JP2002131459A - 原子炉用金属燃料要素 - Google Patents

原子炉用金属燃料要素

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JP2002131459A JP2000326058A JP2000326058A JP2002131459A JP 2002131459 A JP2002131459 A JP 2002131459A JP 2000326058 A JP2000326058 A JP 2000326058A JP 2000326058 A JP2000326058 A JP 2000326058A JP 2002131459 A JP2002131459 A JP 2002131459A
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Takeshi Yokoo
健 横尾
Takashige Ogata
孝成 尾形
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱伝達媒体が無くても金属燃料体の熱を被覆
管に良好に伝えることができるようにする。 【解決手段】 被覆管2と、この被覆管2内に充填され
た多数の粒状の金属燃料体1、および前記金属燃料体の
間隙に充填された不活性ガスを備え、粒状の金属燃料体
の焼結等によって隣り合うものの接触面積を増加させ、
当該接触面を通じて行われる熱伝導によって前記金属燃
料体の溶融を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉用金属燃料
要素に関する。さらに詳しくは、本発明は、より多くの
型式の原子炉やより多くの方式の再処理に適用可能とす
る原子炉用金属燃料要素に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ウラン合金等の金属燃料を使用し
た原子炉用金属燃料要素として、粒状に成型した多数の
金属燃料体と液体ナトリウム等の熱伝達媒体を被覆管内
に封入したものが知られている(尾形孝成、他、「粒子
型金属燃料の概念」日本原子力学会1999年秋の大会、I5
3、1999年9月)。かかる金属燃料要素は、鋳造によって
円柱形状に成型した金属燃料体を用いる金属燃料要素を
改良したものであり、この円柱形状の金属燃料体を用い
る金属燃料要素では液体ナトリウム等の熱伝達媒体を被
覆管内に封入して金属燃料体の熱を被覆管に伝えるよう
にしていたので、同様に、粒状の金属燃料体を多数用い
る金属燃料要素でも被覆管内に液体ナトリウム等の熱伝
達媒体を封入していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液体ナ
トリウム等の熱伝達媒体を封入した従来の金属燃料要素
を、冷却材として例えば水を用いる原子炉に用いると、
万一被覆管が破損した場合、ナトリウムと冷却材である
水との間で化学反応を生じるため、この金属燃料要素は
冷却材として水を用いる原子炉には適合しない。また、
冷却材として鉛−ビスマス合金を用いる原子炉に用いる
と、万一被覆管が破損した場合、ナトリウムと冷却材で
ある鉛−ビスマス合金との間で固体の化合物を形成する
恐れがあるため、従来の金属燃料要素は冷却材として鉛
−ビスマスを用いる原子炉には好適ではない。さらに、
金属燃料を使用後に再処理する場合、ナトリウム等の熱
伝達媒体の処理のために特別な工程や設備類が必要とな
るなどの不利益が生じる。
【0004】ところで、金属等の粒子同士を接触させて
加熱すると、それらが溶融しなくても粒子同士が接合す
る焼結現象が起きることが知られている。焼結が生じる
と粒子同士の接触面積が増加する。このため、本願の発
明者らは、被覆管に充填した多数の粒状の金属燃料体の
焼結によって金属燃料粒子同士の接触面積を増加させる
ことで金属燃料体から被覆管への熱の伝わりを実用上十
分に確保できるのではないかと考え、その解析評価を行
った。その結果、本願の発明者らは、被覆管内に液体ナ
トリウム等の熱伝達媒体を封入しておかなくても、粒状
の金属燃料体同士の接触によって金属燃料体の熱を被覆
管に伝えて金属燃料体の溶融を十分に防止できることを
見い出すに至った。即ち、本願の発明者らは、上述の種
々の不利益の源となるナトリウム等の熱伝達媒体を金属
燃料要素から除外し、しかも金属燃料体で発生した熱を
取り出しその溶融を防止するために、粒子同士の焼結現
象を利用することを思いついた。
