JP3715660B2 - 摩擦クラッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【従来の技術および発明の構成】
本発明は、特に自動車用の摩擦クラッチであって、回動不能にしかも軸方向に制限されて変位可能にケーシングに結合されたプレッシャプレートを備え、この場合ケーシングとプレッシャプレートとの間に圧着力を発生させるダイヤフラムばねが軸方向で緊定されていて、このダイヤフラムばねが、一方ではケーシングによって支持される旋回支承部を中心として旋回可能であり、かつ、他方ではプレッシャプレートとはずみ車のような対応受圧板との間で締込み可能なクラッチディスク方向にプレッシャプレートを負荷しており、この場合クラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償する後調整装置が設けられている形式のものに関する。
【0002】
圧着用ダイヤフラムばねのばね力によってプレッシャプレートを事実上不変に負荷する自動的な後調整装置は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第2916755号及び3518781号明細書から公知である。この場合少なくとも1つのセンサに関連して調節可能な後調整装置はプレッシャプレートと圧着用ダイヤフラムばねとの間で配置されるかもしくは作用する。
【0003】
接線方向で配置された板ばね(板ばねのばね力は、板ばねのばね力が圧着用ダイヤフラムばねの圧着力に抗して作用しているため、比較的僅かでよい)を介してケーシングにプレッシャプレートが枢着されていることによって、摩擦クラッチ解離状態で比較的大きな質量を有するプレッシャプレートが軸方向で振動し、つまりこの場合圧着用ダイヤフラムばねから持ち上げられ、これによってクラッチ機能が損なわれるばかりでなく、クラッチが損傷するようになる。
【0004】
それというのもプレッシャプレートがクラッチディスクに接触するまで、つまりクラッチが最早切り離されなくなるまで、後調整装置が開放状態で後調整されるからである。この理由からこのような後調整装置は実地においては使用されない。
【0005】
本発明の課題は、上記欠点を回避して、実地において広範囲にしかも過酷な運転の場合にも使用できかつ構造が簡単でしかも不変に確実に機能しかつ組込スペースが僅かで済みしかも安価に製作できるような後調整装置を提供し、更に、所要の解離力が僅かで、耐用寿命に亘って維持さしかも摩擦クラッチの耐用寿命が一層高められるようにすることにある。
【0006】
前記課題は本発明のよれば、一方ではケーシングのような構成部材に支持されかつ他方では円形配置形式でケーシングに設けられた旋回支承部を中心として旋回可能な圧着用ダイヤフラムばねによって圧着力を生ぜしめられる、圧着用ダイヤフラムばねによって負荷されるプレッシャプレートを備えた摩擦クラッチにおいて、カバーと圧着用ダイヤフラムばねとの間に、ケーシング側の支承部材を摩耗に関連してケーシングから離反変位させる、送り装置によって継続搬送可能な自動的な後調整装置が作用していて、かつ、圧着用ダイヤフラムばねが旋回支承部の方向で支持力の作用を受けていることによって解決された。
【0007】
支持力は有利には不変に存在するので、圧着用ダイヤフラムばねは解離力に抗して伝力接続的にのみ、つまり形状接続的に枢着された部材によってではなくばね力によるだけで支持される。
【0008】
この場合圧着用ダイヤフラムばねはその作業範囲に亘って累減する特性曲線を以って組み込まれている。つまり、圧着用ダイヤフラムばねの所定の組込位置おいて摩耗に起因する円錐角変化が生じない場合圧着用ダイヤフラムばねの解離行程に亘って、支持力が、支持力に抗して作用する圧着用ダイヤフラムばねによってもたらされる力よりも大きく、並びに、圧着用ダイヤフラムばねの円錐角が摩耗に起因して変化した場合圧着用ダイヤフラムばねの解離行程の部分範囲に亘って、支持力が、支持力に抗して圧着用ダイヤフラムばねによってもたらされる力よりも僅かであるように、支持力と圧着用ダイヤフラムばね力とが互いに調和されように組込まれている。
【0009】
この場合支持力は単一のばね部材によって又は少なくともほぼ単一のばね部材又はばね機構によってもたらされる。支持力とは圧着用ダイヤフラムばねに抗して作用する全てのばね力の和であり、つまり例えば(トルク伝達もしくは行程)板ばねによって生ぜしめられる力又はこの力のみか、又は、ライニング弾性の(残余)弾性等である。
【0010】
支持力を少なくともほぼもたらす蓄力部材としては、有利には後調整に亘ってその形状を変えるばね、例えば皿ばねが使用される。更に、支持力をもたらす蓄力部材は板ばねによって形成することもできる。
【0011】
支持力をもたらす皿ばねは、例えば軸方向で変位可能なカバー側の支持部の半径方向高さで直接圧着用ダイヤフラムばねに支承することができる。
【0012】
後調整装置が圧着用ダイヤフラムばねとカバーとの間に配置されていると特に有利である。後調整装置は特に有利には、テーパ部のような乗り上げ面を有することができる。
【0013】
本発明に基づき摩擦クラッチの耐用寿命に亘って圧着用ダイヤフラムばねは、クラッチ連結状態で事実上常に同じ円錐角もしくは緊定力を有しかつ(摩擦ライニング、プレッシャプレート自体又は圧着用ダイヤフラムばねのカバー又はプレッシャプレート側の支持部材又ははずみ車ディスクの摩擦面のような別の構成部分の摩耗とは無関係に)プレッシャプレートひいてはクラッチディスクを事実上均一に負荷することができる。
【0014】
更に本発明の規定によって、プレッシャプレートの質量が後調整装置の質量によって増大させられないことが保証される。更に後調整装置は、ディスク摩耗の影響から防護されかつ摩擦熱源から著しく遠ざけられた範囲に収容されている。
【0015】
本発明による摩擦クラッチの特に有利な構成では、圧着用ダイヤフラムばねは2つの支承部材(これら支承部材のうちプレッシャプレートに面した支承部材は圧着用ダイヤフラムばねの方向にばね負荷される)の間でケーシングに旋回可能に支承されていて、この場合ライニングが摩耗した場合、クラッチ解離時に圧着用ダイヤフラムばねからばね負荷された支承部材に作用する力が増大しかつ次いでばね負荷された支承部材に作用する対向力もしくは支持力よりも大きくなる。
【0016】
この場合圧着用ダイヤフラムばねは、摩擦クラッチの構造的に規定された組込み位置から出発して、ライニング摩耗によって生ぜしめられる弛緩方向で圧着用ダイヤフラムばねによってもたらされる力ひいては所要の解離力をまずを増大せしめかつ規定された組込み位置に対して変形もしくは緊定された位置で圧着用ダイヤフラムばねによってもたらされる力を解離過程時に減少せしめるような、特性曲線を有している。
【0017】
圧着用ダイヤフラムばねのこのような配置及び設計によって、ライニング摩耗が生じた場合、解離時に圧着用ダイヤフラムばねから支承部材に及ぼされる力とばね負荷された支承部材に作用する対向力とが常に再びバランスされるようになる。
【0018】
それというのも支持力が上回った場合圧着用ダイヤフラムばねから支承部材に及ぼされる力によって圧着用ダイヤフラムばねがセンサばねをカバー側の支承部材から離反変位させかつ後調整装置が送り装置の力によって継続回動させられるからである。
【0019】
これによって、センサによって及ぼされる力が継続回動を阻止しかつ支承部材の引き続く軸方向変位を阻止するまで、支承部材は軸方向に変位させられる。
【0020】
すでに述べたように特に有利には、圧着用ダイヤフラムばねが少なくとも解離範囲の一部に亘って、有利には事実上摩擦クラッチの全解離範囲に亘って下降する特性曲線を有するように、圧着用ダイヤフラムばねは摩擦クラッチ内に組み込まれている。
【0021】
圧着用ダイヤフラムばねの組込み位置は、摩擦クラッチ連結解離状態で圧着用ダイヤフラムばねがサインカーブ状の力・行程・経過の最小点に達するか又は越えるように、設定されている。
【0022】
ばね負荷された支承部材に及ぼされる対向力は有利には蓄力部材によって生ぜしめられ、この蓄力部材はほぼコンスタントな力を少なくとも所定の後調整範囲に亘ってもたらすことがでいる。このために特に有利には、プレロードをかけた状態で摩擦クラッチ内に組み込まれる適当に構成された皿ばねが適している。
【0023】
本発明による後調整装置は、半径方向で外側の範囲でプレッシャプレートを負荷しかつ半径方向で更に内側に位置する範囲を介して2つの旋回支承部の間でケーシングに支承された圧着用ダイヤフラムばねを有する摩擦クラッチにおいて特に有利に使用される。この構造形式では圧着用ダイヤフラムばねは2腕状のレバーとして作用する。
【0024】
しかしながら本発明は、同時に解離レバーがダイヤフラムばね舌片として成形されている圧着用ダイヤフラムばねを有する摩擦クラッチに限定されるものではなく、例えば圧着用ダイヤフラムばねが付加的なレバーを介して操作される別のクラッチ構造にも適用できる。
【0025】
摩耗を申し分なく後調整するためにもしくは摩擦クラッチのために最良の圧着力を保証するために特に有利には、ばね負荷された支承部材とは反対の圧着用ダイヤフラムばね側に設けられた対向支承部材が、軸方向でプレッシャプレートの方向で自動的に変位可能であるが、反対方向で所定の手段によって自動的に係止可能であるように、構成されている。
【0026】
対向支承部材、つまりカバー側の支承部材の後調整は、対向支承部材をプレッシャプレートの方向にもしくは圧着用ダイヤフラムばねに抗して負荷する蓄力部材を用いて行われる。つまり対向支承部材はライニング摩耗によって生ぜしめられるばね負荷された支承部材の変位に相応して自動的に後調整され、これによって圧着用ダイヤフラムばねを遊びなく旋回可能に支承できるようになる。
【0027】
対向支承部材は圧着用ダイヤフラムばねとカバーとの間に設けられた後調整装置によって軸方向に変位可能である。この場合後調整装置は環状の、つまり自体互いに協働する構成部材を有していて、この構成部材は少なくとも摩擦クラッチ連結状態で圧着用ダイヤフラムばねによって軸方向で負荷される。
【0028】
摩耗が発生した場合及び解離過程中に環状の構成部材が回動することによって、旋回支承部はライニング摩耗に相応して後調整される。このために特に有利には後調整装置もしくは後調整装置の環状の構成部材は軸方向で上昇する後調整テーパ部を有することができる。
【0029】
更に環状の構成部材が対向支承部材を支持し、この場合対向支承部材が線材リングによって形成されていると有利である。この線材リングは構成部材の循環する環状溝内に受容されかつこの構成部材に形状接続部材を介して結合される。この場合形状接続部材はスナップ結合部材として構成される。
【0030】
乗り上げテーパ部は後調整のために円筒状又は球形の転動体と協働する。しかしながら、乗り上げテーパ部がこれに適合した対向乗り上げテーパ部と協働すると特に有利である。それというのも前記テーパ部の乗り上げ角を適当に選択することによってテーパ部を軸方向で緊定した場合自己ロック作用が生ぜしめられるからである。
【0031】
対向乗り上げテーパ部は、乗り上げテーパ部を支持する構成部材とカバーとの間に配置できる環状の構成部材によって支持することができる。しかしながら対向乗り上げテーパ部をケーシング内に設けることによって特に簡単な構造が得られる。
【0032】
対向乗り上げテーパ部をケーシング内に設けることは特に簡単には薄板ケーシングの場合に行われる。それというのも対向乗り上げテーパ部をスタンプ加工することができるからである。この場合スタンプ加工はケーシングの半径方向にのびる範囲で行われる。
【0033】
更に、摩擦クラッチを安価に製作するために、後調整装置の少なくとも一部がプラスチックから製作されると有利である。このようなプラスチック部分は射出成形によって製作できる。プラスチックとしては特に有利には、例えばポリアミドのような熱可塑性プラスチックが適している。
【0034】
後調整装置は熱作用に殆どさらされない範囲に設けられるためプラスチックの使用が可能になる。更に重量が僅かであるため慣性モーメントも僅かである。
【0035】
本発明の別の思想によれば後調整装置は、後調整装置が(摩擦クラッチ解離方向でみて)フリーホイールのように作用するが、解離方向とは逆方向で自己ロック作用を有するように構成することができる。このために乗り上げテーパ部及び/又は対向乗り上げテーパ部は、これらテーパ部が軸方向で4度乃至20度、有利には5度乃至12度の大きさの傾斜角を有するように構成できる。
【0036】
有利には乗り上げテーパ部及び/又は対向乗り上げテーパ部は、摩擦係合によって自己ロック作用が得られるように、構成される。更に、自己ロック作用を形状接続によって達成するかもしくは補助することができ、この場合例えば一方のテーパ部が柔軟に形成されかつ他方のテーパ部が成形部を備えるか、又は、両テーパ部が成形部を有している。このような措置によって、不都合な戻りを阻止するために付加的な手段を何等必要とせずに済む。
【0037】
更に、周方向で作用する送り装置がプレロードをかけて組み込まれたばねとして構成されていて、このばねが乗り上げテーパ部を支持する少なくとも1つの構成部材及び/又は対向乗り上げテーパ部もしくは対向乗り上げ範囲を支持する少なくとも1つの構成部材を後調整方向でばね弾性的に負荷する場合には、後調整装置は特に有利にしかも簡単に構成される。
【0038】
この場合ばね負荷は有利には、その他のばねの作用、特に操作圧着用ダイヤフラムばねの作用及び軸方向でフレキシブルな支承部材を負荷するばねの作用に影響を及ぼさないようにもしくは事実上及ぼさないように、行われる。
【0039】
多くの使用ケースのために、後調整装置が変位可能な多数の後調整部材、例えば半径方向及び/又は周方向で変位可能な後調整くさび又は転動体を有していると、有利である。更に、後調整装置が回転数に関連して構成されると有利である。従って例えば、後調整装置の個々の構成部材に作用する遠心力を内燃機関の所定の運転状態で後調整装置を操作するため及び/又は係止するために利用することができる。
【0040】
特に遠心力に関連した手段によって後調整装置を所定の回転数以降係止することができ、このことは例えば少なくともほぼアイドリング回転数の場合又はアイドリング回転数以下の回転数の場合に行われるので、摩耗後調整は僅かな回転数の場合にのみ行われる。これによって、高回転数の場合の振動に起因する不都合な後調整が生じないという利点が得られる。
【0041】
後調整装置の特に簡単でかつ確実な機能を有する構造は、乗り上げテーパ部及び又はこれに対応する側にある対応乗り上げテーパ部若しくは対応乗り上げ範囲を有する、ケーシングに対して変位可能な部分に、ばね力が負荷されていることによって、えられる。適当なテーパ部若しくは範囲を有するこのような構造部分がたんに1つだけである場合には、この構造部分にばね力が負荷される。この場合上に述べたばね力の負荷によって周方向の力が発生するようにするのが特に有利である。
【0042】
摩擦クラッチの構造及び機能にとってはさらに次のような構成が有利である。即ち、例えば皿ばねのようなディスク状のばねとして製作されたセンサばねがその半径方向外側の範囲で、例えばケーシングのような軸方向で不動の構造部分に支持され、かつ半径方向で内側にある範囲でカバーとは反対側の転がり支持面にばね負荷を与えているようにするのである。この転がり支持面はセンサばねと一体に製作されていてもよく、この場合センサばねの一部が上記支持面を形成する。センサばねを緊縮した位置状態に保持するためにケーシングは支持範囲を有していることができる。これらの支持範囲はケーシングに設けられた個々の支持エレメントによって形成することができる。しかしまた上記支持範囲をケーシングと一体に製作することも可能であり、例えばケーシングに圧刻成形部又はケーシング壁から切り出して変形加工した範囲を設け、該成形部又は範囲がセンサばねの半径方向外側に軸方向で係合して該センサばねを支持するようにすることも有利である。
【0043】
摩擦クラッチの機能にとって、殊にクラッチ解離力の作用過程をできるだけ小さくし、若しくは必要な解離力をできるだけ小さくするため、プレッシャープレートと対応受圧板との間に締込まれるクラッチディスクが摩擦ライニングを有し、これらの間に、例えばDE−OS3631863号明細書によって公知になっているような、所謂ライニングばね機構を設けるのが特に有利である。このようなクラッチディスクを使用することにより、摩擦クラッチの操作、殊にクラッチ解離過程が助成される。このことは以下のことに起因する。即ち摩擦クラッチが連結状態にある場合、緊縮されたライニングばね機構はプレッシャープレートに反力、即ち押圧用若しくは操作用ダイヤフラムばねが上記プレッシャープレートに作用させる力に対して逆向きの反力、を作用させることに起因する。クラッチ解離過程では、プレッシャープレートの軸方向変位中、プレッシャープレートはまずばね弾性的に緊縮したライニングばね機構により押し戻され、このさい同時に、押圧用ダイヤフラムばねの、解離範囲にある比較的急傾勾で下降するばね特性曲線区分に基づいて、該押圧用ダイヤフラムからプレッシャープレートへ作用する力も減少する。押圧用ダイヤフラムばねからプレッシャープレートへ作用する力の減少に伴って、ライニングばね機構からプレッシャープレートへ作用する戻し力も減少する。摩擦クラッチの解離に必要な力は、ライニングばね機構の戻し力と押圧用ダイヤフラムばねの押圧力との差になる。ライニングばね機構が弛緩した後は、要するにプレッシャープレートが摩擦ライニングから離され若しくはプレッシャープレートによりクラッチディスクが解放された後は、必要な解離力は主に押圧用ダイヤフラムばねによって規定される。ライニングばね機構の力−距離特性と押圧用ダイヤフラムばねの力−距離特性とは、プレッシャープレートによりクラッチディスクが解放されたときに押圧用ダイヤフラムばねの操作に必要な力が低いレベルにあるように、互いに調和させることが可能である。プレッシャープレートによりクラッチディスクが解放されるまでの押圧用ダイヤフラムばね特性にライニングばね機構のばね特性を調和させることにより又は全く同一にすることにより、押圧用ダイヤフラムばねの操作には極めて僅かな、極端な場合には実際上零に近い力を他の被駆動部分の操作のために必要とするにすぎない。さらに押圧用ダイヤフラムばねの特性を以下のように設計することも可能である。即ちクラッチディスクが解放された後このときなお押圧用ダイヤフラムばねから生じる旋回運動に抗する力若しくは押圧用ダイヤフラムばねの旋回運動に必要な力が、摩擦クラッチの連結時にこの押圧用ダイヤフラムばねから作用せしめられる押圧力に比して極めて低いレベルにあるように設計することができる。さらにまた、プレッシャープレートによってクラッチディスクが解放されるさい、クラッチの解離のために押圧用ダイヤフラムばねの操作に極めて僅かな若しくは実際上零に近い力しか必要としないように設計することも可能である。このような摩擦クラッチは、操作力が0〜200Nであるように設計することができる。
【0044】
さらに本発明の思想によれば、摩擦クラッチを以下のように設計することが可能である。即ち、プレッシャープレートによってクラッチディスクが少なくともほぼ解放されたときに、押圧用ダイヤフラムばねから作用せしめられる軸方向力が零の範囲にあり、かつこの場合クラッチ解離過程の進行に伴って押圧用ダイヤフラムばねから作用せしめられる力が負になり、要するに押圧用ダイヤフラムばねの力の作用方向が逆転するように設計することが可能である。このことは、摩擦クラッチが完全に解離されたときに摩擦クラッチが実際に自ら遮断されたままの状態にとどまっており、クラッチ連結のための外力の作用によってはじめて再び操作される、ということを意味する。
【0045】
更に本発明は、特に自動車用の、加圧板を有する摩擦クラッチ、それも、加圧板が回転不能に、かつ軸方向に制限された距離だけ移動可能にハウジングと結合されており、しかもハウジングと加圧板との間には少なくとも1つの突張り可能の押圧ばねが作用しており、この押圧ばねが、加圧板を加圧板と対応加圧板、たとえばはずみ車との間に挟付け可能のクラッチ板の方向へ押付ける形式のものに関する。
【0046】
この種のクラッチは、たとえばDE−OS24 60 963、DE−PS24 41 141 、DE−AS1267 916により公知である。
【0047】
本発明の課題は、機能及び有効寿命の点で前記形式の摩擦クラッチを改良することにある。特に、本発明の目的とするところは、この種の摩擦クラッチ操作に要する力を低減させ、かつその全有効寿命にわたって一様の、クラッチ・リリース力の推移が保証されるようにすることである。更にまた、別の目的は摩擦クラッチを特に簡単かつ経済的に製造することである。
【0048】
本発明によれば、これらの課題は次のようにすることにより解決された。すなわち、クラッチ板の摩擦ライニングの摩耗を自動的に補償する後調整装置を備えるようにし、この装置が、押圧ばねにより加圧板に対し事実上一様の力を負荷するようにし、更に、摩擦クラッチがクラッチ断続用の操作手段有するようにし、更にまた、クラッチのリリース過程中に操作手段の操作距離及び又は加圧板のリリース距離の少なくとも一部分にわたって、摩擦クラッチないしクラッチ板の伝達可能トルクを漸減させる装置を有するようにしたのである。この装置により、同じく次のことも達成できる。すなわち、クラッチインの過程のさい、摩擦ライニングが加圧板と対応加圧板との間に挟付けられ始めると、摩擦クラッチの伝達可能トルクが漸増するようにすることである。
【0049】
摩擦クラッチを本発明により構成することにより、クラッチインの場合に、押圧ばね、たとえば皿ばねが、クラッチの全有効寿命にわたって事実上常に等しい予圧を有し、したがって事実上一様な力を加圧板に負荷することができる。更に、クラッチのリリース過程中にクラッチの伝達可能トルクを一様に低減させる付加装置により、リリース力の推移ないし必要な最大リリース力の低減ないし最小化が達成される。これは、この付加装置が摩擦クラッチの操作、特にリリース過程を補助することに起因する。この目的のため、この装置は、軸方向にばね弾性を有する手段を有し、これらの手段が、操作手段、押圧ばね、加圧板、対応加圧板のすべて、又はいずれか1個に反力を及ぼし、この反力が、押圧ばねにより加圧板に及ぼされる力とは逆方向に直列的に作用せしめられる。
【0050】
特に有利な措置は、前記調整装置を次のように配置することである。すなわち、クラッチのリリース過程中に、押圧ばねに負荷される加圧板区域の軸方向変位距離の一部分にわたって、摩擦クラッチないしクラッチ板の伝達可能トルクを漸減させるように配置するのである。
【0051】
少なからぬ適用例の場合、前記調整装置は、有利には、操作手段の旋回支承部ないし押圧ばねと、ハウジングの取付け個所、たとえばねじ付け部との間の力の流れの途中に、それも対応加圧板のところに備えておくことができる。
【0052】
別の適用例の場合は、しかし、操作手段の旋回支承部ないし押圧ばねと加圧板の摩擦面との間に備えておくのも有利である。この配置は、たとえばDE−OS37 42 354及びDE−OS1450 201の提案による。
【0053】
更に別の適用例の場合は、特に次のようにするのが有利である。すなわち、調整装置が、クラッチ板の、背中合せに配置された2つの摩擦ライニングの間に軸方向に備えられるようにし、要するに、いわゆる“ライニングばね”により、たとえばライニングの間に設けたライニングばね部材により形成されるようにする。この種の装置はDE−OS36 31 863により公知である。
【0054】
トルクを漸増、漸減させる別の調整の可能性は、DE−OS21 64 297により提案されている。この場合、はずみ車が2部分に分割されており、対応加圧板を形成する構造部品が、軸方向に弾力を有しつつ、内燃機関の出力軸と結合された構成部品に対し支えられるようにする。
【0055】
本発明による摩擦クラッチの機能と構成にとって特に有利な場合は、前記調整装置が、クラッチ構造部品間で軸方向にばね弾性を有するようにした場合である。その場合、この装置は次のように配置し構成しておくようにする。すなわち、クラッチアウト時には、この装置に作用する力が最小となるようにし、かつまたクラッチインの全過程にわたり、つまりクラッチが入れられるまでの全移動距離にわたり、この装置に作用する力が徐々に最大値に達するようにし、そのさいこの力の増大が、有利には操作手段ないし加圧板の閉じ距離ないし進入距離の一部分にわたってだけ行なわれるようにするのである。特に有利なのは、この調整装置を、摩擦クラッチの伝達可能トルクの漸減ないし漸増が、操作手段の操作距離及び又は加圧板の最大軸方向距離の少なくともほぼ40〜70%にわたって行なわれるようにする場合である。相応の距離の残りの部分は、力の流れの申し分のない断絶と、クラッチ構成部品、たとえば特にクラッチ板、加圧板、対応加圧板などに場合により生じる変形の補償とのために必要とされる。
【0056】
本発明の摩擦クラッチの操作に要する力を最低限に抑えるために、特に有利な措置は、押圧ばねが、摩擦クラッチのリリース距離の少なくとも一部分にわたり、力・距離の漸減的な推移を有するようにすることである。このことは、要するに、押圧ばねが、その圧縮距離ないし変形距離の少なくとも一部分にわたって、下降する力の勾配を有するようにすることを意味する。こうすることにより、クラッチのリリース時に装置のばね力が押圧ばねの力に抗して作用する結果、クラッチのリリース距離の一部分にわたり、装置のばね力により押圧ばねのひずみないし変形が装置のばね力により補助され、そのさい同時に、クラッチのリリース距離区域での、押圧ばねの力・距離漸減勾配の結果、押圧ばねから加圧板ないし摩擦ライニングに及ぼされる力が減少する。摩擦クラッチのリリースに実際に必要とされる力の勾配は、互いに重なる付加的なばね作用が存在しない場合には、調整装置から得られる力の勾配と押圧ばねの力の勾配との差から得ることができる。加圧板の、摩擦ライニングからの解離ないし加圧板によるクラッチ板の解放のさい、必要な、残るクラッチ・リリース力の勾配ないし必要なクラッチ・リリース力は、主として押圧ばねにより決定される。調整装置の力・距離特性線と押圧ばねのそれとを互いに同調させることによって、加圧板によるクラッチ板の解放時に押圧ばねの操作に要する力が、比較的低いレベルに在るようにする。要するに、加圧板によるクラッチ板の解放まで、押圧ばね特性への調整装置のばね特性ないし力の特性の接近又は同化により、極めて僅かの操作力しか押圧ばねには必要とせず、極端な場合には事実上操作力は押圧ばねには全く必要としないようにすることができる。
【0057】
押圧ばねとしては、皿ばねを用いるのが特に有利である。この皿ばねは、一端がハウジングにより保持された環状旋回支承部を中心として旋回可能であり、他端が加圧板に負荷を与えるようにする。そのさい、皿ばねは、環状のボディを有し、そのボディからは半径方向内方へ舌状部が出ており、これらの舌状部が操作手段を形成している。これらの操作手段は、しかし、レバーにより形成することもできる。これらのレバーは、たとえばハウジングのところに旋回可能に支承しておく。加圧板に対する押圧力は、しかし、別の種類のばね、たとえばコイルばねによっても得ることができる。コイルばねは、摩擦クラッチ内に、クラッチイン状態のさいに加圧板に最大の軸方向力を及ぼすように配置しておく。このことは、たとえば摩擦クラッチの回転軸に対してコイルばねを傾斜位置に配置することにより達成される。
【0058】
特に有利には、ハウジングのところの2つの支承部の間に皿ばねを旋回可能に支承しておき、いわゆるコンパクトな構成のクラッチを形成するようにする。この種のクラッチの場合、クラッチを外すための操作手段は、通常、加圧板方向に負荷を与えられる。本発明は、しかし、コンパクトな構成のクラッチに限定されるものではなく、クラッチを外すための操作手段が、通常、加圧板から離れる方向へ負荷される引延ばされた構造形式のクラッチをも包含している。
【0059】
本発明による摩擦クラッチは、次のような構成の皿ばねを有するようにするのが特に有利である。すなわち、正弦形の力・距離曲線を有し、クラッチイン状態ではその操作点が力の第1最大値に続く漸減特性線域に設けられているような皿ばねである。この場合、皿ばねが、力の第1の最大値とそれに続く最小値との間で、1:0.4〜1:0.8の力の比を有するようにするのが、特に有利である。
【0060】
更に、摩擦クラッチが、操作手段のところ、たとえば皿ばねの舌端部のところに作用するクラッチのリリースシステムを介して操作可能であるようにするのが、特に有利である。その場合、クラッチのリリースシステムは、アクセルペダルと似た、自動車内に配置されるクラッチペダルを有するようにすることができる。クラッチペダルをそのように構成することは、特に有利である。なぜなら、本発明による構成によりクラッチのリリースに要する力ないし力の推移を、きわめて低いレベルにすることができるので、アクセルペダルに似た構成のクラッチペダルを介して操作力をよりよく配量できるからである。
【0061】
本発明により摩擦クラッチを構成し、かつ、この構成に伴なって、クラッチの全有効寿命にわたって生じる押圧ばね力の最大値を低減可能にしたことによって、構成部品は、相応に小型化でき、ないしはその強度を低減できる。これによって製作費が著しく低減される。クラッチのリリース力を低減させることにより、更にクラッチ内及びクラッチのリリースシステム内の摩擦損失及び弾性損失が低減されるため、摩擦クラッチとリリースシステムとのシステムの効率が著しく改善される。したがって、全システムが最適構成でき、それによりクラッチの円滑な操作性が著しく改善される。
【0062】
本発明による構成は、広く摩擦クラッチに適用可能であり、特に次に列挙の刊行物に記載の摩擦クラッチに適用可能である。たとえば、DE−PS29 16755、DE−PS29 20 932、DE−OS35 18 781、DE−OS40 92 382、FR−OS2605 692、FR−OS2606 477、FR−OS25 99 444、FR−OS2599 446、GB−PS1567 019、US−PS4,924,991、US−PS4,191,285、US−PS4,057,131、JP−GM3−25026、JP−GM3−123、JP−GM2−124326、JP−GM1−163218、JP−OS51−126452、JP−GM3−19131、JP−GM3−53628。
【0063】
本発明は、更に、以前の出願DE−P42 07 528.9及びDE−P4206 904.1に関係している。これらの出願の内容は、本発明の開示内容に含まれている。
【0064】
少なくともライニングの摩耗が自動式に補償される摩擦クラッチの使用は−それによって少なくとも、クラッチの全有効寿命にわたってほぼ一様の、クラッチ板のグリップ力が保証される−特に、摩擦クラッチ、クラッチ板、対応加圧板、たとえばはずみ車が、組立てユニットないしはモジュールをなしているクラッチユニットの場合に有利である。この種の組立てユニットの場合、費用の面で有利なのは、クラッチハウジングを、たとえば溶接継手などの解離不能の継手、又は材料の塑性変形などの形状接続を介して対応加圧板と結合しておく場合である。この種の継手を用いることにより、通常用いられる固定手段、たとえばねじが不要となる。このような組立てユニットの場合、摩耗限度を超えた場合のクラッチ板ないしクラッチライニングの交換が、構成部品、たとえばクラッチハウジングの破壊なしには事実上不可能である。しかし、摩耗が後調整されるクラッチの使用により、組立てユニットは、車両の全有効寿命にわたって申し分のない機能が保証されるように構成できる。要するに、本発明の構成により、クラッチ板の摩耗予備及び摩擦クラッチないしクラッチモジュール後調整予備は大きく寸法づけられているため、クラッチの有効寿命は、組立てユニットの有効寿命をも含めて、少なくとも車両のそれに必敵する長さを有している。
【0065】
本発明の別の構成によれば、特に有利な場合は、摩耗の後調整装置を有する摩擦クラッチが、いわゆる2質量はずみ車と組合される場合である。そのさいには、摩擦クラッチは、クラッチ板を間そうして変速機と結合可能の一方の慣性質量上に組付け可能であり、第2の慣性質量は内燃機関の出力軸と結合可能である。本発明による摩擦クラッチと組合せて用いられる2質量はずみ車は、たとえばDE−OS37 21 712、37 21 711、41 17 571、4117 582、41 17 579により公知である。これらの出願の全内容も、本発明の開示内容に含まれているので、これらの出願に記載されている特徴は、任意に本発明に記載の特徴と組合せることができる。特に、クラッチハウジングないしクラッチカバーは、破壊することなしには解離不能の継手を介してそれらを保持する慣性質量と結合しておくことができる。このことは、たとえばDE−OS41 17 579の種々の実施例により示され、説明されている。
【0066】
少なくともライニングの摩耗を補償する装置を有する摩擦クラッチを用いることにより、摩擦クラッチ、特に、クラッチ板のグリップ力を供給する蓄力部材の構成を最適化することができる。この蓄力部材は、要するに、所望のトルクの伝達に要する、クラッチ板のグリップ力のみを事実上調達するように構成することができる。この蓄力部材は、少なくとも1つの皿ばね又は複数のコイルばねにより構成できる。更に、自己後調整式の摩擦クラッチを2質量はずみ車と組合せて用いる場合、このはずみ車は、2つの慣性質量の間に配置された回転弾性的なダンパを、クラッチ板の半径方向で外方、ないし変速機と結合可能な慣性質量の摩擦面の摩擦外径外方に有するようにするのが有利である。この種の2質量はずみ車の場合、クラッチ板の摩擦直径は、従来式のクラッチの場合よりも小さいので、押圧力を平均摩擦半径に応じて高めて、所定のエンジントルクを伝達しうるようにする必要がある。従来式のクラッチを用いる場合には、このことの結果、クラッチのリリース力が上昇することになる。しかし、請求項1に記載のクラッチ、すなわちクラッチ板の伝達可能トルクがクラッチのリリース距離にわたって漸減する摩耗後調整式のクラッチを使用することによって、クラッチのリリース力を低減することができる。それによって、クラッチのリリース力の増大を防止するか、又は摩擦クラッチを相応に構成することにより、従来式クラッチより、クラッチのリリース力を引下げることができる。
【0067】
要するに、本発明による摩擦クラッチの構成により保証される点は、摩擦ライニング外径が小さくされ、それによって所要押圧力がより高くなったにも拘らず、クラッチのリリース力を低く抑えることができるという点である。クラッチのリリース力を小さくすることにより、双方の慣性質量を相互に回転させるころがり軸受の負荷も低減する。更に、摩耗の後調整により、クラッチの有効寿命が長くなるので、自動車の有効寿命の間に部品、特にクラッチ板の交換は、もはや不要となる。したがって、クラッチカバーは、変速機と結合可能の慣性質量と、たとえばリベット留め又は溶接により固定結合することができる。このことは、組付けスペースが限られていたり、クラッチベルの輪郭が制限されていて、クラッチカバーを変速機側のはずみ車と従来形式でねじ付け結合できない場合に、特に有利である。
【0068】
ライニングの摩耗の後調整装置が組込まれた摩擦クラッチの場合、クラッチとはずみ車とからなるクラッチユニットを内燃機関の出力軸に従来式に固定すると、軸方向振動、回転振動、タンブリングがクラッチユニットへ伝えられる。これらの振動は、内燃機関の出力軸、特にクランク軸により励起される。クラッチユニットないし後調整装置の機能が、それらの振動によって妨害されることがないように、特に後調整装置の望ましくない後調整を行なう必要がないようにするためには、後調整装置の構成のさいに、この装置に作用する構成部品の慣性力を計算に入れねばならない。特に軸方向振動及びタンブリングを生ぜしめる望ましくない副次効果を避けるため、ないしはこの副次効果と関連して、ライニングの摩耗補償用後調整装置の構成に要する比較的多額の出費を避けるために、本発明の別の思想によれば、後調整装置を有するクラッチユニットは、内燃機関の出力軸により励起される軸方向振動及び曲げ振動を十分に防止することができる。このことは、クラッチユニットを、軸方向に弾性的な、ないしはばね作用によりたわみ可能な構成部品を介して内燃機関の出力軸と結合可能にすることにより可能となる。この構成部品の剛度は、その場合、次のように選定しておく。すなわち、内燃機関の出力軸によりクラッチユニットに励起される軸方向振動、タンブリング、曲げ振動が、この弾性的な構成部品により、少なくとも、摩擦クラッチ、特にその後調整装置の申し分のない機能が保証される程度に減衰ないし抑制されるように選定しておくのである。これらの弾性的な構成部品は、たとえばEP−OS0385 752及び0464 997、加えてSAEのテクニカル・ペーパー9003 91により公知である。これらの刊公物の内容は、同様に本発明の開示内容に属するものである。弾性的な構成部品の使用により可能になる点は、加圧板の、クラッチカバーに対する軸方向振動により生じる望ましくない摩耗の後調整−特に、摩擦クラッチの切られた状態での−を、はずみ車の振動及び又は皿ばねの振動により是正することである。この種の振動は、これらの振動を少なくとも実質的に抑える装置、たとえば、軸方向にたわみ可能なディスクを欠くクラッチユニットの場合、クラッチ板の摩耗状態とは無関係に調整を変化させることがある。その場合、摩擦クラッチの皿ばねの押圧力は、力の最小値方向へ調整されることができ、それにより所望トルクの伝達は、もはや保証されなくなる。
【0069】
本発明の別の構成によれば、自動式に補償され、特に本発明に応じて構成されている摩擦クラッチは、有利には、特に自動車用の次のような駆動ユニットに用いることができる。すなわち、自動式又は半自動式の変速機と、駆動エンジン、たとえば内燃機関・変速機間に配置され少なくとも、変速機の操作に応じて制御ないし調整しながら操作可能の摩擦クラッチとから成る駆動ユニットである。この摩擦クラッチは、有利には全自動式に操作可能である。摩擦クラッチの自動式ないし全自動式操作は、たとえばDE−OS40 11 850.9により提案されているので、その作用形式及び必要な手段については、前記刊行物を参照されたい。
【0070】
自動式又は半自動式変速機及び従来型の摩擦クラッチを有する公知の駆動ユニットの場合、クラッチ操作や、それに必要な作動器、たとえばピストン/シリンダ・ユニット及び又は電動モータの構成の点で、従来、種々問題が存在した。従来型のクラッチの場合には比較的大きいリリース力を要したため、作動器も、きわめて強力ないし大型にする必要があった。このことは、構造物の体積が大となり、重量が重くなり、出費が多くなることを意味する。また、そのような大型の作動器は、その質量の慣性により、応動時間が比較的長くかかる。調整シリンダを用いる場合には、加えて、比較的多量の体積流量の圧力媒体が必要となるので、供給ポンプも比較的大型に寸法づけして、クラッチに対し所望の操作時間を保証せねばならない。前述の短所の一部を除去するため、たとえばDE−OS3309 427により、クラッチを外すための操作力を相応の補償ばねにより低減させ、それにより作動器の寸法を小型にする提案がなされている。従来型のクラッチの場合のリリース力は、クラッチの有効寿命にわたって著しく変動するため、つまり、リリース力は、新しい状態では比較的僅かだが、ライニングの摩耗増大につれて有効寿命の間に著しく上昇するので、補償ばねを介して解消しうるリリース力は、通常に要するリリース力の一部にすぎない。すべての公差を計算に入れると、補償ばねの使用にもかかわらず、作動器の所要リリース出力は、従来型の新しいクラッチ用の出力より大である。ライニングの摩耗が補償される本発明による摩擦クラッチを、エンジンと自動又は半自動の変速機とから成る駆動ユニットと組合せて用いることにより、直接にクラッチのリリース力が、従来技術の場合に比して著しく低減される。しかも、この新規なクラッチのリリース力ないしリリース力の推移は、その全有効寿命の間事実上不変に維持される。これにより、作動器の構成にとって著しい利点が生じる。なぜなら、作動器の駆動出力又は操作出力を相応に低く抑えることができ、そのさい、リリース・システム全体に生じる力ないし圧力も、相応に低くなるからである。これにより、構成部品の摩擦又は弾性の結果、リリース・システム内に生じる損失が除去されるか、ないしは最小限に低減される。
【0071】
更に本発明は、回動不能にしかも軸方向に制限されて変位可能にケーシングに結合された加圧板を有する、特に自動車用の摩擦クラッチであって、ケーシングと加圧板との間に少なくとも1つの操作部材及び蓄力部材が設けられていて、この操作部材及び蓄力部材を介して加圧板が加圧板と受圧板、例えばはずみ車との間に締め付け可能なクラッチディスクの方向に負荷されていて、この場合、少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償する後調整手段が設けられている形式のものに関する。
【0072】
ライニング摩耗に相応して後調整を行う自動後調整式のクラッチは、例えばドイツ連邦共和国特許第2920932号明細書及び同国特許出願公開第3518781号明細書から公知である。
【0073】
このクラッチの場合、摩耗後調整は加圧板と皿ばねとの間の軸方向で調節可能な支持部を介して行われ、この場合、支持部はランプを介して加圧板に支持されかつ加圧板に対して相対的な周方向での回動によって皿ばねの方向で調節されるか又は加圧板又は支持部の斜面の間に係合するくさび体が適当にずらされることによって調節される。
【0074】
ライニング摩耗状態を検出するために両構成では加圧板とはずみ車もしくはクラッチカバーとの間で作用する多数のセンサエレメントが設けられていて、このセンサエレメントはクラッチを連結した場合、ライニング摩耗に相応して調節されかつクラッチが解離された場合、加圧板の持ち上げを規定の値に制限する。
【0075】
この場合、クラッチの新規状態において皿ばねはクラッチが解離された場合支持部の範囲で加圧板と全く同じ持ち上げ行程を実施する。ライニング摩耗が生じた場合、加圧板ははずみ車の方向に変位する。この摩耗状態では皿ばねは支持部の範囲で摩耗分だけ加圧板よりも大きな行程を行わねばならず、これによって支持部はこの場合生ずる遊びに相応して軸方向で皿ばねの方向に調節される。
【0076】
このような形式の後調整は実地においては確実に作業しない。それというのもコンスタントな解離行程の場合ですら皿ばねの持ち上げ行程はばね舌片において著しくばらつきかつ更に解離支承部で極めて大きな解離行程のばらつきが生ずるからである。
【0077】
このために、例えば機械的な解離機構において解離機構を調節する場合ミスが生じ、この場合、解離部材と皿ばねとの間で極めて小さな遊び又は極めて大きなプレロードが生ずる。これによってクラッチのために完全に異なる作業点が生ずる。
【0078】
自動後調整式の解離機構、例えば信号発生及び受信シリンダを有する液力式の機構を使用する場合、機構は全く機能しない。それというのも耐用寿命に亘ってクラッチにおいて常に同じ解離行程が生じかつこの場合、支持部の範囲で皿ばねの持ち上げ運動が加圧板運動よりも小さいか又はこれと同じである限りは、全く後調整されないからである。
【0079】
これに対して皿ばねが加圧板よりも大きな持ち上げ運動を行った場合には、それぞれの解離操作においてライニング摩耗とは無関係に後調整され、かつクラッチは短時間で完全に調節される。
【0080】
公知の自動後調整式のクラッチの別の問題点は、加圧板が固有共振振動によって励起されかつこの場合皿ばねから軸方向で持ち上げられ、これによって後調整装置がクラッチを完全に調節するということにある。
【0081】
更に本発明の課題は、上記形式の摩擦クラッチを改良して、従来のものに比して改良された後調整手段を提供し、この場合後調整手段の構造が簡単でしかも後調整手段が僅かなスペースを必要とするに過ぎず、更に摩擦クラッチを特に簡単かつ安価に製作できるようにすることにある。
【0082】
前記課題は本発明によれば、摩擦クラッチを連結及び解離するために設けられた操作部材と加圧板との間、又は、蓄力部材と加圧板との間に摩耗補償装置が設けられていて、この摩耗補償装置が蓄力部材による加圧板の事実上不変な力負荷を生ぜしめ、この場合、摩耗補償装置が摩耗に相応する後調整によって操作部材もしくは蓄力部材と加圧板との間で摩擦ライニングの摩耗状態に相応した軸方向の調節を行い、この場合、摩擦ライニングの実際の摩耗状態に相応する調節が得られた場合に摩耗補償装置が加圧板に設けられた手段によってその後調整機能を制限されるかもしくはロックされることによって、解決された。
【0083】
つまり、本発明によれば、実際に生じた摩耗行程以上の摩耗補償装置の後調整を阻止する手段が加圧板に設けられていて、この場合、摩耗後調整及び後調整制限はクラッチ解離行程中に行われる。
【0084】
摩擦クラッチの構造及び機能のために有利には、ケーシングと加圧板との間に軸方向で緊定された皿ばねが設けられていて、この皿ばねがケーシングによって支持されたリング状の支承部を中心として旋回可能でありかつ蓄力部材を形成するリング状の基体を有していて、この基体から、操作部材を形成するために、半径方向で内向きに延びる舌片が出発している。
【0085】
摩耗補償装置の制限部材は簡単には、少なくとも1つの摩耗センサによって形成され、この摩耗センサは加圧板に対して移動可能な少なくとも1つのセンサ構成部材を有していて、このセンサ構成部材は軸方向で定置の構成部材に当接することによって加圧板の解離行程を制限する。この場合軸方向で定置の構成部材はクラッチケーシング又は受圧板によって形成される。有利にはセンサ構成部材は、摩擦クラッチの耐用寿命に亘ってケーシングに対する加圧板の事実上不変な解離行程が維持されるように、構成されかつ加圧板に配置されている。
【0086】
ライニング摩耗を申し分なく補償するために特に有利には、センサ構成部材が加圧板に対して軸方向で移動可能に保持されている。このためにセンサ構成部材は間接的に又は直接的に加圧板に自動的な後調整装置を介して結合できかつ軸方向で定置の少なくとも1つの構成部材に当接することによってライニング摩耗に相応して加圧板に対して移動することができる。この移動は有利には連結過程中に行われる。センサ構成部材用の当接範囲はクラッチケーシング及び/又は受圧板に設けることができる。
【0087】
軸方向で定置の適当な構成部材に摩耗センサが当接することによって摩耗補償装置は解離行程中に負荷軽減され、これによってライニング摩耗が存在する場合摩耗補償装置は、この後調整がセンサ構成部材と摩耗補償装置の後調整部材との協働によって制限されるまで、後調整することができる。
【0088】
有利には、加圧板の周方向に亘って分配された多数の摩耗センサが設けられていて、この摩耗センサは摩擦クラッチの解離状態で摩擦クラッチの回転軸線に対して加圧板の衝撃のない位置決めを保証する。
【0089】
有利には、センサ構成部材は、摩擦クラッチが解離された場合摩耗補償装置の後調整部材もしくは補償構成部材の対向当接範囲と協働する当接範囲を有している。加圧板のコンスタントな持ち上げ行程を保証するセンサ構成部材は有利には自動的な後調整装置を介して加圧板に結合できる。
【0090】
このような後調整装置は、例えば加圧板とセンサ構成部材との間の摩擦接続的な結合によって生ぜしめられ、この場合、連結過程中所定の力を上回った場合摩擦接続が克服され、これによってセンサ構成部材が実際に生じた摩耗に相応して加圧板に対して後調整される。
【0091】
しかしながら後調整装置はフリーホイールに類似した手段によっても得られ、この手段は連結過程中加圧板に対するセンサ構成部材の後調整を許容するのに対して、クラッチが解離された場合センサ構成部材を後調整装置によって加圧板に対してロックする。
【0092】
摩擦クラッチ内部でのライニング摩耗を補償するための後調整手段の特に簡単かつ機能的な構造は、補償装置が特に皿ばねのような蓄力部材用の支え構成部材を有していてかつこの支え構成部材と加圧板との間に、摩擦クラッチが解離された場合に支え構成部材の自動的な摩耗後調整を生ぜしめかつクラッチが連結された場合に自己ロックされる調整機構が設けられていることによって、保証される。
【0093】
このことは、支え構成部材が負荷軽減された場合補償装置が解放されかつ支え構成部材が負荷された場合補償装置が調整を維持する、つまりロックされということを意味する。
【0094】
このために有利には、支え構成部材は軸方向で加圧板から離反する方向で移動可能で、かつ、軸方向で加圧板に対する方向で係止可能である。この場合、補償装置は摩擦クラッチが解離された場合フリーホイールのように作用し、かつ、摩擦クラッチが連結された場合自己ロックされる。
【0095】
補償装置の特に有利な構成は、補償構成部材を形成するためにリング状の構成部材を使用することによって、保証される。この場合リング状の構成部材はランプを介して加圧板に対して支持される。このランプは対向ランプと協働し、この場合有利には、これらランプは少なくとも1つのばね部材を介して互いに緊定される。
【0096】
この場合、ランプ及び対向ランプは、加圧板とリング状の構成部材との間に配置できる個々の構成部材、例えばくさび状の構成部材によって構成できる。しかしながら前記ランプの少なくとも一方を直接リング状の構成部材又は加圧板に成形することもできる。
【0097】
摩擦クラッチの簡単な構造は、リング状の構成部材がU字形横断面の中空の薄板成形部材として構成されていて、この場合、構成部材の自由空間内にランプを形成する周方向に亘って分配された構成部材が収容されていることによって、得られる。この場合、このくさび状の構成部材は有利にはリング状の構成部材と回動不能である。
【0098】
補償装置の有利な構成は、くさび状の構成部材がリング状の構成部材に対して軸方向に移動可能に案内されていることによって、得られる。対向ランプは同様にくさび状の構成部材によって構成でき、この構成部材は少なくとも部分的にリング状の補償構成部材によって取り囲まれた自由空間内に軸方向で係合しかつ加圧板及び補償構成部材に対して回動可能である。この場合更に有利には、補償構成部材が加圧板に対して回動不能に保持されている。
【0099】
補償装置の自動的な後調整を保証するために、対向ランプがランプの方向にばね負荷されている。このようなばね負荷はランプ及び対向ランプを形成する構成部材の間に緊定されたばね、例えばコイルばねによって行われ、この場合、ばねは同様に補償構成部材のリング状の自由空間内に収容されていてかつ有利には圧縮ばねとしても構成できる。
【0100】
対向ランプを形成する構成部材は軸方向でランプを形成する構成部材とリング状の補償構成部材との間に少なくとも部分的に収容されている。ランプ及び対向ランプを緊定するばねを申し分なく保持しかつ案内するために有利には、少なくともばねの端部範囲がランプ及び対向ランプを形成する構成部材によって案内されている。
【0101】
このために適当な構成部材が、少なくともプレロードをかけられたばねの端部範囲内で延びる付加部もしくは突起を有している。この場合、ばねはそれぞれ、リング状の支え構成部材に回動不能にしかも軸方向に移動可能に連結されたくさび状の構成部材と支え構成部材に対して回動可能な周方向で隣接するくさび状の構成部材との間に設けられる。
【0102】
ランプ及び/又は対向ランプを形成する構成部材は簡単には、例えば射出過程によってプラスチックから製作される。プラスチックとしては有利には熱絶縁されたもしくは耐熱性のプラスチック、例えば熱可塑性又は熱硬化性のプラスチックが適している。この場合有利には、ランプ構成部材及び/又は対向ランプ構成部材を形成する材料は摩擦ライニング材料の摩擦値に相応する高い摩擦値を有している。
【0103】
ランプ及び/又は対向ランプの乗上げ角並びにランプと対向ランプとの間の摩擦係数を適当に選択することによって、軸方向で緊定された場合に自己ロックを行うように補償装置を設計できる。このためにランプ及び/又は対向ランプは、軸方向で4度乃至20度、有利には5度乃至12度の上昇角を有するように、設計される。つまり補償装置を適当に設計することによって、摩擦クラッチの連結段階中補償装置が自己ロックされ、これによって補償装置の不都合な戻り調節を阻止するために、付加的な手段が不用になる。
【0104】
ランプ及び対向ランプを緊定する蓄力部材は、ライニング摩耗が発生もしくは存在する場合常に後調整を行うように、つまりクラッチが回転している場合でも摩耗後調整を行うように、緊定されている。この場合ランプ及び対向ランプのばね負荷は有利には、その他のばね、例えば特に操作皿ばね及び加圧板をケーシングもしくはカバーに結合する板ばねの機能を損なわないようにもしくは事実上損なわないように、行われる。
【0105】
しかしながら多くの使用ケースのために有利には、後調整手段は回転数に関連している。従って例えば内燃機関の所定の運転状態で後調整手段を操作及び/又は遮断するために後調整手段の個々の構成部材に作用する遠心力を利用することができる。特に後調整手段は所定の回転数でもしくは所定の回転数範囲を上回った場合遠心力に関連した手段によってロックできる。
【0106】
多くの使用ケースのために有利には、後調整手段が少なくともほぼアイドリング回転数又はアイドリング回転数以下の回転数の場合にのみ作用し、これによって摩耗後調整が僅かな内燃機関回転数の場合にのみ行われるように、後調整手段を設計することができる。摩耗後調整の遮断もしくは遮断解除を生ぜしめる手段は有利には、補償装置の一部でありかつ例えばランプ及び/又は対向ランプを形成する構成部材によって形成できる。
【0107】
補償装置の後調整機能のために特に有利には、クラッチが解離された場合皿ばねによる加圧板負荷の直径範囲で皿ばね行程が制限部材もしくは摩耗センサによって決められた加圧板の持ち上げ行程よりも大きく設計されている。これによって軸方向で定置の構成部材に制限部材が当接した後で補償装置が負荷軽減されひいては後調整のために解放されるようになる。
【0108】
有利な構成によれば、補償装置が互いに接触する2つのランプ装置を有していて、この場合、一方のランプ装置が加圧板に対して回動不能でありかつ他方のランプ装置が蓄力部材によって負荷される補償構成部材に対して回動不能であり、この場合、補償構成部材が加圧板に対して回動可能である。
【0109】
更に本発明は、回動不能にしかも軸方向に制限されて変位可能にケーシングに結合された加圧板を有する、特に自動車用の摩擦クラッチに関し、この場合、ケーシングと加圧板との間に圧着皿ばねが軸方向で緊定されていて、この圧着皿ばねが一方ではケーシングによって支持されたリング状の旋回支承部を中心として旋回可能でありかつ他方では加圧板を加圧板と受圧板、例えばはずみ車との間に締め付け可能なクラッチディスクの方向に負荷していて、この場合、クラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償する後調整手段が設けられていて、この後調整手段が圧着ばねによる加圧板の事実上不変な力負荷を生ぜしめ、この場合、圧着皿ばねと加圧板との間に摩耗補償装置が設けられていて、この摩耗補償装置が軸方向で移動可能な、圧着皿ばねによって負荷された少なくとも1つの補償構成部材を有していて、更に加圧板の軸方向の解離行程が加圧板と軸方向で定置の少なくとも1つの構成部材、例えばケーシング及び/又は受圧板との間で作用する制限部材によって制限されていてかつ少なくともほぼコンスタントに維持されていて、更に制限部材が、少なくとも摩擦クラッチが解離された場合、加圧板に対する補償構成部材の軸方向移動を制限している。
【0110】
