JP5948309B2 - 車体構造 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、乗員が搭乗する乗員室(例えば、実施形態の乗員室2)と、該乗員室の前部に設けられる車両前部室(例えば、実施形態の車両前部室3)と、前記乗員室と前記車両前部室の間に配置される前部側隔壁部(例えば、実施形態の前部側隔壁部5)と、前記乗員室の下方の車幅方向中央に、車体前後方向に沿って延設されるフロアトンネル部(例えば、実施形態のフロアトンネル部9)と、を備え、前記前部側隔壁部が、車幅方向に沿って延出する第1ダッシュボードクロスメンバ(例えば、実施形態の第1ダッシュボードクロスメンバ18)と、該第1ダッシュボードクロスメンバの下方で車幅方向に沿って延出する第2ダッシュボードクロスメンバ(例えば、実施形態の第2ダッシュボードクロスメンバ19)と、を有し、前記フロアトンネル部が、下向きに開口するハット型断面形状が車体前後方向に沿って延出し前記乗員室の床部に固定される下部トンネル部材(例えば、実施形態の下部トンネル部材20L)と、下向きに開口する略コ字状の断面形状が車体前後方向に沿って延出し、左右の開口縁が前記下部トンネル部材の上端側の側縁部に沿って接合される上部トンネル部材(例えば、実施形態の上部トンネル部材20U)と、を有し、前記上部トンネル部材と前記下部トンネル部材は相互に接合されて、両者の間で車体前後方向に沿う略矩形状の閉断面部を構成しており、前記上部トンネル部材の前端部が前記第1ダッシュボードクロスメンバの後面に突き当てられて固定されているとともに、前記下部トンネル部材の前端部が前記第2ダッシュボードクロスメンバの後面に突き当てられて固定されていることを特徴とするものである。
これにより、例えば、車両の前方側から大きな衝撃荷重が入力されると、その衝撃荷重は、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバに入力され、第1ダッシュボードクロスメンバに入力された荷重は上部トンネル部材に、第2ダッシュボードクロスメンバに入力された荷重は下部トンネル部材にそれぞれ入力される。このため、車両に入力された荷重は上部トンネル部材と下部トンネル部材に分散されて車体後方側に伝達されることになる。
また、特に前方からのオフセット衝突の際には、車両前部の左右の一方のフロントサイドフレームを介して入力された大きな荷重が、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバに分散して入力される。このため、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバの2本で効率良く荷重を受け止め、フロアトンネル部や車幅方向反対側に効率良く荷重を分散して車両の広い領域で荷重を吸収することができる。
これにより、上部トンネル部材の前端部が第1クロスメンバ本体部の略コ字状断面内の第1補強部材に固定されることから、第1クロスメンバ本体部の断面が第1補強部材によって補強されるとともに、上部トンネル部材が第1ダッシュボードクロスメンバに対して上下方向の広い範囲で剛的に結合されることになる。このため、第1ダッシュボードクロスメンバと上部トンネル部材の前端部との間で荷重をより効率良く伝達することが可能になる。
これにより、下部トンネル部材の前端部が第2クロスメンバ本体部の略コ字状断面内の第2補強部材に固定されることから、第2クロスメンバ本体部の断面が第2補強部材によって補強されるとともに、下部トンネル部材が第2ダッシュボードクロスメンバに対して上下方向の広い範囲で剛的に結合されることになる。このため、第2ダッシュボードクロスメンバと下部トンネル部材の前端部との間で荷重をより効率良く伝達することが可能になる。
これにより、車両前部室のサイドフレームに入力された荷重は、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバに分散して伝達されることになる。このため、サイドフレームに入力された荷重を上部トンネル部材と下部トンネル部材に効率良く分散させることが可能になる。
これにより、車両前部室のサイドフレームに入力された荷重は、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバに伝達され、さらに、これらから上部トンネル部材と下部トンネル部材に伝達されるとともに、左右のアウトリガを介して左右のサイドシルにも伝達されることになる。したがって、サイドフレームに入力された荷重をより多くの骨格部材に分散させることが可能になる。
