JP5731390B2 - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第1の製造方法)は、アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の水分量が1000ppm(質量規準。以下同じ)以下、および/または、上記単量体水溶液中の蟻酸含有量が単量体に対して1〜700ppmであることを特徴とする。
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第2の製造方法)は、アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の蟻酸含有量が1〜700ppm(質量基準)であることを特徴とする。
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第3の製造方法)は、アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の水分量が1000ppm(質量規準。以下同じ)以下、および/または、上記単量体水溶液中の蟻酸含有量が、単量体に対して1〜700ppm、および/または、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)上記塩基性組成物中の鉄分が0.007〜7ppmであること。
(2)乾燥工程以降に、重合体100質量部に対して、カチオン性ポリマー0.01〜5質量部を混合すること。
(3)重合時の単量体および/または重合後の重合体100質量部に対して、蟻酸0.0001〜5質量部を存在させるおよび/または混合すること(但し、重合時の単量体中の蟻酸存在量は0〜700ppm(対単量体))。
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法(第4の製造方法)は、アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、下記(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)上記塩基性組成物中の鉄分が0.007〜7ppmであること。
(2)乾燥工程以降に、重合体100質量部に対して、カチオン性ポリマー0.01〜5質量部を混合すること。
(3)重合時の単量体および/または重合後の重合体100質量部に対して、蟻酸0.0001〜5質量部を存在させるおよび/または混合すること(但し、重合時の単量体中の蟻酸存在量は0〜700ppm(対単量体))。
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、蟻酸含有量が1〜500ppmである(但し、重合体100質量部中、カチオン性ポリマー含有量が0.01〜5質量部含まれている場合は、吸水性樹脂の鉄分含有量が2ppm以下および蟻酸含有量が1〜50000ppmである)ことを特徴とする。
本発明のアクリル酸の使用方法は、重合禁止剤メトキシフェノール10〜160ppmを含み、アクリル酸中の水分量が1000ppm(質量規準。以下同じ)以下、および/または、蟻酸含有量が0.5〜700ppmであるアクリル酸の吸水性樹脂を重合へ使用することを特徴とする。
(1−1)「吸水性樹脂」
本明細書において、「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味し、以下の物性を有するものをいう。即ち、無加圧下吸水倍率(CRC/ERT441.2−02(2002)で規定)が、必須に5[g/g]以上、より好ましくは10〜100[g/g]、さらに好ましくは20〜80[g/g]であり、また、水可溶分(Extractables/ERT470.2−02(2002)で規定)が、必須に0〜50質量%、より好ましくは0〜30質量%、さらに好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である高分子ゲル化剤をいう。なお、該吸水性樹脂は、全量(100%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲において、後述する添加剤等を含んでいてもよく、好ましくは後述の蟻酸を含む。
本明細書において、「ポリアクリル酸(塩)」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位として、アクリル酸(塩)を主成分とする重合体を意味する。具体的には、架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)を、必須に50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%含む重合体を意味する。重合体としての塩は、必須に水溶液塩を含み、より好ましくは一価の塩、さらに好ましくはアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩である。その中でもアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
「EDANA」は、European Disposables and Nonwovens Associationの略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(ERT/EDANA Recomended Test Methods)の略称である。本明細書においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)を参照して、吸水性樹脂の物性を測定している。
「pH」(ERT400.2−02)。吸水性樹脂のpH
「Moisture Content」(ERT430.2−2)。吸水性樹脂の含水率。
「Flow Rate」(ERT450.2−02)。吸水性樹脂粉末の流下速度。
「Density」(ERT460.2−02)。吸水性樹脂のかさ比重。
荷重下または無荷重下における膨潤ゲルの粒子間を流れる液の流れを「通液性」という。この「通液性」の代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity)やGBP(Gel Bed Permeability)がある。
本発明における「初期色調」(別称:初期着色)とは、製造直後の吸水性樹脂またはユーザー出荷直後の吸水性樹脂の色調をいい、通常、工場出荷前の色調で管理する。色調の測定方法については、国際公開第2009/005114号に記載される方法(Lab値、YI値、WB値等)を例示することができる。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、「X以上、Y以下」であることを意味する。また、質量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」であることを意味し、さらに、特に注釈のない限り、「ppm」は「質量ppm」を意味する。
本発明では、アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の水分量が1000ppm以下(ケース1)、および/または
上記単量体水溶液中の蟻酸含有量が、単量体に対して1〜700ppm以下である(ケース2)ことを特徴とする。
(1)上記塩基性組成物中の鉄分が0.007〜7ppmであること。
(2)乾燥工程以降に、重合体100質量部に対して、カチオン性ポリマー0.01〜5質量部を添加すること。
(3)重合時の単量体および/または重合後の重合体100質量部中、蟻酸0.0001〜5質量部を存在させるおよび/または混合すること(但し、重合時の単量体中の蟻酸存在量は0〜700ppm(対単量体))。
本発明の目的(着色防止、耐久性)を達成するうえで、ケース1では、重合禁止剤を含むアクリル酸中の水分量を1000ppm以下とする。水分量は、750ppm以下、500ppm以下、300ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、50ppm以下の順で好ましい。水分は少ないほど好ましいが、脱水コストから1ppm程度、さらには5ppm程度でも十分である。かかる低水分のアクリル酸を得るには、アクリル酸の精製に蒸留や晶析を繰り返して所定量の水分にまで調整したり、アクリル酸を無機又は有機の脱水剤と接触させたりして、水分を所定量とすれよい。水分量が1000ppmを超える場合、得られる吸水性樹脂の着色(特に経時着色)が悪化する傾向にある。
