JP2010066509A - 定着用ベルト - Google Patents

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晋吾 中島
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潤 菅原
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晃 溝口
Yoshimasa Suzuki
良昌 鈴木
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Abstract

【課題】環状や円柱状の基材と表層を有し、さらに基材と表層の間にプライマー層が設けられた構造の定着用ベルトであって、表層の離型性(オフセット防止)に優れるとともに、耐摩耗性にも優れる定着用ベルトを提供する。
【解決手段】チューブ状基材、最外層に設けられる表層、及び前記チューブ状基材と表層間に、表面に接して設けられるプライマー層を有し、前記プライマー層は、樹脂に、前記樹脂に対し5〜50体積%の無機フィラーを分散してなり、表層の厚みをX、前記無機フィラーを構成する各粒子の平面投影図の最大径をM、最小径をNとしたとき、前記無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であり、かつ2.0<M/Nの粒子数の割合が10%未満であることを特徴とする定着用ベルト。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像形成装置において、記録紙等の上に転写されたトナー画像を加熱して定着するために用いられる定着用ベルトに関する。
電子写真複写機、ファクシミリ、レーザービームプリンター等の画像形成装置において、その印刷・複写の最終段階では、加熱源を内部に設けた定着用ベルト、すなわち定着スリーブ又は定着ローラ等と、加圧ローラとを圧接させ、その間にトナー画像が転写された被転写物を通過させ、未定着のトナーを加熱溶融させる熱定着方式が一般的に行われている。
ここで使用される定着用ベルトには、優れた定着性を得るための弾性や熱伝導性、耐久性や耐摩耗性に優れる等の機械的強度、オフセット(二重転写)等を防止し綺麗な画像を形成するためのトナーとの優れた離型性、等が求められている。
これら様々な要請を満たすものとして、環状や円柱状の基材と、離型性、耐摩耗性等が優れる樹脂層(表層)を有し、さらに基材と表層の間にプライマー層が設けられた構造の定着ベルトが提案されている。そして、表層としては、弾性、離型性、耐摩耗性が優れるフッ素樹脂、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のコーティング層が広く使用されており、環状や円柱状の基材としては、金属チューブやポリイミド等の耐熱性プラスチックのチューブが広く使用されている。又、表層やプライマー層等を複合材料で構成する方法や、各種の改質剤を配合する方法等、その特性をより好ましくするための種々の提案がなされている。
例えば、特開平7−186162号公報(特許文献1)には、カーボン粉末1〜40重量%を含むプライマー層を有する定着チューブ(定着用ベルト)が開示されている。このプライマー層は、トップコート(表層)であるフッ素樹脂膜と基材であるポリイミドチューブを接着するための接着層としての役割と導電層としての役割を持ち、機械的強度の向上と、導電性付与によるオフセット防止が図られている。
特開平7−186162号公報
しかし近年、印刷スピードの高速化に伴い、表層に求められる耐摩耗性はさらに高くなる傾向にある。また、印刷スピードの高速化に伴い、オフセットも発生しやすくなり、表層に求められる離型性もより高いものとなっている。そこで、前記のような先行技術では耐摩耗性や離型性が不十分になりつつあり、さらに優れた耐摩耗性や離型性を有する定着用ベルトの開発が望まれている。
表層の耐摩耗性を向上させるためには、表層を構成するフッ素樹脂中のPTFEの割合を高くする、表層中に耐摩耗性向上フィラーを配合する、等の方法が考えられている。しかし、PTFEはPFAより離型性が劣るため、PTFEの割合を高くするとオフセットの発生が増加しかねない。
また、表層中に耐摩耗性向上フィラーを配合すると、耐摩耗性向上フィラーによる表面粗度の悪化により離型性が低下し、オフセットの発生が増加しかねない。このように従来は、表層の離型性及び耐摩耗性をともに向上させることは困難であった。
