの体積の偏りと正反対の体積の偏りを有す
る第2細線14bが形成される。これにより、第1細線14aの体積の偏りが第2細線1
4bの正反対の体積の偏りによって相殺され、第1細線14aと第2細線14bからなる
細線14の体積が被処理面1a内で均一化される。
したがって、複数の凸条部13の各々に、均一な大きさの細線14を形成することがで
きる。すなわち、凸条部13上には細線14がスパッタ装置110のターゲット111a
,111bから遠い側から近い側へ、例えば約50nm程度の均一な膜厚に形成される。
これにより、膜厚のばらつきを例えば約11%程度に大幅に低減することができる。
ここで、細線14は、幅b、高さh1が下記の式(1)及び式(2)を満足するように
形成する。ここで、dは凸条部のピッチである。
0.1≦h1/d≦0.5 …(1)
0.1≦b/d≦0.5 …(2)
本実施形態では、凸条部13のピッチdは140nmである。したがって、細線14は
、高さh1が14nm≦h1≦70nm範囲で、かつ幅bが14nm≦b1≦70nmの
範囲となるように形成する。
また、本実施形態では細線14の形成材料としてシリコンを用いているが、シリコン以
外にも、アルミニウム、ゲルマニウム、モリブデン、を好適に用いることができる。細線
14の形成材料にアルミニウムを用いると、加工がしやすい反面、アルミニウムが酸化し
やすい金属材料であるため劣化のおそれがある。そのため、上述した金属材料のうち酸化
し難いシリコン、ゲルマニウム、モリブデンを用いると、劣化し難い細線14とすること
ができ好ましい。例えば、偏光素子が高温となる用途に用いる場合、高温環境下では酸化
反応が促進されるが、上記材料を用いて細線14を形成すると、耐久性の高い偏光素子と
することが可能となる。また、必要に応じて、これらの材料を主として含む合金を形成材
料として用いることとしても構わない。
本実施形態では、図5に示すように、基板1をターゲット111a,111bの中間点
を通りターゲット面Ta,Tbに平行な仮想平面V上で、ターゲット111a,111b
に対してスパッタ粒子Pの放出側に配置して細線14を形成している。そのため、基板1
の被処理面1a内のスパッタ粒子Pの堆積量の偏りを小さくすることができるだけでなく
、堆積量の偏りを基板1の被処理面1a内で対称にすることができる。したがって、細線
の大きさをより均一に形成することができる。
ここで、基板1をスパッタ粒子Pの放出方向と交差する搬送方向に搬送せず、基板1を
静止させた状態で細線14を形成した場合には、ターゲット111a,111bから基板
1上の細線14を形成する位置までの距離によってスパッタ粒子Pの堆積量が変動する。
そのため、この場合には基板1上のスパッタ粒子Pの放出方向(Y軸方向)と略垂直な搬
送方向(X軸方向)に細線14の膜厚の変動が生じてしまう。
しかしながら、本実施形態では、図2に示すように、基板1をスパッタ粒子Pの放出方
向(Y軸方向)と略垂直な搬送方向(X軸方向)に搬送しながら細線14を形成している
。したがって、基板1上のスパッタ粒子Pの放出方向と略垂直な方向の細線14の膜厚を
均一にすることができる。
次に、基板1の凸条部13の各々に形成した細線14の上にさらに細線15を積層して
、複数の細線14,15を備えた偏光素子10を形成する。
基板1をX軸負方向に搬送しながら、図4(b)に示すように第2細線14を形成して
凸条部13に細線を形成した後、基板1が図1及び図5に示すスパッタ装置110の開口
部110a上を通過して開口部110aと垂直(Y軸)方向に重ならない位置に到達した
ら、基板1の搬送を停止する。
次いで、上述した図4(a)に示す凸条部13上に第1細線14aを形成する場合と同
様に基板1をX軸正方向に搬送しながら、図4(c)に示すようにスパッタ装置110に
よりスパッタ粒子Pを堆積させて細線14上に第1細線15aを形成する。これにより、
下層側の第1細線14aと同様に、スパッタ装置110のターゲット111a,111b
に近いほど体積が大きく、ターゲット111a,111bから遠いほど体積が小さくなる
ような体積の偏りを有する第1細線15aが形成される。
基板1がスパッタ装置110の開口部110a上を通過して開口部110aのX軸正方
向側に到達したら、基板1の搬送を停止させ、図4(b)に示す第2細線を形成する場合
