JP2007154242A - 酸化物の混合膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スパッタリング法を用いた酸化物の混合膜の製造方法であって、第1元素を含有するターゲットおよび第2元素を含有するターゲットが設けられた成膜室内において、酸化性ガスを含有する雰囲気中で、スパッタリングを行うことにより、基体上に第1元素の酸化物および第2元素の酸化物の混合膜を成膜させる工程を具備し、前記工程において、第1元素のスパッタリングおよび第2元素のスパッタリングをいずれも遷移領域で行い、第1元素および第2元素の両方について、電力と、OED値もしくは電圧とを変化させる方法等により、前記混合膜中の前記第1元素の酸化物および前記第2元素の酸化物の存在比を膜厚方向において変化させる、酸化物の混合膜の製造方法。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、それぞれに独立した少なくとも二種以上の異種金属からなる各ターゲットをスパッタリングして、基板上へ、複合金属ないし複合金属の不完全反応物からなる超薄膜を形成する工程と、該形成された超薄膜に電気的に中性な反応性ガスの活性種を照射し、上記超薄膜と反応性ガスの活性種とを反応させて複合金属の化合物に変換する工程と、これら超薄膜を形成する工程と複合金属の化合物に変換する工程を順次繰返し、所望の膜厚の複合金属の化合物薄膜を基板に形成することを特徴とする複合金属化合物の薄膜形成方法が記載されており、スパッタリングのときに、例えばマグネトロン・スパッタリングで2個の金属をそれぞれスパッタリングする場合、マグネトロン・スパッタリング・ターゲットの電力制御を適切に制御することにより、各金属の化合物の本来持つ屈折率の範囲内で任意の屈折率を得ることができる旨記載されている。
したがって、互いに異なる元素からなる二つのターゲットを用いるスパッタリング法により、2種の元素の酸化物の混合膜を製造する際にも、両者のスパッタリングを遷移領域において行うのが好ましい。
また、本発明者は、特許文献1に記載されている各方法について検討した結果、これらの方法を遷移領域におけるスパッタリングに適用しようとすると、以下のような問題があることを見出した。
即ち、特許文献1に記載されている各方法は、いずれもターゲットへの投入電力を制御することにより、基板上における2種の酸化物の生成量の割合を変化させて、屈折率を変化させる方法であるが、本発明者の検討によれば、遷移領域で投入電力を制御する方法だと、膜厚方向の2種の酸化物の存在比の変化が狭い範囲でしか得られないことが分かったのである。これは、2種の酸化物の存在量の差を大きくしようとすると、多い方の酸化物の生成のために用いられるための酸素の一部が、少ない方の酸化物の生成に用いられてしまい、このような酸化性ガスの干渉の結果、2種の酸化物を所望の存在比とすることができないからである。
(i)スパッタリング法を用いた酸化物の混合膜の製造方法であって、
第1元素を含有するターゲットおよび第2元素を含有するターゲットが設けられた成膜室内において、酸化性ガスを含有する雰囲気中で、スパッタリングを行うことにより、基体上に第1元素の酸化物および第2元素の酸化物の混合膜を成膜させる工程を具備し、
前記工程において、
第1元素のスパッタリングおよび第2元素のスパッタリングをいずれも遷移領域で行い、
(1)第1元素および第2元素の両方について、電力と、OED値もしくは電圧とを変化させる方法、または、(2)第1元素および第2元素の一方について、電力と、OED値もしくは電圧とを変化させ、他方について、OED値もしくは電圧を変化させる方法により、前記混合膜中の前記第1元素の酸化物および前記第2元素の酸化物の存在比を膜厚方向において変化させる、酸化物の混合膜の製造方法。
(ii)前記第1元素および前記第2元素の一方の酸化物が、高屈折率材料であり、他方の酸化物が低屈折率材料である、上記(i)に記載の酸化物の混合膜の製造方法。
(iii)前記第1元素および前記第2元素の一方が、チタン、タンタルおよびニオブからなる群から選ばれる1種以上であり、他方が、ケイ素および/またはアルミニウムである、上記(i)に記載の酸化物の混合膜の製造方法。
本発明の酸化物の混合膜の製造方法(以下「本発明の製造方法」ともいう。)は、スパッタリング法を用いた酸化物の混合膜の製造方法であって、第1元素を含有するターゲットおよび第2元素を含有するターゲットが設けられた成膜室内において、酸化性ガスを含有する雰囲気中で、スパッタリングを行うことにより、基体上に第1元素の酸化物および第2元素の酸化物の混合膜を成膜させる工程を具備する。
