本発明には種々の変形や代替的形態の余地があるが、それらの特定の実施態様は添付図面に例示として示しており、本明細書に詳細に記載する。しかし、それらに対する図面と詳細な説明は開示した特定の形態に本発明を限定することを意図したものではなく、反対に、本発明は添付の特許請求の範囲に定められた本発明の精神及び範囲にある変形、同等物、代替物のすべてを包含することを意図していることを理解すべきである。
本明細書に示した実施形態は一般に、小型デバイスを製造するシステム、デバイス、関連のプロセスに関するものである。より具体的には、本明細書に示した実施形態はインプリント・リソグラフィのシステム、デバイス、関連するプロセスに関連する。例えば、これらの実施形態は半導体ウエハなどの基板上に100nm以下のフィーチャをインプリントするのに使用される。これらの実施形態はデータ記憶用のパターン化された磁気媒体、マイクロ光学デバイス、微小電気機械システム、生物学的検査デバイス、化学分析・化学反応デバイス、X線光学デバイスを含むが、これに限定しない他の種類のデバイスを製造するのに使用されてもよいことを理解すべきである。
インプリント・リソグラフィ・プロセスは、表面にトポグラフィとして像を含むテンプレートを用いて高分解能(50nm以下)の像を基板上に複製できる能力を実証した。インプリント・リソグラフィは超小型電子デバイス、光学デバイス、MEMS、オプトエレクトロニクス、記憶用途のためのパターン化された磁気媒体等の製造において基板をパターン化する際に使用できる。インプリント・リソグラフィ技術はマイクロ・レンズやTゲート構造体などの3次元構造体を製造するのに光リソグラフィよりも優れている。表面エネルギー、境界エネルギー、Hamacker定数、ファンデルワールス力、粘度、密度、不透明度等を含むがこれに限定されない物理的特性に影響を及ぼすテンプレート、基板、液体、その他の任意の材料を含むインプリント・リソグラフィ・システムの構成要素が再現可能なプロセスを適切に処理するように設計される。
インプリント・リソグラフィのための方法とシステムは参照により本明細書に組み込まれた「Step and Flash Imprint Lithography」と題されたWillsonらに付与された米国特許第6,334,960号で考察されている。インプリント・リソグラフィのためのさらなる方法とシステムは次の米国特許出願でさらに考察されている:Voisonに付与された、2001年7月17日に出願された「Method and System of Automatic Fluid Dispensing for Imprint Lithography Processes」と題された米国特許出願第09/908,455号、2001年7月16日に出願された「High−Resolution Overlay Alignment Methods and Systems for Imprint Lithography」と題された米国特許出願第09/907,512号、2001年8月1日に出願された「Methods for High−Precision Gap Orientation Sensing Between a Transparent Template and Substrate for Imprint Lithography」と題された米国特許出願第09/920,341号、2001年8月21日に出願された「Flexure Based Macro Motion Translation Stage」と題された米国特許出願第09/934,248号、2000年10月27日に出願された「High−Precision Orientation Alignment and Gap Control Stages for Imprint Lithography Processes」と題された米国特許出願第09/698,317号、2001年10月12日に出願された「Template Design for Room Temperature,Low Pressure micro−and Nano−Imprint Lithography」と題された米国特許出願第09/976,681号、2002年5月1日に出願された「Methods of Manufacturing a Lithography Template」と題された米国特許出願第10/136,188号、及びWillsonらに付与された2001年5月16日に出願された「Method and System for Fabricating Nanoscale Patterns in Light Curable Compositions Using an Electric Field」と題された米国特許出願第であり、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれている。さらなる方法とシステムが以下の刊行物で考察されており、そのすべてが参照により本明細書に組み込まれている:Precision Engineering誌、B.J.Choi、S.Johnson、M.Colburn、S.V.Sreenivasan、C.G.Willsonの「Design of Orientation Stages for Step and Flash Imprint Lithography」、J.Vac Sci Technol B 16(6)3825〜3829 1998年11〜12月号、W.Wu、B.Cui、X.Y.Sun、W.Zhang、L.Zhunag、及びS.Y.Chouの「Large area high density quantized magnetic disks fabricated using nanoimprint lithography」、J Vac Sci Tech B 17(6)、3197〜3202、1999年、S.Y.Chou、L.Zhuangの「Lithographically−induced Self−assembly of Periodic Polymer Micropillar Arrays」、及びMacromolecules 13、4399(1998年)、P.Mansky、J.DeRouchey、J.Mays、M.Pitsikalis、T.Morkved、H.Jaeger及びT.Russelの「Large Area Domain Alignment in Block Copolymer Thin Films Using Electric Fields」。
図1はインプリント・リソグラフィのシステム3900の一実施形態を示す。システム3900はインプリント・ヘッド3100を備える。インプリント・ヘッド3100はインプリント・ヘッド支持体3910に取り付けられている。インプリント・ヘッド3100はパターン化されたテンプレート3700を保持するように構成されている。パターン化されたテンプレート3700は基板にインプリントされるあるパターンのイーチャを定める複数の凹部を含む。インプリント・ヘッド3100又はモーション・ステージ3600は、使用中に、インプリントされる基板に向かって、かつそこから離れるようにパターン化されたテンプレート3700を移動させるようにも構成されている。システム3900はモーション・ステージ3600を備えている。モーション・ステージ3600はモーション・ステージ支持体3920に取り付けられている。モーション・ステージ3600は基板を保持するように、かつモーション・ステージ支持体3920の上で基板をほぼ面動作で移動させるように構成されている。システム3900はインプリント・ヘッド3100に結合された硬化光システム3500をさらに備えている。活性化光システム3500は硬化光を発生し、インプリント・ヘッド3100に結合されたパターン化されたテンプレート3700を通して発生された硬化光を導くように構成されている。硬化光は重合可能な液体を硬化させるのに適切な波長の光を含む。硬化光は紫外線、可視光、赤外線、放射X線、放射電子線を含む。
インプリント・ヘッド支持体3910は架橋支持体3930によってモーション・ステージ支持体3920に結合されている。このような方法で、インプリント・ヘッド3100をモーション・ステージ3600の上に置く。インプリント・ヘッド支持体3910、モーション・ステージ支持体3920、架橋支持体3930は本明細書ではまとめてシステムの「本体」と呼ぶ。このシステム本体の構成要素は熱的安定性のある材料で形成される。熱的安定性のある材料は、およそ室温(例えば、25℃)で約10ppm/℃より低い熱膨張係数を有する。いくつかの実施形態では、構成材料は約10ppm/℃より低い又は約1ppm/℃より低い熱膨張係数を有してよい。そのような材料の例には炭化ケイ素、鋼、ニッケルのある種の合金(例えば、INVAR(登録商標)の名で市販されている合金)を含むがこれに限定しないある種の鉄の合金、さらにはある種の鋼、ニッケル、コバルトの合金(例えば、SUPER INVAR(商標)の名で市販されている合金)がある。そのような材料のさらに別の例には、ZERODUR(登録商標)セラミックを含むがこれに限定しないある種のセラミックを含む。モーション・ステージ支持体3920と架橋支持体3930は支持テーブル3940に結合される。支持テーブル3940はシステム3900の構成要素に対し実質的に無振動の支持を提供する。支持テーブル3940は周囲振動(例えば、作業、他の機械装置による)からシステム3900を絶縁する。モーション・ステージや振動絶縁支持テーブルはカリフォルニア州アービンのNewport Corporationから市販されている。
本明細書では、「X軸」とは架橋支持体3930間を横切る軸を意味する。本明細書では、「Y軸」とはX軸に直交する軸を意味する。本明細書では、「X−Y面」とはX軸とY軸によって定められた面を意味する。本明細書では、「Z軸」とはX−Y面に直交し、モーション・ステージ支持体3920からインプリント・ヘッド支持体3910へ横切る軸を意味する。一般に、インプリント・プロセスはパターン化されたテンプレートに対する基板の適切な位置が達成されるまでX−Y面に沿って基板又はインプリント・ヘッドを移動させることを伴う。Z軸に沿ったテンプレート又はモーション・ステージの動きによって、パターン化されたテンプレートと基板の表面上に配置された液体との間で接触が可能になる位置にパターン化されたテンプレートが来る。
システム3900は図2に示すようにエンクロージャ3960内に収容される。エンクロージャ3960はインプリント・リソグラフィ・システム3900を覆い、リソグラフィの構成要素に対する熱と空気の障壁となっている。図2に示すように、エンクロージャ3960は「開」位置に移動したときにインプリント・ヘッドとモーション・ステージへのアクセスを可能にする可動アクセス・パネル3962を含む。「閉」位置にある場合、システム3900の構成要素は少なくとも部分的に周囲環境から絶縁される。アクセス・パネル3962はエンクロージャ3960内の構成要素の温度への室内の温度変化の影響を低減させるための熱の障壁としても機能する。エンクロージャ3960は温度制御システムを備える。温度制御システムはエンクロージャ3960内の構成要素の温度を制御するのに使用される。一実施形態では、温度制御システムはエンクロージャ3960内で約1℃を超える温度変化を阻止するように構成されている。いくつかの実施形態では、温度制御システムは約0.1℃を超える変化を阻止する。一実施形態では、1つ又は複数のファンと組み合わされたサーモスタット又は他の温度測定デバイスが、エンクロージャ3960内を実質的に一定温度に維持するために使用される。
種々のユーザ・インタフェースをエンクロージャ3960に設けてもよい。コンピュータ制御のユーザ・インタフェース3964がエンクロージャ3960に結合されている。ユーザ・インタフェース3964は封入されたインプリント・システム3900の機能に関連する動作パラメータ、診断情報、ジョブ進行情報、その他の情報を表示する。ユーザ・インタフェース3964はオペレータの命令を受け取ってシステム3900の動作パラメータを変更するようにも構成されている。ステージング支持体3966がエンクロージャ3960に結合されている。インプリント・リソグラフィ・プロセスの間に基板、テンプレート、その他の装置を置いておくのに、オペレータがステージング支持体3966を使用する。いくつかの実施形態では、ステージング支持体3966は基板を支持するための1つ又は複数の窪み3967(例えば、半導体ウエハ用の円形窪み)を含んでいる。ステージング支持体3966はテンプレート支持用の1つ又は複数の窪み3968をも含んでいる。
インプリント・リソグラフィ・システムが実施するように設計されたプロセスに応じて、付加的な構成要素が存在してよい。例えば、自動ウエハ・ローダ、自動テンプレート・ローダ、カセット・ローダへのインタフェース(すべては図示せず)を含むがこれに限定しない半導体処理装置が、インプリント・リソグラフィ・システム3900に結合されてもよい。
図3はインプリント・ヘッド3100の一部分の実施形態を示している。インプリント・ヘッド3100は事前較正システム3109と該事前較正システムに結合された高精度方向付けシステム3111を備えている。テンプレート支持体3130は高精度方向付けシステム3111に結合されている。テンプレート支持体3130はテンプレート3700を支持し、かつそれを高精度方向付けシステム3111に結合するように設計されている。
図4を参照すると、事前較正システム3109の一部分を構成する円盤状たわみリング3124がインプリント・ヘッド・ハウジング3120に結合されている。インプリント・ヘッド・ハウジング3120はガイド・シャフト3112a、3112bを用いて中間フレーム3114に結合されている。一実施形態では、ハウジング3120を支持するために3本のガイド・シャフト(図4では後部ガイド・シャフトは見えない)が使用されている。ハウジング3120の上下動を促進するために、中間フレーム3114周辺部に、対応するガイド・シャフト3112a、3112bに結合されるスライダー3116a、3116bが用いられている。円盤状ベース・プレート3122がハウジング3120の底部分に結合されている。ベース・プレート3122はたわみリング3124に結合されている。たわみリング3124は第1のたわみ部材3126と第2のたわみ部材3128を含む高精度方向付けシステムの構成要素を支持する。たわみ部材3126、3128の動作と構成を以下で詳細に考察する。
図5はインプリント・ヘッド3100の分解図を示す。図5に示すように、アクチュエータ3134a、3134b、3134cがハウジング3120に固定され、ベース・プレート3122とたわみリング3124に結合されている。動作中、アクチュエータ3134a、3134b、3134cの動作はたわみリング3124の動きを制御する。アクチュエータ3134a、3134b、3134cの動作により、大まかな事前較正が容易になる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ3134a、3134b、3134cはハウジング3120周囲で均等に離れている。アクチュエータ3134a、3134b、3134cとたわみリング3124は共に事前較正システムを形成している。アクチュエータ3134a、3134b、3134cは空隙を正確に制御するためにZ軸に沿ってたわみリング3124を移動させる。
適切な方向への整列が達成され、かつ基板表面に対して均一な間隙がテンプレートによって維持されるように、インプリント・ヘッド3100はテンプレート3700の高精度に方向付け制御を行う機構も備えている。一実施形態では、整列と間隙の制御は第1と第2のたわみ部材3126、3128をそれぞれ使用することによって達成される。
図6、7はそれぞれ、第1と第2のたわみ部材3126、3128の実施形態をより詳細に示している。図6に示すように、第1のたわみ部材3126は、対応する剛体部3164、3166に結合された複数のたわみジョイント3160を含む。たわみジョイント3160は、たわみジョイントの最も薄い断面部に沿ったピボット軸の周囲で剛体部3164、3166が動けるようにしたノッチであってよい。たわみジョイント3160と剛体部3164は共にアーム3172を形成する一方で、別のたわみジョイント3160と剛体部3166は共にアーム3174を形成する。アーム3172、3174は第1のたわみフレーム3170に結合され、それから延びている。第1のたわみフレーム3170は開口部3182を有している。これによって、硬化光(例えば、紫外線)が第1のたわみ部材3126を通過できる。図示した実施形態では、4つのたわみジョイント3160が第1のたわみフレーム3170の第1の方向付け軸3180に関する動作を可能にしている。しかし、所望の制御を行うために多かれ少なかれたわみジョイントを用いることを理解すべきである。図8に示すように、第1のたわみ部材3126は第1のたわみフレーム3170によって第2のたわみ部材3128に結合されている。第1のたわみ部材3126は2つの結合部材3184、3186も備えている。結合部材3184、3186は任意の適切な締付手段を用いてたわみリング3124へ結合部材を取り付ける開口部を備える。結合部材3184、3186は図示のようなアーム3172、3174を介して第1のたわみフレーム3170に結合されている。
図7に示すように、第2のたわみ部材3128は第2のたわみフレーム3206から延びた一対のアーム3202、3204を備える。たわみジョイント3162と剛体部3208が共にアーム3202を形成すると同時に、他のたわみジョイント3162と剛体部3210がアーム3204を形成する。たわみジョイント3162は、たわみジョイントの最も薄い断面部に沿ったピボット軸の周囲で剛体部3210、3204が動けるようにしたノッチであってよい。アーム3202、3204はテンプレート支持体3130に結合され、かつテンプレート支持体3130から延びている。テンプレート支持体3130はパターン化されたテンプレートの少なくとも一部分を支持かつ保持するように構成されている。テンプレート支持体3130は硬化光(例えば、紫外線)を第2のたわみ部材3128に通す開口部3212も有する。図示の実施形態では、4つのたわみジョイント3162によって、テンプレート支持体3130が第2の方向付け軸3200に関する動作を可能としている。しかし、所望の制御を行うために多かれ少なかれたわみジョイントを用いることを理解すべきである。第2のたわみ部材3128はブレース3220、3222も備える。ブレース3220、3222は第1のたわみ部材3126へブレースを取り付けるための開口部を含む。
一実施形態では、第1のたわみ部材3126と第2のたわみ部材3128は図8に示すように接合されて高精度方向付け部3111を形成している。ブレース3220、3222は、第1のたわみ部材3126の第1の方向付け軸3180と第2のたわみ部材の第2の方向付け軸3200が相互に対して実質的に直交するように第1のたわみフレーム3170に結合されている。そのような構成では、第1の方向付け軸3180と第2の方向付け軸3200は、テンプレート支持体3130内に配置されたパターン化されたテンプレート3700のほぼ中心領域におけるピボット点3252で交差する。第1と第2のたわみ部材のこの結合によって使用中にパターン化されたテンプレート3700の高精度な整列と間隙制御が可能となる。第1と第2のたわみ部材を個別の要素として図示しているが、第1と第2のたわみ部材は、たわみ部材が一体化される機械加工された単一の部品から形成されてよいことを理解すべきである。たわみ部材3126、3128はパターン化されたテンプレート3700の動きがピボット点3252の周囲で生じるように表面が組み合わされて結合されているので、インプリント・リソグラフィ後にインプリントされたフィーチャを剪断するであろう「揺れ」や他の動きを実質的に低減させることができる。たわみジョイントの構造上の高い剛性が選択的に制限されるために、高精度方向付け部によってテンプレート表面の側方動きが無視できるようになり、テンプレート表面に対する垂線の回りのねじれ動きは無視できるようになる。本明細書に記載したたわみ部材を用いた別の利点は、特に摩擦で動くジョイントに比べ、たわみ部材がかなりの量の微粒子を生成しないことである。この微粒子はインプリント・リソグラフィ・プロセスを乱すので、このことはインプリント・リソグラフィ・プロセスに大きな利点を提供する。