ケース2では、単量体水溶液中の蟻酸含有量を、単量体に対して1〜700ppm以下とする。
ケース3では、重合時の単量体および/または重合後の重合体100質量部に対して、蟻酸0.0001〜5質量部を存在させるおよび/または混合する(但し、重合時の単量体中の蟻酸存在量は0〜700ppm(対単量体))。ここで、蟻酸は、重合時の単量体中に不存在もしくは極少量存在すればよく、好ましくは蟻酸が単量体調製時のアクリル酸に予め含有され、単量体水溶液中の蟻酸の濃度が単量体に対して1〜700ppmであればよい。少量の蟻酸を含む単量体を重合時に使用することで、カチオン性ポリマーを混合した際の着色(経時着色)が改善することが見いだされた。重合時の単量体中に存在する蟻酸が、重合体の内部に均一に存在して吸水性樹脂粉末の着色を防止すると推定される(かかる機構は本発明を制限しない)。
従来、吸水性樹脂の製造方法において、上記諸問題を解決するために、単量体の微量成分を調整する技術は知られている。
特許文献6では、吸水性樹脂のpHを5.5以下に下げて経時着色を防止する技術を開示し、そのために使用する酸の一例として蟻酸を開示する。また、吸水性樹脂の着色防止剤として、有機カルボン酸および必要によりその他化合物の添加(特許文献20〜23)等が知られ、そのために使用する有機酸の一例として蟻酸を開示する。また、特許文献46(米国特許第4698404号)や特許文献47(米国特許第6335406号)は重合時の連鎖移動剤の一例として蟻酸を開示する。特許文献48(米国特許第4693713号)は血液吸収のためにカルボン酸塩等を含む吸水性樹脂組成物を開示し、そのカルボン酸塩の一例として蟻酸塩を開示する。特許文献49(特開2006−225456号)はレッドクス重合時の還元剤の一例として、蟻酸を例示する。特許文献50〜52(国際公開第2008/092842号、同第2008/092843号、同第2007/121937号)は有機酸多価金属塩を用いる吸水性樹脂の製造方法を開示し、その有機酸の一例として蟻酸を開示する。
吸水性樹脂の物性や特性向上と言う観点からは、アクリル酸中のプロトアネモニンおよび/またはフルフラール含有量は、0〜20ppmとすることが好ましい。より具体的には、好ましくは10ppm以下、より好ましくは0.01〜5ppm、さらに好ましくは0.05〜2ppm、特に好ましくは0.1〜1ppmの範囲である。さらに、フルフラール以外のアルデヒド分および/またはマレイン酸も少ないほど良く、アクリル酸に対して、好ましくは0〜5ppm、より好ましくは0〜3ppm、さらに好ましくは0〜1ppm、特に好ましくは0ppm(検出限界以下)である。なお、フルフラール以外のアルデヒド分としては、ベンズアルデヒド、アクロレイン、アセトアルデヒド等が挙げられる。さらに、アクリル酸にあっては、酢酸および/またはプロピオン酸からなる飽和カルボン酸の含有量は、アクリル酸に対して好ましくは1000ppm以下、より好ましくは10〜800ppm、特に好ましくは100〜500ppmである。
ケース2とケース3では植物由来で特定の製法により得られたアクリル酸を用いることが好ましい。このようなアクリル酸は蟻酸が1〜700ppm含まれている。具体的には油脂などから得られるグリセリンを処理してアクロレインを製造し、さらに酸化してアクリル酸を製造する方法である。得られたアクリル酸は好ましくは蒸留法または晶析法により精製される。上記精製法や精製条件によりアクリル酸中の蟻酸を制御できるが、特に蒸留法により蟻酸を多く含むアクリル酸が得られやすい。なお、蟻酸の含有量が多すぎる場合には、蟻酸の含有量が少ないアクリル酸と混ぜて使用しても良い。
蟻酸等の微量成分を所定の量にするため、アクリル酸は必要により混合される。混合の際には、異なる微量成分を含有するアクリル酸を使用すればよく、好ましくは、化石原料と非化石原料のアクリル酸が使用される。また、異なるアクリル酸として、原料以外にその他、酸化系(特に触媒)、精製系(蒸留や晶析)が異なるものでもよく、これらで、好ましくは不純物、特にプロピオン酸量が異なるようにする。2種類のアクリル酸を使用する場合、その使用比率(質量比)は適宜決定されるが、通常1:99〜99:1の範囲とする。好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜80:20、特に好ましくは30:70〜70:30である。なお、上記2種以外のアクリル酸は、アクリル酸全量中、0〜50質量%の範囲で使用してもよく、0〜30質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。異なる2種類ないしそれ以上のアクリル酸の使用比率は、両アクリル酸の価格(原料コスト)、供給量、微量成分(プロピオン酸やそれ以外の微量成分)等で適宜決定され、特に、アクリル酸として化石原料および非化石原料の複数(特に2種類)の原料ソースを使用することで吸水性樹脂の原料コストをヘッジできる。なお、化石原料および非化石原料を併用する場合、その比率は、単量体中や吸水性樹脂中の14Cの定量で測定できる。
吸水倍率(CRC)と水可溶分(Ext)の相対関係の向上のために、ケース2とケース3のアクリル酸や単量体は、好ましくは特許文献53(米国特許出願公開第2008/119626号)に例示の重合不活性有機化合物を含む。重合不活性有機化合物とは、ビニル基やアリル基等の重合性不飽和結合を有しない有機化合物のことである。
このようなアクリル酸は、例えば、アクリル酸の製造工程において、あるいは、アクリル酸組成物の製造工程において、前記溶解度パラメータが1.0×104〜2.5×104(Jm-3)1/2である重合不活性有機化合物を使用し、さらに精製工程で一定量を除去して最終アクリル酸組成物に一定量を残存させることで、重合不活性有機化合物をアクリル酸組成物中に配合する方法などで得ることができる。
本明細書において、中和に用いられる「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を意味する。本発明では、上記塩基性組成物には、上記塩基性化合物に加えて、後述する鉄、換言すれば、鉄を含有する化合物が含まれていることが好ましい。
本発明の吸水性樹脂の製造方法において、アクリル酸は好ましくは中和、さらには中和前および/または中和中も循環されてなる。下記に好ましい中和方法およびアクリル酸の循環方法を説明する。
まず、本発明の吸水性樹脂の製造方法において、好ましい実施態様である上記アクリル酸およびその中和系の循環について、図面を参照しながら、説明する。
本発明では、好ましくは、上記中和系における混合液の滞留時間と、上記中和系を構成する機器及び配管等との接触面積の関係が規定される。即ち、本発明の製造方法においては、下記数2で規定される値X1が300以下である。
本発明における中和工程は、図1又は図2に示した中和系で行われ、前述した単量体を含む液(混合液)と塩基性水溶液が連続的に供給される。また、上記混合液は、モノマーの状態(常温で固体状態又は液体状態)に関わりなく水溶液とすることが、取り扱いの観点から好ましい。なお、本発明においては、「常温」とは20〜30℃の温度範囲をいう。
以下に一般的な、あるいは本発明に有利なポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法を示す。ケース3の発明の構成要件であるカチオン性ポリマーの添加工程は、(3−7)に示す。従って、(3-1)から(3-6)までは、ケース1〜3に共通する。
本発明の粒子状吸水性樹脂に用いられる吸水性樹脂は、アクリル酸由来の構成単位を有する。好ましくは、この吸水性樹脂は、アクリル酸由来の構成単位を主成分として有している。この吸水性樹脂の製法は特に限定されないが、好ましくは、この吸水性樹脂は、アクリル酸および/またはその塩を主成分とする単量体成分を重合して得られる。なお、上記単量体由来の構成単位とは、例えば、重合反応によって、各単量体の重合性二重結合が開いた構造に相当する。重合性二重結合が開いた構造とは、例えば、炭素間の二重結合(C=C)が単結合(−C−C−)となった構造である。