第1元素および第2元素の2種の元素は、特に限定されないが、例えば、酸化物が高屈折率材料である元素の1種以上と、酸化物が低屈折率材料である元素の1種以上との組み合わせであるのが好ましい態様の一つである。これにより、膜厚方向の屈折率の変化をより広い範囲とすることができる。
高屈折率材料は、一般に、屈折率が1.90〜2.60である。酸化物が高屈折率材料である元素としては、例えば、チタン、タンタル、ニオブが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
低屈折率材料は、一般に、屈折率が1.40〜1.65である。酸化物が低屈折率材料である元素としては、例えば、ケイ素、アルミニウムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、第1元素および第2元素の一方が、チタン、タンタルおよびニオブからなる群から選ばれる1種以上であり、他方が、ケイ素および/またはアルミニウムである態様が好適に例示される。
第1元素を含有するターゲットとしては、例えば、実質的に第1元素のみからなるターゲットが挙げられる。具体的には、例えば、チタン、タンタルまたはニオブがターゲット全体の99質量%以上の割合で含有されるターゲットが挙げられる。この場合、ターゲットの全体に対する不純物(第1元素以外の成分)の合計が1質量%以下であるのが好ましい。なお、第1元素を含有するターゲットとしては、チタン、タンタルおよびニオブからなる群から選ばれる2種以上の混合ターゲットであるのも好ましい態様の一つである。
第2元素を含有するターゲットとしては、例えば、実質的に第2元素のみからなるターゲットが挙げられる。具体的には、例えば、ケイ素またはアルミニウムがターゲット全体の99質量%以上の割合で含有されるターゲットが挙げられる。この場合、ターゲットの全体に対する不純物(第2元素以外の成分)の合計が1質量%以下であるのが好ましい。なお、第2元素を含有するターゲットとしては、ケイ素およびアルミニウムの混合ターゲットであるのも好ましい態様の一つである。
第1元素または第2元素がチタン、タンタルおよびニオブからなる群から選ばれる1種以上である場合は、ターゲットとして酸素欠損ターゲットを用いてもよい。具体的には、例えば、組成がTiO2-x(式中、xは0を超え、2未満である数を表す。)で表されるターゲットが挙げられる。
炭化ケイ素とケイ素とを含有するターゲットにおけるSi(SiC中のSiおよびSi中のSiの両者)に対するCの原子数比C/Siは、0.5以上であるのが好ましく、0.7以上であるのがより好ましく、また、0.95以下であるのが好ましく、0.9以下であるのがより好ましい。原子数比C/Siが小さすぎる場合は、Siが主成分となるため、Si粒子の粒界での割れが発生しやすくなり、成膜速度が遅くなる。また、原子数比C/Siが大きすぎる場合も、成膜速度が遅くなる。このようなターゲットとしては、国際公開第01/27345号パンフレットに記載されているものを好適に用いることができる。
ケイ素とアルミニウムとを含有するターゲットは、膜中にSiO2だけでなくAl2O3を含有させることができる。この場合、Al2O3を含有しない場合に比べて若干屈折率は高くなるが、放電中にターゲットが割れにくくなるという利点がある。アルミニウムの含有量は、5〜30質量%であるのが好ましく、5〜10質量%であるのがより好ましい。
また、本発明に用いられるスパッタターゲットの比抵抗は、DCスパッタを行う場合には、1×10-2Ω・m以下であるのが好ましく、更に、放電の安定性の観点から、1×10-4Ω・m以下であるのがより好ましい。
第1元素を含有するターゲットおよび第2元素を含有するターゲットの形状は、平板状であっても円筒状であってもよい。円筒状であると、後述するような円筒状回転カソードによるスパッタリング法が使用可能となるため好ましい。
本発明に用いられる雰囲気は、上記の酸化性ガスを含有するものであれば特に限定されない。例えば、酸化性ガスおよび不活性ガスの混合ガスを用いることができる。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンが挙げられる。中でも、経済性および放電のしやすさの点から、アルゴンが好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
中でも、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスが好ましく、特に、酸素が1〜60体積%含まれているのが好ましい。
例えば、ガラス板(例えば、石英ガラス板)、プラスチック板、プラスチックフィルムが挙げられ、特に、強度および透明性の点で、ガラス板を用いるのが好ましい。
