JPH09188883A - ディーゼルオイルの水素化転換方法 - Google Patents

ディーゼルオイルの水素化転換方法

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JPH09188883A JP31052796A JP31052796A JPH09188883A JP H09188883 A JPH09188883 A JP H09188883A JP 31052796 A JP31052796 A JP 31052796A JP 31052796 A JP31052796 A JP 31052796A JP H09188883 A JPH09188883 A JP H09188883A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粗ディーゼルオイル原料を水素化転換条件下
で水素化触媒を含む分子ふるいの層に通すことによるデ
ィーゼルオイル画分の水素化転換方法。 【構成】 前記水素化触媒の層を通す材料の[N]+
0.1[NH3]値が50〜1200ppmであり、前
記の水素化触媒を含む分子ふるいが水素化活性を有する
金属W、Mo、Co、Niおよび/またはFe、分子ふ
るい成分およびアルミナ担体からなる従来の水素化触媒
であり、それによってディーゼルオイル画分のセタン価
を少なくとも10ユニット増加させることを特徴とする
ディーゼルオイル画分の水素化転換方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粗ディーゼルオイル
画分、特に軽循環油(LCO)を精製し、そのセタン価
を上げるための水素化転換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重油市場の低迷にともなって重質残油の
転換が徹底的に行われ、それにともなって二次工程製
品、例えば軽循環油の品質が低下し、一方製品の品質に
対する環境要求はますます厳しくなってきている(例え
ば、硫黄含有量は0.05%以下、セタン価は少なくと
も45)。一般に石油精製プラントはFCCおよびRF
CC能力が高く、高レベルの芳香族を含み、セタン価の
低いLCOを大量に生産している。しかし、それとブレ
ンドするために必要な高セタン価のディーゼルオイル成
分を十分に確保することは困難である。したがって、L
CO等の粗ディーゼルオイルの品質を向上させるための
新しい方法の開発が望まれている。
【0003】従来、粗ディーゼルオイルの精製には水素
化精製方法が用いられている。このような方法は十分に
確立され、投資金額が少なくてすむのが特徴である。し
かし、ディーゼルオイルの品質向上には限りがあり、例
えばセタン価は3〜5ユニット増加するに過ぎない。さ
らにセタン価を上げるためには、水素化精製を徹底的に
行う必要があるが、そのためには水素の消費量が比例的
に増加する。米国特許第5,114,562号および
5,068,025号で開示されている二段階ディーゼ
ルオイル水素化法は、原料中の硫黄および窒素等の不純
物の除去が従来の一段階水素化触媒に比較して優れてい
るが、高水素化活性の水素化触媒後の第二段階で徹底的
な脱芳香族化を行う。この方法によって芳香族含有量の
低いディーゼルオイルが得られるが、水素消費量が高
く、投資金額が高い等経済的利点が低い。
【0004】中圧水素化分解または中圧水素化精製法
(米国特許第4,971,680号)ではディーゼルオ
イル中の芳香族化合物、特に二環式芳香族を選択的に分
解し、ディーゼルオイルのセタン価を10ユニット以上
上げるために水素化分解触媒が用いられているが、得ら
れるガソリンのオクタン価が低下し、さらにその精製が
必要である。最近、Mobil、Akzo Nobel
/Nippon KetjenおよびM.W. Kel
logg社はMAK−LCO法を共同開発した。この方
法は、中圧水素化精製法に基づき、特殊な性能の分解触
媒を用い、その後の飽和方法により芳香族化合物をガソ
リン成分に分解し、ガソリン製品のオクタン価を許容レ
ベルまで上げるのが特徴である。しかし、この方法で
は、分解が主たる反応であり、通常分解転換率が40%
以上であり、ディーゼル/ガソリン比が低く、水素の消
費量が高い。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】本発明の目的は、