と同様に、基板1を180°反転させて基板1の一端1c側と他端1d側を入れ替える。
これにより、図4(d)に示すように、下層側の細線14上に形成された第1細線15
aの体積は、スパッタ装置110のターゲット111a,111bに近い(Y軸負方向側
)ほど小さく、スパッタ装置110のターゲット111a,111bから遠い(Y軸正方
向側)ほど大きくなる。
基板1を反転させた後、図1及び図5に示すように基板1をX軸負方向に搬送し、スパ
ッタ装置110の開口部110a上を通過させながらスパッタ装置110によりスパッタ
粒子Pを放出する。これにより、図4(d)に示すように、スパッタ粒子Pを下層側の細
線14上に、第1細線15aと同様に斜め方向から堆積させて第2細線15bを形成する
。そして、凸条部13の各々に形成された下層側の細線14上に第1細線15aと第2細
線15bとからなる上層側の細線15を形成する。
このとき、基板1上の被処理面1a内では、スパッタ装置110のターゲット111a
,111bに近い凸条部13に堆積するスパッタ粒子Pは多くなる。また、ターゲット1
11a,111bから遠い凸条部13に堆積するスパッタ粒子Pは少なくなる。そのため
、第2細線15bの体積は、スパッタ装置110のターゲット111a,111bに近い
ほど大きく、ターゲット111a,111bから遠いほど小さくなる傾向がある。
しかし、本実施形態では、第1細線14aを形成した後に基板1を反転させたことで、
第1細線14aの体積は、第2細線14bとは逆にスパッタ装置110のターゲット11
1a,111bに近いほど小さく、ターゲット111a,111bから遠いほど大きくな
っている。そのため、基板1の被処理面1aの複数の凸条部13の他方の側面13bには
、第1細線15aの体積の偏りと正反対の体積の偏りを有する第2細線15bが形成され
る。
これにより、第1細線15aの体積の偏りが第2細線15bの正反対の体積の偏りによ
って相殺され、第1細線15aと第2細線15bからなる細線15の体積が均一化される
。したがって、均一な膜厚に形成された下層側の細線14上に、均一な膜厚の上層側の細
線15を形成し、複数の細線14,15からなる均一な膜厚の細線16を形成することが
できる。
また、図2に示すように、基板1をスパッタ粒子Pの放出方向(Y軸方向)と略垂直な
搬送方向(X軸方向)に搬送しながら細線15を形成している。したがって、基板1上の
スパッタ粒子Pの放出方向と略垂直な方向の細線15の膜厚を均一にして、均一な膜厚の
細線16を形成することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、基板1の被処理面(一面)1aに凸条部1
3と、凸条部13に設けられた耐光性が高く均一な膜厚の細線16とを備え、従来よりも
均一な光学物性を発現する偏光素子10を製造することができる。
また、対向ターゲットスパッタ法により細線16を形成することで、成膜レートを例え
ば約15nm/min程度にすることができる。すなわち、イオンビームスパッタ(IB
S)法等のその他の方法を用いる場合と比較して、成膜レートを二桁程度大きくして細線
16の生産性を向上させることができる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係る偏光素子の製造方法ついて、図1〜図4を援用し、
図6を用いて説明する。本実施形態では、細線14,15の形成時に基板1をスパッタ装
置110の開口部110aの端に配置する点で上述の第一実施形態で説明した偏光素子の
製造方法と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には
同一の符号を付して説明は省略する。
まず、図3(a)に示すように、第一実施形態と同様に基板材料1A上にレジスト層2
aを形成し、図3(b)に示すように、縞状のパターンを有するレジスト2を形成する。
次に、図3(c)に示すように、第一実施形態と同様にレジスト2を介してドライエッチ
ング処理を行い、基板材料1Aをパターニングして、溝部12、凸条部13を有する基板
1を形成する。
次に、図1に示す偏光素子の製造装置100により、第一実施形態と同様に凸条部13
が形成された基板1の被処理面1aに対して図4(a)に示すように斜め方向からスパッ
タ粒子Pを堆積させ、凸条部13の一方の側面13aに第1細線14aを形成する。
