JP3962003B2 - 車体構造 - Google Patents
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Description
図19は従来の車体構造の概要図である。従来の車体200は、車体前部に前後に延びる左右のフロントサイドフレーム201(一方だけを示す。以下同じ。)を設け、車体中央部に前後に延びる左右のサイドシル202を設け、フロントサイドフレーム201の後端部にエクステンションメンバ203の前端部を接合し、このエクステンションメンバ203を上から見たときに、概ねL字状に形成するとともに後部を大きく広げた拡大部204とし、L字状の後部側部をサイドシル202の前部における内側に接合し、拡大部204の上にフロアパネル205を張ったというものである。拡大部204は複数の補強用ビード206・・・を有する。207は、車体前部のエンジンルームと車体中央部の車室とを仕切るダッシュロアパネルである。208は前輪用ホイールハウスである。
左右のサイドシルの長手途中に左右の上方開口且つコ字状のフロアフレームの後端部を左右のサイドシル側に湾曲させて接合し、それらの接合部分よりも前の位置で且つ接合部分の近傍で左右のサイドシル間に下方開口且つコ字状のクロスメンバを掛け渡し、このクロスメンバにフロアパネルを挟んで左右のフロアフレームをも接合することで、左のサイドシルと左のフロアフレームとクロスメンバとの間の接合部分を平面視略三角形状の接合構造とするともに、右のサイドシルと右のフロアフレームとクロスメンバとの間の接合部分を平面視略三角形状の接合構造としてなり、フロアフレームの後端部は、左右のサイドシルに向けて末広がり形状に形成したことを特徴とする。
また、車体側方から作用した衝突エネルギーを、サイドシルから三角状接合部に伝え、さらに、この三角状接合部からフロアフレーム及びクロスメンバに効率良く分散させることができる。
これに対して請求項1は、サイドシルとフロアフレームの後端部との接合部分よりも前の位置において、左右のサイドシル間にクロスメンバを掛け渡し、このクロスメンバにフロアフレームをも接合したので、その分、フロアフレームの長さを小さくすることができる。しかも、フロアフレームの後端を強固な三角状接合部にて接合したものである。従って、フロアフレームのねじり方向の振動を低減することができる。
自動車等の車両における車体10は、フロアパネルの高さを下げた低床式車体であって、前部で車体前後に延びた左右のフロントサイドフレーム11,11と、これらのフロントサイドフレーム11,11の後部側部に接合した左右のサイドアウトリガー12,12と、これらのサイドアウトリガー12,12の後部から後方へ延びた左右のサイドシル13,13と、これらのサイドシル13,13の後部から後方へ延びた左右のリヤサイドフレーム14,14と、車幅中心(車幅中央)CLで車体前後に延びたフロアトンネル15と、このフロアトンネル15の左右両側方で車体前後に延びたフロアフレーム16,16と、車幅方向に延びた6つのクロスメンバ21〜26とを、主要な構成メンバとした車体フレームである。
第1クロスメンバ21については後述する。第2・第3クロスメンバ22,23は、フロアトンネル15の後方で左右のサイドシル13,13間に掛け渡した部材である。第4・第5・第6クロスメンバ24〜26は、左右のリヤサイドフレーム14,14間に掛け渡した部材である。
具体的には、短いフロアトンネル15の後端部61を左右一対のセンタフレーム31,31を介して、第2クロスメンバ22及び第3クロスメンバ23に接合したものである。センタフレーム31,31は、車幅中心CLの左右両側方に配列して車体前後に延びる部材である。27は、左右のセンタフレーム31,31間に掛け渡した第7クロスメンバである。なお、フロアトンネル15の後端部61を第2クロスメンバ22に直接に接合する構成としてもよい。
このようにして、車幅中心CLから左右両側方へ、車体前後に延びるフロアフレーム16,16及び車体前後に延びるサイドシル13,13を、この順に並列に設けることができる。
図中、35,35は左右の前輪、36,36は左右の後輪である。
図2に示すように車体10は、前部をダッシュボード41にて前部のエンジンルーム42と後部の車室43とに仕切り、エンジンルーム42内で車体前後に延びる左右のフロントサイドフレーム11,11(図1参照)にエンジン搭載用サブフレーム44を取外し可能に取付けたものである。エンジン搭載用サブフレーム44はエンジン45、トランスミッション46並びにステアリング装置47を搭載した部材である。第1クロスメンバ21は、ダッシュボード41の部分における下部に配置したものである。48はエンジン排気用マフラである。
