JP2014134696A - 電子写真定着用定着部材、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体上に、弾性層、最表面離型層が積層された電子写真定着用定着部材であって、
前記弾性層は、連続層であり、かつ最表面離型層側に繊維状のフィラーが偏在したものであることを特徴とする電子写真定着用定着部材。
【選択図】図1
Description
しかし、離型層が固いため、弾性層と離型層との変形量の差が大きくなり、離型層の剥がれが生じ易く、剥がれ防止のためには弾性層を薄くして変形量を小さくする必要があり、定着加熱時の表面追従性が十分でない。
特許文献4の特開2010−066509号公報には、フッ素樹脂を含む表層に接するプライマー層にフッ素樹脂及び無機フィラーを含有させ、該無機フィラーの粒度分布を所望の範囲にした定着ベルトが開示されている。
また、特許文献5の特開2009−103882号公報には、離型層と弾性層とを接着する接着剤層に、熱伝導性が高い熱伝導異方性を有するフィラーを加圧ローラ長手方向に並べた加圧ローラが開示されている。
また、特許文献6の特開2007−179009号公報には、弾性層と離型層との間にフラーレン、CNT等の炭素クラスターを含むフッ素樹脂の中間層を設けた定着部材が開示されている。
これらの定着部材は、定着部材は弾性層と、中間層または離型層との固さの差が大きいため、厚紙を用いると、厚紙の端部での変形による応力が弾性層との接着部(界面)に集中し、中間層や離型層の塑性変形や、弾性層と中間層や離型層との剥離が生じ易い。
しかし、離型層が摩耗すると表面に炭素繊維が露出し易く、離型性が低下してしまう。
すなわち、上記課題は本発明の下記(1)〜(8)によって解決される。
(1)「基体上に、弾性層、最表面離型層が積層された電子写真定着用定着部材であって、
前記弾性層は、連続層であり、かつ最表面離型層側に繊維状のフィラーが偏在したものであることを特徴とする電子写真定着用定着部」、
(2)「前記繊維状のフィラーは、炭素繊維であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真定着用定着部材」、
(3)「前記炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維であることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真定着用定着部材」、
(4)「前記繊維状のフィラーは、ガラス繊維であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真定着用定着部材」、
(5)「前記弾性層の弾性材料が、シリコーンゴムであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材」、
(6)「前記最表面離型層は、フッ素系高分子材料を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材」、
(7)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材を有することを特徴とする電子写真用定着装置」、
(8)「現像装置と定着装置とを有し、被定着媒体上に形成したトナー像を定着させる画像形成装置であって、前記定着装置が前記第(7)項に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置」、
本発明の電子写真定着用定着部材の構成例の概略図を図1に、また表面近傍の概略図を図2に示す。本発明の電子写真定着用定着部材は、基体1上に、弾性層2、最表面離型層4が積層されたものであり、前記弾性層は、連続層であり、かつ、最表面離型層側に繊維状のフィラー3が偏在したものである。
本発明において「連続層」とは、フィラーを除く弾性材料部分が同一組成であることを意味する。
そして、最表面離型層4やプライマー層5は、塑性変形し易い材料で形成されることが多く、加えてフィラーを含有するために弾力性が低く、厚紙端部の段差によって局所的に大きな応力を受けて塑性変形してしまい、定着部材表面に筋・溝が発生して定着時に異常画像が生じてしまう。
加えて、最表面離型層4や、弾性層2と最表面離型層4との間に設けられるプライマー層5は、塑性変形し易い材料で形成されるが、上記のように、局所的な応力を受けても弾性層に局所的な変形が生じないため、最表面離型層4及びプライマー層5が弾性層2の変形に追従でき、最表面離型層4及びプライマー層5の変形・剥離が防止され、異常画像の発生が防止される。
本発明の弾性層は、弾性材料として合成ゴムを主成分とし、最表面離型層側に繊維状のフィラー3を有するものであり、必要に応じて充填剤等の汎用の添加材を含有してもよい。
前記合成ゴムとしては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられ、これらは2種以上を混合してもよいが、シリコーンゴムであることが好ましい。