図6は、スパッタ装置110と基板1との位置関係を示す図1の拡大図である。
図6に示すように、第一実施形態と同様に真空チャンバー101内に搬入された基板1
は、被処理面1aがターゲット111a,111bのターゲット面Ta,Tbと平行に保
たれた状態で、基板ホルダー102によって保持されている。このとき、凸条部13の延
在方向はX軸と平行になっている。また、基板1は、基板ホルダー102の位置調整手段
によって、一対のターゲット111a,111bに平行でかつ一方のターゲット111a
のターゲット面Taに接する仮想面W上に配置される。そして、基板1はこの状態で真空
チャンバー101内をX軸正方向に搬送される。基板1の搬送速度は例えば4cm/mi
nである。
ここで、本実施形態では、ターゲット111a,111bは120mm角のシリコンか
らなるものを用い、対向するターゲット111a,111bのターゲット面Ta,Tbの
間隔Sは例えば約60mmである。また、ターゲット111a,111bの上端(Y軸正
方向側の端部)と基板1の下端(Y軸負方向側の端部)との間の垂直(Y軸)方向の距離
は、例えば約110mmである。
また、本実施形態では、電源116a,116bは、1kWの電源電力により、第1電
極112aと第2電極112bとの間に周波数100kHz、パルス幅4016nsのパ
ルス電圧を印加する。
スパッタ装置110の第1電極112aと第2電極112bとの間に上記のパルス電圧
を印加し、ガス供給部115によってプラズマ生成領域Pzにアルゴンガスを導入してス
パッタ粒子Pを放出させる。このとき、図6に示すようにシャッター103をターゲット
111a,111bとの中間点を通る仮想面V上まで閉じて半閉状態とする。そして、ス
パッタ粒子Pを凸条部13の延在方向(X軸方向)と交わる方向から堆積させる。
これにより、図4(a)に示すようにスパッタ粒子Pは凸条部13の一方の側面13a
に斜め方向から堆積する。このように基板1をX軸正方向に搬送しながら凸条部13にス
パッタ粒子Pを堆積させ、凸条部13の一方の側面13aに第1細線14aを形成する。
本実施形態では、第1細線14aの膜厚は、例えば約20nm〜約30nm程度の膜厚の
範囲で形成され、膜厚のばらつきは例えば約23%程度になっている。
次いで、ターゲット面Taを通る仮想面W上に基板1を配置した状態で、第一実施形態
と同様に基板1を180°反転させ、図4(b)に示すように基板1をX軸負方向に搬送
しながら第2細線14bを形成し、凸条部13上に細線14を形成する。本実施形態では
、凸条部13上の細線14の膜厚は、例えば約35nm程度の均一な膜厚に形成され、膜
厚のばらつきを例えば約4%程度に大幅に低減することができる。
次に、第一実施形態と同様に基板1を再度X軸正方向に搬送しながら、図4(c)に示
すように細線14上に第1細線15aを形成する。次いで、第一実施形態と同様に基板1
を180°反転させてX軸負方向に搬送しながら、細線14上に第2細線15bを形成し
、下層の細線14上に上層の細線15を形成する。
以上説明したように、本実施形態によれば第一実施形態と同様の効果を得ることができ
る。
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係る偏光素子の製造方法ついて、図1〜図4を援用し、
図7を用いて説明する。本実施形態では、基板1の被処理面1aの反対側の裏面1bを互
いに対向させた一対の基板1,1に一括して細線14,15を形成する点で上述の第一実
施形態で説明した偏光素子の製造方法と異なっている。その他の点は第一実施形態と同様
であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
まず、一対の基板材料1Aを用意し、図3(a)に示すように、第一実施形態と同様に
それぞれの基板材料1A上にレジスト層2aを形成し、図3(b)に示すように、縞状の
パターンを有するレジスト2を形成する。次に、図3(c)に示すように、第一実施形態
と同様にレジスト2を介してドライエッチング処理を行い、基板材料1Aをパターニング
して、溝部12、凸条部13を有する基板11を形成する。
次に、図1に示す偏光素子の製造装置100により、第一実施形態と同様に凸条部13
が形成された基板1の被処理面1aに対して図4(a)に示すように斜め方向からスパッ
