JP2018529627A - 植物抽出物組成物およびその調製方法 - Google Patents

植物抽出物組成物およびその調製方法 Download PDF

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Abstract

本明細書に記載する実施形態は、概して、植物抽出物組成物と、農業用コーティング配合物に適用するためのクチン由来単量体、低重合体およびこれらの混合物を単離するための方法とに関し、特に、官能基化および非官能基化脂肪酸および脂肪酸エステル(ならびにその低重合体およびこれらの混合物)を含む植物抽出物組成物であって、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まず、かつ農業用コーティング配合物に使用することができる植物抽出物組成物を調製する方法に関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年5月20日に出願された「Plant Extract Composition and Methods of Preparation Thereof」という名称の米国仮出願第62/164,312号の優先権および利益を主張するものであり、この出願の全開示内容が参照により本明細書に援用される。
背景
本開示は、植物抽出物組成物およびそれを形成する方法に関する。一般的な農産物は、自然環境に曝露されると劣化および腐敗(すなわち、品質の低下)が起こりやすくなる。この種の農産物としては、例えば、卵、果物、野菜、農作物、種子、木の実、花および/または植物全体(これらの加工形態および半加工形態を含む)を挙げることができる。非農産物(例えば、ビタミン類、キャンディ等)も周囲環境に曝露されると劣化しやすくなる。農産物の劣化は、非生物的媒体を介して水分が農産物外面から大気中に蒸発することによる水分喪失、および/または環境中の酸素が農産物内部に拡散することによる酸化、および/または表面の機械的損傷、および/または光に誘起される分解(すなわち、光分解)の結果として起こる。さらに、生物的ストレス要因、例えば、細菌、真菌、ウイルスおよび/または有害生物等も農産物に蔓延して農産物を腐敗させる可能性がある。
農産物の劣化を防ぎ、品質を維持し、寿命を延ばすための従来の手法には、冷蔵および/または特殊包装が含まれる。冷蔵を行うには大きい資本を要する設備が必要であり、エネルギー経費が継続的に必要となり、慎重に制御を行わなければ農産物の損傷または品質低下を招く可能性があり、能動的な管理が必要であり、温度制御下でのサプライチェーンが妨げられるとその利益は失われる。特殊包装も高価な設備を必要とし、包装材を消費し、輸送費を増大させ、能動的な管理が必要となる可能性がある。冷蔵および特殊包装によってもたらされる利益はあるが、農産物の取扱いおよび輸送によって表面に擦傷またはへこみが生じる可能性があり、これは、美観上、消費者に望まれない上に、細菌および真菌の侵入口となる。さらに、この種の手法に伴う費用が農産物の経費に加算される。
ほとんどの植物(高等植物等)の地上部表面を形成する細胞は、外皮、すなわちクチクラを含み、これは、植物種および植物器官(例えば、果実、種子、樹皮、花、葉、茎等)によって異なる様々な度合いで、水分損失、酸化、機械的損傷、光分解および/または生物的ストレス要因に対する保護を提供する。細胞内脂質から誘導されたバイオポリエステルであるクチンは、クチクラの構造を構成する主要な成分であり、植物を環境ストレス要因(非生物的および生物的ストレス要因の両方)から保護する役割を果たす。クチンの厚み、密度に加えて組成(すなわち、クチンを形成する異なる種類の単量体およびその相対比率)は、植物種によっても、同一植物種または異なる植物種内の植物器官によっても、植物の生育段階によっても異なる可能性がある。植物のクチン含有部分は、他の化合物(例えば、クチクラ外ワックス、フェノール類、抗酸化物質、有色化合物、タンパク質、多糖類等)も含有している可能性がある。このように、植物種および/または植物器官および/または所与の植物の異なる生育段階ごとに、クチンの組成のみならずクチン層の厚みおよび密度が変動することに起因して、環境ストレス(すなわち、水分損失、酸化、機械的損傷および光)および/または生物的ストレス要因(例えば、真菌、細菌、ウイルス、昆虫等)からの攻撃に対する耐性の度合いは、植物種ごとまたは植物器官ごとに異なる可能性がある。
概要
本明細書に記載する実施形態は、概して、植物抽出物組成物と、農業用コーティング配合物に適用するためのクチン由来単量体、低重合体およびこれらの混合物を単離するための方法とに関し、特に、官能基化および非官能基化脂肪酸および脂肪酸エステル(ならびにその低重合体およびこれらの混合物)を含む植物抽出物組成物であって、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まず、かつ農業用コーティング配合物に使用することができる植物抽出物組成物を調製する方法に関する。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質(plant matter)に熱的および/または機械的および/または酵素的および/または化学的処理を施すことにより、植物質からクチン含有部分を少なくとも部分的に分離することを含む。幾つかの実施形態では、植物質を水性媒体中で高温および/または高圧に(例えば、圧力鍋調理のように)曝露することにより、植物質からクチン含有部分が部分的に分離される。別法として、植物質をより低い温度に(例えば、冷凍するように)曝露することにより、クチン含有部分を植物質から部分的に分離することができる。幾つかの実施形態では、植物質を水性媒体中で音波処理することにより、植物質からクチン含有部分が部分的に分離される。任意選択的に、クチン含有部分をシュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の混合物中で加熱することにより、クチン非含有部分(すなわち、クチクラの残りおよび不要な植物質)からのクチンの分離が促進される。任意選択的に、この分離は、エステル結合を加水分解することができる酵素を使用して、および/または別法として、植物のクチン非含有部分を構成する多糖類を分解することができる酵素を使用して、酵素的に達成(または補助)することができる。任意選択的に、クチン含有部分を少なくとも1種の有機溶媒(クロロホルムおよび/またはメタノール等)中で還流することにより、クチンから残存しているワックスおよび/または残留している可溶性極性成分を除去する。別法として、残存ワックスおよび残留可溶性成分の除去は、超臨界COまたは超臨界HOを用いて達成することができる。次いで、クチンを、高いpH(例えば、約10〜14の範囲、通常、12〜14の範囲)を有する溶媒、例えば、金属アルコキシドまたは金属水酸化物(またはアルコキシドもしくは水酸化物の代替的な供給源)を溶解した溶媒中で還流することにより、クチンを少なくとも部分的に解重合し、複数種のエステル化された脂肪酸または脂肪酸であるクチン単量体、これらの低重合体またはこれらの混合物を含む中間抽出物を取得する。中間抽出物が(金属)アルコキシドを介する解重合によって取得される場合、次いで中間抽出物のpHを約6.5〜9.0の範囲になるように調整する。中間抽出物が(金属)水酸化物を介する解重合によって取得される場合、次いで中間抽出物のpHを約1.0〜6.0の範囲に調整する。別法として、クチンを酸性条件下で少なくとも部分的に解重合して、複数種の脂肪酸であるクチン単量体、低重合体またはこれらの混合物を含む中間抽出物を取得することができる。次いで、中間抽出物は、析出および/または抽出ならびに精製(1種以上の選択溶媒による洗浄等)を行うことにより、植物抽出物が随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まないように、植物抽出物を取得する。最終抽出物を取得するために、洗浄後、クロマトグラフィーまたは選択溶媒中での再結晶によるさらなる精製を行うこともできる。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離される、取得することと;第1溶媒中でクチンを少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することとを含む。この方法は、第1溶媒の少なくとも一部を蒸発させ、第1中間抽出物を固化させることと;固化された第1中間抽出物を極性溶媒に溶解して第2溶液を取得することと;第2溶液を酸性化し、第1中間抽出物を再び固化させることとをさらに含む。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離される、取得することと;クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することとを含む。この方法は、第1中間抽出物を酸性化することと;第1中間抽出物を選択的に濾過して、第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物を取得することと;第2中間抽出物を第2溶媒に溶解して植物抽出物組成物を取得することとをさらに含む。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離される、取得することと;クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することとを含む。この方法は、溶液から第1溶媒の体積の少なくとも25%を蒸発させることと;第1溶液に極性溶媒を添加し、それによって第2溶液を取得することと;第2溶液を酸性化し、それによって第1中間抽出物を析出させることとをさらに含む。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離される、取得することと;この化合物を超臨界二酸化炭素に曝露して、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、アルデヒドおよびワックスの少なくとも1種の濃度を選択的に低下させることとを含む。この方法は、クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒中に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することを含む。この方法はまた、第1中間抽出物を酸性化することと;植物抽出物組成物を取得することであって、植物抽出物組成物は、第2溶媒中に溶解された単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む第2溶液を含む、取得することとを含む。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製するための方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離される、取得することと;10〜14の範囲のpHを有する第1溶媒中でクチンを少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒中に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することとを含む。この方法は、第1溶液を酸性化することと;第1溶液を選択的に濾過して不純物成分を除去することと;第1溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて第1中間抽出物を固化させることと;第1中間抽出物を第2溶媒に溶解することとをさらに含む。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を調製する方法は、植物質のクチン含有部分からクチンを取得することであって、クチン含有部分は、植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離されている、取得することと;クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、第1溶媒中に第1中間抽出物を含む第1溶液を取得することであって、第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む、取得することとを含む。この方法は、第1中間抽出物を選択的に濾過して、第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物を取得することであって、第2中間抽出物は、クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの少なくとも1種を含む、取得することと;第2中間抽出物のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化して植物抽出物組成物を形成することとをさらに含む。
幾つかの実施形態において、農産物を生物的ストレスから保護する方法は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む植物抽出物組成物を取得することと;クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセロール分子でエステル化することにより、このクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化することと;農産物を、この官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングされるようにすることとを含む。
幾つかの実施形態では、農産物の寿命を延長する方法であって、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む植物抽出物を取得することと;クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセロール分子でエステル化することにより、クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化することと;農産物を、この官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングされるようにすることとを含む方法が提供される。
一実施形態による植物抽出物組成物を調製するための例示的な方法の概略フロー図を示す。 本明細書に記載した化合物から形成したコーティングを有するかまたは有しないレモンの高解像度微速度写真を示す。 本明細書に記載した化合物でコーティングされたレモンまたはコーティングされていないレモンの経時的な断面積変化の規格化したグラフである。 本明細書に記載した化合物から形成したコーティングを有するイチゴまたは有しないイチゴの両方の高解像度微速度写真を示す。 本明細書に記載した化合物から形成されたコーティングを有するかまたは有しないブルーベリーの経時的な質量損失率変化を示すグラフである。 本明細書に記載した化合物から形成したコーティングを有するかまたは有しないブルーベリーの高解像度微速度写真を示す。 本明細書に記載した抽出物組成物の純度データのグラフを示す。 本明細書に記載した抽出物組成物の元素分析を示す。 コーティングを有しないキーライムの高解像度写真を示す。 第1抽出物の化合物のコーティングを有するキーライムの高解像度微速度写真を示す。 第2抽出物の化合物のコーティングを有するキーライムの高解像度微速度写真を示す。
詳細な説明
バイオポリエステルであるクチンは、ほとんどの陸上植物の地上部表面を構成するクチクラの主要な構成成分であり、植物に非生物的および生物的ストレス要因の両方に対する保護バリアを付与する重要な役割を果たす。クチンの厚み、密度に加えて組成(すなわち、クチンを形成する異なる種類の単量体およびその相対的な比率)は、植物種、同一または異なる植物種の植物器官、および植物の生育段階に応じて異なる可能性がある。こうした違いにより、クチン層が環境および/または生物的ストレス要因に対して植物または植物器官を保護する量、度合いまたは特性(および柔軟性の度合い)が定まる可能性がある。クチンは1価および/または多価ヒドロキシ脂肪酸の重合体およびその中に埋め込まれているクチクラワックスの混合物から形成されている。ヒドロキシ脂肪酸の中でも、多価ヒドロキシ脂肪酸(例えば、ジヒドロキシ脂肪酸またはトリヒドロキシ脂肪酸)は、エステル化されると、1価ヒドロキシ脂肪酸と比較して架橋密度が高く透過性が低い緊密に結合した網目を形成することができ、それによって環境ストレス要因に対するより高い保護を提供することができる。
本明細書に記載する実施形態は、概して、植物抽出物組成物に関し、特に、ヒドロキシ脂肪酸およびヒドロキシ脂肪酸エステル(ならびにその低重合体およびこれらの混合物)を含む植物抽出物組成物であって、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まず、かつ農業用コーティング配合物に使用することができる植物抽出物組成物を調製する方法に関する。具体的には、植物質から形成される本明細書に記載する植物抽出物組成物を、農産物上に保護コーティングを形成するために、または農産物の外面に既に存在するコーティング(天然または堆積させたコーティングのいずれであっても)を強化もしくは改質するために、他の植物または農産物に適用することができる。適用されたコーティングは、例えば、細菌、真菌、ウイルスおよび/または有害生物等の生物的ストレス要因から農産物を保護する役割を果たすことができる。加えて(または代わりに)、適用されたコーティングは、冷蔵を行うことなく農作物の保存期間を延長し、および/または農作物の成熟速度を調節する役割を果たすことができる。
幾つかの実施形態において、後段で農業用コーティングを形成するために植物質由来の植物抽出物組成物を適用するにあたり、上述の1つ以上の利点を達成するために、植物抽出物組成物を高度に精製することにより、例えば、植物抽出物組成物がコーティングの構造単位を形成する単量体単位および/または低重合体単位を含むと同時に、他の随伴する植物由来化合物(タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、アルデヒド等)を実質的に含まないようにすることが必要となる場合がある。特に、農業用コーティング用途に使用される植物抽出物は、通常、他の用途(例えば、植物質の特性評価)に用いるために抽出したものよりも実質的に高い純度を有することが必要である。幾つかの場合、所要の純度に到達させるために複数の工程を追加することが必要であるが、これは他の用途には有利でないかまたは望ましくない可能性もある。
本明細書に記載する植物抽出物組成物は、多くの方法で誘導または取得することができる。例えば、幾つかの実施形態において、本組成物は、クチンを解重合(または少なくとも部分的に解重合)して複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを取得し、任意選択的にこのクチン由来単量体または低重合体を官能基化(例えば、修飾)することなどにより、植物質のクチン含有部分から直接誘導される。別法として、他の実施形態において、植物抽出物組成物は、パーム油を分解し、次いで任意選択的に、パーム油の分解により取得された単量体または低重合体を官能基化(例えば、修飾)することにより取得される。さらなる他の実施形態において、植物抽出物組成物は、例えば、市販の供給源から単量体、低重合体またはこれらの組合せ(上述の方法の1種または他の方法により誘導または形成されたもの)を購入することにより取得される。
上に述べたように、本組成物は、市販の供給源から誘導または取得することができる。例えば、組成物は、市販の脂肪酸(例えば、パルミチン酸または10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸)を官能基化することにより製造することができる。このように取得された脂肪酸は、農産物のコーティングとしての特性を改善するために官能基化することができる。例えば、幾つかの実施形態では、脂肪酸(例えば、市販の脂肪酸または植物クチンから抽出された脂肪酸)をエステル化する。エステル化は、遊離カルボン酸と適切なアルコールとの反応を介して直接完結させることができる。別法として、エステル化は、脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸メチル)と適切なアルコールとのエステル交換により完結させることができる。
