JP2013520657A - 長い燃料交換間隔を有する小型の高速中性子スペクトル原子力発電所 - Google Patents

長い燃料交換間隔を有する小型の高速中性子スペクトル原子力発電所 Download PDF

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Abstract

特殊な条件および新興市場の要望に応えるように適合した多くのユニークな特徴を有する原子炉システムおよび方法が説明されている。高速中性子スペクトル原子炉システムは、原子炉タンクを有する原子炉を備えることができる。原子炉炉心は、原子炉タンク内に設置されてもよい。原子炉炉心は、熱輸送媒体として液体ナトリウムを用いる金属燃料またはサーメット燃料の燃料カラムを含むことができる。ポンプは、熱交換器を通じて液体ナトリウムを循環させることができる。このシステムは、原子力安全機能のないバランスオブプラントを含むことができる。この原子炉は、モジュールであってもよく、約100MWを生成することができる。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2010年2月22日に出願した米国仮特許出願第61/306,754号の優先権を主張するものであり、その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
[0002]本出願は、全体として参照により2010年1月29日に出願した米国特許出願第12/696,851号を組み込むものであり、その内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
[0003]本発明は、原子力発電所に関し、より詳細には、金属燃料を用いる高速中性子スペクトル・ナトリウム冷却炉に関する。
[0004]世界の電気の需要は、2030年までに2倍、2050年までに4倍程度になることが予想されている。世界の電気の需要の増加は、先進国からもたらされると予測されるが、発展途上国からもよりかなりの程度までもたらされると予想される。発展途上国の急成長に応じるために、原子力は、それらの特定の必要性に応じるように適合した構成にパッケージ化されるべきである。
[0005]本発明のさらなる理解を与えるために含められる添付図面は、本出願に組み込まれ、本出願の一部を構成し、本発明の好ましい実施形態を例示し、詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
[0006]本発明の一実施形態による例示的な小型モジュラー炉(「SMR」)を示す図である。 [0007]本発明の一実施形態によるSMR原子力発電所の一例である。 [0008]本発明の一実施形態による例示的な原子力の構成を示す図である。 [0009]本発明の一実施形態による例示的な燃料交換のクラスタレイアウト、および炉心の半径方向の濃縮の区割りを示す図である。 [00010]燃料交換作業中に炉心の締め付けおよび締め付け解除に用いられる例示的なウェッジを示す図である。 燃料交換作業中に炉心の締め付けおよび締め付け解除に用いられる例示的なウェッジを示す図である。 [00011]炉心の半径方向の膨張の反応度フィードバックを強化するのに用いられる例示的なウェッジを示す図である。 炉心の半径方向の膨張の反応度フィードバックを強化するのに用いられる例示的なウェッジを示す図である。 炉心の半径方向の膨張の反応度フィードバックを強化するのに用いられる例示的なウェッジを示す図である。
[00012]金属燃料を用いる高速中性子スペクトル・ナトリウム冷却炉が説明される。
[00013]図1は、本発明の例示的な小型モジュラー炉(「SMR:小型モジュラー炉」)システム501を示す。SMRシステムは、ウラン燃料炉心503を備えることができる。炉心組成は、初期炉心のための濃縮(<20%)ウラン/ジルコニウム合金、およびその後の炉心のためのリサイクルしたウラン/超ウラン・ジルコニウムであり得る。いくつかの実施形態では、ウラン235/トリウム/ジルコニウム合金が、使用されることもあり得る。
[00014]炉心503は、周囲圧力の液体ナトリウム507のタンク505内で浸漬することができる。タンク505は、薄肉のステンレス鋼であってもよく、平底荷船または鉄道によって輸送するための大きさに作製されてもよい。タンク505は、脱着可能なドーム519によって閉塞できるタンク505のガードベッセル517およびデッキ521内に配置することができる。ガードベッセル517およびドーム521は一緒になって、格納容器523を作り出すことができる。
