JP4210069B2 - デカリンおよび水素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫黄分の少ない原料ナフタレンと低純度の水素を用いて水素化と脱水素反応を行うことで高純度水素を製造することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用燃料電池の開発が急速に進む中、燃料電池のエネルギー源である水素を自動車用に供給する方法が大きな課題となっている。その中でデカリンは、水素貯蔵媒体として注目されている。デカリンはナフタレンの水素化によって得られる。デカリンは燃料電池中で水素供与体として容易に水素を発生してナフタレンとなる。ナフタレンは、次に再水素化工程により再びデカリンにする。
【0003】
ナフタレンの水素化反応は、古くから触媒を用いた多くの研究がなされており、既に1927年(J.Soc.Chem.Ind.,46,454)、1931年(Bull.Chem.Soc.Japan,6,241)、1934年(Rec.trav.chim.,53,821)にニッケル触媒を用いて水素化が試みられている。その後も水素化反応に有効な白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属系触媒や、コバルト・モリブデン、ニッケル・モリブデン、ニッケル・タングステン等の硫化物触媒が検討されている。さらにこれらの活性金属を担持する担体を変えることも試みられており、アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、ゼオライトをはじめとする多くの担体が検討されている。
【0004】
「石油化学とその工業」(昭晃堂、1965年、68−69ページ)に記述されているように、一般に芳香族炭化水素の核水素化反応速度は芳香族環の数が増すほど大きくなり、多環芳香族の最初の環が水素化される速度は、ベンゼンの2−5倍である。そして、最後の芳香族環の水素化速度は著しく遅くなる。例えばニッケル触媒を用いた場合、ベンゼンの水素化反応速度1に対し、ナフタレンからテトラリンの生成は3.14、テトラリンからデカリンの生成は0.24と報告されている。すなわち、ナフタレンの部分水素化反応によるテトラリン生成は速く、テトラリンの水素化によるデカリン生成は著しく遅い。
【0005】
水素化反応条件は、ナフタレンからデカリンまでの完全水素化反応では圧力は5〜15MPaと高く、触媒量も多く要し、反応時間もナフタレンからテトラリンまでの水素化の場合と比較して2〜10倍ほど長いという問題があった。
さらに、水素化反応に対しては、全圧力ではなく、水素分圧が支配するため、極力高純度水素を用いる必要があった。そのため通常は80−100%の高純度水素を用い、80%以下の低純度水素は用いられなかった。本発明では80−100%の高純度水素を水素と呼び、80%以下のものを低純度水素と呼ぶ。
未来のエネルギー源として開発が進められている固体高分子膜燃料電池は、100℃前後の低温で作動するため、不純物が吸着し易い。特に、COは触媒として用いられている白金を被毒するので10ppm以下が求められている。したがって、固体高分子膜燃料電池に供給される水素は、極力高濃度の水素が求められており、99.99以上の高純度が要求される。高純度化するためには、通常圧力スイング吸着法が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ナフタレンの完全水素化反応は、非常に遅いため、高圧を必要とし、反応時間も長時間であり、工業的に利用するには技術的・経済的にも困難であった。本発明の課題は、ナフタレンの水素化によるデカリンの製造を、工業的に利用価値の少ない低純度水素を用いて比較的低圧の下で短時間で行う方法を用いて、低純度水素を高純度化して供給する簡便かつ安価な方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するため鋭意研究した結果、水素濃度が20−80容積%である供給ガスおよびナフタレン中の硫黄分が50ppm以下の原料ナフタレンを用いることにより、本課題を解決することができることを見出し、完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、水素を含む水素濃度が20〜80容積%である供給ガスを用いて硫黄分が50ppm以下であるナフタレンを含む原料ナフタレンを水素化してデカリンを含む生成物を製造し、該生成物を脱水素することにより純度99%以上の高純度水素を得ることを特徴とする水素の製造方法に関するものである。
