JP4525276B2 - 車体下部構造 - Google Patents

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Description

本発明は車体下部構造に関するものである。
自動車の車体にあっては,フロアパネルが,左右一対のサイドシル同士を連結すると共に車幅方向中央において前後方向に伸びるトンネル部を有するフロントフロア部と,該フロントフロア部の後端から上方に伸びるリアキックアップ部と,該リアキックアップ部の上端から後方へ略直線的に伸びるリアフロア部とを有するものがある。上記フロントフロア部の下面には,前後方向に伸びると共に前記トンネル部を挟むように配設された左右一対のフロアフレームを接合し,またフロントフロア部の上面には,サイドシルとトンネル部とを連結する車幅方向に伸びるクロスメンバを接合することも一般に行われている。上記フロアフレームは,断面略逆ハット状とされて,その左右のフランジ部でもってフロントフロア部に接合されるのが一般的である。
フロアパネルの前方には左右一対のフロントフレームが配設されるが,平面視において,フロントフレームの後方延長線上にフロアフレームが位置されるように設定しつつ,フロントフレームの後端部に対してフロアフレームの前端部を連結して,前方衝突時の後方への荷重がフロントフレームからフロアフレームへと効果的に伝達されるように設定することも行われている。
上記各フロアフレームは,車体前後方向軸線と平行となるようにまっすぐ直線的に伸びるように配設されて,平面視において上記クロスメンバに対して直交するように配設されるのが一般的である。特許文献1には,左右一対のフロアフレームを,後方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように傾斜させたものが開示されているが,技術的課題がフロアフレームとは直接関係のないものとなっている関係上,フロアフレームを上述のように傾斜させることの技術的意味合いについてはなんら開示されていない。特許文献1に開示の技術は,左右一対のフロントフレーム間に配設されるサブフレームを,平面視において,前開き式の略三角形状とした独特の構成を採択したことを特徴としており,このサブフレーム形状に対応させて左右一対のフロントフレームも前開き式とした関係上(前方に向かうにつれて徐々に車幅方向外方側に向かうように傾斜設定),前開き式とされたフロントフレームの後方延長線上にフロアフレームが位置するように設定しただけのものと推察される。
前記リアキックアップ部の後方でかつリアフロア部の下方には,燃料タンクが配設されることが多いが,この燃料タンクは,保持バンドによって下方から保持されるのが一般的である。特許文献2には,車幅方向に伸びる保持バンドを車体剛性の向上に利用することが開示されている。また,保持バンドを前後方向に伸びるように配設することも一般に行われているが,この場合は,保持バンドの前後の各端部は,燃料タンクの前方位置および後方位置に設けたバンド取付部に取付けられることになる。そして,燃料タンクを安定して保持するために,保持バンドを2組設けることも行われている。
前後方向に伸びる保持バンドの前端部を車体に取付ける場合,リアキックアップ部付近に別途専用のブラケットを接合して,このブラケットに前バンド取付部を形成することが行われている。そして,保持バンドの取付部には燃料タンクの大きな重量が作用するために,上記ブラケットはかなり強度(剛性)の高いものとして形成する必要があった。このように,従来は,前バンド取付部形成のために,強度を高くした専用のブラケットを別途設ける必要があった。
特開平11−78959号公報 特開2003−285656号公報
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので,その目的は,前バンド取付部のための専用のブラケットを別途設けることを不要とした車体下部構造を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
フロアパネルが,左右一対のサイドシル同士を連結すると共に車幅方向中央において前後方向に伸びるトンネル部を有するフロントフロア部と,該フロントフロア部の後端から上方に伸びるリアキックアップ部と,該リアキックアップ部の上端から後方へ略直線的に伸びるリアフロア部とを有し,
前記リアキックアップ部の後方でかつ前記リアフロア部の下方に燃料タンクが配設され,
前記燃料タンクが,前後方向に伸びると共に該燃料タンクの前方位置および後方位置において車体に取付けられた保持バンドによって下方から保持されるようにした車体下部構造において,
前記フロントフロア部の下面に,前後方向に伸びると共に前記トンネル部を挟むように配設された左右一対のフロアフレームが接合され,
