JP6044795B2 - 車両の前部車体構造 - Google Patents
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Description
この変形モード制御においては、衝突初期に、フロントサイドフレームの前端部に設けられたクラッシュカンを潰れ変形させ、衝突中期に、フロントサイドフレームをダッシュパネルとの結合部を基点として車幅方向外側へ向かうように山折れ変形させ、衝突後期に、変形されたフロントサイドフレームを全体的に潰れ変形させることにより、衝突初期に車体減速度を大きくし、その後も大きな車体減速度を維持している。
特許文献2の車両の車体構造は、フロントサイドフレームと、エプロンレインと、セットプレートを介してフロントサイドフレームの前端に取り付けられたクラッシュカンとを備え、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側にエプロンレインの前端とセットプレートとを連結する荷重伝達部材としての連結部材を設けている。
それ故、車両の軽衝突時には、締結部材を取り外して破損したクラッシュカンのみを新しいクラッシュカンに取り替えることにより、リペア性を確保している。
このような構造では、クラッシュカンの後端部がセットプレートに対して締結固定された、所謂面で支持された片持ち構造になっているため、車両の走行振動に起因してバンパレインとクラッシュカンが上下方向に振動し易いことから、NVH(Noise Vibration Harshness)性能が低下し、乗員の室内の居住性が悪化するという問題があった。
しかし、クラッシュカンをフロントサイドフレームに対して挿入し車幅方向から締結固定する場合、セットプレートが廃止されるため、特許文献1や特許文献2のような荷重伝達部材を、荷重伝達性の高い構造でフロントサイドフレームに結合することが課題となる。
前記クラッシュカンの後端部分が前記フロントサイドフレームの前端部に挿入された結合部を介して固定され、前記突設部材は前側程車幅方向外側へ移行するように形成され、
前記突設部材の後端部が前記結合部の前後方向後側において前記フロントサイドフレームの車幅方向外側壁部に固着された連結部材に連結され、前記延設部材の下端部が前記連結部材の上面に連結されたことを特徴としている。
前記突設部材は前側程車幅方向外側へ移行するように形成され、突設部材の後端部が結合部の前後方向後側においてフロントサイドフレームの車幅方向外側壁部に固着された連結部材に連結され、突設部材と延設部材とが連結部材に連結されているため、SOL衝突のとき衝撃荷重を突設部材を介して延設部材からエプロンレインフォースメントへ能率的に伝達でき、荷重伝達効率を向上することができる。
これにより、クラッシュカン及び外側クラッシュカンの交換をボルトの脱着によって行うことができ、軽衝突時のリペア性を向上することができる。
これにより、外側クラッシュカンの交換を上下方向からの作業で行えるため、作業能率を高くすることができ、一層軽衝突時のリペア性を向上することができる。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1〜図3に示すように、車両Vには、車室SとエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の前側に配設される左右1対のフロントサイドフレーム2と、これら1対のフロントサイドフレーム2の前端部に左右1対の断面略矩形筒状の内側クラッシュカン3(クラッシュカン)を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)4と、1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側上方に配置された左右1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5と、これら1対のエプロンレイン5の前端部から前方に延びた左右1対の延設部材6と、これら1対の延設部材6よりも前方に延びた左右1対の外側クラッシュカン7(突設部材)等が設けられている。
尚、以下、矢印F方向を前方とし、矢印L方向を左方として説明する。
図1〜図7に示すように、左右1対のフロントサイドフレーム2は、車室Sの前端を仕切るダッシュパネル1の前側においてエンジンルームEの左部と右部に夫々前後方向に延びるように配設されている。即ち、左右1対のフロントサイドフレーム2は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネル1の縦壁部1aに接合され、後端側部分が傾斜部1bとフロアパネルの下面に沿って後方下がり傾斜状に延びて接合されている。フロントサイドフレーム2の後端側部分はダッシュパネル1に接合されている。
アウタパネル2aは、平板状のハイテン鋼板をプレス成形した部材であり、アウタパネル2aは、上側に位置するアウタ上フランジ部と、下側に位置するアウタ下フランジ部と、両者の中間に位置する鉛直断面略コ字状のアウタパネル本体部とを備えている。
同様に、ハイテン鋼板製インナパネル2bは、上側に位置するインナ上フランジ部、下側に位置するインナ下フランジ部、両者の中間に位置する鉛直断面略コ字状のインナパネル本体部を備えている。
図1〜図6,図10,図11に示すように、フロントサイドフレーム2の前端部には、内側クラッシュカン3の後端部分が内嵌状に挿入されている。この内側クラッシュカン3は、フロントサイドフレーム2と同種の金属製筒状体で形成され、その後端部分には、車幅方向に延びる3つのパイプ状スペーサ(図示略)が配設されている。内側クラッシュカン3の後端部分がフロントサイドフレーム2の前端部と重なり合った部分が結合部Bに相当している。軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合には、フロントサイドフレーム2を破損させることなく、内側クラッシュカン3のみが潰れることによって衝撃エネルギーを吸収し、また、内側クラッシュカン3の変形のみで衝撃エネルギーを吸収できない場合には、前述したようにフロントサイドフレーム2が折れ曲り変形する。
