JP4625239B2 - 沸騰水型原子炉の冷却水出口温度高温化用高温燃料集合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉の炉心を構成する燃料集合体と制御棒に関する。
【0002】
【従来の技術】
現行の沸騰水型原子炉は、炉心圧力が約7MPaで、炉心の下から約280 度Cの冷却水が未飽和水で入り286 度Cの液体と蒸気が混在した二相流となって炉心上部から出て行く。
図1は核燃料物質を内包する従来の燃料集合体(10)と従来の制御棒(20)の概観図である。燃料集合体(10)は、核燃料物質を内封している円柱形状の燃料棒(12)を多数本正方格子状(まれに三角格子状)に配列しそれ等の下部を燃料下部タイプレート(40)に差込、チャンネルボックス(11)で覆っている。燃料集合体(10)は燃料集合体支持金具(50)によって支えられている。燃料棒(12)の間には熱を原子炉の外に取り出すための冷却水(13)が、下から未飽和水で入り上に流れるに従い燃料棒から熱を吸収して蒸気になり、蒸気と液体とが混在した二相流となって流れている。チャンネルボックス(11)の間には漏洩冷却水(30)が流れている。制御棒(20)はチャンネルボックス(11)の間を上下に動ける。制御棒(20)は原子炉出力を制御するための中性子を吸収する性質の強い物質であるハフニウム薄板をステンレスで補強した構造になっている。制御棒(20)は、制御棒案内管(22)に納められている制御棒駆動装置(23)によって上下に動く。制御棒案内管(22)は燃料集合体支持金具(50)を支持もしている。図中矢印は冷却水の主たる流れ方向を示す。
図2は従来の燃料集合体(10)と従来の制御棒(20)とからなる炉心の平面図の一部である。
図3は従来の燃料棒(12)の概観図である。MOXと呼ばれるウラニウムとプルトニウムの混合酸化物を焼結した直径約8mm長さ約10mmのMOX焼結ペレット(61)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の約10倍程度のヘリウムとを内封する直径約10mm長さ2m〜4mの円筒形鞘であるジルコニウム合金被覆管(62)からなっている。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
現在稼動中の沸騰水型原子炉の炉心は、高価な濃縮ウランや再処理費用が高いプルトニウムの節約のために、熱中性子を利用する。ジルコニウム合金被覆管(62)は熱中性子吸収の割合が小さいジルコニウム合金が主体である。ジルコニウム合金の耐熱健全性等から蒸気出口温度は約286 度Cである。火力発電における蒸気温度に比べて低く熱効率が低いため発電コストが高い。更に、熱効率が低いことは廃棄熱が多いことを意味するから熱汚染も問題になりつつあるため、廃棄熱総量を減らす上からも蒸気出口温度を上げることが重要である。
濃縮ウランの残渣である劣化ウランの捨て場所不足により濃縮ウランの使用に問題が生じつつあることやプルトニウムの再処理技術向上による価格低下とあいまって、プルトニウムの有効利用が必要になる。プルトニウムの有効利用には高速中性子利用が有利である。従来の熱中性子によるプルトニウム利用では、核分裂の妨げとなる放射性物質であるプルトニウム242やアメリシウムが大量に発生しそれ等の貯蔵管理も問題になる。
現行沸騰水型原子炉の系統設備やシステムはほぼ完成されたものであり安全性も高い。できるだけ現行沸騰水型原子炉の系統設備やシステムを変更しないで上記問題に対処するのが得策と考えられる。特に、冷却水入口温度は現行と同じ約280 度Cの未飽和水、原子炉圧力も現行と同じ約7MPaにして、炉心出口蒸気温度は現行の286 度Cよりも高くしたい。
【0004】
【課題を解決するための手段】
図4に示すように本発明の高温燃料集合体(100)は、従来の燃料集合体(10)同様に核燃料物質を内封している円柱形状の燃料棒(12)を多数本正方格子状に配列しそれ等の下部を燃料下部タイプレート(40)に差込むが、チャンネルボックス無しとし、本発明の制御棒上部案内管(110)に面した保護燃料棒(140)及び内側の残りの出力燃料棒(150)からなる。
保護燃料棒(140)は、本発明の制御棒上部案内管(110)に面した外周2辺に配列されている。
本発明の高温制御棒(120)は制御棒上部案内管(110)の中を上下に動いて原子炉出力を制御する。制御棒上部案内管(110)は制御棒上部案内管翼(111)と制御棒上部案内支持柱(112)とにより構成されている。図5は高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)とからなる炉心の平面図の一部である。
