JP6052230B2 - 車両の車体構造 - Google Patents
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Description
この変形モード制御においては、衝突初期にフロントサイドフレームの先端部に設けられたクラッシュカンを潰れ変形させ、衝突中期以降では、フロントサイドフレームを、ダッシュパネルとの結合部を基点として車幅方向外側へ向かうように屈曲変形させることにより、衝突初期に車体減速度を大きくし、その後も大きな車体減速度を維持している。
特許文献2の車両の車体構造は、フロントサイドフレームと、エプロンレインと、セットプレートを介してフロントサイドフレームの先端に取り付けられたクラッシュカンとを備え、フロントサイドフレームよりも車幅方向外側にエプロンレインの先端とセットプレートとを連結する荷重伝達部材としての連結部材を設けている。
このような構造では、クラッシュカンが、セットプレートに対して車体前方から後方に向けて前後方向に締結固定される、所謂片持ち構造になっているため、車両の走行振動に起因してバンパレインが上下方向に揺動し易いことから、NVH(Noise Vibration Harshness)性能が低下し、乗員の室内の居住性が悪化するという問題があった。
しかし、SOL衝突を対策しながら、セットプレートを廃止してクラッシュカンを車幅方向に締結固定する場合、以下のような新たな問題が生じる虞がある。
それ故、SOL衝突による衝撃荷重が荷重伝達部材に作用した場合、荷重伝達部材とフロントサイドフレームとの接合部分に大きな剪断応力が作用することから、荷重伝達部材がフロントサイドフレームから剥離し、フロントサイドフレームへの荷重伝達効率が低下する虞がある。
これによれば、延長部の後方への変形が一層抑制されるため、荷重伝達部材に作用する衝撃荷重のサイドフレームへの荷重伝達効率を一層向上することができる。
これによれば、フロントサイドフレームにおいて、クラッシュカンのリペア性を確保しつつ、NVH性能と荷重伝達部材の支持剛性とを両立することができる。
これによれば、コ字状断面部の横板部を設定することと、コ字状断面部の開放形状により締結ツール用アクセス孔を各板部に形成する必要が無いことにより荷重伝達部材の剛性を確保しつつ、コ字状断面部の縦板部により荷重伝達部材の連結部分を形成してクラッシュカンのリペア性を確保することができる。
以下の説明は、本発明を車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1,図2に示すように、車両Vには、車室SとエンジンルームEとを前後に仕切るダッシュパネル1と、このダッシュパネル1の前側に配設される左右1対のフロントサイドフレーム2と、これら1対のフロントサイドフレーム2の前端部に左右1対の筒状のクラッシュカン3を介して支持されたバンパレインフォースメント(以下、バンパレインと略す)4と、1対のフロントサイドフレーム2の車幅方向外側上方に配置された1対のエプロンレインフォースメント(以下、エプロンレインと略す)5と、フロントサイドフレーム2とエプロンレイン5との間でダッシュパネル1に近接配置される1対の筒状のサスタワー6等が設けられている。
左右1対のフロントサイドフレーム2は、車室Sの前端を仕切るダッシュパネル1の前側においてエンジンルームEの左部と右部に夫々前後方向に延びるように配設されている。即ち、左右1対のフロントサイドフレーム2は、車両Vの前端側位置から後方へ向かって略水平状に延び且つ後端側途中部がダッシュパネル1の縦壁部1aに接合され、後端側部分が傾斜部1bとフロアパネルの下面に沿って後方下がり傾斜状に延びて接合されている。フロントサイドフレーム2の後端側部分はダッシュパネル1と結合部Lにより接合されている。
尚、以下、特に説明がない場合、水平状の前側フレームをフロントサイドフレーム2として説明している。
軽衝突等のように衝撃荷重が比較的小さい場合には、フロントサイドフレーム2が破損することなく、クラッシュカン3のみが潰れることによって衝撃を吸収し、また、クラッシュカン3の変形のみで衝撃を吸収できない場合には、フロントサイドフレーム2が屈曲変形することにより衝撃を吸収して、車室Sに伝達される衝撃荷重を低減している。
左右1対のエクステンションメンバ9は、エンジン(図示略)を支持するために、エンジンルームEの左右両側部において前後方向に夫々延び、その後端部がサスペンションクロスメンバ7の前端部に連結されている。エクステンションメンバ9の前端部は、フロントサイドフレーム2の前端下端部に直方体状のマウント部材14を介して連結されている。
フロントクロスメンバ10の左右両端部は、エクステンションメンバ9を挟んで左右1対のマウント部材14に固定されている。
図1〜図5に示すように、左側突出部材20は、右側突出部材20と左右対称の構成であるため、以下、主に左側突出部材20について説明する。