前記各フロアフレームは,その前端が左右一対のフロントフレームの後端に接合されると共に,その後端が前記リアキックアップ部の近傍にまで伸びており,
前記各フロアフレームが,後方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように傾斜され,
前記フロアフレームの後端部に,前記保持バンドの前端部が取付けられる前バンド取付部が形成され,
前記リアフロア部の下面に,前後方向に伸びると共に前記燃料タンクよりも車幅方向外方側に位置される左右一対のリアフレームが接合され,
前記リアフレームの前端部が、サイドシルの後端部に接合され、
前記燃料タンクの後方位置において,前記左右一対のリアフレーム同士を連結するクロスメンバが設けられ,
前記クロスメンバに,保持バンドの後端部が取付けられる後バンド取付部が形成され,
前記フロアフレームの後端部が,前記後バンド取付部のほぼ前方延長線上に設けられている,
ようにしてある。上記解決手法によれば,車体強度部材としてのフロアフレームを,前バンド取付部が形成されるブラケットとしても機能させるようにしてあるので,前バンド取付部のための専用のブラケットを別途設けることが不要になる。とりわけ,フロアフレームは前後方向への引張力に対して極めて強い一方,前バンド取付部には燃料タンクの重量を受けて後方への大きな引張力が作用するので,この保持バンドから受ける大きな後方への引張力に十分に対抗できるものとなる。
この場合、リアフロア部の下面に,前後方向に伸びると共に燃料タンクよりも車幅方向外方側に位置される左右一対のリアフレームが接合され,燃料タンクの後方位置において,左右一対のリアフレーム同士を連結するクロスメンバが設けられ,クロスメンバに,保持バンドの後端部が取付けられる後バンド取付部が形成されていることから、後バンド取付部を,強度部材としてのクロスメンバを利用して形成することができる。
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち,
前記フロアフレームの後端部と前記リアキックアップ部とを車外側から連結するエンドガセットが設けられ,
前記エンドガセットに,前記前バンド取付部が形成されている,
ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、実質的にフロアフレームの後方への延長部材となるエンドガセットによって,リアキックアップ部付近の車体剛性を高めることができる。
前記エンドガセットは,前記リアキックアップ部と共働して閉断面を構成すると共に,前記フロアフレームの後端開口を塞いでいる,ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、エンドガセットを利用したより一層の車体剛性向上を図ることができる。また,従来切りっぱなしであったフロアフレームの後端をエンドガセットによって塞ぐことにより,フロアフレーム内への雨水等の進入防止や,フロアフレーム後端を非鋭利な形状に処理とすることができる。
前記フロアフレームは,断面略逆ハット状とされ,
前記エンドガセットは,前方へ向けて突出されると共に断面略逆ハット状とされた前方突出部を有し,
前記前方突出が,前記フロアフレームの後端部に接合されている,
ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、エンドガセットに,フロアフレームと同一断面形状の前方突出部を形成しておくことにより,フロアフレーム後端とエンドガセットとの結合を容易かつ確実に行う上で好ましいものとなる。
前記前バンド取付部が,前記各フロアフレームに対応して左右一対設けられ,
前記クロスメンバに形成された前記後バンド取付部が左右一対形成され,
前記保持バンドが,第1保持バンドと第2保持バンドとの2組設けられ,
前記第1保持バンドが前記右前バンド取付部と前記左後バンド取付部とに取付けられると共に,前記第2保持バンドが前記左前バンド取付部と前記右後バンド取付部とに取付けられて,該第1保持バンドと第2保持バンドとが前記燃料タンクの下方で互いに交差している,
ようにすることができる(請求項対応)。この場合、たすきがけに配設された2組の保持バンドによって,燃料タンクを安定して確実に保持する上で好ましいものとなる。
前記前バンド取付部が,前記各フロアフレームに対応して左右一対設けられ,
前記クロスメンバに形成された前記後バンド取付部が左右一対形成され,
前記保持バンドが,第1保持バンドと第2保持バンドとの2組設けられ,
前記第1保持バンドが前記右前バンド取付部と前記右後バンド取付部とに取付けられると共に,前記第2保持バンドが前記左前バンド取付部と前記左後バンド取付部とに取付けられて,該第1保持バンドと第2保持バンドとが車幅方向に間隔をあけて並列に配設されている,
