JP6269030B2 - 定着部材、定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、定着部材、定着装置、及び画像形成装置に関する。
近年、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置はフルカラー化の傾向にあり、その割合は徐々に高まりつつある。通常、電子写真方式のカラー画像形成装置は、記録媒体上に4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のトナー像からなるカラー画像を形成する画像形成部と、形成されたトナー像を記録媒体上に定着させる定着装置とを備えている。定着装置は、記録媒体上のトナー像を加熱する加熱手段と、トナー像を記録媒体上に定着させる定着部材と、定着部材と定着ニップを形成する加圧部材とを備え、記録媒体が定着ニップを通過する際に、トナー像を加熱、加圧して記録媒体上に定着させる。
定着部材としては、ベルト形状又はローラ形状のものが知られており、基材となる金属ローラ又は樹脂製のシームレスベルトの上に、耐熱性ゴムなどからなる弾性層を設けたもの、および弾性層の上にさらに離型層を設けたものなどが用いられている。一般に、ローラ形状の定着部材には、加熱手段をローラ内部に組み込んで一体化したもの(加熱定着ローラ)が使用されており、また、ベルト形状の定着部材にもベルトが掛け回されたローラ内部には加熱手段が組み込まれているものがよく知られている。
定着部材は、フルカラーの多色トナー像(通常、4色のトナー像)を均一に加熱するため、トナー像に対して柔軟に密着し、効率よく熱を伝えることが必要となる。そこで、定着部材には、柔軟性と耐熱性を兼ね備えたシリコーンゴムを使用することが多い。しかし、シリコーンゴム自身は熱伝導性が低く、トナー像への熱伝導速度が遅くなる場合がある。
トナー像への熱伝導が遅くなると、定着部材表面をトナー像の定着温度まで加熱するのに多くの時間が必要となり、高速機の場合には、熱の供給が間に合わなくなる。また、画像形成装置の立ち上がり速度が遅くなってしまうこともある。なお、定着装置の定着部材の温度上昇に対する立ち上がり速度が、電源投入時における画像形成装置全体の立ち上がりの律速になっていることが多い。
上記問題を解決する方法として、シリコーンゴムに炭素繊維を配合することで弾性層の熱伝導性を向上させ、且つ、シリコーンゴムに空孔部を設けることで弾性層の熱容量を低減させて、画像形成装置の立ち上がり時間を短縮させる方法が開示されている(特許文献1〜4)。特許文献1〜4の方法は高熱拡散に有効であり、定着部材の厚さを薄くしたり、定着ベルト径や定着ローラ径を小径にすることで、画像形成装置の立ち上がり時間を更に短縮させることが可能である。しかし、薄膜で小径の定着部材は蓄熱量が少ないため、ニップ部での熱供給が間に合わなければ定着部材表面の熱量が不足して、定着性能の低下を招くことになる。実際、薄膜で小径の定着部材を装着した高速機は立ち上がり速度が速いものの、連続通紙で画像に光沢ムラや定着不良が発生しており、定着部材表面の熱量不足に起因する画像不良が問題になっている。
定着部材表面の熱量不足を解決する方法としては、例えば、定着ローラの表層に高熱伝導層を設け、定着ローラを外部から加熱する方法が開示されている(特許文献5〜6)。特許文献5〜6の定着ローラは低熱伝導層と高熱伝導層を組み合わせた構造となっており、高熱伝導層により熱拡散を高めている。しかし、高熱伝導層はソリッドシリコーンゴムまたはフッ素樹脂に熱伝導フィラーを添加しているため、定着ローラの柔軟性が低く、トナー像への追従性低下に起因する光沢ムラが発生する問題がある。
以上のように、高速立ち上げが可能で、且つ、定着性能に優れる定着部材は提供できていない。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、高速立ち上げが可能であって、画像不良の発生を抑制することができる定着部材、定着装置、及び画像形成装置を提供することにある。
本発明は以下に記載する通りの定着部材、定着装置、及び画像形成装置に係るものである。
<1>トナーの定着に用いられる定着部材であって、前記定着部材が、基材と、該基材の外周に設けられた第1の弾性層と、該第1の弾性層の外周に設けられた第2の弾性層と、該第2の弾性層の外周に設けられた離型層とを備えており、該第1の弾性層は熱伝導性フィラーとマイクロバルーンとを含有するシリコーンゴム組成物から成り、且つ、該第2の弾性層は熱伝導性フィラーとマイクロバルーンとを含有するシリコーンゴム組成物から成り、且つ、前記第1と第2の弾性層中のシリコーンゴムに対する熱伝導性フィラーの各々の含有量が、第1の弾性層よりも第2の弾性層の方が多く、前記第1の弾性層における熱伝導性フィラーは針状熱伝導性フィラーであり、前記第2の弾性層における熱伝導性フィラーは針状熱伝導性フィラー及び球状熱伝導性フィラーからなるものであることを特徴とする定着部材。
<2>前記第2の弾性層の厚さが、前記第1の弾性層の厚さの半分以下であることを特徴とする前記<1>に記載の定着部材。
<3>前記針状熱伝導性フィラーが炭素繊維であり、前記球状熱伝導性フィラーが球状黒鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選択される1種以上であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の定着部材。
<4>前記<1>乃至<3>のいずれかに記載の定着部材を備えたことを特徴とする定着装置。
<5>前記<4>に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、高速立ち上げが可能であって、画像不良の発生を抑制することができる定着部材、定着装置、及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の定着部材の1例の断面図である。 本発明の前記定着部材の拡大図である。 本発明の定着装置(ベルト方式)の1例の概略図である。 本発明の画像形成装置の1例の概略図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、変更、改良などをすることができる。
<定着部材>
