JP2016024218A - ニップ部形成部材、定着装置、及びニップ部形成部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】定着装置10において、加熱部材3の立ち上がり時間の短縮と、記録材非通過部(非通紙部)での過度な温度上昇の発生抑制、及び記録材搬送の長期的な安定性との両立を実現できるニップ部形成部材を提供する。【解決手段】基体4aと、基体4aの上に形成され、加熱部材3との圧接で弾性変形することによりトナー像Tを担持したシート状の記録材Pを挟持搬送して加熱するニップ部Nを形成する弾性層4bと、を有するニップ部形成部材4であって、前記弾性層4bは、少なくとも熱伝導性フィラー4b1と空孔部4b2とを含む多孔質弾性層を含んでおり、多孔質弾性層4bのニップ部Nの長手中央部に対応する位置4Aにおける厚みをAmm、長手端部に対応する位置4Bにおける厚みをBmmとしたときに、B/Aが0.4以上0.8以下であることを特徴とするニップ部形成部材。【選択図】図4
Description
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に搭載される定着装置(画像加熱装置)に用いられるニップ部形成部材、該ニップ部形成部材を用いた定着装置、ニップ部形成部材の製造方法に関する。
特に、ニップ部形成部材とニップ部を形成する加熱部材の立ち上がり時間の短縮と、記録材非通過部(非通紙部)での過度な温度上昇の発生抑制、及び記録材搬送の長期的な安定性との両立を図る技術に関する。
電子写真方式などの画像形成装置は、紙等のシート状の記録材(以下、用紙或いは紙と記す)上に現像されたトナー画像を加熱、加圧することによって当該用紙にトナー画像を定着させる定着装置を備えている。定着装置では、熱源によって加熱される定着ベルトや定着ローラなどの加熱部材(定着部材)と、これと対に配置された加圧ローラなどのニップ部形成部材(以下、加圧ローラと記す)との圧接により用紙を挟持搬送するニップ部(定着ニップ部)を形成させる。そして、未定着トナー像の形成された用紙がニップ部を通過する際に、未定着トナーが加熱/加圧されて定着画像として用紙に定着される。
こうした定着装置では、装置に使用可能な最大幅サイズの大サイズ用紙よりも幅が小サイズ用紙を大サイズ用紙と同じプリント間隔で連続プリント(連続通紙)したような場合に、非通紙領域が過度に高い温度にまで上昇してしまうことがある。以下、これを非通紙部昇温と呼ぶ。なお、用紙の幅とは、用紙面において用紙搬送方向に直交する方向の用紙寸法である。
この非通紙部昇温の発生を抑制するために、例えば、弾性層内に熱伝導性の高い所謂針状フィラーを混在するなどして、加圧ローラの熱伝導率を高くすることが従来から行われている(特許文献1)。
その一方で、加熱部材がトナー画像を加熱定着するのに十分な所定温度に達するまでにかかる「立ち上がり時間」を短縮するために、加圧ローラの熱容量/熱伝導率を低減することが行われている。例えば、加圧ローラの弾性層を多数の空孔部を有する多孔質弾性層に形成し、定着装置の作動開始に伴って加熱された加熱部材から加圧ローラに伝わる熱量を少なくすることで、上記立ち上がり時間の短縮を図っている(特許文献2〜4)。
しかしながら、加圧ローラに多孔質弾性層を用いた場合、定着装置にて加圧ローラを長時間使用すると、多孔質ゴムの圧縮永久歪み(圧縮塑性変形)によりローラ径が収縮してしまう。圧縮永久歪みは温度が高いほど大きいため、特に非通紙部昇温する加圧ローラ端部ほど径収縮量が大きく、使用していくうちに加圧ローラの外径形状が変化してしまう。
一般的に、熱ローラ方式やフィルム加熱方式等の定着装置において、定着装置を用紙が通過する時にニップ部において紙にシワが発生することがある。このシワは特に厚さの薄い紙などのコシが弱い紙において発生しやすい。
熱ローラ方式の定着装置では、紙シワ防止のため、加熱部材としての加熱ローラ(定着ローラ)と加圧ローラをそれぞれ用紙搬送方向に直交する長手方向の中央から端部にかけて外径を大きくさせた形状(以下、逆クラウン形状)にする手法が採用されている。これにより、ニップ部における紙搬送スピードをニップ部の長手両端部で速く、ニップ部の長手中央部で遅くして紙を幅方向の外側に引っ張る力を生じさせ、紙シワの発生を防ぐことができる。
フィルム加熱方式の定着装置でも、上記と同様に、加熱部材としての定着フィルム(定着ベルト)や加圧ローラを外径逆クラウン形状とする方法がとられる。そのほか、加熱部材を加熱する加熱体に対する長手方向の圧分布を調整してニップ部の長手形状を規定するなどの方法が採用されている(特許文献5)。
一方、紙の幅方向端部の搬送速度が上がり過ぎると、弊害として紙の後端ハネやそれに伴う画像不良(以下、チリメン画像。紙端部の濃度斑・グロス斑)を発生させる場合がある。具体的には、紙がニップ部を通過中に幅方向の一方方向と他方方向とに引っ張られることにより、ニップ部の用紙搬送上流側において紙に負荷がかかって幅方向両端が持ち上がってしまう。
この状態になると、紙後端が転写部を通過した際に紙後端部が跳ねて搬送部材にトナー像を擦ったり、ニップ部の手前で定着ローラや定着フィルム等の加熱部材にトナー像が接触したりすることによる画像乱れが発生しやすくなってしまう。
特に、小サイズ用紙を連続通紙することによって上述の非通紙部昇温が発生すると、定着ローラや加圧ローラの長手端部の膨張が長手中央部に比べて大きくなる。そのため、ニップ部の長手端部における用紙搬送方向に関するニップ幅が大きくなり、紙の端部の速度が上がってしまう。この状態で、幅が連続通紙した小サイズ紙よりも大きいサイズの用紙を通紙すると、この大サイズ紙の幅方向両端部が小サイズ紙における非通紙部を通過することになる。この結果、大サイズ紙の搬送速度が中央に対して端部が速くなることで、より顕著に後端ハネ・チリメンが発生してしまうことがある。
上述したような紙シワ・後端ハネを長時間の使用にわたって防止するには、加圧ローラの逆クラウン形状が適正に設定され、かつ多孔質弾性層が圧縮永久歪みによって変化し難いことが求められる。