重合で得られた含水ゲル状架橋重合体はそのまま乾燥を行っても良いが、必要によりゲル粉砕機等を用いて細断された後乾燥される。本発明の色安定性吸水性樹脂粒子の形状は、特に制限なく、例えば、顆粒状・粉末状・フレーク状・繊維状等、任意の形態とすることができる。
本発明において好適に使用される乾燥温度は特に制限されないが、例えば、50〜300℃の範囲(100℃以下の場合は減圧下で行うことが好ましい)、好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜200℃で行われる。特にアクリル酸が上記重合不活性有機化合物を含有する場合、上記の温度範囲での乾燥、特に高温乾燥(好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは150〜200℃)によって、重合不活性有機化合物を吸水性樹脂から除去できるため、より好ましい。
乾燥により得られた本発明の経時色安定性吸水性樹脂粒子は、その目的に応じ必要により粒経制御のため粉砕、分級、調合等の工程を経ても良い。これらの方法については例えば、国際公開第2004/69915号に記載されている。
本発明で好ましくは微粉リサイクルされ、上記分級工程後の吸水性樹脂微粉を乾燥工程以前にリサイクルする工程をさらに含む。微粉がリサイクルされることで、粒度制御ないし吸水速度や通液性の向上に寄与できる。微粉リサイクル量は粉砕物中の0.1〜40質量%、さらには1〜30質量%、特に5〜25質量%の範囲で適宜決定される。
本発明で得られる経時色安定性吸水性樹脂粒子は、上記工程後に、従来から知られている表面架橋処理工程を経て、より衛生材料向けに好適な経時色安定性吸水性樹脂とすることができる。なお、表面架橋は乾燥と同時に行ってもよいが、好ましくは乾燥工程後、さらに好ましくは分級工程後に行われる。表面架橋とは、吸水性樹脂の表面層(表面近傍:吸水性樹脂表面から通常数10μm前後)にさらに架橋密度の高い部分を設けることであり、表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等で形成できる。
ケース3の発明の製造方法はカチオン性ポリマーの添加工程、特に吸水性樹脂粉末の表面へのカチオン性ポリマーの添加工程を含んでいる。ここで、添加されたカチオン性ポリマーは吸水性樹脂の表面被覆ないし表面架橋に作用して、吸水性樹脂の通液性や形態保持性などを向上させる。カチオン性ポリマーは、架橋体でもよく、ホモポリマーでもよく、共重合体でもよく、一部または全部が水膨潤性や水不溶性でもよいが、好ましくは水溶性のカチオン性ポリマーが使用される。なお、上記「水溶性」とは、25℃の水100gにカチオン性ポリマーが1g以上、さらには10g以上、特に50g以上、溶解することをいう。
かかるカチオン性ポリマーと蟻酸はそのまま混合してもよいが、均一な混合性による物性向上の観点から、好ましくは溶液、さらに好ましくは水溶液として吸水性樹脂に混合される。使用する水やその他溶媒(好ましくは親水性溶媒、特に低級アルコール)の量は、カチオン性ポリマーの種類や使用量で適宜決定されるが、好ましくは、水が0.01〜20質量部、さらには0.1〜10質量部、特に0.5〜8質量部で使用される。混合時の水溶液濃度も適宜決定され、例えば、1〜100質量%、さらには5〜80質量%、10〜60質量%である。
カチオン性ポリマーの混合量は、重合体100質量部に対して、0.01〜5質量部であり、好ましくは0.05〜4.5質量部、より好ましくは0.1〜4質量部、さらに好ましくは0.3〜3.5質量部の範囲内で適宜決定される。
カチオン性ポリマーと蟻酸の混合は、表面架橋に使用される混合機、加熱処理機、冷却機、あるいは表面架橋とは別の混合機等で混合でき、必要により混合後に加熱ないし溶解を乾燥、好ましくは20〜150℃、さらには50〜120℃で加熱ないし乾燥してもよい。
蟻酸が重合時の単量体に上記の濃度で含有されている場合、さらに、重合時の蟻酸含有量を超える量の蟻酸とカチオン性ポリマーとの混合物を吸水性樹脂に混合する。好ましいカチオン性ポリマーはポリビニルアミン、または、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物であるが、後述のカチオン性ポリマーも使用ないし併用できる。カチオン性ポリマーとして、蟻酸を所定量含有させたポリ(N−ビニルホルムアミド)の完全加水分解物または部分加水分解物、好ましくは部分加水分解物の使用はケース3の発明において好ましい方法の一つである。蟻酸の使用量は吸水性樹脂に対し重合時およびカチオン性ポリマーの添加時および合計量で上記範囲である。この工程での蟻酸の添加は重合工程や乾燥工程における蟻酸の蒸散がないため、蟻酸由来の酸臭の問題も少なく、重合工程や乾燥工程以前に蟻酸を加える場合と比べてロスが少なく、使用量に対して経時着色の抑制効果が高い。また、単量体水溶液に700ppmより多く蟻酸が含まれると、蟻酸の添加量以上に水可溶分が増加するが、重合工程以降はこのような水可溶分の問題は起らない。
上記カチオン性ポリマーとして、好ましくはポリビニルアミン、または、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物である。その他のカチオン性ポリマーとしては、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基およびそれらの塩、および第4級アルキルアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含むポリマーが好ましく使用される。この場合、アミノ基の塩とは、アミノ基窒素が無機酸あるいは有機酸で中和されるか、または、アミノ基窒素と求電子試薬との反応により得られたものである。中和に使用可能な無機酸としては、例えば、炭酸;ホウ酸;塩酸、フッ化水素酸等の水素酸;硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等のポリリン酸、トリポリリン酸、ウルトラリン酸(酸性メタリン酸)、過塩素酸等の酸素酸;上記酸素酸の塩;等をあげることができ、有機酸としては、例えば、カルボン酸、スルフィン酸、スルホン酸、フェノール酸、エノール(カルボニル化合物の互変異性体)、メルカプタン、イミド(酸イミド)、オキシム、スルホンアミド等の酸性の官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸グリコール酸、乳酸、トリクロロ乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、タルトロン酸、没食子酸等のオキシ酸;アスパラギン酸等のアミノ酸;p−トルエンスルホン酸、等を例示できる。求電子試薬として使用可能なものとしては、例えば、ヨードメタン、ヨードエタン、2−ヨードプロパン、ベンジルヨージド、ブロモメタン、ブロモエタン、2−ブロモプロパン、ベンジルブロミド、クロロメタン、クロロエタン、2−クロロプロパン、ベンジルクロライド等のアルキルハライド;ジエチル硫酸、ジメチル硫酸等のアルキル硫酸等を挙げることができる。上記の無機酸、有機酸、求電子試薬はそれぞれ単独で使用されたり、2種以上併用されたりする。
カチオン性ポリマーは、好ましくは重量平均分子量が2000以上であり、より好ましくは数平均分子量が2000以上であり、さらに好ましくは重量平均分子量が5000以上、最も好ましくは重量平均分子量が10000以上かつ数平均分子量が5000以上である。重量平均分子量が2000未満であると期待する効果が得られなくなるおそれがある。なお、平均分子量の測定は、数平均分子量は粘度法によって測定し、重量平均分子量は平衡沈降法によって測定される。また、その他ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、静的光散乱法等によっても測定できる。コスト面から、上限は重量平均分子量が500万程度、さらには100万程度で十分である。