図1は、本発明の実施形態の1つの定着部材の構成を示す断面図である。なお、図1の定着部材は、ローラ、ベルト、シート等、どのような形状でもよい。図1に示す定着部材1は、基材2と、基材2の外周に設けられた第1の弾性層3と、第1の弾性層3の外周に設けられた第2の弾性層4と、第2の弾性層4の外周に設けられた離型層5とを備えている。定着部材の各層の間には必要に応じてプライマー層を設けてもよい。
図2は、図1における定着部材例の微細構造を拡大して説明する図である。第1の弾性層3は、シリコーンゴム6aと針状熱伝導性フィラー7aとマイクロバルーン8aとから構成されるシリコーンゴム組成物である。第2の弾性層4は、シリコーンゴム6bと針状熱伝導性フィラー7bとマイクロバルーン8bと球状熱伝導性フィラー9とから構成されるシリコーンゴム組成物である。
(シリコーンゴム)
シリコーンゴム6としては、オルガノシロキサン構造を有するゴムであれば特に限定されずに用いることができる。シリコーンゴムとしては、例えば、KE−1950−30(信越化学工業)、DY35−2083(東レ・ダウコーニング)等が挙げられる。シリコーンゴムの中でも付加型液状シリコーンゴムは90〜140℃程度の温度で硬化し、加工性に優れるため好ましい。
(熱伝導性フィラー)
熱伝導性フィラーとしては、シリコーンゴム6よりも高い熱伝導率を示すフィラーであれば特に限定されずに用いることができる。フィラー形状は球状、粒状、多面体、アスペクト比(長さ/直径)2.5以上の針状が好ましい。
(針状熱伝導性フィラー)
針状熱伝導性フィラー7としては、例えば、炭素繊維、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ等が挙げられる。なお、針状とはアスペクト比2.5以上の細長い形状を指す。
針状熱伝導性フィラーの中でも炭素繊維は軽量で、熱伝導性に優れるため好ましい。炭素繊維としては、プリカーサー(炭素繊維の原料を繊維化したもの)を炭素化して得られるものを用いることができる。
炭素繊維には製造条件によってピッチ系炭素繊維とPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維とがある。ピッチ系炭素繊維としては、例えば、GRANOC(R)XN−100−05M、XN−100−15M(日本グラファイトファイバー)、ダイアリード(R)K223QM、K6361M、K223HM(三菱樹脂)、ドナカーボ・ミドルS−2404、S−249、S−241、SG−249(大阪ガスケミカル)等が挙げられる。 PAN系炭素繊維としては、例えば、トレカ(R)ミルドファイバーMLD−30、MLD−300、MLD−1000(東レ)、パイロフィル(R)チョップドファイバー(三菱レイヨン)などが挙げられる。ピッチ系炭素繊維はPAN系炭素繊維よりも熱伝導性に優れるため好ましい。
また、炭素繊維としては、繊維径500nm以下のカーボンナノファイバーやアスペクト比の大きいカーボンナノチューブを用いることもできる。
本発明における弾性層中に含ませた針状熱伝導性フィラーは、低熱容量化のためのマイクロバルーン周囲の弾性層中で相互接触部分が熱伝導のパスとなる。
このような針状熱伝導性フィラーは、平均繊維長1μm〜500μmのものが好ましい。異常に短繊維であると熱伝導向上に寄与しないことがある。また、長すぎると柔軟性や表面平滑性の低下を招くことがある。
(球状熱伝導性フィラー)
前記球状熱伝導性フィラー9としては、例えば、球状黒鉛、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、アルミナ、金属珪素等が挙げられる。なお、球状とはアスペクト比1.0〜1.5の丸い形状を指す。
球状熱伝導性フィラーの中でも球状黒鉛は軽量で、熱伝導性に優れるため好ましい。球状黒鉛としては、例えば、WF−15C(中越黒鉛工業所)、SG−BH8(伊藤黒鉛工業)、SG−BH(伊藤黒鉛工業)、SG−BL30(伊藤黒鉛工業)、SG−BL40(伊藤黒鉛工業)等が挙げられる。
また、窒化アルミニウムや窒化ホウ素も熱伝導性に優れるため好ましい。窒化アルミニウムとしては、例えば、フィラー用窒化アルミニウム粉末(トクヤマ)、FAN−f30、FAN−f50(古河電子)、JCG(東洋アルミニウム)等が挙げられる。窒化ホウ素としては、例えば、ショウビーエヌ(R)UHP−EX(昭和電工)が挙げられる。
球状熱伝導性フィラーを添加することで、弾性層の柔軟性を低下させることなく熱伝導性を向上させることができる。
このような球状熱伝導性フィラーは、平均粒径が0.1μm〜50μmのものが好ましい。粒径が小さすぎると熱伝導向上に寄与しないことがある。また、大きすぎると柔軟性や表面平滑性の低下を招くことがある。
熱伝導性フィラーの添加量は、シリコーンゴム100重量部に対して好ましくは1〜60重量部、更に好ましくは5〜50重量部の範囲である。添加量が1重量部未満の場合には熱伝導性の向上が見られない。また、添加量が60重量部を超える場合には成型した定着部材の強度や柔軟性や表面平滑性の低下を招くため好ましくない。
針状熱伝導性フィラーと球状熱伝導性フィラーを併用すると、針状熱伝導性フィラー単独の場合よりも添加による柔軟性の低下が抑えられる。また、球状熱伝導性フィラー単独の場合よりも熱伝導性が高い。よって、定着部材の表層側を針状熱伝導性フィラーと球状熱伝導性フィラーを併用した構造にすると、高熱拡散で、且つ、トナー像への追従性が良くなる。
針状熱伝導性フィラーと球状熱伝導性フィラーとを併用する場合の混合比は、針状熱伝導性フィラー:球状熱伝導性フィラーが10:1〜10:10であることが好ましく、10:1〜10:6であることがより好ましい。
更に、第2の弾性層中の針状熱伝導性フィラーと球状熱伝導性フィラーの総含有量が、第1の弾性層中の針状熱伝導性フィラーの含有量よりも多い場合、より表層側にある第2の弾性層は高熱拡散、高蓄熱の状態となり、ニップ部で十分な熱供給が行えるようになるため好ましい。
(マイクロバルーン)
マイクロバルーン8としては、直径5〜300μmの中空体であれば特に限定されずに用いることができる。マイクロバルーンには外殻成分によってプラスチックバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーンなどがある。マイクロバルーンとしては、例えば、マツモトマイクロスフェアー(R)F−30、F−36、F−50、F−55、F−80SDE、FN−80SDE、F−65DE、F−80DE(松本油脂製薬)、エクスパンセル(R)053−40、031−40、551DE40d42、920DE40d30、EMC40(B)(日本フィライト)等が挙げられる。マイクロバルーンの中でもプラスチックバルーンは弾性が高く、軽量であるため好ましい。プラスチックバルーンは熱膨張性であり、弾性層を加熱成型する際に膨張して空孔部を形成することができる。
