JP4834783B1 - クラッチカバー組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確な摩耗補償を行うことができるクラッチカバー組立体を提供することにある。
【解決手段】本クラッチカバー組立体1は、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構6と、摩耗追従機構7と、を備えている。摩耗量検知機構6は、摩擦部材の摩耗量を検知する検知部材61と、摩擦部材の摩耗量に応じて移動可能な移動部材62とを有している。検知部材61は、ファルクラムリング4に係合しファルクラムリング4を介して摩耗量を検知し、且つ移動部材62に係合し、所定の摩耗量で移動部材62との係合を解除する。
【選択図】図8

Description

本発明は、クラッチカバー組立体、特に、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体に関する。
クラッチカバー組立体は、一般に、エンジンのフライホイールに装着され、エンジンの駆動力をトランスミッション側に伝達するために用いられている。このようなクラッチカバー組立体は、主に、クラッチカバー、プレッシャプレート、及びダイヤフラムスプリングを備えている。クラッチカバーはフライホイールに固定される。プレッシャプレートは、ダイヤフラムスプリングによってフライホイール側に押圧され、クラッチディスク組立体の摩擦部材をフライホイールとの間に挟持する。ダイヤフラムスプリングは、プレッシャプレートを押圧する機能とともに、プレッシャプレートへの押圧を解除するためのレバー機能も有している。
ここで、ダイヤフラムスプリングの荷重特性に起因して、クラッチディスク組立体の摩擦部材の摩耗が進むと摩擦部材への押付荷重が大きくなる。このため、摩擦部材が摩耗すると、レリーズ操作をするために大きな荷重が必要となり、クラッチペダル踏力が大きくなってしまう。
そこで、例えば特許文献1に示されるように、摩擦部材が摩耗した場合でも、ダイヤフラムスプリングの姿勢を初期状態に戻すことによって、押付荷重が大きくなるのを抑えるようにした摩耗補償機構が提供されている。
この摩耗補償機構は、主に、プレッシャプレートとダイヤフラムスプリングとの間に配置されたファルクラムリングと、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる方向に付勢する付勢機構と、摩擦部材の摩耗量を検出する摩耗量検出機構と、を有している。ここでは、ダイヤフラムスプリングはファルクラムリングを介してプレッシャプレートを押圧可能になっており、摩擦部材の摩耗量に応じて、ファルクラムリングをプレッシャプレートから離れる側に移動させることにより、ダイヤフラムスプリングが初期のセット姿勢に維持される。
特開平10−227317号公報
従来のクラッチカバー組立体では、摩耗量検出機構において、摩擦部材の摩耗量が、検出されるようになっている。この摩耗量検出機構は、クラッチカバーに係止されたブシュ、及びこのブッシュを貫通するボルトから構成されている。このような摩耗量検出機構では、ボルトの先端がプレッシャプレートに装着されている。このため、摩擦部材が摩耗すると、ボルトはプレッシャプレートとともに、フライホイール側に移動する。また、ブシュはクラッチカバーに係止されているので、ブッシュとファルクラムリングとの間には、摩耗量に対応する軸方向隙間が形成される。
ここで、レリーズ動作が行われると、プレッシャプレートとファルクラムリングとが、フライホイールから離れる方向に移動し、ファルクラムリングがブッシュに当接する。これにより、ファルクラムリングは、摩耗前と同じ軸方向位置に復帰し、ダイヤフラムスプリングが初期のセット姿勢に維持される。
このような従来の摩耗量検出機構では、ボルトの軸方向への移動量、すなわちプレッシャプレートの軸方向への移動量に基づいて、摩擦部材の摩耗量が検出されるようになっている。しかし、従来の構成では、レリーズ動作時にエンジンの振動等がクラッチカバー組立体に入力されると、プレッシャプレートが軸方向に振動するおそれがある。このため、プレッシャプレートの振動が衝撃力としてファルクラムリングを介してブッシュに伝達され、ブッシュをトランスミッション側にさらに移動させてしまうおそれがある。ここで、ブッシュがトランスミッション側にさらに移動してしまった場合、ファルクラムリングが摩耗量以上に移動することになり、正確な摩耗補償を提供することができなくなるおそれがあった。
本発明の課題は、正確な摩耗補償を行うことができるクラッチカバー組立体を提供することにある。
請求項1に係るクラッチカバー組立体は、エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのものである。
このクラッチカバー組立体は、フライホイールに固定されるクラッチカバーと、プレッシャプレートと、押圧部材と、摩耗量検出機構と、摩耗追従機構とを、備えている。プレッシャプレートは、フライホイールに摩擦部材を押圧するためのものである。このプレッシャプレートは、クラッチカバーに相対回転不能に連結されている。押圧部材は、プレッシャプレートをフライホイール側に押圧するためのものである。この押圧部材は、クラッチカバーに支持されている。摩耗量検出機構は、クラッチカバーに装着されている。この摩耗量検出機構は、摩擦部材の摩耗量を検知する検知部材と、摩耗量に応じて移動可能な移動部材とを有している。摩耗追従機構は、ファルクラムリングを有している。ファルクラムリングは、プレッシャプレートに軸方向に移動自在に支持されている。このファルクラムリングは、移動部材の移動量に応じて、押圧部材を初期姿勢側に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材の摩耗量が、摩耗量検出機構によって検出される。この摩耗量検出機構では、検知部材が摩擦部材の摩耗量を検知する。詳細には、検知部材は、ファルクラムリングに係合しており、ファルクラムリングを介して摩擦部材の摩耗量を検知する。また、検知部材は、移動部材にも係合しており、ファルクラムリングを介して検知した摩耗量が所定の摩耗量になった場合に、移動部材との係合を解除する。そして、検知部材と移動部材との係合が解除されると、移動部材が移動する。すると、ファルクラムリングが、移動部材の移動量に応じて、押圧部材を初期姿勢側に移動させる。
以上のように、本クラッチカバー組立体では、摩耗量検出機構がクラッチカバーに装着されているので、クラッチカバー組立体に振動が入力され、プレッシャプレートが振動したとしても、摩耗量検出機構は、プレッシャプレートの振動の影響を直接的に受けることなく、摩耗量を検出することができる。また、ファルクラムリングの質量は、プレッシャプレートの質量より大幅に小さいので、クラッチカバー組立体に振動が入力されたとしても、遠心力によって増幅される振動の大きさは、プレッシャプレートよりファルクラムリングの方が、格段に小さくなる。この点に注目して、本クラッチカバー組立体では、摩耗量検出機構の検知部材をファルクラムリングに係合させ、摩擦部材の摩耗量を検出している。このように、本クラッチカバー組立体では、摩耗量検出機構によって、摩擦部材の摩耗量を正確且つ確実に検出することができる。すなわち、本クラッチカバー組立体では、正確な摩耗補償を提供することができる。
請求項2に係るクラッチカバー組立体では、請求項1に記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、検知部材をクラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有している。検知部材は、装着部材に揺動自在に装着されている。また、検知部材は、移動部材に係合しており、検知部材によって検知された摩耗量に応じた揺動量が所定の値になった場合に、移動部材との係合を解除する。このクラッチカバー組立体では、検知部材を揺動させることによって、検知部材によって検知された摩耗量を増幅することができる。これにより、増幅後の摩耗量、すなわち検知部材によって検知された摩耗量に応じた揺動量に基づいて、検知部材が移動部材に係合する部分を設計することができるので、設計の自由度を向上することができる。
請求項3に係るクラッチカバー組立体では、請求項2に記載のクラッチカバー組立体において、検知部材の揺動軸と摩擦部材の摩耗量を検知する位置との間の距離が、検知部材の揺動軸と、検知部材及び移動部材の係合を解除する位置との間の距離より短くなるように、検知部材は、装着部材に揺動自在に装着されている。このクラッチカバー組立体では、検知部材の揺動軸と摩擦部材の摩耗量を検知する位置との間の距離が、検知部材の揺動軸と、検知部材及び移動部材の係合を解除する位置との間の距離より短くなっているので、検知部材によって検知された摩耗量を確実に増幅することができる。これにより、増幅後の摩耗量、すなわち検知部材によって検知された摩耗量に応じた揺動量に基づいて、検知部材が移動部材に係合する部分を設計することができるので、設計の自由度を確実に向上することができる。
請求項4に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から3のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、検知部材をファルクラムリングに係合させるための第1付勢部材を、さらに有している。このクラッチカバー組立体では、第1付勢部材によって検知部材がファルクラムリングに係合させられているので、ファルクラムリングを介した摩擦部材の摩耗量を、検知部材によって確実に検知することができる。
請求項5に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から4のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、検知部材が、摩耗量を検知する検知部と、移動部材に係合する第1係合部とを有している。移動部材は、第1係合部に係合する第2係合部と、ファルクラムリングに係合しファルクラムリングの移動を規制又は許可するための規制部とを有している。ファルクラムリングは、検知部が係合する摩耗検知用の凹部と、規制部が係合する摩耗追従用の凹部とを有している。
このクラッチカバー組立体では、検知部材の検知部が、ファルクラムリングの摩耗検知用の凹部において摩耗量を検知する。また、検知部材の第1係合部と移動部材の第2係合部との係合が解除されると、移動部材の規制部が、ファルクラムリングの摩耗追従用の凹部において移動する。このように、ファルクラムリング、検知部材、及び移動部材それぞれを互いに係合させ、摩耗検知及び摩耗追従を行うことによって、より正確な摩耗補償を提供することができる。
請求項6に係るクラッチカバー組立体では、請求項5に記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、検知部材をファルクラムリングに係合させるための第1付勢部材を、さらに有している。検知部材の第1係合部は、第1付勢部材と、移動部材の第2係合部との間に配置されている。このクラッチカバー組立体では、検知部材の第1係合部が、第1付勢部材と移動部材の第2係合部との間に配置されているので、第1付勢部材によって、検知部材の第1係合部を移動部材の第2係合部に確実に係合させることができる。これにより、振動等によって、検知部材と移動部材との係合が解除されにくくすることができる。