ようにすることができる(請求項対応)。この場合、並列に配設された2組の保持バンドによって燃料タンクを,安定して確実に保持する上で好ましいものとなる。
前記フロアフレームは,平面視において,前記フロントフロア部の上面に接合されると共に前記サイドシルとトンネル部とを連結しているクロスメンバに対して傾斜されており,
前記フロアフレームのフランジ部と前記クロスメンバのフランジ部とが,間に前記フロントフロア部を挟んだ3枚重ねの状態で接合されており,
前記左右一対のフロントフレームは互いに平行となるように前後方向に伸びており,
前記左右一対のフロントフレームの後端の間隔が,前記左右一対のフロアフレームの前端の間隔と略同じに設定されている,
ようにすることができる(請求項対応)。この場合、左右一対のフロアフレームの後端同士の間隔を従来よりも小さくして,前バンド取付部の形成位置として極めて好適となる。また,前方衝突時に後退されようとするフロアフレームをクロスメンバは材料学的に強い圧縮や引張によっても受け止めることとなり,前方衝突時の荷重がクロスメンバによってより効果的に受け止められることになる。さらに,フロアフレームとクロスメンバとはそのフランジ部同士をフロントフロア部との3枚重ねでもって接合して,フロアフレームからクロスメンバへの上述した衝突荷重の伝達を確実に行う上で好ましいものとなる。さらに又,フロアフレームを傾斜配置したことにより,車体前後方向軸線に平行にまっすぐ配置した場合に比してその全長を長く確保することが可能となって,フロアフレーム自身による衝撃吸収作用を高める上でも好ましいものとなる。以上に加えて,左右一対のフロントフレームそのものは,一般的な平行配置としてあるので,フロントフレームによるエンジン(パワートレイン)支持等を従来と全く同じように行うことができる。
本発明によれば,車体強度部材としてのフロアフレームを有効に利用して,前バンド取付部のための専用のブラケットを別途設けることが不要となる。
図1,図2において,1はフロアパネルであり,前後方向に分割形成された複数枚のパネル材を互いに接合することにより形成されている。このフロアパネル1は,大別して,フロントフロア部2と,フロントフロア部2の後端から上方へ短く立ち上げられたリアキックアップ部3と,リアキックアップ部3の上端から後方へ伸びるリアフロア部4とを有する。フロントフロア部2の前端は,上下方向に伸びて車室とエンジンルームとを仕切るダッシュパネル5の下端に連なっている。
フロントフロア部2には,その車幅方向中央部において前後方向に伸びるトンネル部6が形成されており,このトンネル部6は,その前端がダッシュパネル5に連なり(前方へ向けて開口),その後端はリアキックアップ部3に連なっている(後方へ向けて開口)。このようなフロントフロア部2は,その左右側端部が前後方向に伸びる強度部材としての左右一対のサイドシル7に接合されている。
リアキックアップ部3の直後方で,かつリアフロア部4の直下方には,燃料タンク8が配設されている。この燃料タンク8の後方位置において,リアフロア部4には,下方へ膨出された収納部9が形成されて,この収納部9内に,スペアタイヤ等が収納されるようになっている。
図1〜図3において,フロントフロア部2の下面には,左右一対のフロアフレーム10が接合されており,この左右一対のフロアフレーム10の間にトンネル部6が位置されている。つまり,各フロアフレーム10は,車幅方向においてトンネル部6とサイドシル7との間に位置するように配設されている。このようなフロアフレーム10は,全体的に直線状に前後方向に伸びているが,車体前後方向軸線に対しては傾斜されている。すなわち,左右一対のフロアフレーム10は,それぞれ後方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように(トンネル部6に近づくように)傾斜されて,その前端の車幅方向間隔が後端の車幅方向間隔よりも大きく設定されている。なお,左右一対のフロアフレーム10の傾斜角度は互いに等しくされている。フロアフレーム10の断面形状は,後述するように上方に向けて開口する逆ハット状とされて,フロントフロア部2に対する接合によって閉断面を構成するようになっている。
図4にも示すように,左右一対のフロアフレーム10の前端は,左右一対のフロントフレーム11の後端に直接的に接合,連結されている。すなわち,左右一対のフロントフレーム11同士は,互いに平行にかつ車体前後方向軸線とも平行となるように(平面視において傾斜しないで)配設されており,このような左右一対のフロントフレーム11の後端の間隔が,左右一対のフロアフレーム10の前端の車幅方向間隔と略一致されている。このようなフロントフレーム11自体の配設態様は,従来と同じであり,したがって,フロントフレーム11を利用したエンジン(パワーパワートレイン)の支持は従来と全く同様に行うことが可能となっている。