図9は事前較正システムに結合された組み立てられた高精度方向付けシステムを示す。パターン化されたテンプレート3700が第2のたわみ部材3128の一部であるテンプレート支持体3130内に位置している。第2のたわみ部材3128は第1のたわみ部材3126に実質的に直交する方向で結合されている。第1のたわみ部材3126は結合部材3186、3184を介してたわみリング3124に結合されている。上記のようにたわみリング3124はベース・プレート3122に結合されている。
図10は断面3260を示す事前較正システムの断面図である。図10に示すように、たわみリング3124はアクチュエータ3134を有するベース・プレート3122に結合されている。アクチュエータ3134はたわみリング3124に接する力検出器3135に結合された端部3270を含む。使用中、アクチュエータ3134を起動することにより端部3270はたわみリング3124に向かって、あるいはたわみリング3124から移動させられる。たわみリング3124に向かう端部3270の動きはたわみリングを変形させ、高精度方向付けシステムをZ軸に沿って基板方向に並進させる。たわみリングから離れる端部3270の動きによってたわみリングはその元の形状に戻ることが可能となり、またその過程中に高精度方向付けステージを基板から離す。
典型的なインプリント・プロセスでは、先の図に示したようにテンプレートは高精度方向付けシステムに結合されたテンプレート・ホルダ内に配設される。このテンプレートが基板の表面上の液体と接触する。テンプレートが基板に接近するときに基板上に液体を押し付けることにより、テンプレートに液体による抵抗力が加わる。この抵抗力は高精度方向付けシステムを介して図9、10に示すようなたわみリング3124へ伝えられる。たわみリング3124に加えられた力は抵抗力としてアクチュエータ3134に伝わる。アクチュエータ3134に加わる抵抗力が力センサ3135によって決定される。使用中にアクチュエータ3135に加わる抵抗力が決定かつ制御されるように、力センサ3135はアクチュエータ3134に結合されている。
図11に全体を3300で表示したたわみモデルを示し、本明細書に記載の高精度方向付け部などのデカップリングされた高精度方向付けステージの動作原理をわかり易くしている。たわみモデル3300は4つの平行なジョイント、つまり、名目の構成と回転構成における4バー・リンク・システムを構成しているジョイント1、2、3、4を含む。ライン3310はジョイント1、2の整列の軸を示す。ライン3312はジョイント3、4の整列の軸を示す。角度α1はテンプレート3700の中心を通る垂直軸とライン3310との間の角度を表す。角度α2はテンプレート3700の中心を通る垂直軸とライン3312との間の角度を表す。いくつかの実施形態では、角度α1と角度α2はコンプライアントなアラインメント軸(又は方向付け軸)がテンプレート3700の表面に実質的に存在するように選択される。高精度方向付けの変化に対し、ジョイント2と3との間の剛体部3314は点Cで示した軸の回りを回転する。剛体部3314は第2のたわみ部材3128のテンプレート支持体3130を表している。
高精度方向付けシステムは、高精度方向付けシステムに結合されたテンプレートの表面において実質的な側方動きを発生せずに単に傾斜動きを発生させる。たわみアームの使用によって、横動き又は回転の動きが望ましくない方向には高い剛性を与え、方句付け動作が必要な場合にはより低い剛性が高精度方向付けシステムに提供与えられる。したがって、高精度方向付けシステムはテンプレート支持体の回転を、すなわちテンプレートの回転をテンプレート表面のピボット点周囲で可能にすると同時に、テンプレートに対して垂直方向とテンプレートに対して平行方向とに十分な抵抗力を与えて基板に対して適切な位置を維持する。このようにして、受動的方向付けシステムがテンプレートに対して平行な方向へのテンプレートの方向付けに使用される。「受動的」という用語は、ユーザ又はプログラマブル・コントローラなしに発生する動きを意味し、つまりシステムはテンプレートの液体との接触によって適切な方向に自己補正する。能動的たわみを発生するためにたわみアームの動作がモータによって制御される別の実施形態が実施されてもよい。
高精度方向付けステージの動きは液体との直接的又は間接的接触によって生じることがある。高精度方向付けステージが受動的な場合、一実施形態では2つの方向付け軸の回りで最も有力なコンプライアンスを有するように設計される。2つの方向付け軸は相互に直交して存在し、かつ高精度方向付けステージ上に配置されたインプリント部材のインプリント表面上に存在する。2つの直交するねじれのコンプライアンスの値は対称的なインプリント部材に対して同じになるように設定される。受動的高精度方向付けステージはテンプレートが基板に対して平行でない場合にテンプレートの方向を変えるように設計される。テンプレートが基板上の液体と接触するとき、たわみ部材は結果的に生じるテンプレート上への不均一な液体の圧力を補正する。そのような補正は最小のオーバーシュートで、あるいは全くオーバーシュートがなく行われるであろう。さらに、上記のような高精度方向付けステージは液体の硬化を可能にするために、テンプレートと基板との間で実質的に平行な方向付けを十分に長い時間にわたって維持するであろう。
図1に示すように、インプリント・ヘッド3100はインプリント・ヘッド支持体3910に取り付けられている。この実施形態では、インプリント・ヘッド3910はインプリント・ヘッドが常に固定位置に留まるように取り付けられている。使用中、X−Y面に沿ったすべての動きはモーション・ステージ3600によって基板に対して実行される。
使用中、モーション・ステージ3600を用いてインプリントされる基板が支持され、X−Y面に沿って基板が移動される。いくつかの実施形態では、モーション・ステージは少なくとも±30nmの精度で、好適には約±10nmの精度で最大数百mmを超えて基板を移動させることができる。一実施形態では、図12に示すように、モーション・ステージはキャリッジ3620に結合された基板チャック3610を備える。キャリッジ3620は摩擦軸受システム又は無摩擦軸受システム上でベース3630の上で動く。一実施形態では、空気軸受を備えた無摩擦軸受システムが使用される。キャリッジ3620は一実施形態では空気層(すなわち、「空気軸受」)を用いてモーション・ステージのベース3630の上に懸架される。磁気又は真空システムを用いて空気軸受レベルにカウンター・バランシング力を与えてもよい。磁気ベースと真空ベースのシステムは共に種々の供給源から市販されており、またそのような任意のシステムをインプリント・リソグラフィ・プロセスに用いることができる。インプリント・リソグラフィ・プロセスに適用可能なモーション・ステージの一例はDynam YXモーション・ステージであり、カリフォルニア州アービンのNewport Corporationから市販されている。モーション・ステージは基板をXY動き面とほぼ同じ高さにするように設計された、較正ステージに類似のチップ・チルト・ステージを備えてもよい。モーション・ステージは基板上のパターンをXY動き軸に方向付けするための1つ又は複数のθステージを備えてもよい。
システム3900は硬化液を基板上に分配する液体分配システムも備える。液体分配システムはシステム本体に結合されている。一実施形態では、液体分配システムはインプリント・ヘッド3100に結合される。図3はインプリント・ヘッド3100のカバー3127から延びる、液体分配システムの液体分配ヘッド2507を示している。液体分配システム3125の種々の構成要素がインプリント・ヘッド3100のカバー3127内に設けられてよい。
図13に液体分配システムの略図を示す。一実施形態では、液体分配システムは液容器2501を備える。液容器2501は活性化光硬化液を保持するように構成されている。液容器2501は注入導管2502を介してポンプ2504に結合されている。注入導管2502を通る流れを制御するために、入口弁2503が液容器2501とポンプ2504と間に設けられている。ポンプ2504は出口導管2506を介して液体分配ヘッド2507に結合されている。
液体分配システムは基板上に分配される液体の量の正確な量制御を可能にするように構成される。一実施形態では、液体制御はポンプ2504として圧電弁を用いて達成される。圧電弁はコネチカット州ウェストブルックのLee Company社から市販されている。使用中、硬化液は注入導管2502を通してポンプ2504に導かれる。基板が適切に位置決めされると、ポンプ2504が起動されて所定量の液体を出口導管2506に流す。次に、液体は液体分配ヘッド2507を介して基板上に分配される。この実施形態では、液体量の制御はポンプ2504の制御により達成される。開状態から閉状態に素早くポンプを切り替えることによって分配ヘッド2507に送られる液体量の制御が可能になる。ポンプ2504は約1μLより少ない量で液体を分配するように構成される。ポンプ2504の動作は、液体を液滴か、あるいは液体を連続したパターンのいずれかで基板上に分配できる。液体の液滴は開状態から閉状態にポンプを迅速にサイクルさせることによって塗布される。液体の流れはポンプを開状態のままにしかつ液体分配ヘッドの下で基板を移動させることによって基板上に作られる。
別の実施形態では、液体の量の制御は液体分配ヘッド2507を用いて行っても良い。そのようなシステムでは、ポンプ2504は液体分配ヘッド2507に硬化液を供給するために用いられる。量が正確に指定されるであろう液体の小滴は、液体分配アクチュエータを用いて分配される。液分配アクチュエータの例には微小電磁弁又は圧電起動分配器を含む。圧電起動分配器はテキサス州プラノのMicroFab Technologies Inc.から市販されている。液分配アクチュエータは液分配の制御を可能にするために液体分配ヘッドに組み入れられている。液分配アクチュエータは、分配される液滴毎に約50pL〜約1000pLの液体を分配するように構成されている。液分配アクチュエータを備えたシステムの利点には、分配時間がより早いことと量の制御がより正確であることである。液体分配システムは、参照により本願に組み込まれた、2001年7月17日に出願された「Method and System of Automatic Fluid Dispensing for Imprint Lithography Processes」と題された米国特許出願第09/908,455号にさらに記載されている。
テンプレートと基板の位置の粗決定はリニア・エンコーダ(例えば、露出したリニア・エンコーダ)を用いて決定される。エンコーダは約0.01μmの粗測定を提供する。リニア・エンコーダは移動物体に結合されたスケールと本体に結合された読取器を備える。スケールはガラス、ガラス・セラミック、鋼を含む様々な材料から形成されてよい。スケールは移動物体の相対位置と絶対位置を決定するために読取器によって読み取られる多数のマークを含む。スケールは当該分野において知られている手段を用いてモーション・ステージに結合されている。読取器は本体に結合され、スケールと光学的に結合されている。一実施形態では、露出したリニア・エンコーダを使用してもよい。エンコーダは単軸面に沿ってか、あるいは2軸面内のいずれかでモーション・ステージの位置を決定するように構成される。露出した2軸リニア・エンコーダの一例はイリノイ州ショーンバーグのHeidenhain Corporationから入手可能なPPモデル・エンコーダである。一般に、エンコーダは市販されている多数のX−Yモーション・ステージに組み込まれている。例えば、Newport Corpから入手可能なDynam XYモーション・ステージはシステムに組み込まれた2軸エンコーダを備えている。
Z軸に沿ったテンプレートの大まかな位置もリニア・エンコーダを用いて決定される。一実施形態では、露出したリニア・エンコーダを用いてテンプレートの位置が測定される。一実施形態では、リニア・エンコーダのスケールがインプリント・ヘッドの事前較正リングに結合されている。別の場合には、スケールがテンプレート支持体3130に直接結合されてよい。読取器は本体に結合され、光学的にスケールに結合される。テンプレートの位置はエンコーダを用いてZ軸に沿って決定される。
いくつかの実施形態では、インプリント・リソグラフィ・プロセス中にはテンプレートと基板の位置の検出は、100nmより小さい精度まで知る必要がある。高分解能半導体プロセスでパターン化されたテンプレート上の多数のフィーチャは100nmより小さいので、そのような制御はそのフィーチャを適切に整列させるために重要である。一実施形態では、高精度位置検出は干渉計(例えば、レーザ干渉計)を用いて決定できる。
図42はインプリント・リソグラフィ・プロセスの間に決定される回転と動きの軸を示す。基板位置はXW軸、YW軸、及びZW軸に沿って決定される。基板の回転はX軸(αW)の回り、Y軸(βW)の回り、及びZ軸(θW)の回りで決定される。同様に、テンプレートの位置はX、Y、Z軸に沿って決定される。テンプレートの回転はX軸(αT)の回り、Y軸(βT)の回り、及びZ軸(θT)の回りで決定される。基板に対するテンプレートの位置を合わせるためには、X、Y、Z座標のほかにα、βの角度とθの角度を一致させるべきである。
リニア・エンコーダを用いてテンプレートと基板のX軸、Y軸、Z軸の位置が決定される。しかし、そのようなエンコーダは典型的にはそれらの軸に関する回転情報を提供しない。一実施形態では、干渉計を用いてテンプレートと基板のX軸とY軸の位置ならびに角度α、β、θの回転角が決定される。干渉計ベースの位置検出システムの略図を図43に示す。干渉計システム4300は第1の3軸レーザ干渉計4310と第2の3軸レーザ干渉計4320を備えている。ミラー4330とミラー4335が基板及び/又はテンプレートに結合されている。ミラー4330とミラー4335は第1と第2のレーザ干渉計にそれぞれ光学的に結合されている。ミラー4330は、ミラー4335がテンプレート及び/又は基板の上に設置されている側に対して垂直であるテンプレート及び/又は基板の一部分の上に配置されている。図43に示すように、これによって5°の動きを実質的に同時に決定することが可能となる。第1のレーザ干渉計4310はX軸と回転角β、θに沿った基板及び/又はテンプレートの位置を感知する。第2のレーザ干渉計4320はY軸と回転角α、θに沿った基板及び/又はテンプレートの位置を感知する。
インプリント・リソグラフィ・システム3900に使用される干渉計ベースの位置検出器4400の一実施形態を図44に示す。位置検出器4400はシステム3900の本体の一部分に取り付けられている。例えば、位置検出器は本体の支持体3930に取り付けられてよい。一実施形態では、位置検出器4400は4個の干渉計を備えている。一実施形態では、干渉計はレーザ式である。差分干渉計又は絶対干渉計のいずれかが使用されてよい。2つの干渉計4410、4415がテンプレートの位置決定に使用される。他の2つの干渉計4420、4425が基板の位置決定に使用される。一実施形態では、すべての干渉計は三軸干渉計である。干渉計のこの配置を用いることによって、テンプレートと基板両方の5°の動き(例えば、X、Y位置とα、β、θ回転)が可能となる。レーザ4430が干渉計に光を提供する。このレーザからの光は光学部品4440(注意:すへての光学部品が参照されているわけではない)を介して干渉計4410、4415、4420、4425に導かれる。光学部品はレーザから干渉計に光を導くためにビーム・スプリッタとミラー・システムを備える。干渉計システムや適切な光学システムはいくつかの供給源から市販されている。
一実施形態では、図3に示すように、気圧計3135がインプリント・ヘッド3100に結合されている。気圧計3135を用いてモーション・ステージ上に設けられた基板が基準面に対して実質的に平行か否かが決定される。本明細書で使用されるように、「気圧計」とは表面に向かって導かれる空気の流れの圧力を測定するデバイスを意味する。基板が気圧計3135の出口の下に設けられる場合、気圧計3135の出口からの基板の距離は気圧計が感知する圧力に影響を及ぼすであろう。一般に、基板が気圧計から離れるほど、圧力は弱くなる。
そのような構成では、気圧計3135を用いて、基板表面と気圧計との間の距離の変化から圧力の差が決定される。基板の表面に沿って気圧計3135を移動させることによって、気圧計は種々の測定地点において気圧計と基板表面との間の距離を決定することができる。気圧計に対する基板の面度は、種々の測定地点における気圧計と基板との間の距離を比較することによって決定される。基板上の少なくとも3点と気圧計との間の距離を用いて基板が面であるかどうかが決定される。距離が実質的に同じである場合、基板は面であると考えられる。基板と気圧計との間で測定された距離に著しい差がある場合は、基板と気圧計との間の関係は非面関係であることを示している。この非面関係は基板の非面性あるいは基板の傾斜によって生じるであろう。使用前に、基板とテンプレートとの間に面関係を確立するために、XYステージに取り付けられたチップ・チルト・ステージを用いて基板の傾斜が補正される。適切な気圧計はSenex Inc.から入手できる。
気圧計を使用中、基板又はテンプレートは気圧計の測定範囲内に置かれる。気圧計に向かう基板の動きはインプリント・ヘッドのZ軸の動きあるいはモーション・ステージのZ軸の動きのいずれかによって行われる。
あるインプリント・リソグラフィ・プロセスでは、光硬化液は基板の表面上に配置される。パターン化されたテンプレートが光硬化液と接触し、活性化光が光硬化液に加えられる。本明細書で使用されるように、「活性化光」とは化学変化に影響を及ぼすであろう光を意味する。活性化光は紫外線(例えば、約200nm〜約400nmの波長を有する光)、光化学作用光、可視光、又は赤外光を含む。一般に、化学変化に影響を及ぼすことのできる光の任意の波長は活性化として分類される。化学変化は多数の形態で出現するであろう。化学変化は重合又は架橋反応を発生させる任意の化学反応を含んでよいが、それに限定するものではない。一実施形態では、この活性化光はテンプレートを通って組成に達する。このような方法で、光硬化液が硬化してテンプレート上に形成された構造体に対して相補的な構造体を形成させる。
いくつかの実施形態では、活性化光源3500は約200nm〜約400nmの波長を有する光を発生することのできる紫外線光源である。図1に示すように、活性化光源3500はテンプレートに光学的に結合される。一実施形態では、活性化光源3500はインプリント・ヘッド3100に近接して設けられる。インプリント・ヘッド3100は活性化光源からの光をパターン化されたテンプレートに反射するミラー3121(図4に示す)を備える。光はインプリント・ヘッド3100の本体内の開口部を通り、ミラー3121によって3700に向かって反射する。このようにして、活性化光源はインプリント・ヘッド3100内に配置されずにパターン化されたテンプレートを照射する。
大半の活性化光源は使用中に著しい量の熱を発生する。活性化光源3500がインプリント・システム3900に非常に近接している場合、その光源からの熱はインプリント・システムの本体に向かって放射されるであろうし、本体のいくつかの部分の温度を上昇させるであろう。加熱されると多くの金属は膨張するため、インプリント・システムの本体のある部分の温度上昇は本体の膨張を拡大させるであろう。100nm以下のフィーチャが製造されるときには、この膨張はインプリント・システムの精度に影響を及ぼすであろう。
一実施形態では、システム本体が活性化光源3500が発生する熱から活性化光源3500とインプリント・ヘッド3100との間の介在空気によって絶縁されるように、活性化光源は本体から十分距離を置いて設けられる。図14は、インプリント・ヘッド3100に光学的に結合された活性化光源3500を示す。活性化光源3500は光源によって発生された光をインプリント・ヘッド3100に向かって投射する光学システム3510を備える。光は光学システム3510を通り開口部3123を介してインプリント・ヘッド3100に入る。次に、光はインプリント・ヘッド内に設けられたミラー3121によって、インプリント・ヘッド3110に結合されたテンプレートに向かって反射させられる(図4を参照)。このようにして、光源は本体から熱的に絶縁されている。適切な光源はカリフォルニア州サンタクララのOAI Inc.から入手されてよい。
