JP2008209458A - 薄膜の形成方法および積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空プロセスの中でも比較的安定成膜がしやすく、容易に利用できる材料をターゲットとした反応性スパッタリング法を用いて、反射防止膜や各種フィルターの多層膜を構成する材料のひとつとして利用可能な、中間屈折率薄膜を提供すること。
【解決手段】反応性スパッタリング法により、基材5面上に薄膜を形成する方法において、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット3bとAlを主成分とするスパッタリングターゲット3aをそれぞれ1枚以上用いて、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材5面上に同時に成膜することを特徴とする薄膜の形成方法。該方法を用いて形成した薄膜と基材とからなる積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止膜や干渉フィルター等の光学薄膜を形成するための方法、および該方法により形成された薄膜を基材上に備えた積層体に関する。
近年、液晶表示装置、CRT、PDP等の光学表示装置においては、屋内だけでなく屋外にも持ち出される機会が増加し、外光の映りこみによる画像表示品質の低下が問題となっている。そのため、表示画面上や液晶表示装置内部の偏光フィルター表面などへ反射防止部材の使用が普及しつつある。
このような反射防止部材は、通常ハードコート層を形成した透明プラスチック樹脂基材、またはガラス基材等の表面に無機化合物である高屈折率材料からなる高屈折率薄膜と低屈折率材料からなる低屈折率薄膜を交互に繰り返し積層する構造を持つ。反射防止部材の形成方法としては、膜厚制御性の観点から真空プロセスが有利である。
広範囲の波長領域において低反射性を示すように高屈折率薄膜と低屈折率薄膜を積層すると、4層ないし5層構成となるものが多い(特許文献1参照)。しかし、4層ないし5層構成では膜厚制御が一層困難になりやすく、製造時コストも割高になるという観点から、基材側から中間屈折率層、高屈折率層、低屈折率層と積層した3層構成の反射防止部材も検討されている(特許文献2参照)。
ここで用いられる中間屈折率材料は、自然界の中にほとんど存在しない中間屈折率(1.5〜2.2)を持つ材料の事を示し、適した屈折率を有する無機化合物を作るために、これまで多くの手法が考案されている。例えば、低屈折率材料(SiO(屈折率1.46)など)と高屈折率材料(TiO(屈折率2.35)など)をそれぞれ別の蒸発源から同時に蒸発させ、その混合比によって中間屈折率を得るものや、低屈折率材料と高屈折率材料を混合したものを1つの蒸発源から同時に蒸発させて中間屈折率を得るもの、さらには低屈折率材料高屈折率材料の積層による組み合わせで等価的に中間屈折率を得るもの等が知られている。
また、スパッタリングにより中間屈折率薄膜を得る場合、低屈折率材料(SiO)とやや酸化度の不足した高屈折率材料(NbO)を混合したターゲットを用いてDCスパッタリングにより膜形成する方法や(特許文献3参照)、複数の金属材料ターゲットと反応室を備えて同時スパッタリングを行い、後酸化により膜形成する方法が知られているが(特許文献4参照)、これらの手法ではターゲット材料製造のためにコストがかかったり、装置構造の複雑さや、後酸化による処理工程増での生産性の低下や膜中ストレスの増大などが危惧される。
特表平10−509832号公報 特開平8−129101号公報 特開2000−160331号公報 特開平9−263937号公報
本発明は、真空プロセスの中でも比較的安定成膜がしやすく、容易に利用できる材料をターゲットとした反応性スパッタリング法を用いて、反射防止膜や各種フィルターの多層膜を構成する材料のひとつとして利用可能な、中間屈折率薄膜として機能する、薄膜の形成方法および積層体を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、反応性スパッタリング法により、基材面上に薄膜を形成する方法において、
Nbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットをそれぞれ1枚以上用いて、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に同時に成膜することを特徴とする薄膜の形成方法である。
請求項2に記載の発明は、反応性スパッタリング法により、基材面上に薄膜を形成する方法において、
該基材面上に2つ以上のカソードを備え、該カソードのそれぞれにNbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットを配置し、該カソードに高周波パルス電力を交互に間欠的に印加し、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に成膜することを特徴とする薄膜の形成方法である。
請求項3に記載の発明は、前記基材と前記スパッタリングターゲットとの間に位置するスパッタリングターゲット蒸発領域が、酸素ないし酸素を含む反応性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の形成方法である。
請求項4に記載の発明は、前記反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、このモニタリング結果に基づいて、前記薄膜中の酸素量および含有金属成分比を制御することで、該薄膜の屈折率を任意に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜の形成方法である。