また、未膨張のプラスチックバルーンを膨張させて既膨張プラスチックバルーンとした後に配合することもできる。既膨張プラスチックバルーンは膨張が完了しているので成型工程で体積や形状が変化しにくく、寸法精度に優れるため好ましい。
マイクロバルーンの添加量は、シリコーンゴム100重量部に対して好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.5〜3重量部の範囲である。添加量が0.1重量部未満の場合には熱容量の低減が見られない。また、添加量が5重量部を超える場合には成型した定着部材の強度や表面平滑性の低下を招くため好ましくない。
(その余の弾性層組成物用原料)
弾性層の組成物は、シリコーンゴムに炭素繊維とマイクロバルーンとを混合/混錬分散して調製することができる。なお、弾性層には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じて、公知の架橋剤、充填剤、導電剤、ゴム及びプラスチック材料用劣化防止剤、耐熱剤等の添加剤を任意に添加することができる。
(弾性層の形成)
弾性層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、弾性層の組成物をブレード塗装、ダイ塗装、ディップ塗装などで塗布し、その後、熱や電子線などで硬化する方法が挙げられる。
弾性層全体の厚さは、好ましくは0.05〜4mm、更に好ましくは0.1〜2mmの範囲である。厚さが0.05mm未満の場合には十分な定着ニップ幅を形成できないことがある。また、厚さが4mmを超える場合には熱伝導性の低下や熱容量の増大を招き、画像形成装置の高速化や立ち上がりの迅速性に影響することがある。
第2の弾性層の厚さは第1の弾性層の厚さの半分以下であることが好ましい。これにより、定着部材の高熱拡散と柔軟性の両立を可能にすることができる。
(基材)
基材2としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂等の樹脂、これらの樹脂に磁性導電性粒子を分散したもの、ニッケル、ステンレス、鉄、アルミニウム、銅等の金属、これら金属の合金などを用いることができる。
基材の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、基材の材料を金型成型する方法が挙げられる。
基材の厚さは、好ましくは20〜500μm、更に好ましくは40〜150μmの範囲である。厚さが20μm未満の場合には強度低下を招くことがある。また、厚さが500μmを超える場合には熱容量の増大を招き、画像形成装置の高速化や立ち上がりの迅速性に影響することがある。
(離型層)
離型層5としては、フッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂としては、例えば、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアアルキアルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。PTFEとしては、例えば、ルブロンL−5、L−2(ダイキン工業)、MP1100、MP1200、MP1300、TLP10F−1(三井・デュポンフロロケミカル)等が挙げられる。FEPとしては、例えば、532−8000(デュポン)が挙げられる。PFAとしては、例えば、AC−5600、AC−5539(ダイキン工業)、MP−102、MP−103、MP−300、350−J、451HP−J、950HP−Plus(三井・デュポンフロロケミカル)等が挙げられる。PFA・FEPとしては、例えば、SMT(グンゼ)が挙げられる。フッ素樹脂は比較的融点の低いもの(好ましくは250〜300℃)が加工性に優れるため好ましい。
また、離型層としては、フロロシリコーンゴムを用いることもできる。
離型層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、離型層の材料をチューブ状にしたものを弾性層に被せる方法、湿式スプレー塗装や粉体塗装した後に焼き付ける方法などが挙げられる。
離型層の厚さは、好ましくは0.5〜50μm、更に好ましくは1〜30μmの範囲である。厚さが0.5μm未満の場合には離型層の耐久性が劣り、また定着部材表面を十分平滑にすることが難しくなる。一方、厚さが50μmを超える場合には画像追従性の低下や伝熱抵抗の増大を招くことがあり好ましくない。
<定着装置>
図3は、本発明の実施形態の1つの定着装置(ベルト方式)例の構成を示す概略図である。同図において、ベルト方式定着装置20は、本発明の定着部材である定着ベルト21、加圧ローラ22から構成されている。定着ベルト21には、加熱手段であるハロゲンランプ等のヒータ23、反射板24、加圧用のパッド25、温度センサー26が配置されている。加圧ローラ22は、定着ベルト21に圧接されており、記録媒体Pが通過してトナー像Tが定着されるニップ部を形成している。定着ベルト21は、基材である芯金の表面に弾性層と離型層を順次設けてあり、図1、図2における定着部材と同じ構造である。加圧ローラ22は、基材である芯金の表面に耐熱性ゴムで形成された弾性層と離型層を順次設けてある。
本発明の定着装置は、本発明に係る定着部材を採用しているので、高速立ち上げが可能であって、画像不良の発生を抑制することができる。
<画像形成装置>
図4は、本発明の実施形態の1つの画像形成装置例の構成を示す概略図である。同図において、画像形成装置30は、トナー像を形成して記録媒体に転写する画像形成部と、記録媒体に転写された画像を定着させる定着装置とを有している。
画像形成部は、静電潜像が形成される像担持体31、像担持体31に接触して帯電処理を行う帯電ローラ32、レーザービーム等の露光装置33、像担持体31上に形成された静電潜像にトナーを付着させる現像ローラ34、帯電ローラ32にDC電圧を印加するための電源35、像担持体31上のトナー像を記録媒体Pに転写処理する転写ローラ36、転写処理後の像担持体31をクリーニングするためのクリーニング装置37、像担持体31の表面電位を測定する表面電位計38等を備えている。定着装置39は、本発明に係る定着装置であり、定着ベルト40および加圧ローラ41から構成されている。
