JP5913497B2 - 遠心式クラッチ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、遠心式クラッチ装置に関するものである。
遠心式クラッチ装置は、エンジンからの駆動力を駆動輪へと伝達したり遮断したりするように構成されている。この遠心式クラッチは、主に、ドライブプレートと、クラッチシューとを備えている(特許文献1参照)。
ドライブプレートは、エンジンの駆動力によって回転可能に配置されている。ドライブプレートの回転に伴い、クラッチシューは遠心力によって外周側に揺動し、クラッチハウジングの内周面と摩擦係合する。これによって、クラッチハウジングが回転するとともに、クラッチハウジングに取り付けられた駆動輪側の部材も回転し、エンジンからの駆動力が駆動輪へと伝達される。
上述したような遠心式クラッチ装置では、クラッチシューがクラッチハウジングと摩擦係合し始めるとき、クラッチシューが暴れることで、ジャダーと呼ばれる振動が発生する。特許文献1に記載の遠心式クラッチ装置は、皿バネで付勢されたプレートによってクラッチシューをドライブプレート側に押圧することによって、ジャダー現象を抑制している。
上述した遠心式クラッチ装置では、皿バネ及びプレートによって構成された付勢手段によってクラッチシューを押圧しているため、部品点数が増えてしまう。製造コスト及び生産性の観点からは、部品点数をなるべく少なくすることが好ましい。
本発明の課題は、少ない部品点数でジャダー現象を抑制することができる遠心式クラッチ装置を提供することにある。
本発明のある側面に係る遠心式クラッチ装置は、ドライブプレートと、複数の軸部材と、複数のクラッチシューと、押さえプレートとを備えている。ドライブプレートは、回転軸を中心に回転可能に配置されている。各軸部材は、ドライブプレートから軸方向に延びている。各クラッチシューは、各軸部材に対して揺動可能に取り付けられている。押さえプレートは、平面部と、押さえ部とを有している。平面部は、環状であって、各軸部材間を延びている。押さえ部は、平面部の外周縁又は内周縁に取り付けられている。押さえ部は、クラッチシューをドライブプレート側に押さえている。
この構成によれば、押さえプレートによってクラッチシューをドライブプレート側に押さえているため、ジャダー現象の発生を抑制することができる。また、ジャダー現象の発生を押さえプレートのみで抑制しており、従来の遠心式クラッチ装置よりも少ない部品点数でジャダー現象を抑制することができる。
押さえ部は、平面部から径方向外側に延びた部分をクラッチシュー側へと折り曲げることによって形成されてもよい。この場合、平面部の外周縁は、直線状であることが好ましい。
押さえ部は、平面部から径方向内側に延びた部分をクラッチシュー側へと折り曲げることによって形成されてもよい。この場合、平面部の内周縁は、直線状であることが好ましい。
好ましくは、平面部は、各軸部材の間において、クラッチシューから離れる方向に撓む。この構成によれば、平面部がクラッチシュー側に戻ろうとする弾性力によって、押さえ部はクラッチシューを十分に押さえることができる。
押さえ部の先端部は、クラッチシューに当接する湾曲面を有していてもよい。
本発明に係る遠心式クラッチ装置によれば、少ない製造点数でジャダー現象を抑制することができる。
以下、本発明に係る遠心式クラッチ装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は遠心式クラッチの平面図、図2は図1のII−II線断面図である。なお、図1では、クラッチハウジングの記載は省略している。
以下の説明において、回転軸とは、遠心式クラッチ装置100の回転軸Oを意味する。軸方向とは、回転軸Oに沿った方向を意味する。径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向を意味する。径方向外側とは、径方向において回転軸Oから離れる側を意味し、径方向内側とは、径方向において回転軸Oに近付く側を意味する。周方向とは、回転軸Oを中心とした円の周方向を意味する。
