JP4321606B2 - ブローバイガス還元装置及びそのブローバイガス還元装置に使用されるシリンダヘッド並びにそのブローバイガス還元装置を備えた内燃機関 - Google Patents
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Description
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、クランクケース内部とブリーザ室(オイルセパレータ内部空間)とを直接的に連通させるブローバイガス回収専用通路を備えたPCV装置に対して、シリンダヘッドにおける新気が存在している空間と上記ブローバイガス回収専用通路とを部分的に連通させることでブリーザ室への流入口の直前(直上流側)でブローバイガスを希釈させるようにしている。
具体的に、本発明は、内燃機関に備えられ、シリンダヘッド内部空間を経由して新気をクランクケース内に導入する新気導入通路と、シリンダ上部に配設されたブリーザ室と上記クランクケース内とを直接的に連通させるブローバイガス回収専用通路とを備え、上記クランクケース内のブローバイガスをブローバイガス回収専用通路及びブリーザ室を経て吸気系へ送るブローバイガス還元装置を前提とする。このブローバイガス還元装置に対し、上記ブローバイガス回収専用通路を、このブローバイガス回収専用通路とシリンダヘッド内部空間とを仕切る隔壁により形成する。そして、この隔壁に、上記シリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路とを連通させる連通部を設け、この連通部によって、上記シリンダヘッド内部空間の上記新気の一部を上記ブローバイガス回収専用通路に流入させて、上記ブリーザ室に向けてブローバイガス回収専用通路を流れてきたブローバイガスを希釈する構成としている。
また、上記隔壁に設けられる連通部の形状(連通面積)を適切に設定することで、シリンダヘッド内部空間、ブリーザ室内、クランクケース内のそれぞれにおけるブローバイガス濃度を任意に設定することが可能になる。例えば、ブリーザ室内におけるブローバイガス濃度としては、結露水が発生した場合であってもスラッジの発生が抑えられるブローバイガス濃度に設定し、クランクケース内におけるブローバイガス濃度としては、オイルパンに貯留されているオイルの劣化が抑制できるブローバイガス濃度に設定するようにする。つまり、上記連通部を流れる新気の量が多い程、ブリーザ室内におけるブローバイガス濃度は低くなり且つクランクケース内におけるブローバイガス濃度は高くなる。逆に、上記連通部を流れる新気の量が少ない程、ブリーザ室内におけるブローバイガス濃度は高くなり且つクランクケース内におけるブローバイガス濃度は低くなる。このため、この両者が許容するブローバイガス濃度範囲内に収まるように連通部の形状を設計することで、スラッジの発生の抑制とオイルの劣化の抑制とを両立することが可能となる。
図1は、本実施形態に係るエンジンEをクランクシャフトCの軸心に沿った方向から見たエンジン内部及び吸気系の概略構成を示す図である。このエンジンEは、例えばエンジンルーム内に横置き配置されており、図中の右方向が車体前方である。エンジンEの配置状態はこれに限るものではなく縦置き配置されたものであってもよい。
上述の如く構成されたエンジンEの運転は、ECU(電子制御ユニット)100によって制御される。このECU100は、図2に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、バックアップRAM104、燃料噴射回数などをカウントするカウンタ105を備えている。
次に、本実施形態において特徴とする装置であるPCV装置9について説明する。このPCV装置9は、シリンダ5の内面とピストン51の外面との隙間からクランク室61内に吹き抜けたブローバイガスをエンジンEの吸気系に導くと共に、このクランク室61内に新気を導入して換気するためのものである。
上記ブローバイガス回収専用通路91は、シリンダブロック1からシリンダヘッド3に亘って略鉛直方向に延びる通路として形成されている。つまり、シリンダブロック1に形成された通路91aとシリンダヘッド3に形成された通路91bとが共に同一軸心上で鉛直方向に延びて連通され、これにより、クランク室61内と第1オイルセパレータ92の内部空間(後述するセパレータ室92b)とを直接的に連通させる通路として形成されている。
第1オイルセパレータ92は、ヘッドカバー4の内面(下側の面)における一方側(図1及び図3における左側)に取り付けられており、セパレータケース(ブリーザケース)92aと、このセパレータケース92a内に配置された複数のバッフルプレート(図示省略)とを備えている。