1つ又は複数の光学測定デバイスがインプリント・ヘッド3910及び/又はモーション・ステージ3920に結合されてよい。一般に、光学測定デバイスは基板に対するテンプレートの位置及び/又は方向付けを決定する任意のデバイスである。
図14を参照すると、スルー・ザ・テンプレート光学結像システム3800がインプリント・ヘッドに光学的に結合されている。光学結像システム3800は光学結像素子3810と光学システム3820を備える。一実施形態では、光学結像素子3810はCCD顕微鏡である。光学結像システム3800はインプリント・ヘッドを通してテンプレートに光学的に結合される。基板がパターン化されたテンプレートの下に配置されている場合、光学結像システム3800は基板にも光学的に結合される。光学結像システム3800を用いてパターン化されたテンプレートと本明細書に記載したような下にある基板との間の配置誤差が決定される。一実施形態では、ミラー3121(図4に示す)はインプリント・ヘッド内で移動可能である。アラインメント・プロセス又は工学的検査プロセスの間は、ミラー3121は光学結像システムの光路の外に移動させられる。
光学アラインメント・デバイスの使用中、基板又はテンプレートは光学結像システムの測定範囲(例えば、視野)内に置かれる。光学結像システムに向かう基板の動きは、インプリント・ヘッドのZ軸の動き又はモーション・ステージのZ軸の動きのいずれかによって行われる。
付加的な光学結像システムが軸外れ位置の基板を見るためにインプリント・ヘッドに結合されてよい。軸外れ位置は本明細書では活性化光源の光路内にはない位置であると定められる。軸外れ光学結像システム3830は図14に示すようにインプリント・ヘッド3100に結合されている。軸外れ光学結像システム3830は光学結像素子3832と光学システム3834を備えている。一実施形態では、光学結像素子3810はCCD顕微鏡である。軸外れ光学結像システム3830を用いてテンプレートを光路内に置くことなく基板を走査できる。軸外れ光学結像システム3830は本明細書に記載したような軸外れアラインメント・プロセスに使用される。さらに、軸外れ光学結像システム3830を用いて基板に対するテンプレートの大まかな整列を実行でき、他方ではスルー・ザ・テンプレート光学結像システム3830が基板に対するテンプレートの高精度アラインメントに使用される。付加的な軸外れ光学システムがインプリント・ヘッド3100に結合されてよい。図12はインプリント・ヘッド3100に結合された付加的な軸外れ光学システム3840を示している。
テンプレートを見るために、付加的な光学結像素子がモーション・ステージに結合されてよい。テンプレート光学結像システム3850が図12に示すようなモーション・ステージ3600に結合されている。テンプレート光学結像システム3850は光学結像素子3852と光学システム3854を備える。一実施形態では、光学結像素子3852はCCD顕微鏡である。テンプレートの大部分を走査せずにテンプレートの表面を走査するためにテンプレート光学結像システム3850が用いられる。テンプレート光学結像システム3830が本明細書に記載するような軸外れアラインメント・プロセスに使用されてよい。
光学結像システムが本明細書に記載した代替的なシステムの実施形態内に配置されてよいことを理解すべきである。例えば、代替的なシステムの実施形態では、光学結像システムはインプリント・ヘッドを移動させるように構成されたモーション・ステージに結合されてよい。そのような実施形態では、基板は光学結像素子も備えた基板支持体に取り付けられる。
先に述べたように、光硬化液は基板上に置かれ、インプリント・リソグラフィ・プロセス中にテンプレートがその液体と接触させられる。硬化液は低粘度の液体のモノマー溶液である。適切な溶液は約0.01cps〜約100cps(25℃で測定)の範囲の粘度である。高分解能の構造体(例えば、100nm以下)には低粘度が特に望ましい。低粘度は空隙をより早く閉鎖することにもつながる。さらに、低粘度によって低圧で空隙領域をより早く液体で充填することになる。特に、50nm以下のレジメでは、溶液の粘度は約30cps以下、あるいはより好適には約5cps(25℃で測定)より低くあるべきである。
他のリソグラフィ技術で遭遇する問題の多くは、インプリント・リソグラフィ・プロセスにおいて低粘度の光硬化液を用いることによって解決されるであろう。低粘度の光硬化液のパターン化は低粘度感光液を利用することによって、ホット・エンボシング技術に直面する各々の問題を解決する。また、厚くて剛性のある透過性テンプレートを使用することによってより容易な層対層の整列の可能性が提供される。一般に、剛性テンプレートは液体活性化光とアライメント・マーク測定光の両方に透過性がある。
硬化液は種々の重合可能な材料から構成されてよい。一般に、任意の光重合可能な材料を使用できる。光重合可能な材料はモノマーや光重合開始剤の混合物を含んでよい。いくつかの実施形態では、硬化液は1つ又は複数の市販のネガ型フォトレジスト材料を含んでよい。このフォトレジスト材料の粘度を、適切な溶剤を用いて液体フォトレジストを希釈することによって低くすることができる。
一実施形態では、適切な硬化液はモノマー、シリネートモノマー、重合開始剤を含む。架橋剤やジメチルシロキサン誘導体も含まれてよい。モノマーはアクリレートとメタクリレートのモノマーを含むが、これに限定するものではない。モノマーの例にはブチルアクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、又はそれらの混合物を含むが、これに限定するものではない。モノマーは硬化液の約25〜約50重量%を構成する。モノマーは硬化液中の光重合開始剤の適度な溶解性を確実にすると考えられる。モノマーは使用されるときに下にある有機転写層に接着性をも提供する。
硬化液はシリネートモノマーであってもよい。シリネートモノマーは一般に、ケイ素のグループを含む重合可能な化合物である。シリネートモノマー類にはシランアクリリルとシランメタクリリルの誘導体が含まれるが、それらに限定されるものではない。具体的な例にはメタクリロキシプロピルトリス(トリ−メチルシロキシ)シランと(3−アクリロキシプロピル)トリス(トリ−メトキシシロキシ)−シランを含む。シリネートモノマーは25〜50重量%の量で存在してよい。硬化液はジメチルシロキサン誘導体を含んでもよい。ジメチルシロキサン誘導体の例には(アクリロキシプロピル)メチルシロキサンジメチルシロキサン共重合体、アクリロキシプロピルメチルシロキサン・ホモポリマー、アクリロキシ末端ポリジメチルシロキサンを含むが、それらに限定されるものではない。ジメチルシロキサン誘導体は約0〜50重量%の量で存在する。シリネートモノマーとジメチルシロキサン誘導体は硬化液に高い酸素エッチング抵抗性を与える。さらに、シリネートモノマーとジメチルシロキサン誘導体の両方は硬化液の表面エネルギーを低減させるので、表面から離れるテンプレートの能力が増大される。本明細書に記載のシリネートモノマーとジメチルシロキサン誘導体はGelest Inc.からすべて市販されている。
遊離基反応を開始するであろう任意の材料が重合開始剤として使用できる。硬化材料の光硬化を開始するには、重合開始剤が光重合開始剤であることが好ましい。重合開始剤の例にはα−ヒドロキシケトン(例えば、Irgacure 184としてCiba−Geigy Specialty Chemical Divisionから販売されている1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、アシルフォスフィンオキシド重合開始剤(例えば、Irgacure 819としてCiba−Geigy Specialty Chemical Divisionから発売されているフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)を含むが、それらに限定されるものではない。
硬化液は架橋剤を含んでもよい。架橋剤は2つ以上の重合可能なグループを含むモノマーである。一実施形態では、多官能シロキサン誘導体が架橋剤として用いられてよい。多官能シロキサン誘導体の一例は1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−テトラメチルジシロキサンである。
一実施例では、硬化液はn−ブチルアクリレート50重量%及び(3−アクリロキシプロピル)トリス−トリメチルシロキサン−シラン50重量%の混合物を含んでよい。この混合物に対して、Irgacure 819対Irgacure 184が1:1の3重量%混合物及び架橋剤1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−テトラメチルジシロキサンを5重量%を添加してよい。この混合物の粘度は約25℃で測定して30cpsより低い。
別の実施形態では、硬化液はモノマー、光酸発生剤、光塩基発生剤から構成される。モノマーの例にはフェノールポリマーとエポキシ樹脂があるが、それらに限定されない。光酸発生剤は活性化光で処理されるときに酸を放出する化合物である。生成された酸はモノマーの重合を触媒する。当業者であればそのような酸発生添加剤を知っており、使用される具体的な酸発生添加剤はモノマーと所望の硬化条件に左右される。一般に、酸発生添加剤は、いくつかの実施形態では可視域又は近紫外(近UV)域である第1の波長λ1での照射に反応するように選択される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の波長λ1は約400nm以上になるように選択される。光塩基発生剤もモノマーに添加される。この光塩基発生剤はテンプレートの境界近傍でモノマーの硬化を阻止してよい。光塩基発生剤は第2の波長λ2での照射に反応してよいが、第1の波長λ1での照射には不活性又は実質的に不活性である。さらに、第2の波長λ2は、第2の波長での照射がテンプレートとの境界のモノマーの表面近傍で最初に吸収されるように、かつ著しく深くまでは硬化液に浸透しないように選択されるべきである。例えば、いくつかの実施形態では、深紫外域の波長λ2を有する照射、すなわち約190〜280nmの範囲の波長を有する照射に反応する塩基発生添加剤が使用されてよい。
一実施形態によれば、モノマー、光酸発生剤、光塩基発生剤を含んだ硬化液が基板上に堆積される。テンプレートがこの硬化液と接触される。次に、硬化液は実質的に同じ時間に第1の波長λ1と第2の波長λ2の光の放射線に曝露される。別の場合には、硬化液は第2の波長λ2の放射線に、次いで第1の波長λ1の放射線に曝露される。第2の波長λ2の放射線に硬化液を曝露することでテンプレートとの境界には過剰な塩基が発生する。過剰な塩基は第1の波長λ1の放射線への硬化液の曝露によって発生される酸を中和するように働き、これにより酸が硬化液を硬化させるのが阻止される。第2の波長λ2の放射線は硬化液への浸透深さが浅いので、その放射線によって発生される塩基はテンプレートとの境界でのあるいはテンプレートとの境界近傍での硬化液の硬化を阻止するだけである。この硬化液の残りは硬化液全体を浸透するより長い波長の放射線(λ1)への曝露によって硬化させられる。「Planarization of Non−Planar Surfaces in Device Fabrication」と題された米国特許第6,218,316号は、このプロセスに関するさらなる詳細を記載しており、参照により本明細書に組み込まれている。
別の実施形態では、硬化液は例えば深UV照射に曝露されたときに分解して、水素(H2)、窒素(N2)、亜酸化窒素(N2O)、三酸化硫黄(SO3)、アセチレン(C2H2)、二酸化炭素(CO2)、アンモニア(NH3)、又はメタン(CH4)などの1つ又は複数のガスを発生する感光剤を含んでいる。硬化液を硬化させるために可視域又は近UV域などの第1の波長λ1での照射が用いられ、1つ又は複数の上記ガスを発生させるために深UV照射(λ2)を用いる。ガスの生成は硬化液とテンプレートとの間の境界近傍で局所圧力を発生させて硬化液からのテンプレートの分離を促進する。米国特許第6,218,316号はこのプロセスに関するさらなる詳細を記載しており、参照により本明細書に組み込まれている。
別の実施形態では、硬化して光への曝露によって分解されるであろうポリマーを形成するモノマーで硬化液を構成させてもよい。一実施形態では、2重に置換された炭素のバックボーンを有するポリマーが基板上に堆積される。テンプレートを硬化液に接触させた後、硬化液は第1の波長λ1(例えば、400nmより大きい)の放射線と深いUV範囲の第2の波長λ2の放射線に曝露される。第1の波長の放射線は硬化液を硬化させるように働く。硬化液が第2の波長λ2に曝露されると、置換された炭素原子に切断が生じる。深UV照射は硬化液に深く浸透しないので、ポリマーはテンプレートとの境界近傍で分解するだけである。この硬化液の分解された表面がテンプレートからの分離を促進する。ポリマーの光分解を促進する他の官能基を用いることもできる。米国特許第6,218,316号はこのプロセスのさらなる詳細を記載しており、参照により本明細書に組み込まれている。
種々の実施形態では、インプリント・リソグラフィ・テンプレートは光リソグラフィ、電子ビーム・リソグラフィ、イオンビーム・リソグラフィ、X線リソグラフィ、超紫外線リソグラフィ、走査プローブ・リソグラフィ、集束イオン・ビーム・ミリング、干渉リソグラフィ、エピタキシャル成長法、薄膜堆積法、ケミカル・エッチング、プラズマ・エッチング、イオン・ミリング、反応性イオン・エッチング、又はそれらの組み合わせを含むがそれに限定されないプロセスを用いて製造される。パターン化されたテンプレートの製造方法は、参照により本明細書に組み込まれた、Voisonに付与された2002年5月1日に出願され「Methods of Manufacturing a Lithography Template」と題された米国特許出願第10/136,188号に記載されている。
一実施形態では、インプリント・リソグラフィ・テンプレートは活性化光に実質的に透過性である。テンプレートは下面を有する本体を含む。テンプレートは下面に本体の上面に向かって延びる複数の凹部をさらに含む。この凹部は任意の適切な寸法であってよいが、典型的には凹部の少なくとも一部は約250nmより小さいフィーチャ・サイズを有する。
インプリント・リソグラフィ・プロセスに関しては、テンプレートの耐久性やその解放特性が懸念されるであろう。一実施形態では、テンプレートは石英から形成される。他の材料を用いてテンプレートが形成されてもよく、シリコン・ゲルマニウム・カーボン、窒化ガリウム、シリコン・ゲルマニウム、サファイヤ、ヒ化ガリウム、エピタキシャル・シリコン、ポリシリコン、ゲート酸化物、二酸化シリコン、又はそれらの組み合わせを含んでよいが、それに限定するものではない。テンプレートはアライメント・マークなどの検出可能なフィーチャを形成するのに用いられる材料を含んでもよい。例えば、検出可能なフィーチャはSiOxから形成されてよい。ここでXは2未満である。いくつかの実施形態では、Xは約1.5である。別の実施例では、検出可能なフィーチャはケイ化モリブデンから形成されてよい。SiOx及びケイ化モリブデンは共に、重合可能な液体を硬化させるのに用いられる光に対して光学的に透過性である。しかし、両材料は可視光に対しては実質的には不透明である。これらの材料を用いれば下の基板の硬化に干渉しないアライメント・マークをテンプレートの上に形成することが可能になる。
先に述べたように、テンプレートは表面処理物質を用いて処理されて、テンプレートの表面上に薄い層を形成する。表面処理プロセスは低い表面エネルギー・コーティングをもたらすように最適化される。このようなコーティングはインプリント・リソグラフィ用のインプリント・テンプレートを調製する際に使用される。処理されたテンプレートは未処理のテンプレートと比べ望ましい解放特性を有する。未処理のテンプレートの表面は約65ダイン/cm以上の表面自由エネルギーを有する。本明細書に記載の表面処理手順は、高レベルの耐久性を呈する表面処理層をもたらす。この表面処理層の耐久性によって、表面処理層を交換しなくても非常に多くのインプリントにテンプレートを使用することが可能となる。いくつかの実施形態では、この表面処理層は25℃で測定される下面の表面自由エネルギーを約40ダイン/cmより小さくなるまで低減させるか、あるいはいくつかの実施形態では約20ダイン/cmより小さくなるまで低減させる。
一実施形態では、表面処理層はアルキルシラン、フルオロアルキルシラン、又はフルオロアルキルトリクロロシランと水との反応産物から形成される。この反応はパターン化されたテンプレートの表面上にシリネートされたコーティング層を形成する。例えば、シリネート表面層はトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリクロロシランと水との反応産物から形成される。表面処理層は液相プロセス又は気相プロセスのいずれかを用いて形成されてよい。液相プロセスでは、基板は前駆物質や溶媒の溶液に浸漬される。気相では、前駆物質が不活性キャリアガスを用いて運ばれる。液相処理に用いるために純粋な無水溶媒を得ることは難しいことがある。処理中にバルク相に水が存在すると、結果として塊が堆積されてしまい、これはコーティングの最終的な品質又はカバレージに悪影響を及ぼすことになる。気相プロセスの一実施形態では、テンプレートは真空室に設置され、次に真空室をサイクルパージして過剰な水が除去される。しかし、吸収されたいくらかの水はテンプレートの表面上に残る。しかし、少量の水はコーティングを形成する表面反応を開始するのに必要であると考えられる。この反応は次式のように記載されてよい:
R−SiCl3+3H2O => R−Si(OH)3+3HCl
反応を促進するために、テンプレートは温度制御チャックを用いて所望の温度にされる。次に前駆物質が所定の時間の間反応室に供給される。テンプレート温度、前駆物質濃度、フロー・ジオメトリ等の反応パラメータは特定の前駆物質とテンプレート基板の組み合わせに調整される。このような条件を制御することによて、表面処理層の厚さが制御される。フィーチャ・サイズに対する表面処理層の干渉を最小にするために、表面処理層の厚さは最小値に維持される。一実施形態では、表面処理層の単層が形成される。
一実施形態では、テンプレートの下面上の凹部に関連する少なくとも2つの異なる深さが存在する。図20A、20Bは2種類の深さを有する凹部でパターン化されたテンプレートの平面図と断面図をそれぞれ示す。図20A、20Bを参照すると、テンプレートは1つ又は複数のパターニング領域401を含む。このような実施形態では、図20Bに示すように、第1の比較的浅い深さがテンプレートのパターニング領域内の凹部と関連している。このパターニング領域はテンプレートのパターニング中に反復される領域を含む。このパターニング領域はテンプレートの端部407によって定められた領域内に設けられる。外側領域409は任意のパターニング領域の外端部からテンプレートの端部まで延びる領域として定められる。外側領域はパターニング領域内の凹部よりも実質的に大きい深さを有する。ここではテンプレートの周囲部は外側領域409によって限定されたパターニング領域として定められる。図20Aに示すように、4つのパターニング領域がテンプレートによって定められた領域内に設けられている。このパターニング領域は外側領域409によってテンプレートの端部407から分離されている。テンプレートの「境界部」はパターニング領域の端部403a、403b、403c、403d、403e、403f、403g、403hによって定められている。
パターニング領域は境界領域405によって相互に分離されている。境界領域はパターニング領域の凹部よりも深いパターニング領域の間に設けられた凹部である。以下に記載するように、境界領域とパターニング領域は共にパターニング領域とパターニング領域の間の、すなわちパターニング領域の境界部を越える液体の流れをそれぞれ阻止する。