架橋されてなるカチオン性ポリマーを得る方法としては、対応するカチオン性基を含有する単量体を重合する際に他の共重合性架橋剤と共重合して架橋重合体としたり、カチオン性ポリマーをその官能基(たとえばアミノ基)と反応しうる基を2個以上有する架橋剤で架橋したりする等、従来公知の方法でカチオン性ポリマーに架橋構造を導入することができる。これらカチオン性ポリマー架橋体を水膨潤性として、200質量部以下の範囲で、ポリアクリル酸系吸水性樹脂、特に低中和ないし未中和のポリアクリル酸系吸水性との組成物して、酸塩基型の吸水性樹脂組成物としてもよい。
また、本発明のカチオン性ポリマーはカチオン密度が2[mmol/g]以上であることが好ましく、4[mmol/g]以上であることがさらに好ましく、6[mmol/g]以上であることが最も好ましい。カチオン密度が2[mmol/g]未満であると、吸水性樹脂とカチオン性ポリマーを混合して得られた吸水性樹脂における、膨潤後の吸水性樹脂集合体の保型性が十分でなくなるおそれがある。上限は繰り返し単位で適宜決定されるが、30[mmol/g]以下、さらには25[mmol/g]以下である。
(a)キレート剤
本発明の粒子状吸水性樹脂の製造方法は、さらなる着色防止や劣化防止から、キレート剤の添加工程を含む。本発明のキレート剤としては、効果の面から高分子または非高分子、中でも非高分子が好ましく、アミノ多価カルボン酸、有機多価燐酸、アミノ多価燐酸から選ばれる化合物、特に非高分子化合物であることが好ましい。好適なキレート剤は欧州特許第940148号に例示されている。
本発明の製造方法では、さらなる着色防止や劣化防止、残存モノマー低減から、無機還元剤を好ましくは添加する工程を含む。本発明の無機還元剤としては、硫黄原子を含む無機還元剤、リン原子を含む無機還元剤が挙げられる。無機還元剤は酸型でもよいが、好ましくは塩型であり、塩としては1価〜多価金属塩、さらには1価塩である。好適な無機還元剤は米国特許出願公開第2006/074160号に例示され、亜硫酸(水素)塩等が好ましくは使用される。
本発明の粒子状吸水性樹脂は、さらなる着色防止等から、α−ヒドロキシカルボン酸化合物を含むことが好ましい。本発明のα−ヒドロキシカルボン酸化合物とは、分子内にヒドロキシル基を併せ持つカルボン酸またはその塩のことで、α位ヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸化合物である。
本発明の粒子状吸水性樹脂は、通液性(SFC)向上等から、多価金属塩を含むことが好ましい。なお、ケース3の発明では、多価金属塩に変えてカチオン性ポリマーを用いるので、多価金属塩を使用しなくてもよいが、0〜1質量部で併用してもよい。
本発明では好ましくはさらに界面活性剤が混合される。界面活性剤の吸水性樹脂表面への混合さらには存在によって、より物性が向上ないし安定化する。界面活性剤は好ましくは乾燥工程後の吸水性樹脂、さらには、表面架橋工程の前、途中(同時)または後の吸水性樹脂に対して、さらには、カチオン性ポリマーの混合と同時または混合後に添加される。
本発明では好ましくはさらに水不溶性無機微粒子が混合される。水不溶性無機界面活性剤の吸水性樹脂表面への混合さらには存在によって、より物性が向上ないし安定化する。界面活性剤は好ましくは乾燥工程後の吸水性樹脂、さらには、表面架橋工程の前、途中(同時)または後の吸水性樹脂に対して、添加される。ケース3では、カチオン性ポリマーの混合と同時または混合後、特にカチオン性ポリマーの混合後に添加される。
さらに、その目的機能に応じて、種々の機能を付与させるため、リン原子を含む化合物、酸化剤、有機還元剤、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が、0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%添加されても良い。なお、界面活性剤としては、国際公開第2005/075070号記載の界面活性剤が好ましく例示される。
本発明の製造方法は、着色との両立が困難であった、高いCRC、高い通液性(SFC)の吸水性樹脂の製造方法に好適に適用される。得られる吸水性樹脂は、CRCが25[g/g]以上、AAPが20[g/g]以上、SFCが50[×10−7・cm3・s・g−1]以上である。さらには後述のAAP、SFCの範囲、さらにはその他後述の物性を示す吸水性樹脂の製造方法に好適に適用できる。
(4−1;ケース2の製造方法で得られる吸水性樹脂の物性)
ケース2の製造方法では、着色の少ない優れた吸水性樹脂として、蟻酸を1〜500ppm含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を提供する。好ましい蟻酸の範囲は上記のとおりである。
一方、ケース3の製造方法では、吸水性樹脂の鉄分含有量が2ppm以下、蟻酸含有量が1〜50000ppm、および重合体100質量部に対してカチオン性ポリマー含有量が0.01〜5質量部であるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を提供する。かかる吸水性樹脂は、蟻酸を乾燥工程後に添加する場合、好ましくは、吸水性樹脂の表面が蟻酸およびカチオン性ポリマーで被覆されてなる。さらに、重合時に蟻酸が含有される場合、吸水性樹脂の内部にも蟻酸がさらに含有することによって、より着色が防止される。
ケース3においても、重合の安定化のみならず、得られた吸水性樹脂の耐光性から、p−メトキシフェノール系化合物の含有量が1〜200ppmであり、さらには上記範囲であることが好ましい。
本発明のケース1,ケース2,ケース3の各製造方法で得られる吸水性樹脂は、次の物性を達成することが好ましい。衛生材料、特に紙オムツを目的とする場合、上記重合や表面架橋をもって、下記(a)〜(k)の少なくとも1つ、さらにはAAPを含め2つ以上、特に3つ以上に制御されることが好ましい。下記を満たさない場合、後述の高濃度オムツでは十分な性能を発揮しないことがある。
AAPは20[g/g]以上、好ましくは22[g/g]以上であり、より好ましくは23[g/g]以上であり、さらに好ましくは24[g/g]以上であり、最も好ましくは25[g/g]以上である。AAPの上限値は特に限定されないが、好ましくは30[g/g]以下である。AAPが20[g/g]未満の場合、粒子状の吸水性樹脂が吸水体に使用された場合、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水性樹脂を得ることができなくなるおそれがある。AAPは、例えば、上記表面架橋、特に粒度制御後の表面架橋で調整できる。
SFCは、好ましくは30[×10−7・cm3・s・g−1]以上であり、より好ましくは50[×10−7・cm3・s・g−1]以上であり、さらに好ましくは70[×10−7・cm3・s・g−1]以上であり、特に好ましくは80[×10−7・cm3・s・g−1]以上である。
無加圧下吸水倍率(CRC)は、好ましくは5[g/g]以上であり、より好ましくは15[g/g]以上であり、さらに好ましくは25[g/g]以上である。CRCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは70[g/g]以下であり、より好ましくは50[g/g]以下であり、さらに好ましくは40[g/g]以下である。
水可溶分は好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。
本発明にかかる粒子状の吸水性樹脂は、安全性の観点より、残存モノマーは0〜500ppm、好ましくは0〜400ppm、より好ましくは0〜300ppmに制御される。
20gの生理食塩水に対する吸水性樹脂1gでの吸水速度(FSR)は好ましくは0.1[g/g/sec]以上であり、より好ましくは0.15[g/g/sec]以上であり、さらに好ましくは0.20[g/g/sec]以上、最も好ましくは0.25[g/g/sec]以上である。FSRの上限値は特に限定されないが、好ましくは5.0[g/g/sec]以下であり、より好ましくは3.0[g/g/sec]以下である。かかるFSRの測定法は国際公開第2009/016055号で規定できる。
上記範囲である。