更に摩擦クラッチの機能のために、特に解離力経過もしくは所要の最大の解離力を減少させるために特に有利には、加圧板と受圧板との間に締め付け可能なクラッチディスクが摩擦ライニングを有していて、この摩擦ライニングの間にいわゆるライニング弾性体(ドイツ連邦共和国特許出願公開第3631863号明細書から公知)が配置されている。
【0111】
このようなクラッチディスクの使用によって操作、特に摩擦クラッチの解離過程が補助される。このことは、摩擦クラッチ連結状態で緊定されたライニング弾性体が加圧板に、圧着皿ばねもしくは操作皿ばねによって加圧板に及ぼされる力に抗して作用する反力を及ぼすということに、起因している。
【0112】
解離過程の場合加圧板の軸方向変位中加圧板はまずばね弾性的に緊定されたライニング弾性体によって押し戻され、この場合同時に、解離範囲に存在する比較的急勾配に低下する圧着皿ばねの特性曲線区分に基づき、圧着皿ばねから加圧板に及ぼされる力が減少する。圧着皿ばねから加圧板に及ぼされる力の減少に伴ってライニング弾性体から加圧板に及ぼされる戻し力も減少する。
【0113】
摩擦クラッチを解離するために実際に必要な力はライニング弾性体の戻し力と圧着皿ばねの圧着力との差によって得られ、この場合、必要であれば加圧板とケーシングとの間に緊定された板ばねの軸方向力が考慮される。ライニング弾性体が弛緩した後で、つまり摩擦ライニングから加圧板が持ち上げられた場合もしくは加圧板によってクラッチディスクが解放された場合、所要の解離力は主として圧着皿ばねによって規定される。
【0114】
ライニング弾性体の力・行程特性及び圧着皿ばねの力・行程特性並びに板ばねの力・行程特性は、加圧板によってクラッチディスクが解放された場合に圧着皿ばねを操作するために必要な力が低いレベルを占めるように、互いに適合される。つまり、圧着皿ばね及び場合によっては設けられる板ばねによって形成もしくは合成される力経過にライニング弾性体の特性を接近もしくは適合させることによって、加圧板によってクラッチディスクが解放されるまで、圧着皿ばね用の極めて僅かな操作力を必要とするに過ぎず、極端な場合事実上圧着皿ばね用の操作力は全く不用である。
【0115】
つまり、個々のばね力を適合する場合、加圧板とケーシングとの間で作用する板ばねによってもたらされる軸方向力が考慮されねばならない。更にクラッチを設計する場合、摩耗センサの摺動もしくは調節力が少なくとも1つの圧着力蓄圧部材、例えば特に皿ばねによってもたらされひいてはこの蓄力部材を適当に強力に構成することを考慮する必要がある。
【0116】
更に有利には、摩耗センサの調節力は、この調節力がランプ及び対向ランプを形成するくさび体の締め付けによって生ぜしめられる合成の軸方向力よりも確実に大であるように、設計されていて、前記軸方向力は摩耗センサによって吸収される。
【0117】
本発明はさらに、プレッシャープレートを有する摩擦クラッチを備えたクラッチユニットであって、プレッシャープレートが回動不能にしかし軸方向にある程度移動可能に対向プレッシャープレートに結合可能であり、その場合、少なくとも1つの圧着ばねが設けられており、この圧着ばねがプレッシャープレートと対向プレッシャープレートとの間で締付け可能なクラッチディスクへ向かってプレッシャープレートを負荷しており、かつ、少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償する調整手段が設けられており、この調整手段が、圧着ばねによりプレッシャープレートに対して常時変らない力を作用させるようになっており、さらに、摩擦クラッチが解離及び接続のための操作手段を備えており、この操作手段が、解離手段、例えば伝達装置ケーシングに旋回可能に枢着された解離フォークにより軸方向移動可能なシフタにより操作可能である形式のものに関する。
【0118】
このように構成されかつ操作されるクラッチユニットはFR−OS第2582363号公開明細書により提案されている。この種のクラッチユニットの操作手段は例えばUS−PS第4368,810号明細書、US−PS第4,326,617号明細書、DE−OS第2752904号公開明細書及びDE−OS第2801999号公開明細書に提案されているような解離手段及びシフタによって負荷される。
【0119】
クラッチディスクの少なくとも摩擦ライニングの摩耗を補償する一体型の調整手段を備えたクラッチユニット若しくは摩擦クラッチにおいては、クラッチペダルの運動がロッド及び又はボーデンケーブルを介して少なくとも1つの解離軸受の間挿下で摩擦クラッチの操作手段へ伝達されるような、いわゆる機械的な解離機構に関連して、運動の連鎖全体に存在する誤差に基づき、操作手段を負荷するシフタ領域が操作手段の被負荷領域に対比して常に同じ軸方向位置を有するとは限らず、従って摩擦クラッチの解離行程若しくは操作手段に伝達される操作行程の比較的大きなばらつきが生じるという問題が生じる。このばらつきにより、調整手段の機能が損なわれ、場合によってはまったく失なわるおそれがある。さらに、操作手段が許容されない大きな行程を進むような事態が生ずれば不所望な後調節が行なわれる結果となり、このことにより摩擦クラッチが充分に開放されなくなるか又は圧着ばねのプレロード若しくは組込み位置が変化し、この圧着ばねによって生じる力が不十分となり、充分なトルク伝達が補償されない結果を招く。
【0120】
さらに、本発明の課題は上記欠点を回避して、摩擦ライニングの摩耗を補償する調整手段の充分な機能が得られるような冒頭に述べた形式のクラッチユニットを提供すると共に、このクラッチユニットを特別に簡単かつ安価に製作できるようにすることにある。
【0121】
この課題を解決した本発明の要旨は、操作手段の位置の軸方向のばらつき若しくはシフタ若しくは解離手段に対する、シフタによって負荷される操作手段領域の位置の軸方向のばらつきを補償する手段が設けられていることにある。この種の手段は特に、摩擦ライニングの摩耗に関して操作手段を解離運動の軸方向に配置した本発明に係わるクラッチユニットでは特別に有利である。それというのは、これによりシフタ若しくは解離手段と操作手段との間の遊びのない力伝達が確実となるからである。これによりさらに、操作手段が常に同じ量だけ運動することが保証される。それゆえ、シフタ及び又は解離手段と操作手段との間の力の伝達経路内に実際に遊びが存在しなくなる。
【0122】
補償手段が軸方向でシフタと操作手段との間に設けられ若しくは作用すると特に有利である。しかし、他の位置、例えば機能的にシフタと解離手段との間の位置に補償手段を設けることもできる。本発明に関連してシフタが有利には伝達装置側に設けられたガイド、例えば伝達装置の入力軸を取囲むガイド管に取付けられると有利である。
【0123】
特に、シフタに面した底部を備えて対向プレッシャープレートに固定されたケーシング、例えば薄板カバーを有する摩擦クラッチを備えたクラッチユニットでは、補償手段が軸方向で操作手段と底部との間に配置され若しくは作用すると効果的である。さらに、圧着ばねがクラッチケーシングとプレッシャプレートとの間で軸方向にプレロードを負荷された皿ばねによって形成され、この皿ばねがばね弾性的な環状の基体とこの基体から半径方向内向きに延びて操作手段を形成した舌片とを有していると有利である。
【0124】
補償手段による充分な後調節を保証するために、クラッチユニット若しくは摩擦クラッチの接続状態で補償手段が自動的若しくは自発的に充分な後調節を補償し、摩擦クラッチの操作中には自発的若しくは自動的にロックされると有利である。
【0125】
補償手段は環状の部材を有することができ、この部材が摩擦クラッチの接続状態でも軸方向で操作手段に当接される。この環状の部材により、万一操作手段の負荷領域とシフタとの間隔が変化しても、この変化が補償される。補償手段の機能のために、補償手段が軸方向に上昇する後調節傾斜面若しくは乗上げ傾斜面を有すると有利であり、この場合、この傾斜面を環状の部材に設けることができる。
【0126】
乗上げ傾斜面は後調節のために円筒形又は球形の転動体と協働することができる。しかし乗上げ傾斜面は対向乗上げ傾斜面と協働するのが有利である。それというのは、後者の傾斜面の乗上げ角度を適当に選択することにより、傾斜面の軸方向の緊張時に自縛作用が生じるからである。対向乗上げ傾斜面は同様に環状の部材によって支持されてよい。
【0127】
摩擦クラッチの価格に有利な製作を保証するために、補償手段の少なくとも1部をプラスチックから製作するのが有利である。この種のプラスチック部分は射出成形により製作できる。プラスチックとしては特に有利には熱可塑性プラスチック、例えばポリアミドが適している。
【0128】
後調節傾斜面を有する部材がクラッチユニット若しくは摩擦クラッチの操作時に軸方向に移動可能であると特に有利である。さらに、乗上げ傾斜面及び対向乗上げ傾斜面を備えた部材が互いに回動可能であると効果的であり、この場合、これら部材の一方が摩擦クラッチ特にクラッチケーシングに対して相対回動不能であることができる。
【0129】
本発明の別の思想によれば、クラッチユニットの解離方向でみて、補償手段がフリーホィールに似たように作用し若しくは後調節すると共に解離方向とは逆の方向では自縛作用を有するように補償手段を構成することができる。このことのために、乗上げ傾斜面及び又は対向乗上げ傾斜面は、軸方向で5°乃至20°、有利には7°乃至11°程度の上昇角を有するように形成されることができる。後調節傾斜面は有利には摩擦係合により自縛が生じるように形成される。要するに、いかなる場合でも後調節傾斜面が自縛作用を伴なう係合を行い、これにより不所望な戻りを回避するのに必要な付加的な手段を必要としないような配慮がなされなければならない。しかし、必要ならば付加的な手段を設けることもできる。
【0130】
自発的な補償手段の充分な機能を保証するためには、乗上げ傾斜面及び又は対向乗上げ傾斜面を備えた少なくとも1つの部材が後調節方向でばね負荷されていると効果的である。このばね負荷は他のばね、例えば特に圧着ばね若しくは皿ばね及び軸方向に弾性的な接触を生ぜしめるばねの機能がまったく影響されないか実際には影響されないように行なわれると有利である。乗上げ傾斜面及び対向乗上げ傾斜面を有する部材がこれら両者の間に設けられた蓄力装置、例えばコイルばねによって後調節方向に負荷されるか若しくは緊張されると特に有利な構成が保証される。このような緊張によりこれら両部材は軸方向でみて互いに逆方向に押圧され、蓄力装置及び後調節傾斜面を介して軸方向に互いに離反させられる。クラッチ接続状態ではこれにより補償手段が軸方向で操作手段の負荷領域とクラッチカバー及び又はシフタとの間で遊びなく緊張させられる。
【0131】
本発明の特に有利な構成によれば、クラッチユニットが少なくとも操作手段の解離運動の制限のための手段を有することができる。このことのために、シフタ及び又は解離手段の解離方向の行程を制限する制限ストッパを設けることができる。この制限ストッパは補償手段を形成する部材が所定の解離行程の後にクラッチカバーに当接するように形成されると有利である。しかし制限は、シフタが所定の解離行程の後に軸方向に不動の部材に当接する領域を有することによって行なわれてもよい。さらに、シフタがクラッチ接続方向でも同様にストッパによって形成されることのできる制限部材を有することも有利である。有利には、クラッチユニットの接続状態で補償手段を介してシフタが軸方向に支持されるように補償手段が形成される。クラッチユニットのためのコンスタントな操作行程は、補償手段を形成する部材が解離方向及び接続方向で作用してストッパ領域と協働する行程制限領域を有することによって保証される。有利にはこの部材はシフタによって負荷される、補償手段の構成部材によって形成されることができ、その場合、制限ストッパはクラッチケーシングに設けられるか若しくはこのケーシングによって形成されることができる。しかしクラッチユニットの操作行程の制限は、シフタを軸方向に案内する部材に適当なストッパを設けることによっても行なわれる。
【0132】
有利にはこのストッパはシフタの回転しない軸受リングに結合された部材と協働する。しかし少なくとも軸方向での解離行程の制限はシフタの回転する軸受リングと、シフタと一緒に回転する部材、例えばクラッチケーシングとの間でも行なうことができる。
【0133】
本発明の付加的な構成によれば、特にシフタの力特性、若しくは最大に必要な解離力の削減のために、特に有利には、解離過程中に操作手段の操作行程の少なくとも一部にわたって、摩擦クラッチ若しくはクラッチディスクによって伝達されるトルクが次第に減少するような手段が設けられると有利である。この手段は例えばいわゆるライニングばねによって形成されるが、このばねはプレッシャープレートと対向プレッシャープレートとの間に締込まれるクラッチディスクの摩擦ライニングの間に設けられている。
【0134】
本発明摩擦クラッチの特に有利な構成は、有利には皿ばねによって形成される圧着ばねが2つの支持部の間で(一方の支持部はプレッシャープレートに面して圧着皿ばねへ向かってばね負荷されている)ケーシングに旋回可能に支持されていることによって得られる。その場合、圧着ばねによって、摩擦クラッチの解離時には、ばね負荷された支持部に作用する最大の解離力がライニング摩耗時に増大して、ばね負荷された支持部に作用する対向力若しくは支持力を上回る。トルク伝達のためにプレッシャープレートとクラッチケーシングとの間に設けた皿ばね部材及び又は例えばDE−OS第3631863号明細書により公知のライニングばねを使用する場合には、このばねにより圧着ばねに作用する力が、ばね負荷される支持部に作用する力の決定時に考慮されなければならない。その理由は、これらの力が重複するからである。これの意味するところは、後調節を可能ならしめるためには、著しいライニング摩耗が存在する場合に短時間に調節される高められた解離力が、前述の種々の力によって生じる皿ばねの旋回直径に関した合成力に比して大きくなければならないということである。圧着皿ばねは、その構造によって規定された、摩擦クラッチ内での組込み位置を起点として、ライニング摩耗によって生じた負荷軽減時に圧着皿ばねから作用する力、ひいては解離力の特性曲線のレベルが増大し、かつ規定された組込み位置に比して変形した若しくは負荷軽減された位置では、圧着皿ばねから作用する最大力が解離過程で減少するような特性曲線を有すると有利である。圧着皿ばねのこのような構成によれば、摩耗発生時に少なくとも摩擦クラッチの最大の解離力と、ばね負荷された支持部に作用する対向力若しくは転動直径領域で圧着皿ばねに作用する合成された対向力との間の釣合いがいつでも調節される。
【0135】
クラッチユニット若しくは摩擦クラッチは有利には次のようにも構成される。すなわち、軸方向に移動可能なばね負荷された支持部が摩擦クラッチの摩耗予備体上にプレッシャープレートと一緒に支承される。摩擦クラッチの寿命を考慮して行なわれる徐々に若しくは細かい段階で行なわれる調整手段の後調節中に、ばね負荷された支持部はプレッシャプレートへ向かってわずかに移動することができる。この手段によって、プレッシャプレートに支持された皿ばねが付加的な変形をこうむり、その結果、すでに述べたように皿ばねの力が減少し、ついには、ばね負荷された支持部に作用する対向力又はすでに述べた合成された対向力が解離力と釣合うに至る。要するにばね負荷された支持部の移動時にクラッチ若しくは圧着皿ばねの最大の解離力が再び減少する。
【0136】
特に有利には圧着皿ばねが、解離領域の少なくとも一部にわたり、有利には実際にクラッチの解離領域全体にわたり、降下する力・行程・特性曲線を生じるように摩擦クラッチ内に組込まれる。その場合圧着ばねの組込み位置は摩擦クラッチの解離状態で圧着ばねが実際にそのサインカーブ状の力・行程・特性曲線の最少若しくは最下点に達するように選らばれる。
【0137】
ばね負荷された支持部に作用する対向力は有利には少なくとも後調節領域にわたりほぼコンスタントな力を生じる蓄力装置によって得ることができる。特に有利にはこのことのために、適当に形成されプレロード下で摩擦クラッチ内に組込まれた皿ばねが適している。
【0138】
本発明は上述した摩擦クラッチに限らず、少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を補償する調整手段を備えた摩擦クラッチ若しくはクラッチユニットにおいて一般的に使用可能である。
【0139】
さらに本発明は、摩擦クラッチ、特に自動車用の摩擦クラッチであって、押圧板が回転不能ではあるが、軸方向に制限されて移動可能にケーシングと結合されており、ケーシングと押圧板との間に皿ばねが作用しており、該皿ばねによって押圧板が押圧板と対応押圧板との間に締込まれるクラッチ板の方向に負荷可能であり、クラッチが作動手段を介して接続・遮断可能であり、かつクラッチ板の摩擦ライニングの摩耗を自動的に補償する後調節装置を備えている形式のものに関する。
【0140】
例えばDE−OS4092382号によって公知である前記形式の摩擦クラッチは、クラッチ円板の摩擦ライニングが摩耗した場合にも摩擦クラッチの圧着力が常に等しく保たれ、しかも皿ばねと押圧板との間に設けられた、軸方向に移動可能な2つのリングの形をした後調節装置により、押圧板における皿ばねの支持点の軸方向の高さをライニングの摩耗に相応して修正し、これによって皿ばねが常に摩擦ライニングの新しい状態に相応する位置に留まることを保証しようとしている。
【0141】
このようなクラッチ装置においては外側の支持リングと内側の支持リングとの間の半径方向の間隔が小さすぎる。特にリングの段付けのための製作誤差に基づきかつ皿ばねと支持部との間に━運転期間に亙って━発生する摩耗に基づき正確な調整と後調節は不可能である。外側と内側の支持部間の間隔の著しい拡大は、これによって押圧板離反距離が不都合に小さくされ、ひいてはクラッチの機能が保証されなくなるので可能ではない。
【0142】
別の欠点は、公知の形式では板ばねを介してクラッチのケーシングに固定されているクラッチ押圧板が、クラッチの遮断された状態で軸方向に振動することがあることである。この場合には支持リングは押圧板が皿ばねから離れると、支持リングが押圧板に対して相対的に皿ばねに向かって移動することがある。クラッチを再接続したあとで皿ばねは誤った(部分的に遮断された)位置をとり、その結果として圧着力が変化させられ、完全な遮断が保証されなくなる。
【0143】
さらに本発明の課題は先に述べた形式の後調節装置であって、簡単な構造を有し、確実な後調節装置機能が保証され、意図しない調節が行われない形式のものを提供することである、後調節装置は構造的に場所をとらず、費用的に安く製作可能にしたい。さらに後調節装置は引張型のクラッチにも押し型のクラッチにも適するものにしたい。
【0144】
本発明の課題は以下の特徴の少なくとも2つの組合せによって解決された。すなわち、
(イ) 後調節装置が互いに半径方向の間隔をおいて設けられた2つのリングを有し、該リングがそれぞれ、搬送手段の影響下で周方向に回動可能な後調節装置、例えばランプ装置の作用下で軸方向に皿ばねに向かって移動可能であること。
【0145】
(ロ) 皿ばねが第1の半径方向の範囲で、クラッチが接続された状態で一方の第1のリング━摩耗補償リング━に支えられ、その際に該リングの後調節装置の回動を阻止していること。
【0146】
(ハ) 第2のリング━摩耗フィーラリング━の後調節装置が、センサを有する、回動を阻止する抑止装置の作用に晒されており、該抑止装置の作用が摩擦クラッチの摩耗及び接続状態で除かれ得るようになっており、これによって第2のリングが摩耗に相応する軸方向の移動を、後調節装置の適当な移動により行うことができるようになっており、摩擦クラッチの遮断の間は抑止装置の作用があり、有利には遮断過程に関連して強められること。
【0147】
(ニ) 第1のリングの後調節装置が摩耗に続く遮断過程に際して、先に行われた第2のリングの回動後にかつこれに相応して回動のためにロック装置によって解放可能であること。
【0148】
この場合、後調節装置はリング自体がランプを有しかつ周方向に有効な蓄力器の作用に晒されるように構成しておくことができる。
【0149】
抑止装置の作用は種々の基準に関連して、例えば摩耗に関連して行われる皿ばねの円錐性の変化に関連して、又は有利には皿ばね舌状部自体によって形成されていることのできる遮断部材の起立に関連して除かれ得るか又は少なくとも減少可能であることができる。さらに抑止装置の作用は摩耗に関連して行われる押圧板の軸方向の位置の変化に関連して除かれ得るか又は少なくとも減少可能にすることもできる。
【0150】
周方向に回動可能な両方の後調節装置は摩擦のクラッチの軸方向に移動可能な構成部材、例えば押圧板の上に設けるか又は摩擦クラッチの軸方向で不動の構成部材、例えばカバーの上にかつ使用例に応じて押圧板と皿ばねとの間で有効にかつ押圧板と皿ばねとの間の軸方向の空間的に配置されていることができる。他の使用例のためには後調節装置が皿ばねとカバーとの間で有効でかつ軸方向で皿ばねとカバーとの間に配置されていると有利である。
【0151】
例えばブレーキとして構成されていることのできる抑止装置はセンサ自体によって形成することができる。この場合には、センサが摩擦クラッチの遮断過程に関連してより強い作用、例えばブレーキ作用を第2のリングに発生させると特に有利である。この場合には構成は、センサが摩擦クラッチの接続された状態で、摩耗フィーラリングの後調節を保証し(これはリングの回動可能性の解放によって行うことができる)、しかも皿ばね(又は遮断部材)の円錐性の変化に関連して又はカバーに対する押圧板の軸方向の位置の変化に関連して行うことができる。この場合にはセンサは軸方向に強制的に従動可能な少なくとも1つの部材から成っていることができ、該部材は摩擦クラッチが接続された、新しい状態で又は後調節装置が摩耗に相応して後調節された状態で次のような力成分でクラッチ構成部材の1つ━カバー、皿ばね又は押圧板━と第2のリングの上に支承され、周方向に作用する搬送装置の作用下にあるリングの回動、ひいては軸方向の移動が阻止されているが、しかし摩耗に基づき皿ばねの円錐性が変化した場合又は押圧板の軸方向の位置が変化した場合には摩擦クラッチが接続された状態でセンサの支持範囲が第2のリングにかかる負荷を少なくとも軽減させるか又はリングから離され(制動作用は少なくとも減少される)かつ第2のリングが搬送装置によって回動され、ひいては軸方向に移動させられ得るようになっている。
【0152】
このようなセンサは有利な形式で皿ばね状の構成部材によって形成することができる。該構成部材は皿ばねの上に固定されていることができる。この場合センサは半径方向外側の範囲で皿ばねの片側に固定されていることができ、他の半径方向範囲で皿ばねを軸方向で掴み、皿ばねの他方の側で第2の支持範囲で第2のリングに支持されていることができる。
【0153】
しかしながらセンサ、例えば皿ばね状の構成部材はカバーにしっかりと枢着され、第2のリングに向き合った支持範囲でカバーのストッパ範囲に、クラッチの遮断に際して橋絡可能な範囲で向き合って位置することができる。すなわち、遮断に際して、押圧板により保持された第2のリングはカバーに向かって移動し、これによって例えばカバーの他方の側に旋回可能に固定された、弾性的に構成されたセンサの制動作用が高められる。
【0154】
後調節リングを回動させるための搬送手段は少なくとも後調節リングの少なくとも1つのためにばねによって形成しておくことができる。この場合には第1のリングのためのばねはカバーに支えられ、第2のリングのためのばねは第1のリングに支えられていると有利である。この場合に有利なことは第1のリングのばねが第2のリングのばねよりも強いことである。
【0155】
特に簡単な構成は、第2のリングの回動が行われたあとで第1のリングの回動を解放し、かつ第2のリングの回動に相応して解放する係止装置が、第2のリングの半径方向のストッパ突起によって形成され、このストッパ突起に━周方向で見て━第1のリングの追送する半径方向の突起が向き合って位置していることによって得られる。
【0156】
特に有利な構成は、第2のリングがクラッチの遮断された状態で回動を阻止されていると得られる。これは例えば、第2のリングと構成部材の上の、該構成部材と第2のリングとの間のストッパ範囲との間で、クラッチの接続・遮断過程に際して軸方向の相対運動が行われ、遮断された状態で前記の間隔が橋絡され、第2のリングがこのストッパ範囲における支持によって回動が阻止されることで得られる。第2のリングがカバーに設けられている実施例においては、遮断された状態で皿ばねが第2のリングに支持されるように装置は構成することができる。第2のリングが押圧板に設けられている装置構成では、遮断状態で押圧板が軸方向に移動させられた場合に、押圧板がカバーに設けられた範囲でこの第2のリングに支持され、この第2のリングの回動をロックする。
【0157】
本発明の摩擦クラッチはいわゆる引張型クラッチとして単腕レバーとして有効な皿ばねを備えていることができる。この場合、第2のリングは第1のリングの半径方向内側に配置され、両方のリングは軸方向で皿ばねとカバーとの間に設けておくことができる。
【0158】
別の実施態様は皿ばねが引張型である場合に、第2のリングが第1のリングの半径方向外側に配置され、両方のリングが軸方向で皿ばねと押圧板との間に配置されていることによって得られる。
【0159】
別の実施態様においては摩擦クラッチがいわゆる押し型クラッチであって、2腕レバーとして有効な皿ばねを有し、第2のリングが第1のリングの半径方向内側に配置され、両方のリングが軸方向で皿ばねと押圧板との間に設けられていることができる。押し型クラッチとしての摩擦クラッチの実施態様では第2のリングは第1のリングの半径方向外側に配置でき、両方のリングを皿ばねとカバーとの間に配置できる。
【0160】
既に述べたようにリング自体がランプを有し、対応ランプは特に簡単な形式でクラッチカバーに押込み変形されたランプによって形成しておくことができる。この場合、摩擦クラッチに空気を送るためには、個々のランプの間に、すなわち屋根状に起立させたランプのコルニスの範囲において透し孔をカバー材料に設けておくことが特に有利である。この場合、ランプの傾斜は有利には、クラッチが回転する場合に摩擦クラッチの内室に空気流が生ぜしめられるように選択されている。これによって特に摩擦ライニングの寿命が著しく改善されることが判明した。
【0161】
摩擦クラッチの構成とは無関係に、特に有利であるのは、第1のリング━摩耗補償リング━が同時に皿ばねのための旋回支承部を有しているか又は形成していることである。
【0162】
これまで述べた発明の特徴とは無関係に本発明の思想は、冒頭に述べた形式の摩擦クラッチにおいて、後調節装置をクラッチカバーと皿ばねとの間に設け、しかもこれらの構成部分の間の軸方向の構成スペースに設けることである。この場合、配置はカバーと皿ばねとの間の半径方向の構成スペース内に行うこともできる。
【0163】
別のそれ自体独立した本発明の思想は、冒頭に述べた形式の摩擦クラッチにおいて後調節装置が互いに半径方向の間隔をおいてかつ同心的に設けられた2つのリングを有しており、これらのリングがそれぞれ搬送装置の影響下で周方向に回動可能な後調節装置、例えばランプと対応ランプとを備えたランプ装置の作用下で軸方向に皿ばねに向かって移動可能であり、皿ばねが第1の半径方向範囲でクラッチが接続された状態で第1のリング━摩耗補償リング━に支えられて、その後調節装置の回動を阻止しており、第2のリング━摩耗フィーラリング━の後調節装置が、センサを有し、センサが第2のリングに第1の半径方向の範囲から離れた範囲において支持されることにより回動を阻止する抑止装置の作用に晒されており、該抑止装置の作用が摩耗に際してかつ摩擦クラッチが接続された状態で少なくとも減少可能で、第2のリングの、摩耗に相応する軸方向の移動が後調節装置の適当な軸方向の移動を可能にし、クラッチの遮断の間は抑止装置の作用が強められるようにしたことである。
【0164】
本発明は摩擦クラッチ一般に関する。特に摩擦クラッチの少なくとも摩擦ライニングの摩耗を補償する後調節装置、特に、例えば特許出願P42 39 291.8号、P43 06 505.8号、P42 39 289.6号、P4231 131.4号、P42 567.6号及びP43 175 87.2号明細書記載の後調節装置を有する摩擦クラッチに関する。上記の特許出願の対象は本発明の内容に完全に属するものであり、このため、本明細書には上記特許出願の対象が含まれている。
【0165】
クラッチ摩耗の自動後調節機能を有するこの型式のクラッチでは、高いクラッチ押圧力を有すると共に、極めて低いレリーズ力を有するようにすることが求められており、この場合このレリーズ力が、クラッチの全寿命期間に亘って、換言すれば特にクラッチライニングが摩耗する全稼働期間に亘って、できるだけ一定に保持されることが必要とされている。
【0166】
高いクラッチ押圧力と同時に低いレリーズ力をうるには、力が極めて急激に低下する特性を有する皿ばねが必要である。レリーズ力の経過はそこにおける力の変動ができるだけ僅かであることが必要であるが、このようなクラッチのための皿ばねのほぼ一定の力−距離特性、換言すれば、確実で完全なクラッチ遮断のための、公差のために付加的なレリーズ距離余裕を有する力−距離特性は十分にはえられない。それというのは、とりわけ、急激に低下する特性曲線を示す皿ばねは、比較的短い距離経過後既に、極めて急激に上昇する特性曲線を再び示すからである。図94に一点鎖線で示されている特性曲線は、典型的なばね特性曲線を示すものであるが、この場合クラッチ連結時におけるほぼ1mmのばね距離での力及びライニング解放時における2mm及び3mmのばね距離での力が示されており、この場合力の経過はライニング解放時の2mm及び3mmのレリーズ距離において既に上昇傾向を示している。この3mmの距離は必要な最小レリーズ距離であるが、この場合距離公差、組付公差並びに構造部品自体の公差及びクラッチの弾性に基づく距離損失分がさらに加わる。さらに、レリーズ系の公差による付加的な距離変動分が加わり、その結果必要なばね距離は少なくとも3.5mmになる。このことは既に著しく急激にレリーズ力が上昇することを意味しており、また例えば、前記の特許出願P42 39 291.8号明細書記載のものに相応するセンサ皿ばねを有するクラッチでは、後調節装置の後調節リングの望ましくない不都合な調節作動が行われることを意味している。
【0167】
従って本発明の課題はさらに、上記の欠点を排除すること、換言すれば、可能な公差を含む全レリーズ距離に亘ってできるだけ低いかつできるだけ一定のレリーズ力を有し、同時に、可能な最大レリーズ距離に亘って、許容できない又は望ましくない力の上昇が避けられるクラッチを提供することにある。さらに、クラッチ及びその構成部分の製作が簡単でかつコスト的に有利に行うことができ、この場合これらの構成部分の設計も容易に行うことができるクラッチを提供することにある。これらの課題を少なくとも部分的に解決するため、高いレリーズ力を有する慣用のクラッチでは、甘受できるペダル操作力をうるため、クラッチとペダルとの間のレリーズ系に例えば高価な油圧又は空気圧サーボ補助装置が使用されている。
【0168】
しかしこのような解決手段は全く決定的な欠点を有している。即ちクラッチの大きなレリーズ力がレリーズベアリングを介して操作系に伝達され、従ってクラッチ内においても操作系内においても、高いレリーズ力により、極めて大きな弾性損失及び摩擦損失が発生するという欠点、さらには、クラッチの構成部分並びに、例えばエンジンのアキシャル軸受を含む全操作系を、上記の極めて高い力を考慮して、相応して高価な構成部分によってのみえられる十分な強度に設計しなければならないという付加的な欠点を有している。
【0169】
本発明の課題は、これらの系の上記の欠点を排除することにある。
【0170】
本発明によれば上記の課題は、図94におけるばね行程距離の点1及び2間の力の低下が先に述べた力の低下にほぼ等しい経過を示す皿ばねを使用することによって解決されている。該皿ばね自体は著しく低い力最小値を有し、この場合最小値は0よりも小、即ち負であることができる。このような皿ばねは、図94の実線の特性曲線から容易に判るように、10 000N−線との両交点間の距離は、10 000N−線との両交点がほぼ1mmにすぎない一点鎖線の特性曲線を示すばねに対して、2mmより大になっている。換言すれば、この力範囲における全行程距離が実線の特性を有する皿ばねでは2倍になっている。実線の曲線に相応するこのような特性曲線を示すクラッチはしかしクラッチ操作上極めて大きな欠点を有している。それというのはこの場合最初の距離範囲では正の力、次いで負の力までの低下、続いて再び正の力までの上昇が示されるからである。このことは、レリーズ行程距離に亘って相応する力の変化がレリーズ系中に生じ、これをペダルを介して申し分なくコントロールすることはできないからである。
【0171】
しかし、最小値があまり低い値まで低下しない、要するに力の最小値が零より僅かに上にある、換言すれば力が常に正である皿ばねが使用された場合でも、クラッチの機能は、レリーズ時における極めて著しい力の変化により、コントロールが極めて困難である。本発明によれば、クラッチ皿ばねの力の最小値の範囲において主に作用する少なくとも1つの付加的な所謂補償ばねの使用により、後に詳述するように、図94の実線の特性曲線に示されている力の著しい低下が避けられる。かつまた、実線の曲線で示された特性曲線からの延長された分岐曲線が十分に利用され、かつ同時に、力の許容できない低下が避けられることにより、必要なレリーズ操作性が達成される。
【0172】
【実施例】
図1及び図2に示されている摩擦クラッチ1はケーシング2及び該ケーシング2に回動不能にしかし軸方向ではある限度内で変位可能に結合されたプレッシャプレート3を有している。軸方向でこのプレッシャープレート3とクラッチカバーとしてのケーシング2との間には押圧用ダイヤフラムばね4が張設されており、該ダイヤフラムばね4は、ケーシング2によって支持されているリング状の旋回支承部5を支点としてクラッチ遮断位置及び連結位置に旋回可能であり、かつ該連結位置ではプレッシャープレート3をいねじ6aを介してケーシング2に不動に結合された対応受圧板6、例えばフライホイール、に押圧し、これによりクラッチディスク8の摩擦ライニング7がプレッシャープレート3と対応受圧板6との摩擦面間に締め込まれる。
【0173】
プレッシャプレート3はケーシング2に、周方向若しくは接線方向に向けられている板ばね9を介して回動不能に結合されている。図示の実施例ではクラッチディスク8は所謂ライニングばねセグメント10を有しており、これは、両摩擦ライニング7の互いに向かい合う方向での限られた軸方向変位を介して摩擦ライニング7に作用する軸方向力の漸進的な上昇を可能にすることによって、摩擦クラッチ1の連結時の漸進的なトルクの発生を保証する。しかしまた、摩擦ライニング7が軸方向で実際不動に支持ディスクに設けられているクラッチディスクを使用することも可能である。このような場合には「ライニングばね組」を使用することができる。要するにダイヤフラムばねと直列のばね装置、例えばクラッチカバーとフライホイールとの間、クラッチカバーとクラッチカバー側の支持部との間並びにダイヤフラムばねとプレッシャープレートとの間のばね装置を使用することができ、又はクラッチカバーの弾性を利用してもよい。
【0174】
図示の実施例では、ダイヤフラムばね4は押圧力を作用させるリング状の基体4aを有し、ここから半径方向内側へ操作用舌状部4bが延びている。ダイヤフラムばね4はこの場合、半径方向でさらに外側にある範囲でプレッシャープレート3にばね負荷を与えており、また半径方向でさらに内側にある範囲で旋回支承部5を支点として傾倒するように、組付けられている。
【0175】
旋回支承部5は2つの旋回支点11,12を有しており、これらは図示の実施例では線材により形成されており、これらの線材の間にダイヤフラムばね4が軸方向で保持され若しくは締込まれている。ダイヤフラムばね4のプレッシャープレート3側に設けられている旋回支点11は蓄力部材13により軸方向でケーシング2に向って力を負荷されている。蓄力部材13は皿ばねによって若しくは皿ばね状の構造部分によって形成されており、かつ外側の縁範囲13aでケーシング2に支持されかつ半径方向内側にある区分で旋回支点11をダイヤフラムばね4に対して、ひいてはケーシング2に対して軸方向に押付けている。プレッシャープレート3とダイヤフラムばね4との間に設けられている皿ばね13は外側のリング状の縁範囲13bを有し、その内側の縁部からは半径方向内側へ延びる舌状部13cがでており、これらは旋回支点11に支持されている。
【0176】
皿ばね状の構造部分13を支持するために図示の実施例ではケーシング2に付加的な手段14が設けられており、これは皿ばね状の構造部分13のための旋回支点を形成している。これらの付加的手段は接着又はリベット止めされたセグメント状の個々の部材によって形成することができ、これらはケーシング内周面に等間隔に分配して配置することができる。上記の手段14はしかしまた円形リング状の、それ自体で閉じた1つの構造部分によって形成することもできる。さらに上記支持手段14はケーシング2から直接成形されていてもよく、例えばケーシング2の軸方向範囲に加工された圧刻部又はケーシング壁を舌状に切り起した部分として形成することができ、これらは、皿ばね状の構造部分13を挿入又は締込んだ後に該構造部分13の外側の縁部の下へ変形加工により押込まれる。さらにまた、支持手段14と皿ばね状構造部分との間にバヨネット継手若しくはバヨネット式の係止機構を設け、皿ばね状の構造部分13をまずあらかじめ緊縮させ、次いで該構造部分13の半径方向外側範囲を軸方向で支持手段14上へ移動させ、次いで皿ばね状構造部分13をケーシング2に対して相応して回わし、構造部分13の支持範囲を支持手段14に係止させることもできる。この場合皿ばね状構造部分13の支持範囲はリング状の基部13bから半径方向外側へ突出した突条片によって形成することができる。
【0177】
クラッチ操作用若しくは押圧用のダイヤフラムばね4及び場合によっては皿ばね状の構造部分13の回動防止並びに線材リング11,12のセンタリングのために、ケーシング2には軸方向に延びるセンタリング手段がリベットエレメント15の形で固定されている。これらのリベットエレメント15はそれぞれ軸方向に延びる軸部15aを有し、該軸部15aは隣合うダイヤフラムばね舌状部4b間に形成されている切欠きを軸方向で貫通して延びさらに上記切欠きに所属している、皿ばね状構造部分13の舌状部13cに形成されている範囲13d内に部分的に係合する。
【0178】
皿ばね状構造部分13は、所定の作動距離にわたって少なくとも実質的にほぼ一定の力を生ずるセンサばねとして構成されている。このセンサばね13を介して、ダイヤフラムばね4の舌状部先端部4cに負荷される、クラッチを解離(遮断)するときのクラッチ解離力がとらえられる。この場合解離力によって旋回支点11に生じる力とセンサばね13によりこの旋回支点11に作用する反力とは、常に、少なくともほぼ平衡する。この場合「解離力」とは、摩擦クラッチ1の操作中ダイヤフラムばね4の舌状部先端部4c若しくはダイヤフラムばね舌状部のレリーズレバーに作用する、従ってセンサばね13とは逆向に作用する力である。
【0179】
ケーシング側の旋回支点12はダイヤフラムばね4とケーシング2との間の軸方向スペース内にある、ケーシング2に設けられた後調整装置16に支持されている。この後調整装置16は、旋回支点11及び12がプレッシャープレート3に向って若しくは対応受圧板6に向って軸方向に変位するさいに、旋回支点12とケーシング2との間若しくは旋回支点12とダイヤフラムばね4との間に、望ましくない遊びが生じないようにするものである。これにより、摩擦クラッチ操作時に、望ましくない遊び行程が発生せず、これにより極めて良好な効率及びこれによる申し分ない摩擦クラッチ操作がえられる。旋回支点11,12の軸方向変位はプレッシャープレート3及び対応受圧板6並びに摩擦ライニング7の摩擦面に軸方向摩耗が生じたさいに行われる。後調整はしかしまた本発明の装置においては、旋回支点11,12若しくは該旋回支点に向き合っているダイヤフラムばね範囲が摩耗した場合及びプレッシャープレート突出部3aの範囲におけるダイヤフラムばね若しくは該プレッシャープレート突出部範囲に向き合っているダイヤフラムばね範囲が摩耗した場合にも行われる。旋回支承部5の自動的な後調整作用は後に図8〜図11の線図について詳細に説明する。
【0180】
後調整装置16は、リング状の構成部材17の形のばね負荷された後調整部材を有しており、この構成部材17は図3及び図4に示してある。リング状の構成部材17は、周方向に延びていてかつ軸線方向に傾斜する乗り上げテーパ部18を備えており、乗り上げテーパ部は構成部材17の周囲にわたって分配されている。後調整部材17は乗り上げテーパ部18をケーシング底部2aに向けるようにクラッチ1内に組み込まれている。後調整部材17の乗り上げテーパ部18とは逆の側では、線材リングによって形成された旋回支持部材12が溝状の切欠き19(図2)内にセンタリングして配置されている。この場合、切欠き19は旋回支持部材12を後調整部材17に軸線方向でも確保しておくように構成されていてよい。このことは、例えば後調整部材17の切欠き19に隣接する範囲が少なくとも部分的に旋回支持部材12を締め付け固定するようにすること、若しくは旋回支持部材12のためのスナップ結合部を形成することによって行われる。旋回支持部材12と後調整部材17のために異なる材料を用いる場合に有利には、大きな温度変化に基づき生じる膨張誤差を補償するために、線材リングとして構成された旋回支持部材12が開いていて、すなわち周囲上の少なくとも1ケ所で切断されており、これによって切欠き19に対する線材リング12の周方向での運動が可能になり、ひいては線材リング12が切欠き19の直径変化に適合できる。
【0181】
図示の実施例においては後調整部材17がプラスチック、例えば耐熱性の熱プラスチックから成っており、このようなプラスチックはさらに付加的に繊維で強化されていてよい。これにより、後調整部材17が簡単に射出成形品として製造される。単位重量の小さいプラスチックから成る後調整部材は、すでに述べたように、わずかな慣性力しか生ぜしめず、これによって圧力振動に対する応働性も減少する。旋回支持部材も直接にプラスチックリングによって構成されていてよい。後調整部材17は薄板成形品として構成され、若しくは焼結によって形成されてよい。さらに適当な材料選択によって旋回支持部材12が後調整部材17と一体に形成されていてよい。旋回支持部材11が直接にセンサばね13によって構成されていてよい。このために、舌片13cの先端が例えば条溝のような適当な圧刻部、若しくは成形部を有していてよい。
【0182】
後調整部材17は周囲にわたって均一に分配されたリベット15の軸線方向に延びる範囲15aによってセンタリングされる。このために、後調整部材17がセンタリング輪郭20を有しており、このセンタリング輪郭は周方向に延びる切欠き21によって形成されており、この切欠きは半径方向で旋回支持部材11の内側に位置している。切欠き21を形成するために、後調整部材17が内側の縁部範囲に半径方向内側に延びる突出部22を有しており、この突出部が切欠き21の半径方向内側の輪郭を制限している。
【0183】
図3から明らかなように、周方向で見て均一に分配された切欠き21間にそれぞれ5つの乗り上げテーパ部18が設けられている。切欠き21は周方向で後調整部材17にケーシング2に対する少なくとも所定の角度の回動を可能にするように構成されており、この所定の回動角度は摩擦クラッチ1の耐用年数にわたってプレッシャプレート3、及び対抗受圧板6の摩擦面、並びに摩擦ライニング7に生じる摩滅の後調整、或いはクラッチ自体、すなわち支持部材11,12、支持部材間に位置するダイヤフラムばね部分、プレッシャプレート突起3a、若しくはダイヤフラムばね4のプレッシャプレート突起に向いた部分の摩滅の後調整を保証するように規定されている。このような後調整角度は乗り上げテーパ部の設計に応じて8度と60度との間の大きさ、有利には10度と30度との間の大きさである。図示の実施例では回動角度は12度であり、乗り上げテーパ部18の傾斜角度23は同じく12度である。傾斜角度23は、後調整リング17の乗り上げテーパ部18と図5及び図6に示す支持リング25の対抗乗り上げテーパ部18との圧着に際して生じる摩擦が乗り上げテーパ部18と対抗乗り上げテーパ部24との間の滑りずれを阻止するように選ばれている。乗り上げテーパ部18及び対抗乗り上げテーパ部24の範囲の材料組み合わせに応じて、傾斜角度23は4度と20度との間の範囲にある。
【0184】
後調整リング17は周方向、それも後調整回動方向、すなわち1つの方向にばね負荷されており、この方向は支持リング25の対抗乗り上げテーパ部24上への乗り上げテーパ部18の乗り上げにより、プレッシャプレート3の方向、すなわちケーシング部分2aから離れる方向への後調整リング17の軸線方向ずれを生ぜしめる。図1及び図2に示してある実施例においては、後調整リング17のばね負荷が少なくとも1つのリング状の脚ばね26によって保証されており、該脚ばねは例えば2つの巻条を有していて、一方の端部に、半径方向へ延びて後調整リング17と回動不能に結合された脚部27を備え、かつ他方の端部に軸線方向へ延びる脚部28を備えており、軸線方向へ延びる脚部がケーシング2に回動不能に懸架されている。脚ばね26は弾性的に緊張して組み込まれている。
【0185】
図5及び図6に示す支持リング25は同じくリング状の構成部材によって構成されており、この構成部材が対抗乗り上げテーパ部24を備えており、対抗乗り上げテーパ部が乗り上げテーパ部18によって制限形成された面に対して相補的な面を形成しており、この場合、乗り上げテーパ部18及び対抗乗り上げテーパ部24によって制限形成された面が互いに合同であってもよい。対抗乗り上げテーパ部24の調整角度29は乗り上げテーパ部18の傾斜角度23に相応している。図3と図5との比較によって明らかであるように、乗り上げテーパ部18及び対抗乗り上げテーパ部24は周方向で類似して分配されている。支持リング25はケーシング2に回動不能に結合されている。このために、支持リング25は周囲に分配された切欠き30を有しており、該切欠きを貫いてリベット15の付加部が延びている。
【0186】
図2に破線でリング状の別の脚ばね26aを示してあり、該脚ばねは脚ばね26と類似して端部区分を曲げられていて、一方でケーシング2との回動不能な結合、及び他方で後調整部材17との回動不能な結合を保証している。脚ばね26aは同じく弾性的に緊張して組み込まれていて、後調整部材17に回動力を生ぜしめる。2つの脚ばね26,26aの使用が多くの実施例にとって有利である。それというのは、摩擦クラッチ1の回転に際して脚ばね26若しくは26aに作用する遠心力に基づきばね力が増大せしめられるからである。2つの脚ばねの使用により、例えば脚ばね26に生じる力増大が脚ばね26aからもたらされる力によって補償される。このために脚ばね26,26aは、少なくとも遠心力作用のもとに後調整部材17に周方向で逆向きに作用する力を生ぜしめるように巻かれている。両方の脚ばね26,26aは単数若しくは複数の巻条を備えていて、かつ図2に示してあるように異なる巻条直径を有しており、脚ばね26,26aに作用する遠心力(この遠心力は異なる大きさの周方向力を後調整部材17に生ぜしめる)が個別の脚ばね26,26aの線材太さ及び/又は巻条数の適当な設計によって少なくともほぼ補償できる。図2では、脚ばね26が半径方向で後調整部材17の内側に配置され、脚ばね26aが半径方向で後調整部材17の外側に配置されている。しかしながら両方の脚ばねが適当な設計によって半径方向で後調整部材17の内側若しくは外側に配置されてもよい。
【0187】
図7は脚ばね26の平面図である。脚ばね26の弛緩状態では、脚部27,28が40度と120度との間の大きさの角度31だけずらされている。この角度31は図示の実施例では85度である。符号32で脚部28に対する脚部27の相対的な位置を示しており、この位置は摩擦クラッチ1内の新しい摩擦ライニング7において脚部によって占められる。符号33で脚部27の相対的な位置が示してあり、この位置は摩擦ライニング7の最大許容摩滅量に相応する。後調整角度34は図示の実施例では12度の大きさである。脚ばね26は、弛緩状態では両方の脚部27,28間に1つの巻条35のみが延びているように構成されている。残りの周範囲では2つの巻条が軸線方向で上下に位置している。脚ばね26aは脚ばね26と類似して構成されているものの、大きな巻条直径及び図2の後調整部材17に関連して別の緊張方向を有している。しかしながら脚ばね26によって後調整部材17に生ぜしめられる力は脚ばね26aの力よりも大きくなっている。
【0188】
摩擦クラッチ1の新たな状態では、乗り上げテーパ部18及び対抗乗り上げテーパ部24を形成する突起18a,24aが最も広い範囲で軸線方向で互いに係合しており、すなわち互いに接触するリング17及び25は軸線方向の最もわずかな構成スペースしか必要としない。
【0189】
図1及び図2の実施例において、対抗乗り上げテーパ部24若しくは該対抗乗り上げテーパ部を形成する突起状の付加部24aが固有の構成部分によって構成されている。しかしながら対抗乗り上げテーパ部24は直接にケーシング2によって、例えば突起状の付加部をケーシング内部へ圧刻することによって構成されてもよい。圧刻は特に一体に構成された薄板ケーシング若しくはカバーにとって有利である。
【0190】
摩擦クラッチ1の組み立ての前に調整リング17をその引っ込められた位置に保持するために、調整リングが突起22の範囲に回動阻止手段若しくは戻り阻止手段のための係合部分36を有しており、この係合部分は他方でケーシング2に支えられる。このような戻り阻止手段は摩擦クラッチ1の製作に際して若しくは組み立てに際して設けられ、はずみ車6上への摩擦クラッチ1の取り付けの後にクラッチから除去され、これによって後調整装置16が機能する。図示の実施例ではカバー若しくはケーシング2に周方向に細長く延びる切欠き37が設けられ、かつ後調整リング17に凹所若しくは付加部38が設けられている。この場合周方向に細長く延びる切欠き37は、後調整リング17が最大の摩滅後調整角度に相応して戻り回動できるような距離を有している。摩擦クラッチ1の組み立ての後に回動工具がカバーのスリット37を軸線方向に通され、調整リング17の切欠き38内に挿入される。次いで後調整リング17が工具を用いて戻り回動せしめられ、これによってケーシング2の半径方向の範囲2aの方向へ移動させられ、この範囲2aに対して軸線方向の最小距離を占める。この位置で、次いで後調整リング17は、例えばクテーパ部若しくはピンを用いて確保せしめられるようになっており、ピンはカバー及び後調整リング17の合致する切欠き内に係合して、カバー及び後調整リングの回動を阻止する。このようなピンははずみ車6上への摩擦クラッチ1の取り付けの後に切欠きから取り除かれ、その結果、すでに述べたように後調整装置16が解放される。ケーシング2内のスリット37は、はずみ車6から摩擦クラッチ1を取り外す際に若しくは取り外した後に後調整リング17を後退位置へもたらし得るように構成されている。このために、摩擦クラッチ1がまず解離され、これによって操作ダイヤフラムばね4が旋回支持部材12に軸線方向力を生ぜしめず、従って、後調整リング17の申し分のない回動が保証される。
【0191】
内燃機関にすでに取り付けられた摩擦クラッチ1の構成部材を機能の損なわれない正確な位置にもたらすための別の可能性が、後調整部材若しくは後調整リング17を内燃機関若しくははずみ車への取り付けの後に初めて戻り回動、若しくは戻し調整することにある。このために、例えば補助工具を介して摩擦クラッチ1が作動せしめられ、次いで実質的に負荷軽減された後調整リング17がプレッシャプレートに対して後退させられた位置へ調整される。次いで摩擦クラッチ1が再び連結され、その結果、後調整リング17がこの後退させられた位置をまず維持する。
【0192】
後調整リング17若しくは支持リング25がそれぞれ、半径方向でずらされて位置しかつ周方向に延びていて軸線方向で上り勾配の2つの乗り上げテーパ部を有していてよく、これらの乗り上げテーパ部はそれぞれ周方向で分配されている。この場合、半径方向で内側の乗り上げテーパ部が半径方向で外側の乗り上げテーパ部に対して周方向に、それもテーパ部長さ若しくはテーパ部ピッチのほぼ半分だけずらされている。乗り上げテーパ部を周方向にずらすことによって、後調整リング17と支持リング25との間の申し分のないセンタリング案内が保証される。
【0193】
次に、図8から図11の特性曲線図に描かれた特性曲線と関連して、前述の摩擦クラッチ1の作用を詳説する。
【0194】
図8の線40は、ダイヤフラムばね4の2つの支持部間での変形の際にダイヤフラムばね4の円錐変化に関連して生じる軸線方向力を示しており、両方の支持部間の半径方向の間隔は旋回支承部5とプレッシャプレート3の半径方向外側の支持直径3aとの間の半径方向の間隔である。横座標には両方の支持部間の相対的な軸線方向距離がプロットしてあり、かつ縦座標にはダイヤフラムばねによって生ぜしめられた力がプロットしてある。点41がダイヤフラムばねの平面位置を表しており、この平面位置は閉じられた摩擦クラッチ1において有利には組み込み位置として選ばれ、すなわちこの位置ではダイヤフラムばねが適当な組み込み位置にとって最大の圧着力をプレッシャプレート3に生ぜしめる。点41は円錐形の組み込み位置、すなわちダイヤフラムばね4の設置状態の変化により線40に沿って上方若しくは下方へ移動させられる。
【0195】
線42はライニングばねセグメント10によって生ぜしめられる軸線方向の拡開力を表しており、該拡開力は両方の摩擦ライニング7間に作用する。この軸線方向の拡開力は、ダイヤフラムばね4によってプレッシャプレート3に生ぜしめられる軸線方向力に対して逆向きに作用している。有利には、ばねセグメント10の弾性的な可能な変形のために必要な軸線方向力が少なくとも、ダイヤフラムばね4によってプレッシャプレート3に生ぜしめられる軸線方向力に相応している。摩擦クラッチ1の解離の際にばねセグメント10がそれも距離43にわたって弛緩される。プレッシャプレート3の相応の軸線方向のずれにも相応する距離43にわたって、摩擦クラッチ1の解離過程が助成され、すなわちライニングばねセグメント10の存在していない場合には(ライニングばねの存在していない場合に)組み込み点41に相応するはずの軸線方向力よりもわずかな最大の軸線方向力が生ぜしめられるだけでよい。点44の越えられる際に、摩擦ライニング7が解放され、ダイヤフラムばね4の漸減的な特性曲線範囲に基づき、さらに生ぜしめねばならない解離力は点41に相応する解離力に比べて著しく減少している。摩擦クラッチ1の解離力は、正弦弧状の特性曲線40の最小値、若しくは最下位点45に達するまでは減少する。
【0196】
最小値45が超えられると、所要の遮断力は再び増大し、この場合、舌片先端部4cの範囲における遮断移動距離は、最小値45が超えられた場合でも遮断力が、ポイント44に生じる最大遮断力を超えずに、有利にはこの最大遮断力よりも下に留まるように設定されている。従って、ポイント46が超えられないことが望ましい。
【0197】