タ粒子を堆積させ、凸条部の一方の側面に第1細線を形成する。
図7は、スパッタ装置110と基板1,1との位置関係を示す図1の拡大図である。
図7に示すように、真空チャンバー101に搬入された一対の基板1,1は、被処理面
1aと反対側の裏面1bを互いに対向させて重ね合わされ、第一実施形態と同様に被処理
面1a,1aがターゲット111a,111bのターゲット面Ta,Tbと平行に保たれ
た状態で基板ホルダー102(図1参照)によって保持されている。
次に、第一実施形態と同様に凸条部13上に第1細線14aと第2細線14bとからな
る下層側の細線14を形成し、その細線14上に積層させて第1細線15aと第2細線1
5bとからなる上層側の細線15を形成する。これにより、一対の基板1,1の双方の被
処理面1a,1aに一括して細線16を形成することができる。
したがって、本実施形態によれば第1実施形態と同様の効果を得られるだけでなく、一
対の基板1,1に同時に細線14,15,16を形成することができるので、偏光素子1
0の生産性を向上させることができる。
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係る偏光素子の製造方法ついて、図1及び図3を援用し
、図8及び図9を用いて説明する。本実施形態では、真空チャンバー101のY軸方向に
一対のスパッタ装置110,120が設けられている点で上述の第三実施形態で説明した
偏光素子の製造方法と異なっている。その他の点は第三実施形態と同様であるので、同様
の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
図8は、本実施形態の偏光素子の製造装置200におけるスパッタ装置110,120
と基板1,1との位置関係を示す第一実施形態の図5に相当する拡大図である。
本実施形態の製造装置200は、図1に示す真空チャンバー101のY軸方向の両側に
、互いに正反対の方向を向くように配置された一対のスパッタ装置110,120を備え
ている。図8に示すように、一対のスパッタ装置110,120はそれぞれスパッタ粒子
Pの放出方向が真空チャンバー101内の基板1,1が通過する領域を向くように、開口
部110a,120aを真空チャンバー101の中央部に向けて配設されている。また、
スパッタ装置110,120のターゲット111a,111b,121a,121bのタ
ーゲット面Ta,Tb,Tc,Tdは上述の実施形態と同様に垂直面(XY平面)と平行
になるように設けられている。
図8では第1のスパッタ装置110と第2のスパッタ装置120を同一の平面上に表し
ているが、本実施形態に係る製造装置200では、実際には第1のスパッタ装置110は
真空チャンバー101のロードロックチャンバーに近い側に設けられ、第2のスパッタ装
置120は第1のスパッタ装置110のX軸正方向側にずれた位置に設けられている。
なお、第1のスパッタ装置110と第2のスパッタ装置120は、互いの開口部110
a,120aが真空チャンバー101を挟んで対向するように向かい合わせて配置しても
よいが、本実施形態では上記のように一対スパッタ装置110,120が基板1,1の搬
送方向であるX軸方向にずれた状態で開口部110a,120aが垂直(Y軸)方向で向
かい合うように配置されている。
また、図8では第1のスパッタ装置110と第2のスパッタ装置120のみを示してい
るが、第2のスパッタ装置120のX軸正方向側には、さらにもう一対のスパッタ装置が
設けられている。すなわち、第2のスパッタ装置120のX軸正方向側には、第1のスパ
ッタ装置と同様に設けられた第3のスパッタ装置が配設されている。また、第3のスパッ
タ装置のX軸正方向側には、第2のスパッタ装置120と同様に設けられた第4のスパッ
タ装置が配設されている。すなわち、本実施形態の製造装置200は、二対のスパッタ装
置110,120を備え、X軸正方向側に設けられたロードロックチャンバーからX軸正
方向に第1のスパッタ装置110、第2のスパッタ装置120、第3のスパッタ装置(図
示略)、第4のスパッタ装置(図示略)がこの順に設けられている。
また、製造装置200は、図1に示す製造装置100と同様に移動手段と回転手段を有
する基板ホルダー102を備えている。基板ホルダー102は、図8に示すように一対の