上述したように、加圧ローラを低熱容量化/低熱伝導率化した場合には、立ち上がり時間が短縮する一方で、加熱部材が高温になりやすく、また加熱部材から加圧ローラを介して熱を効率的に逃すことが難しくなるので非通紙部昇温が発生しやすくなる。さらには、非通紙部昇温によって加圧ローラの逆クラウン形状が変化し、紙搬送性が不安定になってしまう。
他方、非通紙部昇温の発生を抑制するには、加圧ローラの熱伝導率を高める必要がある。しかし、加圧ローラの熱伝導率を高めた場合には、加圧ローラの熱容量が大きくなって加熱部材からの熱が加圧ローラに伝わりやすくなるので、加熱部材の立ち上がり時間が長くなる。
すなわち、従来では立ち上がり時間の短縮と非通紙部昇温の発生抑制、及び紙搬送の安定性とを両立させることが難しかった。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものである。その目的は、立ち上がり時間を短縮するとともに、記録材非通過部での過度な温度上昇の発生を抑制し、かつ長時間にわたって記録材搬送時にシワ及び後端ハネを発生させることなく安定した記録材搬送性が得られるニップ部形成部材を提供することにある。また、該ニップ部形成部材を用いた定着装置の提供を提供することにある。また、該ニップ部形成部材の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係るニップ部形成部材の代表的な構成は、基体と、前記基体の上に形成され、加熱部材との圧接で弾性変形することによりトナー像を担持したシート状の記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成する弾性層と、を有するニップ部形成部材であって、前記弾性層は、少なくとも熱伝導性フィラーと空孔部とを含む多孔質弾性層を含んでおり、前記多孔質弾性層の前記ニップ部の長手中央部に対応する位置における厚みをAmm、長手端部に対応する位置における厚みをBmmとしたときに、B/Aが0.4以上0.8以下であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る定着装置の代表的な構成は、加熱部材と、前記加熱部材との圧接で弾性変形してトナー像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、を備えた定着装置であって、前記ニップ部形成部材が上記のニップ部形成部材であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係るニップ部形成部材の製造方法の代表的な構成は、上記のニップ部形成部材の製造方法であって、
(1)未架橋のゴムおよび前記ゴムに分散されてなる針状フィラー並びに含水材料を含む弾性層形成用の液体組成物を前記基体の長手に沿う方向に流動させて、前記液体組成物の層を前記基体の上に形成する工程と、
(2)含水材料中の水分を保持した状態で前記液体組成物の層中のゴムを架橋させる工程と、
(3)前記ゴムが架橋してなる層から含水材料中の水分を蒸発させ、多孔質の弾性層を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係る定着装置の代表的な構成は、加熱部材と、前記加熱部材との圧接で弾性変形してトナー像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、を備えた定着装置であって、前記ニップ部形成部材が上記のニップ部形成部材であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するための本発明に係るニップ部形成部材の製造方法の代表的な構成は、上記のニップ部形成部材の製造方法であって、
(1)未架橋のゴムおよび前記ゴムに分散されてなる針状フィラー並びに含水材料を含む弾性層形成用の液体組成物を前記基体の長手に沿う方向に流動させて、前記液体組成物の層を前記基体の上に形成する工程と、
(2)含水材料中の水分を保持した状態で前記液体組成物の層中のゴムを架橋させる工程と、
(3)前記ゴムが架橋してなる層から含水材料中の水分を蒸発させ、多孔質の弾性層を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明のニップ部形成部材によれば、立ち上がり時間を短縮するとともに、記録材非通過部での過度な温度上昇の発生を抑制し、かつ長時間にわたって記録材搬送時に記録材にシワ及び後端ハネを発生させることなく安定した記録材搬送性が得られる。また、本発明によれば、該ニップ部形成部材を用いた定着装置を提供することができる。本発明によれば、該ニップ部形成部材を容易に製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
[画像形成装置]
図5は画像形成装置の一例の概略構成模式図である。この画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置であり、回転する電子写真感光体101を有する。感光体101に対する静電潜像形成手段としての帯電装置102と像露光手段103、感光体101上の静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する現像手段104を有する。感光体101上のトナー像をシート状の記録材(以下、紙または用紙と記す)Pに転写する転写手段105を有する。トナー像転写後の感光体101面を清掃するクリーニング手段106、用紙P上のトナー像T(図1)を定着する定着手段としての定着装置10、等を有する。
図5は画像形成装置の一例の概略構成模式図である。この画像形成装置は電子写真方式の画像形成装置であり、回転する電子写真感光体101を有する。感光体101に対する静電潜像形成手段としての帯電装置102と像露光手段103、感光体101上の静電潜像をトナー像(現像剤像)として現像する現像手段104を有する。感光体101上のトナー像をシート状の記録材(以下、紙または用紙と記す)Pに転写する転写手段105を有する。トナー像転写後の感光体101面を清掃するクリーニング手段106、用紙P上のトナー像T(図1)を定着する定着手段としての定着装置10、等を有する。
