JP2005097437A - 静電インクジェット用インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 分散媒および色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物において、前記荷電粒子がオニウム塩を少なくとも1種含有することを特徴とする静電インクジェット用インク組成物と、前記インク組成物を、静電界を利用したインクジェット記録方式でインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法。
【選択図】 なし
Description
一方、静電界を利用する方式は、インク滴の飛翔方向を静電界により制御するため、望ましい位置へインク滴を正確に着弾させることが可能であり、高画質の画像形成物(印刷物)を作成することができ優れている。
(1) 分散媒および色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物において、前記荷電粒子がオニウム塩を少なくとも1種含有することを特徴とする静電インクジェット用インク組成物。
(2) 前記オニウム塩が、アンモニウム類、オキソニウム類、スルホニウム類、セレニウム類およびホスホニウム類から選択された少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)に記載の静電インクジェット用インク組成物。
(3) 静電界を利用したインクジェット記録方式でインク組成物をインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法において、使用するインク組成物が、分散媒および色材を少なくとも含む荷電粒子を含有し、かつ前記荷電粒子が、オニウム塩を少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
以下、本発明のインク組成物の各構成成分について説明する。
本発明で用いるオニウム塩は、例えばアンモニウム類、オキソニウム類、スルホニウム類、セレニウム類、ホスホニウム類等であり、好ましくはアンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類等である。
より具体的には、アンモニウム類、スルホニウム類、ホスホニウム類としては、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
環状スルホニウム基としては、チオフェン基、テトラヒドロチオフェン基、ベンゾチオフェン基、チアゾール基等を4級化して得られるものが挙げられる。
なお本発明で用いるオニウム塩は、前記の低分子化合物以外に、オニウム塩基を含むポリマーであってもよい。ポリマーの主鎖を構成する成分としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリルエステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーが挙げられる。
アクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等が挙げられる。
その他、市販されているオニウム塩基含有ポリマーや、市販されているポリマーをオニウム塩化したものもとくに制限なく使用することができる。
オニウム塩含有量は、例えば、オニウム塩を構成する官能基またはモノマー単位として、荷電粒子全体量の40〜1質量%、好ましくは35〜2質量%、さらに好ましくは30〜3質量%である。
本発明のインク組成物に用いる分散媒は、高い電気抵抗率、具体的には1010Ωcm以上を有する誘電性の液体であることが好ましい。仮に電気抵抗率の低い分散媒を使用すると、隣接する記録電極間で電気的導通を生じさせるため、本形態には不向きである。また、誘電性液体の比誘電率は5以下が好ましく、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下である。このような比誘電率の範囲とすることによって、誘電性液体中の荷電粒子に有効に電界が作用されるため好ましい。
本発明のインク組成物に用いる色材としては、公知の染料および顔料を使用することができ、用途や目的に応じて選択することができる。例えば、記録された画像記録物(印刷物)の色調の観点からは、顔料を用いることが好ましい(例えば、技術情報協会発行 「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」 2001年12月25日 第1刷参照。以下「非特許文献1」とも称する)。色材を変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアン、墨(ブラック)の4色のインクを作成することができる。特に、オフセット印刷用インクやプルーフに用いられる顔料を使用するとオフセット印刷物と同様な色調が得られるので好ましい。
