JP2003212800A - ナフタレンの水素化によるデカリンの製造方法 - Google Patents

ナフタレンの水素化によるデカリンの製造方法

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JP2003212800A
JP2003212800A JP2002014766A JP2002014766A JP2003212800A JP 2003212800 A JP2003212800 A JP 2003212800A JP 2002014766 A JP2002014766 A JP 2002014766A JP 2002014766 A JP2002014766 A JP 2002014766A JP 2003212800 A JP2003212800 A JP 2003212800A
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decalin
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hydrogen
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Fumio Kumada
文雄 熊田
Yoshiaki Hirasawa
佳朗 平澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ナフタレンあるいはナフタレンを主とする芳香
族炭化水素化合物との混合物を水素化してデカリンある
いはデカリンを主とするナフテン系炭化水素化合物との
混合物を製造する効率的な方法を提供する。 【解決手段】ナフタレンあるいはナフタレンを主とする
芳香族炭化水素化合物との混合物を水素化しデカリンあ
るいはデカリンを主とするナフテン系炭化水素化合物を
製造する方法において、硫黄分50mass ppm以
下のナフタレンあるいはナフタレンを主とする芳香族炭
化水素化合物との混合物を用いることにより、テトラリ
ンを水素化しデカリンを製造する。ナフタレンと他の芳
香族炭化水素化合物との混合物を使用した場合は、デカ
リンと他のナフテン系炭化水素との混合物が得られる。 【効果】硫黄分が50mass ppmより高いナフタ
レンを水素化する場合よりも低圧の温和な条件下、短時
間の反応でデカリンを製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ナフタレンあるい
はナフタレンを含有する芳香族炭化水素混合物の水素化
によるデカリンあるいはデカリンを含有するナフテン系
炭化水素混合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用燃料電池の開発が急速に進む
中、燃料電池のエネルギー源である水素を自動車用に供
給する方法が大きな課題となっている。その中でデカリ
ンは、水素貯蔵媒体として注目されている。デカリンは
ナフタレンの水素化によって得られる。デカリンは燃料
電池中で水素供与体として容易に水素を発生してナフタ
レンとなる。ナフタレンは、次に再水素化工程によりデ
カリンにする。
【0003】ナフタレンの水素化反応は、古くから触媒
を用いた多くの研究がなされており、既に1927年
(J.Soc.Chem.Ind.,46,454)、1931年(Bull.Chem.S
oc.Japan,6,241)、1934年(Rec.trav.chim.,53,82
1)にニッケル触媒を用いて水素化が試みられている。
その後も水素化反応に有効な白金、ロジウム、パラジウ
ム等の貴金属系触媒や、コバルト・モリブデン、ニッケ
ル・モリブデン、ニッケル・タングステン等の硫化物触
媒が検討されている。さらにこれらの活性金属を担持す
る担体を変えることも試みられており、アルミナ、シリ
カ、シリカ・アルミナ、ゼオライトをはじめとする多く
の担体が検討されている。
【0004】「石油化学とその工業」(昭晃堂、196
5年、68−69ページ)に記述されているように、一
般に芳香族炭化水素の核水素化反応速度は芳香族環の数
が増すほど大きくなり、多環芳香族の最初の環が水素化
される速度は、ベンゼンの2−5倍である。そして、最
後の芳香族環の水素化速度は著しく遅くなる。例えばニ
ッケル触媒を用いた場合、ベンゼンの水素化反応速度1
に対し、ナフタレンからテトラリンの生成は3.14、
テトラリンからデカリンの生成は0.24と報告されて
いる。すなわち、ナフタレンの部分水素化反応によるテ
トラリン生成は速く、テトラリンの水素化によるデカリ
ン生成は著しく遅い。
【0005】水素化反応条件は、ナフタレンからデカリ