【0005】本発明は、より多くの型式の原子炉やより
多くの方式の再処理に適用可能とするため、ナトリウム
等の液体金属の熱伝達媒体が不要な原子炉用金属燃料要
素を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1記載の原子炉用金属燃料要素は、被覆管
と、この被覆管内に充填された多数の粒状の金属燃料
体、および前記金属燃料体の間隙に充填された不活性ガ
スを備え、粒状の金属燃料体同士の焼結および燃焼によ
る膨張によって隣り合うものの接触面積を増加させ、当
該接触面を通じて行われる熱伝導によって前記金属燃料
体の溶融を防止するものである。
【0007】被覆管内に充填された粒状の金属燃料体
は、燃焼前には隣り合う金属燃料体に対して点接触また
はそれに近い状態で接触している。そして、金属燃料要
素が炉心に装荷され、原子炉の運転によって金属燃料体
の温度が上昇すると、粒状の金属燃料体同士の接触部に
おいて、焼結現象が生じ、当該接触部の接触面積が増加
する。これによって、金属燃料体で発生した熱は、主と
して粒状の金属燃料体自体を通じて、被覆管に良好に伝
えられる。すなわち、焼結現象を利用することで、金属
燃料体から被覆管に熱を伝える接触面積を増加させるこ
とができる。また、原子炉の運転によって金属燃料体が
燃焼すると、核分裂生成ガスの生成等により金属燃料体
の一粒一粒が膨張する、すなわちスウェリング現象が起
こる。スウェリングも粒状の金属燃料体同士の接触面積
の増大に寄与する。なお、金属燃料体の膨張による体積
の増加分は金属燃料体の隙間で吸収し、あるいは金属燃
料体の移動によって吸収するので、被覆管が破損するこ
とはない。
【0008】ここで、粒状の金属燃料体の隙間を含む被
覆管内部は、ヘリウムやアルゴン等の不活性ガスで満た
される。したがって、金属燃料体の空気による酸化が防
止される。なお、金属燃料要素の製造はアルゴンやヘリ
ウム等の不活性ガス中で行われるため、被覆管内の金属
燃料体の間隙を不活性ガスで満たすことは簡単である。
【0009】さらに、被覆管の内部に使用温度において
液体となる熱伝達媒体がないため、請求項2の発明のよ
うに、ガスプレナムを金属燃料体の充填部分の下に配置
することができる。この場合、金属燃料要素の下部は上
部に比べて低温であるため、同じ体積のガスプレナムを
金属燃料体の充填部分の上に配置する場合に比べて、ガ
スプレナムの圧力を下げることができ、より長い期間金
属燃料要素が使用可能となる。また、ガスプレナムを金
属燃料体の充填部分の下に配置する場合、同じ圧力とな
るガスプレナムを金属燃料体の充填部分の上に配置する
場合に比べて、ガスプレナムの長さを短くすることがで
き、金属燃料要素全体の長さも短くすることができて、
経済性の向上を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の一形態に基づいて詳細に説明する。
【0011】図1に本発明を適用した原子炉用金属燃料
要素(以下、単に金属燃料要素という)の実施の一形態
を示す。この金属燃料要素は、燃料用合金を粒状に成形
した金属燃料体1を多数被覆管2内に充填して成る。な
お、被覆管2は例えばスチール製であり、その上下両端
が上部端栓3および下部端栓4を溶接することで閉塞さ
れている。また、燃料体1を充填した領域と上部端栓3
との間には核分裂生成ガスを溜めるガスプレナム5が設
けられている。燃料体1の間の隙間およびガスプレナム
5には、金属燃料要素の製造時には、例えばヘリウムを
満たしておく。
【0012】なお、燃料用合金としては、例えばウラン
に必要に応じていくつかの元素(例えば、ジルコニウ
ム、モリブデン等)を添加したウラン合金、プルトニウ
ムに必要に応じていくつかの元素(例えば、ジルコニウ
ム、モリブデン等)を添加したプルトニウム合金、ウラ
ン合金にプルトニウムを添加した合金等がある。
【0013】燃焼前の金属燃料体1は、隣り合う金属燃
料体1に対して点接触またはそれに近い状態で接触して
いる。そして、金属燃料要素を炉心に装荷し、例えば、
比較的低い出力で一定期間原子炉を運転して、すなわち
プレコンディショニング運転を行って、金属燃料体1を
燃焼させると、金属燃料体1の温度が上昇して、粒状の
金属燃料体1同士の接触部において、焼結現象が生じ、
当該接触部の接触面積が増加する。なお、金属燃料体1
が燃焼すると、核分裂生成ガスの生成等により金属燃料
体1の一粒一粒がスウェリングする。スウェリングも粒
状の金属燃料体1同士の接触面積の増大に寄与する。こ