フロントフレーム11の後端位置は,サイドシル7の前端位置よりも後方とされており,このフロントフレーム11の後端部と,サイドシル7の前端部と,フロアフレーム10の前端部とが,強度部材としてのトルクボックス12によって互いに連結されている。
フロントフロア部2の上面には,前後2組のクロスメンバ15,16が接合されている。すなわち,前側に位置する第1クロスメンバ15は,フロントフロア部2の前後方向略中間位置に配設され,後側に位置する第2クロスメンバ16は,第1クロスメンバ15とリアキックアップ部3との略中間に配設されている。各クロスメンバ15,16共に,トンネル部6部分で車幅方向に分断された2部材によって構成されて,各クロスメンバ15,16は,サイドシル7の内側面とトンネル部6の外側面とを連結している。各クロスメンバ15,16の断面は,下方に向けて開口する略ハット状として形成されて,フロントフロア部2に対する接合によって閉断面を構成するようになっている。このような各クロスメンバ15,16は,従来同様に車体前後方向軸線と直交するように伸びていて,平面視においてフロアフレーム10に対してそれぞれ傾斜された配置関係となっている。
リアフロア部4の下面には,前後方向に伸びる左右一対のリアフレーム17が接合されている。このリアフレーム17は,その前端部が,サイドシル7の後端部に接合されている。このような左右一対のリアフレーム17同士が,燃料タンク8と収納部9との間において,車幅方向に伸びる第3クロスメンバ18によって連結されている。リアフレーム17の断面形状は,上方に向けて開口する逆ハット状とされて,リアフロア部4に対する接合時に閉断面を構成するようになっている。
次に,図5〜図7を参照しつつ,クロスメンバ15,16とフロアフレーム10とのフロントフロア部2に対する接合関係について詳述する。まず,フロアフレーム10は,図5,図7に示すように,左右一対の側壁部10aと,左右一対の側壁部10aの下端同士を連結する底壁部10bと,左右一対の側壁部10aの上端から略水平に伸びる左右一対のフランジ部10cとを有する。フロアフレーム10は,その各フランジ10cをフロントフロア部2の下面に着座させた状態で,当該フロントフロア部2に接合(実施形態では溶接接合)されている(図7ではフロントフロア部2は図示を略す)。
各クロスメンバ15,16のフロントフロア部2やフロアフレーム10に対する接合態様は互いに同じなので,第1クロスメンバ15に着目して説明する。まず,第1クロスメンバ15は,左右一対の側壁部15aと,左右一対の側壁部15aの上端同士を連結する上壁部15bと,左右一対の側壁部10aの下端から略水平に伸びる左右一対のフランジ部15cとを有する。第1クロスメンバ15は,その各フランジ15cをフロントフロア部2の上面に着座させた状態で,当該フロントフロア部2に接合(実施形態では溶接接合)されている(図7ではフロントフロア部2は図示を略す)。
図1,図6,図7から明らかなように,フロアフレーム10の左右のフランジ部10cと,クロスメンバ15(16についても同じ)の左右のフランジ部15cとは,平面視において合計4箇所で交差することとなるが,この各交差部において互いに接合されており,この接合部分を図5,図6で符号αで示してある。すなわち,特に図5から明らかなように,フロアフレーム10のフランジ部10cとクロスメンバ15(16)のフランジ部15cとの間にフロントフロア部2が挟まれた状態で,この各フランジ部10cと15cとフロントフロア部2との3枚重ねでもって互いに接合(実施形態では溶接接合)されている。
次に,図8〜図10を参照しつつ,燃料タンク8を下方から保持しておく保持バンドの取付構造について説明する。なお,フロアパネル1は,フロアフレーム2の後端よりも若干前方位置を境として,前パネル1Aと後パネル1Bとの分割構成とされて,この境界部位でもって互いに接合するものを前提としてある。
まず,保持バンドとしては,第1保持バンド51と第2保持バンド52との2組用いられている。また,各フロアフレームの後端部(底壁部分)には,前バンド取付部としてのナット53があらかじめ接合されている(左右一対の前バンド取付部の形成)。さらに,燃料タンク8の後方に位置する第3クロスメンバ18の底壁部には,後バンド取付部としての左右一対のナット54があらかじめ接合されている。後方のナット54の車幅方向位置は,前方のナット53のほぼ後方延長線上となるように設定されている。勿論,フロアフレーム10や第3クロスメンバ18には,ナット53あるいは54に対応してボルト挿通孔が形成されているものである。