基体の厚さは、強度の点で、0.3〜20.0mm、特に0.5〜10mmであるのが好ましい。
本発明においては、0.1m2未満の小さい基体に対しても成膜は可能だが、大面積の基体を効率よく成膜することができるという本発明の利点を十分に発揮させる点で、基体の面積が0.1〜20.0m2であるのが好ましく、0.1〜10.0m2であるのがより好ましく、0.1〜3.0m2であるのが更に好ましい。なお、混合膜を有する面積の小さい基体は、大面積の基体に混合膜を成膜し、得られた混合膜を有する大面積の基体をカットする方法、または、あらかじめ小さくカットした基体を基板ホルダー等に多数固定し、この基板ホルダー等の全体を大面積の基体として混合膜を成膜する方法により、効率よく生産することができる。
スパッタリングは、特に限定されず、交流(AC)スパッタリング、RFスパッタリング、直流(DC)スパッタリング、DCパルススパッタリング等の従来公知の方法を用いることができる。中でも、DCパルススパッタリングが好ましい。
また、マグネトロンスパッタリングを用いることもできる。マグネトロンスパッタリングは、上述した各種のスパッタリング法と組み合わせて用いることができる。
なお、スパッタターゲット中の膜中に取り込まれない成分、例えば、炭化ケイ素とケイ素とを含有するターゲット中の炭素成分は、酸化性ガスと反応して、CO2またはCOとなり、真空ポンプ等により系から除外される。
一般に、酸化性ガスを含有する雰囲気中でスパッタリングを行う場合、電力一定という条件下で、酸化性ガス流量を変化させると、OED値または電圧が変化する。本発明において、「遷移領域」とは、酸化性ガス流量を変化させた場合に、OED値または電圧が急激に変化する領域をいう。
図6に示されるように、酸化性ガス流量(酸素ガスとアルゴンとの流量比)が0のとき、OED値は最高値を示す(点A)。ここから酸化性ガス流量を徐々に増加させると、OED値は緩やかに減少し、B点に到達する。酸化性ガス流量を更に増加させると、OED値は急激に減少し、C点に到達する。C点から更に酸化性ガス流量を増加させると、OED値は緩やかに減少し、D点に到達する。
一方、十分な量の酸化性ガスを流した状態(D点)から徐々に酸化性ガス流量を減少させると、OED値は緩やかに上昇する。C点を超えて酸化性ガス流量を減少させても、OED値は緩やかに上昇し続け、E点に到達する。酸化性ガス流量を更に減少させると、OED値は急激に増加し、F点に到達する。
図6においては、「遷移領域」は、点F〜点Bと点E〜点Cの間のOED値の領域をいい、遷移領域での成膜は、膜の透明性や高速に膜を形成できる点からある程度は推測することが可能である。
従来の方法では、この遷移領域において、OED値を安定させることができない。これに対し、本発明においては、後述する制御方法により、点A→点B→点E→点Dという経路で安定したスパッタリングを行うことができる。
第2の制御方法においては、第1元素および第2元素の一方について、電力とOED値とを変化させ、他方について、OED値を変化させてもよく、第1元素および第2元素の一方について、電力とOED値とを変化させ、他方について、電圧を変化させてもよく、第1元素および第2元素の一方について、電力と電圧とを変化させ、他方について、OED値を変化させてもよく、第1元素および第2元素の一方について、電力と電圧とを変化させ、他方について、電圧を変化させてもよい。
電力とOED値とを変化させる方法は、まず、電力を所定値(第1電力値)に設定し、OED値が所定値(第1OED値)になるように酸化性ガス流量を制御して成膜する。ついで、電力を第1電力値とは異なる所定値(第2電力値)に設定し、OED値が第1OED値とは異なる所定値(第2OED値)になるように酸化性ガス流量を制御して成膜する。
酸化性ガス流量を制御することにより、電力を所定値にすることができる原理を以下に説明する。ターゲットの元素が、酸化された表面の方が二次電子放出確率が大きい元素である場合、酸化性ガス流量を多くするほど電流が流れ、ターゲットに投入される電力が大きくなる。よって、電圧を所定値に設定した状態で、酸化性ガス流量を制御することにより、電流の状態を制御し、電力が所定値になるようにすることができる。
混合膜の屈折率、吸収係数、厚さ等は、目的に応じて、所望の値にすることができる。
図1は、デュアルマグネトロンパルススパッタリング装置の一例を示す模式的な水平断面図である。
