図1は車体12の後部を示している。図1、図2に示すように、車両11は、車体12に本発明による車体側部13を採用している。図1〜図10に示すように、車体12は、車室14の床をなすアンダボデー15と、車室14の側壁をなす左右のサイドボデー16と、ルーフ17とを含む。アンダボデー15およびサイドボデー16は、荷室18を形成するリヤボデーを含む。
アンダボデー15は、車両11前後方向に延びるよう左右に配置されたリヤサイドフレーム21と、この左右のリヤサイドフレーム21に直交するよう接合して車幅方向に延びたリヤフロアクロスメンバー22と、リヤフロアパネル23と、左右のリヤサイドフレーム21の後端25に接合され車幅方向に延びたリヤエンドパネル26と、リヤエンドパネルスチフナ27とを備える。
リヤフロアクロスメンバー22は、リヤフロアパネル23の上面に接合したフロアクロスメンバーアッパ31と、リヤフロアパネル23の下面に接合したフロアクロスメンバーロア32とからなる。すなわち、リヤフロアクロスメンバー22は上下に2分割され、リヤフロアパネル23を介して互いに接合されることによって上下に閉断面形状を形成している。
タイヤ収納凹部34は、リヤフロアパネル23に形成されている。左右のリヤサイドフレーム21の後端25には、バンパービーム35の端部36がそれぞれ連結されている。左右のサイドボデー16は、左右のリヤサイドフレーム21にそれぞれ立設されている。
サイドボデー16は、クォータピラー37と、このクォータピラー37に連続しているリヤホイールハウス41と、ホイールハウスガセット42と、アッパスチフナ43と、ホイールハウスロアスチフナ44と、リヤサイドパネル45と、クォータメンバー46と、左右のリヤピラー47と、を備えている。
クォータピラー37は、ピラーインナ51と、ピラースチフナ52とを有する。ピラースチフナ52の外側に図に示していないピラーアウタが取付けられ、ピラーアウタはピラーインナ51に接合されている。リヤホイールハウス41は、リヤホイールハウスインナ54と、リヤホイールハウスアウタ55とを有する。
ルーフ17は、図10に示すように、左右のサイドボデー16に接続され、且つリヤピラー47に接続されたリヤルーフレール57と、左右のサイドボデー16に連続した左右のルーフサイドレール58と、左右のルーフサイドレール58に接合されたルーフアーチ61と、ルーフパネル62とを備えている。
ルーフサイドレール58はサイドボデー16に連続し、サイドボデー16の一部をなしている。左右のルーフサイドレール58は車体側部13のクォータピラー37に接続されている。
次に、車体側部13の主要構成を図1〜図11で説明する。車体側部13は、車体12の後部床をなすフロア部(アンダボデー15)の車幅外側部分(リヤサイドフレーム21)から上方に立設した左右のリヤホイールハウス41と、リヤホイールハウス41に接合され車室14の中央へ向け(矢印a1、矢印a2の方向)膨出した断面形状のアッパスチフナ43と、リヤホイールハウス41から上方に延びて車室14の中央へ向け膨出した断面形状のピラーインナ51を有するピラー(クォータピラー37)と、を備える。
アッパスチフナ43は、リヤホイールハウス41から上方に延びてピラーインナ51の下端65に重なり、アッパスチフナ43とピラーインナ51とが連続するよう介在されている延出部66を備えている。
リヤホイールハウス41は、アッパスチフナ43が接合されることによって形成された第1閉断面部67を備えている。ピラー(クォータピラー37)は、ピラーインナ51に対向して車室14の外側に接合することによってピラーインナ51の開口68(図3、図6)を閉じているピラースチフナ52と、ピラースチフナ52とによって形成され上下方向に延びる第2閉断面部71とを備えている。
ピラースチフナ52は、ピラーインナ51の下端65よりも下方に延出した下端延長部72を有する。下端延長部72は、図3および図5で示す矢印a3または矢印a4で示した車両側面視で、アッパスチフナ43の延出部66に重なって配置されている。
リヤホイールハウス41は、車室14側に配置されているリヤホイールハウスインナ54と、リヤホイールハウスインナ54の端73に接合し車室14の外側に配置されているリヤホイールハウスアウタ55と、リヤホイールハウスインナ54およびリヤホイールハウスアウタ55に下方から(矢印a5の方向)重ねて接合したロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44とを備える。
