JP2007171309A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁束を発生させるコイル部25と、磁束によって発熱する発熱部材23と、発熱部材23の表裏面をコイル部25が挟さむようにコイル部25を保持する保持部材40と、を備える。そして、保持部材40は、その一部又は全部がコイル部25に生じる熱を放散する放熱部からなる。
【選択図】図5
Description
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
一般的な画像形成装置は、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。ここで、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれる。また、同一サイズ(例えば、A4サイズである。)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向である。)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
このような問題は、発熱部材の表裏面に対向するようにコイル部を配設した場合に、特に顕著にあらわれる可能性が高い。
このような問題は、支持ローラ等の発熱部材の表裏面に対向するようにコイル部を配設した場合に、特に顕著にあらわれる可能性が高い。すなわち、支持ローラの表面(外周面)側に対向するコイル部はその周囲が比較的開放されるために放熱が容易であるが、支持ローラの裏面(内周面)側に対向するコイル部はその周囲が包囲されるために(閉空間が形成されるために)放熱が難しくなる。
すなわち、発熱部材の過昇温を防止するためにキューリー点を有する材料(自己温度制御が可能な材料である。)を発熱部材に用いた場合、コイル部を発熱部材の片面のみに対向させて配設したときに比べて、発熱部材の表裏面(両面)を挟むようにコイル部を配設したときの方が、発熱部材における自己温度制御の能力が高まる。そして、発熱部材に対するコイル部の位置が変動しないように保持部材で位置決めをおこなうことで、高い発熱効率を安定的に維持できる。さらに、保持部材に放熱部を設けることで、コイル部の温度上昇を低減することができる。
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は画像情報に基づいたレーザ光を発する露光部(書込み部)、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、50Y、50M、50C、50BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、51は各プロセスカートリッジ50Y、50M、50C、50BKにそれぞれ収納された感光体ドラム、52は感光体ドラム51上を帯電する帯電部、53は感光体ドラム51上に形成される静電潜像を現像する現像部、54は感光体ドラム51上に形成されたトナー像を中間転写ベルト57に転写する転写バイアスローラ、55は感光体ドラム51上の未転写トナーを回収するクリーニング部、56Y、56M、56C、56BKは各現像部53に各色のトナーを補給するトナー補給部、を示す。
各プロセスカートリッジ50Y、50M、50C、50BKにおける感光体ドラム51上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成がおこなわれる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部71の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部75のコンタクトガラス73上に載置される。そして、原稿読込部75で、コンタクトガラス73上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
露光部2において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。レーザ光は、ポリゴンミラー3に入射して反射した後に、レンズ4、5を透過する。レンズ4、5を透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム51表面は、それぞれ、中間転写ベルト57との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、中間転写ベルト57の内周面に当接するように転写バイアスローラ54が設置されている。そして、転写バイアスローラ54の位置で、中間転写ベルト57上に、感光体ドラム51上に形成された各色の画像が、順次転写される(第1転写工程である。)。
その後、感光体ドラム51表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム51における一連の作像プロセスが終了する。
その後、中間転写ベルト57表面は、中間転写ベルトクリーニング部59の位置に達する。そして、中間転写ベルト57上の未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部59に回収されて、中間転写ベルト57上の一連の転写プロセスが完了する。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部61から、給紙ローラ62により給送された転写紙Pが、搬送ガイド63を通過した後に、レジストローラ64に導かれる。レジストローラ64に達した記録媒体Pは、中間転写ベルト57上のトナー像とタイミングを合わせて、第2転写バイアスローラ58の位置に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、主として、定着補助ローラ21、定着ベルト22、支持ローラ23、誘導加熱部(誘導加熱ユニット)24、加圧ローラ30、等で構成される。
なお、本実施の形態1では、支持ローラ23を発熱層のみの構成としたが、支持ローラ23の発熱層上に補強層、弾性層、断熱層等を設けることもできる。
定着ベルト22は、基材上に弾性層、離型層が順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材は、絶縁性の耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、フッ素樹脂等を用いることができる。基材の層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜200μmに形成されている。
