JP5874599B2 - フロントサブフレーム構造およびフロントサブフレームの組付け方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された構造は、ロアアームを支持するサスクロス本体と、その前方に位置するクロスメンバとの間に、車両の前後方向に延びるフロントサイドメンバを設け、該フロントサイドメンバの後端部をサスクロス本体の前部に当接させたものであるが、ロアアームの前側車体取付け部をサスクロス本体に対して前方から組付けることは不可能であって、ロアアームの組付け性までは考慮されていない。
また、該特許文献1には、フロントサイドメンバとサスクロス本体との間にピン(柱脚30参照)を設ける構造が開示されているが、このピンはフロントサイドメンバの位置ずれを防止するものであって、サスペンションアームのアーム取付けボルトではない。
しかしながら、該特許文献2で開示された従来構造においては、上記フロントサイドメンバが側面視直線状に形成されているので、パワートレインの下方レイアウトのスペースが確保できない。また、サスクロス本体とフロントサイドメンバとは下方から締付けるボルトを用いて締結されている関係上、作業性がよい反面で、ボルトの弛みが発生しやすく、ボルトの落下に起因してフロントサイドメンバが横ずれすると、該フロントサイドメンバによる荷重伝達が不可となる問題点があるうえ、該特許文献2に開示された構造においても、ロアアームの組付け性に対しては何等の検討もなされていない。
上述の支持部は、位置決めを兼ねるピンで構成してもよく、支持部による支持は係止構造に設定してもよい。
よって、パワートレインのレイアウトのバランスと、サスペンションアームの組付性と、衝突荷重の分散やフロントサイドメンバの荷重吸収変形という衝突安全性の向上を、サスクロス本体に特段の補強をすることなく、高次元でバランスさせることができる。
また、フロントサイドメンバの前端部がパワートレインよりも前方に延設されているので、サスクロス本体を、後退するパワートレインと干渉する以前に車体から切り離すべく、早期に荷重伝達を図ることができる。
上述のアーム前側取付部は、筒状構造のブッシュに設定してもよい。
上述のアーム後側支持部は、サスペンションアームの後側を支持するアッパブラケット、ロアブラケットに設定してもよい。
さらに、第3車体取付部と、これを支持する第3車体側支持部との間の切り離しにより、第1、第2車体取付部の切り離しが容易となる。
図1は本発明のフロントサブフレーム構造およびフロントサブフレームの組付け方法を示す全体斜視図、図2はその側面図(但し、図2においては、ロアアームのアーム前側取付部であるブッシュのみを示し、ロアアームの他の部分は図示の便宜上、省略している)、図3は図1の底面図である。
図1〜図3において、エンジンルームと車室とを前後方向に区画するダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル1を設けている。このダッシュロアパネル1はその車幅方向中央部にフロアパネル側のトンネル部と連続するダッシュパネル側のトンネル部2とを備えている。
またダッシュロアパネル1のトンネル部2およびフロアパネルのトンネル部の下部と対応して、車両の前後方向に延びるトンネルロアフレーム4,4を設けている。そして、このトンネルロアフレーム4と上述のサイドシル3との車幅方向中間部には、車両の前後方向に延びるフロアフレーム5,5を設けている。
さらに、フロアフレーム5の前部とサイドシル3の前部とを車幅方向に連結する左右一対のトルクボックス6,6を設けている。
上述のビード7a,7bは、重衝突時(重衝突とはフロントサイドフレーム7が座屈変形するような衝突)に折れの切っ掛けとなり、このビード7a,7bの形成位置でフロントサイドフレーム7の座屈変形を許容するものである。
図2,図3において、11はエンジン12およびトランスミッション13を備えたパワートレインである。
上述のフロントサイドメンバ18の前端部は、図2に示すように、パワートレイン11よりも前方に延設されている。このように、フロントサイドメンバ18の前端部を、パワートレイン11よりも前方に延設することで、サスクロス本体16を、後退してくるパワートレイン11と干渉する以前に車体から切り離すべく、早期に衝突荷重伝達を図るように構成したものである。
また、このフロントサイドメンバ18は、例えば、1000MPa以上の耐力をもつ超高張力鋼板で形成されており、図2に側面図で示すように、ロアクラッシュカン17より下方に配設され、該フロントサイドメンバ18の前部はその後部に対して前上に曲がっている。