保護燃料棒(140)は、図6に示すように天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物を酸化物にして焼結した親物質焼結ペレット(141)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の約10〜20倍程度のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300度C以上の蒸気雰囲気下で適用可能または使われたことを示す文献が公開されて使用実績がある鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封している。上記鉄基合金には、ガスタービン翼材料のDISCALOY、A−286や石油化学における水蒸気改質装置の耐熱鋳造鋼BST、HK40がある。
出力燃料棒(150)は、図7に示すようにMOXを中核とした多層焼結ペレット(151)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の約10〜20倍程度のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300度C以上の蒸気雰囲気下で適用可能または使われたことを示す文献が公開されて使用実績がある鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封している。図8は多層焼結ペレット(151)の断面図である。多層焼結ペレット(151)は、ウラニウムとプルトニウムの混合酸化物MOXを焼結した中核MOX焼結ペレット(152)を中核としその外を天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物の酸化物を焼結した中間焼結ペレット(153)で覆いその外は外皮焼結ペレット(154)で覆っている。外皮焼結ペレット(154)は安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアまたは焼結アルミナまたは炭化珪素からなる。安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアは、ジルコニアに少量の酸化カルシウムまたはイットリアを添加して焼結させたものである。高温強度が非常に強い。焼結アルミナはアルミナに微量のイットリアを添加して焼結させたものである。高温でも強度が強い。なお場合によって、出力燃料棒(150)下部の低温部の多層焼結ペレット(151)は、外皮焼結ペレット(154)を中間焼結ペレット(153)で置き換えてもよい。
図4に示す本発明の制御棒上部案内管(110)は、制御棒上部案内管翼(111)と制御棒上部案内管支持柱(112)とからなっている。この中を本発明の高温制御棒(120)が上下に動く。図9は高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)の平面図であり、図10は高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と部分挿入状態での高温制御棒(120)の縦断面図である。図10で見るように制御棒上部案内管翼(111)の上端は閉または蒸気の出口穴を開ける。図中の矢印は冷却水の主たる流れ方向を示す。制御棒上部案内管翼(111)下端には制御棒上部案内管下端突起(113)が付いていて燃料下部タイプレート(40)と燃料集合体支持金具(50)で支持されている。制御棒上部案内管(110)の材料はコバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300度C以上の蒸気雰囲気下での使用実績がある鉄基合金とする。
図4に示す本発明の高温制御棒(120)は、図9の平面図と図10の部分挿入状態での高温制御棒(120)の縦断面図で見るように高温制御棒支持柱(121)と高温制御棒外管(123)とハフニウム板(124)と焼結酸化ユーロピウム(125)からなっている。多層の焼結酸化ユーロピウム(125)をハフニウム板(124)で挟み、高温制御棒外管(123)で封入した。高温制御棒外管(123)は高温制御棒支持柱(121)で支持されている。高温制御棒支持柱(121)と高温制御棒外管(123)の材料は、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300度C以上の蒸気雰囲気下での使用実績がある鉄基合金とする。
炉心入口冷却水流量は炉心出口過熱蒸気流量と同じにした。
【0005】
【発明の実施の形態】