ンまでの完全水素化反応では圧力は5〜15MPaと高
く、触媒量も多く要し、反応時間もナフタレンからテト
ラリンまでの水素化の場合と比較して2〜10倍ほど長
いという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ナフタレンの完全水素
化反応は、非常に遅いため、高圧を必要とし、反応時間
も長時間であり、工業的に利用するには技術的・経済的
にも困難であった。 本発明の課題は、ナフタレンの水
素化によるデカリンの製造を比較的低圧の下で短時間で
行う方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、この課題を解
決するため鋭意研究した結果、ナフタレン中の硫黄分が
50mass ppm以下の原料ナフタレンを用いるこ
とにより、本課題を解決することができることを見出
し、完成されたものである。
【0008】すなわち、本発明の第1は、ナフタレン中
の硫黄分が、50mass ppm以下であることを特
徴とするデカリンの製造方法に関するものである。
【0009】本発明の第2は、本発明の第1において、
ナフタレンの水素化反応を、反応温度150−250
℃、反応圧力1〜5MPaの低温かつ低圧の温和な条件
下で行うことを特徴とするデカリンの製造方法に関する
ものである。
【0010】本発明の第3は、本発明の第1または第2
のいずれかにおいて、供給原料がナフタレンを主成分と
して含有する硫黄分が50mass ppm以下である
芳香族炭化水素混合物であり、供給原料中のナフタレン
濃度が、20−98mass%であることを特徴とする
デカリンの製造方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明において原料として使用す
るナフタレンは、ナフタレン単独あるいはナフタレンと
他の芳香族炭化水素の混合物が好ましく使用できる。ナ
フタレンを単独で使用する場合、その純度は通常90〜
98%であり、製造方法によって異なるが、他の成分と
して主にモノメチルナフタレンやジメチルナフタレンが
含まれる。
【0012】実用的には、1−メチルナフタレンは、そ
の凝固点が−31℃と常温で液体であり、ナフタレンに
混合することにより、ナフタレンの凝固点80℃を低温
化することができるので、1−メチルナフタレンの混合
は特に好ましい。また、常温で固体であるナフタレンを
溶解する目的で、ベンゼン、トルエン、キシレン等の1
環芳香族化合物を混合することもできる。混合物の場合
のナフタレンの濃度は特に制限がないが、下限は、燃料
電池用水素貯蔵媒体として特に好ましいナフタレン濃度
が20%以上、上限も特に制限はないが、濃縮するため
には精密蒸留や圧力晶析、冷却晶析等のナフタレン分離
工程が必要となるため90%以下が好ましい。
【0013】さらに、水素化反応に悪影響を与えない範
囲で芳香族炭化水素以外の成分、例えばナフテン系炭化
水素等を含むものを適宜使用することができる。水素化
反応の発熱を抑制する目的でシクロヘキサン、メチルシ
クロヘキサン等のナフテン系溶剤を適宜使用することも
できる。
【0014】本発明に使用できるナフタレンは、工業的
には石炭コークス炉から出る乾留油、石油系の接触改質
油及び流動接触分解油、さらにはエチレン製造副産物の
ナフサ分解油の中に含まれている。その中にはベンゼ
ン、アルキルベンゼン、ナフタレン、アルキルナフタレ
ン、フェナントレン、アントラセン及び4環以上の多環
芳香族が含まれており、ナフタレンもしくはナフタレン
と他の芳香族化合物との混合物を分離精製して得ること
ができる。
【0015】石炭乾留油、石油系の接触改質油、流動接
触分解油、エチレン製造副産物のナフサ分解油から分離
されたナフタレンと他の芳香族炭化水素の混合物、ない
しナフタレンを各種芳香族炭化水素で希釈したもので、
ナフタレン濃度が20−50mass%と低く、常温で
液体であるものを本発明においてナフタレン油と呼ぶ。
【0016】ナフタレンもしくはナフタレンと他の芳香
族化合物との混合物中には、通常硫黄分としてベンゾチ
オフェン等の硫黄含有化合物、窒素分としてピリジン等
の窒素を含む芳香族化合物、酸素分としてフェノール類
等の酸素を含む芳香族化合物等が不純物として含まれて
いる。例えば乾留油中には、硫黄分、窒素分、酸素分が
それぞれ0.5−5%含まれており、これらは水素化触
媒の触媒毒になる可能性がある。特に硫黄分は、水素化
触媒として慣用される貴金属触媒や金属触媒に対して毒
作用が強いと言われる。これら不純物は、当該業者にお
いて水素化脱硫プロセスと呼ばれる方法を用いて除去す
ることができる。例えば、水素化脱硫は、市販の硫化ニ
ッケル・モリブデン、硫化コバルト・モリブデン等の水