図3〜図5に示すように、突出部材20は、荷重受け部材25と協働して略楔状の閉断面部を構成している。このハイテン鋼板製突出部材20は、鉛直断面略コ字状の本体部21と、車幅方向外側の外壁部22とを備えている。本体部21は、略三角形状の上壁部21aと、下壁部21bと、右側の内壁部21cとによって一体的に構成されている。
突出部材20の板厚は、フロントサイドフレーム2の板厚の2倍以上に設定されている。
内壁部21cは、上下1対のボルト穴21fを有し、フロントサイドフレーム2のアウタパネル2aに面接触した状態でスポット溶接にて接合されている。
外壁部22は、平面視にて車体後方内側へ傾斜するように配設されている。この外壁部22には、締結ツールを挿入可能な上下1対のアシスト孔22aが形成されている。
図3〜図5に示すように、左右1対の突出部材20の前側には、各突出部材20に作用する前面衝突時の衝撃荷重をフロントサイドフレーム2の先端部に伝達するための左右1対の荷重受け部材25が夫々設けられている。左側荷重受け部材25は、右側荷重受け部材25と左右対称の構成であるため、以下、主に左側荷重受け部材25について説明する。
荷重受け部材25は、突出部材20と同種の金属製板材をプレス成形することにより形成され、支持部25aと延長部25bとを備えている。尚、荷重受け部材25の板厚は、荷重伝達部材20よりも薄く、フロントサイドフレーム2よりも厚くなるように設定されている。
延長部25bは、支持部25aの左側端部から左側に延びて上壁部21a、下壁部21b及び外壁部22の前端部分(フランジ部)を覆う状態でスポット溶接にて接合されている。
まず、図5に示すように、アウタパネル2aに設けられた上下1対のボルト穴2fと内壁部21cに設けられた上下1対のボルト穴21fとを位置決めした状態で本体部21をアウタパネル2aの前端側部分に接合する。
次に、荷重受け部材25の支持部25aをフロントサイドフレーム2の前端部内に収容し、延長部25bを上壁部21a及び下壁部21bの前端部分に重なり合うように配置する。
クラッシュカン3のみが潰れた場合、アシスト孔22aから締結ツールを挿入してボルト26を取り外し、新たなクラッシュカン3に交換する。
この車両Vの車体構造では、クラッシュカン3の後端部分がフロントサイドフレーム2の前端部に挿入して固定されるため、突出部材20の上下振動を抑制しながらボルト26により車幅方向から締結固定することができる。また、クラッシュカン3の後端部分の少なくとも車幅方向外側部とフロントサイドフレーム2の前端部との間に挟持された支持部25aから車幅方向外側に延びて突出部材20の前端を覆う延長部25bとを有する荷重受け部材25を設けているため、SOL衝突による衝撃荷重が突出部材20に作用したとき、突出部材20に作用する衝撃荷重をフロントサイドフレーム2の前端部と車幅方向外側部とに伝達することにより突出部材20とフロントサイドフレーム2との接合部分への荷重集中を防止でき、突出部材20によるフロントサイドフレーム2からの剥離を抑制することができる。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、フロントサイドフレーム2の車幅方向外側部に取り付けられた突出部材20で構成したのに対し、実施例2の荷重伝達部材では、エプロンレイン5Aの前端部から前方に延びる延設部材30で構成している。
荷重受け部材25は、支持部25aと延長部25bとを備えており、延長部25bは、支持部25aの左側端部から左側に延びて上壁部31a、下壁部31b及び外壁部32の前端部分を覆う状態でスポット溶接にて接合されている。
まず、アウタパネル2aに設けられた上下1対のボルト穴2fと内壁部31cに設けられた上下1対のボルト穴31fとを位置決めした状態で本体部31をアウタパネル2aの前端側部分に接合する。
次に、荷重受け部材25の支持部25aをフロントサイドフレーム2の前端部内に収容し、延長部25bが上壁部31a及び下壁部31bの前端部分に重なり合うように配置する。そして、クラッシュカン3をフロントサイドフレーム2の前端部に挿入して、支持部25aの左右1対の両側部をクラッシュカン3の左右の後端部分とフロントサイドフレーム2の左右の前端部によって挟持させる。
最後に、延長部25bと上壁部31a及び下壁部31bの前端部分とを溶接した後、外壁部32を本体部31及び延長部25bに溶接して終了する。
尚、実施例1と同様の部材には、同じ符号を付している。
実施例1の荷重伝達部材は、鉛直断面略矩形状の突出部材20で構成したのに対し、実施例3の荷重伝達部材では、車幅方向に沿った鉛直断面において、複数のコ字状断面部を備えた突出部材40で構成している。
本体部41は、鉛直断面において、離隔した上下1対の横板部41s及びこれら1対の横板部41sの右側端部を連結する縦板部41tを夫々備えた前後方向に延びる上下1対のコ字状断面部41uと、隣り合うコ字状断面部41uの隣接する横板部41sの左側端部を連結する連結板部41v等を備えている。