この実施形態例の画像形成装置30では、回転する像担持体31の感光層を帯電ローラ32にて一様に帯電させた後に、レーザービーム等の露光装置33で露光して静電潜像を形成し、この静電潜像に現像ローラ34によってトナーを付着させて現像し、トナー像として記録媒体P上に転写する。そして、転写されたトナー像を有する記録媒体Pを定着ベルト40および加圧ローラ41からなる定着装置39のニップ部で圧接し、記録媒体P上に付着しているトナー像を定着ベルト40の熱により軟化させつつ加圧して記録媒体P上に定着させ、排紙部へと排紙するように構成されている。この場合は、定着ベルト40として、本発明の定着部材が好適に用いられる。
本発明の画像形成装置は、本発明に係る定着装置を採用しているので、高速立ち上げが可能であって、画像不良の発生を抑制することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[定着部材の作製]
A−1工程:円筒状のステンレス基材(直径30mm、厚み40μm)上にシリコーン用プライマーを塗布して乾燥させた。
B−1工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE40d30)1.5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物1−1を調製した。次に、A−1工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物1−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み150μmの第1の弾性層を形成した。
C−1工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、球状黒鉛(中越黒鉛工業所製、WF−15C)10重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE40d30)1.5重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物1−2を調製した。次に、B−1工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物1−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−1工程:C−1工程で形成した第2の弾性層上にシリコーン用プライマーを塗布して、フッ素樹脂チューブ(三井・デュポンフロロケミカル製、350−J)をかぶせ、300℃で10分間加熱して、厚み15μmの離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
以上の様にして製作した定着部材を画像形成装置(リコー製、imagio MP C5002)の定着装置に装着し、電源をONにしてからコピー開始可能になるまでの立ち上がり時間を測定した。続いて、ベタ画像500枚をA4縦で両面通紙し、光沢ムラを目視によりランク付けして判定した。試験紙としてはリコー製、フルカラーPPC用紙 タイプ6000<90W>を使用した。
[実施例2]
[定着部材の作製]
A−2工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−2工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE80d30)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物2−1を調製した。次に、A−2工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物2−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−2工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)45重量部、球状黒鉛(中越黒鉛工業所製、WF−15C)15重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)551DE40d42)1.2重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物2−2を調製した。次に、B−2工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物2−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−2工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−2工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[実施例3]
[定着部材の作製]
A−3工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−3工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)F−65DE)1.5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物3−1を調製した。次に、A−3工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物3−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−3工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、球状黒鉛(伊藤黒鉛工業製、SG−BH8)20重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)FN−80SDE)1.2重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物3−2を調製した。次に、B−3工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物3−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み50μmの第2の弾性層を形成した。