素化脱硫触媒を用い、水素雰囲気下、温度250〜35
0℃、圧力1〜5MPa程度の条件で実施される。
【0017】乾留油の水素化脱硫後の生成油は、通常の
条件下では脱硫率は90−95%程度であり、2%硫黄
分の原料油を用いた場合であれば、0.2−0.1%の
硫黄分が残留する。同一条件の場合、脱窒素率は、脱硫
率より低いといわれており、50−70%程度である。
脱酸素率も、原料油の種類にもよるが、やはり若干低
く、通常70−90%程度である。どのような場合でも
脱硫、脱窒素、脱酸素反応は必ず併発する。さらには、
芳香族の水素化も併発する。ただし、水素化反応は通常
は部分水素化であり、完全水素化反応は容易に進行しな
い。例えばナフタレンの水素化精製工程では、テトラリ
ンが1−40%程度生成するが、デカリンはほとんど生
成しない。
【0018】石油系の接触改質油から分離されるナフタ
レンの場合には、通常硫黄分は10mass ppm以
下であり、水素化精製処理する必要はない。流動接触分
解油から分離されるナフタレンの場合には、0.01−
1%程度の硫黄分が含まれている。エチレン製造副産物
のナフサ分解油から分離されるナフタレンの場合には、
10−500mass ppm程度の硫黄分が含まれて
いる。50massppmを超えて含まれている場合は
水素化精製して50mass ppm以下にする必要が
ある。
【0019】硫黄分が50mass ppmを超える原
料油を用いた場合は、ナフタレンの水素化反応は部分水
素化物であるテトラリンまでは短時間に進行するが、テ
トラリンのデカリンへの完全水素化反応は非常に時間が
かかる。この理由は明らかではないが、残留する硫黄
分、窒素分、酸素分等による水素化触媒の被毒の可能性
が推定される。
【0020】1回目の水素化精製油を用い、さらに2回
目ないし3回目の水素化精製を繰り返すことにより、硫
黄分は50mass ppm以下まで低下させることが
できる。本工程により窒素分、酸素分等も、応分に低下
する。硫黄分、窒素分、酸素分等は極力少ない方が好ま
しいが、硫黄分50mass ppm以下まで低下した
原料油は、次の水素化工程に用いると、1−5MPaの温
和な圧力条件下で完全水素化まで進行することを新たに
見出し本発明を完成するに至ったものである。さらに好
ましくは硫黄分10mass ppm以下まで低下した
原料油である。
【0021】次に、硫黄分50mass ppmを超え
るナフタレンを用いて水素化反応を行う。水素化反応
は、ナフタレンもしくはナフタレンと他の芳香族炭化水
素の混合物を完全水素化することを目的とする。水素化
反応では、ナフタレンからデカリンへの転化率はできる
だけ高いほうが好ましく、70%以上で100%を達成
することが最も望ましい。熱力学的平衡上は、圧力3M
Pa以上、温度200℃以下であれば完全水素化が達成
される。この場合他の芳香族炭化水素の完全水素化も進
んでおり、例えばメチルナフタレンは、メチルデカリ
ン、他のアルキルナフタレンもアルキルデカリンへと完
全水素化されている。他の1環の芳香族類も本条件下で
完全水素化される。デカリンへの転化率が70%未満で
は水素化効率が悪い。水素化反応の目的を達成するよう
に、水素化反応に使用する触媒および反応条件を設定す
る。
【0022】本発明の水素化反応に使用する水素化触媒
は、市販または公知の各種水素化触媒を使用することが
できる。硫黄分50mass ppm以下の原料油を用
いる場合、特別な高活性触媒である必要はない。例えば
ニッケル系、貴金属系、金属硫化物系の水素化触媒を使
用することができる。ニッケル系触媒では、日揮化学
(株)製 N113、N103等を使用することがで
き、貴金属系触媒ではPt、Pd、Rh、Ru、Ir系
の触媒が使用でき、エヌ・イー・ケムキャット(株)製
Pt、Pd、Rh、Ru触媒等を使用することがで
き、金属硫化物系触媒では、金属硫化物系触媒の中でも
水素化能力が高いNiW系触媒等を使用することができ
る。一般にはニッケル系触媒や金属硫化物系触媒の方
が、貴金属系触媒より活性は低いが、価格が安いためそ
の分多く使用することができ、要求性能と価格により、
使用触媒は適宜選定される。触媒の担体は特に限定され
ず、アルミナ、シリカ、活性炭、ゼオライト、珪藻土等
いかなるものでも使用できるが、中性の担体が好まし
い。
【0023】本発明における水素化反応は、流通式、バ
ッチ式のいずれでも実施することができる。いずれの方
法でも、熱力学的平衡の制約から、圧力と温度の関係が
もっとも重要な因子であり、圧力が高いほどかつ温度が
低いほどデカリンの生成量は増加する。圧力について
は、高圧ほど加圧費用が高くなるので、できる限り低圧
に設定することが好ましい。