幾つかの実施形態では、本開示のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せ(例えば、脂肪酸組成物)を官能基化して、対応するグリセロールエステル(例えば、1−グリセロールエステルまたは2−グリセロールエステル)とする。すなわち、本開示の脂肪酸(例えば、パルミチン酸)をグリセロールまたはその誘導体を用いてエステル化して、グリセロールの脂肪酸エステル(例えば、パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イルまたはパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピル)とすることができる。
本開示において説明したように、官能基化された脂肪酸(例えば、脂肪酸グリセロールエステル)は、農作物の表面に適用した場合に農作物の保存を促進する有利な特性を示すことができる(例えば、農作物の保存期間を延長することができる)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載する組成物に含まれる実質的に全ての脂肪酸がグリセロール分子でエステル化される。例えば、市販品から誘導された脂肪酸のみならず、植物組成物から抽出された脂肪酸もグリセロールエステルとして官能基化することができる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する植物抽出物組成物の単量体単位および/または低重合体単位は、この単量体単位および/または低重合体単位を自然に産生しない農産物の表面に適用することができる。例えば、この単量体単位および/または低重合体単位は、市販品であっても植物質から抽出したものであってもよい複数種の脂肪酸を含むことができる。これらの組成物は、例えば、同種の脂肪酸を自然に産生することができない農産物に適用することができる。一例において、パルミチン酸から誘導された単量体および/または低重合体の組成物を、パルミチン酸を自然に産生しない農産物に適用することができる。
さらに、幾つかの実施形態では、本明細書に記載する組成物の単量体単位および/または低重合体単位を官能基化し、この種の官能基化が自然に行われない農産物に適用することができる。例えば、グリセロールで自然に官能基化された脂肪酸を産生しない農産物の表面に、脂肪酸のグリセロールエステル(例えば、パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イルまたはパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピルまたはこれらの組合せ)を適用することができる。
幾つかの実施形態では、自然発生しない(例えば、官能基化された)植物抽出物の単量体単位および/または低重合体単位(例えば、脂肪酸)を添加することにより、コーティングを形成するために農産物に適用した場合に有利な特性を示すことができる。例えば、このコーティングは、農作物からの水分損失を低減し、および/または農作物表面における微生物の増殖を低減することができる。
幾つかの実施形態において、本開示の植物抽出物組成物の単量体単位および/または低重合体単位は、植物質中に見られるクチンから取得される(例えば、他の用途に用いられた植物の廃棄物等の植物質から抽出される)。植物抽出物の単量体単位および/または低重合体単位の抽出は、市販の供給源から脂肪酸を購入する代わりに、または市販の供給源からの脂肪酸を補うために行うことができる。通常、植物質は、クチンを含有し、および/または高濃度のクチンを含有する何らかの部分(例えば、果皮、葉、新芽等)のみならず、クチンを含有しないかまたは低濃度のクチンを含有する他の部分(例えば、果肉、種子等)も含む。クチン含有部分は、単量体単位および/または低重合体単位から形成することができるが、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、アルデヒド等の他の構成成分も含み得る。クチン非含有部分は、通常、単量体単位および/または低重合体単位を含まないか、または他にクチン含有部分と比較して、含有される他の構成成分に対する単量体単位および/または低重合体単位の比率がはるかに低い。
クチンから植物抽出物組成物を形成するための本明細書に記載する方法は、一般に、最初に植物質のクチン含有部分をクチン非含有部分から分離(または少なくとも部分的に分離)することと;クチン含有部分からクチンを取得することとを含むことができる(例えば、クチン含有部分が果皮であり、クチンがこの皮から分離される場合)。次いで、クチンを第1溶媒中で解重合(または少なくとも部分的に解重合)して、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得する。第1中間抽出物は、複数種の脂肪酸またはエステル化されたクチン単量体、低重合体もしくはこれらの組合せを含む。第1溶媒(したがって、結果として得られる第1溶液も)のpHは、通常、解重合プロセスが可能になるように10〜14の範囲にある。pHが高い場合、これは抽出物が実質的に脱プロトン化されていることを示唆する。幾つかの実施形態において、第1溶媒および/または第1溶液のpHは12〜14の範囲にある。解重合に続いて、単量体単位および/または低重合体単位を含む抽出物は、単量体単位および/または低重合体単位をプロトン化または中性化するために(すなわち、対応する遊離脂肪酸および/または脂肪酸エステルを形成し、後段で農業用コーティングを形成することができる状態にするために)酸性化される。最後に、遊離脂肪酸および/または遊離脂肪酸エステルの単量体単位および/または低重合体単位を含む抽出物を他の溶媒に溶解し、それによって農業用コーティング用途に適した植物抽出物組成物を取得する。
通常、クチン含有部分から取得されるクチンには、上に述べた他の構成成分の多くが混ざり込んでいるため、解重合プロセスにより取得される抽出物は、農業用コーティング用途に許容されるよりも高濃度の不純物成分を含む可能性がある。その場合、クチンおよび/または抽出物組成物および/または抽出物組成物を含む溶液を、不純物成分を選択的に除去するかまたは濾去することにより精製することができる。選択的濾過は、解重合プロセスの前もしくは後のいずれかで行うことも、または解重合の前および後の両方に行うこともできる。選択的濾過は次に示すプロセスの1つ以上を含むことができる:
(a)クチンの解重合または部分的解重合を行う前に、クチンを、不純物成分の溶解性がクチンの溶解性よりも高い選択溶媒中で洗浄および/または加熱する。この場合、不純物を選択溶媒中に溶解することによって第1中間抽出物中の不純物が減る。幾つかの実施形態では、不純物は解重合直後に選択溶媒中に溶解させる。この種の溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン、石油エーテル、酢酸エチル、アセトン、イソプロパノール、エタノール、メタノール、超臨界二酸化炭素、超臨界水、水およびこれらの混合物を挙げることができる。
(b)クチンを解重合または部分的に解重合し、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得した後、第1中間抽出物を酸性化する前に、第1中間抽出物を、不純物成分の溶解性が単量体および/または低重合体の溶解性よりも低い選択溶媒(例えば、アセトニトリル)中で洗浄および/または加熱する。この場合、単量体および/または低重合体が選択溶媒に溶解する一方、不純物は溶解しない。次いで、不純物を濾去することができ、その結果として、選択溶媒に溶解された第2中間抽出物が取得され、それにより、第2中間抽出物の純度は第1中間抽出物よりも高くなる。次いで、第2中間抽出物を、例えば、選択溶媒を蒸発させることにより固化させることができる。
(c)クチンを解重合または部分的に解重合し、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得した後、第1中間抽出物を酸性化する前に、第1中間抽出物を、不純物成分の溶解性が単量体および/または低重合体の溶解性よりも高い選択溶媒(例えば、クロロホルムまたはヘキサン)中で洗浄および/または加熱する。この場合、不純物は選択溶媒に溶解し、それによって不純物が抽出物から除去され、第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物が取得される。
(d)クチンを解重合または部分的に解重合し、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得した後、続いて第1中間抽出物を酸性化した後、第1中間抽出物を、不純物成分の溶解性が単量体および/または低重合体の溶解性よりも低い選択溶媒(例えば、アセトニトリル)中で洗浄および/または加熱する。この場合、単量体および/または低重合体は選択溶媒に溶解する一方、不純物は溶解しない。次いで、不純物を濾去することができ、その結果として、選択溶媒に溶解された第2中間抽出物が取得され、それにより、第2中間抽出物の純度は第1中間抽出物よりも高くなる。次いで、第2中間抽出物を、例えば、選択溶媒を蒸発させることにより固化させることができる。
(e)クチンを解重合または部分的に解重合し、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得した後、続いて第1中間抽出物を酸性化した後、第1中間抽出物を、不純物成分の溶解性が単量体および/または低重合体の溶解性よりも高い選択溶媒(例えば、クロロホルムまたはヘキサン)中で洗浄および/または加熱する。この場合、不純物は選択溶媒に溶解し、それによって不純物が抽出物から除去され、第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物が取得される。
(f)植物質のクチン含有部分からクチンを含む化合物を取得した後、クチンを解重合または部分的に解重合する前に、この化合物を超臨界二酸化炭素に曝露することにより、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、アルデヒドおよびワックスの少なくとも1種の濃度を選択的に低下させる。
(g)クチンを解重合または部分的に解重合し、第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得した後、第1中間抽出物を酸性化する前または後のいずれかに、溶液を例えばフィルタを通過させることにより濾過して、不溶な不純物成分を除去する。
幾つかの実施形態において、植物抽出物の少なくとも一部は、複数の官能基(例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、エポキシ、オレフィン等の少なくとも1種)を含む単量体を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、単量体は複数個の同種の官能基を含むことができる(例えば、ジヒドロキシ置換およびトリヒドロキシ置換)。幾つかの実施形態において、単量体は複数個の官能基を含むことができ、その少なくとも1種は残りの官能基と異なる(すなわち、1種を超える官能基を含む)。これらの官能基は化学反応性を有していてもよく、それにより、その単官能性類縁体(二量体を形成する)または二官能性類縁体(重合して線状になることができる)と異なり、高度に架橋した網目を形成することができる。バリア性(すなわち、この種の抽出物が生物的または非生物的ストレス要因に対して効果的な農業用コーティング/バリアを形成する能力)は、一般に、化学組成および架橋度に支配される。多価ヒドロキシ脂肪酸(ならびにその単量体のエステルおよび低重合体)は多官能性であり、したがって、高度に架橋した重合体を形成することができる。しかしながら、この種の多価ヒドロキシ脂肪酸は現在市販されていない。したがって、この種のヒドロキシ脂肪酸は合成することができるか、または好適な生物学的供給源から取得することができるかのいずれかである。多くの植物および/または植物器官(例えば、果皮、砂じょう、葉、新芽等)のクチンは、1価および多価ヒドロキシ脂肪酸から構成される(または1価もしくは多価ヒドロキシ脂肪酸に分解することができる)ため、この種の植物および/または植物器官に由来する抽出物組成物は、1価および/または多価ヒドロキシ脂肪酸の好適な生物学的供給源となり得る。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する植物抽出物組成物に含まれるクチン単量体は、例えば、植物種を環境ストレス要因および/または生物的ストレス要因から保護するためのコーティング配合物に使用するのに好適である、1価および/または多価ヒドロキシ脂肪酸および/またはこれらのエステルの組合せとすることができる。細菌、真菌および有害生物はいずれも、農産物表面の特定の分子を認識することによって食物源を識別するため、農産物を本明細書に記載する植物抽出物組成物の実施形態を含む配合物でコーティングすることにより、農産物が上記細菌、真菌および有害生物を誘引しないかまたは認識できないようになる。この種の配合物はまた、例えば、農産物表面の化学的環境を変化させることができ、それによって表面が細菌、真菌または有害生物の増殖に不利になる。さらに、この種の配合物はまた、農産物からの水分喪失および/もしくは農産物の周囲環境の空気による酸化の防止、ならびに/または機械的損傷および/もしくは光分解に対する耐性の付与、ならびに/または成熟の遅延を同時に行うことができるように構成されており、それによって非生物的ストレス要因に対する耐性が強化され、農産物の腐敗が最小限に抑えられると共に寿命が延長される。
本明細書に記載する植物抽出物組成物の実施形態は、農業廃棄物等の植物質から合成または抽出することができ、農産物を環境ストレス要因および生物的ストレス要因から保護するためのコーティング配合物に含有させることができる。本明細書に記載する植物抽出物組成物の実施形態によって幾つかの利点が提供される。例えば、(1)生物的ストレス要因(すなわち、細菌、ウイルス、真菌または有害生物)から農産物を保護することができる農業用コーティング配合物を形成し;(2)水の蒸発ならびに/または酸素および/もしくは他の気体種(例えば、二酸化炭素およびエチレン)の拡散を防止する農業用コーティング配合物を形成し;(3)冷蔵を行うことなく、農産物、例えば収穫後の農作物の保存期間を延長し;(4)農産物表面に機械的安定性を付与することにより、品質低下を加速させるへこみおよび表面裂傷に類する傷の防止を促進し;(5)農産物の光分解を低減し;(6)植物抽出物組成物を取得するために農業廃棄物が使用され、それによって今度は、細菌、真菌および有害生物の繁殖環境の排除が促進されると共に、埋め立て地に持ち込まれる廃棄物の転用になり;(7)植物を保護するための農薬の代わりに使用することにより、農薬が人間の健康および環境に与える有害な影響が最小限に抑えられ;かつ(8)植物抽出物組成物を天然物質および/または食用物質の廃棄物から抽出することにより、人間が安全に消費できる。
植物抽出組成物を調製するための方法は、植物質に熱的および/または機械的および/または酵素的および/または化学的処理を施すことにより、植物質のクチン非含有部分からクチン含有部分を少なくとも部分的に分離することを含むことができる。幾つかの実施形態では、植物質を水性媒体中で高温および/または高圧に曝露する(例えば、圧力鍋調理のように)ことにより、植物質のクチン非含有部分からクチン含有部分を部分的に分離する。別法として、植物質をより低い温度に曝露する(例えば、凍結のように)ことにより、植物質のクチン非含有部分からクチン含有部分を部分的に分離する。幾つかの実施形態では、植物質を水性媒体中で音波処理に付すことによって植物質のクチン非含有部分からクチン含有部分を部分的に分離する。任意選択的に、クチン含有部分をシュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の混合物中で加熱することによってクチン非含有部分(すなわち、クチクラの残部および不要な植物質)からのクチンの分離を促進する。任意選択的に、この分離は、エステル結合を加水分解することができる酵素を用いて、および/または別法として植物のクチン非含有部分を構成する多糖類を分解することができる酵素を用いて、酵素的に達成(または補助)することができる。任意選択的に、クチン含有部分を少なくとも1種の有機溶媒(クロロホルムおよび/またはメタノール等)中で還流することにより、残存ワックスおよび/または残留可溶性極性成分をクチンから除去する。別法として、残存ワックスおよび残留可溶性成分の除去は、超臨界COまたは超臨界HOを用いて達成することができる。
次いで、植物質から取得したクチン(またはクチン含有成分)を、高いpH(例えば、約10〜14の範囲にあり、通常、12〜14の範囲)を有する溶媒、例えば、金属アルコキシドまたは金属水酸化物(またはアルコキシドもしくは水酸化物の代替的な供給源)でアルカリ性化した溶媒中で還流することにより、クチンを少なくとも部分的に解重合し、複数種のエステル化された脂肪酸または脂肪酸であるクチン単量体、これらの低重合体またはこれらの混合物を含む中間抽出物を取得する。高pHの溶媒としては、単量体および/または低重合体の溶解性が非常に高いが、クチン含有化合物の他の構成成分(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)の1種以上が不溶であるか、または単量体および/もしくは低重合体よりも溶解性が低いものを用いることができる。その場合、解重合プロセス後に不溶な不純物を溶液から濾過することができる。幾つかの実施形態では、高pH溶媒は、金属(例えば、金属ナトリウム)、金属アルコキシドまたは金属水酸化物が溶解したエタノール、メタノールまたは他のアルコールを含む。
幾つかの実施形態において、高pH溶媒は実質的に水を含まない(例えば、水が5質量%未満である)または水含有量が比較的低い(例えば、水が50質量%未満、40質量%未満、35質量%未満、30質量%未満、25質量%未満、20質量%未満、15質量%未満または10質量%未満である)。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、水を含有しないかまたは水の含有量が低い溶媒を使用すると、結果として得られる植物抽出物組成物を固化させた場合(例えば、組成物から溶媒を除去した後)、その取扱いがはるかに容易になる(例えば、粘着性物質ではなく固体粉末となる)と共に、着色が実質的に低減されることが分かった。すなわち、相当量の水を含む(例えば、水が50質量%超である)高pH溶媒中でクチンを解重合することにより形成された植物抽出物組成物を固化させたものは、たとえその後に精製工程に付したとしても、かなり着色した粘着性物質となることが分かっており、他方、水を含有しないかまたは水含有量の低い溶媒中でクチンを解重合することにより形成された抽出物組成物は、精製することによって黄色/橙色から無色の自由流動性粉末となることができる。上に述べた着色の少ない粉末状の粘稠性を有する植物抽出物組成物から形成した農業用コーティングは、肉眼では実質的に見分けることができず、このコーティングを適用した農産物の外観を変えないことが見出された。他方、着色および/または粘着性がより強い抽出物から形成したコーティングは均一に堆積させることができず、コーティングされた農産物が変色して見えたり、および/または傷付いて見えたりする可能性がある。
水を含有する溶媒および水を含有しない(または水含有量が低い)溶媒を解重合に使用した場合、結果として得られる固化された組成物の色および粘稠性が大幅に異なる理由は明確でない。しかしながら、特定の理論に束縛されることを望むものではないが、求核試薬の立体的な嵩高さによって解重合される化学種(微量成分を含む)が決まり、水含有溶媒中で解重合することによって生成する解重合された化学種および微量成分の望ましくない混合物が抽出物組成物の色および/または粘着性の粘稠性を生じさせるという仮説が立てられる。
次いで、高pH溶媒に溶解された中間抽出物を含む溶液を、単量体単位および/または低重合体単位をプロトン化するかまたは中性にするため(すなわち、対応する遊離脂肪酸および/または脂肪酸エステルを形成し、後段で農業用コーティングを形成することが可能な状態にするため)に酸性化する。中間抽出物が(金属)アルコキシドを介する解重合によって取得される場合、溶媒および中間抽出物のpHは約6.5〜9.0の範囲に調整することができる。中間抽出物が(金属)水酸化物を介する解重合によって取得される場合、溶媒および中間抽出物のpHは約1.0〜6.5の範囲に調整することができる。別法として、アルカリ性化された溶媒中でクチンを解重合した後に酸性化するのではなく、クチンを酸性条件下で少なくとも部分的に解重合して、複数種の脂肪酸であるクチン単量体、低重合体またはこれらの混合物を含む中間抽出物を取得することができる。
