JP4617880B2 - 水素貯蔵方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を、比較的軽量に、しかも常温常圧に近い状態で安定に貯蔵することができ、また、貯蔵した水素を容易に取り出すことができる水素貯蔵方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CO2排出に伴う地球環境問題に対処する方策として、水素をエネルギー媒体とする新しいクリーンエネルギーシステムが提案されている。中でも燃料電池は、水素が酸素と結合して水になる際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出すエネルギー変換技術であり、自動車のガソリンエンジンに替わる動力源、家庭用オンサイト発電、IT用の直流給電設備として、次世代の最も重要な技術の1つとして注目されている。
【0003】
しかしながら、水素燃料の最大の問題は、その貯蔵法と運搬法にある。
【0004】
即ち、従来、水素の貯蔵法としては、様々な方法が提案され、その一つとして、高圧ガスボンベに水素を気体として貯蔵する方法がある。しかし、このような高圧貯蔵は、単純ではあるが、厚肉の容器が必要であり、そのため容器の重量が重く、貯蔵・運搬効率が低いために、例えば軽量化が重視される自動車等への適用は困難である。一方、水素を液体として貯蔵する場合には、気体水素に比較して貯蔵・運搬効率は向上するが、液体水素の製造には高純度の水素が必要であること、また液化温度が−252.6℃という低温であり、このような超低温用の特殊な容器が必要であることなど、経済的に問題がある。水素貯蔵合金を用いることも提案されているが、合金自体の重量が重く、しかもMg系の軽量な水素貯蔵合金では水素を放出させる使用温度が300℃近い高温であるなどの問題がある。カーボンナノチューブなどの多孔性炭素素材などを用いることも提案されているが、水素貯蔵の再現性が低く、高圧条件での貯蔵となり、また、カーボンナノチューブの製造が容易ではないなど多くの問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決する、新規な水素の貯蔵・運搬方法として有用な、水素を比較的軽量に、しかも常温常圧に近い状態で安定に貯蔵することができ、また貯蔵した水素の取り出しも容易な水素貯蔵方法を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明(請求項1)の水素貯蔵方法は、有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が単分子系ホスト化合物であり、前記加圧条件が1.0×10−10MPa以上であって、前記単分子系ホスト化合物が、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、シクロファン類、アザシクロファン類、カリックスアレン類、シクロトリベラトリレン類、スフェランド類、及び環状オリゴペプチド類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明(請求項2)の水素貯蔵方法は、有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が多分子系ホスト化合物であり、前記加圧条件が1.0×10 −10 MPa以上であって、該多分子系ホスト化合物が、尿素類、チオ尿素類、デオキシコール酸類、ペルヒドロトリフェニレン類、トリ−o−チモチド類、ビアンスリル類、スピロビフルオレン類、シクロフォスファゼン類、モノアルコール類、ジオール類、アセチレンアルコール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、フェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキスフェノール類、ポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、ジフェニルメタノール類、カルボン酸アミド類、チオアミド類、ビキサンテン類、カルボン酸類、イミダゾール類、ヒドロキノン類、有機リン化合物及び有機ケイ素化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明(請求項5)の水素貯蔵方法は、有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が高分子系ホスト化合物であり、前記加圧条件が1.0×10 −10 MPa以上であって、該高分子系ホスト化合物が、セルロース類、デンプン類、キチン類、キトサン類、ポリビニルアルコール類、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類、及びα,α,α’,α’−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする。
本発明(請求項6)の水素貯蔵方法は、有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物がフェノール系化合物であり、前記加圧条件が1.0×10 −10 MPa以上であることを特徴とする。
【0007】
なお、本発明において、有機化合物とは、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどの炭素原子のみからなるものは包含せず、また、金属成分を含む有機金属化合物を包含するものであり、基本的には固体であるが、加圧状態で水素を包接可能であれば液体であってもよい。また、固体の場合、結晶状態であっても非晶質であってもよい。
【0008】
本発明者は、水素を貯蔵する方法について鋭意検討を行った結果、有機化合物に水素ガスを加圧状態で接触させることにより、水素を比較的軽量で常温常圧に近い条件で安定に保持し得る水素分子化合物として、容易に貯蔵することができることを見出した。
【0009】
本発明でいう分子化合物とは、単独で安定に存在することのできる化合物の2種類以上の化合物が水素結合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合した包接化合物である。このような水素分子化合物は、水素分子化合物を形成する有機化合物と水素との加圧下での接触反応により形成することができ、比較的軽量で常温常圧に近い状態で水素を貯蔵することができ、かつ、この水素分子化合物からは簡単な加熱等で水素を放出させることが可能である。
【0010】
本発明に係る水素分子化合物としては、有機化合物と水素分子との接触反応により水素分子を包接した水素包接化合物が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[水素貯蔵方法の説明]
以下に本発明の水素貯蔵方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明において、水素の貯蔵に用いる有機化合物は、炭素原子のみからなるものを除く有機化合物であって、水素ガスと加圧下で接触させることにより水素を貯蔵できるものである。この有機化合物は、金属成分を含まないものであっても、また、金属成分を含む有機金属化合物であっても良い。
【0013】
水素分子化合物のうち、水素分子を包接した水素包接化合物を形成する有機化合物としては、単分子系、多分子系、高分子系などが知られている。
【0014】
