JP5848628B2 - 車体後部構造 - Google Patents
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しかしながら、ラゲッジスペースには限界があるため、上述した特許文献1のようにIPUの周囲を取り囲むように保護フレームを配置することで、保護フレームの内側に配置されるIPUが小さくなる。したがって、航続距離が短くなるという問題もある。
この場合、従来のように保護ガードが電気機器の全周を取り囲む必要がないので、部品点数の削減、及び軽量化を図ることができる。また、保護ガードが電気機器の後面及び車幅方向両側の上下部のみしか配索されていないので、バッテリ保護ガードの設置スペースを抑制でき、これに伴い保護ガードの内側(前方)に配置される電気機器の大型化を図ることができる。
その結果、部品点数の削減、軽量化、及び電気機器の大型化を図った上で、バッテリを確実に保護できる。
図1,2に示すように、本実施形態における車体1の後部構造2は、前後方向に沿って延在する左右一対のリヤフレーム11と、リヤフレーム11間に配置され、スペアタイヤ(不図示)を収容するスペアタイヤパン12と、スペアタイヤパン12の前端縁に接続されて車体1の後部床面をなすリヤフロア13と、を備えている。
図2に示すように、リヤフロア13は、車幅方向両端部がリヤフレーム11に接続されるとともに、後端部がスペアタイヤパン12の前端部に接続されている。具体的に、リヤフロア13は、リヤフレーム11間において前後方向に有段形成されており、スペアタイヤパン12の前端部から前方に向けて延在する上段部15と、上段部15の前端縁から前方に向かうに従い下方に向けて傾斜する傾斜部17と、傾斜部17の前端縁から前方に向けて延在する下段部16と、を備えている。
また、リヤフロア13における下段部16及び傾斜部17の上方には、複数のリヤシート22が車幅方向に並んで設置されている。各リヤシート22は、シートクッション23a(図7参照)及びシートバック23bを有し、車室内とラゲッジスペースとを仕切っている。
図1,3に示すように、シートバック23bの上部後方には、車幅方向に沿って延在するパーセルクロスメンバ25(図3参照)が設けられている。このパーセルクロスメンバ25は、車幅方向両端部において、対応するダンパハウジング21の上部にそれぞれ固定されている。また、パーセルクロスメンバ25の上方には、パーセルクロスメンバ25との間で閉断面構造をなすリヤパーセルシェルフ26が設けられている。このリヤパーセルシェルフ26は、上下方向を厚さ方向として配置されるとともに、パーセルクロスメンバ25の後端部よりも後方に延在している。また、リヤパーセルシェルフ26における両端部の上方には、補強部材27が設けられている。この補強部材27は、パーセルクロスメンバ25と、リヤパーセルシェルフ26と、の閉断面に連通するようにリヤパーセルシェルフ26に連結されている。なお、図6に示す符号29は、補強部材27とパーセルクロスメンバ25との後部同士を連結する連結壁29である。
図3,4に示すように、リヤフレーム11は、アッパリヤフレーム31と、ロアリアフレーム32とが上下方向に接合されることで、断面視矩形状の閉断面構造をなしており、前後方向に沿って延在している。具体的に、リヤフレーム11は、スペアタイヤパン12、及びリヤフロア13の上段部15の両側において、前後方向に沿って延在する後方延在部33と、後方延在部33の前端から前方に向かうに従い下方、かつ車幅方向の外側に向けて湾曲しながら延在するキックアップ部34と、を備えている。
また、リヤフレーム11内において、キックアップ部34と後方延在部33との境界部分には、バルクヘッド38が配設されている。バルクヘッド38は、リヤフレーム11内を前後方向に遮るように配置され、その外周縁がリヤフレーム11の内面に接合されている。
図2,5に示すように、各キックアップ部34の前端部は、車体骨格部材である左右のサイドシル40にそれぞれ接続されている。また、各キックアップ部34内の前端部には、キックアップ部34内及びサイドシル40内を跨って補強フレーム41が配設されている。補強フレーム41は、スチフナ42と、スチフナ42を下方から覆う補強部材43と、により閉断面構造をなしている。そして、スチフナ42の上面がキックアップ部34のうちアッパリヤフレーム31の内面に接合されることで、補強フレーム41がキックアップ部34内に配置されている。
横フレーム52は、左右方向に沿って連続的に閉断面構造をなす部材であり、車幅方向の中央部が両端部よりも低位に配置されるとともに、これら両端部から中央部に向かうに従い漸次下方に向けて傾斜している。横フレーム52の両端部は、リヤフレーム11上でガゼット37に固定されている。