力センサとして働くばね13は図9の特性線47に示したような距離/力経過曲線を有している。この特性線47は、皿ばね状の構成部材13の円錐度が、弛緩された位置から変化させられ、しかも旋回支持部11,14の間の半径方向間隔に相当する半径方向間隔を有している2つの旋回支持部の間で変化させられる場合に形成されるような特性線に相当している。特性線47が示しているように、皿ばね状の構成部材13は、この構成部材によって形成される軸方向力が実際に一定のままとなるようなばね行程を有している。この場合、範囲48で形成された力は、図8のポイント44で生じるクラッチの遮断力に少なくともほぼ相当するように設定されている。センサばね13によって付与したい支持力は、ポイント44に対応するダイヤフラムばね4の力に比べて、前記ダイヤフラムばね4のてこ伝達比に相応して減じられている。この伝達比はたいていの場合、1:3〜1:5のオーダにあるが、しかし幾つかの使用事例に対してはそれ以上又はそれ以下であってもよい。
【0198】
前記ダイヤフラムばね伝達比は、支持部3aに対する旋回支承部5の半径方向間隔と、たとえばクラッチ遮断支承部のための接触直径4cに対する旋回支承部5の半径方向間隔との間の比に相当している。
【0199】
摩擦クラッチ1における皿ばね状の構成部材13の組込み位置は、この構成部材が旋回支承部5の範囲で摩擦ライニング7の方向に軸方向ばね行程を実施するように選択されている。このばね行程は、少なくとも摩擦面及び摩擦ライニングの摩耗に基づき生じるような受圧板6の方向におけるプレッシャプレート3の軸方向における後調整行程に相当していると同時に、旋回支承部5のための少なくともほぼ一定の軸方向支持力をも保証している。すなわち、特性線47の直線状の範囲48は、少なくとも前記摩耗移動量に相当する長さ、有利には前記摩耗移動量よりも大きな長さを有していると望ましい訳である。その理由は、これによって組込み誤差も少なくとも部分的に補償され得るからである。
【0200】
クラッチ1を外すさい、摩擦ライニング7の開放点44を事実上一様ないし一定に維持するには、摩擦ライニング7の間に、いわゆる2重セグメントのライニングばねを設けておけばよい。すなわち、対をなす別々のばねセグメントを背中合せに設けておくのである。その場合、個々のセグメント対が互いに対して一定の軸方向の予圧を有するようにすることにより、クラッチ板8が挟付けられていない状態では、ライニングばねにより調達される軸方向力のすべてが、少なくとも、点44に相応する、皿ばね4のリリース力に合致せしめられ、有利には、リリース力より幾分上回るようにされる。ライニング間に設けられたばね部材の予圧により、使用時間中に生じる、ライニング裏側へのセグメントの埋込み損失が、少なくとも実質的に補償できる。埋込み損失とは、ライニングの裏側内へセグメントが入り込むことによって生じる損失である。有利には、ライニング間に設けられる弾発部の予圧は0.3〜0.8mm、有利には0.5mm程度である。両ライニング7間の軸方向弾発距離を相応に制限することにより、かつまたライニング間の有効ばねのセグメントの予圧を一定にすることにより、更に少なくとも、クラッチ1のリリース時に、加圧板3が、所定距離43にわたりライニング間のばねセグメントにより押戻されるようにすることができる。所定距離43を維持するためには、ライニング間の軸方向距離を相応のストッパによりライニングばねセグメント10の除圧方向、加圧方向いずれの方向へも制限することができる。ライニングばねセグメントとしては、本発明と組合せるのが有利な、たとえば特許出願P4206880.0により公知のばねを用いることができる。前記出願は本発明の客体として受入れられている。
【0201】
図10において、特性線49は、プレッシャプレートをポイント41からポイント44(図8参照)に移動させる目的で、ダイヤフラムばねの範囲4cに作用する遮断部材によってクラッチを遮断するために必要となる所要遮断力を示している。特性線49はさらに、範囲4cにおけるダイヤフラムばねの舌片先端部の移動距離をも示している。
【0202】
摩擦クラッチ1の最適な機能若しくはライニング摩耗の自動的な補償を保証する後調整装置の最適な機能を確保するためには、図10に示した実際に生じる遮断力特性線49で見て、まずライニングばね装置10とセンサばね13とによってダイヤフラムばね4に加えられて、加算されていく力が、ダイヤフラムばね4によって支持部11に加えられる力よりも大きく形成されると有利である。摩擦ライニング7からのプレッシャプレート3の持ち上がり後でも、センサばね13によってダイヤフラムばね4に加えられる力は、ダイヤフラムばね舌片先端部の範囲4cに作用する、図10に示したようにクラッチ遮断距離にわたって必要となる変化するクラッチ遮断力(特性線49)よりも大きいか、又は少なくとも前記クラッチ遮断力に等しい大きさであることが望ましい。さらに、この場合にセンサ皿ばね13によって支持部11に加えられる力は、少なくともほぼ、皿ばねの組込み位置に対応する前記特性線40の降下区分のポイント41が超えられていない限り、ばね26のばね力を受けているリング17の回動が阻止され、ひいては皿ばねの軸方向ずれが阻止されるように設定されていることが望ましい。
【0203】
これまでは、ダイヤフラムばね4の完全に規定された組込み位置を考慮したものであり、摩擦ライニング7の摩耗に関しては、まだ考慮していなかった。
【0204】
例えば摩擦ライニング7の軸方向摩耗時では、プレッシャプレート3の位置が受圧プレート6の方向にずれてしまい、これによってダイヤフラムばねの円錐度は変化し(舌片先端部4cが、図面で見て右側に移動する)、摩擦クラッチ1の連結状態においてダイヤフラムばねによって加えられる押圧力も、増大方向で変化する。このような変化により、ポイント41はポイント41′の方向に移動させられ、ポイント44はポイント44′の方向に移動させられる。このような変化により、摩擦クラッチ1の遮断時に最初から存在する、操作用のダイヤフラムばね4とセンサばね13との間の旋回支持部11の範囲における力平衡は妨げられる。ライニング摩耗によって生ぜしめられた、プレッシャプレート3のためのダイヤフラムばね押圧力の増大に基づき、クラッチ遮断力の経過も増大の方向でシフトされる。これによって生じた遮断力経過は図10に破線50によって示されている。遮断力経過の増大に基づき、摩擦クラッチ1の遮断過程の間、センサばね13によってダイヤフラムばね4に加えられる軸方向力が克服されるので、センサばね13は旋回支承部5の範囲で、摩擦ライニング7の摩耗量にほぼ相当する軸方向距離だけ従動する。
【0205】
センサばね13のこのような変位段階の間、ダイヤフラムばね4はプレッシャプレート3の負荷範囲3aに支持されているので、ダイヤフラムばね4の円錐度は変化し、ひいてはこのダイヤフラムばねに蓄えられたエネルギ若しくはこのダイヤフラムばねに蓄えられたトルク、つまりダイヤフラムばね4によって旋回支持部11に加えられる力若しくはセンサばね13によってプレッシャプレート3に加えられる力も変化する。このような変化は、図8との関係で認められるようにダイヤフラムばね4によってプレッシャプレート3に加えられる力の減少方向で行なわれる。この変化は、旋回支持部11の範囲でダイヤフラムばね4によってセンサばね13に加えられる軸方向力が、センサばね13によって形成される反力と平衡状態になるまで行なわれる。すなわち、図8に示した線図においてポイント41′,44′が再びポイント41,44の方向の移動する訳である。このような平衡が再び形成された後に、プレッシャプレート3は再び摩擦ライニング7から持ち上がることができる。このような摩耗の後調整段階の間、つまり摩擦クラッチ1の遮断過程においてセンサばね13が従動する間、後調整装置16の後調整部材17はプレロードをかけられたばね26によって旋回させられ、これによって旋回支持部12もライニング摩耗に応じて後移動し、従って再びダイヤフラムばね4の遊びなしの旋回支承部5が保証されている。後調整過程後に、クラッチ遮断力経過は再び図10に示した特性線49に相当する。図10の特性線50,51は、特性線49,50に示した遮断力/移動力経過におけるプレッシャプレート3の軸方向移動距離を表している。
【0206】
図11に示した線図には、クラッチ遮断過程においてケーシング2若しくは皿ばね13に加えられる力の遮断移動距離に対する力経過が示されている。極端値は省略されている。図1に示したクラッチ連結位置から出発して、ケーシング2には、ひいてはプレッシャプレート3にも、まずダイヤフラムばね4の組込みポイント41(図8)に相当する力が作用する。クラッチ遮断過程では、ダイヤフラムばね4によってケーシング2若しくは旋回支持部12に加えられた軸方向力が、図11の特性線52に示したようにポイント53にまで減少する。ダイヤフラムばねが軸方向でケーシングにしっかりと旋回可能に支承されているような汎用のクラッチ、つまり旋回支持部11が軸方向で従動不能にケーシング2に結合されているようなクラッチでは、遮断方向でポイント53が超えられると、旋回支承部5の半径方向高さでダイヤフラムばね4によってケーシング2に作用する力作用の軸方向方向転換が行なわれてしまう。本発明によるクラッチでは、旋回支承部5の範囲において、ダイヤフラムばね4によって旋回支承部5の範囲に形成される力の軸方向方向転換がセンサばね13によって検知される。ポイント54に到達すると、ダイヤフラムばね4はプレッシャプレート3の負荷範囲から持ち上げられる。少なくともこのポイント54までは、摩擦クラッチ1の遮断過程が、ライニングばね装置10によって加えられる軸方向力により補助される。なぜならば、前記ライニングばね装置がダイヤフラムばね力に抗して作用するからである。ライニングばね装置10によって加えられる力は、舌片先端部の範囲4cにおける遮断移動距離が増大するにつれて、つまりプレッシャプレート3の軸方向遮断行程が増大するにつれて減少する。従って、特性線52とは、遮断過程にわたって認められる、舌片先端部範囲4cに作用する遮断力と、半径方向の範囲3aでライニングばね装置10によってダイヤフラムばね4に加えられる軸方向力との合成力を表している。遮断方向におけるポイント54が超えられると、ダイヤフラムばね4によって旋回支持部11に加えられる軸方向力はセンサ皿ばね13によって加えられる反力によって受け止められ、この場合、これら2つの力は、少なくともプレッシャプレート3による摩擦ライニング7の負荷消滅後に平衡状態となり、遮断過程が継続されると、センサばね13によって旋回支持部5の範囲に加えられる軸方向力は、形成される遮断力よりも少しだけ大きく形成されると有利である。図11に示した線図の特性線52の部分範囲55が示しているように、遮断移動距離が増大するにつれて、遮断力若しくはダイヤフラムばね4によって旋回支持部11に加えられる力は、ポイント54で生じる遮断力に比べて小さくなっていく。破線で示した特性線56は、摩擦ライニング7の範囲で摩耗が生じているが、しかし旋回支承部5の範囲でまだ後調整が行なわれていないような摩擦クラッチ1の状態に相当している。この場合でも、摩耗によって生ぜしめられる前記ダイヤフラムばね4の組込み位置変化が、ケーシング2と、旋回支持部11若しくはセンサばね13とに加えられる力を増大させることが判る。これによって、特にポイント54がポイント54′の方向に移動する結果となり、これにより、摩擦クラッチ1の新たな遮断過程において、旋回支持部11の範囲でダイヤフラムばね4によってセンサばね13に加えられる軸方向力は、センサばね13の反力よりも大きくなる。従って、既に説明した後調整過程がセンサばね13の軸方向変位によって行なわれる。ばね26によって生ぜしめられる後調整過程、つまりリング17の旋回と支持部12の軸方向変位とに基づき、ポイント54′は再びポイント54の方向にシフトされ、これによって、ダイヤフラムばね4とセンサばね13との間の旋回支持部5の範囲における平衡状態が再び形成されている。
【0207】
前記後調整は実際には連続的に、若しくは極めて小さなステップで行なわれるので、本発明を判り易く説明する目的で線図に示した大きなポイントシフトや特性線シフトは通常では生じない。
【0208】
摩擦クラッチ1の運転時間全体にわたって、幾つかの機能パラメータ若しくは運転パラメータは変化する場合がある。すなわち、例えば摩擦クラッチ1の不適切な操作によってライニングばね装置10の過熱が行なわれ、その結果、硬化、つまりライニングばね装置若しくはライニングセグメント10のばね弾性の低下が生じてしまう。しかし、ダイヤフラムばね4の特性線40の適宜な設定と、センサばね13の特性線47の適宜な調整とによって、摩擦クラッチの運転確実な機能を保証することができる。ライニングばね10の軸方向硬化が生じても、ダイヤフラムばね4が、図1に示した位置よりも押圧された位置を取るだけである。この場合、図8に示した特性線40との関係で認められるように、ダイヤフラムばね4によってプレッシャプレートに加えられる力は僅かに小さくなるだけである。さらに、センサばね13の対応する軸方向変形、ひいては旋回支持部11の対応する軸方向変位が行なわれる。
【0209】
本発明の別の思想によれば、摩擦ライニング7の摩耗が増大するにつれて、操作ダイヤフラムばね4に作用する合成支持力が増大するようになっている。この増大は摩擦ライニング7の、許容される最大合計摩耗距離の部分範囲に限定されていてよい。ダイヤフラムばね4のための支持力の増大は、センサばね13の適宜な設定によって行なうことができる。図9には、範囲48の上方で、破線で示した対応する特性線47aが示されている。摩耗が増大するにつれて操作用のダイヤフラムばね4のための支持力が増大することに基づき、例えばライニング内へのセグメントの埋込によるライニングばね力の減少によって生ぜしめられる、プレッシャプレート3に対するダイヤフラムばね4の押圧力低下を少なくとも部分的に補償することができる。この場合、ダイヤフラムばね4のための支持力が、ライニングばね装置の硬化に対して比例して、若しくはライニングへのセグメント埋込量に対して比例して増大すると、特に有利になり得る。すなわち、ライニングの範囲における板厚さの減少と共に、つまりセグメント埋込及び/又はライニングばね装置の硬化及び/又はライニング摩耗に基づくライニングの摩擦面の間の間隔の減少と共に、前記支持力が増大すると望ましい訳である。この場合、第1の部分範囲における支持力増大が、第1の部分範囲に続く第1の部分範囲における支持力増大よりも大きくなるように支持力増大が行なわれると特に有利である。この場合、前記両部分範囲は図9の範囲48内に位置している。このような支持力増大の設定は有利である。なぜならば、ばねセグメントとライニングとの間の前記埋込みの大部分が、主として摩擦クラッチの全寿命に比べて短い時間内でしか行なわれず、その後にばねセグメントと摩擦ライニングとの間の状態が実際に安定化するからである。すなわち、規定された埋込量が超えられると、埋込に関してもはや著しい変化は行なわれない訳である。ダイヤフラムばねのための支持力の増大は、摩擦ライニングの摩耗の少なくとも1部分にわたって行なうこともできる。
【0210】
摩擦ライニングの摩耗を補償するための後調整動作の上述の記載では、板ばね9によって場合によってはもたらされる軸方向力が考慮されなかった。プレッシャプレート3が対応する摩擦ライニング7から持ち上げられる方向で、つまりダイヤフラムばね4に向かってプレッシャプレート3が押し付けられる方向で、板ばね9にプレロードがかけられている場合には、解離動作の助成が行われる。これによって、板ばね9によってもたらされる軸方向力に、センサばね13及びダイヤフラムばね4によってもたらされる力と解離力とが重畳される。このことは、理解をより容易にする得るために、図8〜図11に示された線図の記載においては、今まで考慮されなかった。摩擦クラッチ1の解離状態においてダイヤフラムばね4をカバー側の転動支持部12に向かって負荷する全力は、主として板ばね9とセンサばね13と解離力とによってダイヤフラムばね4に加えられる力の総和によって、生ぜしめられる。この場合板ばね9はカバー2とプレッシャプレート3との間において、摩耗の増大に連れて板ばね9によってダイヤフラムばね4に加えられる軸方向力が大きくなるように、取り付けることができる。例えば図9に示されたばね行程48にわたってひいては後調整装置16の摩耗補償にわたって、板ばね9から加えられる軸方向力は、特性線47bによって示された経過を有することができる。図9から分かるように、センサばね13の弾発作用が増大するに連れて、板ばね9からプレッシャプレート3に加えられひいてはダイヤフラムばね4にも作用する戻し力は、増大する。特性線47bによって示された力経過と皿ばね特性線とが加算されることによって、生ぜしめられる力経過は、軸方向でダイヤフラムばね4に作用し、つまりカバーからの旋回支持部12に向かってダイヤフラムばね4を押し付けるように作用する。特性線47aに示された経過を得るために、つまり調節範囲47bの開始にまず初め初期的な力上昇が行われ、この力上昇がほぼ一定の力範囲へと移行するような経過を得るためには、図9の特性線47cに相応した特性線経過を有するように、センサ皿ばねを設計すると有利である。特性線47cによって示された力経過と特性線47bによって示された力経過とが加えられることによって、特性線47aによって示された力経過が生ぜしめられる。つまり板ばね9の相応なプレロードによって、センサばねによってもたらされる支持力もしくは支持力経過は減じられることができる。板ばね9を適当に構成及び配置することによって、同様に、ライニングばねのばね作用の減少及び/又はライニングへのライニングばねセグメントの埋込みを少なくとも部分的に補償することができる。つまりこれによって次のことが保証される。すなわち、ダイヤフラムばね4は実質的に等しい運転ポイントもしくは等しい運転範囲を維持することができ、この結果ダイヤフラムばね4は摩擦クラッチの耐用寿命にわたって、実質的に少なくともほぼ一定の圧着力をプレッシャプレート3に加えることが可能になる。さらに、摩擦クラッチの設計時には、特にセンサばね13及び/又は板ばね9の設計時には、後調整エレメント17に作用する後調整ばね26及び/又は26aによって生ぜしめられかつセンサばね13及び/又は板ばね9に抗して作用する軸方向力が、考慮されねばならない。
【0211】
プレロードをかけられた板ばね9を備えた摩擦クラッチ1を設計する場合にはさらに次のこと、すなわち、板ばね9のプレロードによって、プレッシャプレート3から摩擦ライニング7に加えられる軸方向力に影響が与えられるということを、考慮しなくてはならない。つまり、ダイヤフラムばね4に向かって板ばね9がプレロードをかけられている場合には、ダイヤフラムばね4によってもたらされる圧着力は、板ばね9のプレロードの分だけ減じられる。すなわちこのように構成された摩擦クラッチ1では、ダイヤフラムばね4の圧着力経過と板ばね9の緊張経過との重畳によって生ぜしめられる圧着力経過が、プレッシャプレート3もしくは摩擦ライニング7のために形成される。摩擦クラッチ1の運転範囲に関して考察すると、図8に示された特性線が、摩擦クラッチ1の新規状態におけるダイヤフラムばね4とプレロードをかけられた板ばね9とによって生ぜしめられた力経過を示していると仮定した場合、ライニングの摩耗に起因してプレッシャプレート3と対応プレッシャプレート6との間における間隔が減少するに連れて、減少の方向における力経過のシフトが生ぜしめられることになる。図8には、例えば1.5mmの全体ライニング摩耗に相当する特性線40aが、破線で示されている。摩擦クラッチの耐用寿命にわたって生じる、特性線40aの方向への特性線40のこのシフトによって、摩擦クラッチ1の解離時にダイヤフラムばね4によってセンサばね13に加えられる軸方向力、つまり、摩耗の増大に連れて板ばね9によってダイヤフラムばね4に加えられる対向モーメントに基づく軸方向力は、減少する。この対向モーメントは、ダイヤフラムばね4とプレッシャプレート3との間における負荷直径3aと旋回支承部5との間における半径方向距離に基づいて、生ぜしめられている。
【0212】
摩擦クラッチ1の構成において特に重要なことは、摩擦ライニング摩耗に基づく板ばね9の張力の増大が、同じ摩擦ライニング摩耗に基づき生じてセンサばね13の後調整の必要な旋回を生ぜしめる解離力増大よりも小さいことである。そうでない場合には、摩擦ライニング7のためのセンサばね13の圧着力が摩擦クラッチの接続状態で低下させられ、後調整が全く行われないことになる。
【0213】
図12及び図13に示された摩擦クラッチ101が、図1及び図2に示された摩擦クラッチ1に対して主として異なっている点は、後調整リング117がコイルばね126によって周方向に負荷されていることにある。摩擦ライニングの摩耗補償に関するその機能及び作用形式に関しては、後調整リング117は図2〜図4に示された後調整リング17に相当している。図示の実施例では3つのコイルばね126が設けられており、これらのコイルばねは、周方向にわたって均一に分配されていて、クラッチケーシング2と後調整リング117との間においてプレロードをかけられている。
【0214】
特に図14から分かるように、後調整リング117は内周部に半径方向の突出部もしくは段部127を有しており、これらの段部127には、円弧状に配置されたコイルばね126がその一方の端部で、周方向で後調整リング117を負荷するために支持されている。コイルばね126の他方の端部範囲は、クラッチケーシング2によって保持されたストッパ128に支持されている。図示の実施例ではこれらのストッパ128は、ねじに似た結合エレメントによって形成されており、これらの結合エレメントはカバー2と結合されている。しかしながらまたこれらのストッパ128は、クラッチケーシング2と一体に構成されている軸方向の一体成形部によって形成されていてもよい。例えばストッパ128は、カバー2から軸方向に突出形成されたエンボス加工部又は舌状片によって形成することが可能である。特に図13及び図14から分かるように、リング117は内周部において次のように構成することが可能である。すなわち、少なくとも実質的にばね126の延びの範囲において、有利にはまた摩耗の後調整のために必要なリング117の回動角にわたって、つまりコイルばね126の弛緩行程にわたって、ガイド129が設けられており、このガイドはコイルばね126の軸方向における保持と半径方向における支持とを保証している。ばねガイド129は図示の実施例では、横断面で見て、実質的に半円状に構成された凹設部によって形成されており、その制限面は実質的に、コイルばね126の横断面に適合されている。
【0215】
このような構成には、摩擦クラッチの回転時にコイルばね126の申し分のない案内が与えられており、これによってコイルばねの軸方向における逸脱を回避できるという利点がある。図13に示されているようにコイルばね126の付加的な確保のために、カバー2はその半径方向内側の縁部範囲に、軸方向における一体成形部130を有しており、これらの一体成形部は軸方向においてばね126にオーバラップしている。個々の一体成形部130の代わりにカバー2が、周方向において連続している軸方向の内縁部130を有していてもよい。内縁部130はダイヤフラムばね4の弛緩を制限するために働くことができる。
【0216】
図12〜図14に示された後調整ばね126の案内には次のような利点がある。すなわちこの場合、摩擦クラッチ1の回転時に、ばね126の個々の巻条が遠心力作用下において後調整リング117に半径方向で支持されることができ、しかもこの場合ばね126によって周方向にもたらされる移動力は、ばね巻条と後調整リング117との間において生ぜしめられる摩擦抵抗に基づいて、減じられるか又は完全に消滅させられる。ばね126はつまり摩擦クラッチ101の回転時に(ばね作用を抑圧する摩擦力に基づいて)実質的に剛性的な特性を有することになる。これによって、少なくとも内燃機関のアイドリング回転数を上回る回転数においては、後調整リング117がばね126によって回動させられることを確実に回避することができる。これによって、摩擦ライニング摩耗の補償は、アイドリング回転数もしくは少なくともほぼアイドリングにおける摩擦クラッチ101の操作時にのみ行われるようになる。しかしながらまた後調整リング117のロックは、内燃機関の停止状態においてのみ、つまり摩擦クラッチ101が回転していない状態においてのみ、ライニング摩耗に基づく後調整が行われるようにすることも可能である。
【0217】
摩擦クラッチ1の回転時におけるもしくは規定の回転数超過時における後調整動作のロックは、図1及び図2に示された実施例においても利点と見做すことができる。このために例えばカバー2に次のような手段、すなわち、後調整エレメント17における遠心力作用下で回動防止を生ぜしめる手段、つまり、足付きばね26及び/又は26aによって生ぜしめられる移動力に抗して回動防止を生ぜしめる手段を設けることも可能である。この場合ロック手段は、遠心力作用下で半径方向外側に向かって移動可能な少なくとも1つのおもりによって、形成されることができ、このおもりは例えば、リング17の内縁部に支持されており、そこで、調節ばねからリング17に加えられる回動モーメントよりも大きな保持モーメントをリング17において惹起する摩擦を生ぜしめることができる。
【0218】
ばね126の延びの少なくとも部分範囲を半径方向において支持するために、カバー2によって保持された支持手段が設けられていてもよい。この場合支持手段は、図12及び図13に示された実施例では、ストッパ128と一体に構成することができる。このためにストッパ128はL字形に構成されていてもよく、この結果ストッパは、各1つの周方向に延びている範囲を有しており、この範囲は、ばね126の延びの少なくとも1区分にわたってばね126内に突入している。これによって、ばね巻条の少なくとも1部分を案内し、かつ少なくとも半径方向において支持することが可能になる。
【0219】
図13に示されているように、図2において設けられている線材リング11は省かれており、その代わりにセンサばね113の舌片範囲に一体成形部111が設けられている。このために舌片113cはその先端の範囲において、ダイヤフラムばね4に向けられた側において球面状に構成されている。
【0220】
図15〜図17に示されている本発明による摩耗後調整装置の別の実施例では、リング状の後調整リングの代わりに個々の後調整エレメント217が使用されている。これらの後調整エレメントは、カバー202の全周にわたって均一に分配されている。後調整エレメント217は、ボタン形もしくは円板形の構成部材によって形成されており、これらの構成部材は、周方向に延びていて軸方向において上昇している乗り上げテーパ部218を有している。リング状の後調整エレメント217は、中央の切欠きもしくは孔219を有しており、この孔を貫いて、カバーによって保持された軸方向のピン状の付加部215aが延びており、この結果リング状の後調整エレメント217は付加部215aに回転可能に支承されている。カバー202にはエンボス加工部225が設けられており、これらのエンボス加工部は、テーパ部218のための対応乗り上げテーパ部224を形成している。後調整エレメント217とカバー202との間にはばねエレメント226が緊張されており、このばねエレメントは後調整エレメント217を、後調整を生ぜしめる回転方向に負荷している。ばねエレメント226は、図15から分かるように、軸方向の付加部215aの回りを延びており、つまりコイルばね状に構成されていることができる。ばね226の端部範囲には、例えば屈曲部もしくは脚部のような一体成形部が、一方のばね端部をカバー202に支持するため及び他方のばね端部を対応する後調整エレメント217に支持するために、設けられている。ダイヤフラムばね204もしくはセンサばね213が旋回支持部205の範囲において軸方向でずれると、後調整エレメント217は回動せしめられ、テーパ部224へのテーパ部218の乗り上げによってずれが補償される。
【0221】
カバー202におけるセンサばね213の軸方向における支持は、複数の舌状片214を用いて行われ、これらの舌状片は、カバー202の軸方向に延びる範囲から切り出されて成形されていて、半径方向内側に向かってセンサばね213の外側範囲の下に押し込まれている。
【0222】
リング状の後調整エレメント217は、該後調整エレメントをその後調整作用に関して著しく遠心力とは無関係に構成することができるという利点を有している。
【0223】
図15に示されている後調整エレメント217の代わりに、個別のくさび状の後調整エレメントを使用することも可能であり、これらの後調整エレメントは半径方向及び/又は周方向において摩耗後調整のためにずれることが可能である。これらのくさび状の後調整エレメントは縦長の切欠きを有していてもよく、この場合これらの切欠きを通して軸方向の付加部215aは対応する後調整エレメントを案内するために延びることができる。くさび状の後調整エレメントは、該後調整エレメントに作用する遠心力に基づいて後調整作用を発揮することができる。しかしながらまた、くさび状の後調整エレメントを後調整方向に負荷する蓄力部材を設けることも可能である。くさび状の後調整エレメントを申し分なく案内するために、カバー202が一体成形部を有していてもよい。摩擦クラッチの回転軸線に対して垂直に延びている平面に対して、規定された乗り上げ角度をもって延びている後調整エレメントのくさび面は、ケーシング側及び/又はダイヤフラムばねの側に設けることができる。このようなくさび状の個別エレメントを使用すると、該個別エレメントを軽量の材料から製造することができ、ひいては該個別エレメントに作用する遠心力を最小に減じることができるという利点が得られる。
【0224】
後調整テーパ部を形成する構成部分間に存在する1対の材料は有利には、乗り上げテーパ部と対応乗り上げテーパ部との間で後調整を妨げるような固着が、摩擦クラッチの耐用年数に亙って生じることがないように選定されている。このような固着を避けるために、この構成部分の少なくとも一方の、少なくもテーパ部又は対応テーパ部の範囲にコーティングを施すとよい。このようなコーティングを施すことによって、2種類の金属製の構成部分を使用する際における特に腐食を避けることができる。後調整テーパ部を形成する構成部分の間の固着若しくは接着はさらに、互いに支え合うテーパ部及び対応テーパ部を形成する構成部分を、種々異なる膨張係数を有する材料より製造することによって避けることができる。つまりこのような材料より製造することによって、摩擦クラッチの運転中に生じる温度変化に基づいて、後調整テーパ部を形成する互いに接触し合う面が互いに相対運動を行うことができる。これによって、乗り上げテーパ部及び対応乗り上げテーパ部を形成する構成部分が互いに常に可動に維持される。これらの部分は種々異なる膨張によって互いに常に離れるか又は解除されるようになっているので、これらの部分の間で固着若しくは接着が生じることはない。これらの部分が種々異なる強度及び/又は形状を有していることに基づいてこれらの部分に作用する遠心力が種々異なる膨張若しくは運動を引き起こし、それによってこれらの部分の固着若しくは接着が避けられるようになっていることによっても、後調整テーパ部の解除が得られる。
【0225】
乗り上げテーパ部と対応乗り上げテーパ部との間の固着を避けるために、摩擦クラッチの解除時若しくは摩耗後調整時において軸方向力が1つ又は複数の後調整部材に働くようにする、少なくとも1つの手段を講じてもよい。このために、後調整部材7,17は、摩耗が生じたときに軸方向で重なり合う範囲を有する構成部材に軸方向で連結される。この連結は、特にダイヤフラムばね4及び/又はセンサばね13を有する旋回軸受5の範囲で行われる。
【0226】
図18の線図には、圧着用ダイヤフラムばねによってもたらされる力が比較的小さい(約450Nm)最低ポイント若しくは谷345を有するばね特性線340が示されている。行程と力との関係を表す行程−ばね力−特性線340を有する皿ばねの最大ポイントは、7600Nmである。特性線340は、図8に示した特性線40に関連して及び皿ばね43に関連して説明されているように、半径方向で互いに間隔を保った支承部の間で皿ばねが変形することによって生ぜしめられる。
【0227】
圧着用ダイヤフラムばね特性線340は、ライニングばね特性線342と組合わされる。図18に示されているように、ライニングばね特性線342の行程−ばね力−特性線は圧着用ダイヤフラムばね特性線340に近似しているか、若しくはこれら2つの特性線は互いに小さい所定間隔を保って延びているので、対応する摩擦クラッチは非常に小さい力で操作することができる。ライニングばねの作用範囲内では、特性線340と342における、鉛直方向上下に存在する2つのポイントの差から理論的な解除力が得られる。実際に必要な解除力は、皿ばねの舌片等の操作部材の対応するてこ比の分だけ減少される。これに関しては同様に、図1及び図2に示した実施例並びに図8〜図11に示した線図に関連して説明されている。
【0228】
図18には破線で別のライニングばね特性線440が示されている。このライニングばね特性線440は、最低ポイント若しくは谷445を有している。この谷445では、皿ばねに加えられた力が負であること、つまり対応するクラッチが接続されるのではなく、解除されるように作用することが示されている。これはつまり、解除段階中にポイント461を越えると、摩擦クラッチが自動的に開放維持されることを意味する。圧着用ダイヤフラムばね特性線440は対応するライニングばね特性線442に対応配置され、最小の解除力を維持するために、特性線440と特性線442とを互いにできるだけ平行となるように設計しなければならない。
【0229】
図19には、対応する摩擦クラッチを解除するために、皿ばね舌片等の操作レバーに加えられる、所属の特性線340及び342若しくは440のための解除行程に亙っての解除力の特性線が示されている。図示されているように、特性線340,342に配属された解除力特性線349は常に正の力範囲内に存在する。これはつまり、クラッチを解除された状態で維持するために、常に解除方向に働く力が必要であることを意味する。特性線440及び442に配属された解除力特性線449は、部分範囲449aを有しており、この部分範囲449a内では、解除力がまず減少し、次いで正から負の力範囲に移行するようになっているので、対応する摩擦クラッチは解除された状態で保持力を必要としない。
【0230】
図20のa並びにb及び図21に示した、摩擦クラッチ501の実施例においては、センサばね513が、バヨネット式の接続部材514を介して軸方向でクラッチカバー502に支えられている。このために、センサばね513は、リング状のベース体513bの外周部から半径方向に延びる舌片513dを有している。この舌片513dは、カバー材料から突き出し成形された舌片形状の半径方向範囲若しくは舌片502aで軸方向で支えられている。舌片502aは、カバーの、ほぼ軸方向に延びる縁部範囲502bから突き出し成形されており、この場合に、まず舌片502aがカバー材料から突き出し成形されていると有利である。舌片502aを少なくとも部分的に切り込むことによって、この舌片502aはその目標位置に容易に変形させることができる。図21に示されているように、舌片502aと突起部若しくは舌片513dとは、センサばね413がクラッチカバー502に対してセンタリングできるように、互いに合わせられている。図示の実施例においては舌片502aはこのために小さい軸方向段部502eを有している。
【0231】
バヨネット式の錠止接続部514を製造する際に、センタリングばね513をクラッチカバー502に対して申し分なく位置決めできるようにするために、有利にはクラッチカバー502の外周部に一様に分割配置された、有利には3つの舌片502aが設けられており、これらの舌片502aは、他方のカバー範囲に関連してセンサばね513とクラッチカバー502とが所定の相対運動を行った後で、対応する突起部513dが、外周部に設けられたストッパ502fに当接し、これによってセンサばね513とクラッチカバー502とがさらに相対運動することは避けられる。このような形式の実施例においては、ストッパ502fは、特に図20のaに示されているようにクラッチカバー502の軸方向段部によって形成されている。図20のaに示されているように、少なくとも1つ有利には3つの舌片502aが、クラッチカバー502とセンサばね513の舌片513dとの間で別の回動制限部502gを形成している。図示の実施例においては同じ舌片502aが、2つの回転方向のための回動制限部502fと502gとを形成している。センサばね513とクラッチカバー502とが錠止解除されるのを避けるストッパ502gは、半径方向に延びる舌片502aの軸方向に延びる折り曲げ縁部によって形成されている。周方向のストッパ502f及び502gによって、クラッチカバー502に対するセンサばね513の周方向で規定された位置決めが行われる。錠止接続部514を製造するために、センサばね513はクラッチカバー502の軸方向で緊締されているので、舌片513dは軸方向で切欠502c及び502d内に侵入し、軸方向でクラッチカバーの支承部としての舌片502a(舌片)上に位置する。次いでクラッチカバー502とセンサばね513とは、幾つかの舌片513dが回動制限部502fに当接するまで、互いに相対回転せしめられる。次いでセンサばね513が部分的に緊張解除されるので、幾つかの舌片513dが周方向で見て、対応するストッパ502fと502gとの間に位置し、すべての舌片513dがカバー側の舌片502a上に位置する。本発明によるバヨネット式の錠止接続部514の構成によって、摩擦クラッチ1を組み立てる際において舌片513dがカバー側の支承部としての502aの隣に当接するように保証される。
【0232】
従来の実施例においては、センサばね513の本来のばね力を加える円形のベース体、例えば513dが、負荷範囲若しくは支持範囲の外側でカバープレートとダイヤフラムばねとの間に設けられている。しかしながら多くの使用例においては、センサばねの円形のベース体がプレッシャプレートとダイヤフラムばねとの間の負荷範囲内で半径方向に設けられていると有利である。これはつまり図1及び図2の実施例において、センサばね13の軸方向の緊締力を加えるベース体13dがダイヤフラムばね4とプレッシャプレート3との間の負荷範囲3aの半径方向内側に設けられているということを意味する。
【0233】
図20及び図21の実施例においてはカバー側の対応乗り上げテーパ部524は、クラッチカバー502に形成されたカム状の打ち出し成形部によって形成されている。さらにまたこの実施例においては、クラッチカバー502と後調整リング517との間に緊締されたコイルばね526は、前記後調整リング517と一体成形された、周方向に延びるガイドロッド528によって案内されるようになっている。このガイドロッド528は、特に図21に示されているように軸方向で、ばね526の内径に合致した細長い横断面を有している。このガイドロッド528は、ばね526の長手方向の少なくも部分範囲に亙って延びていて、このばね526内に突入している。これによってばね526のばね巻条の少なくとも一部がガイドされ、少なくとも半径方向で支えられている。さらにまたばね526が半径方向で折れ曲がったり若しくは突き出ることは避けられるようになっている。このガイドロッド528によって、この摩擦クラッチの組み立て作業は著しく軽減される。
【0234】
図22には後調整リング517が部分的に図示されている。この後調整リング517は半径方向内側に延びる成形部527を有しており、該成形部527に、コイルばね526をガイドするための、周方向に延びるガイドロッド528が形成されている。図示の実施例においてはばねを受容するガイドロッド528は、射出成形によって製造されたプラスチック製の後調整リング517と一体成形されている。しかしながらこのガイドロッド528は、複数の又は1つの構成部分によって構成することもできる。この複数又は1つの構成部分は、例えばスナップ錠止装置を介して後調整リング517に接続される。従ってすべてのガイドロッド528は、場合によっては周方向で開放するリングによって形成されており、このリングは、有利にはスナップ錠止部として構成された少なくとも3つの接続箇所を介して後調整リング517に連結されている。
【0235】
図12及び図13に関連した説明と同様に、コイルばね526はさらに付加的に、例えば遠心力作用に基づいて、クラッチカバー502及び/又は後調整リング517の対応して構成された範囲に半径方向で支えられ得る。
【0236】
コイルばね526のためのカバー側の支承部は、カバー材料より成形され軸方向に延びるウイング部によって又は軸方向の壁部によって形成された打ち出し成形部としての支承範囲526aによって形成されている。ばね526のための、この支承範囲は有利には、ばねの対応する両端部がガイドされ、これによって軸方向及び/又は半径方向で許容されない程度にずれないように確保されている。
【0237】
図23に示されたクラッチ601の実施例においては、センサばね613が、プレッシャプレート603とは反対側に向けられた、ケーシング602の側に設けられている。センサばね613を、プレッシャプレート603を受容するケーシング内室の外側に配置したことによって、センサばね613の熱負荷が減少さ、これによってこのばね613が熱の過負荷に基づいて固着することは避けられる。ケーシング602の外側においてもばね613は良好に冷却される。
【0238】
ダイヤフラムばね604の、カバーとは反対側に設けられた旋回支点611での支承は、スペーサリベット615によって行われるようになっている。このスペーサリベット615は、ばね604及びケーシング602の対応する切欠を通って軸方向に延びていて、センサばね613に軸方向で接続されている。図示の実施例では、スペーサリベット615はセンサばね613にリベット止めされている。スペーサリベット615の代わりに、旋回支点611とセンサばね613との間の接続を形成するその他の手段も使用することができる。従って例えばセンサばね613は半径方向内側範囲で、軸方向に延びる複数の舌片を有していてもよい。これらの舌片は、相応の半径方向範囲で旋回支点611を支えるか、又は相応の成形部によってこれらの旋回支点611を直接形成するようになっている。センサばねに固定された部材615の代わりに、別の部材例えばセンサに旋回可能に接続された部材を使用してもよい。
【0239】
図24の実施例においてはセンサばね713が半径方向で操作ダイヤフラムばね704のための旋回支承部715の内側を延びている。センサばね713は半径方向内側の範囲でカバー702に支えられており、このためにカバー702が軸線方向にダイヤフラムばね704の適当なスリット若しくは切欠きを通って延びる舌片715を有しており、該舌片がセンサ皿ばね713を軸線方向で支えている。
【0240】
別の実施例に基づき、センサばね713が半径方向内側の範囲に舌片を有していてよく、この舌片が軸線の方向でダイヤフラムばね704の適当な切欠きを軸線方向に貫通して、カバー側で支えられている。
【0241】
図25に示した後調整リング817は、図20及び図21に示す摩擦クラッチに使用される。後調整リン817は半径方向内側の成形部827を有しており、該成形部は半径方向に延びている。成形部は半径方向の付加部827aを有しており、該付加部が周方向でクラッチカバーと後調整リン817との間に緊定されたコイルばね826のための支持範囲を形成している。コイルばね826の案内のため及び取り付けを容易にするために、リング828を設けてあり、該リングは外周を中断若しくは開かれている。リング828は半径方向の成形部827aに結合されている。このために成形部827aが周方向に延びる凹所若しくは溝を有しており、凹所若しくは溝はリング828と協働してスナップ結合部を形成するように構成されている。後調整ばね826のためのカバー側の支持部がクラッチカバーの軸線方向の舌片826aによって形成されている。軸線方向の舌片826aはリング828を受容するための軸線方向の切欠き826bを有している。切欠き826bは、リング828が舌片826aに対して少なくとも摩擦クラッチの摩滅量に相応して軸線方向に移動可能であるように構成されている。このために有利には、リング828を受容するために半径方向の成形部827aに形成された凹所と切欠き826bとが軸線方向で見て逆に構成され、換言すれば、成形部827aの凹所が一方の軸線方向に開いており、切欠き826bが他方の軸線方向に開いている。
【0242】
図26に示した摩擦クラッチ901の実施例においては、操作ダイヤフラムばね904の遮断方向での支持がダイヤフラムばね904の本体部材904aの中央の範囲で行われる。本体部材904aは半径方向外側でプレッシャープレート903に支えられていて、半径方向内側へ旋回支承部905を越えて延びている。このことは、旋回支承部905がダイヤフラムばね904の本体部材904aの内側縁部から、若しくはダイヤフラムばね904の舌片を形成するスリット端部から従来公知のダイヤフラムばねクラッチと比べて比較的遠くに離れていることを意味している。図示の実施例では、旋回支承部905の半径方向内側の本体部材区分と旋回支承部905の半径方向外側の本体部材区分との半径方向の幅比は、1:2である。この幅比は有利には1:6と1:2との間にある。操作ダイヤフラムばね904のこのような支持によって、旋回支承部905の範囲でのダイヤフラムばね本体部材904aの損傷若しくは過負荷が避けられる。
【0243】
図26にはさらに破線で軸線方向の成形部903aを示してあり、この成形部はプレッシャープレート903に設けられている。プレッシャープレート903、特に支持突起903bの範囲に設けられている成形部903aを介して操作ダイヤフラムばね904が摩擦クラッチ901に対してセンタリングされる。すなわち、操作ダイヤフラムばね904が外径センタリングを介して半径方向でカバー902に対して保持され、その結果図26に示してあるセンタリングリベット若しくはピン915が省略できる。図示してないものの、外径センタリングはカバー902の材料から形成された舌片若しくは圧刻によっても行われる。
【0244】
摩擦クラッチ901においてはセンサばね913は、力を生ぜしめる本体部材913aが半径方向で突起903bの内側に設けられるように構成されている。センサばね913は、一方では操作ダイヤフラムばね904を支えるため、かつ他方ではカバー902に支えられるように、半径方向のブラケット若しくは舌片を有しており、ブラケット若しくは舌片は一方では本体部材913aから半径方向内側へ延び、他方では本体部材913aから半径方向外側へ延びている。
【0245】
図27に示す摩擦クラッチ1001の実施例においては、摩擦クラッチの解離力若しくは操作ダイヤフラムばねの返り力と逆向きに作用する力が、センサばね1013によって生ぜしめられるようになっており、該センサばねはケーシング1002とプレッシャープレート1003との間に軸線方向で緊定されている。この実施例においては、操作ダイヤフラムばね1004の旋回範囲若しくは傾倒範囲1005は解離方向では旋回支承部によって支えられるようになっていない。カバー側の旋回支持部若しくは支え支持部に対するダイヤフラムばね1004の接触が、センサばね1013のプレロードによって保証されている。センサばねは、摩擦クラッチ1001の解離過程中にセンサばね1013によってダイヤフラムばね1004に生ぜしめられる軸線方向力が摩擦クラッチ1001の必要な解離力よりも大きくなるように構成されている。摩擦ライニングに摩滅が生じない場合には、ダイヤフラムばね1004を常にカバー側の支え部若しくは旋回支持部1012に接触したままにすることが保証されねばならない。このために、これまでの実施例に関連して述べたものと類似の形式で、軸線方向に作用しかつ重畳せしめられる個々の力間の同調が行われねばならない。センサばね1013によって、場合によってはプレッシャプレート1003とケーシング1002との間に設けられた板ばねによるライニング負荷によって、操作ダイヤフラムばね1004によって、摩擦クラッチ1001のための解離力によって、及び後調整リング1017に作用する後調整ばね部材によって生ぜしめられるこれらの力は、相応に互いに同調されねばならない。
【0246】
図28に示す摩擦クラッチ1101においては、センサばね1113は半径方向でカバー側のリング状の支持範囲1112の外側で支持されている。図示の実施例では、操作ダイヤフラムばね1104とセンサばね1113との間の相互の支持が、半径方向でプレッシャプレート1103に対する操作ダイヤフラムばね1104の支持直径1103aの外側で行われている。カバー1102に対する支持のために、センサばね1113は半径方向外側に向いたアーム1113bの形の成形部を有しており、このような成形部は、図20及び図21に関連して述べたものと類似の形式でバイヨネット式係止部1514を介して軸線方向でカバー1102に支えられて、回動防止されている。センサばね1113の取り付けのために、カバー1102が相応の軸線方向の切欠き1502bを有しており、この切欠き内にセンサばね1113の半径方向外側の支持アームがバイヨネット式係止部1514を形成するために軸線方向に差し込まれる。カバー側の旋回支持部若しくは支え支持部材1112に対するダイヤフラムばね1104の接触がセンサばね1113の初ばね力によって保証される。
【0247】
図27に関連してクラッチの機能を詳細に説明する。この場合、センサばねの力は、後調整点での解離力に相応するように構成されている。ライニング摩滅(若しくは別の箇所での摩滅)の生じた、ひいてはダイヤフラムばね円錐角度の変化させられた、及びこれによるダイヤフラムばね力の上昇の後に解離が行われると、ダイヤフラムばねがまず支持部材1012を中心として後調整点の近くまで旋回する。この後調整点では解離力がライニングばねを含めたセンサ力−残余力−に等しくなるので、ダイヤフラムばねが引き続く解離に際してプレッシャープレートの支持部を中心として旋回せしめられて、解離力とセンサ力との間の力バランスが再び生ぜしめられるようになる。この場合、ダイヤフラムばねがカバー側の支持部から離れ、該支持部を後調整のために解放する。引き続く解離行程にわたって解離力はさらに低下し、センサ力が上回って、プレッシャープレートを介してダイヤフラムばねをカバー側の支持部材1012に向けて押し、該支持部材を中心としてダイヤフラムばねの引き続く旋回が行われる。カバー側の支持部からプレッシャープレート側の支持部へのダイヤフラムばねの移行に際して、ダイヤフラムばねは2腕としての機能を変える傾向にある。ダイヤフラムばねは一時的に、今生じている解離力でプレッシャープレートに支えられ、これによって一時的にカバー側の支持部から離れる。引き続く解離行程の後に、これに関連した力減少に基づきセンサばねの力が上回って、ダイヤフラムばねを再びカバー側の支持部に向けて押し、これによって後調整装置がロックされ、後調整過程が終了される。ダイヤフラムばねは引き続く解離過程のためにではなく、2腕レバーとして機能する。ダイヤフラムばねは、間接的に若しくは直接にダイヤフラムばねに作用するすべてのばね力を考慮して設計されねばならない。これには特に、操作ダイヤフラムばね及び適当な補償装置若しくは後調整装置の、カバーに対して変位可能な構成部分によって生ぜしめられる力がある。
【0248】
図28に示す実施例はさらに利点を有しており、摩擦クラッチの連結された状態ではダイヤフラムばね1104は実質的に2腕レバーとして緊定され、若しくは作用し、すなわちカバー側の支持部材1112とプレッシャープレート側の支持部1103aとの間に緊定されていおり、しかしながら摩擦クラッチ1101の解離の際にダイヤフラムばねが実質的にもっぱらセンサばね1113に支えられて、支持範囲1113aを中心として旋回させられ、支持範囲1113aの同時的な軸線方向の移動を伴い、その結果、実質的に単腕レバーとして機能する。
【0249】
図28のセンサばね1113は、別の図面のセンサ皿ばねと同じように適当な構成若しくは適合に基づき操作ダイヤフラムばね1104の任意の直径で支えられる。従って、ダイヤフラムばね1104に対するセンサばね1113の支持はカバー側の旋回範囲1105とプレッシャープレート側の支持直径1103aとの間の直径でも行われ得る。さらに、ダイヤフラムばね1104に対するセンサばね1113の支持は、半径方向でカバー側の支持直径の内側でも行われ得る。この場合、センサばね1113によって生ぜしめられる軸線方向の支持力は、ダイヤフラムばね1104に対するセンサばね1113の支持直径1113aが小さくなる程に大きくなる傾向にある。さらに、センサばね1113の実質的にコンスタントな力を有するばね範囲は、ダイヤフラムばね1104とセンサばね1113との間の支持直径1113aがダイヤフラムばね1104のカバー側の支持直径1105から離れる程に大きくされねばならない。
【0250】
図29の実施例の後調整装置1216は、これまでの図面に基づき、特に図1から図14に関連して述べたものと類似の形式で作用する。操作ダイヤフラムばね1204はリング状の2つの支持部材1211,1212間に旋回可能に支承されている。プレッシャープレート1203に隣接する支持部材1211は、センサばね1213によって負荷される。摩擦クラッチ1201の後調整装置1216は、摩擦クラッチの耐用年数にわたって後調整リング1217のテーパ部がカバー側に存在する対向テーパ部に付着したままにならないように保証している。この実施例においては、対向テーパ部は図2に関連して述べたものと類似してカバーに対して回動不能な支持リング1225に設けられている。テーパ部と対向テーパ部との間の付着は、所望の摩滅後調整をもはや生ぜしめないことになる。
【0251】
装置1261は引き剥がし機構を形成しており、この引き剥がし機構は摩擦クラッチ1201の解離に際し、かつ摩擦ライニングの摩滅に際して軸線方向力を後調整リングに生ぜしめ、これによって、テーパ部と対向テーパ部との間の場合によって生じていた付着結合が解かれる。引き剥がし機構1261は軸線方向に弾性的な部材1262を有しており、この部材は図示の実施例では軸線方向にダイヤフラムばね1204に結合されている。部材1262はダイヤフラムばね的に若しくは皿ばね的に弾性変形可能なリング状の本体部分1262aを有しており、該本体部分はダイヤフラムばね1204に結合されている。リング状の本体部分1262aの半径方向内側の縁部範囲から延びるように、周囲に分配して舌片部1263を形成してあり、該舌片部はダイヤフラムばね1204の軸線方向の切欠きを貫通して延びている。舌片部1263は自由端部範囲にストッパ輪郭として折り曲げ部1264を有しおり、この折り曲げ部は後調整リング1217の対向ストッパ輪郭1265と協働する。対向ストッパ輪郭1265は、後調整リング1217内に半径方向に形成された切欠き若しくは環状の溝によって構成されている。摩擦クラッチの連結された状態でのストッパ輪郭1264と対向ストッパ輪郭1265との間の間隔は、クラッチ解離行程の少なくとも大部分にわたってストッパ輪郭1264と対向ストッパ輪郭1265との間に接触を生ぜしめないように規定されている。有利にはストッパ輪郭1264は摩擦クラッチを完全に解離した場合に始めて対向ストッパ輪郭1265に接触するようになっており、これによって部材1262が後調整リング1217とダイヤフラムばね1204との間に弾性的に緊張される。その結果、ライニング摩滅に基づき旋回支持部の軸線方向の移動が生じ、後調整リング1217が強制的にカバー側の乗り上げテーパ部から持ち上げられる。さらに、引き剥がし機構1261は例えば解離機構の誤差を伴う基準調整に基づく大きすぎる解離距離において後調整リング1217の後調整を行わないようにするものである。このことは、ダイヤフラムばね1204の解離方向での大きすぎる旋回角において弾性的な部材1262によって後調整リング1217をダイヤフラムばね1204に対して緊定することによって行われ、その結果、後調整リング1217がダイヤフラムばね1204に対して回動確保される。すなわち、図8の点46が解離方向で越えられる際に後調整リング1217がダイヤフラムばね1204に対して回動不能に保持されねばならず、それというのは点46の越えられる際にセンサばね1213の保持力が克服され、これによって、クラッチプレートにおける摩滅の生じていない場合にも後調整が行われてしまうことになるからである。このことは伝達点を変える、すなわちダイヤフラムばね1204の組み込み位置をそれも圧着力の小さくなる方向で変えることになる。このことは図8で伝達点41が特性曲線40に沿って符号45で示す最小値の方向に移動することを意味している。