テンプレートのデザインは使用されるリソグラフィ・プロセスのタイプに基づいて選択される。例えば、ポジ型インプリント・リソグラフィ用のテンプレートは基板上の不連続な膜の形成に有利なデザインを有する。一実施形態では、図15に示すように、テンプレート12は1つ又は複数の構造体の深さがパターニング領域を形成するのに用いられる構造体の深さに比して比較的大きくなるように形成される。使用中、テンプレート12は基板とは所望の離間した関係で置かれる。そのような実施形態では、テンプレート12の下面536と基板20との間の空隙(h1)は、凹部表面534と基板との間の空隙(h2)よりも著しく小さい。例えば、h1は約200nmよりも小さく、h2は約10,000nmよりも大きいであろう。テンプレートが基板20上の液体40に接触すると、凹部表面534の下の領域を残して、下面536と基板20との間の空隙を充填する(図16に示す)。表面エネルギーと毛管力の組み合わせが大きな凹部からより狭い領域へと液体を導くと考えられる。h1が小さくなるにしたがって、テンプレート12によって液体に加わる力は下面536の下にある液体を引き出す毛細管力に勝ることがある。このような力は凹部表面534の下の領域へ液体を拡散することがある。液体が凹部532に拡散するのが阻止されるh1の最小値を、本明細書では「最小膜厚」と呼ぶ。さらに、h1が大きくなると毛管力は小さくなり、最終的には液体はより深い凹部領域へ広がる。毛管力がより深い凹部領域への液体の流れを阻止するのに十分なh1の最大値は、本明細書では「最大膜厚」と呼ぶ。
図17、18に示すように、種々の実施形態では、テンプレート12は基板20上に置かれた硬化液がテンプレート12の境界部412を超えて流れるのを阻止するように形成される。図17に示した一実施形態では、高さh1は基板20から浅い凹部の表面552までである。浅い凹部の表面552はテンプレート12の境界部まで延びている。したがって、テンプレートの端部が高さh2を形成し、高さh1と比較して事実上無限である。図18に示した一実施形態では、深い凹部がテンプレート12の外端部に形成されている。高さh2は基板20から深い凹部の表面554までである。ここでも高さh1は基板20から浅い凹部の表面552までである。いずれの実施形態においても、高さh2は高さh1よりも著しく大きい。高さh1が十分に小さい場合、硬化液が塗布される間、活性化光硬化液はテンプレート12と基板20との間の空隙に残ったままになる。深い凹部部分は、ここに記載したようなステップ・アンド・リピート・プロセスにおける液体の閉じ込めに特に有用である。
一実施形態では、テンプレート12及び基板20は各々1つ又は複数のアライメント・マークを有している。アライメント・マークを用いてテンプレート12と基板20が位置合わされる。例えば、アライメント・マークの整列のために、1つ又は複数の光学結像デバイス(例えば、顕微鏡、カメラ、イメージング・アレイ等)を用いる。
一実施形態では、テンプレートのアラインメント・マークは活性化光に対して実質的に透過性である。別の場合には、アライメント・マークはアライメント・マーク検出光に対して実質的に不透明である。本明細書で用いるように、アライメント・マーク検出光や他の測定及び解析プロセスのための光は、「解析光」と呼ばれる。一実施形態では、解析光は可視光及び/又は赤外光を含むがこれに限定するものではない。アライメント・マークは本体の材料とは異なる材料から形成されてよい。例えば、アライメント・マークはSiOX、ただし、Xは約1.5、から形成されてよい。別の実施形態では、アライメント・マークはケイ化モリブデンから形成されてよい。別の場合には、アライメント・マークは本体の表面にエッチングされた複数のラインを含んでよい。このラインは活性化光を実質的に散乱させるが、解析光下で解析可能なマークを作るように構成される。
種々の実施形態では、上記のような1つ又は複数の深い凹部はテンプレートの本体を完全に突き抜けてテンプレート内に開口部を形成する。そのような開口部の1つの利点は、各開口部において高さh2がh1に対して非常に大きいものであることを事実上保証することである。さらに、いくつかの実施形態では、加圧ガス又は真空がその開口部に加えられてよい。液体を硬化後に、加圧ガス又は真空が1つ又は複数の開口部に加えられてもよい。例えば、硬化後に加圧ガスが、硬化した液体からテンプレートを分離するのを助ける剥離や引っ張り工程の一部として加えらる。
一実施形態では、1つ又は複数のアライメント・マークをパターン化されたテンプレート内に形成してもよい。本明細書に記載するように、テンプレート内に形成されたアライメント・マークを用いて基板上のパターン化された領域に対してテンプレートを整列させてもよい。アライメント・マークを含んだテンプレートの一実施形態を図45に示す。パターン化されたテンプレート4500はパターニング領域4510、アライメント・マーク4520、アライメント・マーク・パターニング領域4530を含む。アライメント・マーク4520は境界4540、4542によってパターニング領域4510、4512からそれぞれ分離されている。境界4540、4542はアライメント・マークの深さより実質的に大きい深さを有する。図45に示すように、テンプレート4500が活性化光硬化液4560と接触されると、液体がパターニング領域4510、4512に広がるが、境界によってアライメント・マーク4520の領域に広がるのは阻止される。
活性化光硬化液がアラインメント領域に入らないようにしておくことによって、アラインメント測定が行われるときに利点が提供される。典型的なアラインメントの手順の間に、光学的測定がテンプレートを通って下の基板アラインメント・マーク(例えば、アラインメント・マーク4550)まで行われて、アラインメント・マークがあっているか否かを決定する。アラインメント測定の間にテンプレートと基板との間に液体が存在すると、光学的測定に干渉する可能性がある。典型的には、液体の屈折率はテンプレート材料に実質的に類似している。液体がアラインメント領域に入らないようにしておくことによって、光学的アラインメント技術を単純化することができ、アラインメント・システムの光学的必要条件は少なくなる。
テンプレートが基板上に形成される複数の層の1つをインプリントするのに使用されるとき、テンプレートは下の基板と整列させるためのアライメント・マークだけでなくアラインメント・パターニング領域も含むことが有利である。図10に示すように、アライメント・マーク・パターニング領域4530は塗布された活性化光硬化液の一部と接触する。硬化中、アライメント・マーク・パターニング領域4530によって定められたアライメント・マークが硬化層内にインプリントされる。次のプロセス中、アライメント・マーク・パターニング領域4530で形成されたアライメント・マークを用いて基板に対するテンプレートの整列が支援される。
上記のインプリント・リソグラフィ・システムは以下の代替実施形態に応じて変形される。記載した代替実施形態のいずれも単独でか、あるいは組み合わされて本明細書に記載の他のシステムに結合させることができる。
上記のように、インプリント・ヘッドは基板に対するテンプレートの「受動的」方向付けを可能にする高精度方向付けシステムを備える。別の実施形態では、高精度方向付けシステムはたわみアームに結合されたアクチュエータを備えている。このアクチュエータは高精度方向付けシステムの「能動的」制御を可能にする。使用中、ユーザ又はプログラマブル・コントローラは基板に対するテンプレートも方向付けを監視する。次に、ユーザ又はプログラマブル・コントローラはアクチュエータを操作することによって基板に対するテンプレートの方向付けを修正する。アクチュエータが動くことによって、たわみアームの動作がテンプレートの方向付けを修正する。このようにして、基板に対するテンプレートの微細な位置決めの「能動的」制御を行うことができる。ある能動的高精度方向付けシステムが、参照によって本明細書に組み入れた、2001年8月1日に出願された「Methods for High−Precision Gap Orientation Sensing Between a Transparent Template and Substrate for Imprint Lithography」と題された米国特許出願第09/920,341号にさらに記載されている。
代替実施形態では、上記のように、インプリント・ヘッドは事前較正システムを備えている。事前較正システムは図21に示すようなたわみリング3124を備える。高精度方向付けシステムの代わりに、テンプレート支持システム3125が事前較正リングに結合されている。高精度方向付けシステムとは対照的に、テンプレート支持システム3125は実質的に剛性があり、コンプライアンスでない部材3127から形成されている。これらの部材はテンプレート支持体3130内に配置されたテンプレート3700に実質的に剛性のある支持を提供する。この実施形態では、高精度方向付けがテンプレート支持体の代わりにモーション・ステージを用いて行われる。
これまで記載した実施形態では、インプリント・ヘッド3100は本体に固定位置で結合されている。別の実施形態では、図22に示すように、インプリント・ヘッドをX−Y平面に沿って移動させるモーション・システムに、インプリント・ヘッド3100を取り付けてもよい。インプリント・ヘッド3100は本明細書の実施形態のいずれか1つに記載したようなパターン化されたテンプレートを支持するように構成される。インプリント・ヘッド3100はインプリント・ヘッド・チャック3121とインプリント・モーション・ステージ3123を備えたモーション・システムに結合されている。インプリント・ヘッド3100はインプリント・ヘッド・チャック3121に取り付けられている。インプリント・ヘッド・チャックはインプリント・モーション・ステージ3123とともにX−Y平面に沿ってインプリント・ヘッドを移動させる。その際、機械的又は電磁的モーション・システムが使用される。電磁システムは磁石の使用によって、インプリント・チャックのX−Y平面動きを発生させる。一般に、電磁システムは永久磁石と電磁磁石をインプリント・モーション・ステージ3123とインプリント・ヘッド・チャック3121に組み込んでいる。これら磁石の引力は、インプリント・ヘッド・チャック3121とインプリント・モーション・ステージ3123との間の空気のクッションによって克服され、「空気軸受」を生じさせる。インプリント・ヘッド・チャック、故にインプリント・ヘッドは空気のクッション上でX−Y平面に沿って移動させられる。電磁X−Yモーション・ステージが、「Method and Apparatus for Motion Control」と題された米国特許第6,389,702号に記載されており、本明細書に参照によって組み入れている。機械的モーション・システムでは、インプリント・ヘッド・チャックがモーション・ステージに取り付けられる。次に、モーション・ステージは種々の機械的手段を用いることにより移動させられて、X−Y平面に沿ってインプリント・ヘッド・チャックの位置を、故にインプリント・ヘッドを修正する。この実施形態では、本明細書に記載されるように、インプリント・ヘッドは受動的コンプライアント高精度方向付けシステム、作動高精度方向付けシステム、又は剛性のあるテンプレート支持システムを備えてよい。
インプリント・ヘッド3100が移動支持体に結合させられ、基板が静止支持体に取り付けられてよい。したがって、代替実施形態では、インプリント・ヘッド3100は本明細書に示したようなX−Y軸モーション・ステージに取り付けられている。基板は実質的に静止状態の基板支持体に取り付けられる。静止基板支持体を図40に示す。本静止基板支持体3640はベース3642と基板チャック3644を備えている。基板チャック3644はインプリント・リソグラフィ・プロセスの間基板を支持するように構成されている。基板チャックは基板チャックに基板を保持するために任意の適切な手段を用いることができる。一実施形態では、基板チャック3644は基板に真空を適用して基板チャックに基板を結合させる真空システムを備える。基板チャック3644はベース3642に結合されている。ベース3642はインプリント・リソグラフィ・システムの支持体3920に結合されている(図1を参照)。使用中、静止基板支持体3640は支持体3920上の固定位置に止まり、インプリント・ヘッドの位置が基板の様々な部分に接近するように変えられる。
モーション・ステージにインプリント・ヘッドを結合することによって、基板がモーション・ステージ上にある技術に比べて利点が提供される。モーション・ステージは一般に空気軸受に依存してモーション・ステージの実質的に摩擦のない動作を可能にする。一般に、モーション・ステージはZ軸に沿って加わる大きな圧力を受け入れるように設計されていない。圧力がZ軸に沿ってモーション・ステージ・チャックに加わると、モーション・ステージ・チャックの位置はこの圧力に応答して僅かに変動する。ステップ・アンド・リピート・プロセスの間、基板の面積よりも小さい面積を有するテンプレートを用いて複数のインプリント領域が形成される。基板モーション・ステージはより大きい基板を収容するためにテンプレートと比べ比較的大きい。テンプレートが中心をずれた場所で基板モーション・ステージと接すると、モーション・ステージは傾いて圧力の増大に順応する。この傾斜は、確実に適切に整列させられるように、インプリント・ヘッドを傾けることで補償される。しかし、インプリント・ヘッドがモーション・ステージに結合されている場合、Z軸に沿った力のすべては、インプリントが行われる基板上の場所に関係無くテンプレートの上に集まる。これによって整列が一段と容易になり、またシステムのスループットも増大するであろう。
一実施形態では、基板チルト・モジュールが図38に示すような基板支持体内に形成される。基板支持体3650は基板チルト・モジュール3654に結合された基板チャック3652を備えている。基板チルト・モジュール3654はベース3656に結合されている。一実施形態では、ベース3656は基板支持体のX−Y動きを可能にするモーション・ステージに結合される。別の場合には、基板支持体がインプリント・システムに固定位置で取り付けられるように、ベース3656が支持体(例えば、3920)に結合される。
基板チャック3652は基板チャックに対して基板を保持するための任意の手段を用いることができる。一実施形態では、基板チャック3654は基板に真空を適用して基板チャックに基板を結合させる真空システムを備えている。基板チルト・モジュール3654はたわみリング支持体3660に結合されたたわみリング3658を備えている。複数のアクチュエータ3662がたわみリング3658とたわみリング支持体3660に結合されている。アクチュエータ3662は、たわみリング3658の傾斜を変動させるように操作される。一実施形態では、アクチュエータは手動あるいは自動的に操作される差動歯車機構を用いる。代替実施形態では、アクチュエータは偏心ローラ機構使用する。偏心ローラ機構は一般に、差動歯車機構よりも大きな垂直剛性を基板支持体に提供する。一実施形態では、基板チルト・モジュールはテンプレートが約1ポンド〜約10ポンドの力を基板上に配置された液体に印加するときに基板の傾きを阻止する剛性を有する。特定的には、基板チルト・モジュールは、最大で10ポンドの圧力がテンプレート上の液体を通して基板に加わるときに、僅か5マイクロ・ラジアンだけ傾斜するように構成されている。
使用中、基板チャックに結合されたセンサを用いて基板の傾斜が決定される。基板の傾斜はアクチュエータ3662によって調整される。このようにして、基板の傾斜の補正を行うことができる。
基板チルト・モジュールは高精度方向付けシステムを備えてもよい。高精度方向付けシステムを備えた基板支持体を図39に示す。高精度方向付けの制御を達成するために、たわみリング3658は基板チャック3652が配設される中心凹部を含む。その中心凹部の深さは、基板チャック3652上に設けられた基板の上面がたわみリング3658の上面と等しい高さになるようなものである。高精度方向付けはアクチュエータ3662を用いて行うことができる。高精度方向付けはナノメートル範囲の動作の制御が可能であるアクチュエータ3662を用いて行われる。別の場合には、高精度方向付けは受動的に行うことができる。アクチュエータは実質的にコンプライアンスである。アクチェータのコンプライアンスにより、基板はテンプレートが基板上に配置された液と接触されるときに傾斜の変動に対する自己補正ができる。たわみリングと実質的に等しい高さに基板を配置することによって、使用中に高精度方向付けが基板−液境界において行われるであろう。アクチュエータのコンプライアンスはこのようにして基板の上面に伝えられて基板の高精度方向付けを可能にする。
上記のシステムは、活性化光硬化液が基板と、その基板上に分配され、かつ基板とテンプレートが相互に近接するようにされるシステムとして構成されている。しかし、上記システムは活性化光硬化液を基板よりはむしろテンプレートに塗布できるように変形されてよいことを理解すべきである。そのような実施形態では、テンプレートは基板の下に配置される。図41はテンプレートが基板の下に配置されるように構成されたシステム4100の一実施形態の略図を示している。システム4100はインプリント・ヘッド4110とそのインプリント・ヘッド4110の上に配置された基板支持体4120を備える。インプリント・ヘッドはテンプレート3700を保持するように構成されている。インプリント・ヘッドは本明細書に記載の任意のインプリント・ヘッドとデザインの点で類似している。例えば、インプリント・ヘッド4110は本明細書に記載したような高精度方向付けシステムを備えている。インプリント・ヘッドはインプリント・ヘッド支持体4130に結合されている。インプリント・ヘッドは固定位置に結合され、使用中は実質的に静止したままである。別の場合には、インプリント・ヘッドは使用中にインプリント・ヘッド4130のX−Y平面動きを可能にするモーション・ステージ上に設置されてもよい。
インプリントされる基板は基板支持体4120上に設置される。基板支持体4120は本明細書に記載の任意の支持体と類似するデザインを有する。例えば、基板支持体4120は本明細書に記載したような高精度方向付けシステムを備えている。基板支持体4120は支持体4140に固定位置で結合され、使用中は実質的に静止したままである。別の場合には、基板支持体4120は使用中に基板支持体のX−Y平面動きを可能にするモーション・ステージ上に設置されてもよい。
使用中、活性化光硬化液はインプリント・ヘッド内に配設されたテンプレート3700上に置かれる。このテンプレートは実行される操作の種類に応じてパターン化されたものか、あるいは平面であってよい。パターン化されたテンプレートは本明細書に記載したようなポジ型、ネガ型、さらにはポジ型とネガ型の組み合わせのインプリント・リソグラフィ・システムに使用されるように構成される。
典型的なインプリント・リソグラフィ・プロセスを図23A〜23Fに示す。図23Aに示すように、テンプレート12はテンプレート12と基板20との間に空隙が形成されるように基板20とは離れた関係で位置している。テンプレート12は1つ又は複数の所望のフィーチャを設けた表面を含む。このテンプレートはパターニング中に基板20まで移動される。ここで使用されるように「フィーチャ・サイズ」とは一般に所望のフィーチャの幅、長さ、及び/又は深さを意味する。種々の実施形態では、所望のフィーチャはテンプレートの表面上に形成される凹部又は導通パターンとしてテンプレート12の表面上に設けられる。テンプレート12の表面14は、テンプレートの表面エネルギーを下げ、かつ基板20からのテンプレート12の分離を支援する薄層13を用いて処理されている。テンプレートのための表面処理層は記載されている。