より詳しくは図6に示すように、フロアトンネル15は板材からなる折曲げ成形品であって、正面から見たときに略下向きコ字状(略下向きU字状)に形成した略下向きコ字状断面体であり、左右両端からそれぞれ対抗するサイドシル13,13に向かって延びる水平なフランジ64,64を有する。フロアトンネル15の板厚は、フロアパネル51の板厚よりも大きい。
図7は図6に示す右のフロアフレーム及びフロアトンネル周りの要部拡大図であり、フロアフレーム16とフロアトンネル15との関係を示す。
右のフロアフレーム16は、正面視上開放の略U字状断面のフレーム本体71の上に略平板状のカバー部73を被せて、スポット溶接等によって互いに接合することで、閉断面構造としたビームである。フレーム本体71は上端から左右に延びるフランジ72,72を備える。
右のフロアフレーム16、すなわち、フレーム本体71並びにカバー部73は板材からなる折曲げ成形品である。フレーム本体71並びにカバー部73の板厚は、フロアパネル51の板厚よりも大きい。
一方、フロアトンネル15は、このフロアトンネル15を構成する板材のうち前部側部で略水平な部分の一部、例えば、フランジ64の一部をフロアフレーム16側へ延ばし、この延びた部分をトンネル側の延長部67としたものである。
フロアトンネル15及びフロアフレーム16は車体10の骨格部材なので、これらを構成する板材の板厚は、単なるフロアパネル51の板厚に比べて大きい。このように板厚が大きい板材同士を重ね合わせて接合するだけの極めて簡単な構成であり、しかも、容易に接合することができる。さらには、車体10の重量をより一層抑制することができる。
また、左のフロアフレーム16とフロアトンネル15とを、右のフロアフレーム16とフロアトンネル15との接合構成と同様に接合することは、任意である。
図8は図1の8−8線断面図である(但し、フロアパネル51を設けた状態で表した)。図9は本発明に係る右のサイドシルと右のフロアフレームと関係を示す車体要部の平面図であり、フロアパネルを省略して表した。図10は本発明に係る右のサイドシルと右のフロアフレームと関係を示す車体要部の斜視図であり、フロアパネルを省略して表した。
しかも、フロントサイドフレーム11に前方から衝突エネルギーが作用したとき、この衝突エネルギーはフロントサイドフレーム11からフロアフレーム16へ伝わるが、この伝わった衝突エネルギーを、後端部75からサイドシル13並びに第2クロスメンバ22へ、効率良く分散させることができる。
図11は本発明に係るフロアトンネル、第1クロスメンバ及びダッシュボードの接合構造を示す断面図であり、車幅中心において車体を左側方から見た断面構造を表した。図12は図11の12−12線断面図である。図13は図11の13−13線断面図である。図14は本発明に係るフロアトンネル、第1クロスメンバ及びダッシュボードの分解図である。図15は本発明に係るフロアトンネル及び第1クロスメンバの分解図である。
メンバ前半部90は、前方へ突出した断面視略L字状(図11参照)の本体部91と、そのL字状断面体からなる本体部91の上端から上方へ延びた上部フランジ92と、本体部91の下端から後方へ延びた水平な下部フランジ93と、本体部91の左右両端から側方へ延びた左右の側部フランジ94,94とからなる。
第1クロスメンバ21はダッシュボード41と組合せることによって、車幅方向に延びる閉断面体とすることができる。閉断面体の第1クロスメンバ21であるから、強度や剛性が大きい。しかも、閉断面体の一部としてのダッシュボード41を有効利用するので、軽量化になる。
メンバ後半部100における本体部101及び延長部102、すなわち下向きコ字状断面体は、左右の上部コーナ105,105(図15参照)を一段下がった段差状に形成することで、左右の段差部106,106を有する。段差部106は、上面から下方へ延びた垂下部106aと、垂下部106aの下端から側方へ延びた段差面部106bとからなる。
これに対して本発明は、これらの振動を第1クロスメンバ21で吸収するだけではなく、延長部102を介してフロアトンネル15に伝え、この部分でも吸収することができる。このため、車体10の振動吸収性能を高めることができる。
さらには、延長部102にフロアトンネル15を接合する部分の剛性をより高めたので、この高剛性の部分及びフロアトンネル15でも走行振動を吸収することができる。
さらにまた、延長部102にフロアトンネル15を接合する部分の剛性をより高めたので、車体10全体の剛性をより高めることができる。この結果、車両の操縦安定性をより高めることができる。
