JPH11174185A - 燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法 - Google Patents
燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法Info
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- JPH11174185A JPH11174185A JP9362094A JP36209497A JPH11174185A JP H11174185 A JPH11174185 A JP H11174185A JP 9362094 A JP9362094 A JP 9362094A JP 36209497 A JP36209497 A JP 36209497A JP H11174185 A JPH11174185 A JP H11174185A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 燃料球分散型原子燃料ペレットにおいて、マ
トリックスの焼結収縮によるひび割れと照射時のスエリ
ングとを抑制する。 【解決手段】 核燃料物質またはこれを含む微小粒の多
数の燃料球1をマトリックス材3に分散させ、このマト
リックス材3を成型後、焼結することにより燃料ペレッ
トとなす燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法にお
いて、上記燃料球1の表面にZrO2 をコーティングし
て未焼結状態のZrO2 層2を形成する一方、これら燃
料球1を上記マトリックス材3の粉末と混合して、この
マトリックス材3を成型し、焼結することを特徴として
いる。
トリックスの焼結収縮によるひび割れと照射時のスエリ
ングとを抑制する。 【解決手段】 核燃料物質またはこれを含む微小粒の多
数の燃料球1をマトリックス材3に分散させ、このマト
リックス材3を成型後、焼結することにより燃料ペレッ
トとなす燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法にお
いて、上記燃料球1の表面にZrO2 をコーティングし
て未焼結状態のZrO2 層2を形成する一方、これら燃
料球1を上記マトリックス材3の粉末と混合して、この
マトリックス材3を成型し、焼結することを特徴として
いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子力発電所におい
て使用される燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法
に関するものである。
て使用される燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料球分散型原子燃料ペレットは、Th
O2 、UO2 、PuO2 等の核燃料物質をZrO2 に固
溶させて直径数100μmの燃料球を形成し、この燃料
球をAl2 O3 やAl2 MgO4 等のスピネルからなる
マトリックス材に均質に分散させて焼結しペレット化し
たものである。
O2 、UO2 、PuO2 等の核燃料物質をZrO2 に固
溶させて直径数100μmの燃料球を形成し、この燃料
球をAl2 O3 やAl2 MgO4 等のスピネルからなる
マトリックス材に均質に分散させて焼結しペレット化し
たものである。
【0003】この燃料ペレットの製造方法は、焼結済み
の多数の燃料球と、マトリックスの粉末と、潤滑材とを
混合し、これをプレス形成して成型体としたものを還元
雰囲気中、1700℃前後にて焼結してペレット化す
る。ペレットの焼結は、マトリックス部が焼結すること
によってなされるが、燃料球が大きくなるとマトリック
ス部の収縮量が大きくなり、特に燃料球1の周りでの応
力が大きくなるため、図3に示す如くマトリックス部3
にクラックKが生じ、健全な燃料ペレットを製造するこ
とが困難になる。
の多数の燃料球と、マトリックスの粉末と、潤滑材とを
混合し、これをプレス形成して成型体としたものを還元
雰囲気中、1700℃前後にて焼結してペレット化す
る。ペレットの焼結は、マトリックス部が焼結すること
によってなされるが、燃料球が大きくなるとマトリック
ス部の収縮量が大きくなり、特に燃料球1の周りでの応
力が大きくなるため、図3に示す如くマトリックス部3
にクラックKが生じ、健全な燃料ペレットを製造するこ
とが困難になる。
【0004】一方、上記燃料球分散型原子燃料ペレット
においては、燃料原子の核分裂フラグメント(Fiss
ion Fragment)の作用による上記マトリッ