更にマイクロリス−A,−K,−Tなどのマイクロリス顔料に代表される加工顔料も好適に使用できる。その具体例としてはマイクロリスイエロー4G−A,マイクロリスレッドBP−K,マイクロリスブルー4G−T,マイクロリスブラックC−Tなどが挙げられる。
また、白インク用の顔料として炭酸カルシウムや酸化チタン顔料を、銀インク用としてアルミニウム粉を、金インク用として銅合金を用いる等、必要に応じて各種の顔料を使用することができる。
インク組成物全体に対する色材(顔料)の含有量は、0.1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。0.1質量%以上において、顔料量が充足し、印刷物において充分良好な発色が得られ、また、50質量%以下において、色材を含有する粒子を分散媒に良好に分散させることができる。さらに好ましくは、1〜30質量%である。
本発明のインク組成物において、顔料等の色材は、分散媒に直接、分散(粒子化)するよりも、被覆剤により被覆された状態で分散(粒子化)することが好ましい。被覆剤で被覆することにより、色材が持つ荷電を遮蔽し望ましい荷電特性を付与することができる。また、本発明においては、被記録媒体へインクジェット記録した後、ヒートローラ等の加熱手段により定着するが、この際被覆剤が熱により溶融し、効率よく定着できる。
本発明では、例えば色材、オニウム塩および被覆剤の混合物を分散媒中に分散(粒子化)するが、粒子直径を制御し、かつ粒子の沈降を抑制するために分散剤を使用することがさらに好ましい。
好適な分散剤としては、ソルビタンモノオレエート等のソルビタン脂肪酸エステルや、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステルに代表される界面活性剤が挙げられる。また、例えば、スチレンとマレイン酸のコポリマー、およびそのアミン変性物、スチレンと(メタ)アクリル化合物のコポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリエチレンと(メタ)アクリル化合物のコポリマー、ロジン、BYK−160、162、164、182(ビックケミー社製のポリウレタン系ポリマー)、EFKA−401、402(EFKA社製のアクリル系ポリマー)、ソルスパース17000,24000(ゼネカ社製のポリエステル系ポリマー)等が挙げられる。本発明においては、インク組成物の長期間保存安定性の観点から、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜7.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、グラフトポリマーまたはブロックポリマーを用いることが最も好ましい。
また、一般式(6)に対応するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、等が挙げられる。
これらのグラフトポリマーの具体例としては、下記の構造式で示されるポリマーが挙げられる。
本発明においては、色材、オニウム塩および被覆剤の混合物を、分散剤を用いて分散媒中に分散(粒子化)することが好ましく、粒子の荷電量を制御するために荷電調整剤を併用することがさらに好ましい。
好適な荷電調整剤としては、ナフテン酸ジルコニウム塩、オクテン酸ジルコニウム塩等の有機カルボン酸の金属塩、ステアリン酸テトラメチルアンモニム塩等の有機カルボン酸のアンモニム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジオクチルスルホコハク酸マグネシウム塩等の有機スルホン酸の金属塩、トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩等の有機スルホン酸のアンモニウム塩、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミンで変性したカルボン酸基を含有するポリマー等の側鎖にカルボン酸基を有するポリマー、メタクリル酸ステアリルとメタクリル酸のテトラメチルアンモニウム塩の共重合体等の側鎖にカルボン酸アニオン基を有するポリマー、スチレンとビニルピリジンの共重合体等の側鎖に窒素原子を有するポリマー、メタクリル酸ブチルとN−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムトシラート塩との共重合体等の側鎖にアンモニウム基を有するポリマー等が挙げられる。粒子に付与される荷電は、正荷電であっても負荷電であってもよい。インク組成物全体に対する荷電調整剤の含有量は、0.0001〜10質量%の範囲内であることが好ましい。なお、本発明のインク組成物の電気伝導度は、10nS/m〜300nS/m、荷電粒子の電気伝導度は、インク組成物の電気伝導度の50%以上であるのが好ましい。これらの条件は、荷電調整剤の含有量の増減によって、容易に調整できる。
