JPH06115901A - 新規な水素貯蔵物質、装置及びその利用 - Google Patents
新規な水素貯蔵物質、装置及びその利用Info
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- JPH06115901A JPH06115901A JP4298246A JP29824692A JPH06115901A JP H06115901 A JPH06115901 A JP H06115901A JP 4298246 A JP4298246 A JP 4298246A JP 29824692 A JP29824692 A JP 29824692A JP H06115901 A JPH06115901 A JP H06115901A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Y02E60/30—Hydrogen technology
- Y02E60/32—Hydrogen storage
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- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 高水準量の水素を貯蔵することを可能とする
効率的かつ経済的水素貯蔵方法を提供し、多数の水素分
子を容易に解放可能な状態で保持することができる装置
もしくは物質を提供する。また、水素貯蔵装置もしくは
物質を利用した燃料電池を提出する。 【構成】 分極力により水素分子を結合する正帯電金属
イオンもしくはクラスターを利用する水素貯蔵方法及び
装置。
効率的かつ経済的水素貯蔵方法を提供し、多数の水素分
子を容易に解放可能な状態で保持することができる装置
もしくは物質を提供する。また、水素貯蔵装置もしくは
物質を利用した燃料電池を提出する。 【構成】 分極力により水素分子を結合する正帯電金属
イオンもしくはクラスターを利用する水素貯蔵方法及び
装置。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、水素貯蔵装置に関
し、更に詳しくは、現在知られている水素貯蔵物質及び
水素貯蔵方法よりも少なくとも多量の貯蔵容量を有する
水素貯蔵物質及び水素貯蔵方法に関するものである。
し、更に詳しくは、現在知られている水素貯蔵物質及び
水素貯蔵方法よりも少なくとも多量の貯蔵容量を有する
水素貯蔵物質及び水素貯蔵方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素貯蔵装置は、水素を燃料として使用
する上で、高い技術的価値を有するものである。水素が
酸化すると水を生ずるが、水は環境を汚染しない物質で
ある。周知のように、水素の燃焼により発生するエネル
ギーは、種々の商業的利用に供し得るものである。一般
に、ある種の安全な水素貯蔵装置は、金属を含み、その
金属原子一個当りの貯蔵可能な水素原子の敵は1個もし
くは高々2個である。従って、当然のことながら、この
ような装置の水素貯蔵容量及び商業的有用性は著しく制
限されてしまう。
する上で、高い技術的価値を有するものである。水素が
酸化すると水を生ずるが、水は環境を汚染しない物質で
ある。周知のように、水素の燃焼により発生するエネル
ギーは、種々の商業的利用に供し得るものである。一般
に、ある種の安全な水素貯蔵装置は、金属を含み、その
金属原子一個当りの貯蔵可能な水素原子の敵は1個もし
くは高々2個である。従って、当然のことながら、この
ような装置の水素貯蔵容量及び商業的有用性は著しく制
限されてしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、現
既存の水素貯蔵方法よりも高い高水準量の水素を貯蔵す
ることを可能とする効率的かつ経済的水素貯蔵方法を提
供することを目的とするものである。本発明の目的は、
多数の水素分子を容易に解放可能な状態で保持すること
ができる装置もしくは物質を提供することにある。本発
明の更に他の目的は、水素貯蔵装置もしくは物質を利用
した燃料電池を提供することにある。他の目的及び利点
は以下の詳細な説明により明らかとなるであろう。本発
明の上記及び他の目的、特徴及び利点は添付図面を参照
し以下の詳細な説明より明らかになるであろう。
既存の水素貯蔵方法よりも高い高水準量の水素を貯蔵す
ることを可能とする効率的かつ経済的水素貯蔵方法を提
供することを目的とするものである。本発明の目的は、
多数の水素分子を容易に解放可能な状態で保持すること
ができる装置もしくは物質を提供することにある。本発
明の更に他の目的は、水素貯蔵装置もしくは物質を利用
した燃料電池を提供することにある。他の目的及び利点
は以下の詳細な説明により明らかとなるであろう。本発
明の上記及び他の目的、特徴及び利点は添付図面を参照
し以下の詳細な説明より明らかになるであろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記及びその他の本発明
の目的及び利点は、水素分子が正帯電金属イオンもしく
は正帯電金属原子のクラスターの分極陽場内に入る時に
生ずる分極力によって、複数の、少なくとも2個以上の
水素分子が個々の正帯電金属イオンもしくは正帯電金属
原子のクラスターに結晶するように配列された、正帯電
金属イオンもしくは正帯電金属原子のクラスターよりな
る水素貯蔵物体によって達成されるものである。本発明
による貯蔵容量の大きな水素貯蔵装置もしくは物質の製
成方法についても説明する。特に定義しない限り、本明
細書中の全ての技術用語もしくは科学用語は、本発明が
属する技術分野に於ける当業者によって通常的に理解さ
れる意味を有するものである。本発明の実施及び試験に
は本明細書に記載された方法及び物質と類似もしくは等
価な方法及び物質を使用することもできるが、本明細書
記載の方法及び物質が望ましい。特に言及しない限り、
本実施例に採用されもしくは意図された技術は当技術分
野に属する当業者にとって標準的な方法である。物質、
方法及び具体例はあくまで例示的なものであって、これ
らに制限されるものではない。
の目的及び利点は、水素分子が正帯電金属イオンもしく
は正帯電金属原子のクラスターの分極陽場内に入る時に