原子炉での技術適用には実績主義とか実証主義が重んじられる。ガスタービンの燃焼温度は1000 度Cを超えており運転経験が積まれている。燃焼ガスには水素と酸素とが反応した水蒸気が大量に含まれている。本発明における高温高圧の水蒸気に曝される高温被覆管(142)や制御棒上部案内管(110)や高温制御棒外管(123)の材料として、高温水蒸気中での使用実績が積まれ安全性が実証されたガスタービンで使用されている材料や石油化学における水蒸気改質装置の耐熱鋳造鋼を使用しているため、原子炉の実績主義に十分対応できる。
なお、材料の組成にはコバルトが含まれていないため半減期の長い放射性物質が少なく使用後の管理に障害が少ない。ニッケルを26%以下としたのは中性子との反応により生成されるヘリウムによる材料劣化を抑えるためである。ホウ素は中性子吸収割合が高いため含まない材料とした。
過熱蒸気利用による熱効率の向上は熱出力の低減を可能にし、燃料棒出力密度を下げることができるため燃料棒温度を低くできる。過熱蒸気に曝される部分は燃料棒の上端部近辺であり、上端部近辺は中性子の数が少ないため出力は低い。したがって、出力燃料棒(150)の上部における中核MOX焼結ペレット(152)の温度は融点をはるかに下回る。過熱蒸気の冷却水密度の低下による除熱能力低下は、蒸気速度の上昇により補われる。
事故による冷却水減少から冷却不足により中核MOX焼結ペレット(152)の温度が上昇しても、核分裂が不活発なウラン238を主成分とする中間焼結ペレット(153)の温度が低いこととウランの酸化物は熱伝導度が小さいこととにより高温被覆管(142)の温度の上昇速度は遅くなり、その間に少ないながらも存在する蒸気流れによる冷却とMOX中の核分裂生成物の崩壊熱が短時間で減少することとにより被覆管温度の上昇は緩和されるため高温被覆管(142)の健全性が保たれる。
中間焼結ペレット(153)の酸化ウランに比べてその外側の外皮焼結ペレット(154)は高温強度が高いため核分裂生成物を封じ込めると共に、中間焼結ペレット(153)の形状を維持させるため酸化ウランの断熱性能が維持され高温被覆管(142)の破損を防ぐことができる。万一高温被覆管(142)の一部が破損しても、破損箇所の多層焼結ペレット(151)が破損して核分裂生成物が放出する程度であって、他の多層焼結ペレット(151)は健全であるため核分裂生成物の放出量は少ない。
高温被覆管(142)を構成する耐熱金属は一般に、熱中性子を吸収する割合が高いが高速中性子を吸収する割合は低い。したがって、従来の熱中性子を主に利用した液体の水が多い冷却水の原子炉では使い難いが、中速または高速中性子利用の沸騰水型原子炉では耐熱合金の使用は可能である。
吸収する一個の中性子当たり発生する中性子数Eは、プルトニウムでは速い中性子程大きくなる。Eが大きいと、プルトニウムの消費量に対するウラン238等が中性子を吸収して核分裂し易いプルトニウムを生成する割合である転換比BRが高くなり、ウランの利用効率が上がる。更に、中速または高速中性子利用の原子炉であるからプルトニウム242やアメリシウムの発生は低く抑えられる。
冷却水等の軽い物質が沢山あると、核分裂で生じた速度の速い中性子は軽い物質と衝突するたびに速度を落とすためEが下がりBRが低下するため経済性上好ましくない。液体の水を少なくして高温化を図ろうとしている原子炉に装荷する本発明の高温燃料集合体(100)はプルトニウムの有効利用にも適している。
一方、液体の水が少ない原子炉では安全性上問題となるボイド反応度係数が正になりやすい傾向がある。中性子は軽い物質例えば液体の水により散乱されると速度を落とすが、同じ厚さの蒸気ボイドによっては真空に近いため殆ど散乱されないで中性子は速度を落とさない。液体冷却水流入量を減少させ液体である水の一部または全部が沸騰して蒸気ボイド割合が多くなると、核分裂で生じた速度の速い中性子は液体が減少した分その軽い物質と衝突する割合が減少するため速度を落し難くなり速度の速い中性子が多い状態になる。プルトニウムのEは速い中性子程大きいため核分裂が活発になり出力が上昇する。ボイド反応度係数が正になると出力が上昇し続けて安全性が問題になるわけである。
事故等により冷却水入口流量が減って水の割合が少なくなると高速中性子割合が多くなる。高速中性子はプルトニウムとの衝突が少ないから、高さ中央部の平面方向中央部の出力燃料棒(150)で増加した高速中性子は周辺の保護燃料棒(140)まで届き保護燃料棒(140)の主成分であるウラン238に吸収されるからボイド反応度係数は負になる。上部および底部では原子炉外への中性子漏洩が増えるためボイド反応度係数は更に負である。