各保持バンド51,52の前端部をフロアフレーム10へ取付けるには,上記ナット53に対して下方から螺合されるボルト55を利用して行われる。また,各保持バンド51,52の後端部を第3クロスメンバ18へ取付けるには,上記ナット54に対して下方から螺合されるボルト56を利用して行われる。実施形態では,2組の保持バンド51,52は,たすきがけの状態で配設される。すなわち,第1保持バンド51は,その前端部が左ナット53側に固定されると共に,その後端部が右ナット54側に固定される。これに対して,第2保持バンド52は,その前端部が右ナット53側に固定されると共に,その後端部が左ナット54側に固定される。これにより,2組の保持バンド51と52とは,燃料タンク8の下方でもって交差されることになる。前側に位置する左右のナット53つまり左右一対のフロアフレーム10の後端の車幅方向位置は,フロアフレーム10が車体前後方向軸線と平行で傾斜設定されていない場合に比して,かなり車幅方向内方側に寄った位置とされて,燃料タンク8をバランスよく保持する上で極めて好ましい位置設定となっている。特に,燃料タンク8の車幅方向長さ小さくされた場合の保持に有利である。
2組の保持バンド51と52との交差位置には,図10に示すようなブラケット57を設けておくのが好ましい。ブラケット57は,全体的に略X字状とされて,その側壁部の高さが,2本の保持バンド51,52とを重ね合わせた厚さ以上の高さに設定されている。このようなブラケット57によって,2本の保持バンド51,52の所定角度での交差状態が確実に維持されることになる。なお,ブラケット57は,燃料タンク8の底面に接着等により固定したり,あるいは保持バンド51,52の少なくとも一方に接着等により固定しておくのが好ましい。
図11,図12は本発明の第2実施形態を示すもので,フロアフレーム10の後端部をエンドガセット45を利用してリアキックアップ部3に連結すると共に,このエンドガセット45に保持バンド用の前バンド取付部を形成したものとなっている。まず,エンドガセット45は,通常鋼板を例えばプレス成形する等により,図11に示すような形状に設定されている。すなわち,エンドガセット45は,フロアフレーム10の断面形状に対応した断面略逆ハット状の前方突出部45Aを有する。また,エンドガセット45は,その底壁部45a(前方突出部45Aの底壁ともなっている)と,底壁部45aの後端から上方へ伸びる後壁部45bと,底壁部45aの左右側端と後壁分45bの左右側端とに連なる左右一対の側壁部45cとを有するボックス状に形成されている。すなわち,エンドガセット45は,後述するように,車体へ取付けた状態においてフロントフロア部2の下面に臨む開口と,リアキックアップ部3の後面に臨む開口とを除いて閉じられた形状とされている(下方と後方と左右側方とが閉じられている)。そして,エンドガセット45には,フロアフレーム10のフランジ部10cに連なるように設定された接合用フランジ部45dが形成されている。
上述のようなエンドガセット45は,特に図12に示すように,そのフランジ部45dを利用して,フロントフロア部2の後端部下面とリアキックアップ部3の後面とに接合される。この接合状態では,フロントフロア部2の後端部とリアキックアップ部3と共働して閉断面を構成することになる。フロアフレーム10の後端部は,エンドガセット45によってリアキックアップ部3と連結されることになるが,この連結状態では,フロアフレーム10の後端開口がエンドガセット45によって閉じられたものとなる。なお,図12に示すナット53は,図11では図示を略してある。
図13は,本発明の第3実施形態を示すものである。本実施形態では,2本の保持バンド51,52を,互いに並列に配置したいわゆる平行がけの場合を示すものである。すなわち,それぞれ左側に位置するナット53,54を利用して,第1保持バンド51の前端部および後端部が固定される。また,それぞれ右側に位置するナット53,54を利用して,第2保持バンド52の前端部および後端部が固定される。
ここで,前方衝突時を想定すると,前方衝突時の衝突荷重は,まずフロントフレーム11に入力されて,フロントフレーム11からフロアフレーム10に伝達されると共に,トルクボックス12を介してサイドシル7にも伝達される。衝突荷重が入力されたフロアフレーム10は,フロアフレーム10自身やこれに接合されたフロントフロア部2によって衝撃吸収を行うことになる。これと同時に,衝突荷重を受けて後方へ変位されるフロアフレーム10からクロスメンバ15,16にも衝突荷重が伝達されて,後述のようにクロスメンバ15,16によっても衝撃吸収が行われることになる。フロアフレーム10が傾斜配置されているので,傾斜配置しない場合(車体前後方向軸線と平行に配設した場合)に比してその全長を長くすることが可能となり,フロアフレーム10自身による衝撃吸収やフロアフレーム10が接合されたフロントフロア部2による衝撃吸収がより効果的に行われることになる。