れらによって、金属燃料体1で発生した熱は、主として
粒状の金属燃料体1自体を通じて、被覆管2に良好に伝
えられる。すなわち、焼結現象などを利用することで、
金属燃料体1から被覆管2に熱を伝える接触面積を増加
させることができる。一定期間のプレコンディショニン
グ運転を行って、金属燃料体1から被覆管への熱伝達が
良好となった後、原子炉を定格出力で運転する。ただ
し、原子炉の定格出力が十分に低く設定されている場合
には、上述のようなプレコンディショニング運転の必要
はない。
【0014】なお、実用上十分に長い期間金属燃料要素
を原子炉内で使用する場合、金属燃料体のスウェリング
を吸収する空間を確保するために、被覆管2内で金属燃
料体1が存在する領域における金属燃料体1が占める体
積割合を十分に低く設定する必要がある。この体積割合
は、従来の円柱状の金属燃料体を用いる金属燃料要素の
場合、85%より低い値が好ましいことが知られてお
り、中でも75%の体積割合を有する金属燃料要素に対
して最も多くの使用実績がある。本発明の金属燃料要素
の場合においても、当該体積割合を75%程度としてお
くことにより、金属燃料体1のスウェリングによる体積
の増加分は金属燃料体1の粒子の隙間で吸収され、ある
いは金属燃料体1の移動によって吸収されると考えられ
るので、被覆管2が破損することはない。
【0015】この金属燃料要素では、ナトリウム等の原
子炉内で放射化する熱伝達媒体が入っていないので、使
用後に再処理する場合、それらを処理するための特別な
工程や設備類が不要になる。また、放射性廃棄物の量を
減らすことができる。これらのため、核燃料の再処理や
放射性廃棄物の処理処分に要するコストを下げることが
できる。しかも、ナトリウム等の活性な熱伝達媒体を使
用していないため、被覆管2の破損等による熱伝達媒体
の漏洩等が生じることがなく、また、冷却材との相性等
を考慮する必要もないので、より多くの型式の原子炉に
適用することができる。
【0016】また、この金属燃料要素では、被覆管2内
に異なる粒径の金属燃料体1を充填しているので、その
配合割合を種々変えることで当該金属燃料体1の充填率
を調節することができる。
【0017】さらに、金属燃料体1の間の隙間には、ヘ
リウム等の不活性ガスが充填されているので、金属燃料
体1の酸化を防止することができる。
【0018】なお、上述の形態は本発明の好適な形態の
一例であるが、これに限定されるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能であ
る。例えば、上述の説明では、金属燃料体1の間の隙間
をヘリウムで充填する場合の金属燃料要素についてのも
のであるが、必ずしもヘリウムに限るものではなく、例
えばアルゴン等のガスを使用しても良い。
【0019】また、上述の説明では、被覆管2をスチー
ル製としているが、被覆管2の材質としてはスチールに
限るものではなく、適用する原子炉の条件によっては、
例えばジルコニウム合金やマグネシウム合金、アルミ合
金等の使用も可能である。
【0020】さらに、上述の説明では、金属燃料体1と
して複数の粒径のものを使用していたが、単一の粒径の
金属燃料体を使用しても良い。また、上述の説明では、
被覆管2に充填する金属燃料体1を全て同じ燃料用合金
から構成していたが、異なる燃料用合金で構成した金属
燃料体を充填するようにしても良い。例えば、図2に示
すように、ウラン−プルトニウム合金から成る金属燃料
体1の上下に低濃縮ウラン合金からなるブランケット燃
料としての金属燃料体7を充填するようにしてもよい。
【0021】また、上述の説明では、被覆管2内の下半
部に金属燃料体1を充填し、その上の領域をガスプレナ
ム5としていたが、図2に示すように、被覆管2内を仕
切り板6によって上下に分割し、仕切り板6よりも上に
金属燃料体1および金属燃料体7を充填し、仕切り板6
よりも下、即ち金属燃料体1および金属燃料体7を充填
した領域の下方にガスプレナム5を配置するようにして
も良い。本発明の金属燃料要素では液体金属等の熱伝達
媒体を不要にしているので、このようなガスプレナム5
の配置が可能になる。原子炉の炉心では、通常、冷却材
が下から上に向けて流れるため、冷却材の温度は上部よ
り下部の方が低い。このため、比較的低温の位置にガス
プレナム5が配置されることになり、同じ体積のガスプ
レナムを高温になる被覆管2の上部に配置する場合に比
べて、ガスプレナム5内を低圧にすることができる。被