定着ベルト22の離型層は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、これらの樹脂の混合物、又は、これらの樹脂を耐熱性樹脂に分散させたものである。離型層の層厚は、5〜50μm(好ましくは、10〜30μmである。)に形成されている。これにより、定着ベルト22上のトナー離型性が担保されるとともに、定着ベルト22の柔軟性が確保される。
ここで、コイル部25は、複数のU字状部材25a〜25cからなり、支持ローラ23の表裏面(内周面及び外周面である。)を挟むように配設された励磁コイルである。図5を参照して、複数のU字状部材25a〜25cは、それぞれ、互いに絶縁された複数の単線を束ねた縒り線構造体であって、支持ローラ23の幅方向に平行に延設されている。U字状部材25a〜25c(コイル部25)の外周は、絶縁材料からなる被覆層(保護層)で被覆されている。
詳しくは、保持部材40の第1保持部40aは、中空構造でループ状(U字状)に形成されていて、その内部にコイル部25(複数のU字状部材25a〜25c)が保持されている(図5を参照できる。)。保持部材40の第2保持部40bは、第1保持部40aと一体的に形成されていて、支持ローラ23の内周面に当接して支持ローラ23を回転自在に保持する(図3及び図4を参照できる。)。このような保持部材40の構成によって、支持ローラ23に対するコイル部25の位置決めがされることになる。
具体的に、本実施の形態1では、保持部材40(第1保持部40a及び第2保持部40b)が、耐熱性を有する高熱伝導性材料で形成されている。そして、この高熱伝導性材料の熱伝導率が、コイル部25を被覆する被覆層(主として樹脂材料で形成されている。)の熱伝導率よりも高くなるように設定されている。これによって、コイル部25に生じる熱は、放熱部として機能する保持部材40によって積極的に放散されることになる。
なお、保持部材40を形成する高熱伝導性材料として、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素や、PPS樹脂(ポリフェニレンスルフィド)、ガラスフィラーを含有するPPS樹脂、PEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン)、PAI樹脂(ポリアミドイミド樹脂)、PI樹脂(ポリイミド)、フッ素樹脂等のエンジニアプラスチック、スーパーエンジニアプラスチック等を用いることもできる。
さらに、放熱部としての保持部材40は、少なくともその一部が支持ローラ23によって包囲されないように配設されている。本実施の形態1では、第1保持部40aの外周面側(支持ローラ23の外周面に対向する側である。)と、保持部材40の両端部と、が支持ローラ23に包囲されずに外部に露呈している。これによって、放熱領域が充分に確保されて、保持部材40によるコイル部25に対する放熱性を高めることができる。
このとき、保持部材40によって保持されたコネクタ41(コイル部25の両先端に接続されている。)は、幅方向の奥側(図4の右側である。)に固設された高周波電源部49のコネクタ部に接続される。これによって、高周波電源部49からコイル部25への通電が可能になる。
図6(A)に示すように、本実施の形態1では、3つのU字状部材25a〜25cのそれぞれの両端子が、独立して2つのコネクタ41に配置されている。具体的には、一方のコネクタ41には、第1のU字状部材25aの一方の端子41a1、第2のU字状部材25bの一方の端子41b1、第3のU字状部材25cの一方の端子41c1が配設されている。他方のコネクタ41には、第1のU字状部材25aの他方の端子41a2、第2のU字状部材25bの他方の端子41b2、第3のU字状部材25cの他方の端子41c2が配設されている。
具体的に、図6(B)を参照して、保持部材40に保持されたコネクタ41には、2つの入出力端子41a1、41c2が設置されている。2つの入出力端子は、それぞれ、第1のU字状部材25aの一方の端子41a2、第3のU字状部材25cの他方の端子41c2である。そして、この2つの入出力端子41a1、41c2が、高周波電源部49の2つの端子49a、49cに接続される。また、コネクタ41内において、第2のU字状部材25bの一方の端子41b1と第1のU字状部材25aの他方の端子41a2とが接続され、第3のU字状部材25cの一方の端子41c1と第2のU字状部材25bの他方の端子41b2とが接続されている。これによって、高周波電源部49に接続されたコイル部25に、交流電流の流路が1つ形成される。こうして、1つの交流電源を用いて、3つのU字状部材25a〜25cによる効率のよい交番磁界の形成が可能になる。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着部材としての定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、発熱部材(加熱部材)としての支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、支持ローラ23の位置で加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板(不図示である。)に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23の温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23が磁性を失うために、表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23におけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
図4(A)は、定着装置20に装着された状態の誘導加熱部24を幅方向にみた概略断面図である。図4(B)は、定着装置20から脱離(又は装着)する状態の誘導加熱部24を幅方向にみた概略断面図である。
また、側板47と支持ローラ23との間にはスペーサ48が設置されている。これにより、支持ローラ23の定着装置20における幅方向の位置が定まる。
また、コイル部25を保持して支持ローラ23に対する位置を定める保持部材40とともに、コイル部25をユニット化している。これにより、支持ローラ23に対する高い加熱効率が安定的に維持されるとともに、定着装置20の組付性及びメンテナンス性が向上する。
さらに、保持部材40を高熱伝導性材料で形成して、保持部材40の全部を放熱部としている。これにより、コイル部25の温度上昇が軽減されて、定着装置20の電力消費の損失を少なくすることができる。