なお、この実施例では、ロアクラッシュカン17の後端に対して、フロントサイドメンバ18の前端部略全体が上下方向にオーバラップするように構成されており、荷重伝達効率の向上を図っている。
また、図2,図6に示すように、ロアクラッシュカン17とフロントサイドメンバ18との間には、ブラケット19が設けられている。
フロントクロスメンバ21(いわゆる、第1クロスメンバ)は左右のブラケット19,19における下部19d,19d相互間に車幅方向に延びるように取付けられている。この実施例では、フロントクロスメンバ21として断面ハット形状のメンバを用いている。
サスクロス本体16はサスペンションの支持剛性を受けもつもので、このサスクロス本体16は、図2に示すように、左右一対のフロントサイドフレーム7,7の下側に位置しており、該サスクロス本体16は、図1〜図5に示すように、車両前後方向に延びる角パイプ製の左右一対のリヤサイドメンバ30,30と、リヤサイドメンバ30,30の前部相互間に車幅方向に向けて架設されたセンタクロスメンバ(第2クロスメンバ)31と、該センタクロスメンバ31の後部車幅方向中間部(望ましくは、後部車幅方向中央部)とリヤサイドメンバ30,30の後端部との間に、平面視で略V字状に架設されたクロスメンバとしての金属丸パイプ製の傾斜メンバ32(いわゆるV字ブレース)と、リヤサイドメンバ30,30の後端と対応する傾斜メンバ32の左右の後部相互間に車幅方向に延びるように架設されたリヤクロスメンバ33(第3クロスメンバ)と、リヤサイドメンバ30の前端に対応するセンタクロスメンバ31の左右両部から上方に延設されて、図1,図2で示した左右のフロントサイドフレーム7,7におけるサス取付けブラケットB2,B2(第3車体側支持部)にそれぞれ連結される左右の車体取付部35,35(第3車体取付部、いわゆる「ツノ部材」であり、以下単にタワー部と略記する)と、を備えている。
つまり、サスクロス本体16は片側3点、左右両側で計6点にて車体にマウントされたものである。
また、図3,図5に示すように、平面視において、ロアクラッシュカン17、フロントサイドメンバ18、リヤサイドメンバ30、トンネルロアフレーム4が車両の前後方向に略一直線状に連続するように配設されている。
そして、上述のインサイドマウント部M3と車体側の支持部B3との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられている。
上側に位置するアッパブラケット38は、平面から見て相対的に小さい面積の略三角形状に形成されており、下側に位置するロアブラケット39は、平面から見て相対的に大きい面積の略扇形状に形成されている。
上述のリヤマウント部M4と、これを支持する車体側の支持部B4との間には、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられている。
図5〜図9に示すように、サスクロス本体16の側部において上述のタワー部35の直前位置にはアーム前側支持部としての連結ブラケット40が設けられている。
この連結ブラケット40は、上面部40aと、前面部40bと、車幅方向内側に位置する側面部40cと、底面部40dとを備えており、車幅方向外側はロアアーム15、特にそのブッシュ36を取付け支持するために開放されている。
なお、連結ブラケット40の底面部40dは、センタクロスメンバ31を構成するパネル部材の車幅方向外方への延設部にて形成されている。
また、図8に示すように、連結ブラケット40の直後に位置するタワー部35は、2枚のパネルを組合せて閉断面41を有するように構成されており、ブッシュ36の配設位置に対応して該閉断面41内には予めナット42(いわゆるウエルドナット)が溶接固定されている。
上述のブッシュ36は、車両前方から挿入してナット42に締付けるアーム取付けボルト43にてタワー部35の下部前面および連結ブラケット40に取付けられている。
つまり、この実施例では、上壁35a、縦壁35bの溶接面積と、下壁35cの非溶接構造と、切欠き部35d,35eとで上述の離脱手段を構成しているが、この構成に代えて、マウント部M2、ブラケットB2の少なくとも一方の破損、あるいは、連結ボルトの破断がしやすいよう、各部材で強度を調整したり、または、脆弱部を設けてもよい。
また、上述のキャップ部46aの前面(頂面)にはアーム取付けボルト43の頭部との干渉を回避する開口46dが形成されている(図8参照)。