[定着装置]
図1は本実施形態における定着装置10の概略構成を示す横断面模式図である。以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、軸方向とは用紙の面において用紙搬送方向と直交する方向である。長さとは軸方向の寸法である。
この定着装置10はフィルム(ベルト)加熱方式の定着装置である。加熱体としてのセラミックスヒータ(以下、ヒータと記す)1と、加熱体支持部材を兼ねるフィルムガイド(以下、ベルトガイドと記す)2を備える。また、加熱部材(定着部材)としての、エンドレス(円筒状)で可撓性・耐熱性の定着フィルム(以下、定着ベルトと記す)3を備える。また、定着ベルト3と圧接してニップ部(定着ニップ部)Nを形成するニップ部形成部材としての加圧ローラ4を備える。
図1は本実施形態における定着装置10の概略構成を示す横断面模式図である。以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、軸方向とは用紙の面において用紙搬送方向と直交する方向である。長さとは軸方向の寸法である。
この定着装置10はフィルム(ベルト)加熱方式の定着装置である。加熱体としてのセラミックスヒータ(以下、ヒータと記す)1と、加熱体支持部材を兼ねるフィルムガイド(以下、ベルトガイドと記す)2を備える。また、加熱部材(定着部材)としての、エンドレス(円筒状)で可撓性・耐熱性の定着フィルム(以下、定着ベルトと記す)3を備える。また、定着ベルト3と圧接してニップ部(定着ニップ部)Nを形成するニップ部形成部材としての加圧ローラ4を備える。
ヒータ1は定着ベルト3の長手方向(図面に垂直方向)に沿って細長い板状部材であり、不図示の給電手段によって通電されることで発熱する抵抗発熱体などの発熱源を有しており、給電により急峻に昇温する。ヒータ1の温度は不図示の温度検知手段で検知され、その検知温度情報が不図示の制御手段に入力する。制御手段は温度検知手段から入力する検知温度が所定の定着温度に維持されるように給電手段から発熱源への供給電力を制御してヒータ1の温度を所定の温度に温調する。
ヒータ1は、剛性を有する耐熱性材料によって横断面略半円弧状の樋型に形成されているベルトガイド2に支持されている。より具体的には、ベルトガイド2の外面にガイド長手に沿って溝部2aが設けられており、ヒータ1はこの溝部2aに嵌入されている。
定着ベルト3は、内側から外側に、環状(筒状)の基材3a、ベルト弾性層3b(ここでは、後述の加圧ローラ4の弾性層4bと区別するためにベルト弾性層と呼ぶ)、表層3cを備える。定着ベルト3は使用状態で内周面がヒータ1及びベルトガイド2に摺擦されるエンドレスベルトであり、ヒータ1を支持したベルトガイド2の外周に周長に余裕を持たせて外嵌されている。
後述するように、ヒータ1と加圧ローラ4は定着ベルト3を挟んで圧接しており、定着ベルト3と加圧ローラ4との間にニップ部Nが形成されている。加圧ローラ4は例えばモータなどの回転駆動装置Mによって矢印R4の反時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ4の回転駆動に従動して定着ベルト3がその内面がヒータ1の面に密着して摺動しながらホルダ2の外回りを回転する。定着ベルト3の長手方向両端部は、定着装置10のフレームなどの不図示の固定部分に回転自在に支持されている。
ホルダ2はヒータ1の支持部材として機能すると共に定着ベルト3の回転ガイド部材としても機能する。定着ベルト3の内周面には、ヒータ1及びホルダ2との摺動性を確保するために潤滑剤(グリス)が塗られている。なお、本明細書でベルトと言った場合、フィルム状のものも含む。
加圧ローラ4は、内側から外側に、中実丸棒状或いは円筒状(パイプ状)等の基体4a、弾性層4b、離型層4cを備える。加圧ローラ4は、例えばモータなどの回転駆動装置Mによって使用時に回転駆動される。このため基体4aの軸方向両端部は、定着装置10のフレームなどの不図示の固定部分に軸受部材を介して回転自在に支持されている。
また、加圧ローラ4は、ベルトガイド2に支持されたヒータ1と定着ベルト3を挟んで対向する位置に配置されている。そして、加圧機構(不図示)によって加圧ローラ4と定着ベルト3とに所定の圧力が付与されることで、加圧ローラ4と定着ベルト3とが圧接してそれぞれの弾性層(3b、4b)は弾性変形する。これによって、加圧ローラ4と定着ベルト3との間には用紙搬送方向(記録材搬送方向)Qに関して所定の幅のニップ部Nが形成される。
加熱部材としての定着ベルト3とニップ形成部材としての加圧ローラ4の両者の圧接は、加圧ローラ4を定着ベルト3に所定の圧力で圧接させる構成でも、定着ベルト3側を加圧ローラ4に圧接させる構成でもよい。また定着ベルト3側と加圧ローラ4の両方を互いに所定の圧力で圧接させる構成でもよい。
加圧ローラ4は回転駆動装置Mによって回転駆動されると、従動回転する定着ベルト3との間のニップ部Nにおいて用紙Pを挟持しつつ搬送する。また、定着ベルト3は、ヒータ1により表面が所定温度(例えば200℃)に達するまで加熱される。この状態で、未定着トナー像Tを担持した用紙Pがニップ部Nに導入されて挟持搬送されることで、用紙P上の未定着トナーTが加熱、加圧される。すると、未定着トナーTは溶融/混色するので、その後、これが冷却することによって、トナー像が定着画像として用紙Pに定着される。
[定着ベルト]
定着ベルト3について説明する。定着ベルト3は、図1に示すように、基材3aの外周にベルト弾性層3bが、該ベルト弾性層3bの外周に表層3cが設けられている。基材3aは耐熱性及び耐屈曲性を必要とすることに鑑みて、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂を用いる。
定着ベルト3について説明する。定着ベルト3は、図1に示すように、基材3aの外周にベルト弾性層3bが、該ベルト弾性層3bの外周に表層3cが設けられている。基材3aは耐熱性及び耐屈曲性を必要とすることに鑑みて、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の耐熱性樹脂を用いる。