図16(a)〜(c)はフロアトンネルの作用図である。(a)は実施例のフロアトンネル15を左側方から見た構成を示す。(b)は実施例のフロアトンネル15を左上方から見た構成を示す。(c)は比較例のフロアトンネル15Aを左上方から見た構成を示す。
上記図1に示す車体10の前面に衝突エネルギーが作用することで、車体10前部が塑性変形したときに、車体10前部に取付けられたサブフレーム44及びサブフレーム44に取付けられたエンジン45は後方へ移動する。この結果、後退した高位のエンジン45が図16(c)に示すフロアトンネル15Aの前上端68Aに当たることで、この前上端68に衝突エネルギーE1が作用する。また、後退した低位のサブフレーム44(図1参照)からフロアトンネル15Aの前下端69Aに衝突エネルギーE2が作用する。
しかも、衝突エネルギーE1,E2をフロアトンネル15から車体後部へ効率良く伝えるための部材を設ける必要がないので、車体重量を抑制することができる。
さらには、フロアトンネル15の後半部の高さを下げて車室を広くすることができ、この結果、車室の居住性を高めることができる。
図17(a),(b)はフロアトンネルとフロアフレームとの接合構造の作用図である。(a)は実施例のフロアトンネル15とフロアフレーム16との接合構造を右上方から見た構成を示す。(b)は比較例のフロアトンネル15とフロアフレーム16とを右上方から見た構成を示す。
車体10Aに前方から衝突エネルギーEnが作用したときに、この衝突エネルギーEnはフロアフレーム16を介してフロアパネル51に分散しつつ伝わるとともに、フロアトンネル15からフロアパネル51に分散しつつ伝わる。このような場合に、フロアトンネル15の塑性変形量に対して、フロアフレーム16の後退量や塑性変形量を同一に設定することは困難である。このため、フロアトンネル15とフロアフレーム16との間で、フロアパネル51が変形し得る。
しかも、フロアトンネル15の前部側部とフロアフレーム16の前部側部とを直接に接合しただけの構成なので、新たな接合部材を設ける必要がなく、車体10の構成が簡単であり、車体10の重量を抑制することができる。
図18(a)〜(c)は車体の作用図である。(a)は実施例の車体10に車体前方から衝突エネルギーEfが作用した状態を上方から見た図である。(b)は実施例の車体10に車体側方から衝突エネルギーEsが作用した状態を上方から見た図である。(c)は比較例の車体10Bに車体前方の衝突エネルギーEf及び車体側方の衝突エネルギーEsfが作用した状態を上方から見た図である。
一方、車体10Bの側方から作用した衝突エネルギーEsを、サイドシル13からクロスメンバ151に伝えることができる。しかし、クロスメンバ151から、これと直交するフロアフレーム16に衝突エネルギーEsを効率良く分散させるには、改良の余地がある。
また、(b)に示すように、車体10側方から作用した衝突エネルギーEsを、サイドシル13から三角状接合部85に伝え、さらに、この三角状接合部85からフロアフレーム16及び第2クロスメンバ22に効率良く分散させることができる。
これに対して実施例では、サイドシル13とフロアフレーム16の後端部との接合部分よりも前の位置において、左右のサイドシル13間に第2クロスメンバ22を掛け渡し、この第2クロスメンバ22にフロアフレーム16をも接合したので、その分、フロアフレーム16の長さを小さくすることができる。しかも、フロアフレーム16の後端を強固な三角状接合部85にて接合したものである。従って、フロアフレーム16のねじり方向の振動を低減することができる。
Claims (1)
- 車幅中心から左右両側方へ、車体前後に延びるフロアフレーム及び車体前後に延びるサイドシルをこの順に並列に設け、前記左右のフロアフレームの前端から前方へ左右のフロントサイドフレームを延ばした車体構造において、
前記車体構造は、前記左右のサイドシルの長手途中に前記左右の上方開口且つコ字状のフロアフレームの後端部を前記左右のサイドシル側に湾曲させて接合し、それらの接合部分よりも前の位置で且つ接合部分の近傍で左右のサイドシル間に下方開口且つコ字状のクロスメンバを掛け渡し、このクロスメンバにフロアパネルを挟んで前記左右のフロアフレームをも接合することで、左のサイドシルと左のフロアフレームとクロスメンバとの間の接合部分を平面視略三角形状の接合構造とするともに、右のサイドシルと右のフロアフレームとクロスメンバとの間の接合部分を平面視略三角形状の接合構造としてなり、
前記フロアフレームの後端部は、前記左右のサイドシルに向けて末広がり形状に形成したことを特徴とする車体構造。
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