D−3工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−3工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[実施例4]
[定着部材の作製]
A−4工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−4工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(三菱樹脂製、ダイアリード(R)K223HM、平均繊維長50μm)40重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)F−80DE)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物4−1を調製した。次に、A−4工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物4−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−4工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(三菱樹脂製、ダイアリード(R)K223HM、平均繊維長50μm)40重量部、球状黒鉛(伊藤黒鉛工業製、SG−BL30)10重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)FN−80SDE)1.0重量部、ドデカン5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物4−2を調製した。次に、B−4工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物4−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−4工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−4工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[実施例5]
[定着部材の作製]
A−5工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−5工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(三菱樹脂製、ダイアリード(R)K223HM、平均繊維長50μm)40重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)F−65DE)1.5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物5−1を調製した。次に、A−5工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物5−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−5工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(三菱樹脂製、ダイアリード(R)K223HM、平均繊維長50μm)40重量部、窒化アルミニウム(古河電子製、FAN−f30、球状)5重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)FN−80SDE)1.5重量部、ドデカン5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物5−2を調製した。次に、B−5工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物5−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み50μmの第2の弾性層を形成した。
D−5工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−5工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[実施例6]
[定着部材の作製]
A−6工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−6工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)35重量部、カーボンナノファイバー(昭和電工製、VGCF(R)−H)5重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)F−65DE)1.0重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物6−1を調製した。次に、A−6工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物6−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−6工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)35重量部、カーボンナノファイバー(昭和電工製、VGCF(R)−H)5重量部、窒化アルミニウム(東洋アルミニウム製、JCG)5重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)FN−80SDE)1.0重量部、ドデカン15重量部を分散し、シリコーンゴム組成物6−2を調製した。次に、B−6工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物6−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−6工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−6工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[実施例7]
[定着部材の作製]
