JP4041921B1 - 電子写真感光体製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真感光体の表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製する際に、高い生産性を有し、かつ均一性の高い凹形状部を感光体表面に作製できる電子写真感光体製造方法の提供。
【解決手段】(1)結着樹脂および特定の溶剤を含有する表面層用塗布液を作製し、円筒状支持体の表面に塗布する塗布工程、(2)表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を保持し、表面を結露させる結露工程、(3)円筒状支持体を加熱乾燥する乾燥工程により表面層を作製することを特徴とする電子写真感光体製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)の研究開発が盛んに行われている。
電子写真感光体は、基本的には、支持体と該支持体上に形成された感光層とから構成されている。有機電子写真感光体を構成する感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を光導電性物質とし、これら材料を結着する樹脂として結着樹脂を使用する。感光層の層構成は夫々の機能を電荷発生層と電荷輸送層に機能分離した積層構成や、単一層にこれら材料を溶解や分散させた単層の層構成がある。電子写真感光体の大半は積層感光体の構成を採用し、この場合、電荷輸送層が表面層となることが多く、表面層を高耐久化するために、更に保護層を設ける場合もある。
電子写真感光体(以下、場合により単に「感光体」という)の表面層は、各種部材や用紙に接触する層であるために、接触に対する機械的強度あるいは表面層を構成する材料の化学的安定性のような種々の機能が要求される。これらの要求に対し、表面層を構成する材料の改良といった観点から多くの提案がなされている。
上記提案の中に、感光体表面を凹凸処理することによる感光体表面の機能性向上の提案がなされている。例えば、特許文献1では、フィルム形状研磨材を感光体表面と摺擦させる表面処理により、表面に溝を形成する感光体の製造方法が開示されている。また、特許文献2では、サンドブラスト処理することにより、表面に凹形状部を作製する提案がなされている。特許文献1および特許文献2は、感光体表面形成後、感光体表面に対し加工を行う製造方法であるが、他の方法として、感光体の表面層の形成工程において感光体の表面に凹凸形状が作製された感光体が開示されている(特許文献3)。
特許文献3のように感光体表面に凹凸形状が形成された感光体が提案されている一方、特許文献4では、感光体表面に液滴痕跡を形成しない製造方法が開示されている。特許文献4中の記載では、感光層塗布時に溶剤の気化熱により表面が結露し、その際に生じた結露の痕跡が、感光体表面の細孔として残り、画像上の黒点やトナーフィルミングの要因であると指摘している。特許文献5にも、特許文献4と同様の結露による白化を防止する感光体の製造方法が示されている。
特公平7−97218号公報 特開平2−150850号公 特開昭52−92133号公報 特開2000−10303号公報 特開2001−175008号公報
特許文献1および特許文献2では、感光体表面に凹凸形状を形成する処理を行うことによる感光体表面の機能性向上が図られている。しかしながら、これらの手法は、一度電子写真感光体を作製した後、表面を加工するといった工程が必要となるため、生産性という点から製造方法として十分とは言えない。さらに、これらの表面処理方法では、均一性の高い表面を得るための処理方法とはいえず、加工領域が数μm程度の範囲になると微小領域での均一性が得られず、機能性向上という点で改善が望まれている。
特許文献3では、感光体の表面層の形成工程において感光体の表面に凹凸形状が作製され、生産性の点では優れているといえるが、この製造方法で作製される凹凸形状は、緩やかな波形状の表面であることが示されている。特許文献3では、クリーニング性や耐摩耗性の向上が図れていることが記載されているが、波形状が数μm程度の範囲になると微小領域での均一性が得られず、機能性向上という点で改善が望まれている。
特許文献4および特許文献5では、感光層塗布時に溶剤の気化熱により表面が結露し、その際に生じた結露の痕跡が、感光体表面の細孔として残らない製造方法を示し、感光層表面に凹凸形状が形成されていないことの利点が記載されている。しかしながら、特許文献3では、表面に凹凸形状を形成された感光体の機能性に関して記載されており、必ずしも表面に凹凸形状が形成されていることが利点を有さないわけではないことが示唆されている。従って、適切な凹凸形成がなされることにより、感光体としての不具合を生じることなく、機能性を付与できる電子写真感光体の製造方法の開発が望まれている。
本発明の課題は、感光体の表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製する際に、高い生産性を有し、かつ均一性の高い凹形状部を感光体表面に作製できる電子写真感光体製造方法を提供することである。
本発明は、円筒状支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
(1)結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有し、
芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層用塗布液を作製し、
円筒状支持体の表面に表面層用塗布液を塗布する塗布工程、
(2)表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を保持し、表面層塗布液を塗布された円筒状支持体の表面を結露させる結露工程、
(3)結露工程後、円筒状支持体を乾燥する乾燥工程
により表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製することを特徴とする電子写真感光体製造方法に関する。
本発明によれば、感光体の表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製する際に、高い生産性を有し、かつ均一性の高い凹形状部を感光体表面に作製できる電子写真感光体製造方法を提供することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体製造方法は、上述のとおり、円筒状支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
(1)結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有し、
芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層用塗布液を作製し、
円筒状支持体表面に表面層用塗布液を塗布する塗布工程、
(2)表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を保持し、表面層塗布液を塗布された円筒状支持体の表面を結露させる結露工程、
(3)結露工程後、円筒体を乾燥する乾燥工程
により表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製することを特徴とする電子写真感光体製造方法である。
本発明における表面層とは、感光層が単層型感光層である場合には感光層を示す。また、感光層が、円筒状支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層である場合には電荷輸送層を示す。また、感光層が、円筒状支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層である場合には電荷発生層を示す。
また、感光層上に保護層を有する場合には、本発明の表面層は、保護層であることを示す。
本発明における(1)で示された結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有し、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層用塗布液を作製し、円筒状支持体表面に表面層用塗布液を塗布する塗布工程に関して説明する。
本発明の製造方法は、凹形状部を結露によって安定的に形成し、均一性の高い凹形状部を感光体表面に作製することを特徴としている。均一性の高い凹形状部を安定的に作製するためには、感光体の表面層を(1)で示された表面層塗布液を用いて作製することが重要である。
