JP4967051B2 - クラッチカバー組立体 - Google Patents
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Description
[全体構成]
図1に本発明の第1実施形態によるクラッチカバー組立体1の正面図を示す。また、図2にクラッチカバー組立体1の一部を省略した外観斜視図を示す。このクラッチカバー組立体1は、クラッチオン(動力伝達)時には、エンジンのフライホイールに対してクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け、またクラッチオフ(動力伝達遮断)時にはその押し付けを解除するための装置である。なお、ここでは、フライホイール及びクラッチディスク組立体は省略している。
クラッチカバー2は、概ね皿形状のプレート部材であり、外周部が例えばボルトによりフライホイールに固定される。クラッチカバー2は、環状のクラッチカバー本体2aと、外周側の円板状部2bと、内周側の平坦部2cと、を有している。円板状部2bは、クラッチカバー本体2aの外周側に形成され、フライホイールの外周部に固定される。平坦部2cは、クラッチカバー本体2aの内周部から半径方向内側へ延びる平坦な部分である。この平坦部2cには、軸方向に貫通する複数の孔2dが形成されている。
プレッシャプレート3は、環状の部材であって、クラッチカバー2のクラッチカバー本体2a内部に配置されている。プレッシャプレート3のフライホイール側(図2において裏側)の面には、クラッチディスク組立体の摩擦部材と摺接する摩擦面(図示しない)が形成されている。また、プレッシャプレート3は、複数のストラッププレート80(図2を参照、図2では1つのみ図示)によって、クラッチカバー2に連結されており、クラッチカバー2に対して、軸方向には移動可能であり、円周方向には相対回転不能である。なお、クラッチ連結状態では、ストラッププレートは軸方向にたわんでおり、このストラッププレートのたわみ(復元力)によって、プレッシャプレート3はフライホイールから離れる側に付勢されている。
複数のファルクラムリング4は、それぞれ円弧状の部材、すなわち、環状の部材を円周方向に分割して形成された部材である。複数のファルクラムリング4は、図3及び図4に示すように、軸方向の第1端側4a(フライホイール側)が、プレッシャプレート3の段差部25の底部25aに配置されている。より具体的には、複数のファルクラムリング4は、プレッシャプレート3の段差部25の壁部25bと、ガイド部26との間において、段差部25の底部25aに配置されている。
ダイヤフラムスプリング5は、図1及び図4に示しすように、プレッシャプレート3とクラッチカバー2との間に配置された円板状部材である。このダイヤフラムスプリング5は、環状弾性部5aと、環状弾性部5aの内周部から径方向内側に延びる複数のレバー部5bとから構成されている。環状弾性部5aの外周端はファルクラムリング4の第2端4bに支持されている。また、ダイヤフラムスプリング5のレバー部5b間には、スリットが形成されており、スリットの外周部には小判状の孔5cが形成されている。
摩耗量検出機構6は、図2、図5−図6、及び図9−図10に示すように、ファルクラムリング4の外周部に配置されている。摩耗量検出機構6は、クラッチディスク組立体を構成する摩擦部材の摩耗量を検出する機構である。摩耗量検知機構6は、ロールピン14と、対向部材16と、くさび部材15と、第1コイルスプリング17と、を有している。
摩耗追従機構7は、摩擦部材の摩耗量、すなわちくさび部材15の移動量に追従させて、ダイヤフラムスプリング5の姿勢を初期の姿勢に保つための機構である。この摩耗追従機構7は、複数のファルクラムリング4に加えて、前述のプレッシャプレート3及びファルクラムリング4のそれぞれに形成された摺動部10,11と、第2コイルスプリング28(図2を参照)と、を有している。
リング移動規制機構9は、プレッシャプレート3から離れる方向へのファルクラムリング4の移動を、規制する機構である。詳細には、リング移動規制機構9は、プレッシャプレート3に対するファルクラムリング4の相対回転を規制することによって、プレッシャプレート3から離れる方向へのファルクラムリング4の移動を規制する。
クラッチオン(連結)状態では、ダイヤフラムスプリング5の押圧荷重は、ファルクラムリング4を介してプレッシャプレート3に作用し、これによりクラッチディスク組立体の摩擦部材はプレッシャプレート3とフライホイールとの間に挟持されている。このとき、図7に示すように、くさび部材15は、プレッシャプレート3と対向部材16との間に嵌め込まれている。
クラッチオフ状態、例えばプレッシャプレート3が回転していない状態では、図7に示すように、係合部材91と規制部材92とは、係合が解除されている。この状態では、係合部材91は、第3コイルスプリング91fによってR1方向に付勢されているので、係合部材91の突出部91dが、くさび部材15の係合部15bに当接している。また、ファルクラムリング4も、第2コイルスプリング28によってR1方向に付勢されているので、ファルクラムリング4における係合凹部4cの壁面(第2円周方向の壁面)が、係合部材91の突出部91dに当接している。