A−7工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−7工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)35重量部、カーボンナノファイバー(昭和電工製、VGCF(R)−H)5重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)F−65DE)1.0重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物7−1を調製した。次に、A−7工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物7−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−7工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)35重量部、カーボンナノファイバー(昭和電工製、VGCF(R)−H)5重量部、窒化ホウ素(昭和電工製、ショウビーエヌ(R)UHP−EX)5重量部、マイクロバルーン(松本油脂製薬製、マツモトマイクロスフェアー(R)FN−80SDE)1.0重量部、ドデカン15重量部を分散し、シリコーンゴム組成物7−2を調製した。次に、B−7工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物7−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−7工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−7工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、本発明の定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[比較例1]
[定着部材の作製]
A−6工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−6工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE40d30)1.5重量部を分散し、シリコーンゴム組成物6−1を調製した。次に、A−6工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物6−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み250μmの第1の弾性層を形成した。
D−6工程:実施例1のD−1工程と同様にして、B−6工程で形成した第1の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、弾性層が1層である定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[比較例2]
[定着部材の作製]
A−7工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−7工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE80d30)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物7−1を調製した。次に、A−7工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物7−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−7工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)60重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)551DE40d42)1.2重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物7−2を調製した。次に、B−7工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物7−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−7工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−7工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、第2の弾性層中に球状熱伝導性フィラーが添加されていない定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[比較例3]
[定着部材の作製]
A−8工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−8工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)60重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE80d30)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物8−1を調製した。次に、A−8工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物8−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−8工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)30重量部、球状黒鉛(中越黒鉛工業所製、WF−15C)10重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)551DE40d42)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物8−2を調製した。次に、B−8工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物8−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−8工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−8工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、第2の弾性層中の熱伝導性フィラーの総含有量が、第1の弾性層中の熱伝導性フィラーの含有量よりも少ない定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