親物質高含有物を燃料とする保護燃料棒(140)の出力が低いことは、燃焼度も小さく核分裂生成物も少ないため親物質焼結ペレット(141)の劣化が低く核分裂生成物は親物質焼結ペレット(141)の内部に密封されている。高温被覆管(142)が破れても放出核分裂生成物量は少ない。燃料温度が低く冷却水温度近傍であるから、蒸気冷却になっても燃料温度上昇は小さく溶融は考えられず健全性が保たれる。出力燃料棒(150)が破損しても図5に見るように制御棒上部案内管(110)4体で囲まれた当該高温燃料集合体(100)を含む隣接する4体の高温燃料集合体(100)のみに影響を留めることができる。他の多くの燃料集合体(100)に影響を及ぼさない。炉心全体が異常に変化するのを防ぐことができる。
上部プレナム(63)部のヘリウムを大気圧の約10〜20倍程度に増加させたのは、高温になると問題になるクリープを緩和するために、高温被覆管(142)の内外圧力差を減らして応力の発生を減らすためである。
制御棒上部案内管(110)は、低出力の保護燃料棒(140)に囲まれており出力燃料棒(150)からの熱輻射を直接受けないため溶融することは考えられない。したがって、いかなる時も高温制御棒(120)の挿入に支障がなく原子炉を停止することができ、かつ、挿入されたあとも高温制御棒(120)の温度の上昇は緩やかなものとなり高温制御棒(120)の溶融はありえない。
制御棒上部案内管(110)の上部に開けた穴の大きさにより上端での蒸気量を調節できる。水分が多いと過熱蒸気温度を低下させてしまう。下端から入った液体の水は中性子との反応や制御棒上部案内管(110)の壁からの熱により蒸気となる。また、穴をあけなくて冷却水による冷却がなくなっても高温制御棒(120)で発生した熱は制御棒上部案内管(110)の壁を介して高温燃料集合体(100)の冷却水(13)により除熱される。
高温制御棒(120)における中核の焼結酸化ユーロピウム(125)の主成分ユーロピウムは中性子を非常に強く吸収し、外側のハフニウム板(124)のハフニウムは中性子を吸収する作用がユーロピウムよりやや弱い。中性子は高温制御棒(120)外側の燃料からくるため、中性子を吸収する作用の大きい物質を内側にしたことにより中性子吸収割合は、中核部と外側とで平坦化できる。その結果、中性子吸収発熱による応力が平坦化できる。
焼結酸化ユーロピウムの密度はハフニウムの密度よりも小さいため高温制御棒(120)は軽くなり挿入速度を早くすることができ、原子炉を素早く停止できる。なお、ユーロピウムとハフニウムとも中性子吸収に際し気体を発生しないため安定して使用できる。ハフニウムは融点が高い。純粋のユーロピウムは融点が低いが焼結酸化ユーロピウムは融点が高くかつ強度も高い。したがって、冷却水減少のような事故が生じて高温になっても破損が生ぜず中性子吸収作用による原子炉出力制御能力は保たれる。
本発明の高温燃料集合体(100)と本発明の高温制御棒(120)は、従来のそれ等に比べてより高温での使用が可能であるため出口蒸気温度の高温化が可能となった。炉心入口冷却水流量を炉心出口蒸気流量と同じにすることにより炉心出口で287 度C以上の過熱蒸気にすることができる。
【0006】
【発明の効果】
炉心入口冷却水流量を減らすことにより、現行沸騰水型原子炉の系統設備、システムを大幅に変えることなく過熱蒸気を得ることができるため、出口蒸気温度が高温となりタービンへの蒸気温度が高温となるから熱効率が向上し発電効率が上がる。
炉心内冷却水が少ないため中性子速度が速くなり転換比が高くかつ、核分裂の妨げとなるプルトニウム242やアメリシウムの発生が低くなるため燃料の有効利用が図れる。また、アメリシウム等の廃棄物が少なくなり再処理費用を安くできる。
流量低下事故が生じて仮想的に炉心内の液体の水が全てなくなり、炉心底から蒸発する蒸気による冷却のみとなっても、本発明の高温燃料集合体(100)は高温対策が取られているため健全性が長時間保たれ事故の更なる進展を防止できる。非常用炉心冷却系統等の安全防護施設を大幅に減らすことができるため保守点検費用を減らすことができる。
【0007】
【その他実施例1】
多層焼結ペレット(151)の作成法として、親物質高含有物の酸化物粉末を底面付き中空円筒状に圧縮成型した容器に、MOX粉末を充填し、その上を親物質高含有物の酸化物粉末で蓋をした後圧縮成型し焼結した2層焼結ペレットを、部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアの底面付き中空円筒に入れ、上にイットリア添加のジルコニアで蓋をした後圧縮成型し焼結させる。
プルトニウムを含有するMOXが焼結の前段階でウラン238を主成分とする親物質高含有物の酸化物により覆われているため、その後の高温燃料集合体(100)の成型製造段階においてグローブボクスの中で取り扱う必要がなくなり、製造コストが低減化される。なお、多層焼結ペレット(151)の作成法として、3層の形状に圧縮成型した後一括して焼結すると製造コストが下がる。
【0008】