【0252】
図30から図32に示す実施例の摩擦クラッチにおいては、個々のコイルばね1326が舌片部1328に受容されており、舌片部はクラッチカバー1302と一体に構成されている。舌片部1328はクラッチカバー1302の薄板材料から例えば打ち出されたU字形の打ち出し部1302aによって成形されている。舌片部1328は周方向で見て円弧状に若しくは接線方向にかつ有利には少なくともほぼ、隣接するカバー部分と同じ軸線方向の高さを延びている。図32から明らかなように、この実施例では舌片部1328がカバーの平面1302bに対してほぼ半分の厚さだけずらされている。舌片部1328の幅は、該舌片部上に設けられたコイルばね1326が半径方向でも軸線方向でも案内されるように規定されている。
【0253】
ばね1326により後調整方向で負荷される後調整リング317はその内周面に、半径方向内向きの一体成形部もしくはアーム1327を備えており、このアームはカバー1302とダイヤフラムばね1304との間に延びている。アーム1327は半径方向内側に、軸方向に向いたフォークもしくはU字形の一体成形部1327aを有しており、このフォークの軸方向で延びる両方のまた1327bはばね案内片1328を両側から掴んでいる。このことのために、両方のまた1327bはカバー1302の切欠き1302aを軸方向に貫通して延びている。アーム1327aもしくはそのまた1327bには後調整ばね1326が支持されている。
【0254】
後調整リング1317は同様にその乗上げテーパ部を介して、カバー1302に形成された対向乗上げテーパ部1324に支持されている。この対向乗上げテーパ部1324を形成するカバーのエンボス加工部はクラッチ回転方向で通気孔1324を形成するように構成されている。このような構造により、対応する摩擦クラッチの回転時に強制的に生じる空気循環によって摩擦クラッチが良好に冷却される。これにより特に、プラスチックから成る後調整リング1317が同様に冷却され、これにより、この部材の熱的な負荷が著しく軽減される。
【0255】
本発明のさらに別の実施例によれば、摩擦クラッチのダイヤフラムばねに作用するセンサばねの力は例えばクラッチケーシングとプレッシャープレートとの間に設けた板ばねエレメントによってもたらされ、その場合、この板ばねエレメントはプレッシャープレートとケーシングとを回動不能にかつある程度軸方向に相対移動可能に連結することができる。この種の実施形では特別なセンサばねは不要であり、むしろ例えば図1及び図2に基づく摩擦クラッチ1の板ばねエレメント9が、付加的にセンサばね13の機能をも担うように形成されることができる。これにより、センサばね13ならびに転動リング11を省くことができる。板ばねエレメント9はその場合、摩擦クラッチ1の操作中にかつ摩擦ライニングの摩耗なしにダイヤフラムばね4がカバー側の転動支承部12に当接したままとなるように形成される。しかし、摩擦ライニング7に摩耗が生じると、ダイヤフラムばね4の解離力が増大し、板ばねエレメント9は摩耗に相応するダイヤフラムばね4の後調整を可能にしなければならない。有利には、摩擦クラッチに組込まれた板ばねエレメントは、少なくとも最大限度必要な摩擦クラッチもしくはプレッシャープレートの後調整距離にわたり実際に直線的な力/距離特性曲線を有している。これの意味するところは、板ばねエレメント9が図9に示したような、特性曲線47又は47aに基づく特性曲線範囲48を有するということである。
【0256】
本発明は図示の実施例に限定されず、むしろ各実施例に記載された特徴を組み合わせた実施例も可能である。
【0257】
図33及び図34に示す摩擦クラッチ1601はケーシング1602、該ケーシングに回動不能に結合されているものの軸線方向では制限された範囲で移動可能なプレッシャープレート1603を有している。軸線方向でプレッシャープレート1603とケーシング(カバー)1602との間に圧着ダイヤフラムばね1604を緊定してあり、該圧着ダイヤフラムばねがケーシング1602によって保持されたリング状の旋回支承部1605を中心として旋回可能であって、プレッシャープレート1603をケーシング1602に不動に結合された対応受圧板1606、例えば弾み車の方向に負荷するようになっており、これによって、摩擦クラッチ1608の摩擦ライニング1607がプレッシャープレート1603の摩擦面と対応受圧板1606の摩擦面との間で締め付けられる。
【0258】
プレッシャープレート1603は板ばね1609の形の、周方向若しくは接線方向に向けられた枢着部材を介してケーシング1602に結合されている。図示の実施例では、クラッチディスク1608が所謂ライニングばねセグメント1610を有しており、該ライニングばねセグメントは、両方の摩擦ライニング1607の互いに向かい合う方向での限られた軸方向変位を介して摩擦ライニング1607に作用する軸方向力の漸進的な上昇を可能にすることによって摩擦クラッチの連結時の漸進的なトルク発生を保証する。しかしながら、摩擦ライニング1607を軸線方向で実際に不動に支持ディスクに取り付けるようなクラッチディスクも使用可能である。
【0259】
図示の実施例では圧着皿ばね1604は圧着力をもたらすリング状の基体1604aを有していて、この基体からは半径方向で内向きに延びる操作舌片1604bが延びている。この場合、圧着皿ばね1604は、圧着皿ばねが半径方向で更に外側に位置する範囲で加圧板1603を負荷しかつ半径方向で更に内側に位置する範囲で旋回支承部1605を中心として旋回可能であるように、組み込まれている。
【0260】
旋回支承部1605は2つの旋回支持部材1611,1612を有していて、この旋回支持部材は線材リングによって形成されていてかつ旋回支持部材の間には圧着皿ばねが軸方向で保持もしくは緊定されている。操作・圧着皿ばね1604の回動を防止するためにかつケーシング1602に対して線材リング1611,1612を定心並びに保持するためにリベット部材1615としての保持部材がカバーに固定されていて、この保持部材はそれぞれ軸方向に延びるシャフト1615aによって隣接する皿ばね舌片1604bの間に設けられた切欠きを介して延びている。
【0261】
摩擦クラッチ1601は加圧板1603及び受圧板1606並びに摩擦ライニング1607の摩擦面の軸方向の摩耗を補償する後調整手段を有していて、この後調整手段は圧着皿ばね1604と加圧板1603との間に設けられた摩耗補償装置1616並びに加圧板1603の解離行程を制限する、摩耗センサとして構成された制限部材1617とから構成されている。
【0262】
摩耗センサとして作用する制限部材1617は、加圧板1603の孔1620内に回動不能に受容されるそれぞれ1つのブシュ1618を有している。ブシュ1618はスリット1621を形成していて、このスリットを介して軸方向でセンサ構成部材としての2つの板ばねエレメント1622が延びている。
【0263】
板ばねエレメント1622は互いに支持されていて、この場合、少なくとも1つの板ばねエレメント1622が湾曲しているが、両板ばねエレメント1622が逆向きに湾曲していると有利である。板ばねエレメント1622は規定のプレロードを以ってブシュ内に受容されていてひいては所定の摩擦抵抗に抗してブシュ1618に対して摩擦クラッチ1601の軸方向で移動可能である。
【0264】
板ばねエレメント1622の軸方向長さは、摩擦クラッチ連結状態で板ばねエレメントが軸方向で定置のクラッチ構成部分に対して(図示の実施例ではケーシング1602の外側の縁部範囲1623に対して)、加圧板1603の所定の解離行程に相応する規定された遊び1624を有するように、選ばれている。
【0265】
摩擦クラッチ連結状態では板ばねエレメント1622はケーシング1602とは反対側の端部1622aで受圧板1606に接触し、これによって摩擦ライニング1607が摩耗した場合加圧板1603はライニング摩耗に相応して板ばねエレメント1622に対して、つまり、有利にはプラスチック又は摩擦材料から成るブシュ1618と板ばねエレメント1622との間の摩擦接続作用に抗して、軸方向で変位させられるようになる。
【0266】
図示の実施例では、ブシュ1618がプレス嵌めによって軸方向並びに周方向で固定される孔1620は、加圧板突起1625内に設けられていて、この加圧板突起は半径方向で外向きに延びていてかつ加圧板突起にはリベット結合部材1609aによってそれぞれ1つの板ばね1609が枢着されている。
【0267】
受圧板1606の方向でのブシュ1618の移動は、ブシュがケーシングに面した端部でつば1618aを有していることによって、阻止され、このつばを介してブシュが加圧板1603に支持される。
【0268】
ケーシングもしくはクラッチカバー2の方向で孔1620からのブシュ1618の離反移動は、図33で鎖線で図示されているように、板ばね1609がブシュ1618を部分的に半径方向で覆いかつ必要であれば付加的に不動に軸方向で孔1620内に固定することによって、阻止される。更にブシュの回動は、ブシュが、ブシュを覆う板ばね範囲1619を受容する成形部、特に段部を有していることによって、阻止される。
【0269】
摩耗補償装置1616は圧着板ばね1604によって負荷される、U字形横断面の薄板から成る補償リング1626としての補償構成部材を有している(図37で平面図で図示)。補償構成部材は圧着板ばね1604に面した底部1627の側に少なくとも1つのリング状の軸方向の突起又は複数の突起1628を有していて、この突起は周方向に亘って有利には均一に分配されていてかつ薄板材料内に圧刻された変形部によって形成されている。
【0270】
セグメント状の突起1628によって、周方向で隣接する突起1628の間の範囲で皿ばね基体1604aと補償リング1626との間に、冷却のために空気流通を可能にする半径方向の通路が形成されるようになる。
【0271】
特に図34から明らかなように、補償リング1626は加圧板1603に対して定心されている。このために加圧板1603は少なくとも1つの段部1629を有していて、この段部は補償リング1626の軸方向に延びる半径方向で内側の壁1630を加圧板1603に対して定心して位置決めする。段部1629は周方向に亘って延びる閉じられた面によって形成されるか、又は、周方向に亘って相互間隔をおいて設けられたセグメント状の面によって形成される。
【0272】
更に補償リング1626は軸方向に延びる半径方向で外側の壁1631を有していて、この壁1631は内側の壁1630及び底部1627と共にリング状の自由空間1626aを形成する。
【0273】
半径方向で外側では補償リング1626はストッパを形成する半径方向の張出し部もしくは突16出部32を有していて、このストッパは、摩耗センサ1617の板ばねエレメント1622としての軸方向に移動可能な構成部材の対向ストッパ1633と協働する。
【0274】
対向ストッパ1633は板ばねエレメント1622に一体成形された突起によって形成されていて、この突起は半径方向で内向きに延びかつ張出し部1632を覆っている。これによって加圧板1603から離反する方向での、つまりケーシングの方向での補償リング1626の軸方向移動が対向ストッパ1633によって制限される。
【0275】
補償リング1626と加圧板1603との間には調整機構が設けられていて、この調整機構は摩擦クラッチが解離された場合及びライニング摩耗が生じた場合、補償リング1626の自動的な後調整を可能にし摩擦クラッチが連結された場合、自縛的に、つまりロックするよう、作用し、これによって、摩擦クラッチ1601の連結段階中補償リング1626は加圧板1603に対して規定された軸方向位置を維持する。この規定された位置は解離過程中にのみ及び発生するライニング摩耗に応じて変えることができる。
【0276】
後調整装置1634は多数の、有利には周方向に亘って均一に分配された対のくさび体1635,1636を有していて、このくさび体は補償リング1626のリング状の自由空間1636a内に収容されている。
【0277】
加圧板1603のリング状の面1637に支持されたくさび体1636は補償リング1626に回動不能にしかも軸方向に移動可能に結合されている。このために補償リング1626は軸方向に延びる壁1630,1631の範囲に押し込み変形部としての成形部1638,1639を有していて、この成形部は自由空間1626aの範囲で、くさび体1636の適当に適合された凹所もしくは溝1640,1641内に係合する突起を形成している。
【0278】
溝1640,1641もしくは成形部1638,1639は摩擦クラッチの軸方向に延びている。くさび体1635はほぼ軸方向で補償リング1626の底部1627とくさび体1636との間に収容されている。くさび体1635,1636は周方向で延びる軸方向で上昇する乗上げランプ1642,1643を有していて、この乗上げランプを介して対で配属されたくさび体1635,1636が互いに支持される。
【0279】
くさび体1635は他方では補償リング1626の底部に支持されていてかつこの補償リング1626に対して周方向で移動可能である。乗上げランプは互いに締め付けられる。このためにコイルばねとしての蓄力部材1644が自由空間1626a内に収容されていて、このコイルばねは一端で補償リング1626に回動不能なくさび体1636にかつ他端で周方向に移動可能なくさび体1635に支持されている。
【0280】
コイルばね1644を保持するためにくさび体1635,1636は適当なコイルばねに面した端部に突起1645,1646を有していて、この突起はばね巻条内に係合しひいてはばね端部を保持している。更にコイルばね1644は補償リング1626の底部1627及び壁範囲1630,1631を介して案内される。
【0281】
図示の実施例では補償リング1626は加圧板1603に対して回動を防止されている。このために図36から明らかなように、加圧板1603にはピンとしての軸方向の突起1647が設けられていて、この突起は、張出し部1632の範囲に設けられた切欠き1648を介して軸方向に延びている。この回動防止によって、摩擦クラッチ運転中張出し部1632の当接範囲は常に板ばねエレメント1622の対向ストッパ1633の下側で位置決めされて維持されるようになる。
【0282】
図示の実施例ではくさび体1635,1636は耐熱性のプラスチック、例えば、付加的に繊維で補強される熱可塑性又は熱硬化性のプラスチックから製作される。これによって後調整部材として作用するくさび体1635,1636は簡単な形式で射出成形部材として製作される。
【0283】
しかしながら、対のくさび体の少なくとも1つのくさび体が摩擦材料、例えばライニング材料から製作されると、有利である。しかしながらくさび体もしくは後調整部材1635,1636は薄板成形部材並びに焼結部材としても製作することができる。
【0284】
乗上げランプ1642,1643の上昇角並びに延びは、摩擦クラッチの耐用寿命全体に亘って加圧板1603及び受圧板1606の摩擦面並びに摩擦ライニング1607において生ずる摩耗の後調整を保証するように、設計されている。
【0285】
摩擦クラッチの回転軸線に対して垂直な平面に対する乗上げランプ1642,1643のくさび角1649もしくは上昇角1649は、乗上げランプ1642,1643を互いに締め付けた場合に生ずる摩擦が乗上げランプ間のスリップを阻止するように、選ばれている。乗上げランプ1642,1643の範囲の材料対偶に応じて上昇角1649は5度乃至20度、有利には10度の大きさである。周方向で移動可能なくさび体1635は、くさび先端が回転方向1650を指すように、配置されている。
【0286】
乗上げランプ1642,1643並びに上昇角1649のコイルばね1644による締め付け作用は、補償リング1626に作用する合成の軸方向力が制限部材1617のセンサ構成部材1622の所要の摺動力よりも小さいように、設計されている。
【0287】
更に圧着皿ばねを設計する場合、加圧板1603のために圧着皿ばねによってもたらされる圧着力がセンサ構成部材1622の所要の摺動力だけ及びカバー1602と加圧板1603との間に緊定された板ばねの締付け力だけ高められるよう、考慮されねばならない。
【0288】
更に個々の構成部材は、圧着皿ばね1604と補償リング1626との間の接触摩耗並びにセンサ構成部材1622と受圧板1606との間、もしくはセンサ構成部材1622とケーシング1602との間の接触摩耗がライニング1607における摩耗に対する比において僅かに維持されるように、設計されねばならない。
【0289】
図35では、乗上げランプ1642,1643の間もしくは後調整部材1635,1636の間の不都合な調節を回避するために、少なくとも一方の乗上げランプ1642もしくは1643の範囲に、他方の乗上げランプに掛止される小さな突起を設けることができる。この場合突起は、摩耗補償のための後調整を可能にするが、乗上げランプ相互の相対的なスリップを阻止するように、設計される。特に、両乗上げランプ1642,1643が互いに係合する突起を有していると、有利である。前記突起は例えば、極めて僅かな高さを有する鋸歯状の成形体によって形成でき、この成形体は摩耗後調整用の補償リングの方向でのみ乗上げランプ1642,1643の相対移動を可能にする。このような成形体は図35では乗上げランプ1642,1643の延び方向の部分範囲に亘って概略的に符号1643aで図示されている。乗上げランプ1642,1643の一方のみが突起を有する使用ケースの場合、この突起は、他方の乗上げランプを形成する材料よりも高い硬度を有するように形成されるので、突起は突起を支持する乗上げランプにおいて少なくとも僅かに食込むかもしくは掛止されるようになる。
【0290】
湾曲したもしくは波形の板ばねエレメント1622が連結過程時に加圧板1603において生ずる極めて高い温度に基づいて締め付け力を消滅することを回避するために、ブシュ1618は有利には熱伝導性の僅かな高い摩擦値の材料から製作されている。くさび体1635,1636も同じ材料から製作することができる。
【0291】
摩擦クラッチ、特に加圧板1603を申し分なく冷却するために、加圧板1603内に半径方向に延びる周方向に亘って分配された溝を設けることができる(図34で1つの溝1651を鎖線で図示)。この半径方向の溝1651は、周方向でみて、それぞれ2つの隣接するくさび体対の間に設けられていてかつ補償リング1626と加圧板1603との間で延びている。
【0292】
コイルばね1644の範囲では補償リング1626は底部1627から出発する軸方向の切欠きを有していて、これによって皿ばね1604と補償リング1626との間に半径方向の通路が形成される。
【0293】
種々の接触個所の耐摩耗性を高めるために、適当な範囲に耐摩耗性の層、例えば硬質クロム層、モリブデン層を設けるか又は接触個所範囲に特別な耐摩耗性の構成部材を設けることもできる。従って例えば受圧板1606及びケーシング1602に対する接触範囲で摩耗センサにプラスチックシューを設けることができる。
【0294】
トルクを加圧板1603に伝達する板ばね1609は加圧板1603とケーシング1602との間で、摩擦クラッチ解離状態で加圧板1603をケーシング1602の方向に変位させるように、プレロードをかけている。これによって、事実上解離段階全体に亘ってもしくは制限部材1617が作用するまで補償リング1626は圧着皿ばね1604に接触状態で維持されるようになる。
【0295】
舌片先端1604cの範囲で摩擦クラッチの解離行程は有利には、クラッチ解離状態で圧着皿ばね1604の外縁が僅かな値だけ補償リング1626から持ち上げられるように、選ばれている。つまりこのことは、摩擦クラッチを解離した場合皿ばね行程が圧着皿ばね1604による加圧板負荷の直径範囲で、行程制限部材1622によって規定された加圧板1603の持ち上げ行程1624よりも大きいことを意味している。
【0296】
個々の構成部材の図34で図示の相対位置は摩擦クラッチの新規状態に相応している。特に摩擦ライニング1607が軸方向で摩耗した場合、加圧板1603の位置は受圧板1606の方向に変位し、これによってまず円錐率ひいては摩擦クラッチ連結状態で圧着皿ばねによってもたらされる圧着力が、有利には増大方向で、変化する。この変化によって、受圧板に軸方向で支持されたセンサ構成部材1622に対する加圧板1603の軸方向位置が変化する。
【0297】
補償リング1626に作用する皿ばね力に基づいて補償リング1626はライニング摩耗によって生ぜしめられた加圧板の軸方向変位に追従し、これによって補償リング1626のストッパ1632は、センサ構成部材1622の突起1633としての対向ストッパとして用いられる範囲から、ほぼライニング摩耗に相応する値だけ軸方向に持ち上げられる。
【0298】
補償リング1626は連結過程中加圧板に対してその軸方向位置を維持する。それというのも補償リングは圧着皿ばね1604によって加圧板1603の方向に負荷されかつ摩耗補償装置は連結過程中自己ロック作用を以って、つまり軸方向の遮断部材として作用するからである。
【0299】
摩擦クラッチを解離した場合加圧板1603は板ばね1609によってケーシング1602の方向に負荷されかつセンサ構成部材1622がケーシング1602もしくはケーシングストッパ範囲1623に当接するまで変位する。加圧板1603の持ち上げ行程に相応するこの解離行程まで加圧板1603に対する補償リング1626の軸方向位置が維持される。
【0300】
解離過程を継続した場合加圧板1603は停止するのに対して、補償リング1626は負荷直径範囲で軸方向で皿ばねの解離運動に追従する、つまり、補償リング1626のストッパ1632がセンサ構成部材1622の対向ストッパ1633に再び当接するまで、追従する。補償リング1626の軸方向移動は、コイルばね1644によって負荷されているくさび体1635によって生ぜしめられる。くさび体1635は、補償リング1626がセンサ構成部材1622の対向ストッパ1633に緊定されるまで、くさび体1636に対して周方向で移動する。
【0301】
加圧板1603の持ち上げ行程は図示の実施例では板ばね1609によって保証され、この板ばねは、加圧板1603をケーシング1602の方向に圧迫する軸方向のプレロードを有するように、ケーシング1602と加圧板1603との間に組み込まれている。
【0302】
更に圧着皿ばね1604が解離方向に旋回させられた場合、圧着皿ばねは半径方向で外側の範囲で補償リング1626から持ち上げられる。それというのも、すでに述べたように、補償リング1626はセンサ構成部材1622によって加圧板1603に対して軸方向で抑止されるからである。解離過程中の補償リング1626に対する少なくとも僅かなこのような圧着皿ばね1604の持ち上げは後調整手段の機能にとって特に有利である。
【0303】
本発明による後調整手段1617;1634によって、くさび体1635,1636による補償リング1626における後調整が常にライニング摩耗量に応じて行われるようになる。このことは、補償リング1626がくさび体1635,1636としての後調整部材とセンサ構成部材1622との間で軸方向で締め付けられていることに起因し、これによって、補償リング1626としての補償構成部材が適当なライニング摩耗よりも大きな値だけ後調整されることが阻止される。
【0304】
更に後調整手段の本発明による設計によって、皿ばね舌片1604bのような解離部材の範囲で過剰行程が生じた場合、又加圧板に軸方向振動が生じた場合、後調整手段の調節が行われないことが保証される。それというのも摩耗センサはケーシング1602にハードに当接した場合でも自己ロック作用を有する摩耗補償装置1634によって、つまり対向ストッパを介して加圧板1603に対して軸方向で支持されるからである。
【0305】
つまり摩擦クラッチの解離状態ではセンサ構成部材1622に受圧板1606の方向で軸方向の力が作用し、この力はセンサ構成部材1622と加圧板1603との間の摩擦接続的な結合よりも大きく、この場合、センサ構成部材が加圧板1603に対して軸方向で移動することはない。
【0306】
本発明による後調整手段によって、摩擦クラッチの耐用寿命全体に亘って圧着皿ばねは事実上同じ特性曲線範囲に亘って作業しかつ摩擦クラッチ連結状態で事実上コンスタントに維持された締付け位置を有しひいては事実上不変な圧着力を加圧板1603に作用させる。これによって、有利にはライニング1607がばねセグメント1610を介して互いにばね弾性的に支持されているクラッチディスクと組み合わせて、解離行程に亘って漸進的に減少する特性曲線を有する圧着皿ばねを使用できる。
【0307】
これによって実際に作用させるべき解離力は比較的低いレベルにもたらされかつ、ライニング弾性特性が摩擦クラッチの耐用寿命に亘って著しく変化しない限りにおいて、摩擦クラッチの耐用寿命に亘って事実上コンスタントに維持される。
【0308】
このような摩擦クラッチを解離する場合、圧着皿ばね1604は旋回支承部1605を中心として旋回させられ、この場合、加圧板1603の軸方向解離行程の所定の部分範囲に亘ってばねセグメント1610が弛緩されひいてはばねセグメントによってもたらされる軸方向力は摩擦クラッチの解離行程を補助する。つまりこのことは、摩擦クラッチの連結位置で理論的に圧着皿ばね1604と板ばね1609との組込み位置から生ぜしめられる解離力よりも僅かな最大の解離力がかけられることを意味している。
【0309】
ばねセグメントの弾性範囲もしくは弛緩範囲を越えた場合には、摩擦ライニング1607が解放され、これによって圧着皿ばね1604が作業する漸進的に減少する特性曲線範囲に基づいて、この際まだ作用させねばならない解離力は図34による組み込み点もしくは組み込み位置に相応する解離力に比して著しく減少される。更に解離行程を継続した場合、少なくとも圧着ばね皿1604の有利にはサインカーブ状の特性曲線の最高点もしくは最低点に達するまで、解離力が減少する。
【0310】
図33及び図34で図示の後調整手段は有利には、摩擦クラッチが回転した場合後調整用のコイルばね1644の個々の巻条が補償リング1626の外壁1631に支持されかつコイルばね1644によって周方向でもたらされる調節力がばね巻条と補償リング1626との間で生ずる摩擦抵抗に基づいて減少されるか又は完全に消滅させられるように、設計されている。つまりコイルばね1644は摩擦クラッチが回転した場合、ばね作用を抑制する摩擦力に基づいて事実上剛性的に挙動する。
【0311】
更に後調整用のくさび体1635はくさび体に作用する遠心力に基づいて同様に補償リング1626の壁1631に半径方向で支持されかつくさび体1635と補償リング1626との間で生ずる摩擦力によって回動を阻止される。
【0312】
これによって、少なくとも内撚機関のアイドリング回転数の上側の回転数範囲では、摩耗補償装置1634はコイルばね1644によって回動させられることはない。つまり摩擦クラッチ1601は、ライニング摩耗補償をアイドリング回転数でもしくは少なくともほぼアイドリング回転数で摩擦クラッチが操作された場合にのみ行うように、設計されている。
【0313】
補償リング1626のロックは摩耗補償装置1634を適当に設計することによって、内撚機関が停止した場合にのみ、つまり摩擦クラッチが回転しない場合又は極めて僅かな回転数の場合にのみライニング摩耗の後調整を行なうように、行うこともできる。
【0314】
後調整ランプを構成する構成部材1635,1636の間の材料対偶並びにこの構成部材と協働する構成部材の材料は有利には、摩擦クラッチの運転寿命に亘ってランプとこのランプと協働する構成部材との間で後調整を妨げる付着を生ぜしめないように、選ばれている。このような付着を回避するために、前記構成部材の少なくとも1つは少なくともランプ又は支持面の範囲に被覆層を備えることができる。
【0315】
乗上げランプと対向ランプとの間の付着結合を阻止するために、摩擦クラッチが解離された場合もしくは摩耗後調整の場合ランプの分離もしくは引剥しを行う軸方向力を後調整部材に及ぼす少なくとも1つの手段を設けることができる。
【0316】
摩擦クラッチの新規状態では、つまり摩擦クラッチがクラッチディスクを間挿して受圧板1606に固定される前に摩擦クラッチが有する状態では、くさび体1635は図35で図示の位置に比してくさび体1636に対して一層引き込まれた位置を占めるので、補償リング1626は加圧板1603の方向で最も引き込まれた位置を有しひいては加圧板1603/補償リング1626のユニットは極め僅かな軸方向の構造スペースを必要とする。
【0317】
くさび体1635を摩擦クラッチ組立前に引き込まれた位置で保持するために、くさび体1635は回動もしくは抑制部材用の切欠き1652としての係合範囲を有している。このような抑制部材は摩擦クラッチを製作もしくは組み立てる場合に設けられかつはずみ車1606に摩擦クラッチを取り付けた後で取り除かれ、これによって後調整装置1634が機能を発揮するようになる。
【0318】
図示の実施例では補償リング1626内には周方向に延びる縦長のスリット1653が設けられていて、このスリットを介して抑制部材もしくは回動工具の係合範囲が切欠き1652内に係合させるために貫通案内される。この場合、周方向で設けられた縦長のスリットは少なくとも、回動量が周方向でのくさび体1635の最大の摩耗後調整角に相応する延びを有している。
【0319】
摩擦クラッチの新規状態で周方向でみて引き込まれた位置で保持されたくさび体1635は、この位置で、補償リング1626を引き込み位置で確保するセンサ構成部材1622によって保持される。センサ構成部材1622と加圧板1603との間の自己後調整作用を有する結合部は、加圧板1603に対してセンサ構成部材1622を移動させるために必要な摺動力が、くさび体1635を負荷するコイルばね1644によって生ぜしめられる、補償リング1626に作用する合成の力よりも大きいように、構成されねばならない。
【0320】
図33及び図34の実施例ではランプ1643を直接補償リング1626によって、例えば斜面を圧刻することによって形成でき、この場合、補償リング1626はコイルばね1644によって加圧板1603に対して回動可能でなければならない。このような実施例の場合、くさび体1636は加圧板1603に回動不能にもしくは加圧板に直接一体成形される。
【0321】
更にこのような実施例の場合、摩擦クラッチの耐用寿命に亘ってセンサ構成部材1622と補償リング1626との間の軸方向の制限作用を維持することを保証するために、張出し部1632として構成されたストッパは補償リング1626の所要の後調整回動角に相応して周方向で延長されねばならない。
【0322】
最後に述べた実施例では後調整用の補償リング1626は摩擦クラッチを組み立てた後でも簡単な形式で、特に周方向で延びるストッパとしての張出し部1632を介して半径方向で外側から回動することができ、この張出し部にはクラッチケーシング1602の外周面に設けられた貫通部を介して接近することができる。この半径方向の貫通部は特に加圧板1603のトルク伝達突起1625並びに板ばね1609を収容できる。
【0323】
更に本発明による後調整手段の利点は、後調整手段の原理をいわゆる引張り式摩擦クラッチの場合にも使用できるということにある。この摩擦クラッチにおいては、皿ばねが半径方向で外側の縁部範囲でカバーに旋回可能に支持されかつ半径方向で更に内側に位置する縁部範囲で加圧板を負荷している。このようなクラッチは図38で図示されている。
【0324】
皿ばね1704と加圧板1703との間には、図33及び図34に関連して記載したのと同様に構成された摩耗補償装置1734が設けられている。後調整用の補償リング1726は矢張り摩耗センサ1717を介してセンサ構成部材1722と協働する。加圧板1703に対するセンサ構成部材1722の後調整はケーシング1702もしくはカバーにストッパ範囲1722aが当接することによって行われる。センサ構成部材1722は同様に、解離過程の際に加圧板1603の軸方向行程を制限するストッパ1733を有している。
【0325】
図38による後調整手段の申し分のない機能を可能にするために、補償リング1726はセンサ構成部材1722に対して少なくとも僅かばかり軸方向で運動できる。このことは、センサ構成部材1722と補償リング1726との間に遊びを有する適当な当接結合部1733aが設けられることによって又は補償リング1726が軸方向でばね弾性的に変形可能な、つまり弾性的なフレキシブル性を有する半径方向範囲1726aを有することによって、行われる。
【0326】
図示されてない変化実施例によれば、センサ構成部材1722をカバー1702と協働させる代わりに、有利には少なくとも摩擦クラッチが連結された場合に少なくとも軸方向で皿ばね1704と協働させることもできる。この場合、センサ構成部材1722と皿ばね1704との間の当接が、少なくともほぼケーシング1602の支持直径もしくは皿ばね支持直径の半径方向高さで、行われると有利である。引張り式摩擦クラッチのために、皿ばねにおける摩耗センサの支持直径が加圧板における皿ばねの支持直径よりも大きいと有利である。
【0327】
図39で図示の実施例では摩耗センサ1817は直接加圧板1803の基体内に収容されている。センサ構成部材1822は対向ストッパを成すカバー範囲1823と協働するストッパ範囲1822aを有している。カバー範囲1823は一体に固定部材1802aを備えていて、この固定部材を介して皿ばね1804はカバー1802に旋回可能に支承される。
【0328】
図示の実施例では固定もしくは保持部材1802aは一体にカバー材料から形成された舌片によって形成されていて、この舌片を介して軸方向で皿ばね1804が延びている。皿ばね基体1804aの半径方向範囲に設けられる摩耗センサ1817の半径方向で外側には摩耗補償装置1834が設けられている。
【0329】
図39による実施例ではセンサ構成部材1822はケーシング1802もしくはカバー範囲1823と軸方向で協働する代わりに、有利には少なくとも摩擦クラッチが連結された場合に少なくとも軸方向で皿ばね1804に支持可能である。このために皿ばね1804は軸方向の切欠きを有していて、この切欠きを介してセンサ構成部材が差し込まれるので、ストッパ範囲1822aは摩擦クラッチ連結状態で対向ストッパ範囲1823の代わりに皿ばね1804に軸方向で支持される。
【0330】
摩擦クラッチを解離した場合、ストッパ範囲1822aは皿ばね1804から持ち上げられる。それというのもストッパ範囲1822aは加圧板1803におけるばね皿の支持直径よりも小さな直径上に設けられているからである。このことは、ストッパ範囲1822aが加圧板1803と皿ばね1804との間の支持直径よりも皿ばねの旋回直径に近いことに起因している。
【0331】
本発明による摩擦クラッチの構成により、厚い摩擦ライニングが使用され、したがって軸方向のライニング摩耗体積も大となることによって、クラッチの有効寿命が長くなるのみでなく、特にリリース力の低減が達成される。しかも、これが、クラッチのリリース距離にわたって漸減する力・距離特性線を有する蓄力部材を、加圧板に作用する蓄力部材に抗して作用する少なくとも1個のばね手段と組合せて用いることによって達成されているのである。このばね手段は、クラッチの断続時に、クラッチの伝達可能トルクの漸増ないし漸減を、クラッチ操作距離ないし加圧板変位距離の少なくとも一部分にわたって生ぜしめるものである。このばね手段は、また、有利には、クラッチの押圧ばね、たとえば皿ばねと直列に配置しておく。要するに、摩擦クラッチの本発明による構成により、著しいリリース力低減が達成され、この低減がクラッチの全有効寿命の間、維持されるか、ないしは、比較的狭い公差域内で不変である。更に、本発明による摩擦クラッチの場合、動作域で比較的急勾配の力・距離特性線を有する皿ばねが用いられている。この種の皿ばねは、従来式のクラッチであれば、ライニングの摩耗時にリリース力が極めて著しく増大することになろう。
【0332】
本発明による後調整装置を備えていないクラッチの場合、ライニングの摩耗が進行すると、まず、クラッチの接続状態に応じた点41(図8)が、特性線40に沿って最大値41a方向に移動する。リリース過程の間に、リリース力は、この点41aまで減少するが、全体として、クラッチの新しい状態でのリリース力の推移に比して、リリース力の推移のレベルは増大する。このことは、要するに、区間43が左へ移動して、点41が最大値41aと合致することを意味している。点44は、特性線40に沿って相応に移動する。ライニングの摩耗が更に進と、クラッチの接続状態に相応する、皿ばねの組付け点が最大値41aから徐々に点41bの方向へ移動し、この結果、皿ばねによる押圧力が徐々に減少する。点41bでの皿ばねの押圧力は、点41でクラッチの新しい状態のさいに作用する押圧力に合致する。最大値41aを超えると直ちに、リリース過程では、少なくともクラッチ操作距離の一部分にわたりリリース力が増大する。最大許容摩耗距離ないしは摩耗点41bに達成すると、全リリース距離にわたってリリース力が上昇する。このリリース力の上昇は、図8に示したように、ライニングの弾発性42aが存在する場合にも維持される。
【0333】
摩擦クラッチ及び特にその後調整装置の構成の場合、計算に入れねばならない点は、内燃機関のクランク軸が、はずみ車に軸方向振動やタンブリングを励起する点である。これらの振動は、はずみ車に取付けられたクラッチにも伝達される。クラッチないし後調整装置を申し分なく機能させるためには、言いかえると、そのような振動により後調整が不完全にならないようにするには、図1〜図27の実施例の場合、要するに、力のセンサを有する後調整装置を備えた実施例の場合、一般的に、この力のセンサの後調整力を、力のセンサに作用しうる慣性力より大きくしておかねばならない。この慣性力は、特に操作用の皿ばねの質量、後調整部材の質量、力のセンサの相応の割合の質量、かつまた、場合によりその他の構成部材の質量に、これらの部材の可能な最大の軸方向加速、すなわち、はずみ車の軸方向振動及び曲げ振動とから生じる加速を乗じた値等から結果する力である。かくして、たとえば図27の実施例の場合、センサ皿ばね1013が加圧板1003に支えられており、この形式の場合は、加圧板1003の慣性も計算に入れる必要がある。要するに、常にセンサ皿ばね1013による力が、このばねに作用する力より大きいことが保証されねばならない。この皿ばねに作用する力は、慣性により皿ばねに作用する部材の質量に、最大可能な軸方向加速を乗じた力である。これらの慣性力は、特にクラッチの操作中に、かつまた特にクラッチの外された状態では、不都合な影響を与える。
【0334】
図34〜図39の実施例の場合、摩耗センサと摩耗補償装置の構成のさい、同じように、個々の構成部材の慣性により発生する力と、これらの部材に作用する軸方向振動や回転振動により発生する力とを計算に入れなければならない。
【0335】
要するに、一般的には、摩耗補償手段の組込まれた摩擦クラッチの構成のさいには、軸方向振動又は回転振動が伝達され、かつ補償手段に作用を与える部材の質量を、それぞれ計算に入れる必要がある。図33〜図39の実施形式の場合、特に、斜面機構の機能に影響を与える構成部材を考慮に入れる必要がある。
【0336】
図40には分割されたはずみ車1401が示されている。このはずみ車1401は、図示されていないクランク軸に取付け可能の第1の回転質量、すなわち1次回転質量1402と、第2の回転質量、すなわち2次回転質量1403とを有している。2次回転質量1403にはクラッチ1404がクラッチ板1405を間そうした上で取付けられている。クラッチ板1405を介して、同じく図示されていない変速機の断続が可能である。回転質量1402,1403は、支承部1406を介して互いに回転可能に支承されている。支承部1406は、内燃機関出力軸に第1の回転質量1402を取付けるねじ1408の孔1407の半径方向に設けられている。両回転質量間にはダンピング装置1409が働いている。この位置は、トーラス状の区域1412を形成する環状室1411内に収容された圧縮コイルばね1410を有している。環状室1411は、少なくとも部分的に、たとえばオイル又はグリースなどの粘性媒体で充たされている。
【0337】
1次回転質量1402は、主として薄板材料製の構成部材1413により形成されている。構成部材1413は、ほぼ半径方向に延びるフランジ状区域1414を有している。この区域は、半径方向に一体に付加成形された軸方向延長部1415を有し、この延長部は複数の孔1407により取囲まれている。ころがり軸受部1406の1列のころがり軸受1406aは、その内レース1416が軸方向延長部1415の半径方向外方端部分に受容されている。外レース1417は、ほぼ平らなディスク状ボディとして構成された第2の回転質量1403を支持している。この目的のため、回転質量1403は、軸受1406aが受容される中心穴を有している。ほぼ半径方向に延びる区域1414は、半径方向外方でシェル状に構成された区域1418へ移行している。この区域1418は、蓄力部材1410の少なくとも外周を少なくとも部分的に包囲し、部材1410を案内ないし支えている。区域1418に取付けられたシェル状のボディ1419は、部分的に部材1410の周囲を取囲んでいる。ボディ1419は薄板体1413と溶接されている(符号1420の個所)。トーラス状の区域1412は、周方向で見て個別の受容部に下分割され、それらの受容部には蓄力部材1410が受容されている。個々の受容部は、周方向で見て蓄力部材1410の負荷区域により互いに分けられている。これらの負荷区域は、薄板部材1413とシェル状ボディ1419に形成されたポケットにより形成できる。第2の回転質量1403と結合された蓄力部材1410用負荷区域1421は、クラッチカバー1422により保持されている。
【0338】
負荷区域1421は半径方向アーム1421により形成されている。これらのアームは、図示の実施例の場合、カバー1422の軸方向区域1423に載置され、環状室1412内へ、それも周方向で隣接する蓄力部材1410の端部間へ、半径方向に入り込んでいる。軸方向に延びるカバー区域1423の部分1423aが、2次回転質量1403を取囲み、この回転質量1403と、たとえば、前記の部分1423aに設けられた打出し部を介して、もしくは別の固定形式により、不動に結合されている。前記打出し部は、回転質量1403の相応の凹所内に係合している。
【0339】
回転質量1403の外的輪郭に定心されたクラッチカバー1422は、負荷区域1421と反対側の端部に、ほぼ半径方向内方に延びる環状区域1426を有している。この区域1426には、2腕レバーとして働く皿ばね1427が旋回可能に保持されている。半径方向で更に外方に位置する皿ばね区域は加圧板1428に負荷を与えている。これによって、クラッチ板1405の摩擦ライニング1429が、第2回転質量1403と加圧板1428との間に軸方向に挟付けられる。ライニング1429とライニング1429との間には、ライニングばね1465が設けられている。
【0340】
図40から分かるように、環状室1411ないしそのトーラス状区域1412は、主に、第2回転質量1403の最も外側の輪郭の半径方向外方に配置されている。これによって、内燃機関の出力軸のところで第1回転質量1402のリンク結合に役立ち、かつトーラス状区域1412を保持視し、内燃機関に隣接する構成部材1413と、第2回転質量1403とが、環状室1411の半径方向内方で比較的大きい半径方向延びにわたって中間スペースないし空気ギャップ1430を形成しつつ、事実上直接に向い合っている。要するに事実上僅かの間隔をおいて隣接している。これにより、はずみ車1401、クラッチ1404、クラッチ板1405から成るユニットが、軸方向にきわめてコンパクトな構造形式にまとめられている。環状室1411のシールはシール1431により保証される。シール1431は、半径方向壁部1419の内方区域とカバー1422の外とう面との間に配置されている。
【0341】
有利には、この中間スペース1430がはずみ車1401の冷却に役立つようにする。そのさいには、冷却空気流がこの中間スペース1430を通るようにする。このような冷却空気循環を可能にするために、第2回転質量1403は摩擦面1432の半径方向内方に軸方向穴1433を有している。これらの穴はエンジン側構成部材1413の方向に延び、中間スペース1430に開口している。冷却の改善のため、第2回転質量1403は、更に軸方向の通路1435を有している。これらの通路1435は、半径方向で更に外方に位置し、摩擦面1432とは反対の側で中間スペース1430と連通し、かつ回転質量1403の、クラッチ1404に向いた側で摩擦面1432の半径方向外方に開口している。回転質量1403は、通路1435ないし穴1433の半径方向内方に別の穴1434を有し、これらの穴が、特に、取付けねじ1408を受容するのに役立っている。
【0342】
部分的に粘性媒体が充填されたチャンバ1411をシールするために、別のシール1436が設けられている。このシールは、ダイアフラム状ないし皿ばね状の構成部材により形成されており、この部材が半径方向に中間スペース1430内を延びている。
【0343】
シェル状のボディ1419は、溶接接合により結合されている始動リングギヤ1439を保持している。
【0344】
図35に示された2質量はずみ車1402+1403は、クラッチ1404とクラッチ板1405とから成るクラッチ集合体と一緒に1つの構成ユニットAを形成している。このユニットは、このようなユニットとして予め製造され、運搬され、保管され、内燃機関のクランク軸に、特に簡単かつ合理的にねじ固定することができる。構成ユニットAの組立てのためには、まず、クラッチ1404と第2回転質量1403とが、クラッチ板1405を間そうして互いに結合される。そのあとで、クラッチ1404、回転質量1403、クラッチ板1405から成る下部ユニットが構成部材1413と軸方向に集められ、次いでクラッチカバー1422の外縁1423に受容されるシェル状ボディ1419が、構成部材1413の外側区域に接触せしめられ、この部材と符号1420のところで溶接される。双方の構成部材1413と1419とを軸方向に集める前に、ばね1410をトーラス状区域1412内へはめ込む。構成ユニットAには、更に、軸方向延長部1415に取付けられている軸受1406が既に組込まれている。フランジ区域1414の穴1407内には、加えて、固定用ねじ1408が既に前組付けされているか、ないしは、6角穴付きねじの形式で含まれている。そのさい、ねじ1408は、図35の下半部に示した位置を占めることになる。これらのねじは、この位置でユニットA内に紛失することなく保持される。
【0345】
クラッチ板1405は、クランク軸の回転軸と予め定心された位置に、加圧板1428と第2回転質量1403の摩擦面1432との間に挟付けられている。この位置は、また、クラッチ板内に設けられた穴1443が、ユニットAの組付け過程時に内燃機関の出力軸にねじ締め工具を差込むことのできる位置に来るような位置でもある。穴1443は、ねじ1408のヘッド1440より小さいので、ユニットA内にねじ1408が、紛失のおそれなしに確実に保持される。
【0346】
皿ばね1427にも、その舌状部1427aの区域に穴ないしカットアウト部1444が設けられ、ねじ締め工具を差込むことができる。穴1444は、舌状部1427aの間に設けられたスリットの幅の拡大部を形成するような形式で設けておくことができる。皿ば1427の穴1444は、クラッチ板1405,1434及び回転質量1403の穴1427,1443と互いに軸方向に重なっている。この場合の重なり方は、次の通りである。すなわち、クランク軸にユニットAを位置決めして組付けねばならないため、穴の非対称的配置が必要となる場合にも、たとえば6角棒スパナなどの組付け工具を、穴1444,1427,1443から差込んで、ねじ1408のヘッド1440の凹所に係合させることができる。
【0347】
この種のユニットAにより、はずみ車の組立てが著しく容易になる。なぜなら、他の場合に必要となるクラッチ板の定心作業、クラッチ板そう入の作業過程、クラッチの取付け、定心用心棒の導入、クラッチ板の定心、ねじの差込み、クラッチのねじ付け、定心用心棒の除去等々の種々の作業工程が不要となるからである。
【0348】
摩擦クラッチ1404は、後調整装置1445を有している。この装置は、図1〜図27の実施例との関連で説明したような形式で、センサばね1446とリング状後調整部材1447を介して摩擦の補償を行なう。
【0349】
図41に示したトルク伝達装置1501は、クランク軸Kと回動不能に結合可能の対応加圧板1503を有している。この対応加圧板には、摩擦クラッチ1504が、クラッチ板1505を間そうして固定されている。クラッチ板1505は、詳しくは図示されていない変速機の入力軸に取付けられる。
【0350】
クラッチカバー1522は軸方向に延びる区域1523を有している。この区域は、加圧板1528と摩擦ライニング1529とを半径方向外方で軸方向に取囲んでいる。スリーブ状ないし管状のカバー区域1523の端部分1523aは、対応加圧板1503を取囲み、端部分1523aに設けられた打出し部1524を介して対応加圧板と結合されている。カバー1522と対応加圧板1503は、しかし、他の形式、たとえば溶接継手、ねじ又はピンによる結合等によっても結合できる。ねじ又はピンは、同じく軸方向に用いるのが有利である。
【0351】
対応加圧板1503の外的輪郭に定心されたクラッチカバー1522は、ほぼ半径方向内方へ延びる環状区域1526を有している。この区域には2腕レバーとして働く皿ばね1527が旋回可能に支承されている。皿ばね1527の半径方向外方区域が加圧板1528に負荷を与えている。これによって、摩擦ライニング1529が、対応加圧板1503と加圧板1528との間に軸方向に挟み付けられる。皿ばね1527は、リリース・システムを介してクラッチ1504を操作するための軸方向舌状部1527aを有している。加圧板1528とカバー1522との間のトルク伝達のため、有利には板ばね1521形式のトルク伝達手段を有している。これらの板ばねは、一端が、有利にはリベット継手1521aを介してカバー1522と不動に結合され、他端が、同じくリベット継手を介して加圧板1528と結合されている。有利には、加圧板1528と板ばね1521との間の結合は、いわゆる盲リベット継手を介して行なわれる。この継手はたとえば図40の上半部に摩擦ライニングの半径方向の延び区域に示されている。
【0352】
摩擦クラッチ1504ないしトルク伝達装置1501は後調整装置1545を有している。この装置は、図1〜図27の実施例と関連して説明した形式と類似の形式で、センサばね1546と後調整部材1547とを介して摩耗補償を行なう。
【0353】
図40および図41の場合、直接にカバー材料に型付けされた対応斜面は、この斜面が、クラッチ回転方向にそれぞれ1つの通気穴(図41の符号1547a)を形成するように構成されている。このように構成することによって、相応のクラッチの回転時に、クラッチの冷却が強制空気循環によって改善される。このことによって、また、特に、スチック製の後調整部材1447ないし1547も冷却されるので、これらの部材の熱負荷も著しく低減される。
【0354】
クラッチ1504ないし対応加圧板1503は、出力軸Kのところに、弾性的な、ないしはばね様にたわみ可能の構成部材1550を介して、回動不能に、しかも軸方向に制限された距離だけ移動可能に固定されている。図示の実施例の場合、この構成部材1550は、ディスク状に構成され、その剛度が次のように選定されている。すなわち、出力軸Kにより摩擦クラッチ1504に励起される軸方向振動やタンブリングないし曲げ振動は、弾性的な構成部材1550によって、クラッチ1504及び特にクラッチの後調整装置1545の申し分のない機能が保証される程度まで減衰ないし抑制される。要するに、軸方向にたわみ可能な構成部材1550を介して内燃機関の出力軸、たとえばクランク軸に対し軸方向振動や曲げ振動からクラッチ・ユニットが最大限に断絶されるようにする。これによって、クラッチ・ユニット1504ないしその後調整装置1545が、その機能を損なわれないようにすることができる。クランク軸Kからクラッチ・ユニット1504を前述のように断絶することなしには、摩耗の後調整装置1545の後調整は満足には行なわれえない。これは、複数構成部材の質量と、振動の結果、これら部材に作用する加速による。要するに、振動を減衰する構成部材1550を用いない場合には、特に後調整装置1545の場合には、この装置を形成する構成部材により生ぜしめられる慣性力を計算に入れる必要があろう。そのことによって、厄介な調整が必要になるだろうし、また、ライニングの摩耗に起因しない、後調整装置1545の後調整を防止するための付加的手段が必要となろう。
【0355】
図41のトルク伝達装置の場合、摩耗の後調整装置1545は、クラッチカバー1522と皿ばね1527の間で作業を行なう。トルク伝達装置1501は、しかし、図33〜図39の摩擦クラッチ、すなわち、皿ばねと皿ばねにより負荷される加圧板との間で働くクラッチと組合せて用いることもできる。
【0356】
対応加圧板1503は、半径方向外方でねじ継手1551を介して、軸方向に弾性的な、ディスク状構成部材1550と固定結合されている。ねじ継手1551の代りに盲リベット継手、たとえば図40の上半部に加圧板1428への板ばねの取付けに関連して示した形式も、利用できる。構成部材1550と対応加圧板1503との間のリンク個所1551の半径方向内方には、これら両部品1550,1503との間に軸方向隙間1552が存在しており、この隙間が、両部品1550,1503との間の、一方の軸方向への最大軸方向振動振幅を決定する。ディスク状の構成部材1550に対応加圧板1503の半径方向内方区域1503を接触させることにより、クラッチ1504の、出力軸K方向への最大軸方向変位を制限することができる。しかし、通常の使用条件の場合、特に、内燃機関が申し分なく機能している場合には、そのような接触は生じない。リング状の対応加圧板1503は軸方向の突起1553を取囲んでいる。この突起はディスク状ないしリング状の構成部材1554の一部である。この部材1554は、弾性的なディスク1550の半径方向内方区域と固定結合されている。このディスク1550と部材1554とは、出力軸Kのリング状突起1555上で定心され、出力軸とねじ継手1556を介して固定結合されている。その場合、ディスク状の部材1550の半径方向内方区域は、出力軸Kの端面とリング状部材1554との間に軸方向に挟付けられる。
【0357】