次いで、植物抽出物が、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まないように、中間抽出物を析出および/または抽出ならびに精製する(1種以上の選択溶媒を用いた洗浄等による)ことにより植物抽出物を取得する。洗浄を行った後、クロマトグラフィーまたは選択溶媒中で再結晶することによるさらなる精製も実施することができ、それによって最終抽出物を取得する。
幾つかの実施形態では、中間抽出物を取得するために高pH溶媒中で解重合を行った後、高pH溶媒および溶解された中間抽出物を直接酸性化することの代わりに、例えば、最初に、高pH溶媒の少なくとも一部(場合により実質的に全部)を蒸発させて中間抽出物を析出(すなわち、固化)させる。次いで、固化された中間抽出物を、第2溶液を取得するために水等の極性溶媒に溶解し、次いで、第2溶液をpHが1〜6.5の範囲になるように酸性化する。極性溶媒および中間抽出物を含む第2溶液を酸性化することにより、中間抽出物を再び固化させることができ、その後、中間抽出物を第2溶液から濾別することができる。再固化された中間抽出物は、次いで、他の溶媒、例えばエタノールに溶解して最終植物抽出物組成物を形成することができる。別法として、再固化させた中間抽出物を選択的に濾過することによりさらなる不純物を除去することができ、それによって中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物が取得される。例えば、第2中間抽出物は、上に述べたように中間抽出物をアセトニトリル中で洗浄することにより取得することができる。最後に、第2中間抽出物を他の溶媒、例えばエタノールに溶解することにより最終植物抽出物組成物を形成することができる。
さらなる他の実施形態では、中間抽出物を取得するために高pH溶媒中で解重合した後、高pH溶媒および溶解された中間抽出物を直接酸性化することの代わりに、最初に高pH溶媒の少なくとも25%を蒸発させた後、水等の極性溶媒を添加して第2溶液を形成し、次いで、第2溶液をpHが1〜6.5の範囲になるように酸性化する。極性溶媒および中間抽出物を含む第2溶液を酸性化することにより中間抽出物を析出(すなわち、固化)させることができ、その後、中間抽出物を第2溶液から濾別することができる。次いで、固化された中間抽出物を他の溶媒、例えばエタノールに溶解することにより最終植物抽出物組成物を形成することができる。別法として、固化された中間抽出物を選択的に濾過することによりさらなる不純物を除去することができ、それによって中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物が取得される。例えば、第2中間抽出物は、上に述べたように中間抽出物をアセトニトリル中で洗浄することにより取得することができる。最後に、第2中間抽出物を他の溶媒、例えばエタノールに溶解することにより最終植物抽出物組成物を形成することができる。
本明細書において使用される「植物質」は、例えば、果実(植物学的に果皮および砂じょうを含む)、葉、茎、樹皮、種子、花または植物の他の任意の部位等、クチンを含む植物の任意の部分を指す。
本明細書において使用される「約」および「およそ」という語は、一般に、提示された値プラスまたはマイナス10%を意味する。例えば、「約250μm」は225μm〜275μmを包含することになり、「約1,000μm」は900μm〜1,100μmを包含することになる。
図1は、植物抽出物組成物を調製するための方法100の概略フロー図を示す。方法100は、102において、植物質を熱的に処理することによりクチン含有部分を少なくとも部分的に分離することを含む。この熱的処理は、例えば、植物質の加熱(例えば、蒸気を用いるか、水中においてか、または他の溶媒中において)、植物の凍結または植物質を熱的処理サイクルに付すことを含むことができる。植物質は、任意の好適な植物質または他に農産物、例えば、果実(果皮および砂じょうを含む)、葉、茎、樹皮、種子、花等を含むことができる。幾つかの実施形態において、植物質は、農業廃棄物、例えば、トマトの皮、ブドウの外皮、リンゴの皮、ピーマン(pepper)の皮、レモンの皮、レモンの葉、ライムの皮、ライムの葉、オレンジの皮、オレンジの葉、オレンジの果実、クレメンタインの葉、クレメンタインの果実、マンダリンの葉、マンダリンの果実、エンドウの種子、グレープフルーツの皮、グレープフルーツの葉、グレープフルーツの種子、パパイヤの皮、サクランボの果実、クランベリーの外皮、コーヒーの実、刈り取った草または本明細書に記載する植物抽出物組成物のいずれかの実施形態を生成することができる他の任意の植物もしくは植物の部位等を含むことができる。幾つかの実施形態では、煮沸により果実から皮が少なくとも部分的に分離できるように、植物質として果実(例えば、トマト、クランベリーまたはブドウ)を用いることができ、クチン含有部分として果皮(例えば、トマトの皮またはクランベリーの外皮またはブドウの外皮)を用いることができる。果実は操作102の前に表面の残留物、ワックスまたは他に残骸を取り除くために洗浄することができる。さらに、果実を半分、4分の1または小片に切断するかまたはより細かく粉砕し、次いで皮または他に外皮が果肉から分離されたことが視認できるまで煮沸することができる。
方法100は、任意選択的に、104において、植物質からクチン含有部分が少なくとも部分的に分離されるように植物質を機械的に処理することを含む。この機械的処理は、植物質からのクチン含有部分の分離を促すために、植物質の熱的処理(すなわち、102)(例えば、植物質の水中における煮沸)の前および/または後に行うことができる。好適な機械的処理としては、例えば、遠心分離、(超)音波処理、圧搾(pressing)、ボールミル粉砕、摩砕(grinding)等を挙げることができる。幾つかの実施形態において、機械的分離は、果肉からの果皮の分離を含むことができる。幾つかの実施形態では、果肉の機械的分離は行わなくてもよく、果実の外皮(例えば、果実を加工した後に残る廃棄果実外皮)を、ふやかすか、混ぜ合わせるか、切断するか、細断するか、フードプロセッサ加工する(food process)か、または他に果皮をより細かい断片もしくはより微細な断片に物理的に分解する他の何らかの機械的処理操作に付すことができる。幾つかの実施形態では、植物抽出物組成物を取得するために複数の中間的機械的処理を用いることができる。機械的工程は、例えば、本明細書に記載するようにクチン非含有部分からクチンを分離するために用いることもでき、または方法100に含まれる他の任意の操作を強化するために用いることもできる。この種の機械的処理は、例えば、遠心分離、音波処理、(超)音波処理、ミル粉砕、磨砕、濾過等、本明細書に記載する機械的処理のいずれかを含むことができる。
次いで、クチン含有部分を、任意選択的に、106において、シュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の混合物中で加熱することにより、クチン非含有部分からクチンが分離される。任意選択的に、このプロセスは、多糖類またはペクチンを分解することができる酵素を用いて達成(または補助)することもできる。例えば、クチンは、植物質のクチクラ層を含む場合がある。植物質をシュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の混合物中で加熱することにより、クチクラをその下層の細胞に結合させているペクチン質の糊状物質(pectinaceous glue)を破壊してクチクラの遊離を促進する。さらに、この工程は、一次細胞壁内および植物細胞間(例えば、隣接する細胞同士を結合する中葉内等)に見られるペクチン質の糊状物質を破壊し、クチン含有部分の分離を促進する。このようにして、シュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の溶液は、植物のクチン含有部分から残渣の少なくとも一部を化学的に分離する(例えば、果皮に残っている果肉を取り除く)ことを促進することができる。加熱は任意の好適な温度(例えば、摂氏35度、摂氏50度、摂氏55度、摂氏60度、摂氏65度、摂氏70度、摂氏75度、摂氏80度、摂氏85度、摂氏90度、摂氏95度または摂氏100度(その間の全ての範囲および数値を包含する))および任意の好適な時間で実施することができる(このプロセスは高圧下で加速させることができる)。例えば、幾つかの実施形態において、クチン含有部分はシュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の混合物中、摂氏約75度の温度で約24時間加熱することができる。幾つかの実施形態では、植物部位、例えば果皮をシュウ酸アンモニウムおよびシュウ酸の溶液で処理した後、濾過により単離して乾燥させる(例えば、周囲条件下での自然乾燥、オーブン乾燥または凍結乾燥)ことにより残留している水分を除去することができる。
幾つかの実施形態では、108において、任意選択的にクチンを酵素処理することができる。例えば、クチンを糖質加水分解酵素等の酵素で処理することにより、クチンに結合しているかまたはクチン間に埋め込まれている糖質(例えば、セルロースまたはペクチン)を消化または他に除去することができる。この種の酵素としては、例えば、天然または合成のセルラーゼ、ペクチナーゼおよびヘミセルラーゼを挙げることができる。酵素的分解を、操作106の前、後、または操作106の代わりに用いることにより、クチン非含有部分からクチンを取得することができる。幾つかの実施形態では、逆のプロセスを用いることができ、クチンを少なくとも部分的に解重合することができる酵素でクチンを処理することにより、クチン低重合体またはクチン低重合体およびクチン単量体の任意の組合せを生成させることができ、後に残ったクチン非含有成分を濾過または他に分離することができる。この種の酵素としては、例えば、クチナーゼ、エステラーゼまたはリパーゼを挙げることができる。
任意選択的に、110において、クチンを少なくとも1種の好適な溶媒(例えば、クロロホルムおよび/またはメタノール)中で還流することにより、クチンから可溶性ワックスまたは極性を有する不純物を除去する。例えば、クチンをクロロホルムのみで還流するか、クロロホルム中で還流した後、メタノール中で還流するか、メタノールのみで還流するか、クロロホルムおよびメタノールの混合物中で還流するか、またはワックスおよび/もしくは極性成分が溶解する他の任意の好適な溶媒(またはこれらの組合せ)中で還流することができる。幾つかの実施形態において、クチンを強塩基の希釈溶液(例えば、水またはアルコール性溶媒中水酸化カリウム)中で、または中程度の塩基もしくは弱塩基(例えば、水中またはアルコール性溶媒中の炭酸カリウム)中で還流することにより可溶性有色不純物を除去することができる。別法として、残存ワックスおよび残留可溶性成分の除去は、超臨界COまたは超臨界HOを用いて達成することができる。還流は任意の好適な温度で任意の好適な時間にわたり実施することができる。例えば、幾つかの実施形態において、クチンをクロロホルム中、摂氏約60〜65度で約24〜36時間還流することにより、クチン間に埋め込まれているワックスおよび/または無極性化合物を除去することができる。続いて、メタノール中、例えば摂氏65〜70度で約4〜12時間還流することにより、クチン中に存在する極性有機成分(例えば、フラボノイドおよびフラボノイド配糖体)を除去することができる。操作の完了は溶媒の透明度により判断することができる。例えば、このプロセスは、溶媒の透明度を分析するように構成された計測装置(例えば、NMR、GC−MS、React-IR、FTIR、分光光度計等)により監視することができ、予め定められた透明度に到達するまで継続することができる。クロロホルムおよび/またはメタノール抽出プロセスは、それぞれ溶媒の還流(すなわち、再循環および/または再利用)が可能な任意の装置、例えば、冷却器を備えた反応フラスコ、ソックスレー抽出器、Kumagawa抽出装置、超音波(ultrasound assisted)抽出装置、自動運転式(robot automated)抽出装置または他の任意の好適な抽出装置等で実施することができる。この種の装置は、例えば、抽出プロセスに使用される溶媒の量を減らすことができる。他の任意の溶媒またはこれらの組合せ(すなわち、二成分系または三成分系混合物)を使用して望ましくない不純物を洗い流すことができる。好適な溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン、石油エーテル、酢酸エチル、アセトン、イソプロパノール、エタノール、アセトニトリル、超臨界二酸化炭素、超臨界水、水およびこれらの混合物を挙げることができる。幾つかの実施形態では、1種以上の溶媒中で複数の抽出工程を実施することもできる。幾つかの実施形態では、これらの溶媒抽出プロセス中、例えば、クチンから望ましくない化合物を遊離させるために、中間的な酵素的処理工程を行うこともできる。操作110後に取得される溶液は、植物部分に含まれていた比較的純度の高いクチンの試料を、残留物として結合しているかもしくはその中に埋め込まれている多糖類(例えば、セルロース)、植物の代謝物(例えば、フラボノイド)および/またはタンパク質と一緒に含む可能性がある。
次いで、112において、クチンを金属アルコキシドまたは金属水酸化物の溶液中で加熱してクチンを少なくとも部分的に解重合して、クチンの脂肪酸エステルおよび/または脂肪酸(またはこれらの組合せ)の複数種の単量体および/または低重合体を含む中間抽出物を取得する。金属アルコキシドとしては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソブトキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウムn−プロポキシド、カリウムイソブトキシドまたはカリウムn−ブトキシドを挙げることができる。金属水酸化物としては、例えば、第I族または第II族金属の水酸化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等を挙げることができる。好適な反応媒体中でアルコキシドまたは水酸化物を生成することになる前駆体または化合物(メタノール中の純金属(例えば、金属ナトリウム)または酸化物、水中アンモニア等)も挙げられる。金属アルコキシドまたは金属水酸化物の存在下におけるクチンの還流は、任意の好適な温度で任意の好適な時間、例えば、摂氏約65度において約24時間等で実施することができる。幾つかの実施形態において、脂肪酸エステル(またはその低重合体)を取得するための金属アルコキシドの存在下におけるクチンの還流は、鹸化および酸形成よりもエステル形成が優先されるように、無水試薬、無水溶媒、密閉雰囲気および/または窒素性雰囲気中で行うことができる。幾つかの実施形態では、クチンの一部のみが解重合されて予め定められた低重合体および単量体の組合せを生成するような温度および/または還流時間で実施することができる。幾つかの実施形態では、温度および/または還流時間は、金属アルコキシドまたは金属水酸化物によってクチンの大部分が解重合されて、複数のクチン由来脂肪酸エステルまたは脂肪酸の単量体をそれぞれ生成するように調整することができる。幾つかの実施形態では、金属アルコキシドまたは金属水酸化物中における還流は、金属アルコキシドまたは金属水酸化物および溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ヘキサン、トルエン等)の混合物中で行うことができる。クチンを金属水酸化物で解重合する場合、水も溶媒として使用して、クチン由来脂肪酸を取得することもできる。幾つかの実施形態では、溶媒はメタノールを含むことができる。金属アルコキシドの濃度、溶媒および/または溶液のpHは、例えば、解重合されたクチン成分をエステルまたは酸の単量体形態に保つのに役立ち、それにより、中間抽出物に含まれる遊離したクチン単量体の低重合または再重合を阻止することができるものである。幾つかの実施形態において、エステル化されたクチン単量体を取得するためのクチンの解重合およびエステル交換は、三フッ化ホウ素および/または金属アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド)を含むメタノールの溶液中で還流することにより行うことができる。
幾つかの実施形態では、解重合を行った後、解重合されていない固体を反応混合物から例えば濾過または遠心分離により除去することができる。次いで、可溶化したクチン単量体を含む濾液のpHを調整する。114では、金属アルコキシドを用いた解重合後に取得される中間抽出物のpHを約6.5〜9.0の範囲(その間のあらゆる範囲および値を包含する)に調整する。幾つかの実施形態では、114において、金属水酸化物を用いた解重合後に取得される中間抽出物のpHを約1.0〜約6.5の範囲に調整する。幾つかの実施形態において、pH調整は、解重合反応媒体中(例えば、メタノール性KOH)中で直接行うことができる。任意選択的に、反応溶媒を例えば蒸発によって除去することにより、粗製濃縮抽出物を取得することができ、次いで、これをpH調整する前に、解重合反応と異なる溶媒中で再構成することができる(例えば、メタノールを蒸発させ、水で再構成する)。例えば、pHを1.5〜約6.5、約2〜約6.5、約2.5〜約6.5、約3〜約6.5、約3.5〜約6.5、約4〜約6.5、約4.5〜約6.5、約5〜約6.5または約5.5〜約6.5の範囲(その間のあらゆる範囲および値を包含する)に調整することができる。pHの調整は、任意の好適な酸(例えば、クエン酸、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、アスコルビン酸、酒石酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、ホウ酸、他の任意の好適な酸等)、他の任意の好適なpH調整剤またはこれらの組合せを用いて実施することができる。幾つかの実施形態では、pHの調整は、複数種のエステル化されたクチン単量体の第2級および/または第1級ヒドロキシル基をプロトン化するのに十分であるが、アルカリ性pHにおける解重合の結果として存在するカルボキシレート基をプロトン化するには不十分であり得る。例えば、幾つかの実施形態において、遊離したクチン単量体は、脂肪酸のエステル、ヒドロキシ脂肪酸のエステル、ジヒドロキシ脂肪酸のエステルおよび/またはトリヒドロキシ脂肪酸のエステルを含むことができる。幾つかの実施形態において、遊離したクチン単量体は、脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸、ジヒドロキシ脂肪酸および/またはトリヒドロキシ脂肪酸を含むことができる。幾つかの実施形態において、遊離したクチン単量体は、脂肪酸の塩、ヒドロキシ脂肪酸の塩、ジヒドロキシ脂肪酸の塩および/またはトリヒドロキシ脂肪酸の塩を含むことができる。これらのヒドロキシ脂肪酸エステルまたは脂肪酸の1種以上を含む中間抽出物のpHを低下させると、第2級ヒドロキシル基(ジヒドロキシ脂肪酸およびトリヒドロキシ脂肪酸に含まれる)が最初にプロトン化された後、第1級ヒドロキシル基(トリヒドロキシ脂肪酸、ジヒドロキシ脂肪酸およびモノヒドロキシ脂肪酸に含まれる)がプロトン化される。水酸化物を介するクチン解重合から取得された中間抽出物のpHをさらに低下させると、取得されたクチン単量体のカルボキシレート基までプロトン化される可能性があり、その場合には極性反応媒体中における単量体の溶解性が変化することになる。このように、pHの調整は、下流で単量体を単離する方法を最適化するためにプロトン化の度合いを調節できるように行うことができる。例えば、幾つかの実施形態では、中間抽出物の溶液のpHを、溶液からの脂肪酸クチン単量体(および低重合体)の析出が優先的に促進され、この単量体(および低重合体)の回収(例えば、濾過または遠心分離による)が促進されるように調整することができる。この例では、中間抽出物の水溶液のpHを、脂肪族クチン単量体(および低重合体)が溶液から析出し、固体を濾過または遠心分離によって回収できるように、pH約1〜3に調整することができる。
中間抽出物は116において再固化される。再固化は、例えば、溶液から溶媒を蒸発させるかまたは析出を誘発する試薬(塩、酸、貧溶媒(unfavorable solvent)または共沈剤等)を添加することにより、クチン由来脂肪酸エステルまたは脂肪酸を析出させることを含むことができる。