図1に示されるデュアルマグネトロンパルススパッタリング装置10(以下「装置10」という。)は、成膜室(真空槽)12と、成膜室12の外側にそれぞれ配置された第1マグネトロンカソード14および第2マグネトロンカソード16と、成膜室12の内側の第1マグネトロンカソード14および第2マグネトロンカソード16に相当する位置にそれぞれ配置された第1元素のターゲット18および第2元素のターゲット20と、第1元素のターゲット18および第2元素のターゲット20のそれぞれの両側に配置された酸化性ガス吹出口22と、第1元素のターゲット18および第2元素のターゲット20から等距離になるように配置された基板ホルダー24と、成膜室12の内部を排気するためのターボ分子ポンプ(TMP)28とを具備する。基板ホルダー24には、基板26が固定される。
基板ホルダー24は、好ましくは、成膜室12に結合する軸を中心に自転する回転機構を具備し、成膜時に自転することで膜厚むらの発生を防止する。
本発明の製造方法は、用途を特に限定されず、例えば、種々の光学特性を有する光学デバイスの製造に好適に用いられる。
光学デバイスとしては、例えば、ルゲートフィルター(屈折率を膜厚方向に連続的かつ周期的に変化させたフィルター)が挙げられる。本発明の製造方法により得られる混合膜をルゲートフィルターに用いる場合、膜厚方向の屈折率の変化を広い範囲とすることができるので、好ましい。上記フィルターとして用いる場合、混合膜の全体の厚さは、3000〜10000nm程度であることが好ましい。本発明においては、このような薄い膜厚であっても高性能なフィルターを形成でき好ましい。
ルゲートフィルターは、例えば、バンドストップフィルター、バンドパスフィルターとして用いることができる。
1.混合膜1〜13の作製
2種の元素TiおよびSiの酸化物の存在比が膜厚方向において異なるため、屈折率が膜厚方向において異なるTiO2−SiO2混合膜(傾斜組成膜)を作製するための予備実験として、2種の元素TiおよびSiの酸化物の存在比が異なる種々の屈折率のTiO2−SiO2混合膜(混合膜1〜13)を作製した。
ついで、屈折率の目標値を1.500とし、Ti側において、電力を1800Wに設定し、OED値が0.68Vになるように酸素流量を制御し、また、Si側において、電圧を350Vに設定し、電力が2500Wになるように酸素流量を制御した。放電が安定してから暫くして、ターゲット前に供えられたシャッターを開き、基板上へ10分間成膜させ、TiO2−SiO2混合膜である混合膜1を得た。
得られた混合膜1〜13の膜厚、屈折率および消衰係数を、多入射角分光エリプソメトリーにより測定した。多入射角分光エリプソメトリーの条件を以下に示す。
波長範囲:300〜1700nm
波長ステップ:10nm
Revolution:40
入射角:60°、65°、70°
入射角:0°(透過率測定時)および5°(反射率測定時)
第1表より、Ti側で電力およびOED値を制御し、Si側で電圧および電力を制御することで、酸化チタン(屈折率2.3)および酸化ケイ素(屈折率1.4)の混合膜として、屈折率の範囲として、1.518〜2.235という広い範囲の屈折率を有する混合膜を、ほぼ設計値どおりに形成することが可能であることが分かった。
また、第1表より、どの混合膜の場合も、膜の消衰係数が5×10-3以下、特に3×10-3以下であり、透明性に優れることが分かる。
(実施例1)
混合膜1〜13の屈折率を使用して、傾斜膜を有するバンドストップフィルター1を設計した。設計図を図2に示す。バンドストップフィルター1は、膜厚方向において、混合膜1〜13の各屈折率を有している。図2に示されるように、バンドストップフィルター1の設計図は、基体側から、混合膜7、混合膜8、混合膜9、混合膜10、混合膜11、混合膜12、混合膜13の各屈折率を有することにより、屈折率が階段状に大きくなり、ついで、混合膜13から混合膜1まで屈折率が階段状に小さくなり、更に、混合膜1から混合膜13まで屈折率が階段状に大きくなり、これが混合膜1の屈折率が20回出現するまで繰り返されている。
図1に示される装置10を用い、第1元素のターゲット18としてTiターゲット、第2元素のターゲット20としてSiターゲットを設置して、回転数約3rpmで自転する基板ホルダー24に固定された25mm×35mm×1.1mmのガラス基板(コーニング社製7059)上に、DCパルスマグネトロンスパッタリング法(パルス放電条件:バイポーラーモード、周波数50Hz、デューティー比45%)により、遷移領域制御下でTiO2とSiO2の同時放電を上記13通りの条件で、成膜速度からあらかじめ算出した時間だけ成膜を行い、バンドストップフィルターの作製を行った。具体的には、以下のようにして行った。なお、本実施例では、25mm×35mmの小さい基板を使用したが、より大きな面積を有する基板、例えば、1m2の基板であっても成膜可能である。