本発明の均一性の高い凹形状部を安定的に作製する製造方法には、塗布液中に結着樹脂を含有していることが必要である。本発明における結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂が挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂あるいはジアリルフタレート樹脂が好ましい。さらには、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂であることが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。結着樹脂の表面層用塗布液中の含有量は、表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し5質量%以上20質量%以下であることが、表面層用塗布液に適度な粘度を与え、安定的に凹形状部の形成が行われるため好ましい。上記、結着樹脂を表面層用塗布液中に含有していることにより、(2)で示された結露工程および(3)で示された乾燥工程の工程で形成される凹形状部を安定的に表面に形成することができる。
本発明の均一性の高い凹形状部を安定的に作製する製造方法には、表面層塗布液中に半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有していることが重要である。
本発明における半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算とは、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算を意味する。分子軌道法では、シュレディンガー方程式で用いる波動関数を、原子軌道の線形結合で表される分子軌道からなるスレーター型行列式あるいはガウス型行列式で近似し、その波動関数を構成する分子軌道を場の近似を用いて求める。その結果、全エネルギー、波動関数および波動関数の期待値として種々の物理量を計算できる。
場の近似により分子軌道を求める際、計算時間のかかる積分計算を種々の実験値を使ったパラメータを用い、近似することにより計算時間を短縮するのが半経験的分子軌道法である。本発明における計算では、半経験的パラメータとしてPM3パラメータセットを用い、半経験的分子軌道計算プログラムMOPACを用いて計算した。上記、PM3パラメータを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算により、芳香族有機溶剤の双極子モーメントを算出した。
<半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算>
ワークステーションINDIGO2(シリコングラフィクス社製)を計算機として使用し、化学計算統合ソフトウェアであるCerius2を双極子モーメント計算に用いた。
計算対象となる溶剤を、Cerius2内にあるSkecher機能で分子構造を作製し、その分子構造に対しDREDING2.21プログラムを使用し力場計算を行い、CHARGE機能により電荷計算を行った。その後、Minimizer計算により、分子力場計算で構造を適正化した。得られた構造をMOPAC93プログラムに対し、PM3パラメータ、Geometry Optimization、Dipoleを指定し、PM3パラメータセットを用い構造適正化と双極子モーメント計算を行った。
以下、本明細書中で使用する「双極子モーメント」は、上記した半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントを意味する。
表面層塗布液中に双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有していることにより、(2)で示された結露工程における結露により、感光層の表面近傍に液滴が形成される。この際、水に対して親和性の低い溶剤を表面層塗布液中に有していることにより感光層の表面近傍に安定的に液滴が形成される。芳香族有機溶剤は、水に対する親和性が低いため、安定的に液滴を形成することができる。芳香族有機溶剤の中でも、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有することにより、安定的に凹形状部の形成が行われる。双極子モーメントは、溶剤分子内の極性を示し、値が小さいと極性の少ない分子であることを示している。本発明では、(2)で示された結露工程における結露により、水の液滴が表面に形成される。この際、水に対して親和性の低い溶剤を表面層塗布液中に有していることにより、表面近傍に安定的に液滴が形成される。水に対する親和性は、双極子モーメントの大小と関連性があり、双極子モーメントの小さい値を持つ芳香族有機溶剤は水に対する親和性が低いため、本発明の表面層塗布液中に有していることが重要となる。
本発明における双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の具体的な例と、双極子モーメントおよび大気圧下における沸点の値を表1に示す。(表1中の溶剤Aは、本発明における双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を示す。双極子モーメントは、対象溶剤の半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントを示す。沸点は、対象溶剤の大気圧下における沸点を示す。各溶剤の沸点は、新版溶剤ハンドブック(株)オーム社1994年6月10日発行より抜粋した。)
表1中の溶剤Aで示される溶剤であれば、いずれも本発明の製造方法に適応できるが、中でも、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼンあるいはクロロベンゼンであることが好ましい。これらの芳香族有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することができる。
本発明の感光体製造方法は、表面層塗布液中に双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を、表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有する表面層用塗布液を用いて、表面層を塗布する。本発明における双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の表面層用塗布液中の全溶剤質量に対する含有量が50質量%未満の場合、感光体表面に均一性の高い凹形状部が形成されない。これは、本発明の凹形状部の形成には、水が作用していることと、水に対する親和性の低い表面層用塗布液の構成になっていることが重要であることに関連している。すなわち、水に対する親和性の低い双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の含有量が少ない場合は、十分な疎水効果が得られず、均一性の高い凹形状部の形成が困難であることによると思われる。本発明における双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の表面層用塗布液中の全溶剤質量に対する含有量が80質量%を超える場合にも、感光体表面に均一性の高い凹形状部が作製されない。この理由に関して詳細は不明であるが、芳香族有機溶剤は表面層用塗布液の水に対する疎水性効果は高いが、水と芳香族有機溶剤は概して共沸する関係にあり、本発明の(3)で示された乾燥工程における表面層用塗布液の乾燥時に、一部の芳香族有機溶剤と水が共沸、あるいは共に蒸発し、凹形状部の形成が行われない、あるいは凹形状部の形成は行われるが均一性に劣ると考えられる。
本発明の表面層塗布液中には、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有していることが重要である。さらに、凹形状部を安定的に作製する目的で、表面層塗布液中にさらに双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤を表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.1質量%以上15.0質量%以下の範囲で含有してもよい。双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤は、分子内に大きな分極を有するため、水との親和性が高い。この効果により、本発明の(2)で示された結露工程における結露により形成された水の液滴の安定化あるいは均一性の高い凹形状部の形成に寄与していると考えられる。詳細は不明であるが、表面層塗布液中に大きな双極子モーメントを有する有機溶剤を含有することにより、結露時の水の吸着性を向上させる、あるいは形成された液滴中に大きな双極子モーメントを有する有機溶剤が溶け込むことにより、均一性の高い凹形状部が形成されていると考えられる。