さらに、その目的機能に応じて、種々の機能を付与させるため、界面活性剤、リン原子を含む化合物、酸化剤、有機還元剤、シリカや金属石鹸等の水不溶性無機ないし有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維などが、0〜3質量%、好ましくは0〜1質量%添加されても良い。なお、界面活性剤としては、国際公開第2005/075070号記載の界面活性剤が好ましく例示される。
吸水性樹脂の含水率は10質量%以下、好ましくは0質量%を超えて10質量%以下、より好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、より好ましくは2〜7質量%、より好ましくは2〜6質量%、特に好ましくは2〜5質量%とされる。含水率が外れると、粉体特性(流動性、搬送性、耐ダメージ)に劣った吸水性樹脂となる。
本発明にかかる粒子状の吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生材料向けに好適に使用できるものであり、白色粉末であることが好ましい。本発明にかかる粒子状の吸水性樹脂は、吸水性樹脂製造後の分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、L値(Lightness)が少なくとも88、さらには89以上、好ましくは90以上を示すことが好ましい。なお、L値の上限は通常100であるが、88以上ならば衛生材料等の製品において色調による問題が発生しない。また、b値は0〜12、好ましくは0〜10、さらに好ましくは0〜9、a値は−3〜3、好ましくは−2〜2、さらに好ましくは−1〜1とされる。
本発明にかかる粒子状の吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生材料向けに好適に使用できるものであり、その際、高い湿度や温度条件下での長期貯蔵状態においても著しく清浄な白い状態を維持することが好ましい。
本発明の吸水性樹脂の用途は特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。特に、従来、原料由来の臭気、着色等が問題になっていた高濃度オムツ(1枚のオムツに多量の吸水性樹脂を使用したもの)に使用され、特に前記吸収性物品中の吸収体上層部に使用された場合に、特に優れた性能が発揮される。
以下、実施例および比較例にしたがって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定され解釈されるものではなく、異なる実施例に開示されたそれぞれの技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例についても、本願発明の範囲に含まれるものとする。また、便宜上、「リットル」を「L」、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
[AAP(加圧下吸水倍率)]
ERT442.2−02に従って測定した。なお、本発明においては、荷重条件を4.83kPa(0.7psi)に変更して測定した。
米国特許第5669894号明細書に記載されたSFC試験方法に準じて測定した。
ERT441.2−02に従って測定した。
ERT470.2−02に従って測定した。
ERT410.2−02に従って測定した。
粒径の分布および質量平均粒子径(D50)は、以下で説明するように、試料を標準篩にかけることにより測定した。
吸水性樹脂(重合体)1gを直径6cmのアルミ皿に薄く広げて、180℃の無風オーブンで3時間乾燥することで、その乾燥前の質量と乾燥後の質量を測定し、下記式1に代入することにより含水率(質量%)を測定した。なお、固形分(質量%)は、(100−含水率)(質量%)で規定される。なお、カチオン性ポリマーの固形分についても吸水性樹脂の固形分と同様に測定、計算した。
(a)初期色調
日本電色工業株式会社製の分光式色差計SZ−Σ80COLOR MEASURING SYSTEMを用いて行った。測定の設定条件は、反射測定が選択され、内径30mmで且つ高さ12mmである付属の粉末・ペースト用容器が用いられ、標準として粉末・ペースト用標準丸白板No.2が用いられ、30Φ投光パイプが用いられた。備え付けの粉末・ペースト用容器に約5gの吸水性樹脂を充填した。
(b)経時色調
吸水性樹脂を高温高湿下(70℃、65%RHで7日間放置後の色)に放置したのち、上記(a)の手法で色を測定した。
晶析法により精製されたアクリル酸(AA1−1)の水分量をカールフィッシャー法水分計(株式会社三菱化学アナリティック製 KF−200型)により測定した結果、64ppmであった。このアクリル酸を循環式タンクで一週間、常温で貯蔵した。なお、このときのタンク充填率は75容積%であった。
実施例1−1のアクリル酸(AA1−1)に水を添加することで、水分量を291ppmとしたアクリル酸(AA1−2)を用いた以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の吸水性樹脂(SAP1−2)を得た。得られた粒子状吸水性樹脂(SAP1−2)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
実施例1−1のアクリル酸(AA1−1)に水を添加することで、水分量を594ppmとしたアクリル酸(AA1−3)を用いた以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の吸水性樹脂(SAP1−3)を得た。得られた粒子状吸水性樹脂(SAP1−3)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
実施例1−1のアクリル酸(AA1−1)に水を添加することで、水分量が966ppmとしたアクリル酸(AA1−4)を用いた以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の吸水性樹脂(SAP1−4)を得た。得られた粒子状吸水性樹脂(SAP1−4)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
実施例1−1のアクリル酸(AA1−1)に水を添加することで、水分量が6794ppmとした比較アクリル酸(比較AA1−1)を用いた以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP1−1)を得た。得られた比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP1−1)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
晶析法の条件を変更することにより、実施例1−2と同じ水分量(291ppm)のアクリル酸(AA1−5)を得た以外は、実施例1−2と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状吸水性樹脂(SAP1−5)を得た。得られた粒子状吸水性樹脂(SAP1−5)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
国際公開第02/085959号の実施例に準じて、80質量%アクリル酸水溶液を用い、単量体水溶液中のアクリル酸濃度が実施例1−1と同じになるように脱イオン水量を調整した以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP1−2)を得た。得られた比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP1−2)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
米国特許第4507438号の比較例に準じて、純度99.8質量%のアクリル酸を用い、単量体水溶液中のアクリル酸濃度が実施例1−1と同じになるように脱イオン水量を微調整した以外は、実施例1−1と同様の操作を行い、表面架橋された粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP1−3)を得た。得られた比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP1−3)の初期色調および経時色調を表1に記載する。