[00015]SMRシステム501は、コンクリート製サイロ515に入れられ得る。炉心503およびその格納容器523は、コンクリート製の蓋付きのコンクリート製サイロ内に配置することができる。サイロおよびその蓋は、外的危険から原子炉システム501および格納容器523を保護するためのシールド構造を作り出すことができる。シールド構造ならびに/または格納容器523および原子炉503は、免震することができる。
[00016]SMRシステム501は、制御棒513を含むこともできる。
[00017]タンク505からの液体ナトリウム507は、炉心503から熱を運び去るために、1つまたは複数のポンプ509によって炉心503を通じてポンプすることができる。液体ナトリウム507は、1つまたは複数のナトリウム/ナトリウム熱交換器511へ熱を運ぶことができる。液体ナトリウム507は、約350℃から約510℃まで加熱され得る。
[00018]図2は、より大型のエネルギー発生システム601内のSMRシステム501を示す。加熱されたナトリウム507は、熱交換器511を通過して二次ナトリウムを加熱することができ、これは、二次熱交換器603を通過し、そこで二次ナトリウムが、超臨界(ほぼ液体の)二酸化炭素を加熱する。超臨界COは、約7MPaおよび約31℃のその臨界点のすぐ上の21MPaまで圧縮される。次に、再生熱交換器609においておよそ350℃まで回復され、次いで、Na対CO熱交換器においておよそ500℃までさらに加熱される。ほぼ液体流体の回復および圧縮により、理想気体のブレイトンサイクルに比べて比較的低温で約40%のエネルギー変換を可能にする。次いで、加熱された超臨界二酸化炭素を使用してガスタービン605を回して、二酸化炭素ブレイトンサイクル建屋607内の発電機608において電気を作ることができる。機械を回転させるタービン605および圧縮機606は、高密度のCOによりとてもコンパクトである。回復およびナトリウムと超臨界二酸化炭素の熱交換のために使用される「プリント回路」熱交換器603は、非常に高出力密度である。全体的に、超臨界COブレイトンサイクルは、同等のランキン蒸気サイクルエネルギー変換器よりもずっとよりコンパクトである。ブレイトンサイクルは、SMRに約39%から約41%以上の熱効率(電気に変換される熱エネルギー)、従来の軽水炉(「LWR」)の蒸気駆動タービンよりずっと高い効率を与えることができる。さらに、ある本発明の実施形態では、暖房、塩水脱塩、工業プロセス熱などの廃熱が、低温の必要性を満たすように使用されてもよく、または冷却塔を通じて放散されてもよい。
[00019]小型ナトリウム冷却高速炉は、重要な固有の安全特性を示し得る。これらの原子炉は、監督機関による素早い許可を促進することができる単純化されたフェイルセーフ制御で運転することができる。例えば、冷却材流の喪失、熱交換器における過冷却、制御棒の消耗、または熱を排除する能力の喪失などの事故状態に応じて、原子炉の実施形態は、人間または安全装置の介入なしで原子炉自体を停止することができる。例えば、原子炉の冷却材がヒートアップするとき、炉心構造は、熱膨張し、炉心からの中性子の漏れの増加を引き起こし、自己修正のやり方で出力レベルを減少させることができる。
[00020]SMRの運転要件は、電力需要のレベルを変えることによってもたらされる負荷要求に原子炉が生得的に従うことを可能にする特徴により、従来の原子力システムよりもかなり簡単であり得る。
[00021]金属合金燃料は、性能と製造の両観点からよく実証されており、長い燃料交換の時間間隔の要件を率直に満たすことができる。加えて、サーメット燃料が使用できる一方、それにも関わらず、サーメット燃料は、金属合金燃料の属性を保持する。