生ずる分極力によって、複数の、少なくとも2個以上の
水素分子が個々の正帯電金属イオンもしくは正帯電金属
原子のクラスターに結晶するように配列された、正帯電
金属イオンもしくは正帯電金属原子のクラスターよりな
る水素貯蔵物体によって達成されるものである。本発明
による貯蔵容量の大きな水素貯蔵装置もしくは物質の製
成方法についても説明する。特に定義しない限り、本明
細書中の全ての技術用語もしくは科学用語は、本発明が
属する技術分野に於ける当業者によって通常的に理解さ
れる意味を有するものである。本発明の実施及び試験に
は本明細書に記載された方法及び物質と類似もしくは等
価な方法及び物質を使用することもできるが、本明細書
記載の方法及び物質が望ましい。特に言及しない限り、
本実施例に採用されもしくは意図された技術は当技術分
野に属する当業者にとって標準的な方法である。物質、
方法及び具体例はあくまで例示的なものであって、これ
らに制限されるものではない。
【0005】周知のように、金属イオンは、光イオン化
法及び活性粒子による衝撃法例えばレーザー熱分離を含
む種々の方法によって製成することができ、このように
して製成した金属イオンはゼオライトスーパーケージ
(例えばK−Lゼオライト)、希ガスマトリックス(例
えばAr、Xe)、フルリーン(例えばC60等)より作
られた物質及び類似の非相互作用的即ち不活性の担体に
都合よく貯えることができる。メタルイオンは又、グラ
ファイトその他の金属表面のような伝導性担体上に貯え
ることもできる。本発明にもとづいて作られた燃料電池
にあっては、水素は低温(例えば液体窒素の温度ないし
ドライアイスの温度)で装置に装入され、温度を上げる
ことによって自由に解放することができる。解放された
水素は燃料としてあるいはエネルギー源として好ましい
形態で使用することができる。
法及び活性粒子による衝撃法例えばレーザー熱分離を含
む種々の方法によって製成することができ、このように
して製成した金属イオンはゼオライトスーパーケージ
(例えばK−Lゼオライト)、希ガスマトリックス(例
えばAr、Xe)、フルリーン(例えばC60等)より作
られた物質及び類似の非相互作用的即ち不活性の担体に
都合よく貯えることができる。メタルイオンは又、グラ
ファイトその他の金属表面のような伝導性担体上に貯え
ることもできる。本発明にもとづいて作られた燃料電池
にあっては、水素は低温(例えば液体窒素の温度ないし
ドライアイスの温度)で装置に装入され、温度を上げる
ことによって自由に解放することができる。解放された
水素は燃料としてあるいはエネルギー源として好ましい
形態で使用することができる。
【0006】本発明によれば、絶対0度において、分極
機構は無数の水素分子を捕捉するということが判明して
いる。勿論、捕捉数は温度上昇とともに減少する。例え
ば、10個までの水素分子は約100゜K、即ち液体窒
素の温度に近い温度で単一のニッケル(Ni+ ) イオン
に結合できる。同様に、リチウム(Li+ )、アルミニ
ウム(Al+ )、コバルト(Co+ )等は全て分子状態
の大量の水素を捕捉することができるということが判明
している。帯電分極は金属イオンの一般的特性であるこ
とは既に知られているから、本発明においては都合のよ
い金属イオンと多数の水素分子を捕捉するために採用す
ることができる。
機構は無数の水素分子を捕捉するということが判明して
いる。勿論、捕捉数は温度上昇とともに減少する。例え
ば、10個までの水素分子は約100゜K、即ち液体窒
素の温度に近い温度で単一のニッケル(Ni+ ) イオン
に結合できる。同様に、リチウム(Li+ )、アルミニ
ウム(Al+ )、コバルト(Co+ )等は全て分子状態
の大量の水素を捕捉することができるということが判明
している。帯電分極は金属イオンの一般的特性であるこ
とは既に知られているから、本発明においては都合のよ
い金属イオンと多数の水素分子を捕捉するために採用す
ることができる。
【0007】以上に述べたプロセスはメタルイオンを正
電荷を持つ原子の微小クラスター(5個以下の類似もしく
は非類似の原子)で置換することによっても達成するこ
とができる。このような置換可能な金属クラスターは超
音波噴射膨張を伴うレーザーによる気化によって製成す
ることができる。その結果製成された金属クラスターは
原子のイオン化に関して述べた方法と同じ方法でイオン
化することができる。金属原子もしくは金属クラスター
を、例えばグラファイトの、プレートに付着する装置に
あっては、そのプレートを正電極へ接続することによっ
てイオン化することができる。水素分子は、分極力によ
りこのプレートに捕捉され、捕捉された水素分子は、例
えばこのプレートの極性を反転することによって解放さ
れる。帯電された金属原子クラスターもしくはイオンは
どのようなものでも本発明を実施するに当って採用する
ことができるが、リチウム(Li)、ニッケル(N
i)、アルミニウム(Al)、銅(Co)、カリウム
(K)及びコバルト(Co)のイオンもしくはそれらの
帯電したクラスターが望ましい。以下に、代表例として
3つの異なる具体例(Li+ 、Ni+ 及びCo+ )につ
いて詳述する。
電荷を持つ原子の微小クラスター(5個以下の類似もしく
は非類似の原子)で置換することによっても達成するこ
とができる。このような置換可能な金属クラスターは超
音波噴射膨張を伴うレーザーによる気化によって製成す
ることができる。その結果製成された金属クラスターは
原子のイオン化に関して述べた方法と同じ方法でイオン
化することができる。金属原子もしくは金属クラスター
を、例えばグラファイトの、プレートに付着する装置に
あっては、そのプレートを正電極へ接続することによっ
てイオン化することができる。水素分子は、分極力によ
りこのプレートに捕捉され、捕捉された水素分子は、例
えばこのプレートの極性を反転することによって解放さ
れる。帯電された金属原子クラスターもしくはイオンは
どのようなものでも本発明を実施するに当って採用する
ことができるが、リチウム(Li)、ニッケル(N
i)、アルミニウム(Al)、銅(Co)、カリウム
(K)及びコバルト(Co)のイオンもしくはそれらの
帯電したクラスターが望ましい。以下に、代表例として
3つの異なる具体例(Li+ 、Ni+ 及びCo+ )につ