[比較例4]
[定着部材の作製]
A−9工程:実施例1のA−1工程と同様にして、基材を形成した。
B−9工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、炭素繊維(日本グラファイトファイバー製、GRANOC(R)XN−100−05M)40重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)920DE80d30)1.2重量部を分散し、シリコーンゴム組成物9−1を調製した。次に、A−9工程で形成した基材上に、上記シリコーンゴム組成物9−1を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み200μmの第1の弾性層を形成した。
C−9工程:シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング製、DY35−2083)100重量部、球状黒鉛(中越黒鉛工業所製、WF−15C)50重量部、マイクロバルーン(日本フィライト製、エクスパンセル(R)551DE40d42)1.2重量部、ドデカン10重量部を分散し、シリコーンゴム組成物9−2を調製した。次に、B−9工程で形成した第1の弾性層上に、上記シリコーンゴム組成物9−2を塗布し、120℃で30分間加熱硬化させ、厚み100μmの第2の弾性層を形成した。
D−9工程:実施例1のD−1工程と同様にして、C−9工程で形成した第2の弾性層上に離型層を形成した。
以上の様にして、第2の弾性層中に針状熱伝導性フィラーが添加されていない定着部材を作製した。
[評価]
実施例1と同様にして、定着部材を画像形成装置に装着し、立ち上がり時間と光沢ムラを評価した。
実施例1〜7比較例1〜4の定着部材の弾性層の構成を表1に、また評価結果を表2に示す。
Figure 0006269030
Figure 0006269030
評価基準を以下に示す。
<立ち上がり時間>
ランク1:立ち上がり時間が既製品よりも長い。判定×
ランク2:立ち上がり時間が既製品よりも短い(未満)。判定○
<光沢ムラ>
ランク1:ひどい光沢ムラがあり、異常画像である。判定×
ランク2:光沢ムラがあり、異常画像である。判定×
ランク3:光沢ムラが認められるが、許容レベルである(異常画像ではない)。判定○
ランク4:光沢ムラなし。判定○
以上より、実施例1の定着部材は、より表層側にある第2の弾性層が高熱拡散、高蓄熱、柔軟な構造になっているため、立ち上がり速度が速く、且つ、ベタ画像の光沢ムラの発生を抑制できた。また、実施例2〜7の定着部材は、第2の弾性層の厚さが第1の弾性層の厚さの半分以下で、より柔軟な構造になっているため、ベタ画像の光沢ムラが発生しなかった。
一方、比較例1の定着部材は、高蓄熱の構造になっていないため、熱量不足に起因する光沢ムラが発生した。また、比較例2の定着部材は、第2の弾性層の柔軟性が低い構造であるため、追従性の低下に起因する光沢ムラが発生した。また、比較例3の定着部材は、第2の弾性層が熱拡散しにくい構造であるため、立ち上がり速度が遅く、熱量不足に起因する光沢ムラが発生した。また、比較例4の定着部材は、第2の弾性層が熱拡散しにくい構造であるため、立ち上がり速度が遅く、熱量不足に起因する光沢ムラが発生した。
このことから、本発明に係わる定着部材は高速立ち上げが可能であって、画像不良の発生を抑制できることが確認された。
1 定着部材
2 基材
3 第1の弾性層
4 第2の弾性層
5 離型層
6a,b シリコーンゴム
7a,b 針状熱伝導性フィラー
8a,b マイクロバルーン
9 球状熱伝導性フィラー
20 ベルト方式定着装置
21 定着ベルト(定着部材)
22 加圧ローラ
23 ヒータ
24 反射板
25 加圧パッド
26 温度センサー
30 画像形成装置
31 像担持体
32 帯電ローラ
33 露光装置
34 現像装置
35 電源
36 転写ローラ
37 クリーニング装置
38 表面電位計
39 定着装置
40 定着ベルト
41 加圧ローラ
特許第5072381号公報 特開2008−197585号公報 特開2009−092826号公報 特許第4988633号公報 特開2008−268469号公報 特許第5013700号公報

Claims (5)

  1. トナーの定着に用いられる定着部材であって、
    前記定着部材が、基材と、該基材の外周に設けられた第1の弾性層と、該第1の弾性層の外周に設けられた第2の弾性層と、該第2の弾性層の外周に設けられた離型層とを備えており、
    該第1の弾性層は、針状熱伝導性フィラーとマイクロバルーンとを含有するシリコーンゴム組成物から成り
    第2の弾性層は、針状熱伝導性フィラーと球状熱伝導性フィラーとマイクロバルーンとを含有するシリコーンゴム組成物から成り
    前記第2の弾性層中の前記針状熱伝導性フィラー及び前記球状熱伝導性フィラーの総含有量が、前記第1の弾性層中の前記針状熱伝導性フィラーよりも多いことで、前記第2の弾性層は、前記第1の弾性層より熱拡散性及び蓄熱性が高く、
    前記第2の弾性層は、前記球状熱伝導性フィラーを含むことで、前記第1の弾性層より柔軟性が高いことを特徴とする定着部材。
  2. 前記第2の弾性層の厚さが、前記第1の弾性層の厚さの半分以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記針状熱伝導性フィラーが炭素繊維であり、前記球状熱伝導性フィラーが球状黒鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の定着部材を備えたことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項4に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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