部材1554の軸方向突起1553は、弾性的な部材1550とは反対側の端部に半径方向区域1558を有している。これらの区域は、クラッチ1504又は対応加圧板1503の軸方向変位を、他方の軸方向に制限している。これらの区域1558と対応加圧板1503との間には、部材1550が負荷されていない状態のさいには、軸方向隙間1559が存在する。この隙間1559は、軸方向に隙間1552と同じ程度の間隔を有している。対応加圧板1503は、その内側面を介して軸方向の突起ないし延長部1553に事実上遊びなしに受容されることができる。この結果、対応加圧板1503の軸方向案内が保証される。しかしながら、有利には、対応加圧板1503の内側面と軸方向突起1553との間に少なくとも僅かの空気ギャップが存在し、したがって通常の作動状態の場合、これら両部品間に接触が生じないようにする。
【0358】
別の構成によれば、弾性部材1550を備えていても依然として伝達される振動を減衰するために、振動エネルギーを消滅させる装置を備えるようにすることもできる。この種の装置は、摩擦接続によって形成できる。この種の接続は、たとえば図42に示されている。図42の変化形の場合、対応加圧板1503の内方区域と延長部1553の外とう面との間に減衰手段1560が設けられている。この減衰手段は、たとえば周方向に波形をなすリングにより形成できる。このリングの波形は半径方向に延びている。このリング1560は、半径方向に加圧されて組付けられており、それによって、軸方向振動が存在する場合、たとえば、このリング1560と対応加圧板1503の内側面との間に摩擦が生ぜしめられる。要するに、対応加圧板1503の減衰支承が延長部1553上で行なわれるのである。波形リング1560は、その周方向に分離しておくことができる。つまり開放個所を有するようにしてもよい。
【0359】
ディスク状の弾性的な部材1550は半径方向外側に始動リングギヤ1561を保持している。
【0360】
ディスク状の構成部材1550、対応加圧板1503、クラッチ板1505、摩擦クラッチ1504は、構造ユニットを形成しており、このような構造ユニットとして予め組立てられ、運送され、保管しておくことができ、かつまた、内燃機関のクランク軸Kに特に簡単かつ合理的にねじ取付けすることができる。6角穴ねじの形状の取付けねじ1556は、同じく既に前組付けされて、紛失することのない形式で構造ユニットに含まれている。
【0361】
クラッチ板1505は、クランク軸の回転軸線に予め定心された、加圧板1528と対応加圧板1503との間の位置に挟付けられている。クラッチ板1505は加えて、クラッチ板のばね減衰部材の半径方向内方に設けられている穴1562が構造ユニットの組立て時に出力軸Kのところにねじ締め工具1563を差込むことができる位置に来るように、配置されている。皿ばね1527も、必要とあらば、ねじ締め工具1563を差込む穴ないしカットアウト部1564を有している。皿ばねの穴1564は、クラッチ板1505の穴1562と重なるので、たとえば6角棒レンチ1563などの組付け工具を支障なしに、ねじ1556のヘッドの凹所に係合させることができる。
【0362】
他の実施例との関連で既に述べたように、少なくともライニング摩耗を補償する装置1545を有する摩擦クラッチ1504の使用により、クラッチの構成、特に、クラッチ板用の加圧力を得るための蓄力部材1527の構成を最適化することができる。この蓄力部材は、事実上、所望のトルクの伝達に要するクラッチ板締付け力だけを調達するように構成することができる。後調整装置1545により、この蓄力部材1527が、クラッチ・ユニット1501の接続状態のさい、全有効寿命の間事実上等しい組付け姿勢を維持するように保証される。更に、同じくクラッチ・ユニット1501内に存在するライニングばね1565形式の装置により、クラッチのリリース力ないしリリース力の推移の減少が達せられる。ライニングばね1565は、ユニット1501の継続のさい、加圧板1528の操作距離の少なくとも一部分区域にわたり、ユニットにより伝達可能のトルクの漸減ないし漸増を生じさせる。要するに、ライニングばねなどの装置による力と、加圧板に作用する蓄力部材による力との間の、ないしはそれらの力・距離特性線間の相応の調整によって、所望のリリース力の推移を定めることができるのである。これによって、また弾性的な構成部材1550を軸方向振動、曲げ振動、タンブリングに対する所望の減衰機能に関して最適に構成することができる。なぜなら、この弾性的な構成部材に作用する低減されたリリース力は、二義的な意味のものだからである。したがって、クラッチのリリースに要する操作力は、クラッチ・ユニットの著しい軸方向変位なしに弾性的な構成部材により支えることができる。
【0363】
図43に示すクラッチ装置は、ケーシング2002を備えた摩擦クラッチ2001と、このケーシングと回転しないように結合しているが軸方向に限定的に移動できるプレッシャープレート2003を有する。軸方向でプレッシャープレート2003とケーシング2002との間に圧着皿ばね2004が緊定されており、この圧着皿ばねが、ケーシング2002によって支持されたリング状の旋回軸受2005を中心にして旋回でき、プレッシャープレート2003をケーシング2002と固く結合したカウンタープレッシャープレート2006、たとえばフライホイールに向かって押し付けており、そうすることによってクラッチディスク2008の摩擦ライニング2007がプレッシャープレート2003とカウンタープレッシャープレート2006の摩擦面の間に固定されている。
【0364】
プレッシャープレート2003はケーシング2002と周方向もしくは接線方向に向いた板ばね2009と回転しないように結合している。図示の実施例では、クラッチディスク2008はいわゆるライニングばねセグメント2010を有する。このライニングばねセグメントは、2つの摩擦ライニング2007の互いに向かう限られた軸方向移動を通して、摩擦ライニング2007に作用する軸方向力の漸増的な増加を可能にすることによって、摩擦クラッチ2001が接続するときに漸増的なトルク生成を保証する。しかしながら、摩擦ライニング2007がサポートディスクに事実上剛に取り付けられているクラッチディスクも用いることができよう。
【0365】
図示の実施例では、皿ばね2004が圧着力を加えるリング状の基体2004aを有し、この基体から半径方向内側に操作舌片2004bが出ている。この場合、皿ばね2004は、さらに半径方向外側に位置する範囲でプレッシャープレート2003を押し付け、さらに半径方向内側に位置する範囲で旋回軸受2005を傾倒できるように組み込まれている。
【0366】
旋回軸受2005は2つの旋回サポート2011、2012を包含しており、これらの旋回サポートの間で皿ばね2004が軸方向に保持または固定されている。皿ばね2004の、プレッシャープレート2003に向いた側に設けられている旋回サポート2011は ケーシング2002に向かって軸方向に力を受けている。このために、旋回サポート2011は皿ばねもしくは皿ばね状の部材2013の一部である。この部材は外側縁範囲2013aによりケーシング2002に弾性支持されている。そうすることによって、半径方向内側に成形した旋回サポート2011が操作皿ばね4に対して、したがってまたケーシング2002に向かって軸方向に押し付けられる。プレッシャープレート2003と操作皿ばね2004との間に軸方向に設けられている皿ばね2013は、リング状の範囲2013bを有する。その内縁から半径方向内側に延びた舌片2013cが出て、旋回サポート2011を形成している。
【0367】
皿ばね状の部材2013を支持するために、図示の実施例ではケーシング2002と、皿ばね状の部材2013の舌片状のブラケット2013aとの間に、バヨネット式の結合部材もしくはロック部材が設けられている。
【0368】
皿ばね状の部材もしくは皿ばね2013は、所定の作動行程にわたって少なくともほぼ一定の力を生み出すセンサーばねとして形成されている。このセンサーばね2013を通して、舌片先端部2004cに作用するクラッチ解離力が少なくともほぼ把捉される。その際に、この解離力によって旋回サポート2011に対して生み出される力と、センサー皿ばね2013によってこの旋回サポート2011に及ぼされる対向力との間には、常に少なくとも近似的な平衡が生じている。ここで解離力とは、摩擦クラッチ2001の操作中に舌片先端部2004cもしくは皿ばね舌片の解離範囲に及ぼされる最大力を意味する。
【0369】
ケーシング側の旋回サポート2012は、調整装置2016を介してケーシング2002に支持されている。この調整装置2016は、旋回サポート2011および2012がプレッシャープレート2003に向かって、もしくはカウンタープレッシャープレート2006に向かって軸方向に移動する際に、旋回サポート2012とケーシング2002との間、もしくは旋回サポート2012と皿ばね2004との間に不都合な遊びが生じ得ないことを保証している。そうすることによって、摩擦クラッチ2001を操作する際に不都合な死行程もしくは空行程が生じないことが保証される。その結果、最適な効率が、したがって摩擦クラッチ2001の申し分ない操作が提供されている。プレッシャープレート2003とカウンタープレッシャープレート2006の摩擦面および摩擦ライニング2007が軸方向に摩耗すると、旋回サポート2011および2012が軸方向に移動する。
【0370】
調整装置2016は、リング状の部材2017として構成されている、ばね作用を受けた調整部材を包含している。この部材は、周方向に延び、かつ軸方向に上昇している、部材2017の円周上に分布した乗り上げ傾斜面2018を有する。調整部材2017は、乗り上げ傾斜面2018がケーシング底部2002aに向いているように、クラッチ2001に組み込まれている。
【0371】
調整リング2017は周方向に、しかも調整回転方向にばね弾性的に負荷されている。この方向は、傾斜面2018がカバー底部2002aに設けた対向傾斜面2019に当たることによって、調整リング2017をプレッシャープレート2003に向かって、つまり半径方向のケーシング部分2002aから離れて軸方向に移動させる方向である。
【0372】
旋回軸受2005もしくは調整部材2016の自動調整の機能、ならびに調整部材2016のその他の形成可能性を、図1〜32との関連で詳しく説明する。
【0373】
クラッチ装置は、皿ばね舌片2004bによって形成された摩擦クラッチ2001のレリーズ手段が軸方向に遊びなく操作され、一定の行程2021を移動できることを保証する補償部材2020を含んでいる。補償部材2020はレリーズベアリングを包含しているレリーズ機構2022と、舌片先端部2004cとの間に設けられている。レリーズ機構2022は模式的に示された、摩擦クラッチ2001を操作するためのガイドパイプ2023上で軸方向に移動できる。ガイドパイプ2023は、詳細に図示されないトランスミッションケーシングに支持されており、クラッチディスク2008を回転しないように載せることのできるトランスミッション・インプットシャフトを包囲している。レリーズ機構2022の軸方向移動に必要な力は、操作手段2024によって加えられる。この操作手段は、図示した実施例では、やはりトランスミッション側で支持できる、模式的に表現したレリーズフォークによって形成されている。しかしながら、油圧または空気圧で作動できるレリーズ機構2022、つまり圧力媒体を送り込めるピストン/シリンダーユニットを有するレリーズ機構も使用できる。
【0374】
補償装置2020が図44および45に拡大して表現されており、図46および47に示されているリング状の部材2025として構成された調整部材を包含している。このリング状の調整部材2025は、図示された実施例において、半径方向にずらし周方向に延び軸方向に上昇している2組の乗り上げ傾斜面2026、2027を有する。これらの乗り上げ傾斜面はそれぞれ部材2025の円周上に分布している。特に図47から分かるように、半径方向内側の乗り上げ傾斜面2026は、半径方向外側に配置された乗り上げ傾斜面2027に対して周方向に、傾斜面長さもしくは傾斜面ピッチの約半分だけずれている。図43および44ら分かるように、調整部材2025は端面2025aにより直接舌片先端部2004cで支えられている。乗り上げ傾斜面2026、2027は操作手段2004bと軸方向反対側に向いている。調整部材2025は周方向に、しかも調整回転方向にばね作用を受けている。この方向は、傾斜面2026、2027が図48および49に詳細に示された支持リング2030の対向傾斜面2028、2029に当たることによって、調整リング2025をプレッシャープレート2003に向かって、つまりレリーズ機構2022から離れて軸方向に移動させる方向である。
【0375】
図48および49から分かるように、対向乗り上げ傾斜面2028、2029も半径方向および周方向に互いにずれた2組の乗り上げ傾斜面を有する。支持リング2030の調整部材2025および2028、2029の傾斜面2026、2027は互いに合わされており、軸方向に互いに係合する。周方向にずれた傾斜面により、調整部材2025と支持リング2030との間に申し分のない中心案内が存在することが保証される。特に図44から分かるように、補償装置2020の2つの部材2025および2030は軸方向に互いに入り組んでいる。支持リング2030の対向乗り上げ傾斜面2028、2029の設置角2031(図49)は、調整部材2025の乗り上げ傾斜面2026、2027の角2032(図47)に対応している。支持リング2030は、ケーシング2002と回転しないように結合しているが、このケーシングに対し軸方向にクラッチ操作行程2021だけ限定的に移動できる。この軸方向の制限は、摩擦クラッチ2001が接続した状態でカバー底部2002aの半径方向内側範囲と当たる、支持リング2030の半径方向範囲2033を介して行われる。この当たりは、ばね作用を受けた操作手段2004bによって引き起こされる。摩擦クラッチ2001を解離するとき、行程制限が薄板成形部材2034によって保証される。この薄板成形部材は、支持リング2030の、操作手段2004bと反対側に設けられており、直径範囲2035でレリーズ機構2022の作用を受ける。この薄板成形部材2034も、摩擦クラッチ2001を解離したときにカバー底部2002aの半径方向内側範囲と当たることができる半径方向範囲2036を有する。
【0376】
図示の実施例では、調整リング2025および支持リング2030は耐熱プラスチック、たとえばサーモプラストで作られており、さらに繊維強化することができる。こうすることによって、これらの部材は射出成形部材として簡単に作ることができる。
【0377】
乗り上げ傾斜面2026、2027および対向乗り上げ傾斜面2028、2029は、2つの部材2025と2030の間で少なくとも、摩擦クラッチ2001の全寿命にわたって、プレッシャープレート2003とカウンタープレッシャープレート2006の摩擦面および摩擦ライニング2007で発生する摩耗の調整を保証する回動角が可能となるように、周方向に形成されている。この調整角は乗り上げ傾斜面の設計に応じて30°〜90°程度であることができる。図示の実施例では、図45に符号2037で示したこの回動角は75°程度である。傾斜面および対向傾斜面の設置角2031もしくは2032は、6°〜14°程度、有利に8°程度である。この場合、傾斜面および対向傾斜面の実際の角2031もしくは2032は、これらの傾斜面の半径方向長さにわたって変化する。なぜならば、与えられた回動角に対して同一の高低差が橋渡しされなければならないからである。つまり、傾斜面角2031もしくは2032は直径が増すに従い小さくなるのである。
【0378】
部材2025の調整に必要な周方向の力作用は、図示された実施例では支持リング2030と調整部材2025との間に弓形に配置されて緊定された2つのコイルばね2038、2039で形成された力貯蔵手段によって保証されている。これらのコイルばね2038、2039は、カバー2002と回転しないように固定した支持リング2030に支えられており、操作手段もしくは皿ばね舌片2004bが摩耗の結果としてカバー底部2002aもしくはレリーズ機構2022から軸方向に離れると、すぐに調整リング2025を回動させる。特に図45および48から分かるように、コイルばね2038、2039はそれぞれ、周方向に溝状もしくはトーラス状に延びている、リング2030のソケット2040、2041を含んでいる。図44から分かるように、断面が力貯蔵手段2038、2039の壁に適合されたソケット2040は、ばね2028もしくは2029の断面の円周の半分以上にわたって延びている。その際、図45および48から分かるように、それぞれ1つのスロット状の開口部2042、2043が支持リング2030の操作手段2004bに向いた側に、またそれぞれ1つのスロット状の開口部2044、2045が操作手段2004bと反対側にとどまっている。これらのばね2038、2039は、ソケット2040、2041を限定する面によって、支持リング2030に対して軸方向に確保されている。コイルばね2038、2039を通すために、扇形ソケット2040、2041は、それぞれ1つの通し範囲2046、2047を備えている。この範囲は、少なくともコイルばね2038、2039の壁の外径に対応する、半径方向の導入幅を有する。この通し範囲2046、2047を通して、力貯蔵手段2038、2039を扇形ソケット2040、2041に斜めに差し込むことができる。まだ弛緩しているコイルばね2038、2039を扇形ソケット2040、2041に通した後、調整部材2025は支持リング2030と組み合わされる。このために、調整リング2025に設けられ、同時にコイルばね2038、2039のための力作用範囲もしくは支持範囲を形成している軸方向ボス2048、2049は、周方向で通し範囲2046、2047に接したそれぞれ1つの軸方向スロット範囲2050、2051に導入される。そうすることによって、力作用範囲2048、2049は弛緩したコイルばね2038、2039の一方の端部範囲に位置するようになる。力貯蔵手段2038または2039の弛緩した位置が図45に示されており、2039aで表示されている。コイルばね2038、2039の他方の端部範囲は、扇形ソケット2040、2041の、周方向にある底部2053、2053aに支えられている。調整リング2025と支持リング2030が回動することによって、ばね2038、2039を緊張させることができる。通し範囲2046、2047の角に従う延びよりも大きい所定の相対回動角以後では、調整リング2025の力作用範囲2048、2049がそれぞれスロット2044、2045の端部範囲に位置するので、乗り上げ傾斜面2026、2027と対向乗り上げ傾斜面2028、2029とが接するまで、調整リング2025と支持リング2030は互いに重なり合って動くことができる。スロット2044、2045と軸方向ボス2048、2049は、2つの部材2025、2030の間に軸方向に作動するスナップ結合部が存在するように互いに合わされている。このために軸方向ボス2048、2049は、それらの端部範囲に、支持リング2030の半径方向に延びている範囲と当たることのできるフック状の部片2048aを有する。2つの部材2025と2030が角2037(図45)に対応して追加で相対的に回動することにより、ばね2038、2039は摩擦クラッチ2001の新品状態に対応する緊定された角長さ2054にされる。次に2つの部材2025、2030を図示されない手段によりこの位置で確保することができる。この手段は、たとえば形状接続を含むことができる。この形状接続は2つの部材2025と2030の間で働き、カウンタープレッシャープレート2006に摩擦クラッチ2001を取り付けた後に除くことができ、そうすることによって補償装置2020が作動する。特にライニング摩耗を補償するための可能な調整角は、図45に2037で示した回動角と対応している。この回動角2037以後は、軸方向ボス2048、2049は、リング2025の調整方向にあるスロット2044、2045の端部範囲と当たる。この位置に対応して緊定されたコイルばね2038、2039の位置は、図45では2038aで示されている。
【0379】
摩擦クラッチ2001の新品状態では、乗り上げ傾斜面と対向傾斜面を形成している軸方向カム2026、2027および2028、2029は軸方向に最も離れて係合する。つまり、互いに重なるリング2025および2030が必要とする軸方向スペースは最も小さい。
【0380】
図示の実施例では、摩擦クラッチ2001の解離方向における操作行程の制限が薄板成形部材2034によって保証される。図示されない実施例に従い、たとえばカバー2002と協働するこれに必要な衝止範囲を、レリーズ機構2022に、しかも摩擦クラッチと一緒に回転する軸受リングまたはこれと結合した部材に設けることもできよう。摩擦クラッチ2001の操作行程を軸方向で少なくとも軸心方向の1つに制限することは、ガイドパイプ2023に設けられた少なくとも1つの、レリーズ機構2022の軸方向ストッパーによって形成することもできよう。
さらに、レリーズ機構2022が操作手段2004bに直接作用して、対応する補償装置をレリーズ機構2022とレリーズ手段2024との間に設けることができよう。
【0381】
摩擦クラッチ2001と補償装置2020の機能を損ねない張力を、操作手段2004bの方向でレリーズ機構2022に加えていることが好都合である。
【0382】
図44〜46から分かるように、調整リング2025は半径方向内側のカム2055を有する。これらのカムは、回動手段もしくは保持手段のための作用範囲をなしている。この回動手段もしくは保持手段は、必要に応じ他方で回転しないようにケーシング2002または支持リング2030に当たることができる。このような保持手段は、摩擦クラッチ2001もしくは補償装置2020を製造し、もしくは組み立てるときに設け、摩擦クラッチ2001をフライホイール2006に取り付けた後取り除くことができる。
【0383】
図50に示されている詳細図は、図43および44に示されている補償装置2020の下半分の変化実施例を表している。図50に従う変化実施例では、摩擦クラッチが接続した状態で、補償装置2120とケーシング2102との間の軸方向制限は、薄板成形部材2134と一体的に形成されているフック状の軸方向ブラケット2133を介して行われる。ブラケット2133は、圧縮部材として用いられる薄板成形部材2134の外縁に設けられ、軸方向にカバー2102を貫通している。ブラケット2133は皿ばね2104に向いた自由端に、半径方向外側に延びた範囲2133aを有する。これらの範囲は、カバー2102を皿ばね2104に向いた側で半径方向に貫通している。このように形成することによって、皿ばね2104から補償装置2120に及ぼされる軸方向力を薄板からなる圧縮部材2134で支持できることが保証されるので、ストッパーがプラスチック製の支持リング2030の範囲2033によって形成された、図44に従う補償装置2020におけるよりも大きい軸方向力が補償装置2120によって吸収できる。補償装置2020もしくは2120に対するこのような軸方向力は、何よりも輸送時に、つまり摩擦クラッチを取り付けていないときに発生することがある。なぜならばこの状態では主皿ばね2004もしくは2104は、ばね舌片を介して支持リングもしくはプラスチック補償部材2030、2130により軸方向に支えられるからである。薄板からなる圧縮部材2134は、円周上に好ましくは対称的もしくは均等に分布している2つ以上、なるべくは3つ以上のフック状のブラケット2133を有する。圧縮部材2134の薄板の厚さは、支持すべき軸方向力に対応して設計できる。プラスチック製リング2130は、圧縮部材2134と回転しないように結合している。図44と類似に、圧縮部材もしくは薄板成形部材2134は半径方向外側に範囲2136も有する。これらの範囲は周方向に見れば、フック状のブラケット2133の間に延びており、ケーシング2102に当たって解離行程を制限し、もしくは許容されない程大きい超過行程を避けるために用いられる。
【0384】
図51に示された摩擦クラッチ2201の細部は、本質的に図43に従う摩擦クラッチ2001の右下範囲と類似の構造を有する。図51には、クラッチケーシング2202、皿ばね2204の旋回軸受2205、調整装置2216および補償装置2220が部分的に表現されている。調整装置2216と補償装置2220の機能に関しては、図43〜50に関する説明、もしくはドイツ特許出願第P4306505.8号および第P4239289.6号を参照されたい。これらの特許出願の内容は明らかに本出願に組み込まれているものと見なすべきである。
【0385】
図51に従う変化実施例において、調整リング2217として構成された調整部材のための回動防止部材2260が設けられている。
【0386】
移動防止部材もしくは回動防止部材2260は、摩擦クラッチ2201を取り付けていない状態で、他の部材、たとえば特にケーシング2202に対する調整部材2217の所定の位置を保証する。特に移動防止部材2260によって、摩擦クラッチ2201の新品状態で調整部材2217をその後退位置、つまりまだ調整が行われていない実用的なゼロ位置に保持できることが保証される。しかもこれは、旋回サポートもしくは支持サポート2212の範囲で皿ばね2204が調整リング2217に作用しないにもかかわらず行われる。このことは、摩擦クラッチ2201を取り付けていない状態もしくは摩擦クラッチ2201が発送用に準備されている状態で、主皿ばね2204がばね舌片を介して補償装置2220に軸方向に支持されていることに帰すことができる。これは図43および44との関連でも明らかである。この支持の結果として、主皿ばね2204は皿ばね2213として構成された力センサーを軸方向でケーシング2202もしくは調整リング2217から離れる方向に押し付ける。そうすることによって、調整リング2217をケーシング2202の方向で軸方向に緊定することはもはや保証されていない。したがって、回動防止部材2260がなければリング2217は移動できるであろう。それゆえ、摩擦クラッチ2201を内燃機関の駆動軸に取り付けた状態では、リング2217は、特にクラッチディスクの摩擦ライニングに発生する摩耗の調整を保証する所望された後退位置を取らないであろう。図51には、フライホイールに取り付けた摩擦クラッチに対応する部材の位置が実線で表現されている。取り付けていない新しい摩擦クラッチに対応する皿ばね2204とセンサーばね2213の位置が破線で暗示されている。ここから分かるように、摩擦クラッチ2201を取り付けていない状態では、調整部材2217もしくはリング状の支持部材2212と皿ばね2204との間に軸方向間隔もしく隙間がある。
【0387】
特に摩擦クラッチ2201の運搬用に設けられた調整装置2216用の調整防止部材2260は、少なくとも摩擦クラッチ2201を取り付けていない状態で、場合によっては取り付けた摩擦クラッチ2201が接続した状態でケーシング2202に対して回転不能に保持されており、調整部材2217の回転防止のためにこれと協働する、少なくとも1つの止め部材2261を有する。止め部材2261は、たとえば図52に示されているように、軸方向に延びている個々の若干のアーム2262を持つことができる。これらのアームは半径方向外側では調整リング2217と固く結合しており、半径方向内側では皿ばね2204に向いたケーシング2202の側に設けられたストッパー2233とケーシング2201との間に締め付けることができる。そうすることによって、調整部材2217とケーシング2202との間に形状接続による結合が与えられている。アーム2262は、板ばねに類似して形成され、半径方向内側でリング状の範囲2263を介して互いに結合することができる。図示の実施例では、アーム2262は調整部材2217とねじ止めされているが、アーム2262は調整部材2217とリベット止めすることもでき、さらには調整部材2217と回転不能に結合させるためにこの部材を形成しているプラスチックに埋設された範囲を持つこともできる。
【0388】
補償装置2220もしくはその制限ストッパー2233は、ケーシング2202および軸方向に締め付け可能な止め部材2261の範囲と結合して、摩擦クラッチ2201を操作していないときに作動する、調整部材2217のためのブレーキもしくはクラッチを形成する。
【0389】
クラッチを解離すると、止め部材2261もしくは帯金2262の制動効果もしくは締め付けが解消されるので、調整部材もしくは調整リング2217は必要に応じて調整できる。
【0390】
止め部材2261もしくはこれを形成している板ばねに類似した帯金は、軸方向にわずかなばね率もしくはばね強度を有するが、周方向では比較的剛性もしくはばね剛性を有する。
【0391】
図53に示された調整リング2317の実施例において、軸方向に弾力的な帯金2362が直接プラスチックリング2317に射出成形されている。図52と関連して示されているように、帯金2362は類似の仕方で、半径方向内側で円環状の範囲を介して結合できる。
【0392】
図54および55に表現されているクラッチユニットもしくは摩擦クラッチ2401は、薄板カバー2402で形成されたケーシング、これと回転しないように結合しているが軸方向で制限されて移動できるプレッシャープレート2403、およびこのプレッシャープレート2403とカバー2402との間に緊定された圧着皿ばね2404とを有する。この圧着皿ばね2404は、旋回軸受2405に傾倒可能もしくは旋回可能に保持されていることによって、ケーシング2402に対して2アーム式レバーとして支持されている。皿ばね2404は、プレッシャープレート2403を、クラッチディスク2403とフライホイールとの間に締め付け可能なクラッチディスク2408の摩擦ライニング2407に向かって、リング状の旋回軸受2405に対して半径方向で一層外側に位置する範囲を押し付ける。プレッシャープレート2403とカバー2402との間のトルク伝達は、プレッシャープレート2403を摩擦ライニング2407から持ち上げる方向で緊張させることのできる板ばね2409を介して行われる。
【0393】
皿ばね2404はリング状の基体2404aと、これから出て半径方向内側に向いている舌片2404bとを有する。
【0394】
旋回軸受2405は2つの旋回サポート2411、2412を包含し、それらの間に皿ばね2404が軸方向に保持または締め付けられている。旋回サポート2411および2412は類似に配置および形成されており、図43に関連して説明した旋回サポート2011および2012と等しい機能を有する。旋回サポート2411、2412に作用する部材および旋回軸受2405の自動調整機能に関しては、図43および図1〜32の説明を参照されたい。
【0395】
皿ばね舌片2404bによって形成された、摩擦クラッチ2401のレリーズ手段は、レリーズ装置2420によって軸方向に操作でき、それによって皿ばね2404の円錐性が変化できる。レリーズ装置2420は、図43〜49との関連で説明したように、補償装置2020を有する。しかしながら、自動調整レリーズベアリングを有するクラッチレリーズシステムにおいては、この種類の補償装置2020は必要ない。このようなレリーズシステムでは、レリーズ装置2420は、少なくとも解離動作の間にクラッチ2401と一緒に回転するレリーズベアリングリングと結合していることができる。
【0396】
皿ばね舌片2404bによって形成されたクラッチレリーズ手段の許容されない程大きい解離行程を妨げるために、クラッチ2401もしくはケーシング2402に皿ばね舌片2404bの行程制限手段2436が設けられている。行程制限手段2436は、皿ばね舌片2404bを軸方向に支持し、したがってレリーズ装置2420に作用する解離力を軸方向に把捉することによって皿ばね2404の旋回行程もしくは旋回角を制限する。
【0397】
図示された実施例では、行程制限手段2436は、カバー2402の半径方向内側の部片によって形成されたリング状の衝止範囲2436によって形成されている。舌片先端部2404cは所定の軸方向行程2421の後でこの衝止範囲に当たる。リング状の衝止範囲2436は、これが少なくとも皿ばね舌片の解離直径、つまりその上でレリーズ装置2420が皿ばね舌片2404bに当たる直径上に位置するように形成されている。衝止範囲2436は、軸方向でばね舌片2404bもしくはばね舌片先端部2404cとクラッチディスク2408との間に配置されている。
【0398】
リング状の衝止範囲2436は、半径方向に延びたリブもしくはウェブ2437を通してカバー基体2402aと結合している。図55から分かるように、図示された実施例では、このようなウェブが6つ設けられている。しかしながら若干の応用例に対しては、このようなウェブを3つのみ設けることもできる。特に大きい解離力が必要となるクラッチ仕様においては、より多くのウェブ、たとえば9つのウェブを設けることもできる。
【0399】
ウェブ2437は、カバー底部2402bもしくはカバー基体2402aから出て半径方向内側に延び、軸方向ではプレッシャープレート2403もしくはクラッチディスク2408に向かって傾いている。衝止範囲2436は、カバー底部2402bに対し軸方向でカバースペース内にずれている。ばね舌片2404bは、リング状の衝止範囲2436と半径方向に一層外側にあるカバー基体2402aと結合リブ2437との間で形成されている開口部2438と係合する。このために、図示の実施例では、皿ばね舌片2404bが半径方向内側に全長の一部にわたって、軸方向でウェブ2437の延長と反対方向に直角に折り曲げるか、立てられている。図55から分かるように、皿ばね舌片2404bは、それぞれ開口部もしくは貫通部2438に付属している3体構成をなしている。個々の3体構成の間に、それぞれウェブ2437を収容するためのスロット2439が設けられている。この場合、スロット2439とウェブ2437は、皿ばね2404の申し分ない旋回が可能となるように互いに合わされている。
【0400】
皿ばね舌片2404bを開口部2438に通すことは、摩擦クラッチ2401を取り付ける間に行われる。このために、皿ばね2404は図54に破線で示された弛緩した状態において、舌片先端部2404cの範囲に、リング状の衝止範囲2436の外径2441よりも大きい内径2440を有する。そうすることによって、皿ばね2404は、少なくとも完全に弛緩した状態では、皿ばね舌片2404bによりカバー2402の開口部2438に軸方向に挿入できる。摩擦クラッチ2401を取り付けている間、もしくは遅くとも摩擦クラッチ2401をフライホイールなどに取り付けるときに、皿ばね2404が旋回する。そうすることによって、皿ばね舌片2404bによって制限された内径2440が縮小される。摩擦クラッチをフライホイールに取り付けると、皿ばね2404は動作位置を取り、舌片先端部2404cは衝止範囲2436の外径2441より小さい内径2442を限定する。旋回行程2421を後退した後でも、舌片によって規定される衝止範囲2436の内径が外径より小さくなるように、皿ばね2404が旋回可能にケーシングに保持され、舌片2404が形成されている。
【0401】
軸方向に制限された最大可能な操作行程2421は、ライニング2407で最大許容摩耗に達した後にもクラッチ2401が少なくとも申し分のない機能、つまりクラッチ装置2401の申し分のない切り離しに必要とされる完全な目標解離行程を有するように設計されている。クラッチ2401もしくはクラッチにおける自動ライニング摩耗補償を保証するセンサーばね2413および調整装置2416は、摩擦クラッチ2401の新品状態で旋回軸受2405の誤った軸方向移動が行程2421を完全に通過した場合でも生じないように、設計されている。
【0402】
以下に、数値例に基づいて、作動方式もしくは衝止範囲2436と皿ばね舌片2404bとの協働について説明もしくは実証する。
【0403】
摩擦クラッチ2401の上述の解離行程は、公差の存在を考慮すると8.4〜10mmである。クラッチ2401は、新品状態で旋回軸受2405の誤った軸方向移動が解離行程14mm以上で初めて可能であるように設計されている。ストッパー2436は、摩擦クラッチの新品状態でストッパー2436と当たる範囲、すなわち舌片先端部2404cが12.5mmの軸方向行程2421を通過できるように設計もしくは位置決めされている。皿ばね舌片がストッパー2436に当たり、最大解離力を加えると、カバーはさらに約0.5mm軸方向に収縮できるので、合計で13mmの最大軸方向行程2421が可能である。
【0404】
ライニング2407で3mmの最大ライニング摩耗が可能であると仮定すると、摩擦クラッチ2401の寿命にわたって、皿ばねは、旋回軸受2405の軸方向移動によって、この旋回軸受を中心にしてクラッチディスクに向かって3mm移動する。それにより、最大可能解離行程2421は約13mmから約10mmに減少するので、クラッチはその寿命の終わりにも依然として要求された解離公差8.4〜10mm以内にある。
【0405】
図示の実施例では、ストッパー2436はカバー2402と一体的に構成されている。しかしながら、このストッパーは、カバー2402と結合した独立の部材で形成することもできる。ウェブ2437も独立の部材で形成するか、または固有の部材として形成されたストッパー2436と一体的に構成ができる。
【0406】
さらに、図54および55に示されたクラッチユニット2401は、クラッチユニット2401が動作している間、使用中にクラッチユニット2401が回転する回転数範囲の少なくとも一部で、皿ばね2404に対して軸方向の支持力増加を引き起こす装置もしくは手段を有する。この支持力増加により、クラッチユニット2401の操作時に、少なくとも所定の回転数部分で発生する妨害因子の結果として、旋回サポート2411と協働する、センサーばね2413として構成されたセンサー装置の、ライニング2407の摩耗に起因しない、好ましくない軸方向偏向もしくはたわみに基づいて、許容されない調整が行われるのを防止できる。
【0407】
図54には、転動サポート2411に作用する軸方向力を高めるために、回転数もしくは遠心力に依存した手段2450が設けられている。遠心力に依存した手段2450は、センサー皿ばね2413の外側辺縁部に成形され、カバー2402に向かって軸方向に設置された舌片2450によって形成されている。図54aから分かるように、皿ばね状のセンサーばね2413は半径方向外側に延びている舌片状のブラケット2413aを有する。これらのブラケットは、図54および55から明らかなように、カバー2402に軸方向で支えられている。ブラケット2413aと、これを軸方向で支えているカバー2402の範囲2451との間には、バヨネット式の結合部材もしくはロック部材2452が設けられている。バヨネット式の結合部材2452は、センサーばね2413とケーシング2402を軸方向に組み合わせることにより、またそれに続くこれら2つの部材の相対的回動により、ブラケット2413aが軸方向にケーシング2402の支持範囲2451に位置するように構成されている。センサーばね2413とカバー2402を一緒に組み立てると、これら2つの部材が回動する前に、センサーばね2413は最初に弾性的に軸方向に緊張され、回動後に弛緩される。そうすることによって、ブラケット2413aは張力によってカバー2402に支えられる。図54aから分かるように、半径方向ブラケット2413aの両側に舌片2450が設けられている。クラッチユニット2401が回転すると、遠心力が舌片2450に作用する結果として、センサーばね2413の張力によって加えられる力に重なる、つまり加算される力が生み出される。そうすることによって、操作皿ばね2404に対する支持力は旋回サポート2411の範囲で拡大される。旋回サポート2411で舌片2450によって追加で生み出されるこの力は、回転数が増すにつれて大きくなる。しかしながら、この力の増加は、所定の水準の回転数以後は舌片2450が、これに作用する遠心力に基づいて、半径方向外側でケーシング2402に支えられるように変形もしくは旋回することによって制限できる。そうすると、遠心力に依存する手段2450によって生み出される追加支持力の増加が、旋回サポート2411の範囲で生じないか、もしくは事実上生じない。
【0408】
軸方向の力関係もしくは旋回サポート2411と皿ばね2404との間の力の平衡を考察する際に、さらに板ばね状のトルク伝達手段2409を考慮しなければならない。クラッチユニット2401の全寿命にわたってプレッシャープレート2403がトルク伝達手段2409によって皿ばね2404に対し軸方向に力で緊定されているように、この板ばね状のトルク伝達手段2409をケーシング2402とプレッシャープレート2403との間で緊張させることができる。したがって、トルク伝達手段2409によって加えられる軸方向力は、皿ばね2404からプレッシャープレート2403に及ぼされる力に抗して働き、それゆえセンサーばね2413によって皿ばね2404に加えられる軸方向力と加算される。このとき、これら2つの力は舌片先端部2404cに作用する解離力に軸方向で抵抗する。そうすると、クラッチユニット2401が回転していないときに皿ばね2404の軸方向移動に抵抗する実際のセンサー力は、トルク伝達手段2409とセンサーばね2413によって生み出され、皿ばね2404に作用する合力によって形成される。クラッチユニット2401が回転すると、舌片2450によって生み出される回転数もしくは遠心力に依存する力がこの合力に重なる。
【0409】
摩擦クラッチユニット2401を操作するとプレッシャープレート2403の持ち上げ行程の一部にわたって、クラッチディスク2408によって伝達されるトルクの漸次的な解消もしくは漸次的な形成を保証する、たとえばライニングばね2453として形成された装置を有するクラッチディスク2408において、この装置2430は、プレッシャープレート2403が摩擦ライニング2407もしくはクラッチディスク2408を解離するまでは、調整リング2417として構成された調整部材に対する皿ばね2404の軸方向支持を保証する。そうすることによって、少なくともほぼ調整リング2417の摩擦ライニング2407を解離するまでは、軸方向で皿ばね2404とケーシングもしくはカバー2402との間に緊定され続けており、したがって調整は行われ得ないことが保証される。クラッチユニット2401が解離してプレッシャープレート2403がライニング2407から持ち上がると、舌片2450のないクラッチユニットにおいて、板ばね状のトルク伝達手段2409とセンサー皿ばね2413とによって生み出される合力のみが軸方向の緊定力として主皿ばね2404に作用する。この合成センサー力は、舌片2404cに導入された解離力に抗して働く。所定の回転数範囲、特に高いエンジン回転数において、たとえばエンジンによって励起された振動が発生してプレッシャープレート2403の軸方向振動を引き起こすことがある。プレッシャープレート2403が軸方向に振動すると、このプレッシャープレート2403は主皿ばねもしくは皿ばね2404から短時間持ち上がることがあり、それによって合成センサー力が短時間低下する。なぜならば、このとき板ばね状のトルク伝達手段2409によって生み出される軸方向力はもはや皿ばね2404には作用しないからである。その結果として、皿ばね2404もしくはこの皿ばねに作用する解離力と、この皿ばね2404に作用する合成解離力との間で、装置2416の計画的な調整に必要な力関係が阻害されている。しかも、このようなクラッチユニット2401の動作状態では、皿ばね2404に作用する軸方向支持力は小さくなり過ぎるので、クラッチは時期尚早の、もしくは好ましくない調整を行い、それによって皿ばね2404の動作点が皿ばね最小限に向かって移動する。さらに、エンジンの所定の動作状態において、特に高いエンジン回転数で、特に大きいクランクシャフト周速が生じることがある。このクランクシャフト周速は調整リング2417の慣性に基づいて周速を生み出す。これらの周速は、調整リング2417とケーシング2402との間で作動する調整ランプ2418、2419によって、皿ばね2404に対する軸方向成分を生み出すことができるが、この軸方向成分は合成センサー力とは反対方向に向けられているので、やはり好ましくない調整が行われることがある。さらに、発生する振動に基づいて乗り上げ傾斜面2418、2419の間に存在する摩擦係合が減少し、その結果として調整リング2417に周方向に作用する調整ばね2417aによって生み出されて皿ばね2404に作用する軸方向力が増加する。そうすることによって、やはり好ましくない調整が支援される。
【0410】
遠心力に依存した支持手段2450なしでクラッチユニット2401の上述の短所を取り除くために、図54〜55に図示した実施例では遠心力に依存した舌片2450が設けられている。これらの遠心力に依存した手段2450は、センサーばね2411によって生み出される力と平行に導入された、回転数もしくは遠心力に依存して増加する支持力を生み出すことによって、回転数に依存する妨害効果を補償する。
【0411】
この場合、クラッチユニット2401におけるライニング摩耗に必要な調整がクラッチユニット2401の停止時または少ない回転数で可能であるように、遠心力に依存する手段を構成できる。そうすると、回転しているクラッチユニット2401もしくは臨界的振動が発生し得る回転数以上では、調整装置2016を事実上ロックできる。
【0412】
図56に示されている摩擦クラッチ2501の実施例では、センサーばね2513が、皿ばね旋回軸受2505の半径方向内部に配置されている。センサーばね2513はリング状の基体2513aを有し、ここから半径方向内側に向いた舌片2513bが出ている。これらの舌片2513bを通して、センサーばね2513はリング状の衝止範囲2536に支えられている。この衝止範囲は、図54および55に従うリング状の衝止範囲2436のように、配置および構成されている。センサー舌片2513bは、衝止範囲2536の、皿ばね舌片先端部2504cに向いた側に支えられている。基体2513aは半径方向外側にも舌片2513cを有する。これらの舌片は皿ばね2504を軸方向で支持するためにこれと当たっている。
【0413】
センサーばね2513のカバー2502への取り付けは、内側舌片2513bに制限された内径2540が衝止範囲2536の外径2541より大きくなるまで、このセンサーばねが円錐状に変形されることによって行うことができる。こうすることによって、支持舌片2513bは、図54および55の舌片2404bおよび開口部2438との関連で説明したのと類似の仕方で、カバー2502の開口部2538に挿入できる。舌片2513bが開口部2538に挿入された後、センサーばね2513は弛緩できる。そうすることによって、舌片2513bの内側端部範囲はより小さい直径に移動され、衝止範囲2536に当たる。
【0414】
もう1つの可能性は、センサーばね2513をカバー2502に取り付けるために、少なくとも内側舌片2513bの一部が軸方向にカバー2502に向かって持ち上げられて、衝止範囲2536の外径よりも大きい内径2540を限定することである。センサーばねもしくは舌片2513bがカバーの開口部2538に挿入された後、舌片2513bの半径方向内側の範囲が張力により衝止範囲2536に当たるようにこの舌片を曲げ戻すことができる。この曲げ戻しによって、舌片2513bは皿ばね材料の塑性変形により図56に示されている破線の位置から、実線で示された位置に旋回する。センサー舌片2513bを塑性変形させるために、これらのセンサー舌片は皿ばね2504の舌片2504bもしくは舌片先端部2504cに軸方向で支持されることができる。舌片2513bの曲げ操作のために、操作皿ばね2504の舌片2504bを上方から支持し、センサーばね舌片2513bに下方から、しかも舌片2513bが折り曲げられている直径範囲で作用する工具を用いることができる。
【0415】
皿ばね2404および2504の解離行程もしくは旋回角を制限するストッパー2436および2536の長所は、これらが対応するクラッチ2401もしくは2501に組み込まれており、皿ばね舌片2404bもしくは2504bの範囲で作動する点である。そうすることによって、皿ばね舌片2404b、2504bがストッパー2436、2536に当たると、皿ばね舌片は軸方向に変形できないか、わずかしか変形できないことを保証できる。そうすることによって、摩擦クラッチ2401、2501が解離した状態に対応する位置で、皿ばね舌片2404b、2504b自体はクラッチディスク2408の部材に当たらないことを保証できる。図54には、解離したクラッチに対応する皿ばね2404の位置が破線で示され2450で表示されている。つまりそれによって、摩擦クラッチ2401が解離した状態で、このクラッチ2401に対して回転しているクラッチディスク2408に皿ばね舌片2404bが当たったり、滑ったりすることを避けることができる。
【0416】
図54〜56に従う図示の実施例では、ストッパー2436、2536が皿ばね舌片先端部2404c、2504cの範囲で設けられている。しかしながら、これらのストッパーは別様に構成して、内側の舌片先端部2404c、2504cに対して半径方向外側にずれているようにすることもできる。しかしながら、このような構成においては、皿ばね舌片2404b、2504bがこれらに作用する解離力とストッパーによる支持のために許容されない程たわむことがないように、舌片先端部2404c、2504cと半径方向に一層外側に位置するストッパーとの間にある半径方向レバーアームが選択されていることが好都合である。
【0417】
上述の過大な、もしくは許容されない大きい解離行程は、図示および説明した構成において皿ばね舌片によって形成されているクラッチ操作手段に作用するレリーズシステムもしくは操作システムによって引き起こされることがある。この操作システムは、通常摩擦クラッチの操作手段に作用するレリーズベアリング、クラッチペダルなどの操作部材およびレリーズベアリングと操作部材との間に設けられている力伝達系統を包含している。この力伝達系統はインプットシリンダーとアウトプットシリンダーを有することができる。インプットシリンダーとアウトプットシリンダーとを有するレリーズシステムにおいて、正常な解離行程を越えた許容されない解離行程は、摩擦クラッチがすばやく接続し再び解離する結果、アウトプットシリンダーが十分速く復帰できないことによって起こることがある。つまり、アウトプットシリンダーが最終位置に達しないので、その直後に行われる再解離ではアウトプットシリンダー自体は正常な解離行程に対応する行程を通過するが、正常な解離行程と実行されない残余復帰行程との合計に対応するクラッチの全解離行程が生じる。そうすることによって、クラッチの所定の最大所要解離行程を著しく越える摩擦クラッチの全操作行程が生じ得る。つまり、摩擦クラッチで設けられている操作のための予備超過行程も越えるのである。
【0418】
本発明の方策もしくはストッパー2036、2436、2536により、摩擦クラッチを操作するときに許容されない程大きい解離行程もしくは超過行程を防止できるが、クラッチの寿命にわたって必要な所定の正常解離行程が保証されている。
【0419】
したがって本発明に従い、まったく一般的にクラッチにおいて、特に少なくともクラッチディスクの摩擦ライニングの摩耗を保証する調整装置を有するクラッチにおいて、クラッチ操作手段を操作するときにこのクラッチ操作手段の超過行程を避ける、少なくとも1つのストッパーをクラッチ操作系統に設けることができる。このようなストッパーは、たとえばレリーズベアリングの解離行程または皿ばねの旋回行程を制限できる。しかしながら、このようなストッパーは、別の箇所に設けることもできる。さらに、解離方向においても、接続方向においても、ストッパーなど所定の制限部材を設けることによって、摩擦クラッチの操作行程を所定の一定値に制限できる。
【0420】
このような制限がレリーズベアリングの範囲で起こり得ることが好都合である。なぜならば、この範囲では摩擦クラッチの皿ばね舌片などの操作手段と所定の行程を制限している部材との間の公差連鎖は小さいからである。
【0421】
このような制限部材もしくはこのようなストッパーがあると、解離の際に事実上剛な制限部材に衝突するので、部材、特にレリーズシステムの部材の過負荷がかかったり、あるいはフット操作式システムでは操作者にとっても好ましくないこともある。それゆえ、本発明の構成に従い、摩擦クラッチの操作系統に、ばね弾性的もしくは弾力的なたわみ手段および/またはレリーズシステムにおける圧力を制限する手段が設けられる。その際、この手段は、クラッチの操作に必要な最大力もしくは必要な最大圧力より少なくともやや大きい張力を有するか、最小変形力もしくは開放力を必要とする。それによって、ストッパーが作動するときにクラッチペダルをさらに踏み込めること、もしくは操作モータが所定の位置まで動作できることが保証される。摩擦クラッチの操作系統に設けられているたわみ手段は、クラッチ操作手段とレリーズベアリングとの間、またはレリーズベアリングと解離操作手段、たとえばクラッチペダルまたはレリーズモーターとの間に設けることができる。
【0422】
図57には、レリーズシステム2601が図示されているが、ここにはレリーズベアリング2622がクラッチ操作手段2604および/またはクラッチケーシング2602に及ぼし得る最大力を制限するための手段の配置構成の種々の可能性が示されている。図57には、図43および44に従うストッパー2036との関連で説明したのと類似に、レリーズベアリング2622の所定の行程の後にケーシング2602に当たる軸方向ストッパー2636が設けられている。しかしながら、この解離行程制限は、たとえば図54〜56に関連して説明したように、別の仕方でも行うことができよう。レリーズシステム2601は管2652を通して連結されたインプットシリンダー2650とアウトプットシリンダー2651とを有する。アウトプットシリンダー2651のピストン2653はレリーズベアリング2622を支持しており、ケーシング2654に軸方向に移動可能に収容されている。圧力室2655には管2652を通して油などの液圧媒体が供給される。シリンダーユニット2650は、中に設けられたピストン2657と連結して容積が可変な圧力室2658を形成するケーシング2656を有する。圧力室2658は管2652を通して圧力室2655と連結している。圧力室2658には、ピストン2657のための戻しばね2659が設けられている。ピストン2657は、クラッチペダルや操作モーター、たとえば電動モータまたはポンプを介して軸方向に移動できる。レリーズシステム2601の圧力媒体回路は、圧力媒体容器2660と連結している。インプットシリンダー2650が管2661を通して圧力媒体容器2660と直結していることが好ましい。
【0423】
解離手段2604および/またはケーシング2602に作用するクラッチ操作力を制限するために、図57に従う実施例では、レリーズシステム2601の圧力媒体循環に、摩擦クラッチを操作したときに圧力媒体循環内に発生する圧力を所定の値に制限する、少なくとも1つの手段が設けられている。図57に従う実施例では、この手段は少なくとも1つの圧力制限弁によって形成されている。図57には、このような圧力制限弁の種々の配置構成の可能性が示されている。このような圧力制限弁2662は、たとえば配管系2652内に設けることができ、圧力媒体容器2660内への還流路2663を有する。しかしながら、圧力制限弁2662の代わりに、圧力制限弁2664を設けることもできる。この圧力制限弁歯面、ケーシング2654によって支持され、またはこのケーシングに完全に組み込むことができ、圧力室2655と連通しており、還流管2665を通して圧力媒体容器2660と連結している。
【0424】