基板1,1を重ね合わせた状態で保持し、基板1,1をX軸方向に搬送し、基板1,1を
Z軸またはX軸回りに回転させることができるようになっている。
次に、細線の形成に上記の製造装置200を用いた偏光素子の製造方法について説明す
る。図9は偏光素子の製造方法の説明図である。
まず、上記の他の実施形態と同様に、図3に示す一対の基板材料1A,1Aを用意し、
基板1の被処理面1aに複数の凸条部13を形成する。
次に、図8に示す偏光素子の製造装置200により、凸条部13が形成された一対の基
板1,1の被処理面1a,1aに対して図9(a)に示すように斜め方向からスパッタ粒
子Pを堆積させ、凸条部13の一方の側面13aに第1細線17aを形成する。なお、図
9(a)〜図9(d)では、スパッタ粒子Pの入射方向を矢印で表している。
具体的には、まず一対の基板1,1をロードロックチャンバー内に搬入して、基板1,
1の被処理面1a,1aと反対側の裏面1b,1bが互いに向かい合うように基板1,1
を重ね合わせた状態(図8参照)で基板ホルダー102によって基板1,1を保持する。
基板1,1は、凸条部13の延在方向が基板1,1の搬送方向(X軸方向)と平行になる
ように保持する。そして、排気制御装置によってロードロックチャンバー内を所望の真空
度に減圧し、基板ホルダー102により基板1,1をX軸正方向に移動させて真空チャン
バー101内に搬送する。
図8に示すように、真空チャンバー101に搬入された基板1,1は、被処理面1a,
1aがターゲット111a,111b,121a,121bのターゲット面Ta,Tb,
Td,Tdと平行に保たれた状態で基板ホルダー102によって保持されている。このと
き、凸条部13の延在方向は基板搬送方向(X軸方向)と平行になっている。また、基板
1,1は一対のターゲット111a,111b、ターゲット121a,121bの中間点
を通りターゲット面Ta〜Tdに平行な仮想面V上に配置され、真空チャンバー101内
をX軸正方向に搬送される。基板1,1の搬送速度は例えば2cm/minである。
また、本実施形態では、第1のスパッタ装置110及び第2のスパッタ装置120のタ
ーゲット111a,111b,121a,121bの材料としてAlを用いている。
上記の実施形態と同様に、第1のスパッタ装置110のプラズマ生成領域Pzにプラズ
マを発生させ、ターゲット111a,111bから細線の材料であるAlをスパッタ粒子
としてたたき出し、スパッタ粒子Pを真空チャンバー101内に放出する。そして、一対
の基板1,1をX軸正方向に搬送して第1のスパッタ装置110の開口部110aの上方
(Y軸正方向側)の領域に基板1,1を通過させる。
これにより、図9(a)に示すようにスパッタ粒子Pは凸条部13の一方の側面13a
に斜め方向から堆積する。このように基板1,1をX軸正方向に搬送しながら凸条部13
にスパッタ粒子Pを堆積させ、双方の基板1,1の凸条部13の一方の側面13aに第1
細線17aを同時に形成する。このとき、上記の実施形態と同様に、凸条部13の一方の
側面13aに形成される第1細線17aの体積は、第1のスパッタ装置110のターゲッ
ト111a,111bに近い(Y軸負方向側)ほど大きく、ターゲット111a,111
bから遠い(Y軸正方向側)ほど小さくなる。
凸条部13上に第1細線17aが形成され、図8に示す第1のスパッタ装置110の開
口部110aの上方(Y軸正方向側)の領域を通過した一対の基板1,1は、基板ホルダ
ー102によってさらにX軸正方向に搬送される。そして、第1のスパッタ装置110の
X軸正方向側に配置された第2のスパッタ装置120の開口部120aの下方(Y軸負方
向側)の領域に到達する。一対の基板1,1が第2のスパッタ装置120の開口部120
aの下方の領域に到達したら、第1のスパッタ装置110と同様に第2のスパッタ装置1
20によってスパッタ粒子Pを真空チャンバー内に放出する。そして、一対の基板1,1
をX軸正方向に搬送して第2のスパッタ装置120の開口部120aの下方の領域に基板
1,1を通過させる。
これにより、図9(b)に示すようにスパッタ粒子Pは一対の基板1,1の凸条部13
の他方の側面13bに斜め方向から堆積する。このように基板1,1をX軸正方向に搬送
しながら凸条部13にスパッタ粒子Pを堆積させ、双方の基板1,1の凸条部13の他方
の側面13bに第2細線17bを同時に形成する。このとき、凸条部13の他方の側面1