クス部のスエリングに対し、上記燃料部を球にすること
によってフラグメントを封じ込め、上記スエリングにか
かわるマトリックス部を少なくしているが、上記燃料球
のまわりにおける10μm程度の部分のマトリックス材
のスエリングは防ぐことができない。また、燃料球の比
表面積を小さくすることにより、スエリングにかかわる
マトリックス部の体積を小さくすることは可能である
が、燃料球の直径が大きくなると、燃料体としての均質
性が損なわれると共に、前述の如くマトリックス部に焼
結時の収縮によりクラックが生じやすくなる。
においては、燃料原子の核分裂フラグメント(Fiss
ion Fragment)の作用による上記マトリッ
クス部のスエリングに対し、上記燃料部を球にすること
によってフラグメントを封じ込め、上記スエリングにか
かわるマトリックス部を少なくしているが、上記燃料球
のまわりにおける10μm程度の部分のマトリックス材
のスエリングは防ぐことができない。また、燃料球の比
表面積を小さくすることにより、スエリングにかかわる
マトリックス部の体積を小さくすることは可能である
が、燃料球の直径が大きくなると、燃料体としての均質
性が損なわれると共に、前述の如くマトリックス部に焼
結時の収縮によりクラックが生じやすくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の如き実
状に対処し、燃料球の表面を未焼結状態のZrO2 層で
コーティングした上で、上記マトリックス材を焼結する
ことにより、この被覆層にてスエリングの原因となる前
記核分裂フラグメントを吸収し、マトリックス中のスエ
リングを最小限に抑制すると共に、焼結時のマトリック
スのクラックの発生を防止することを目的とするもので
ある。
状に対処し、燃料球の表面を未焼結状態のZrO2 層で
コーティングした上で、上記マトリックス材を焼結する
ことにより、この被覆層にてスエリングの原因となる前
記核分裂フラグメントを吸収し、マトリックス中のスエ
リングを最小限に抑制すると共に、焼結時のマトリック
スのクラックの発生を防止することを目的とするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的に適
合する本発明の燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方
法は、核燃料物質またはこれを含む微小粒の多数の燃料
球をマトリックス材に分散させ、このマトリックス材を
成型後、焼結することにより燃料ペレットとなす燃料球
分散型原子燃料ペレットの製造方法において、上記燃料
球の表面にZrO2 をコーティングして未焼結状態のZ
rO2 層を形成する一方、これら燃料球を上記マトリッ
クス材の粉末と混合して、このマトリックス材を成型
し、焼結することを特徴とする。また、上記本発明の製
造方法において、上記ZrO2 層の密度と厚みを、燃料
球の直径およびマトリックス材の焼結時の収縮率により
設定して、マトリックス材焼結時の収縮による燃料球か
らの応力を抑制することも好適である。さらに、上記Z
rO2 層のジルコニアを安定化または部分安定化ジルコ
ニアで構成することも可能である。
合する本発明の燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方
法は、核燃料物質またはこれを含む微小粒の多数の燃料
球をマトリックス材に分散させ、このマトリックス材を
成型後、焼結することにより燃料ペレットとなす燃料球
分散型原子燃料ペレットの製造方法において、上記燃料
球の表面にZrO2 をコーティングして未焼結状態のZ
rO2 層を形成する一方、これら燃料球を上記マトリッ
クス材の粉末と混合して、このマトリックス材を成型
し、焼結することを特徴とする。また、上記本発明の製
造方法において、上記ZrO2 層の密度と厚みを、燃料
球の直径およびマトリックス材の焼結時の収縮率により
設定して、マトリックス材焼結時の収縮による燃料球か
らの応力を抑制することも好適である。さらに、上記Z
rO2 層のジルコニアを安定化または部分安定化ジルコ
ニアで構成することも可能である。
【0007】
【作用】上記本発明の燃料球分散型原子燃料ペレットの
製造方法においては、燃料球表面を被覆するZrO2 層
が燃料球表面の核分裂フラグメントを吸収することがで
き、これによりマトリックス部のスエリングを最小限に
抑えることが可能となる。そして、かかる効果によって
燃料球の比表面積を大きくしうることから、燃料球の直
径を小さくすることが可能となり、これにより、より均
質の燃料ペレットを形成すると共に、前記マトリックス