【その他実施例2】
請求項1において保護燃料棒(140)は制御棒上部案内管(110)に隣接させて配置したのに対し、本実施例の高温安全燃料集合体(300)は図11に示すように保護燃料棒(140)を外周4辺に配置し出力燃料棒(150)を囲ったことを特徴とした燃料集合体。
万一、出力燃料棒(150)の一本が破損したとしても外周を取り囲む保護燃料棒(140)によって、破損の影響は当該高温安全燃料集合体(300)1体に限定される。保護燃料棒(140)は出力が低く温度が低いため、周囲の冷却水が蒸気のみになったとしても溶けることは考えられず健全性が保たれる。したがって、当該高温安全燃料集合体(300)の形状は保存される。
また、何らかの理由により中性子が急に増加したとしても保護燃料棒(140)の主成分であるウラン238が増加した中性子を吸収してしまうため原子炉を安定に保つことができる。
【0009】
【その他実施例3】
従来のジルコニウム合金被覆管(62)に核燃料としてMOX焼結ペレット(61)を充填した従来の燃料集合体(10)において、核燃料を多層焼結ペレット(151)またはその他実施例2の2層焼結ペレットとしたことを特徴とする燃料集合体。
沸騰水型原子炉において経年劣化が問題になりつつある。設備が古くなると機能が低下し安全性に問題が生じる可能性がある。特に、非常用炉心冷却系は多くの配管と弁とを擁しており経年劣化を受けやすい。本実施例の燃料集合体を装荷した原子炉においては、万一非常用炉心冷却系が十分に作動せず冷却能力に不足が生じた場合において、核燃料である多層焼結ペレット(151)またはその他実施例2の2層焼結ペレットは従来のMOX焼結ペレット(61)に比べて高温強度が強いため、崩れ落ちることなく積み重なったままであることが期待できる。原子炉の形状が保たれるため放射能が外部に漏れだす割合が軽減される。
【0010】
【その他実施例4】
2層焼結ペレットまたは多層焼結ペレット(151)における中核MOX焼結ペレット(152)を濃縮酸化ウランの焼結ペレットとしたことを特徴とする燃料集合体。
濃縮酸化ウランの融点は、MOXの融点よりも高い。したがって、高温になる事故が生じた場合ペレットが溶ける割合が低くなる。安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の燃料集合体(10)と従来の制御棒(20)の概観図。
【図2】従来の燃料集合体(10)と従来の制御棒(20)とからなる炉心平面図の一部。
【図3】従来の燃料棒(12)の概観図。
【図4】本発明の高温燃料集合体(100)と本発明の制御棒上部案内管(110)と本発明の高温制御棒(120)の概観図。
【図5】高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)とからなる炉心平面図の一部。
【図6】本発明の保護燃料棒(140)の概観図。
【図7】本発明の出力燃料棒(150)の概観図。
【図8】多層焼結ペレット(151)の断面図。
【図9】高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)の平面図。
【図10】高温燃料集合体(100)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)の縦断面図。
【図11】本発明の高温安全燃料集合体(300)と制御棒上部案内管(110)と高温制御棒(120)の平面図。
【符号の説明】
10は燃料集合体
11はチャンネルボックス
12は燃料棒
13は冷却水
20は制御棒
22は制御棒案内管
23は制御棒駆動装置
30は漏洩冷却水
40は燃料下部タイプレート
50は燃料集合体支持金具
61はMOX焼結ペレット
62はジルコニウム合金被覆管
63は上部プレナム
100は高温燃料集合体
110は制御棒上部案内管
111は制御棒上部案内管翼
112は制御棒上部案内管支持柱
113は制御棒上部案内管下端突起
120は高温制御棒
121は高温制御棒支持柱
123は高温制御棒外管
124はハフニウム板
125は焼結酸化ユーロピウム
140は保護燃料棒
141は親物質焼結ペレット
142は高温被覆管
150は出力燃料棒
151は多層焼結ペレット
152は中核MOX焼結ペレット
153は中間焼結ペレット
154は外皮焼結ペレット
300は高温安全燃料集合体

Claims (2)