本発明における双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の具体的な例と、双極子モーメントおよび大気圧下における沸点の値を表2に示す。(表2中の溶剤Bは、本発明における双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤を示す。双極子モーメントは、対象溶剤の半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントを示す。沸点は、対象溶剤の大気圧下における沸点を示す。各溶剤の沸点は、新版溶剤ハンドブック(株)オーム社1994年6月10日発行より抜粋した。)
さらに、上記有機溶剤としては、双極子モーメントが、3.2以上である有機溶剤であることが均一性の高い凹形状部を作製するためには好ましい。
表2中の溶剤Bで示される溶剤であれば、いずれも本発明の製造方法に適応できる。特に、(メチルスルフィニル)メタン(慣用名:ジメチルスルホキシド)、チオラン−1,1−ジオン(慣用名:スルホラン)、N,N−ジメチルカルボキシアミド、N,N−ジエチルカルボキシアミド、ジメチルアセトアミドあるいは1−メチルピロリジン−2−オンが好ましい。これらの有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することができる。
上記、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の含有量としては、表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.1質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。さらには、凹形状部の均一性を高めるために、有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.2質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。
上記、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の沸点は、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の沸点以上であることが好ましい。
双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の本発明の製造方法における効果は、本発明の(2)で示された結露工程における結露により形成された水の液滴の安定化あるいは均一性の高い凹形状部の形成に寄与していると考えられる。この際、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤の沸点より、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の沸点が高いことにより、本発明の(3)で示された乾燥工程において、沸点の低い芳香族有機溶剤が塗布液中から除かれるときに、水と親和性の高く、沸点の高い上記有機溶剤が存在することにより、均一性の高い凹形状部の形成に寄与していると考えられる。
上記、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤は、本発明の表面層を有する感光体作製後の表面層中から除去されることが望ましいが、感光体特性を阻害しない範囲で表面層中に残留しても良い。
本発明の表面層塗布液中には、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有していることが重要である。さらに、凹形状部を安定的に作製する目的で、表面層塗布液中に水を、表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.1質量%以上2.0質量%以下の範囲で含有してもよい。表面層塗布液中に水を含有させることにより、本発明の(2)で示された結露工程における結露により形成された水の液滴の安定化あるいは均一性の高い凹形状部の形成に寄与していると考えられる。さらには、凹形状部の均一性を高めるために、水の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.2質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
上記、表面層塗布液中の水は、本発明の表面層を有する感光体作製後の表面層中から除去されることが望ましいが、感光体特性を阻害しない範囲で表面層中に残留しても良い。
本発明における(1)で示された円筒状支持体の表面に表面層用塗布液を塗布する塗布工程は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法やリングコーティング法のような塗布方法を用いることができる。生産性の観点から浸漬コーティング法であることが好ましい。
次いで、本発明における(2)で示された表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を保持し、表面層塗布液を塗布された円筒状支持体の表面を結露させる結露工程について説明する。
本工程は、上記(1)で示された塗布工程により表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を、円筒状支持体の表面が結露する雰囲気下に一定時間保持する工程を示す。本発明における結露とは、水の作用により表面層塗布液を塗布された円筒状支持体に液滴が形成されたことを指す。水の作用により液滴を形成するためには、例えば以下に示す方法が挙げられる。
(a)塗布液に使用されている溶剤の気化熱による表面冷却と、雰囲気の温湿度条件を調整することにより、周囲の水を支持体表面に付着させ、水の凝集により液滴を形成させる。
(b)塗布液中に水との親和性の高い溶剤を含有させることにより、塗布液に使用されている溶剤の気化熱による表面冷却時に効率的に水を付着させ、水の凝集により液滴を形成させる。
(c)塗布液中に水との親和性の高い溶剤を含有させることにより、塗布液に使用されている親和性の高い溶剤が、結露工程雰囲気にある水を取り込み、取り込まれた水の凝集により液滴を形成させる。
(d)塗布液中に水を含有させることにより、塗布液に使用されている溶剤の気化熱による表面冷却時に効率的に水を付着させ、水の凝集により液滴を形成させる。
(e)塗布液中に水を含有させることにより、塗布液に使用されている水が、結露工程雰囲気にある水を取り込み、塗布液中の水と取り込まれた水の凝集により液滴を形成させる。
表面層塗布液を塗布された円筒状支持体の表面を結露させる条件は、円筒状支持体を保持する雰囲気の相対湿度および塗布液溶剤の揮発条件(例えば気化熱)によって影響される。しかしながら、本発明では表面層塗布液中に、芳香族有機溶剤を全溶剤質量に対し50質量%以上含有しているため、塗布液溶剤の揮発条件の影響は少なく、円筒状支持体を保持する雰囲気の相対湿度に主に依存する。本発明における円筒状支持体の表面を結露させる相対湿度は、40%以上100%以下である。表面層塗布液中に水との親和性の高い溶剤を含有させない場合は、さらに相対湿度70%以上であることが好ましい。
また、表面層塗布液に使用されている溶剤の気化熱による表面冷却を促進する目的で、表面層塗布液を塗布する工程で、塗布液を室温以下に冷却し、結露を促進する手段を用いてもよい。
本発明における結露工程は、本発明の(1)で示された円筒状支持体の表面に表面層塗布液を塗布工程終了後実施されてもよいし、表面層塗布液を塗布直後から実施されても良い。円筒状支持体の表面に表面層塗布液を塗布工程終了後に結露工程を行う場合には、本発明の(1)で示された塗布工程終了から、本発明の(2)で示された結露工程の開始までの間に、時間を設けてもよい。その際には、この塗布工程終了から円筒状支持体保持工程開始までの時間は、10秒から120秒程度であることが好ましい。
本発明における結露工程には、結露による液滴形成が行われるのに必要な時間があればよい。生産性の観点から好ましくは1秒から300秒であり、さらには10秒から180秒程度であることが好ましい。
本発明における結露工程には、相対湿度が重要であるが、雰囲気温度としては20℃以上80℃以下であることが好ましい。
次いで、本発明における(3)で示された結露工程後、円筒状支持体を乾燥する乾燥工程について説明する。
本発明の円筒状支持体を乾燥する乾燥工程により、本発明における(2)で示された結露工程によって表面に生じた液滴を、感光体表面の凹形状部として形成できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、速やかな乾燥であることが重要であるため、加熱乾燥が行われることが好ましい。