任意選択的に、118において、粗製抽出物の精製を、析出した抽出物を選択溶媒(例えば、アセトニトリル)もしくは選択溶媒の組合せで洗浄することによるか、および/または120において、抽出されたクチン単量体を再結晶させるか、および/または122において、クチン単量体をクロマトグラフィーで分離して単離することにより行うことができる。
幾つかの実施形態では、118において、粗製抽出物を少なくとも1種の好適な溶媒(例えば、アセトニトリル、アセトン等)またはこれらの組合せ中で還流することにより、不純物である低重合体、フェノール性化合物および着色物を除去する。別法として、不純物である低重合体、フェノール性化合物および着色物の除去は、超臨界COまたは超臨界HOを用いて達成することができる。還流は任意の好適な温度で任意の好適な時間にわたり実施することができる。例えば、幾つかの実施形態では、粗製抽出物をアセトニトリル中、摂氏約80〜85度で約24〜36時間還流することにより、単量体成分を可溶化することができ、不純物である、ある程度可溶および/または不溶な低重合体、フェノール性化合物および着色物の残留物が後に残る。操作の完了は、単量体に富む溶液の透明度によって判断することができる。例えば、このプロセスは、溶媒の透明度を分析するように構成された計測装置(例えば、NMR、GC−MS、React-IR、FTIR、分光光度計等)を用いて監視することができ、予め定められた透明度に到達するまで継続することができる。解重合後の抽出プロセスは、溶媒を還流(すなわち、再循環および/または再利用)させることができる任意の装置、例えば、ソックスレー抽出装置、Kumagawa抽出装置、超音波抽出装置、自動運転式抽出装置または他の任意の好適な抽出装置で実施することができる。この種の装置を用いることにより、例えば、抽出プロセスに使用される溶媒の量を減らすことができる。他の任意の溶媒またはこれらの組合せ(すなわち、二成分系または三成分系混合物)を使用して望ましくない不純物を洗い流すことができる。好適な溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、ヘキサン、石油エーテル、酢酸エチル、アセトン、イソプロパノール、エタノール、アセトニトリル、超臨界二酸化炭素、超臨界水、水およびこれらの混合物を挙げることができる。幾つかの実施形態では、複数の抽出工程を1種以上の溶媒中で行うこともできる。幾つかの実施形態では、これらの溶媒抽出プロセス中、例えば、粗製抽出物から望ましくない化合物を遊離させるために、中間的な酵素的処理工程を行うこともできる。結果として得られた溶液は再固化させることができる。再固化は、例えば、溶媒を蒸発させるかまたは析出を誘発する試薬(塩、貧溶媒、共沈剤等)を添加することにより、溶液からクチン由来脂肪酸エステルまたは脂肪酸を析出させることを含むことができる。方法100を用いて取得される植物抽出物は、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まないものとすることができる。
幾つかの実施形態において、方法100または本明細書に記載する他の任意の方法を用いて取得された植物抽出物組成物は、例えば、C16−ω−ヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC16ヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC16ジヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC16トリヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC16−ω−ヒドロキシ−オキソ脂肪酸および/もしくはC18−ω−ヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC18ヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC18ジヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC18トリヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC18−ω−ヒドロキシ−オキソ脂肪酸および/もしくはC18−ω−ヒドロキシ−エポキシ脂肪酸および残りの脂肪酸、ならびに/または上記一連のC16ヒドロキシ脂肪酸および/もしくはC18ヒドロキシ脂肪酸および残りの脂肪酸のエステルを含む、クチン単量体の任意の好適な組合せを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物は、C16ヒドロキシ脂肪酸またはC16ヒドロキシ脂肪酸エステルを約15重量%〜約100重量%の範囲で含む第1画分と、C18ヒドロキシ脂肪酸またはC18ヒドロキシ脂肪酸エステルを0重量%〜約90重量%の範囲で含む第2画分と、残りの脂肪酸または残りの脂肪酸エステルを約0重量%〜約75重量%の範囲で含む第3画分とを含むことができる。幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物は、C16ヒドロキシ脂肪酸またはC16ヒドロキシ脂肪酸エステルを約50重量%〜約100重量%の範囲で含む第1画分と、C18ヒドロキシ脂肪酸またはC18ヒドロキシ脂肪酸エステルを0重量%〜約35重量%の範囲で含む第2画分と、残りの脂肪酸または残りの脂肪酸エステルを約0重量%〜約23重量%の範囲で含む第3画分とを含むことができる。幾つかの実施形態において、C16ヒドロキシ脂肪酸(またはC16ヒドロキシ脂肪酸エステル)、C18ヒドロキシ脂肪酸(またはC18ヒドロキシ脂肪酸エステル)および残りの脂肪酸(または残りの脂肪酸エステル)の組合せおよび相対的な含有量は、方法100に含まれるプロセスパラメータ(例えば、解重合条件および解重合後の抽出、再固化、洗浄および精製条件の選択)を調整することによるか、または複数の植物供給源からの抽出物をブレンドすることにより、調整することができる。C16ヒドロキシ脂肪酸としては、これらに限定されるものではないが、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸、9,10,16−トリヒドロキシヘキサデカン酸および16−ヒドロキシ−10−オキソヘキサデカン酸の少なくとも1種を挙げることができる。C16ヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、これらに限定されるものではないが、16−ヒドロキシヘキサデカン酸メチル、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸メチル、9,10,16−トリヒドロキシヘキサデカン酸メチルおよび16−ヒドロキシ−10−オキソヘキサデカン酸メチルの少なくとも1種を挙げることができる。C18ヒドロキシ脂肪酸としては、18−ヒドロキシオクタデカン酸、9(10),18−ジヒドロキシオクタデカン酸、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸および18−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−オクタデカン酸の少なくとも1種を挙げることができる。C18ヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、18−ヒドロキシオクタデカン酸メチル、9(10),18−ジヒドロキシオクタデカン酸メチル、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸メチルおよび18−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−オクタデカン酸メチルの少なくとも1種を挙げることができる。
例えば、幾つかの実施形態において、第1画分は、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約50重量%〜約100重量%、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約2重量%〜約27重量%および16−ヒドロキシ−10−オキソヘキサデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約35重量%含むことができる。幾つかの実施形態において、第2画分は、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を少なくとも0重量%〜約100重量%含むことができる。幾つかの実施形態において、第2画分はまた、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約8重量%、ω−ヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を少なくとも0重量%〜約9重量%および/またはω−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−オクタデカン酸(またはそのエステル)を少なくとも0重量%〜約33重量%含むこともできる。残りの脂肪酸(および/または脂肪酸エステル)は、植物抽出物組成物の調製に用いる植物の部位に含まれる、C16およびC18ヒドロキシ脂肪酸(または脂肪酸エステル)を除く他の任意の脂肪酸(または脂肪酸エステル)、例えば、ヘキサデカン酸、ジカルボン酸、9,10−ジヒドロキシヘキサデカン−1,16−二酸、9,12−オクタデカジエン酸、トランス−9−オクタデセン酸、シス−9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、ジヒドロキシヘキサデカン、n,ω−ジヒドロキシオクタデカン酸メチル、クマリン酸、フェルラ酸、他のC16もしくはC18脂肪酸、これらのエステルまたは他の任意の<C18脂肪酸(またはそのエステル)等を任意の比率または組合せで含むことができる。さらに、本明細書に記載する植物抽出物組成物は、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まないものとすることができる。
抽出物中の様々なクチン単量体の相対的な含有量は、植物抽出物の調製に用いられる供給源となる植物質または他に農産物に応じて異なる可能性がある。幾つかの実施形態では、選択することができる植物または植物の一部は、その植物の一部のクチクラ層を形成するクチン単量体が、本明細書に記載する植物抽出物組成物が取得されるような組成を有するものである。幾つかの実施形態において、植物質は、農業廃棄物、例えば、トマトの皮、ブドウの外皮、リンゴの皮、ピーマンの皮、レモンの皮、レモンの葉、ライムの皮、ライムの葉、オレンジの皮、オレンジの葉、オレンジの果実、クレメンタインの葉、クレメンタインの果実、マンダリンの葉、マンダリンの果実、エンドウの種子、グレープフルーツの皮、グレープフルーツの葉、グレープフルーツの種子、パパイヤの皮、サクランボの果実、サクランボの外皮、コーヒーチェリー、刈り込んだ葉または本明細書に記載する植物抽出物組成物のいずれかの実施形態を生成することができる他の任意の植物または植物の一部を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、植物抽出物はトマトの皮の抽出物とすることができる。この種の実施形態において、トマトの皮の抽出物は、例えば、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約65重量%〜約85重量%、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約3重量%〜約7重量%、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を約1重量%〜約4重量%および残りの脂肪酸(またはそのエステル)を約20重量%〜約25重量%含む。例えば、トマトの皮の抽出物組成物は、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を、約66重量%、約67重量%、約68重量%、約69重量%、約70重量%、約71重量%、約72重量%、約73重量%、約74重量%、約75重量%、約76重量%、約77重量%、約78重量%、約79重量%、約80重量%、約81重量%、約82重量%、約83重量%または約84重量%含むことができる(これらの間の全ての範囲を包含する)。さらに、トマトの皮の抽出物組成物は、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約4重量%、約5重量%または約6重量%含むことができる(これらの間の全ての範囲を包含する)。9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)は、約2重量%または約3重量%(これらの間の全ての範囲を包含する)とすることができ、残りの脂肪酸(またはこれらのエステル)は、約21重量%、約22重量%、約23重量%または約24重量%(これらの間の全ての範囲を包含する)とすることができる。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物を取得するために選択される植物または植物の一部は、当然のことながら、C16および/またはC18ヒドロキシ脂肪酸(またはこれらのエステル)をより高い比率で含むことができる。例えば、本明細書に記載の植物抽出物組成物を取得するために選択される植物の一部は、その植物の一部から取得される植物抽出物組成物の9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)の濃度が本明細書に記載した通り(例えば、第1画分、すなわちC16ヒドロキシ脂肪酸(またはそのエステル)画分が約50重量%〜約100重量%)になるように、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)をより高い比率で含むことができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載する植物抽出物組成物中に取得されるC16および/またはC18ヒドロキシ脂肪酸(またはこれらのエステル)の相対的な濃度を調整するために、異なる植物種および/または植物部位(すなわち、植物器官)の様々な組合せを選択することができる。ジヒドロキシ脂肪酸(例えば、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸)(またはこれらのエステル)およびトリヒドロキシ脂肪酸(例えば、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸)(またはこれらのエステル)は、モノヒドロキシ脂肪酸(またはこれらのエステル)よりも架橋密度が高く透過性が低い、緊密に結合した網目を形成することができる。したがって、本明細書に記載する植物抽出物組成物は、ジヒドロキシ脂肪酸(またはこれらのエステル)およびトリヒドロキシ脂肪酸(またはこれらのエステル)を、植物抽出物組成物を農業用コーティング配合物に使用することを可能にする相対比率で含むことができる。この種のコーティングは、植物の様々な部位、例えば、植物の茎、新芽、花、果実、葉、種子、根等をコーティングするため、および水分の喪失、酸素の拡散(酸化を招く)、生物的ストレス要因、表面の掻き傷または損傷等を防ぐために使用することができる。この種のコーティングは成熟を遅延させるために使用することもできる。植物抽出物組成物は天然の供給源から取得されるため、人間が安全に消費することができる。さらに、植物抽出物組成物は生分解性を示すことができる。
幾つかの実施形態において、植物部位を環境ストレス要因および生物的ストレス要因から保護する方法は、植物抽出物組成物を含むコーティングで植物部分をコーティングすることを含むことができる。植物抽出物組成物は、C16ヒドロキシ脂肪酸(および/またはそのエステル)を少なくとも約50重量%〜約100重量%、C18ヒドロキシ脂肪酸(および/またはそのエステル)を少なくとも0重量%〜約35重量%および残りの脂肪酸(および/またはそのエステル)を少なくとも約0重量%〜約23重量%含むことができる。植物抽出物は、随伴する植物由来化合物(例えば、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒド)を実質的に含まないものとすることができる。幾つかの実施形態において、C16ヒドロキシ脂肪酸(またはそのエステル)は、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約50重量%〜約100重量%、16−ヒドロキシヘキサデカン酸(またはそのエステル)を約2重量%〜約27重量%、16−ヒドロキシ−10−オキソヘキサデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約35重量%含むことができる。幾つかの実施形態において、C18ヒドロキシ脂肪酸(またはそのエステル)は、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約100重量%、9(10),18−ジヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約8重量%、ω−ヒドロキシオクタデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約9重量%および/またはω−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−オクタデカン酸(またはそのエステル)を0重量%〜約33重量%含むことができる。幾つかの実施形態において、残りの脂肪酸(および/または脂肪酸エステル)は、例えば、ヘキサデカン酸、ジカルボン酸、9,10−ジヒドロキシヘキサデカン−1,16−二酸、9,12−オクタデカジエン酸、トランス−9−オクタデセン酸、シス−9−オクタデセン酸、オクタデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、22−ヒドロキシドコサン酸、ジヒドロキシヘキサデカン、n,ω−ジヒドロキシオクタデカン酸メチル、クマリン酸、フェルラ酸、他のC16もしくはC18脂肪酸、これらのエステル、または他の任意の<C18脂肪酸(またはそのエステル)を含むことができる。コーティングに含まれる植物抽出物組成物は、例えば、トマトの外皮、ブドウの外皮、レモンの皮、レモンの葉、ライムの皮、ライムの葉、オレンジの皮、オレンジの葉、オレンジの果実、クレメンタインの葉、クレメンタインの果実、エンドウの種子、グレープフルーツの葉、クランベリーの外皮、サクランボの果実等の好適な植物または植物部位から抽出することができる。さらに、コーティングに含まれる植物抽出物組成物は、方法100または本明細書に記載する任意の方法を用いて抽出することができる。
幾つかの実施形態において、クチンの解重合の結果として生成するクチン由来単量体および/または低重合体は、農産物の表面に適用して保護コーティングを形成する前に官能基化(例えば、カルボン酸からエステルまたはアルコールに変換することなどによる修飾)される。単量体および/または低重合体の官能基化は、溶解性または疎水性の変更等、所望の特性を付与することができる場合もあり、その結果として、後段で形成される保護コーティングの特性を改善することができる。脂肪酸は、幾つかの化学的変換により、例えば、アルコールおよび触媒量の酸(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等)を用いたフィッシャーのエステル化を介してエステルに変換することにより、対応するエステル(メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル)を形成することができる。例えば、トマト外皮由来の9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸を、過剰のエタノールおよび触媒量の酸を添加することにより9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸エチルに変換することができる。他の例として、トマト外皮由来の、9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸を過剰のメタノールおよび触媒量の酸を添加することにより9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸メチルに変換することができる。別法として、脂肪酸を、LiAlH等の還元剤を用いてアルコールに変換することができる。例えば、トマト外皮由来の9(10),16−ジヒドロキシヘキサデカン酸を、LiAlHを用いてヘキサデカン−1,7(8),16−トリオールに変換することができる。
