JP2703428B2 - 小型高速炉 - Google Patents

小型高速炉

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JP2703428B2
JP2703428B2 JP3218674A JP21867491A JP2703428B2 JP 2703428 B2 JP2703428 B2 JP 2703428B2 JP 3218674 A JP3218674 A JP 3218674A JP 21867491 A JP21867491 A JP 21867491A JP 2703428 B2 JP2703428 B2 JP 2703428B2
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reactivity
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正俊 川島
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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小型高速炉に係り、特
に原子炉容器内部から炉出力制御や燃料交換のための駆
動部を排除した簡素な構成の小型高速炉に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子炉においては設計にあたり
補修の観点から構造の簡素化が考慮され、原子炉容器内
部に制御棒や燃料交換機等の駆動部を有する機器を設置
しないようにすることが望ましい。
【0003】この種の小型高速炉として図5に示すよう
に、構造を簡素化した小型高速炉1が知られている。図
5は熱出力125MWの小型高速炉1を概念的に示した
図である。
【0004】小型高速炉1は、原子炉容器2と、この原
子炉容器2の外側に昇降可能に設けられたほぼスリーブ
状の制御用反射体3とを有して構成される。
【0005】原子炉容器2は、上部に開口部を有する筒
状体で構成される。原子炉容器2の内部には、核燃料が
装荷されて炉心4を構成するとともに液体金属ナトリウ
ム等の冷却材5が充填され炉心4が浸漬される。原子炉
容器2の開口部には、遮蔽プラグ6が着脱可能に設けら
れ、原子炉容器2の内部を密封する。
【0006】制御用反射体3は、原子炉容器2の外側に
配置され、駆動機構7により昇降駆動される。制御用反
射体3は、原子炉容器2の外周を上下方向に移動するこ
とにより炉心4から発生する中性子の漏洩を制御し、核
燃料の燃焼反応度を制御する。
【0007】また、原子炉容器2内には、炉心4の熱を
冷却材5を介して取り出す中間熱交換器8が設けられ、
この中間熱交換器8の下方には電磁ポンプ9が設けら
れ、これら中間熱交換器8および電磁ポンプ9の内周側
には、隔壁11が設置されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】小型高速炉1は、炉自
体が水没或いは冠水する可能性のある場所で用いられる
ことも予想される。ところが、小型高速炉1は構成上簡
素な構造を有するため、炉心4の核燃料のプルトニウム
富化度は、制御用反射体3の反応度制御能力に応じて決
定される。このため上記核燃料の富化度は、例えば約2
3%に設定され、制御用反射体3の反応度制御能力は、
核燃料に対して約10%Δk〜20%Δk程度に設定さ
れる。
【0009】一方、小型高速炉1が水没し、原子炉容器
2の周囲がすべて水で満たされると仮定した場合、水に
よる反応度印加量(水の反応度価値)は約8%Δkであ
る。
【0010】従って、例えば、制御用反射体3の反応度
制御能力が上記核燃料に対して約15%Δkに設定され
ていると、小型高速炉1の水没時、小型高速炉1の未臨
界性を保持するのに必要な反射体制御能力として、制御
用反射体3の反応度制御能力である約15%Δkから水
の反応度価値である約8%Δkを差し引くと、小型高速
炉1の本来の運転制御(燃焼補償、温度補償、炉停止余
裕等)に使用できる反応度制御能力は約7%Δkとなっ