クロスメンバ15,16に対してフロアフレーム10が傾斜されているので,フロアフレーム10からクロスメンバ15,16への衝突荷重の伝達は,クロスメンバ15,16の車幅方向軸線に対して斜め方向から行われることになる。すなわち,クロスメンバ15,16のうち,フロアフレーム10よりもサイドシル7側の部分においては圧縮力を受け,フロアフレーム10よりもトンネル部6側の部分においては引張力を受けることになる。クロスメンバ15,16は,圧縮力あるいは引張力に対する抗力が大きいので,単に従来のように曲げ力あるいはせん断力を受けるだけの場合に比して,より効果的に後方への衝突荷重を受け止めることになる。
前後2組のクロスメンバ15,16のうち,より前方に位置される第1クロスメンバ15に対しては,後方に位置される第2クロスメンバ16に比して,大きな後方への衝突荷重がフロアフレーム10から伝達されることになる。つまり,後方に位置する第2クロスメンバ16に対する後方への衝突荷重伝達は比較的小さいものとなるので,フロアフレーム10の後端が大きく後方へ変位することは元々小さいものである。これに加えて,フロアフレーム10の後端は,エンドガセット45によってリアキックアップ部3に連結されているので,フロアフレーム10の後端の後退動がより確実に防止あるいは抑制されたものとなる。すなわち,リアキックアップ部3の後方に配置された燃料タンク8等に対してフロアフレーム10後端が干渉する事態を防止する上で好ましいものとなっている。勿論,エンドガセット45そのものによって,リアキックアップ部3の下端部付近の剛性が向上されることになる。リアキックアップ部3は通常後席用のフロア面となるので,この後席付近の車体剛性向上の上で好ましいものとなる。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。フロアフレーム10と平面視で交差するクロスメンバとしては,2組に限らず,1組あるいは3組以上であってもよい。クロスメンバ15,16は,フロントフロア部2の下面に配設したものであってもよい。左右一対のフロアフレーム10は,互いに平行配置であってもよい(車体前後方向軸線と平行)。バンド取付部としては,ナット53,54の代わりに,例えばフロアフレーム10の後端部に直接形成されたボルト用のねじ孔を形成することによって構成することもでき,その他固定具の種類によって適宜のものを選択できるものである。燃料タンク8の底面に,保持バンド51,52が嵌合される浅い溝を形成しておくこともできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明の一実施形態を示す平面図。 図1のX2−X2線相当断面図。 図1のうちフロアフレーム,クロスメンバ,サイドシル,リアフレーム等の強度部材の配置関係を示す斜視図。 フロアフレームとフロントフレームとサイドシルとの連結状態を示す斜視図。 フロアフレームとクロスメンバとフロントフロア部との接合関係を示すもので,図6のX5−X5線相当断面図。 フロアフレームとクロスメンバとの交差部分を上方から見た図。 フロアフレームとクロスメンバとの交差部を下方から見た斜視図で,フロントフロア部を省略して示す。 保持バンドを示すもので,燃料タンク部分での要部斜視図。 保持バンドで燃料タンクを保持している状態を示す要部側面断面図。 2本の保持バンドの交差部に用いて好適なブラケットを示す斜視図。 本発明の第2実施形態を示すもので,エンドガセットの一例を示す要部斜視図。 図11に示すエンドガセット部分での要部側面断面図。 本発明の第3実施形態を示すもので,図8に対応した下方斜視図。
1:フロアパネル
2:フロントフロア部
3:リアキックアップ部
4:リアフロア部
6:トンネル部
7:サイドシル
8:燃料タンク
10:フロアフレーム
10c:フランジ部
11:フロントフレーム
15:第1クロスメンバ
16:第2クロスメンバ
17:リアフレーム
18:第3クロスメンバ
45:エンドガセット
45A:前方突出部
51:第1保持バンド
52:第2保持バンド
53:ナット(前バンド取付部)
54:ナット(前バンド取付部)
55:ボルト(ナット53用)
56:ボルト(ネット54用)
57:ブラケット

Claims (7)

  1. フロアパネルが,左右一対のサイドシル同士を連結すると共に車幅方向中央において前後方向に伸びるトンネル部を有するフロントフロア部と,該フロントフロア部の後端から上方に伸びるリアキックアップ部と,該リアキックアップ部の上端から後方へ略直線的に伸びるリアフロア部とを有し,
    前記リアキックアップ部の後方でかつ前記リアフロア部の下方に燃料タンクが配設され,