本発明においては、さらに、腐敗防止のために防腐剤や、表面張力を制御するための界面活性剤等を目的に応じて含有することができる。
以上の成分を用い、色材、オニウム塩、好ましくは被覆剤を分散(粒子化)することにより、本発明の荷電粒子を含有するインク組成物を作成することができる。分散(粒子化)する方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
(1)色材、オニウム塩、被覆剤をあらかじめ混合した後、分散剤と分散媒を用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
(2)色材、オニウム塩、被覆剤、分散剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)し、荷電調整剤を加える。
(3)色材、オニウム塩、被覆剤、分散剤、荷電調整剤と分散媒を同時に用いて分散(粒子化)する。
本発明では、以上記述したインク組成物を、インクジェット記録方式により、被記録媒体へ記録する。本発明においては、静電界を利用したインクジェット記録方式を用いることが好ましい。静電界を利用するインクジェット記録方式は、制御電極と被記録媒体背面の背面電極間に電圧を印加することにより、インク組成物の荷電粒子を静電力によって吐出位置に濃縮し、吐出位置から記録媒体へ飛翔させる方式である。制御電極と背面電極間に印加する電圧は、例えば荷電粒子が正の場合、制御電極が正極であり背面電極が負極となる。背面電極へ電圧を印加する代わりに被記録媒体に帯電を行っても同様の効果が得られる。
まずは、図1に示す記録媒体に片面4色印刷を行う装置の概要について説明する。
図1に示されるインクジェット記録装置1は、フルカラー画像形成を行うための4色分の吐出ヘッド2C、2M、2Yおよび2Kから構成される吐出ヘッド2にインクを供給し、さらに吐出ヘッド2からインクを回収するインク循環系3、図示されないコンピュータ、RIP(ラスター・イメージ・プロセッサ)等の外部機器からの出力により吐出ヘッド2を駆動させるヘッドドライバ4、位置制御手段5を備える。またインクジェット記録装置1は、3つのローラ6A、6B、6Cに張架された搬送ベルト7、搬送ベルト7の幅方向の位置を検知可能な光学センサなどで構成された搬送ベルト位置検知手段8、記録媒体Pを搬送ベルト上に保持するための静電吸着手段9、画像形成終了後に記録媒体Pを搬送ベルト7から剥離するための除電手段10および力学的手段11を備える。搬送ベルト7の上流、下流には、記録媒体Pを図示されないストッカーから搬送ベルト7に供給するフィードローラ12およびガイド13、剥離後の記録媒体Pへインクを定着させると共に図示されない排紙ストッカーに搬送する定着手段14およびガイド15が配置されている。またインクジェット印刷装置1の内部には、搬送ベルト7を挟んで吐出ヘッド2に対向する位置には、記録媒体位置検出手段16を有し、さらにインク組成物から発生する溶媒蒸気を回収するための排出ファン17および溶媒蒸気吸着材18からなる溶媒回収部が配置され、装置内部の蒸気は該回収部を通って装置外部に排出される。
本発明で好適に使用されるインクジェットヘッドは、インク流路内での荷電粒子を電気泳動させて開口付近のインク濃度を増加させ、吐出を行うインクジェット方法であり、主に記録媒体または記録媒体背面に配置された対向電極に起因する静電吸引力によりインク滴の吐出を行うものである。従って、記録媒体または対向電極がヘッドに対向していない場合や、ヘッドと対向する位置にあっても記録媒体または対向電極に電圧が印加されていない場合には、誤って吐出電極に電圧が印加された場合や振動が与えられた場合でもインク滴の吐出は起こらず、装置内を汚すことはない。
その際、第1吐出電極46と第2吐出電極56の両者にパルス電圧が印加された場合にのみインク滴Gが吐出するように、第1吐出電極46と第2吐出電極56とに印加する電圧値を調整しておく。
静電界を利用したインクジェット記録方式では、インク組成物中の荷電粒子が濃縮されて吐出する。従って、長時間インク組成物の吐出を行うと、インク組成物中の荷電粒子が減量し、インク組成物の電気伝導度が低下する。また、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度との割合が変化する。さらに、吐出の際、直径の小さな荷電粒子よりも大きな荷電粒子が優先して吐出する傾向にあるため、荷電粒子の平均直径が小さくなる。また、インク組成物中の固形物の含有量が変化するため、粘度も変化する。