てしまう。
【0011】このように、異常事象として小型高速炉1
が水没する可能性を否定できない場合、小型高速炉1の
制御可能な燃焼反応度は、制御用反射体3が制御可能な
反応度と、水没時の小型高速炉1の周囲の水の反応度と
の差であり、制御可能な燃焼反応度がわずかなものとな
ってしまう。
【0012】このため、水没の可能性を考慮すると、小
型高速炉1の反応度寿命を長くとることができないとい
う問題がある。
【0013】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、簡素な構成で、小型高速炉の制御可能な燃焼
反応度を増大させ、水没時の未臨界性の確保と核燃料の
反応度寿命の長期化、及び保守の簡素化を図ることがで
きるとともに、緊急時の炉停止操作を確実に行い信頼性
の向上を図ることができる小型高速炉を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る小型高速炉
は、上述した課題を解決するために、核燃料を内部に装
荷した炉心に冷却材を充填し、上下部の少なくともいず
れか一方を遮蔽プラグで閉塞した原子炉容器と、この原
子炉容器を収容可能に昇降自在で前記核燃料の燃焼反応
度を制御する反射装置と、前記原子炉容器の上下方向の
少なくともいずれか一方から炉心を貫通して設けられた
貫通管と、この貫通管に挿脱可能に出し入れされ炉出力
を制御する制御棒とを備え、この制御棒は、前記原子炉
容器外部が水没した場合に前記炉心に印加される反応度
価値を上回る反応度価値を有しているようにしたもので
ある。
【0015】
【作用】本発明に係る小型高速炉は、原子炉容器の内部
に核燃料を装荷した炉心を収容し、冷却材を充填して遮
蔽プラグで閉塞し、反射装置が原子炉容器を収容可能に
昇降して核燃料の燃焼反応度を制御し、貫通管が原子炉
容器に上下方向の少なくともいずれか一方から炉心を貫
通して設けられ、この貫通管に制御棒を挿脱可能に出し
入れして炉出力を制御することにより、制御可能な燃焼
反応度を増大させることができるので、万一小型高速炉
が水没しても水没時の未臨界性を確保することができ
る。また、制御可能な燃焼反応度が増大するのに応じて
核燃料を反応度寿命の長い核燃料を用いることができ
る。
【0016】
【実施例】以下、本発明に係る小型高速炉の第1の実施
例について添付図面を参照して説明する。
【0017】図1は、本発明の第1の実施例に係る小型
高速炉を示す概念図、図2は、図1の小型高速炉の断面
を示す縦断面図である。なお、図5と対応する箇所には
同一の符号を付して説明する。
【0018】小型高速炉10は、図1に示すように、例
えば熱出力125MWの小型炉である。小型高速炉10
は、原子炉容器12と、この原子炉容器12を収容可能
に上下動する反射装置13とを有して構成される。
【0019】原子炉容器12は、上部に開口部12Aを
有する有底円筒体で構成され、上側に筒部12Bが、下
側に底部12Cがそれぞれ形成される。原子炉容器12
の内部には、核燃料が装荷されて炉心14を構成すると
ともに液体金属ナトリウム等の冷却材5が充填され炉心
14が浸漬される。
【0020】炉心14は、等価直径約92cm、高さ30
0cmの大きさを有し、核燃料はプルトニウム富化度が約
23%の金属燃料で構成される。炉心14は、炉心支持
板14Aにより支持される。炉心支持板14Aは、外周
側に複数の流通孔14Bが、内周側に複数の炉心連通孔
14Cがそれぞれ設けられる。
【0021】原子炉容器12の開口部12Aには、遮蔽
プラグ16が着脱可能に設けられ、原子炉容器12の内
部を密封する。
【0022】反射装置13は、制御用反射体3と、この
制御用反射体3を昇降駆動させる駆動機構7とにより構
成される。
【0023】制御用反射体3は、ほぼ中空円筒状に形成
され原子炉容器12の外部に設けられる。制御用反射体
3は、内径が原子炉容器12の外径より大径に形成さ
れ、駆動機構7により原子炉容器12の下方から原子炉
容器12の外周に沿って上下動可能に制御される。制御
用反射体3は、原子炉容器12の外周を上下動すること