最表面離型層は、定着用定着部材に離型性・耐摩耗性を付与するものであり、主成分としてフッ素系高分子材料により形成される。ここで主成分とは、フッ素系高分子材料の特性が十分に発揮される割合で含まれることを意味する。
具体的には、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアアルキアルビニルエーテル共重合体(PFA)の微粉末やチューブが挙げられる。
テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)としては、MP−10、MP102、(三井デュポンフロロケミカル)が挙げられ、MP103、MP300(三井デュポンフロロケミカル)、AC-5600、AC5539 (ダイキン工業)は、特にMFR(メルトフローレート)が小さく、流動性の低く好ましく使用できる。
基体としては、ベルトまたはローラを使用することができ、ベルトである場合には、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂、又はニッケルやステンレス等の金属からなるシームレスベルトが好ましく用いられる。 また、ローラである場合には、例えば、アルミニウム、ステンレススチール、真鍮などの金属からなるパイプが好ましく用いられる。
本発明の定着用定着部材は、必要に応じて、基体と弾性層との間、及び/または弾性層と最表面離型層との間に層間の接着性を高めるプライマー層を設けることができる。
本発明の定着装置の一例を図5に示す。定着装置は、内部にヒータ11を有する定着用定着部材10、加圧ローラ14を有し、該加圧ローラは加圧機構15により定着用定着部材10に圧接する。
前記定着用定着部材と加圧ローラ14との間にトナー像12が乗った被定着媒体13を通すことで定着を行う。
本発明の画像形成装置の一例を図6に示す。感光体20はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。感光体の周りには、帯電装置、画像露光装置23、現像装置21、転写装置26、クリーニング装置24が配置される。
感光体20を帯電し、画像露光装置23で静電潜像を形成し、現像装置21によりトナー像を形成する。感光体20上に現像されたトナー像12は、転写装置26により被定着媒体13に転写され、本発明の定着装置27により定着されて画像が形成される。
未硬化付加型液状シリコーン(DY35−2083)を、アルミニウムの中空芯金(リブ付き厚さ0.4mm)にプライマーを介し、塗布した。この芯金を横にし、ゆっくり回転させ、硬化前のシリコーンゴムに対し、ピッチ系炭素繊維(日本グラファイトファイバー:XN−100、繊維長50μm)の粉体を圧縮空気で巻き上げて、シリコーンゴムの表面に付着させ、そのまま20分ほど回転させて、表面に炭素繊維をなじませてから、120℃、30minで加熱し、厚さ500μmの弾性層を形成した。
なお、炭素繊維の配合量は、プロセスごとに重さを量り、付着繊維量を推定した。
その外側にプライマー層を付けた厚さ10μmのPFA樹脂チューブを接着し、200℃4hで二次加硫し、[定着用定着部材1]を形成した。
実施例1において、ピッチ系炭素繊維をピッチ系炭素繊維(日本グラファイトファイバー:XN−100、繊維長150μm)に代える他は実施例1と同様にして[定着用定着部材2]を形成した。
実施例1において、ピッチ系炭素繊維をピッチ系炭素繊維(日本グラファイトファイバー:XN−100、繊維長250μm)に代える他は実施例1と同様にして[定着用定着部材3]を形成した。
実施例1において、ピッチ系炭素繊維をPAN系炭素繊維(東レ:トレカミルドファイバーMLD−300、繊維長130μm)に代える他は実施例1と同様にして[定着用定着部材4]を形成した。
実施例1において、ピッチ系炭素繊維をガラス繊維(旭ファイバーガラス:MLD−300、繊維長100μm)に代える他は実施例1と同様にして[定着用定着部材5]を形成した。
実施例1において、ピッチ系炭素繊維を加えない他は実施例1と同様にして[定着用定着部材6]を形成した。
○プライマー層に無機フィラーを添加
無機フィラー(アルミナ:住友化学社製AA−2:形状は球形、最大径Mの平均は2μm)を、超音波分散を用いてデモールN(花王社製、無機フィラー分散剤)を含有する水中に分散させ、得られた分散液をデュポン社製のプライマー855N−023に配合し、撹拌機で撹拌してプライマー液を得た。 (無機フィラーのプライマー樹脂に対する配合量30Vol%)
比較例1と同様に、シリコーンゴム層(弾性層)を形成し、ゴムを1次焼成後、前記のプライマー液に浸漬して引き揚げ(ディッピング法)、基材の外周面にプライマー液を塗布した。
その後、100℃で30分間加熱してプライマー液を固体化し、基材の外周に厚さ3μmのプライマー層を形成した。その外側に厚さ10μmのPFA樹脂チューブを接着し、200℃4hで二次加硫し[定着用定着部材7]を形成した。