本発明は、環状や円柱状の基材と表層を有し、さらに基材と表層の間にプライマー層が設けられた構造の定着用ベルトであって、離型性(オフセット防止)に優れるとともに、耐摩耗性にも優れる定着用ベルトを提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、表層の下支えとなるプライマー層に、酸化チタン、炭化珪素、窒化硼素、シリカ及びアルミナ等の無機フィラーであって、特定の形状を有するものを配合することにより、表層の耐摩耗性が向上することを見出した。そして、無機フィラーはプライマー層に配合され表層には配合されないので表面粗度を悪下させないこと、従って、表層の離型性(オフセット防止)に優れるとともに、耐摩耗性にも優れる定着用ベルトが得られることを見出し、本発明を完成した。即ち、前記の課題は、以下に示す構成からなる発明により解決される。
請求項1に記載の発明は、
チューブ状基材、最外層に設けられる表層、及び前記チューブ状基材と表層間に、表面に接して設けられるプライマー層を有し、
前記プライマー層は、樹脂、及び前記樹脂に対し5〜50体積%分散された無機フィラーからなり、
表層の厚みをX、前記無機フィラーを構成する各粒子の平面投影図の最大径をM、最小径をNとしたとき、前記無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であり、2.0<M/Nの粒子数の割合が10%未満であることを特徴とする定着用ベルト、である。
チューブ状基材とは、管状のベルトや円柱状、円筒状のローラ等であり、この外周上にプライマー層や表層が設けられる(図1参照)。表層は、本発明の定着用ベルトの最外層であり、プライマー層に接して設けられる。図1(b)に示されるように、チューブ状基材とプライマー層の間やプライマー層と表層の間に、さらに他の層、例えば、カラートナーの定着性を向上するための弾性層等が設けられてもよい。
プライマー層は、チューブ状基材と表層の間に、表層に接して設けられ、樹脂に無機フィラーを分散した材質からなるものである。プライマー層は、表層とチューブ状基材間(他の層が設けられるときは、当該他の層と表層の間)を接着する機能を有するとともに、本発明においては、表層の耐摩耗性を向上させる機能も有する。本発明者は、表層の下層に表層に接して設けられるプライマー層に、特定形状の無機フィラーを分散することにより、表層の耐摩耗性が向上することを見出して完成されたものである。
ここで無機フィラーとは、無機物からなる充填剤を意味し、無機物には炭素や炭素化合物は含まれない。従って、カーボンフィラー、カーボンファイバー、グラファイトフィラー、カーボンナノチューブ等は、本発明で使用する無機フィラーには含まれない。
又、特定の形状であるとは、表層の厚みをX、前記無機フィラーを構成する各粒子の平面投影図の最大径をM、最小径をNとしたとき、前記無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であり、2.0<M/Nの粒子数の割合が10%未満であることを意味する。
ここで、最大径M、最小径Nにおける径とは、無機フィラーを構成する各粒子の平面投影図を、互いに平行な2直線で挟んだとき(すなわち、粒子の平面投影図に外接するように2直線を引いたとき)の、2直線間の距離を意味する。粒子が球状の場合、(粒子投影図は円であるので)2直線間の距離は、2直線が粒子投影図のいずれの方向に向いていても変わらないが、球状でない場合、粒子投影図に対する直線の方向により2直線間の距離は変動する。最大径Mとはその2直線間の距離の中の最大の値を意味し、最小径Nとはその中の最小の値を意味する。
最大径M、最小径Nは、無機フィラー分散液の顕微鏡写真より求めることができる。具体的には、無機フィラーの顕微鏡写真を撮り、その顕微鏡写真より、10〜50程度の粒子を任意に選択し、それぞれについて最大径M、最小径Nを測定する。そして、1.5<M/Xの粒子数、2.0<M/Nの粒子数を数え、任意に選択した前記粒子数との割合を求め、本発明の条件を充足するか否かを判断する。なお、顕微鏡写真は無機フィラーが配向しない状態で撮影する必要がある。
例えば、粒子の形状が針状の場合、針状が投影平面に垂直である特別な場合を除いて、粒子の平面投影図は棒状となる。ここで、最小径Nは棒の太さであり、最大径Mは棒の長さであり、M/Nが2を超えるものの割合は10%をはるかに超えるので、本発明の範囲に該当しない。同様に、粒子の形状が鱗片状、扁平状の場合、(その厚み方向が、投影平面に平行又は平行に近い場合が一定割合で含まれるので)、粒子の平面投影図には、棒状又は棒に近い形状が一定割合で含まれ、その割合は10%以上となるので、本発明の範囲に該当しない。一方、粒子の形状が球状、球に近い丸みを帯びた形状(例えば回転楕円体)、破砕状であってもいずれの方向にも一定の大きさを有するものの場合は、粒子の平面投影図には棒状又は棒に近い形状等はほとんど含まれずM/Nが2を超えるものの割合は10%未満となるので、本発明の条件を充足する。