請求項5に記載の発明は、前記反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、前記Nbを主成分とするスパッタリングターゲットと前記Alを主成分とするスパッタリングターゲットの少なくとも一方の表面が、完全に酸化されていない遷移領域である状態で前記反応性スパッタリングを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜の形成方法である。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の方法を用いて基材面上に薄膜を形成した積層体であって、
該薄膜が、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Nと、Alを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Aを交互に積層してなる、あるいは、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分およびAlを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分を混合して形成されており、
かつ、該薄膜の光吸収が光の波長380〜780nmの可視光域において3%以下であり、
かつ、該薄膜の屈折率が1.7〜1.9であることを特徴とする積層体である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の積層体の薄膜面上に、低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層を順次積層してなることを特徴とする反射防止積層体である。
本発明によれば、真空プロセスの中でも比較的安定成膜がしやすく、容易に利用できる材料をターゲットとした反応性スパッタリング法を用いて、反射防止膜や各種フィルターの多層膜を構成する材料のひとつとして利用可能な、中間屈折率薄膜として機能する、薄膜の形成方法および積層体が提供される。
本発明の薄膜の形成方法は、一つの実施形態では、Nbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットをそれぞれ1枚以上用いて、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に同時に成膜することを特徴としている。これにより形成された薄膜の特性は、光の波長380〜780nmの可視光域における光学吸収が3%以下であり、好ましくは1%以下の膜吸収である透明中間屈折率薄膜となる。また、NbとAlの混合比を変化させることにより屈折率を1.7〜1.9まで任意に変化させることができる。
また本発明の薄膜の形成方法は、別の実施形態では、基材面上に2つ以上のカソードを備え、該カソードのそれぞれにNbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットを配置し、該カソードに高周波パルス電力を交互に間欠的に印加し、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に成膜することを特徴としている。これにより、カソードの表面酸化によるチャージアップを抑えてアークを抑制しながら安定的に成膜することができる。また上記の実施形態と同様に、形成された薄膜の特性は、光の波長380〜780nmの可視光域における光学吸収が3%以下であり、好ましくは1%以下の膜吸収である透明中間屈折率薄膜となる。また、NbとAlの混合比を変化させることにより屈折率を1.7〜1.9まで任意に変化させることができる。
また、基材とスパッタリングターゲットとの間に位置するスパッタリングターゲット蒸発領域を、酸素ないし酸素を含む反応性ガス雰囲気とすれば、酸化物ターゲットを用いるよりも高速で安定した成膜が可能となる。なお酸素を含む反応性ガスとしては、CO、NとOの混合ガス等が挙げられる。
また本発明では、反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、このモニタリング結果に基づいて、薄膜中の酸素量および含有金属成分比を制御することで、該薄膜の屈折率を任意に調整することができる。
また本発明では、反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、Nbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットの少なくとも一方の表面が、完全に酸化されていない遷移領域である状態で反応性スパッタリングを行うことが好ましい。遷移領域で成膜を行うことにより、完全酸化物モードでの成膜よりも格段に早い高速成膜を行なうことができる。また、反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングして遷移領域を制御することで、メタルモードへ移行すると発現する膜の光学吸収を抑制しながら成膜することが可能となる。なお、遷移領域の制御については下記で説明する。
上記の薄膜の形成方法により基材面上に形成された薄膜は、(1)薄膜が、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Nと、Alを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Aを交互に積層してなるものであるか、(2)薄膜が、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分およびAlを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分が混合して形成されているものである。前記(1)の形態は、薄膜Nと薄膜Aとが完全混合されていない状態であるが、両薄膜が連続的に積層されてなる事によって、実質上中間屈折率を発現する。ただし、Al酸化物とNb酸化物の各層は完全に独立したものである必要はなく、AlとNbの混合比が連続的に変化していてもよい。また、(2)の形態では、各ターゲットの同時成膜によるものであるが、好ましくは、Al酸化物とNb酸化物が膜内で完全に混合して一定の混合比率を保ってなる形態である。本発明により得られた薄膜は、中間屈折率(1.5〜2.2)を有する、中間屈折率薄膜として利用できる。また、本発明の積層体は基材上に上記薄膜を形成したものであって、この積層体の薄膜面上に、公知の低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層を順次積層すれば、反射防止積層体として有用である。