これらの物性値の変化により、結果として、吐出不良を起こしたり、記録された画像の光学濃度の低下やインクのにじみが発生する。このため、当初インクタンクへ仕込んだインク組成物よりも、高濃度(固形分濃度の高い)のインク組成物を補充することにより、荷電粒子の減量を防止し、インク組成物の電気伝導度や、荷電粒子の電気伝導度とインク組成物の電気伝導度の割合を一定の範囲に留めることができる。また、平均粒子直径や粘度を維持することができる。さらに、インク組成物の物性値を一定の範囲内に保つことにより、インク吐出が長時間安定して均一に行われる。この際の補充は、例えば、使用しているインク液の電気伝導度や光学濃度等の物性値を検出し、不足量を算出して、機械的または人力で成されることが好ましい。また、画像データを基に使用するインク組成物の量を算出し、機械的または人力で成されてもよい。
本発明においては、用途に応じて様々な被記録媒体を用いることができる。例えば、紙、プラスチックフィルム、金属、および、プラスチックまたは金属がラミネートまたは蒸着された紙、金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等を用いれば、インクジェット記録することにより、直接印刷物を得ることができる。また、アルミニウムなどの金属を粗面化した支持体等を用いれば、オフセット印刷版を得ることができる。さらに、プラスチック支持体等を用いれば、フレキソ印刷版や液晶画面用のカラーフィルターを得ることができる。被記録媒体の形状は、シート状のように平面的であっても、円筒形状のように立体的であってもよい。また、シリコンウエハーや配線基板を被記録媒体として用いれば、半導体やプリント配線基板の製造に適用できる。
[オニウム塩モノマー1]
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(東京化成(株)製)60g、トルエン(和光純薬(株)製)145gを三口フラスコに投入し、0℃に冷却し、p−トルエンスルホン酸メチル(和光純薬(株)製)85.3gを1時間で滴下した。その後、室温にて5時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を2Lのヘキサン中に投入し、析出物を濾過し、真空乾燥することで、アンモニウム塩モノマーである、N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートp−トルエンスルホン酸塩を得た。(収量約127g)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(東京化成(株)製)80gに変更し、トルエンの使用量を150gに変更し、p−トルエンスルホン酸メチルの使用量を90gに変更した以外は、オニウム塩モノマー1の合成方法を繰り返した。約135gのN,N,N−ジエチルメチルアンモニウムエチルメタクリレートp−トルエンスルホン酸塩を得た。
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをビニルピリジン(ナカライテスク(株)製)40gに変更し、トルエンの使用量を150gに変更した以外は、オニウム塩モノマー1の合成方法を繰り返した。約110gのN−メチルビニルピリジンp−トルエンスルホン酸塩を得た。
[オニウム塩基含有ポリマー1]
ブチルメタクリレート(和光純薬(株)製)70g、メチルメタクリレート(和光純薬(株)製)25g、オニウム塩モノマー1の5gを、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG)230g、水2gとともに三口フラスコに投入し、オイルバス中にて80℃に加温し、窒素を30L/分の割合で流入させながら30分攪拌した。その後、反応液にアゾ系開始剤V601(和光純薬(株)製、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル)0.3gを投入し、80℃で5時間攪拌しながら重合した。5時間後、さらに反応液にV601の0.15gを投入し、90℃に昇温し、2時間攪拌しながら重合させた。重合反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、反応液を3Lの水中に投入し、再沈精製を行い、析出物を濾過し真空乾燥することで、オニウム塩基含有ポリマー1を約95g得た。得られたポリマーの重量平均分子量(MW)は34000であった。
ブチルメタクリレート70gおよびメチルメタクリレート25gの代わりに、ベンジルメタクリレート95gを使用した以外は、オニウム塩基含有ポリマー1の合成方法を繰り返した。約97gのオニウム塩基含有ポリマー2を得た。重量平均分子量は28000であった。
オニウム塩モノマー1の代わりに、オニウム塩モノマー2を使用した以外は、オニウム塩基含有ポリマー1の合成方法を繰り返した。約95gのオニウム塩基含有ポリマー3を得た。重量平均分子量は33000であった。
オニウム塩モノマー1の代わりに、オニウム塩モノマー3を使用した以外は、オニウム塩基含有ポリマー1の合成方法を繰り返した。約94gのオニウム塩基含有ポリマー4を得た。重量平均分子量は28000であった。