無機フィラーが、針状粒子、鱗片状粒子、扁平状粒子を主体とする場合(すなわち、2.0<M/Nの粒子数が10%以上の場合)、これらをプライマー層に配合しても表層の耐摩耗性を向上させることができない。その理由は明確ではないが、これらの粒子は、塗布時に、プライマー層と平行方向に配向しやすいので、表層の特性への影響が少なく、表層の耐摩耗性が向上しないとの理由が考えられる。一方、本発明の条件を満たす球状、丸み状、破砕状の粒子は、塗布時に配向しにくいので、プライマー層に接する表層の特性に影響を与え、耐摩耗性を向上する効果が奏されているとも考えられる。
なお、特開2001−3152742号公報には、フッ素樹脂表層の下部に設けられるプライマー層として、鱗片状充填剤(フィロ珪酸塩、炭化珪素フレーク、アルミナフレーク、ガラスフレーク、グラファイトフレーク、マイカ、窒化硼素)を1〜30重量%含むプライマー層が開示されており、この鱗片状充填剤の配合により分解ガスの遮蔽や吸着がされフッ素樹脂表層のピンホールや膨れが防げる、と述べられている。一方本発明では、球状に近い形状のフィラーを用いている点で、特開2001−3152742号公報に記載の技術とは全く異なるものである。
又、本発明では、プライマー層から表層を下支えする形で無機フィラーが配置されており、後述するような無機フィラーに粗大な粒子が含まれている場合や無機フィラーの配合量が多すぎる場合等の特別な場合を除いて、スリーブの最表面にフィラー添加の影響が現れないので、表層の表面粗度、離型性を損ねることなく、耐摩耗性を向上させることができる。
本発明は、前記無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であること、すなわち、表層の厚みXの1.5倍を超えるような最大径Mを有する大きな粒子の数の割合が小さいことも特徴とする。表層の厚みXの1.5倍を超える最大径Mを有する大きな粒子の数の割合が大きく、無機フィラー中の粒子数の10%以上となる場合は、表層の表面粗度を低下させる。表層の表面粗度が低下すると、表層の離型性(オフセット防止)が低下し、本発明の課題を達成することができない。
一方、無機フィラーは、最大径Mが0.1μm以下の粒子数が全粒子数の90%未満であることが好ましく、より好ましくは、最大径Mが0.1μm以下の粒子数が全粒子数の70%未満である。無機フィラーを構成する粒子が小さすぎて前記の範囲に該当しない場合は、表層の耐摩耗性に与える影響が小さくなり、本発明の効果を発揮しにくくなる場合があるので好ましくない。
本発明は、プライマー層に配合される無機フィラーの量が、プライマー層を構成する樹脂の体積に対して、5〜50体積%、好ましくは7〜35体積%の範囲で配合されることも特徴とする。配合量が前記の範囲より小さいと表層の耐摩耗性を向上させる効果が小さくなる。
一方、配合量が大きくなると、プライマー層の接着機能が低下し、表層の剥離等が生じやすくなる。又、配合量が前記の範囲の上限を超えて増大させても、耐摩耗性を向上させる効果はほとんど増大しない。さらに、表面層の表面粗度、離型性に影響を及ぼし、これらを低下させる傾向があり、又、プライマー層の機械的強度も低下する傾向があるので好ましくない。なお、樹脂の体積及び無機フィラーの体積は、それぞれの重量をそれぞれの比重で除して求めることができる。
本発明は、さらにより好ましい態様、より具体的な態様として、以下の発明を提供する。
請求項2に記載の発明は、前記プライマー層を構成する樹脂が、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の定着用ベルトである。プライマー層を構成する樹脂としては、ゴム系、レジン系、フッ素系等が挙げられるが、表層がフッ素樹脂により構成されている場合は、表層との優れた接着が得られ又表層の耐摩耗性向上効果も大きいフッ素樹脂系プライマーが好ましく用いられる。
請求項3に記載の発明は、前記表層が、フッ素樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の定着用ベルトである。表層を構成する樹脂としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴム等が挙げられるが、離型性、耐摩耗性が優れる点で、フッ素樹脂が好ましく用いられる。
請求項4に記載の発明は、前記無機フィラーが、酸化チタン、炭化珪素、窒化硼素、シリカ及びアルミナからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着用ベルトである。無機フィラーとしては、酸化チタン、炭化珪素、窒化硼素、シリカ又はアルミナが、熱伝導率が良いなどの理由により、好ましく用いられる。