[00022]原子炉炉心は、約20年以上までの長い寿命を有し得る。原子炉は、恒久的な現場の燃料交換設備または燃料貯蔵所の能力を有しなくてもよく、または必要としなくもよい。燃料交換は、新しい炉心を有する燃料交換設備をもたらし、炉心を取り替え、完了時に使用済みの炉心と燃料交換設備の両方を持ち去る外部のサービス事業者によって行うことができる。燃料の運搬および輸送は、減定格比出力(kwt/kg燃料)により原子炉停止後にとても短時間で始まり得る。原子炉炉心内の1つまたは複数のマルチ集合体クラスタは、減定格比出力(kwt/kg燃料)を有することができ、それによって長い燃料交換間隔を可能にしつつ、既存の燃料データベースのままでいることを可能にする。これは、原子炉停止後に非常にすぐに燃料交換作業を可能にすることもできる。燃料交換作業は、原子炉全体の停止の約2週間以内に開始することができ、原子炉全体の停止の約1ヶ月以内に完了することができる。原子炉炉心全体は、約20年ごとに一度に取り換えることができる。したがって、原子炉システムは、作業員が燃料を運搬するという必要がないものであり得る。ユニット全体が、物理的かつ電子モニタを用いて封止されてもよく、それによってあらゆる侵入の試みが容易に検出される。燃料へ直接アクセスする必要性または能力を無くし、およびスマートモニタリングシステムを使用することによって、作業員の必要を減少させるだけでなく、普及の問題にも応える。加えて、SMRは、地下に設置されるのに十分小型であり、これによって格納容器、およびテロリストの活動からの保護を強化する。最後に、本システムの実施形態は、十分に小型であるので、それらは、平底荷船、鉄道、およびトラックによって輸送され、モジュールの施工技法を用いて現場で取り付けることができ、すなわち、遠隔で製造し、連続生産の経済性を得るこの能力は、望ましい利益である。
[00023]燃料カートリッジが、製造者/設計者/製造業者の施設に戻されるとき、ほとんど全ての使用済み核物質は、リサイクルされ、将来のカートリッジ内の燃料として使用することができ、地層処分場に貯蔵される最終廃棄物の容積および放射能毒性を大いに減少させる。従来の軽水炉からの使用済み燃料とは異なり、SMRからの物質は、何万年もの間貯蔵される必要はない。SMRからのリサイクルできない物質は、元のウラン鉱石に関連した放射線量まで廃棄物が減衰するまで数百年の貯蔵が必要である。
[00024]原子炉のコンセプトおよびその支持する燃料サイクルのインフラは、発展途上国における新興電気市場の必要性、および炭素を含まない非電気エネルギー源の切迫した世界的規模の必要性に応じるように適合した原子力の構成を提案することができる。この原子力の構成は、長い(20年)燃料交換間隔の小型高速炉の分散フリート(distributed fleet)を可能にし、全体のフリート(entire fleet)についての燃料の供給物および廃棄物の管理を取扱う少数の集中施設によって支援されるローカルエネルギーサービスを実現するために、(化石燃料のエネルギー密度より10倍より大きい)核燃料の膨大なエネルギー密度に頼り得る。原子炉は、ローカルグリッドおよび/または小規模グリッドのための大きさに作製され、標準化され、モジュール化され、工場製造および素早い現場組立のために事前にライセンス供与されてもよい。それに応じて、中央の燃料サイクルのインフラは、領域内の大集団の原子炉を支持する規模の経済のための大きさに作製されてもよく、国際的な保護措置の監督の下で運転され得る。この構成は、持続可能な発展の原則を満たすように適合している。
[00025]図3は、成熟期における例示的な原子力のインフラを示す。地域センター701は、原子炉燃料を供給/輸送し、および/または国703などの小地域からの使用済み燃料の返却を受け入れることができる。様々な地域センター701は、地域の余剰および/または不足を平等にするために、核分裂性の燃料親物質を取引きすることができる。
原子炉の概要
[00026]本発明の実施形態は、長い(約15年〜約20年)全炉心燃料交換間隔で運転する約50MW(125MW)〜約100MW(260MW)のナトリウム冷却高速炉を含むことができる。初期の燃料装荷は、フェライト/マルテンサイト被覆に結合された金属合金燃料スラッグ、ナトリウム、またはヘリウムの形態の濃縮ウラン(≦20%の濃縮)であり得る。原子炉は、原子炉の反応度の燃焼度スイング(reactivity burnup swing)が小さく、原子炉の炉心が、自給自足できる核分裂性であるように1に近い内部増殖比を示し得る。約1%未満のΔk/kの燃焼度スイングは、受動的安全および受動的負荷追従を促進することができる。本発明の実施形態は、80MWd/kg以上の燃料平均燃焼度を達成することができ、その20年の燃焼サイクルの完了時に高温冶金リサイクルに基づいて、劣化ウラン構成原料は、取替炉心に必要とされる全てであり得る。複数のリサイクルに基づいて、炉心組成は、平衡な超ウランの燃料組成に徐々にシフトすることができ、これは自給自足できる核分裂性でもあり、したがってリサイクルでU238構成だけを必要とする。