化合物の官能基化
幾つかの実施形態において、クチン由来単量体および/または低重合体の官能基化は、次に示す反応の1種以上を実施することを含む:
(式中、Rは脂肪酸基を表す)。
幾つかの実施形態において、単量体および/または低重合体は、グリセリン化することによりモノアシルグリセリド(例えば、1−モノアシルグリセリドおよび/または2−モノアシルグリセリド)単量体および/または低重合体を形成することができる。例えば、単量体および/または低重合体を式I:
(式中:
Rは、1種以上のC〜Cアルキルまたはヒドロキシで置換されていてもよい2−グリセリルであり;
、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に、−H、−OR14、−NR1415、−SR14、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールであり、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールは、それぞれ−OR14、−NR1415、−SR14またはハロゲンで置換されていてもよく;
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−OR14、−NR1415、−SR14、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールであり、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールは、それぞれ−OR14、−NR1415、−SR14またはハロゲンで置換されていてもよく;または
およびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって環状エーテル等の3〜6員環を形成していてもよく;
およびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって環状エーテル等の3〜6員環を形成していてもよく;
14およびR15は、それぞれ独立に、−H、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルであり;
記号:
は、任意選択的な単結合またはシスもしくはトランス二重結合を表し;
nは0〜8の整数であり;
mは0〜3の整数であり;
qは0〜5の整数であり;
rは0〜8の整数である)の1種以上の化合物に官能基化または修飾することができる。
幾つかの実施では、単量体および/または低重合体を修飾することにより、式Iの化合物および/または式II:
(式中:
R’は、1種以上のC〜Cアルキルまたはヒドロキシで置換されていてもよい1−グリセリルであり;
、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、それぞれ独立に、−H、−OR14、−NR1415、−SR14、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールであり、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールは、それぞれ−OR14、−NR1415、−SR14またはハロゲンで置換されていてもよく;
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、−H、−OR14、−NR1415、−SR14、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールであり、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−C〜Cシクロアルキル、−C〜C10アリールまたは5〜10員環ヘテロアリールは、それぞれ−OR14、−NR1415、−SR14またはハロゲンで置換されていてもよく;または
およびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、環状エーテル等の3〜6員環を形成していてもよく;
およびRは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、環状エーテル等の3〜6員環を形成していてもよく;
14およびR15は、それぞれ独立に、−H、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルであり;
記号:
は、任意選択的な単結合またはシスもしくはトランス二重結合を表し;
nは0〜8の整数であり;
mは0〜3の整数であり;
qは0〜5の整数であり;
rは0〜8の整数である)の化合物を形成する。
結果として得られる植物抽出物組成物を構成する修飾/官能基化(例えば、エステル化またはグリセリン化(glycerated))された単量体および/または低重合体を、次いで保護コーティングを形成するために農産物表面に適用することができる。図2〜6および以下に記載する対応する説明から分かるように、モノアシルグリセリド(例えば、上述の式Iおよび/または式IIの化合物)を含む組成物から形成された保護コーティングは、様々な農産物の収穫後の質量損失速度を低下させ、場合により、収穫後のカビ発生および/または品質低下の速度を低下させることが見出された。
式Iおよび/または式IIの化合物は、有機合成の技術分野において知られている方法により調製することができ、その一部を以下に示す合成スキームおよび例に説明する。以下に記載するスキームにおいて、必要に応じて、感度の高い(sensitive)基、すなわち反応性を有する基の保護基が一般的な原則および化学に従って採用されることは十分に理解されるであろう。保護基は有機合成の標準的な方法に従って用いることができる(T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999)。これらの基は、化合物合成の好都合な段階で当業者が容易に理解できる方法を用いて除去される。選択過程のみならず、反応条件およびその実施順序も式Iの化合物の調製と一致させるべきである。
当業者は、式Iおよび/または式IIの化合物における立体中心の有無を認識するであろう。したがって、本開示は、可能な立体異性体の両方を包含し(合成において規定されていない限り)、ラセミ化合物のみならず、個々のエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーも包含する。化合物が単一のエナンチオマーまたはジアステレオマーであることが所望される場合、立体特異的合成を行うか、または最終生成物もしくは任意の好都合な中間体を分割することによって取得することができる。最終生成物、中間体または出発物質の分割は当該技術分野において知られている任意の好適な方法により行うことができる。例えば、“Stereochemistry of Organic Compounds” by E. L. Eliel, S. H. Wilen, and L. N. Mander (Wiley-lnterscience, 1994)を参照されたい。
本明細書に記載する化合物は市販の出発物質から製造することもでき、または公知の有機、無機および/もしくは酵素的プロセスを用いて合成することもできる。幾つかの実施形態において、式Iの化合物はスキーム1に従い、対応する酸またはエステルから調製することができる。
スキーム1:10,16−ジヒドロキシパルミチン酸からの2−グリセロ−10,16−ジヒドロキシパルメートの調製
スキーム1に示すように、式Iの化合物は酸に存在し得る任意のヒドロキシ基を保護することにより調製することができる。上のスキーム1に示すように、ヒドロキシ基は−TBS(tert−ブチルジメチルシリル)保護基で保護することができる。保護された酸の、適切に保護されたグリセロール誘導体(例えば、2−フェニル−1,3−ジオキサン−5−オール)によるエステル化は、DMAPおよびDCCで補助することにより達成することができる。シリル保護基の脱保護は、フッ化水素酸等の適切な試薬を用いて達成することができる。最後に、グリセロール基を例えば水素化により脱保護することができる。
本明細書に説明する化学的合成手順は必要に応じて調整することができることを当業者は理解するであろう。例えば、他の保護基(例えば、アルコール基)を保護に使用することができることは当業者に理解されるであろう。
幾つかの実施形態において、クチン由来単量体、低重合体およびこれらの組合せは脂肪酸を含み、変換工程は脂肪酸のエステル化を含む。幾つかの実施形態において、クチン由来単量体、低重合体およびこれらの組合せはエステルを含み、変換工程はエステルのエステル交換を含む。幾つかの実施形態において、クチン由来単量体、低重合体およびこれらの組合せはアミドを含み、変換工程はアミドのエステル交換を含む。幾つかの実施形態において、変換工程は、クチン由来単量体、低重合体およびこれらの組合せを適切なアルコールおよび塩基または酸で処理することを含む。幾つかの実施形態において、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムまたは炭酸カリウムである。幾つかの実施形態において、酸は、塩化水素酸、硫酸または酢酸である。
幾つかの実施形態では、本開示の化合物を好適な溶媒、例えばメタノールを用いて直接エステル化することにより調製することができる。例えば、適切な脂肪酸(例えば、10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸)を過剰の好適な溶媒(例えば、メタノール)で処理することにより、対応するエステル(例えば、10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸メチル)に変換することができる。幾つかの実施形態において、エステル化は、硫酸等の好適な酸の存在下で行われる。幾つかの実施形態では、脂肪酸上にヒドロキシ基が存在する場合、これは好適な保護基(例えば、−TBS)で保護され、一方、幾つかの実施形態では、脂肪酸上のヒドロキシ基は保護されない。
図2〜6は、本明細書に記載する植物抽出物組成物を様々な農産物にコーティングした効果を例示するものである。図2、3、5および6に示す農産物上に形成したコーティングは、それぞれ2−モノアシルグリセリド化合物(すなわち、式Iの化合物)と、1−モノアシルグリセリド化合物(すなわち、式IIの化合物)を含む添加剤との混合物を含む組成物から形成したものであり、添加剤対式Iの化合物の質量比は0.1〜1の範囲にある。コーティングを形成するために、この組成物の固体混合物を最初に10mg/mLの濃度でエタノールに完全に溶解することにより溶液を形成した。次いで、この溶液を農産物にスプレーコーティングまたは浸漬コーティング(それぞれの場合について後に詳述する)のいずれかにより適用した。次いで、農産物をドライラックで周囲条件下(温度範囲23〜27℃、相対湿度範囲40%〜55%)において溶媒が完全に蒸発するまで乾燥させることにより、基材上にコーティングを形成した。結果として得られたコーティングの厚みは、それぞれ0.1μm〜1μmの範囲にあった。
図2は、コーティングを施していないレモンおよび上述の組成物でコーティングしたレモンの両方に関して観測された、3週間にわたるレモンの経時的な質量損失に対する効果を示す。コーティングを形成するために、レモンを袋に投入し、本開示の組成物を含む溶液を袋内に注いだ。次いで、袋を封止し、各レモンの表面全体が濡れるまで袋を軽く振った。次いで、レモンを袋から取り出し、ドライラックで室内環境(約23〜27℃の温度範囲、約40〜55%の相対湿度範囲)において乾燥させた。試験期間全体を通してレモンをこれと同じ温度および相対湿度に保持した。202は、摘採直後(1日目)のコーティングを施していないレモンの高解像度写真であり、204は、摘採直後の同じ日にコーティングを施したレモンの高解像度写真である。212および214は、それぞれコーティングを施していないレモンおよびコーティングを施したレモンの22日目の写真(写真202および204の21日後に撮影)である。断面積の低下(質量損失と直接相関する)をより見やすくするために、212の周囲に1日目の未処理のレモンの輪郭222を重ね合わせて示し、214の周囲に1日目の未処理のレモンの輪郭224を重ね合わせて示す。コーティングを有するレモンの断面積は、元の面積の90%を超え(例えば、元の面積の92%超)、一方、コーティングを施していないレモンの断面積は、元の面積の80%未満であり、同一条件下で貯蔵したコーティングは、施されていないレモンと比較して、コーティングが施されたレモンに観測された質量損失が小さかったことを示唆する。
図3は、コーティングを施したレモン(302)およびコーティングを施していないレモン(304)の両方に関するグラフを示し、20日間にわたり経時的に断面積が低下することを示唆する。具体的には、各レモンの高解像度画像を毎日取得し、画像処理ソフトウェアで解析(図2に示すように)することにより、レモンの初期断面積に対する各測定日の断面積の比率を求めた。図3から分かるように、20日後、コーティングが施されたレモンの断面積は、元の面積の90%を超え(例えば、元の面積の92%を超える)、一方、コーティングが施されていないレモンの断面積は、元の面積の80%未満であり、同一条件下で貯蔵したコーティングは、施されていないレモンと比較して、コーティングを有するレモンに観測された質量損失が小さかったことを示唆する。
図4に、コーティングを施した4個のイチゴおよびコーティングを施していない4個のイチゴの5日間にわたる高解像度写真を示す。コーティングされたイチゴは、次に示す手順に従ってスプレーコーティングしたものである。最初にイチゴをドライラックに載せた。コーティング組成物を含む溶液を、細かい霧状のスプレー液を生成するスプレーボトルに装入した。スプレーヘッドをイチゴから約6インチ離れた位置に保持し、イチゴに吹き付けた後、ドライラックで乾燥させた。イチゴを乾燥させる間および試験期間全体を通して、室内環境(約23〜27℃の温度範囲、約40〜55%の相対湿度範囲)を維持した。コーティングを施していないイチゴは、3日目にカビの増殖および脱色の開始が認められ、5日目には大部分がカビに覆われたことが分かる。これとは対照的に、コーティングを施したイチゴは、5日目まで視認できるカビの増殖は認められず、全体の色および外観は1日目および5日目でほとんど変わらず、同一条件下で貯蔵されたコーティングを施していないイチゴと比較して、コーティングが施されたイチゴのカビの発生および品質の低下が抑えられたことを示唆する。
図5に、コーティングを施していないブルーベリー(502)、エタノールに化合物を10mg/mLで溶解した溶液を用いてコーティングしたブルーベリー(504)およびエタノールに化合物を20mg/mLで溶解した溶液を用いてコーティングしたブルーベリー(506)の5日間にわたる質量損失率のグラフを示す。ブルーベリー上にコーティングを形成するために、次に示す浸漬コーティング手順を用いた。ブルーベリーをそれぞれピンセットで優しく摘み、溶液中に1個ずつ約1秒以内で潜らせた後、ブルーベリーをドライラックに載せて自然乾燥させた。ブルーベリーを乾燥させる間および試験期間全体を通して室内環境(約23〜27℃の温度範囲、約40〜55%の相対湿度範囲)を維持した。ブルーベリーを毎日正確に秤量することにより質量損失を測定した。報告した質量損失率は、初期質量に対する質量低下率に相当する。コーティングを施していないブルーベリーの質量損失率が5日後にほぼ20%となったのに対し、10mg/mL溶液でコーティングされたブルーベリーの5日後の質量損失率は15%未満であり、20mg/mL溶液でコーティングされたブルーベリーの5日後の質量損失率は10%未満であったことが分かる。これは、同一条件下で貯蔵されたコーティングされていないブルーベリーと比較して、コーティングされたブルーベリーに観測された質量損失が抑えられたことを示唆する。
図6に、コーティングを施していないブルーベリー(602)および10mg/mL溶液でコーティングしたブルーベリー(604)の5日目の高解像度写真を示す。コーティングを施していないブルーベリー602の外皮は、ブルーベリーの質量損失の結果として大きいシワが寄っており、一方、コーティングを有するブルーベリーの外皮は滑らかなままであった。
幾つかの実施形態では、クチンの解重合および/または植物抽出物組成物の形成を第1当事者が行い、一方、この植物抽出物組成物を農産物に適用して農産物を覆う保護コーティングを形成することを、第1当事者と異なる第2当事者が行う。例えば、植物抽出物組成物の製造業者(すなわち、第1当事者)は、本明細書に記載する1つ以上の方法により組成物を形成することができる。次いで、この製造業者は、結果として得られた植物抽出物組成物を、第2当事者、例えば、農作物の農業生産者、運送業者、販売業者または小売業者に販売または他に提供することができ、第2当事者は、この組成物を1種以上の農産物に適用して農産物上に保護コーティングを形成することができる。別法として、製造業者は、結果として得られた植物抽出物組成物を仲介当事者、例えば、卸売業者に販売または他に提供することができ、次いで仲介当事者は、植物抽出物組成物を第2当事者(農作物の農業生産者、運送業者、販売業者、小売業者等)に販売または他に提供し、第2当事者は、組成物を1種以上の農産物に適用して農産物上に保護コーティングを形成することができる。
多くの当事者が関与する幾つかの場合、第1当事者は、抽出物組成物に関する次に示す1つ以上を示唆する任意選択的な取扱説明または推奨事項を書面または口頭のいずれかで提供することができる:(i)本組成物は、生産物の寿命を延長するか、もしくは生産物の品質低下を抑制するか、もしくは生産物の外観を審美的に修正もしくは改善するために、生産物を被覆もしくは保護することを目的として適用することを意図したものであること;(ii)本組成物を生産物表面に適用するのに適した条件および/もしくは方法;ならびに/または(iii)本組成物を生産物に適用することによって取得することができる潜在的利益(例えば、保存期間の延長、質量損失率の低下、カビ発生および/または品質低下の速度の低下等)。取扱説明または推奨事項は、第1当事者により、植物抽出物組成物と一緒に直接提供する(例えば、組成物を販売または配送する包装の上に)こともできるが、別法として、取扱説明または推奨事項を別個に、例えば第1当事者によって所有もしくは管理されるウエブサイト上で、または第1当事者もしくは第1当事者の代理によって提供される広告物もしくは販促資料上で提供することもできる。
上記に鑑み、幾つかの場合、本明細書に記載する1つ以上の方法に従って植物抽出物組成物を製造する当事者(すなわち、第1当事者)が、この抽出物組成物で生産物を覆うコーティングを直接形成しない場合もあり、代わりに、第2当事者に、抽出物組成物で生産物を覆うコーティングを形成するように指示することができる(例えば、指導または要求することができる)ことが分かる。すなわち、たとえ第1当事者が本明細書に記載する方法および組成物による生産物のコーティングを行わなくても、第1当事者は、依然として、上に述べたように取扱説明または推奨事項を提供することにより、生産物を覆う保護コーティングを形成するために植物抽出物組成物を生産物に適用させることができる。したがって、本明細書において使用される、生産物(例えば、植物または農産物)に植物抽出物組成物を適用する行為には、植物抽出物組成物を生産物に適用することを他の当事者に指示もしくは指導すること、または植物抽出物組成物を生産物に適用させることも包含される。