【0024】本発明における水素化反応は、好ましくは
0.5〜10MPa、さらに好ましくは1〜5MPaの
圧力下で実施し、デカリンを主成分とする完全水素化物
を生成させる。1MPa以下ではデカリンの生成量が少
なくなり、5MPa以上では加圧のための設備費や動力
費が高くなる。
【0025】水素化反応の他の条件として、反応温度、
反応時間、触媒量等がある。反応温度は通常100〜2
50℃の範囲が好ましい。温度が低いほどデカリンの生
成は増加するが、反応速度が低下するので100〜25
0℃の範囲において高活性触媒はより低温で、低活性触
媒はより高温で反応することができる。触媒量及び反応
時間は、触媒活性に依存し、転化率が好ましい範囲にな
るように決められるが、例えば、バッチ式では、原料油
100重量部に対し、触媒量が0.1〜10重量部で、
反応時間0.5〜10時間の範囲が適当である。一般に
は触媒量が少ないほど反応が遅くなるので、反応時間は
長く、運転費用は増加する。ただし触媒が少ないほど触
媒費用が安くなるので、目的に応じて適当な範囲に選択
することができる。
【0026】該未反応のナフタレンまたはナフタレンと
他の芳香族炭化水素の混合物の部分水素化物を含む未反
応成分の完全水素化物からの分離、除去については、完
全水素化物のデカリンの沸点が、trans−デカリン
185℃、cis−デカリン195℃、部分水素化反応
生成物の主成分であるテトラリンの沸点が207℃、ナ
フタレンの沸点が218℃なので、通常は30〜100
段程度の蒸留塔により容易に両者を分離することができ
る。分離された未反応のナフタレンまたはナフタレンと
他の芳香族炭化水素の混合物の部分水素化物を含む未反
応成分は、水素化原料に再循環される。
【0027】また、凝固点がナフタレン80℃に対し、
テトラリン−36℃、trans−デカリン−30℃、
cis−デカリン−43℃、と大きく違うので、冷却晶
析や圧力晶析によりナフタレンが先に結晶化するので、
ナフタレン分離に晶析分離を用いることもできる。
【0028】水素化反応により得られる生成物の主成分
は、完全水素化物であるデカリンまたはデカリンと他の
ナフテン系炭化水素の混合物である。他のナフテン系炭
化水素としては、メチルナフタレン、ジメチルナフタレ
ンが水素化されたメチルデカリン、ジメチルデカリン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、C9アルキルベンゼ
ン、C10アルキルベンゼンが水素化されたシクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサン、C8アルキルシクロヘキ
サン、C9アルキルシクロヘキサン、C10アルキルシ
クロヘキサンが主要成分である。この生成物はそのま
ま、またはデカリンを単離して、もしくはデカリンと他
のナフテン系炭化水素を分離取得して、燃料電池その他
の各種用途に使用できる。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ナフタレンの完
全水素化によりデカリンを製造するに際して、硫黄分5
0mass ppm以下のナフタレンを使用することに
より、低圧の温和な条件のもとで、短時間で進行するこ
とができるので効率的にデカリンを製造することができ
る。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例によって具体的に
説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものでは
ない。 (実施例1)水素化精製反応として、5,000mlの
圧力容器の中に、硫黄分3.5%のナフタレン3,00
0ml、硫化コバルトモリブデン触媒200gを充填
し、水素圧力5MPa、温度300℃の反応条件下、5
時間保持した。途中水素の消費により圧力が低下するの
で水素を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油
を取出し、硫黄分を分析すると0.25%であった。次
に、5,000mlの圧力容器の中に、一回目の生成油
2,800ml、新規の硫化コバルトモリブデン触媒2
00gを充填し、水素圧力5MPa、温度300℃の反
応条件下、5時間保持した。途中水素の消費により圧力
が低下するので水素を補充し、圧力を一定に保った。冷
却後、生成油を取出し、硫黄分を分析すると120ma
ss ppmであった。さらに5,000mlの圧力容
器の中に、二回目の生成油2,600ml、新規の硫化
コバルトモリブデン触媒200gを充填し、水素圧力5
MPa、温度300℃の反応条件下、5時間保持した。