により炉心14の燃焼反応度を制御する。
【0024】原子炉容器12には、円環状の中間熱交換
器8が設けられ、炉心14の熱を冷却材5を介して取り
出すようになっている。また、中間熱交換器8の下方に
は、円環状の電磁ポンプ9が設けられ、この電磁ポンプ
9は中間熱交換器8により熱交換された冷却材5を原子
炉容器12の下方に導き、冷却材5を循環させる。
【0025】中間熱交換器8と電磁ポンプ9との内周側
には、隔壁11が炉心支持板14Aから延設され、隔壁
11の内部には炉心14が収容される。隔壁11は、原
子炉容器12の筒部12Bを炉心14が収容される高温
側と、中間熱交換器8および電磁ポンプ9とが配置され
る低温側とに画成する。
【0026】ところで、原子炉容器12の軸心部には、
貫通管としての内管20が設けられる。内管20は、原
子炉容器12上部の遮蔽プラグ16から炉心14を貫通
し、炉心支持板14Aに達して上下方向に延設される。
内管20の直径は例えば約20cmに設定される。
【0027】内管20には、制御棒21が原子炉容器1
2の上方から挿脱可能に出し入れされる。制御棒21
は、10Bを濃縮した炭化硼素(B4 C)からなり、反応
度制御能力を約10%Δkに設定している。制御棒21
の上端はベローズ23を介して制御棒駆動機構22に連
結される。制御棒駆動機構22は、遮蔽プラグ16上に
設けられたハウジング24内に収容され、制御棒21を
内管20内で上下方向に変位可能に駆動制御する。制御
棒21は、制御棒駆動機構22により内管20内を上下
方向に変位し、炉心14を貫通する炉心部内管20A内
で出し入れされることにより、炉心14での核燃料の燃
焼反応度を制御する。
【0028】次に、小型高速炉10の作用について説明
する。
【0029】小型高速炉10は、駆動機構7により制御
用反射体3を上下動させて原子炉容器12の外周を所望
の開度で覆い炉心14に装荷された核燃料の燃焼反応度
を制御する。
【0030】冷却材5は、炉心14で高温化されると、
隔壁11内を上昇して中間熱交換器8の内部に導入され
て熱交換される。中間熱交換器8にて熱交換された冷却
材5は、電磁ポンプ9により下方へ吐出され、流通孔1
4Bから原子炉容器12の底部12Cへ導入され、炉心
連通孔14Cを介して再び炉心14に導かれ、原子炉容
器12の内部を循環する。
【0031】ところで、万一の異常事象に因り小型高速
炉10が水没し、原子炉容器12の周囲がすべて水で満
たされた場合、水による反応度印加量(水の反応度価
値)は約8%Δkである。このため、例えば、制御用反
射体3の反応度制御能力が核燃料に対して約15%Δk
に設定されていると、小型高速炉10の水没時、小型高
速炉10の未臨界性を保持するのに必要な反射体制御能
力として、制御用反射体3の反応度制御能力である約1
5%Δkから水の反応度価値である約8%Δkを差し引
くと、小型高速炉10を制御用反射体3のみの使用によ
る運転制御(燃焼補償、温度補償、炉停止余裕等)に使
用できる反応度制御能力は約7%Δkとなる。
【0032】そこで、このような小型高速炉10の水没
時に、制御棒駆動機構22により制御棒21を炉心部内
管20A内に挿入すると、制御棒21は10%Δkの反
応度制御能力を有しているため、水没時の水の反応度価
値である約8%Δkを上回る。従って、小型高速炉10
の水没時、制御棒21と制御用反射体3との制御能力を
合わせると、小型高速炉10の運転制御に使用できる反
応度は約17%Δkと増大し、小型高速炉10の未臨界
性を充分確保することができる。このため、制御可能な
燃焼反応度が増大するのに応じて核燃料を反応度寿命の
長い核燃料を用いることができる。
【0033】一方、小型高速炉10が水没する恐れのな
い場所で用いられる際には、制御棒21と制御用反射体
3とを併用することができるため、炉心14の核燃料の
核分裂性物質の富化度(濃縮度)を高め、その分の余剰
反応度を制御棒21で制御することにより、長期間の燃
焼による反応度の減少を補償することができるので、核
燃料の反応度寿命を大幅に延ばすことができる。例え
ば、5万KWeクラスの規模を有する小型高速炉の場