いて詳述する。
【0008】
【実施例1】アルカリ金属イオンによる水素吸収 水素の金属クラスターに対する相互作用は結晶金属に対
する相互作用とは異なる。その理由はクラスターにおい
ては殆どの原子が表面原子であるが、結晶においてはパ
ルク原子であるからである。水素結合が強力であるの
は、クラスターが帯電するためであり及び/あるいは化
学作用がユニークであるためかどうかは明らかではな
い。水素結合の強化の主たる原因は、クラスターの帯電
状態である。単一の陽イオン電荷分極機構によって分子
状態の多数の水素原子を結合することがわかっている。
クラスターサイズが大きくなるに従って、結合特性が分
極から共有供給へと変化し、電子が金属原子から水素へ
と転移して分子を解離させる。この結合挙動の変化が、
サイズが大きいクラスターにおける金属イオン当りの水
素吸収を減少させるという結果をもたらす。一方、陰イ
オンは水素分子を分離することができ、このことが解離
性化学的吸収をもたらす。その結果生じた水素分子は物
理的吸収状態において存在し得るにすぎず、陰イオンに
よる水素吸収は陽イオンによる場合よりも実質的に少な
くなる。
する相互作用とは異なる。その理由はクラスターにおい
ては殆どの原子が表面原子であるが、結晶においてはパ
ルク原子であるからである。水素結合が強力であるの
は、クラスターが帯電するためであり及び/あるいは化
学作用がユニークであるためかどうかは明らかではな
い。水素結合の強化の主たる原因は、クラスターの帯電
状態である。単一の陽イオン電荷分極機構によって分子
状態の多数の水素原子を結合することがわかっている。
クラスターサイズが大きくなるに従って、結合特性が分
極から共有供給へと変化し、電子が金属原子から水素へ
と転移して分子を解離させる。この結合挙動の変化が、
サイズが大きいクラスターにおける金属イオン当りの水
素吸収を減少させるという結果をもたらす。一方、陰イ
オンは水素分子を分離することができ、このことが解離
性化学的吸収をもたらす。その結果生じた水素分子は物
理的吸収状態において存在し得るにすぎず、陰イオンに
よる水素吸収は陽イオンによる場合よりも実質的に少な
くなる。
【0009】以上の結果はリチウムLi2 + と同様に水
素(He)分子と相互作用するリチウムLi、Li+ 及
びLi- の総エネルギー計算の結果に基づく中性及び陽
イオンのクラスター中のリチウムLi及び水素(H)原
子についてガウス6−311G**基底関数(W.J.ヘ
アー、L.ラドン、P.V.シュレエイア、及びA、ポ
プル分子軌道理論、ウィレイ、ニューヨーク、198
6)計算を行った。これらの基底関数は分極関数が付加
されたトリプル ゼータ クオリティである。陰イオン
クラスターのみについては、基底集合を、水素原子につ
いて17s3p2d/5s3p2dを含み、又リチウム
原子については10s4pld/5s2pldを含むよ
うに増加した。これは、陰イオンクラスター内の結合を
正しく記述するために必要である。エネルギーは標準量
子化学コード(J.S.ビンクレイ、M.フリィシュ、
K.ラガファチャリ、D.デフレス、H.B.シュレー
ゲル、R.ホワイトサイド、E.ブルク、R.シーザ
ー、及びJ.A.ポプル、ガウス82(カーネギーメロ
ー大学、ピッツバーグ、1986;B.K.ラオおよび
P.ジェナ、フィジクスレビュ、B32(1985)2
058)を用いて計算した。従って、結果は相関関係を
含む全電子の計算に基づいてのみ与えられる各クラスタ
ーについて、上記J.S.ビンクレイ等により発表され
た傾斜力法を用いて総合エネルギーを最小化することに
より、最適基底状態の構造が得られる。
素(He)分子と相互作用するリチウムLi、Li+ 及
びLi- の総エネルギー計算の結果に基づく中性及び陽
イオンのクラスター中のリチウムLi及び水素(H)原
子についてガウス6−311G**基底関数(W.J.ヘ
アー、L.ラドン、P.V.シュレエイア、及びA、ポ
プル分子軌道理論、ウィレイ、ニューヨーク、198
6)計算を行った。これらの基底関数は分極関数が付加
されたトリプル ゼータ クオリティである。陰イオン
クラスターのみについては、基底集合を、水素原子につ
いて17s3p2d/5s3p2dを含み、又リチウム
原子については10s4pld/5s2pldを含むよ
うに増加した。これは、陰イオンクラスター内の結合を
正しく記述するために必要である。エネルギーは標準量
子化学コード(J.S.ビンクレイ、M.フリィシュ、
K.ラガファチャリ、D.デフレス、H.B.シュレー
ゲル、R.ホワイトサイド、E.ブルク、R.シーザ
ー、及びJ.A.ポプル、ガウス82(カーネギーメロ
ー大学、ピッツバーグ、1986;B.K.ラオおよび
P.ジェナ、フィジクスレビュ、B32(1985)2
058)を用いて計算した。従って、結果は相関関係を
含む全電子の計算に基づいてのみ与えられる各クラスタ
ーについて、上記J.S.ビンクレイ等により発表され
た傾斜力法を用いて総合エネルギーを最小化することに
より、最適基底状態の構造が得られる。
【0010】最初に、中性リチウム(Li)原子に対す
る水素結合実験を行った結果、6−311G**基底を利
用した場合、LiH結合分子は結合(hinding)
エネルギーが2.29電子ボルト(eV)で結合(bo
nd)長さが1.59Åであることが判明した。拡張基
底を利用した場合には結合エネルギー及び結合長さはそ
れぞれ2.49電子ボルト(eV)及び1.60Åであ
った。これらの値は実験値2.51電子ボルト(eV)
及び1.5957Å(K.P.ヒューバー及びG.ハー
ツバーグ、二原子分子の定数、ヴァンモストランレイン
ホルド、ニューヨーク、1979;同じくJ.セネコヴ
ィッチ及びP.ロスムス、化学物理86号(1987)
6329参照)に良く一致する。拡張基底を利用した場
合であっても、分の水素原子を中性リチウム(Li)原
子に結合することはできなかった。この状況は陽リチウ
ムイオン(Li+ )に対しては全く異なっている。図1
はLi+ (H2 )nクラスターでn=6の場合の平衡状
態を示すものである。注目すべきは、これらクラスター
の全てにおいて、水素原子間の最適距離は0.75Åか
ら0.74Åの範囲にあることである。実験結果による
水素分子(H2 )の結合長さは0.74Å(上記K.