ついで、混合膜7の条件で、即ち、Ti側において、電力を2800Wに設定し、OED値が4.62Vになるように酸素流量を制御し、また、Si側において、電圧を250Vに設定し、電力が1500Wになるように酸素流量を制御した。放電が安定してから暫くして、ターゲット前に供えられたシャッターを開き、所定の成膜時間だけ成膜した。その後、瞬時に条件を変更し、混合膜8の条件で、即ち、Ti側において、電力を3000Wに設定し、OED値が5.20Vになるように酸素流量を制御し、また、Si側において、電圧を235Vに設定し、電力が1350Wになるように酸素流量を制御した。放電が安定してから暫くして、ターゲット前に供えられたシャッターを開き、所定の成膜時間だけ成膜した。図2に示される設計図に従って、同様の操作を繰り返し、バンドストップフィルター1を得た。
なお、図2における屈折率は、波長1000nmにおける屈折率であり、第1表における屈折率とは波長が異なるため、同じ膜であっても、波長分散のために異なる値となる。
混合膜1〜13の屈折率を使用して、リップルを低減する傾斜膜を有するバンドストップフィルター2を設計した。設計図を図3に示す。バンドストップフィルター2は、膜厚方向において、混合膜1〜13の各屈折率を有している。図3に示されるように、バンドストップフィルター2の設計図は、図2に示されるバンドストップフィルター1の設計図と異なり、膜の表面付近および裏面付近において、屈折率の振れ幅が小さくなっている。
図3に示される設計図になるように、バンドストップフィルター1の作製と同様の方法により、バンドストップフィルター2を作製した。なお、本実施例では、25mm×35mmの小さい基板を使用したが、より大きな面積を有する基板、例えば、1m2の基板であっても成膜可能である。
なお、図3における屈折率は、波長780nmにおける屈折率であり、第1表における屈折率とは波長が異なるため、同じ膜であっても、波長分散のために異なる値となる。
上記で得られたバンドストップフィルター1および2の透過率および反射率を分光光度計(UV−4100、日立ハイテクノロジー社製)で測定した。測定条件を以下に示す。
入射角:0°(透過率測定時)および5°(反射率測定時)
また、図5から、実施例2で得られたバンドストップフィルター2は、中心波長780nmのバンドストップフィルターであり、シミュレーションとほぼ同じ透過率特性および反射率特性を有することが分かる。このことは、バンドストップフィルター2の膜厚方向における屈折率の変化が、ほぼ設計図どおりであることを示している。よって、バンドストップフィルター2は、屈折率の変化が約1.50〜約2.14の範囲であると推測される。
Ti側において、電力を2800Wになるように酸素流量を制御し、また、Si側において、電力が1500Wになるように酸素流量を制御する以外は、混合膜1を形成するのと同様にして混合膜を作製しようとした。しかし、屈折率の範囲として、1.65〜1.85という狭い範囲でしか、混合膜を形成できなかった。
12 成膜室
14 第1マグネトロンカソード
16 第2マグネトロンカソード
18 第1元素のターゲット
20 第2元素のターゲット
22 酸化性ガス吹出口
24 基板ホルダー
26 基板
28 ターボ分子ポンプ
Claims (3)
- スパッタリング法を用いた酸化物の混合膜の製造方法であって、
第1元素を含有するターゲットおよび第2元素を含有するターゲットが設けられた成膜室内において、酸化性ガスを含有する雰囲気中で、スパッタリングを行うことにより、基体上に第1元素の酸化物および第2元素の酸化物の混合膜を成膜させる工程を具備し、
前記工程において、
第1元素のスパッタリングおよび第2元素のスパッタリングをいずれも遷移領域で行い、
(1)第1元素および第2元素の両方それぞれについて、電力と、OED値もしくは電圧とを変化させる方法、または、(2)第1元素および第2元素の一方について、電力と、OED値もしくは電圧とを変化させ、他方について、OED値もしくは電圧を変化させる方法により、前記混合膜中の前記第1元素の酸化物および前記第2元素の酸化物の存在比を膜厚方向において変化させる、酸化物の混合膜の製造方法。 - 前記第1元素および前記第2元素の一方の酸化物が、高屈折率材料であり、他方の酸化物が低屈折率材料である、請求項1に記載の酸化物の混合膜の製造方法。
- 前記第1元素および前記第2元素の一方が、チタン、タンタルおよびニオブからなる群から選ばれる1種以上であり、他方が、ケイ素および/またはアルミニウムである、請求項1に記載の酸化物の混合膜の製造方法。
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