図7に示すように、エプロンレイン5は、下壁部と外壁部とからなるアウタパネル5aと、上壁部と内壁部とからなるインナパネル5bとにより前後方向に延びる断面略矩形状の閉断面を構成している。これらエプロンレイン5の車幅方向外側部分には、左右両側のフェンダパネル(図示略)が夫々装着されている。
1対の筒状のサスタワー8は、フロントサイドフレーム2とエプロンレイン5との間でダッシュパネル1に近接配置されている。
図1〜図8に示すように、左右1対の延設部材6は、左右1対のエプロンレイン5の前端部分から左右1対のフロントサイドフレーム2のアウタビード2cの後側近傍位置まで夫々車幅方向内側に向けて下方に湾曲状に移行している。
これら延設部材6は、アウタパネル6aとインナパネル6bとを備え、断面略矩形状の閉断面形状に夫々構成されている。
左右1対の外側クラッシュカン7は、左右1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側に設けられ、前側程車幅方向外側に移行するように夫々形成されている。
外側クラッシュカン7は、フロントサイドフレーム2と同種の金属素材で構成され、断面略矩形閉断面状の本体部7aと、本体部7aの後端部から後方に延びる突出部7bと、本体部7aの前端部から前方に延びる突出部7cとを備えている。
これら外側クラッシュカン7は、軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合には、外側クラッシュカン7のみが潰れることによって衝撃エネルギーを吸収し、また、外側クラッシュカン7の変形のみで衝撃エネルギーを吸収できない場合には、吸収できない衝撃エネルギーをエプロンレイン5とフロントサイドフレーム2とに伝達するように構成されている。
まず、図10に示すように、内側クラッシュカン3の後端部分をフロントサイドフレーム2の結合部Bに内嵌状に挿入し、ボルトb3が内側クラッシュカン3及びフロントサイドフレーム2を車幅方向に貫通した状態で締結固定される。この後、内側クラッシュカン3にバンパレイン4を内側クラッシュカン3に組み付ける。
図11に示すように、ボルト穴7hとボルト穴9hとが重なり合うように外側クラッシュカン7の突出部7bを連結部材9に外嵌させた後、延設部材6のアウタパネル6aを上側突出部7bの上に重ね合わせる。そして、ボルト穴6h,7h,9hに挿入されたボルトb1が連結部材9に設けられたスペーサs1を上下方向に貫通した状態で締結固定される。これにより、外側クラッシュカン7と延設部材6とがフロントサイドフレーム2に固定された連結部材9に固定される。
この後、外側クラッシュカン7の突出部7cのボルト穴7iに挿入されたボルトb3がバンパレイン4に設けられたスペーサs2を上下方向に貫通した状態で締結固定される。
この車両Vの前部車体構造によれば、内側クラッシュカン3の後端部分がフロントサイドフレーム2の前端部に挿入された結合部Bを介して固定されるため、バンパレイン4と内側クラッシュカン3の上下振動を抑制しながらボルト3により車幅方向から締結固定することができる。
外側クラッシュカン7が結合部Bの前後方向後側においてフロントサイドフレーム2のアウタパネル2aに連結部材9を介して連結され、外側クラッシュカン7と延設部材6とが連結部材9に連結されているため、衝撃荷重を外側クラッシュカン7を介して延設部材6からエプロンレイン5へ能率的に伝達でき、荷重伝達効率を向上することができる。
延設部材6が連結部材9の上面に連結されているため、連結部材9と延設部材6との間の衝撃荷重の伝達経路を短縮化でき、荷重伝達効率を更に向上することができる。
1〕前記実施形態においては、突設部材として軸圧縮変形可能な外側クラッシュカンを用いた例を説明したが、少なくともSOL衝突時、エプロンレインに衝撃荷重を伝達できれば良く、通常のメンバ部材であっても良い。
B 結合部
2 フロントサイドフレーム
3 内側クラッシュカン
4 バンパレイン
5 エプロンレイン
6 延設部材
7 外側クラッシュカン(突設部材)
9 連結部材
b1,b2 ボルト
s1,s2 スペーサ
Claims (3)
- 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対のクラッシュカンを介して支持する左右1対のフロントサイドフレームと、左右1対のエプロンレインフォースメントの前端部分から前記左右1対のフロントサイドフレームの前端側部分の車幅方向外側部まで夫々延びた左右1対の延設部材と、これら左右1対の延設部材よりも前方に夫々延びた左右1対の突設部材とを備えた車両の前部車体構造において、
前記クラッシュカンの後端部分が前記フロントサイドフレームの前端部に挿入された結合部を介して固定され、
前記突設部材は前側程車幅方向外側へ移行するように形成され、
前記突設部材の後端部が前記結合部の前後方向後側において前記フロントサイドフレームの車幅方向外側壁部に固着された連結部材に連結され、
前記延設部材の下端部が前記連結部材の上面に連結されたことを特徴とする車両の前部車体構造。 - 前記突設部材が外側クラッシュカンであり、
前記延設部材が前記エプロンレインフォースメントの前端部分から下側内方に移行するように形成され、
前記連結部が前記フロントサイドフレームの車幅方向外側壁部に固着された連結部材により形成され、
前記延設部材と外側クラッシュカンが前記連結部材に上下方向向きの第1の締結部材により締結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。 - 前記外側クラッシュカンの前端部分が前記バンパレインフォースメントに上下方向向きの第2の締結部材により締結されたことを特徴とする請求項2に記載の車両の前部車体構造。
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