覆管2内の圧力は核分裂生成ガスの発生により徐々に上
昇するが、ガスプレナム5内の温度を低くしておくこと
でガスプレナム5内が高圧になるのを遅らせることがで
き、より長い期間にわたって金属燃料要素の使用が可能
になる。また、温度の低い位置にガスプレナム5を配置
することで、温度が高い位置にガスプレナムを配置する
場合に比べて、その容積を小さくできる。このため、金
属燃料要素の長さを短くすることができ、また、熱伝達
媒体が不要であることとも相俟って、製造コストを下げ
ることができる。また、金属燃料要素が短くなれば原子
炉の小型化を図ることも可能となり、発電所の建設コス
トを下げて経済性の向上を図ることも可能になる。
【0022】なお、仕切り板6は、例えば、タングステ
ン、モリブデン、ジルコニウム、バナジウム等の金属あ
るいはアルミナ、ジルコニア、イットリア等のセラミッ
クから成る多孔質体で形成され、金属燃料体1および金
属燃料体7で生成した核分裂生成ガスが仕切り板6を通
じて移動可能となっている。
【0023】
【実施例】次に、金属燃料要素の実施例について説明す
るが、これらの実施例に限るものではないことは勿論で
ある。
【0024】図2は、金属燃料体1および金属燃料体7
を、外径が7.5mm、内径が6.5mmのスチール製
の被覆管2に多数充填し、被覆管の上下を上部端栓3お
よび下部端栓4によって閉じた場合の金属燃料要素であ
る。金属燃料体1および金属燃料体7とガスプレナム5
とは、仕切り板6によって仕切られている。ここで、金
属燃料体1は、外径約1mmの球状に成形した劣化ウラ
ン−プルトニウム−ジルコニウム合金と外径約0.1m
mの球状に成型した劣化ウラン−プルトニウム−ジルコ
ニウム合金とを、前者7、後者3の重量比で混合したも
のである。金属燃料体7は、外径約1mmの球状に成形
したウラン−ジルコニウム合金と外径約0.1mmの球
状に成型したウラン−ジルコニウム合金とを、前者7、
後者3の重量比で混合したものである。ブランケット燃
料である金属燃料体7は金属燃料体1の上下に配置す
る。金属燃料体1の間隙、金属燃料体7の間隙、および
ガスプレナム5にはヘリウムを充填する。このような金
属燃料要素を炉心に装荷した場合、金属燃料体1の単位
体積あたりの発熱量は金属燃料体7の単位体積あたりの
発熱量に比べて格段に大きいため、このような金属燃料
要素において温度が最高となる場所は金属燃料体1にお
いて現れる。そこで、金属燃料体1の最高温度について
検討した。
【0025】外径約1mmの球状に成形した粒子と外径
約0.1mmの球状に成型した粒子とを、前者7、後者
3の重量比で混合し、内径約8mmの円筒内に充填した
場合、充填密度は長さ方向にほぼ一定で約75%となる
ことが知られている(尾形孝成、他、「粒子型金属燃料
の概念」日本原子力学会1999年秋の大会、I53、1999年9
月)。したがって、図2の金属燃料要素においても、被
覆管2内で金属燃料体1が存在する領域において、その
領域の約75%を金属燃料体1が占め、残りの約25%
はヘリウムガスが占めることとなると予測される。ま
た、金属燃料体1の化学的組成がウラン75%、プルト
ニウム15%、ジルコニウム10%であって、金属燃料
体1の粒子同士の焼結が全く生じていない場合、金属燃
料体1の粒子を充填した領域の熱伝導率は約3ないし4
W/m/Kとなることが本願の発明者らの計算によって
わかった。したがって、炉心への装荷後、金属燃料要素
1cm長さあたりの出力が150Wの条件でプレコンデ
ィショニング運転を開始すると、冷却材の炉心入口にお
ける温度が約350℃とした場合、この時点における最
高温度は約900℃となる。このような条件で燃焼を継
続させると、金属燃料体1の粒子同士の焼結が進み、金
属燃料体1の熱伝導率が向上して、最高温度が下がる。
この最高温度の低下を補うように、徐々に燃料要素の出
力を増加させると、プレコンディショニング運転の期間
中の金属燃料体1の温度をほぼ一定に調整することがで
き、金属燃料体1の粒子同士の焼結を十分に進ませるこ
とができる。本願の発明者らの計算によれば、金属燃料
体1の粒子同士の接触部分の直径が当該粒子の直径の1
0ないし30%程度となった領域の金属燃料体1の熱伝
導率は約20ないし約21W/m/Kとなる。このよう
な状況が達成された時点でプレコンディショニング運転
を終了し、原子炉の定格出力運転を始める。この時点に
おいて、金属燃料体1の横断面の中で、中央部の約81
%の面積では十分な焼結が進み、残りの約9%の最外周