(1)本リング移動規制機構9では、規制部材92が、プレッシャプレート3の回転によって遠心力によって揺動し、係合部材91に係合する。これにより、規制部材92は、係合部材91を介してファルクラムリング4の移動を規制するので、プレッシャプレート3の回転時に振動が発生しても、この振動の影響をファルクラムリング4は受けづらくなる。言い換えると、規制部材92と係合部材91との係合が解除されたときに、摩擦部材の摩耗量に応じたファルクラムリングの移動を、行うことができるので、摩耗補償をより確実に行うことができる。
(2)本リング移動規制機構9では、第3コイルスプリング91fが、係合部材91をファルクラムリング4の回転方向に付勢しているので、規制部材92と係合部材91との係合が解除されたときに、係合部材91を速やかにファルクラムリング4の回転方向に移動させることができる。また、この状態で、摩擦部材の摩耗量に応じて、ファルクラムリング4を、第2コイルスプリング28によって、係合部材91の移動方向に回転させることによって、ファルクラムリング4を、プレッシャプレート3から離れる方向に確実に移動させることができる。
(3)本リング移動規制機構9では、プレッシャプレート3に装着された第4コイルスプリング92eが、規制部材92を係合部材91から離れる方向に付勢しているので、規制部材92と係合部材91との係合を、確実に解除することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態によるクラッチカバー組立体1の基本構成は、第1実施形態と同様であり、主に、リング移動規制機構109の構成が、第1実施形態とは異なる。このため、ここでは、第1実施形態と同じ構成については、詳細な説明を省略している。図11及び図12は、第2実施形態によるリング移動規制機構109の構成及び動作を説明するための図である。図11は、リング移動規制機構109が機能していない場合の例であり、図12は、リング移動規制機構109が機能した場合の例である。また、図11及び図12では、第1実施形態と同じ部材については、同じ符号を付している。なお、第1実施形態と同じ構成及び動作の説明では、第1実施形態の図面を用いて説明する場合がある。
プレッシャプレート3のトランスミッション側(図2において表側)の面には、図3に示すように、外周側において、円周方向の複数の箇所に、摺動部10が形成されている。詳細には、各摺動部10は、段差部25の底部25aから軸方向外方に突出して形成されている。各摺動部10は、第1円周方向(図3のR1方向)に向かってその高さがより高くなるように傾斜する傾斜面10aを有している。また、プレッシャプレート3には、図11及び図12に示すように、第1段差部31(段差部)と、第1段差部31より段差の大きい第2段差部32と、凹部33とが、形成されている。第1段差部31の壁面と、第2段差部32の壁面とは、ファルクラムリングの内周面に対向するように、プレッシャプレート3に形成されている。また、第1段差部31の上面は、内周側から外周側に向けてその高さがより高くなるように傾斜して形成されている。凹部33には、後述する解除部材用の調整部材93c(図12を参照)が、配置される。
リング移動規制機構109は、プレッシャプレート3から離れる方向へのファルクラムリング4の移動を、規制する機構である。詳細には、リング移動規制機構109は、プレッシャプレート3に対するファルクラムリング4の相対回転を規制することによって、プレッシャプレート3から離れる方向へのファルクラムリング4の移動を規制する。
クラッチオフ状態、例えばプレッシャプレート3が回転していない状態では、図11に示すように、係合部材91と規制部材92とは、係合が解除されている。この状態では、係合部材91は、第3コイルスプリング91fによってR1方向に付勢されているので、係合部材91の突出部91dは、くさび部材15の係合部15bに当接している。また、ファルクラムリング4も、図2に示す第2コイルスプリング28によってR1方向に付勢されているので、ファルクラムリング4における係合凹部4cの壁面(R2方向の壁面)が、係合部材91の突出部91dに当接している。
(1)本リング移動規制機構109では、規制部材92の姿勢保持部92gがプレッシャプレート3の第1段差部31に係合している時には、規制部材92が係合部材91に係合した姿勢が保持される。また、解除部材93が、第5コイルスプリング93dによって係合部材91から離れる方向に揺動した時には、規制部材92と係合部材91との係合が解除される。これにより、振動の影響が大きい時には、規制部材92が係合部材91に係合した姿勢が保持されるので、ファルクラムリング4の移動を規制することができる。また、振動の影響が小さい時には、規制部材92と係合部材91との係合を解除することができ、摩耗追従機構7を動作させることができる。このようにして、摩耗補償をより安全且つ正確に行うことができる。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)摩耗追従機構の構成は、ダイヤフラムスプリングの初期姿勢を維持するように作用する構成であればどのような構成でもよく、前記実施形態に限定されない。
2 クラッチカバー
3 プレッシャプレート
4 ファルクラムリング
5 ダイヤフラムスプリング(押圧部材)