実施例1−1の晶析法により精製されるアクリル酸(AA1−1)に、p−メトキシフェノールを添加せず、実施例1−1と同様の操作を行おうとしたが、アクリル酸の貯蔵工程でアクリル酸が重合したため、吸水性樹脂を得ることができなかった。
図2に示される構造を有する装置を用意した。この装置は、容量が300Lである中和槽を有する。この中和槽に、水分量64ppmのアクリル酸及び濃度が19.6質量%である水酸化ナトリウム水溶液を連続的に供給し、第一ループ及び第二ループによって循環させて混合液を得た。単位時間当たりの供給量は、以下の通りである。
アクリル酸水溶液 :164.5[kg/hr]
水酸化ナトリウム水溶液:118.5[kg/hr]
得られた吸水性樹脂粉体(1−6)に、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールおよび水を混合した液を噴霧し、該吸水性樹脂粉体(1−6)の表面を架橋して、表面架橋された粒子状の吸水性樹脂(SAP1−6)を得た。得られた粒子吸水性樹脂(SAP1−6)の初期色調およびX1を表2に記載する。なお、実施例1−6における製造方法では、中和系に存在する液の量V1は350kgであり、中和系から重合系に向けて供給される液の単位時間当たりの流量F1は283[kg/hr]、中和系に存在する液とこの中和系との接触面積A1は16.3m2であり、よって、X1は20となる。
各水溶液の単位時間当たりの供給量を下記の通りとし、流量F2を21.9[kg/hr]とした他は実施例1−6と同様にして、含水ゲル状架橋重合体(1−7)を得た。この含水ゲル状架橋重合体(1−7)を、実施例1−6と同様の乾燥処理、粉砕処理及び表面架橋処理に供して、粒子状の吸水性樹脂(SAP1−7)を得た。得られた粒子吸水性樹脂(SAP1−7)の初期色調およびX1を表2に記載する。
アクリル酸 :12.7[kg/hr]
水酸化ナトリウム水溶液: 9.2[kg/hr]
図2に示される構造を有する装置を用意した。この装置は、容量が4000Lである中和槽を有する。この中和槽に、上記水分量64ppmのアクリル酸及び濃度が14.4質量%である水酸化ナトリウム水溶液を連続的に供給し、第一ループ及び第二ループによって循環させて混合液を得た。単位時間当たりの供給量は、以下の通りである。
アクリル酸 :3038.5[kg/hr]
水酸化ナトリウム水溶液:4317.5[kg/hr]
図1で示される構造を有する装置を用意した。この装置は容量4000Lである中和槽を有する。この中和槽に、水分量が67ppmであるアクリル酸及び濃度が14.2質量%である水酸化ナトリウム水溶液を連続的に供給し、第一ループによって循環させて混合液を得た。単位時間当たりの供給量は、以下の通りである。
アクリル酸 : 895[kg/hr]
水酸化ナトリウム水溶液:1272[kg/hr]
得られた吸水性樹脂粉体(1−9)に、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコールおよび水を混合した液を噴霧し、該吸水性樹脂粉体(1−9)の表面を架橋して、表面架橋された粒子状の吸水性樹脂(SAP1−9)を得た。得られた粒子吸水性樹脂(SAP1−9)の初期色調およびX1を表2に記載する。なお、実施例1−9における製造方法では、中和系に存在する液の量Vは3620kgであり、中和系から重合系に向けて供給される液の単位時間当たりの流量Fは2167[kg/hr]であり、中和系に存在する液とこの中和系との接触面積は113m2であった。
表1、表2に示されるように、各実施例の製造方法(ケース1)で得られた吸水性樹脂は、比較例の製造方法で得られた含水ゲル状架橋重合体に比べて白色度が高い。この評価結果から、ケース1の発明の優位性は明らかである。また、着色は、アクリル酸中の水分量が影響することがわかる。
石油由来の精製アクリル酸に禁止剤としてメトキノンを添加し、晶析を繰り返すことで、蟻酸をND(検出限界0.1ppm)および水分64ppmとしたのち、メトキノン量を70ppmに調製した。この蟻酸を含まないアクリル酸99.68gに蟻酸0.0012gを混合することで、蟻酸含有量が約12ppmのアクリル酸を調製した。
実施例2−1において、蟻酸の添加量を0.012g(対アクリル酸で約120ppm、対単量体で100ppm)とした以外は実施例2−1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉体(SAP2−2)を得た。この吸水性樹脂粉体(SAP2−2)について、上記長期貯蔵色安定性促進試験を行った。この結果を吸水性樹脂粉体(SAP2−2)の物性とともに表3に示す。
実施例2−1において、蟻酸の添加量を0.06g(対アクリル酸で約600ppm、対単量体で500ppm)とした以外は実施例2−1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉体(SAP2−3)を得た。この吸水性樹脂粉体(SAP2−3)について、上記長期貯蔵色安定性促進試験を行った。この結果を吸水性樹脂粉体(SAP2−3)の物性とともに表3に示す。
実施例2−1において、蟻酸を添加しなかった以外は実施例2−1と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−1)を得た。
比較例2−1の比較吸水性樹脂(比較SAP2−1)100質量部に対し、30質量%エチレンカーボネート水溶液3質量部を混合して、200℃で30分加熱した。さらに比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−1)100質量部に対し、硫酸アルミウム14−18水和物/乳酸ナトリウム/蟻酸=0.9質量部/0.1質量部/0.01質量部からなる組成液を混合し、吸水性樹脂粉体(SAP2−4)を得た。
実施例2−4において、蟻酸を添加しなかった以外は実施例2−4と同様の操作を行い、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−2)を得た。
比較例2−1において、石油由来のアクリル酸の代わりに植物由来のアクリル酸を用いた以外は比較例2−1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粉体(SAP2−5)を得た。なお、このアクリル酸は植物油脂からグリセリンを経てアクリル酸としたものである。アクリル酸の精製は蒸留法で行い、アクリル酸には蟻酸が10ppm含まれていた。また、単量体水溶液には単量体に対し蟻酸が8ppm含まれていた。
実施例2−2において、特許文献20〜23に例示の酢酸を100ppm使用して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−3)を得た。
実施例2−2において、蟻酸の代わりに特許文献20〜23に例示のプロピオン酸を100ppm使用して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−4)を得た。
実施例2−2において、蟻酸の代わりに特許文献20〜23に例示の酪酸を100ppm使用して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−5)を得た。
実施例2−2において、特許文献20〜23に好ましく例示の安息香酸を100ppm使用して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−6)を得た。
実施例2−3において、特許文献20〜23に好ましく例示の安息香酸を1000ppm使用して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−7)を得た。
実施例2−1において、特許文献46(米国特許4698404号)の実施例1に記載の蟻酸量を用いて、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−8)を得た。
特許文献50〜52(国際公開第2008/092842号、同第2008/092843号、同第2007/121937号)に準じて、乳酸アルミニウムを100ppm添加して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−9)を得た。