P.ヒューバー等;及び上記セネコヴィッチ等の表1参
照)。しかして、全てのこれらのクラスター中では、水
素は分子状に結合される。水素と陽リチウムイオン(L
i+ )間の距離は2.03Åから2.15Åの間にあ
り、LiHの結合長さ1.60Åより著しく長くなって
いるが、計算上のLi+ Hの結合長さ2.17Åに非常
に近似する。
る水素結合実験を行った結果、6−311G**基底を利
用した場合、LiH結合分子は結合(hinding)
エネルギーが2.29電子ボルト(eV)で結合(bo
nd)長さが1.59Åであることが判明した。拡張基
底を利用した場合には結合エネルギー及び結合長さはそ
れぞれ2.49電子ボルト(eV)及び1.60Åであ
った。これらの値は実験値2.51電子ボルト(eV)
及び1.5957Å(K.P.ヒューバー及びG.ハー
ツバーグ、二原子分子の定数、ヴァンモストランレイン
ホルド、ニューヨーク、1979;同じくJ.セネコヴ
ィッチ及びP.ロスムス、化学物理86号(1987)
6329参照)に良く一致する。拡張基底を利用した場
合であっても、分の水素原子を中性リチウム(Li)原
子に結合することはできなかった。この状況は陽リチウ
ムイオン(Li+ )に対しては全く異なっている。図1
はLi+ (H2 )nクラスターでn=6の場合の平衡状
態を示すものである。注目すべきは、これらクラスター
の全てにおいて、水素原子間の最適距離は0.75Åか
ら0.74Åの範囲にあることである。実験結果による
水素分子(H2 )の結合長さは0.74Å(上記K.
P.ヒューバー等;及び上記セネコヴィッチ等の表1参
照)。しかして、全てのこれらのクラスター中では、水
素は分子状に結合される。水素と陽リチウムイオン(L
i+ )間の距離は2.03Åから2.15Åの間にあ
り、LiHの結合長さ1.60Åより著しく長くなって
いるが、計算上のLi+ Hの結合長さ2.17Åに非常
に近似する。
【0011】図1の最適形態に対応するLi+ (H2 )
mクラスターの総エネルギーは表1に示されている。水
素分子の金属イオンに対する結合エネルギーは各水素分
子(H2 )とリチウム(Li+ )イオンの解離に基づい
て定義される。即ち、 E+ /n=−〔Li+ (H2 )n−nE(H2 )−E(Li+ )〕/n nが6である場合のLi+ (H2 )nの分子当りの結合
エネルギーは図2に示されており水素分子(H2 )当り
の結合エネルギーはnのゆるやかに減少する関数であ
り、6分子以上の水素分子(H2 )をリチウム(L
i+ )イオンに付着することが可能であることがわか
る。
mクラスターの総エネルギーは表1に示されている。水
素分子の金属イオンに対する結合エネルギーは各水素分
子(H2 )とリチウム(Li+ )イオンの解離に基づい
て定義される。即ち、 E+ /n=−〔Li+ (H2 )n−nE(H2 )−E(Li+ )〕/n nが6である場合のLi+ (H2 )nの分子当りの結合
エネルギーは図2に示されており水素分子(H2 )当り
の結合エネルギーはnのゆるやかに減少する関数であ
り、6分子以上の水素分子(H2 )をリチウム(L
i+ )イオンに付着することが可能であることがわか
る。
【0012】
【表1】 クラスター 総合 結合 金属イオン 水素原子 エネルギー エネルギー/n マリケン電荷 マリケン電荷 (Hartree) (eV) ──────────────────────────────────── Li+ H2 ─ 8.42752 0.253 2.14 0.93 Li+ (H2)2 ─ 9.60447 0.250 2.27 0.93 Li+ (H2)3 −10.78030 0.240 2.37 0.94 Li+ (H2)4 −11.95368 0.219 2.46 0.94 Li+ (H2)6 −14.30150 0.202 2.81 0.93 ──────────────────────────────────── Li2 + H2 −15.91845 0.180 2.48,2.62 0.95 Li2 + (H2)2 −17.09262 0.177 2.60 0.95 ──────────────────────────────────── Li- H2 ─ 8.64865 0.479 2.6 1.7 Li- H4 ─ 9.82215 0.270 2.36 2.05, 1.60, 0.78, 1.22 ────────────────────────────────────
【0013】分子状の多数の水素の結合は、電荷分極機
構に支配される。このことは、表1に示されたLi
+ (H2 )nクラスター中の水素にかかるマルケンの電
荷から定性的に理解し得る。各水素からリチウム(Li
+ )へ転移する電荷(〜0.06)は極めて小さく、こ
の転移は結合水素分子の量には無関係である。逆に、水
素が中性リチウムクラスターと相互作用する場合、水素
にかかるマルケンの電荷は約1.4である(R.K.ラ
オ、S.N.カンナ、及びP.イェナ、フィジィクスレ
ビュー、B43〔1991〕416)。比較検討のため
に、ここで水素とリチウム(Li- )イオンの相互作用
を考案する。図3はLi- H2 クラスター及びLi- H
4 クラスターの平衡状態を示すものである。LiH2 の
状態は6−311G**基底及び前述の拡張的な基底を利
用して最適化してある。基底によってエネルギーは改善
されているが結合長さは同一であった。LiH4 につい
ては、従って、6−311G**基底を使用してその状態
は最適化され、この最適化された状態が拡張基底による