本発明の円筒状支持体を乾燥する乾燥工程の乾燥方法は、例えば、加熱乾燥、送風乾燥、真空乾燥が挙げられ、これらの可能方法を組み合わせた方法を用いることができる。特に、生産性の観点から加熱乾燥および加熱送風乾燥であることが好ましい。また、円筒状支持体表面を速やかに乾燥するため、乾燥炉、乾燥機あるいは乾燥室内は、乾燥工程前に事前に所望の温度に設定されていることが好ましい。乾燥工程における乾燥温度は、100℃以上150℃以下であることが好ましい。乾燥する乾燥工程時間は、円筒状支持体上に塗布された塗布液中の溶剤および結露工程によって形成した水滴が除去される時間があればよい。乾燥工程時間は、20分以上120分以下であることが好ましく、さらには40分以上100分以下であることが好ましい。
上記、製造方法により作製された感光体の表面には、各々独立した凹形状部が形成される。各々独立した凹形状部とは、複数の凹形状部において、個々の凹形状部が、他の凹形状部と明確に区分されている状態を示す。本発明における製造方法は、水の作用により形成される液滴を、水との親和性の低い溶剤および結着樹脂を用いて凹形状部を形成するため、個々の凹形状部を他の凹形状部と明確に区分することができる。本発明の製造方法により作製された電子写真感光体表面に形成された凹形状部の個々の形は、水の凝集力により形成されるため、均一性の高い凹形状部となっている。本発明における製造方法は、液滴あるいは液滴が十分に成長した状態から液滴を除去する工程を経る製造方法であるため、電子写真感光体の表面の凹形状部は、例えば、液滴形状あるいはハニカム形状(六角形状)の凹形状部が形成される。液滴形状の凹形状部とは、感光体表面の観察では、例えば、円形状あるいは楕円形状に観察される凹形状部であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは部分楕円状に観察される凹形状部を示す。液滴形状の凹形状部の具体例としては、図1Aおよび図1B(感光体表面の観察)、図1Cおよび図1D(感光体断面の観察)で示される凹形状部が挙げられる。また、ハニカム形状(六角形状)の凹形状部とは、例えば、電子写真感光体の表面に液滴が最密充填されたことにより形成された凹形状部である。具体的には、感光体表面の観察では、例えば、凹形状部が円状、六角形状あるいは角の円い六角形状であり、感光体断面の観察では、例えば、部分円状あるいは角柱のような凹形状部を示す。ハニカム形状(六角形状)の凹形状部の具体例としては、図1E(感光体表面の観察)、図1Fおよび図1G(感光体断面の観察)で示される凹形状部が挙げられる。なお、図1A乃至図1Gにおいて、斜線部は、凹形状部が形成されていない領域部分を示す。
本発明における製造方法により作製された電子写真感光体の表面にある凹形状部は、個々の凹形状部の長軸径(凹形状部の表面開孔部中で最も長い距離)が、0.1μm以上40μm以下の凹形状部が作製できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、凹形状部の長軸径が、0.5μm以上20μm以下となる製造条件であることが好ましい。
また、本発明における製造方法により作製された電子写真感光体の表面にある凹形状部は、個々の凹形状部の深さ(凹形状部の表面開孔部と底部との最も長い距離)が、0.1μm以上40μm以下の凹形状部が作製できる。均一性の高い凹形状部を形成するためには、凹形状部の深さが、0.5μm以上20μm以下となる製造条件であることが好ましい。
上記、本発明における製造方法で作製された電子写真感光体の表面にある凹形状部の長軸径深さあるいは単位面積あたりの凹形状部の個数は、本発明における製造方法で示した範囲内で製造条件の調整を行うことにより制御可能である。凹形状部の長軸径あるいは深さは、例えば、本発明記載の表面層塗布液中の溶剤種、溶剤含有量、本発明記載の結露工程における相対湿度、結露工程における保持時間、乾燥温度により制御可能である。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
図2A乃至図2Eに示すように、本発明の電子写真感光体は、円筒状支持体101上に中間層103、感光層104をこの順に有する電子写真感光体である。(図2A参照)
必要に応じて、円筒状支持体101と中間層103の間に導電性粒子を樹脂中に分散して体積抵抗を小さくした導電層102を設け、該導電層102の膜厚を厚くして、導電性の円筒状支持体101や非導電性の円筒状支持体101(例えば樹脂性の円筒状支持体)の表面の欠陥を被覆する層とすることも可能である。(図2B参照)
感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層104であっても(図2A参照)、電荷発生物質を含有する電荷発生層1041と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層1042とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。単層型感光層の場合は、本発明の最表面層は感光層104である。また、積層型感光層には、円筒状支持体101側から電荷発生層1041、電荷輸送層1042の順に積層した順層型感光層(図2C参照)と、円筒状支持体101側から電荷輸送層1042、電荷発生層1041の順に積層した逆層型感光層(図2D参照)がある。電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。積層型感光体の中でも順層型感光層の場合には、本発明の最表面層は電荷輸送層であり、逆層型感光層の場合には、本発明の最表面層は電荷発生層である。
また、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)上に、保護層105を設けてもよい(図2E参照)。保護層105を有する場合には、本発明の最表面層は、保護層105である。
円筒状支持体101としては、導電性を有するもの(導電性円筒状支持体)が好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレスのような金属製の円筒状支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製円筒状支持体や樹脂製円筒状支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子または銀粒子のような導電性粒子を樹脂や紙に含浸した円筒状支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
導電性円筒状支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、特には1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
導電性円筒状支持体の上には、導電性円筒状支持体表面の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
このような導電性粉体としては、以下のようなものが挙げられる。カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉;導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体。
また、同時に用いられる結着樹脂としては、以下の熱可塑樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂。
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル系溶剤;メタノールのようなアルコール系溶剤;メチルエチルケトンのようなケトン系溶剤;メチルベンゼンのような芳香族炭化水素溶剤に分散し、または溶解し、これを塗布することにより形成することができる。導電層の平均膜厚は5μm以上40μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下が適当である。
導電性円筒状支持体または導電層の上にはバリアー機能を有する中間層が設けられる。