これにより、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバに車体前後方向から入力された衝撃荷重は、フロアトンネル部の上部トンネル部材と下部トンネル部材を介して後部のバルクヘッドクロスメンバに伝達される。また、フロアトンネル部の前部領域において車幅方向から衝撃荷重が入力された場合には、その衝撃荷重は、第1ダッシュボードクロスメンバ及び第2ダッシュボードクロスメンバと、これらに上部トンネル部材と下部トンネル部材を介して連結されたバルクヘッドクロスメンバとによって受け止められるようになる。車体設計上、乗員室の床部と第1,第2ダッシュボードクロスメンバの高さを低くする必要がある場合にも、後部のバルクヘッドクロスメンバによって側方からの衝撃荷重を効率良く受け止めることが可能になる。
これにより、車体組付時には、第1ダッシュボードクロスメンバと第2ダッシュボードクロスメンバを、それぞれ中央部材と側部部材とに分割し、各中央部材のみを上部トンネル部材と下部トンネル部材の前端部に予め別の場所で組み付けておき、車体側に組み付けた側部部材に対して中央部材とフロアトンネル部の組付体を後から容易に組み付けることができる。
この実施形態の車両1は、エンジンが車体後部に搭載され、そのエンジンによって後輪を駆動する後輪駆動車両である。車両1の乗員室2の前方には、フロント側のサスペンション装置等が収容される車両前部室3が配置され、乗員室2の後方側には車両後部室であるエンジンルーム4が配置されている。乗員室2と車両前部室3の間は前部側隔壁部5によって仕切られ、乗員室2とエンジンルーム4の間は後部側隔壁部6によって仕切られている。乗員室2の左右両側の側部下方には、車体前後方向に沿う骨格部材であるサイドシル7が配置されている。左右のサイドシル7は、車体前後方向の中央領域同士がフロアクロスメンバ14等の複数のクロスメンバによって相互に連結されている。また、左右のサイドシル7の間には、乗員室2の床部を成す左右のフロアパネル8が敷設され、左右のフロアパネル8の間には、乗員室2の下方で車体前後方向に沿って延出するフロアトンネル部9が配置されている。
左右のフロントサイドフレーム10は、後部側のフロントフロアフレーム13との接合部から上方に湾曲し、その湾曲部の前端側から車両前方側に略水平に延出している。左右のフロントサイドフレーム10の後縁部には、車幅方向に沿って延出する第1ダッシュボードクロスメンバ18と第2ダッシュボードクロスメンバ19が結合されている。第1ダッシュボードクロスメンバ18は、両端部が左右のフロントサイドフレーム10の車幅方向内側の側面に接合されており、第2ダッシュボードクロスメンバ19は、両端部が、第1ダッシュボードクロスメンバ18よりも後部下方位置において、左右のフロントサイドフレーム10の下面と車幅方向内側の側面とに接合されている。第1ダッシュボードクロスメンバ18と第2ダッシュボードクロスメンバ19の後面(車体後方側に向く面)にはダッシュボードパネル12が接合されている。
なお、この実施形態においては、第1ダッシュボードクロスメンバ18と第2ダッシュボードクロスメンバ19がダッシュボードパネル12とともに前部側隔壁部5を構成している。また、前述した左右のアウトリガ11は、左右の対応するフロントサイドフレーム10における第1ダッシュボードクロスメンバ18との接合部と、第2ダッシュボードクロスメンバ19との接合部とに跨る前後方向領域に接合されている。
第1ダッシュボードクロスメンバ18は、車体後方側に向かって開口する略コ字状断面の第1クロスメンバ本体部21と、第1クロスメンバ本体部21の車幅方向中央領域の略コ字状断面内に固定された一対の取付ブラケット22(第1補強部材)と、を備えている。第1クロスメンバ本体部21は、略コ字状断面の上下の開口縁にフランジ部21aが設けられ、これらのフランジ部21aの車体後方側に向く面にダッシュボードパネル12が接合されるようになっている。また、取付ブラケット22は、第1クロスメンバ本体部21の内側底面に接合される接合部から第1クロスメンバ本体部21の開口側に向かって垂立する支持壁22aと、支持壁22aの上端から車幅方向外側に屈曲するフランジ部22bと、を備え、フランジ部22bの車体後方側に向く面にダッシュボードパネル12が接合されるようになっている。