また熱伝導性をも考慮するならば、基材3aは耐熱性樹脂に比べ熱伝導率のより高いステンレス(SUS)、ニッケル、ニッケル合金などの金属を用いてもよい。そして、基材3aは熱容量を小さくする一方で機械的強度を高くする必要があるので、基材3aの厚みは5μm〜100μm好ましくは20μm〜85μmとするのが望ましい。
ベルト弾性層3bは、基材3aの外周を被覆するシリコーンゴム層である。ベルト弾性層3bは用紙Pがニップ部Nを通過する際に、用紙P上の未定着トナーTを包み込むようにして未定着トナーTに対し均一に熱を与える。ベルト弾性層3bがこのように機能することで、高光沢で定着ムラのない良質な画像が得られる。
ベルト弾性層3bの厚みは、十分な弾性により良質な画像を得るため、及び加熱によって所定温度に達するまでに時間が熱容量が大きくなることによって遅まるのを抑えるために、30μm〜500μm好ましくは100μm〜300μmとするのが望ましい。
ベルト弾性層3bは特に限定されないが、加工が容易である、高い寸法精度で加工できる、加熱硬化時に反応副生成物が発生しないなどの理由から、付加反応架橋型の液状シリコーンゴムを用いるのが好ましい。付加反応架橋型の液状シリコーンゴムは、例えばオルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含み、さらには触媒や他の添加物を含んでいてもよい。オルガノポリシロキサンはシリコーンゴムを原料とするベースポリマーであり、数平均分子量が5千〜10万、重量平均分子量が1万〜50万であるものを用いるとよい。
液状シリコーンゴムは室温で流動性を持つポリマーであるが、加熱によって硬化し、硬化後は適度に低硬度であり、また十分な耐熱性と変形回復力を有する。そのため、液状シリコーンゴムはベルト弾性層3bだけでなく、後述する加圧ローラ4の弾性層4bに用いるのにも好適である。
ところで、ベルト弾性層3bがシリコーンゴム単体で形成されるならば、ベルト弾性層3bの熱伝導率は低くなる。ベルト弾性層3bの熱伝導率が低いとヒータ1で発生した熱が定着ベルト3を介して用紙Pに伝わり難くなるので、用紙Pにトナーを定着させる際に加熱不足となって定着ムラなどの画像不良を生じ得る。
そこで、ベルト弾性層3bの熱伝導率を上げるために、ベルト弾性層3bには高い熱伝導性を持つ例えば粒状の高熱伝導性フィラーが混入、分散されている。粒状の高熱伝導性フィラーとしては、炭化ケイ素(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化マグネシウム(MgO)、カーボン等が用いられる。
また、目的に応じて粒状の高熱伝導性フィラーではなく針状の高熱伝導性フィラーなどを用いてもよい。すなわち、高熱伝導性フィラーの形状は粒状や針状の他にも、粉砕状、板状、ウィスカ状のものなどがあり、ベルト弾性層3bにはこれらのどの形状のものを用いてもよい。また、これらのものを単独で用いてもよいし2種類以上のものを混合して用いてもよい。なお、高熱伝導性フィラーがベルト弾性層3bに混入されることで、ベルト弾性層3bは導電性をも付与され得る。
表層3cは、ベルト弾性層3bの外周を被覆するフッ素樹脂層である。表層3cは、定着ベルト3にトナーを付着しにくくするために設けられる。表層3cには、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体樹脂(FEP)等のフッ素樹脂を用いるとよい。
表層3cの厚みは、1μm〜50μm好ましくは8μm〜25μmとするのが望ましい。なお、表層3cはフッ素樹脂チューブで被覆するもしくはフッ素樹脂からなる塗料を塗布することによって、ベルト弾性層3bの外周に形成されればよい。
[加圧ローラ]
加圧ローラ4について説明する。図2の(a)はニップ部形成部材である弾性加圧ローラ4の斜視図である。加圧ローラ4は、基体4aの外周に、基体4aと同心にローラ状に形成された弾性層4bと、該弾性層4bの外周に被覆された離型層4cと、を有する複層構造に形成されている。なお、図2の(a)に示すように、以下では、加圧ローラ4の周方向(用紙搬送方向)を「x」方向、加圧ローラ4の長手方向(軸線方向)を「y」方向、加圧ローラ4の構成層の厚み方向(層厚方向)を「z」方向と表す。
加圧ローラ4について説明する。図2の(a)はニップ部形成部材である弾性加圧ローラ4の斜視図である。加圧ローラ4は、基体4aの外周に、基体4aと同心にローラ状に形成された弾性層4bと、該弾性層4bの外周に被覆された離型層4cと、を有する複層構造に形成されている。なお、図2の(a)に示すように、以下では、加圧ローラ4の周方向(用紙搬送方向)を「x」方向、加圧ローラ4の長手方向(軸線方向)を「y」方向、加圧ローラ4の構成層の厚み方向(層厚方向)を「z」方向と表す。
<基体>
基体4aは、ニッケルやクロムをメッキしたSUM材(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)等の鋼材を含むステンレススチール、リン青銅、アルミニウムなどを用いて形成されている軸芯体あるいは芯金である。基体4aの外径は、4mm〜80mmであればよい。
基体4aは、ニッケルやクロムをメッキしたSUM材(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)等の鋼材を含むステンレススチール、リン青銅、アルミニウムなどを用いて形成されている軸芯体あるいは芯金である。基体4aの外径は、4mm〜80mmであればよい。
4a−1と4a−2は基体4aの長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ基体4aと同心一体に配設された小径軸部である。この一端側と他端側の小径軸部4a−1と4a−2はそれぞれ定着装置10のフレームなどの不図示の固定部分に回転自在に軸受されて支持される部分である。
<弾性層>