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、あるいは、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼインのような水溶性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂。電気的バリア性を効果的に発現させるため、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗のような観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。中間層の平均膜厚は0.1μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、あるいは、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
中間層の上には感光層が設けられる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、以下のものが挙げられる。モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾのようなアゾ顔料;金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン顔料;インジゴ、チオインジゴのようなインジゴ顔料;ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドのようなペリレン顔料;アンスラキノン、ピレンキノンのような多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンのような無機物質;キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素。これら電荷発生材料は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため、好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択される。有機溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターのような電子受容性物質)を含有させてもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物またはトリアリルメタン化合物が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
感光層が単層型感光層、かつ表面層である場合、単層型感光層は、上記電荷発生物質、上記電荷輸送物質、本発明に記載の結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である単層型感光層用の表面層塗布液を塗布し、本発明の製造工程を経ることにより本発明の効果を有する感光体を製造することができる。
感光層が積層型感光層、かつ電荷輸送層が表面層である場合、上記電荷輸送物質、本発明に記載の結着樹脂および双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層塗布液を塗布し、本発明の製造工程を経ることにより本発明の効果を有する感光体を製造することができる。
表面層用塗布液に用いる溶剤としては、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を、表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有することが、本発明の製造工程を経ることにより本発明の効果を有する感光体の製造には必要である。しかしながら、塗工性の改良のような目的で、他の溶剤を混合して用いることも可能である。他の溶剤とは、双極子モーメントが1.0より大きく、2.8より小さい溶剤、あるいは双極子モーメントが1.0以下で芳香族有機溶剤を除く溶剤が挙げられる。上記の他の溶剤を具体的に示すと、表3に記載された溶剤が挙げられる。(表3中の溶剤Cは、双極子モーメントが1.0より大きく、2.8より小さい溶剤、あるいは双極子モーメントが1.0以下で芳香族有機溶剤を除く溶剤を示す。双極子モーメントは、対象溶剤の半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントを示す。)
表3中の溶剤Cで示される溶剤であれば、いずれも本発明の製造方法に適応できるが、中でも、オキソランあるいはジメトキシメタンであることが好ましい。これらの有機溶剤は単独で含有することも、2種以上混合して含有することができる。
電荷輸送層の平均膜厚は5μm以上40μm以下であることが好ましく、特には10μm以上30μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤および/または可塑剤を必要に応じて添加することもできる。
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した本発明における結着樹脂を本発明における溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液(表面層形成用塗布液)を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
保護層の平均膜厚は0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、特には1μm以上5μm以下であることが好ましい。
(実施例)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(実施例1)
23℃、60%の環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性円筒状支持体とした。
導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部および溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、導電性円筒状支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、導電性円筒状支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
さらに、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CTM−1)
で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂として下記式(P−1)
で示される繰り返し単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)40,000]10部、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤(表4中の溶剤A)としてクロロベンゼン65部およびその他の溶剤(表4中の溶剤C)としてジメトキシメタン35部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。表面層用塗布液を調合する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
以上のように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、円筒状支持体上に表面層用塗布液を塗布する工程を行った。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
塗布工程終了から60秒後、予め装置内を相対湿度90%および雰囲気温度60℃の状態にされていた結露工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された円筒状支持体を120秒間保持した。
結露工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、円筒状支持体を入れ、乾燥工程を60分間行い、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
なお、粘度平均分子量(Mv)の測定方法は以下のとおりである。
まず、試料0.5gをメチレンクロライド100mlに溶解し、改良Ubbelohde型粘度計を用いて、25℃における比粘度を測定した。次に、この比粘度から極限粘度を求め、Mark−Houwinkの粘度式により、粘度平均分子量(Mv)を算出した。粘度平均分子量(Mv)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値とした。
作製した電子写真感光体について、感光体表面の凹形状部の測定*1および凹形状部の均一性*2の評価を行った。結果を表4に示す。また、下記評価法で測定した感光体表面の画像を図3に示す。
*1:感光体表面の凹形状部の測定