図1及び図2に示すように、遠心式クラッチ装置100は、エンジンからの駆動力を駆動輪に伝達したり遮断したりするように構成されている。遠心式クラッチ装置100は、ドライブプレート1、複数の軸部材2、複数のクラッチシュー3、押さえプレート4を備えている。また、遠心式クラッチ装置100は、クラッチハウジング5、ヒステリシス発生機構8なども備えている。
ドライブプレート1は、回転軸Oを中心に回転可能に配置されている。ドライブプレート1は、エンジンからの駆動力を入力する入力軸101に取り付けられている。このため、ドライブプレート1は、入力軸101と一体的に回転する。
詳細には、図2に示すように、ドライブプレート1は、ボス部11とプレート本体部12と、を有している。ボス部11は、筒状であって、内周面にスプライン11aが形成されている。このスプライン11aが、入力軸101の外周に形成されたスプライン101aに係合している。このため、ボス部11は、入力軸101と一体的に回転する。
プレート本体部12は、円板状の部材であって、中央に貫通孔12aを有している。プレート本体部12の内周端部がボス部11の外周端部に固定されている。プレート本体部12は、ボス部11と一体的に回転する。
図1及び図2に示すように、各軸部材2は、ドライブプレート1から軸方向に延びている。すなわち、軸部材2の中心軸は、軸方向と実質的に平行に延びている。各軸部材2は、円柱状である。各軸部材2は、互いに周方向に間隔をあけて配置されている。詳細には、各軸部材2は、互いに周方向に等間隔で配置されている。なお、本実施形態では、3本の軸部材2が互いに等間隔で配置されている。
各クラッチシュー3は、各軸部材2に対して揺動可能に取り付けられている。すなわち、各クラッチシュー3は、各軸部材2を中心に揺動可能である。各クラッチシュー3は、周方向に沿って延びている。各クラッチシュー3は、ドライブプレート1の外周部に沿って配置されている。
各クラッチシュー3は、積層された複数の板状部材によって構成されている。各クラッチシュー3は、鉄製である。各クラッチシュー3の外周面は、摩擦材31によって構成されている。すなわち、各クラッチシュー3は、クラッチシュー本体32と、クラッチシュー本体32の外周面に取り付けられた摩擦材31とを有している。この摩擦材31がクラッチハウジング5の内周面と摩擦係合することによって、エンジンからの駆動力がクラッチハウジング5に伝達される。なお、各クラッチシュー3の外周面とは、径方向の外側を向く面を意味する。
各スプリング6は、隣り合う各クラッチシュー3を連結している。このスプリング6によって、各クラッチシュー3は、径方向の内側に付勢されている。また、各クラッチシュー3は、遠心力によって径方向の外側に移動するように揺動する。
押さえプレート4は、軸方向において各クラッチシュー3と隣り合って配置されている。すなわち、軸方向において、ドライブプレート1、各クラッチシュー3、押さえプレート4の順に配置されている。押さえプレート4は、平面視が略三角形状であって、中央部に開口部40を有している。押さえプレート4は、例えば、バネ鋼、又は工具鋼によって形成される。
押さえプレート4は、各軸部材2に取り付けられている。詳細には、押さえプレート4は、複数の貫通孔43を有している。この各貫通孔43内を各軸部材2が貫通している。これによって、径方向における押さえプレート4の移動が規制される。
軸方向における押さえプレート4の移動は、各止め部材7によって規制される。詳細には、クラッチシュー3から離れる方向への押さえプレート4の移動が、止め部材7によって規制される。例えば、止め部材7として止め輪7を例示することができる。
各止め輪7が各軸部材2に固定されていることによって、押さえプレート4はクラッチシュー3から離れる方向に移動できない。各軸部材2は、外周面に沿って延びる環状溝を有している。各止め輪7は、この各環状溝と係合することによって、各軸部材2に固定されている。なお、押さえプレート4は、軸方向において、各止め輪7と各クラッチシュー3との間に配置されている。
押さえプレート4は、平面部41及び押さえ部42を有している。平面部41は、環状であって、各軸部材2間を延びている。平面部41は、平面によって構成されている。詳細には、平面部41は、複数の取付部41a、複数の連結部41bを有している。