結合エネルギーを計算するために使用された。LiH2
クラスターとは違い、Li- H2 クラスターは線形連鎖
である。リチウム(Li- )イオンは電子を水素
(H2 )の反結合軌道に供与してその分子を解離し、水
素は原子状態のリチウム(Li- )イオンに結合する。
かかるマルケンの電荷は1.7である(表1参照)。こ
の強力な静電的相互作用はLi+ H2 クラスターの結合
エネルギーE+ より大きくほぼ2倍近い0.479電子
ボルト(eV)の結合エネルギーE=−〔E(Li- H
2 )−E(Li)−E(H2 )〕によって定義される)
を誘導する。
構に支配される。このことは、表1に示されたLi
+ (H2 )nクラスター中の水素にかかるマルケンの電
荷から定性的に理解し得る。各水素からリチウム(Li
+ )へ転移する電荷(〜0.06)は極めて小さく、こ
の転移は結合水素分子の量には無関係である。逆に、水
素が中性リチウムクラスターと相互作用する場合、水素
にかかるマルケンの電荷は約1.4である(R.K.ラ
オ、S.N.カンナ、及びP.イェナ、フィジィクスレ
ビュー、B43〔1991〕416)。比較検討のため
に、ここで水素とリチウム(Li- )イオンの相互作用
を考案する。図3はLi- H2 クラスター及びLi- H
4 クラスターの平衡状態を示すものである。LiH2 の
状態は6−311G**基底及び前述の拡張的な基底を利
用して最適化してある。基底によってエネルギーは改善
されているが結合長さは同一であった。LiH4 につい
ては、従って、6−311G**基底を使用してその状態
は最適化され、この最適化された状態が拡張基底による
結合エネルギーを計算するために使用された。LiH2
クラスターとは違い、Li- H2 クラスターは線形連鎖
である。リチウム(Li- )イオンは電子を水素
(H2 )の反結合軌道に供与してその分子を解離し、水
素は原子状態のリチウム(Li- )イオンに結合する。
かかるマルケンの電荷は1.7である(表1参照)。こ
の強力な静電的相互作用はLi+ H2 クラスターの結合
エネルギーE+ より大きくほぼ2倍近い0.479電子
ボルト(eV)の結合エネルギーE=−〔E(Li- H
2 )−E(Li)−E(H2 )〕によって定義される)
を誘導する。
【0014】Li- H2 における電荷転移及びLi+ H
2 における分極を特徴とする結合は図4に示すようにリ
チウムLi+ 、Li、Li- 及び水素H2 の電子エネル
ギーレベルを分析することによって定性的に理解するこ
とができる。リチウムLi+、Li、及びLi- の最高
準位占有分子軌道(HOMO)と水素H2 の最低準位非
占有分子軌道(LUMO)との間のエネルギー差はそれ
ぞれ80.46、9.85、4.54電子ボルト(e
V)である。明らかに、リチウムLi- が水素H2 の反
結合軌道へ電子を供与することはエネルギー的にかなり
容易だがリチウムLi+ が供与することは困難である。
従って、水素のリチウムLi+ との結合は結合的である
が、一方リチウムLi- との結合は解離的である。更に
Li- H4の総エネルギーは0.06電子ボルトであ
り、解離されたLi- H2 とH2 の総合エネルギー以下
である。このように、Li- H4 クラスター中の第2の
水素(H2 )分子は物理的吸収状態にあるものと確信さ
れる。水素がLi- H4 クラスター中のリチウムLi-
と原子結合も分子結合もするという事実は表1のマルケ
ンの電荷分析から定性的に理解することができる。Li
- H4 クラスター中の全ての原子は等価ではなく、従っ
て異なる量の電荷を搬送するということに留意すべきで
ある。しかしながら、原子状に結合された水素原子の平
均は1.8であり分子状に結合されたものは1.0であ
る。
2 における分極を特徴とする結合は図4に示すようにリ
チウムLi+ 、Li、Li- 及び水素H2 の電子エネル
ギーレベルを分析することによって定性的に理解するこ
とができる。リチウムLi+、Li、及びLi- の最高
準位占有分子軌道(HOMO)と水素H2 の最低準位非
占有分子軌道(LUMO)との間のエネルギー差はそれ
ぞれ80.46、9.85、4.54電子ボルト(e
V)である。明らかに、リチウムLi- が水素H2 の反
結合軌道へ電子を供与することはエネルギー的にかなり
容易だがリチウムLi+ が供与することは困難である。
従って、水素のリチウムLi+ との結合は結合的である
が、一方リチウムLi- との結合は解離的である。更に
Li- H4の総エネルギーは0.06電子ボルトであ
り、解離されたLi- H2 とH2 の総合エネルギー以下
である。このように、Li- H4 クラスター中の第2の
水素(H2 )分子は物理的吸収状態にあるものと確信さ
れる。水素がLi- H4 クラスター中のリチウムLi-
と原子結合も分子結合もするという事実は表1のマルケ
ンの電荷分析から定性的に理解することができる。Li
- H4 クラスター中の全ての原子は等価ではなく、従っ
て異なる量の電荷を搬送するということに留意すべきで
ある。しかしながら、原子状に結合された水素原子の平
均は1.8であり分子状に結合されたものは1.0であ
る。
【0015】ここで指摘することはリチウムLi+mク
ラスター(m>1)のサイズの増大は水素吸収に影響を
及ぼし得るということである。このことを検証するため
に、mが2もしくは2以上のLi+ 2 (H2 )nの状態
を最適化した。これらは、図5に示されている。これら
のクラスターの中では、Li+ (H2 )nクラスター中
の場合よりも分子当り結合エネルギーLi+ /n(0.