途中水素の消費により圧力が低下するので水素を補充
し、圧力を一定に保った。冷却後、水素化精製油を取出
し、硫黄分を分析すると3mass ppmであった。
これを水素化精製油Aとする。組成をガスクロ分析する
と、テトラリン12mass%、ナフタレン88mas
s%からなり、わずかに水素化反応が進行していた。水
素化反応として、500mlの圧力容器の中に、水素化
精製油A200ml、ニッケル系触媒(日揮化学N11
3触媒)3gを充填し、水素圧力3MPa、温度200
℃の反応条件下、5時間保持した。途中水素の消費によ
り圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一定に保っ
た。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分
析した。生成油は、デカリン98mass%、テトラリ
ン2mass%からなり、他の副生成物は認められなか
った。ナフタレンからデカリンへの転化率は98%であ
った。
【0031】(実施例2)水素化反応として、500m
lの圧力容器の中に、水素化精製油A200ml、5%
Pt担持活性炭触媒2gを充填し、水素圧力2MPa、温
度200℃の反応条件下、5時間保持した。途中水素の
消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一
定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロ
により分析した。生成油は、デカリン93mass%、
テトラリン7mass%からなり、他の副生成物は認め
られなかった。ナフタレンからデカリンへの転化率は、
93%であった。
【0032】(実施例3)水素化反応として、500m
lの圧力容器の中に、水素化精製油A200ml、5%
Pd担持活性炭触媒1gを充填し、水素圧力1.5MP
a、温度150℃の反応条件下、5時間保持した。途中
水素の消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧
力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガ
スクロにより分析した。生成油は、デカリン97mas
s%、テトラリン3mass%からなり、他の副生成物
は認められなかった。ナフタレンからデカリンへの転化
率は、97%であった。
【0033】(実施例4)水素化反応として、500m
lの圧力容器の中に、水素化精製油A200ml、ニッ
ケル系触媒(日揮化学N113触媒)1gを充填し、水
素圧力4MPa、温度150℃の反応条件下、8時間保
持した。途中水素の消費により圧力が低下するので水素
を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出
し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、デカリ
ン99.9mass%、テトラリン0.1mass%か
らなり、他の副生成物は認められなかった。ナフタレン
からデカリンへの転化率は、99.9%であった。
【0034】(実施例5)水素化精製反応として、5,
000mlの圧力容器の中に、乾留油から分離した硫黄
分4.2%のナフタレン油3,000ml、硫化コバル
トモリブデン触媒200gを充填し、水素圧力5MP
a、温度300℃の反応条件下、5時間保持した。途中
水素の消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧
力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、硫黄分を
分析すると0.38%であった。次に、5,000ml
の圧力容器の中に、一回目の生成油2,800ml、新
規の硫化コバルトモリブデン触媒200gを充填し、水
素圧力5MPa、温度300℃の反応条件下、5時間保
持した。途中水素の消費により圧力が低下するので水素
を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出
し、硫黄分を分析すると260mass ppmであっ
た。さらに5,000mlの圧力容器の中に、二回目の
生成油2,600ml、新規の硫化コバルトモリブデン
触媒200gを充填し、水素圧力5MPa、温度300
℃の反応条件下、5時間保持した。途中水素の消費によ
り圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一定に保っ
た。冷却後、水素化精製油を取出し、硫黄分を分析する
と8mass ppmであった。これを水素化精製油B