ブチルメタクリレート70gおよびメチルメタクリレート25gの代わりにベンジルメタクリレート90gを使用し、オニウム塩モノマー1の代わりに、オニウム塩モノマー2の10gを使用した以外は、オニウム塩基含有ポリマー1の合成方法を繰り返した。約97gのオニウム塩基含有ポリマー5を得た。重量平均分子量は28000であった。
ブチルメタクリレートの使用量を30gに変更し、メチルメタクリレート25gの代わりにスチレン(和光純薬(株)製)60gを使用し、オニウム塩モノマー1の10gを使用した以外は、オニウム塩基含有ポリマー1の合成方法を繰り返した。約96gのオニウム塩基含有ポリマー6を得た。重量平均分子量は26000であった。
ポリエチレンイミンSP400(日本触媒(株)製)100g、水200gを三口フラスコに投入し、0℃に冷却し、p−トルエンスルホン酸メチル(和光純薬(株)製)100gを1時間で滴下した。その後、室温にて5時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、反応液を3Lのアセトン中に投入し、析出物をデカントし、得られた固形物を真空乾燥することで、オニウム塩基含有ポリマー7(ポリエチレンイミンp−トルエンスルホン酸塩)を約186g得た。得られたポリマーの重量平均分子量(MW)は16000であった。
<使用した材料>
本実施例1においては、下記の材料を使用した。
・被覆剤[ブチルアクリレート/メチルメタクリレート:75/25質量%共重合体(アルドリッチ(株)製]
・オニウム塩化合物[テトラn−ブチルアンモニウムトシラート(和光純薬(株)製)]
・分散剤[BZ−2]
・荷電調整剤[CT−1]
・分散媒 アイソパーG(エクソン(株)製)
荷電調整剤[CT−1]は、1−オクタデセンと無水マレイン酸のコポリマーに、1−ヘキサデシルアミンを反応させることにより得た。重量平均分子量は17,000であった。
シアン顔料10g、被覆剤[ブチルアクリレート/メチルメタクリレート:75/25質量%共重合体(アルドリッチ(株)製)]18g、オニウム塩化合物[テトラn−ブチルアンモニウムトシラート(和光純薬(株)製)]2gを、入江商会(株)製、卓上型ニーダーPBV−0.1に入れ、ヒーター温度を100℃に設定し2時間加熱混合した。得られた混合物30gをトリオサイエンス(株)製、トリオブレンダーにて粗粉砕し、さらに協立理工(株)製、SK−M10型サンブルミルにて微粉砕した。得られた微粉砕物30gを、分散剤[BZ−2]7.5g、アイソパーG75g、および直径約3.0mmのガラスビーズと共に、東洋精機製作所(株)製、ペイントシェーカーにて予備分散した。ガラスビーズを除去した後、直径約0.6mmのジルコニアセラミックビーズと共に、シンマルエンタープライゼズ(株)製、Type KDLダイノミルにて、内温を25℃に保ちながら5時間、引き続き45℃で5時間、2,000rpmの回転数で分散(粒子化)した。得られた分散液からジルコニアセラミックビーズを除去し、アイソパーG316gと荷電調整剤[CT−1]0.6gを加え、インク組成物[EC−1]を得た。
得られたインク組成物中の粒子成分の粒子径は0.93μmであり、0.2μm以下の粒子分が0.6%以下であった。
図1〜3に示すインクジェット記録装置に、実施例1のインク組成物[EC−1]をインクタンクに充填した。ここでは吐出ヘッドとして図2に示すタイプの150dpi(チャンネル密度50dpiの3列千鳥配置)、833チャンネルヘッドを使用し、また定着手段として1kWのヒータを内蔵したシリコンゴム性ヒートローラを使用した。インク温度管理手段として投げ込みヒータと攪拌羽をインクタンク内に設け、インク温度は30℃に設定し、攪拌羽を30rpmで回転しながらサーモスタットで温度コントロールした。ここで攪拌羽は沈殿・凝集防止用の攪拌手段としても使用した。またインク流路を一部透明とし、それを挟んでLED発光素子と光検知素子を配置し、その出力シグナルによりインクの希釈液(アイソパーG)あるいは濃縮インク(上記インク組成物の固形分濃度を2倍に調整したもの)投入による濃度管理を行った。被記録媒体としてオフセット印刷用微コート紙を使用した。エアーポンプ吸引により被記録媒体表面の埃除去を行った後、吐出ヘッドを画像形成位置まで被記録媒体に近づけ、記録すべき画像データを画像データ演算制御部に伝送し、搬送ベルトの回転により被記録媒体を搬送させながら吐出ヘッドを逐次移動しながらインク組成物を吐出して2400dpiの描画解像力で画像を形成した。搬送ベルトとして、金属ベルトとポリイミドフィルムを張り合わせたものを使用し、このベルトの片端付近の搬送方向に沿ってライン状のマーカーを配置し、これを搬送ベルト位置検知手段で光学的に読み取り、位置制御手段を駆動して画像形成を行った。この際、光学的ギャップ検出装置による出力により吐出ヘッドと記録媒体の距離は0.5mmに保った。また吐出の際には被記録媒体の表面電位を−1.5kVとしておき、吐出を行う際には+500Vのパルス電圧を印加し(パルス巾50μsec)、15kHzの駆動周波数で画像形成を行った。