水素化転換条件下で分子ふるいを含む水素化転換触媒の
層に粗ディーゼルオイル原料を通すことからなるディー
ゼルオイル画分の水素化転換方法であって、前記水素化
転換触媒の層を通す材料の[N]+0.1[NH3]値
が50〜1200ppmで、前記の分子ふるいを含む水
素化転換触媒が水素化活性を有する金属W、Mo、C
o、Niおよび/またはFe、分子ふるい成分およびア
ルミナ担体からなる従来の水素化触媒であり、前記水素
化転換条件が以下の通りであることを特徴とするディー
ゼルオイル画分の水素化転換方法を提供することであ
る。
【0006】温度:340〜420℃ 総圧力:6.0〜13.5 Mpa 水素分圧:3.0〜10.0 Mpa 総空間速度(液体):1.0〜4.0 h-1 水素/オイル比(容量比):300:1〜1500:1 ここで用いた”[N]+0.1[NH3]”のNは分子
ふるいを含む水素化転換触媒の層に通す原料中の有機窒
素濃度を表し、[NH3]は系の内部のNH3濃度を表
し、0.1は係数である。
【0007】図1は従来のディーゼルオイル中の各種成
分のセタン価の分布を示し、ここで曲線は同種の成分の
セタン価とそれらの炭素原子数の関係を表す。図1から
明らかなように、二環式化合物のセタン価は低い。した
がって、ディーゼルオイルのセタン価は、二環式化合物
の環を解裂させることによって増加するものと期待され
る。
【0008】上記のように、ディーゼルオイル原料中の
芳香族化合物、特に二環式芳香族化合物を飽和させ、そ
の環を解裂し、それ以上の分解を防止することのできる
新規な水素化方法によって、効果的に、かつ経済的にデ
ィーゼルオイル製品のセタン価を上げることができる。
水素化分解反応機構の観点から、このような目的の達成
が可能である。二官能分子ふるい型の水素化分解触媒で
ふるい分けた芳香族分子を水素化活性部位に飽和させ、
分解活性部位でナフテン環の解裂およびアルキル側鎖の
解裂を行う。ここで、一般にナフテン環の解裂には、比
較的弱い酸性部位が必要である。広範な試験から、有機
窒素化合物による分解活性部位の被毒は動的平衡被毒で
あることを我々は発見し、さらに窒素化合物によって適
当に被毒した動的分解活性部位はナフテン環の解裂能が
高く、アルキルの解裂能は低いことも発見した。この反
応の機構により、本発明で粗ディーゼルオイル水素化転
換工程に分子ふるいの導入が可能になり、それによって
特定の反応条件下で分子ふるいを含む水素化触媒以後に
分解反応が起こることなく、環の解裂反応が進行する。
【0009】本発明の方法は、適当な[N]+0.1
[NH3]値と水素化転換条件を保ちながら、分子ふる
いを含む水素化転換触媒の層に粗ディーゼルオイル原
料、特にLCOを通し、原料中の有機の硫黄および窒素
をかなり除去し、水素化および環の解裂で生成した芳香
族、特に二環式芳香族化合物のほとんどを飽和させるこ
とによって精製を行い、かつセタン価を上げることから
なる。
【0010】本発明の水素化転換条件は、以下の通りで
ある。
【0011】温度:340〜420℃ 総圧力:6.0〜13.5 Mpa 水素分圧:3.0〜10.0 Mpa 総空間速度(液体):1.0〜4.0 h-1 水素/オイル比(容量比):300:1〜1500:1 望ましい水素化転換条件は、以下の通りである。
【0012】温度:360〜400℃ 総圧力:8.0〜12.0 Mpa 水素分圧:6.0〜9.0 Mpa 総空間速度(液体):1.0〜2.0 h-1 水素/オイル比(容量比):500〜1500:1 ここで用いた分子ふるいを含む水素化転換触媒は、水素
化分解触媒、水素化精製触媒等の従来使用されている水
素化転換触媒であり、水素化活性を有する金属W、M
o、Co、Niおよび/またはFe、分子ふるい成分お
よびアルミナ担体からなり、好ましくは13〜25重量
%のWO3またはMoO3、3〜10重量%のNiOまた
はCoO、5〜30重量%の分子ふるいおよび40〜7
0重量%のアルミナからなり、分子ふるいがY、βまた
はZSM−5の分子ふるいである。
【0013】分子ふるいを含む水素化転換触媒は従来か
らよく知られており、当該技術分野の専門家にとっては
公知の方法によって製造することができ、または市販品
を購入することもできる。
【0014】本発明において、原料中の有機窒素濃度が
あまりにも高い(例えば、[N]>2000ppm)場
合、分子ふるいを含む水素化転換触媒の層に通す前に水
素化精製または水素化脱窒工程により原料を部分的に脱