弾性層4bは、基体4aの外周を被覆するシリコーンゴム層である。弾性層4bは、定着ベルト3のベルト弾性層3bと同様に液状シリコーンゴムを用いるのが好ましい。図3の模式図に示すように、弾性層4bには、針状(細長い繊維形状)の高熱伝導性フィラー4b1(以下、単に針状フィラー4b1と記す)が軸方向(図2の(a)のy方向)及び周方向(図2の(a)のx方向)に配向された状態に混入、分散されている。
弾性層4bは、基体4aの外周を被覆するシリコーンゴム層である。弾性層4bは、定着ベルト3のベルト弾性層3bと同様に液状シリコーンゴムを用いるのが好ましい。図3の模式図に示すように、弾性層4bには、針状(細長い繊維形状)の高熱伝導性フィラー4b1(以下、単に針状フィラー4b1と記す)が軸方向(図2の(a)のy方向)及び周方向(図2の(a)のx方向)に配向された状態に混入、分散されている。
針状フィラー4b1について説明する。針状フィラー4b1としては、フィラー長手方向の熱伝導率が500W/(m・K)以上のピッチ系炭素繊維が用いられる。ピッチ系炭素繊維は石油精製副産物あるいは石炭乾留副産物である「ピッチ」から製造された炭素繊維であり、高い熱伝導性や導電性を有する一方で熱膨張がほとんど無い、といった特徴を持つ。針状フィラー4b1は例えば円柱や多角柱などの形状をした細長い棒状をした、直径に対する長さの比が大きいつまりアスペクト比が高い部材である。
そして、針状フィラー4b1は配向された向きに熱を伝えやすい熱伝導異方性(針状フィラーの長軸方向(長さ方向)の熱伝導がよりも高い特性)を有している。図3において4b1は針状の熱伝導性フィラーの形状を模式的に示している。針状とは、一方向のみに他方向に比べて長さを有する形状を指し、主に、短軸径と長軸長さによってその形状を表すことができる。短軸径(平均)は特に限定されるものではないが、5〜15μmのものが比較的容易に利用可能である。また、長軸長さ(平均)は0.05〜5mmのものが好ましい。より好ましくは、0.05〜1.0mmであることが望ましい。
針状フィラー4b1に用いるピッチ系炭素繊維は、平均直径(短軸径)が5μm〜11μm程度かつ平均長さ(長軸長さ)が50μm〜1000μm程度が望ましい。弾性層4bの熱伝導率に異方性効果を現れやすくし、また弾性層4b内に分散させやすくするために、平均長さは好ましくは100μm〜250μmとするのが望ましい。
本実施例では、弾性層4bを、厚み方向zの熱伝導率よりも面方向(xy面)の熱伝導率が高くなるように形成する。特には、長手方向yの熱伝導率及び周方向xの熱伝導率を高くしている。より具体的には、長手方向yの熱伝導率及び周方向xの熱伝導率は厚み方向zの熱伝導率よりも6倍〜20倍ほど高い(後述の表1参照)。
弾性層4bにはさらに、図3に示すように空孔部4b2が多数形成されている。空孔部4b2を形成することによって、弾性層4bの低熱容量化が図られている。また、空孔部4b2が形成されると、弾性層4bの厚み方向zの熱伝導率は空孔部4b2が形成されていないときの熱伝導率よりも低くなる。
空孔部4b2の形成方法としては、後述する加圧ローラ製造工程において、ベースポリマーや針状フィラーとともに流動し、かつ針状フィラーの配向を妨げない水を使用することが望ましい。水は製造過程で脱水され、脱水後の弾性層に空孔部を形成する。水は単独ではベースポリマーと分散せず、脱水後の弾性層特性に影響しない吸水性ポリマー、粘土鉱物等に膨潤した状態、すなわち「含水ゲル」の形で使用する。
含水ゲルとベースポリマー、針状フィラー等を必要に応じて乳化剤や粘度調整剤を添加のうえ混合攪拌し、エマルジョン状の弾性層形成用液状ゴム組成物を調製する。これを注型成形用型に注入し、水が蒸発しない温度以下で硬化させることで、液状ゴム組成物中の水が均一且つ微細に分散した弾性体を形成することができる。その後、その弾性体から水を蒸発させる(脱水する)ことにより、微細な空孔が均一に形成された弾性層を形成することができる。
吸水性ポリマーとしては、アクリル酸やメタクリル酸、これらの金属塩の重合体、これらの共重合体や架橋体などが挙げられる。中でも、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩およびその架橋体等を好適に用いることができ、工業的に容易に入手可能である(例えば「レオジック250H」(商品名、東亜合成株式会社製))。
また、増粘効果のある「粘土鉱物を膨潤させた水」を使用すればエマルジョン状の弾性層形成用液状組成物を調製するのに好適である。このような粘土鉱物として「ベンゲルW−200U」(商品名、株式会社ホージュン製)等が挙げられる。また乳化用添加剤としてノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル 商品名「イオネット HLB4.3」、三洋化成工業株式会社製)などの界面活性剤を添加しても良い。
弾性層4b中の空孔部4b2の大きさとしては、強度や画質の観点から5〜30μmの範囲内にあることが好ましい。また、弾性層4b中における空孔部4b2の体積占有率(以下、空孔率)は、期待する立ち上がり時間短縮効果を得るために40体積%以上が好適である。また液状ゴム組成物中の水が均一且つ微細に分散した状態を弾性層を形成する過程において保持して微細な空孔部4b2を均一に含んだ弾性層を形成するために、50体積%以下が好適である。
弾性層4bの厚みは、弾性層全体が定着ベルト3と接触して弾性変形したときに、用紙搬送方向Qにおいて所望の幅のニップ部Nを形成し得る厚みであれば特に限定されないが、1.5〜10.0mmであることが好ましい。弾性層4bの硬度は、所望の幅のニップ部Nを確保する観点から、20°以上70°以下の範囲にあることが好ましい。
<離型層>
離型層4cは、フッ素樹脂層である。離型層4cは、弾性層4bの外周に例えば共重合体(PFA)チューブを被覆することにより形成される。もしくはPFA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂からなる塗料を弾性層4bの外周に塗布することにより形成してもよい。離型層4cの厚みは特に限定されないが、好ましくは15〜80μm程度であればよい。この離型層4cは、加圧ローラ4にトナーを付着しにくくするために設けられる。