一実施形態では、基板20に対して所望の位置にテンプレート12を移動させる前に物質40が基板20上に配置される。物質40はテンプレート12の所望のフィーチャの形状に従う硬化液である。一実施形態では、物質40は高温を使用せずに空隙31の空間を少なくとも部分的に充填する低粘度の液体である。低粘度の液体はテンプレートと基板との間の空隙を高圧を必要とせずに閉じることが可能である。ここで用いられるように「低粘度の液体」とは、約25℃で約30センチポアズの粘度を有する液体を意味する。物質40の適切な選択に関するさらなる詳細を以下で考察する。テンプレート12は硬化液40と相互に作用して液体を所望の形状にする。例えば、硬化液40は図23Bに示したようなテンプレート12の形状に従う。テンプレート12と基板20との間に所望の空隙距離を作るようにテンプレート12の位置を調整する。同様に、基板12に対してテンプレート12が適切に整列させられるように、テンプレート12の位置を調整する。
テンプレート12を適切に載せた後、物質40を硬化させて基板上にマスク層42を形成する。一実施形態では、物質40は活性化光32を用いて硬化されてマスク層42を形成する。テンプレート12を通して活性化光を加えて液体を硬化させる工程を図23Cに示す。図23Dに示すように、液体が実質的に硬化された後、テンプレート12がマスク層42から除去され、基板20の表面上に硬化されたマスク層が残る。マスク層42はテンプレート12のパターンと相補的なパターンである。マスク層42は1つ又は複数の所望のフィーチャの間に「ベース層」(「残留層」とも呼ばれる)を含んでいる。所望のフィーチャが基板20の表面から剪断あるいは亀裂無くもとの状態のまま残るように、テンプレート12のマスク層42からの分離が行われる。インプリント後の基板20からのテンプレート12の分離を以下に記載する。
マスク層42は様々な方法で使用される。例えば、いくつかの実施形態では、マスク層42は機能層である。そのような実施形態では、硬化液40は導電層、半導体層、誘電体層、及び/又は所望の機械的又は光学的特性を有する層を形成するように硬化可能である。別の実施形態では、基板20をさらに加工するときに基板20の一部を覆うために、マスク層42を使用することもできる。例えば、マスク層42を用いて材料堆積プロセス中に基板の特定の部分への材料の堆積を阻止する。同様に、マスク層42は基板20をエッチングするためのマスクとしても用いらる。マスク層42のさらなる説明を簡単にするために、エッチング・プロセス用のマスクとしてのその使用のみを以下に記載する。しかし、本明細書に記載の実施形態のマスク層は先に述べたような様々なプロセスで使用される。
エッチング・プロセスに使用する場合、図23Eに示すように、基板20の部分がマスク層42を通して露出されるまで、エッチング・プロセスを用いてマスク層42をエッチングする。すなわち、このベース層の部分がエッチングで取り除かれる。マスキング層42の部分44は、基板20の部分のエッチングを阻止するのに使用されるように基板20上に残される。マスク層42のエッチングが完了した後、知られているエッチング・プロセスを用いて基板20をエッチングする。マスク層42の部分44の下の基板20の部分は、基板20の露出部分がエッチングされる間、実質的にエッチングされない。このようにして、テンプレート12のパターンに相当するパターンが基板に転写される。図23Fに示すように、パターン化された基板20を残した状態でマスク層42の残りの部分44が除去されてよい。
図24A〜24Dは転写層を用いたインプリント・リソグラフィ・プロセスの一実施形態を示す。転写層18が基板20の上面に形成される。転写層18は下の基板20及び/又は硬化液40から形成されたマスク層とは異なるエッチング特性を有する材料から形成される。すなわち、各層(例えば、転写層18、マスク層、及び/又は基板20)は他の層に対して少なくとも多少選択的にエッチングされる。
転写層18の表面上に硬化液を堆積させ、図23A〜23Cに関して記載したマスク層を硬化させることによって、マスク層42が転写層18の上に形成される。マスク層42は転写層18をエッチングするためのマスクとして使用される。図24Bに示すように、転写層18の部分がマスク層42を通して露出されるまで、エッチング・プロセスを用いてマスク層42がエッチングされる。マスク層42の部分44は転写層18上に残り、転写層の一部のエッチングを阻止するために用いられる。マスク層42のエッチングが完了した後、転写層18が知られているエッチング・プロセスを用いてエッチングされる。マスク層42の部分44の下に配置された転写層18の部分は、転写層18の露出部分がエッチングされる間、実質的にエッチングされない。このようにして、マスク層42のパターンが転写層18内に複製される。
図24Cでは、部分44と転写層18のエッチングされた部分は共に、基板20のそれらの下にある部分のエッチングを阻止するのに使用されるマスク・スタック46を形成している。基板20のエッチングは知られているエッチング・プロセス(例えば、プラズマ・エッチング・プロセス、反応性イオン・エッチング・プロセス等)を用いて行われてよい。図24Dに示すように、このマスク・スタックは下にある基板20の部分のエッチングを阻止する。基板20の露出部分のエッチングは所定の深さに達するまで継続される。基板20をエッチングするためのマスクとしてマスク・スタックを用いることの利点は、組み合わされた積層が高アスペクト比のマスク(すなわち、幅よりも高さが大きいマスク)を形成することにある。高アスペクト比のマスク層はエッチング・プロセス中にマスク部分のアンダーカットを阻止するのに望ましい。
図23A〜23Fと図24A〜24Dに示したプロセスはネガ型インプリント・リソグラフィ・プロセスの実施形態である。本明細書で用いるように「ネガ型インプリント・リソグラフィ」プロセスとは一般に、硬化液が硬化前にテンプレートのトポグラフィに従うプロセスを意味する。すなわち、テンプレートのネガ像が硬化された液体内に形成される。これらの図に示すように、テンプレートの凹部でない部分がマスク層の凹状部分になる。したがって、テンプレートはマスク層に形成するパターンのネガ像を表すパターンを有するように設計される。
本明細書で用いられるように、「ポジ型インプリント・リソグラフィ」プロセスとは一般に、マスク層内に形成されたパターンがテンプレートのパターンの鏡像であるプロセスを意味する。以下にさらに記載するように、テンプレートの凹部でない部分がマスク層の凹部でない部分となる。
典型的なポジ型インプリント・リソグラフィ・プロセスを図25A〜25Dに示す。図25Aに示すように、テンプレート12はテンプレート12と基板20との間に空隙が形成されるように基板20とは離間した状態で位置している。テンプレート12の表面は、テンプレートの表面エネルギーを下げ、かつ硬化したマスク層からのテンプレート12の分離を支援する薄い表面処理層13を用いて処理されている。
硬化液40が基板20の表面に置かれる。テンプレート12が硬化液40と接触させられる。図25Bに示すように、硬化液がテンプレートの下面と基板との間の空隙を充填する。ネガ型インプリント・リソグラフィ・プロセスとは対照的に、硬化液40はテンプレートの凹部の少なくとも一部分の実質的に下にある基板の領域領域には存在しない。したがって、硬化液40はテンプレート12の凹部の少なくとも一部分の場所によって定められた基板の上に不連続な膜として維持される。テンプレート12が適切に配置された後、硬化液40は硬化させられて基板上にマスク層42を形成する。図25Cに示すように、基板20の表面上に硬化したマスク層を残した状態で、マスク層42からテンプレート12を除去する。マスク層42はテンプレート12のパターンと相補的なパターンを有する。
基板20の部分をエッチングされるのを阻止するためにマスク層42を使用する。マスク層42の形成が完了した後、基板20は知られているエッチング・プロセスを用いてエッチングされる。図25Dに示すように、マスク層42の部分の下に配置された基板20の部分は、基板20の露出部分がエッチングされる間、実質的にエッチングされないままである。このようにして、テンプレート12のパターンが基板20内に複製される。マスク層42の残りの部分を除去してパターン化された基板20が形成される。
図26A〜26Cは転写層を用いたポジ型インプリント・リソグラフィ・プロセスの一実施形態を示す。転写層18は基板20の上面に形成される。転写層18は下にある転写層及び/又は基板20とは異なるエッチング特性を有する材料から形成される。転写層18の表面に硬化液を堆積させ、かつ図25A〜25Cに関して記載したようにマスク層を硬化させることによって、マスク層42が転写層18の表面上に形成される。
マスク層42は転写層18をエッチングするためのマスクとして用いられる。マスク層42は転写層18の一部のエッチングを阻止する。転写層18は知られているエッチング法を用いてエッチングされる。マスク層42の下に配置された転写層の部分は転写層18の露出部分がエッチングされている間、実質的にエッチングされないまま残る。このようにして、マスク層42のパターンが転写層18内に複製される。
図26Bでは、マスク層42と転写層18のエッチングされた部分が一緒に、下にある基板20の部分のエッチングを阻止するのに使用されるマスク・スタック46を形成している。基板20のエッチングは知られているエッチング・プロセス(例えば、プラズマ・エッチング・プロセス、反応性イオン・エッチング・プロセス等)を用いて行われる。図26Cに示すように、このマスク・スタックは下にある基板20の部分のエッチングを阻止する。基板20の露出部分のエッチングは所定の深さに達するまで継続される。
一実施形態では、ある工程はポジ型及びネガ型インプリント・リソグラフィを組み合わせることができる。組み合わされたポジ型及びネガ型インプリント・リソグラフィ・プロセス用のテンプレートはポジ型リソグラフィに適切な凹部及びネガ型リソグラフィに適切な凹部を含む。例えば、組み合わされたポジ型及びネガ型インプリント・リソグラフィ・プロセス用のテンプレートの一実施形態を図27Aに示す。図27Aに示すように、テンプレート12は下面566、少なくとも1つの第1の凹部562、及び少なくとも1つの第2の凹部564を含む。第1の凹部562はテンプレートが硬化液と接触するときに硬化液40の不連続な部分を形成するように構成される。第1の凹部の高さ(h2)は第2の凹部の高さ(h1)よりもかなり高い。
典型的な組み合わせたインプリント・リソグラフィ・プロセスを図27A〜27Dに示す。図27Aに示すように、テンプレート12はテンプレート12と基板20との間に空隙が形成されるように基板20とは離間した状態で位置している。テンプレート12の少なくとも下面566は、テンプレートの表面エネルギーを下げ、かつ硬化したマスク層からのテンプレート12の分離を支援する薄い表面層(図示せず)を用いて処理される。さらに、第1の凹部562及び/又は第2の凹部564の表面をその薄い表面処理層を用いて処理してもよい。
硬化液40が基板20の表面上に配置される。テンプレート12を硬化液40と接触させる。図27Bに示すように、この硬化液はテンプレート566の下面と基板20との間の空隙を充填する。硬化液40は第1の凹部562も充填する。しかし、硬化液40は第2の凹部564のほぼ下にある基板の領域には存在しない。したがって、硬化液は第1の凹部562によって形成されたパターンに相当する表面トポグラフィを含んだ基板上に不連続な膜として維持される。テンプレート12が適切に配置された後、硬化液40を硬化させて基板上にマスク層42を形成する。図27Cに示すように、基板20の表面上に硬化したマスク層を残した状態で、マスク層42からテンプレート12を除去する。マスク層42はネガ型インプリント・リソグラフィによって形成されるマスクに類似する領域568を含んでいる。さらに、マスク層42はマスク材料を含まない領域569をも含む。
一実施形態では、マスク層42は下の基板と同一か又は類似するエッチング速度を有する材料から構成される。エッチング・プロセスをマスク層42に適用してマスク層と基板が実質的に同じエッチング速度で除去される。このようにして、図27Dに示すように、テンプレートの多層パターンが基板に転写される。このプロセスは他の実施形態に記載したような転写層を用いて行われてもよい。
ポジ型及びネガ型のリソグラフィの組み合わせはテンプレートの複数の領域をパターン化するのにも有用である。例えば、基板はパターン化を必要とする複数の領域を含む。図27Cに示すように、複数の深さの凹部を有するテンプレートは間にある「境界」領域569を有する2つのパターニング領域568を含む。境界領域569はテンプレートのパターニング領域を越える液体の流れを阻止する。
本明細書に用いられるように、「ステップ・アンド・リピート」プロセスとは基板よりも小さいテンプレートを用いて基板上に複数のパターニング領域を形成することを意味する。ステップ・アンド・リピート・インプリント・プロセスは、基板の一部分の上に光硬化液堆積させ、基板の以前のパターンに硬化した液体内のパターンを整列させ、液体にテンプレートを押しつけ、この液体を硬化させ、かつ硬化した液体からテンプレートを分離する工程を含む。基板からのテンプレートの分離によりテンプレートのトポグラフィの像を硬化した液体内に残す。このテンプレートは基板の総表面積よりも小さいので、基板の一部分のみがパターン化された硬化液を含む。このプロセスの「反復」部分は基板の異なる部分の上に光硬化液を堆積させる工程を含む。次に、パターン化されたテンプレートが基板と整列させられ、硬化した液体と接触させられる。硬化液を、活性化光を用いて硬化させて、硬化した液体の第2の領域を形成する。このプロセスは基板の大半がパターン化されるまで連続的に反復される。ステップ・アンド・リピート・プロセスはポジ型、ネガ型、又はポジ型/ネガ型インプリント・プロセスと共に用いることができる。ステップ・アンド・リピート・プロセスは本明細書に記載の装置の任意の実施形態を用いて行われてもよい。
ステップ・アンド・リピート・インプリント・プロセスは他の技術よりも多数の利点を提供する。本明細書に記載のステップ・アンド・リピート・プロセスは低粘度の光硬化液及び剛性のある透過性テンプレートを使用するインプリント・リソグラフィに基づいている。テンプレートは液体活性化光及びアライメント・マーク検出光に対して透過性であるので、層対層整列の潜在能力が提供される。多層デバイスの生産規模のインプリント・リソグラフィにとっては、非常に高い分解能の層対層アラインメント(例えば、最小加工寸法(MFS)の1/3ほどの低さ)を有することが有利である。
テンプレートを作成する際に歪み誤差の種々の原因が存在する。ステップ・アンド・リピート・プロセスは、所定のステップの間に基板の一部分のみが加工される。各ステップ中に加工された場所の寸法はMFSの1/3より小さいパターンの歪みを有するように十分小さくあるべきである。これは高分解能のインプリント・リソグラフィのステップ・アンド・リピート・パターニングを必要とする。これは大半の光学リソグラフィ・ツールがステップ・アンド・リピート・システムである理由である。また、先に考察したように、低いCD変動及び欠陥の検査/修復の必要性があるために、小さい場所を加工することを支持する。
プロセス・コストを低く維持するために、リソグラフィ装置が十分高いスループットを有することが重要である。スループット要件はフィールド毎に許容されるパターン化時間に厳しい制限を設ける。光硬化可能な低粘度の液体はスループットの観点から魅力的である。このような液体は非常に早く移動してテンプレートと基板との間の空隙を適切に充填し、リソグラフィ能力はパターンに依存しない。この結果得られる低圧力、室温のプロセスは高スループットに適切なと同時に層対層の整列の利点を維持している。
先行発明は低粘度の光硬化液のパターニングに注目しているが、それらはステップ・アンド・リピート・プロセスに対するパターニングに注目してはいない。フォトリソグラフィのほかホット・エンボシングにおいても、膜はそのパターニングに先立って基板の上にスピン・コーティングされ、硬く焼き付けられる。そのようなアプローチが低粘度の液体と共に使用される場合、大きな3つの問題が存在する。低粘度の液体はディウェット(dewet)し易く、連続した膜の形態で留まることができないので、スピン・コートし難い。また、ステップ・アンド・リピート・プロセスではこの液体は蒸発にさらされ、これによりテンプレートが基板上でステップ・アンド・リピートされているときに基板の上に残される液体の量が変動することになる。最終的に、全体的な光の照射がパターン化されている特定の場所を越えて散乱し易くなる。これは次の場所の不完全な硬化を起こし易く、これによってインプリントの前に液体の流動性が影響を受ける。1つの場所を同時に、単一の場所に適切な液体を基板の上に分配するというアプローチが、上記の3つの問題を解決するであろう。しかし、基板上の使用可能な領域の損失を回避するには、液体をその特定の場所に限定することが重要である。
一般に、リソグラフィはデバイスの生産に使用される多数の単位工程の1つである。特に多層デバイスでは、これらすべてのプロセスのコスト的には、次のパターンに干渉することなくパターニング領域を相互にできるだけ近接して設けることが非常に望ましい。このことは使用可能な領域を、故に基板の使用を効果的に最大にする。また、インプリント・リソグラフィは様々なレベルの同じデバイスが様々なリソグラフィ技術から製造される他の種類の(光学リソグラフィなどの)リソグラフィと共に「ミックス・アンド・マッチ」モードで使用される。インプリント・リソグラフィ・プロセスを他のリソグラフィ技術に適合させることは有利である。境界領域は基板上の2つの近接するフィールドを分離する領域である。最新の光学リソグラフィ・ツールでは、この境界領域は50〜100μ程度である。境界領域の大きさは典型的にはパターン化された領域を分離するのに使用されるブレードの大きさによって制限される。この小さな境界は個々のチップをダイシングするダイシング・ブレードが薄くなるほど小さくなる。この厳しい境界寸法要件を満たすために、パターニング領域から排除される過剰な液体の場所は十分に制限され、かつ反復可能であるべきである。このようにして、表面エネルギー、境界エネルギー、Hamacker定数、ファンデルワールス力、粘度、密度、不透明度等を含むがこれに限定されない、システムの物理的特性に影響を及ぼすテンプレート、基板、液体、他の任意の材料を含む個々の構成要素が再現可能なプロセスを適切に処理するように設計される。
先に考察したように、不連続な膜は適切にパターン化されたテンプレートを用いて形成される。例えば、境界領域を定める高アスペクト比を有するテンプレートは境界領域を越える液体の流れを阻止する。境界領域内の阻止は多数の要因によって左右される。先に考察したように、テンプレートのデザインは液体の閉じ込めに大きな役割を果たす。さらに、テンプレートを液体に接触させるプロセスは液体の閉じ込めにも影響を及ぼす。
図19A〜Cは不連続な膜が表面上に形成されるプロセスの断面図を示す。一実施形態では、図19Aに示すように、硬化液40は線のパターンとして、あるいは液滴として基板20の上に分配される。したがって、硬化液40はインプリントされる基板20の領域全体を覆うわけではない。図19Bに示すように、テンプレート12の下面536が液体40と接触すると、テンプレートの力が液体に加わることによって液体は基板20の表面上で広がる。テンプレートによって液体に加わる力が大きくなるほど、液体は基板の上をより広がる。したがって、図19Cに示すように、十分な力が加わると、液体はテンプレートの周囲部を越えるであろう。テンプレートによって気体に加わる力を制御することによって、図19Dに示すように、液体はテンプレートの所定の境界内に閉じ込められる。
液体に加わる力の量は基板上に分配される液体の量と硬化中の基板からのテンプレートの距離に関連する。ネガ型インプリント・リソグラフィ・プロセスの場合、基板上に分配される液体の量は、パターン化されたテンプレートの凹部を実質的に充填するのに必要な液体の量、パターン化される基板の面積、硬化させる層の所望の厚さによって定められる量以下となるべきである。硬化液の量がこの量を超えると、この液体はテンプレートが基板から適切な距離にされたとき、テンプレートの境界部から離れる。ポジ型インプリント・リソグラフィ・プロセスの場合、基板上に分配される液体の量は、硬化させる層の所望の厚さ(すなわち、テンプレートの凹部ではない部分と基板との間の距離)と、パターン化される基板の部分の表面積とによって定められる量未満になるべきである。