請求項5に記載の発明は、前記チューブ状基材が、金属又は耐熱性プラスチックであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着用ベルトである。請求項6に記載の発明は、前記チューブ状基材が、ポリイミドであることを特徴とする請求項5に記載の定着用ベルトである。チューブ状基材を構成する材質としては、金属や機械的強度及び耐熱性に優れた樹脂を用いることができるが、中でもポリイミドが機械的強度及び耐熱性が特に優れているので好ましい。
本発明の定着用ベルトは、環状や円柱状の基材と表層を有し、さらに基材と表層の間にプライマー層が設けられた構造からなり、表層の離型性(オフセット防止)に優れるとともに、耐摩耗性にも優れる。
次に、本発明を実施するための形態、特に最良の形態につき説明するが、本発明の範囲はこの形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々の変更を加えることは可能である。
図1は、本発明の定着用ベルトの例を模式的に示す図であり、定着用ベルトの回転軸に直交する断面図である。図1中、図1(a)は、基材1、プライマー層3、表層5の3層からなる定着ローラの例である。図1(b)は、さらに、ゴム弾性層4を基材1と表層5の間に有し、ゴム弾性層4と表層5の間にプライマー層3を有するとともに、基材1とゴム弾性層4の間にもプライマー層31を有する、5層からなる、定着スリーブの例である。このような定着ローラ及び定着スリーブはいずれも本発明の定着用ベルトに含まれる。以下の説明は、特に断りのない限り図1(a)の定着ローラ及び図1(b)の定着スリーブのいずれにも適用できるものである。
基材1は、ポリイミド樹脂からなる円柱状の固体、すなわちポリイミドチューブである。耐熱性樹脂からなる基材としては、他に、ポリイミド樹脂等からなるエンドレスベルトを用いることもできる。又、基材の材料としては、ポリイミド樹脂の代わりに、ポリアミドイミド樹脂等の他の耐熱性樹脂や金属管を用いることもできる。しかし、制作の容易さ、耐熱性、弾性率、強度等の面からは、ポリイミド樹脂が好ましい。
基材1の製造方法としては、例えば、金属製の円筒状芯体の外周面に、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)の有機溶媒溶液(ポリイミドワニス)をディスペンサー法等により塗布し、加熱して前記前駆体を脱水、閉環させポリイミド化させる方法が挙げられる。ポリイミド前駆体には、好ましくは適量の熱伝導性改善用のフィラーが配合される。又、加熱温度は、350℃から450℃程度である。
ポリイミドワニスとしては、宇部興産社製のUワニスSを挙げることができ、有機溶媒としては、ジメチルアセトアミドやN−メチルピロリドン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。イミド化後は、前記芯体と一体で基材として用いることもできるし、前記芯体を他の芯体に置き換えてもよい。又、基材がエンドレスベルトの場合は、前記芯体からイミド化されたフィルム(ポリイミドチューブ)を取り外して用いることもできる。
基材が、ポリイミドチューブの場合、その厚さは、耐久性と弾力性の面から30〜80μm程度が好ましい。
表層5はフッ素樹脂からなる。表層5を構成するフッ素樹脂としては、PTFE、PFA、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体等が挙げられる。特に、耐熱性の点からPTFEまたはPFAを用いることが好ましい。
フッ素樹脂からなる表層5の厚さは、1〜50μmが好ましく、より好ましくは2〜35μm、さらに好ましくは3〜25μmである。フッ素樹脂層が薄すぎると耐久性に劣り、複写枚数が多くなるにつれて早期に摩耗して離型性が損なわれるおそれがある。フッ素樹脂層が厚すぎると、定着用ベルト全体の熱伝導率が下がり定着性が低下する。又、厚すぎる場合は、プライマー層3による表層の耐摩耗性向上効果が得られにくくなる傾向がある。
プライマー層3は、前記の特定形状の無機フィラーを配合したフッ素樹脂からなる。このフッ素樹脂としては、表層5の場合と同様に、PTFE、PFA、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体等が挙げられ、耐熱性の点からPTFEまたはPFAを用いることが好ましい。プライマー層3には、他のフィラー、例えば、導電性を付与するためにカーボンフィラーを配合してもよい。