作製された電子写真感光体の表面を、超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス社製)を用いて観察した。測定対象の電子写真感光体を円筒状支持体を固定できるよう加工された置き台に設置し、電子写真感光体の上端から140mm離れた位置の表面観察を行った。その際、対物レンズ倍率50倍とし、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、凹形状部の測定を行った。
測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。測定視野内にある凹形状部の表面部分(開孔部)の長軸径を測定し、その平均値を算出した。(表4中の長軸径は、このようにして算出された平均長軸径を示す。)また、測定視野内にある凹形状部の最深部と開孔面との距離を測定し、その平均値を算出した。(表4中の深さは、このようにして算出された凹形状部の最深部と開孔面との距離の平均値を示す。)
*2:凹形状部の均一性の評価方法
感光体表面の凹形状部の測定と同様の方法で、感光体表面の100μm四方を視野観察とし、測定を行った。測定視野内に観察された凹形状部を解析プログラムを用いて解析を行った。測定視野内にある凹形状部の表面部分(開孔部)の長軸径を測定し、その平均値(平均長軸径)を算出した。測定視野内にある凹形状部のうち、前述の平均長軸径に対し、0.8倍以上の長軸径あるいは1.2倍以下の長軸径を有する凹形状部の個数を計測した。凹形状部の均一性は、100μm四方あたりの全凹形状部の個数に対し、100μm四方あたりの平均長軸径に対し、0.8倍以上の長軸径あるいは1.2倍以下の長軸径を有する凹形状部の個数の割合より求めた。(表4中の均一性は、(100μm四方あたりの平均長軸径に対し0.8倍以上の長軸径あるいは1.2倍以下の長軸径を有する凹形状部の個数)/(100μm四方あたりの全凹形状部の個数)を示す。)
以上、これらの結果を表4に示す。
(実施例2および3)
実施例1において、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表4に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例4)
実施例1において、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表4に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を180秒に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例5)
実施例1において、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表4に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を20秒に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例6)
実施例1において、表面層用塗布液中の結着樹脂を下記式(P−2)
で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更し、表面層用塗布液中の溶剤を、クロロベンゼン50部、オキソラン10部およびジメトキシメタン40部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
本発明において、樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定したものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が、3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000のものを10点用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
(実施例7)
実施例1において、表面層用塗布液中の結着樹脂を下記式(P−3)
で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):110,000)に変更し、表面層用塗布液中の溶剤を、クロロベンゼン50部、オキソラン30部およびジメトキシメタン20部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例8)
実施例1において、表面層用塗布液中の溶剤を、クロロベンゼン80部およびジメトキシメタン20部に変更し、結露工程における円筒状支持体保持時間を40秒に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例9)
実施例1において、表面層用塗布液中の溶剤をクロロベンゼンから、1,3−ジメチルベンゼンに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例10)
実施例1において、表面層用塗布液中の溶剤をクロロベンゼンから、1,2−ジメチルベンゼンに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例11)
実施例1において、表面層用塗布液中の溶剤を、1,3,5−トリメチルベンゼン60部およびオキソラン40部に変更し、結露工程における円筒状支持体保持時間を200秒に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(実施例12および13)
実施例1において、表面層用塗布液の温度を18℃に冷却し、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表4に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を45秒に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例1および2)
実施例1において、表面層用塗布液中の溶剤を、クロロベンゼン100部に変更し、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表4に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例3)
実施例3において、表面層用塗布液中の溶剤を、クロロベンゼン30部、オキソラン50部およびジメトキシメタン20部に変更した以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例4)
実施例3において、表面層用塗布液中の溶剤を、オキソラン100部に変更した以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例5)
実施例3において、表面層用塗布液中の溶剤を、ジクロロメタン100部(半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメント:1.36、沸点:40℃)に変更した以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
(比較例6)
実施例1において、結露工程を行わず、表面層塗布後、直ちに乾燥工程を行った以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。その結果、感光体表面に凹形状部の形成は見られなかった。
(比較例7)
実施例1において、結露工程における相対湿度と雰囲気温度を、相対湿度40%および雰囲気温度20℃に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。その結果、感光体表面に凹形状部の形成は見られなかった。
以上の結果より、本発明の実施例1乃至13と比較例1乃至5とを比較すると、本発明における結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有し、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層用塗布液を用いることにより、電子写真感光体上に均一性の高い凹形状部を有する電子写真感光体が製造できることがわかる。
また、本発明の実施例1乃至13と比較例6および7とを比較すると、本発明における結露工程を設けることにより電子写真感光体上に均一性の高い凹形状部を有する電子写真感光体が製造できることがわかる。
(実施例14)
23℃、60%の環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性円筒状支持体とした。