以下、本発明を図面を参照しながらさらに詳しく説明する。図1は本発明の一実施形態に係る中間屈折率薄膜の成膜を行なうためのスパッタリング装置の概略図である。
真空成膜装置内に、図1に示されるスパッタリング装置が設置されている。一方にはマグネトロンカソード2a、2bが配置され、他方には基材5が配置されている。マグネトロンカソード2a、2bにはそれぞれAlを主成分とするターゲット3a、およびNbを主成分とする材料からなるターゲット3bがボンディングされて設置されている。マグネトロンカソード2a、2bは、磁石、冷却水路、ターゲット取り付けプレート等を備えている。
各カソード2a、2bには、それぞれパルス電源1が接続されており、各カソードに交互にパルス電圧を印加可能としている。
装置内にはアルゴン等の希ガスと酸素を導入してカソードに電圧を印加することでプラズマ4が発生し、プラズマ中のイオンがターゲット3a、3bをスパッタして、スパッタされた各金属を含む粒子が基材5に付着し、薄膜が形成される。
ターゲット3aの主成分元素はAlとし、好ましくは金属Al単体のからなるものである。また、ターゲット3bの主成分元素はNbとし、好ましくは金属Nb単体あるいは微量の酸化物を含む導電性材料からなるものである。
これらのようなカソードに交互にパルス電圧を間欠的に印加してスパッタリングを行なうことにより、安定した成膜が可能であるとともに、ターゲットの酸化状態を制御できることからアークによる異常放電を抑制することができ、長時間安定した放電が可能で、品質の安定した膜を作製することが可能となった。
また、この成膜方法においてさらに高速で安定した成膜を行なうには、遷移領域による成膜が好ましい。遷移領域とは、高速スパッタリングが行なわれて薄膜の酸化度が低いメタルモードと、ターゲット表面まで酸化されて完全な金属酸化物膜が得られるが、成膜速度が極端に落ちる酸化物モードとの中間領域に当たる。この領域での成膜で得られる薄膜は十分に酸化されており、かつ、メタルモードに近い成膜速度が得られる。
この遷移領域での成膜を行うには、NbあるいはAlもしくはOの発光量をモニタリングし、プラズマ中の金属元素あるいは酸素の密度を求め、導入する酸素量を制御するPEM(Plasma Emission Monitor)制御という手法が好ましい。この手法は、通常単一ターゲットを用いる反応性スパッタリングで用いられるが、本発明のように異なる2種のターゲットを用いた場合でも、少なくとも一方の金属元素のみ遷移領域に残すことにより、高速で安定した成膜が可能となる。本発明では、PEMにより発光を観察する元素はNbが好ましく、Alが光学吸収を持たないような遷移領域での酸素流量を求めて、その酸素流量以下での制御を行うと、好適な中間屈折率材料を得ることができる。
本発明の方法では、成膜時の酸素流量だけでなくパルス電圧のDuty比や、成膜時の圧力をコントロールすることによっても、膜中のAl酸化物とNb酸化物の混合比を変えることができ、屈折率の調整が可能な中間屈折率薄膜を得ることが可能である。
また本発明の方法において、図1のように2種のターゲットを基材に対して平行に設置する場合、基材の左右でNbとAlの混合比が変わってしまう。そのため、このような配置において成膜を行うには、基材を左右に搬送しながら所定の膜厚になるまで往復させるのが好ましい。この搬送速度と往復回数によっても中間屈折率薄膜の屈折率調整が可能である。さらに、成膜時の基材を左右させずとも、図1のようなカソードを複数並べた構造を持つ装置において、基材を搬送させながら成膜することで、所定の中間屈折率材料を得ることができる。
図1のような装置の場合、成膜されて得られる中間屈折率薄膜は、薄膜内で高屈折率部分と低屈折率部分が交互に重なった、見かけ上の中間屈折率薄膜となる。ただし、高屈折率部と低屈折率部はそれぞれ独立ではなく、AlとNbの混合比が連続的に変化してなるものであり、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜をそれぞれ積層させてなる等価的中間屈折率層よりも屈折率制御がしやすく、反射防止積層体や各種フィルターを構成する上で効果的である。
これに対して、図2のようにカソード2aおよび2bを基材に対して一定の角度で設置し、スパッタリング材料が2aおよび2bからほぼ同一面に照射させるようにしてやると、本発明における薄膜は、NbとAlの混合比が膜厚に対してほぼ均一なものとなる。この場合、基材はターゲットに対して静止していても、ほぼ所望の特性の中間屈折率薄膜を得ることが可能となる。
以下、本発明を実施例および比較例により詳細に説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
[実施例1]
スパッタリング装置として、図1に示すスパッタリング装置を用いて、ターゲット1にはAl(純度99.99%)を、ターゲット2にはNb(純度99.9%)を設置し、ガラス基板(コーニング1737、厚さ1.1mm)に対して厚さ100nmの中間屈折率薄膜を成膜した。
チャンバーは、ベース圧力が成膜開始前に5.0×10−4Pa以下になるように排気した後、成膜圧力0.3PaとなるようにArガスを約150sccm導入した。
パルス周波数20kHzのパルス電圧を、各ターゲットに交互に約5kW印加した。さらにPEMによるNb発光制御を行い、発光強度が12%になるように酸素流量を制御した。酸化物モードでのPEM発光強度は、およそ5%に設定されており、メタルモードでは90%であったので、これにより、Nbからなるターゲット2の表面が遷移領域であることが確認された。