18eV)がある程度小さいにもかかわらず、リチウム
Li+ を含むクラスター同様に、水素原子は分子状に結
合する。これは、リチウムとリチウムの結合は、第2の
水素(H2 )分子が他のリチウムLiに原子にとり付く
と弱くなるという事実によるものである。その結合の弱
化は図1のLi+ H2 クラスターと図5のLi2 H2 ク
ラスターとの間の結合長さを比較することによって観察
することができる。
ラスター(m>1)のサイズの増大は水素吸収に影響を
及ぼし得るということである。このことを検証するため
に、mが2もしくは2以上のLi+ 2 (H2 )nの状態
を最適化した。これらは、図5に示されている。これら
のクラスターの中では、Li+ (H2 )nクラスター中
の場合よりも分子当り結合エネルギーLi+ /n(0.
18eV)がある程度小さいにもかかわらず、リチウム
Li+ を含むクラスター同様に、水素原子は分子状に結
合する。これは、リチウムとリチウムの結合は、第2の
水素(H2 )分子が他のリチウムLiに原子にとり付く
と弱くなるという事実によるものである。その結合の弱
化は図1のLi+ H2 クラスターと図5のLi2 H2 ク
ラスターとの間の結合長さを比較することによって観察
することができる。
【0016】次に検証すべき事は、水素はLi+ mクラ
スター(m=?)発生のどの段階で解離的に化学吸収す
るのかという事であった。明らかに、mが無限に近づく
に従って、クラスターは結晶化する。そして水素は金属
中及び金属表面上に解離状態で残留することは知られて
いる。ある程度定性的結合を引き出すためにLi+ クラ
スター(m>1)エネルギーレベル機構を検証した。そ
れらが5ないし5以下の場合についてその結果が図6に
示されている。HOMOレベルはmの増大と共に上昇
し、m=5の場合、そのレベルは中性リチウム(Li)
原子のレベルよりも低い3.1電子ボルト(eV)であ
ることがわかる。中性リチウム原子は水素に電子を提供
するが、2個の水素原子を結合することは出来ないとい
うことが指摘できる。このように、リチウムはLi+ 5
は水素(H2 )分子を解離することはできずmが5もし
くは5以下のリチウムLi+ mに対する場合は、分子結
合であるものと確信される。
スター(m=?)発生のどの段階で解離的に化学吸収す
るのかという事であった。明らかに、mが無限に近づく
に従って、クラスターは結晶化する。そして水素は金属
中及び金属表面上に解離状態で残留することは知られて
いる。ある程度定性的結合を引き出すためにLi+ クラ
スター(m>1)エネルギーレベル機構を検証した。そ
れらが5ないし5以下の場合についてその結果が図6に
示されている。HOMOレベルはmの増大と共に上昇
し、m=5の場合、そのレベルは中性リチウム(Li)
原子のレベルよりも低い3.1電子ボルト(eV)であ
ることがわかる。中性リチウム原子は水素に電子を提供
するが、2個の水素原子を結合することは出来ないとい
うことが指摘できる。このように、リチウムはLi+ 5
は水素(H2 )分子を解離することはできずmが5もし
くは5以下のリチウムLi+ mに対する場合は、分子結
合であるものと確信される。
【0017】以上の結果は水素の反応のクラスターサイ
ズに対する依存度を現わすのに定性的方法として使用す
ることができる。サイズが小さいクラスターでは、高い
イオン化電位を有するものは低いイオン化電位を有する
ものよりも強く反応するということが明らかとなってい
る。サイズの大きいクラスターでは、この状況は逆転す
る。分子結合は水素(H2 )の反結合性軌道へ電子を供
与するにはエネルギー的に不利である。クラスターが高
イオン化電位を有する場合に望ましい。サイズの小さい
クラスターでは、結合的であるから反応度は結合の性質
に従う。
ズに対する依存度を現わすのに定性的方法として使用す
ることができる。サイズが小さいクラスターでは、高い
イオン化電位を有するものは低いイオン化電位を有する
ものよりも強く反応するということが明らかとなってい
る。サイズの大きいクラスターでは、この状況は逆転す
る。分子結合は水素(H2 )の反結合性軌道へ電子を供
与するにはエネルギー的に不利である。クラスターが高
イオン化電位を有する場合に望ましい。サイズの小さい
クラスターでは、結合的であるから反応度は結合の性質
に従う。
【0018】
【実施例2】転移金属イオンによる水素分子の結合 アルカリ金属イオン(Li+ )を使って得られる観測値
が等しく適用できるようにするために、相関を含む量子
化学計算を行って、例えばニッケル原子のような、イオ
ン状態と同様中性状態の転移金属原子による水素吸収の
量及び特性を決定した。陽イオンは分子状態の多数の水
素を結合することができることが確認された。使用した
方法は前述のリチウムについて述べた方法と同様であ
る。図7は中性及び正イオンニッケル−水素クラスター
の状態を示し、図8は水素(H2 )分子当りの結合エネ
ルギー(E+ )のNi+ (H2 )nクラスター中の水素
(H2 )分子数との関係による変化を示す。表2はNi
2 、NiH及びNi+ H2 の結合エネルギーと結合長さ
の計算値と実験値を比較したものであり、表3はNi+
(H2 )nのクラスターの結合エネルギー及びマルケン
の固体数を示すものである。これらの図表からニッケル
Ni+ は少なくとも水素6分子を結合することができる
ということが判明した。
が等しく適用できるようにするために、相関を含む量子
化学計算を行って、例えばニッケル原子のような、イオ
ン状態と同様中性状態の転移金属原子による水素吸収の
量及び特性を決定した。陽イオンは分子状態の多数の水
素を結合することができることが確認された。使用した
方法は前述のリチウムについて述べた方法と同様であ
る。図7は中性及び正イオンニッケル−水素クラスター
の状態を示し、図8は水素(H2 )分子当りの結合エネ
ルギー(E+ )のNi+ (H2 )nクラスター中の水素
(H2 )分子数との関係による変化を示す。表2はNi
2 、NiH及びNi+ H2 の結合エネルギーと結合長さ
の計算値と実験値を比較したものであり、表3はNi+
(H2 )nのクラスターの結合エネルギー及びマルケン
の固体数を示すものである。これらの図表からニッケル
Ni+ は少なくとも水素6分子を結合することができる