請求項7に係るクラッチカバー組立体では、請求項6に記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、検知部材をクラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有している。検知部材は、装着部材に揺動自在に装着され、検知部材の揺動軸は、検知部と第1係合部との間に設けられている。
このクラッチカバー組立体では、検知部材の揺動軸が、検知部材の検知部と検知部材の第1係合部との間に設けられているので、検知部の揺動方向は、検知部材の第1係合部の揺動方向の反対になる。すなわち、ファルクラムリングがフライホイールの方向に移動した場合、検知部材の検知部はフライホイールの方向に揺動し、検知部材の第1係合部はフライホイールから離れる方向に揺動する。このため、移動部材の第2係合部を、検知部材の第1係合部とプレッシャプレートとの間に配置しておくことによって、検知部材の第1係合部と移動部材の第2係合部との係合を、確実に解除することができる。
請求項8に係るクラッチカバー組立体では、請求項6に記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、検知部材をクラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有している。検知部材は、装着部材に揺動自在に装着され、検知部は、検知部材の揺動軸と第1係合部との間に設けられている。
このクラッチカバー組立体では、検知部材の検知部が、検知部材の揺動軸と検知部材の第1係合部との間に設けられているので、検知部の揺動方向は、検知部材の第1係合部の揺動方向の同じになる。すなわち、ファルクラムリングがフライホイールの方向に移動した場合、検知部材の検知部及び検知部材の第1係合部もフライホイールの方向に揺動する。このため、検知部材の第1係合部を、移動部材の第2係合部とプレッシャプレートとの間に配置した場合、検知部材の第1係合部と移動部材の第2係合部との係合を、確実に解除することができる。
請求項9に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から8のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、プレッシャプレートとクラッチカバーとの間、およびクラッチカバーの外側のいずれか一方において、クラッチカバーに装着されている。
このクラッチカバー組立体において、摩耗量検出機構が、クラッチカバーの外側に装着された場合、摩耗量検出機構を除いてクラッチカバー組立体を組み立て後に、摩耗量検出機構を後付けすることができる。また、摩耗量検出機構を、クラッチカバー組立体から用意に取り外すことができる。これにより、摩耗量検出機構のメンテナンス及び調整を、容易に行うことができる。
ここで、摩耗量検出機構がクラッチカバーの外側に装着された場合には、摩耗量検出機構がファルクラムリングにアクセスすることができるように、クラッチカバーに開口部を設ける必要がある。しかしながら、摩耗量検出機構が、プレッシャプレートとクラッチカバーとの間に装着された場合、この開口部をクラッチカバーに設ける必要がないので、摩耗量検出機構がクラッチカバーの外側に装着された場合と比較して、クラッチカバーの剛性を向上することができる。
請求項10に係るクラッチカバー組立体では、請求項1から9のいずれかに記載のクラッチカバー組立体において、摩耗追従機構が、摺動部と第2付勢部材とをさらに有している。摺動部は、プレッシャプレートおよびファルクラムリングそれぞれに形成されており、互いに当接して摺動する。摺動部は、円周方向に沿って傾斜する傾斜面からなっている。第2付勢部材は、ファルクラムリングを円周方向に付勢して、ファルクラムリングをプレッシャプレートに対して相対回転させる。ここでは、第2付勢部材が、移動部材の移動量に応じてファルクラムリングを回転させることによって、ファルクラムリングを、プレッシャプレートから離れる方向に移動させる。
このクラッチカバー組立体では、摩擦部材が摩耗すると、移動部材が移動する。そして、ファルクラムリングが、移動部材の移動量に応じて、第2付勢部材によって、プレッシャプレートに対して相対回転させられる。ファルクラムリングとプレッシャプレートとは、傾斜面からなる摺動部で当接しているので、ファルクラムリングがプレッシャプレートに対して相対回転させられると、ファルクラムリングはプレッシャプレートから離れる側に移動する。これにより、摩擦部材が摩耗しても、ファルクラムリングが押圧部材を支持する位置は初期の姿勢と変化しないので、押圧荷重特性、ひいてはレリーズ荷重特性を、初期状態のまま維持することができる。
本発明では、摩耗量検出機構がクラッチカバーに装着されているので、クラッチカバー組立体に振動が入力され、プレッシャプレートが振動したとしても、摩耗量検出機構は、プレッシャプレートの振動の影響を直接的に受けることなく、摩耗量を検出することができる。また、本発明では、摩耗量検出機構によって、摩擦部材の摩耗量を正確且つ確実に検出することができるので、正確な摩耗補償を提供することができる。
本発明の第1実施形態によるクラッチカバー組立体の外観斜視図。 クラッチカバー組立体の一部を省略した外観斜視図。 プレッシャプレートとファルクラムリングの一部拡大図。 ダイヤフラムスプリングの支持構造を示す部分断面斜視図。 摩耗量検出機構の拡大斜視図。 摩耗量検出機構の構成を示す図。 摩耗量検出機構の構成を示す図。 摩耗量検出機構の構成及び動作を説明するための図。 摩耗量検出機構の構成及び動作を説明するための図。 本発明の第2実施形態及び第3実施形態によるクラッチカバー組立体の外観斜視図。 摩耗量検出機構の拡大斜視図(第2実施形態)。 プレッシャプレートとファルクラムリングの一部拡大図(第2実施形態及び第3実施形態)。 摩耗量検出機構の拡大斜視図(第2実施形態)。 摩耗量検出機構の構成を示す図(第2実施形態)。 摩耗量検出機構の構成を示す図(第2実施形態)。 摩耗量検出機構の構成及び動作を説明するための図(第2実施形態)。 摩耗量検出機構の拡大斜視図(第3実施形態)。 摩耗量検出機構の拡大斜視図(第3実施形態)。 摩耗量検出機構の構成を示す図(第3実施形態)。 摩耗量検出機構の構成を示す図(第3実施形態)。 摩耗量検出機構の構成及び動作を説明するための図(第3実施形態)。
<第1実施形態>
[全体構成]
図1に本発明の第1実施形態によるクラッチカバー組立体1の外観斜視図を示す。また、図2にクラッチカバー組立体1の一部を省略した外観斜視図を示す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー組立体1は、主に、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、複数のファルクラムリング4と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構6と、摩耗追従機構7と、から構成されている。
[クラッチカバー]
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。クラッチカバー2は、環状のクラッチカバー本体2aと、外周側の円板状部2bと、内周側の平坦部2cと、を有している。円板状部2bは、クラッチカバー本体2aの外周側に形成され、フライホイールの外周部に固定される。平坦部2cは、クラッチカバー本体2aの内周部から半径方向内側へ延びる平坦な部分である。この平坦部2cには、軸方向に貫通する複数の孔2dが形成されている。
クラッチカバー2には、後述する摩耗量検出機構6を装着するための開口部2kが、設けられている。また、開口部2kは、補強部材20kによって補強されている。補強部材20kは、クラッチカバー2の外面に装着されている。補強部材20kは、U字状に形成されている。ここでは、補強部材20kの2つの先端部が、クラッチカバー2の外面に沿って折り曲げられており、クラッチカバー2に装着されている。また、補強部材20kの中央部が、支持部材12に装着されている。
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。プレッシャプレート3のフライホイール側(図2において裏側)の面には、クラッチディスク組立体の摩擦部材と摺接する摩擦面(図示しない)が形成されている。また、プレッシャプレート3は、複数のストラッププレート80(図2を参照、図2では1つのみ図示)によって、クラッチカバー2に連結されている。ストラッププレート80は、クラッチカバー2に対して、軸方向に移動可能であり、円周方向に相対回転不能である。なお、クラッチ連結状態では、ストラッププレート80は軸方向にたわんでおり、このストラッププレートのたわみ(復元力)によって、プレッシャプレート3はフライホイールから離れる側に付勢されている。
また、プレッシャプレート3のトランスミッション側(図2において表側)の面には、図3に示すように、外周側において、円周方向の複数の箇所に、摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、段差部25の底部25aから軸方向外方に突出して形成されている(図4を参照)。各摺動部10は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。ここでは、例えば、傾斜面10aの傾斜角度が、5度に設定されている。
また、図4に示すように、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、段差部25が、円周方向に形成されている。また、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、外周側において、円周方向の複数の箇所において、ガイド部26が形成されている(図2を参照)。ガイド部26は、段差部25の壁部25bから所定の間隔を隔てた位置において、プレッシャプレート3に形成されている。
[ファルクラムリング]
複数のファルクラムリング4それぞれは、円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。図2−図4に示すように、複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3に配置されている。例えば、複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、プレッシャプレート3に配置されている。より具体的には、複数のファルクラムリング4における軸方向の第1端側4a(フライホイール側)が、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに当接している。
また、ファルクラムリング4の第1端4aには、図3に示すように、円周方向の複数個所において摺動部11が形成されている。摺動部11は、傾斜面11aを、有している。傾斜面11aは、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに形成された摺動部10の傾斜面10aに当接し、且つ第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜している。ここでは、例えば、傾斜面11aの傾斜角度が、5度に設定されている。