[00027]強制循環熱源炉は、およそ40%の変換効率を達成する超臨界CO(S−CO)ブレイトンサイクル出力変換器を駆動するナトリウム中間ループを通じておよそ500℃で熱を提供することができ、脱塩、地域熱などについてのボトミングサイクルを組み込むことができる可能性がある。他の実施形態は、ランキン蒸気サイクルを駆動させることも可能である。本発明の実施形態は、受動的崩壊熱除去を用い、スクラム不能過渡変動(ATWS:Anticipated Transients Without Scram)に対する受動的安全性応答を実現し、受動的負荷追従を用いることができる。バランスオブプラントは、原子力安全機能を持たなくてもよい。
[00028]発電所は、現場で素早く組み立てるために鉄道および平底荷船で輸送可能なモジュールの工場製造を可能にするような大きさに作製されてもよい。本発明の実施形態は、発展途上世界において急成長する都市ならびに全ての国における非電気産業および/または地方自治体のニッチな応用のインフラおよび制度上の必要を満たすことに狙いを定めている特徴を有し得る。
ターゲットにする新興市場
[00029]原子力は、過去35年間で、13,000原子炉・年の運転経験、および世界の電力供給の16%の市場占有率を達成した、よく確立された産業ビジネスである。原子力は、先進国における大型(1200MWより大きいまたはこれにほぼ等しい)発電所の形態で主に開発されている。現在、30カ国で開発された436基の原子炉がある。原子力開発の将来の成長は、2030年までに66%程度またはそれどころか100%の追加の能力となると予想される。この成長の大部分は、発展途上国で起こると予想されるが、発展途上国では、制度上の条件およびインフラの条件が、過去においてしばしば、好適な大規模なプラントおよびワンススルー燃料サイクルといったものとは異なる。発展途上国は、しばしば数十GWより少ない小型のローカルグリッドを有し、これは、1.2〜1.5GWの大きさの発電所を収容することができない。100MWで運転する本発明の実施形態は、より小さいグリッドサイズに適合するだけではなく、加えて、設置に必要とされる予算支出がより少額であり、急速な経済発展の最初の数十年の間、複数の開発プロジェクトにわたって限られた資金調達を共有する発展途上国の必要性に適合する。
[00030]燃料供給、リサイクル、および廃棄物管理のサービスを地域センターに委託した20年の燃料交換間隔は、全部そろった特有の燃料サイクル/廃棄物管理のインフラをまず置く必要がなくても今までにないエネルギー安全保障を国家が獲得することを可能にする。さらに、技術上および制度上の保護措置の運用において規模の経済に関しての燃料サイクル施設の集中化は、広い世界的な原子力ベースのエネルギー供給の展開として考えても国際的な核不拡散体制を促進することができる。
[00031]先進国におけるエネルギー供給の成長速度は、発展途上国におけるものより遅いと予想される。それにもかかわらず、新しい原子力プラントは、それが寿命の終わりに廃炉にされるときに、石炭プラントおよび原子力プラントの取換えが必要とされる。先進国における大容量の相互接続されたグリッドは、大出力定格プラントに適合する。しかし、ニッチの市場は、炭素を排出しない原子力の非電気応用および/またはコジェネレーション応用について先進国と発展途上国の両方で急浮上することが期待される。これらの中で、市場は、塩水脱塩、オイルサンド/オイルシェールの回収およびアップグレード、ならびに石炭またはバイオと液体の合成燃料の生成であり得る。受動的安全状態は、任意の安全機能がバランスオブプラントに割り当てられることを含まないと共に、原子炉の減らされたソースタームが、産業および地方自治体の設備に隣接する敷地に有利である。
燃料サイクルの特徴
[00032]第1に、炉心出力密度(kw/リットル)および燃料比出力kw/kgの燃料は、確立された金属合金燃料の実験データベースの範囲内に留まりつつ、20年の燃料交換間隔を達成するように減定格されてもよい。これは、クライアントの長期間のエネルギー安全保障、および高レベルの信頼できる有用性を与えることができる。