  1. コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300℃以上の蒸気雰囲気下で適用可能な鉄基合金からなる高温制御棒支持柱(121)および高温制御棒外管(123)であって、前記高温制御棒支持柱(121)で支持されている前記高温制御棒外管(123)に、ハフニウム板(124)で挟まれた多層の焼結酸化ユーロピウム(125)を封入した高温制御棒(120)が上下動できる空間を確保するために、水平断面が十字形状である制御棒上部案内管翼(111)と、前記制御棒上部案内管翼(111)の端部に位置する制御棒上部案内管支持柱(112)とにより構成されている制御棒上部案内管(110)を敷設した炉心入口冷却水が未飽和水である沸騰水型原子炉において、
    核燃料物質を内包する燃料棒を多数本正方格子状に配列しそれ等の下部を燃料下部タイプレート(40)に差込み束ねた燃料集合体は、チャンネルボックス(11)無しとし、前記制御棒上部案内管(110)を4体の当該燃料集合体で囲んでおり、各燃料集合体は前記制御棒上部案内管(110)に面した外周2辺に配列されている燃料棒を保護燃料棒(140)とし内側の残りの燃料棒を出力燃料棒(150)として構成し、保護燃料棒(140)は天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物の酸化物を焼結した親物質焼結ペレット(141)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の10~20倍のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300℃以上の蒸気雰囲気下で適用可能な鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封し、出力燃料棒(150)は多層焼結ペレット(151)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の10~20倍のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300℃以上の蒸気雰囲気下で適用可能な鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封し、
    前記多層焼結ペレット(151)はウラニウムとプルトニウムの混合酸化物MOXを焼結した中核MOX焼結ペレット(152)を中核としその外を天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物の酸化物を焼結した中間焼結ペレット(153)で覆いその外は外皮焼結ペレット(154)で覆い、外皮焼結ペレット(154)は安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアまたは焼結アルミナまたは炭化珪素からなることを特徴とする高温燃料集合体(100)。
  2. 請求項1における沸騰水型原子炉において、
    核燃料物質を内包する燃料棒を多数本正方格子状に配列しそれ等の下部を燃料下部タイプレート(40)に差込み束ねた燃料集合体は、チャンネルボックス(11)無しとし、前記制御棒上部案内管(110)を4体の当該燃料集合体で囲んでおり、各燃料集合体は外周4辺に配列されている燃料棒を保護燃料棒(140)とし内側の残りの燃料棒を出力燃料棒(150)として構成し、保護燃料棒(140)は天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物の酸化物を焼結した親物質焼結ペレット(141)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の10~20倍のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300℃以上の蒸気雰囲気下で適用可能な鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封し、出力燃料棒(150)は多層焼結ペレット(151)の連続した堆積と上部プレナム(63)に大気圧の10~20倍のヘリウムとを、コバルトとホウ素を含まないでニッケルが26%以下で300℃以上の蒸気雰囲気下で適用可能な鉄基合金製の高温被覆管(142)で内封し、
    前記多層焼結ペレット(151)はウラニウムとプルトニウムの混合酸化物MOXを焼結した中核MOX焼結ペレット(152)を中核としその外を天然ウランまたは劣化ウランの親物質高含有物の酸化物を焼結した中間焼結ペレット(153)で覆いその外は外皮焼結ペレット(154)で覆い、外皮焼結ペレット(154)は安定化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアまたは焼結アルミナまたは炭化珪素からなることを特徴とする高温安全燃料集合体(300)。
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