単分子系ホスト化合物としては、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、シクロファン類、アザシクロファン類、カリックスアレン類、シクロトリベラトリレン類、スフェランド類、環状オリゴペプチド類が挙げられる。また多分子系ホスト化合物としては、尿素類、チオ尿素類、デオキシコール酸類、ペルヒドロトリフェニレン類、トリ−o−チモチド類、ビアンスリル類、スピロビフルオレン類、シクロフォスファゼン類、モノアルコール類、ジオール類、アセチレンアルコール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、フェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキスフェノール類、ポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、ジフェニルメタノール類、カルボン酸アミド類、チオアミド類、ビキサンテン類、カルボン酸類、イミダゾール類、ヒドロキノン類が挙げられる。また、高分子系ホスト化合物としては、セルロース類、デンプン類、キチン類、キトサン類、ポリビニルアルコール類、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類、α,α,α’,α’−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類が挙げられる。
【0015】
また、その他に有機リン化合物、有機ケイ素化合物も挙げられる。
【0017】
これらのホスト化合物のうち、包接能力がゲスト化合物の分子の大きさに左右されにくい多分子系ホスト化合物が好適である。
【0018】
多分子系ホスト化合物としては、具体的には、尿素、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1,6,6−テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、4−メトキシフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、3,6,3’,6’−テトラメトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラアセトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラヒドロキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、没食子酸、没食子酸メチル、カテキン、ビス−β−ナフトール、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、ジフェン酸ビスジシクロヘキシルアミド、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド、コール酸、デオキシコール酸、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、テトラキス(p−ヨードフェニル)エチレン、9,9’−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタン、アセチレンジカルボン酸、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラフェニルイミダゾール、2−フェニルフェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(o−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(p−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン、などが挙げられる。ホスト化合物としては、上記したものの中でも1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレンのようなフェノール系ホスト化合物、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、9,9’−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラフェニルエタンのような芳香族ホスト化合物、また、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミドのようなアミド系、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオールのようなアルコール系、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾールのようなイミダゾール系、トリ−m−トリルフォスフィンのような有機リン化合物が包接能力の面で有利である。
【0019】
これらのホスト化合物は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0020】
有機化合物は、水素ガスとの接触効率等の面から、特に、粉末状の固体であることが好ましいが、何らこれに限定されず粒状、塊状であっても良く、さらに結晶状、非晶状(アモルファス状)のいずれでもよい。また、液体、気体状態であっても良い。有機化合物が粉末状の固体である場合、その粒径には特に制限はないが、通常の場合、1mm以下程度であることが好ましい。
【0021】
また、これらの有機化合物は、多孔質物質に担持させた有機化合物含有複合素材として使用することもできる。この場合、有機化合物を担持する多孔質物質としては、シリカ類、ゼオライト類、活性炭類の他に、粘土鉱物類、モンモリロナイト類などの層間化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような有機化合物含有複合素材は、前述の有機化合物を、これを溶解することのできる溶媒に溶解させ、その溶液を多孔質物質中に含浸させ、溶媒を乾燥、減圧乾燥するなどの方法で製造することができる。多孔質物質に対する有機化合物の担持量としては特に制限はないが、通常の場合、多孔質物質に対して10〜80重量%程度である。
【0022】
前述の1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)のようなホスト化合物は、種々のゲスト分子を取り込み、結晶性の包接化合物を形成することが知られている。また、ゲスト化合物(固体,液体,気体のいずれの状態であっても良い。)と直接接触反応させることにより包接化合物が形成されることも知られている。本発明では、水素ガスという気体分子を、ホスト化合物としての有機化合物と加圧状態で接触反応させて包接化合物中に水素分子を取り込ませることにより、水素を安定に貯蔵することができる。
【0023】
水素ガスと固体の有機化合物とを接触させる加圧条件としては、圧力が高いほど、水素の貯蔵量及び貯蔵速度が大きくなる傾向にあり好ましいが、反面、加圧設備が高くつくばかりか、高圧ガス保存法の条件を満足する必要がでてくる。通常の場合加圧条件としては、1.0×10−10MPa以上、好ましくは、1.0×10−10〜200MPaの加圧条件、特に0.1〜70MPa、実質的にはとりわけ0.1〜0.9MPa程度常圧よりも高い加圧条件であることが好ましい。
【0024】
また、接触時間も長いほど水素の貯蔵量を多くすることができるが、作業効率等の面から0.01〜24時間程度とするのが好ましい。
【0025】