また、ファルクラムリング4には、図5に示すように、後述する検知部材61の検知部が係合する摩耗検知用の凹部4c(以下、第1凹部と呼ぶ)と、検知部材61の規制部62cが係合する摩耗追従用の凹部4d(以下、第2凹部と呼ぶ)とが形成されている。詳細には、第1凹部4c及び第2凹部4dは、ファルクラムリング4の第1端4aの側において、半径方向に溝状に切り欠かれた部分である。第1凹部4cの底部には、検知部材61の検知部61bが当接する。第2凹部4dの内部には、検知部材61の規制部62cが配置される。第2凹部4dは、円周方向に幅W1を有している(図8を参照)。
ここでは、複数のファルクラムリング4(円弧状の部材)を連ねることによって、環状の部材を形成しているが、1つの環状の部材を、ファルクラムリング4として用いるようにしても良い。
[ダイヤフラムスプリング]
ダイヤフラムスプリング5は、クラッチカバー2に支持されるとともに、プレッシャプレート3をフライホイール側に押圧するための部材である。ダイヤフラムスプリング5は、図1及び図4に示すように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置された円板状部材である。このダイヤフラムスプリング5は、環状弾性部5aと、環状弾性部5aの内周部から径方向内側に延びる複数のレバー部5bとから構成されている。環状弾性部5aの外周端はファルクラムリング4の第2端4bに支持されている。また、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5b間には、スリットが形成されており、スリットの外周部には小判状の孔5cが形成されている。
なお、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端にはプッシュタイプのレリーズ装置(図示せず)が当接している。このレリーズ装置は、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5bの先端を軸方向へ移動させ、ダイヤフラムスプリング5によるプレッシャプレート3への付勢力を解除するための装置である。
また、ダイヤフラムスプリング5は、図4に示すように、支持部材12によってクラッチカバー2に支持されている。支持部材12は、クラッチカバー2の平坦部2cのトランスミッション側の面に配置されるリング状のプレート部材である。この支持部材12の内周部には、径方向内側に延びる複数の支持用突起12aが形成されている。複数の支持用突起12aは、プレッシャプレート3側に折り曲げられ、この折り曲げ部がクラッチカバー2の平坦部2cに形成された複数の貫通孔2dに挿通されている。また、貫通孔2dに挿通された折り曲げ部は、さらにダイヤフラムスプリング5の小判状の孔5cに挿通されている。そして、支持用突起12aの先端は外周側に折り曲げられて、ダイヤフラムスプリング5を、クラッチカバー2に対して支持している。
[摩耗量検出機構]
摩耗量検出機構6は、図1、図2、及び図5−図7に示すように、クラッチカバー2の外側において、クラッチカバー2に装着されている。また、摩耗量検出機構6は、プレッシャプレート3の外周部に配置されている。言い換えると、摩耗量検出機構6は、ファルクラムリング4の外周側に配置されている。
摩耗量検出機構6は、図5に示すように、検知部材61と、移動部材62と、装着部材63と、第1付勢部材64とを、有している。装着部材63は、検知部材61をクラッチカバー2に装着するための部材である。装着部材63は、図1に示すように、ボルトを用いて、クラッチカバー2の外面に装着されている。
検知部材61は、摩擦部材の摩耗量を検知する部材である。検知部材61は、ファルクラムリング4に係合した状態において、ファルクラムリング4を介して摩耗量を検知する。また、検知部材61は、移動部材62に係合しており、摩擦部材が所定の摩耗量になった場合に移動部材62との係合を解除する。
具体的には、図6及び図7に示すように、検知部材61は、装着部材63に揺動自在に装着されている。検知部材61は、一方向に長い板状の本体部61aと、本体部61aの長手方向の一端側において突出して設けられた検知部61bと、本体部61aの長手方向の他端側において突出して設けられた突出部61cと、突出部61cに装着された第1係合部61dとを、有している。
本体部61aには貫通孔が設けられており、本体部61aの貫通孔と装着部材63に設けられた貫通孔とにピン部材61fを挿入することによって、検知部材61が装着部材63に揺動自在に装着されている。ピン部材61fの先端部にはC形止め輪が装着されており、このC形止め輪によって、装着部材63の貫通孔からのピン部材61fの抜け出しが、規制されている。なお、検知部材61の揺動軸61gは、検知部61bと第1係合部61dとの間に、設定されている。ここでは、貫通孔の中心、すなわちピン部材61fの回転中心が、揺動軸61gとなっている。
検知部61bは、摩擦部材の摩耗量を検知する部分である。検知部61bは、ファルクラムリング4を介して、摩擦部材の摩耗量を検知する。検知部61bは、ファルクラムリング4の第1凹部4cとプレッシャプレート3との間において、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する。より具体的には、検知部61bの断面は凸状に形成されており、凸状の部分がファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する。ここでは、図8に示すように、検知部61bの凸状の頂部61tがファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する。この検知部61bの頂部61tがファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する位置p1が、摩擦部材の摩耗量を検知する位置である。
突出部61cは、図7に示すように、検知部材61が装着部材63に揺動自在に装着された状態において、プレッシャプレート3から離れる方向に突出して本体部61aに一体に形成されている。この突出部61cには、第1係合部61dが装着される。
第1係合部61dは、移動部材62に係合する部分である。第1係合部61dは、突出部61cに装着されている。具体的には、図7に示すように、第1係合部61dは、L字状の断面を有している。第1係合部61dの一面は、溶接により突出部61cに接合されている。また、第1係合部61dは、移動部材62と、第1付勢部材64との間に配置されている。具体的には、第1係合部61dの一部が、移動部材62と、第1付勢部材64との間に配置されている。より具体的には、第1係合部61dの一部は、後述する移動部材62の第2係合部62bと、第1付勢部材64との間に配置されている。
なお、ここでは、第1係合部61dが突出部61cに溶接より接合される場合の例を示すが、第1係合部61dと突出部61cとの接合は、他の手段を用いても良い。また、第1係合部61dと突出部61cとが、一体に形成されるようにしても良い。
第1係合部61dには、凹凸部61kが形成されている。第1係合部61dの凹凸部61kは、上述した第1係合部61dの一部に相当する部分に形成されている。第1係合部61dの凹凸部61kは、後述する移動部材62における第2係合部62bの凹凸部62kと係合する。具体的には、第1係合部61dの凹凸部61kを第2係合部62bの凹凸部62kに噛み合わせることによって、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して移動不能になる。一方で、第1係合部61dの凹凸部61kと第2係合部62bの凹凸部62kとの噛み合いが解除されることによって、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して回転方向に移動可能になる。
第1係合部61dでは、図8に示すように、検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2が、第1係合部61dの移動量を決定する位置となっている。例えば、摩擦部材が所定の摩耗量になった場合、すなわち検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2の移動量が、所定の値になった場合に、移動部材62との係合が解除される。具体的には、第1係合部61dが揺動したときに、第1係合部61dの位置p2が、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さを越えた場合に、第1係合部61dの凹凸部61kと第2係合部62bの凹凸部62kとの係合が解除される。これにより、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して回転方向に移動可能になる。
ここで、第1係合部61dと第2係合部62bとの係合が解除される移動量は、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さと、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さとによって決定される。ここでは、各凸部の形状及びサイズと、各凹部の形状及びサイズと、凸部と凹部との間隔とが、同じになるように、凹凸部61kと凹凸部62kとは、形成されている。より具体的には、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば0.6mmに設定されている。また、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば0.6mmに設定されている。
なお、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の頂部(歯の頂部)が、第2係合部62bの凹凸部62kの凹部の底部(谷の底部)に対向した位置に、位置している状態が、上記の移動量が0(ゼロ)の状態に相当している。
さらに、図8に示すように、検知部材61の揺動軸61gと摩擦部材の摩耗量を検知する位置p1との間の第1距離L1が、検知部材61の揺動軸61gと、検知部材61及び移動部材62の係合を解除する位置p2との間の第2距離L2より、短くなっている。言い換えると、第1距離L1が第2距離L2より短くなるように、ピン部材61fの位置すなわち揺動軸61gの位置が、設定されている。これにより、検知部材61の検知部61bで検知した摩耗量が、検知部材61の第1係合部61dにおいて増幅される。
なお、詳細には、第1距離L1は、検知部材61の揺動軸61gと、検知部61bの凸状の頂部61tがファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する位置p1との間の距離に対応する。また、第2距離L2は、検知部材61の揺動軸61gと、第1係合部61dにおいて検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2との間の距離に対応する。