6 摩耗量検出機構
7 摩耗追従機構
9,109 リング移動規制機構
14 ロールピン(当接部材)
15 くさび部材
16 対向部材
17 第1コイルスプリング
28 第2コイルスプリング(第4付勢部材)
31 第1段差部
32 第2段差部
91 係合部材
91f 第3コイルスプリング(第2付勢部材)
92 規制部材
92e 第4コイルスプリング(第1付勢部材)
93 解除部材
93d 第5コイルスプリング(第3付勢部材)
Claims (9)
- エンジンのフライホイールにクラッチディスク組立体の摩擦部材を押し付け及び押し付け解除するためのクラッチカバー組立体であって、
前記フライホイールに固定されるクラッチカバーと、
前記クラッチカバーに相対回転不能に連結され、前記フライホイールに前記摩擦部材を押圧するためのプレッシャプレートと、
前記プレッシャプレートに配置され、前記摩擦部材の摩耗量に応じて、前記プレッシャプレートから離れる方向へ移動するファルクラムリングと、
前記プレッシャプレートの回転数が所定の回転数を越えた状態において、前記プレッシャプレートから離れる方向への前記ファルクラムリングの移動を、規制するリング移動規制機構と、
を備え、
前記リング移動規制機構は、前記ファルクラムリングに係合する係合部材と、前記プレッシャプレートの回転数が所定の回転数を越えた状態において、前記係合部材に係合し、前記係合部材を介して前記ファルクラムリングの移動を規制する規制部材とを、有している、
クラッチカバー組立体。 - 前記ファルクラムリングは、前記摩擦部材の摩耗量に応じて、前記プレッシャプレートに対して相対回転させられることによって、前記プレッシャプレートから離れる方向に移動し、
前記係合部材は、前記ファルクラムリングの回転方向に移動可能に前記プレッシャプレートに装着され、
前記規制部材は、前記プレッシャプレートに揺動自在に装着され、前記プレッシャプレートの回転数が所定の回転数を越えた状態において揺動し前記係合部材に係合することによって、前記係合部材の移動を規制する、
請求項1に記載のクラッチカバー組立体。 - 前記規制部材は、前記プレッシャプレートの回転数が所定の回転数を越えたときに、前記規制部材が遠心力によって揺動するように重さが調整された調整部材を、有している、
請求項2に記載のクラッチカバー組立体。 - 前記リング移動規制機構は、前記プレッシャプレートに装着され、前記規制部材を前記係合部材から離れる方向に付勢する第1付勢部材を、さらに有している、
請求項2又は3に記載のクラッチカバー組立体。 - 前記リング移動規制機構は、前記係合部材を前記ファルクラムリングの回転方向に付勢する第2付勢部材を、さらに有している、
請求項2から4のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。 - 前記リング移動規制機構は、前記係合部材に対する前記規制部材の係合を解除する解除部材と、前記解除部材を前記係合部材から離れる方向に付勢する第3付勢部材とを、さらに有しており、
前記解除部材は、前記規制部材に当接し、前記第3付勢部材によって前記係合部材から離れる方向に付勢され、前記係合部材に対する前記規制部材の係合を解除する、
請求項1から5のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。 - 前記プレッシャプレートには、段差部が形成されており、
前記規制部材には、前記段差部に係合して前記規制部材が前記係合部材に係合した姿勢を保持する姿勢保持部が、形成されており、
前記解除部材は、前記規制部材と前記プレッシャプレートとの間において、前記プレッシャプレートに揺動自在に装着され、
前記解除部材は、前記第3付勢部材によって前記係合部材から離れる方向に揺動させられ、前記プレッシャプレートの段差部と前記規制部材の姿勢保持部との係合を解除する、
請求項6に記載のクラッチカバー組立体。 - 前記クラッチカバーに支持されるとともに、前記プレッシャプレートを前記フライホイール側に押圧するための押圧部材と、
前記フライホイールに前記摩擦部材が押し付けられた状態において、前記摩擦部材の摩耗量を検出する摩耗量検出機構と、
前記ファルクラムリングを有し、前記フライホイールと前記摩擦部材との押し付けが解除された状態において、前記摩擦部材の摩耗量に応じて前記ファルクラムリングを前記プレッシャプレートから離れる方向へ移動させることによって、前記押圧部材を初期姿勢側に移動する摩耗追従機構と、
をさらに備える請求項1から7のいずれかに記載のクラッチカバー組立体。 - 前記摩耗追従機構は、
前記プレッシャプレートおよび前記ファルクラムリングに形成され、互いに当接して摺動する摺動部と、
前記ファルクラムリングを円周方向に付勢して前記ファルクラムリングを前記プレッシャプレートに対して相対回転させる第4付勢部材と、
をさらに有し、
前記摺動部は円周方向に沿って傾斜する傾斜面からなり、
前記第4付勢部材が、前記ファルクラムリングを、前記摩擦部材の摩耗量に応じて回転させることによって、前記ファルクラムリングを、前記プレッシャプレートから離れる方向に移動させる、
請求項8に記載のクラッチカバー組立体。
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