図57には、圧力制限弁2666の配置構成の別の可能性が示されている。圧力制限弁2666はインプットシリンダーの圧力室2658と連結しており、ケーシング2656によって支持され、またはこのケーシングに組み込むことができる。さらに、この圧力制限弁2666は、圧力媒体タンク2660へ還流するようになっている。このために圧力制限弁2666は固有の管を有するか、管2661と連結している。
【0425】
圧力制限弁2667を配置するもう1つの可能性は、これをインプットシリンダー2650のピストン2657に組み込むことである。この弁2667は弛緩側で圧力媒体容器2660または少なくとも中間貯蔵容器と連結している。
【0426】
逃がし弁の代わりに、レリーズシステム内に発生する最大圧力を制限する圧力媒体循環内に油圧貯蔵器を設けることもできる。この油圧貯蔵器は、圧力媒体の貯蔵によって解離行程を制限するためのストッパーが作動した後にシステムを弛緩させ、したがって事実上緩衝装置もしくはばね力貯蔵手段として働くことによって、レリーズシステム内に発生する最大圧力を制限する。
【0427】
図58に示されたクラッチユニット2701は、上掲の図に関連して説明したのと類似に、クラッチディスク2708の摩擦ライニング2707で生じる摩耗を自動的に補償するための調整装置2716を有する。図示の実施例では、基本的な構造と調整装置2716の作動方式は、図54および55のそれに対応している。調整部材もしくは調整リング2717は、クラッチユニット2701の解離動作中に皿ばね2704と協働できる接触範囲もしくは衝止範囲2770を有する。解離動作中に皿ばね範囲2771が、調整リング2717に支持された衝止範囲2770に少なくとも間接的に、なるべくは直接的に、軸方向に支持されるように、衝止範囲2770はこれと協働する皿ばね2704の範囲2771を基準に軸方向に相対的に配置されている。この相互的支持が、舌片先端部2704cの範囲で目標解離行程2772もしくは対応する皿ばね2404の旋回角に少なくともほぼ達するか、もしくはわずかに越えるたときに行われるようにされているのが好都合である。誤った、もしくは不適切に調整されたレリーズシステムが原因で、目標解離行程2772cをわずかに越えることがある。皿ばね2704を接触範囲2770で軸方向に支えることによって、調整リング2717の好ましくない回動が防止される。つまり、皿ばね2704は所定の解離行程2772を越えるときに、事実上調整リング2717のブレーキとして働くのである。
【0428】
図示された実施例において、接触範囲もしくは衝止範囲2770は旋回軸受2705の半径方向外部でリング2717に成形されているリング状の突出部2773によって形成されている。リング状の半径方向突出部の代わりに、円周上に分布した若干の半径方向ブラケット2773が、図示の実施例では皿ばね2704の外縁まで延びている。所定の解離行程2772に達するとすぐに、皿ばね2704が外側範囲2771により調整リング2717の衝止範囲2770に支えられている。所定の解離行程2772を越えると、皿ばね2704の旋回直径は拡大する。なぜならば、この旋回直径は、旋回軸受2705の直径から、皿ばね2704の範囲2711と衝止範囲2770との間の接触直径に移行するからである。この移行により、舌片2704cの範囲で必要な解離力の減少も行われる。なぜならば、皿ばねのてこ比はiからi+1に変化するからである。しかも、最初に解離行程2772までは2アームレバーとして支持されている皿ばねが、行程2772を越えると事実上1アームレバーとして旋回するからである。この解離力減少によって、皿ばね2704が特にセンサーばね2713と板ばね2709によって加えられる軸方向の合成支持力もしくは作用力によりケーシング2702もしくは調整リング2717に向かって圧迫されることも保証される。したがって、皿ばね2704は全体が調整リング2717もしくはカバー2702から軸方向に離れて移動できない。所定の解離行程2772を越えると、センサーばね2713は軸方向にばね弾性的に変形する。しかも、それは皿ばねがこのとき旋回軸受2705の範囲で調整リング2717から持ち上げられるからである。
【0429】
突出部もしくはブラケット2773が、プラスチックから作られた調整リング2770に射出成形されていることが好都合である。ブラケット2773に軸方向に作用する最大力は、皿ばね舌片2704cの範囲の最小解離力と、センサーばね2713および板ばね部材2709によって加えられる皿ばね2704に対する軸方向のセンサー力もしくは支持力との差から生じる。ブラケット2773は、この最大力に重大な変形なしに耐えられるように形成されている。
【0430】
別の重要な長所は、プレッシャープレート2703の軸方向の持ち上げが事実上一定にとどまり、したがって行程2772を越えると板ばね2709によって主皿ばね2704に加えられる軸方向力はそれ以上低下しないことにある。板ばね2709によって加えられる力は、合成センサー力の一部をなしているので、この板ばねの残っている残留張力に基づいて摩擦クラッチ2701の超過行程安定性が増大する。それによって、たとえば乗用車のクラッチは、調整装置2716の機能を損ねることなく、舌片先端部2704cの範囲で約0.5〜2mmの超過行程を実現できる。
【0431】
プレッシャープレート2703の持ち上げ制限は、所定の解離行程を越えると、プレッシャープレート2703がセンサーばね2713に軸方向に支持されることによっても行うことができる。このためにセンサーばね2713および/またはプレッシャープレート2703に、カムや突起などの成形部材を設けることができる。
【0432】
図59から図62までに応じて構成された摩擦クラッチ3001は、ケーシング3002と、このケーシング3002と回動不能に結合されてはいるが軸方向に制限されて移動可能な押圧板3003とを有している。軸方向で押圧板3003と、薄板カバーとして構成されたケーシング3002との間には圧着皿ばね3004が緊定されている。該圧着皿ばね3004は半径方向外側の範囲で押圧板3003を、ケーシング3002と不動に結合された対応押圧板3006、例えばはずみ車の方向に負荷し、半径方向内側にある別の範囲で、カバーにより保持されたリング状の支持部3005に軸方向で支えられている。この支持部3005は図示の実施例では線材リングによって形成されている。摩擦クラッチを作動した場合もしくは皿ばね3004を旋回させた場合には、2腕レバーとして有効な皿ばね3004はリング状の支持部3005を中心として傾動させられ、皿ばねの円錐性が変化させられた場合にリング状の支持部3005に支えられる。摩擦クラッチの接続された状態で皿ばね3004により作用させられる軸方向力によってクラッチ円板3008の摩擦ライニング3007は押圧板3003と対応押圧板3006との摩擦面の間に締込まれる。作動皿ばね3004は転動支持部3005とは反対側でバイアスのかけられた皿ばね3009の形をした蓄圧器により負荷される。この蓄圧器は作動皿ばね3004とケーシング3002との間に軸方向に緊縮されている。皿ばね3009によって加えられる軸方向力は有利にはこの軸方向力がクラッチ1を遮断するために必要な遮断力よりも大きくなるように設定されている。前記遮断力は摩擦クラッチ3001を作動するために皿ばね舌状部3011の先端3010に作用する。皿ばね舌状部3011は公知の形式で弾性的な、リング状の皿ばね基体3012に移行する。図示の実施例では支持皿ばね3009は作動皿ばね3004を押圧板突起3013の半径方向の高さで負荷するので、支持皿ばね3009は皿ばね3004に、皿ばね3004から与えられたモーメントとは反対に向けられた対抗モーメントが導入される。これによって皿ばね3004によって突起3013もしくは押圧板3003に作用させられた軸方向力は皿ばね3004により与えられる実際の力よりも小さくなる。これは押圧板3003が効果的に、摩擦クラッチ3001の十分なトルク伝達キャパシティを保証する力で負荷されるためには皿ばね3004の設計に際して考慮されなければならない。支持皿ばね3009は半径方向内側に皿ばね3004に向かって軸方向に折曲げられた舌状部3009aを有している。該舌状部3009aは━周方向で見て━個々の押圧板突起3013の間を延びている。皿ばね3009はカバー3002にバヨネット状の錠止装置を介して結合されていることができる。このためには支持皿ばね3009のリング状の基体は半径方向外側の突起3009bを有し、該突起3009bはケーシング3002の適当に構成された範囲に軸方向で支えられる。
【0433】
支持皿ばね3009とケーシング3002との間のバヨネット状の錠止装置を構成するためには皿ばね3009はまず軸方向にバイアスがかけられる。したがって支持皿ばね3009の半径方向外側の範囲もしくは張出し部3009bは軸方向でケーシング3002の支持範囲3002bの上へ位置するようになる。そのあとで300皿ばね9とケーシング3002との間の適当な相対回動によって張出し部3009bを軸方向で支持範囲3002bに接触させることができる。しかしながらケーシング側の支持範囲3002bはケーシング3002の軸方向の範囲に設けられた押し込み変形部によって又は舌状の切出し部によって形成することができる。前記切出し部は皿ばね3009を挿入しかつ緊定したあとで、この皿ばね3009の外側の縁範囲の下へ材料変形によって押し込まれる。さらにカバーに固定される付加的な構成部材を使用することもできる。
【0434】
さらに支持皿ばね3009は作動皿ばね3004を半径方向でさらに内方で支えるようにも構成できる。この場合には多くの使用例にとっては図59に示されかつ符号3014で示されているように支持がカバー側の支持部3005の半径方向の高さで行われると特に有利である。このような支持の場合には皿ばね3009によっては皿ばね3004の圧着力を減少させる対抗モーメントが皿ばね3004に導入されない。
【0435】
押圧板3003はケーシング3002に周方向又は接線方向に向けられた板ばね3015を介して回動不能に結合されている。図示の実施例ではクラッチ円板3008はいわゆるライニングばねセグメント3016を有しており、該ライニングばねセグメントは摩擦クラッチ3001が接続された場合に漸進的なトルク形成を保証する。その際ライニングばねセグメント3016は両方の摩擦ライニングが互いに近づくように限られた軸方向の移動することで摩擦ライニング3007に作用する軸方向力を漸進的に上昇させることを可能にする。摩擦クラッチ3001を遮断する場合には似たような形式で、伝達可能なトルクの漸進的な減少が達成される。しかしながら本発明による摩擦クラッチと関連しては摩擦ライニングが実質的に不動に保持円板に取付けられているクラッチ円板を使用することもできる。
【0436】
作動皿ばね3004に作用する支持皿ばね3009によっては、摩擦クラッチ3001の普通の遮断距離もしくは皿ばね3004の普通の旋回角度に亙って、この皿ばね3004がカバー側の支持部3005に対して負荷されかつこの支持部3005に所定の軸方向の力で接触することが保証される。
【0437】
皿ばね状の構成部分もしくは皿ばね3009は有利にはセンサばねとして構成されている。このセンサばねは所定の作業距離に亙って少なくともほぼコンスタントな力を生ぜしめる。このばね3009を介して舌状部先端3010に作用するクラッチ遮断力は少なくともほぼ受け止められる。遮断力とは摩擦クラッチ3001を作動する場合に舌状部先端3010もしくは遮断レバーに生ぜしめられかつ皿ばね3009に導入される最大力であると解される。摩擦クラッチの申し分のない機能を可能にするためには皿ばね3009と場合によっては他の構成部分、例えば板ばね3015によって生ぜしめられた、皿ばね3004に作用する軸方向力は最大遮断力よりも大きいが、皿ばね3004によって押圧板3003に作用させられた残留する力よりも小さいものでなければならない。他面においては支持皿ばね3009の力は可能性のある妨害力、例えば軸方向の振動により発生する慣性力をも受け止めなければならない。有利な形式で皿ばね3009は、該構成部分3009が作動皿ばね3004に最大遮断力の1.1から1.4の大きさの軸方向力を生ぜしめるように構成することができる。
【0438】
ケーシング側のリング状の支持部もしくは旋回支持部3005は後調節装置3017に統合させられている。この後調節装置3017はまず皿ばね3004を摩擦ライニング及び(又は)押圧板3003もしくははずみ車3006の摩擦面の摩耗に相応して軸方向に移動させ、さらに皿ばね3004が押圧板3003に向かってもしくは対応押圧板3006に向かって軸方向に移動させられた場合に旋回支持部3005とケーシング3002との間もしくは旋回支持部3005と皿ばね3004との間に不都合な遊びが生じないことを保証しなければならない。これによって摩擦クラッチ3001を作動する場合に不都合な死行程もしくは空行程が生じないことが保証され、摩擦クラッチの良好な効率及び申し分のない作動が得られるようになる。旋回支持部3005の自動的な後調節の作用形式はさらに、図62から66までと図62aから66aまで詳細に説明されている。
【0439】
後調節装置3017は周方向にばね負荷された、リング状の構成部分3018を有している。この構成部分3018は摩耗補償リングを形成している。摩耗補償リング3018は周方向に延びる、軸方向に上昇する乗上げランプ3019を有し、この乗上げランプ3019は構成部分3018の周方向に分配され、しかも図61に同様に後調節装置3017の構成部分である別のリング状の構成部分3020と関連して示されているように配置されている。摩耗補償リング3018は乗上げランプ3019がケーシング底3002aに向き合うようにクラッチ3001内に組込まれている。摩耗補償リング3018の、乗上げランプ3019とは反対側では、線材リングによって形成された旋回支持部3005が溝状の受容部において同心的に配置されている。しかしながら旋回支持部3005は摩耗補償リング3018と一体に構成されていることもできる。
【0440】
乗上げランプ3019は、図示の実施例ではケーシング3002に直接的に、すなわちカバー底3002aに形成された対応乗上げランプ3021に軸方向で支えられている。この対応乗上げランプ3021は図61においてリング状の構成部分3020のための対応乗上げランプ3022と関連して示したように設けられている。このリング状の構成部分3020は摩耗補償リング3018の乗上げランプ3019と同じように楔又は突起状の成形部3024により形成されている。
【0441】
対応乗上げランプ3021,3022はカバーに設けられた軸方向の押込み変形部により形成されている。この場合、周方向で見て、対応乗上げランプを形成する範囲の間には、図61において対応乗上げランプ3022を形成するカバー範囲3026で示したように透し孔もしくは切欠きが設けられている。この場合、押込み変形部3026は、摩擦クラッチ3001の回転方向で見て、押込み変形部3026の前方範囲が隣接するカバー範囲に対してもしくは隣接する押込み変形部3026の後方範囲に対して軸方向に突出するように構成され、これによって押込み変形部もしくは成形部3026が送風機の羽根に似たように作用するようになっている。したがって摩擦クラッチ3001の回転に際して開口もしくは切欠きを通って強制的にクラッチ内室へ流入する空気循環が生ぜしめられ、これによって摩擦クラッチ、特に摩擦ライニング3007の熱的な負荷が著しく軽減され、寿命が相応に延長される。リング状の構成部分3018、3020はプラスチック、例えば耐熱性のサーモプラスチックから製作することができる。これによってこれらの構成部分3018,3020は簡単な形式で射出成形部分として製造することができるようになる。しかしながら、これらの構成部分を薄板成形部分又は焼結部分として構成することができる。送風開口3025の有利な配置によってリング状の構成部分3018,3020の熱的な負荷も著しく減少させられる。これはプラスチックを使用する場合に特に重要である。
【0442】
乗上げランプ3019と3023並びにこれらの乗上げランプに配属された対応乗上げランプ3021,3022は周方向で見て、これらの対応乗上げランプがケーシング3002に対して摩耗補償リング3018及び摩耗フィーラリング20の回動を可能にするように構成されている。この回動角は少なくとも摩擦クラッチの全耐用年限に亙って、押圧板3003、対抗押圧板3006及び摩擦ライニングの摩擦面において発生する摩耗の補償が保証されるように選ばれている。この場合には個々のランプ3019,3021及び3022,3023の間に、最大許容総摩耗に達した場合にまだ存在する面接触が、これに作用する軸方向力を受け止めるために十分な大きさを有するようになることに注意しなければならない。これは特に皿ばね3004の全圧着力を受け止める摩耗補償リング3018と関連して有意義である。回動もしくは後調節角は乗上げランプ3019,3023及び対応乗上げランプ3021,3022の構成に応じて10〜90°、有利には30〜80°の大きさであることができる。乗上げランプ3019,3023及び対応乗上げランプ3021,3022の軸方向の起立角もしくは乗上げ角は有利な形式で4〜30°、有利には4〜15°の大きさであることができる。図示の実施例では前記角度3027は約12°である。特に有利であるのは前記角度3027が、乗上げランプ3019,3023と対応乗上げランプ3021,3022とが互いに押し合わされた場合に発生する摩擦が互いに接触しあうランプの間のスリップを阻止するように選ばれ、実質的に摩擦による自縛作用が発生するようになっていると有利である。角度3027を決める場合には後調節ばね3028と3029とにより摩擦補償リング3018及び(又は)摩擦フィーラリング3020に生ぜしめられた周方向の力を考慮しなければならない。摩擦補償リングと摩擦フィーラリングとに配属された乗上げランプと対応乗上げランプのための乗上げ角3027は同じであることができる。しかしながらこの両方のリングには大きさが異なりかつ異なる乗上げ角3027を有するランプを配属させておくこともできる。
【0443】
摩擦補償リング3018は周方向でばね負荷され、しかも後調節回転方向へ、すなわちランプ3019が対応ランプ3021に乗上げることにより摩擦補償リング3018が押圧板3003に向かって、すなわち半径方向のケーシング区分3002aから離れるように軸方向に移動させられる方向へばね負荷されている。図59と図60とに示された実施例では摩擦補償リング3018のばね負荷は少なくとも1つのコイルばね3028によって保証される。図示の実施例では両方のリング3018,3020はばね3029を間挿して作用的には直列に配置されているので、ばね3028によって同様に摩耗フィーラリング3020の後調節が行われる。コイルばね3028はクラッチカバー3002と一体に構成された舌片3030に受容されている。舌片3030はカバー3002の薄板材料から例えば打抜かれたU字形の切抜き3002cを形成することによって形成されている。舌片3030は周方向で見て円弧状に又は接線方向に延び、有利には少なくともほぼ、直接的に隣接するカバー範囲と同じ軸方向の高さに設けられている。舌片3030の幅はその上に設けられたコイルばね3028が半径方向でも軸方向でも案内されるように決められている。
【0444】
ばね3028によって後調節方向に負荷された摩耗補償リング3018は内周に少なくとも1つの、半径方向内方に向いた張出し部3031を有している。この張出し部3031はカバー3002と皿ばね3004との間を延びている。張出し部3031は半径方向内方に向けられたフォークもしくはU字形の成形部3032を有している。このフォークもしくは成形部3032の、軸方向に向けられた両方の歯3033は案内舌片3030を両側で掴んでいる。このためには両方の歯3033は軸方向でカバー3002の切抜き部3002c内へもしくは該切抜き部3002cを通って延びている。成形部3031もしくはその歯3033には後調節ばね3028が支えられ、ひいては摩耗補償リング3018を周方向で負荷しており、適当に傾斜したランプ3019と対応ランプ3021と関連して軸方向に向けられた軸方向成分がリング3018、ひいては支持部3005にカバー3002から離れる方向にかつ皿ばね3004に向かって生ぜしめられる。
【0445】
半径方向外側に摩耗補償リング3018は少なくとも1つの半径方向の張出し部3034を有し、該張出し部3034は周方向で見て、摩耗フィーラリング3020の半径方向内側に設けられた張出し部3035と半径方向でオーバラップしている。張出し部3034,3035には切欠き又は孔3036が設けられ、この切欠き又は孔3036には、両方のリング3018と3020との間で少なくともわずかにバイアスのかけられたコイルばね3029が受容されている。張出し部3034が張出し部3035に当接することにより摩耗フィーラリング3020に対する摩耗補償リング3018の相対回動は制限される。
【0446】
摩擦クラッチ1はさらに摩耗センサ3037を有している。この摩耗センサ3037は図59に示された実施例においては皿ばね状もしくはダイヤフラム状の構成部分3037によって形成されている。ダイヤフラム状の構成部分3037は弾性的な、リング状の範囲3038で皿ばね3004の、押圧板3003に向いた側を延び、皿ばね3004に有利には摩耗フィーラリング3020に向かう所定の軸方向の予荷重で支えられている。ダイヤフラム状の構成部材3038は皿ばね3004と半径方向内側で固定的に結合され、しかもリベット結合部3039を介して結合されている。しかしながら他の結合装置、例えばバヨネット状の錠止装置を皿ばね3004とダイヤフラム状の構成部分3037との間に設けることもできる。弾性的なリング状の範囲3038は支持皿ばね3009の舌状部3009aの半径方向の高さに切欠き3040を有し、この切欠き3040を通って舌状部3009aの支持範囲が軸方向に延びることができる。これによって舌状部3009aがダイヤフラム3037の弾性的な変形を妨げなくなる。半径方向外側にダイヤフラム状の構成部分3037は摩耗フィーラリング3020のための軸方向の支持範囲を形成する軸方向の範囲3041を有している。
【0447】
ダイヤフラム状の構成部分3037がリング3020の上及び皿ばね3004の外縁に支持される予荷重は、クラッチが閉じられた状態で摩耗フィーラリングが、まだ摩耗していない場合に又は摩耗がすでに補償されている場合に回動しないように選ばれている。ばねもしくはダイヤフラム状の構成部分3037を設計する場合には摩擦クラッチの運転中に構成部分3037に種々の構成部分によって生ぜしめられる妨害力、例えば慣性力も考慮されなければならない。したがって構成部分3037の予荷重によっては、例えば構成部分3020によって惹起される軸方向力による軸方向の振動に基づく軸方向力が構成部分3037の変形なしで受止められかつこれが摩擦クラッチの接続状態で行われることが保証されなければならない。
【0448】
摩耗、特にライニング摩耗に帰因しないで摩耗センサ3037が摩耗フィーラリング3020から離れることは回避されなければならない。何故ならばさもないと、摩耗フィーラリング3020の不都合な回動もしくは後調節が行われ、これによって摩耗センサ3037にかけられた予荷重がそのままになり、摩擦クラッチ3001のコントロールされない後調節が行われる危険が生じるからである。図62から66までと62aから66aまでと関連しては後調節装置3017の作用形式だけを詳細に説明することにする。
【0449】
図62と62aにおいては構成部分が摩擦クラッチ1もしくはクラッチ円板3008の摩擦ライニング7の新しい状態で、しかも摩擦クラッチ3001が接続された状態でとる構成部分の位置が示されている。この状態では皿ばね3004の外縁とそれに向き合った摩耗フィーラリング3020の支持もしくはストッパ面3020aとの間の間隔Lは、押圧板3003の目標離反距離を決定する普通の目標遮断距離に相当する。この新しい状態では、摩耗センサを形成するダイヤフラム状の構成部分3037は皿ばね3004の外径の範囲に軸方向で接触し、摩耗フィーラリング3020が回動することを阻止する。摩耗フィーラリング3018は皿ばね3004を介して与えられた支持力によって回動に対して固持される。
【0450】
図62aから判るように、制限ストッパを形成する突起3034,3035は互いに当接する。これによってリング3018は同様に回動を阻止される。両方のリング3018,3020の間に設けられたばね3029には後調節ばね3028により生ぜしめられた力によってバイアスがかけられる。したがってばね3028により与えられる後調節力は全寿命に亙って、したがってリング3018,3020の全回動距離もしくは後調節距離に亙って、ばね3029により図62aに示した緊縮された位置で生ぜしめられる力よりも大きいものでなければならない。
【0451】
図62に示された位置から摩擦クラッチ3001を遮断するためには皿ばねは転動支持部3005を中心として旋回させられ、図63に示されているように遮断距離Xのあとで外縁で摩耗フィーラリング3020のストッパ面3020aに当接する。この場合、押圧板3は離反距離L1だけ軸方向に移動させられ、したがって0位置から遠ざけられる。摩擦クラッチのこの遮断時相の間は、ばね作用を有する構成部分には付加的に軸方向のバイアスがかけられる。これによって摩擦クラッチを遮断する場合にまず間隔Lに相応する皿ばね外縁の旋回距離に亙って摩耗フィーラリング3020が強められた力でカバー3002の方向に負荷され、したがってリング3020の不都合な後調節が回避されるようになる。図63aから判るように両方のリング3018,3020の角度的な位置は変化しない。
【0452】
距離Xは押圧板3003の離反L1を達成するための最少遮断距離と後調節機能を保証するために必要な最少距離に相応する。
【0453】
この最少離反行程を達成するためには通常は自動車の遮断系にXよりもいくらか大きい遮断距離が設けられている。この遮断距離は製作誤差と振動に基づきさらに拡大することがある。この場合にはこれは距離ΔXで示されている。最少遮断距離Xを越えると皿ばね3004は転動支持部3005から離れるので、この皿ばね3004と転動支持部3005との間にはギャップ3042が生じる。しかしながら摩耗補償リング3018の後調節は可能ではない。何故ならば図64aに示されているように、両方のストッパ突起3034,3035は互いに接触し、摩耗フィーラリング3020は付加的に皿ばね3004によってもしくは皿ばね3004をリング3020に対して押す支持ばね3009によって回動が阻止されているからである。図62,63及び64から判るように摩擦クラッチ3001を遮断する場合には支持ばね3009もその円錐性を変化させる。
【0454】
摩擦クラッチを作動させる場合もしくは摩擦クラッチを接続する場合に例えば摩擦ライニングにおいて摩耗が生じると、押圧板3003は摩耗に相応する値3043(図65)だけ軸方向で対抗押圧板3006に向かって移動する。この軸方向の移動によって皿ばね3004と支持ばね3009との円錐性もしくは起立角が変化し、皿ばね3004は舌状部先端範囲3010で値ΔYだけ図62に示された位置に対して軸方向で右へ移動させられる。皿ばね304の円錐性の変化によって摩耗センサ3037の支持範囲3041も軸方向で左へ移動させられ、摩耗フィーラリング3020から値XYだけ離される。これによって摩耗フィーラリング3020にかかる負荷が除かれるかもしくはばね3029の作用下で回動のために解放され、ランプ3022,3023を介して軸方向に移動させられる。摩耗フィーラリング3020の回動はばね3029の力が支持範囲3041に当接するリング3020を回動させるには十分でなくなるまで行われる。しかしながら摩耗補償リング3018の回動はこの摩耗補償リングが軸方向で皿ばね3004により負荷されているので可能ではない。摩耗フィーラリング3020の回動によって、図65aに示されているように、両方のストッパ突起3034,3035の間にはギャップもしくは間隔3045が生じる。この間隔3045はほぼ、乗上げランプ3023もしくは対応乗上げランプ3022の角度3027のタンジェントで割られた摩耗フィーラリング3020の軸方向の移動3044に相応する。
【0455】
摩耗3043に基づき接続距離Yは遮断距離X+ΔXに対して値ΔYだけ増大している。
【0456】
摩耗を有する前述の接続過程に続く摩擦クラッチの遮断過程においては、図64と関連した記述と同じように摩耗補償リング3018にかかる負荷が除かれる。しかしながらこの場合には図65aに示したように両方のストッパ突起3034と3035との間にいまや存在する間隔3045に基づき摩耗補償リング3018は後調節され得る。この後調節はばね3029を圧縮するために必要な力よりも大きな力をもたらすばね3028にかけられたバイヤスに基づき行われる。摩耗補償リング3018を後調節することによって突起3034と3035は再び当接するので、したがって図66に示されているように、摩擦クラッチが再接続もしくは閉じられた場合に皿ばね3004は、この皿ばねが摩耗に相応する値だけ軸方向に移動させられたにもかかわらず、実質的に再び図62に示されたのと同じ組込み位置をとることになる。しかしながら、図66aからは両方のリング3018と3020とが図62aに示された元の角度位置から後調節方向へ回動させられたことが判る。
【0457】
さらに図66からは摩耗後調節が行われたことに基づき皿ばね状の構成部分3009の円錐性も変化させられたことが判る。
【0458】
図62から66までと62aから66aとに関連して記述した後調節は実地においてはきわめて小さなステップで行われる。すなわち、寿命に亘って連続的な後調節が行われるので、実地において生じる摩耗に基づく移動はきわめて小さい。図面においては相応する間隔もしくは後調節は理解しやすくするという目的でけで相応に大きく示されている。
【0459】
既に図63と64とに関連して記述したように、皿ばね3004は所定の遮断距離Xのあとでは半径方向外側で摩耗フィーラリング3020に支えられるので、皿ばね3004の旋回線は転動支持部3005から半径方向外側へ支持面3020aの範囲へ移動させられる。したがって皿ばね3004はまず、2腕レバーと同じように、転動支持部3005の半径方向の高さで、この転動支持部3005を中心として旋回可能である。しかし、遮断距離Xを越えると皿ばねは単腕アームと同じように支承される。何故ならば皿ばねは実質的に半径方向外側の縁範囲で旋回可能に支承されるか保持されているからである。これによってクラッチにおける皿ばね伝達比は少なくともほぼiからi+1に変化する。この場合、iは転動支持部3005と、舌状部先端3010の範囲における遮断力の負荷直径との間の半径方向の間隔と、転動支持部3005と、皿ばね3004と押圧板3003との間の負荷直径との間の半径方向の間隔との比である。さらにこの場合には皿ばね3004と摩耗フィーラリング3020との間の支持は皿ばね3004と押圧板3003との間の支持と少なくともほぼ同じ半径方向の高さで行われなければならない。皿ばねの伝達比の変化もしくは拡大によってこの皿ばねの力−距離経過は伸ばすことができる。すなわち、伝達比が大きくなると即座に距離に対する力もしくは力変化は減少させられる。すなわち皿ばねは伝達比が大きい範囲では平らなもしくはゆるやかな力−距離経過を有している。これによってこの範囲における遮断力経過の減少も行われる。
【0460】
図67に示された摩擦クラッチ3101は同様に押し型の摩擦クラッチを形成する。皿ばね3104は軸方向で不動にカバー3102と結合された2つの転動支持部3105,3105aの間に旋回可能に支承されている。両方の旋回支持部3105と3105aとその間に設けられた皿ばね3104とを軸方向で確保するためにはカバー3102と結合された保持手段3137が設けられている。図示の実施例では保持手段3137は一体にカバーから成形された舌片3102bによって形成されている。この舌片3102bは軸方向で皿ばね3104を通して延び、皿ばね3104の、押圧板3103に向いた側に設けられた転動支持部3105aを軸方向で背後から掴んでいる。
【0461】
摩擦クラッチ3101は摩耗センサ3137を有している。この摩耗センサ3137はリング状の、弾性的に変形可能な範囲3138を有しており、この範囲3138はカバー底3102aに例えばリベット結合で固定されている。摩耗センサ3137は軸方向に延びる範囲3141を有しており、該範囲3141は皿ばね3104内の切欠きを通って軸方向に延びている。この範囲3141は摩耗フィーラリング3120のための支持範囲3141aを形成する。
【0462】
軸方向で摩耗フィーラリング3120と舌片3102bの下方範囲との間には軸方向の遊びLが存在している。この遊びLは摩擦クラッチ3101を遮断する場合の押圧板3103の軸方向の移動を規定する。
【0463】
半径方向外側で皿ばね3004は線材リング3118aに支えられる。この線材リング3118aは摩耗補償リング3118により保持されている。
【0464】
摩耗補償リング3118と摩耗フィーラリング3120とは軸方向で押圧板3103にランプ3119,3123と対応乗上げランプ3121,3123を介して支えられている。ランプ3119,3123と対応乗上げランプ3121,3123は周方向の経過と起立角とに関し、図59から66までと関連して記述したのと似たように構成されている。したがって図67の実施例においても有利には後調節装置3117において後調節方向に抗する自縛作用が存在している。
【0465】
対応乗上げランプ3121,3122は直接的に押圧板3103に一体成形することができるが、少なくとも軸方向で1つのリング3118,3120と押圧板3103の間に対応乗上げランプを形成する構成部分を設けることもできる。この構成部分は同様にリング状に構成することもできる。この構成部分は有利には押圧板3103と回動不能に結合されている。しかしながらリング3118及び(又は)3120を回動不能ではあるが軸方向に移動可能に押圧板3103と結合されていることができ、対応乗上げランプを形成する構成部分は押圧板3103に対して回動可能であることができる。
【0466】
摩耗フィーラリング3120は少なくとも1つの軸方向に従動可能な構成部分によって形成された摩耗センサ3137と協働する。摩耗センサ3137は周方向に分配された複数の又は単数の、軸方向に弾性的に変形可能なフックによって形成されているか又は弾性的なリング状の基体3138を有し、該基体3138から半径方向内側へ個々の舌片3141が延びており、この舌片3141が摩耗フィーラリング3120に接触する構成部分によって形成されることもできる。弾性的に従動する摩耗センサ3137は摩耗が存在していない場合に摩耗フィーラリング3120が後調節されないことを常に保証する基本変形力もしくは基本バイアスを有していなければならない。したがって摩耗補償リング3118及び(又は)摩耗フィーラリング3120に作用する個々のばねは適当に調和させられていなければならない。
【0467】
押圧板3103はばね部材を介してケーシング3102に対してバイアスがかけられ、クラッチ3101が遮断された場合にも押圧板3103が常に皿ばね3104に向かってバイアスがかけられ、したがって転動支持部3118aが常に皿ばね3104に留まることが常に保証されるようになっている。このバイアスをかける手段は例えば弾性的な手段、例えば板ばね部材により形成することができる。この手段は適当な予荷重で図59に示されたように組込むことができる。皿ばね3104を設計する場合には、皿ばね3104の力に抗して作用する前記手段により与えられる力が考慮されなければならない。さらに押圧板3103とケーシング3102とに軸方向でバイアスをかける手段を設計する場合には軸方向に可動な構成部分、例えば押圧板3103の慣性に基づきかつこれらの部分の振動に基づき生じる加速が考慮されなければならない。
【0468】
クラッチ3101を遮断する場合に押圧板3103の離反距離を制限するためには、図示の実施例の場合には支持範囲3141aが舌片3137の下方範囲に接触することで形成されるストッパが設けられている。押圧板3103の離反距離は遊びLによって規定されている。
【0469】
後調節装置3117の後調節機能は図59から66までに示された後調節装置の後調節機能と比較可能である。図67には対応押圧板に取付けられた状態にある摩擦クラッチ3101が新しい状態で示されている。図示されていない摩擦ライニングにおいて摩耗が生じると、押圧板3103は摩耗に相応して左へ移動し、摩耗フィーラリング3120はこの摩耗に相応して後調節される。これによって両方のリング3118,3120のストッパ突起の間に、図65aにおいて突起3034,3035のために示したように周方向の遊びが生じる。摩擦クラッチ3101を遮断する場合には押圧板3103と両方のリング3118,3120は軸方向でカバー底3102aに向かってまず一緒に移動する。この場合にセンサ3137は弾性的に変形される。遊びLを克服したあとで押圧板3103と軸方向でこの押圧板3103に対して摩耗センサ3137を介してバイアスのかけられた摩耗フィーラリング3120は停止させられる。摩擦クラッチ3102の遮断距離は、少なくとも摩耗が存在している場合に遊びLを克服したあとで皿ばね3104が所定の角度だけ円錐性を変化させ、これによって摩耗補償リング3118が軸方向で負荷軽減され、存在するライニング摩耗に相応して後調節されるように選ばれている。しかもこの後調節は先行する摩耗フィーラリング3120の回動に相応する回動によって行われる。この回動のあとで両方のリング3118と3120のストッパは再び互いに当接する。これは図66aにおいてストッパ突起3034,3035のために示したように行われる。このストッパ制限によって皿ばね3104はリング3118にかけられた負荷を完全に除くことができる。何故ならばリング3118はストッパによってコントロールされずには調節されなくなるからである。
【0470】
図68に示した摩擦クラッチ3201は作動皿ばね3204がカバー側の旋回支持部3205に対して押されるかもしくは引っ張られるいわゆる押し型クラッチを形成する。このためには皿ばね3209の形をした蓄力器が設けられている。この蓄力器を成す皿ばね3209はクラッチケーシングもしくはカバー3202と押圧板3203との間に緊縮されている。皿ばね3209はカバー3202の、作動皿ばね3204とは反対側に配置され、結合手段3209aを介して押圧板203と結合されている。結合手段3209aは軸方向で皿ばね3204に設けられた切欠きを通って延びている。しかしながら皿ばね3209は直接的にカバー3202と押圧板3203との間に配置されていてもよい。蓄力器3209から与えられる軸方向力は、この力がクラッチ3001を遮断するのに必要な、クラッチ2301に組込まれた皿ばね3204を旋回させるために必要な最大遮断力よりも大きくなるように選択されている。有利であるのは摩擦クラッチ3201の寿命に亙って、蓄力器3209から押圧板3203に生ぜしめられた弾性的なバイアス力が最大遮断力の少なくとも1.1倍に相応していることである。しかしながら蓄力器3209によって与えられる軸方向力は著しく高くてもよい。有利であるのは皿ばね3209が摩擦クラッチ3201の寿命に亙ってもしくは後調節装置3217の最大可能な補償距離に亙って実質的に一定の力−距離経過を有し、したがって皿ばね3204により押圧板3203に生ぜしめられた圧着力が実質的に一定に保たれることである。しかしながら皿ばね3209が後調節装置3217の後調節範囲に亙って所定の力−距離特性値を有し、ケーシング3202と押圧板3203との間でトルクを伝達する板ばねの、ライニング摩耗の増加に伴って上昇するバイアス力を補償できるようになっていても有利である。このような板ばねは図59に示され、符号3015で示されている。
【0471】
皿ばね3204と押圧板3203との間に軸方向に設けられた摩耗補償装置3217は摩耗補償リング3218と摩耗フィーラリング3220とを有している。これらのリング3218,3220は図67の両方のリング3118,3120と同じように配置されかつ作用する。両方のリング3218,3220は乗上げランプ3219,3223を介して押圧板3203の対応乗上げランプ3221,3222に支えられる。摩耗センサ3237はダイヤフラム状もしくは皿ばね状の構成部分によって形成され、該構成部分は半径方向内側でリベット結合3239の形をした結合装置を介して皿ばね3204に固定されている。摩耗センサ3237の、例えばリング状の弾性的な範囲3238は皿ばね3204に対し間隔Lを有し、該間隔Lは摩擦クラッチ3201を遮断する場合の押圧板3203の離反距離を規定する。弾性的にバイアスのかけられた摩耗センサ3237は半径方向外側で皿ばね3204の、リング3218,3220とは反対側で皿ばね3204に支えられる。このためには弾性的な範囲3238は半径方向外側に軸方向に延びる舌片3241を有している。この舌片3241は皿ばね3204の軸方向の切欠きを通して導かれ、皿ばね3204の、弾性的な範囲3238とは反対側で皿ばね3204に支えられている。したがって弾性的な摩耗センサ3237は作動皿ばね3204の上に弾性的に緊定されている。摩耗センサ3237によっては摩耗フィーラリング3220の不都合な後調節が回避される。両方のリング3218,3220は周方向で蓄力器によって、先の図面と関連して記述したように負荷されている。
【0472】
摩擦クラッチ3201を図68に示された接続位置から遮断する場合には皿ばね3204はリング状の支持部3205を中心として旋回させられる。したがって押圧板3203にかかる負荷が除かれかつ蓄力器3209を介して遮断方向に移動させられる。遮断過程の間には摩耗フィーラリング3210は皿ばね3204に向かって移動させられ、摩耗センサ3237は弾性的に変形される。この変形リング状の弾性的な範囲3238が皿ばね3204に接触し、これによって押圧板3203の遮断方向での軸方向の移動が終了させられ、皿ばね3204がさらに遮断方向に変形した場合に摩耗補償リング3218にかかる負荷が除かれるまで行われる。ライニング摩耗が存在していないと、摩耗補償リング3218は押圧板に対して移動しない。何故ならば両方のリング3218,3220のストッパは、図62aから64aにおいてストッパ突起3034,3035のために示したように接触するからである。摩耗フィーラリング3220自体は摩耗センサ3237によって押圧板3203に対して負荷されているので、この摩耗フィーラリングも回動することはできない。
【0473】
例えば摩擦ライニングにおいて摩耗が生じると、押圧板3203は左へ移動し、これによって皿ばね3204もその円錐性をわずかに変化させる。この移動によって摩耗フィーラリング3220にかかる負荷が除かれ、この摩耗フィーラリングは摩耗に相応して後調節される。この場合、後調節は摩耗センサ3237で制限される。摩擦クラッチ3201が再び遮断されると図67と関連して記述したように摩耗補償リング3218にかかる負荷が除かれ、これによって摩耗補償リングが後調節される。これはリング3218と3220との間でストッパが有効になるまで行われる。
【0474】
図67によるリング3118,3120と図68によるリング3218,3220との間の後調節は図62aから図66aまでに示されたものに相応する。
【0475】
図69から71までに示した摩擦クラッチ3301はいわゆる引張り型の摩擦クラッチを形成している。皿ばね3304は半径方向外側で、ケーシング3302の半径方向の範囲3302aと皿ばね3304との間に設けられた摩耗補償リング3318に支えられている。半径方向でさらに内側に位置する範囲で皿ばね3304は押圧板3303の突起3313を負荷する。皿ばね3304の、押圧板3303とは反対側には皿ばね3304によって保持されかつ皿ばね3304とバヨネット状の結合で錠止された摩耗センサ3337が設けられている。このために皿ばねとして構成された摩耗センサ3337は半径方向外側に軸方向の、フックとして構成された張出し部3341を有している。この張出し部3341は皿ばね内に設けられた軸方向の切欠き3304aと協働して軸方向で錠止する差込み回転結合装置を形成する。両方の構成部分3304と3337を錠止を行う位置に固定するためには皿ばね3337は舌状部先端の半径方向内側の範囲に軸方向に延びる舌片3341aを有し、この舌片3341aは−皿ばね3337が軸方向に皿ばね3304に向かってバイアスがかけられたあとでかつ両方の構成部分3337と3304との間で錠止を行う回動が行われたあとで−皿ばね3304の切欠き3304b内に回動防止を行うために係合する。摩耗センサ3337は摩耗が存在していない場合に摩耗フィーラリング3320が後調節されることを阻止する。摩耗フィーラリング3320は同心的にかつ摩耗補償リング3318に対して半径方向内側に設けられている。
【0476】
両方のリング3318,3320は先の図面及び特に図59と60と関連して記述したように乗上げランプ3319,3323を介してケーシング3302に保持された対応乗上げランプ3321,3322に軸方向で支えられている。
【0477】
図70に示されているように両方のリング3318,3320はリング3018,3020と同じように、間にコイルばね3329が緊縮されるストッパ突起3334,3335を有している。
【0478】
図70に示すように摩耗補償リング3318はコイルばね3328の形をした蓄力器で後調節方向に負荷されている。蓄力器3328は両方のリング3318と3320とのリング状の基体の間の半径方向の範囲に設けられている。ばね3328は図59と図60と関連して記述したようにカバー3302の舌片もしくは舌状部3330に受容されている。摩耗補償リング3318は−図59と図60とによるリング3018と似たように張出し部3331を有し、該張出し部はフォーク状の成形部3332をばね3328を支えるために有している。したがってこの場合にもばね3328、摩耗補償リング3318、ばね3329、摩耗フィーラリング3320、摩耗センサ3337は作用的に直列に接続されている。
【0479】
摩耗センサ3337は摩耗が存在していない場合には摩耗フィーラリング3320の許容されない後調節を阻止する。この摩耗フィーラリング3318は自体は摩耗補償リング3318の許容されない後調節を阻止する。
【0480】
図69に示された、対応押圧板の上にクラッチ円板3316を介在させて取付けられた摩擦クラッチ3301の新しい状態から出発して、摩擦クラッチ3301を遮断する場合には皿ばね3304が半径方向内方で右へ旋回させられるので、皿ばね304は半径方向外側で摩耗補償リング3318により保持された転動支持部3005に支えられる。遮断期の間、センサ皿ばね3337は軸方向で皿ばね3304と摩耗フィーラリング3320との間で緊縮され、しかも押圧板3303の離反行程を規定する、リング状の弾性的なセンサ区分3338の外側の範囲と皿ばね3304との間に規定された遊びLが与えられ、皿ばね3304が軸方向で摩耗フィーラリング3320に支えられるまで緊縮される。遮断運動が継続されると皿ばね3304は摩耗フィーラリング3302に存在するリング状の支持範囲3320aを中心として旋回させられる。これによって半径方向外側の転動支持部3305に皿ばね3304によってかけられた負荷は除かれ、摩耗が存在する場合にはこの摩耗はリング3318の適当な軸方向の後調節により補償される。したがって皿ばね3304は遮断期においてはまず単腕レバーのように外側の転動支持部3305を中心として旋回させられる。遊びLを克服したあとで皿ばね3304のリング状の旋回範囲は半径方向内方へ摩耗フィーラリング3320の範囲3320aへ移動させられる。したがって遮断運動が継続された場合には皿ばね3304は2腕レバーのように旋回させられるかもしくは作用する。皿ばね3304のリング状の転動支持部が摩擦クラッチの作動の間に前述のごとく半径方向に移動することによって伝達比もしくはてこ腕比が変化する。この伝達比もしくはてこ腕比は皿ばね3304を作動するために必要な力をiからi−1に変化させる。したがって皿ばね3304が摩耗フィーラリング3320に支えられると遮断力の上昇が行われる。伝達比iは皿ばね舌状部先端3310の範囲における遮断力の作用範囲と、皿ばね3304と転動支持部3305との間の接触範囲との間の間隔と、この接触範囲と押圧板3303の突起3313のための皿ばね3304の負荷範囲との間の間隔との比である。前述の伝達比の変化は、皿ばね3304と押圧板3303との間の支持が少なくともほぼ、摩耗フィーラリング3320における皿ばね3304の支持と同じ直径で行われるという仮定に基づいている。皿ばね3304と摩耗フィーラリング3320との間の支持範囲が半径方向外方へ転動支持部3305に向かって移動すればするほど、皿ばね3304が摩耗フィーラリング3320に当接した場合の遮断力の上昇はわずかになる。
【0481】
接続期の間に摩擦ライニング3307において摩耗が生じると、皿ばね3304はその円錐性を変化させ、しかも舌状部先端3310が左へ移動する。この円錐性の変化によって摩耗フィーラリング3320にかかる負荷も除かれ、摩耗フィーラリング3320は発生するライニング摩耗に相応して後調節される。したがって摩耗が生じた場合にはまず摩耗フィーラリング3320が摩耗補償リング3318を、図70に示されているように先行する。摩耗フィーラリング3320の回動によって両方のリング3318,3320のストッパ突起3334と3335との間には摩耗に比例した間隔3345が生じる。次いで行われる遮断過程に際して、先行する図面に基づき既に記述したように摩耗補償リング3318に皿ばね3304によりかけられた負荷は除かれる。したがって摩耗補償リング3318は遊び3345に相応して後調節される。これによって皿ばね3304は再び新しい状態に相応する円錐性もしくは扁平位置をとる。摩耗が増すにつれて皿ばね3304は軸方向でカバー底3302aから遠ざらされる。この場合、全調節範囲に亙って皿ばねの組込み位置の適当な角度修正が行われる。この適当な角度修正はそれぞれ摩耗フィーラリング3320によって検出もしくは測定された摩耗に関連する。
【0482】
図72に部分的に示された後調節装置3417は図69と70に示された後調節装置3317と似たように構成されかつ配置されている。図69による実施例に対する重要な差は摩耗フィーラリング3420が押圧板3403の突起3413における皿ばね3404の支持部と半径方向外側に配置された旋回支持部3405における皿ばね3404の支持部との間の半径方向範囲に設けられていることである。したがって摩耗フィーラリング3420は大きな直径を有し、したがって摩擦クラッチの遮断期の間に行われる、皿ばね3404と摩耗フィーラリング3420との間の支持は摩耗補償リング3418により近く位置している。これによって皿ばね3404が摩耗フィーラリング3420に接触した場合に行われる遮断力の増加は図69の実施例に対して減少させられる。センサ皿ばね3438は皿ばね3338と同じようにバヨネット状の結合装置を介して皿ばね3404に固定されている。
【0483】
図72実施例においては摩耗フィーリング3420と皿ばね3404との間の支持直径の半径方向の高さにおいてセンサ3438が移動できるばね距離Sは、摩擦クラッチを遮断する場合に押圧板3403が移動する離反もしくは離間距離にL2/L1の比を乗算したものが、少なくともほぼセンサ3438のばね距離Sに相当するように設定しておくことができる。すなわち、摩耗フィーリング3420と皿ばね3404との間の支持直径の半径方向の高さにおいてセンサ3438が移動可能であるばね行程Sと、押圧板3403の一杯の離反もしくは離間距離との間には、少なくともほぼV=S×L1/L2の関係式が成立つ。
【0484】
図73に示された引張り型摩擦クラッチ3501は、軸方向で皿ばね3504と押圧板3503との間に配置された後調節装置3517を有している。皿ばね3504は半径方向外側で、クラッチカバー3502により保持された旋回支持部3505に支えられ、さらに半径方向内側にある範囲で、軸方向で押圧板3503に支えられた摩耗補償リング3518を負荷する。摩耗補償リング3518は摩耗フィーラリング3520によって取囲まれている。リング3518,3520はこの場合にも押圧板3503により保持された対応乗上げランプ3521,3522に軸方向で支えられる乗上げランプ3519,3523を有している。軸方向で皿ばね3504と摩耗フィーラリング3520との間にはこの場合にもダイヤフラム状の構成部分によって形成された摩耗センサ3537が設けられている。弾性的な構成部3分537は皿ばね3504により保持され、この構成部分3537を緊縮させるために必要な力が摩耗フィーラリング3520に軸方向で作用する調節力よりも大きくなるように設計されもしくは組込まれている。軸方向の振動が存在する場合に押圧板3503もしくは摩耗補償リング3518が皿ばね3504から持上がらないためには押圧板3503は皿ばね3509の形をしたばね部材を介してケーシング3502に対して軸方向でバイアスがかけられ、しかもカバー側の転動支持部3505に向かって負荷されている。これによって摩耗フィーラリング3520は摩耗センサ3537から持上がらないことが保証される。
【0485】
摩擦ライニングの摩耗が生じると皿ばね3504の角度位置もしくは円錐性が変化する。この変化は皿ばね3504の半径方向内側の範囲が左へ、押圧板3503の軸方向の移動に相応して旋回させられるように行われる。これによって摩耗フィーラリング3520にかかる負荷が除かれ、これは摩耗に応じて後調節される。この場合、この後調節は摩耗センサ3537によって制限される。これに続く遮断期の間には押圧板3503が所定の離反行程距離に達すると、摩耗補償リング3518に皿ばね3504によってかけられる負荷は除かれるので、摩耗補償リング3518は摩耗フィーラリング3520によって与えられた後調節距離に相応して移動させられる。
【0486】
押圧板3503の軸方向の遮断距離の制限は皿ばね3504の外側範囲における当接によって行われる。しかしながらストッパによる距離制限は他の個所で行うこともできる。例えば直接的にケーシング3502と押圧板3503との間に適当なストッパを設けることもできる。センサ3537を緊張させるために必要な力は皿ばね3509により押圧板3503に生ぜしめられた軸方向の力よりも著しく小さい。したがって摩耗センサ3537は皿ばね3509を介して摩擦クラッチ3501の遮断に際して緊張させられる。
【0487】
たいていの使用例にとっては、摩耗フィーラリングと摩耗補償リングとの転動もしくは支持範囲の間の半径方向の間隔は、カバーにおける作動皿ばねの支持部と作動皿ばねと押圧板との間の負荷個所との間の半径方向の間隔とほぼ同じ大きさであると有利である。これによって摩耗後調節に際して摩耗フィーラリングが移動した軸方向の距離が軸方向に発生した摩耗とほぼ同じ大きさになることが保証される。
【0488】
図74と75にはばねクランプ3637として構成された摩耗センサ部材が示されている。このようなセンサ部材3637は多数、作動皿ばね3604の弾性的なリング体の周方向に均一に分配されて設けられていることができる。図74から判るようにこのようなばねクランプ3637の1つは皿ばね3604とスナップ結合によってもしくは両方の外側の脚部3637aの端部範囲を通しかつ中央の脚3637bを皿ばね3604の外縁に係止させることで結合することができる。図74と75による摩耗センサ部材は例えば図59の摩擦クラッチの実施例に使用することができる。
【0489】