さらに、図4に示すように、フロントサイドメンバ18の後端部はサスクロス本体16と上述の位置決めピン44により前後方向にピン係合され、フロントサイドメンバ18の前端部はボルト挿通孔23に挿通する図示しないボルトと、ナットを用いて、支持部材22を介してフロントサイドフレーム7の前部下面に締結されるものである。
また、車幅方向に並ぶ2点のボルト挿通孔23,23に挿通するボルト(第1マウント部M1)により、フロントサイドメンバ18の前部を2点で車体に支持するので、斯る2点支持によりフロントサイドメンバ18の横方向曲げモーメントの低減を図ることができる。
なお、図1,図4に示すように、上述のセンタクロスメンバ31の前面側車幅方向中間にはエンジンマウント用の開口部31aが形成されている。また、図中47はロアアーム15の車幅方向内側後部のロアアームブッシュで、このロアアームブッシュ47の軸は上下方向に指向させている。さらに図2において、48はラジエータ(熱交換器)であり、図1,図4に示すようにフロントクロスメンバ21はその左右両端部の取付け部に対して車幅方向中間部が若干下方に位置しており、これによりフロントクロスメンバ21およびその上方に対するラジエータ配置スペースを確保するように構成している。
また、図中、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車幅方向内方を示し、矢印OUTは車幅方向外方を示す。
この実施例では上述の支持部は、位置決めを兼ねるピン44で構成しており、また、支持部による支持は係止構造に設定している。
よって、パワートレイン11のレイアウトのバランスと、サスペンションアーム(ロアアーム15)の組付性と、衝突荷重の分散やフロントサイドメンバ18の荷重吸収変形という衝突安全性の向上を、サスクロス本体16に特段の補強をすることなく、高次元でバランスさせることができる。
また、上記フロントサイドメンバ18とサスクロス本体16とリヤサイドメンバ30とが、アーム前側取付部(ブッシュ36参照)を介してサスクロス本体16後側の第1車体側支持部(支持部B3参照)に連結される第1車体取付部(マウント部M3参照)に向けて後方斜め中央側に平面視で略直線状に配設されたものである(図3,図5,図8参照)。
さらに、上記第1車体取付部(マウント部M3)と第1車体側支持部(支持部B3)との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段(開口部37参照)が設けられたものである(図3参照)。
加えて、上記リヤサイドメンバ30の後端部と、上記第1車体取付部(マウント部M3参照)の外側に位置する第2車体取付部(マウント部M4参照)とをつなぐようにアーム後側支持部(アッパブラケット38、ロアブラケット39参照)が設けられたものである(図5参照)。
また、上記第2車体取付部(マウント部M4)と、これを支持する第2車体側支持部(支持部B4)との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられたものである(図3参照)。
さらに、上記アーム前側支持部(連結ブラケット40参照)の後部が、第3車体取付部(タワー部35およびマウント部M2参照)の一部で構成され、該第3車体取付部と、これを支持する第3車体側支持部(サス取付けブラケットB2参照)との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられたものである(図8,図9参照)。
さらに、第3車体取付部(タワー部35およびマウント部M2)と、これを支持する第3車体側支持部(サス取付けブラケットB2)との間の切り離しにより、第1、第2車体取付部(マウント部M3,M4参照)の切り離しが容易となる。
さらにまた、上記フロントサイドメンバ18の後端部はサスクロス本体16と前後方向にピン44係合し、フロントサイドメンバ18の前部は車体前部に締結されるものである(図1参照)。
また、上記実施例のフロントサブフレームの組付け方法は、請求項7記載のフロントサブフレーム構造において、上記フロントサイドメンバ18を、サスクロス本体16およびサスペンションアーム(ロアアーム15参照)の車体組付け後に車体に組付けるものである(図1,図4,図9参照)。
この発明のサスペンションアームは、実施例のロアアーム15に対応し、
以下同様に、
アーム前側支持部は、連結ブラケット40に対応し、
支持部は、位置決めピン44に対応し、