1つ又は複数の境界を含んだテンプレートを使用するインプリント・リソグラフィについて、先に述べたように、テンプレートの凹部のない表面と基板との間の距離が最小膜厚と最大膜厚との間に設定される。これら値の間に高さを設定することにより、適切な毛管力がテンプレートの領域で定められた境界内に液体を含めることができる。さらに、層の厚さはパターン化されたフィーチャの高さにほぼ匹敵すべきである。硬化された層が厚過ぎると、硬化された層に形成されたフィーチャは、そのフィーチャが下の基板にインプリントされる前に侵食される恐れがある。したがって、適切な膜厚を使用できるように、上記のような大きさを制御して下げることが望ましい。
テンプレートによって液体に加わる力はテンプレートが液体に接触される速度の影響も受ける。一般に、テンプレートが接触される速度が速くなるほど、液体に加わる力はより大きくなる。したがって、基板の表面上の液体の広がりを制御するいくつかの手段は、テンプレートが液体と接触される速度を制御することによっても行われる。
インプリント・リソグラフィ・プロセスのために基板に対してテンプレートを配置する際に、これら特徴のすべてが考慮される。これらの変数を所定の方法で制御することによって、液体の流れが所定の領域内に制限されたままになるように制御される。
オーバーレイ・アラインメント・スキームは、アラインメント誤差を測定した後に、これら誤差の補正を行って、基板上でのパターン化テンプレートと所望のインプリント場所の正確なアラインメントを行うことを含む。基板に対するテンプレートの正確な設置は、基板上に予め形成されている任意の層に対するパターン化された層の適切なアラインメントを行うのに重要である。ここで用いられるように、設置誤差とは一般にテンプレートと基板との間(すなわち、X及び/又はY軸に沿った並進)のX−Y位置決め誤差を意味する。一実施形態では、図14に示すように、設置誤差はテンプレート光学デバイスを用いて決定され、補正される。
図28はスルー・ザ・テンプレート光学結像システム3800の光学システム3820の略図を示す(図14も参照すること)。光学システム3820は2つのアライメント・マークを異なる平面から単一の焦点面上に焦点合わせするするように構成されている。光学システム3820は異なる波長の光から得られる焦点距離の変化を使用して下の基板に対するテンプレートのアラインメントを決定する。光学システム3820は光学結像デバイス3810、照明源(図示せず)、焦点調整デバイス3805を備えている。異なる波長を有する光は個々の光源を用いるか、あるいは単一の広帯域光源を用いかつ結像面とアライメント・マークとの間に光学バンドパス・フィルタを挿入するかのいずれかによって生成される。テンプレート3700と基板2500との間の空隙に応じて、異なる波長を選択して焦点距離が調整される。使用される各波長の光の下で、図29に示すように各オーバーレイ・マークが結像面に2つの像を生成する。特定の波長の光を用いた第1の像2601はきれいに焦点が合った像である。同じ波長の光を用いた第2の像2602は焦点のずれた像である。各々の焦点のずれた像を除去するために、いくつかの方法を使用できる。
第1の方法では、第1の波長の光の下で、2つの像が光学結像素子3810によって受け取られる。像を図29に示し、全体として符号2604を付す。正方形で像を示しているが、十字など他の任意の形状を使用できることを理解すべきである。像2602は基板上のオーバーレイ・アラインメント・マークに対応する。像2601はテンプレート上のオーバーレイ・アラインメント・マークに対応する。像2602の焦点が合うとき、像2601の焦点ははずれている。一実施形態では、像処理技術を用いて、像2602に関連する画素に対応する幾何学的データが消去される。したがって、像2601のみを残した状態で、基板マークの焦点のずれた像が除去される。同じ手順と第2の波長の光を用いて、像2605と像2606が光学結像素子3810上に形成される。像2605を残した状態で、焦点のずれた像2606が除去される。次に、オーバーレイ誤差測定を行うために、残った2つの焦点の合った像2601、2605が1つの像平面2603上に結合される。
図30に示すように、第2の方法は2つの共面偏光アレイと偏光照明源を利用している。図30はオーバーレイ・マーク2701と、直交する偏光アレイ2702とを示している。偏光アレイ2702はテンプレート表面上に形成され、表面の上に置かれている。2つの偏光された照明源の下で、焦点の合った像2703(異なる波長及び偏光に各々対応する)が像平面上に現われる。したがって、焦点のずれた像はアレイ2702を偏光することによってフィルタ・アウトされる。この方法の一利点はそれが焦点がずれた像を除去するための画像処理技術を必要としないことであろう。
光学リソグラフィ・プロセスのためにモアレ・パターンに基づいたオーバーレイ測定を使用した。インプリント・リソグラフィ・プロセスに関し、モアレ・パターンの2枚の層が同一平面上には存在しないが、イメージング・アレイ内で依然として重なり合っている場合、2つの個々の焦点の合った像を取得することは、難しいであろう。しかし、光学的測定器具の焦点深度内でかつテンプレートと基板とを直接接触させずにテンプレートと基板との間の空隙を制御すれば、焦点合わせの問題が最小の状態で、モアレ・パターンの2枚の層を同時に取得できるであろう。モアレ・パターンに基づいた他の標準的なオーバーレイ・スキームがインプリント・リソグラフィ・プロセスに直接実施される。
UV硬化液材料を用いるインプリント・リソグラフィ・プロセスのためのオーバーレイ・アラインメントに関する別の懸念はアライメント・マークの可視性であるであろう。オーバーレイ配置誤差測定のために、いくつかの実施形態では、一方はテンプレートの上にあり他方は基板上にある2つのオーバーレイ・マークが使用される。しかし、テンプレートは硬化剤に対して透過性であることが望ましいので、いくつかの実施形態ではテンプレートのオーバーレイ・マークは不透明ではないラインである。むしろ、テンプレートのオーバーレイ・マークはテンプレート表面のトポグラフィックなフィーチャである。いくつかの実施形態では、このマークはテンプレートと同じ材料から作られる。さらに、UV硬化はテンプレート材料(例えば石英)の屈折率に類似する屈折率を有してよい。したがって、UV硬化液がテンプレートと基板との間の空隙を充填するとき、テンプレートのオーバーレイ・マークを認識するのが非常に困難になるであろう。テンプレートのオーバーレイ・マークが不透明な材料(例えば、クロム)を用いて作られている場合、オーバーレイ・マークの下のUV硬化液がUV光に適切に曝露されないことがある。
一実施形態では、光学結像系3800によっては見られるが硬化光(例えば、UV光)に対しては不透明であるオーバーレイ・マークがテンプレート上で用いられる。このアプローチの一実施形態を図31に示す。図31では、完全に不透明な線の代わりに、テンプレート上のオーバーレイ・マーク3102は細かい偏光ライン3101から形成される。例えば、適切な細かい偏光ラインは硬化剤として使用される活性化光の波長の約1/2〜1/4の幅を有する。偏光ライン3101のこのライン幅は、2本のライン間を通る活性化光がライン下の液体のすべてを硬化させるのに十分に回折されるように十分小さくなるべきである。そのような一実施形態では、活性化光はオーバーレイ・マーク3102の偏光に従って偏光される。活性化光を偏光することにより、比較的均一な曝露がオーバーレイ・マーク3102を有する領域を含んだテンプレート領域に提供される。テンプレート上にオバーレイ・マーク3102を位置させるのに用いられる光は、広帯域光又は液体材料を硬化させないであろう特定の波長であってよい。この光は変更される必要がない。偏光されたライン3101は測定光に対して実質的に不透明であるために、オーバーレイ・マークは従来のオーバーレイ誤差測定器具を用いて可視化される。細かく偏光されるオーバーレイ・マークは電子ビーム・リソグラフィなどの既存の技術を用いてテンプレート上に作成される。
別の実施形態では、オーバーレイ・マークはテンプレートとは異なる材料から作られる。例えば、テンプレートのオーバーレイ・マークを形成するために選択される材料は可視光に対しては実質的に不透明であるが、硬化剤に用いられる活性化光(例えば、UV光)に対しては透過性である。例えば、Xが2より小さいSiOXがそのような材料として用いられる。特にXが約1.5であるSiOXで形成された構造体は可視光に対しては実質的に不透明であるが、UV硬化光に対しては透過性である。
一実施形態では、1つ又は複数のテンプレート・アラインメント・マークは軸外れアラインメント・プロセスを用いて行うことができる。上記のように、システムはインプリント・ヘッド及びモーション・ステージに結合された軸外れ光学撮像素子を備えている。以下の説明はモーション・ステージに取り付けられた基板を有するシステムに向けられたものであるが、そのプロセスはモーション・ステージに取り付けられたインプリント・ヘッドを有するシステムのために容易に変形できることを理解すべきである。さらに、以下の説明は倍率誤差がアラインメント・プロセスを行う前に補正されることを仮定していることを理解すべきである。倍率誤差は温度変化のために材料が膨張又は収縮するときに発生する。倍率誤差を補正する技術が、参照によって本明細書に組み入れた、2001年7月16日に出願された「High−Resolution Overlay Alignment Methods and Systems for Imprint Lithography」に米国特許出願第09/907,512号に記載されている。また、テンプレートのパターニング領域内の平面において2つの垂直方向で異なる倍率補正も整列の前に必要となるであろう。
図46A〜Dは基板に対するテンプレートの軸外れ整列のためのシステムの略図を示す。インプリント・ヘッド3100はテンプレート3700と軸外れ結像デバイス3840を備えている。基板4600がモーション・ステージ3620に結合された基板チャック3610に取り付けられている。モーション・ステージ3620は基板の動きをテンプレートに対して実質的に平行な方向に制御するように構成されている。テンプレート光学結像システム3850がモーション・ステージと共に移動するようにモーション・ステージ3620に結合されている。このシステムはシステム・アライメント・ターゲット4630も備える。システム・アライメント・ターゲット4630は、光学結像システムに光学的に整列させられて、システムの固定された部分に結合されている。システム・アライメント・ターゲット4630はインプリント・リソグラフィ・システム又は動かない光学結像システム(例えば、光学結像システム3840)の本体に結合される。システム・アライメント・ターゲットはアラインメント測定のための固定された基準点として用いられる。
テンプレート3700と基板4600は少なくとも1つ、好適には2つの図46Aに示すようなアライメント・マークを含む。インプリント・プロセスの間、基板上に配置された液体を硬化させる前に、テンプレートのアライメント・マークは基板の対応するアライメント・マークに整列させられる。一実施形態では、整列は軸外れ光学撮像素子を用いることによって行われる。図46Aは初期化された状態にあるシステムを示す。この初期化状態では、テンプレートのアライメント・マークは基板のアライメント・マークと整列していない。しかし、光学アラインメント・システム3840、3850は、システム・アライメント・ターゲット4630と整列させられている。したがって、システム内のある固定位置に対する動作の各々の開始位置は分かっている。
テンプレートと基板のアライメント・マークのアラインメントを実行するために、システム・アライメント・ターゲットに対するアライメント・マークの位置が決定される。図46Bに示すように、システム・アライメント・ターゲットに対するテンプレートのアライメント・マークの位置を決定するために、テンプレート・アライメント・ターゲットが光学撮像素子3850の視野に入るまでモーション・ステージ3610を移動させる。(X−Y平面の)アライメント・マークを見付けるのに必要なモーション・ステージの動きを用いて、システム・アライメント・ターゲットに対するテンプレートのアライメント・マークの位置が決定される。図46Cに示すように、基板のアライメント・マークの位置は、基板のアライメント・マークが軸外れ光学結像系3840の視野に入るまで、モーション・ステージ3610に対して基板を移動させることによって決定される。(X−Y平面の)アライメント・マークを見付けるのに必要なモーション・ステージの動きを用いて、システム・アライメント・ターゲットに対するテンプレートのアライメント・マークの位置が決定される。一実施形態では、(例えば、図46Aに示すように)モーション・ステージは初期化位置まで戻される。
一旦テンプレートと基板のアライメント・マークの位置が決定されると、整列は適切な位置まで基板を移動させることによって行われる。図46Dはテンプレートと基板の最終的に整列させられた状態を示している。
基板上のある領域に対してテンプレートを適切に整列させるために、テンプレートに対する基板の位置がテンプレートと基板のアライメント・マークを整列させるように選択される。典型的には、2つ以上のアライメント・マークがテンプレート上に形成されている。対応するアライメント・マークも基板上に形成される。テンプレートのアラインメント・マークが基板のアラインメント・マークに対してすべて適切に整列させられると、インプリント・プロセスが実行される。
いくつかの実施形態では、テンプレートは基板に対してZ軸の回りに回転させられる。そのような実施形態では、基板上の対応するアライメント・マークに対してテンプレートの複数のアライメント・マークを整列させることは基板の単純なX−Y動きを用いては不可能なことがある。基板上の選択されたフィールドに対してテンプレートを適切に位置を合わせるために、基板(又はテンプレート)がZ軸の回りで回転させられる。本明細書ではこの回転補正を「θアラインメント」と呼ぶ。
図47Aは基板4720上に配置されたテンプレート4710の俯瞰図を示す。テンプレート4710は少なくとも2つのアライメント・マークを含み、基板4720はそれに対応する少なくとも2つのアライメント・マークを含む。適切に位置が合わされた場合、テンプレートのアライメント・マークのすべてはそれに対応する基板のアライメント・マークのすべてと整列しているはずである。
図47Bに示すように、最初の整列はテンプレートのアラインメント・マークの少なくとも1つが基板のアラインメント・マークの少なくとも1つと整列するように、ある位置まで基板(又はテンプレート)を移動させることによって行われる。θアラインメント誤差(及び倍率誤差)がない場合、基板をさらに任意に移動させなくても他方のアライメント・マークはマッチしているはずである。しかし、図47Bに示すように、θアラインメント誤差があるとテンプレートと基板上の他方のアライメント・マークの整列はずれるであろう。さらなるインプリントが行われる前に、θ誤差の補正が行われる。
θ誤差補正はZ軸(すなわち、ページのX軸とY軸に対して垂直なページから延びる軸)の回りに基板(又はテンプレート)を回転させることによって行われる。図47に示すように、基板が回転することによってテンプレートと基板のアライメント・マークのすべての整列が可能となる。
θ誤差は軸外れアラインメント手順あるいはスルー・ザ・テンプレート・アラインメント手順のいずれかを用いて検出(及び補正)される。本明細書に記載するように、軸外れ技術によて種々のアライメント・マークの位置を固定された基準点(例えば、システム・アライメント・ターゲット)に対して決定できる。図47Dは基板4720上に置かれたテンプレート4710の俯瞰図を示す。テンプレート4710は少なくとも2つのアライメント・マークを含み、基板4720はそれに対応する少なくとも2つのアライメント・マークを含む。
まず、軸外れ結像デバイスを用いて2つのテンプレートのアライメント・マークと2つの基板のアライメント・マークの位置が、システム・アライメント・ターゲット4730に対して決定される。システム・アライメント・ターゲット4730は基準X軸及び基準Y軸の頂点が定める。システム・アライメント・ターゲットに対するX基準軸とY基準軸の方向が、モーション・ステージのX動きとY動きの方向によってそれぞれ決定される。テンプレートのアライメント・マークの位置を用いて基準XY軸に対する、テンプレートのアライメント・マークを通るライン4740の角度が決定される。基板のアライメント・マークの位置を用いて基準XY軸に対する、基板のアライメント・マークを通るライン4750の角度が決定される。ライン4740とライン4750の角度は標準的な幾何学的関数を用いて決定される。基準XY軸に対して決定された4740、4750の角度の差が、θアラインメント誤差を表している。
θ誤差を決定した後、モーション・ステージを適切な量だけ回転させてこの誤差を補正する。補正されれば、X、Y基準軸に対して、テンプレートのアライメント・マークを通して引かれるライン4740の角度と、基板のアライメント・マークを通して引かれるライン4750の角度は実質的に同じになるべきである。θ補正が完了した後、テンプレートと基板のアライメント・マークはモーション・ステージのX−Y動きによって最終的な整列が行われる。その後、その整列させられたテンプレートと基板を用いてインプリント・プロセスが行われる。
別の実施形態では、スルー・ザ・テンプレート・アラインメント法を用いてθ誤差が補正され、基板に対してテンプレートが整列させられる。スルー・ザ・テンプレート・アラインメント技術は、両方のマークを観察して対応する基板のアライメント・マークに対するテンプレートのアライメント・マークの整列を観察することによって実行される。本明細書に記載するように、これはテンプレートと基板のアライメント・マークをテンプレートを通して見ることができる光学系を用いることによって行われる。
図47Eは基板4720上に置いたテンプレート4710の俯瞰図を示す。テンプレート4710は少なくとも2つのアライメント・マークを含み、基板4720はそれに対応する少なくとも2つのアライメント・マークを含む。
図47Eに示すように、まず、スルーザ・テンプレート光学結像デバイスを用いて、モーション・ステージが第1のテンプレートのアライメント・マークを第1の基板のアライメント・マークに対して整列するように移動させられる。第2のテンプレートのアライメント・マークと第2の基板のアライメント・マークの位置は、アライメント・マークが見付かるまで光学結像デバイスをテンプレートを横断して移動させることによって決定される。アライメント・マークの場所が見付かったら、想像上のライン4740(テンプレートのアライメント・マーク間)と4750(基板のアライメント・マーク間)が算出され、2本のライン間のθ角を決定するのに用いられる。この角度はθ誤差を表している。
一実施形態では、第2のテンプレートと基板のアライメント・マークの位置はモーション・ステージの動きによって決定される。まず第1のテンプレートと基板のアライメント・マークを図47Eに示すように合わせる。第2のテンプレートのアライメント・マークを見付けるために光学結像素子を移動させる。このマークを見付けた後、モーション・ステージを移動させるが、第1のテンプレートのアライメント・マークが光学結象素子の視野に戻されるまで光学結像素子を同じ位置に維持させる。モーション・ステージの動きが監視され、この動きを用いて第1のテンプレートのアライメント・マークに対する第2のテンプレートのアライメント・マークの位置が算出される。第1のテンプレートのアライメント・マークに対する第2のテンプレートのアライメント・マークの位置は、モーション・ステージのX動きとY動きの方向によって定められるX−Y基準平面に基づいて決定される。同様に、第2の基板のアライメント・マークが第1の基板のアライメント・マークに対して決定される。
θ誤差を決定した後、モーション・ステージを適切な量だけ回転させてこの誤差が補正される。θ補正が完了すると、テンプレートと基板のアライメント・マークはモーション・ステージのX−Y動きによって最終的なアラインメントを行う。その後、適切に整列させたテンプレートと基板を用いてインプリント・プロセスが行われる。