3bに形成される第2細線17bの体積は、第2のスパッタ装置120のターゲット12
1a,121bに近い(Y軸正方向側)ほど大きく、第2のスパッタ装置120のターゲ
ット121a,121bから遠い(Y軸負方向側)ほど小さくなる。
このように、第1のスパッタ装置110から上方(Y軸正方向)側にスパッタ粒子Pを
放出し、第2のスパッタ装置120から下方(Y軸負方向)にスパッタ粒子を放出して、
基板搬送方向(X軸方向)に沿って延在する凸条部13上にスパッタ粒子Pを堆積させて
いる。ここで、第1のスパッタ装置110のスパッタ粒子Pの放出方向と第2のスパッタ
装置120のスパッタ粒子Pの放出方向は基板1,1の被処理面1a,1aに投影した方
位が正反対である。
これにより、凸条部13のターゲット111a,111b,121a,121bからの
距離の違いに起因する第1細線17a及び第2細線17bの体積の偏りを互いに相殺する
ことができる。したがって、基板1,1を反転させることなく、基板1,1の被処理面1
a,1aの凸条部13上に体積の均一な細線17を同時に形成することができる。
第1のスパッタ装置110と第2のスパッタ装置120により一対の基板1,1それぞ
れの被処理面1aの凸条部13上に細線17を形成した後、第3のスパッタ装置と第4の
スパッタ装置により細線17上にさらに細線18を積層させて形成する。
本実施形態では、第3のスパッタ装置及び第4のスパッタ装置のターゲットの材料とし
てGeを用いている。
具体的には、基板1,1をX軸正方向に搬送しながら、図9(c)に示すように第3の
スパッタ装置により細線17上に第1細線18aを形成する。第1細線18aは、図9(
a)に示す第1細線17aを形成する場合と同様に形成される。
次いで、基板1,1をさらにX軸正方向に搬送し、図9(d)に示すように第4のスパ
ッタ装置により細線17上に第2細線18bを形成する。第2細線18bは、図9(b)
に示す第2細線17bを形成する場合と同様に形成される。
以上により、基板1,1のそれぞれの被処理面1aの凸条部13上にAlからなる細線
17を同時に形成し、その上にGeからなる細線18を同時に形成することができる。し
たがって、一対の基板1,1に複数の細線17,18からなる均一な体積の細線19を同
時に形成することができる。これにより、基板1の被処理面1aに凸条部と細線19を備
えた偏光素子20を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態の製造装置200及びこの製造装置200を用いた偏
光素子20の製造方法によれば、基板1,1を反転させることがなく、一対の基板1,1
に一括して第1細線17a,18aと第2細線17b,18bとを形成することができる
。したがって、上記の他の実施形態よりも生産性をさらに向上させることができる。
また、材料の異なる細線17,18が積層された細線19を形成することができる。
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しな
い範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態において説明した
偏光素子の製造方法では、スパッタ装置のターゲットとしてシリコンからなるものを用い
、シリコンからなる細線を形成したが、ターゲットの材料はシリコンに限られない。例え
ば、アルミニウム、ゲルマニウム、モリブデン等を用いてこれらの材料からなる細線や、
これらの材料を適宜組み合わせて材料の異なる細線を積層させて形成してもよい。
また、上述の実施形態において説明した製造方法では、基板に第1細線を形成した後、
基板を被処理面の法線回りに反転させたが、基板は搬送方向(X軸方向)と平行な回転軸
回りに反転させてもよい。これにより、上述の実施形態と同様に、基板上の第1細線の配
置をターゲットに対して反転させ、第1細線の体積(大きさ)の偏りを反転させることが
できる。また、被処理面を一対のターゲットの一方のターゲット面に向けた状態から他方
のターゲットのターゲット面に向けた状態にすることができる。
また、上述の実施形態では基板の被処理面及びターゲットのターゲット面が垂直面に平
行な場合について説明したが、装置の構成を変更して基板の被処理面及びターゲットのタ