第2オイルセパレータ93も、上述した第1オイルセパレータ92と略同様の構成となっている。つまり、ヘッドカバー4の内面(下側の面)における他方側(図1及び図3における右側)に取り付けられており、セパレータケース93aと、このセパレータケース93a内に配置された複数のバッフルプレート(図示省略)とを備えており、ヘッドカバー4との間で略密閉されたセパレータ室93bを形成している。尚、ここでは、セパレータケース93aとヘッドカバー4の内面とによってセパレータ室93bを形成しているが、セパレータケース93aのみによってセパレータ室93bを形成する構成としてもよい。
ブローバイガス供給配管94は、上記第1オイルセパレータ92のセパレータケース92a内においてオイルが分離除去された後のブローバイガスを吸気系に導くための配管であって、上流端が上記PCVバルブ92eに接続されている一方、下流端が上記吸気管83におけるスロットルバルブ82の直下流側に接続されている。これにより、上記PCVバルブ92eの開放に伴い、ブローバイガスを、サージタンク81を介してエンジンEの吸気系に戻すようになっている。
新気導入配管95は、一端が上記吸気管83におけるスロットルバルブ82の直上流側に接続され、他端が第2オイルセパレータ93のセパレータ室93bに連通しており、主に、クランク室61内を換気するための外気(新気)を吸気系から導入する機能を果たす。
新気導入通路96は、シリンダヘッド3からシリンダブロック1に亘って略鉛直方向に延びる通路として形成されている。つまり、シリンダヘッド3に形成された通路96aとシリンダブロック1に形成された通路96bとが共に同一軸心上で鉛直方向に延びて連通され、これにより、カム室3Aとクランク室61とを連通させる通路として形成されている。
そして、本実施形態の特徴とするところは、上記シリンダヘッド3に備えられた壁部(隔壁)97、つまり、ブローバイガス回収専用通路91(91b)とカム室3Aとを仕切っている壁部97により構成された新気バイパス用の連通部98にある。以下、具体的に説明する。
(エンジンEの定常運転時)
次に、上述の如く構成されたPCV装置9の基本的な動作(エンジンEの定常運転時:高回転・高負荷時以外の動作)について図3を用いて説明する。
次に、エンジンEの高回転・高負荷時におけるブローバイガス、オイルの流通状態について説明する。図6は、この高回転・高負荷時におけるブローバイガス、オイルの流通状態を示すエンジンEの模式図である。図中に実線で示す矢印はブローバイガスの流れを、一点鎖線で示す矢印はオイルの流れをそれぞれ示している。
次に、上述した本実施形態の効果を確認するために行ったシミュレーションの結果について説明する。このシミュレーションでは、上記ブローバイガス回収専用通路91の通路面積(ブローバイ通路面積)に対する連通部98の開口面積(短絡路面積)の比を変化させながら(0〜0.5まで変化させながら)、ブローバイガス回収専用通路91の入口部分(下端部分)でのNOx濃度と、第1オイルセパレータ92のブローバイガス導入孔92c付近(オイルセパレータ入口)でのNOx濃度とをそれぞれCAE(Computer Aided Engineering)解析による演算により求めた。
次に本発明の変形例について説明する。以下の各変形例は、上記連通部98を形成するために膨出部分97aを部分的に切り欠いて成る切り欠き部分97bの形状が上記実施形態のものと異なっている。その他の構成は、上記実施形態と同様であるので、ここでは切り欠き部分97bの形状についてのみ説明する。
以上説明した実施形態及び変形例は、本発明を自動車に搭載されたポート噴射式4気筒ガソリンエンジンに適用した場合について説明した。本発明は、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型やV型や水平対向型等の別)についても特に限定されるものではない。
38 燃焼室
3A カム室(シリンダヘッド内部空間)
5 シリンダ
6 クランクケース
61 クランク室
9 PCV装置(ブローバイガス還元装置)
91 ブローバイガス回収専用通路
92 第1オイルセパレータ(第1のブリーザ室)
92a セパレータケース(ブリーザケース)
93 第2オイルセパレータ(第2のブリーザ室)
96 新気導入通路
97 壁部(隔壁)
97a 膨出部分
97b 切り欠き部分
98 連通部
E エンジン(内燃機関)
Claims (8)
- 内燃機関に備えられ、シリンダヘッド内部空間を経由して新気をクランクケース内に導入する新気導入通路と、シリンダ上部に配設されたブリーザ室と上記クランクケース内とを直接的に連通させるブローバイガス回収専用通路とを備え、上記クランクケース内のブローバイガスをブローバイガス回収専用通路及びブリーザ室を経て吸気系へ送るブローバイガス還元装置において、
上記ブローバイガス回収専用通路は、このブローバイガス回収専用通路とシリンダヘッド内部空間とを仕切る隔壁により形成されており、
