JP2500390B2 - 深海調査船用原子炉 - Google Patents

深海調査船用原子炉

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JP2500390B2
JP2500390B2 JP2402271A JP40227190A JP2500390B2 JP 2500390 B2 JP2500390 B2 JP 2500390B2 JP 2402271 A JP2402271 A JP 2402271A JP 40227190 A JP40227190 A JP 40227190A JP 2500390 B2 JP2500390 B2 JP 2500390B2
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  • Heat-Exchange Devices With Radiators And Conduit Assemblies (AREA)
  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、深海に潜水して各種
の調査を行うための深海調査船の動力源として好適な、
特に耐圧性能に優れた原子炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の深海調査船用原子炉は未だ実用
化されているものはないが、その構造についてはいくつ
かの提案がなされている。その一例としては、PWRや
BWRのごとき軽水炉からなる原子炉本体、蒸気発生
器、タービン、発電機、コンデンサ冷却器等を円筒状の
耐圧殻内部に配設し、この耐圧殻を海水注に水没させる
ようにした構造の深海調査船用原子炉が提案されている
(迫淳ら,“深海炉DSRの設計検討(1) 原子炉プラン
トの概念”,日本原子力学会「1990年会」(1990年4月
2〜4 日、於東京大学)予稿集,180 頁参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来提案
されている上述した原子炉構造においては、凝縮器やヒ
ートパイプ式冷却器が耐圧殻の外部に配設されていて、
耐圧殻を貫通して外部へ伸長させた配管によって接続す
る構造となっている。このように配管を耐圧殻外部に伸
長させる構造は、例えば水深6500 mの深海での約 650気
圧といった水圧下においてはかならずしも満足しうる耐
圧性能をもたらすか否か疑問がある。
【0004】さらに原子炉本体として軽水炉を使用する
場合には、一次冷却水の炉水および給水についての不純
物濃度等を基準値以下にしなけらばならず、特に深海で
長期間にわたって運転しなければならない深海調査船用
の原子炉としては一次冷却水の水質管理が問題となり、
取り扱いが複雑となる。
【0005】そこでこの発明は、配管等を介して耐圧殻
外部に設置しなければならない冷却器や凝縮器を用いる
ことなく、従って深海の圧力に対する耐圧性能をより一
層高めることができ、しかも一次冷却水の水質管理の必
要のない改良された深海調査船用原子炉を提供すること
を目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明の深海
調査船用原子炉は、高温高速炉または高温ガス炉からな
る原子炉本体、この原子炉本体からの一次冷却材を循環
させる熱交換器、タービン、このタービンにより駆動さ
れる発電機、および二次系ガス冷却材を圧縮するコンプ
レッサを海水に水没させた密閉円筒状の耐圧殻内部に配
設し、前記耐圧殻の内面を伝熱面とするガス冷却器を耐
圧殻内面に沿って配設し、二次系ガス冷却材を前記の熱
交換器、タービン、ガス冷却器およびコンプレッサに流
通させて熱交換器へ循環させる二次系ガス冷却材循環路
を設けたことを特徴とするもので
【0007】ある。
【作用】原子炉本体で高温に加熱された一次冷却材は熱
交換器へ導かれ、再び原子炉本体へ循環される。一方、
二次系ガス冷却材循環路を流通するガスは熱交換器にお
いて加熱されたのちタービンへ導かれてこれを駆動させ
る。タービンが発電機を駆動させることにより発電がな
される。タービンを出た高温ガスは次いで耐圧殻内面に
沿って配設されたガス冷却器へ入り、ここで高温ガスか
ら耐圧殻内表面へ伝えられた熱量は、比較的肉厚な耐圧
殻内を熱伝導で耐圧殻外表面へ伝えられ、さらに周囲の