ということが判明した。
【0019】
【表2】 Ni2 ,NiH及びNi+ H4 の結合(binding)エネルギー及び結合 (bound)長 さの計算値と実験値の比較 ──────────────────────────────────── 二原子 結合長さ(Å) 結合エネルギー(eV) クラスター 理論値 実験値 理論値 実験値 ──────────────────────────────────── Ni2 2.49 2.30 2.17 2.39 NiH 1.57 1.48-1.64 2.97 3.07 Ni+ He 1.97 0.11 0.14 ────────────────────────────────────
【0020】
【表3】 Ni+ (H2 )クラスターのマリケンポプュレーション及び結合エネルギー ──────────────────────────────────── H2 分子当りの マリケン クラスター 結合エネルギー ポプュレーション ΔE+ (eV) Ni+ Ni+ , H ──────────────────────────────────── Ni+ H2 0.50 27.17 0.91 Ni+ (H2)2 0.46 27.27 0.93 Ni+ (H2)〔図1(d)〕 0.36 27.40 0.93 Ni+ (H2)〔図1(e)〕 0.32 27.40 0.93 Ni+ (H2) 0.26 27.60 0.95 ────────────────────────────────────
【0021】
【実施例3】以上述べられたのと同様な検証コバルトC
o+ について行われ、その結果コバルトCo+ は少なく
とも水素7分子を結合することができるということが判
明した。
o+ について行われ、その結果コバルトCo+ は少なく
とも水素7分子を結合することができるということが判
明した。
【0022】本発明の種々な実施例が図9から図12に
記述されている。以上の具体例及び実施例は単に例示的
目的のために述べられたものであり種々の変更もしくは
変形が当業者にとって可能であり、それらは本出願の趣
旨及び範囲及び特許請求の範囲に含まれるものである。
記述されている。以上の具体例及び実施例は単に例示的
目的のために述べられたものであり種々の変更もしくは
変形が当業者にとって可能であり、それらは本出願の趣
旨及び範囲及び特許請求の範囲に含まれるものである。
【図1】nが≦6であるLi+ (H2 )nクラスターの
構造を示す。結合長さはオングストローム(Å)で表わ
されており、図中黒丸及び白丸は夫々水素原子及びLi
+ イオンを表わす。
構造を示す。結合長さはオングストローム(Å)で表わ
されており、図中黒丸及び白丸は夫々水素原子及びLi
+ イオンを表わす。
【図2】Li+ (H2 )nクラスター中の水素(H2 )
分子数がnである場合の、電子ボルト(eV)で表わさ
れた水素(H2 )分子当りの結合エネルギー(E+ /
n)の変化を示す。
分子数がnである場合の、電子ボルト(eV)で表わさ
れた水素(H2 )分子当りの結合エネルギー(E+ /
n)の変化を示す。
【図3】nが≦2であるLi- (H2 )nクラスターの
構造を示す。図中、黒丸は水素原子を、点線を施した丸
はリチウムLi- イオンを現わす。
構造を示す。図中、黒丸は水素原子を、点線を施した丸
はリチウムLi- イオンを現わす。
【図4】リチウムLi+ 、Li、Li- イオン及び水素
H2 の分子エネルギーレベルを示す。
H2 の分子エネルギーレベルを示す。
【図5】Li+ 2 (H2 )nクラスターの構造を示し、
原子は図1と同様に表されている。
原子は図1と同様に表されている。
【図6】nが≦5であるLi+ nの分子エネルギーレベ
ルを示している。Li+ 2 ないしLi+ 3 クラスターの
心エネルギーレベルに於ける太線矢印は矢印当り1以上
の電子が依存することを意味する。
ルを示している。Li+ 2 ないしLi+ 3 クラスターの
心エネルギーレベルに於ける太線矢印は矢印当り1以上
の電子が依存することを意味する。
【図7】中性及び陽イオンニッケル−水素クラスターの
構造を示す。
構造を示す。
【図8】Ni+ (H2 )nクラスター中のH2 分子の数
に依存する水素分子当りの結合エネルギーの変化を示
す。
に依存する水素分子当りの結合エネルギーの変化を示
す。
【図9】本発明による金属イオンもしくはクラスターイ
オンを製成するための概略構成を示す。対象金属は強力
なレーザー光束を照射することによって気化され原子の
柱となる。希ガス原子、例えばHe、Ne等、の噴流を
この原子柱に吹きつけることにより金属原子を冷却しク
ラスター化することができる。原子柱は超音波ノズルを
通って膨張し、更に冷却される。膨張室内の金属原子も
しくはクラスターはレーザーもしくは電子衝撃によって
イオン化される。イオン、もしくはクラスターは周知の
時間飛行法もしくは四極子質量スペクトロメーターによ
って質量選別されゼオライトのようなマトリックスに付
着される。
オンを製成するための概略構成を示す。対象金属は強力
なレーザー光束を照射することによって気化され原子の
柱となる。希ガス原子、例えばHe、Ne等、の噴流を
この原子柱に吹きつけることにより金属原子を冷却しク
ラスター化することができる。原子柱は超音波ノズルを
通って膨張し、更に冷却される。膨張室内の金属原子も
しくはクラスターはレーザーもしくは電子衝撃によって
イオン化される。イオン、もしくはクラスターは周知の
時間飛行法もしくは四極子質量スペクトロメーターによ
って質量選別されゼオライトのようなマトリックスに付
着される。
【図10】ゼオライトケージ内部のイオンの周辺の分子
状水素の貯蔵状態の概略を示すものである。ゼオライト
スーパーケージの直径は約12Åである。各スーパーケ
ージはその内部に直径約5Åの金属イオンを貯蔵するこ
とができる。約2Åのサイズの水素分子はイオンから約
2Å離れている。従って、スーパーケージ内には最大1
0個の水素分子を貯蔵する余地がある。ゼオライトスー
パーケージは直径約5Åの窓によって相互に接続されて
いるから、水素分子はこの通路を通ってほぼ全ての金属
イオンに付着する。水素分子はドライアイス又は液体窒
素の温度のような低温で貯蔵され、その容器を室温迄暖
めることによって解放される。