【0010】
本発明の第2は、本発明の第1において、原料ナフタレン中のナフタレン濃度が、20〜98mass%であることを特徴とする水素の製造方法に関するものである。
【0011】
本発明の第3は、本発明の第1〜第2のいずれかにおいて、原料ナフタレンの水素化反応を、反応圧力1〜10MPaで行うことを特徴とする水素の製造方法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として使用する原料ナフタレンは、ナフタレン単独あるいはナフタレンと他の芳香族炭化水素の混合物が好ましく使用できる。ナフタレンは、石炭コークス炉から出る乾留油や石油系の接触改質油、流動接触分解油、さらにはエチレン製造副産物のナフサ分解油等の中に含まれている。
【0015】
製造方法によって異なるが、高純度ナフタレンの純度は通常90〜98%であり、他の成分として主にモノメチルナフタレンやジメチルナフタレンが含まれる。ナフタレンと他の芳香族炭化水素の混合物は、ナフタレン以外の成分としてベンゼン、アルキルベンゼン、ナフタレン、アルキルナフタレン、フェナントレン、アントラセン及び4環以上の多環芳香族等を含有する。原料ナフタレンがナフタレン混合物の場合のナフタレンの濃度は特に制限がないが、下限はナフタレン濃度が20%以上、上限も特に制限はないが、濃縮するためには精密蒸留や圧力晶析、冷却晶析等のナフタレン分離工程が必要となるため98%以下が好ましい。ナフタレンは常温で固体であるが、本発明においてはナフタレンあるいはナフタレンを主成分として含有する芳香族炭化水素混合物を他の芳香族化合物で希釈し、ナフタレン濃度が20−50mass%と低く、常温で液体であるものを原料ナフタレンと呼ぶことができる。1−メチルナフタレンは、その凝固点が−31℃と常温で液体であり、ナフタレンに混合することにより、ナフタレンの凝固点を80℃から低下することができるので、1−メチルナフタレンの混合は実用的に特に好ましい。更に原料ナフタレンは1−メチルナフタレンを主体としていてもよい。また、ナフタレンを溶解する目的で、ベンゼン、トルエン、キシレン等の1環芳香族化合物を混合することもできる。
【0016】
さらに、原料ナフタレンは水素化反応に悪影響を与えない範囲で芳香族炭化水素以外の成分、例えばナフテン系炭化水素等を含むものを適宜使用することができる。水素化反応の発熱を抑制する目的でシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の溶剤を適宜使用することもできる。
【0017】
石炭コークス炉の乾留油および石油系の流動接触分解油から得られたナフタレンあるいはナフタレンと他の芳香族化合物との混合物中には、通常ベンゾチオフェン等の硫黄含有化合物、ピリジン等の窒素を含む芳香族化合物、フェノール類等の酸素を含む芳香族化合物等が不純物として含まれている。例えば、乾留油中には硫黄分、窒素分、酸素分がそれぞれ0.01〜3%程度含まれており、これらは水素化触媒の触媒毒になる可能性がある。特に硫黄分は、水素化触媒として慣用される貴金属触媒や金属触媒に対して毒作用が強いと言われる。
【0018】
これら不純物は、当該業者において水素化脱硫プロセスと呼ばれる方法を用いて除去することができる。例えば、水素化脱硫は、市販の硫化ニッケル・モリブデン、硫化コバルト・モリブデン等の水素化脱硫触媒を用い、水素雰囲気下、温度250〜350℃、圧力1〜10MPa程度の条件で実施される。
【0019】
石油系の接触改質油から分離される原料ナフタレンの場合には、通常硫黄分は5ppm以下であり、水素化精製処理する必要はない。
【0020】
ナフサ分解によるエチレン製造副産物の分解油から分離される原料ナフタレンの場合には、10−500ppm程度の硫黄分が含まれている。いずれの原料についても硫黄分が50ppm以上含まれている場合は水素化精製する必要がある。
【0021】