比較例2−1において、pHを5.5以下に下げて経時着色を防止する技術を開示する特許文献6に準じて、そのために使用する酸として蟻酸を単量体に対し5質量%添加して、比較吸水性樹脂粉体(比較SAP2−10)を得た。なお、重合後に得られる含水ゲル状架橋重合体には、粘着性があった。
実施例2−1において、NaOH中のFeが10ppmの苛性ソーダに変更して、吸水性樹脂粉体(SAP2−6)を得た。
実施例2−1において、アクリル酸に対して特許文献53に記載の重合不活性有機溶媒(トルエン)を100ppm添加して同様に重合を行って、吸水性樹脂粉体(SAP2−7)を得た。
実施例2−1において、アクリル酸に対して特許文献53に記載の重合不活性有機溶媒(ジフェニルエーテル)を10ppm添加して同様に重合を行って、吸水性樹脂粉体(SAP2−8)を得た。
表3に示されるように、各実施例の製造方法(ケース2)で得られた吸水性樹脂は、比較例の製造方法で得られた吸水性樹脂に比べて白色度が高い。この評価結果から、ケース2の発明の優位性は明らかである。
石油由来の精製アクリル酸に、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを添加し、晶析を複数回行うことで、蟻酸をND(検出限界0.1ppm)および水分64ppm(カールフィッシャー法で測定)としたのち、p−メトキシフェノールを70ppmに調製した(アクリル酸(3−1))。この蟻酸を含まないアクリル酸(3−1)100質量部に蟻酸0.037質量部を混合して、蟻酸を含むアクリル酸を調製した(アクリル酸(3−2))。
実施例3−1において、蟻酸とカチオン性ポリマーと同時に水溶液で添加した。すなわち、実施例3−1で使用した蟻酸を含むアクリル酸(3−2)を、蟻酸を含まないアクリル酸(3−1)に変更し、ポリアリルアミン塩酸塩をポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物(固形分9質量%、重量平均分子量約40000、加水分解率約50モル%)および蟻酸の混合物水溶液に変更した以外は実施例3−1と同様に操作し、粒子状吸水性樹脂(SAP3−2)を得た。
なお、粒子状吸水性樹脂(SAP3−2)に添加した混合物中の固形分は、表面架橋された吸水性樹脂100質量部に対して、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物0.4質量部および蟻酸は0.103質量部であった。粒子状吸水性樹脂(SAP3−2)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
実施例3−1において、アクリル酸の晶析を行った後、水分の調整を行い水分2000ppmのアクリル酸(3−3)とした以外は、実施例3−1と同様に操作し、粒子状吸水性樹脂(SAP3−3)を得た。該粒子状吸水性樹脂(SAP3−3)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
実施例3−1において、蟻酸を含むアクリル酸(3−2)の代わりに蟻酸を含まないアクリル酸(3−1)を用いた以外は実施例1と同様に操作し、粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP3−1)を得た。比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP3−1)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
実施例3−2において、特許文献19の比較例3を参考にポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物の代わりに硫酸アルミニウム組成液を用いた以外は実施例3−2と同様に操作し、粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP3−2)を得た。比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP3−2)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
比較例3−2において、特許文献19の実施例17を参考にして、比較例3−2の表面架橋工程と硫酸アルミニウム組成液を添加する工程の間に40質量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加し、さらに60℃で30分加熱する工程を加えた。添加量は表面架橋された吸水性樹脂100質量部に対し、0.76質量部(リン酸二水素ナトリウムとしては0.31質量部)であった。上記以外は比較例3-2と同様に操作し、粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP3−2)を得た。比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP3−2)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
実施例3−1において、表面架橋された吸水性樹脂にカチオン性ポリマーを添加しなかった実施例3−1と同様に操作し、粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP3−4)を得た。比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP3−4)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
実施例3−1において48.5質量%水酸化ナトリウム水溶液の鉄分が水酸化ナトリウムに対し10.5ppm(Fe2O3換算で15ppm)である水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は実施例3−1と同様に操作し、粒子状の比較吸水性樹脂(比較SAP3−5)を得た。比較粒子状吸水性樹脂(比較SAP3−5)中の蟻酸濃度、吸水物性、および経時色調を表4に示す。
表4は、本発明のケース3の製造方法で得られた吸水性樹脂の物性を示した表である。実施例3−1と比較例3−1の比較から、蟻酸が所定量吸水性樹脂中に存在することにより、経時着色を低減(L,a,bの向上)していることが分かる。また、実施例3−1、3−2と比較例3−2、3−3を比較したとき、SFCは同等で、カチオン性ポリマーを添加した方が、硫酸アルミニウム組成物を添加するより経時色調が優れていることが分かる。さらに、実施例3−1、3−2と比較例3−4の比較から、比較例3−4は、経時色調は優れているものの、通液性向上剤を使用していないので通液性(SFC)が不足していることが分かる。さらに実施例3−1と比較例3−5の比較から、塩基性組成物中のFe量が着色に大きな影響を与えることが分かる。
3 中和槽
4 ポンプ
6 熱交換器
8 ラインミキサー
10 重合機
12 第一配管
14 第二配管
16 第三配管
18 第四配管
20 第五配管
30 第六配管
22 入口
24 出口
32 第一ループ
34 第二ループ
Claims (44)
- アクリル酸を貯蔵あるいは製造する工程、重合禁止剤を含むアクリル酸と、水と、架橋剤と、必要により塩基性組成物とを混合および/または中和して単量体水溶液を調製する工程、該単量体水溶液を重合する工程、得られた含水ゲル状架橋重合体を乾燥する工程、必要により表面架橋する工程を順次含むポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の蟻酸含有量が1〜700ppm(質量基準。以下同じ)であることを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。 - 上記重合禁止剤を含むアクリル酸中の水分量が1000ppm(質量基準)以下である請求項1に記載の製造方法。
- 上記塩基性組成物中の鉄分が0.007〜7ppmである、請求項1または2に記載の製造方法。
- 乾燥工程以降に、重合体100質量部に対して、カチオン性ポリマー0.01〜5質量部を混合する、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