移動部材62は、摩擦部材の摩耗量に応じて移動可能になっている。移動部材62は、図6及び図8に示すように、第1コイルスプリング62fによって、第1円周方向(図8のR1方向)に付勢されている。このため、検知部材61と移動部材62との係合が解除された状態では、移動部材62は、第1コイルスプリング62fによって第1円周方向に移動する。一方で、検知部材61と移動部材62とが係合した状態では、移動部材62は円周方向に移動不能である。
移動部材62は、図6及び図8に示すように、一方向に長い板状の本体部62aと、本体部62aの長手方向の一端に形成された第2係合部62bと、本体部62aの長手方向の他端に形成された規制部62cとを、有している。
第2係合部62bは、クラッチカバー2の外面に配置されている。また、第2係合部62bは、第1係合部61dに係合可能である。具体的には、第2係合部62bは、板状に形成されており、一面がクラッチカバー2の外面に配置され、他面が第1係合部61dに係合可能になっている。また、第2係合部62bは、クラッチカバー2と、第1係合部61dの凹凸部61kとの間に配置されている。
第2係合部62bには、凹凸部62kが形成されている。第2係合部62bの凹凸部62kは、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kと係合する。具体的には、凹凸部62kは、上記の第2係合部62bの他面に形成されている。第2係合部62bの凹凸部62kが第1係合部61dの凹凸部61kに噛み合った状態においては、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して移動不能である。一方で、第1係合部61dの凹凸部61kと第2係合部62bの凹凸部62kとの噛み合いが解除された状態においては、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して第1円周方向に移動可能である。移動部材62が移動するときには、上記の第2係合部62bの一面は、クラッチカバー2の外面上を摺動する。
規制部62cは、ファルクラムリング4に係合する部分である。詳細には、規制部62cは、ファルクラムリング4の回転方向への移動を規制又は許可する部分である。規制部62cは、ファルクラムリング4の第2凹部4dの内部に配置されている。
規制部62cは、図8に示すように、円周方向に幅W2を有している。ここでは、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dに配置された状態において、第2凹部4dにおける円周方向の壁部間の距離W1と、規制部62cの円周方向の長さW2との差W3(=W1−W2)が、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。言い換えると、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの一方の壁部に当接した状態において、第2凹部4dの他方の壁部と規制部62cとの間の距離W3は、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。この距離W3によって、ファルクラムリング4の回転量は、決定される。
規制部62cは、検知部材61と移動部材62との係合が解除された状態においては、第2凹部4dの内部において第1円周方向に移動可能である。具体的には、規制部62cは、第1コイルスプリング62fによって第1円周方向に付勢されている。この規制部62cは、図9に示すように、第2凹部4dの内部において、第2凹部4dにおける第1円周方向の壁部に当接するまで、移動可能である。
なお、第1コイルスプリング62fは、一端が移動部材62に装着されており、他端がファルクラムリング4に装着されている。詳細には、第1コイルスプリング62fの一端は、移動部材62の本体部62aに装着されている。
第1付勢部材64は、検知部材61をファルクラムリング4に係合させるための部材である。また、第1付勢部材64は、検知部材61を、プレッシャプレート3の方向に付勢する部材でもある。
第1付勢部材64は、装着部材63に装着されている。第1付勢部材64は、弾性を有する部材である。例えば、第1付勢部材64には、板バネや捩りコイルバネ等が用いられる。ここでは、第1付勢部材64として、板バネが用いられている。板バネ64は、一端側において装着部材63に装着されている。また、図6に示すように、板バネ64と移動部材62との間には、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kが、配置されている。また、板バネ64とクラッチカバー2との間には、第1係合部61dの凹凸部61kと、第2係合部62bとが配置されている。
ここでは、板バネ64の付勢力によって、検知部材61の第1係合部61dと、移動部材62の第2係合部62bとが、係合させられる。より具体的には、板バネ64の付勢力によって、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kと、移動部材62における第2係合部62bの凹凸部62kとが、噛み合わせられる。
[摩耗追従機構]
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。摩耗追従機構7は、図3に示すように、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2付勢部材28(図2を参照)とを、有している。
複数のファルクラムリング4は、図2及び図4に示すように、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、プレッシャプレート3に対して相対回転可能に配置されている。また、複数のファルクラムリング4は、ダイヤフラムスプリング5によってプレッシャプレート3側に押圧される。また、図3に示すように、複数のファルクラムリング4それぞれの摺動部11の傾斜面11aは、プレッシャプレート3の摺動部10の傾斜面10aに当接しており、この状態において、複数のファルクラムリング4は、第1円周方向(R1方向)に回転可能である。ここで、複数のファルクラムリング4が第1円周方向に回転すると、複数のファルクラムリング4は、トランスミッション側に移動する。
第2付勢部材28は、ファルクラムリング4を第1円周方向に付勢する部材である。言い換えると、付勢部材28は、第2円周方向(R1方向とは反対の方向;R2方向)へのファルクラムリング4の移動を規制する部材である。ここでは、第2付勢部材28として、コイルスプリング(以下、第2コイルスプリングと呼ぶ)が用いられている。
第2コイルスプリング28は、プレッシャプレート3に対して、ファルクラムリング4を第1円周方向に相対回転させる。第2コイルスプリング28は、図2に示すように、ファルクラムリング4の内周部に沿うように、プレッシャプレート3に形成された溝部に配置される。第2コイルスプリング28は、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とに装着されている。詳細には、第2コイルスプリング28は、一端がファルクラムリング4に装着されており、他端がプレッシャプレート3に装着されている。
以上のような構成では、摩擦部材の摩耗量に応じて、移動部材62が第1円周方向に移動した場合、この移動部材62の移動量W3だけ、ファルクラムリング4は、第1円周方向に回転可能である。ここで、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転すると、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、摺動部10,11の傾斜面10a,11aにおいて互いに当接しているので、ファルクラムリング4は、プレッシャプレート3から離れる方向、すなわち軸方向に、移動する。
[摩耗量検出機構の動作及び摩耗追従動作]
クラッチオン(連結)状態では、ダイヤフラムスプリング5の押圧荷重は、ファルクラムリング4を介してプレッシャプレート3に作用し、これによりクラッチディスク組立体の摩擦部材はプレッシャプレート3とフライホイールとの間に挟持される。このとき、図5に示すように、検知部材61は、ファルクラムリング4に係合している。具体的には、検知部材61の検知部61bは、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接している。
摩擦部材が摩耗すると、摩擦部材の厚みが薄くなるので、プレッシャプレート3はフライホイール側(図4および図8において下側)に移動する。また、プレッシャプレート3が移動すると、プレッシャプレート3上に配置されたファルクラムリング4もフライホイール側に移動する。すると、検知部材61が揺動軸61gを支点として揺動し、ファルクラムリング4の第1凹部4cに係合する検知部材61の検知部61bが、ファルクラムリング4の移動方向に移動する(図8を参照)。また、このときには、検知部材61の第1係合部61dが、ファルクラムリング4の移動方向とは反対の方向、すなわちプレッシャプレート3から離れる方向に、移動する。
そして、検知部材61の第1係合部61dの移動量、すなわち検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2の移動量が、所定の値以上例えば0.6mm以上になったときに、検知部材61の第1係合部61dと移動部材62の第2係合部62bとの係合が、解除される。すると、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの内部に配置された状態において、移動部材62が、プレッシャプレート3に対して第1回転方向に移動可能になる。なお、検知部材61の揺動時には、検知部材61の第1係合部61dは、板バネ64によってプレッシャプレート3の方向に常に付勢されている。
続いて、検知部材61と移動部材62との係合が解除されると、図9に示すように、移動部材62は、第1コイルスプリング62fの付勢力によって、第1回転方向へ移動させられる。すると、この移動部材62の移動に伴って、移動部材62の規制部62cも、ファルクラムリング4の第2凹部4dの内部において、第1回転方向に移動する。そして、図9に示すように、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの壁部(第1円周方向の壁部)に当接すると、移動部材62は移動を停止する。すると、第2凹部4dにおける第2回転方向の壁部と、移動部材62の規制部62cとの間に、摩擦部材の摩耗量に対応する隙間W3が発生する。
本摩耗量検出機構6では、摩擦部材の摩耗量に応じてファルクラムリング4がプレッシャプレート3とともにフライホイール側に移動し、検知部材61と移動部材62との係合が解除されると、移動部材62が第1回転方向に距離W3だけ移動する。この状態では、ファルクラムリング4は、ダイヤフラムスプリング5によってプレッシャプレート3側に押圧されているので、ファルクラムリング4は回転移動不能である。すなわち、クラッチオン(連結)状態では、摩擦部材の摩耗量の検出のみを行い、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に復帰させるためのファルクラムリング4の移動、すなわち摩耗追従は、行われていない。