得られたグレースケール画像記録物(印刷物)は、筋ムラ、インクのにじみの程度を評価した。
インク組成物の荷電量は、前記のLCRメーター及び液体用電極(川口電機製作所(株)製、LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定した比電導度より求め、インク粒子の電導度は、インク組成物の全体の比電導度から、インク組成物を遠心分離器にかけた上澄みの比電導度を差し引いて求めた。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)製、SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行ったものである。
インク粒子の荷電発生効率(%)=(インク粒子の荷電量Q1/インク組成物の荷電量Q2)×100
経時での荷電量変化率(%)=(Q3/Q4)×100
使用素材として、被覆剤[ブチルアクリレート/メチルメタクリレート:75/25wt%共重合体(アルドリッチ(株)製)]をオニウム塩含有ポリマー1に変え、オニウム塩化合物は加えず、実施例1と同様な方法にてインク[EC−2]を作成した。得られたインク組成物中の粒子成分の粒子径は0.99μmであり、0.2μm以下の粒子分が0.5%以下であり、このインクを用い、荷電評価、インクジェット描画を実施した。
使用素材として、オニウム塩化合物をオニウム塩含有ポリマー7に変えた以外は、全く同様材にて、同様な方法にてインク[EC−3]を作成した。得られたインク組成物中の粒子成分の粒子径は1.03μmであり、0.2μm以下の粒子分が0.5%以下であり、このインクを用い、荷電評価、インクジェット描画を実施した。
実施例1のインク組成物[EC−1]の作成において、オニウム塩化合物[テトラn−ブチルアンモニウムトシラート(和光純薬(株)製)]を加えなかった以外は実施例1と同様にして、インク組成物[RC−1]を作成した。得られたインク組成物中の粒子成分の粒子径は0.99μmであり、0.2μm以下の粒子分が0.6%以下であり、このインクを用い、荷電評価、インクジェット描画を実施した。
○:経時での荷電量変化率(%)95以上
△:経時での荷電量変化率(%)95未満〜80以上
×:経時での荷電量変化率(%)80未満
2)インクジェット描画画像品質
描画画像の滲みの程度を目視評価
○:滲みなし
△:若干滲み発生
×:滲み発生
また、本オニウム塩類は、実施例1のように被覆剤中にブレンドしてもよく、実施例2にように被覆剤中に構成成分として導入されていてもよい。
実施例2のインク組成物[EC−2]の作成において、被覆剤を下記表2のものに変更した以外は実施例2と同様にして、インク組成物[EC−4〜EC−22]を作成した。
実施例1のインク組成物[EC−1]の作成において、オニウム塩化合物を下記表3のものに変更した以外は実施例1と同様にして、インク組成物[EC−23〜EC−44]を作成した。実施例1同様に評価を行い、実施例1〜3と同様の結果を得た。
P 被記録媒体
Q インク流
R 荷電粒子
1 インクジェット記録装置
2、2Y、2M、2C、2K 吐出ヘッド
3 インク循環系
4 ヘッドドライバ
5 位置制御手段
6A、6B、6C 搬送ベルト張架ローラ
7 搬送ベルト
8 搬送ベルト位置検知手段
9 静電吸着手段
10 除電手段
11 力学的手段
12 フィードローラ
13 ガイド
14 画像定着手段
15 ガイド
16 記録媒体位置検知手段
17 排出ファン
18 溶媒蒸気吸着材
38 インクガイド
40 支持棒部
42 インクメニスカス
44 絶縁層
46 第1吐出電極
48 絶縁層
50 ガード電極
52 絶縁層
56 第2吐出電極
58 絶縁層
62 浮遊導電板
64 被覆膜
66 絶縁部材
70 インクジェットヘッド
72 インク流路
74 基板
75、75A、75B 開口
76、76A、76B 吐出部
78 吐出部
Claims (3)
- 分散媒および色材を少なくとも含む荷電粒子を含有するインク組成物において、前記荷電粒子がオニウム塩を少なくとも1種含有することを特徴とする静電インクジェット用インク組成物。
- 前記オニウム塩が、アンモニウム類、オキソニウム類、スルホニウム類、セレニウム類およびホスホニウム類から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の静電インクジェット用インク組成物。
- 静電界を利用したインクジェット記録方式でインク組成物をインク滴として飛翔させるインクジェット記録方法において、使用するインク組成物が、分散媒および色材を少なくとも含む荷電粒子を含有し、かつ前記荷電粒子が、オニウム塩を少なくとも1種含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
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