導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部および溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、導電性円筒状支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、導電性円筒状支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
さらに、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CTM−2)
で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂として式(P−1)で示される繰り返し単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)40,000]10部、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤(表5中の溶剤A)としてクロロベンゼン65部、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤(表5中の溶剤B)として(メチルスルフィニル)メタン0.1部およびその他の溶剤(表5中の溶剤C)としてジメトキシメタン34.9部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。表面層用塗布液を調合する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
以上のように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、円筒状支持体上に表面層用塗布液を塗布する工程を行った。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
塗布工程終了から20秒後、予め装置内を相対湿度70%および雰囲気温度25℃の状態にされていた結露工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された円筒状支持体を60秒間保持した。
円筒状支持体保持工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、円筒状支持体を入れ、乾燥工程を60分間行い、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
上記製造方法により作製された電子写真感光体に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表5に示す。(表5中の長軸径は、平均長軸径を示す。表5中の深さは、凹形状部の最深部と開孔面との距離の平均値を示す。表5中の均一性は、(100μm四方あたりの平均長軸径に対し、0.8倍以上の長軸径あるいは1.2倍以下の長軸径を有する凹形状部の個数)/(100μm四方あたりの全凹形状部の個数)を示す。)
また、上記製造方法により作製された電子写真感光体に対し、表面層中の双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の表面層中の残留量を以下の手順にて測定した。 本測定方法は、電子写真感光体の表面層を剥離し、得られた表面層片中の揮発成分をヘッドスペース方式のガスクロマトグラフにより検出する方法を用いている。
上記製造方法により作製され、3時間経過後の電子写真感光体の表面層を剥離し、剥離された表面層0.5gを20mlヘッドスペース用バイアルに入れ、その後、バイアルをセプタムを用いてシールした。シール後のバイアルをヘッドスペースサンプラー(ヒューレットパッカード社製HP7694「Head Space Sampler」)に設置し、250℃の状態で、30分間加温した。その後、キャピラリーカラム(横河アナルティカルシステムズ社製 HP−5MS)を付したガスクロマトグラフィー(ヒューレットパッカード社製 HP6890 Series GC System)に導入し、ガスクロマトグラフィーによる検出を行った。定量は、別途作製した検量線用サンプルを用いた検量線との対比により行った。上記測定により、実施例14で作製した感光体の表面層中には、250ppmの双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤が含有されていた。
(実施例15乃至17)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤および結露工程における相対湿度と雰囲気温度を表5に示す条件に変えた以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。また、実施例14と同様に表面層中の双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の表面層中の残留量を測定した。その結果、実施例15では1000ppm、実施例16では3000ppm、実施例17では3000ppmの双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の残留量が確認された。
(実施例18)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を120秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。また、実施例14と同様に表面層中の双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤の表面層中の残留量を測定した結果、10000ppmの残留量が確認された。
(実施例19)
実施例12において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を15秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例20〜25)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変えた以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例26)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を10秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例27および28)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変えた以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例29)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を90秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例30)
実施例14において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を30秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例31)
実施例14において、表面層用塗布液の温度を18℃に冷却し、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を5秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
(実施例32)
実施例14において、表面層用塗布液の温度を18℃に冷却し、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表5に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を30秒に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
以上の、本発明の実施例14乃至32の結果より本発明における結着樹脂、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有し、さらに双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤(溶媒B)を含有する表面層用塗布液を用いることにより、均一性の高い凹形状部を有する電子写真感光体が製造できることがわかる。