部分の面積では殆ど焼結が進まないと仮定し、原子炉の
定格運転時にはこの金属燃料要素の1cm長さあたりの
出力が約400Wとなる場合、金属燃料体1の最高温度
は約950℃となる。一方、同燃料体が溶融し始める温
度は約1150℃であるので、金属燃料体1は溶融に対
して十分な余裕を持つと判断できる。
【0026】なお、原子炉の定格運転時の金属燃料要素
1cm長さあたりの出力が比較的低い値、例えば150
W程度に設定されるならば、上述のプレコンディショニ
ング運転は必要ない。
【0027】また、上述の説明では、金属燃料体1の粒
子のスウェリングによる当該粒子同士の接触面積の増加
の効果を考慮していないが、これを考慮にいれた場合、
金属燃料体1の粒子同士の接触を十分なものとするのに
必要なプレコンディショニング運転の期間をより短く設
定できることとなる。
【0028】さらに、本実施例においては、図2に示し
たように、仕切り板6の上に金属燃料体1および7を充
填することで、金属燃料要素の下半部にガスプレナム5
を配置している。仕切り板6は、金属燃料体1および7
の粒子は通過できないが、金属燃料体1および7から発
生する核分裂生成ガスは通過できる多孔質体であり、具
体的にはタングステン、モリブデン、ジルコニウム、バ
ナジウム等の金属あるいはアルミナ、ジルコニア、イッ
トリア等のセラミックから成る多孔質体の使用が考えら
れる。本発明の金属燃料要素では液体ナトリウム等の熱
伝達媒体を不要にしているので、このようなガスプレナ
ム5の配置が可能となったものである。ガスプレナム5
を金属燃料体1および7の下方に配置することで、ガス
プレナム5を金属燃料体1および7の上方に配置した場
合に比べて、原子炉の運転時のガスプレナム温度を約1
50℃低くできると考えられる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の原
子炉用金属燃料要素では、被覆管と、この被覆管内に充
填された多数の粒状の金属燃料体、および前記金属燃料
体の間隙に充填された不活性ガスを備え、主に粒状の金
属燃料体の焼結によって隣り合うものの接触面積を増加
させて当該接触面を通じて行われる熱伝導によって金属
燃料体で発生した熱を良好に取り出すことができるの
で、金属燃料体の溶融を防止することができる。このた
め、金属燃料体の熱を被覆管に伝える熱伝達媒体が不要
になり、使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処理処分
が容易になる。また、金属燃料の製造も容易になる。し
かも、被覆管内にはナトリウム等の活性な熱伝達媒体を
封入する必要がないので、被覆管の破損等による熱伝達
媒体の漏洩等が生じることがなく、また、冷却材との相
性等を考慮する必要もないため、より多くの型式の原子
炉への使用が可能になる。
【0030】さらに、請求項2記載の原子炉用金属燃料
要素では、金属燃料体を充填した領域の下方にガスプレ
ナムを配置しているので、ガスプレナムの温度を低くす
ることができる。このため、ガスプレナムの低圧化、小
容積化に適したレイアウトを実現することができ、金属
燃料の長寿命化および金属燃料要素の小型化を図ること
ができる。この結果、金属燃料要素の製造コストを下げ
ることができるとともに、原子炉をコンパクトなものに
して原子力発電所の建設コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した金属燃料要素の実施形態の一
例を示す断面図である。
【図2】本発明を適用した金属燃料要素の他の実施形態
を示す断面図である。
【符号の説明】
1 粒状の金属燃料体 2 被覆管 3 上部端栓 4 下部端栓 5 ガスプレナム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆管と、この被覆管内に充填された多
    数の粒状の金属燃料体、および前記金属燃料体の間隙に
    充填された不活性ガスを備え、主に粒状の金属燃料体の
    焼結によって隣り合うものの接触面積を増加させ、当該
    接触面を通じて行われる熱伝導によって前記金属燃料体
    の溶融を防止することを特徴とする原子炉用金属燃料要
    素。
  2. 【請求項2】 粒状の金属燃料体が充填された部分の下
    にガスプレナムを配置することを特徴とする請求項1記
    載の原子炉用金属燃料要素。
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