[00033]第2に、20年に一度、炉心全体の燃料交換が、現場外から燃料交換設備および新鮮な燃料を持ってきて、燃料交換作業を行い、次いで使用済み炉心および燃料交換設備を工場に戻す工場のスタッフによって行われ得る。これは、濃縮、燃料製造、再処理、および廃棄物収納場所についての特有の施設を置く従来の必要性なしにエネルギー安全保障を達成するやり方を顧客に与えることができる。
[00034]第3に、燃料交換作業は、複数のサブコンポーネントを含み得る燃料ハンドリング集合体に基づいてなされ得る。様々な数のサブコンポーネントが含まれてもよく、クラスタ化されていても、されていなくてもよい。一例として、図4中の7つの燃料集合体クラスタ801で構成される例示的な炉心を参照されたい。図4は、炉心コンポーネントの例示的な配置を示す。例えば、シールド集合体803の外側層は、反射体805の層を覆うことができ、反射体805の層は、外側炉心807の層を覆うことができる。より低濃縮の中間炉心809は、一般に、炉心801内に配置された一次制御813および二次制御815の集合体と共にさらにより低濃縮の内側炉心811を囲むことができる。図示されるように、燃料、反射体、シールドおよび制御棒の集合体は、炉心燃料交換の速度を速めるために7つの集合体クラスタにグループ化される。
[00035]運転中、7つの集合体クラスタは、原子炉停止の後、とても短い冷却期間後にエネルギー供給の有用性を最小限に妨げるように移動されてもよい。短い冷却期間、および7つの集合体クラスタの特徴は、減定格燃料比熱(kw/kg燃料)による可能性があり得る。
[00036]第4に、第1の燃料装荷は、濃縮ウラン(濃縮度<20%)であり得、炉心は、自給自足できる核分裂性であり得、20年の運転間隔の終わりに、炉心は、燃え尽きたものと同程度の生まれた核分裂性の内容物を含有するようになっている。使用された炉心を高温冶金リサイクルすると、U238の原材料および新たな被覆のみが、取り換える炉心の再加工に必要とされ得る。
[00037]第5に、複数のリサイクルによって、炉心の組成は、U235の豊富な組成から、自給自足できる核分裂性でもある平衡超ウランの豊富な組成に向けて徐々に移行することができる。燃料サイクルの廃棄物の流れは、核分裂生成物のみを含むことができ、この核分裂生成物は、放射能が背景濃度まで減衰するまでたった200〜300年の隔離を必要とするのに対して、全ての超ウラン元素は、燃料として原子炉に戻すことができ、原子炉で超ウラン元素は、核分裂生成物に変換される。
[00038]第6に、第1の炉心装荷の後、それに続く全ての炉心は、U238のみを原材料として必要とし得る。これは、世界の鉱石資源潜在性をほぼ100%の生産用途に拡張する可能性があり、少なくとも千年のエネルギー供給をもたらす。トリウムベースの金属合金燃料を使用する能力は、世界の資源のベースを数千年に延ばす。
[00039]第7に、燃料製造技術は、LWR使用済み燃料破砕酸化物粒子を金属合金へ混合してサーメットを形成するオプションを提供することができる。このオプションは、高温冶金リサイクルプロセスにおける追加の(酸化物還元)ステップと組み合わされたとき、それを高速炉の閉じた燃料サイクルの中に包含することによって、LWR使用済み燃料の費用効率が良い管理への道筋を提供することができる。
熱源炉の特徴
[00040]第1に、炉心レイアウトは、個々にダクト付きおよび開口部付き燃料集合体の集合体クラスタを含むことができる。上述の通り、炉心レイアウト内の例示的な7つの集合体クラスタについては、図4を参照されたい。他の実施形態では、他の個数および配置が考えられてもよい。集合体は、個々の燃料集合体を保ちつつ、オリフィスおよび制限されたフリーボウ反応フィードバック特性を保持するように燃料の運搬のためにクラスタにグループ化されてもよい。取換え可能な反射体およびシールド集合体は、3つまたは4つの集合体クラスタにグループ化されてもよい。