ロアスチフナ44は、言い換えると、リヤホイールハウスインナ54の外面およびリヤホイールハウスアウタ55の外面に重なっている。リヤホイールハウス41の外面は、車輪の外周面に対向する面である。
アッパスチフナ43は、リヤホイールハウスインナ54の車室内側面75に配置され、ピラースチフナ52における下端延長部72の下端76がリヤホイールハウスアウタ55の上面77に結合されている。ロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44は、アッパスチフナ43およびピラー(クォータピラー37)に重なり、かつロアスチフナ44の車幅外側端部78を、ピラースチフナ52を接合しているリヤホイールハウスアウタ55の結合部81まで延出している。
ピラーインナ51は、アッパスチフナ43の延出部66に重なる下端65を補強するための補強部材82(図3,図4)を備えている。この補強部材82は、ピラーインナ51の裏面51aの下端65に重なって接合されている(図3)。
アッパスチフナ43は、図7、図8に示すように、アッパ第1側部84と、アッパ第1側部84に対向しているアッパ第2側部85と、アッパ第1側部84からアッパ第2側部85まで延びるアッパ第3側部86と、これらで形成された稜線がなすアッパ稜線部87、88とで断面略U字状に形成されている。
ピラーインナ51は、図6に示すように、ピラー第1側部91と、ピラー第1側部91に対向しているピラー第2側部92と、ピラー第1側部91からピラー第2側部92まで延びるピラー第3側部93と、これらで形成された稜線がなすピラー稜線部94、95とで断面略U字状に形成されている。そして、アッパ稜線部87とピラー稜線部94(94a)とは連続し、アッパ稜線部88とピラー稜線部95(95a)とは連続している(図4、図11参照)。
車体側部13は、図10に示すように、ピラー(クォータピラー37)の上端96に連結しているルーフサイドレール58を備える。ピラーインナ51(図3)のピラー稜線部94(94a)、95(95a)は、ルーフサイドレール58の車体前後方向に沿って前方若しくは後方に向けて湾曲している。前方に向けて湾曲しているのが前湾曲部101、後方に向けて湾曲しているのが後湾曲部102である。
次に、車体側部13について、図3、図10及び図11に基づいて説明する。車体側部13は、既に説明した補強部材82と、ピラー(クォータピラー)37のピラーインナ51と、ピラースチフナ52と、アッパスチフナ43と、ロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44と、ホイールハウスガセット42と、を有する。
補強部材82は、図に示していないリヤシート用のストライカ105(図4、図11)を取付けるためのブラケットである。ストライカ105は、リヤシートのシートバックを起こした状態でシートバックに係止して支持する。この補強部材82とアッパスチフナ43の上端(延出部66)とピラーインナ51の下端65(の裏面51a)との3枚が重なり(図3、図5、図9)、この3枚を重ねてスポット溶接を施すことによって溶接部106(図4、図9)で結合している。
クォータピラー37では、図6に示すように、ピラーインナ51のピラー稜線部94a、95bが、ピラースチフナ52のピラースチフナ稜線108、111にほぼ対向する位置に配置されている。ピラー稜線部94bは、ピラースチフナ稜線112にほぼ対向するよう位置している。
アッパスチフナ43のアッパ稜線部87は、図8に示すように、ロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44のロアスチフナ稜線部112にほぼ対向するよう位置している。さらに、アッパ稜線部88は、ロアスチフナ44のロアスチフナ稜線部113、114にほぼ対向するよう位置している。
車体側部13は、図1及び図3に示すように、アッパスチフナ43の下端116からリヤサイドフレーム21の上部117に亘るホイールハウスガセット42を備えている。
ホイールハウスガセット42は、アッパスティフナ43に連続し、下部をリヤサイドフレーム21およびリヤフロアクロスメンバー22に接合している。ホイールハウスガセット42は、図8に示すように、断面略U字状に形成され、ガセット稜線部118、121を有している。このガセット稜線部118とアッパスチフナ43のアッパ稜線部87とは連続し、ガセット稜線部121とアッパ稜線部88とは連続している。