なお、検知部材61が揺動したとしても、第1係合部61dの移動量、すなわち検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2の移動量が、所定の値未満である場合、検知部材61の第1係合部61dと、移動部材62の第2係合部62bとの係合は、解除不能である。すなわち、この状態では、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して第1回転方向に移動不能である。
また、この状態では、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dに係合しているので、ファルクラムリング4は、第1回転方向に回転不能である。より具体的には、第2凹部4dにおける第2回転方向の壁部を、移動不能の状態にある移動部材62の規制部62cに、当接させることによって、ファルクラムリング4の第1回転方向への移動を規制している。
次に、クラッチのレリーズ操作がなされて、クラッチオフ(非連結)状態になると、ダイヤフラムスプリング5のファルクラムリング4への押圧が解除される。すると、ファルクラムリング4は、第2コイルスプリング28によって、プレッシャプレート3に対して第1回転方向に回転させられる。このファルクラムリング4の回転は、ファルクラムリング4の第2凹部4dにおける壁部(第2回転方向の壁部)が、移動部材62の規制部62cに当接することによって停止させられる。
ここで、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、互いの摺動部10,11(傾斜面10a,11a)が当接しているので、前述のようにしてファルクラムリング4が回転すると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる方向に移動する。すなわち、摩擦部材の摩耗量分だけ、ファルクラムリング4はトランスミッション側に移動する。この移動によって、ファルクラムリング4は、摩擦部材が摩耗する前の初期位置に戻ることになる。すなわち、ダイヤフラムスプリング5の姿勢が、初期の姿勢に復帰する。
また、ファルクラムリング4がトランスミッション側に移動すると、検知部材61の検知部61bと、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部との間に隙間が生じるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、検知部材61の第1係合部61dが、板バネ64によってプレッシャプレート3の方向に常に付勢されている。このため、ファルクラムリング4がトランスミッション側に移動したとしても、板バネ64の付勢力によって、検知部材61の検知部61bは、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接した状態で、ファルクラムリング4に追随する。また、このときには、検知部材61の第1係合部61dが、板バネ64の付勢力によって、移動部材62の第2係合部62bに再び係合する。これにより、再び、クラッチオン(連結)状態になったときに、上述した形態で、摩耗量検出機構6を動作させることができる。
なお、摩擦部材の摩耗量、すなわちこの摩耗量に対するファルクラムリング4の追従量(ファルクラムリング4のトランスミッション側への移動量)は、第1係合部61dと第2係合部62bとの係合を解除するタイミングと、移動部材62の移動量W3と、摺動部10,11の傾斜角度とによって決定される。第1係合部61dと第2係合部62bとの係合を解除するタイミングは、各凸部の形状及びサイズと各凹部の形状及びサイズとによって、決定される。また、移動部材62の移動量W3の大きさと、摺動部10,11の傾斜角度とによって、摩擦部材の摩耗量に対応するファルクラムリング4の追従量が、決定される。ここでは、摩擦部材の摩耗量と、ファルクラムリング4の追従量とは、同じに設定されている。
このように、本摩耗追従機構7では、クラッチのレリーズ操作が行われたときに、ファルクラムリング4の移動が行われる。具体的には、クラッチオン状態(フライホイールに摩擦部材が押し付けられた状態)において、ファルクラムリング4の移動前の準備すなわち摩擦部材の摩耗検出を事前に行っておき、クラッチオフ状態(フライホイールから摩擦部材の押し付けが解除された状態)になったときに、ファルクラムリング4の移動すなわち摩耗追従が行われる。
[特徴]
(1)本クラッチカバー組立体1では、摩耗量検出機構6がクラッチカバー2に装着されているので、クラッチカバー組立体1に振動が入力され、プレッシャプレート3が振動したとしても、摩耗量検出機構6は、プレッシャプレート3の振動の影響を直接的に受けることなく、摩擦部材の摩耗量を検出することができる。
(2)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61を、振動の影響を受けにくいファルクラムリング4に係合させることによって、摩擦部材の摩耗量を検出しているので、摩擦部材の摩耗量を正確且つ確実に検出することができる。
(2)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61の揺動軸61gと摩擦部材の摩耗量を検知する位置との間の距離(第1距離L1)が、検知部材61の揺動軸61gと、検知部材61及び移動部材62の係合を解除する位置との間の距離(第2距離L2)より短くなっているので、検知部材61によって検知された摩耗量(摩擦部材の摩耗量)を、増幅することができる。これにより、増幅後の摩耗量、すなわち摩擦部材の摩耗量より大きな検知部材61の揺動量に基づいて、検知部材61が移動部材62に係合する部分を、設計することができる。例えば、第1係合部61dの凹凸部61k及び第2係合部62bの凹凸部62kに対する加工精度を、緩和することができるので、第1係合部61d及び第2係合部62bを設計しやすくなる。また、第1係合部61d及び第2係合部62b設計の自由度を、向上することができる。
(3)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61の検知部61bが、ファルクラムリング4の第1凹部4c(摩耗検知用の凹部)において摩耗量を検知する。また、検知部材61の第1係合部61dと移動部材62の第2係合部62bとの係合が解除されると、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4d(摩耗追従用の凹部)において移動する。このように、ファルクラムリング4、検知部材61、及び移動部材62それぞれを、互いに係合させることによって、摩耗量を増幅し、摩耗追従を行っているので、より正確な摩耗補償を提供することができる。
(4)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61の第1係合部61dが、板バネ64(第1付勢部材)と移動部材62の第2係合部62bとの間に配置されているので、板バネ64によって、検知部材61の第1係合部61dを移動部材62の第2係合部62bに確実に係合させることができる。これにより、振動等によって、検知部材61と移動部材62との係合が解除されにくくすることができる。
(5)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61の揺動軸61gが、検知部材61の検知部と検知部材61の第1係合部61dとの間に設けられているので、検知部の揺動方向は、検知部材61の第1係合部61dの揺動方向の反対になる。すなわち、ファルクラムリング4がフライホイールの方向に移動した場合、検知部材61の検知部はフライホイールの方向に揺動し、検知部材61の第1係合部61dはフライホイールから離れる方向に揺動する。このため、移動部材62の第2係合部62bを、検知部材61の第1係合部61dとプレッシャプレート3との間に配置した場合、検知部材61の第1係合部61dと移動部材62の第2係合部62bとの係合を、確実に解除することができる。
(6)本クラッチカバー組立体1では、摩耗量検出機構6が、クラッチカバーの外側に装着されているので、摩耗量検出機構6を除いてクラッチカバー組立体1を組み立て後に、摩耗量検出機構6を後付けすることができる。また、摩耗量検出機構6を、クラッチカバー組立体1から用意に取り外すことができる。これにより、摩耗量検出機構6のメンテナンス及び調整を、容易に行うことができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態によるクラッチカバー組立体1の基本構成は、第1実施形態と同様であり、主に、摩耗量検出機構106の構成が、第1実施形態とは異なる。このため、第1実施形態と同じ構成については、簡易な説明に留め、詳細な説明を省略している。すなわち、説明が省略された構成については、第1実施形態に準ずる。また、第2実施形態で用いた図では、第1実施形態と同じ部材については、同じ符号を付している。なお、第2実施形態では、前記実施形態の図面を用いて説明する場合がある。
[全体構成]
図10に本発明の第2実施形態によるクラッチカバー組立体1の外観斜視図を示す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー組立体1は、図10及び図11に示すように、主に、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、複数のファルクラムリング4と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構106と、摩耗追従機構7と、から構成されている。
[クラッチカバー]
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。また、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、図12に示すように、外周側において、円周方向に、複数の摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、プレッシャプレート3から軸方向外方に突出して形成されている。各摺動部10は、第1円周方向(図12のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。ここでは、例えば、傾斜面10aの傾斜角度が、5度に設定されている。
[ファルクラムリング]
複数のファルクラムリング4それぞれは、円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。複数のファルクラムリング4は、図11及び図12に示すように、プレッシャプレート3上に配置されている。
また、ファルクラムリング4には、図12に示すように、円周方向に、複数の摺動部11が形成されている。摺動部11は、傾斜面11aを、有している。傾斜面11aは、プレッシャプレート3に形成された摺動部10の傾斜面10aに当接し、且つ第1円周方向(図12のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜している。ここでは、例えば、傾斜面11aの傾斜角度が、5度に設定されている。