なお、有機化合物と接触させる水素ガスは、高純度水素ガスが好ましいが、後述のように、水素の選択的包接能を有したホスト化合物を用いる場合には、水素ガスと他のガスとの混合ガスであっても良い。
【0026】
このようにして得られる水素包接化合物は、用いたホスト化合物の種類、水素との接触条件等によっても異なるが、通常ホスト化合物1モルに対して水素分子0.1〜20モルを包接した水素包接化合物である。
【0027】
このような水素包接化合物は、常温常圧において、長期に亘り水素を安定に包接する。しかも、この水素包接化合物は、水素貯蔵合金と比べ、軽量で取り扱い性にも優れ、しかも固体状であるため、この水素包接化合物は粒径1mm以下程度の粉末としてガラス、金属、プラスチック等の容器に入れて容易に貯蔵・運搬することができる。
【0028】
本発明方法により、水素を貯蔵した状態から水素を取り出す方法としては、水素加圧状態で貯蔵されている場合には、その加圧状態を減圧することで取り出すことができ、また、加熱することでも取り出すことができる。さらに、加熱と減圧を同時に行うことで、貯蔵された水素を取り出すこともできる。
【0029】
特に、前述の水素包接化合物から水素を放出させるには、ホスト化合物の種類にもよるが、常圧又は常圧から1.0×10−2〜1.0×10−5MPa程度の減圧下、30〜200℃、特に40〜100℃程度に加熱すれば良く、これにより容易に水素包接化合物中から水素を放出させて各種用途に用いることができる。
【0030】
なお、水素包接化合物から水素を放出した後のホスト化合物は、水素の選択的包接能を有し、有効に再利用可能である。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明の水素貯蔵方法をより具体的に説明する。なお、以下の実施例1〜19において、水素貯蔵性能の評価試験は次の方法により行った。
【0032】
<水素貯蔵性能の評価試験方法>
1) 評価方法
JIS H 7201“水素吸蔵合金のPCT特性の測定方法”に準じ、(株)レスカ製の水素吸蔵放出評価装置で測定を行った。
2) サンプル
測定用試料管(評価容量約25ml)にサンプル(500μm以下)を0.1〜1g充填し、精秤してサンプルの重量を測定した。この試料管にヘリウムガスを導入して12時間以上の気密テストを行い、問題がないことを確認した。その後、試料管内のサンプル以外の体積を測定した。
3) 前処理
サンプルを50℃に加熱し、ロータリーポンプで3時間真空減圧を行った。
4) 評価条件
サンプルの入った試料管は試験中、25℃の恒温バス内に保持した。これに水素ガスを圧力を変化させながら導入し、平衡圧力時の貯蔵量を算出した。なお、各圧力時での平衡状態の保持時間は1時間又は8時間として測定を行った。
5) 水素貯蔵確認方法
上記の評価で水素圧力を常圧に戻して採取したサンプルをTG-DTA測定を行い、気体成分が放出される温度を確認した。また、採取したサンプルをテドラーバックに入れ、これを気体成分が放出される温度に調節した恒温槽に30分放置し、気化した成分を水素分析用の検知管で評価して、気化した成分が水素であることを確認した。
【0033】
実施例1
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BHC」と略記する。)の固体粉末0.5602gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表1及び図1に示した。なお、E−02は10−2を示し、E−03は10−3を示し、E−04は10−4を示し、E−5は10−5を示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1及び図1の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また5MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のBHC中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0036】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0037】
実施例2
実施例1で水素を放出させたBHCの固体粉末0.2361gをサンプルとし、各圧力での保持時間を8時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表2及び図2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2及び図2の結果より、保持時間を8時間にすることで水素貯蔵量は保持時間1時間の場合に比べて増加することが分かった。
【0040】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。これにより、本発明の水素貯蔵方法では繰り返し水素の包接・放出が可能であることがわかる。
【0041】
実施例3
9,9’−ビアンスリル(以下「BA」と略記する。)の固体粉末0.5897gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表3及び図3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
表3及び図3の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のBA中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0044】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0045】
実施例4
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン(以下「THPEY」と略記する。)の固体粉末0.523gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表4及び図4に示した。
【0046】
【表4】
【0047】
表4及び図4の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTHPEY中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0048】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0049】
実施例5
テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン(以下「TMPE」と略記する。)の固体粉末0.510gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表5及び図5に示した。
【0050】
【表5】
【0051】
表5及び図5の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTMPE中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0052】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0053】
実施例6
1,1,2,2−テトラフェニルエタン(以下「TPE」と略記する。)の固体粉末0.615gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表6及び図6に示した。
【0054】
【表6】
【0055】