また、本発明の実施例17乃至29、31および32と比較例7とを比較すると、表面層用塗布液中に双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤(溶媒B)を含有することにより、相対湿度が低い状態で円筒状支持体保持工程を行っても電子写真感光体表面に、均一性の高い凹形状部が形成されることがわかる。これは、円筒状支持体保持工程において、双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤(溶媒B)が表面層塗布液中に存在することにより、効率的に均一性の高い液滴形成が行われていることによると考えられる。
(実施例33)
23℃、60%の環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性円筒状支持体とした。
導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部および溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を、導電性円筒状支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、導電性円筒状支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
さらに、導電層上に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、式(CTM−1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部、結着樹脂として式(P−1)で示される繰り返し単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)40,000]10部、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤(表6中の溶剤A)としてクロロベンゼン65部、水0.1部およびその他の溶剤(表6中の溶剤C)としてジメトキシメタン34.9部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を調合した。表面層用塗布液を調合する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
以上のように調製した表面層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、円筒状支持体上に表面層用塗布液を塗布する工程を行った。表面層用塗布液を塗布する工程は、相対湿度45%および雰囲気温度25℃の状態で行った。
塗布工程終了から180秒後、予め装置内を相対湿度50%および雰囲気温度25℃の状態にされていた結露工程用装置内に、表面層用塗布液が塗布された円筒状支持体を180秒間保持した。
結露工程終了から60秒後、予め装置内が120℃に加熱されていた送風乾燥機内に、円筒状支持体を入れ、乾燥工程を60分間行い、円筒状支持体上端から130mm位置の平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
上記製造方法により作製された電子写真感光体に対し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表6に示す。(表6中の長軸径は、平均長軸径を示す。表6中の深さは、凹形状部の最深部と開孔面との距離の平均値を示す。表6中の均一性は、(100μm四方あたりの平均長軸径に対し、0.8倍以上の長軸径あるいは1.2倍以下の長軸径を有する凹形状部の個数)/(100μm四方あたりの全凹形状部の個数)を示す。)
(実施例34)
実施例33において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表6に示す条件に変えた以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表6に示す。
(実施例35)
実施例33において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表6に示す条件に変え、円筒状支持体保持時間を90秒に変えた以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表6に示す。
(実施例36乃至38)
実施例33において、表面層用塗布液中の溶剤、結露工程における相対湿度および雰囲気温度を表6に示す条件に変えた以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表6に示す。
実施例33乃至38の結果より本発明における結着樹脂、双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下で含有し、さらに水を含有する表面層用塗布液を用いることにより、電子写真感光体上に均一性の高い凹形状部を有する電子写真感光体が製造できることがわかる。
本発明の凹形状部の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の表面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の断面観察における一形状を示す。 本発明の凹形状部の断面観察における一形状を示す。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す。 実施例1で作製された感光体の表面のレーザー顕微鏡による凹形状部の画像を示す。
符号の説明
101: 円筒状支持体
102: 導電層
103: 中間層
104: 感光層
1041: 電荷発生層
1042: 電荷輸送層
105: 保護層

Claims (7)

  1. 円筒状支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    (1)結着樹脂および半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが1.0以下である芳香族有機溶剤を含有し、芳香族有機溶剤の含有量が表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し50質量%以上80質量%以下である表面層用塗布液を作製し、
    円筒状支持体の表面に表面層用塗布液を塗布する塗布工程、
    (2)表面層塗布液を塗布された円筒状支持体を保持し、表面層塗布液を塗布された円筒状支持体の表面を結露させる結露工程、
    (3)結露工程後、円筒状支持体を乾燥する乾燥工程
    により表面に各々独立した凹形状部が形成された表面層を作製することを特徴とする電子写真感光体製造方法。
  2. 前記結露工程において、円筒状支持体を相対湿度70%以上の雰囲気下で保持することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体製造方法。
  3. 前記表面層用塗布液を作製する工程において、さらに表面層用塗布液中に半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが2.8以上である有機溶剤を表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.1質量%以上15.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体製造方法。
  4. 前記有機溶剤の沸点が、前記芳香族有機溶剤の沸点以上であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体製造方法。
  5. 前記有機溶剤の半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメント計算により求めた双極子モーメントが、3.2以上であることを特徴とする請求項3または4のいずれかに記載の電子写真感光体製造方法。
  6. 前記表面層用塗布液を作製する工程において、表面層用塗布液中に、さらに水を表面層用塗布液中の全溶剤質量に対し0.1質量%以上2.0質量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電子写真感光体製造方法。
  7. 前記芳香族有機溶剤が、1,2−ジメチルベンゼン、1,3−ジメチルベンゼン、1,4−ジメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼンあるいはクロロベンゼンのいずれかより選択される溶剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電子写真感光体製造方法。
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