すでに図59との関連で記述したように摩擦クラッチは、遮断過程の間に摩擦クラッチにより伝達可能なモーメントを次第に消滅させるような手段を有していると有利である。何故ならばこれによって遮断力経過又は必要な最大の遮断力の減少もしくは減退が達成されるからである。図59に示された摩擦クラッチにおいては前記手段は摩擦ライニングの間に設けられたライニングセグメント3016によって形成されている。このようなライニングセグメント3016は例えばDE−OS3631863号により公知である。
【0490】
摩擦クラッチを遮断又は接続する場合の漸進的なモーメント形成もしくは消滅を達成する別の可能性はDE−OS2164297号により提案されている。この解決策でははずみ車が2部分から構成され、対応押圧板を形成する構成部分が軸方向で弾性的に、内燃機関の出力軸と結合された構成部分に対して支えられている。
【0491】
ライニングばね作用の代わりになる手段は圧着皿ばね3004と押圧板3003との間の力伝達経路に設けておくこともできる。このような配置は例えばDE−OS3742354号及びDE−OS1450201号によって提案されている。さらにライニングばね作用の代わりになる手段は圧着皿ばね3004と固定個所、例えば対応押圧板3006に対するケーシング3002のねじ結合部との間の力伝達経路に設けておくこともできる。
【0492】
遮断力の減少の所望の効果を達成するためにはライニングばね作用もしくはこのライニングばね作用の代わりになる手段は作動皿ばね3004と直列に接続されていることができる。これはライニングばね作用もしくはこの代わりをする手段が皿ばね3004により与えられた力によって弾性的に変形可能であることを意味する。
【0493】
次にライニングばね作用もしくはライニングばね作用代替物の作用形式を図59と60との実施例と図76,77による線図に示した特性線で詳細に説明する。
【0494】
図76の線3050は皿ばね3004の円錐性の変化に関連してこの皿ばね3004によって押圧板3003に全体として加えられた軸方向力の部分範囲が示されている。部分範囲3050は皿ばね3004のリング状の基体3012が旋回支持部3005とカバー円板3003の半径方向外側の支持部との間で変形される軸方向の変形に相当する。部分区分3050においては支持皿ばね3009とばあいによっては他の部材、例えば板ばねによって加えられた力、皿ばね3004の変形を助ける力もしくはこの変形に影響を及ぼす力が考慮されている。皿ばね3004の実際の力−距離経過は図76においては破線3050aで示されている。したがって皿ばね3004は実際には線3050よりも高い力−距離経過を有している。
【0495】
点3051は閉じられた新しいクラッチ1における皿ばね3004の組込み状態を表わしている。これはすなわち皿ばね3004が適当な組込み状態で最大の圧着力を押圧板3003に生ぜしめる状態である。点3051は新しいクラッチにおける皿ばね3004の円錐状の組込み位置の変化によって線3050に沿って上方又は下方へ移動させられる。
【0496】
線3052はライニングばねセグメント3016により与えられる軸方向の拡開力を示している。この拡開力は両方の摩擦ライニングの間で作用しかつ押圧板3003の上に作用する。この軸方向の拡開力は皿ばね3004により押圧板3003に生ぜしめられる軸方向力に抗して作用する。有利であるのはばねセグメント3016の弾性的な変形によって与えることのできる最大軸方向力が、皿ばね3004により押圧板3003に生ぜしめられる最大力に相応していることである。この場合この軸方向の方が大きいことも可能である。したがって摩擦クラッチ3001が完全に閉じられた場合にはばねセグメント3016がばねリザーブを有し、所定の距離に亙ってまだ弾性的に変形可能である。摩擦クラッチ3001を遮断する場合にはばねセグメント3016は距離3053に亙って弛緩する。この、押圧板3003の軸方向の移動に相応する距離3053に亙ってクラッチ3001の遮断過程が助けられる。したがってライニングばね装置3016がない場合に組込み点3051に相当する遮断力よりもわずかな最大遮断力が与えられなければならなくなる。点3054を越えると摩擦ライニング3007は解放される。この場合、皿ばね3004の漸進的な特性線範囲に基づき、まだ与えられる遮断力は点3051に相当するであろう遮断力よりも著しく減少される。クラッチ3001の遮断力は最低もしくは特性線3050の谷点3055が達成されるまで低下する。最低3055を越えた場合には必要な遮断力は再び上昇する。この場合、舌状部先端3010の範囲における遮断距離は、最低3055を越えた場合でも、遮断力が皿ばね3009によって生ぜしめられた支持力よりも大きくならないように選択されている。これはさもないと摩耗センサ3037が摩耗フィーラリング3020から不都合に離れることが遮断期の間に行われ、ひいては補償手段3017が調節され、その結果として摩擦クラッチが少なくとも完全には遮断されなくなり、極端な場合にはもはや遮断できなくなり、摩擦クラッチによるトルクもしくは力流の中断がもはや可能ではなくなるために必要である。
【0497】
支持皿ばね3009は図77の線3057に相当する力−距離経過を有している。この特性線3057は皿ばね状の構成3009が弛緩された位置から円錐性において変化させられるときのに生ぜしめられる特性線に相当する。これはカバー側の旋回支持部と作動皿ばね側の旋回支持部との間の半径方向の間隔に相応する半径方向の間隔を有する2つの旋回支持部の間で行われる。特性線3057から判るように皿ばね状の構成部分はばね距離3058を有し、このばね距離に亙って特性線から生ぜしめられた軸方向力は実地においてコンスタントに保たれる。この場合、この範囲3058に亙って生ぜしめられた力は、この力が常に、摩擦クラッチ3001の寿命に亙って皿ばね舌状部先端3010の範囲で生じる最大の遮断力よりも大きくなるように選択されている。センサばね3009によって与えられる支持力は皿ばね3004のてこ比に関連する。このてこ比はたいていの場合には1:3から1:5までの間の大きさでるが、しかし多くの使用例ではこれよりも大きいか又は小さいことができる。選択された皿ばね伝達比は旋回支持部3005と両方の皿ばね3004と3009の支持直径との間の半径方向の間隔と、旋回支持部3005と作動部材、例えば遮断軸受のための舌状部先端3010の範囲における支持直径との間の半径方向の間隔の比に相応する。
【0498】
摩擦クラッチ3001における皿ばね状の部材3009の組込み位置は、この部材3009が遮断距離に亙って弾性的に従動もでき、摩擦面と摩擦ライニングの摩耗に基づき生じる、対応押圧板3006に向かう押圧板3003の軸方向の後調節距離に少なくとも相応する、軸方向のばね距離を摩擦ライニング3007に向かって有するように選ばれている。ばね3009のこのばね距離に亙っては、このばね3009によって皿ばね3004に与えられた力が摩擦クラッチを遮断するために必要な力よりも大きいことが保証されていると有利である。この場合には、特性線3057の範囲3058が少なくとも最大摩耗距離に相当する長さを有しており、有利にはこの摩耗距離よりも大きいことが有利である。何故ならばこれによって組込み誤差も少なくとも部分的に補償されるからである。
【0499】
押圧板の離反を行うバイアスのかけられた板ばね3009が使用されている場合には押圧板3003は皿ばね3004に向かってこの板ばね3009で圧着されている。これによってこの板ばね3009を介しても遮断過程が助けられる。したがって板ばね3009によって生ぜしめられた軸方向力には皿ばね3009によって生ぜしめられた軸方向力が重畳される。したがって板ばね部材3009はカバー3002と押圧板3003との間に、摩擦ライニングの摩耗の増大に伴って、板ばね3009によって作動皿ばね3004に生ぜしめられた軸方向力が大きくなるように組込むことができる。例えば図77の距離3058に亙って、ひいては後調節装置3017の摩耗補償距離に亙って、板ばね3015によって生ぜしめられた軸方向の力は線3057bに示された経過を有している。この場合には板ばね3015は摩擦ライニングの摩耗が増加するにつれて大きくなる戻し力を作動皿ばね3004に生ぜしめられる。線3057に応じた経過が望まれる場合には皿ばね3009はこの皿ばねが、線3057cに示された特性線経過を有するように構成されなければならない。
【0500】
さらに作動皿ばね3004を転動支持部3005に圧着する蓄力器、例えば皿ばね状の構成部分3009は図77に示されたものとは異なる力−距離経過を有していることができる。例えばこのばねにより少なくとも範囲3058において生ぜしめられた力−距離経過は上昇又は下降することもできる。重要であることはいずれの場合にもこのばね3009及び場合によっては他のばね部材、例えば板ばね3015によって与えられた作動皿ばね3004のための支持力がこの力に抗して作用する摩擦クラッチの遮断力よりも大きいことである。
【0501】
図78においては少なくとも2つの構成部分3720a,3720bから成り、その間に軸方向で少なくとも1つのばね部材3738が配置されている摩耗フィーラリング3720が配置されている。この摩耗フィーラリング3720は例えば図59の摩耗フィーラリング3720の代りに用いることができる。しかしながらこの場合には隣接する構成部分は適当に適合させられなければならない。摩耗フィーラリング3720を形成する構成部分3720a,3720bはリング状に構成され、リベット3739の形をした保持部材を介して互いに相対的に間隔をおいて固定しておくことができる。リベット3739の周囲に置かれた皿ばねの形をしたばね部材3738は両方のリング3720a,3720bを軸方向で互いに離反させる。しかしながらすでに述べたようにこの両方のリング3720a,3720bはリベット3739を介して所定の軸方向の間隔Lに保つことができる。リング3720aは乗上げランプ3723を有し、この乗上げランプ3723は図59から66aと関連して記述したように例えばカバーの対応乗上げ面と協働することができる。ばね部材3738は両方の構成部分3720a,3720bと協働して、図59の構成部分3037が構成部分3020と協働するのと似た形式で、摩耗センサの働きをする。皿ばね3704は少なくとも当該クラッチが遮断される場合に例えばリング状に構成された構成部分3720bを負荷する。これによって遮断過程に際してばね部材3738が緊縮される。この結果、摩耗フィーラリング3720の不都合な後調節が回避される。構成部分3720bの所定の軸方向距離、例えば値Lを有する軸方向距離のあとで構成部分3720bは構成部分3720aに対して軸方向に固定される。したがって図59から66aまでと関連して記述したのと似た形式で皿ばね3704は構成部分3720bに軸方向に支えられ、これによって摩耗フィーラリング3720と協働する摩耗補償リング(例えば図59の3018)に皿ばね3710によりかけられている負荷は皿ばね3710がさらに旋回した場合に除かれる。したがって摩耗クラッチの摩耗ライニングに摩耗が先行している場合には摩耗補償リングは先行する摩耗フィーラリング3720の回動に相応して後調節される。
【0502】
図79と80に示された摩擦クラッチ3801の実施例においては後調節手段3817は図77の実施例の場合のように軸方向で皿ばね3804と押圧板3803との間に配置されている。しかしながらこの場合には摩耗センサとして役立つ弾性的な構成部分3837は皿ばね3804の、カバー3802に向いた側に固定されている。リング3818,3820の乗上げランプ3819,3823と協働しかつ押圧板側に設けられた対応乗上げランプ3821,3822は押圧板3803により保持された薄板成形部分3803aによって構成されている。薄板成形部分3803aは個々に周方向に隣接する対応乗上げランプ3821及び(又は)3822の間に導通部3803bを有している。この導通部3803bは押圧板3803と薄板成形部分3803aとの間の空気循環を可能にする。押圧板3803は同様に凹部3803cの形をした成形部を有し、この成形部は薄板成形部3803aと押圧板3803との間の空気循環を可能にし、ひいては押圧板3803の良好な冷却を保証する。
【0503】
本発明の摩擦クラッチの簡単な組立を可能にするためには摩耗フィーラリング及び(又は)摩耗補償リングが、摩耗後調節装置を後退した位置、すなわち摩擦クラッチの新しい状態に相当する状態にもたらすことのできる回動もしくは迎止部材のための係合範囲を有していることが有利である。図59の実施例では摩擦クラッチ3001の製造もしくは組立に際して摩耗フィーラリングが工具で後退した位置へ回動させられる。何故ならば摩耗フィーラリング3020の回動によって摩耗補償リング3018も自動的に回し戻されるからである。この後退させられた位置では少なくとも摩耗フィーラリング3020が確保部材で固定される。この確保部材は摩擦クラッチ3001を対応押圧板3006に取り付けたあとで除かれ、これによって後調節装置3017が活性化される。似たような形式で他の図面の摩擦クラッチの場合にも摩耗補償リング及び(又は)摩耗フィーラリングは確保されていなければならない。
【0504】
摩耗補償リングを摩擦クラッチの新しい状態に相応する出発位置に保つための別の可能性は、押圧板とケーシングとの間もしくは作動皿ばねとケーシングとの間に少なくとも1つの迎止部材が設けられ、この迎止部材が押圧板及び(又は)圧着皿ばねを後退させられた位置もしくはケーシングに対して緊定された位置に保持することである。前記位置は前記構成部材が摩擦クラッチを対応押圧板に取付けたあとで有している構成部材の位置に相応する。このためには例えばケーシングと押圧板との間又はケーシングと圧着皿ばねとの間に距離制限部材、例えばクランプ又はシムを設け、圧着皿ばねの許容されない弛緩を阻止することができる。
【0505】
図81に示されている摩擦クラッチ4001はケーシング4002及び、このケーシング4002に回動不能に結合された、しかし軸方向にある限度内で変位可能であるプレッシャプレート4003を有している。軸方向でプレッシャプレート4003とケーシング4002との間には、クラッチの連結遮断操作用の操作皿ばね4004がプレロードを有する状態で配置されており、該操作皿ばねはケーシング4002によって支持されているリング状の旋回支承部4005を中心にして旋回可能でありかつプレッシャプレート4003を、ねじを介してケーシング4002に不動に結合された対応プレッシャプレート、例えばフライホイール4006、に向って押圧し、これにより、クラッチディスク4008の摩擦ライニング4007はプレッシャプレートと4003と対応プレッシャプレート(フライホイール4006)との摩擦面間に締込まれている。
【0506】
プレッシャプレート4003はケーシング4002に、周方向若しくは接線方向に向いている板ばね4009を介して、回動不能に結合されている。図示の実施例では、クラッチディスク4008は所謂ライニングばねセグメント4010を有しており、これらは、両摩擦ライニング4007の互いに接近し合うある限られた軸方向変位により、摩擦ライニング4007に作用する軸方向の力を漸進的に増大させ、これにより、摩擦クラッチ4001の連結時に漸進的に増大するトルクの伝達を保証する。しかしクラッチディスク4007は、摩擦ライニング4007が軸方向で実際に不動に支持ディスク上に設けられているクラッチディスクであってもよい。
【0507】
図示の実施例では操作皿ばね4004は、押圧力を作用させるリング状の基部4004aを有し、この基部からは半径方向内側へ舌状片4004bが延びている。操作皿ばね4004はこの場合、半径方向で外側にある範囲でプレッシャプレート4003を、押圧し、かつ半径方向でさらに内側にある範囲で旋回支承部4005を中心にして傾倒、可能である。
【0508】
旋回支承部4005は2つの旋回支持部4011,4012を有し、これらは図示の実施例では線材リングによって形成されており、これらの線材リング間に操作皿ばね4004が軸方向で挾持され若しくは締込まれている。操作皿ばね4004のプレッシャプレート4003側に設けられている旋回支持部4011は、皿ばねエレメント4013により、軸方向でケーシング4002に向かってばね力を負荷されている。皿ばね4013、それも、半径方向外側の縁範囲4013aでケーシング4002に支持されかつ半径方向内側の区分4013cで旋回支持部4011に、操作皿ばね4004、ひいてはまたケーシング4002に向って、軸方向のばね負荷を与えている、プレッシャプレート4003と操作皿ばね4004との間に設けられている皿ばね4013は、リング状の基部4013bを有し、この基部の内周縁からは半径方向内側へ舌状片4013cが発しており、これらは旋回支持部4011に支持されている。基部4013bには半径方向外側にアーム4013aが形成されており、これらは、ケーシング4002から直接形成された支持範囲4014と協働する。支持範囲4014と皿ばね若しくは皿ばね状の構造部分4013のアーム4013aとの間にはバヨネット継手があり、その結果皿ばね状構造部分4013をはじめ軸方向で予圧してその半径方向外側範囲若しくはアーム4013aを軸方向で支持範囲4014を越えて移動させた後に、構造部分4013をケーシング4002に対して回動させることにより、構造部分4013のアーム4013aを支持範囲4014に当接させることができる。
【0509】
ケーシング4002には操作皿ばね4004の回動を防止するため、リベットエレメント4015の形の、軸方向に延びているセンタリング手段が取付けられており、これらはそれぞれ軸方向に延びている軸部4015aを有し、該軸部は、隣接する操作皿ばね舌状片4004b間の間隙を軸方向に通って延びている。
【0510】
皿ばね状の構造部分若しくは皿ばね4013はセンサばねとして形成されており、該センサばねは所定の作動距離に亘って、少なくともほぼ一定の力を生じさせることができる。板ばね4009がケーシング4002とプレッシャプレート4003との間において軸方向力を双方に作用させている限り、この力は、センサばね4013から作用せしめられる軸方向力と重畳される。枝ばね4009が摩擦クラッチ4001内に、該板ばね4009がプレッシャプレート4003を軸方向でケーシング4002若しくは操作皿ばね4004に向って付勢するように、配置されている場合、板ばねエレメント4009から及びセンサばね40013から作用せしめられた軸方向力は加算され、この場合該軸方向力は皿ばね4004に作用する所謂合成センサ力を形成する。センサばね4013を設計する場合は従って常に、互いに重畳される力を考慮しなければならない。板ばねエレメント4009から作用せしめられる軸方向力はやはり、皿ばね4004からプレッシャプレート4003へ作用せしめられる力に重畳され、その結果、板ばねエレメント4009がプレッシャプレート4003をクラッチディスク4008から引離す方向に予圧されている場合、プレッシャプレート4003から摩擦ライニング4007へ作用せしめられる軸方向の締付け力は、板ばねエレメントから作用せしめられる力の分だけ、皿ばね4004からプレッシャプレート4003へ作用せしめられる軸方向力よりも小さい。板ばねエレメント4009及びセンサばね4013から作用せしめられる合成のセンサ力は、舌状片先端部4004cに作用するクラッチレリーズ力を受け止め、この場合少なくとも摩擦ライニング4007が解放されるさいに、レリーズ力によって旋回支持部4011に作用せしめられる力とこの旋回支持部4011に作用せしめられる合成されたセンサ力との間に、少なくともほぼ平衝状態が生じる。レリーズ力とは、摩擦クラッチ4001の操作中ダイヤフラムスプリングクラッチの舌状片先端部4004c若しくはレリーズレバーに作用せしめられる力を意味する。このレリーズ力は、舌状片先端部4004cの範囲におけるレリーズ行程距離に亘って、変化する。
【0511】
ケーシング側の旋回支持部4012は後調節手段4016を介してケーシング4002に支持されている。この後調節手段4016は次のことを保証する。即ち旋回支持部4011,4012がプレッシャプレート4013若しくは対応プレッシャプレート4006に向って軸方向に変位した場合に、旋回支持部4012とケーシング4002との間若しくは旋回支持部4012と皿ばねとの間に、望ましくない遊びが生じえないようにする。これにより、摩擦クラッチ4001操作時における、望ましくないデッド−若しくはアイドル行程距離の発生が防止され、これにより、摩擦クラッチの良好な効率、ひいては申し分のない操作がえられる。旋回支持部4011,4012の軸方向変位は、プレッシャプレート4003、対応プレッシャプレート4006及び摩擦ライニング4007における軸方向摩耗時に行われる。旋回支承部4005の自動後調節の作用形式は後に図84〜図86の線図について詳細に説明する。
【0512】
後調節手段4016は、リング状の構造部分4017の形の、ばね負荷された後調節エレメントを含み、該構造部分4017は周方向に延びていてかつ軸方向に上昇している乗上げ斜面4018を有し、これらは構造部分4017の外周に亘って分配されている。後調節エレメント4017はクラッチ4001内に、乗上げ斜面4018がケーシング底部4002a側へ向くように、組付けられている。後調節エレメント4017の、乗上げ斜面4018側とは反対側には、線材リングによって形成された旋回支持部4012が溝形の受容部内に同心的に配置されている。
【0513】
図示の実施例では後調節エレメント4017はプラスチック、例えば耐熱性の熱可塑性プラスチック、から製作されており、これはさらに繊維で補強することができる。これにより後調節エレメント4017は射出成形部品として簡単に製作することができる。後調節エレメント4017は、外周に亘って等間隔に分配されたリベット4015の軸方向に延びている範囲4015aによりセンタリングされる。
【0514】
後調節エレメント4017はその乗上げ斜面4018を介して、ケーシング底部4002aに圧刻された対応乗上げ斜面4019に支持されている。対応乗上げ斜面4019を形成しているケーシングプレス成形部は、これらがクラッチ4001の回転方向でそれぞれ1つの通気孔4020aを形成するように、形成されている。このような構成により、クラッチ4001の回転のさい、クラッチ4001を形成する構造部分、特にプラスチックから成る後調節エレメント(リング)4017の良好な冷却がえられる。ケーシングのプレス加工部は、これらがケーシング4002によって制限されたクラッチ構造スペース内において強制的な空気循環を生ぜしめるように、形成されている。
【0515】
斜面4018,4019は周方向でそれらの長さ及び傾斜角度に関して次のように形成されている。即ちこれらの斜面がケーシング4002に対する後調節エレメント(リング)4017の、少なくともある回動角度、即ち摩擦クラッチ4001の全寿命に亘るプレッシャプレート4003及び対応プレッシャプレート4006並びに摩擦ライニング4007における摩耗の後調節を保証するだけの回動角度、に亘る回動を可能にするように形成されている。この後調節角度は乗上げ斜面の構成に応して、8〜60度、有利には10〜30度であることができる。斜面4018,4019の傾斜角度は3〜12度の範囲にあることができる。この角度は、乗上げ斜面4018及び対応乗上げ斜面4019が互いに押合わされるさいに生じる摩擦がこれらの斜面4018,4019間のスリップを防ぐように、選択されている。
【0516】
後調節エレメント(リング)4017は周方向にばね負荷されており、それを後調節回転方向に、要するに斜面4018が対応斜面4019に乗上げることによって後調節リング4017がプレッシャプレート4003に向って軸方向に変位する方向、換言すれば半径方向のケーシング区分4002aから軸方向で離れる方向に、ばね負荷されている。
【0517】
図82から判るように、後調節リング4017のばね負荷は、クラッチケーシング4002の周方向に延びていて後調節リング4017とケーシング4002との間に緊縮されている個々のコイルばね4020によって保証されている。有利には、外周に亘って等間隔に分配されている3つのこのようなコイルばね4020が設けられている。個々のコイルばね4020はクラッチカバー4002と一体に形成されている耳状片4021上に支持され若しくはその囲りにコイル状に巻かれている。耳状片4021はクラッチカバー4002の薄鈑材料にU字状打抜部4022を形成することによって形成されている。耳状片4021は周方向にみて円弧状又は接線方向に延びており、かつ有利には、隣接するクラッチカバーと少なくともほぼ同じ軸方向高さにある。耳状片4021の幅は、これに支持されているコイルばね4020が半径方向にもまた、軸方向にもガイドされているように、設計されている。ばね4020によって後調節方向にばね負荷されている後調節リング4017はその内周に半径方向内側へ向いた成形部若しくはアーム4023を有し、これは半径方向内側に、軸方向に向いたホーク若しくはU字状成形部4024を有している。U字状成形部4024はそれぞれ2つの、軸方向に向いている先端4025を形成し、これらはばね案内耳状片4021を両側が囲んでいる。このために両先端4025は軸方向でカバー4002の切欠き4022を通って延びている。先端4025は後調節ばね4020によってばね負荷されている。
【0518】
摩擦クラッチ4001が新しい状態では、乗上げ斜面4018及び対応乗上げ斜面4019を形成する軸方向の突出部はもっとも離れた位置で軸方向で係合しており、即ちリング4017、ひいてはまた旋回支承部4005はクラッチカバー底部4002aへ向ってもっとも離れた位置にある。
【0519】
摩擦クラッチ4001は付加的なばねエレメント4026を有し、これは皿ばね状構造部分によって形成されている。この構造部分4026はリング状の基部4027を有し、ここから半径方向内側に舌状片4028の形のアームが延びている。皿ばね状の構造部分4026は軸方向でカバー底部4002aと押圧皿ばね若しくは操作皿ばね4004との間に設けられかつ操作皿ばねに対して所定の位置に保持されている。この目的で舌状片4028はリング状の基部4027に対して軸方向で曲げられていて、操作皿ばね4004の舌状片4004b間の周方向の間隙4029を軸方向で通り、かつ線材により形成された旋回支持部4011を、半径方向内側へ曲げ込まれた範囲4030をもって抱持する。皿ばね状の構造部分4026の、皿ばね4004に対する軸方向の位置決めは、板ばね状のばねエレメント4031を介して行われ、このばねエレメント4031は皿ばね4004に軸方向で不動に結合されておりかつ舌状片4028の範囲4030に軸方向にばね力を負荷しており、これにより、皿ばね状の構造部分4026、皿ばね4004並びに、軸方向で皿ばね4004と舌状片4028の端部範囲4030との間に設けられているリング状の転動支持部が、軸方向で押圧される。舌状片4028はセンサばね4013の舌状片4013cに対して周方向にずらして配置されている。
【0520】
図83から判るように、皿ばね状の構造部分4026、皿ばね4004及びリング状の旋回支持部4011は板ばね状のばねエレメント4031によって、あらかじめ組立てたユニットにまとめられており、該ユニットはそのままの形で摩擦クラッチ4001の組立のさいにクラッチケーシング若しくはクラッチカバー4002内へ導入することができる。図83では、皿ばね状の構造部分4026に対して弛緩状態での皿ばね4004の位置が示されている。
【0521】
図81から判るように、摩擦クラッチ4001が対応プレッシャプレート4006に組付けられた状態においても、皿ばね4004(摩擦クラッチ4004の連結状態に相応する位置にある)と、皿ばね状の構造部分4026(その弛緩位置にある)との間にはある軸方向距離4032若しくは遊びが存在する。両方のリング状のばね基部4004a,4027の半径方向外側の範囲間の距離4032は次のように設定されなければならない。即ち、摩擦クラッチ4001のレリーズ過程において旋回支承部4005を中心にして旋回した皿ばね4004が、クラッチディスク4008の解放に少なくともほぼ相応するある旋回角度に亘る旋回後にはじめて、若しくはあるレリーズ距離後にはじめて、皿ばね状の構造部分4026に負荷を与えるように、設定されなければならない。上記のクラッチディスク4008若しくは摩擦ライニング4007の「解放」とは、摩擦ライニング4007が実際にもはやプレッシャプレート4003と対応プレッシャプレート4006との間に締込まれていない摩擦クラッチ4001の操作状態、要するに、対応プレッシャプレート4006からクラッチディスク4008へトルクが実際に伝達されえない摩擦クラッチ4001の状態、を意味する。摩擦クラッチ4001のこのような操作状態においては、ライニングばねセグメント4010は弛緩されている。距離は、有利には、皿ばね4004が皿ばね状の構造部分4026に摩擦ライニング4007の解放後すぐに当接するように、設定することができる。皿ばね状の構造部分4026は補償ばねとして役立ち、この補償ばねはクラッチディスク4008の解放後摩擦クラッチ4001のレリーズ力経過を所期の距離−力−特性に適合させる。補償ばね4026の適宜の構成により、摩擦ライニング4007の解放後に残されているレリーズ距離に亘ってレリーズ力の経過を「線型にする」ことができ、このことは、この残されているレリーズ距離に亘って、作用せしめられるレリーズ力が実際に一定に保持されること又は、少なくともこの距離に亘ってレリーズ力の変化が著しく少ないことを意味する。
【0522】
次に、以上に述べた摩擦クラッチ4001の作用形式を図84〜図86の線図について詳細に説明する。
【0523】
図84における特性曲線4033は、皿ばね4004の円錐形状の変化に関連して、かつ板ばねエレメント4009からの力の作用下において生じる、軸方向の合力の経過、それも特に、2つの支持部(これらの2つの支持部間の半径方向距離は、旋回支承部4005とプレッシャプレート4003の部位4003aとの間の半径方向距離に等しい)間における皿ばね4004の変形時における、前記軸方向の合力の経過、を示す。横軸は前記両支持部間の相対的な軸方向距離を示しており、縦軸は皿ばね4004及び板ばねエレメント4009から生ぜしめられる合力を示している。点4034はクラッチ4001が閉じている(連結されている)ときにおける皿ばね4004の組付位置状態を表わしており、要するに、皿ばね4004が相応する組付位置のために最大の軸方向力をプレッシャプレート4003に作用させる位置状態を表わしている。この点4034は、皿ばね4004の円錐形の組付位置状態の変化により特性曲線4033に沿って上方又は下方へ変位することができる。
【0524】
特性曲線4035は、ライニングばねセグメント4010から作用せしめられる、両摩擦ライニング4007間において作用する軸方向の拡張力を示す。この特性曲線にはさらに、ライニングばね作用と同様に作用する全てのばね、作用、例えばクラッチカバーの弾性、旋回支承部の弾性又は場合により設けられる皿ばねとプレッシャプレート支持部との間の弾性エレメント又はその他の類似エレメントの弾性、が含まれている。このような軸方向拡張力は、皿ばね4004からプレッシャプレート4003へ作用する軸方向力に対して逆向きに作用する。ばねエレメント4010の可能な最大弾性変形のために必要な軸方向力が、少なくとも、クラッチ4001の連結状態時に皿ばね4004からプレッシャプレート4003へ作用せしめられる力に等しいことが望ましい。クラッチ4001が遮断されるさい、ばねエレメント4010は距離4036に亘って、弛緩する。プレッシャプレート4003の相応する軸方向変位量にも等しいこの距離4036に亘り、クラッチ4001の遮断過程(レリーズ過程)は助成される。要するに、クラッチ遮断時に、ライニングばねセグメント4010がない場合における組付点4034に相応する最大軸方向力より小さい最大軸方向力を必要とするにずぎない。点4037を過ぎると摩擦ライニング4007は解放され、この場合、皿ばね4004の逓減的な特性曲線範囲に基いて、このときなお作用せしめられるべきレリーズ力は、点4034に相応するレリーズ力に対して著しく減少している。クラッチ4001のためのレリーズ力は、補償ばね4026なしでも、横軸上の点4038に達するまで減少する。レリーズ方向で点4038を過ぎると、皿ばね4004から生ぜしめられる軸方向力の方向は逆転し、その結果皿ばね4004は点4038を過ぎると自動的にレリーズ方向に切換えられ、正弦波特性曲線4033の最小値若しくは谷点4038aに自動的に向かう。レリーズ方向で点4038を過ぎると、皿ばね4004から作用せしめられる力は負になり、その結果、補償ばね4026なしで、摩擦クラッチ4001は自動的に開いた(遮断された)状態に保持されることになる。摩擦クラッチ4001のレリーズ過程中最小値点4038aを過ぎると、皿ばね4004から作用せしめられる負の力は、横軸上の点4039のところまで、減少する。レリーズ方向で点4039を過ぎると、皿ばね4004によって生ぜしめられる力は再び正になり、この場合点4039aに達すると、皿ばね4004を押圧するために必要な力は点4037ところでの力と一致する。
【0525】
線図84にはさらに皿ばね4004のフラット位置4033aがプロットされている。皿ばね4004のフラット位置とは、ばね作用をもつリング状の基部4004aが皿ばね4004の回転軸線に直交する平面に対して平行になっている、変形した皿ばね4004の位置を意味する。
【0526】
点4037,4038,4038a,4039,4039aを通る特性曲線区分から判るように、付加的のばね4026なしで、プレッシャプレート4003の軸方向の分離によって摩擦ライニング4007が解放された後、レリーズ力の経過において著しい力の変化が認められる。この力の変化は欠点である。それというのは、この範囲におけるクラッチの連結−及びレリーズ距離の正確な調量が、最小値点4038(ここでは負)の両サイドの力の変化が異なることに基づいて、困難であるからである。このことは、足操作のクラッチの場合も、サーボモータ操作の自動摩擦クラッチの場合も同じである。この欠点を避けるため若しくは所期のレリーズ力経過をプレッシャプレート4003の必要なリレーズ分離距離4040に亘ってうるために、皿ば状の構造部分4026が設けられており、該構造部分は図示の実施例では、プレッシャプレート4003の突出部4003a及び旋回支持部4011,4012における皿ばね4004の両支点距離に関連して、破線4041で示す力−距離−特性を有している。
【0527】
図84から判るように、皿ばね4004と皿ばね状の構造部分4026とは、少なくともレリーズ距離4040の区間内においては、逆向きの力−距離特性を有している。図示の実施例では、皿ばね状の構造部分4026はレリーズ距離4040の専ら一部分の範囲4042に亘って作用するに過ぎない。「レリーズ距離」とは、摩擦クラッチ操作時に摩擦ライニング4007の解放後にプレッシャプレート4003がなお軸方向に進むことができる距離を意味する。図4004から判るように、摩擦クラッチ4001のレリーズ過程において、皿ばね状の構造部分4026は、摩擦ライニング4007が解放される点4037に達した後にはじめて作用する。ばね特性曲線4033と4041とを重ねる若しくは加えることによって生じた力の経過は曲線4043で示されている。この経過曲線4043は点4044で始まる。
【0528】
皿ばね状の構造部分4026の作動点4044は、皿ばね4004の外周縁と皿ばね状の構造部分4026の半径方向外側の範囲との間の軸方向距離によって規定される。分離距離4040は、摩擦クラッチ4001の全レリーズ距離に達したときにも分離距離4040の終点4045に相応するレリーズ力が点4037に相応するレリーズ力よりも小さくなるように、設定されている。このことは、後に説明されるように、後調節手段4016における非意図的な後調節を避けるために、必要である。
【0529】
例えばレリーズ軸受のための、舌状片先端4004c若しくは当接直径部位に必要な、クラッチ4001のためのレリーズ距離は、図84から読取られるプレッシャプレート4003の可能な軸方向移動距離4046よりも、皿ばね4004のてこ腕による伝動比分だけ相応して大きくなる。この皿ばねのてこ腕の伝動比は旋回支承部4005と皿ばね4004及びプレッシャプレート4003間の支持直径部位4003aとの間の半径方向距離に対する、旋回支承部4005と操作−若しくは当接直径部位4004dとの間の半径方向距離との比に相応する。この伝動比は大くの場合3:1から5:1であるが、また若干の場合には、さらに大又は小であることができる。図81の実施例ではこの伝動比の値は4.2である。
【0530】
舌状片先端4004cの範囲における操作直径部位4004dに関して、分離距離4040に亘るレリーズ力の経過は、やはり前記の伝動比に相応して、図84に示されているものに対して減少している。
【0531】
図84にはさらに、摩擦クラッチ4001をレリーズするためばねエレメント4010の弛緩距離4036に亘ってプレッシャプレート4003と皿ばね4004との接触直径部位4003aの範囲に作用されてるべき力の経過曲線4047が示されている。経過曲線4047は、点4034と点4037との間の力の経過曲線とばねセグメント4010の力の経過曲線4035との差に相応する。皿ばね舌状片4046の操作直径部位4004dの範囲における力の経過は、図84の力の経過曲線4047に対して、皿ばね4004のてこ腕比に相応して減少しており、この場合しかし操作直径部位4004dの範囲に必要な軸方向距離は、ばねセグメント4010の弛緩距離4036に対して、この伝動比分だけ相応して大きい。図81〜図84に相応する摩擦クラッチ4001の構成においては、レリーズ距離の一部分に亘ってはたんに操作皿ばね4004若しくは主皿ばねだけが旋回せしめられ、それも該皿ばね4004の外縁が付加的のばね若しくは補償ばね4026に当接するまで、旋回せしめられる。次いで操作皿ばね4004が補償ばね4026と一緒に旋回せしめられ、この場合この両方のばねの力−距離−特性が互いに重なり合い、合成された力の経過曲線4043が生じ、これは分離距離4040の少なくとも一部の範囲に亘って延びる。図84から判るように、皿ばね4004の力の最小値の点4038aは極めて低く設定することができかつ負の値をとることができ、その結果力の最小値の点4038aは横軸の下側にくる。後者である場合皿ばね4004は、外力の作用なしにとどまっていることができる予圧された位置状態を有する所謂スナップスプリングを形成する。補償ばね4026は、少なくとも、操作皿ばね4004の力最小値の点4038に隣接した範囲内において作用する。
【0532】
補償ばね4020により、分離距離4040において、摩擦クラッチ4001のレリーズのために必要な力の経過がえられ、その結果、レリーズ力経過において生じる変化は、皿ばね4004の力−距離特性曲線4033の分離距離4040に亘って延びる特性曲線範囲において生じるであろう変化よりも、著しく減少している。
【0533】
力センサとして働くばね4013は、図85の特性曲線4048に相応する距離−力特性を有する。特性曲線4048は、皿ばね状の構造部分4013が、それも旋回支持部若しくは支持部4011,4014間の半径方向距離に相応する半径方向距離を有する2つの旋回支持部間において、弛緩した位置状態からその円錐形状を変化せしめたときに生じる特性曲線に相応する。
【0534】
摩擦クラッチ4001がレリーズされクラッチディスク4008が解放された後に、操作皿ばね4004に対してクラッチカバー側の転動支持部4012に向って負荷される全ての力は、主に板ばねエレメント4009、センサばね4013及びレリーズ力によって操作皿ばね4004の操作範囲4004dに作用せしめられる力の和によって、生じる。板ばね4009はクラッチカバー4002とプレッシャプレート4003との間に設けられており、この場合、摩擦ライニング4007の摩耗の増加に伴って、クラッチ4001の閉鎖行程距離404bに亘って、板ばね4009から操作皿ばね4004は作用せしめられる軸方向力が増加する。従って、図85の距離4049に亘って、ひいてはまた後調節手段4016の摩耗補償距離に亘って、板ばねエレメント4009から作用せしめられる軸方向力は、特性曲線4050に示す上昇する特性を有する。図85から判るように、センサばね4013の撓み量の増加に伴って、板ばねエレメント4009からプレッシャプレート4003へ作用せしめられる戻し力(この力は操作皿ばね4004にも作用する)は増大する。特性曲線4050及び皿ばね特性曲線4048による力の経過を加えることにより、この合成力の経過曲線4051が生じ、この力は、皿ばね4004をクラッチカバー側の旋回支持部4012に押圧する方向で、軸方向で皿ばね4004に作用する。従って板ばね4009を相応して予圧することにより、センサばね4013から少なくとも距離4049に亘って作用されるべき支持力を減少させることができる。図示の実施例においては、センサばね4013は距離4049に亘って減少する若しくは負の距離−力−特性を有する。板ばねエレメント4009を相応して構成して配置することにより、同様に、ライニングばね力の減少及び又はライニングばねセグメントの埋込みによってライニング中に惹起されるレリーズ力の増大は、センサ力4051が、対プレッシャプレート4006に向って皿ばね4004が変位するさいに僅かに上昇することにより、少なくとも部分的に補償される。これにより、皿ばね4004は、クラッチ連結時に、ほぼ同じ作動点4034若しくは同じ作動範囲4046を維持し、その結果皿ばね4004は、摩擦クラッチの寿命期間中、実質的に少なくともほぼ一定不変の押圧力をプレッシャプレート4003に作用させる。さらに、摩擦クラッチ、特にセンサばね4013の設計においては、後調節エレメント4017に作用する後調節ばね4020によって生ぜしめられる、センサばね4013及び又は板ばね4009に対して逆向きに作用する合成軸方向力が考慮されなければならない。
【0535】
予圧された板ばね4009を有する摩擦クラッチ4001の設計においてはさらに、この予圧された板ばね4009の、プレッシャプレート4003から摩擦ライニング4007へ作用せしめられる軸方向力に対する影響が考慮されなければならない。このことは要するに、操作皿ばね4004に向って板ばね4009が予圧されている場合、皿ばね4004から作用せしめられる押圧力が板ばね4009のこの予圧分だけ減少することを意味する。従ってこのような形式の摩擦クラッチにおいては、プレッシャプレート4003若しくは摩擦ライニング4007に対して合成された押圧力が形成され、該押圧力は皿ばね4004の押圧力と板ばね4009の予圧との重畳によって生じる。摩擦クラッチ4001の作動範囲4046に亘って、図84の特性曲線4033が、摩擦クラッチ4001が新しい場合における操作皿ばね4004及び予圧された板ばね4009の合成された力特性を表わすものとすれば、プレッシャプレート4003と対応プレッシャプレート4006との間の距離の、例えばライニングの摩耗による減少と共に、合成力の特性曲線の、減少方向での変位が、それも摩耗の増大に伴って板ばね4009によって皿ばね4004に作用せしめられる反対方向のモーメントに基づいて、生じる。この反対方向のモーメントは、旋回支承部4005と部位4003aとの間の半径方向距離に基づいて存在する。摩擦クラッチ4001の設計においては特に次のようにすることが重要である。即ち、ライニングの摩耗による板ばね4009のばね力の増加が、同じライニング摩耗による操作範囲4004dにおける、後調節のために必要なセンサばね4013の旋回を生ぜしめる、レリーズ力の増加よりも、有利には小さいこと、最大でも等しことが特に重要である。そうでないと、摩擦クラッチが連結された状態における、摩擦ライニング4007に対するプレッシャプレート4003の押圧力並びに摩擦ライニング解放時に皿ばねから旋回支持部4011へ作用せしめられる力が減少することによる。これにより後調節が全く行われえなくなる。それというのは点4034及び点4037が最小値の方向へ変位されることになるからである。
【0536】
板ばね4009及び又はばね4013の図85に示する合成力の特性曲線4051は、発生する軸方向力がほぼ一定不変にとどまっている若しくは有利には幾分上昇するばね行程距離範囲4049を有している。
【0537】
この範囲4049において生じる力はこの場合、該力が図84の点4037に相応するクラッチレリーズ力に少なくともほぼ等しくなるように、設定されている。センサばね4013及び板ばね4009から生じる合成支持力は、皿ばね4004の点4037に相応する力に対して、この皿ばね4004のてこ腕の伝動比に相応して減少している。
【0538】
摩擦クラッチ4001内における皿ばね状のエレメント4013の組付位置は以下のように選択されている。即ち該エレメントが旋回支承部4005の範囲において摩擦ライニング4007の方向である軸方向ばね行程距離を通過することができように選択されており、この場合上記のある軸方向ばね行程距離は殊に摩擦面及び摩擦ライニングの摩耗に基づいて生じるところの、対応プレッシャプレート4006に向かう方向でのプレッシャプレート4003の軸方向後調節距離に少なくとも等しい。特性曲線4051の少なくともほぼ線型の範囲4049は有利には、上記の摩耗距離よりも大きな長さを有することができる。それというのは、これにより、組付公差も少なくとも部分的に補償されるからである。
【0539】
摩擦クラッチ1がレリーズされるさいにおける摩擦ライニング4007の実際上同一にとどまる所定の解放点4037がえられるようにするために、対をなす個々のばねエレメントが背中合わせに設けられていて、この場合個々のセグメント対がまた互いにある程度の軸方向予圧を有していることができる所謂複式セグメント−ライニングばね装置を摩擦ライニング4007間に使用することができる。ライニング間に設けられているばねエレメントの予圧により、運転持続中に発生する、ライニング背面へのセグメントの埋込み損失は少なくともほぼ補償される。この場合埋込み損失とは、ライニングの背面にセグメントが入り込むことによって生じる損失を意味する。有利には、ライニング間に設けられるばねエレメントのプレロードは0.2mm〜0.6mmである。両摩擦ライニング4007間の軸方向の弛緩行程距離を適宜に制限することによって、及び、両摩擦ライニング間において作用するばね装置の所定の、少なくとも僅かな予圧によって、摩擦クラッチ4001の少なくともレリーズ時に、プレッシャプレート4003は図84における所定の距離4036に亘って、ライニング間に設けられているばね装置により押戻される。この所定の距離4036をうるために、摩擦ライニング間に軸方向距離は、相応するストッパによりライニングばね装置4010の弛緩方向並びに緊縮方向において制限される。ライニングばね装置としては、有利には、例えばドイツ国特許出願第42 06 880.0号明細書により公知になっているライニングばね装置を用いることができる。
【0540】
摩擦クラッチ4001の若しくはライニング摩耗の自動的補償を保証する後調節装置の申し分のない機能を確保するためには、図86のレリーズ力特性曲線4052に相応して、はじめライニングばね装置4010、センサばね4013及び板ばね4009によって皿ばね4004へ作用せしめられる合力並びに、摩擦ライニング4007からのプレッシャプレート4003の分離後はセンサばね4013及び板ばね4009から皿ばね4004へ作用せしめられる合力が、皿ばね舌状片先端4004cの操作範囲4004dに作用する、図86に相応してレリーズ行程距離に亘り変化するレリーズ力よりも少なくとも僅かに大きいか又は少なくとも等しいなるようにすることが重要である。
【0541】
これまでの考察は皿ばね4004の完全に規定された組付位置に相応するもので、摩擦ライニング4007における摩耗は考慮されなかった。
【0542】
軸方向の摩耗が生じると、特に摩擦ライニングに軸方向摩耗が生じると、プレッシャプレート4003の位置は対応プレッシャプレート4006に向って変位し、これにより、円錐形状、ひいてはまた摩擦クラッチ4001の連結状態で皿ばねから作用せしめられる押圧力が、増大する方向に変化する。この変化により、点4034が点4034′の方向に変位しかつ点4037が点4037′の方向に変位する。この変化により、クラッチ4001のレリーズのさい、操作皿ばね4004及びセンサばね4013間の旋回支持部4011の範囲における、はじめに存在していた力の平衡が破壊される。プレッシャプレート4003に対する、ライニングの摩耗によって生じた皿ばね押圧力の増大は、また、レリーズ力の特性曲線を増大する方向にずらす。これによって生じるレリーズ力特性は図86において一点鎖線4053で示されている。レリーズ力の増大により、摩擦クラッチ4001のレリーズ過程中、センサばね4013及びばね4009から皿ばね4004へ作用せしめられる軸方向の合力が克服され、その結果センサばね4013は旋回支承部4005の範囲において、摩擦ライニング4007の摩耗にほぼ相応する軸方向距離だけ、撓む。センサばね4013のこの撓み過程中、皿ばね4004はプレッシャプレート4003の負荷範囲4003aを中心にして旋回し、その結果皿ばね4004はその円錐形状を変化させ、ひいては、この皿ばねに蓄えられたエネルギ若しくはここに蓄えられた回転モーメント、ひいてはまた、皿ばね4004によって旋回支持部4011若しくはセンサばね4013及びプレッシャプレート4003に作用せしめる力を変化させる。この変化は、図84からも判るように、皿ばね4004から作用せしめられる力を減少する方向に行われ。この変化は、皿ばね4004から旋回支持部4011の範囲においてセンサばね4013へ作用せしめられる軸方向力が、センサばね4013及び板ばね4009から生ぜしめられる反力と平衡するまで、行われる。このことは、図84の線図において点4034′及び4037′が再び点4034及び4037の方向に移動することを意味する。この平衡が再びつくりだされると、プレッシャプレート4003は再び摩擦ライニング4007から離れることができる。摩擦クラッチ4001のレリーズ過程における摩耗のこの後調節過程中、後調節装置4016の後調節エレメント4017はプレロードを負荷されたばね4020によって回動せしめられ、これにより、旋回支持部4012もライニングの摩耗量に相応して移動し、従って皿ばね4004の遊びのない旋回支承部4005がえられる。後調節後レリーズ力の経過は再び図86の特性曲線4052に相応して行われる。図86の特性曲線4054,4055は特性曲線4052,4053に相応するレリーズ力−距離経過におけるプレッシャプレート4003の軸方向距離を表わす。
【0543】
実際においては上記の後調節は連続的に若しくは極めて小さいステップで行われ、その結果、本発明の理解のために線図中において示されているような大きな点のずれ及び特性曲線のずれは通常生じない。
【0544】
摩擦クラッチ4001の運転中に若干の運転パラメータが変化することがある。例えば摩擦クラッチ4001の普通行われない不適切な操作によってライニングばね装置4010のオーバーヒートが生じることがあり、この場合にはライニングばね装置4010若しくはライニングセグメントの軸方向ばね力を減少させる結果を生じることがある。しかし皿ばね4004の特性4033及び又は板ばね4009の特性4050を適宜に選択することにより及び又はセンサばね4013の特性4048を相応して適合させることにより摩擦クラッチの確実な運転機能を確保することができる。
【0545】
ケーシング4002とプレッシャプレート4003との間における回転モーメント伝達手段としての板ばね4009はまた、摩擦クラッチ4001のレリーズのさいに皿ばね4004の軸方向支持のために必要な完全な力がえられるように構成することも可能である。回転モーメント伝達手段4009のこのような構成においては皿ばね状構造部分4013を省略することさえも可能である。この場合回転モーメント伝達手段は、少なくとも摩擦クラッチ4001の耐用寿命に亘って、摩耗補償手段4016の申し分のない後調節機能を保証する距離−力特性を有するように、構成されなければならない。
【0546】
図87に図示されている摩擦クラッチ4101を有するクラッチユニットは、図87に図示されているクラッチユニットと類似の構造を有している。クラッチディスク4108の摩擦ライニング4107は、フライホイールによって形成されている対応プレッシャプレート4106の摩擦面とプレッシャプレート4103の摩擦面との間に軸方向で締込まれている。クラッチケーシング4102とプレッシャプレート4103との間には主皿ばね若しくは操作皿ばね4104(クラッチの連結遮断操作用皿ばね)が設けられており、これは旋回支承部4105にケーシング4102に対して傾倒可能に支承されている。クラッチ4101のレリーズ時に皿ばね4104を軸方向で支持する旋回支持部111は、センサばね4113として役立つ皿ばね状構造部分4113により直接形成されている。構造部分4113は軸方向でケーシング4102と皿ばね4104との間に、皿ばね舌状片先端4104cの負荷を受ける範囲4104dに作用するレリーズ力に対して逆向きの軸方向力が皿ばね4104に作用せしめられるように、緊縮されている。皿ばね4104とケーシング4102との間には後調節リング4117を有する後調節手段4116が配置されており、該リングはケーシング4102に対して回動可能でありかつ少なくとも1つのばね4120を介して後調節方向にばね力を負荷されている。後調節手段4116は図81の後調節手段4016と同様の形式で作用し、従って摩擦ライニング4107の摩耗を補償するための後調節機能については図81についての説明を援用する。
【0547】
図87の摩擦クラッチ4101の構造によれば、摩擦クラッチ4101の分離行程に亘って所望のレリーズ力の過程をうるために、プレッシャプレート4103によって摩擦ライニング4107が無負荷となった後に作用する付加的皿ばね4126が、旋回支承部4105の半径方向内側に設けられている。これにより、付加的ばね4026が旋回支承部4005の半径方向外側に設けられている図81の実施例に対して、補償ばねとして役立つ付加的ばね4126のための材料経費は著しく低減される。
【0548】
付加的ばね4126は後調節リング4117と皿ばね4104との間に配置されている。付加ばね4126はリング状の基部4127を有し、この基部は外周に半径方向のアーム4128を有し、該アームは基部4127の周方向に分配されていてかつ後調節リング4117と皿ばね4104との間の旋回支承部4105の範囲に軸方向で締込まれている。
【0549】
図87の上半分から判るように、付加的皿ばね4126は基部4127から半径方向内側へ延びている舌状片4122を有し、これらは軸方向に曲げられていて、皿ばね舌状片4104b間の間隙4129を軸方向に通りかつ半径方向に折曲げられた端部範囲4130で、摩擦クラッチ4001の連結時に、皿ばね4104の舌状片4104bの範囲の後側を、所定の軸方向間隔若しくは遊び4132をもって、囲んでいる。
【0550】
図87の下半分には、所定の遊び4132を調節するための別のバリエーションが図示されている。このバリエーションでは皿ばね4104に分配されている個々のリベットエレメント4131が設けられており、これらはこれらの軸部をもってケーシング4102の底部4102aに向って延びており、かつ頭部4132aによって形成された、付加的皿ばね4126のためのストッパを有している。付加的皿ばね4126は半径方向内側に、リベットエレメント4131の軸部を掴む二又ホーク状のアーム4126aを有している。
【0551】