また、ファルクラムリング4は、図16に示すように、後述する検知部材61の検知部61dが係合する摩耗検知用の凹部4c(以下、第1凹部と呼ぶ)と、検知部材61の規制部が係合する摩耗追従用の凹部4d(以下、第2凹部と呼ぶ)とを有している。第2凹部4dは、ファルクラムリング4の第2端4bにおいて、半径方向に溝状に切り欠かれた部分である。第2凹部4dは、円周方向に幅W1を有している。
[ダイヤフラムスプリング]
ダイヤフラムスプリング5は、クラッチカバー2に支持されるとともに、プレッシャプレート3をフライホイール側に押圧するための部材である。ダイヤフラムスプリング5は、図10及び図11に示すように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置されている。また、ダイヤフラムスプリング5は、図10に示すように、支持部材12によってクラッチカバー2に支持されている。
[摩耗量検出機構]
摩耗量検出機構106は、図11、及び図13−図16に示すように、プレッシャプレート3の外周部に配置されている。言い換えると、摩耗量検出機構106は、ファルクラムリング4の外周側に配置されている。そして、摩耗量検出機構106は、クラッチカバー2の内側において、クラッチカバー2に装着されている。より具体的には、摩耗量検出機構106は、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間において、クラッチカバー2に装着されている(図11を参照)。
摩耗量検出機構106は、検知部材61と、移動部材62と、装着部材63と、第1付勢部材64とを、有している。装着部材63は、ボルトを用いて、クラッチカバー2の内面に装着されている(図11を参照)。
検知部材61は、摩擦部材の摩耗量を検知する部材である。検知部材61は、ファルクラムリング4に係合した状態において、ファルクラムリング4を介して摩耗量を検知する。また、検知部材61は、移動部材62に係合しており、摩擦部材が所定の摩耗量になった場合に移動部材62との係合を解除する。
具体的には、図11、図14及び図15に示すように、検知部材61は、装着部材63に揺動自在に装着されている。検知部材61は、一方向に長い板状の本体部61aと、本体部61aの長手方向の一端側において突出して設けられた検知部61bと、本体部61aの長手方向の他端側において突出して設けられた突出部61cと、突出部61cに一体に形成された第1係合部61dとを、有している。
ここで、第1係合部61dと第2係合部62bとの係合が解除される移動量は、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さと、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さとによって決定される。ここでは、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば0.6mmに設定されている。また、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば0.6mmに設定されている。
移動部材62は、摩耗量に応じて移動可能になっている。具体的には、移動部材62は、図13及び図16に示すように、第1コイルスプリング62fによって、第1円周方向(図16のR1方向)に付勢されており、摩耗量に応じて移動可能になっている。
具体的には、図13及び図14に示すように、移動部材62は、板状の本体部62aと、本体部62aの一端に形成された第2係合部62bと、本体部62aの他端に形成された規制部62cとを、有している。
第2係合部62bは、クラッチカバー2と、支持部材12との間に配置されている。第2係合部62bは、支持部材12の外面に摺動自在に配置されている。具体的には、第2係合部62bは、板状に形成されており、一面が支持部材12の外面に配置され、他面が第1係合部61dに係合可能になっている。
規制部62cは、ファルクラムリング4に係合する部分である。規制部62c(第2凹部4dの内部の部分)は、図16に示すように、円周方向に幅W2を有している。ここでは、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dに配置された状態において、第2凹部4dにおける円周方向の壁部間の距離W1と、規制部62cの円周方向の長さW2との差W3(=W1−W2)は、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。言い換えると、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの一方の壁部に当接した状態において、第2凹部4dの他方の壁部と規制部62cとの間の距離W3は、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。この距離W3によって、ファルクラムリング4が回転移動する量(ファルクラムリング4の回転量)は、決定される。
第1付勢部材64は、検知部材61をファルクラムリング4に係合させるための部材である。また、第1付勢部材64は、検知部材61を、プレッシャプレート3の方向に付勢する部材でもある。
第1付勢部材64は、クラッチカバー2の内面に装着されている。第1付勢部材64は、弾性を有する部材である。例えば、第1付勢部材64には、板バネや捩りコイルバネ等が用いられる。ここでは、第1付勢部材64として、板バネが用いられている。板バネ64は、両端部においてクラッチカバー2に装着されている。板バネ64の中央部には、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kが、配置されている。また、板バネ64と支持部材12との間には、第1係合部61dの凹凸部61kと、第2係合部62bとが配置されている。
この板バネ64の付勢力によって、検知部材61の第1係合部61dと、移動部材62の第2係合部62bとが、係合させられる。具体的には、この板バネ64の付勢力によって、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kと、移動部材62における第2係合部62bの凹凸部62kとが、噛み合わせられる。
[摩耗追従機構]
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。摩耗追従機構7は、図12に示すように、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2付勢部材28とを、有している。
以上のような構成では、摩擦部材の摩耗量に応じて、移動部材62が第1円周方向に移動した場合、この移動部材62の移動量だけ、ファルクラムリング4は、第1円周方向に回転可能である。ここで、ファルクラムリング4が第1円周方向に回転すると、両部材4,3は摺動部10,11の傾斜面10a,11aによって互いに当接しているので、ファルクラムリング4は、トランスミッション側に移動する。
[摩耗量検出機構の動作及び摩耗追従動作]
上記のような構成を有する第2実施形態では、摩耗量検出機構106の動作及び摩耗追従動作は、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
[特徴]
(1)本クラッチカバー組立体1では、摩耗量検出機構106がクラッチカバー2の内側に装着されているので、摩耗量検出機構106をファルクラムリング4にアクセスさせるための開口部を、クラッチカバーに設ける必要がない。このため、摩耗量検出機構106がクラッチカバー2の外側に装着される場合と比較して、クラッチカバー2の剛性を向上することができる。
(2)本クラッチカバー組立体1では、板バネ64(第1付勢部材)が両端で支持されているので、検知部材61の第1係合部61dを、移動部材62の第2係合部62bに、確実に係合させることができる。これにより、振動等によって、検知部材61と移動部材62との係合が解除されにくくすることができる。
(3)本クラッチカバー組立体1では、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態によるクラッチカバー組立体1の基本構成は、前記実施形態と同様であり、主に、摩耗量検出機構206の構成が、前記実施形態とは異なる。このため、前記実施形態と同じ構成については、簡易な説明に留め、詳細な説明を省略している。すなわち、説明が省略された構成については、前記実施形態に準ずる。また、第3実施形態で用いた図では、前記実施形態と同じ部材については、同じ符号を付している。なお、第3実施形態では、前記実施形態の図面を用いて説明する場合がある。
[全体構成]
本発明の第3実施形態によるクラッチカバー組立体1の外観斜視図は、図10に示した第2実施形態の外観斜視図と同じである。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー組立体1は、図10及び図17に示すように、主に、クラッチカバー2と、プレッシャプレート3と、複数のファルクラムリング4と、ダイヤフラムスプリング5と、摩耗量検出機構206と、摩耗追従機構7と、から構成されている。
[クラッチカバー]
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。
[プレッシャプレート]
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。また、プレッシャプレート3のトランスミッション側の面には、図12に示すように、外周側において、円周方向に、複数の摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、プレッシャプレート3から軸方向外方に突出して形成されている。各摺動部10は、第1円周方向(図12のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。ここでは、例えば、傾斜面10aの傾斜角度が、5度に設定されている。
[ファルクラムリング]
複数のファルクラムリング4それぞれは、円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。複数のファルクラムリング4は、図12及び図17に示すように、プレッシャプレート3上に配置されている。
また、ファルクラムリング4には、図12に示すように、円周方向に、複数の摺動部11が形成されている。摺動部11は、傾斜面11aを、有している。傾斜面11aは、プレッシャプレート3に形成された摺動部10の傾斜面10aに当接し、且つ第1円周方向(図12のR1方向)に向かってその高さがより低くなるように傾斜している。ここでは、例えば、傾斜面11aの傾斜角度が、5度に設定されている。
また、ファルクラムリング4は、図21に示すように、後述する検知部材61の検知部61dが係合する摩耗検知用の凹部4c(以下、第1凹部と呼ぶ)と、検知部材61の規制部が係合する摩耗追従用の凹部4d(以下、第2凹部と呼ぶ)とを有している。第2凹部4dは、ファルクラムリング4の第2端4bにおいて、軸方向に溝状に切り欠かれた部分である。また、第2凹部4dは、凹部の底部の一部が半径方向に溝状に切り欠かれている。第2凹部4dは、円周方向に幅W1を有している。
[ダイヤフラムスプリング]