窒し、それによって原料の[N]+0.1[NH3]値
を最適範囲内に保つことにより最高の結果を得ることが
できる。本発明では、[N]+0.1[NH3]値は一
般に50から1200ppmの範囲であり、好ましくは
100〜500ppmである。分子ふるいを含む水素化
転換触媒の層に通す原料の[N]+0.1[NH3]値
が例えば50ppmに満たない場合は、ディーゼルオイ
ルの収率が低下する。ディーゼルオイルの収率は反応温
度を下げることによって維持することができるが、同時
にセタン価の増加が減少し、脱芳香族能が低下する。分
子ふるいを含む水素化転換触媒の層に通す原料の[N]
+0.1[NH3]値がきわめて高く、例えば1200
ppmを越える場合は、必然的に触媒の被毒が起こり、
芳香族化合物を飽和させる能力およびその環を解裂する
能力ならびに脱硫および脱窒能が阻害され、したがって
好ましい結果が得られない。したがって、適切な[N]
+0.1[NH3]値を保つことが必須である。
【0015】図2に示す本発明の一段階実施例は、
[N]+0.1[NH3]値が50〜1200ppmの
ディーゼルオイルの水素化転換に適している。図2で、
原料(1)を新鮮な水素(2)と、リサイクル水素
(3)を混合し、ついで所定の温度に加熱し、反応槽
(4)に導入する。反応槽には、単一の触媒層または複
数の触媒層を設けることができる。複数の触媒層を設け
た場合、各触媒層の温度は冷却水素(5)で制御する。
反応槽からのガス/液体混合物を熱交換し、水で洗浄
し、冷却し、ついで高圧分離器(6)に通す。高圧分離
器(6)からの液体(7)は製品分離ユニットに導き、
一方分離したガスはリサイクル水素コンプレッサー
(8)に導いてリサイクルする。硫黄濃度の高い原料
(例えば、S>2重量%)の場合は、リサイクル水素を
アミンで洗浄し、硫黄を除去することもできる。一段階
法は最も単純であり、触媒の一部または全てを置き換
え、操作条件を調整することによって、この工程に通常
の水素化精製装置を適用することができる。
【0016】本発明のシリーズ実施例では、少なくとも
2基の反応槽を直列に配置し、各反応槽に少なくとも水
素化転換ゾーンとその上流に水素化精製ゾーンを設け
る。図3に、2基の反応槽を用いたこの実施例を示す。
ここでは、前記と同じ部品または流れには同じ番号を用
いた。まず原料を水素化精製触媒に通してその[N]+
0.1[NH3]値を調整し、ついで前記水素化転換触
媒層に通す。最初の反応槽(4)からのガス/液体混合
物を熱交換するか、所定温度に達するまで冷却水素と混
合した後、第二の反応槽(4’)に導入する。第二の反
応槽からの流れを、前記のように処理する。このような
配列によって前記水素化転換ゾーンに通す原料の[N]
+0.1[NH3]値を調整し、第一の反応槽(4)お
よび第二の反応槽(4’)の水素化転換工程を効率よく
行うことができる。
【0017】多段階実施例では、水素化精製用反応槽と
水素化転換用反応槽を直列に配置する。図4は2基の反
応槽を用いたこの実施例であり、そのうちの1基(4)
は水素化精製に用い、別の1基(4’)は水素化転換に
用いる。これらの反応槽は上記と同様に操作するが、水
素化反応槽(4)からの流れは冷却するか、高温フラッ
シュ蒸留器(9)に直接移し、フラッシュ蒸留器(9)
からのガス相を冷却し、水で洗浄し、高圧分離器(8)
に導き、一方フラッシュ蒸留器(9)からの液相(1
0)は第二のリサイクル水素(3’)および新鮮水素
(2’)と混合し、ついで第二の反応槽(4’)に通
す。各反応槽にいくつかのゾーンを設け、その温度を冷
却水素で制御できることはいうまでもない。
【0018】本発明は、ディーゼルオイルを飽和させ、
その環を分解することなく解裂させるため、特殊の反応
条件下で前記水素化転換触媒の特殊な性質を利用するも
のであり、したがって、ディーゼルオイルの品質を経済
的に向上させることができる。例えば、従来の方法と比
較して、ディーゼルオイルの収率を95%以下に下げる
ことなく、セタン価を10ユニット以上上げることがで
きる。さらに、原料を前処理することによって本発明の
方法は各種の原料に適用することができる。本発明の精
神から逸脱することなく各種の応用および改良が可能で
あり、これらは全て本発明の範囲に含まれると考える。
本発明の範囲は、請求項で規定する。