図7及び図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置の一部を示す断面図であって、前記実施の形態1における図5に相当する図である。図8は、誘導加熱部を幅方向にみた断面図であって、前記実施の形態1における図4(A)に相当する図である。本実施の形態2の定着装置は、保持部材40に断熱部40bが設けられている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
具体的に、保持部材40の第1保持部40aは、高熱伝導性材料(前記実施の形態1と同様の材料である。)で形成されている。そして、保持部材40の第2保持部40bは、耐熱性を有する断熱材料で形成されている。これにより、第1保持部40aが放熱部として機能して、第2保持部40bが断熱部として機能することになる。
図9及び図10にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図9は、実施の形態3における定着装置の一部を示す断面図であって、前記実施の形態2における図7に相当する図である。図10は、誘導加熱部を幅方向にみた断面図であって、前記実施の形態2における図8に相当する図である。本実施の形態3の定着装置は、保持部材40の構成が、前記実施の形態2のものとは相違する。
本実施の形態3では、保持部材40の第1保持部40aは、その一部がループ状に形成されていてコイル部25を保持するとともに、支持ローラ23の内周面に当接して支持ローラ23を回転自在に保持している。第1保持部40aは、耐熱性を有する断熱材料で形成されていて、断熱部として機能する。
保持部材40の第2保持部40bは、内周面側のコイル部25を第1保持部40aとともに保持する。第2保持部40bは、高熱伝導性材料(前記実施の形態1と同様の材料である。)で形成されていて、放熱部として機能する。
図11及び図12にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図11は、実施の形態4における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。図12は、定着ベルト22を示す部分拡大断面図である。本実施の形態4の定着装置は、コイル部25が支持ローラ23及び定着ベルト22の表裏面に対向するように配設されている点が、コイル部25が支持ローラ23の表裏面にのみ対向するように配設されている前記実施の形態1のものとは相違する。
図12(A)に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に発熱層22b、弾性層22c、離型層22dが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、絶縁性の耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等を用いることができる。基材22aの層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜200μmに形成されている。
ここで、発熱層22bの材料として、ニッケル、ステンレス鋼等の磁性導電性材料を用いることができる。本実施の形態4では、発熱層22bの材料として、キューリー点が定着可能温度以上であって300℃以下となる整磁合金を用いている。具体的には、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とを調整することで所望のキューリー点を得ることができる。このように、キューリー点が定着ベルト22の定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層22bを形成することで、発熱層22bは電磁誘導によって過昇温されることなく加熱されることになる。これについては、後で図15〜図17を用いて詳しく説明する。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22dの間に、プライマ層等を設けることもできる。
図12(B)の定着ベルト22は、発熱層22b、弾性層22c、離型層22dからなる。ここで、発熱層22bは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の樹脂材料に、磁性導電性粒子を分散したものを用いることもできる。その場合、樹脂材料に対して磁性導電性粒子を20〜90重量%の範囲内で添加する。具体的には、ワニス状態の樹脂材料中に、ロールミル、サンドミル、遠心脱泡装置等の分散装置を用いて磁性導電性粒子を分散する。これを溶剤により適当な粘度に調整して、金型により所望の層厚に成形する。
図12(D)の定着ベルト22は、基材22a上に複数の発熱層22bを備えた弾性層22cを形成して、さらに表面層として離型層22dを形成している。
これらの定着ベルト22を用いた場合にも、後述する本実施の形態4の効果と同様の効果を得ることができる。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図11中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、コイル部25との対向位置で加熱される。
すなわち、誘導加熱ユニット24によって加熱された支持ローラ23及び発熱層22bの温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23及び発熱層22bが磁性を失うために、表面近傍での渦電流の発生が制限される。これにより、支持ローラ23及び発熱層22bにおけるジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
図13にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図13は、実施の形態5における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。本実施の形態5の定着装置は、コイル部25が定着ベルト22の表裏面にのみ対向するように配設されている点が、コイル部25が支持ローラ23の表裏面にのみ対向するように配設されている前記実施の形態1のものとは相違する。
図14にて、この発明の実施の形態6について詳細に説明する。
図14は、実施の形態6における定着装置を示す断面図であって、前記実施の形態1の図2に相当する図である。本実施の形態6の定着装置は、発熱部材として定着ローラ31を用いている点が、発熱部材として支持ローラ23を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