別の実施形態では、軸外れアラインメントとスルー・ザ・テンプレート・アラインメントの両方を一緒に用いて基板に対してテンプレートを整列させる。この実施形態では、軸外れ法を用いて最初のアラインメントを実行し、スルー・ザ・テンプレート・アラインメントを用いて基板に対するテンプレートの位置を精密に合わせる。θ誤差補正とX−Y誤差補正は共に両技術を用いて行われる。
上記のθ補正アラインメント・プロセスはステップ・アンド・リピート・プロセスに使用される。ステップ・アンド・リピート・整列はグローバル・アラインメント又はフィールド・バイ・フィールド・アラインメントのいずれかによって行われてよい。グローバル・アラインメントのために、基板の2つ以上のフィールドは少なくとも2つのアライメント・マークを含むであろう。軸外れアラインメント又はスルー・ザ・テンプレート・整列は2つ以上のフィールドにおいて行われ、各フィールドにおけるθアラインメント誤差及びX−Yアラインメント誤差が決定される。任意には、各フィールドにおける整列はインプリント工程を伴ってよい。次に、各フィールドにおけるθアラインメント誤差及びY−Xアラインメント誤差を平均化して「平均アラインメント誤差」が決定される。この平均アラインメント誤差を用いて、基板上の任意のフィールドに適用するのに必要な補正が決定される。
次に、平均アラインメント誤差がステップ・アンド・リピート・プロセスに使用される。ステップ・アンド・リピート・プロセスでは、各々のフィールド位置が予め決定され、リソグラフィ・システムのデータベースに格納される。インプリント中、テンプレートがデータベースに格納された座標に基づいて基板の所望の位置で方向付けされるように、モーション・ステージを移動させる。次に、テンプレートと基板は平均アラインメント誤差に基づいてアラインメント補正を受ける。活性化光硬化液はアラインメント補正の前又は後に基板の上に置かれる。活性化光を加えて活性化光硬化液を硬化させ、硬化された液体からテンプレートを分離させる。モーション・ステージを移動させて基板の別の部分の上でテンプレートが方向付けされ、このプロセスを繰り返す。
別の場合には、フィールド・バイ・フィールド・アラインメント・プロセスを用いることができる。インプリント中、モーション・ステージはテンプレートがデータベースに格納された座標に基づいて基板の所望の位置で方向付けされるように、モーション・ステージを移動させる。基板の各フィールドはテンプレートのアラインメント・マークに対応する2つ以上のアライメント・マークを含む。次に、テンプレートのアライメント・マークは、ウィザー軸外れ、スルー・ザ・テンプレート、又はこれらアラインメント技術の組み合わせを用いて、インプリントされている特定のフィールドにおいて基板のアライメント・マークに対して整列させる。活性化光硬化液は整列の前又は後に基板の上に置かれてよい。活性化光を加えて活性化光硬化液を硬化させ、硬化された液体からテンプレートを分離させる。モーション・ステージを移動させて基板とテンプレートの別のフィールドの上でテンプレートが方向付けされる。整列が基板の各個々のフィールドに対して行われる。
一実施形態では、整列は散乱計測を用いて行われる。散乱計測は表面から散乱される光の特性を測定するのに用いられる技術である。基板に対するテンプレートのアラインメントのために、散乱計測は基板とテンプレート上の回折格子を使用する。インプリント・リソグラフィでは、テンプレートのアラインメント・マークと基板のアラインメント・マークは200nm未満だけ相互に離れてていても良い。したがって、本アラインメント・システムは両方のアライメント・マークを同時に見ることができる。一般に、アライメント・マーク上の入射光は相互に対するアライメント・マークの方向付けに応じて所定の形態でアライメント・マークから散乱させられる。一実施形態では、アライメント・マークが整列させられたときの光の散乱を算出して散乱プロファイルが生成される。使用中、アライメント・マークからの散乱光プロファイルが所定の散乱プロファイルと実質的に一致するまで基板又はテンプレートのいずれかを移動させることによって整列が行われる。
インプリント・リソグラフィを用いた基板のパターン化中、パターン化されたテンプレートを基板の所定の部分の上に置く。典型的には、インプリントされている基板の部分は先に形成された構造体を有するであろう。インプリントに先立ち、パターン化されたテンプレートを基板上に先に形成された構造体に整列させる必要がある。100nm以下のインプリント・リソグラフィについては、基板上のフィーチャに対するテンプレートの整列は約25nm未満の精度を用いて、いくつかの実施形態については10nm未満の精度を用いて可能となるはずである。基板に対するテンプレートの整列は典型的にはアライメント・マークを用いて行われる。すなわち、基板とテンプレート内に形成され、所定の位置に配置されたアライメント・マークをマッチングさせる。アライメント・マークが適切に整列していると、テンプレートが基板に対して適切に整列しており、インプリント・プロセスが実行される。
一般に、整列は高出力顕微鏡を用いて行われてよい。そのような顕微鏡はアライメント・マークの像を収集する。収集された像はユーザによって解析され、ユーザは基板に対するテンプレートの位置を変えて像を整列させる、故に下の基板とテンプレートは整列させられる。10nm未満のアラインメント精度を達成できる高出力顕微鏡は非常に高価であり、インプリント・リソグラフィ・システム内に実装することは難しいであろう。
散乱計測はフィーチャを画像化する必要なくイメージ・データを収集する技術を提供する。一般に、散乱計測ツールは偏光解析器又は反射計などの光学ハードウェア及び光学ハードウェアによって収集されたデータを処理する散乱計測ソフトウェア・アプリケーションを搭載したデータ処理ユニットを備える。散乱計測ツールは基板とテンプレートのアラインメント・マークの近くに置くことができる、解析光源及び検出器を一般に備える。この光源はアライメント・マークの回折格子構造体の少なくとも一部分を照射する。検出器は反射光の強度又は位相などの光学的測定を行う。データ処理ユニットは検出器から光学測定値を受取り、そのデータを処理して回折格子からの散乱プロファイルを決定する。
散乱計測ツールは特定の実施形態に応じて、単色光、白色光、又は他のいくつかの波長あるいは波長の組み合わせを用いることができる。入射光の角度も特定の実施形態に応じて変化させてよい。散乱計測ツールによって解析される光は典型的には反射成分(すなわち、入射角は反射角に等しい)と散乱成分(すなわち、入射角は反射角と等しくない)を含む。以下で考察するために、「反射」という用語は両成分を包含することを意味する。
テンプレートのアラインメント・マークが基板のアラインメント・マークに対して整列させられると、光は反射プロファイルを特徴付けるような形態で基板から反射する。基板のアライメント・マークに対してテンプレートのアライメント・マークがミスアライメントであると、アライメント・マークが整列させられているときに存在するであろう光の反射プロファイルと比べて、散乱計測ツールによって測定される反射プロファイル(例えば、強度、位相、偏光等)に変化が生じる。使用中、散乱計測ツールはアライメント・マークに対する反射プロファイルを測定する。使用中にアライメント・マークに対して測定された反射プロファイルの差は基板に対してテンプレートがミスアライメントであることを示している。
散乱計測ツールのデータ処理ユニットは測定された反射プロファイルを基準反射プロファイル・ライブラリと比較する。測定された反射プロファイルと基準反射プロファイルとの間の差を用いて基板のアライメント・マークに対するテンプレートのアライメント・マークの整列が決定される。別の場合には、2つの格子が整列させられたとき、通常の入射ビームからの散乱パターンは対称的、すなわち、+及び−1次であるか、同一であるか、あるいは2つの反対の低い角度の入射光からの任意の次数(ゼロを含む)は同一であるべきである。複数の波長からの対称的信号は引き算され、その差を合計して整列が測定され、基板又はテンプレートを移動させてその合計が最小化されるであろう。
散乱計測は光学結像プロセスに比べ利点を提供する。散乱計測ツールの光学的要件は結像システムよりも非常に少なくなる。さらに、散乱計測は、顕微鏡などの光学結像デバイスを用いて収集することのできないさらなる(光の位相及び偏光などの)光学情報の収集を可能にする。
図48Aに例示的アライメント・マークを示す。アライメント・マーク4800は、基板4820(例えば、テンプレート又は転写層がその上に形成されている基板)内に形成され、共に回折格子(例えば、4825、4827)となる複数のトレンチ4810を含む。図48Bにアライメント・マーク4800を断面図で示す。典型的には、回折格子は基板内に複数の溝をエッチングすることによって形成される。この溝は実質的に同じ幅と深さを有し、等しく離間している。X、Y軸に沿って整列させることができるように、回折格子の少なくとも2つのセットが使用される。図48Aに示すように、第1のグループのトレンチ4825が第1の軸(例えば、X軸)に沿った整列のための回折格子となる。第2のグループのトレンチ4827が第2の軸(例えば、Y軸)に沿った整列のための回折格子となる。
アライメント・マークの代替実施形態を図48Cに示す。少なくとも4セットの回折格子が基板に対するテンプレートのアラインメントに使用される。回折格子は上記のように基板にエッチングされた複数のトレンチから形成される。2つの回折格子4830、4840が基板に対するテンプレートの粗アラインメントに用いられる。粗アラインメントの格子は実質的に同じ幅と深さを有しかつ等しく離された複数のトレンチから形成される。この粗アラインメントの回折格子のトレンチは約1μm〜約3μmの間の距離で離間される。この範囲の間隔を有する回折格子を用いて、最高約100nmの精度で基板に対してテンプレートが整列させられる。回折格子4830は第1の軸(例えば、X軸)に沿ったアラインメントに使用される。回折格子4840は第2の軸(例えば、Y軸)に沿ったアラインメントに使用される。
約100nmより小さいフィーチャ・サイズを有する構造体を表面状にインプリントする場合、その精度では様々なパターン化層を適切に方向付けできるようにするために十分ではない。高精度整列のために、さらなる格子構造体4850、4860が使用される。高精度回折格子が、実質的に同じ幅と深さを有し、かつ等しく離された複数のトレンチから形成される。この高精度アラインメント回折格子は約100nm〜約1000nmの距離をおいて離されている。この範囲の間隔を有する回折格子を用いて、最高約5nmの精度で基板に対してテンプレートを整列させることができる。回折格子4850は第1の軸(例えば、X軸)に沿ったアラインメントに使用される。回折格子4860は第2の軸(例えば、Y軸)に沿ったアラインメントに使用される。
図49はテンプレートのアライメント・マーク4910と基板のアライメント・マーク4920との間のアラインメントを決定するのに用いられる散乱計測ツールの一構成を示す。散乱計測ツールは図示のようなアライメント・マークに導かれる入射光ビーム4930を発生する。入射光ビーム4930は白色光源又は複数の波長の光を発生することのできる他の任意の光源から発生される。この光を発生させるのに用いられる光源は、本明細書に記載したようなインプリント・システムのインプリント・ヘッド内に配置される。別の場合には、光源はインプリント・ヘッド外部の本体に結合されてよく、光をテンプレートに導くために光学システムが用いられる。
光源からの光がアライメント・マークに入射すると、この光は図49に示すように散乱する。当該技術分野では知られているように、光の散乱は異なる角度で最大の光強度を発生するように生じる。異なる光強度の最大値が発生される角度は、異なる回折次数に相当する。典型的には、光が回折格子から反射されるときに複数の次数が生じる。本明細書で用いるように、ゼロ次数とは入射光と同じ光路に沿って光源に再反射される光を意味する。図49に示すように、入射光ビーム4930に沿って光源に再反射された光はゼロ次である。1次光は入射角とは異なる角度に沿って回折格子から反射される。図49に示すように、光線4942、4944は正の1次(すなわち、次数+1)に沿って発生した光を表し、光線4952、4954は負の1次(すなわち次数−1)に沿って発生した光を表す。+1及び−1次を示したが、他の次数の光(例えば、N次。nは1以上)が使用されるこを理解すべきである。
使用中、基板から(及びテンプレートを通して)反射された光は検出器4960によって収集される。一実施形態では、検出器4960は複数の位置で光学的性質を同時に測定することのできるアレイ検出器である。光が回折格子から散乱されるとき、それぞれの波長の光は異なって散乱される。一般に、すべての波長は回折次数の1つに沿って散乱されるが、異なる波長の光は僅かに異なる角度で散乱される。図49は2つの異なる波長の光が+1次及び−1次に沿ってどのように反射されるかを示している。散乱角度の差はこの説明のために誇張されていることに注意すべきである。+1次を参照すると、光ビーム4942は赤色光を表し、光ビーム4944は青色光を表す。−1次に関しては、光ビーム4952は赤色光を表し、光ビーム4954は青色光を表す。図示のように、赤色光ビームと青色光ビームは検出器の異なる部分に入射する。検出器4960はある配列の光検出素子を備えている。光検出素子の寸法と場所は様々な波長の光を利用可能にするようなものである。図49に示すように、赤色光4942は青色光4944とは異なる光検出素子に入射する。したがって、散乱計測ツールは複数の波長の光の特性を同時に測定できる。
複数の波長の光で散乱を測定する利点は、位相誤差が平均化されることにある。位相誤差は回折格子を形成するトレンチのエッチングの不規則さから生じる。例えば、壁が平行ではないか、あるいはトレンチの底部が曲がっている場合、光散乱は予想されたモデルにならないであろう。そのような誤差は解析に用いられる光の波長に応じて変動し易い。例えば、トレンチを形成する際の処理誤差は青色光の場合よりも赤色光の場合にずれがより多い。複数の波長における読取値を考慮することによって、その信号を平均化してより正確なアラインメント用の指針が作られる。
代替実施形態では、図50に示すように、アライメント・マークからの反射光は図49について示したように散乱される。様々な波長の光を補足するために検出器の分解能に依存する代わりに、光学素子5070を用いて反射光を分ける。上記のように、テンプレートのアライメント・マーク5010と基板のアライメント・マーク5020は入射光5030で照射される。入射光5030はテンプレートによって定められた平面に対して垂直である方向に導かれる。アライメント・マークの回折格子から反射された光は+1次(5040)と−1次(5050)に沿って解析される。この実施形態では、光学素子5070が基板と検出器5060との間の光路内に置かれる。光学素子5070は光の波長に基づいて異なる角度で光を回折させるように構成される。例えば、光学素子5070は(例えば、分光光度計の一部である)回折格子又はプリズムであってよい。プリズムや回折格子はともに光を光の波長に基づいて異なる角度で分散させる。図50に示すように、赤色光は青色光とは異なる角度で分散させられる。図50には単一の素子として示しているが、光学素子5070は2つの個々の素子から構成されることを理解すべきである。さらに、光学素子5070と検出器5060を個別の素子として示しているが、これらの素子は単一のデバイス(例えば、分光光度計)に組み込まれてよいことを理解すべきである。
別の場合には、光学素子5070はレンズであってよい。光学素子5070がレンズの場合、光がレンズを通るときに分散が起こる。分散の程度は、一部はレンズ材料の屈折率に基づく。分散の程度は光の波長にも基づく。様々な波長の光が様々な角度で分散されるであろう。これは「色収差」として知られている事象を生じる。色収差を利用して様々な波長への光の分離が促進される。いくつかの実施形態では、2枚のレンズが用いられてよく、1つは光の各次数に用いられる。
上記のような散乱計測はインプリント・リソグラフィ・プロセスに用いられる。一実施形態では、所定量の活性化硬化液がインプリントされる基板の一部の上に置かれる。パターン化されたテンプレートがその基板に近接して配置される。一般に、このテンプレートは200nm小さい距離だけ基板から離される。基板上に先に形成された構造体に対してパターン化されたテンプレートを確実に整列させるために、テンプレート・アライメント・ターゲットが基板アライメント・ターゲットに対して整列させられる。このテンプレートこのテンプレート・アライメント・ターゲットは整列のために散乱技術を使用できるようにするための回折格子を含む。基板のアライメント・マークに対するテンプレートのアライメント・マークの最初の整列はマークの光学撮像を用いて行われる。マークはパターン識別ソフトウェアを用いて整列させられる。このようなアラインメントを用いて約1μ内のアラインメント精度で行われる。
散乱計測は整列の次の反復にも用いられる。一実施形態では、アライメント・マークは図48Cに示すようなアライメント・マークなどの粗アラインメント回折格子を含んでよい。アライメント・マークの粗アラインメントは粗アラインメント回折格子を用いて実行される。アライメント・マークの高精度整列は高精度アラインメント回折格子を用いて実行される。すべてのアラインメント測定はテンプレートと基板との間に配置される活性化光硬化液を用いて行われる。本明細書に記載するように、光学結像デバイスを用いて最初の整列が行われる。散乱計測を行う前に、光学結像デバイスは光源とテンプレートとの間の光路外に移動させられる。別の場合には、光源からの光は光学結像デバイスが光源とテンプレートとの間の光路内に存在しないようなときに導かれる。
一実施形態では、光はテンプレートによって定められた平面に対して垂直にテンプレートと基板のアライメント・マークに導かれる。+1次及び−1次に沿って散乱する光は複数の波長で解析される。+1次で散乱された光の強度レベルは、−1次で散乱された光の光強度レベルと比較される。テンプレートのアライメント・マークと基板のアライメント・マークが整列させられている場合、強度は任意の所定の波長で実質的に同一になるはずである。+1次と−1次との間の光の強度に差がある場合、アライメント・マークがずれていることを示している。複数の波長におけるミスアライメントの程度の比較を用いてアライメント・マークの「平均」ミスアライメントが生成される。
テンプレートと基板のアライメント・マークの平均ミスアライメントを用いて、アライメント・マークを適切に整列させるために基板に対するテンプレートの位置において必要とされる補正が決定される。一実施形態では、基板は基板モーション・ステージ上に配置される。散乱計測を用いて算出された平均ミスアライメントによって決定されるような適切な方法で基板を移動させることによって、アラインメントを行うことができる。テンプレートと基板が適切に整列させられた後、液体の硬化に続いて、硬化された液体からのテンプレートの分離が行われる。
図51はテンプレートのアライメント・マーク5110と基板のアライメント・マーク5120との間の整列の決定に用いられる散乱計測ツールの代替的構成を示す。散乱計測ツール5100は基板からの2つのゼロ次反射を用いてアライメント・マークのアラインメントを決定する。2つの光源は図示のようなアライメント・マークまで導かれる2つの入射光ビーム5130、5135を発生させる。入射光ビーム5130、5135はテンプレート(又は基板)の平面に対して実質的には垂直ではない方向に導かれる。入射光ビーム5130、5135は、白色光源又は複数の波長の光を発生する任意の光源から生成される。入射光ビーム5130、5135はビーム・スプリッタ5192、5194をそれぞれ通される。