表6及び図6の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTPE中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0056】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0057】
実施例7
ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)(以下「DBDCA」と略記する。)の固体粉末0.547gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表7及び図7に示した。
【0058】
【表7】
【0059】
表7及び図7の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のDBDCA中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0060】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0061】
実施例8
フマル酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)(以下「FBDCA」と略記する。)の固体粉末0.6442gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表8及び図8に示した。
【0062】
【表8】
【0063】
表8及び図8の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のFBDCA中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0064】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0065】
実施例9
α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール(以下「TPBDM」と略記する。)の固体粉末0.6456gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表9及び図9に示した。
【0066】
【表9】
【0067】
表9及び図9の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTPBDM中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0068】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0069】
実施例10
1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール(以下「TPHDD」と略記する。)の固体粉末0.631gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表10及び図10に示した。
【0070】
【表10】
【0071】
表10及び図10の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTPHDD中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0072】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0073】
実施例11
2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(以下「CPPIZ」と略記する。)の固体粉末0.2256gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表11及び図11に示した。
【0074】
【表11】
【0075】
表11及び図11の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のCPPIZ中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0076】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0077】
実施例12
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下「THPEA」と略記する。)の固体粉末0.5188gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表12及び図12に示した。
【0078】
【表12】
【0079】
表12及び図12の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のTHPEA中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0080】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0081】
実施例13
ヒドロキノン(以下「HQ」と略記する。)の固体粉末0.7029gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表13及び図13に示した。
【0082】
【表13】
【0083】
表13及び図13の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。
【0084】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0085】
実施例14
尿素の固体粉末0.3482gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表14及び図14に示した。
【0086】
【表14】
【0087】
表14及び図14の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体の尿素中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0088】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0089】
実施例15
アセチレンジカルボン酸(以下「AC」と略記する。)の固体粉末0.888gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表15及び図15に示した。
【0090】
【表15】
【0091】
表15及び図15の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のAC中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0092】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0093】
実施例16
β−シクロデキストリン(以下「CD」と略記する。)の固体粉末0.8967gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表16及び図16に示した。
【0094】
【表16】
【0095】