離型層4cは、フッ素樹脂層である。離型層4cは、弾性層4bの外周に例えば共重合体(PFA)チューブを被覆することにより形成される。もしくはPFA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂からなる塗料を弾性層4bの外周に塗布することにより形成してもよい。離型層4cの厚みは特に限定されないが、好ましくは15〜80μm程度であればよい。この離型層4cは、加圧ローラ4にトナーを付着しにくくするために設けられる。
なお、弾性層4bと離型層4cの間には接着、通電等の目的によりプライマー層や接着層などが設けられていてもよい。
[弾性層の形成方法]
次に、弾性層4bの形成方法及び離型層4cの形成方法について説明する。
次に、弾性層4bの形成方法及び離型層4cの形成方法について説明する。
(1)液状ゴム混合物の生成
針状フィラー4b1と吸水性ポリマーに水分を含ませた含水ゲルとを、液状シリコーンゴム(未架橋)に混合して液状ゴム混合物を生成する。この液状ゴム混合物を生成するには、液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1と含水材料の各々を所定量ずつ秤量して、これらを遊星式の万能混合攪拌機など公知のフィラー混合撹拌手段を用いて攪拌すればよい。
針状フィラー4b1と吸水性ポリマーに水分を含ませた含水ゲルとを、液状シリコーンゴム(未架橋)に混合して液状ゴム混合物を生成する。この液状ゴム混合物を生成するには、液状シリコーンゴムと針状フィラー4b1と含水材料の各々を所定量ずつ秤量して、これらを遊星式の万能混合攪拌機など公知のフィラー混合撹拌手段を用いて攪拌すればよい。
(2)液状ゴム混合物を用いた弾性層4bの形成
(2−1)金型
弾性層4bの形成方法は特に限定されないが、ここでは、注型製造を例に説明する。図6の(a)は本実施形態において注型製造に用いる金型11の分解斜視図である。(b)は金型11を構成している中空金型5と一端側駒型6および他端側駒型7の縦断面図である。金型11は、円柱状の成形空間(以下、キャビティと記す)53を有する中空金型(中空円筒状金型、パイプ状筒型)5と、この中空金型5の一端側開口部51と他端側開口部52に対してそれぞれ装着される一端側駒型6および他端側駒型7とを有する。
(2−1)金型
弾性層4bの形成方法は特に限定されないが、ここでは、注型製造を例に説明する。図6の(a)は本実施形態において注型製造に用いる金型11の分解斜視図である。(b)は金型11を構成している中空金型5と一端側駒型6および他端側駒型7の縦断面図である。金型11は、円柱状の成形空間(以下、キャビティと記す)53を有する中空金型(中空円筒状金型、パイプ状筒型)5と、この中空金型5の一端側開口部51と他端側開口部52に対してそれぞれ装着される一端側駒型6および他端側駒型7とを有する。
一端側駒型6は中空金型5のキャビティ53内に液状ゴムを注入するための駒型である。他端側駒型7はキャビティ53内への液状ゴムの注入に伴ってキャビティ53内から押し出される空気を排出させるための駒型である。
図7の(a)は一端側駒型6の内面図(キャビティ側の端面図)、(b)は外面図(キャビティ側とは反対側の端面図)である。一端側駒型6の内面側中央部には基体4aの一端側の小径軸部4a−1が差し込まれる基体保持部としての中央穴6cが設けられている。また、外面側には円周孔(洞、凹部)6aが設けられている。そして、円周孔6aには外面側から内面側に至る液状ゴム混合物注入孔6bが円周に沿って複数個穿設されている。
また、他端側駒型7の内面中央部(キャビティ側の端面中央部)には基体4aの他端側の小径軸部4a−2が差し込まれる基体保持部としての中央穴7cが設けられている。そして、内面側から外面側に至る排気孔7bが複数個穿設されている。
一端側駒型6は中空金型5の一端側開口部51に対して内面側を先にして嵌入し、内面側の円周縁部が開口部内周面の環状段部51aに突き当って受け止められるまで十分に挿入することで中空金型5の一端側に装着される。また、他端側駒型7は中空金型5の他端側開口部52に対して内面側を先にして嵌入し、内面側の円周縁部が開口部内周面の環状段部52aに突き当って受け止められるまで十分に挿入することで中空金型5の他端側に装着される。
(2−2)金型に対する基体の設置
基体4aは、ゴム弾性層4bが形成される部分にあらかじめシリコーンゴム用プライマーを塗布し熱風循環式オーブンで焼付処理した。図8の(a)のように、中空金型5の一端側開口部51に対して一端側駒型6を装着する。次に、(b)のように、中空金型5の他端側開口部52から上記の基体4aを、一端側の小径軸部4a−1の側を先にして挿入し、一端側駒型6の内面側の中央穴6cに対して小径軸部4a−1を差し込んで支持させる。
基体4aは、ゴム弾性層4bが形成される部分にあらかじめシリコーンゴム用プライマーを塗布し熱風循環式オーブンで焼付処理した。図8の(a)のように、中空金型5の一端側開口部51に対して一端側駒型6を装着する。次に、(b)のように、中空金型5の他端側開口部52から上記の基体4aを、一端側の小径軸部4a−1の側を先にして挿入し、一端側駒型6の内面側の中央穴6cに対して小径軸部4a−1を差し込んで支持させる。
次に、(c)のように、中空金型5の他端側開口部52に対して他端側駒型7を、内面側の中央穴7cに基体4aの他端側の小径軸部4a−2を差し込んで支持させた状態にして装着する。
これにより、基体4aが、その一端側と他端側の小径軸部4a−1と4a−2がそれぞれ一端側駒型6と他端側駒型7の中央穴6cと7cに支持されて金型5の円柱状のキャビティ53の円柱中央部に同心に位置が決められて保持される。そして、円柱状のキャビティ53の円柱成形面(内周面)53aと基体4aの外面(外周面)4a−3との間には基体4aの外周りに所定の厚さのゴム弾性層4bを注型成形するための間隙8が形成される。
なお、金型11のキャビティ53に対する基体4aの設置は上記の手順に限られない。中空金型5、基体4a、一端側駒型6、他端側駒型7が最終的に図8の(c)のように組み立てられればよい。