部の焼結収縮によるクラック発生を抑制し、かつ燃料球
の温度を低くしてFPガスの放出特性を良好にすること
が可能となる。
製造方法においては、燃料球表面を被覆するZrO2 層
が燃料球表面の核分裂フラグメントを吸収することがで
き、これによりマトリックス部のスエリングを最小限に
抑えることが可能となる。そして、かかる効果によって
燃料球の比表面積を大きくしうることから、燃料球の直
径を小さくすることが可能となり、これにより、より均
質の燃料ペレットを形成すると共に、前記マトリックス
部の焼結収縮によるクラック発生を抑制し、かつ燃料球
の温度を低くしてFPガスの放出特性を良好にすること
が可能となる。
【0008】また、上記マトリックス材を構成する前記
Al2 O3 やAl2 MgO4 の焼結温度は1500〜1
700℃であるのに対し、燃料球を被覆するZrO2 層
を完全に焼成するには1800℃以上の高温が必要であ
るため、上記マトリックス材が焼結により収縮する際に
はこのZrO2 層の焼結は大きく進んでおらず、上記収
縮によるマトリックスの応力をこのZrO2 層で吸収す
ることが可能となり、その結果マトリックス材の焼結時
におけるクラック発生を防止することが可能となる。
Al2 O3 やAl2 MgO4 の焼結温度は1500〜1
700℃であるのに対し、燃料球を被覆するZrO2 層
を完全に焼成するには1800℃以上の高温が必要であ
るため、上記マトリックス材が焼結により収縮する際に
はこのZrO2 層の焼結は大きく進んでおらず、上記収
縮によるマトリックスの応力をこのZrO2 層で吸収す
ることが可能となり、その結果マトリックス材の焼結時
におけるクラック発生を防止することが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、さらに添付図面を参照し
て、本発明の実施の形態を説明する。
て、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】図1は本発明実施形態の方法により製造し
た燃料球分散型原子燃料ペレットを示す部分断面図であ
り、この燃料ペレットは、燃料棒の被覆管に装填される
円柱状のセラミックス燃料であり、UO2 、PuO2 、
ThO2 等の核燃料物質をZrO2 に固溶させて直径約
100μmの燃料球1(焼結体)を多数形成すると共
に、これらの燃料球1の表面全体に約10μmの厚みを
有するZrO2 層2を形成し、このZrO2 層2がコー
ティングされた燃料球をアルミナやアルミナ・マグネシ
ウム等のマトリックス3中に均質的に分散させて、上記
マトリックス3を焼結することにより形成されている。
た燃料球分散型原子燃料ペレットを示す部分断面図であ
り、この燃料ペレットは、燃料棒の被覆管に装填される
円柱状のセラミックス燃料であり、UO2 、PuO2 、
ThO2 等の核燃料物質をZrO2 に固溶させて直径約
100μmの燃料球1(焼結体)を多数形成すると共
に、これらの燃料球1の表面全体に約10μmの厚みを
有するZrO2 層2を形成し、このZrO2 層2がコー
ティングされた燃料球をアルミナやアルミナ・マグネシ
ウム等のマトリックス3中に均質的に分散させて、上記
マトリックス3を焼結することにより形成されている。
【0011】上記核燃料物質は上記の如くZrO2 に固
溶した状態で燃料球1を形成しているが、これらUO2
等の核燃料物質を単体として燃料球1を形成することも
可能であり、その場合はPuとUとを混合するMOX燃
料のような形態もありうる。
溶した状態で燃料球1を形成しているが、これらUO2
等の核燃料物質を単体として燃料球1を形成することも
可能であり、その場合はPuとUとを混合するMOX燃
料のような形態もありうる。
【0012】また、上記ZrO2 層2はマトリックス3
の焼結時の加熱により結合された膜状の固体層であり、
その厚みは、核分裂フラグメントによるマトリックス3
の損傷が上記の如きセラミックスの場合は10μm以下
と考えられるので、10μm以上あればよい。一方、燃
料の燃焼に伴い、ZrO2 相と燃料相との間で原子の相
互拡散が生じる可能性があるので、これを考慮してある
程度厚くする必要があるが、余り厚すぎるとZrO2 の
熱伝導度が低いことによって問題が生じる。このため、
上記ZrO2 層2の厚みの上限は20μm程度と考えら
れる。さらに、このZrO2 層2のジルコニアを、安定
化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアとすることも
可能である。
の焼結時の加熱により結合された膜状の固体層であり、