なお、この実施形態では、第1クロスメンバ本体部21は、車幅方向中央に配置されるパネル材と、そのパネル材の車幅方向両側に接合される別のパネル材がボルト締結等によって連結されるようになっている。車幅方向中央のパネル材には、予め取付ブラケット22が溶接固定され、最終組み付け時に、中央のパネル材の両縁部が車幅方向両側のパネル材に結合される。この実施形態においては、車幅方向中央のパネル材と取付ブラケット22が中央部材18Cを構成し、車幅方向両側のパネル材が側部部材18Sを構成している。
また、第1クロスメンバ本体部21の車幅方向中央の下端には、車体後方側に向かって突出する下端フランジ部21bが設けられている。この下端フランジ部21bは、下部トンネル部材20Lの頂部面を構成する上壁とほぼ同高さから車体後方に突出しており、その突出部分の上面は下部トンネル部材20Lの前記上壁の前端部の下面に接合されている。このため、第1ダッシュボードクロスメンバ18に、例えば、前方から荷重が入力されると、その荷重は、下端フランジ部21bを介して下部トンネル部材20Lにも伝達されることになる。
第2ダッシュボードクロスメンバ19は、車体後方側に向かって開口する略コ字状断面の第2クロスメンバ本体部23と、第2クロスメンバ本体部23の車幅方向中央領域の略コ字状断面内に固定された一対の取付ブラケット24(第2補強部材)と、を備えている。第2クロスメンバ本体部23は、略コ字状断面の上下の開口縁にフランジ部23aが設けられ、これらのフランジ部23aの車体後方側に向く面にダッシュボードパネル12が接合されるようになっている。取付ブラケット24は、第2クロスメンバ本体部23の内側底面に接合される接合部から第2クロスメンバ本体部23の開口側に向かって垂立する支持壁24aと、支持壁24aの上端から車幅方向内側に屈曲するフランジ部24bと、を備え、フランジ部24bの車体後方側に向く面にダッシュボードパネル12が接合されるようになっている。
この実施形態では、第2クロスメンバ本体部23は、車幅方向中央に配置されるパネル材と、そのパネル材の車幅方向両側に接合される別のパネル材がボルト締結等によって連結されるようになっている。車幅方向中央のパネル材には、予め取付ブラケット24が溶接固定され、最終組み付け時に、中央のパネル材の両縁部が車幅方向両側のパネル材に結合される。車幅方向中央のパネル材と取付ブラケット24は、第2ダッシュボードクロスメンバ19の中央部材19Cを構成し、車幅方向両側のパネル材は、第2ダッシュボードクロスメンバ19の側部部材19Sを構成している。
バルクヘッドクロスメンバ15の下面は、車幅方向の中央領域が上方側に窪むように左右の縁部が傾斜した形状とされている。上部トンネル部材20Uと下部トンネル部材20Lの後端部は、下面高さが最も高くなるバルクヘッドクロスメンバ15の車幅方向中央領域に接合される。バルクヘッドクロスメンバ15は、車体前方側に向かって開口する略コ字状断面のメンバ本体部25と、メンバ本体部25の車幅方向中央領域の略コ字状断面内に固定された一対の取付ブラケット26と、を備えている。メンバ本体部25は、略コ字状断面の上下の開口縁にフランジ部25aが設けられている。また、取付ブラケット26は、メンバ本体部25の内側底面に接合される一対の支持壁26aと、その一対の支持壁26aの延出端を連結する接合壁26bと、を有している。
また、バルクヘッドクロスメンバ15の車幅方向中央の下端には、車体前方側に向かって突出する下端フランジ部15aが設けられている。この下端フランジ部15aは、下部トンネル部材20Lの頂部面を構成する上壁の後端部とほぼ同高さから車体前方に突出しており、その突出部分の上面は下部トンネル部材20Lの前記上壁の後端部の下面に接合されている。
特に、この実施形態の場合、上部トンネル部材20Uの前端部が取付ブラケット22だけでなく、第1クロスメンバ本体部21のフランジ部21aにも跨って結合されているため、第1ダッシュボードクロスメンバ18に対する上部トンネル部材20Uの前端部の接合領域をより広くし、接合部剛性をより高めることができる。
この実施形態の場合、下部トンネル部材20Lの前端部が取付ブラケット24だけでなく、第2クロスメンバ本体部23のフランジ部23aにも跨って結合されているため、第2ダッシュボードクロスメンバ19に対する下部トンネル部材20Lの前端部の接合領域をより広くして接合部剛性をより高めることができる。
なお、この実施形態においては、上部トンネル部材20Uと下部トンネル部材20Lの両方の上壁が前方から後方に向かって上方に傾斜しているが、下部トンネル部材20Lの上壁のみが前方から後方に向かって上方に傾斜するようにしても良い。
3…車両前部室
4…エンジンルーム(車両後部室)
5…前部側隔壁部