各取付部41aは、各軸部材2に取り付けられる部分である。詳細には、各取付部41aは、上述した貫通孔43を有している。この各貫通孔43内を各軸部材2が貫通している。
各連結部41bは、周方向において隣り合う各取付部41aを連結する部分である。すなわち、各連結部41bは、各取付部41a間を延びている。各連結部41bと各取付部41aとは、1つの部材によって形成されている。各連結部41bの径方向外側の端縁は、直線状である。すなわち、平面部41の外周縁は、直線状に形成されている。
図3は、遠心式クラッチ装置100の斜視図である。なお、図3において、止め輪7は軸部材2から外れた状態である。図1〜図3に示すように、押さえ部42は、平面部41の外周縁に取り付けられている。押さえ部42は、各クラッチシュー3をドライブプレート1側に押さえる。
押さえプレート4が取り付けられた状態において、平面部41は、各軸部材2の間において、クラッチシュー3から離れる方向に撓んでいる。すなわち、各連結部41bの周方向の中央部が、クラッチシュー3から離れる方向に膨らむように、各連結部41bが撓んでいる。
詳細には、軸方向における平面部41とクラッチシュー3との間隔よりも、軸方向における押さえ部42の長さが長い。このため、押さえ部42が平面部41を軸方向に押圧し、平面部41がクラッチシュー3から離れる方向に撓む。この平面部41が元に戻ろうとする弾性力によって、押さえ部42がクラッチシュー3を十分に押さえることができる。
押さえ部42は、平面部41から径方向の外側に延びた部分であり、この部分をクラッチシュー3側へ折り曲げることによって形成されている。すなわち、平面部41と押さえ部42とは、1つの部材によって構成されている。
押さえ部42のクラッチシュー3と接触する部分は、実質的に周方向に延びている。すなわち、押さえ部42のクラッチシュー3と接触する部分は、クラッチシュー3の揺動する方向と実質的に直行する方向に延びている。
図2に示すように、ヒステリシス発生機構8は、クラッチシュー3に摺動抵抗を与えるための機構である。ヒステリシス発生機構8は、複数の突出部81、複数の弾性部材82、及び複数の溝(図示省略)を有する。
各突出部81は、ドライブプレート1から各クラッチシュー3側に突出している。各弾性部材82は、環状であって、各突出部81に装着されている。溝は、クラッチシュー3に形成されている。
溝は、クラッチシュー3のドライブプレート1側の面において、径方向内側に解放するように形成されている。溝は弾性部材82の直径よりも短い幅となっている。この溝内に、弾性部材82は弾性変形した状態で挿入されている。
クラッチハウジング5は、駆動輪側の部材102に固定されている。クラッチハウジング5は、円板部51と、筒状部52とを有している。円板部51の内周端部には部材102が固定されている。
筒状部52は、軸方向において、円板部51の外周端部からドライブプレート1の近傍まで延びて形成されている。この筒状部52の内周側にクラッチシュー3が配置されている。
上述したように構成された遠心式クラッチ装置100は、次のように動作する。
まず、エンジンからの動力によって、入力軸101が回転する。ドライブプレート1は、入力軸101と一体的に回転する。ドライブプレート1の回転に伴い、クラッチシュー3に遠心力が作用し、クラッチシュー3はスプリング6の付勢力に抗して径方向の外側へと移動する。クラッチシュー3とクラッチハウジング5とが摩擦係合し、クラッチハウジング5が回転する。この結果、エンジンからの駆動力が駆動輪へと伝達される。
本実施形態に係る遠心式クラッチ装置100は、押さえプレート4によってクラッチシュー3をドライブプレート1側に押さえているため、ジャダー現象の発生を抑制することができる。また、本実施形態に係る遠心式クラッチ装置100は、ジャダー現象の発生を押さえプレート4のみで抑制しており、従来の遠心式クラッチ装置よりも少ない部品点数でジャダー現象を抑制することができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
上記実施形態に係る押さえプレート4では、押さえ部42は平面部41の外周縁に取り付けられているが、押さえプレート4の構成は特にこれに限定されない。例えば、図4及び図5に示すように、押さえ部42は、平面部41の内周縁に取り付けられていてもよい。この場合、平面部41の内周縁を直線状とすることが好ましい。すなわち、押さえプレート4は、平面視が円形状であって、三角形状の開口部40を中央部に有している。