定着ローラ31は、キューリー点が定着可能温度以上であって300℃以下となる整磁合金からなる発熱層31b、シリコーンゴム等からなる弾性層31a、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。
本実施の形態6においても、定着ローラ31の発熱層31bの温度がキューリー点を超えた場合には、前記実施の形態1と同様に、発熱層31bの加熱が効率よく制限されることになる。
図15〜図17にて、前記各実施の形態で述べた効果を確認するための実験例について説明する。
図15(A)及び図15(B)は、実験装置を示す概略図である。図15(A)の実験装置は、発熱層33を有するテストピース(前記各実施の形態の発熱部材に相当するものである。)の表裏面にループ状のコイル部25を対向させたものである(前記各実施の形態における定着装置の構成である。)。図15(B)の実験装置は、発熱層33を有するテストピースの片面のみにコイル部25を対向させたものである(従来の定着装置の構成である。)。
図16は図15(A)の実験装置を用いたときの実験結果であり、図17は図15(B)の実験装置を用いたときの実験結果である。
これに対して、図17(A)より、励磁周波数を36kHzにすると、厚さが0.8mm以上の導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。同様に、図17(B)より、励磁周波数を130kHzにすると、厚さが0.3mm以上の導電層34を設けなければ、発熱層33の過昇温を防止できないことがわかる。このように、コイル部25を発熱部材(発熱層33)の主面に対向させる場合には、主面の反対側に非磁性・低抵抗率の導電層を設ける必要がある。このことは、特開2003−215956号公報等にある記載内容にも一致するものである。
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(定着部材)、
23 支持ローラ(発熱部材、加熱部材)、
24 誘導加熱部(誘導加熱ユニット)、
25 コイル部、 25a〜25c U字状部材、
30 加圧ローラ、 31 定着ローラ(発熱部材、定着部材)、
33 発熱層、 34 導電層、
40 保持部材、
40a 第1保持部、 40b 第2保持部、
41 コネクタ、 47 側板、 48 スペーサ、
49 高周波電源部。
Claims (19)
- トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
磁束を発生させるコイル部と、
前記磁束によって発熱する発熱部材と、
前記発熱部材の表裏面を前記コイル部が挟さむように当該コイル部を保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材は、その一部又は全部が前記コイル部に生じる熱を放散する放熱部からなることを特徴とする定着装置。 - 前記放熱部は、高熱伝導性材料で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記放熱部を形成する前記高熱伝導性材料は、その熱伝導率が前記コイル部を被覆する被覆層の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 前記放熱部を形成する前記高熱伝導性材料は、非磁性金属であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
- 前記放熱部は、ヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記放熱部は、その幅方向の範囲が前記発熱部材の幅方向の範囲を含むように形成されるとともに、少なくともその一部が前記発熱部材によって包囲されないように配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記保持部材は、その一部が前記コイル部に入力する熱を遮断する断熱部からなることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記コイル部は、ループ状に形成され、
前記発熱部材は、前記コイル部のループ内に挟入されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。 - 前記コイル部に交番電流を印加することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、キューリー点が300℃以下になるように形成された発熱層を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱層は、整磁合金からなることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、周状に張架された定着ベルトであって、
前記コイル部は、前記定着ベルトの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項12に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトは、支持ローラと定着補助ローラとに張架され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項13に記載の定着装置。 - 前記コイル部は、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項14に記載の定着装置。
- 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであって、
前記コイル部は、前記定着ローラの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項12に記載の定着装置。 - 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
前記コイル部は、前記定着ベルトの外周面に対向するとともに、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項17に記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項18のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (2)
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