上下1対の横板部41sの前端部分には、ボルト穴41fが夫々形成されている。
外壁部42は、ボルト穴41fの左側を開放するように、本体部41の後端部から前端近傍位置に亙って上下1対のコ字状断面部41uの左側を塞いで前後方向に延びる閉断面部を形成している。
右側突出部材40は、左側突出部材40と左右対称の構成である。
左側荷重受け部材25は、支持部25aと延長部25bとを備えており、延長部25bは、支持部25aの左側端部から左側に延びて1対の横板部41s、連結板部41v及び外壁部42の前端部分を覆う状態でスポット溶接にて接合されている。
右側荷重受け部材25は、左側荷重受け部材25と左右対称の構成である。
まず、アウタパネル2aに設けられた上下1対のボルト穴2fと縦板部41t毎に設けられた上下1対のボルト穴41fとを位置合わせさせた状態で本体部41をアウタパネル2aの前端側部分に接合する。
次に、荷重受け部材25の支持部25aをフロントサイドフレーム2の前端部内に収容し、延長部25bが上壁部31a及び下壁部31bの前端部分に重なり合うように配置する。
次に、1対のボルト26によって本体部41とフロントサイドフレーム2のアウタパネル2aと荷重受け部材25とクラッシュカン3とナットプレート12とを共締めし、1対のボルト26によってフロントサイドフレーム2のインナパネル2bと荷重受け部材25とクラッシュカン3とナットプレート12とを共締めする。
最後に、外壁部42を本体部41に溶接して終了する。
これによれば、コ字状断面部41uの横板部41sを設定することと、コ字状断面部41uの開放形状により締結ツール用アクセス孔を各板部に形成する必要が無いことにより突出部材40の剛性を確保しつつ、コ字状断面部41uの縦板部41tにより突出部材40の連結部分を形成してクラッシュカン3のリペア性を確保することができる。
1〕前記実施形態においては、フロントサイドフレームの例を説明したが、リヤサイドフレームに適用しても良い。また、荷重受け部材(延長部)と荷重伝達部材(突出部材又は延設部材)の先端部とを接合した例を説明したが、荷重入力時、少なくとも荷重受け部材が荷重伝達部材に当接すれば良く、接合することなく僅かに離隔していても良い。
また、荷重受け部材の支持部がクラッシュカンの基端部分の車幅方向左右両側部を覆った例を説明したが、荷重受け部材の支持部がクラッシュカンの基端部分の全周を覆うように構成しても良い。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
2 フロントサイドフレーム
3 クラッシュカン
4 バンパレイン
5,5A エプロンレイン
20,40 突出部材
25a 支持部
25b 延長部
26 ボルト
30 延設部材
41s 横板部
41t 縦板部
41u コ字状断面部
41v 連結板部
Claims (4)
- 車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、このバンパレインフォースメントを左右1対のクラッシュカンを介して支持する左右1対のサイドフレームと、これら左右1対のサイドフレームの前記先端側部分の車幅方向外側部から車幅方向外側に夫々突出した左右1対の荷重伝達部材とを備えた車両の車体構造において、
前記クラッシュカンの基端部分が前記サイドフレームの先端部に挿入して固定されると共に、
前記クラッシュカンの基端部分の少なくとも車幅方向外側部と前記サイドフレームの先端部との間に挟持された支持部と、この支持部から車幅方向外側に延びて前記荷重伝達部材の先端を覆う延長部とを有する荷重受け部材を設けたことを特徴とする車両の車体構造。 - 前記支持部が前記クラッシュカンの基端部分の左右1対の外側部と基端を覆うように水平断面が略コ字状に形成され、
前記クラッシュカンは前記支持部を貫通した締結部材によって前記サイドフレームに締結されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。 - 前記バンパレインフォースメントがフロントバンパレインフォースメントであり、前記サイドフレームがフロントサイドフレームであり、前記荷重伝達部材が前記フロントサイドフレームの車幅方向外側部に取り付けられた突出部材又はエプロンレインフォースメントの前端部から前方に延びた延設部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の車体構造。
- 前記突出部材又は延設部材の前端部分が、車幅方向に沿った車幅方向に沿った鉛直断面において、離隔した1対の横板部及びこれら1対の横板部の車幅方向内側端部を連結する縦板部を夫々備えた複数のコ字状断面部と、隣り合うコ字状断面部の隣接する横板部の車幅方向外側端部を連結する連結板部とを備え、
前記縦板部が締結部材によって前記フロントサイドフレームに締結されたことを特徴とする請求項3に記載の車両の車体構造。
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