6…後部側隔壁部
7…サイドシル
9…フロアトンネル部
10…フロントサイドフレーム(サイドフレーム)
11…アウトリガ
15…バルクヘッドクロスメンバ
18…第1ダッシュボードクロスメンバ
18C…中央部材
18S…側部部材
19…第2ダッシュボードクロスメンバ
19C…中央部材
19S…側部部材
20U…上部トンネル部材
20L…下部トンネル部材
21…第1クロスメンバ本体部
22…取付ブラケット(第1補強部材)
23…第2クロスメンバ本体部
24…取付ブラケット(第2補強部材)
Claims (7)
- 乗員が搭乗する乗員室と、
該乗員室の前部に設けられる車両前部室と、
前記乗員室と前記車両前部室の間に配置される前部側隔壁部と、
前記乗員室の下方の車幅方向中央に、車体前後方向に沿って延設されるフロアトンネル部と、を備え、
前記前部側隔壁部が、車幅方向に沿って延出する第1ダッシュボードクロスメンバと、該第1ダッシュボードクロスメンバの下方で車幅方向に沿って延出する第2ダッシュボードクロスメンバと、を有し、
前記フロアトンネル部が、下向きに開口するハット型断面形状が車体前後方向に沿って延出し前記乗員室の床部に固定される下部トンネル部材と、下向きに開口する略コ字状の断面形状が車体前後方向に沿って延出し、左右の開口縁が前記下部トンネル部材の上端側の側縁部に沿って接合される上部トンネル部材と、を有し、前記上部トンネル部材と前記下部トンネル部材は相互に接合されて、両者の間で車体前後方向に沿う略矩形状の閉断面部を構成しており、
前記上部トンネル部材の前端部が前記第1ダッシュボードクロスメンバの後面に突き当てられて固定されているとともに、前記下部トンネル部材の前端部が前記第2ダッシュボードクロスメンバの後面に突き当てられて固定されていることを特徴とする車体構造。 - 前記第1ダッシュボードクロスメンバは、車体後方側に開口する略コ字状断面の第1クロスメンバ本体部と、該第1クロスメンバ本体部の略コ字状断面内に固定される第1補強部材と、を有し、
前記上部トンネル部材の前端部は、前記第1補強部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記第2ダッシュボードクロスメンバは、車体後方側に開口する略コ字状断面の第2クロスメンバ本体部と、該第2クロスメンバ本体部の略コ字状断面内に固定される第2補強部材と、を有し、
前記下部トンネル部材の前端部は、前記第2補強部材に固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の車体構造。 - 前記車両前部室の車幅方向両側に車体前後方向に沿って延出する一対のサイドフレームが設けられ、
前記第1ダッシュボードクロスメンバと前記第2ダッシュボードクロスメンバの各両端部が一対の前記サイドフレームにそれぞれ接続されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記乗員室の車幅方向両側に車体前後方向に沿って延出する一対のサイドシルと、
一対の前記サイドフレームから車幅方向外側に延出して、それぞれ左右の対応する前記サイドシルに接続される一対のアウトリガと、を備え、
前記アウトリガは、前記サイドフレーム上における前記第1ダッシュボードクロスメンバとの接続部と、前記第2ダッシュボードクロスメンバとの接続部と、に跨る前後方向領域に接続されることを特徴とする請求項4に記載の車体構造。 - 前記乗員室の後部に設けられる車両後部室と、
前記乗員室と前記車両後部室の間に配置される後部側隔壁部と、を備え、
前記後部側隔壁部は車幅方向に沿って延出するバルクヘッドクロスメンバを有し、
少なくとも前記下部トンネル部材の上壁が前方から後方に向かって上方に傾斜し、前記上部トンネル部材及び前記下部トンネル部材の後端部が前記バルクヘッドクロスメンバに結合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記第1ダッシュボードクロスメンバは、前記上部トンネル部材の前端部が固定される中央部材と、該中央部材の両端部にそれぞれ接続される一対の側部部材と、を有し、
前記第2ダッシュボードクロスメンバは、前記下部トンネル部材の前端部が固定される中央部材と、該中央部材の両端部にそれぞれ接続される一対の側部部材と、を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体構造。
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