上記実施形態に係る押さえプレート4では、押さえ部42は平面部41の外周縁に取り付けられているが、押さえプレート4の構成は特にこれに限定されない。例えば、図4及び図5に示すように、押さえ部42は、平面部41の内周縁に取り付けられていてもよい。この場合、平面部41の内周縁を直線状とすることが好ましい。すなわち、押さえプレート4は、平面視が円形状であって、三角形状の開口部40を中央部に有している。
変形例2
上記実施形態では、押さえプレート4の平面部41は、環状の1つの部材によって構成されているが、平面部41の構成は特にこれに限定されない。例えば、複数の部材によって環状の平面部41が形成されていてもよい。
上記実施形態では、押さえプレート4の平面部41は、環状の1つの部材によって構成されているが、平面部41の構成は特にこれに限定されない。例えば、複数の部材によって環状の平面部41が形成されていてもよい。
変形例3
図6に示すように、押さえ部42の先端部は、湾曲面42aを有していてもよい。この湾曲面42aがクラッチシュー3と当接している。
図6に示すように、押さえ部42の先端部は、湾曲面42aを有していてもよい。この湾曲面42aがクラッチシュー3と当接している。
変形例4
上記実施形態では、押さえプレート4は、各軸部材に取り付けられているが、特にこれに限定されない。例えば、押さえプレート4は、各軸部材2とは別にドライブプレート1から延びている軸部材に取り付けられていてもよい。
上記実施形態では、押さえプレート4は、各軸部材に取り付けられているが、特にこれに限定されない。例えば、押さえプレート4は、各軸部材2とは別にドライブプレート1から延びている軸部材に取り付けられていてもよい。
1 ドライブプレート
2 軸部材
3 クラッチシュー
4 押さえプレート
41 平面部
42 押さえ部
2 軸部材
3 クラッチシュー
4 押さえプレート
41 平面部
42 押さえ部
Claims (7)
- 回転軸を中心に回転可能に配置されたドライブプレートと、
前記ドライブプレートから軸方向に延びる複数の軸部材と、
前記各軸部材に対して揺動可能に取り付けられた複数のクラッチシューと、
前記各軸部材間を延びる環状の平面部、及び前記平面部の外周縁又は内周縁に取り付けられ前記クラッチシューを前記ドライブプレート側に押さえる押さえ部、を有する押さえプレートと、
を備え、
前記平面部は、軸方向において、前記クラッチシューと対向しており、
前記押さえ部は、前記平面部の外周縁又は内周縁から前記クラッチシューに向かって延びる、
遠心式クラッチ装置。 - 前記押さえ部は、前記平面部から径方向外側に延びた部分を前記クラッチシュー側へと折り曲げることによって形成される、
請求項1に記載の遠心式クラッチ装置。 - 前記平面部の外周縁は、直線状である、
請求項2に記載の遠心式クラッチ装置。 - 前記押さえ部は、前記平面部から径方向内側に延びた部分を前記クラッチシュー側へと折り曲げることによって形成される、
請求項1に記載の遠心式クラッチ装置。 - 前記平面部の内周縁は、直線状である、
請求項4に記載の遠心式クラッチ装置。 - 前記平面部は、前記各軸部材の間において、前記クラッチシューから離れる方向に撓む、
請求項1から5のいずれかに記載の遠心式クラッチ装置。 - 前記押さえ部の先端部は、前記クラッチシューに当接する湾曲面を有する、
請求項1から6のいずれかに記載の遠心式クラッチ装置。
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Applications Claiming Priority (1)
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JP2014188484A JP5913497B2 (ja) | 2014-09-17 | 2014-09-17 | 遠心式クラッチ装置 |
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