ダイヤフラムスプリング5は、クラッチカバー2に支持されるとともに、プレッシャプレート3をフライホイール側に押圧するための部材である。ダイヤフラムスプリング5は、図10及び図17に示すように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置されている。また、ダイヤフラムスプリング5は、図10に示すように、支持部材12によってクラッチカバー2に支持されている。
[摩耗量検出機構]
摩耗量検出機構206は、図17及び図21に示すように、プレッシャプレート3の外周部に配置されている。言い換えると、摩耗量検出機構206は、ファルクラムリング4の外周側に配置されている。そして、摩耗量検出機構206は、クラッチカバー2の内側において、クラッチカバー2に装着されている。より具体的には、摩耗量検出機構206は、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間において、クラッチカバー2に装着されている(図17を参照)。
摩耗量検出機構206は、検知部材61と、移動部材62と、装着部材63と、第1付勢部材64と、位置決め部材65を、有している。装着部材63は、図17に示すように、ボルトを用いて、クラッチカバー2の内面に装着されている。また、位置決め部材65は、ピン部材を用いて、クラッチカバー2の内面に装着されている。
検知部材61は、摩擦部材の摩耗量を検知する部材である。検知部材61は、ファルクラムリング4に係合した状態において、ファルクラムリング4を介して摩耗量を検知する。また、検知部材61は、移動部材62に係合しており、摩擦部材が所定の摩耗量になった場合に移動部材62との係合を解除する。
具体的には、図19−図21に示すように、検知部材61は、装着部材63に揺動自在に装着されている。検知部材61は、一方向に長い板状の本体部61aと、本体部61aの長手方向の中央部において突出して設けられた検知部61bと、本体部61aの一端側において突出して設けられた突出部61cと、突出部61cに一体に形成された第1係合部61dとを、有している。
ここで、第1係合部61dと第2係合部62bとの係合が解除される移動量は、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さと、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さとによって決定される。ここでは、第1係合部61dの凹凸部61kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば、0.6mmに設定されている。また、第2係合部62bの凹凸部62kの凸部の高さ、すなわち歯の高さは、例えば、0.6mmに設定されている。
上記のような検知部材61では、図21に示すように、検知部材61の揺動軸61gと摩擦部材の摩耗量を検知する位置p1との間の第1距離L1が、検知部材61の揺動軸61gと、検知部材61及び移動部材62の係合を解除する位置p2との間の第2距離L2より、短くなっている。言い換えると、第1距離L1が第2距離L2より短くなるように、ピン部材61fの位置すなわち揺動軸61gの位置が、設定されている。
ここで、第1距離L1は、検知部材61の揺動軸61gと、検知部61bの凸状の頂部61tがファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接する位置p1との間の距離に対応する。また、第2距離L2は、検知部材61の揺動軸61gと、第1係合部61dにおいて検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2との間の距離に対応する。
移動部材62は、摩耗量に応じて移動可能になっている。具体的には、移動部材62は、図18及び図21に示すように、第1コイルスプリング62fによって、第1円周方向(図21のR1方向)に付勢されており、摩耗量に応じて移動可能になっている。
具体的には、図19及び図20に示すように、移動部材62は、板状の本体部62aと、本体部62aの一端に形成された第2係合部62bと、本体部62aの他端に形成された規制部62cとを、有している。
第2係合部62bは、検知部材61と、位置決め部材65との間に配置されている。第2係合部62bは、位置決め部材65に摺動自在に配置されている。具体的には、第2係合部62bは、板状に形成されており、一面が位置決め部材65に配置され、他面が第1係合部61dに係合可能になっている。
規制部62cは、ファルクラムリング4に係合する部分である。規制部62c(第2凹部4dの内部の部分)は、図21に示すように、円周方向に幅W2を有している。ここでは、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dに配置された状態において、第2凹部4dにおいて対向する壁部間の距離W1と、規制部62cの回転方向の長さW2との差W3(=W1−W2)は、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。言い換えると、規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの一方の壁部に当接した状態において、第2凹部4dの他方の壁部と規制部62cとの間の距離W3は、所定の値、例えば1.8mmに設定されている。この距離W3によって、ファルクラムリング4が回転移動する量(ファルクラムリング4の回転量)は、決定される。
第1付勢部材64は、検知部材61をファルクラムリング4に係合させるための部材である。また、第1付勢部材64は、検知部材61を、クラッチカバー2の方向に付勢する部材でもある。詳細には、第1付勢部材64は、検知部材61を、位置決め部材65の方向に付勢する部材でもある。また、第1付勢部材64によって、移動部材62は、検知部材61と位置決め部材65との間で挟持されている。
第1付勢部材64は、クラッチカバー2の内面に装着されている。第1付勢部材64は、弾性を有する部材である。例えば、第1付勢部材64には、板バネや捩りコイルバネ等が用いられる。ここでは、第1付勢部材64として、捩りコイルバネが用いられている。捩りコイルバネ64は、コイル部64aと、コイル部64aから延びる第1係止部64bと、コイル部64aから延びる第2係止部64cとを、有している。コイル部64aは、検知部材61と装着部材63との間において、検知部材61を装着部材63に装着するための揺動ピン61hの周りに装着されている。第1係止部64bは、図17、及び図20−図21に示すように、検知部材61に設けられた凹部61jに係合している。第2係止部64cは、図20に示すように、装着部材63に係合している。
この捩りコイルバネ64によって、検知部材61は、プレッシャプレート3から離れる方向に付勢される。すなわち、捩りコイルバネ64の付勢力によって、検知部材61の第1係合部61dと、移動部材62の第2係合部62bとが、係合させられる。具体的には、この捩りコイルバネ64の付勢力によって、検知部材61における第1係合部61dの凹凸部61kと、移動部材62における第2係合部62bの凹凸部62kとが、噛み合わせられる。
[摩耗追従機構]
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。摩耗追従機構7は、図12に示すように、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2付勢部材28とを、有している。
以上のような構成では、摩擦部材の摩耗量に応じて、移動部材62が第1円周方向に移動した場合、この移動部材62の移動量だけ、ファルクラムリング4は、第1円周方向に回転可能である。ここで、ファルクラムリング4がプレッシャプレート3に対して回転すると、両部材4,3は摺動部10,11の傾斜面によって互いに当接しているので、ファルクラムリング4は、トランスミッション側に移動する。
[摩耗量検出機構の動作及び摩耗追従動作]
クラッチオン(連結)状態では、ダイヤフラムスプリング5の押圧荷重は、ファルクラムリング4を介してプレッシャプレート3に作用し、これによりクラッチディスク組立体の摩擦部材はプレッシャプレート3とフライホイールとの間に挟持されている。このとき、図21に示すように、検知部材61は、ファルクラムリング4に係合している。具体的には、検知部材61の検知部61bは、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接している。図21には、検知部材61の検知部61bが、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接した点が、記号p1で示されている。
摩擦部材が摩耗すると、摩擦部材の厚みが薄くなるので、プレッシャプレート3はフライホイール側に移動する。また、プレッシャプレート3が移動すると、プレッシャプレート3上に配置されたファルクラムリング4もフライホイール側に移動する。すると、検知部材61が揺動軸61gを支点として揺動し、ファルクラムリング4の第1凹部4cに係合する検知部材61の検知部61bが、ファルクラムリング4の移動方向に移動する(図21を参照)。また、このときには、検知部材61の第1係合部61dが、ファルクラムリング4の移動方向、すなわちプレッシャプレート3に近づく方向に、移動する。
そして、検知部材61の第1係合部61dの移動量、すなわち検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2の移動量が、所定の値以上例えば0.6mm以上になったときに、検知部材61の第1係合部61dと移動部材62の第2係合部62bとの係合が、解除される。すると、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dの内部に配置された状態において、移動部材62が、プレッシャプレート3に対して第1回転方向(図21のR1方向)に移動可能になる。なお、検知部材61が揺動するときには、検知部材61の第1係合部61dは、捩りコイルバネ64によってプレッシャプレート3から離れる方向に常に付勢されている。
続いて、検知部材61と移動部材62との係合が解除されると、移動部材62は、第1コイルスプリング62fの付勢力によって、第1回転方向へ移動させられる。すると、この移動部材62の移動に伴って、移動部材62の規制部62cも、ファルクラムリング4の第2凹部4dの内部において、第1回転方向に移動する。そして、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dにおける第1円周方向の壁部に当接すると、移動部材62は移動を停止する。すると、第2凹部4dにおける第2回転方向の壁部と、移動部材62の規制部62cとの間に、摩擦部材の摩耗量に対応する隙間W3が発生する。
本摩耗量検出機構6では、摩擦部材の摩耗量に応じてファルクラムリング4がプレッシャプレート3とともにフライホイール側に移動し、検知部材61と移動部材62との係合が解除されると、移動部材62が第1回転方向に距離W3だけ移動する。この状態では、ファルクラムリング4は、ダイヤフラムスプリング5によってプレッシャプレート3側に押圧されているので、ファルクラムリング4は回転移動不能である。すなわち、クラッチオン(連結)状態では、摩擦部材の摩耗量の検出のみを行い、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に復帰させるためのファルクラムリング4の移動、すなわち摩耗追従は、行われていない。