合、併用により約10年延ばすことが可能で、結果とし
て反応度寿命は約20年となる。
【0034】さらに、制御棒21は、原子炉容器12の
外部から内管20内に挿入されるため、制御棒21、制
御棒駆動機構22、ベローズ23の保守、点検、修理等
のメンテナンス作業の際、遮蔽プラグ16を開く必要が
なく、反応度寿命の長い核燃料を装荷すると、原子炉容
器12の内部のメンテナンスが長期間に亘り不要とな
る。
【0035】次に、本発明に係る小型高速炉の第2の実
施例について図3を参照して説明する。なお、図1、図
2および図5と対応する箇所には同一の符号を付し、そ
の説明は省略する。
【0036】小型高速炉30は、図3に示すように、原
子炉容器32と、この原子炉容器32を収容可能に上下
動する反射装置13とを有して構成される。原子炉容器
32は、下部に開口部32Aを有する有底円筒状体で構
成される。炉心14は、炉心支持板14Aにより支持さ
れる。
【0037】原子炉容器32の開口部32Aには、遮蔽
プラグ33が着脱可能に設けられ、原子炉容器32の内
部を密封する。
【0038】反射装置13は、制御用反射体3と、この
制御用反射体3を昇降駆動させる駆動機構7とにより構
成される。
【0039】ところで、原子炉容器32の軸心部には、
貫通管としての内管31が設けられる。内管31は、原
子炉容器32の遮蔽プラグ33から炉心支持板14Aお
よび炉心14を貫通して上下方向に延設される。
【0040】内管31には、制御棒21が原子炉容器3
2の下方から挿脱可能に出し入れされる。制御棒21
は、10Bを濃縮した炭化硼素(B4 C)からなり、反応
度制御能力を約10%Δkに設定している。制御棒21
の下端はベローズ23を介して制御棒駆動機構22に連
結される。制御棒駆動機構22およびベローズ23は、
遮蔽プラグ33の下方に設けられたハウジング24内に
収容される。制御棒駆動機構22は、制御棒21を内管
31内で上下方向に変位可能に駆動制御する。制御棒2
1は、制御棒駆動機構22により内管31内を上下方向
に変位し、炉心14を貫通する炉心部内管31A内で出
し入れされることにより、炉心14の核燃料の燃焼反応
度を制御するようになっている。
【0041】このため、第2の実施例に係る小型高速炉
30は、上記第1の実施例に係る小型高速炉10が、原
子炉容器12の上方から制御棒21を出し入れするのに
対して、原子炉容器32の下方から制御棒21を出し入
れするようになっている。
【0042】次に、小型高速炉の第2の実施例の作用に
ついて説明する。
【0043】小型高速炉30は、駆動機構7により制御
用反射体3を上下動させて原子炉容器32の外周を所望
の開度で覆い炉心14の核燃料の燃焼反応度を制御す
る。
【0044】万一の異常事象に因り小型高速炉30が水
没し、原子炉容器32の周囲がすべて水で満たされた場
合、水による反応度印加量は約8%Δkである。このた
め、例えば、制御用反射体3の反応度制御能力が核燃料
に対して約15%Δkに設定されていると、小型高速炉
30の水没時、小型高速炉30を制御用反射体3のみの
使用による運転制御(燃焼補償、温度補償、炉停止余裕
等)に使用できる反応度制御能力は約7%Δkとなる。
【0045】そこで、このような小型高速炉30の水没
時に、制御棒駆動機構22により制御棒21を炉心部内
管31A内に挿入すると、制御棒21は10%Δkの反
応度制御能力を有しているため、水没時の水の反応度価
値である約8%Δkを上回る。従って、小型高速炉30
の水没時、制御棒21と制御用反射体3との制御能力を
合わせると、小型高速炉30の運転制御に使用できる反
応度は約17%Δkと増大し、小型高速炉30の未臨界
性を充分確保することができる。このため、制御可能な
燃焼反応度が増大するのに応じて、核燃料を反応度寿命
の長い核燃料を用いることができる。
【0046】一方、小型高速炉30が水没する恐れのな
い場所で用いられる際には、制御棒21と制御用反射体
3とを併用することができるため、核燃料の核分裂性物
質の富化度(濃縮度)を高め、その分の余剰反応度を制
御棒21で制御することにより、長期間の燃焼による反