とする。組成をガスクロ分析すると、テトラリン7ma
ss%、メチルテトラリン4mass%、ジメチルテト
ラリン1mass%、ナフタレン49mass%、メチ
ルナフタレン23mass%、ジメチルナフタレン9m
ass%、その他の芳香族7mass%からなり、わず
かに水素化反応が進行していた。水素化反応として、5
00mlの圧力容器の中に、水素化精製油B200m
l、ニッケル系触媒(日揮化学N113触媒)5gを充
填し、水素圧力3.5MPa、温度200℃の反応条件
下、6時間保持した。途中水素の消費により圧力が低下
するので水素を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、
生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成
油は、テトラリン0mass%、メチルテトラリン0.
3mass%、ジメチルテトラリン0.6mass%、
デカリン56mass%、メチルデカリン26.7ma
ss%、ジメチルデカリン9.4mass%、その他の
ナフテン化合物7mass%からなり、ナフタレン類は
含まれていなかった。
【0035】(実施例6)原料油として石油系の接触改
質油から分離された硫黄分0.6mass ppmのナ
フタレン油を用いた。水素化反応として、500mlの
圧力容器の中に、ナフタレン油200ml、ニッケル系
触媒(日揮化学N113触媒)3gを充填し、水素圧力
2.5MPa、温度200℃の反応条件下、6時間保持
した。途中水素の消費により圧力が低下するので水素を
補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出
し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、テトラ
リン0.1mass%、メチルテトラリン2.5mas
s%、ジメチルテトラリン4.1mass%、デカリン
41.8mass%、メチルデカリン28.4mass
%、ジメチルデカリン11.3mass%、その他のナ
フテン化合物11.8mass%からなり、ナフタレン
類は含まれていなかった。
【0036】(比較例1)500mlの圧力容器の中
に、実施例1の二回目の生成油200ml、ニッケル系
触媒(日揮化学N113触媒)6gを充填し、水素圧力
8MPa、温度200℃の反応条件下、20時間保持し
た。途中水素の消費により圧力が低下するので水素を補
充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、
組成をガスクロにより分析した。生成油は、テトラリン
91mass%、ナフタレン0.5mass%、デカリ
ン8.5mass%からなり、デカリンの生成量はわず
かであった。
【0037】(比較例2)500mlの圧力容器の中
に、実施例1の二回目の生成油200ml、5%Pd担
持活性炭触媒5gを充填し、水素圧力12MPa、温度
200℃の反応条件下、10時間保持した。途中水素の
消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一
定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロ
により分析した。生成油は、テトラリン57mass
%、デカリン43mass%からなり、テトラリンの残
存量が多かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC11 BA14 BA20 BA21 BA22 BA25 BA26 BB11 BC10 BC11 BC30 BC34 BE20 4H039 CA40 CB10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレンを水素化してデカリンを製造
    する方法において、ナフタレン中の硫黄分が50mas
    s ppm以下であることを特徴とするデカリンの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 ナフタレンの水素化反応を、反応圧力1
    〜5MPaで行うことを特徴とする請求項1記載のデカ
    リンの製造方法。
  3. 【請求項3】 供給原料がナフタレンを主成分として含
    有する硫黄分が50mass ppm以下である芳香族
    炭化水素混合物であり、供給原料中のナフタレン濃度
    が、20−98mass%であることを特徴とする請求
    項1または2のいずれかに記載のデカリンの製造方法。
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