図1,3,6に示すように、IPU3の後方であって、上述した各外側ダクト55bの内側には、IPU3を後方から囲むIPU保護ガード(保護ガード)61が設けられている。このIPU保護ガード61は、IPU3の下部両側をリヤフレーム11の上面に倣って延びる下横メンバ62と、下横メンバ62の後端部から上方に向けて立設された縦メンバ63と、縦メンバ63の上端部から前方に向けて延在する上横メンバ64と、IPU3の後面に沿って縦メンバ63間を架け渡すX字メンバ65と、を備えている。
図3,5,7,8に示すように、下横メンバ62の前端締結部66は、キックアップ部34上において、上述したシートバック23b(図7中ではシートバック23bのシートバックフレームを示す)の固定部23cの近傍(実施形態では固定部23cの後方)に配設されている。前端締結部66には、ロア部材69及びアッパ部材70のうち、上方から見て重なる位置に貫通孔71,72が形成されている。また、前端締結部66内には、貫通孔71,72と重なる位置に挿入孔73aを有する筒状のカラー73が配設されている。このカラー73は、上端部がアッパ部材70の下面に当接する一方、下端部が貫通孔72を通してロア部材69よりも下方に突出した状態で、前端締結部66内に保持されている。したがって、前端締結部66は、カラー73の下面がキックアップ部34上に当接した状態で配置されている。
締結部材77は、頭部が台座部76の上面に当接する一方、先端部分がリヤフレーム11におけるバルクヘッド38の後方で締結されている。
図2,9,10に示すように、後端締結部68は、上述したリヤフレーム11の低強度部36及び高強度部35の境界部分(ガゼット37の配設箇所)、具体的にはIPU3の後端位置と同等の位置に配置され、後方に向かうに従い車幅方向の内側に向けて漸次拡幅されている。また、後端締結部68のうち、ロア部材69側には、上述した中間締結部67と同様に下方に向けて膨出する台座部81が形成されている。すなわち、下横メンバ62は、上述したカラー73、及び各台座部76,81によってリヤフレーム11の上面に当接しており、これによりロア部材69の下面のうち、各締結部66〜68以外の部分ではリヤフレーム11との間に上下方向に隙間が形成されている。なお、後端締結部68は、IPU3の近傍であれば、IPU3の後端位置よりも前側に配置しても後側に配置しても構わない。
締結部材82は、頭部が台座部81の上面に当接する一方、先端部分がリヤフレーム11における高強度部35と低強度部36との境界部分で締結されている。なお、下横メンバ62の後端部は、ロア部材69及びアッパ部材70が上下方向に接合されることで、閉塞されている。
図6,9,11に示すように、縦メンバ63は、上下方向に沿って連続的に閉断面構造をなすアルミ合金の押出成形等からなる部材であり、その下端部が上述した下横メンバ62における後端締結部68の後端面にスタッドボルト等の締結部材85により締結されている。また、縦メンバ63内には、内部を左右方向で仕切るリブ86(図9参照)が設けられている。
図6,12に示すように、X字メンバ65は、車幅方向に沿う一方側の縦メンバ63の上端部と他方側の縦メンバ63の下端部とを接続する第1メンバ91と、他方側の縦メンバ63の上端部と一方側の縦メンバ63の下端部とを接続する第2メンバ92と、が縦メンバ63間を対角線上に架け渡されて構成されている。
第1メンバ91は、アルミ押出成形等により形成された閉断面構造をなす部材であり、車幅方向に沿う右側端部が一方側の縦メンバ63の上端部に接続され、左側端部が他方側の縦メンバの下端部に接続されている。
また、例えば図11,13に示すように、第2メンバ92と縦メンバ63との接続部分には、それぞれ後方からコーナプレート94が接合されている。これらコーナプレート94は、その前面において、第2メンバ92及び縦メンバ63にミグ溶接等により接合されている。すなわち、第2メンバ92と縦メンバ63とはコーナプレート94を介してそれぞれ連結されている。
さらに、コーナプレート94の前面において、第2メンバ92の延在方向と縦メンバ63の延在方向とがなす角の内側には、第2メンバ92、縦メンバ63、及びコーナプレート94間を接合するコーナ部材95が設けられている。これらコーナ部材95は、角筒状に形成され、その後端部分がコーナプレート94に接合されている。なお、図11,13では、第2メンバ92と一方側の縦メンバ63との接続部分を示すが、各第1メンバ91及び第2メンバ92と縦メンバ63との接続部分においても同様の構成である。
まず、図14に示すように、後突時等において、車体1における各リヤフレーム11の後端に、前方に向けて入力荷重Fが作用すると、リヤフレーム11の低強度部36が座屈変形を始める。このとき、リヤフレーム11のうち、前部の高強度部35を後部の低強度部36に比べて高強度に形成することで、低強度部36のみを座屈変形させ、入力荷重Fを効率的に吸収できる。