幾つかの実施形態では、植物抽出物組成物を植物の一部にそのまま適用することができる。幾つかの実施形態では、植物抽出物組成物を、組成物の物理的および/または化学的性質を修正するために、適用プロセスの前および/または途中および/または後に加熱することができる。幾つかの実施形態では、植物抽出物組成物を、コーティングを形成させるために、溶媒中、水溶液中または担体液体中に溶解および/または懸濁させることができる。溶媒は、任意の極性、無極性、プロトン性または非プロトン性溶媒(これらの任意の組合せを含む)を含むことができる。本明細書に記載する植物抽出物組成物を溶解するために使用することができる溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、他の任意の好適な溶媒またはこれらの組合せが挙げられる。この種の植物抽出物組成物の水溶液は、農産物上に塗布し、例えば、農産物上にコーティングを形成するのに適したものとなり得る。幾つかの実施形態において、コーティングは、農産物の表面エネルギーを修正するように構成することができる。本明細書に記載するコーティングの様々な性質は、コーティングの架橋密度、その厚みまたはその組成を最適化することによって調整することができる。これは、例えば、収穫後の果実または農作物の成熟を調節するために使用することができる。例えば、主として二官能性または多官能性クチン単量体単位を含む植物抽出物組成物のコーティングは、例えば、単官能性または二官能性クチン単量体単位を含むものよりも架橋密度が高くなり得る。したがって、主として二官能性または多官能性クチン単量体単位を含む植物抽出物組成物のコーティングにより成熟速度を遅らせることができる。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物のコーティングを農産物にコーティングするのに適した所望のpHにするために酸または塩基をコーティング配合物に添加することができる。幾つかの実施形態では、例えば、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、非イオン性ポリマー、ワックス、塩等の添加剤をコーティング配合物に含有させることができる。幾つかの実施形態では、結果として得られる皮膜またはコーティングの性質を制御または調整するために、弱酸、イオンまたは非反応性分子をコーティング配合物に含有させることができる。幾つかの実施形態では、pH安定剤または調整剤をコーティング配合物に含有させることもできる。幾つかの実施形態では、コーティング配合物に追加の物質を含有させることができ、この追加の物質は、コーティングと一緒に表面に移送されるものであるか、または別個に堆積させた後、コーティングによって封入される(すなわち、追加された物質の周囲の少なくとも一部にコーティングが形成される)ものであるか、または別個に堆積させた後、コーティングによって支持される(すなわち、追加された物質がコーティングの表面に固定される)ものである。この種の追加される物質の例としては、細胞、生物学的シグナル伝達分子、ビタミン類、ミネラル類、顔料、芳香物質(aroma)、酵素、触媒、抗真菌剤、抗細菌剤および/または徐放薬を挙げることができる。追加される物質は、農産物の表面および/もしくはコーティングと反応しないものであっても、ならびに/または農産物の表面および/もしくはコーティングと反応性を有するものであってもよい。
幾つかの実施形態において、コーティングは、例えば、コーティングの粘度、蒸気圧、表面張力または溶解性を修正するように構成された添加剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、添加剤は、コーティングの化学的安定性を増大させるように構成することができる。例えば、添加剤は、コーティングの酸化を阻害するように構成された酸化防止剤であってもよい。幾つかの実施形態において、添加剤は、コーティングの溶融温度またはガラス転移温度を降下または上昇させるために添加することができる。幾つかの実施形態において、添加剤は、例えば農産物(例えば、本明細書に記載する任意の農産物)を保護するために、水蒸気、酸素、COもしくはエチレンのコーティング内への拡散を低減するか、またはコーティングがより多くの紫外(UV)光を吸収することができるように構成することができる。幾つかの実施形態において、添加剤は、意図的に発せられる臭い、例えば芳香(例えば、花の香り、果実の香り、植物の香り、爽やかな香り、好ましい香り等)を付与するように構成することができる。幾つかの実施形態において、添加剤は着色するように構成することができ、例えば、染料またはアメリカ食品医薬品局(US Food and Drug Administration)(FDA)により承認された着色料を含有させることができる。幾つかの実施形態において、添加剤は、甘味料、着色料、風味料、香辛料、風味増強剤、脂肪代替品および脂肪の代替に使用される配合物の成分、栄養素、乳化剤、増量剤、洗浄剤、安定剤、乳化安定剤、増粘剤、風味料もしくは香料、風味料もしくは香料の成分、結合剤、質感付与剤(texturizer)、湿潤剤、pH調整剤、酸味剤、パン酵母、固化防止剤、抗真菌剤、抗細菌剤、酸化防止剤ならびに/またはUV遮蔽剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、適切な光源、例えば、UV光に曝露することによりコーティングの架橋を開始させることができる光開始剤を含むことができる。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載する任意の植物抽出物組成物は無風味であっても、または風味の閾値が例えば500ppm超と高いものであってもよく、無臭であっても、または臭いの閾値が高いものであってもよい。幾つかの実施形態において、本明細書に記載する任意のコーティングに含有される物質は、実質的に透明とすることができる。例えば、コーティングに含有される植物抽出物組成物、溶媒および/または他の任意の添加剤は、屈折率が実質的に等しいかまたは近似するように選択することができる。これらの屈折率を適合させることにより、これらを光学的に適合させ、光の散乱を抑えて光の透過率を向上させることができる。例えば、屈折率が近似している透明で透過性を有する材料を利用することにより、実質的に透明な性質を有するコーティングを形成することができる。
本明細書に記載する任意のコーティングは、好適な手段を用いて農産物の外面に堆積させることができる。例えば、幾つかの実施形態において、農産物をコーティング配合物の浴(例えば、植物抽出物組成物の水溶液、水性−有機性混合溶液または有機性溶液)内で浸漬コーティングすることができる。堆積したコーティングは農産物表面に薄層を形成することができ、これは農産物を生物的ストレス要因、水分喪失および/または酸化から保護することができる。幾つかの実施形態において、堆積したコーティングは、コーティングが肉眼で透明に見えるように厚みを約1500nm未満とすることができる。例えば、堆積したコーティングの厚みは、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、1,000nm、約1,100nm、約1,200nm、約1,300nm、約1,400nmまたは約1,500nmとすることができる(その間のあらゆる範囲を包含する)。幾つかの実施形態において、堆積したコーティングは、欠陥および/またはピンホールが生じないように農産物全体に均一に堆積させることができる。幾つかの実施形態において、浸漬コーティングプロセスは、農産物上で自己集合するかまたは共有結合してコーティングを形成することができるコーティング前駆体の浴内で農産物を順次コーティングすることを含むことができる。幾つかの実施形態では、農産物をコーティング配合物の流れ(例えば、滝状のコーティング液)の下を通過させることによりコーティングを農産物上に堆積させることができる。例えば、コーティング配合物の流れ中を通過するコンベア上に農産物を配置することができる。幾つかの実施形態では、農産物の表面にコーティングを、霧散布(misted)、蒸着または乾式蒸着させることができる。幾つかの実施形態では、コーティングは、農産物の表面にUV架橋により、または反応性気体(例えば、酸素)に曝露することにより固着するように構成することができる。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物コーティングは農産物にスプレーコーティングすることができる。農産物にコーティングまたはコーティング前駆体をスプレーコーティングするために市販のスプレー器具を使用することができる。幾つかの実施形態において、コーティング配合物は、農産物にスプレーコーティングする前に、堆積したコーティングが静電的におよび/または共有結合で農産物の外面に結合するようにスプレー器具内で帯電させることができる。
コーティングは、植物のコーティングされた部分からの水もしくは他に水分の喪失を防止し、成熟を遅らせ、および/または植物のコーティングされた部分の内部への酸素の拡散を防止することにより、例えば、植物のコーティングされた部分の酸化を低減するように構成することができる。コーティングはまた、植物のコーティングされた部分に蔓延して腐敗を招き得る生物的ストレス要因(例えば、細菌、真菌、ウイルスおよび/または有害生物等)から植物のコーティングされた部分を保護することもできる。細菌、真菌および有害生物はいずれも、農産物表面の特定の分子を認識することによって食物源を識別するため、植物抽出物組成物を含むコーティングで農産物をコーティングすることにより、分子的に異なる分子を植物部位に堆積させることができ、このように農産物を認識できないようにすることができる。さらに、コーティングは、農産物表面の物理的および/または化学的環境を変更し、表面を細菌、真菌または有害生物の増殖に向かないものにすることもできる。コーティングはまた、植物部位の表面を擦傷、へこみもしくは他に機械的損傷から保護し、および/または植物の部位を光分解から保護するように配合することもできる。植物の部位としては、例えば、葉、茎、新芽、花、果実、根等を挙げることができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、果実を、例えば果実の成熟を遅らせるためのコーティングに使用することができる。
農産物へのコーティングの適用
本明細書に記載する任意のコーティングを、任意の好適な手段を用いて農産物の外面に堆積させることができる。例えば、幾つかの実施形態では、農産物をコーティングの浴(例えば、水素結合する有機分子の水溶液)内で浸漬コーティングすることができる。コーティングは、農産物表面上に、農産物を生物的ストレス要因、水分喪失および/または酸化から保護する薄層を形成することができる。幾つかの実施形態において、堆積したコーティングの厚みは、コーティングが肉眼で透明に見えるように、約2ミクロン未満、例えば1ミクロン未満、900nm未満、800nm未満、700nm未満、600nm未満、500nm未満、400nm未満、300nm未満、200nm未満または100nm未満とすることができる。例えば、堆積したコーティングは、厚みを約50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nmまたは約1,000nmとすることができる(これらの間の全ての範囲を包含する)。堆積したコーティングは、コーティングが農産物上に共形的に堆積し、欠陥および/またはピンホールを含まないように、結晶化度を高くして透過性を低下させることができる。幾つかの実施形態において、浸漬コーティングプロセスは、農産物上で自己集合するかまたは共有結合してコーティングを形成することができる前駆体の浴内で農産物に順次コーティングすることを含むことができる。幾つかの実施形態では、コーティングを、農産物をコーティングの流れ(例えば、滝状のコーティング液)の下を通過させることにより農産物上に堆積させることができる。例えば、コーティングの流れ中を通過するコンベア上に農産物を配置することができる。幾つかの実施形態では、コーティングを農産物表面に蒸着させることができる。幾つかの実施形態では、コーティングを、農産物の表面にUV架橋することにより、または反応性気体(例えば、酸素)に曝露することにより固着するように配合することができる。幾つかの実施形態では、コーティングを、収穫前に農薬の代替品として野外で適用することができる。
幾つかの実施形態では、農産物をコーティングする前に、官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを好適な溶媒(例えば、水、エタノールまたはこれらの組合せ)に溶解する。
幾つかの実施形態において、農産物上に本組成物を配するプロセスは、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む溶液中で農産物を浸漬コーティングすることを含む。幾つかの実施形態において、農産物上に本組成物を配するプロセスは、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む溶液を農作物にスプレーコーティングすることを含む。
幾つかの実施形態では、任意のコーティングを農産物上にスプレーコーティングすることができる。農産物にコーティングまたはコーティングの前駆体をスプレーコーティングするために市販のスプレー器具を使用することができる。幾つかの実施形態では、コーティングは、コーティングを農産物上にスプレーコーティングする前に、農産物の外面で共有結合するようにスプレー器具内で帯電させることができる。
幾つかの実施形態では、コーティングが農産物表面に結合しないように農産物上にコーティングを堆積させることができる。幾つかの実施形態では、コーティングの1種以上の成分、例えば、水素結合する有機分子を農産物の表面の少なくとも一部に共有(または水素)結合させることができる。このようにコーティングの性質を改善することができ、例えば、耐久性が向上し、コーティングの透過性および厚みがより厳しく制御される。幾つかの実施形態では、耐久性コーティングを達成するために複数層のコーティングを農産物表面に堆積させることができる。
幾つかの実施形態において、植物抽出物組成物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せと、水、エタノールおよびこれらの組合せから選択される溶媒とを含む。幾つかの実施形態では、本方法により、1種以上のクチン単量体を農作物の表面上で架橋させる。
本明細書に記載する任意のコーティングを任意の農産物を保護するために使用することができる。幾つかの実施形態では、コーティングを、食用農産物、例えば、果物、野菜、食用種子および木の実、薬草、香辛料、農作物、肉類、卵、乳製品、海産食物、穀類または他の任意の摂取可能な物品の上にコーティングすることができる。この種の実施形態において、コーティングは、毒性がなく、人間および/または動物の食用として安全な成分を含むことができる。例えば、コーティングは、アメリカ食品医薬品局(FDA)に承認された直接または間接食品添加物である成分、FDAに承認された食品接触物質である成分、食品添加物もしくは食品接触物質として使用する上でFDAの規制要件を満たす成分、および/またはFDAが一般に安全と認める(Generally Recognized as Safe)(GRAS)物質である成分を含むことができる。この種の物質の例は、FDA Code of Federal Regulations Title 21に記載されており、http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cdrh/cfdocs/cfcfr/cfrsearch.cfmのサイトで確認できる(その全内容が参照により本明細書に援用される)。幾つかの実施形態において、コーティングの成分は、栄養補助食品または栄養補助食品の成分を含むことができる。コーティングの成分はFDAに承認された食品添加物または着色剤も含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、本明細書に記載する天然の成分を含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、無風味であっても、または風味の閾値が例えば500ppm未満と高いものであってもよく、無臭であっても、または臭いの閾値が高いものであっても、および/または実質的に透明であってもよい。幾つかの実施形態において、コーティングは、食用農産物から、例えば水で洗い流すように構成することができる。
幾つかの実施形態では、本明細書に記載するコーティングを非食用農産物にコーティングすることができる。この種の非食用農産物としては、例えば、非食用の花、種子、新芽、茎、葉、植物全体等を挙げることができる。この種の実施形態において、コーティングは、毒性のない成分を含むことができるが、食品に関して規定されている閾値よりも非毒性の閾値を引き上げることができる。この種の実施形態において、コーティングは、FDAに承認された食品接触物質、FDAに承認された食品添加物、FDAに承認された医薬品成分、例えば“http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/drugsatfda/index.cfm”(その全内容が参照により本明細書に援用される)のFDA承認薬データベースに記載されている任意の成分を含むことができる。幾つかの実施形態において、コーティングは、医薬品に使用するためのFDAの要件を満たす物質またはFDAのNational Drug Discovery Code Directory;“http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ndc/default.cfm”(その全内容が参照により本明細書に援用される)に列挙されている物質を含むことができる。幾つかの実施形態では、この物質として、FDAのデータベース“http://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/ndc/default.cfm”(その全内容が参照により本明細書に援用される)に列挙されている承認医薬品の不活性医薬品成分を含むことができる。
本明細書に記載するコーティングの実施形態は、次に示す利点を含む幾つかの利点を提供する:例えば、(1)本コーティングは、農産物を生物的ストレス要因、すなわち細菌、ウイルス、真菌または有害生物から保護することができ;(2)本コーティングは、水の蒸発および/または酸素の拡散を阻止することができ;(3)本コーティングは、冷蔵することなく、農産物、例えば、収穫後の農作物の保存期間の延長を促進することができ;(4)本コーティングは、農産物表面に機械的安定性を付与することができ、品質低下を加速させるへこみを防止するように設計された高価な包装を不要にし;(5)本コーティングを取得するために農業廃棄物を使用することにより、細菌、真菌および有害生物の繁殖環境の排除を促進することができ;(6)本コーティングを、植物を保護するために農薬の代わりに使用することができ、それによって農薬が人間の健康および環境に与える有害な影響が最小限に抑えられ;(7)本コーティングは天然由来のものとすることができ、したがって、人間の食用として安全である。本明細書に記載するコーティングの成分は、幾つかの実施形態において農業廃棄物から取得することができるため、この種のコーティングは比較的低い費用で製造することができる。したがって、このコーティングは、例えば、農薬から作物を保護するのに必要な費用を削減し、生物的および/または環境的ストレス要因による腐敗に起因する収穫後の農産物の損失を低減するため、小規模農業従事者に特に好適なものとなり得る。
次に示す実施例において、本明細書に記載する方法を用いて取得される植物抽出物組成物について説明する。これらの実施例は例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意味しない。
実施例
全ての試薬および溶媒は、特に断りのない限り、購入後にさらなる精製を行うことなく使用した。パルミチン酸(98%)はSigma-Aldrichより購入した。p−TsOHおよびMTBEはAlfa-Aesarより購入した。トルエン、EtO、およびEtOAcはVWRより購入した。Lipozyme(登録商標)TLIMリパーゼはNovozymesより購入した。10重量%Pd/CはStrem Chemicalsより購入し、受領したままの状態で使用した。全ての反応は、特に断りのない限り、空気中で未乾燥溶媒を用いて実施した。収率は、特に断りのない限り、クロマトグラフィー上および分光学上(H NMR)均質な材料について言及する。薄層クロマトグラフィー(TLC)を0.25mmのE.Merckシリカゲルプレート(60Å、F−254)上で行い、可視化手段としてUV光を用い、展開手段としてアニスアルデヒドの酸性混合物、モリブデン酸アンモニウムセリウムまたは過マンガン酸カリウム(KMnO)の塩基性水溶液および熱を用いて反応を監視した。NMRスペクトルをBruker Avance 500MHzおよび/またはVarian VNMRs 600MHz装置で記録し、残留非重水素化溶媒を内部標準として用いて較正した(CHCl@7.26ppm H NMR,77.16ppm 13C NMR)。多重線の説明に次に示す略号(またはこれらの組合せ)を用いた:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、br=ブロード。質量スペクトル(MS)は、UC Santa Barbaraの質量分光分析施設において、飛行時間質量分析を使用し、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法または電界脱離(FD)法を用いて記録した。1,3−ビス(ベンジルオキシ)プロパン−2−オールをNemotoらの手順に従って(J. Org. Chem., 1992, 57, p. 435)合成した。