繊維状フィラーの配合量は、芯金とプライマーの重さを予め測定したものと、シリコーンゴム塗布後の重さの差をシリコーンゴムの重さとし、同様に繊維を付着させたものから、シリコーンゴムを付着させた芯金の重さを引き、繊維の重さとした。
配合量は、シリコーンゴムを100と換算し、例えば、実施例1では、シリコーンゴムの重さ100に対し、炭素繊維の重さが21の比となり、弾性層では、21/(100+21)の重量比で炭素繊維が入っていることとなる。しかし、当然のことながら、炭素繊維の付着させた工法上、炭素繊維は、表面に付着しており、単に弾性層全体に対する重量比という意味合いである。
通紙後の段差測定は、紙端部5mmの部分をキーエンスVK9500レーザー顕微鏡により、谷のピーク深さを測定した。
実際に膜になったものを想定する深さに対し、その変形し難さである硬さ測定をマルテンス硬さ試験(ISO 14577)により評価した。
具体的には、温度25℃の環境下で、フィッシャースコープH100Cを用い、最表面から5μmの部分で行った。
この設定は、今回の実施例が10μmの最表面離型層を形成したためその膜を突き破らない設定である。
なお、今回最表面離型層として用いたPFAチューブ(30μm品)は、5μmでの硬さは、6.7N/mm2であり、また、弾性体として用いたシリコーンゴム(東レ製:DY35−2083、厚さ100μm)の5μmでの硬さは、0.35 N/mm2であった。
紙端部温度上昇差は、紙端部を中心として、内外両側10mmの部分のニップ出口部分に熱電対を設け、通紙開始後10分後の温度差を測定した。
印刷用紙エッジ部摩擦摩耗に起因した定着部材表層の傷による異常画像の有無を測定した。
1:画像定着性を著しく阻害し部分的に定着不良が認められる。
2:摩耗跡に起因する光沢差があり異常画像である。
3:摩耗跡に起因する光沢差が認められるが許容レベル
4:異常なし
比較例1、2では、画像評価ランクが異常画像レベルである。これは、段差測定の値と対応している。このように、通紙により厚紙での異常画像発生することがわかる。
それに対し、実施例1〜5は、段差が非常に小さく、その結果、画像評価ランクにも異常画像が現れていない。
マルテンス硬さの結果は、従来例が図3に示される形になっており、本発明が図4に示される形になっていることに対応する。マルテンス硬さは、プローブの単位接触面積に対する力の大きさで表せるため、実施例のものは、繊維状フィラーにより、変形しにくくなっていることが分かる。上からの力を繊維が受ける形になるために変形するための力が大きくなっている。
また、弾性層と繊維状フィラーは一体であるため、例えば、特許文献6(特開2009−103882号公報)のような例では、接着界面から剥がれる場合があるのに対して、応力が分散されるため破壊されにくい。
さらに、副次的な効果として、実施例1〜3のような高熱伝導のピッチ系炭素繊維を用いた場合、紙端部での温度上昇も抑えられている。
2 弾性層
3 繊維状のフィラー
4 最表面離型層
5 プライマー層(中間層)
6 被定着媒体
10 定着用定着部材
11 ヒータ
12 トナー像
13 被定着媒体
14 加圧ローラ
15 加圧機構
20 感光体
21 現像装置
22 帯電装置
23 露光装置
24 クリーニング装置
25 除電装置
26 転写装置
27 定着装置
Claims (8)
- 基体上に、弾性層、最表面離型層が積層された電子写真定着用定着部材であって、
前記弾性層は、連続層であり、かつ最表面離型層側に繊維状のフィラーが偏在したものであることを特徴とする電子写真定着用定着部材。 - 前記繊維状のフィラーは、炭素繊維であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真定着用定着部材。
- 前記炭素繊維は、ピッチ系炭素繊維であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真定着用定着部材。
- 前記繊維状のフィラーは、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真定着用定着部材。
- 前記弾性層の弾性材料が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材。
- 前記最表面離型層は、フッ素系高分子材料を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真定着用定着部材を有することを特徴とする電子写真用定着装置。
- 現像装置と定着装置とを有し、被定着媒体上に形成したトナー像を定着させる画像形成装置であって、前記定着装置が請求項7に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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