ガラス基板は、1.0m/minの搬送速度で3往復(計6回)させた。
[実施例2]
スパッタリング装置として、図2に示すように各ターゲットからの成膜範囲が同一になるように基材に対してターゲットに角度を持たせた装置を用いて、実施例1と同様のガラス基板上に、同様のパルス電源、出力、ガス流量、PEM設定値にて、基板をターゲット下に停止させたまま約20秒成膜した。
[比較例1]
EB蒸着機を用いて、NbとAlの混合材料を坩堝に設置し、5kVのEBを照射して、実施例1と同様のガラス基板上に薄膜材料を成膜した。
成膜開始前にチャンバー内は5.0×10−4Paまで排気した後、EB電力を印加した。
実施例1、2および比較例1で成膜した膜について、膜厚、屈折率および成膜速度を計測した結果を表1に示す。
Figure 2008209458
それぞれの実施例、比較例において、各材料は中間屈折率を示しているが、比較例2にように完全酸化物モードでの成膜では、成膜レートが非常に遅く、実用には向かない。これに対し、本発明の実施例1のような遷移領域での成膜では、EB蒸着同等以上の高い成膜速度を得ることができる。
それぞれの膜について、分光光度計(U−4000、日立計測器製)により膜の吸収率を測定した。その結果図3のように実施例1、2においては吸収のほとんどない透明な中間屈折率膜ができるのに対し、比較例1では酸素が欠損し、吸収の発現した膜となってしまった。
なお、それぞれの薄膜について、ESCA(ESCA−3200、島津製作所製)により薄膜内組成を調べたところ、実施例1では図4に示すように、Nbが25〜35at%、Alが10〜20at%、Oがおよそ55at%で、厚さ方向に分布が認められる。実施例2では図5に示すように、Nbが15at%、Alが30at%、Oが55at%と厚さ方向に均一な分布が認められる。
本発明は、真空プロセスの中でも比較的安定成膜がしやすく、容易に利用できる材料をターゲットとした反応性スパッタリング法を用いて、反射防止膜や各種フィルターの多層膜を構成する材料のひとつとして好適な、中間屈折率材料である。
本発明の一実施形態に係る中間屈折率薄膜の成膜を行なうためのスパッタリング装置の概略図である。 本発明の別の実施形態に係る中間屈折率薄膜の成膜を行なうためのスパッタリング装置の概略図である。 実施例1、2および比較例1,2で成膜した膜の光吸収率の計測結果を示す図である。 実施例1で成膜した膜の厚さ方向における膜組成分布を示す図である。 実施例2で成膜した膜の厚さ方向における膜組成分布を示す図である。
符号の説明
1 パルス電源
2a、2b カソード
3a、3b ターゲット
4 プラズマ
5 基材
6 スパッタ材料蒸発領域

Claims (7)

  1. 反応性スパッタリング法により、基材面上に薄膜を形成する方法において、
    Nbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットをそれぞれ1枚以上用いて、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に同時に成膜することを特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 反応性スパッタリング法により、基材面上に薄膜を形成する方法において、
    該基材面上に2つ以上のカソードを備え、該カソードのそれぞれにNbを主成分とするスパッタリングターゲットとAlを主成分とするスパッタリングターゲットを配置し、該カソードに高周波パルス電力を交互に間欠的に印加し、該反応性スパッタリング法を行い、2種の該スパッタリングターゲット由来の成分を該基材面上に成膜することを特徴とする薄膜の形成方法。
  3. 前記基材と前記スパッタリングターゲットとの間に位置するスパッタリングターゲット蒸発領域が、酸素ないし酸素を含む反応性ガス雰囲気であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜の形成方法。
  4. 前記反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、このモニタリング結果に基づいて、前記薄膜中の酸素量および含有金属成分比を制御することで、該薄膜の屈折率を任意に調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜の形成方法。
  5. 前記反応性スパッタリングにおける放電の発光波長と発光強度をモニタリングし、前記Nbを主成分とするスパッタリングターゲットと前記Alを主成分とするスパッタリングターゲットの少なくとも一方の表面が、完全に酸化されていない遷移領域である状態で前記反応性スパッタリングを行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜の形成方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法を用いて基材面上に薄膜を形成した積層体であって、
    該薄膜が、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Nと、Alを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分からなる薄膜Aを交互に積層してなる、あるいは、Nbを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分およびAlを主成分とするスパッタリングターゲット由来の成分を混合して形成されており、
    かつ、該薄膜の光吸収が光の波長380〜780nmの可視光域において3%以下であり、
    かつ、該薄膜の屈折率が1.7〜1.9である、
    ことを特徴とする積層体。
  7. 請求項6に記載の積層体の薄膜面上に、低屈折率薄膜層、高屈折率薄膜層を順次積層してなることを特徴とする反射防止積層体。
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