以下の実施例および本明細書全体を通して次に示す略称を使用する。
DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM=ジクロロメタン
DMAP=ジメチルアミノピリジン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
MBTE=BME=tert−ブチルメチルエーテル
p−TsOH=パラトルエンスルホン酸
TBS=TBDPS=tert−ブチルジメチルシリル
実施例1:トマトの外皮/皮から取得した植物抽出物組成物 − I
丸ごとのトマトを半分または4分の1に切断し、外皮が緩んだことが視認できるまで水中で煮沸した。できるだけ多くの果肉および種子を皮から取り除くように、フードミルを用いてトマトの外皮を果肉から機械的に分離した。次いで、分離した皮をシュウ酸アンモニウム(約16グラム毎リットル)およびシュウ酸(約4グラム毎リットル)を含む水溶液中、摂氏75度で約16時間加熱することにより、クチクラ層と、その下にあるトマトの果肉との間に存在するペクチン質の糊状物質を破壊した。残留しているクチンを含む皮を濾過して単離し、水で濯ぎ、摂氏65度のオーブンで乾燥させることにより、解重合に付す前に残留水分を除去した。外皮(すなわち、クチン含有部分)を化学量論的に過剰(トマトの皮に対して)の水酸化カリウムを含むメタノール性溶液中、摂氏約65度で約24時間解重合した。取得された溶液を濾過することにより、残っている固体を除去し、濾液を回収した。濾過した溶液から過剰の溶媒をロータリーエバポレーションにおいて除去した。粗製固体を蒸留水に再び溶解させ、氷浴で冷却し、取得された溶液のpHを、溶液にHCl水溶液を添加することによって約2に調整した。解重合されたクチンの多官能性脂肪酸単量体および低重合体を溶液から析出させるかまたは蒸発により固化させ、単量体を濾過して単離することによりトマト皮抽出物を得た。トマト皮抽出物をカラムクロマトグラフィーにおいてヘキサン:アセトン(体積比3:1)を用いて精製した。トマト皮抽出物は、10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸を70重量%、16−ヒドロキシヘキサデカン酸を5重量%、9,10,18−トリヒドロキシオクタデカン酸を3重量%および残りの脂肪酸を22重量%および他の植物由来副生成物を含んでいた。
実施例2:トマトの外皮/皮から取得した植物抽出物組成物 − II
産業用トマト加工施設から直接入手した、乾燥させたトマトの皮および搾りかすを、電動式粉砕機(electric grinder)を用いて微粉末に粉砕した後、そのまま解重合に付した。廃棄物(すなわち、クチンを含有する皮および搾りかす)を化学量論的に過剰な(トマト廃棄物に対して)水酸化カリウムを含むメタノール性溶液中、摂氏約65度で約24時間解重合した。取得された溶液を濾過することにより、残った固体を除去し、濾液を回収した。濾過した溶液からロータリーエバポレーションにより過剰の溶媒を除去した。粗製固体を蒸留水に再び溶解し、氷浴で冷却し、取得された溶液のpHを、溶液にHCl水溶液を添加することによって約2に調整した。解重合されたクチンの多官能性脂肪酸単量体および低重合体を、溶液から析出させるかまたは蒸発によって固化させ、単量体を濾過して単離することにより粗製トマト皮抽出物を得た。乾燥させた粗製トマト皮抽出物をセライトにドライロードし、アセトニトリルを用いて1日間ソックスレー抽出を行った。ソックスレー抽出装置下部の溶媒貯留器から溶液を回収し、過剰の溶媒をロータリーエバポレーターで除去することにより、再固化された精製トマト皮抽出物を得た。
実施例3:クランベリーから取得した植物抽出物組成物
クランベリーをさいの目に切り、外皮が緩んだことが視認されるまで水中で煮沸した。次いで、液果の果肉および液果の外皮を含む水性混合物を音波処理に付すことにより液果の果肉を外皮から機械的に剥がした。混合物を1回につき5〜10分間音波処理した。水性液果混合物を音波処理に付すことと、目の粗いフィルタで濾過して濾過ケークを蒸留水で洗って細かい残骸を減らし、一層液果外皮に富む濾過ケークを単離することとを交互に行った。この音波処理工程および濾過工程を、液果果肉の大部分が液果外皮に富む最終濾過ケークから除去されるまで交互に続けた。摂氏65度のオーブンで乾燥させることにより残留水分を除去した後、クランベリー外皮を、クロロホルムを用いた第1のソックスレー抽出に2日間付し、次いでメタノールを用いた第2のソックスレー抽出に1日間付した。次いで、クチンに富む外皮を化学量論的に過剰な(クランベリー外皮に対して)水酸化カリウムを含むメタノール性溶液中、摂氏約65度で約24時間解重合に付した。結果として得られた溶液を濾過することにより、残った固体を除去し、濾液を回収した。ロータリーエバポレーションにより、濾過した溶液から過剰の溶媒を除去した。粗製固体を蒸留水に再び溶解して氷浴で冷却し、取得された溶液のpHを、HCl水溶液を溶液に添加することにより約2に調整した。解重合されたクランベリークチンの多官能性脂肪酸単量体および低重合体を、溶液から析出させるかまたは蒸発させることにより固化させ、単量体を濾過して単離することによりクランベリー皮抽出物を得た。クランベリー抽出物をカラムクロマトグラフィーにおいてヘキサン:アセトン(体積比3:1)を用いて精製した。
実施例4:ブドウ液果から取得した植物抽出物組成物
ワイン生産者より入手した白ブドウを圧搾した残渣を、皮が緩んだことが視認されるまで水中で煮沸した。次いで、ブドウ果肉およびブドウ外皮を含む水性混合物を音波処理することにより、ブドウ外皮からブドウ果肉を機械的に剥がした。混合物を1回につき5〜10分間音波処理した。水性液果混合物を音波処理に付すことと、目の粗いフィルタで濾過して濾過ケークを蒸留水で洗って細かい残骸を減らし、一層ブドウ外皮に富む濾過ケークを単離することとを交互に行った。この音波処理工程および濾過工程を、液果果肉の約半量(体積)がブドウ外皮に富む最終濾過ケークから除去されるまで交互に続けた。次いで、濾過ケークを酵素的処理に付し、ブドウ外皮から残りのブドウ果肉を取り除いた。濾過ケークを、セルラーゼ0.1重量%およびペクチン0.1重量%を含む水性緩衝溶液(酢酸塩0.2mM、pH4)に分散させ、オービタルシェーカーにおいて摂氏40度、200rpmで24時間振盪した。次いで、水性混合物を目の粗いフィルタで濾過し、蒸留水で洗ってクチンを含有するブドウ外皮に富む濾過ケークを得た。ブドウ外皮を摂氏65度のオーブンで乾燥させて残留水分を除去した後、クロロホルムで第1のソックスレー抽出に2日間付し、次いでメタノールで第2のソックスレー抽出に1日間付した。次いで、クチンに富む外皮を化学量論的に過剰の(ブドウ外皮に対して)水酸化カリウムを含むメタノール性溶液中、摂氏約65度で約24時間解重合に付した。取得された溶液を濾過することにより、残った固体を除去し、濾液を回収した。濾過した溶液からロータリーエバポレーションにより過剰の溶媒を除去した。粗製固体を蒸留水に再び溶解して氷浴で冷却し、取得された溶液のpHを、HCl水溶液を溶液に添加することにより約2に調整した。解重合されたクチンの多官能性脂肪酸単量体および低重合体を溶液から析出させるかまたは蒸発させることにより固化させ、単量体を濾過して単離することによりブドウ外皮抽出物を得た。ブドウ外皮抽出物をカラムクロマトグラフィーによりヘキサン:アセトン(体積比3:1)を用いて精製した。
実施例5:トマト外皮/皮から取得した植物抽出物組成物およびこれを用いて形成される農業用コーティング
産業用トマト加工施設から直接入手した、乾燥させたトマトの皮または搾りかすを、電動式粉砕機を用いて粉砕して微粉末にした後、そのまま解重合に付した。クチンを含有する皮または搾りかすを2つのバッチ(それぞれ実質的に水を含まない(例えば、水5質量%未満)エタノール性(例えば、第1溶媒)混合物)で解重合した。エタノール性混合物は、不活性条件下で金属ナトリウムをエタノールに添加し、この混合物中でナトリウムエトキシドを生成することにより作製した。次いで、クチンを含む皮および搾りかすをエタノール性混合物の第1および第2バッチに添加した。取得された溶液を加熱し、不活性雰囲気下で還流した。第1バッチは反応を24時間進行させ、第2バッチは48時間進行させ、その結果としてそれぞれ粗製10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸ナトリウムを含む第1および第2溶液を得た。
次いで、溶液をそれぞれ室温に冷却し、3MのHClを添加することにより酸性化してpHを約7にした。次いで、酸性化した溶液を濾過して不溶な塩、未反応物質および他の不純物を除去し、濾液を蒸発乾固させた。次いで、取得された物質をそれぞれメタノールに再び溶解させ、それぞれ質量の3倍のセライト上に溶媒を蒸発させることによって吸収させた。次いで、吸着された混合物をヘプタン、酢酸エチルおよびメタノールで順番にソックスレー抽出に付した。吸着された混合物に含まれる10,16−ジヒドロキシパルミチン酸が他の化学種および不純物から分離されたことをUPLC−MS(ESI+)で監視した。10,16−ジヒドロキシパルミチン酸を酢酸エチル中に優先的に分配し、より極性の低い不純物をセライトからヘプタン洗浄液に抽出し、より極性の高い不純物をメタノール洗浄液に抽出した。溶媒を蒸発させた後に2つのバッチから取得されたそれぞれの抽出物組成物は黄色から無色の自由流動性粉末であった。次いで、2つのバッチから取得されたそれぞれの粉末を合一して1つの組成物とした。図7は質量分析から取得された純度データであり、図8は結果として得られた粉末の元素分析を示し、高純度であることを示唆する。
次いで、組成物の10,16−ジヒドロキシパルミチン酸の第1部を官能基化して10,16−ジヒドロキシパルミチン酸エチルを形成し、また、第2部を官能基化して10,16−ジヒドロキシパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピル(すなわち、10,16−ジヒドロキシパルミチン酸の1−モノアシルグリセリドエステル)を形成した。10,16−ジヒドロキシパルミチン酸エチルは、10,16−ジヒドロキシパルミチン酸をエタノール中で硫酸を触媒として用いてフィッシャーエステル化することにより調製した。10,16−ジヒドロキシパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピルは、10,16−ジヒドロキシパルミチン酸を塩基性触媒の作用下でグリシドールと反応させることにより調製した。
次いで、10,16−ジヒドロキシパルミチン酸エチルを実質的に純粋なエタノールに67mg/mLの濃度で溶解することにより第1抽出物組成物を形成し、10,16−ジヒドロキシパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピルを実質的に純粋なエタノールに37mg/mLの濃度で溶解することにより第2抽出物組成物を形成した。最後に、キーライムの第1群に第1抽出物組成物から、キーライムの第2群に第2抽出物組成物から、以下の手順を用いて農業用コーティングを形成した。第1および第2抽出物組成物をそれぞれ第1および第2ビニール袋内に注いだ。次いで、キーライムを10個ずつ各袋に入れ、袋を約10秒間振ることにより、各キーライム全体が確実に抽出物組成物で覆われるようにした。次いで、キーライムを取り出してドライラックに載せ、溶媒を蒸発させた。これにより、第1群のキーライムの各キーライム上に10,16−ジヒドロキシパルミチン酸エチル抽出物(約20mg)を堆積させ、第2群のキーライムの各キーライム上に10,16−ジヒドロキシパルミチン酸2,3−ジヒドロキシプロピル抽出物(約11mg)を堆積させた。
図9〜11は、キーライムの高解像度写真である。図9は、未処理のキーライム900を示す。図10は、第1抽出物組成物の植物抽出物でコーティングしたキーライム(1000)を示す。図11は、第2抽出物組成物の植物抽出物でコーティングしたキーライム(1100)を示す。各写真は、コーティングを形成してから約24時間後に撮影したものである。両方の抽出物組成物から形成されたコーティングは半透明であり、人間の目では実質的に見分けられなかった。但し、第2抽出物組成物から形成したコーティングはキーライムの光沢度を低下させた。一方、第1抽出物組成物でコーティングしたキーライムは光沢度を維持していた。
実施例6:パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イルの合成
工程1:パルミチン酸1,3−ビス(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル
パルミチン酸(70.62g、275.34mmol)、p−TsOH(5.24g、27.54mmol)、1,3−ビス(ベンジルオキシ)プロパン−2−オール(75g、275.34mmol)およびトルエン(622mL)を、テフロンコートされた磁気撹拌子を備えた丸底フラスコに装入した。ディーンスターク装置および冷却器をフラスコに取り付け、Nの正方向への通気を開始した。フラスコを加熱マントル内で加熱還流しながら、ディーンスターク装置に回収された水の量(約5mL)によりエステルへの完全な転化が示唆されるまで(約8時間)反応混合物を激しく撹拌した。フラスコを室温まで放冷した後、反応混合物をNaCOの飽和水溶液(75mL)および飽和食塩水(75mL)を含む分液漏斗に注いだ。トルエン画分を回収し、水層をEtO(125mL)で抽出した。有機層を合一して飽和食塩水(100mL)で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過して減圧下で濃縮した。無色の粗製油を高真空下で乾燥させることにより、パルミチン酸1,3−ビス(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル(135.6g、265.49mmol、粗収率=96.4%)を得た。
HRMS(ESI−TOF)(m/z):C3350Na,[M+Na]としての計算値:533.3607;実測値:533.3588;
H NMR(600MHz,CDCl):δ7.41−7.28(m,10H),5.28(p,J=5.0Hz,1H),4.59(d,J=12.1Hz,2H),4.54(d,J=12.1Hz,2H),3.68(d,J=5.2Hz,4H),2.37(t,J=7.5Hz,2H),1.66(p,J=7.4Hz,2H),1.41−1.15(m,24H),0.92(t,J=7.0Hz,3H)ppm
13C NMR(151MHz,CDCl):δ173.37,138.09,128.43,127.72,127.66,73.31,71.30,68.81,34.53,32.03,29.80,29.79,29.76,29.72,29.57,29.47,29.40,29.20,25.10,22.79,14.23ppm
工程2:パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル
パルミチン酸1,3−ビス(ベンジルオキシ)プロパン−2−イル(7.66g、15.00mmol)、10重量%Pd/C(79.8mg、0.75mmol)およびEtOAc(100mL)を、テフロンコートされた磁気撹拌子を備えた3ツ口丸底フラスコに装入した。オイルを満たしたバブラーを取り付けたコールドフィンガーと、H/N混合物(1:4)のガスタンクに連結したバブリングストーンとをフラスコに取り付けた。出発物質および1個の基のみが脱保護された(mono-deprotected)基質が両方共消失したことがTLCで確認されるまで(約60分間)、H/Nを1.2LPMでフラスコにバブリングした。完結後、反応混合物をセライトプラグで濾過し、次いで、これをEtOAc(100mL)で洗浄した。濾液を4℃の冷蔵庫で24時間保存した。濾液から析出した析出物(白色および透明な針状物)を濾過して高真空下で乾燥させることにより、パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル(2.124g、6.427mmol、収率=42.8%)を得た。
HRMS(FD−TOF)(m/z):C1938としての計算値:330.2770;実測値:330.2757;
H NMR(600MHz,CDCl):δ4.93(p,J=4.7Hz,1H),3.84(t,J=5.0Hz,4H),2.37(t,J=7.6Hz,2H),2.03(t,J=6.0Hz,2H),1.64(p,J=7.6Hz,2H),1.38−1.17(m,26H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm
13C NMR(151MHz,CDCl):δ174.22,75.21,62.73,34.51,32.08,29.84,29.83,29.81,29.80,29.75,29.61,29.51,29.41,29.26,25.13,22.85,14.27ppm
実施例7:酵素触媒反応によるパルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イルの合成
トリパルミチン(3.66g、4.50mmol)、Lipozyme(登録商標)TL-IMリパーゼ(7.26mg)、EtOH(2.65mL)およびMTBE(363mL)を、テフロンコートした磁気撹拌子を備えた丸底フラスコに装入した。反応混合物を室温で15分間撹拌し、濾過して減圧下で濃縮した。粗生成物にヘキサン(15mL)を添加し、生成物/ヘキサン混合物を4℃の冷蔵庫で24時間保存した。粗生成物の混合物を濾過し、冷ヘキサン(30mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させることにより、パルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イル(1.256g、3.8mmol、収率=84.4%)を得た(注記:収率はパルミチン酸1,3−ジヒドロキシプロパン−2−イルの総質量を基準とした値であるが、パルミチン酸ジアシルグリセロールエステルが12.16mol%(20重量%)含まれている)。
HRMS(FD−TOF)(m/z):C1938としての計算値:330.2770;実測値:330.2757;
H NMR(600MHz,CDCl):δ4.93(p,J=4.7Hz,1H),3.84(t,J=5.0Hz,4H),2.37(t,J=7.6Hz,2H),2.03(t,J=6.0Hz,2H),1.64(p,J=7.6Hz,2H),1.38−1.17(m,26H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)ppm
13C NMR(151MHz,CDCl):δ174.22,75.21,62.73,34.51,32.08,29.84,29.83,29.81,29.80,29.75,29.61,29.51,29.41,29.26,25.13,22.85,14.27ppm
システム、方法および装置の様々な実施形態を上に説明してきたが、これらは例示のみを目的として示したものであり、限定を目的とするものではないことを理解すべきである。上に述べた方法および工程が特定の順序で起こる特定の事象を示唆する場合、本開示の利益を受ける当業者は特定の工程の順序を修正することができ、この種の修正が本発明の変形形態に従うことを認識するであろう。加えて、上に述べたように特定の工程を順番に実施するのみならず、可能であれば、特定の工程を平行プロセスにおいて平行して実施することも可能である。実施形態を具体的に示し説明してきたが、形態および詳細の様々な変更形態が可能であることが理解されるであろう。

Claims (69)