[00041]第2に、「制限されたフリーボウ」炉心を締め付ける手法が使用されてもよい。締め付ける手法は、図5Aに示されるように上方炉心装荷パッド903がほぼある高さで、ダクト燃料集合体913の炉心レイアウトの中央集合体位置に設置される脱着可能および垂直に調整可能な水平ウェッジ901を利用することができる。図5Aおよび図5Bに示されるように半径方向変位は誇張されていることを留意されたい。ウェッジ901は、原子炉デッキ909上の垂直位置決め機構907に結合された動力伝達系統905に取り付けることができる。好ましくは、ウェッジ901は、動力伝達系統905の下端にあり、そこで動力伝達系統905は、垂直方向にある。図5Bに示されるように、ウェッジ901は、燃料の運搬のために炉心を緩めるために、除去/引っ込められてもよい。燃料交換が完了したら、ウェッジ901は、上部装荷パッドの高さにある炉心形成リング911に対して外側に炉心915および上部装荷パッド917を締め付けるように再挿入されてもよい。好ましくは、上部装荷パッド917は、ダクト燃料集合体913のほぼ上端の高さで1つまたは複数のダクト燃料集合体913を囲むことができる。上方炉心装荷パッド903は、燃料の高さの上方であるが上部装荷パッド917の下方で1つまたは複数のダクト燃料集合体913を囲むことができる。格子板の高さは、ダクト燃料集合体913の底部にほぼ対応し得る。
[00042]第3に、炉心は、燃料組成が、20年にわたっての燃焼サイクルを含む、およびリサイクルの装荷ごとにさら含むときでも、運転および安全の両方の性能パラメータを保持することができる。
[00043]第4に、本発明の実施形態は、炉心寿命の全体にわたって反応度フィードバックを監視し、炉心が、その20年の燃焼サイクルを超えて経年するときにそれらの値が漂う場合には、ウェッジの垂直位置調整を用いてそれらの値を微調整する方策を含むことができる。必須の反応度フィードバックが、冷却材流速、入口冷却材温度、および制御棒位置の非侵入の小さい調整によってin situで測定することもできる。図6A〜図6Cに示されるように、炉心締め付けウェッジ901の静止位置は、反応度について本質的に負の出力係数の炉心の半径方向に膨張するコンポーネントの値を調整するために使用されてもよい。図6A〜図6Cに示されるように、半径方向変位は、強調されていることに留意されたい。図6Aに示されるように、出力を増大させると、燃料集合体913のそり951を(図6A〜図6C中の右へ向かう)外側に増大させ得る。炉心出力の増大時の抑制のない開花(Unrestrained flowering)は、ダクト燃料集合体913上の半径方向の温度勾配の増大から生じ得る。内側のダクト燃料集合体913は、図6Bに示されるように、外側に押され得る。制限されたフリーボウの炉心の拘束は、ダクト燃料集合体913の燃料ゾーンの高さで半径方向の拡張を強化し得る。図6Cに示されるように、冷却材出口温度の増大は、増大した温度でウェッジの動力伝達系統905を包むことができ、動力伝達系統の熱膨張によって、ウェッジ901を下方に/より深く駆動することができるようになっている。このことは、燃料ゾーンの高さで炉心燃料集合体913の半径方向外側へのそりを増幅することができ、次いでこれによって軸方向の漏れを増大し、および反応度を減少させることができる。フル出力およびフル流れでウェッジ901の静止位置を調整することによって、そりの強化の振幅は、微調整されてもよい。
[00044]第5に、受動的安全性応答は、スクラムなしで、流れの喪失、ヒートシンクの喪失、冷却された冷却材の入口温度、および単一ロッド消耗過渡オーバーパワー(ATWS)トランジェント起因に対して与えられ得る。出力および燃料および冷却材温度に関しての固有の反応度フィードバックは、崩壊熱レベルでほぼ0の反応度の燃焼度スイングおよび自然循環能力と組み合わされるとき、全てのATWS起因について、原子炉を損傷を受けていない安全な状態に持って行くことができ、すなわち、損傷が招かれる可能性はなく、安定な状態は、ロッドがスクラムできない場合でも、これらの起因について到着され得る。
[00045]第6に、受動的崩壊熱除去チャンネルが、周囲大気へ設けられてもよく、究極のヒートシンクは常に、能動的崩壊熱除去チャンネルに対するバックアップとして働く。受動的チャンネルは、フルパワーの1%未満または1%にほぼ等しいところで常に働いていてもよく、受動的チャンネルは、in situ非侵襲測定によって炉心寿命の全ての段階で機能していることが確認可能である。炉心および内部構造の熱容量は、受動的チャンネルの容量を超過した崩壊熱の初期過渡現象を安全に吸収するのに十分である。
発電所の特徴
[00046]第1に、S−COブレイトンサイクルエネルギー変換器を駆動する熱源炉は、およそ500℃で21MP〜31℃でおよそ7MPaの作動流体範囲内で運転している間、ほぼ40%以上の熱対電気の変換効率を達成することができる。この変換器は、非常に高出力密度の回転機械、およびひときわ高出力密度の伝熱式熱交換器を使用することができる。