硫黄分、窒素分、酸素分等は極力少ない方が好ましいが、硫黄分50ppm以下まで低下した原料油は、次の水素化工程に用いると、水素濃度が20−80容積%である供給ガスを用い1−10MPaの温和な圧力条件下で完全水素化まで進行することを新たに見出し本発明を完成するに至ったものである。さらに好ましくは硫黄分10ppm以下まで低下した原料ナフタレンである。
【0022】
次に、硫黄分50ppm以下の原料ナフタレンを用いて水素化反応を行う。水素化反応は、原料ナフタレンを完全水素化することを目的とする。水素化反応では、ナフタレンからデカリンへの転化率はできるだけ高いほうが好ましく、70%以上で、100%を達成することが最も望ましい。熱力学的平衡上は、水素圧力1MPa以上、温度200℃以下であれば完全水素化が達成される。この場合アルキル基を有するナフタレンや他の芳香族炭化水素の完全水素化も進んでおり、例えばメチルナフタレンはメチルデカリンへ、他のアルキルナフタレンもアルキルデカリンへと完全水素化される。他の1環の芳香族類もこの条件下で完全水素化される。デカリンへの転化率が70%未満では水素化効率が悪い。水素化反応の目的を達成するように、水素化反応に使用する触媒および反応条件を設定する。
【0023】
水素化反応に対しては、全圧力ではなく、水素分圧が支配するため、従来極力高純度水素を用いる必要があった。そのため通常は80−100%の高純度水素を用い、80%以下の低純度水素は用いられなかった。本発明では水素濃度を高めず使用することができる。例えば20%の低純度の水素を含む供給ガス用いても、全圧10MPaとすれば、水素分圧は2MPaとなり、十分水素化反応が進行する。従って本発明においては20−80%の低純度水素を使用できる。その場合圧力は1−10MPaが好ましい。ただし低圧になるにつれて水素濃度は高い方が好ましく、例えば10MPaでは20−50%、1MPaでは50−80%濃度の水素が好ましい。
【0024】
水素を含む供給ガスが、代表的な水素製造技術である水蒸気改質法で製造される場合、水分を除去した後の改質ガス中の水素濃度は60−80%程度であり、残りは大部分炭酸ガスである。通常は水素濃度を高めるため、炭酸ガスはアルカリ溶液で吸収除去処理され、90−98%程度まで水素濃度は高められる。本発明ではこの操作は不要である。
【0025】
石炭の乾留副生ガスであるコークス炉ガスや、エチレン分解ガスの中にも水素は含まれており、その濃度は通常20−60%程度である。この場合水素以外の成分としては、メタン、エタン、軽質炭化水素および一酸化炭素等であり、吸着分離法である圧力スィング吸着法により、水素濃度を高める必要がある。また、高純度水素も脱硫プロセスや水素化プロセスに使用された後は純度が低下し、水素化用ではなく通常燃料として使用される。
このような使用済低純度水素も本発明の供給ガスとして使用できる。このため本発明では、水素の高純度化が省けるため、水素製造工程が簡略化され、水素製造費を著しく低下させることができる。
【0026】
本発明の水素化反応に使用する水素化触媒は、市販または公知の各種水素化触媒を使用することができる。硫黄分50ppm以下の原料油を用いる場合、特別な高活性触媒である必要はない。例えばニッケル系、貴金属系、金属硫化物系の水素化触媒を使用することができる。ニッケル系触媒では、日揮化学(株)製 N113、N103等を使用することができ、貴金属系触媒ではPt、Pd、Rh、Ru、Ir系の触媒が使用でき、エヌ・イー・ケムキャット(株)製 Pt、Pd、Rh、Ru触媒等を使用することができ、金属硫化物系触媒では、金属硫化物系触媒の中でも水素化能力が高いNiW系触媒等を使用することができる。一般にはニッケル系触媒や金属硫化物系触媒の方が、貴金属系触媒より活性は低いが、価格が安いためその分多く使用することができ、要求性能と価格により、使用触媒は適宜選定される。触媒の担体は特に限定されず、アルミナ、シリカ、活性炭、ゼオライト、珪藻土等いかなるものでも使用できるが、中性の担体が好ましい。
【0027】
本発明における水素化反応は、流通式、バッチ式のいずれでも実施することができる。いずれの方法でも、熱力学的平衡の制約から、水素圧力と温度の関係がもっとも重要な因子であり、水素圧力が高いほどかつ温度が低いほどデカリンの生成量は増加する。水素圧力については、高圧ほど加圧費用が高くなるので、できる限り低圧に設定することが好ましい。
【0028】