光源からの光がアライメント・マークに入射すると、この光は上記のように散乱される。ゼロ次光とは入射光と同じ光路に沿って光源に再反射される光である。光に向かって再反射される光はビーム・スプリッタ5192、5194によって検出器5160、5162に向かってさらに反射する。一実施形態では、検出器5160、5162は複数の位置で光の特性を同時に測定できるアレイ検出器である。光が回折格子で散乱するとき、個々の波長の光が異なって散乱する。一般に、すべての波長は回折次数の1つに沿って散乱するが、上記のように、異なる波長の光は僅かに異なった角度で散乱する。散乱角度の差は説明のために誇張されていることに注意すべきである。入射光ビーム5130の場合、光ビーム5142は赤色光を表し、光ビーム5144は青色光を表す。入射光ビーム5135の場合、光ビーム5152は赤色光を表し、光ビーム5154は青色光を表す。示したように、赤色光ビームと青色光ビームは検出器の異なる部分に入射する。検出器5160は検出素子のアレイを含む。光検出素子の寸法と場所は様々な波長の光の解析が可能になるようになっている。図51に示すように、赤色光5142は青色光5144とは異なる光検出素子に入射する。したがって、散乱計測ツールは複数の波長で光の特性を同時に測定する。アレイ検出器の使用は、基板又はテンプレートの配向の小さな変化又は次数のピークの位置の変化を生じさせるあらゆる機械的変化を検出できかつ強度を正確に検出できるという利点を有する。
図51に示した波散乱計測システムは最も強い反射信号(すなわち、ゼロ次信号)をアラインメントに利用する。一般に、格子のアラインメントの差は、入射光が格子に対して垂直のときには、ゼロ次の回折はあまり大きいものではない。垂直ではない角度の入射光を用いることによって、ゼロ次は格子のアラインメントに対してより大きな感度を示す。また、波散乱計測システムのこの光路によって、光学結像デバイス5180をシステムの中心に設置することができるようになる。本明細書に記載のように、光学結像デバイス5180はテンプレートと基板のアライメント・マークの粗アラインメントに使用される。波散乱計測システムを用いたテンプレートと基板のアラインメント中に、光学結像デバイスの移動が必要となるであろう。
代替実施形態では、図52に示すように、アライメント・マークからの反射光は図51について記載したように散乱される。様々な波長の光を補足するために検出器の分解能に依存する代わりに、反射光が光学素子5272、5274を用いて分けられる。上記のように、テンプレートのアライメント・マーク5210と基板のアライメント・マーク5220は入射光5230、5235の2本のビームで照射される。入射光5230、5235はテンプレートによって定められた平面に対して垂直ではないある方向に導かれる。アライメント・マークの回折格子から反射された光は、ビーム・スプリッタ5292、5294を用いて光を反射することによってゼロ次に沿って解析される。この実施形態では、光学素子5272、5274は基板と検出器5260との間の光路内に置かれる。光学素子5272、5274は光の波長に基づいて光を様々な角度で分散させるように構成される。例えば、光学素子5272、5274は(例えば、分光光度計の一部である)回折格子又はプリズムであってよい。別の場合には、光学素子5272、5274は色収差を有するレンズであってよい。
代替実施形態では、図53に示すように、アライメント・マークからの反射光が図51について示したように散乱される。様々な波長の光を補足するために検出器の分解能に依存する代わりに、反射光が光学素子5372、5374を用いて分割される。アライメント・マークから反射される光はビーム・スプリッタ5392、5394によって光ファイバ・ケーブル5376、5378にそれぞれ導かれる。光ファイバ・ケーブルはインプリント・システムからの光を学素子5372、5374に運ぶ。光学素子5372、5374は光の波長に基づいて光を様々な角度で分散させるように構成される。例えば、光学素子5372、5374は(例えば、分光光度計の一部である)回折格子又はプリズムである。別の場合には、光学素子5372、5374は色収差を示すレンズである。そのような実施形態の利点は光学システムの一部分がインプリント・システムから分離されていることである。このことによってインプリント・システムの寸法を最小に保つことが可能となる。
テンプレートのアライメント・マーク5410と基板のアライメント・マーク5420との間の整列の決定に用いられる散乱計測ツールの構成の代替実施形態を図54に示す。2つの光源が、図示のようなアライメント・マークまで導かれる2つの入射光ビーム5430、5435を発生する。入射光ビーム5430、5435はテンプレート(又は基板)の平面に対して実質的には垂直ではない方向に導かれる。入射光ビーム5430、5435は、白色光源又は複数の波長の光を発生することのできる他の任意の光源から生成される。入射光ビーム5430、5435はビーム・スプリッタ5492、5494をそれぞれ通される。
光源からの光がアライメント・マークに入射すると、この光は図54に示すように散乱する。図54に示すように、入射光ビーム5430と入射光ビーム5435に沿って光源に再反射された光はゼロ次である。1次光は入射角とは異なる角度に沿って回折格子から反射する。図54に示すように、光線5440は入射光ビーム5430の+1次に沿って発生した光を表す。光線5450は入射光ビーム5440の+1を表す。−1次のビームは示していない。+1次を示したが、他の次数の光(例えば、n次。nは1以上)を使用できるこを理解すべきである。
アライメント・マークから反射した光はビーム・スプリッタ5492、5494によって光ファイバ・ケーブル5476、5478にそれぞれ導かれる。光ファイバ・ケーブルはインプリント・システムからの光を光学素子5472、5474に送る。光学素子5472、5474は光をその光の波長に基づいて様々な角度で分散するように構成される。例えば、光学素子5472、5474は(例えば、分光光度計の一部である)回折格子又はプリズムである。別の場合には、光学素子5472、5474は色収差を示すレンズである。
ビーム・スプリッタ5492、5494は反射光の一部を通過させる。ビーム・スプリッタを通るその光の一部が光検出器5462、5464を用いて解析される。光検出器を用いてビーム・スプリッタ5492、5494を通過するすべての光の全体的強度が決定される。光の全体的強度に関するデータを用いてテンプレートと基板のアライメントが決定される。一実施形態では、アラインメントが、n次(例えば、+1)反射光の分光光度計解析によって決定された誤差測定値及び光強度測定値の平均として決定される。
上記実施形態の任意のものを様々な構成のために結合できることを理解すべきである。さらに、テンプレートと基板のアライメント・マークのアラインメントを決定するのに用いられる光の特性には光の強度及び光の偏光を含むことを理解すべきである。
インプリント・リソグラフィ・プロセスのすべての実施形態では、液体が基板上に分配される。以下の説明は基板上に液体を分配させることに向けられたものであるが、テンプレート上に液体を分配させるときにも同じ液体分配技術が使用されることを理解すべきである。液体分配は入念に制御されるプロセスである。一般に、液体分配は所定量の液体が基板上の適切な場所内に分配されるように制御される。さらに、液体の量も制御される。液体の適切な量と液体の適切な場所の組み合わせは、本明細書に記載の液体分配システムを用いて制御される。特に、ステップ・アンド・リピート・プロセスは液体の量と液体の配置の組み合わせを用いてパターン化を特定のフィールドに限定する。
種々の液体分配パターンが用いられる。いくつかの実施形態では、吐出ベースの液体ディスペンサ・チップとインプリント部材との間の相対的動作を用いてインプリント部材の一部の上に実質的に連続的なラインを有するパターンが形成される。分配と相対的動作の釣合い速度を用いてラインの断面の寸法とラインの形状が制御される。分配プロセス中、ディスペンサ・チップは基板に近接(すなわち、約数10μ)して固定される。連続的なパターンの2つの例を図32A、32Bに示す。図32A、32Bに示したパターンは正弦パターンであるが、他のパターンも可能である。図32A、32Bに示すように、連続したライン・パターンは単一のディスペンサ・チップ2401又は複数のディスペンサ・チップ2402のいずれかを用いて描かれる。別の場合には、図32Cに示すように液滴のパターンが用いられる。一実施形態では、周囲の液滴よりも中央の液滴が大きい液滴のパターンが使用される。テンプレートが液滴と接触するとき、液体は広がって図32Cに示すようにテンプレートのパターニング領域を充填する。
分配速度Vdとインプリント部材の相対的側方速度VSは次式の関係になる:
Vd=Vd/td(分配量/分配時間間隔) (1)
VS=L/td(ラインの長さ/分配時間間隔) (2)
Vd=aL(「a」はライン・パターンの断面積である) (3)
故に、
Vd=aVS (4)
最初のライン・パターンンの幅は通常ディスペンサの先端の寸法に左右される。このディスペンサのチップは固定される。一実施形態では、液体分配制御器を用いて分配される液体の量(Vd)と液体を分配するのに要する時間(td)が制御される。Vdとtdが固定されている場合、ラインの長さを長くすれば、パターン化されるラインの断面の高さはより低くなる。パターンの長さの増大は周期的なパターンの空間周波数を増大させることによって行うことができる。パターンの長さがより小さくなると、インプリント・プロセス中に分配される液体の量は増大する。同じ分配ラインに接続される複数のチップを用いることによって、単一のディスペンサ・チップの場合に比して、長さの長いライン・パターンがより速く形成される。別の場合には、複数の近接して離間した液滴を用いて正確な量でラインが形成される。
液体の硬化が完了した後、テンプレートが硬化した液体から分離される。テンプレートと基板はほぼ完全に平行であるため、テンプレート、転写層、基板の3つの組立体はテンプレートと硬化した液体との間に実質的に均一の接触をもたらす。このようなシステムは硬化した液体からテンプレートを分離すために大きな分離力を必要とするであろう。可撓性のテンプレート又は基板の場合、一実施形態では分離は「剥離プロセス」を用いて行われる。しかし、可撓性のテンプレート又は基板の使用は高分解能オーバーレイ・アライメントには望ましくないであろう。石英テンプレートやケイ素基板の場合、剥離プロセスは実施が困難であるであろう。一実施形態では、転写層からテンプレートを分離するために「剥離及び引っ張り」プロセスが行われる。剥離及び引っ張りプロセスの一実施形態を図33A、33B、33Cに示す。
図33Aは硬化後に硬化させた層40内に埋められているテンプレート12を示す。物質40を硬化させた後、図33Bに示すように、テンプレート12又は基板20のいずれかを傾けてテンプレート12と基板20との間に角度3604を意図的に形成させる。テンプレート又は基板のいずれかに結合された事前較正ステージを用いてテンプレートと硬化させた層40との間を傾かせる。テンプレート12と基板20との間の相対的な横への動きは、チルト軸がテンプレート‐基板境界に近接して位置しているときは問題ない。テンプレート12と基板20との間の角度3604が十分大きくなると、テンプレート12はZ軸動き(すなわち、垂直動き)のみを用いて基板20から分離させることができる。この剥離及び引っ張り法の結果として、望ましくない剪断が起きることなく転写層18と基板20に無傷のままの所望のフィーチャ44を得ることができる。
上記実施形態に加え、本明細書に記載の実施形態は電界を用いてパターン化された構造体を形成する工程を含む。硬化層内にパターンを誘導するために電界を用いて形成される硬化層を、単一のインプリント・プロセス又はステップ・アンド・リピート・プロセスに用いることができる。
図34はテンプレート1200と基板1202の一実施形態を示す。一実施形態では、テンプレート1200は、活性化光への曝露によって活性化光硬化液を硬化させることができるように活性化光に対して透過性の材料から形成される。透過性材料でテンプレート1200を形成すれば、従来の光学技術を使用してテンプレート1200と基板1202との間の空隙を測定し、かつオーバーレイ・マークを測定して構造体の形成中にオーバーレイ・アラインメントと倍率補正を実行することも可能となる。テンプレート1200は熱的かつ機械的に安定しており、ナノ分解能でパターンを形成できる。テンプレート1200はテンプレート−基板の境界に電界を発生させるように導電性の材料及び/又は層1204を含む。
一実施形態では、溶融石英のブランクがテンプレート1200のベース1206の材料として用いられる。インジウム・スズ酸化物(ITO)がベース1206上に堆積させられる。ITOは可視光とUV光に対して透過性であり、導電性材料である。ITOは高分解能電子ビーム・リソグラフィを用いてパターン化できる。先に述べたように、テンプレートと重合された組成物との間の解放特性を向上するために、低表面エネルギーのコーティングがテンプレート上に被覆される。基板1202はSi、GaAs、SiGeC、InPなどの標準的なウエハ材料からなる。UV硬化液及び/又は熱硬化液が活性化光硬化液1208として用いられる。一実施形態では、活性化光硬化液1208はウエハ1210上にスピン・コーティングされる。別の実施形態では、本明細書に記載のように、所定の量の活性化光硬化液1208が基板上に所定のパターンで分配される。いくつかの実施形態では、転写層1212がウエハ1210と活性化光硬化液1208との間に設けられる。転写層1212の材料特性と厚さは、低アスペクト比構造体から高アスペクト比の構造体までが硬化した液体材料に形成できるように選択される。ITOを電圧源1214に接続することによりテンプレート1200と基板1202との間に電界が発生する。
図35A〜D及び図36A〜Cに上記プロセスの2つの実施形態を示す。各実施形態とも、所望の均一な空隙をテンプレートと基板との間に維持する。所望の大きさの電界を印可すれば、その結果として活性化光硬化液1208がテンプレート1200の隆起部1216に向かって引き付けられる。図35A〜Dでは、空隙とフィールドの大きさは、活性化光硬化液1208がテンプレート1200に直接接触し、付着する程度である。硬化剤(例えば、活性化光1218及び/又は熱)を用いて液体が硬化される。所望の構造体が形成されると、テンプレート1200を本明細書に記載したような方法によって基板1202から分離させる。
図36A〜Cでは、空隙とフィールドの大きさは活性化光硬化液1208がテンプレート1200のトポグラフィと実質的に同じになるように選択される。このトポグラフィはテンプレートに直接接触させずに得ることができる。硬化剤(例えば、活性化光1218)を用いて液体が硬化される図35A〜D及び図36A〜Cの実施形態では、次のエッチング・プロセスを用いて硬化した材料1220が除去される。図35A〜Dや図36A〜Cに示したように転写層1212が硬化材料1220とウエハ1210との間に存在する場合、さらなるエッチングを用いてもよい。
別の実施形態では、図37Aは非導電性ベース1502に結合された導電性部分1504の連続層を含んだ導電性テンプレートを示す。図37Bに示すように、テンプレートの非導電性部分1502は導電性部分1504によって相互に分離されている。このテンプレートは上記のような「ポジ型」インプリント・プロセスに使用される。
電界を使用すれば、ある場合には約1秒未満の時間で、リソグラフィ・パターン化構造体を形成することが可能となる。この構造体は一般に数十ナノメートルの寸法の有する。一実施形態では、電界の存在下で活性化光硬化液を硬化させることによって、基板上にパターン化された層を形成させる。このパターンは特定のナノメートル規模のトポグラフィを有するテンプレートを、基板上にある硬化液の薄層の表面から制御された距離(例えば、ナノメートル以内)に置くことによって形成される。所望の構造体の全部又は一部が規則的に反復しているパターン(点の配列など)の場合、テンプレート上のパターンは所望の反復される構造体の寸法よりも著しく大きい。
パターンのテンプレート上への複製はテンプレートと基板との間に電界を印加することによって行うことができる。液体と空気(又は真空)は異なる誘電率を有し、かつ電界はテンプレートのトポグラフィの存在のために局所的に変化するので、液体の領域をテンプレートに向かって引き付ける静電力が発生される。表面張力又は毛管圧は膜を安定させ易い。高電界強度では、活性化光硬化液がテンプレートに付着させられ、かつある点で基板からディウェットさせられる。しかし液膜の付着は、無次元数Λにより測定される静電力の割合が毛管力に匹敵する場合に生じるであろう。静電力の大きさはほぼεE2d2であり、ここでεは真空の誘電率、Eは電界の大きさ、dはフィーチャ・サイズである。毛管力の大きさはほぼγdであり、ここでγは液体―気体表面張力である。これら2つの力の比はΛ=εE2d/γである。境界を変形させてそれを上面に付着させるためには、電界はLがほぼ均一である必要がある。正確な値はプレートのトポグラフィの詳細及び液体−気体誘電率及び高さ比に左右されるが、この数は0(1)となろう。したがって、電界はE〜(γ/εd)1/2によってほぼ与えられる。この活性化光硬化液は組成の重合によって適所で硬化される。テンプレートは重合した組成からのテンプレートの分離を支援するために、低エネルギー自己組織化単分子膜(例えば、フッ素化境界活性剤)を用いて処理される。
上記近似値の一例を次に示す。d=100nm、γ=30mJ/m、ε=8.85×10−12C2/J−mの場合、E=1.8×108V/mとなり、これは極板間隔が100nmの場合に穏かな18Vである極板と極板間隔が1000nmの場合に180Vである極板との間の電位差に相当する。フィーチャ・サイズd〜γ/εE2は、フィーチャ・サイズは電界の二乗に比例して小さくなることを意味することに留意されたい。したがって、50nmのフィーチャの場合、100及び1000nmのプレート間隔については約25乃至250ボルトが必要となろう。
テンプレートの表面とは接触されない活性化光硬化液内にパターンを形成するように、電界、テンプレートのトポグラフィのデザイン、及び液体表面へのテンプレートの近接性を制御することが可能となるであろう。この技術によって重合した組成からテンプレートを機械的に分離しなくて済むであろう。この技術はまたパターンに欠陥が生じる原因を取り除くであろう。しかし、接触がない場合、液体は接触した場合に定められるのと同じぐらいのシャープで高分解能の構造体を形成しない。これはまず、活性化光効果液内に所定の電界で部分的に定められた構造体を形成することによって解決される。次に、テンプレートと基板との間の空隙を大きくする一方、同時に電界の大きさを増大させて、接触させることなく明確に定められた構造体を形成するために、液体を「引き延ばす」。
活性化光硬化液は先に記載したような転写層の上面に堆積させられる。そのような2層プロセスは、電界を用いて形成された低アスペクト比、高分解能の構造体を形成し、次にエッチング・プロセスによって高アスペクト比、高分解能の構造体を形成できる。リフトオフの後に元から形成されていた構造体のトレンチ領域内に金属が残されるように、基板上に金属を堆積させる「金属リフトオフ・プロセス」を実施するために、そのような2層プロセスを用いてもよい。
低粘度の活性化光硬化液を用いると、電界を用いたパターン形成が高速(例えば、1秒未満)になり、構造体は迅速に硬化される。基板と活性化光硬化液の温度変化を回避すれば、ナノ分解能の層対層アラインメントを実施不可能にする望ましくないパターンの変形が回避される。また、上記のように、テンプレートと接触させることなくパターンを素早く形成することが可能となるので、直接接触を必要とするインプリント方法に生じる欠陥が除去される。
本明細書では、特定の米国特許及び米国特許出願を参照によって組み入れている。しかし、そのような米国特許及び米国特許出願の文は、そのような文と本明細書に記載の他の記載及び図面との間で矛盾が生じないような程度に、参照によって組み入れただけである。そのような矛盾がある場合、そのような参照により組み入れた米国特許及び米国特許出願において矛盾する文がある場合には本明細書には参照によって特定的に組み入れない。
本発明を種々の例示的実施形態を参照して記載してきたが、その記載は限定的意味合いで解釈されることを意図したものではない。本発明の例示的実施形態のほか他の実施形態の種々の変形及び組み合わせは、本明細書を参照すれば当業者には明白となろう。したがって、添付の特許請求の範囲はそのような任意の変形及び組み合わせを包含するものと意図される。