- 重合時の単量体および/または重合後の重合体100質量部に対して、蟻酸0.0001〜5質量部を存在させるおよび/または混合する、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法(但し、重合時の単量体中の蟻酸存在量は0〜700ppm(対単量体))。
- 上記単量体水溶液の調製工程において、予め蟻酸を含有するアクリル酸を使用する請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記アクリル酸の水分量が1〜100ppmである、請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記アクリル酸中の重合禁止剤としてのメトキシフェノール類が180ppm以下である、請求項1〜7の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記アクリル酸が植物由来である、請求項1〜8の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記アクリル酸および/または単量体水溶液が、貯蔵槽内および/または中和槽内で循環されてなる、請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記中和前または中和後のアクリル酸および/または単量体水溶液の循環が、貯蔵槽内または中和槽とこの貯蔵槽内または中和槽に取り付けられた閉流路とによってなされる請求項10に記載の製造方法。
- 単量体が中和されてなり、且つアクリル酸と塩基性物質との中和反応によって得られたアクリル酸塩を含む混合液を、中和槽を備える中和系において循環させる工程を含む、請求項10または11に記載の製造方法。
- 中和温度が70℃以下での連続中和工程を含む、請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法。
- 中和槽を備える中和系において、循環工程に次いで、重合工程前にさらに第2中和工程を含み、該第2中和工程の直後における上記液の中和率が30〜90モル%である請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
- アクリル酸の製造工程と吸水性樹脂の製造工程をアクリル酸の貯蔵工程をはさんでパイプラインで連結させる、請求項1〜16の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記吸水性樹脂の製造に用いる装置内面および/または原料接触面がステンレス鋼である、請求項1〜17の何れか1項に記載の製造方法。
- 生産量が100[kg/hr]以上の連続製造である、請求項1〜18の何れか1項に記載の製造方法。
- 晶析又は蒸留によるアクリル酸の精製後、96時間以内に、このアクリル酸を上記中和系に供給する、請求項1〜19の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液中の単量体濃度が30〜70質量%である、請求項1〜20の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液中の、アクリル酸に対する溶解度パラメータが1.0×104〜2.5×104[(Jm−3)1/2]である重合不活性有機化合物の含有量が、単量体に対して1〜1000ppmである、請求項1〜21の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記単量体水溶液の調製が終了した時点から重合開始までの合計時間が1秒〜24時間である、請求項1〜22の何れか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- カチオン性ポリマーと蟻酸との混合物をポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂に混合する、請求項4〜23の何れか1項に記載の製造方法。
- カチオン性ポリマーと蟻酸との上記混合物における質量比が1:20〜20:1の範囲である、請求項24に記載の製造方法。
- 蟻酸が重合時の単量体に含有され、さらに、重合時の単量体の蟻酸含有量を超える量の蟻酸とカチオン性ポリマーとの混合物を吸水性樹脂に混合する、請求項4〜25の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記カチオン性ポリマーがポリビニルアミンまたはその塩、またはポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物またはその塩である、請求項4〜26の何れか1項に記載の製造方法。
- 上記カチオン性ポリマーの重量平均分子量が2000以上である、請求項4〜27の何れか1項に記載の製造方法。
- キレート剤、無機還元剤、α−ヒドロキシカルボン酸(塩)の何れかの添加工程を含む、請求項1〜28の何れか1項に記載の製造方法。
- さらに界面活性剤を混合する、請求項1〜29の何れか1項に記載の製造方法。
- さらに水不溶性無機微粒子を混合する、請求項1〜30の何れか1項に記載の製造方法。
- 得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂のCRCが25[g/g]以上、AAPが20[g/g]以上、SFCが50[×10−7・cm3・s・g−1]以上である、請求項1〜31の何れか1項に記載の製造方法。
- 蟻酸含有量が1〜500ppmであり(但し、重合体100質量部中、カチオン性ポリマー含有量が0.01〜5質量部含まれている場合は、吸水性樹脂の鉄分含有量が2ppm以下および蟻酸含有量が1〜50000ppmである)、さらに、多価金属塩またはカチオン性ポリマーを含有することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂。
- フェノール系化合物の含有量が1〜200ppmである、請求項33に記載の吸水性樹脂。
- 鉄分の含有量が2ppm以下である、請求項33または34に記載の吸水性樹脂。
- 上記吸水性樹脂の表面が蟻酸およびカチオン性ポリマーで被覆されてなる、請求項33〜35の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- 上記吸水性樹脂の内部にも蟻酸をさらに含有する、請求項33〜36の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- 上記カチオン性ポリマーがポリビニルアミンまたはその塩、またはポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物またはその塩である、請求項33〜37の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- p−メトキシフェノール系化合物の含有量が1〜200ppmである、請求項33〜38の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- CRCが25[g/g]以上、AAPが20[g/g]以上、SFCが50[×10−7・cm3・s・g−1]以上である、請求項33〜39の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- さらに界面活性剤を含有する、請求項33〜40の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- さらに水不溶性無機微粒子を含有する、請求項33〜41の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- 蟻酸とカチオン性ポリマーとの質量比が1:20〜20:1の範囲である、請求項33〜42の何れか1項に記載の吸水性樹脂。
- 重合禁止剤としてのp−メトキシフェノール10〜160ppmを含み、水分量が1000ppm以下、および/または、蟻酸含有量が0.5〜700ppmであるアクリル酸の吸水性樹脂の重合への使用。
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