水素化反応の他の条件として、反応温度、反応時間、触媒量等がある。反応温度は通常100〜250℃の範囲が好ましい。温度が低いほどデカリンの生成は増加するが、反応速度が低下するので100〜250℃の範囲において高活性触媒はより低温で、低活性触媒はより高温で反応することができる。
【0029】
触媒量及び反応時間は、触媒活性に依存し、転化率が好ましい範囲になるように決められるが、例えば、バッチ式では、原料油100重量部に対し、触媒量が0.1〜10重量部で、反応時間0.5〜10時間の範囲が適当である。一般には触媒量が少ないほど反応が遅くなるので、反応時間は長く、運転費用は増加する。ただし触媒が少ないほど触媒費用が安くなるので、目的に応じて適当な範囲を選択することができる。
【0030】
該未反応のナフタレンまたはナフタレンと他の芳香族炭化水素の混合物の部分水素化物を含む未反応成分は、完全水素化物から分離することができる。
水素化反応により得られる生成物の主成分は、完全水素化物であるデカリンまたはデカリンと他のナフテン系炭化水素の混合物である。アルキル基を有するナフタレン成分であるメチルナフタレン、ジメチルナフタレンが水素化されたメチルデカリン、ジメチルデカリン等のほか、他のナフテン系炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、C9アルキルベンゼン、C10アルキルベンゼンが水素化されたシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、C8アルキルシクロヘキサン、C9アルキルシクロヘキサン、C10アルキルシクロヘキサンが主要成分である。この生成物はそのまま、またはデカリンを単離して、もしくはデカリンと他のナフテン系炭化水素を分離取得して、燃料電池その他の各種用途に使用できる。分離された未反応のナフタレンまたはナフタレンと他の芳香族炭化水素の混合物の部分水素化物を含む未反応成分は、水素化原料に再循環される。
【0031】
製造されたデカリンまたはデカリンを含む水素化生成物は、脱水素することにより、高純度水素を発生させることができる。脱水素は、当該業者によく知られた接触改質プロセスにより実施される。接触改質プロセスは、400−550℃の反応温度、0.5−5MPaの圧力で、触媒の存在下、原料油と水素を流通することにより実施される。接触改質プロセスは本来石油精製業において、高オクタン価のガソリンを製造するプロセスであり、原料油は、重質ナフサと呼ばれるC5−C11程度の炭化水素油で、接触改質プロセスにより、環化脱水素して、オクタン価の高い芳香族化合物を生成する。このとき副生物として水素が発生する。触媒は、白金をアルミナに担持したものが使用され、性能を改善するためにレニウム、すず、ゲルマニウム等が添加されたものも使用される。本発明では、デカリンをはじめとする各種のナフテン化合物が脱水素して、芳香族化合物を生成、水素を発生する反応を積極的に利用している。触媒や反応装置も既存のものを利用できる。反応条件は、熱力学的平衡上高温ほど脱水素に有利であるが、原料油が脱水素し易いので、比較的低温の400℃前後で実施することができる。圧力も低圧ほど脱水素に有利であるが、低圧ほど触媒寿命が短くなるので、触媒性能に合わせ0.5−5MPaの範囲で適当な圧力に設定される。生成した水素は、反応油と気液分離器で分離される。通常の接触改質プロセスでは原料油に分解しやすいパラフィン系化合物も含まれるため、分解したメタンやエタン等の軽質炭化水素が混入し、得られる水素純度は70−95%程度である。本発明の場合は、原料が硫黄分の少ない純粋なナフテン油であるため、軽質炭化水素が混入せず、99−99.999%程度の高純度水素が得られる特長がある。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ナフタレンの完全水素化によりデカリンを製造するに際して、硫黄分50ppm以下のナフタレンを使用することにより、水素濃度が20−80容積%である水素を用いる低圧の温和な条件のもとで、短時間で進行させることができるので各種の低純度水素を、純度を高めることなく使用できる。製造した生成油を脱水素することにより、高純度水素が発生し、低純度水素を高純度化して供給する簡便かつ安価な方法を提供できる。
【0033】
以下、実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