海水へ除去されることによって冷却さる。冷却されて密
度が大きくなったガスはコンプレッサへ導かれて圧縮さ
れ、再び熱交換器へ循環される。
【0008】上述のようにこの発明においては、二次系
ガス冷却材の冷却器を円筒状耐圧殻の内面に沿って設け
たから、従来のように耐圧殻外部に凝縮器や冷却器を配
置して耐圧殻を貫通する配管で接続するといった複雑な
構造にする必要がなく、その結果、従来のものと比較し
て原子炉の耐圧性能を高めることができる。
【0009】比較的肉厚の耐圧殻内を熱伝導で廃熱が効
率よく海水へ除去されるためには、耐圧殻内外表面の温
度差が少なくても50℃以上、好ましくは100℃近くある
ことが必要となる。そのためこの発明では、原子炉本体
の炉容器出口での一次冷却材温度約 700℃近くを得られ
る高温高速炉あるいは高温ガス炉を使用する必要があ
る。軽水炉や,炉容器出口での一次冷却材温度が550 ℃
程度と低い通常の高速炉は,この発明で用いる原子炉本
体として不適である。また、原子炉本体の一次冷却材出
口温度を 700℃近くにできる原子炉本体を使用したため
に、この発明におけるような二次系ガス冷却材を作動流
体とするクローズド・ブレイトン・サイクルあるいはス
ターリング・エンジン・システムを発電系として採用す
ることが可能となる。
【0010】
【実施例】図1はこの発明の深海調査船用原子炉の構造
を説明するものであり、外形の形状的特徴は、円筒状耐
圧殻1の外側に設置しなくてはならない構成部材が1つ
もなく、すべての構成部材が耐圧殻1内部に収納されて
いる点である。
【0011】耐圧殻1は、マルテンサイト系ステンレス
鋼あるいはTi合金からなる楕円形の縦断面を有する円
筒により作製することができ、その頂部開口は着脱可能
な蓋1aで密閉されている。耐圧殻1内の下部には原子
炉本体2が設置され、その上方に設けた熱交換器3との
間で一次冷却材循環路Aが形成される。耐圧殻1内の上
部にはタービン4、発電機5およびコンプレッサ6が配
設され、タービン4の回転軸7により発電機5およびコ
ンプレッサ6が駆動するように連設されている。さらに
耐圧殻1の内面の主要部分については、この内面に沿っ
てかつこの内面から一定間隔を置いて鋼板を配設するこ
とによって密封空間を形成し、これをガス冷却器8とし
て機能させている。ガス冷却器8内には必要に応じてフ
ィン8aを取り付けることにより、冷却効果を向上させ
ることができる。そして各部材を配管接続することによ
って、熱交換器3→タービン4→ガス冷却器8→コンプ
レッサ6→熱交換器3という二次系ガス冷却材循環路B
が形成される。
【0012】なお、二次系ガス冷却材循環路Bのコンプ
レッサ6→熱交換器3の間のガス流路とタービン4→ガ
ス冷却器8の間のガス流路とを熱交換的に通過させるエ
コノマイザ9を設けることにより、エネルギ収支を向上
させることができる。さらに、原子炉本体2と熱交換器
3との間に放射線遮蔽材10を配置することにより、タ
ービン4などが放射線の影響で劣化するのを防止するこ
とができる。また、耐圧殻1の外部近傍の海水中にスク
リュウ11を配設して耐圧殻1外表面に接触する海水が
絶えず流れるようにすれば、耐圧殻を伝熱面とするガス
冷却器8の冷却効率を高めることができるため好まし
い。
【0013】一次冷却材循環路Aおよび二次系ガス冷却
材循環路Bをわかりやすく示した図2を参照してこの発
明の原子炉の動作を説明する。原子炉本体2で高温とな
った一次冷却材は循環路Aにより熱交換器3へ導かれ、
ここで二次系ガス冷却材と熱交換した後、原子炉本体2
へ循環される。一次冷却材としては、高温高速炉の場合
はナトリウムまたはリチウムなどの液体金属、高温ガス
炉の場合は炭酸ガス、ヘリウム、窒素などのガスが一般
に用いられる。
【0014】熱交換器3内で熱交換により高温とされた
二次系ガス冷却材は、循環路Bによりタービン4へ導か
れてこれを駆動させた後、エコノマイザ9を経てガス冷
却器8へ導入される。ガス冷却器8内では、耐圧殻1を
介する熱伝導により周囲の低温海水に熱が除去されるこ
とによってガスが冷却される。冷却されて密度が大きく
なったガスはガス冷却器の下部から取り出されてコンプ
レッサ6へ導かれ、ここで圧縮された後エコノマイザ9
を経て再び熱交換器3へ送られて、一次冷却材との熱交
換により高温ガスとされる。エコノマイザ9では、ター
ビン4から排出される比較的高温のガスによって低温の