ラバー部材は、ラバーシート45に対応し、
第1車体取付部は、インサイドマウント部M3に対応し、
第2車体取付部は、リヤマウント部M4に対応し、
第3車体取付部は、センタマウント部M2およびタワー部35に対応し、
第1車体側支持部は、支持部B3に対応し、
第2車体側支持部は、支持部B4に対応し、
第3車体側支持部は、サス取付けブラケットB2に対応し、
離脱手段は、開口部37並びに、タワー部35の上壁35a、縦壁35bの溶接面積と、下壁35cの非溶接構造と、切欠き部35d,35e、あるいは、マウント部およびブラケットの少なくとも一方が、破損または連結ボルトの破断がしやすいように各部材で強度を調整したり、脆弱部を設ける構造に対応し、
アーム後側支持部は、アッパブラケット38、ロアブラケット39に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
15…ロアアーム(サスペンションアーム)
16…サスクロス本体
17…ロアクラッシュカン
18…フロントサイドメンバ
30…リヤサイドメンバ
35…タワー部(第3車体取付部)
36…ブッシュ(アーム前側取付部)
37…開口部(離脱手段)
38…アッパブラケット(アーム後側支持部)
39…ロアブラケット(アーム後側支持部)
40…連結ブラケット(アーム前側支持部)
43…アーム取付けボルト
44…位置決めピン(支持部)
45…ラバーシート(ラバー部材)
B2…サス取付けブラケット(第3車体側支持部)
B3…支持部(第1車体側支持部)
B4…支持部(第2車体側支持部)
M2…マウント部(第3車体取付部)
M3…マウント部(第1車体取付部)
M4…マウント部(第2車体取付部)
Claims (8)
- サスペンションアームを支持するサスクロス本体とロアクラッシュカンとの間に、車両の前後方向に延びるフロントサイドメンバを設けるフロントサブフレーム構造であって、
上記フロントサイドメンバの前端部はパワートレインよりも前方に延設されており、
該フロントサイドメンバの後端部を、サスペンションアームのアーム取付けボルトを覆う形状として、アーム前側支持部前面にラバー部材を介して突き当て、
該アーム前側支持部のアーム取付けボルトよりも車幅方向外側部位に設けられた支持部で上記フロントサイドメンバ後端部が支持されたことを特徴とする
フロントサブフレーム構造。 - 上記フロントサイドメンバとサスクロス本体とリヤサイドメンバとが、アーム前側取付部を介してサスクロス本体後側の第1車体側支持部に連結される第1車体取付部に向けて後方斜め中央側に平面視で略直線状に配設された
請求項1記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記第1車体取付部と第1車体側支持部との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられた
請求項2記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記リヤサイドメンバの後端部と、上記第1車体取付部の外側に位置する第2車体取付部とをつなぐようにアーム後側支持部が設けられた
請求項2または3記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記第2車体取付部と、これを支持する第2車体側支持部との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられた
請求項4記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記アーム前側支持部の後部が、第3車体取付部の一部で構成され、
該第3車体取付部と、これを支持する第3車体側支持部との間に、前突による所定値以上の後退荷重を受けて離脱する離脱手段が設けられた
請求項1〜5の何れか1項に記載のフロントサブフレーム構造。 - 上記フロントサイドメンバの後端部はサスクロス本体と前後方向にピン係合し、
フロントサイドメンバの前部は車体前部に締結される
請求項1〜6の何れか1項に記載のフロントサブフレーム構造。 - 請求項7記載のフロントサブフレーム構造において、
上記フロントサイドメンバを、サスクロス本体およびサスペンションアームの車体組付け後に車体に組付けることを特徴とする
フロントサブフレームの組付け方法。
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