[00047]第2に、熱源炉は、エネルギー変換器の熱の需要に受動的に負荷追従することができる。原子炉は、中間熱搬送ループの流量および戻り温度を介して通信されるバランスオブプラントの需要を感知することができる。原子炉の固有の反応度フィードバックは、数十秒以内に、制御棒の能動的な調整を必要とすることなく中間ループを通じた熱除去とバランスをとって熱発生を維持することができる。
[00048]第3に、原子力安全機能を持たず、通常の工業基準で構築、運転および維持することができるバランスオブプラント(BOP)が提供され得る。原子炉は、BOPから中間熱搬送ループを通じて戻ってくる流量および戻り温度の物理的に達成できる全ての組合せに受動的に対応することができる。受動的崩壊熱除去チャンネルは、BOPに依存しないことができ、ほぼゼロの燃焼度の制御スイングが、制御システム誤差aから生じる棒の消耗のTOPをダメージのないイベントにさせる。したがって、BOPは、いずれかの原子力安全機能を持つ必要がない。
[00049]第4に、本発明の実施形態は、BOPが原子力安全機能を持っていないので、幅広く多様なBOP構成を標準的な事前にライセンス供与された熱源炉に結び付ける可能性を含み得る。S−COブレイトンサイクルは、供給された熱のおよそ60%を排除することができ、およそ100℃と31℃の間でそれをすることができる。マルチ効果の蒸留除塩、地域熱、地域冷水、氷生産、および他のものを含む多くのコジェネレーションのオプションが、そのような温度範囲について存在し得る。代替として、種々の非電気産業のプロセスは、熱源炉、所与のその自己防衛特性、小型ソースターム、受動的負荷追従特性、および高いレベルの有用性と共に、近くに共に位置する。
[00050]前述の説明は、本発明の好ましい実施形態に向けられているが、当業者には他の変形形態および修正形態が明らかであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の変形形態および修正形態がなされ得ることに留意されたい。さらに、本発明の一実施形態に関連して説明された特徴は、上に明記されていない場合でも、他の実施形態に関連して使用されてもよい。

Claims (24)

  1. 高速中性子スペクトル原子炉システムであって、
    原子炉タンク、
    前記原子炉タンク内の原子炉炉心であって、熱輸送媒体として液体ナトリウムを用いる金属燃料またはサーメット燃料の燃料カラムを含む原子炉炉心、および
    熱交換器を通じて前記液体ナトリウムを循環させるポンプ
    を備える原子炉と、
    反応度フィードバックを含む少なくとも1つの受動的安全システムと、
    少なくとも1つの受動的負荷追従システムと、
    原子力安全機能のないバランスオブプラントと、
    約40%以上の変換効率で超臨界COブレイトンサイクルエネルギー変換器を駆動する熱源炉と
    を備え、
    前記原子炉が、モジュールであり、
    前記システムが、約50MWから約100MWを生成するシステム。
  2. ガードベッセルと、原子炉デッキの上方のドームとを含む小容積の格納容器構造をさらに備え、前記小容積の格納容器構造が、免震のサイロシールド構造内に置かれる、請求項1に記載の原子炉システム。
  3. 燃料交換設備または燃料貯蔵所が、現場に設置されていない、請求項1に記載の原子炉システム。
  4. 第1の装荷が、約20%未満の濃縮の濃縮ウランであり、その後の全ての装荷が、リサイクルウラン、超ウラン、およびジルコニウムである、請求項1に記載の原子炉システム。
  5. 燃料交換間隔が約20年であり、原子炉炉心全体が燃料交換中に取り換えられる、請求項1に記載の原子炉システム。
  6. 1つまたは複数のマルチ集合体クラスタをさらに備える、請求項1に記載の原子炉システム。
  7. 前記1つまたは複数のマルチ集合体クラスタが、長い燃料交換間隔を可能にすると共に、原子炉停止後約2週間で燃料交換作業を開始することを可能にするために減定格比出力(kwt/kg燃料)を有する、請求項6に記載の原子炉システム。
  8. 炉心の締め付けおよび前記反応度フィードバックの微調整のために、上方炉心装荷パッドの高さに前記原子炉炉心内に脱着可能および調整可能なウェッジをさらに備える、請求項1に記載の原子炉システム。