ガスが温められる。二次系ガス冷却材としては、Heや
He(60%) +Xe(40%) の混合ガスなどが使用で
きる。
【0015】耐圧殻を比較的厚く、例えば約10cmのマ
ルテンサイト系ステンレス鋼とした場合、ガス冷却器の
耐圧殻内外表面の温度差は 100℃近くあることが必要と
なる。この発明においては、原子炉本体に高温高速炉あ
るいは高温ガス炉を用いることまた発電系にガス系のク
ローズド・ブレイトン・サイクルを用いることによっ
て、耐圧殻内外表面の温度差を約 100℃程度にすること
ができる。すなわち、例えば高温高速炉の炉容器出口で
の一次冷却材温度は約 700℃となり、このとき二次系ガ
ス冷却材を用いるクローズド・ブレイトン・サイクルに
おける排熱時の平均ガス温度は約 180℃となる。ガス冷
却器内でのガス中の温度降下を70℃、海水中での耐圧
殻外表面と海水との間の温度差を5℃、海水の温度を5
℃とすると、耐圧殻内外表面の温度差ΔTは次のように
計算できる。 ΔT=180 −70−5−5=100(℃) 従って必要な耐圧殻内外表面の温度差を与えることがで
き、十分な冷却効率をもたらすことができる。
【0016】一方、軽水炉を原子炉本体とすると二次系
冷却材には水を使用することになる。この場合にこの発
明におけるようなガス冷却器8を用いると、耐圧殻内面
で水蒸気が凝縮することになる。このときの凝縮温度は
35〜45℃となるから、耐圧殻内外表面の温度差ΔT
は ΔT=(35〜45)−5−5=25〜35 (℃) となり、上記したこの発明におけるΔTの値の 1/4〜1/
3 となってしまう。このことは冷却器の伝熱面積が4〜
3倍必要であること、従って耐圧殻自体の大きさを4〜
3倍にしなければならないことを意味し、深海調査船用
の小型原子炉を提供することは実際上不可能となる。
【0017】
【発明の効果】以上の説明からわかるようにこの発明の
深海調査船用原子炉によれば、ガス冷却器を耐圧殻内面
に沿って配設し、さらにガスを作動流体とするクローズ
ド・ブレイトン・サイクルを発電系として採用したか
ら、発電系の作動流体であるガスをガス冷却器で効率よ
く冷却することができるとともに、冷却器や凝縮器を配
管等を介して耐圧殻外部に設置する必要がなくなるため
深海の水圧に対する耐圧性能を向上させることができ
る。
【0018】さらに、原子炉本体として軽水炉でなく高
温高速炉あるいは高温ガス炉を使用するため、軽水炉を
用いる場合のような水質管理を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の深海調査船用原子炉の好ましい実施
例を示す説明図である。
【図2】図1の原子炉における一次冷却材循環路および
二次系ガス冷却材循環路を示す説明図である。 1…耐圧殻、 2…原子炉本体、 3…熱交換器、 4
…タービン、5…発電機、 6…コンプレッサ、 8…
ガス冷却器、A…一次冷却材循環路、 B…二次系ガス
冷却材循環路。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高温高速炉または高温ガス炉からなる原子
    炉本体、該原子炉本体からの一次冷却材を循環させる熱
    交換器、タービン、該タービンにより駆動される発電
    機、および二次系ガス冷却材を圧縮するコンプレッサを
    海水に水没させた密閉円筒状の耐圧殻内部に配設し、該
    耐圧殻の内面を伝熱面とするガス冷却器を該耐圧殻内面
    に沿って配設し、二次系ガス冷却材を該熱交換器、該タ
    ービン、該ガス冷却器および該コンプレッサに流通させ
    て該熱交換器へ循環させる二次系ガス冷却材循環路を設
    けたことを特徴とする深海調査船用原子炉。
  2. 【請求項2】前記二次系ガス冷却材循環路にエコノマイ
    ザを配設し、前記コンプレッサからのガスを該エコノマ
    イザに流通させたのち前記熱交換器へ供給し、前記ター
    ビンからのガスを該エコノマイザに流通させたのち前記
    ガス冷却器へ循環させるようにした請求項1記載の深海
    調査船用原子炉。
  3. 【請求項3】前記耐圧殻外部近傍の海水中にスクリュウ
    を配設した請求項1記載の深海調査船用原子炉。
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