この隔壁には、上記シリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路とを連通させる連通部が設けられており、この連通部によって、上記シリンダヘッド内部空間の上記新気の一部を上記ブローバイガス回収専用通路に流入させて、上記ブリーザ室に向けてブローバイガス回収専用通路を流れてきたブローバイガスを希釈する構成となっていることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 内燃機関に備えられ、一端がシリンダヘッド内部空間に他端がクランクケース内にそれぞれ連通する新気導入通路と、一端がクランクケース内に他端がシリンダ上部に配設されたブリーザ室に連通するブローバイガス回収専用通路とを備え、上記シリンダヘッド内部空間に流入された新気を新気導入通路によりクランクケース内に導入すると共に、ブローバイガス回収専用通路によりクランクケース内のブローバイガスを、ブリーザ室を経て吸気系へ送るブローバイガス還元装置において、
上記シリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路とは隔壁により仕切られている一方、
この隔壁には、上記シリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路とを連通させる連通部が設けられており、この連通部によって、上記シリンダヘッド内部空間の上記新気の一部を上記ブローバイガス回収専用通路に流入させて、上記ブリーザ室に向けてブローバイガス回収専用通路を流れてきたブローバイガスを希釈する構成となっていることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 内燃機関に備えられ、シリンダヘッド内部空間を経由して新気をクランクケース内に導入する新気導入通路と、シリンダ上部に配設されたブリーザ室と上記クランクケース内とを直接的に連通させるブローバイガス回収専用通路とを備え、クランクケース内のブローバイガスをブローバイガス回収専用通路及びブリーザ室を経て吸気系へ送るブローバイガス還元装置において、
上記ブローバイガス回収専用通路は、このブローバイガス回収専用通路とシリンダヘッド内部空間とを仕切る隔壁により形成されており、
この隔壁には、上記シリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路とを連通させる連通部が設けられており、この連通部によって、上記シリンダヘッド内部空間の上記新気の一部を上記ブローバイガス回収専用通路に流入させて、上記ブリーザ室に向けてブローバイガス回収専用通路を流れてきたブローバイガスを希釈する構成となっており、
この連通部によるシリンダヘッド内部空間とブローバイガス回収専用通路との間の連通面積は、上記ブローバイガス回収専用通路の通路面積よりも小さく設定されていることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 上記請求項1〜3のうち何れか一つに記載のブローバイガス還元装置において、
上記連通部は、シリンダヘッドの上記隔壁の上端部に形成された切り欠き部と、このシリンダヘッドに載置されるヘッドカバーに取り付けられたブリーザケースの下面との間で形成されていることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 上記請求項4記載のブローバイガス還元装置において、
シリンダヘッドにおけるブローバイガス回収専用通路は、シリンダヘッドの内壁面がシリンダヘッド内部空間に向けて膨出され、且つその膨出部の内部に形成された通路として形成されており、シリンダヘッドの上端部にあっては上記膨出部が形成されておらず、ヘッドカバーに取り付けられたブリーザケースの下面がシリンダヘッド上端面に当接されることで、膨出部の上端とブリーザケースの下面との間で上記連通部が形成されていることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 上記請求項1〜5のうち何れか一つに記載のブローバイガス還元装置において、
上記ブリーザ室はブローバイガス回収専用通路を経て導入されたブローバイガスに含まれるオイルを分離する機能を有する第1のブリーザ室として設けられている一方、
上記シリンダ上部には、シリンダヘッド内部空間に連通する第2のブリーザ室が備えられ、この第2のブリーザ室もブローバイガスに含まれるオイルを分離する機能を有していることを特徴とするブローバイガス還元装置。 - 上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載のブローバイガス還元装置に使用されるシリンダヘッドであって、ブローバイガス回収専用通路とシリンダヘッド内部空間とを仕切る隔壁に、上記シリンダヘッド内部空間をブローバイガス回収専用通路に連通させる連通部が設けられていることを特徴とするシリンダヘッド。
- 上記請求項1〜6のうち何れか一つに記載のブローバイガス還元装置を備えた内燃機関であって、クランクケース内のブローバイガスがブローバイガス回収専用通路及びブリーザ室を経て吸気系へ送られ、このブローバイガスを吸気と混合して燃焼室内に導入する構成となっていることを特徴とする内燃機関。
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