ーゲット面が水平面と平行になるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、ターゲット面が対向する一対のターゲットを複数対用いる
場合として、一対のスパッタ装置を対向させる場合について説明したが、同一チャンバー
内にターゲット面が対向する一対のターゲットを複数対備えたスパッタ装置を用いてもよ
い。この場合には、第四実施形態と同様に、ターゲット面が対向する一対のターゲット同
士を、それぞれのスパッタ粒子の放出方向が基板を向くように対向させて配置することが
できる。
また、上述の実施形態では、一対の対向ターゲット型のスパッタ装置を用いる場合に、
各スパッタ装置を基板の搬送方向にずらして配置する場合について説明した。しかし、一
対のスパッタ装置を基板の搬送方向にずらすことなく互いの開口部が対向するように配置
して、第1細線と第2細線とを同時に成膜してもよい。これにより、細線の生産性を著し
く向上させることができる。また、成膜装置を小型化することが可能になる。
また、複数のターゲットを用いる場合には、第1のスパッタ装置のターゲットの材料と
、第2のスパッタ装置のターゲットの材質を異ならせ、第1細線と第2細線とを異なる材
料により形成してもよい。このように製造することで、異なる材料の第1細線と第2細線
との組合せにより所望の特性を有する細線を形成することができる。
また、基板材料としては、ガラスの他に、石英、プラスチック等の透光性材料を用いる
ことができる。偏光素子を適応する用途によっては、偏光素子が蓄熱し高温になるため、
基板は、耐熱性の高いガラスや石英を形成材料とすることが好ましい。
<比較例1>
図1に示す製造装置100を用い、被処理面1aに凸条部13が形成された基板1を図
5に示す仮想面Vが通るように配置し、基板1をターゲット面Ta,Tb(垂直面)に対
して約30°(水平面に対して約60°)傾けた状態で、シャッター103を半開にした
。そして、真空チャンバー101の内部の真空度を0.1Paとして、電源116a,1
16bの1kWの電源電力により、第1電極112aと第2電極112bとの間に周波数
100kHz、パルス幅4016nsのパルス電圧を印加し、基板1の搬送速度は5cm
/minとして、上述の第一実施形態と同様に凸条部13上に細線を形成した。
このような条件により得られた細線の膜厚のばらつきは約81%であった。
<比較例2>
図1に示す製造装置100を用い、被処理面1aに凸条部13が形成された基板1を、
図6に示す仮想面Wが基板1を通るように配置し、基板1をターゲット面Ta,Tb(垂
直面)に対して約30°(水平面に対して約60°)傾けた状態で、シャッター103を
全開にした。そして、真空チャンバー101の真空度を0.1Paとして、電源116a
,116bの1kWの電源電力により、第1電極112aと第2電極112bとの間に周
波数100kHz、パルス幅4016nsのパルス電圧を印加し、基板1の搬送速度は4
cm/minとして、上述の第一実施形態と同様に凸条部13上に細線を形成した。
このような条件により得られた細線の膜厚のばらつきは約50%であった。
<比較例3>
図1に示す製造装置100を用い、被処理面1aに凸条部13が形成された基板1を図
6に示す仮想面Wが通るように配置し、基板1をターゲット面Ta,Tb(垂直面)に対
して約30°(水平面に対して約60°)傾けた状態で、シャッター103を半開にした
。そして、真空チャンバー101の真空度を0.1Paとして、1kWの電源電力により
、第1電極112aと第2電極112bとの間に周波数100kHz、パルス幅4016
nsのパルス電圧を印加し、基板1の搬送速度は4cm/minとして、上述の第一実施
形態と同様に凸条部13上に細線を形成した。
このような条件により得られた細線の膜厚のばらつきは約42%であった。
比較例1〜3の結果から、基板1の被処理面1aをターゲット面Ta,Tbと平行(水
平面と90°)にして細線15を形成した場合と比較して、細線の膜厚のばらつきが大き
くなった。また、基板1の被処理面1aがターゲット面Ta,Tbに対して傾斜して、タ
ーゲット面Ta,Tbと平行ではなくなると、凸条部13の間にスパッタ粒子Pが堆積し
て偏光素子の低下率が低下する。したがって、基板1の被処理面1aをターゲット面Ta
,Tbに略平行にした状態で細線15を形成することで、細線15の膜厚をより均一にし