状水素の貯蔵状態の概略を示すものである。ゼオライト
スーパーケージの直径は約12Åである。各スーパーケ
ージはその内部に直径約5Åの金属イオンを貯蔵するこ
とができる。約2Åのサイズの水素分子はイオンから約
2Å離れている。従って、スーパーケージ内には最大1
0個の水素分子を貯蔵する余地がある。ゼオライトスー
パーケージは直径約5Åの窓によって相互に接続されて
いるから、水素分子はこの通路を通ってほぼ全ての金属
イオンに付着する。水素分子はドライアイス又は液体窒
素の温度のような低温で貯蔵され、その容器を室温迄暖
めることによって解放される。
【図11】カリウムを添加した固体フルリーン示す。カ
リウム原子は、電子をフルリーンへ与えて失い、カリウ
ムイオンとして存在する水素分子はフルリーン間でこれ
らのイオンの周囲に貯蔵される。
リウム原子は、電子をフルリーンへ与えて失い、カリウ
ムイオンとして存在する水素分子はフルリーン間でこれ
らのイオンの周囲に貯蔵される。
【図12】グラファイト基板上に埋め込まれた金属原子
を示す。この基板を電源に接続することにより、金属原
子は、多量の水素を結合することができる陽イオンを作
ることができる。電極を遮断することによって金属イオ
ンは中性原子に変換され殆どの水素を解放する。極性を
逆転しても同様である。全く同じ挙動はイオンを小サイ
ズのクラスターに置き換えても生起させることができ
る。
を示す。この基板を電源に接続することにより、金属原
子は、多量の水素を結合することができる陽イオンを作
ることができる。電極を遮断することによって金属イオ
ンは中性原子に変換され殆どの水素を解放する。極性を
逆転しても同様である。全く同じ挙動はイオンを小サイ
ズのクラスターに置き換えても生起させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 592231044 シブ ナレイン カーナ アメリカ合衆国 23112 バージニア州 ミドロウシアン ダク コウブ プレイス 14607 (72)発明者 プルソタム ジェナ アメリカ合衆国 23233 バージニア州 リッチモンド コロニー ブルフ ドライ ブ 9906 (72)発明者 バイジャン クーマー ラオ アメリカ合衆国 23233 バージニア州 リッチモンド ブルクモント ドライブ 10204 (72)発明者 シブ ナレイン カーナ アメリカ合衆国 23112 バージニア州 ミドロウシアン ダク コウブ プレイス 14607
Claims (10)
- 【請求項1】 正帯電金属イオンもしくは正帯電金属原
子クラスターよりなり、これらイオンもしくはクラスタ
ーは、水素分子が前記正帯電イオンもしくはクラスター
の分極場内に入る時、この水素分子が分極されその結果
生ずる分極力が、少なくとも2以上の、複数の水素分子
を前記イオンもしくはクラスターの各々に結合するよう
に配列されていることを特徴とする水素貯蔵装置。 - 【請求項2】 前記金属イオンはゼオライトケージ、希
ガスマトリクス、不活性基板もしくは絶縁材に保持され
ることを特徴とする請求項1記載の装置。 - 【請求項3】 前記正帯電金属イオンはリチウム、ニッ
ケル、銅、アルミニウム、ナトリウム、カリウム及びコ
バルトの正帯電イオンよりなる群より選択されることを
特徴とする請求項1記載の装置。 - 【請求項4】 前記複数の水素分子は6分子以上である
ことを特徴とする請求項1記載の装置。 - 【請求項5】 前記複数の水素分子は10もしくはそれ
以上の分子であることを特徴とする請求項1記載の装
置。 - 【請求項6】 前記クラスターは分極板上に堆積されて
いることを特徴とする請求項1記載の装置。 - 【請求項7】 前記クラスターは約5個以下の同類もし
くは非同類の原子より構成されていることを特徴とする
請求項6記載の装置。 - 【請求項8】 前記イオンもしくはクラスターに結合さ
れた水素分子は電荷もしくは温度を変化させることによ
って解決されることを特徴とする請求項1記載の装置。 - 【請求項9】 水素電子源として請求項1記載の装置よ
りなる燃料電池。 - 【請求項10】 正帯電金属イオンもしくは正帯電金属
原子クラスターを発生させる工程及び水素分子が少なく
とも2個以上で、個々の正帯電金属イオンもしくは正帯
電された原子クラスターの各々と結合させるように前記
正帯電されたイオンもしくはクラスターの分極機構内へ
水素分子を誘導する工程よりなることを特徴とする水素
貯蔵装置を作る方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US95686692A | 1992-10-01 | 1992-10-01 | |
US07/956,866 | 1992-10-01 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06115901A true JPH06115901A (ja) | 1994-04-26 |
Family
ID=25498787
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4298246A Pending JPH06115901A (ja) | 1992-10-01 | 1992-10-12 | 新規な水素貯蔵物質、装置及びその利用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06115901A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009203159A (ja) * | 2002-06-19 | 2009-09-10 | Kurita Water Ind Ltd | 水素包接化合物及びその製造方法 |
-
1992
- 1992-10-12 JP JP4298246A patent/JPH06115901A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009203159A (ja) * | 2002-06-19 | 2009-09-10 | Kurita Water Ind Ltd | 水素包接化合物及びその製造方法 |
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