表16及び図16の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。
【0096】
実施例17
没食子酸メチル(以下「GAM」と略記する。)の固体粉末0.7383gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表17及び図17に示した。
【0097】
【表17】
【0098】
表17及び図17の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のGAM中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0099】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0100】
実施例18
デオキシコール酸(以下「DCA」と略記する。)の固体粉末0.7411gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表18及び図18に示した。
【0101】
【表18】
【0102】
表18及び図18の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のDCA中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0103】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0104】
実施例19
セルロースの固体粉末0.657gをサンプルとし、各圧力での保持時間を1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表19及び図19に示した。
【0105】
【表19】
【0106】
表19及び図19の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量は減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことが分かった。これは固体のセルロース中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0107】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧及び減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0108】
実施例20
キトサンの固体粉末0.6725gをサンプルとし、各圧力での保持時間1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表20及び図20に示す。
【0109】
【表20】
【0110】
表20及び図20の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。また8MPa付近から減圧しても、貯蔵量はあまり減少せず、単なる物理的吸着による水素貯蔵ではないことがわかった。これは、固体のキトサン中に水素分子が取り込まれ、水素包接化合物を形成したためと考えられる。
【0111】
なお、貯蔵された水素は、50℃での常圧または減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0112】
実施例21
トリ−m−トリルホスフィン(以下「TTP」と略記する。)の固体粉末0.5922gをサンプルとし、各圧力での保持時間1時間として上記試験方法で評価を行った。平衡圧力と水素貯蔵量の関係を表21及び図22に示す。
【0113】
【表21】
【0114】
表21及び図21の結果より、水素圧力を増加させると共に水素貯蔵量は増加していくことが確認された。なお貯蔵された水素は、50℃での常圧または減圧条件(0.005MPa)で放出させることができることを確認した。
【0115】
【発明の効果】
以上の結果からも明らかなように、本発明の水素貯蔵方法によれば、水素を常温、常圧条件で貯蔵することができるため、耐圧容器、低温容器等が不要であり、比較的小型、軽量な状態で水素を貯蔵・運搬することができ、しかも、貯蔵した水素を容易に放出させて各種用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1におけるBHCの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図2】 実施例2におけるBHCの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図3】 実施例3におけるBAの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図4】 実施例4におけるTHPEYの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図5】 実施例5におけるTMPEの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図6】 実施例6におけるTPEの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図7】 実施例7におけるDBDCAの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図8】 実施例8におけるFBDCAの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図9】 実施例9におけるTPBDMの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図10】 実施例10におけるTPHDDの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図11】 実施例11におけるCPPIZの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図12】 実施例12におけるTHPEAの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図13】 実施例13におけるHQの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図14】 実施例14における尿素の水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図15】 実施例15におけるACの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図16】 実施例16におけるCDの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図17】 実施例17におけるGAMの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図18】 実施例18におけるDCAの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図19】 実施例19におけるセルロースの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図20】 実施例20におけるキトサンの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
【図21】 実施例21におけるTTPの水素貯蔵性能評価結果を示すグラフである。