その厚みは、核分裂フラグメントによるマトリックス3
の損傷が上記の如きセラミックスの場合は10μm以下
と考えられるので、10μm以上あればよい。一方、燃
料の燃焼に伴い、ZrO2 相と燃料相との間で原子の相
互拡散が生じる可能性があるので、これを考慮してある
程度厚くする必要があるが、余り厚すぎるとZrO2 の
熱伝導度が低いことによって問題が生じる。このため、
上記ZrO2 層2の厚みの上限は20μm程度と考えら
れる。さらに、このZrO2 層2のジルコニアを、安定
化ジルコニアまたは部分安定化ジルコニアとすることも
可能である。
【0013】一方、本発明実施形態の製造方法は、上記
燃料球1とマトリックス材3との混合に先立ち、燃料球
の表面にZrO2 のコーティングを施す。このコーティ
ングは、例えばZrO2 の微粉末をバインダー溶液に混
ぜたスラリーを用いて行うことが可能であり、このスラ
リーコーティングを施した燃料球を乾燥させると、例え
ば密度30%T.D前後のZrO2 層(未焼結)を有す
る燃料球が形成される。そして、この燃料球をマトリッ
クス材の粉末と均質に混合し、このマトリックス材を成
型した後、マトリックス材の焼成温度で焼結を行う。
燃料球1とマトリックス材3との混合に先立ち、燃料球
の表面にZrO2 のコーティングを施す。このコーティ
ングは、例えばZrO2 の微粉末をバインダー溶液に混
ぜたスラリーを用いて行うことが可能であり、このスラ
リーコーティングを施した燃料球を乾燥させると、例え
ば密度30%T.D前後のZrO2 層(未焼結)を有す
る燃料球が形成される。そして、この燃料球をマトリッ
クス材の粉末と均質に混合し、このマトリックス材を成
型した後、マトリックス材の焼成温度で焼結を行う。
【0014】マトリックス材がAl2 O3 やAl2 Mg
O4 の場合は、通常焼結温度は1500℃〜1700℃
で充分であるが、ZrO2 を完全に焼成するには180
0℃以上の高温が必要であるため、上記マトリックス材
の焼結温度ではZrO2 層の焼結は大きく進まない。
O4 の場合は、通常焼結温度は1500℃〜1700℃
で充分であるが、ZrO2 を完全に焼成するには180
0℃以上の高温が必要であるため、上記マトリックス材
の焼結温度ではZrO2 層の焼結は大きく進まない。
【0015】これに対し、マトリックス部の焼結時の収
縮は通常20%前後(線焼結収縮率)であり、例えば成
型時の400μmは320μmへと縮むが、図2に示す
ように、この差80μmを上記ZrO2 層2の変化で吸
収することにより、焼結時の収縮におけるマトリックス
部3の応力は生じないことになる。そして、同図に示す
ようにマトリックス部3の収縮が及ぼす上記ZrO2 層
2への圧縮応力は、いわゆるホットプレスと同じ条件を
生じてZrO2 層2を燃料球1の周りで圧密化し、これ
により燃料ペレットとして良い結果が得られることにな
る。
縮は通常20%前後(線焼結収縮率)であり、例えば成
型時の400μmは320μmへと縮むが、図2に示す
ように、この差80μmを上記ZrO2 層2の変化で吸
収することにより、焼結時の収縮におけるマトリックス
部3の応力は生じないことになる。そして、同図に示す
ようにマトリックス部3の収縮が及ぼす上記ZrO2 層
2への圧縮応力は、いわゆるホットプレスと同じ条件を
生じてZrO2 層2を燃料球1の周りで圧密化し、これ
により燃料ペレットとして良い結果が得られることにな
る。
【0016】他方、上記実施形態の方法により製造した
燃料球分散型原子燃料ペレットにおいては、燃料球1の
表面を被覆するZrO2 層2が燃料球1表面の核分裂フ
ラグメントを吸収することができ、これによりマトリッ
クス部3のスエリングを最小限に抑えることが可能とな
る。そして、かかる作用によって燃料球1の比表面積を
大きくしうることから、燃料球1の直径を従来の数10
0μmから数10μm〜100μmと小さくすることが
可能となり、これにより、より均質な燃料ペレットを形
成すると共に、燃料球1の温度も低くしてFPガスの放
出特性を良好にすることが可能となる。上記燃料球の均
質性について更に説明すると、燃料球の直径を例えば従
来のような400μmとした場合に対し、本発明実施形
態のように100μmとすると、燃料球数は43 =64
倍となり、ペレットにおける燃料球の均質性はそれだけ
向上する。なお、上記燃料球に対するZrO2 のコーテ
ィング法としては、上記スラリーを利用する以外に、回
転造粒法を用いて、燃料球の表面にZrO2 粉末をアル
コールやPVA溶液をバインダーとしてまぶしてゆく方
法もある。また、上記ZrO2 層の焼結前の密度や厚さ
は、マトリックス材焼結時の収縮による応力を抑制する