水素化反応として、500mlの圧力容器の中に、硫黄分3ppmの水素化精製したナフタレン200g、日揮化学N113触媒3gを充填し、水素純度60%(残部は窒素)の原料ガスを用い、圧力5MPa、温度200℃の反応条件下、5時間保持した。途中水素の消費により圧力が低下するので原料ガスを補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、デカリン97mass%、テトラリン3mass%からなり、他の副生成物は認められなかった。
【0035】
(実施例2)
水素化反応として、500mlの圧力容器の中に、硫黄分8ppmの水素化精製ナフタレン油200ml、5%Pt担持活性炭触媒2gを充填し、水素純度40%(残部は窒素)の原料ガスを用い、水素圧力6MPa、温度200℃の反応条件下、5時間保持した。ナフタレン油組成は、ナフタレン30mass%、メチルナフタレン50mass%、その他の芳香族炭化水素20mass%であった。途中水素の消費により圧力が低下するので原料ガスを補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、デカリン29mass%、テトラリン1mass%、メチルデカリン48mass%、その他のナフテン類22mass%からなり、他の副生成物は認められなかった。
【0036】
(実施例3)
水素化反応として、500mlの圧力容器の中に、硫黄分15ppmの水素化精製ナフタレン油200ml、5%Pd担持活性炭触媒1gを充填し、水素純度70%(残部は窒素)の原料ガスを用い、水素圧力2MPa、温度150℃の反応条件下、8時間保持した。ナフタレン油組成は、ナフタレン20mass%、メチルナフタレン30mass%、ジメチルナフタレン15mass%、その他の芳香族35mass%であった。途中水素の消費により圧力が低下するので原料ガスを補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、デカリン19mass%、テトラリン1mass%、メチルデカリン27mass%、ジメチルデカリン13mass%、その他のナフテン類40mass%であった。
【0037】
(実施例4)
脱水素反応として、流通式反応装置の中に5mlの白金アルミナ触媒を充填し、実施例1で生成したデカリン油を、20ml/hの流速で、温度400℃、圧力0.5MPa、水素比3mol/molの条件下で流した。生成油を分析したところ、ナフタレン98%、デカリン2%であった。生成したガスを分析したところ水素100%であり、不純物はまったく見出されなかった。
【0038】
(比較例1)
500mlの圧力容器の中に、硫黄分120ppmのナフタレン200g、日揮化学N113触媒6gを充填し、純水素を用い、圧力8MPa、温度200℃の反応条件下、20時間保持した。途中水素の消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、テトラリン91mass%、ナフタレン0.5mass%、デカリン8.5mass%からなり、デカリンの生成量はわずかであった。
【0039】
(比較例2)
500mlの圧力容器の中に、硫黄分120ppmのナフタレン200g、5%Pd担持活性炭触媒5gを充填し、純水素を用い、圧力12MPa、温度200℃の反応条件下、10時間保持した。途中水素の消費により圧力が低下するので水素を補充し、圧力を一定に保った。冷却後、生成油を取出し、組成をガスクロにより分析した。生成油は、テトラリン57mass%、デカリン43mass%からなり、テトラリンの残存量が多かった。
Claims (3)
- 水素を含む水素濃度が20〜80容積%である供給ガスを用いて硫黄分が50ppm以下であるナフタレンを含む原料ナフタレンを水素化してデカリンを含む生成物を製造し、該生成物を脱水素することにより純度99%以上の高純度水素を得ることを特徴とする水素の製造方法。
- 原料ナフタレン中のナフタレン濃度が、20〜98mass%であることを特徴とする請求項1記載の水素の製造方法。
- 原料ナフタレンの水素化反応を、反応圧力1〜10MPaで行うことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の水素の製造方法。
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