応度の減少を補償することができるので、核燃料の反応
度寿命を大幅に延ばすことができる。
【0047】さらに、制御棒21は、原子炉容器32の
下部から内管31内に挿入されるため、制御棒21、制
御棒駆動機構22、ベローズ23の保守、点検、修理等
のメンテナンス作業の際、遮蔽プラグ33を開く必要が
なく、遮蔽プラグ33から独立してメンテナンス作業を
行うことができる。また、反応度寿命の長い核燃料を炉
心14に装荷すると、原子炉容器32の内部のメンテナ
ンスが長期間に亘り不要となる。
【0048】次に、本発明の小型高速炉の第3の実施例
について図4を参照して説明する。なお、図1ないし図
3および図5と対応する箇所には同一の符号を付し、そ
の説明は省略する。
【0049】小型高速炉40は、図4に示すように、原
子炉容器42と、この原子炉容器42を収容可能に上下
動する反射装置13とを有して構成される。原子炉容器
42は、上下部にそれぞれ開口部42A、42Bを有す
る中空円筒状体で構成される。炉心14は、炉心支持板
14Aにより支持される。
【0050】原子炉容器42の開口部42A、42Bに
は、遮蔽プラグ16,33がそれぞれ着脱可能に設けら
れ、原子炉容器42の内部を密封する。
【0051】原子炉容器42の内部上方には、中間熱交
換器8が設けられ、炉心14の熱を冷却材5を介して取
り出すようになっている。また、炉心支持板14Aの下
方には、電磁ポンプ9が設けられ、この電磁ポンプ9は
中間熱交換器8により熱交換された冷却材5を原子炉容
器12の下方に導き、冷却材5を循環させる。
【0052】ところで、小型高速炉40は、図4に示す
ように、貫通管としての内管41が原子炉容器42の軸
心部を貫通して設けられる。内管41は、原子炉容器4
2上部の遮蔽プラグ16から炉心14および炉心支持板
14Aを貫通し、さらに遮蔽プラグ33を貫通して上下
方向に延設される。
【0053】内管41には、制御棒21A,21Bが原
子炉容器42の上方および下方の両方向から挿脱可能に
出し入れされる。制御棒21A,21Bは、10Bを濃縮
した炭化硼素(B4 C)からなり、反応度制御能力を約
10%Δkに設定している。上下の各制御棒21A,2
1Bはそれぞれ駆動側端部がベローズ23A、23Bを
介して制御棒駆動機構22A、22Bにそれぞれ連結さ
れる。制御棒駆動機構22A,22Bおよびベローズ2
3A,23Bはそれぞれ、ハウジング24A,24B内
に収容される。ハウジング24A,24Bは、遮蔽プラ
グ16の上部および遮蔽プラグ33の下部にそれぞれ設
けられる。
【0054】各制御棒駆動機構22A,22Bは、制御
棒21A,21Bを内管41内で上下方向に変位可能に
駆動制御する。制御棒21A,21Bは、制御棒駆動機
構22A,22Bにより内管41内を上下方向に変位
し、炉心14を貫通する炉心部内管41A内で出し入れ
されることにより、炉心14の核燃料の燃焼反応度を制
御する。
【0055】このため、第3の実施例に係る小型高速炉
40は、上記第1および第2の実施例に係る小型高速炉
10、30が、原子炉容器12、32の上方或いは下方
のいずれか一方から制御棒21を出し入れするのに対し
て、原子炉容器42の上下両方向から制御棒21を出し
入れするようになっている。
【0056】次に、小型高速炉の第3の実施例の作用に
ついて説明する。
【0057】小型高速炉40は、駆動機構7により制御
用反射体3を上下動させて原子炉容器42の外周を所望
の開度で覆い炉心14の核燃料の燃焼反応度を制御す
る。
【0058】万一の異常事象に因り小型高速炉40が水
没し、原子炉容器42の周囲がすべて水で満たされた場
合、上記第1および第2の実施例と同様に、制御用反射
体3の反応度制御能力が炉心14の核燃料に対して約1
5%Δkに設定されていると、小型高速炉40の水没
時、小型高速炉40を制御用反射体3のみの使用による
運転制御(燃焼補償、温度補償、炉停止余裕等)に使用
できる反応度制御能力は約7%Δkとなる。
【0059】そこで、このような小型高速炉40の水没
時に、制御棒駆動機構22A,22Bにより制御棒21
A,21Bを炉心部内管41A内に挿入すると、制御棒