なお、検知部材61が揺動したとしても、第1係合部61dの移動量、すなわち検知部61bに最も近い凸部の頂点の位置p2の移動量が、所定の値未満である場合、検知部材61の第1係合部61dと、移動部材62の第2係合部62bとの係合は、解除不能である(図17の状態を参照)。すなわち、この状態では、移動部材62は、プレッシャプレート3に対して第1回転方向に移動不能である。
また、この状態では、移動部材62の規制部62cが、ファルクラムリング4の第2凹部4dに係合しているので、ファルクラムリング4は、第1回転方向に回転不能である。より具体的には、第2凹部4dにおける第2回転方向の壁部を、移動不能の状態にある移動部材62の規制部62cに、当接させることによって、ファルクラムリング4の第1回転方向への移動を規制している。
次に、クラッチのレリーズ操作がなされて、クラッチオフ(非連結)状態になると、ダイヤフラムスプリング5のファルクラムリング4への押圧が解除される。すると、ファルクラムリング4は、第2コイルスプリング28によって、プレッシャプレート3に対して第1回転方向に回転させられる。このファルクラムリング4の回転は、ファルクラムリング4の第2凹部4dにおける壁部(第2回転方向の壁部)が、移動部材62の規制部62cに当接することによって停止させられる。
ここで、ファルクラムリング4とプレッシャプレート3とは、互いの摺動部10,11(傾斜面10a,11a)が当接しているので、前述のようにしてファルクラムリング4が回転すると、ファルクラムリング4はプレッシャプレート3から離れる方向に移動する。すなわち、摩擦部材の摩耗量分だけ、ファルクラムリング4はトランスミッション側に移動する。この移動によって、ファルクラムリング4は、摩擦部材が摩耗する前の初期位置に戻ることになる。すなわち、ダイヤフラムスプリング5の姿勢が、初期の姿勢に復帰する。
また、ファルクラムリング4がトランスミッション側に移動すると、検知部材61の検知部61bと、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部との間に隙間が生じるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、検知部材61の第1係合部61dが、捩りコイルバネ64によって、プレッシャプレート3の方向に常に付勢されているので、ファルクラムリング4がトランスミッション側に移動したとしても、捩りコイルバネ64の付勢力によって、検知部材61の検知部61bは、ファルクラムリング4の第1凹部4cの底部に当接した状態で、ファルクラムリング4に追随する。また、このときには、検知部材61の第1係合部61dが、捩りコイルバネ64の付勢力によって、移動部材62の第2係合部62bに再び係合する。これにより、再び、クラッチオン(連結)状態になったときに、上述した形態で、摩耗量検出機構6を動作させることができる。
なお、摩擦部材の摩耗量、すなわちこの摩耗量に対するファルクラムリング4の追従量(ファルクラムリング4のトランスミッション側への移動量)は、第1係合部61dと第2係合部62bとの係合を解除するタイミングと、移動部材62の移動量W3と、摺動部10,11の傾斜角度とによって決定される。第1係合部61dと第2係合部62bとの係合を解除するタイミングは、各凸部の形状及びサイズと各凹部の形状及びサイズとによって、決定される。また、移動部材62の移動量W3の大きさと、摺動部10,11の傾斜角度とによって、摩擦部材の摩耗量に対応するファルクラムリング4の追従量が、決定される。ここでは、摩擦部材の摩耗量と、ファルクラムリング4の追従量とは、同じに設定されている。
このように、本摩耗追従機構7では、クラッチのレリーズ操作が行われたときに、ファルクラムリング4の移動が行われる。具体的には、クラッチオン状態(フライホイールに摩擦部材が押し付けられた状態)において、ファルクラムリング4の移動前の準備すなわち摩擦部材の摩耗検出を事前に行っておき、クラッチオフ状態(フライホイールから摩擦部材の押し付けが解除された状態)になったときに、ファルクラムリング4の移動すなわち摩耗追従が行われる。
[特徴]
(1)本クラッチカバー組立体1では、摩耗量検出機構206がクラッチカバー2の内側に装着されているので、摩耗量検出機構206をファルクラムリング4にアクセスさせるための開口部を、クラッチカバーに設ける必要がない。このため、摩耗量検出機構206がクラッチカバー2の外側に装着される場合と比較して、クラッチカバー2の剛性を向上することができる。
(2)本クラッチカバー組立体1では、検知部材61の検知部61bが、検知部材61の揺動軸61gと検知部材61の第1係合部61dとの間に設けられているので、検知部61bの揺動方向は、検知部材61の第1係合部61dの揺動方向の同じになる。すなわち、ファルクラムリングがフライホイールの方向に移動した場合、検知部材61の検知部61b及び検知部材61の第1係合部61dもフライホイールの方向に揺動する。このため、検知部材61の第1係合部61dを、移動部材62の第2係合部62bとプレッシャプレート3との間に配置しておくことによって、検知部材61の第1係合部61dと移動部材62の第2係合部62bとの係合を、確実に解除することができる。
(3)本クラッチカバー組立体1では、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)摩耗追従機構の構成は、ダイヤフラムスプリングの初期姿勢を維持するように作用する構成であればどのような構成でもよく、前記実施形態に限定されない。
1 クラッチカバー組立体
2 クラッチカバー
3 プレッシャプレート
4 ファルクラムリング
4c 第1凹部(摩耗検知用の凹部)
4d 第2凹部(摩耗追従用の凹部)
5 ダイヤフラムスプリング(押圧部材)
6,106,206 摩耗量検出機構
7 摩耗追従機構
10,11 摺動部
10a,11a 傾斜面
28 第2コイルスプリング(第2付勢部材)
61 検知部材
61b 検知部
61d 第1係合部
61g 揺動軸
62 移動部材
62b 第2係合部
62c 規制部
63 装着部材
64 板バネ、捩りコイルバネ(第1付勢部材)
L1 第1距離
L2 第2距離

Claims (10)

  1. エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体であって、
    前記フライホイールに固定されるクラッチカバーと、
    前記クラッチカバーに相対回転不能に連結され、前記フライホイールに前記摩擦部材を押圧するためのプレッシャプレートと、
    前記クラッチカバーに支持されるとともに、前記プレッシャプレートを前記フライホイール側に押圧するための押圧部材と、
    前記クラッチカバーに装着され、前記摩擦部材の摩耗量を検知する検知部材と、前記摩耗量に応じて移動可能な移動部材とを有する摩耗量検出機構と、
    前記プレッシャプレートに軸方向に移動自在に支持され前記移動部材の移動量に応じて前記押圧部材を初期姿勢側に移動させるファルクラムリングを、有する摩耗追従機構と、
    を備え、
    前記検知部材は、前記ファルクラムリングに係合し前記ファルクラムリングを介して前記摩耗量を検知し、且つ前記移動部材に係合し、所定の前記摩耗量で前記移動部材との係合を解除し、
    前記移動部材は、前記検知部材が前記移動部材との係合を解除した状態で、移動する、
    クラッチカバー組立体。
  2. 前記摩耗量検出機構は、前記検知部材を前記クラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有しており、
    前記検知部材は、前記装着部材に揺動自在に装着され、前記摩耗量に応じた揺動量が所定の値になった場合に、前記移動部材との係合を解除する、
    請求項1に記載のクラッチカバー組立体。
  3. 前記検知部材の揺動軸と前記摩擦部材の摩耗量を検知する位置との間の距離は、前記検知部材の揺動軸と、前記検知部材及び前記移動部材の係合を解除する位置との間の距離より短い、
    請求項2に記載のクラッチカバー組立体。
  4. 前記摩耗量検出機構は、前記検知部材を前記ファルクラムリングに係合させるための第1付勢部材を、さらに有している、
    請求項1から3のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
  5. 前記検知部材は、前記摩耗量を検知する検知部と、前記移動部材に係合する第1係合部とを有しており、
    前記移動部材は、前記第1係合部に係合する第2係合部と、前記ファルクラムリングに係合し前記ファルクラムリングの移動を規制又は許可するための規制部とを有しており、
    前記ファルクラムリングは、前記検知部が係合する摩耗検知用の凹部と、前記規制部が係合する摩耗追従用の凹部とを有している、
    請求項1から4のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
  6. 前記摩耗量検出機構は、前記検知部材を前記ファルクラムリングに係合させるための第1付勢部材を、さらに有しており、
    前記検知部材の前記第1係合部は、前記第1付勢部材と、前記移動部材の前記第2係合部との間に配置されている、
    請求項5に記載のクラッチカバー組立体。
  7. 前記摩耗量検出機構は、前記検知部材を前記クラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有しており、
    前記検知部材は、前記装着部材に揺動自在に装着され、前記検知部材の揺動軸は、前記検知部と前記第1係合部との間に設けられている、
    請求項6に記載のクラッチカバー組立体。
  8. 前記摩耗量検出機構は、前記検知部材を前記クラッチカバーに装着するための装着部材を、さらに有しており、
    前記検知部材は、前記装着部材に揺動自在に装着され、前記検知部は、前記検知部材の揺動軸と前記第1係合部との間に設けられている、
    請求項6に記載のクラッチカバー組立体。
  9. 前記摩耗量検出機構は、前記プレッシャプレートと前記クラッチカバーとの間、および前記クラッチカバーの外側のいずれか一方において、前記クラッチカバーに装着されている、
    請求項1から8のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
  10. 前記摩耗追従機構は、
    前記プレッシャプレートおよび前記ファルクラムリングに形成され、互いに当接して摺動する摺動部と、
    前記ファルクラムリングを円周方向に付勢して前記ファルクラムリングを前記プレッシャプレートに対して相対回転させる第2付勢部材と、
    をさらに有し、
    前記摺動部は円周方向に沿って傾斜する傾斜面からなり、
    前記第2付勢部材が、前記移動部材の移動量に応じて前記ファルクラムリングを回転させることによって、前記ファルクラムリングを、前記プレッシャプレートから離れる方向に移動させる、
    請求項1から9のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。
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