ホイールハウスガセット42は、リヤホイールハウスインナ54とで閉断面形状を形成し(図2)、且つ、閉断面形状をアッパスチフナ43からリヤサイドフレーム21に亘って形成している。さらに、閉断面形状をリヤサイドフレーム21およびリヤフロアパネル23を介してリヤフロアクロスメンバー22に連続さしている(図1〜図3)。
リヤフロアクロスメンバー22は、先に説明したように、リヤフロアパネル23の上面に配置されたフロアクロスメンバーアッパ31と、リヤフロアパネル23の下面に配置されたフロアクロスメンバーロア32と、からなる。そして、フロアクロスメンバーアッパ31の前壁123とフロアクロスメンバーロア32の前壁124とがリヤフロアパネル23を介して上下にほぼ一直線状に連続し(図1、図10)、後壁125と後壁126がリヤフロアパネル23を介して上下にほぼ一直線状に連続している。
ピラー(クォータピラー)37は、図1及び図2に示すように、上端96が、車両11の前後方向に延びてルーフサイドレール58に接合し、ピラーインナ51のピラー稜線部94(94a)およびピラー稜線部95(95a)(図6)がルーフサイドレール58の稜線に連続するとともに、ルーフサイドレール58を介してルーフアーチ61へ向かって図10の矢印a6、矢印a7のように延びている。
車体側部13では、ピラー(クォータピラー)37、アッパスティフナ43、ロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44およびホイールハウスガセット42は、車体の環状骨格の一部を構成している。
車体の環状骨格は、図2に示すように、ルーフアーチ61と、左右のピラー(クォータピラー)37、左右のアッパスチフナ43、左右のロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44、左右のホイールハウスガセット42と、リヤフロアクロスメンバー22と、からなる。
アンダボデー15は、図2、図3に示すように、リヤサイドフレーム21の外側で、且つ、リヤフロアクロスメンバー22の延長上に形成されたダンパ取付け部131を有する。ダンパ取付け部131は、リヤホイールハウス41(ホイールハウスロアスチフナ44を含めて)とホイールハウスガセット42との間に位置している。ダンパ取付け部131はダンパを支持する支持点でもある。さらに、ダンパ取付け部131は、図に示していないリヤサスペンションのダンパの上部を取付ける。
次に、実施例による車体側部13の作用について説明する。先ず、車体側部13の車体12の強度を高める機構について説明する。
車体側部13では、図2に示すように、車輪側からリヤホイールハウス41近傍のダンパ取付け部131に荷重が矢印b1のように入力されると、荷重は、順にリヤホイールハウス41、アッパスチフナ43、ピラー(クォータピラー)37に伝わる。その際、アッパスチフナ43にピラー(クォータピラー)37のピラーインナ51が一体的に連続していることによって、荷重は、ピラーインナ51に伝えつつ分散される。従って、車両の走行安定性や振動低減に効果を発揮する。
図3に示すように、荷重が矢印b1のように入力されると、第1閉断面部67に第2閉断面部71を接続させている延出部およびピラースティフナの下端延長部によって、荷重を矢印b4、矢印b5のようにピラー(クォータピラー)37に伝え、分散することができ、リヤホイールハウスからピラーに亘る上下方向の剛性及び強度をより高めることができる。
さらに、リヤホイールハウスインナ54およびリヤホイールハウスアウタ55を介してロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44によって、第1閉断面部67と第2閉断面部71を矢印b6のように連続するように形成することができる。従って、リヤホイールハウス41からピラー(クォータピラー)37に亘る上下方向とリヤホイールハウスインナ54からリヤホイールハウスアウタ55に亘る左右方向の剛性及び強度をより一層高めることができる。
本実施例で示したアッパスティフナ43、ピラーインナ51、ピラースチフナ52、ロアスチフナ(ホイールハウスロアスチフナ)44の形状は、略U字形状のみに限定されない。