(2−3)液状ゴム混合物の注型
上記のようにキャビティ53内に基体4aを設置した金型11を、図9のように、一端側駒型6側を下側とし他端側駒型7を上側として、対向する下側治具12と上側治具13との間に縦姿勢の状態で押さえ込ませて固定して保持させる。金型11の一端側駒型(以下、下部駒型と記す)6側は下側治具12の受け穴12aに嵌入して受け止められている。金型11の他端側駒型(以下、上部駒型と記す)7側は上側治具13の受け穴13aに嵌入して受け止められている。
上記のようにキャビティ53内に基体4aを設置した金型11を、図9のように、一端側駒型6側を下側とし他端側駒型7を上側として、対向する下側治具12と上側治具13との間に縦姿勢の状態で押さえ込ませて固定して保持させる。金型11の一端側駒型(以下、下部駒型と記す)6側は下側治具12の受け穴12aに嵌入して受け止められている。金型11の他端側駒型(以下、上部駒型と記す)7側は上側治具13の受け穴13aに嵌入して受け止められている。
即ち、金型11は、円柱状のキャビティ53の円柱軸線を縦向きとし、かつ注入孔6bが配設されている側を下側とした姿勢状態で下側治具12と上側治具13との間に固定保持されて注型工程が行われる。
下側治具12の受け穴12aの中央部には液状ゴム注入口12bが穿設されている。液状ゴム注入口12bには外部の液状ゴム混合物供給装置14の液状ゴム混合物供給管14aは接続されている。上側治具13の受け穴13aの中央部には排気口13bが穿設されている。
液状ゴム混合物供給装置14が駆動されることで、前記(1)項の液状ゴム混合物が供給管14aを通して下側治具12の注入口12bから受け穴12aに入り、受け穴12aと下部駒型6の外面側の円周孔6aとで構成される空間部に充填される。
引き続く液状ゴム混合物の供給に伴ってその充填液状ゴム混合物が円周孔6aの円周に沿って複数個穿設されている注入孔6bを通って下部駒型6の外面側から内面側に流れる。そして、キャビティ53の円柱成形面53aと基体4aの外面4a−3との間に形成される隙間8に対して注入される。
更に引き続く液状ゴム混合物の供給に伴って間隙8に対する液状ゴム混合物の注入が下から上に進行していく。間隙8に存在している空気は間隙8に対する液状ゴム組成物の下から上への注入に伴って間隙8内を下から上へ押し上げられて間隙8内から上部駒型7の排気孔7bおよび上側治具13の排気口13bを通って金型11の外に出ていく。
下部駒型6の各注入孔6bから隙間8への液状ゴム混合物の注入は隙間8の円周方向において平均的になされる。かつ、基体4aが上下駒型6、7によりキャビティ53の円柱中央部に同心に固定された状態であって、基体4aが液状ゴム混合物が注入されることにより移動することがなく、偏肉を生ぜず間隙8を過不足なく液状ゴム組成物で充填させることができる。
上記のようにして、液状ゴム混合物が金型11内に配置された基体4aの軸方向に沿うようにして金型内に流し込まれる(注型する)。基体4aの軸方向に沿うように金型内に液状ゴム混合物が流し込まれると、針状フィラー4b1の多くは液状ゴム混合物の流れに従って、基体4aの軸方向つまり加圧ローラ4の長手方向(y方向)に配向される。
したがって、弾性層4bの長手方向の熱伝導率はそれ以外の方向の熱伝導率よりも高くなる。長手方向の熱伝導率がそれ以外の方向の熱伝導率よりも高いと、非通紙部(記録材非通過部)の温度が高くなり始めたときに、非通紙部から相対的に温度の低い通紙部(記録材通過部)や加圧ローラ両端部側へと非通紙部の熱が伝わりやすくなる。つまり、非通紙部の熱を効率的に拡散することができるようになる。
なお、液状ゴム混合物が基体4aの軸方向に沿うように金型内に流し込まれたとしても、液状ゴム混合物の流れが金型内で乱れることがある。その場合、液状ゴム混合物は用紙搬送方向Qつまり周方向(x方向)や周方向に交差する方向(y方向を含んでよい)にも流れる。
そのため、弾性層4bにおいて、針状フィラー4b1は主に長手方向に配向されるがこれだけに限られず、長手方向及び周方向を含む面方向(xy面)に配向されるものもある。その場合、長手方向yの熱伝導率だけでなく周方向xの熱伝導率も高くなるが、周方向xの熱伝導率が高くなっても非通紙部昇温(記録材非通過部昇温)の抑制に効果的であるので何ら問題ない。すなわち、弾性層4bにおいて針状フィラー4b1の向きは面方向(xy面)であれば、いずれの向きであっても非通紙部昇温の抑制には効果的である。
金型11に対する液状ゴム混合物の注入は、少なくとも、隙間8が液状ゴム混合物で十分に満たされるまで行う。上部駒型7の排気孔7bは液状ゴム混合物で十分に充満させる必要はない。
(2−4)シリコーンゴム成分の架橋硬化
液状ゴム混合物注型後(注型工程の終了後)、金型11を上下の治具12、13から外す。このとき、金型11内の注型液状ゴムが下部駒型6や上部駒型7の外側開口部から流出しないように下部駒型6と上部駒型7の外側開口部を盲板などの取り付けにより密閉する。そして、金型11を密閉した状態で加熱する。液状ゴム混合物は金型ごと、水の沸点以下の温度例えば60℃〜90℃で5分〜120分間加熱処理される。密閉下で液状ゴム混合物が加熱処理されると、シリコーンゴム成分は含水材料中の水分を保持したまま層中のゴムを架橋硬化する。
液状ゴム混合物注型後(注型工程の終了後)、金型11を上下の治具12、13から外す。このとき、金型11内の注型液状ゴムが下部駒型6や上部駒型7の外側開口部から流出しないように下部駒型6と上部駒型7の外側開口部を盲板などの取り付けにより密閉する。そして、金型11を密閉した状態で加熱する。液状ゴム混合物は金型ごと、水の沸点以下の温度例えば60℃〜90℃で5分〜120分間加熱処理される。密閉下で液状ゴム混合物が加熱処理されると、シリコーンゴム成分は含水材料中の水分を保持したまま層中のゴムを架橋硬化する。
(2−5)空孔部の形成
上記架橋硬化処理後に、金型5の両端から下部駒型6および上部駒型7を外して金型5の両端部を開放した状態にする。この状態において、さらに金型5ごと所定の高温まで加熱して内部の成形弾性ローラ(加圧ローラ)を加熱する。