て、偏光素子10,20の透過率を改善できることが裏付けられた。
1 基板、1a 被処理面(一面)、1b 裏面(反対側の面)、13 凸条部、13a
側面、13b 側面、14 細線、14a 第1細線、14b 第2細線、15 細線
、15a 第1細線、15b 第2細線、17a 第1細線、17b 第2細線、18
細線、18a 第1細線、18b 第2細線、110 スパッタ装置、111a,111
b ターゲット、120 スパッタ装置、121a,121b ターゲット、P スパッ
タ粒子、Pz プラズマ生成領域、Ta,Tb,Tc,Td ターゲット面、V 仮想面

Claims (8)

  1. 基板の一面側に平面視略ストライプ状に設けられた複数の凸条部に、前記一面に対して
    斜め方向からスパッタ粒子を堆積させ、前記凸条部の表面に堆積された細線状の薄膜によ
    って複数の細線を形成する偏光素子の製造方法であって、
    プラズマ生成領域を挟んでターゲット面が対向する一対のターゲットを備え、前記プラ
    ズマ生成領域から前記スパッタ粒子を放出するスパッタ装置を用い、
    前記基板の一面が前記ターゲット面と略平行になるように前記基板を配置し、
    前記凸条部の延在方向に交わる第1の方向から、前記凸条部の一方の側面に前記スパッ
    タ粒子を堆積させ、複数の第1細線を形成する工程と、
    前記第1の方向とは前記基板表面に投影した方位が正反対である第2の方向から、前記
    凸条部の他方の側面に前記スパッタ粒子を堆積させて複数の第2細線を形成し、前記第1
    細線と前記第2細線とを有する前記細線を形成する工程と、を有することを特徴とする偏
    光素子の製造方法。
  2. 前記基板は、前記一対のターゲットの中間点を通り前記ターゲット面に平行な仮想面上
    であって、前記ターゲットの前記スパッタ粒子の放出側に配置することを特徴とする請求
    項1に記載の偏光素子の製造方法。
  3. 前記基板の一面と反対側の面を互いに対向させた一対の前記基板を用い、
    一対の前記基板に一括して前記細線を形成することを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の偏光素子の製造方法。
  4. 前記基板を前記ターゲット面と平行で前記スパッタ粒子の放出方向と交差する搬送方向
    に搬送しながら前記第1細線を形成する工程と、
    前記基板を前記一面の法線回りに反転させ、前記基板を搬送しながら前記第2細線を形
    成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の偏光素子の
    製造方法。
  5. 前記基板を前記ターゲット面と平行で前記スパッタ粒子の放出方向と交差する搬送方向
    に搬送しながら前記第1細線を形成する工程と、
    前記基板を前記搬送方向と平行な回転軸回りに反転させ、前記基板を搬送しながら前記
    第2細線を形成する工程と、
    を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の偏光素子の
    製造方法。
  6. 前記細線を形成した後、前記細線の上にさらに前記細線を積層して形成することを特徴
    とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の偏光素子の製造方法。
  7. 前記一対のターゲットを複数用い、
    前記一対のターゲット同士は、前記スパッタ粒子の放出方向が前記基板を向くように互
    いに正反対の向きに配置され、
    第1の前記一対のターゲットにより前記第1細線を形成し、第2の前記一対のターゲッ
    トにより前記第2細線を形成することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一
    項に記載の偏光素子の製造方法。
  8. 第1の前記スパッタ装置の前記ターゲットの材料と、第2の前記スパッタ装置の前記タ
    ーゲットの材料を異ならせ、前記第1細線と前記第2細線とを異なる材料により形成する
    ことを特徴とする請求項7に記載の偏光素子の製造方法。
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