Claims (7)
- 有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が単分子系ホスト化合物であり、
前記加圧条件が1.0×10−10MPa以上であって、
前記単分子系ホスト化合物が、シクロデキストリン類、クラウンエーテル類、クリプタンド類、シクロファン類、アザシクロファン類、カリックスアレン類、シクロトリベラトリレン類、スフェランド類、及び環状オリゴペプチド類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。 - 有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が多分子系ホスト化合物であり、
前記加圧条件が1.0×10−10MPa以上であって、
該多分子系ホスト化合物が、尿素類、チオ尿素類、デオキシコール酸類、ペルヒドロトリフェニレン類、トリ−o−チモチド類、ビアンスリル類、スピロビフルオレン類、シクロフォスファゼン類、モノアルコール類、ジオール類、アセチレンアルコール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、フェノール類、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキスフェノール類、ポリフェノール類、ナフトール類、ビスナフトール類、ジフェニルメタノール類、カルボン酸アミド類、チオアミド類、ビキサンテン類、カルボン酸類、イミダゾール類、ヒドロキノン類、有機リン化合物及び有機ケイ素化合物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。 - 請求項2において、多分子系ホスト化合物が、尿素、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、1,1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1,1,4,4−テトラフェニル−2−ブチン−1,4−ジオール、1,1,6,6−テトラキス(2,4−ジメチルフェニル)−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール、9,10−ジフェニル−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、9,10−ビス(4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1,1,2,2−テトラフェニルエタン−1,2−ジオール、4−メトキシフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−スルホニルビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−エチリデンビスフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、3,6,3’,6’−テトラメトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラアセトキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、3,6,3’,6’−テトラヒドロキシ−9,9’−ビ−9H−キサンテン、没食子酸、没食子酸メチル、カテキン、ビス−β−ナフトール、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、ジフェン酸ビスジシクロヘキシルアミド、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド、コール酸、デオキシコール酸、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、テトラキス(p−ヨードフェニル)エチレン、9,9’−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラキス(4−カルボキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−カルボキシフェニル)エタン、アセチレンジカルボン酸、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラフェニルイミダゾール、2−フェニルフェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(o−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、2−(p−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾール、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ヒドロキノン、及びトリ−m−トリルフォスフィンよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。
- 請求項3において、多分子系ホスト化合物が、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、テトラキス(p−メトキシフェニル)エチレン、9,9’−ビアンスリル、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、ジフェン酸ビス(ジシクロヘキシルアミド)、フマル酸ビスジシクロヘキシルアミド、α,α,α’,α’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジメタノール、1,1,6,6−テトラフェニルヘキサ−2,4−ジイン−1,6−ジオール、及び2−(m−シアノフェニル)フェナントロ[9,10−d]イミダゾールよりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。
- 有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物が高分子系ホスト化合物であり、
前記加圧条件が1.0×10−10MPa以上であって、
該高分子系ホスト化合物が、セルロース類、デンプン類、キチン類、キトサン類、ポリビニルアルコール類、1,1,2,2−テトラキスフェニルエタンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類、及びα,α,α’,α’−テトラキスフェニルキシレンをコアとするポリエチレングリコールアーム型ポリマー類よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。 - 有機化合物に、水素ガスを加圧状態で接触させる水素貯蔵方法であって、該有機化合物が水素ガスとの接触で水素分子化合物を形成する化合物であり、該水素分子化合物は、前記有機化合物をホスト化合物とする水素包接化合物であり、該有機化合物がフェノール系化合物であり、
前記加圧条件が1.0×10−10MPa以上であることを特徴とする水素貯蔵方法。 - 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記加圧条件が1.0×10−10〜200MPaであることを特徴とする水素貯蔵方法。
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