ために、マトリックス部の焼結時の収縮量と燃料球の大
きさによって決定することが望ましい。
燃料球分散型原子燃料ペレットにおいては、燃料球1の
表面を被覆するZrO2 層2が燃料球1表面の核分裂フ
ラグメントを吸収することができ、これによりマトリッ
クス部3のスエリングを最小限に抑えることが可能とな
る。そして、かかる作用によって燃料球1の比表面積を
大きくしうることから、燃料球1の直径を従来の数10
0μmから数10μm〜100μmと小さくすることが
可能となり、これにより、より均質な燃料ペレットを形
成すると共に、燃料球1の温度も低くしてFPガスの放
出特性を良好にすることが可能となる。上記燃料球の均
質性について更に説明すると、燃料球の直径を例えば従
来のような400μmとした場合に対し、本発明実施形
態のように100μmとすると、燃料球数は43 =64
倍となり、ペレットにおける燃料球の均質性はそれだけ
向上する。なお、上記燃料球に対するZrO2 のコーテ
ィング法としては、上記スラリーを利用する以外に、回
転造粒法を用いて、燃料球の表面にZrO2 粉末をアル
コールやPVA溶液をバインダーとしてまぶしてゆく方
法もある。また、上記ZrO2 層の焼結前の密度や厚さ
は、マトリックス材焼結時の収縮による応力を抑制する
ために、マトリックス部の焼結時の収縮量と燃料球の大
きさによって決定することが望ましい。
【0017】
【実施例】(1)本発明の実施例 粒径1〜5μmのZrO2 粉末50gを10wt%のポ
リビルニアルコール(PVA)の水溶液200ccに混
合してZrO2 のスラリーを作成し、この中に直径30
0μmのUO2 燃料球(焼結体)を浸しては乾燥させる
ことを繰り返し、乾燥後のZrO2 の膜厚が約40μm
となるようにした。コーティング前後の重量からPVA
量を無視すると、このZrO2 層の密度は34%TDで
あった。これからすると、ZrO2 コーティング燃料球
の計り取り量の内、UO2 は87%、ZrO2 は13%
と推定された。
リビルニアルコール(PVA)の水溶液200ccに混
合してZrO2 のスラリーを作成し、この中に直径30
0μmのUO2 燃料球(焼結体)を浸しては乾燥させる
ことを繰り返し、乾燥後のZrO2 の膜厚が約40μm
となるようにした。コーティング前後の重量からPVA
量を無視すると、このZrO2 層の密度は34%TDで
あった。これからすると、ZrO2 コーティング燃料球
の計り取り量の内、UO2 は87%、ZrO2 は13%
と推定された。
【0018】これに対し、上記UO2 部の体積率が焼結
後に50%となるように、上記ZrO2 コーティングを
施したUO2 燃料球と高純度のAl2 O3 粉末とを重量
比で76:24の割合で混合した。また、さらに潤滑剤
としてステアリン酸亜鉛0.3wt%を混合し均質化し
て原料とした。これを粉末成型用プレスにて成型し、密
度が夫々40%TD、45%TD、50%TDの各成型
体を得た。但し、上記理論密度はUO2 とAl2 O3 の
混合率に応じて算出した値であり、ZrO2 分は無視し
ている。そして、この成型体を1650℃の温度で、ア
ンモニア分解ガス中にて4時間の焼結を行った。焼結体
の外観は健全であり、クラックは発生していなかった。
また、金相検査でも、内部にクラックは発生しておら
ず、さらにUO2 燃料球の周囲にはち密なZrO2 の層
が存在し、その厚みは平均で約14.2μmであった。
これにより、ZrO2 層の密度は約96%TDであると
推算され、この値を用いてこのペレットの理論密度を算
出すると、それぞれ94.5%TD、95.6%TD、
95.8%TDであった。
後に50%となるように、上記ZrO2 コーティングを
施したUO2 燃料球と高純度のAl2 O3 粉末とを重量
比で76:24の割合で混合した。また、さらに潤滑剤
としてステアリン酸亜鉛0.3wt%を混合し均質化し
て原料とした。これを粉末成型用プレスにて成型し、密
度が夫々40%TD、45%TD、50%TDの各成型
体を得た。但し、上記理論密度はUO2 とAl2 O3 の
混合率に応じて算出した値であり、ZrO2 分は無視し
ている。そして、この成型体を1650℃の温度で、ア
ンモニア分解ガス中にて4時間の焼結を行った。焼結体
の外観は健全であり、クラックは発生していなかった。
また、金相検査でも、内部にクラックは発生しておら
ず、さらにUO2 燃料球の周囲にはち密なZrO2 の層
が存在し、その厚みは平均で約14.2μmであった。
これにより、ZrO2 層の密度は約96%TDであると
推算され、この値を用いてこのペレットの理論密度を算
出すると、それぞれ94.5%TD、95.6%TD、