  1. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを取得すること、ここで、前記クチン含有部分は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    前記クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1溶媒の少なくとも一部を蒸発させ、前記第1中間抽出物を固化させること;
    前記固化された第1中間抽出物を極性溶媒に溶解して第2溶液を取得すること;及び
    前記第2溶液を酸性化し、前記第1中間抽出物を再固化させること
    を含む方法。
  2. 前記極性溶媒は、水を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第2溶液の前記酸性化は、前記第2溶液のpHを約1〜約6.5の範囲に調整することを含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記クチン由来単量体または低重合体は、ヒドロキシ脂肪酸、ジヒドロキシ脂肪酸、トリヒドロキシ脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸エステル、ジヒドロキシ脂肪酸エステルおよびトリヒドロキシ脂肪酸エステルの少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記第1溶媒中での前記クチンの前記少なくとも部分的な解重合の前に、前記植物質を機械的に処理して前記クチン含有部分を前記植物質からさらに分離することをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記植物質は、果実を含み、前記機械的処理は、前記果実から果皮を分離するように構成されている、請求項5に記載の方法。
  7. 前記植物抽出物組成物を植物または農産物に適用して、前記植物または農産物上に保護コーティングを形成することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物を生物的または非生物的ストレス要因から保護するように配合されている、請求項7に記載の方法。
  9. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物の保存期間を延ばすように配合されている、請求項7に記載の方法。
  10. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物の成熟速度を調節するように配合されている、請求項7に記載の方法。
  11. 前記第1溶媒に金属アルコキシドまたは金属水酸化物を溶解し、それによって前記第1溶媒が10〜14の範囲の前記pHを有するようにすることをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記金属アルコキシドは、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシドおよびカリウムブトキシドの少なくとも1種を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記金属水酸化物は、第I族金属水酸化物、第II族金属水酸化物、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウムの少なくとも1種を含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記第1溶媒は、メタノールおよびエタノールの少なくとも1種を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記クチンの前記少なくとも部分的な解重合は、前記クチンを前記第1溶媒中で還流することを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記植物抽出物は、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカンおよびアルデヒドを実質的に含まない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記第2溶液の前記酸性化は、前記第1中間抽出物を酸性化し、前記方法は、前記再固化された第1中間抽出物を第2溶媒に溶解して前記植物抽出物組成物を取得することをさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記再固化された第1中間抽出物を選択的に濾過して、前記第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物を取得することをさらに含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記選択的濾過は、前記第1中間抽出物をアセトニトリルまたは水中で洗浄することを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第2中間抽出物を第2溶媒に溶解して前記植物抽出物組成物を取得することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
  21. 前記第1溶媒の少なくとも前記一部の前記蒸発は、前記第1溶媒の実質的に全部を蒸発させることを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記植物抽出物組成物を植物または農産物に適用させて、前記植物または農産物上に保護コーティングを形成することをさらに含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物を生物的または非生物的ストレス要因から保護するように配合されている、請求項22に記載の方法。
  24. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物の保存期間を延ばすように配合されている、請求項22に記載の方法。
  25. 前記保護コーティングは、前記植物または農産物の成熟速度を調節するように配合されている、請求項22に記載の方法。
  26. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化することをさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの前記官能基化は、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセリン化してモノアシルグリセリド化合物を形成することを含む、請求項26に記載の方法。
  28. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを取得すること、ここで、前記クチン含有部分は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    前記クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1中間抽出物を酸性化すること;
    前記第1中間抽出物を選択的に濾過して、前記第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物を取得すること;及び
    前記第2中間抽出物を第2溶媒に溶解して前記植物抽出物組成物を取得すること
    を含む方法。
  29. 前記第1中間抽出物の選択的濾過は、前記第1中間抽出物を固化させ、および前記固化された第1中間抽出物を選択溶媒中で洗浄することを含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記第2中間抽出物の取得は、前記第2中間抽出物を前記選択溶媒から取り出すことを含む、請求項28または29に記載の方法。
  31. 前記選択溶媒は、クロロホルムおよびヘキサンの少なくとも1種を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記第1中間抽出物の選択的濾過は、前記第1中間抽出物を固化させ、および前記固化された第1中間抽出物を選択溶媒中で洗浄することを含む、請求項28〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記第1中間抽出物の不純物成分の前記選択溶媒への溶解性は、前記第1中間抽出物の前記単量体の前記選択溶媒への溶解性よりも低い、請求項32に記載の方法。
  34. 前記第2中間抽出物の取得は、前記第2中間抽出物を固化させることを含む、請求項28〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 前記第2中間抽出物の固化は、前記選択溶媒を蒸発させることを含む、請求項34に記載の方法。
  36. 前記選択溶媒は、アセトニトリルまたは酢酸エチルを含む、請求項32〜35のいずれか一項に記載の方法。
  37. 前記第1中間抽出物の前記酸性化は、前記第1中間抽出物を固化させる、請求項28〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記第1溶媒は、水が5質量%未満である、請求項28〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記第1溶媒は、エタノールおよびメタノールの少なくとも1種を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを取得すること、ここで、前記クチン含有部分は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    前記クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1溶液から前記第1溶媒の体積の少なくとも25%を蒸発させること;
    前記第1溶液に極性溶媒を添加し、それによって第2溶液を取得すること;及び
    前記第2溶液を酸性化し、それによって前記第1中間抽出物を析出させること
    を含む方法。
  41. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを含む化合物を取得すること、ここで、前記化合物は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    前記化合物を超臨界二酸化炭素に曝露して、タンパク質、多糖類、フェノール類、リグナン、芳香族酸、テルペノイド、フラボノイド、カロテノイド、アルカロイド、アルコール、アルカン、アルデヒドおよびワックスの少なくとも1種の濃度を選択的に低下させること;
    前記クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1溶液は、10〜14の範囲のpHを有し、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1中間抽出物を酸性化すること;及び
    前記植物抽出物組成物を取得すること、ここで、前記植物抽出物組成物は、第2溶媒中に前記単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む第2溶液を含む、
    を含む方法。
  42. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを取得すること、ここで、前記クチン含有部分は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    10〜14の範囲のpHを有する第1溶媒中で前記クチンを少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒に溶解された第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1溶液を酸性化すること;
    前記第1溶液を選択的に濾過して不純物成分を除去すること;
    前記第1溶媒を少なくとも部分的に蒸発させて前記第1中間抽出物を固化させること;及び
    前記第1中間抽出物を第2溶媒に溶解すること
    を含む方法。
  43. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの官能基化は、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセリン化してモノアシルグリセリド化合物を形成することを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記植物抽出物組成物を植物または農産物に適用させて、前記植物または農産物上に保護コーティングを形成することをさらに含む、請求項42または43に記載の方法。
  46. 植物抽出物組成物を調製する方法であって、
    植物質のクチン含有部分からクチンを取得すること、ここで、前記クチン含有部分は、前記植物質のクチン非含有部分から少なくとも部分的に分離され;
    前記クチンを第1溶媒中で少なくとも部分的に解重合して、前記第1溶媒中に第1中間抽出物を含む第1溶液を取得すること、ここで、前記第1中間抽出物は、複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含み;
    前記第1中間抽出物を選択的に濾過して、前記第1中間抽出物よりも高い純度を有する第2中間抽出物を取得すること、ここで、前記第2中間抽出物は、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの少なくとも1種を含み;及び
    前記第2中間抽出物の前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化して前記植物抽出物組成物を形成すること
    を含む方法。
  47. 前記植物抽出物組成物を植物または農産物に適用させて、前記植物または農産物上に保護コーティングを形成することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
  48. 前記植物抽出物組成物が適用される前記植物または農産物は、前記クチンが取得される前記植物と異なる、請求項47に記載の方法。
  49. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの官能基化は、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセリン化してモノアシルグリセリド化合物を形成することを含む、請求項46に記載の方法。
  50. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せの官能基化は、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをエステル化してエチルエステルを形成することを含む、請求項46に記載の方法。
  51. 農産物を生物的ストレスから保護する方法であって、
    複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む植物抽出物組成物を取得すること;
    前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセロール分子でエステル化することにより、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化すること;及び
    前記農産物を、前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングされるようにすること
    を含む方法。
  52. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、脂肪酸を含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記脂肪酸は、パルミチン酸または10,16−ジヒドロキシヘキサデカン酸である、請求項52に記載の方法。
  54. 前記植物抽出物組成物の取得は、植物質から誘導されたクチンを少なくとも部分的に解重合することを含む、請求項51〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、前記農産物をコーティングする前に溶媒に溶解される、請求項51〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記溶媒は、水、エタノールまたはこれらの組合せである、請求項55に記載の方法。
  57. 前記農産物を前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングするプロセスは、前記複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む溶液による前記農産物の浸漬コーティングまたはスプレーコーティングを含む、請求項51〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記官能基化されたクチン単量体または低重合体の1種以上を前記農作物の表面上で架橋させる、請求項51〜57のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、1−グリセロールまたは2−グリセロールエステルとしてエステル化することにより官能基化される、請求項51〜58のいずれか一項に記載の方法。
  60. 前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、前記農産物の前記表面上に自然に発生しない、請求項51〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 農産物の寿命を延長する方法であって、
    複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む植物抽出物を取得することと;
    前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せをグリセロール分子でエステル化することにより、前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを官能基化することと;
    前記農産物を、前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングされるようにすることと
    を含む方法。
  62. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、脂肪酸を含む、請求項61に記載の方法。
  63. 前記植物抽出物組成物の取得は、植物質から誘導されたクチンを少なくとも部分的に解重合することを含む、請求項61または62に記載の方法。
  64. 前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、前記農産物をコーティングする前に溶媒に溶解される、請求項61〜63のいずれか一項に記載の方法。
  65. 前記溶媒は、エタノール、水またはこれらの組合せである、請求項64に記載の方法。
  66. 前記農産物を前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せでコーティングするプロセスは、前記複数のクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せを含む溶液による前記農産物の浸漬コーティングまたはスプレーコーティングを含む、請求項61〜65のいずれか一項に記載の方法。
  67. 前記クチン単量体または低重合体の1種以上を前記農作物の表面上で架橋させる、請求項61〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記クチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、1−グリセロールまたは2−グリセロールエステルとしてエステル化することにより官能基化される、請求項61〜67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記官能基化されたクチン由来単量体、低重合体またはこれらの組合せは、前記農産物の前記表面上で自然に発生しない、請求項61〜68のいずれか一項に記載の方法。
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