  9. 前記システムの熱効率が、約39%から約41%の間である、請求項1に記載の原子炉システム。
  10. 内部増殖比がほぼ1である、請求項1に記載の原子炉システム。
  11. 原子力を提供する方法であって、
    高速中性子スペクトル原子炉システムを用意するステップであって、前記システムが、
    原子炉タンク、
    前記原子炉タンク内の原子炉炉心であって、熱輸送媒体として液体ナトリウムを用いる金属燃料またはサーメット燃料の燃料カラムを含む原子炉炉心、および
    熱交換器を通じて前記液体ナトリウムを循環させるポンプ
    を備える原子炉と、
    反応度フィードバックを含む少なくとも1つの受動的安全システムと、
    少なくとも1つの受動的負荷追従システムと、
    原子力安全機能のないバランスオブプラントと、
    約40%以上の変換効率で超臨界COブレイトンサイクルエネルギー変換器を駆動する熱源炉と
    を備える、高速中性子スペクトル原子炉システムを用意するステップと、
    前記システムを初期化するステップと、
    熱を電気に変換するステップと、
    前記電気を供給するステップと
    を含み、
    前記原子炉が、モジュールであり、
    前記システムが、約50MW〜約100MWを生成する方法。
  12. 前記原子炉が、ガードベッセルと、原子炉デッキの上方のドームとを含む小容積の格納容器構造をさらに備え、前記小容積の格納容器構造が、免震のサイロシールド構造内に置かれる、請求項11に記載の方法。
  13. 燃料交換設備または燃料貯蔵所が、現場に設置されていない、請求項11に記載の方法。
  14. 第1の装荷が、約20%未満の濃縮の濃縮ウランであり、その後の装荷が、リサイクルウラン、自然発生した超ウラン、およびジルコニウムである、請求項11に記載の方法。
  15. 燃料交換間隔が約20年であり、前記原子炉炉心全体が燃料交換中に取り換えられる、請求項11に記載の方法。
  16. 前記原子炉が、1つまたは複数のマルチ集合体クラスタをさらに備える、請求項11に記載の方法。
  17. 前記1つまたは複数のマルチ集合体クラスタが、長い燃料交換間隔を可能にすると共に、原子炉停止後約2週間で燃料交換作業を開始することを可能にするために減定格比出力(kwt/kg燃料)を有する、請求項16に記載の方法。
  18. 前記原子炉が、炉心の締め付けおよび前記反応度フィードバックの微調整のために、上方炉心装荷パッドの高さに前記原子炉炉心内に脱着可能および調整可能なウェッジをさらに備える、請求項11に記載の方法。
  19. 前記システムの熱効率が、約39%から約41%の間である、請求項11に記載の方法。
  20. 内部増殖比がほぼ1である、請求項11に記載の方法。
  21. 炉心の締め付けのためのシステムであって、
    1つまたは複数のダクト燃料集合体、および炉心中央集合体位置を含む原子炉炉心と、
    前記1つまたは複数のダクト燃料集合体の上端の近くで前記1つまたは複数のダクト燃料集合体のそれぞれに結合された1つまたは複数の上部装荷パッドと、
    前記1つまたは複数の上部装荷パッドの下方の前記1つまたは複数のダクト燃料集合体のそれぞれに結合された1つまたは複数の上方炉心装荷パッドと、
    ほぼ上部装荷パッドの高さで前記原子炉炉心を囲む炉心形成リングであって、前記原子炉炉心の運転中に1つまたは複数の上部装荷パッドによって接触される炉心形成リングと、
    前記炉心中央集合体位置の中に挿入されるための脱着可能および調整可能なウェッジと、
    前記ウェッジの位置を挿入、除去、および調整するために前記ウェッジに結合されたウェッジ動力伝達系統と
    を備えるシステム。
  22. 前記ウェッジが、炉心の締め付けおよび反応度フィードバックの微調整のためにほぼ上方炉心装荷パッドのところに挿入される、請求項21に記載のシステム。
  23. 前記ウェッジの動力伝達系統が、反応度フィードバックの微調整のために熱膨張可能である、請求項21に記載のシステム。
  24. 前記ウェッジが、燃料交換作業のために緩められ、除去される、請求項21に記載のシステム。
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