プライマー層3の厚さは、1〜10μmが好ましい。プライマー層3が薄すぎると接着層、導電層としての効果が十分得られない可能性がある。一方、プライマー層3が厚すぎると、定着用ベルト全体の熱伝導率が低下し、定着性を下げる可能性がある。
5層からなる定着スリーブの場合、さらにプライマー層31を有する。ただし、プライマー層31には無機フィラーを配合する必要はない。又、ゴム弾性層4には、シリコーンゴム等を用いることができる。
本発明の定着用ベルトの製造方法は特に限定されないが、例えば、前記のようにして形成された基材1(又は、基材1上にプライマー層31及びゴム弾性層4を形成したもの)の外周表面を研磨して外径や形状を整え、次いで、その上に、前記のような無機フィラーを配合したフッ素樹脂の分散液を塗布し、熱処理して焼結させてプライマー層3を形成し、その後さらにプライマー層3の表面にフッ素樹脂の分散液を塗布し、熱処理して焼結させ表層を形成して製造することができる。
無機フィラーを配合したフッ素樹脂の分散液は、無機フィラーを水に分散して水分散液の状態にし、この水分散液をフッ素樹脂の分散液に配合して製造することができる。水分散液化の方法は特に限定されないが、良好な分散状態とするためビーズミル等の装置を用いても良い。水分散液には、必要により分散状態を良好にするための分散剤、界面活性剤や、無機フィラーとのなじみを良好にするためのカップリング剤を添加することができる。又、良好な分散状態とするため、フィラーに対して表面処理を施しても良い。
本発明の定着用ベルトは、各種画像形成装置の定着部等に使用される。定着部では、定着用ベルト内に加熱源が設けられ、定着用ベルトは、ゴムローラ等からなる加圧ローラと対向、圧接され、その間にトナー画像が転写された被転写物が通過し、未定着のトナーを加熱溶融して被転写物上に定着する。
次に本発明をより具体的に説明するための実施例を示すが、実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1〜10、比較例1〜6
以下に述べる方法、条件で、定着用ベルトを作製し、表面粗度の測定及び耐摩耗性試験を行った。先ず、定着用ベルトの作製方法、条件等について述べる。
(基材の作製)
ポリイミド前駆体の有機溶媒溶液(宇部興産社製、商品名:U−ワニスS−301)に、固形分全体積基準でボロンナイトライド(三井化学社製「MBN−010T」:熱伝導性改善用のフィラー)25体積%加え、攪拌機で予備攪拌し、3本ロールミルで配合後、真空脱泡を行い、ポリイミドワニスを得た。
外面にセラミックスをコーティングした外径30mm、長さ300mmのアルミ製の円柱に、ディスペンサー法にてポリイミドワニスを塗布した。その後、350℃から450℃程度に加熱してポリイミドワニス中のポリイミド前駆体を脱水、閉環させポリイミド化させた後、冷却し、円柱から取り外してチューブ状の基材を得た。なお、この基材の寸法は、厚さ50μm、内径26mm、長さ24cmである。
(プライマー層)
無機フィラーを、ビーズミルを用いてデモールN(花王社製、無機フィラー分散剤)を含有する水中に分散させ、得られた分散液をデュポン社製のCONDUCCTIVE PRIMER BLACK 855N−004又は同855N−040に配合し、撹拌機で撹拌してプライマー液を得た。
前記で作製された基材を、前記のプライマー液に浸漬して引き揚げ(ディッピング法)、基材の外周面にプライマー液を塗布した。その後、200℃で30分間加熱してプライマー液を固体化し、基材の外周に厚さ4μmのプライマー層を形成した。
なお、CONDUCCTIVE PRIMER BLACK 855N−004及び同855N−040は、フッ素樹脂、カーボン粉末等からなる分散液であり、855N−004は固形分7.5重量%でありガラスビーズが含有されていないが、855N−040は固形分15重量%で、ガラスビーズがフッ素樹脂に対し100重量部に対して1〜5重量部配合されている。
又、プライマー層の形成に用いた無機フィラーを以下に示す。各実施例、比較例で用いられた無機フィラーの具体的な種類、配合量を、表1〜3に示す。
(無機フィラー)
・アルミナ:
住友化学社製AM−21:形状は球形、最大径Mの平均は4μm
住友化学社製AM−27:形状は球形、最大径Mの平均は9μm
昭和電工社製AS−20:形状は球形、最大径Mの平均は22μm
昭和電工社製AS−50:形状は球形、最大径Mの平均は1μm
河合石灰工業社製BMI(アルミナ水和物):形状は針状、最大径Mの平均:5μm、最小径Mの平均:0.4μm
・酸化チタン(以下、「TiO」と記す):
石原産業社製FTL−100:形状は針状、最大径Mの平均:5μm、最小径Mの平均:0.27μm
テイカ社製JR−600A:形状は丸味状、最大径Mの平均:0.25μm