95.8%TDであった。
【0019】(2)比較例 直径300μm、密度98%TDのUO2 燃料球(焼結
体)をUO2 部の体積率が焼結後に40%となるよう
に、上記UO2 燃料球と高純度のAl2 O3 粉末とを重
量比65:35の割合で混合し、さらに潤滑剤としてス
テアリン酸亜鉛0.3wt%を混合し均質化して原料と
した。これを粉末成型用プレスにて成型し、密度が夫々
40%TD、45%TD、50%TDの各成型体を得
た。但し、理論密度はUO2 とAl2 O3 の混合率に応
じて算出した値である。
体)をUO2 部の体積率が焼結後に40%となるよう
に、上記UO2 燃料球と高純度のAl2 O3 粉末とを重
量比65:35の割合で混合し、さらに潤滑剤としてス
テアリン酸亜鉛0.3wt%を混合し均質化して原料と
した。これを粉末成型用プレスにて成型し、密度が夫々
40%TD、45%TD、50%TDの各成型体を得
た。但し、理論密度はUO2 とAl2 O3 の混合率に応
じて算出した値である。
【0020】この成形体を1650℃の温度で、アンモ
ニア分解ガス(3H2 /N2 )中にて4時間の焼結を行
った。焼結後の寸法密度はそれぞれ79〜85%TDで
あり、ペレット表面には多数のクラックが発生してい
た。液浸密度は97%〜99%TDであり、ほとんどが
開気孔であった。
ニア分解ガス(3H2 /N2 )中にて4時間の焼結を行
った。焼結後の寸法密度はそれぞれ79〜85%TDで
あり、ペレット表面には多数のクラックが発生してい
た。液浸密度は97%〜99%TDであり、ほとんどが
開気孔であった。
【0021】このように、本発明の燃料分散型の燃料の
製造方法においては、容易にクラックの発生しない燃料
ペレットを得ることができ、しかも同時にマトリックス
部の照射スエリングを抑制することが可能となる。な
お、本発明では、燃料部の担体としてZrO2 が一般的
なこと、ZrO2 が照射スエリングにつよいこと、およ
びZrO2 がマトリックス材よりも焼結しにくいことに
よりZrO2 を用いたが、単に焼結時のマトリックスの
クラックを避けるためだけであれば、マトリックス材よ
り焼結しにくいもの、極端にいえばUO2 の粉末を用い
ても同様な効果が得られると考えられる。
製造方法においては、容易にクラックの発生しない燃料
ペレットを得ることができ、しかも同時にマトリックス
部の照射スエリングを抑制することが可能となる。な
お、本発明では、燃料部の担体としてZrO2 が一般的
なこと、ZrO2 が照射スエリングにつよいこと、およ
びZrO2 がマトリックス材よりも焼結しにくいことに
よりZrO2 を用いたが、単に焼結時のマトリックスの
クラックを避けるためだけであれば、マトリックス材よ
り焼結しにくいもの、極端にいえばUO2 の粉末を用い
ても同様な効果が得られると考えられる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の燃料球分
散型原子燃料ペレットの製造方法は、燃料球の表面に未
焼結状態のZrO2 層を形成して、この燃料球をマトリ
ックス材に混入しマトリックス材を焼結するものであ
り、上記燃料球を被覆するZrO2 層を焼成するには上
記マトリックス材より高い温度が必要であることから、
上記マトリックス材が焼結により収縮する際にはこのZ
rO2 層の焼結は大きく進んでおらず、これにより上記
収縮によるマトリックスの応力をこのZrO2 層で吸収
することが可能となり、その結果マトリックス材の焼結
時におけるクラックの発生を防止することが可能であ
る。そして、上記本発明の方法により製造した燃料球分
散型原子燃料ペレットは、燃料球表面を被覆するZrO
2 層が燃料球表面の核分裂フラグメントを吸収しうるこ
とから、マトリックス部のスエリングを最小限に抑える
一方、燃料球の比表面積を大きくしうることから、燃料
球の直径を数10〜数100μmと従来より小さくする
ことが可能となり、これにより従来より均質な燃料ペレ
ットを形成すると共に、前記クラックの発生を更に抑制
し、かつ燃料球の温度も低くしてFPガスの放出特性を
良好にするとの顕著な効果を奏するものである。
散型原子燃料ペレットの製造方法は、燃料球の表面に未
焼結状態のZrO2 層を形成して、この燃料球をマトリ
ックス材に混入しマトリックス材を焼結するものであ
り、上記燃料球を被覆するZrO2 層を焼成するには上
記マトリックス材より高い温度が必要であることから、
上記マトリックス材が焼結により収縮する際にはこのZ
rO2 層の焼結は大きく進んでおらず、これにより上記
収縮によるマトリックスの応力をこのZrO2 層で吸収