そして、入力荷重Fは、第1メンバ91、及び第2メンバ92の前端部において、補強部材27に伝達されることになる。これにより、IPU保護ガード61に伝達された入力荷重Fが、IPU3を迂回しながら補強部材27に伝達されることになるので、IPU3に入力荷重Fが直接作用するのを抑制できる。
この場合、従来のようにIPU保護ガード61がIPU3の全周を取り囲む必要がないので、部品点数の削減、及び軽量化を図ることができる。また、IPU保護ガード61がIPU3の後面及び車幅方向両側の上下部のみしか配索されていないので、IPU保護ガード61の設置スペースを抑制でき、これに伴いIPU保護ガード61の内側(前方)に配置されるIPU3の大型化を図ることができる。
その結果、部品点数の削減、軽量化、及びIPU3の大型化を図った上で、IPU3を確実に保護できる。
また、X字メンバ65と縦メンバ63とをコーナプレート94及びコーナ部材95により連結することで、結合強度を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、下横メンバ62の後端部を拡幅に形成することで、この拡幅した下横メンバ62の後端部にIPU保護ガード61及び後端締結部68を配置することができ、組み付けのレイアウト性を向上させることができる。
例えば、上述した実施形態では、本発明の車体後部構造をセダン型の車両に適用した場合について説明したが、これに限らず、種々の車両に適用可能である。
また、本発明は、ハイブリッド自動車や、電気自動車、燃料電池自動車等、バッテリを動力源として駆動する車両に広く適用できる。
また、上述した実施形態では、縦メンバ63とX字メンバ65の接続部分にコーナプレート94を後方から接合する場合について説明したが、これに限らず、前後両側から接合してもよく、前方側から接合してもよい。
Claims (7)
- 車幅方向に沿う両側で車体前後方向に沿って延在する左右一対のリヤフレームと、
前記リヤフレーム間に配置され、走行用電動機に電力を供給する電気機器と、を備えた車体後部構造において、
前記電気機器を後方から囲む保護ガードを備え、
前記保護ガードは、
前記電気機器に対して車幅方向両側において、前記電気機器の上部を前後方向に沿って延在する左右一対の上横メンバと、
前記電気機器に対して車幅方向両側において、前記電気機器の下部を前後方向に沿って延在する左右一対の下横メンバと、
前記電気機器の後面に沿ってX字状に延在するX字メンバと、を備え、
前記X字メンバは、
前記各上横メンバのうち車幅方向に沿う一方側の前記上横メンバ、及び前記各下横メンバのうち車幅方向に沿う他方側の前記下横メンバ同士、並びに、他方側の前記上横メンバ、及び一方側の前記下横メンバ同士をそれぞれ架け渡していることを特徴とする車体後部構造。 - 前記保護ガードは、前記X字メンバのうち、車幅方向に沿う一方側の端部同士、及び他方側の端部同士を上下方向で架け渡す縦メンバを備え、
前記X字メンバ及び前記縦メンバは、それぞれ閉断面構造をなし、
前記下横メンバ及び前記上横メンバは、鋼管からなることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
- 前記縦メンバの上下両端部は、それぞれ上下の前記横メンバにおける後端部に締結されていることを特徴とする請求項2記載の車体後部構造。
- 前記縦メンバには、内部を車幅方向に仕切るリブが形成されていることを特徴とする請求項2または請求項3記載の車体後部構造。
- 前記X字メンバと前記縦メンバとの接続部分において、前記Xメンバの延在方向と前記縦メンバの延在方向とがなす角の内側には、前記Xメンバ及び前記縦メンバとをそれぞれ連結するコーナ部材が設けられ、
前記接続部分には、前記コーナ部材、前記Xメンバ及び前記縦メンバに対して前後方向側から接合するコーナプレートが設けられていることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の車体後部構造。 - 前記縦メンバを挟んで前記電気機器の反対側には、前記電気機器を冷却するための冷却風が流通する冷却風ダクトが延在し、
前記上横メンバ及び前記下横メンバは、前方に向かうに従い車幅方向の外側に向けてそれぞれ延設されていることを特徴とする請求項2から請求項5の何れか1項に記載の車体後部構造。 - 前記下横メンバの後端部は、後方に向かうに従い車幅方向に沿って拡幅されるとともに、前記リヤフレームの後端部に締結される締結部を備えていることを特徴とする請求項2から請求項6の何れか1項に記載の車体後部構造。
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