・炭化ケイ素(以下、「SiC」と記す):
フジミインコーポレーテッド社製GC#3000:形状は破砕形状、最大径Mの平均:4μm
・シリカ: 電気化学工業社製FB−8S:形状は球形、最大径Mの平均:5μm
[粒子の形状の測定]
上記の無機フィラーを約10重量%となるように水中に分散させ、プレパラート上に、前記水分散液の厚さ30μm程度の膜を形成し、その1000〜1500倍の顕微鏡写真、又は10000倍の電子顕微鏡写真を撮った。顕微鏡写真中から、粒子を任意に30個選択し、それぞれについてM、Nを測定した。なお、図2は、球状(a)、回転楕円状(b)、破砕状(c)、扁平状(d)粒子の最大径M、最小径Nを示す図である。
(表層)
IST(アイ・エス・テイ)社製のトップ樹脂(フッ素樹脂ディスパージョンIFLZ9502)を、前記プライマー層の外周にディッピング法にて10μmの厚さ(=X)に塗布し、360℃で30分保持して焼成して表層を形成し、実施例と比較例の定着用ベルトを完成させた。
以上のようにして得られた定着用ベルトについて、表面粗度の測定及び耐摩耗性試験を行った。その結果を表1〜3に示す。先ず、表面粗度測定方法及び耐摩耗性試験方法を以下に述べる。
(表面粗度)
JIS B 0601 Rzに定める10点平均粗度により測定した。
(耐摩耗性試験)
試験機としてレスカ(RHESCA)製FPR−2100型を用い、試験ボールφ3/16 SUS304、温度200℃、荷重500g、速度60サイクル/分の試験条件で測定し、削れ始めのサイクル数を耐摩耗性試験の測定値とした。
Figure 2010066509
Figure 2010066509
Figure 2010066509
本発明例である実施例1〜10では、耐磨耗試験結果は130サイクル以上であり優れた耐磨耗性が得られている。又、表面粗度も1.0μm以下であるので優れたトナー離型性が得られると考えられる。そして、この実験結果から、無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であり、かつ2.0<M/Nの粒子数の割合が10%未満である場合、無機フィラーの樹脂に対する配合量5〜50体積%の範囲で、優れた耐磨耗性とともに優れた離型性(オフセット防止)が達成できると考えられる。
一方、無機フィラーが配合されていない比較例1と比較例2および配合量が3体積%と少ない比較例3は、耐摩耗性が低く、本発明の課題は達成されていない。一方、無機フィラーの平均粒径が22μmであり1.5<M/Xである粒子数の比率が50%を超える比較例4では、表面粗度が粗く離型性(オフセット防止)に劣ると考えられる。又、2.0<M/Nである粒子数の比率が10%を超える比較例5及び比較例6では、無機フィラーの配合量が30体積%であるにも係わらず、耐摩耗性が低く、本発明の課題は達成されていない。
定着用ベルトの一例の回転軸に直交する断面図である。 球状(a)、回転楕円状(b)、破砕状(c)、扁平状(d)粒子の最大径M、最小径Nを示す図である。
符号の説明
1 基材
3 プライマー層
31 プライマー層
4 ゴム弾性層
5 表層

Claims (6)

  1. チューブ状基材、最外層に設けられる表層、及び前記チューブ状基材と表層間に、表層に接して設けられるプライマー層を有し、
    前記プライマー層は、樹脂、及び前記樹脂に対し5〜50体積%分散された無機フィラーからなり、
    表層の厚みをX、前記無機フィラーを構成する各粒子の平面投影図の最大径をM、最小径をNとしたとき、前記無機フィラー中の、1.5<M/Xの粒子数の割合が10%未満であり、かつ2.0<M/Nの粒子数の割合が10%未満であることを特徴とする定着ベルト。
  2. 前記プライマー層を構成する樹脂が、フッ素樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の定着用ベルト。
  3. 前記表層が、フッ素樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の定着用ベルト。
  4. 前記無機フィラーが、酸化チタン、炭化珪素、窒化硼素、シリカ及びアルミナからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
  5. 前記チューブ状基材が、金属又は耐熱性プラスチックであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着用ベルト。
  6. 前記チューブ状基材が、ポリイミドであることを特徴とする請求項5に記載の定着用ベルト。
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