することが可能となり、その結果マトリックス材の焼結
時におけるクラックの発生を防止することが可能であ
る。そして、上記本発明の方法により製造した燃料球分
散型原子燃料ペレットは、燃料球表面を被覆するZrO
2 層が燃料球表面の核分裂フラグメントを吸収しうるこ
とから、マトリックス部のスエリングを最小限に抑える
一方、燃料球の比表面積を大きくしうることから、燃料
球の直径を数10〜数100μmと従来より小さくする
ことが可能となり、これにより従来より均質な燃料ペレ
ットを形成すると共に、前記クラックの発生を更に抑制
し、かつ燃料球の温度も低くしてFPガスの放出特性を
良好にするとの顕著な効果を奏するものである。
【図1】本発明実施形態の方法により製造した燃料球分
散型原子燃料ペレットを示す部分断面図である。
散型原子燃料ペレットを示す部分断面図である。
【図2】同方法によるマトリックス焼結時のZrO2 層
の作用を示す拡大断面図である。
の作用を示す拡大断面図である。
【図3】従来のマトリックス焼結時における収縮による
マトリックスのクラックの発生を示す拡大断面図であ
る。
マトリックスのクラックの発生を示す拡大断面図であ
る。
1 燃料球 2 ZrO2 被覆層 3 マトリックス
Claims (3)
- 【請求項1】 核燃料物質またはこれを含む微小粒の多
数の燃料球をマトリックス材に分散させ、このマトリッ
クス材を成型後、焼結することにより燃料ペレットとな
す燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法において、
上記燃料球の表面にZrO2 をコーティングして未焼結
状態のZrO2 層を形成する一方、これら燃料球を上記
マトリックス材の粉末と混合して、このマトリックス材
を成型し、焼結することを特徴とする燃料球分散型原子
燃料ペレットの製造方法。 - 【請求項2】 上記ZrO2 層の密度と厚みを、燃料球
の直径およびマトリックス材の焼結時の収縮率により設
定して、マトリックス材焼結時の収縮による燃料球から
の応力を抑制する請求項1記載の燃料球分散型原子燃料
ペレットの製造方法。 - 【請求項3】 上記ZrO2 層のジルコニアが安定化ま
たは部分安定化ジルコニアである請求項1または2記載
の燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9362094A JPH11174185A (ja) | 1997-12-10 | 1997-12-10 | 燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9362094A JPH11174185A (ja) | 1997-12-10 | 1997-12-10 | 燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11174185A true JPH11174185A (ja) | 1999-07-02 |
Family
ID=18475887
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9362094A Withdrawn JPH11174185A (ja) | 1997-12-10 | 1997-12-10 | 燃料球分散型原子燃料ペレットの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11174185A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004286606A (ja) * | 2003-03-24 | 2004-10-14 | Toshihisa Shirakawa | 沸騰水型原子炉の冷却水出口温度高温化用高温燃料集合体および制御棒上部案内管および高温制御棒 |
-
1997
- 1997-12-10 JP JP9362094A patent/JPH11174185A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004286606A (ja) * | 2003-03-24 | 2004-10-14 | Toshihisa Shirakawa | 沸騰水型原子炉の冷却水出口温度高温化用高温燃料集合体および制御棒上部案内管および高温制御棒 |
JP4625239B2 (ja) * | 2003-03-24 | 2011-02-02 | 白川 利久 | 沸騰水型原子炉の冷却水出口温度高温化用高温燃料集合体 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050301 |