【0019】つぎに実施例を示し、本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらに限定するものではな
い。
【0020】
【実施例】実験は、300mm x φ 6mmのミクロ
反応槽を用いて行った。各反応槽の触媒量は20mlと
した。この実施例で用いた触媒は、以下の通りである。 原料ディーゼルオイルを表1に示す。
【0021】
【0022】
【実施例1−7】実施例1−7は、図2に示す一段階法
で行った。結果を表2に要約する。
【0023】
【0024】
【実施例8−12】実施例8−12は、図3に示すシリ
ーズ法で行った。結果を表3に要約する。
【0025】
【0026】
【実施例13−17】実施例13−17は、図4に示す
シリーズ法で行った。結果を表4に要約する。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のディーゼルオイル製品中の各種成分のセ
タン価の分布を示す図
【図2】本発明の一段階実施例のフローダイヤグラム
【図3】本発明のシリーズ実施例のフローダイヤグラム
【図4】本発明の二段階実施例のフローダイヤグラム
【符号の説明】
1 原料 2 新鮮な水素 3 リサイクル水素 4 反応槽 5 冷却水素 6 高圧分離器 7 高圧分離器からの液体 8 リサイクル水素コンプレッサー 9 高温フラッシュ蒸留器 2’ 新鮮水素 3’ リサイクル水素 4’ 第二の反応槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 趙 崇慶 中国遼寧省撫順市望花區(番地なし) (72)発明者 廖 娜 中国遼寧省撫順市望花區(番地なし) (72)発明者 楊 軍 中国遼寧省撫順市望花區(番地なし) (72)発明者 ▲蘭▼ 玲 中国遼寧省撫順市望花區(番地なし)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗ディーゼルオイル原料を水素化転換条
    件下で水素化触媒を含む分子ふるいの層に通すことによ
    るディーゼルオイル画分の水素化転換方法であって、前
    記水素化触媒の層を通す材料の[N]+0.1[N
    3]値が50〜1200ppmであり、前記の水素化
    触媒を含む分子ふるいが水素化活性を有する金属W、M
    o、Co、Niおよび/またはFe、分子ふるい成分お
    よびアルミナ担体からなる従来の水素化触媒であり、前
    記水素化転換条件が以下の通りであることを特徴とする
    ディーゼルオイル画分の水素化転換方法。 温度:340〜420℃ 総圧力:6.0〜13.5 Mpa 水素分圧:3.0〜10.0 Mpa 総空間速度(液体):1.0〜4.0 h-1 水素/オイル比(容量比):300:1〜1500:1
  2. 【請求項2】 [N]+0.1[NH3]値が100〜
    500ppmであることを特徴とする請求項1に記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 前記水素化転換条件が、 温度:360〜400℃ 総圧力:8.0〜12.0 Mpa 水素分圧:6.0〜9.0 Mpa 総空間速度(液体):1.0〜2.0 h-1 水素/オイル比:500〜1000:1 であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の水素化触媒が13〜25重量%の
    WO3またはMoO3、3〜10重量%のNiOまたはC
    oO、5〜30重量%の分子ふるいおよび40〜70重
    量%のアルミナからなることを特徴とする請求項1に記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 前記分子ふるいがY、βまたはZSM−
    5の分子ふるいであることを特徴とする請求項4に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前記水素化転換にさきだって、さらに水
    素化精製によりその[N]+0.1[NH3]値を調整
    するためのディーゼルオイル原料の前処理を含む請求項
    1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法によって得られる
    ディーゼルオイル製品。
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