    前記燃料タンクが,前後方向に伸びると共に該燃料タンクの前方位置および後方位置において車体に取付けられた保持バンドによって下方から保持されるようにした車体下部構造において,
    前記フロントフロア部の下面に,前後方向に伸びると共に前記トンネル部を挟むように配設された左右一対のフロアフレームが接合され,
    前記各フロアフレームは,その前端が左右一対のフロントフレームの後端に接合されると共に,その後端が前記リアキックアップ部の近傍にまで伸びており,
    前記各フロアフレームが,後方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように傾斜され,
    前記フロアフレームの後端部に,前記保持バンドの前端部が取付けられる前バンド取付部が形成され,
    前記リアフロア部の下面に,前後方向に伸びると共に前記燃料タンクよりも車幅方向外方側に位置される左右一対のリアフレームが接合され,
    前記リアフレームの前端部が、サイドシルの後端部に接合され、
    前記燃料タンクの後方位置において,前記左右一対のリアフレーム同士を連結するクロスメンバが設けられ,
    前記クロスメンバに,保持バンドの後端部が取付けられる後バンド取付部が形成され,
    前記フロアフレームの後端部が,前記後バンド取付部のほぼ前方延長線上に設けられている,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  2. 請求項1において,
    前記フロアフレームの後端部と前記リアキックアップ部とを車外側から連結するエンドガセットが設けられ,
    前記エンドガセットに,前記前バンド取付部が形成されている,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  3. 請求項2において,
    前記エンドガセットは,前記リアキックアップ部と共働して閉断面を構成すると共に,前記フロアフレームの後端開口を塞いでいる,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  4. 請求項3において,
    前記フロアフレームは,断面略逆ハット状とされ,
    前記エンドガセットは,前方へ向けて突出されると共に断面略逆ハット状とされた前方突出部を有し,
    前記前方突出が,前記フロアフレームの後端部に接合されている,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  5. 請求項において,
    前記前バンド取付部が,前記各フロアフレームに対応して左右一対設けられ,
    前記クロスメンバに形成された前記後バンド取付部が左右一対形成され,
    前記保持バンドが,第1保持バンドと第2保持バンドとの2組設けられ,
    前記第1保持バンドが前記右前バンド取付部と前記左後バンド取付部とに取付けられると共に,前記第2保持バンドが前記左前バンド取付部と前記右後バンド取付部とに取付けられて,該第1保持バンドと第2保持バンドとが前記燃料タンクの下方で互いに交差している,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  6. 請求項において,
    前記前バンド取付部が,前記各フロアフレームに対応して左右一対設けられ,
    前記クロスメンバに形成された前記後バンド取付部が左右一対形成され,
    前記保持バンドが,第1保持バンドと第2保持バンドとの2組設けられ,
    前記第1保持バンドが前記右前バンド取付部と前記右後バンド取付部とに取付けられると共に,前記第2保持バンドが前記左前バンド取付部と前記左後バンド取付部とに取付けられて,該第1保持バンドと第2保持バンドとが車幅方向に間隔をあけて並列に配設されている,
    ことを特徴とする車体下部構造。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において,
    前記フロアフレームは,平面視において,前記フロントフロア部の上面に接合されると共に前記サイドシルとトンネル部とを連結しているクロスメンバに対して傾斜されており,
    前記フロアフレームのフランジ部と前記クロスメンバのフランジ部とが,間に前記フロントフロア部を挟んだ3枚重ねの状態で接合されており,
    前記左右一対のフロントフレームは互いに平行となるように前後方向に伸びており,
    前記左右一対のフロントフレームの後端の間隔が,前記左右一対のフロアフレームの前端の間隔と略同じに設定されている,
    ことを特徴とする車体下部構造。
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