図87の実施例には、摩擦クラッチ内に付加的皿ばね4126を確保するための付加的エレメントを必要としない利点がある。図81の実施例ではこのためにエレメント4031及びこのエレメントのための固定手段が必要であった。付加的皿ばね4126は摩擦クラッチ4101内ににおいてそれをクラッチ4101が連結されている状態において操作皿ばね4104と後調節リング4117との間に、常に緊縮された状態で保持されている。クラッチ4101がレリーズされるさい付加的皿ばね4126は、遊び4132がなくなった後に、操作皿ばね4104によって負荷される。この目的で付加的皿ばね4126は半径方向外側では操作皿ばね4104に旋回支承部4105の範囲で支持されかつ半径方向側では、皿ばね舌状片4104bの範囲に設けられているストッパ範囲に支持され、該ストッパ範囲は付加的皿ばね4126の対応ストッパ範囲4130若しくは4126aと協働する。
【0552】
付加的皿ばね4126の配置により、簡単な組立が、付加的皿ばね4126の確実な締付けと共に、保証される。図87では付加皿ばね4126は弛緩した位置状態で図示されている。図7の上半分に図示されている付加的皿ばね4126と操作皿ばね4104との軸方向の組付けはバヨネット継手を介して、要するに軸方向差込み−回動継手を介して行われる。これを行うには、軸方向に延びている舌状片4122を操作皿ばね舌状片の範囲に形成されている間隙に通し、次いで両皿ばね4104,4126を相対的に回動させることによって半径方向に僅かに延びているスリット内へずらす。これによりストッパ範囲4130は操作皿ばね4104の対応するストッパ範囲に軸方向で対向する位置にくる。摩擦クラッチ4101内に組付けられた位置において両皿ばね4104,4126はピン4115の片の保持手段を介して相互にかつケーシング4102に対して位置決めされかつ案内されている。
【0553】
付加的皿ばね4126は、摩擦クラッチ4101のレリーズ力特性に関して、図81による付加ばね4026と同じ機能を有し、従ってこれに関しては図81〜図86の説明を援用する。
【0554】
摩擦クラッチ4101は、クラッチ4101が使用中回転する回転数域の少なくとも一部の範囲において、レリーズ力に抗して作用する支持力を増大させる手段を有している。これにより、例えば比較的高い回転数において発生する障害フアクタに基づいてクラッチ4101の操作中に許容できない後調節が行われることが防止される。この手段は摩擦クラッチ4101においては遠心力に関連して作用する手段、即ちセンサ皿ばね4113の外周に配置された、センサ皿ばね4113に一体に形成されクラッチカバー4102に向って軸方向に突出している舌状片4156の形の重りによって形成されている。クラッチ4101が回転すると舌状片4156に作用する遠心力に基づいて、センサばね4113からそのプレロードに基づいて作用せしめられる力に重畳される、要するに加えられる力が発生する。これにより、旋回支持部4111の範囲における操作皿ばね4104のための支持力が増大される。舌状片4156によって旋回支持部4111に付加的に発生する力は回転数の上昇と共に増大する。
【0555】
所定の回転数範囲、殊に比較的高いエンジン回転数においては、例えばエンジンによる振動が発生し、これは、クラッチのレリーズ状態においてプレッシャプレート4103の軸方向振動を生じさせる。プレッシャプレート4103が軸方で振動すると、少なくとも短時間の間このプレッシャプレート4103は操作皿ばね4104から離れることがあり、これにより合成のセンサ力が短時間なくなる。それというのは、この場合、板ばね4109としての回転モーメント伝達手段から生ぜしめられる軸方向力がもはや操作皿ばね4104に作用しなくなるからである。このことは、遠心力に関連する手段4156がない場合には、以下のような結果を生じることになる。即ち手段4116の所期の後調節のために必要な、構造的に調節された力の比、即ち皿ばね4104若しくはこれに作用するレレリーズ力と皿ばね4104に作用する合成された支持−若しくはセンサ力との比、がこわされ、この支持−若しくはセンサ力が許容できない低いレベルまで低下し、これによりクラッチ4101が早期に若しくは非意図的に後調節される結果になる。これにより皿ばね4104の作動点は力最小値の方向に変位する。舌状片4156の形の回転数若しくは遠心力に関連する手段4156により、回転数に関連する障害的効果を補償することができる。このことは、既に述べたように、センサばね4113及び又は板ばねエレメント4109から生ぜしめられる力と並列的に接続される付加的な補助力が回転数若しくは遠心力に関連して生ぜしめることによって、行われる。
【0556】
図88に図示されている摩擦クラッチ4201は所謂引き型の摩擦クラッチを構成している。皿ばね4204は半径方向外側で、ケーシング4202の半径方向範囲と皿ばね4204との間に設けられた摩耗補償リング4218に支持されている。半径方向でさらに内側にある範囲で皿ばね4204はプレッシャプレート4203の突出部4213に負荷を与えている。皿ばね4204のプレッシャプレート4203側とは反対の側に摩耗センサ4237が設けられており、該センサは皿ばね4204によって支持されかつこれにバヨネット継手を介して結合されている。この場合、皿ばねとして製作された摩耗センサ4237は半径方向内側に軸方向の、鉤状に形成されたア−ム4241を有し、この鉤状のアームが、皿ばねに設けられている軸方向の切欠き4204aに通されて回動せしめられることによって軸方向に係止される。摩耗センサ4237は、摩耗感知リング4220が摩擦ライニング4207に摩耗がないときに後調節することを防止する。摩耗感知リング4220は摩耗補償リング4218の半径方向内側に同心的の設けられている。
【0557】
摩耗補償リング4218及び摩耗感知リング4220はそれぞれ周方向に延びていてかつ軸方向で上昇している乗上げ斜面4219,4223を有し、これらはリング4218,4220の周方向に分配されている。リング4218,4220は、クラッチ4201内に、楔状若しくはカム突起状の成形部によって形成された乗上げ斜面4219,4223がケーシング底部4202a側に向くように、設けられている。
【0558】
乗上げ斜面4219,4223はこれに対応する対応乗上げ斜面4221,4222に軸方向で支持されており、これらは図示の実施例では直接にケーシング4202に、即ちクラッチカバー底部4202aに、例えばプレス加工によって設けられている。
【0559】
乗上げ斜面4219,4223並びにこれらに所属する対応乗上げ斜面4221,4222は周方向で、これらがケーシング4202に対するリング4218,4220の、少なくともある回動角度に亘る回動を可能にするように、即ち摩擦クラッチの全寿命に亘って少なくとも、プレッシャプレート4203、対応プレッシャプレート4206及び摩擦ライニング4207の摩擦面に発生する摩耗を補償するだけの回動角度を可能にするように、形成されている。この場合、軸方向で互いに協働する乗上げ斜面4219,4223及び対応乗上げ斜面4221,4222の傾斜角度を、所属し合う斜面4219及び4221若しくは4223及び4222が押合わされたさいに生じる摩擦が互いに協働する斜面間のスリップを妨げる、要するに摩擦による自縛作用が生じるように選ぶのが特に有利である。この傾斜角度は3°〜12°であることができる。
【0560】
摩耗補償リング4218は周方向でばね力を負荷されており、それも後調節方向で、要するに斜面4219及び4221の乗上げによってプレッシャプレート4203に向かう方向での軸方向変位、要するに半径方向のケーシング部分4002aから離れる方向での軸方向変位が生じるように、ばね負荷されている。摩耗補償リング4218のこのばね負荷は図示の実施例では少なくとも1つのコイルばね4228により行われており、該コイルばねは半径方向でみて両方のリング4218,4220の間に配置されている。摩耗感知リング4220は同様に後調節方向でばね負荷されており、それも図88aから判るように、作用的に直列に配置されたリング4218,4220間に緊縮可能に配置されている少なくとも1つのコイルばね4229によって、ばね負荷されている。コイルばね4228は周方向に延びていてかつ、皿ばね4237の軸方向に折曲げられた耳状片4241aとリング4218の内周に成形された半径方向の突出部4234との間で緊縮されている。摩耗感知リング4220はその外周に少なくとも1つの半径方向突出部4235を有し、これは半径方向の突出部4234と重なる。突出部4234,4235には若しくはその内部には、少なくとも僅かに予圧されたコイルばね4229を保持し案内するための受容部が設けられている。突出部4234が突出部4235に当たることにより摩耗感知リング4220に対する摩耗補償リング4218の相対回動が制限される。両ばね4228,4229は作用的に直列に接続されている。図88bから判るように、各リング4218,4220には少なくとも1つのばね4228を所属させることができる。リング4218,4220は、周方向にずらされている支持範囲4234a,4235aを有している。皿ばね4237は個々のばね4228のためにやはり個別の、周方向にずらされた支持範囲若しくは負荷範囲4241a,4241bを有している。
【0561】
摩耗センサ4237は摩擦がない場合に、摩耗感知リング4220の許容できない後調節を防止する。摩耗感知リング4220自体はやはり摩耗補償リング4218の許容できない後調節を防止するものである。摩擦ライニング4207に摩耗がない場合、突出部4234,4235は互いに当接する。これを保証するために、摩擦クラッチ4201の全寿命に亘ってコイルばね4228から摩耗保証リング4218へ作用せしめられる捩りモーメントが両コイルばね4229によってリング4218,4220間に生じる回転モーメントより大きくなっている。
【0562】
摩耗センサとして役立つ皿ばね4237は所定の軸方向の、摩耗感知リング4220に向かう方向に作用するプレロードをもって操作皿ばね4204に組付けられている。このプレロード、即ちこれをもって皿ばね4237が操作皿ばね4204に当接しかつ摩耗感知リング4220の後調節に抗して逆向きに作用するプレロードは、摩耗感知リング4220が、クラッチが連結されかつ摩耗のない状態において及び摩耗の後調節が行われ後に、クラッチ内において回動しないように、設定されている。摩擦クラッチ4201の連結状態においてダイヤフラム状の摩耗センサ4237により摩耗感知リング4220へ作用せしめられる軸方向力は、乗上げ斜面4222,4223があることに基づいてコイルばね4228によって生ぜしめられる軸方向力よりも大きくなければならない。摩耗センサ4237の製作においてはまた摩擦クラッチ4201の運転中このクラッチに作用する障害力、例えば慣性力も考慮されなければならない。要するに、摩耗、特にライニングの摩耗に起因しない、摩耗感知リング4220からの摩耗センサ4237の分離が避けられるようにしなければならない。それというのは、そうでないと、摩耗感知リング4220の望ましくない回運若しくは後調節が行われ、これにより摩耗センサ4237が緊縮状態にとどまり、これにより摩擦クラッチ4201の制御されない後調節が行われる危険が生じるからである。
【0563】
摩擦クラッチ4201の分離距離の少なくとも一部の範囲に亘って作用する付加的ばね4226は軸方向でプレッシャプレート4203と操作皿ばね4204との間に配置されている。皿ばねとして製作された弛緩した付加的ばね4226はプレッシャプレート4203の方向に向って円錐状に配置されており、この場合付加的ばね4226の外縁は操作皿ばね4204に軸方向で固定されており、その結果皿ばね4226は操作皿ばね4204に対して旋回可能に保持されている。付加的ばね4226は、図87の付加的ばね4126又は図81の付加的ばね4026と同じ機能を保証する。
【0564】
皿ばね状の摩耗センサ4237、操作皿ばね4204及び付加的皿ばね4226は軸方向に整列した切欠きを有していて、該切欠きに、プレッシャプレート4203内に不動に止められている軸方向に延びているピン4203aが通されている。このピン4203aにより構造部分4237,4204及び4226が相互にかつプレッシャプレート4203に対して回動を防止される。
【0565】
操作皿ばね4204の舌状部4204bは半径方向側に引張り皿状体4260の形の操作エレメントを支持しており、これはレリーズ機構、例えばレリーズベアリングを介して軸方向に変位可能である。引張り皿状体4260は舌状片4204bの半径方向内側の範囲に軸方向に保持されており、かつ範囲4260dを有し、該範囲を介して、付加的皿ばね4226の舌状片4226aの半径方向内側範囲が負荷を受けることができる。
【0566】
リング状の負荷範囲4260aは皿状体4260の半径方向外側の区分によって形成されている。付加的ばね4226の舌状片4226a及びこれと協働する負荷範囲4260aの間には軸方向距離4232があり、これは、付加的皿ばね4226が分離距離に亘ってはじめて、要するにプレッシャプレート4203によって摩擦ライニング4207が解放された後にはじめて、作用することを保証する。 対応プレッシャプレート4206上にクラッチディスク4208を介して組付けられた摩擦クラッチ4201の図88に示されている新しい状態から出発して、クラッチレリーズのさい皿ばね4204は半径方向内側右側へ旋回せしめられ、その結果皿ばね4204は半径方向外側で、摩耗保証リング4218に支持されている転動支持部4212に支持される。レリーズ過程中センサ皿ばね4237は軸方向で皿ばね4204と摩耗感知リング4220の間で緊縮され、それもプレッシャプレート4203の分離行程を規定する、センサばね4237と皿ばね4204との間の角度遊びLがなくなり、その結果皿ばね4204が摩耗感知リング4220に軸方向で支持されるまで、緊縮される。レリーズ運動が進行すると皿ばね4204は摩耗感知リング4220にあるリング状の支持範囲4220aを中心にして旋回せしめられ、これにより皿ばね4204は半径方向外側の転動支持部4212を無負荷にし、その結果摩耗がある場合この摩耗はリング4218の相応する軸方向後調節によって補償される。皿ばね4204は要するにレリーズ過程中まで単腕レバーと同様に外側の転動支持部4218を中心にして旋回せしめられる。間隙若しくは角度Lを越えると皿ばね4204のリング状の旋回範囲は半径方向内側が摩耗感知リング4220の範囲4220a内へ変位せしめられ、その結果レリーズ運動がさらに進行すると皿ばね4204は今度は双腕レバーと同様に旋回せしめられ若しくは作用するようになる。摩擦クラッチ4201の操作中の皿ばね4204のリング状の転動支持部のこの半径方向の変位により、伝動比若しくはてこ腕比が変化し、該伝動比若しくはてこ腕比は、皿ばね4204を操作するために必要な力をIからI−1に規定し、その結果皿ばね4204が摩耗感知リング4220に支持されると直ちに、レリーズ力の上昇が生じる。この場合伝動比Iとは皿ばね舌状片4204bにおける皿状体4260の着力範囲と皿ばね4204の転動支持部4212との接触範囲との間の距離と、この接触範囲とプレッシャディスク4203の突出部4213のための皿ばね4204の負荷範囲との間の距離との比である。前記の伝動比は、皿ばね4204とプレッシャプレート4203との支持が摩耗感知リング4220における皿ばね4204の支持と少なくともほぼ等しい直径で行われていることを前提としている。皿ばね4204と摩耗感知リング4220との間の支持範囲がさらに半径方向外方へ転動支持部4212に向かう方向で変位されればされる程、摩耗感知リング4220に皿ばね4204が当接したさいのレリーズ力の上昇は減少する。皿ばね4204と摩耗感知リング4220との間の支持直径が皿ばね4204とプレッシャプレート4203との間の支持直径よりも大きい一実施例においては、摩耗感知リング4220を中心にして皿ばね4204が旋回するさいにさらに大きな伝動比、前記の伝動比I−1が生じる。しかしこの場合、摩擦クラッチ4201のレリーズ過程において生じる伝動比を皿ばね4204の伝動比Iより大きくすることはできない。クラッチの連結過程中摩擦ライニング4207に摩耗が生じると直ちに、皿ばね4204はその円錐形状を変化させ。この場合舌状片先端4204cは皿状体4260と一緒に左側へ移動する。この円錐形状の変化により摩耗感知リング4220は無負荷にされ、その結果該リングは発生したライニング摩耗に相応して後調節を行うことができる。要するに摩耗が発生した場合まず摩耗感知リング4220が摩耗補償リング4218に先行する。摩耗感知リング4220の回動により、両リング4218,4220のストッパ突出部4234,4235間に摩耗量に比例する距離4245が生じる。後続のレリーズ過程において、既に述べたように、摩耗補償リング4218が皿ばね4204によって無負荷にされ、その結果遊び4245に相応して後調節することからできる。これにより皿ばね4204は再び新しいときの状態に相応する円錐形状若しくは作動位置状態をとる。摩耗の増大に伴って皿ばね4204は軸方向でクラッチカバー底部4202aから離反する方向に変位せしめられ、この場合全後調節範囲に亘って、皿ばね4204の組付位置の相応する角度修正が行われる。この相応する修正は、その都度、摩耗感知リング4220によって検知された若しくは測定された摩耗に関連して行われる。
【0567】
次に個々のばね4204,4226,4237の協働作用を図89の線図について説明する。
【0568】
図89の曲線261は、皿ばね4204の円錐形状変化に関連してかつ回転モーメント伝達手段、例えばケーシングとプレッシャプレート4203との間の板ばねエレメントから作用せしめられる力の作用下において生じる軸方向特性曲線の一部の範囲を示すものである。この曲線の経過は旋回支承部4212と突出部4213との間の皿ばね4204の変形のさいに生じる。完全な特性曲線4261は正弦波形に形成され、左側へ変位するさい再び低下する。特性曲線4261の完全な経過は従って図84の特性曲線4033の経過と類似である。横軸は両支持部若しくは支持舌状片4212,4213間の相対的な軸方向距離を示し、縦軸は皿ばね4204及び回転モーメント伝達手段から生ぜしめられる合力を示す。点4262はクラッチ連結時における皿ばね4204の組付位置を表している。曲線4263は摩擦ライニング4207間の、ライニングばねセグメント4210により生ぜしめられる軸方向拡張力を表わしている。摩擦クラッチ4201がレリーズされるさいばねセグメント4210は距離4264に亘って弛緩する。プレッシャプレート4203の相応する軸方向変位に相応するこの距離4264に亘り、クラッチのレリーズ過程がライニング4207間に存在するライニングばね装置4210により助成される。クラッチ4201をレリーズするための、突出部4213の範囲に作用せしめられる、距離4264に亘る力の経過は図89に破線4265によって示されている。距離4264に亘って生じる力4266は、皿ばね4204の力経過特性曲線4261とライニングばね装置4210の力の経過特性曲線4263との差に相応する。クラッチ4201のための、舌状片先端4204cの範囲に実際に作用せしめられるべきレリーズ力の経過は力特性曲線4265に対して皿ばね4204の伝動比Iだけ減少している。部分レリーズ行程距離4264の終端の点4268を過ると、摩擦ライニング4207は解放され、この場合、皿ばね4204の逓減的な特性曲線範囲に基づいて、この場合なお作用せしめられるレリーズ力は、点4262に相応するレリーズ力に比して著しく小さい。クラッチ4201のためのレリーズ力は、付加的ばね4226がない場合、正弦波形の特性曲線4261の最小値若しくは谷の点4269まで減少することになる。
【0569】
図示の実施例では皿ばね4204は、特性曲線4261の最小値4269が横軸の下側にくるように、構成されている。皿ばね4204は従って横軸上の点4270を越えると自動的に点4261の相応する位置をとろうとし、従って、2つの異なる安定状態、即ち弛緩状態と緊張状態とを有する所謂スナップスプリングを形成する。
【0570】
特性曲線4261の、点4268,4269,4270によって破線で示されている部分範囲から判るように、付加的ばね4226がない場合、プレッシャプレート4203のの軸方向分離による摩擦ライニング4207の解放後、レリーズ力の経過に著しい変化が存在する。付加的ばね若しくは補償ばね4226の使用により、解放距離4264に続く残りのレリーズ距離4271に亘り、レリーズ力の経過4272は低い比較的一定のレベルに保持されている。図89の経過曲線4272は、皿ばね4226を含む皿ばね4204を旋回させるために突出部4213の範囲に作用せしめられるべき力の経過に相応する。しかし舌状片先端4204cの範囲におけるレリーズ力経過曲線は、摩耗感知リング4220に皿ばね4204が支持されるまで、図89の経過4272に対して、皿ばね4204の伝動比I分だけ減少している。プレッシャプレート4203の分離距離に相応する距離は図89に符号4273で示されている。付加的ばね4226は曲線4274の力−距離特性を有している。少なくとも残りのレリーズ距離4271に亘り皿ばね4204及び付加的ばね4226は互いに逆向きの力−距離経過を有している。分離距離4273に亘る力の経過4272は、特性曲線4261及び4274の分離4273に亘る経過の和によって生じる。この合成された経過4272は点4268で、要するに分離距離4273の始端で生じる。付加的ばね4226の舌状片4226aへの操作皿ばね4260の範囲4260aの当接は図89の点4268に相応する。
【0571】
分離距離4273の通過後、既に述べたように、摩耗感知リング4220を介しての皿ばね4204の軸方向支持が行われる。これにより、皿ばね4204の操作を規定する伝動比はIからI−1に変化する。これによって生じるレリーズ力の僅かな上昇は図89に符号4275で示されている。分離距離に続く後調節距離4276に亘ってこのレリーズ力上昇は維持される。
【0572】
摩擦ライニング4207の摩耗を補償するために必要な後調節距離は全レリーズ距離に対して極めて僅かであり、10分の数ミリ又はそれ以下の範囲にある。
【0573】
舌状片先端4204cの範囲にかかる若しくは必要とされる操作力は、図89に示されいる力若しくは力経過を点4275に至るまでの伝動比I及び点4275より後の伝動比I−1によって除することによってえられる。舌状片先端4204cの範囲に相応する操作距離は、図89に示されている距離に点4275に至るまでの伝動比I及び点4275より後の伝動比I−1を乗ずることによってえられる。伝動比I−1は点4275を越えた距離区間4276についてのみ有効である。
【0574】
摩擦クラッチの本発明による構成によれば、摩擦クラッチのレリーズ状態において舌状片先端4004c,4104c若しくは4204cに作用する力が極めて僅かでありかつまたこの力が図89から判るように負であることができるため、クラッチレリーズのさいの舌状片の撓みに起因する損失は極めて僅かな程度まで減少せしめられる。上記の力が負であることができるということは、皿ばねが特性曲線4261の負の範囲において自動的にレリーズ位置状態になろうとする傾向を有することを意味する。このことはしかし付加的ばね4226によって補償される。操作皿ばねの舌状片への負荷が慣用のクラッチに対して僅かであることにより、レリーズ距離を減少させることができる。それというのは、既に述べたように、少なくとも、舌状片並びにクラッチカバーの弾性的な撓みによる距離損失が実際上存在しないからである。
【0575】
図88による摩擦クラッチの本発明による構成によれば、ケーシング若しくはカバー4202のばね弾性に起因する距離損失をクラッチ4201の操作時に最小限にすることができる。このことは、摩擦クラッチ4201の連結時に皿ばね4204によってクラッチカバー4202に生ぜしめられる軸方向のばね力が摩擦クラッチ4201の適宜の構成により、クラッチレリーズ時の、要するに皿ばね4204が摩耗感知リング4220に支持されるさいのクラッチカバーのばね力と等しくされることによって、行われる。摩擦クラッチ連結時に皿ばね4204からクラッチカバー4202の作用せしめられる軸方向力は最大になり、転動支持部4212の負荷直径部位とクラッチカバー閉鎖ねじ4202bとの間における自由曲げ長さは最小になる。摩擦クラッチレリーズ時には、皿ばね4204及び付加的ばね4226によって生ぜしめられクラッチカバー4202によって受容される軸方向力は、摩擦クラッチ4201の連結時における皿ばね4204の軸方向力よりも著しく小さい。摩耗感知リング4220の支持直径部位4220aとねじ4202bとの間のクラッチカバー4202の自由なてこ腕長さ若しくはばね長さはしかし転動支持部4212とこのねじ4202bとの間の半径方向距離よりも著しく大きい。
【0576】
図90に示されている摩擦クラッチ4301は、摩耗センサとして役立つ皿ばね4337の構成を除いて、図88のクラッチ4201と同一の構造及び作用形式を有している。操作皿ばね4304、摩耗センサばね4337及び付加的ばね4326は、図88及び図89の線図に関連して説明された構成部分4204,4226及び4237と同一の機能を有する。摩耗補償リング4318及び摩耗感知リング4320は、図88のリング4218及び4320と同一の形式で乗上げ斜面及び対応乗上げ斜面を介して所属のケーシング4302と協働する。
【0577】
皿ばね4326は、クラッチ連結時に該皿ばねの軸方向位置固定のため、レリーズリング4360及び皿ばね4304間のばね手段4344を介して軸方向で予圧されている。
【0578】
センサ皿ばね4337は図90に示されているその予圧された位置において、図88のセンサ皿ばね4237とは異なる軸方向位置をとる。皿ばね4337は半径方向内側で操作皿ばね4304に支持されておりかつ、半径方向でさらに外側にあるリング状範囲で摩耗感知リング4320にケーシング4302に向かう方向で軸方向に負荷を与えている。ばね4337は半径方向のアーム4342を有し、該アームで後調節リング4318の支持部4343に当接しかつクラッチ連結時に間隙Lを形成して予圧された状態に保持されている。センサ皿ばね4337は半径方向外側に軸方向でケーシング4302に向けられた舌状片4341aを有し、該舌状片は周方向に作用する後調節ばね4328を支持するために役立つ。
【0579】
図91に示されている、摩擦クラッチ4401を有するクラッチユニットは、付加的ばね4426の組付位置及び幾分異なる作用形式を除いて、図87のクラッチユニットと同じ構造を有している。
【0580】
若干の用途については、必要とするクラッチ特性及びクラッチ4401のための所要組付スペース上の理由から、操作皿ばね4404(メインダイヤフラムスプリング)をその距離−力特性、殊に必要なレリーズ行程距離(図84の4046)に亘る距離−力特性に関して申し分なく設計することができない。従ってレリーズ過程中皿ばね特性曲線(図84の4033)の点(図84の4039a)、即ちその点以後レリーズ力が後調節点4037(図84の4037)における皿ばね4404のための軸方向支持力よりも大きくなる点、が越えられることがある。このことは要するに、点4039aが実際に図84の点4045上にあること若しくはそのすぐ後にあること、要するに必要なレリーズ距離の終端又はこのレリーズ距離を越えた場合にはそのすぐ後にあること、を意味している。上記の点が越えられると以下のような結果を生じることになる。即ち後調節リング4417が、許容できない大きな距離に亘って、皿ばね4404から軸方向で無負荷にされ、相応して後調節されることになる。この場合従ってクラッチライニング4407に摩耗がない場合にも後調節が行われることになる。その結果作動点の変化、要するに摩擦クラッチ4401が連結されている状態における皿ばね4404の組付位置の変化が、それも予圧若しくは押圧力を減少させる方向で、生じることになる。このことは、このようなクラッチユニットにおいて図84の線図に符号4037で示されている作動点が特性曲線4033に沿って過剰の距離に相応して最小値4038aの方向へ変位することを意味する。これにより摩擦クラッチから伝達可能なモーメントが相応して減少し、クラッチ故障を生じる結果になる。
【0581】
後調節手段4416のこのような不都合な後調節を避けるために、付加的ばね4426が後調節リング4417及び皿ばね4404間に配置され、該付加的ばねは、少なくとも最大許容レリーズ距離が越えられたときに、ロック装置若しくは後調節手段4416のためのブレーキとして作用する。従って、レリーズ過程が通常のレリーズ距離を比較的大きく越えて行われた場合にも及び又は構造部分が軸方向に振動した場合にも、摩擦クラッチ4401内における許容できない変位が防止される。
【0582】
皿ばねとして製作された付加的ばね4426は後調節リング4417と皿ばね4404との間に配置されており、該付加的ばねは、所定のレリーズ距離経過後、後調節リング4417と皿ばね4404との間において緊縮され、その結果後調節リング4417は皿ばね4426により操作皿ばね4404に向って負荷される。後調節リング4417の一部は実際に両皿ばね4426,4404間に締込まれる。これにより、所定のレリーズ距離通過後、後調節リング4417の回動防止が保証される。
【0583】
付加的皿ばね4426はリング状の基部4427を有しており、該基部は外周部に半径方向のアーム4428を有し、該アームは基部4427の周方向に分配されておりかつ後調節リング4417の半径方向の溝4417a内へ、図92及び93からも判るように、係合する。付加的皿ばね4426はストッパ成形部4422を有し、該ストッパ成形部は基体4427の内周に成形された半径方向の舌状片4422によって形成されている。これらのストッパ成形部4422は皿ばね4404に設けられた対応ストッパ成形部4430と協働する。対応ストッパ成形部4430は図示の実施例では、皿ばね4404の舌状片4404bの範囲に設けられているリベットエレメント4431のヘッドにより形成されている。リベットエレメント4431の代わりに、付加的皿ばね4426と一体であってかつ該付加的皿ばねと、図87の皿ばね4104と協働する舌と同様の形式で協働する舌状片を使用することも可能である。
【0584】
ストッパ成形部4422と対応ストッパ成形部4430との間の距離は、摩擦クラッチ連結時の状態において、次のように設定されている。即ちクラッチレリーズ距離の少なくとも一部に亘って、ストッパ成形部4422と対応ストッパ成形部4430との接触が生じないように、設定されている。有利には、ストッパ成形部4422は対応ストッパ成形部4430に、解放点(図84の4037)を越えたときにはじめて接触する。この所定のレリーズ距離部分を越えると付加的皿ばね4426は操作皿ばね4404と共に緊縮され、これにより、既に述べたように、後調節リング4417が操作皿ばね4404に締付けられ、かつコイルばね4420から作用せしめられる周方向の力に基づく回動を防止される。
【0585】
後調節リング4417に付加的皿ばね4426を組付けかつ旋回可能に支承するために、後調節リング4417はその半径方向内側の部分及び軸方向長さのほぼ中心に溝4417aを有している。
【0586】
図92及び93から判るように、溝4417aはその周方向でみてかつ軸方向で皿ばね4404aに向かって部分的に開かれ若しくは中断されている。この目的で後調節リング4417は軸方向に延びている半径方向の凹部4440を有しており、該凹部は周方向に延びている溝4417aに接続している。後調節リング4417の内周に成形された凹部4440の間に後調節リング4417は半径方向に突出した突出部4441を形成している。全周に亘る凹部4440の分配及び個数は付加的皿ばね4426のアーム4428の分配及び個数に相応する。1つの凹部4440の周方向の長さは、少なくとも、1つのアーム4428の周方向の長さに等しい。付加的皿ばね4426と後調節リング4417との組付けはアーム4428を凹部4440内へ軸方向に差込み、次いで両構造部分4417,4426を相対的に回動させることによって行われる。両構造部分4417,4426間の上記の相対的回動によりアーム4428と突出部4441とが、図92から判るように、少なくとも部分的に軸方向で重なり合う。この重なり合に基づき舌状片若しくはアーム4428は、ストッパ成形部4422が対応ストッパ成形部4430に当接した後、半径方向の突出部4441に対して緊縮される。 付加的皿ばね4426は以下のように構成されかつ摩擦クラッチ4401内に組付けられている。即ちレリーズ過程中、少なくとも、ストッパ成形部4422と対応ストッパ成形部4430とが当節しているレリーズ距離範囲において、付加的皿ばね4426に対する後調節リング4417の相対回動が生じえないように、構成されかつ組付けられている。ストッパ成形部4422と対応ストッパ成形部4430との当接はレリーズ過程中解放点(図84の点)の後方ではじめて生じるようにするのが有利である。このようにすることにより、摩擦ライニング4407の摩耗の補償のために必要な後調節リング4417の確実な回動が保証される。付加的皿ばね4426に対する後調節リング4417の相対回動は、有利には、付加的皿ばね4427の実際に弛緩した状態において行われる。図92から判るように、後調節リング4417の突出部4441は摩擦ライニング4407における摩耗の増大に従って舌状片4428に対して右側へ移動する。突出部4441及び舌状片4428の周方向長さは以下のように設定されている。即ち、クラッチユニットの少なくとも許容全摩耗範囲に亘って、軸方向でみて、これらの突出部4441,4428の重なり合いが存在するように、設定されている。付加的皿ばね4426は摩擦クラッチ44401の連結状態においても緊縮されていることができる。このことは、クラッチ連結のさいに連結行程距離の終端の直前に操作皿ばねの舌状片4404bが付加的皿ばね4426の個々の舌状片4422aに当接し、これにより、付加的皿ばね4426がクラッチかばーの方向へ右側へ少なくとも僅かに緊縮されることによって、行われる。これにより、クラッチ連結時の状態における最大押圧力も付加的皿ばね4426を介して制限することができる。押圧力の制限値はこの場合操作皿ばね4404及び付加的皿ばね4426の特性曲線の経過に関連する。
【0587】
後調節リング4417のためのブレーキの機能の他にさらに付加的皿ばね4426は、図87の付加的ばね4126と同じ機能を有している。付加的皿ばねはまた皿ばね4404の少なくとも最小値範囲におけるレリーズ力特性曲線を上昇させることができ、これにより、レリーズ範囲に亘ってレリーズ力を一定に保持することが保証される。この点に関しては図81〜図90の説明を援用する。
【0588】
本発明は図示されかつ説明された実施例に制限されるものではなく、摩擦クラッチ一般に、特に、摩擦ライニングの摩耗を補償する手段を有する摩擦クラッチに実施することができる。さらに本発明は、種々異なる実施例に関連して説明された個々の特徴若しくはエレメントの組合わせによって構成することができるバリエーションをも含むものである。また図面に示されかつ説明された特徴若しくは機能のうちの個々の特徴若しくは機能もその自体単独で1つの独立の発明をなすものである。また本発明の出願人はたんに明細書中に図示されているだけの、本発明にとって重要な意味を有するさらに別の特徴については特許の請求を留保する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦クラッチの平面図。
【図2】図1のII−II線による断面図。
【図3】図1及び図2の摩擦クラッチに使用された調整リングの平面図。
【図4】図3のIV−IV線による断面図。
【図5】図1及び図2の摩擦クラッチに使用された支持リングの平面図。
【図6】図5のVI−VI線による断面図。
【図7】調整リングに捩り力を作用させるばねを示す図。
【図8】本発明の摩擦クラッチの個々のばねエレメントと後調整エレメントとの協働関係を示す特性曲線図。
【図9】図8と異なる特性曲線図。
【図10】図8及び図9と異なる特性曲線図。
【図11】図8、図9及び図10と異なる特性曲線図。
【図12】本発明の摩擦クラッチの別の構成を示す平面図。
【図13】図12のXIII−XIII線による断面図。
【図14】図12及び図13の摩擦クラッチに使用された調整リングの平面図。
【図15】補償手段を有するさらに別の摩擦クラッチの細部を示す図。
【図16】後調整エレメントの平面図。
【図17】図16の後調整エレメントの断面図。
【図18】押圧用ダイヤフラムばねとライニングばね機構との協働作用を示す特性曲線図。
【図19】押圧用ダイヤフラムばねとライニングばね機構との協働によって生じる、摩擦クラッチ解離過程に対する作用を示す特性曲線図。
【図20】本発明のさらに別の摩擦クラッチの部分的平面図。
【図21】図20のXXI−XXI線による断面図。
【図22】図20及び図21の摩擦クラッチに使用可能な調整リングの部分的平面図。
【図23】本発明の摩擦クラッチ部分の別の構成を示す図。
【図24】本発明の摩擦クラッチ部分のさらに別の構成を示す図。
【図25】図12及び図13又は図20及び図21の摩擦クラッチに使用可能な調整リングの平面図。
【図26】本発明の摩擦クラッチ部分の別の構成を示す図。
【図27】本発明の摩擦クラッチ部分のさらに別の構成を示す図。
【図28】本発明の摩擦クラッチ部分のさらに別の構成を示す図。
【図29】本発明の摩擦クラッチ部分のさらに別の構成を示す図。
【図30】本発明の摩擦クラッチ部分のさらに別の構成を示す図。
【図31】図30の一部を矢印Aの方向でみた図。
【図32】図31のB−B線による断面図。
【図33】本発明の摩擦クラッチを示す図。
【図34】図33II−II線に沿った断面図。
【図35】図33III−III線に沿った断面図。
【図36】図33IV−IV線に沿った部分断面図。
【図37】図33及び図34による摩擦クラッチにおいて使用される補償リングを示す図。
【図38】本発明による摩擦クラッチの第1変化実施例図。
【図39】本発明による摩擦クラッチの第2変化実施例図。
【図40】本発明による摩擦クラッチ及び回転振動ダンパを有する、2質量に分割されたはずみ車の図。
【図41】本発明による摩擦クラッチを有するトルク伝達装置の図。
【図42】図41のトルク伝達装置の一部を示した拡大図。
【図43】本発明に従って構成したクラッチ装置の断面図である。
【図44】補償装置の拡大図である。
【図45】図44の矢印IIIの方向に見た図である。
【図46】 摩擦クラッチのレリーズ手段に接している調整リングの、図44の矢印IVに従う図である。
【図47】図46の線V−Vによる断面図である。
【図48】図43のクラッチ装置に用いられた対向調整リングの、図44の矢印IIIに従う図である。
【図49】図48の線VII−VIIによる断面図である。
【図50】 図44に示された補償装置の変化実施例の詳細図である。
【図51】本発明のクラッチ装置のその他の細部の断面図である。
【図52】たとえば図51に従う本発明のクラッチ装置に使用できる摩耗調整リングを示す図である。
【図53】図52と同様の摩耗調整リングを示す図である。
【図54】 本発明のクラッチ装置の断面図であって、図54aは、図54に用いられたセンサーばねのセグメントを示す。
【図55】図54の矢印XIIIの方向に見た部分図である。
【図56】本発明の摩擦クラッチのその他の可能な構成を示す図である。
【図57】本発明のクラッチ装置のためのレリーズシステムの模式図である。
【図58】調整リングのためのブレーキを有する本発明の摩擦クラッチのその他の構成を示す図である。
【図59】本発明の摩擦クラッチの部分図。
【図60】図59のII−II線に沿った断面図。
【図61】図60のIII−III線に沿った断面図。
【図62】摩擦クラッチを作動する第1段階を示した図。
【図63】摩擦クラッチを作動する第2段階を示した図。
【図64】摩擦クラッチを作動する第3段階を示した図。
【図65】摩擦クラッチを作動する第4段階を示した図。
【図66】摩擦クラッチを作動する第5段階を示した図。
【図67】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図68】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図69】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図70】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図71】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図72】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図73】本発明の摩擦クラッチの別の実施例を示した図。
【図74】本発明の摩耗センサの1実施例を示した図。
【図75】本発明の摩耗センサの1実施例を示した図。
【図76】本発明の摩擦クラッチの種々の特性線を有する線図。
【図77】本発明の摩擦クラッチの種々の特性線を有する線図。
【図78】同時に摩耗センサとして構成されている摩耗フィーラリングの構成の可能性を示した図。
【図79】本発明の摩擦クラッチの付加的な構成の可能性を示した図。
【図80】本発明の摩擦クラッチの付加的な可能性を示した図。
【図81】本発明により構成されたクラッチユニットの断面図。
【図82】図81のクラッチユニットの一部を矢印IIの方向からみた図。
【図83】図81に示されている摩擦クラッチに使用される予め組立てられた部分ユニットを示す図。
【図84】本発明によるクラッチユニットの個々のばねエレメント及び後調節エレメントの協働関係を示す特性曲線−線図。
【図85】本発明によるクラッチユニットの個々のばねエレメント及び後調節エレメントの協働関係を示す特性曲線−線図。
【図86】本発明によるクラッチユニットの個々のばねエレメント及び後調節エレメントの協働関係を示す特性曲線−線図。
【図87】本発明により構成された摩擦クラッチの別の一実施例の断面図。
【図88】本発明による摩擦クラッチのさらに別の一実施例の断面図。
【図89】図88の摩擦クラッチの個々のばねエレメント及び後調節エレメントの協働関係を示す特性曲線−線図。
【図90】本発明による摩擦クラッチのさらに別の一実施例の断面図。
【図91】本発明による摩擦クラッチのさらに別の一実施例の断面図。
【図92】図91の実施例に用いられている後調節リングを周方向に展開した図。
【図93】図92のXIII−XIII線による断面図。
【図94】異なるばね特性曲線を示す線図。
【符号の説明】
1 摩擦クラッチ
2 ケーシング
3 プレッシャープレート
4 ダイヤフラムばね
6 対応受圧板
7 摩擦ライニング
8 クラッチディスク
11 支承部
12 支承部
13 蓄力部材
16 後調整装置
17 構成部材
18 乗り上げ面
24 乗り上げ面
25 構成部材
26 送り機構
27 ばね
113 皿ばね
217 後調整エレメント
502 ケーシング
513 センサばね
1401,1501 摩擦クラッチ
1422,1522 クラッチカバーないしクラッチハウジング
1428,1503 加圧板
1404,1527 押圧用の皿ばね
1429,1529 摩擦ライニング
1405 クラッチ板
1401 はずみ車
1402 一次回転子質量
1403 二次回転質量
1405 クラッチ板
1406 支承部
1406a ころがり軸受
1407 穴
1408 取付けねじ
1409 減衰装置
1410 圧縮コイルばね
1411 環状室
1412 トーラス状区域
1416 内レース
1417 外レース
1421 負荷区域
1432 摩擦面
1436 シール
1501 トルク伝達装置
1503 対応加圧板
1504 摩擦クラッチ
1505 クラッチ板
1521 板ばね
1522 クラッチカバー
1527 皿ばね
1528 加圧板
1545 後調整装置
1546 センサばね
1547 後調整部材
1560 減衰手段
1561 始動リングギヤ
1563 6角棒スパナ
1601 摩擦クラッチ
1602,1702,1802 ケーシング
1603,1703,1803 加圧板
1604,1704,1804 圧着皿ばね
1604a 基体
1604b 舌片
1605 旋回支承部
1606 受圧板
1607 摩擦ライニング
1608 クラッチディスク
1616 摩耗補償装置
1617 制限部材
1626,1726 補償リング
1626a 自由空間
1635,1636 構成部材
1642,1643 乗上げランプ
2001 摩擦クラッチ
2002 ケーシング
2003 プレッシャプレート
2004 皿ばね
2006 カウンタープレッシャプレート
2007 摩擦ライニング
2008 クラッチディスク
2009 板ばね
2010 ライニングばねセグメント
2011,2012 旋回サポート
2013 皿ばね
2016 調整装置
2017 調整リング
2018 傾斜面
2019 対抗傾斜面
2020 補償部材
2021 行程
2022 レーズ機構
2023 ガイドパイプ
2024 操作手段
2026,2027 乗り上げ傾斜面
2028,2029 対抗乗り上げ傾斜面
2030 支持リング
2038,2039 コイルばね
2040,2041 ソケット
2042,2043 開口部
3001 摩擦クラッチ
3002 ケーシング
3004 皿ばね
3005 支持部
3006 対応押圧板
3007 摩擦ライニング
3008 クラッチ円板
3009 皿ばね
3010 先端
3011 舌状部
3012 皿ばね基体
3013 突起
3014 皿ばね
3015 板ばね
3017 後調節装置
3018 補償リング
3019 乗上げランプ
3020 リング状の構成部分
3021,3022 対応乗上げランプ
3025 送風開口
3026 成形部
3028 コイルばね
3030 舌片
4001 摩擦クラッチ
4002 ケーシング
4002a ケーシング底部
4003 プレッシャプレート
4004 操作皿ばね
4004a リング状の基部
4004b 舌状片
4004c 舌状片先端
4005 旋回支承部
4006 対応プレッシャプレート(フライホイール)
4007 摩擦ライニング
4008 クラッチディスク
4009 板ばね
4010 ライニングばねセグメント
4011 旋回支持部
4012 旋回支持部
4013 皿ばね(センサばね)
4013a アーム
4013b リング状の基部
4013c 舌状片
4014 支持範囲
4015 リベットエレメント
4015a 軸部
4016 後調節手段
4017 リング状の構造部分(後調節エレメント、後調節リング)
4018 乗上げ斜面
4019 対応乗上げ斜面
4020 コイルばね
4020a 通気孔
4021 耳状片
4022 打抜部(切欠き)
4023 アーム
4024 成形部
4026 構造部分(補償ばね)
4027 リング状の基部
4028 舌状片
4029 間隙
4030 範囲
4031 ばねエレメント
4032 距離

Claims (18)

  1. クラッチディスク(4008)と共に使用される摩擦クラッチ(4001)であって、摩擦クラッチ(4001)が、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(4003)を前記クラッチディスク(4008)に向かって負荷する圧着皿ばね(4004)のための旋回支承部(4005)と、少なくとも摩擦ライニング(4007)の摩耗を補償する装置とを有し、さらに前記圧着皿ばね(4004)とは別の蓄力器(4026)が設けられており、該別の蓄力器(4026)の力作用が、当該摩擦クラッチの解離行程の少なくとも部分範囲に亘って前記圧着皿ばね(4004)によって生ぜしめられる力作用に重畳され、これにより前記解離行程の少なくとも部分範囲に亘って、前記別の蓄力器(4026)と前記圧着皿ばね(4004)との協働により生ぜしめられる合力特性曲線(4043)が与えられるようになっており、前記別の蓄力器(4026)が当該摩擦クラッチ(4001)の寿命に亘って実質的に常に同じ作用範囲(4042)を有していることを特徴とする摩擦クラッチ。
  2. クラッチディスク(4008)と共に使用される摩擦クラッチ(4001)であって、摩擦クラッチ(4001)が、軸方向に変位可能なプレッシャプレート(4003)を前記クラッチディスク(4008)に向かって負荷する圧着皿ばね(4004)のための旋回支承部(4005)と、少なくとも摩擦ライニング(4007)の摩耗を補償する装置とを有する形式のものにおいて、プレッシャプレート(4003)がクラッチディスク(4008)をもはや負荷しなくなるか又はほとんど負荷しなくなる距離をクラッチレリーズ方向で少なくともほぼ過ぎた後に、別の蓄力器(4026)の力が前記圧着皿ばね(4004)に重畳され、その合力特性曲線(4043)が前記圧着皿ばね(4004)の力特性曲線(4033)に対して均されるようになっており、前記別の蓄力器(4026)が当該摩擦クラッチ(4001)の寿命に亘って実質的に常に同じ作用範囲(4042)を有していることを特徴とする摩擦クラッチ
  3. 内燃機関の出力軸に固定可能でかつ回転軸線を規定するフライホイール(4006)と、該フライホイール(4006)に固定されたクラッチケーシング(4002)と、該クラッチケーシング(4002)に対し相対回動不能ではあるが軸方向では限られてシフト可能なプレッシャプレート(4003)と、該プレッシャプレート(4003)を前記フライホイール(4006)に向かってばね負荷する、前記クラッチケーシング(4002)と前記プレッシャプレート(4003)とに支えられた圧着皿ばね(4004)と、前記プレッシャプレート(4003)と前記フライホイール(4006)との間に緊締可能で摩擦ライニング(4007)を備えたクラッチディスク(4008)と、作動距離に関連して前記圧着皿ばね(4004)のばね特性曲線に影響を与えるための手段と、前記圧着皿ばね(4004)を作動するためのクラッチ作動システムとを有する摩擦クラッチにおいて、前記圧着皿ばね(4004)のばね特性曲線(4033,4261)の下降曲線が負の力範囲でゼロ交差(4038,4270)を有するように前記圧着皿ばねのばね特性曲線(4033,4261)が設計されており、前記クラッチ作動システム(4004d,4260)と前記プレッシャプレート(4003,4203)との間の力伝達経路内に、前記圧着皿ばね(4104,4204)の接続力を補助するための蓄力器を備えた装置(4126,4226)が設けられており、該装置(4126,4226)が解離位置の範囲にて前記ゼロ交差(4036,4270)の近くで作用することを特徴とする、摩擦クラッチ。
  4. クラッチディスクがライニングばね装置を有するクラッチディスクである、請求項1から3までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  5. 前記別の蓄力器(4026)が補償ばねを形成しかつ摩擦クラッチ内へ統合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  6. 前記別の蓄力器(4026)が皿ばねである、請求項1から5までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  7. 前記別の蓄力器(4026)が、クラッチ解離方向で、クラッチディスクがもはやプレッシャプレートによりもはや負荷されなくなるか又はわずかにしか負荷されなくなる距離(解放距離)から、前記圧着皿ばねの力−距離経過線とは異なる湾曲を有する力−距離経過線を有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  8. 摩擦クラッチが接続された状態では前記別の蓄力器(4026)が、実質的に前記圧着皿ばねに力を作用させない、請求項1から7までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  9. 解離距離に亘って、前記別の蓄力器から前記圧着皿ばねに作用させられた力が前記圧着皿ばねによって作用させられる力とは反対に向けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  10. 摩擦クラッチが別の蓄力器とライニングばね装置を有するクラッチディスクとの両方を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  11. 前記圧着皿ばね(4104,4204)の接続力を補助するための前記装置(4126,4226)が、クラッチ作動中に前記圧着皿ばね(4104,4204)に支えられるばねエレメント(4126,4226)を有している、請求項3記載の摩擦クラッチ。
  12. 前記圧着皿ばね(4204)の接続力を補助する前記装置(4226)がレリーズシステム(4260)と協働する、請求項3又は11記載の摩擦クラッチ。
  13. 前記圧着皿ばね〈4204,4304〉が前記レリーズシステム(4260,4360)と形状接続的に結合されている、請求項3又は請求項11又は請求項12のいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  14. 1つの皿ばね(4026,4126)が前記圧着皿ばねと前記クラッチケーシングとの間に配置されている、請求項3又は請求項11から13までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  15. 摩擦クラッチがいわゆる押圧型クラッチとして構成され、前記圧着皿ばね(4004)がその外縁領域で前記プレッシャプレート(4003)を負荷し、中央領域で保持手段によって回転軸線に対し同心的に前記クラッチケーシング(4002)に緊締され、半径方向内方へ、レリーズシステムが作用するばね舌片を備えている摩擦クラッチにおいて、前記圧着皿ばね(4004)が同心的に配置された皿ばね(4026)に支えられ、該皿ばね(4026)が、前記圧着皿ばね(4004)の解離距離の1部を進んだあとで該圧着皿ばね(4004)に接触させられる、請求項1から14までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  16. 摩擦クラッチがいわゆる押圧型クラッチとして構成され、前記圧着皿ばね(4004)がその外縁領域で前記プレッシャプレート(4003)を負荷し、中央領域で保持手段によって回転軸線に対し同心的にクラッチケーシング(4002)に緊締され、半径方向内方へ、レリーズシステムが作用するばね舌片を備えている摩擦クラッチにおいて、前記圧着皿ばね(4004)が半径方向外側の領域で、前記クラッチケーシング(4002)に支えられたばね弾性的な構成部分(4026)に接触させられる、請求項1から14までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  17. 自動的な摩耗後調整装置が設けられており、該摩耗後調整装置が、発生する摩擦ライニングの摩耗の少なくとも1部を補償する、請求項1から16までのいずれか1項記載の摩擦クラッチ。
  18. 前記プレッシャプレートが離間ばね装置の作用下にあり、前記摩耗後調整装置が、前記摩擦ライニングに対する圧着力が摩耗距離に亘って変わらないように設計されている、請求項17記載の摩擦クラッチ。
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