21A,21Bは10%Δkの反応度制御能力を有して
いるため、水没時の水の反応度価値である約8%Δkを
上回る。従って、小型高速炉40の水没時、制御棒21
A,21Bと制御用反射体3との制御能力を合わせる
と、小型高速炉40の運転制御に使用できる反応度は約
17%Δkと増大し、小型高速炉40の未臨界性を充分
確保することができる。このため、制御可能な燃焼反応
度が増大するのに応じて、核燃料を反応度寿命の長い核
燃料を用いることができる。
【0060】さらに、各制御棒21A,21Bを独立し
て駆動すると、炉心14に対してきめ細かい出力制御を
行うことができる。
【0061】一方、小型高速炉40が水没する恐れのな
い場所で用いられる際には、制御棒21A,21Bと制
御用反射体3とを併用することができるため、核燃料の
核分裂性物質の富化度(濃縮度)を高め、その分の余剰
反応度を制御棒21A,21Bで制御することにより、
長期間の燃焼による反応度の減少を補償することができ
るので、核燃料の反応度寿命を大幅に延ばすことができ
る。
【0062】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る小型
高速炉は、核燃料を内部に装荷した炉心に冷却材を充填
し、上下部の少なくともいずれか一方を遮蔽プラグで閉
塞した原子炉容器と、この原子炉容器を収容可能に昇降
自在で核燃料の燃焼反応度を制御する反射装置と、原子
炉容器の上下方向の少なくともいずれか一方から炉心を
貫通して設けられた貫通管と、この貫通管に挿脱可能に
出し入れされ炉出力を制御する制御棒とを備え、この制
御棒は、原子炉容器外部が水没した場合に炉心に印加さ
れる反応度価値を上回る反応度価値を有していることに
より、簡素な構成で、万一小型高速炉が水没した際でも
未臨界性を充分確保することができるので、炉停止操作
を確実に行うことができ、安全性の向上を図ることがで
きるとともに保守の簡素化を図ることができる。
【0063】また、小型高速炉が水没する恐れのない場
所で用いられる際には、小型高速炉の制御可能な燃焼反
応度を増大させ、核燃料の反応度寿命を長期化して経済
効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る小型高速炉を示す
概念図。
【図2】図1の縦断面図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る小型高速炉を示す
概念図。
【図4】本発明の第3の実施例に係る小型高速炉を示す
概念図。
【図5】従来の小型高速炉を示す概念図。
【符号の説明】
1、10、30、40 小型高速炉 2、12、32、42 原子炉容器 4、14 炉心 5 冷却材 6、16、33 遮蔽プラグ 13 反射装置 20、31、41 貫通管 21、21A,21B 制御棒 22、22A,22B 制御棒駆動機構
フロントページの続き (72)発明者 宮木 和美 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−144782(JP,A) 特開 昭58−45591(JP,A) 特開 平2−222861(JP,A) 実開 昭58−54594(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核燃料を内部に装荷した炉心に冷却材を
    充填し、上下部の少なくともいずれか一方を遮蔽プラグ
    で閉塞した原子炉容器と、この原子炉容器を収容可能に
    昇降自在で前記核燃料の燃焼反応度を制御する反射装置
    と、前記原子炉容器の上下方向の少なくともいずれか一
    方から炉心を貫通して設けられた貫通管と、この貫通管
    に挿脱可能に出し入れされ炉出力を制御する制御棒とを
    備え、この制御棒は、前記原子炉容器外部が水没した場
    合に前記炉心に印加される反応度価値を上回る反応度価
    値を有していることを特徴とする小型高速炉。
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