上記架橋硬化処理後に、金型5の両端から下部駒型6および上部駒型7を外して金型5の両端部を開放した状態にする。この状態において、さらに金型5ごと所定の高温まで加熱して内部の成形弾性ローラ(加圧ローラ)を加熱する。
上記の加熱によって弾性層4b内の温度が上昇するに従って含水材料に含まれていた水分が蒸発するので、当該箇所に空孔部4b2が形成される。このときの加圧ローラ4を加熱する際の条件として、加熱温度は100℃〜250℃に、加熱時間は1〜5時間に設定するのが望ましい。以上のようにして、針状フィラー4b1及び空孔部4b2を有する弾性層4bが基体4aの外周に形成される。
上記の中空金型5からの下部駒型6と上部駒型7の取り外しは、中空金型5の一端側開口部51と他端側開口部52からそれぞれ引き抜くあるいはねじり回して引き抜くことで行う。この取り外しは、中空金型5内の弾性ローラの硬化ゴム層の端面と下部駒型6と上部駒型7側の孔6bと7b内の硬化ゴム層との会合部(連接部)の結合強度に抗してなされる。
(2−6)弾性ローラの脱型
加熱した金型5を水冷方式や空冷方式によって冷却した後に、金型5から成形された弾性ローラを脱型する。そして、中空金型5から脱型した弾性ローラについて、必要に応じて、弾性層4bの一端側端面と他端側端面に残存するバリや不整部を除去する整形処理をする。このローラ4を200℃の熱風循環式オーブン中で4時間放置して弾性層4bを二次硬化させた。
ここで、(2−5)の空孔部の形成は、(2−4)のシリコーンゴム成分の架橋硬化後に成形弾性ローラを中空金型5から脱型してから加熱する。これにより、ゴムが架橋してなる層中から含水材料中の水分を蒸発させ、多孔質の弾性層を形成する手順とすることもできる。
加熱した金型5を水冷方式や空冷方式によって冷却した後に、金型5から成形された弾性ローラを脱型する。そして、中空金型5から脱型した弾性ローラについて、必要に応じて、弾性層4bの一端側端面と他端側端面に残存するバリや不整部を除去する整形処理をする。このローラ4を200℃の熱風循環式オーブン中で4時間放置して弾性層4bを二次硬化させた。
ここで、(2−5)の空孔部の形成は、(2−4)のシリコーンゴム成分の架橋硬化後に成形弾性ローラを中空金型5から脱型してから加熱する。これにより、ゴムが架橋してなる層中から含水材料中の水分を蒸発させ、多孔質の弾性層を形成する手順とすることもできる。
(2−7)離型層の形成
離型層4cは、弾性層4bにフッ素樹脂製チューブを被覆することにより形成される。フッ素樹脂製チューブを被覆するには、一般的に接着剤を用いる。ただし、接着剤を用いずとも弾性層4bとフッ素樹脂製チューブとを層間接着できる場合があり、そうした場合には接着剤を用いなくてもよい。また、離型層4cは、弾性層4b外周にフッ素樹脂からなる塗料を塗布するなどして形成してもよい。
離型層4cは、弾性層4bにフッ素樹脂製チューブを被覆することにより形成される。フッ素樹脂製チューブを被覆するには、一般的に接着剤を用いる。ただし、接着剤を用いずとも弾性層4bとフッ素樹脂製チューブとを層間接着できる場合があり、そうした場合には接着剤を用いなくてもよい。また、離型層4cは、弾性層4b外周にフッ素樹脂からなる塗料を塗布するなどして形成してもよい。
あるいは、離型層4cは弾性層4bと共に形成してもよい。すなわち、図10のように、予めフッ素樹脂チューブ4cを金型5の内面(形成面)に配置する。そしてこの金型5内に図8の要領で基体4aを配置する。そして、この基体4aとフッ素樹脂チューブ4cとの間に液状ゴム混合物を流し込むことによって、離型層4cが形成された状態で弾性層4bを形成するようにしてもよい。なお、金型内に配置するフッ素樹脂チューブ4cは内面がエッチング処理され、かつ内面に予めプライマーを塗布乾燥させたものを用いる。
ここで、下部駒型6と上部駒型7は、それらの接液面に予め離型剤を塗布しておき、脱型後にそれらの駒型側に残る硬化ゴムを取り除く処理をして再使用する。離型剤を塗布しておけば、それらの駒型側に残る硬化ゴムの取り除き処理は容易である。中空金型5の成形面53aにも予め離型剤を塗布することで、ゴム硬化後の脱型が容易となる。また、注型工程において、金型11は横向き姿勢や上下逆向き姿勢でも構わない。ただし、横向き姿勢や上下逆向き姿勢では液体組成物注入時に空気を噛み込む恐れがあるため、注入側を下側に配置する形態が好ましい。
[加圧ローラの評価]
以下、加圧ローラ4の評価について、後述する実施例1乃至3、比較例1乃至3を用いて説明する。本実施例では、評価のためにそれぞれの熱伝導率を求めている。
以下、加圧ローラ4の評価について、後述する実施例1乃至3、比較例1乃至3を用いて説明する。本実施例では、評価のためにそれぞれの熱伝導率を求めている。
<熱伝導率>
熱伝導率は、熱拡散率から換算する。熱拡散率の計測には、温度可変型の温度波熱分析法によって熱拡散率を測定するタイプの装置を用いた。このタイプの装置として、例えば「ai−Phase Mobile2」(商品名、株式会社アイフェイズ製)の熱拡散率測定装置が挙げられる。
熱伝導率は、熱拡散率から換算する。熱拡散率の計測には、温度可変型の温度波熱分析法によって熱拡散率を測定するタイプの装置を用いた。このタイプの装置として、例えば「ai−Phase Mobile2」(商品名、株式会社アイフェイズ製)の熱拡散率測定装置が挙げられる。
この装置を用いて、図2の(a)に示すような加圧ローラ4の周方向(x方向)及び加圧ローラ4の長手方向(y方向)及び加圧ローラ4の厚み方向(z方向)について、それぞれの熱拡散率を測定した。
図2の(a)(b)に示すように、周方向(x方向)の熱拡散率測定には、yz面に切り込みを入れてx方向の厚みが1mm以下になるように切り出したものを被測定試料Sとした。長手方向(y方向)の熱拡散率測定には、zx面に切り込みを入れてy方向の厚みが1mm以下となるように切り出したものを被測定試料Sとした。厚み方向(z方向)の熱拡散率測定には、xy面に切り込みを入れてz方向)の厚みが1mm以下となるように切り出したものを被測定試料Sとした。
そして、これらの被測定試料Sを用いて温度設定50℃にて各方向毎に熱拡散率測定を5回ずつ行い、5回の平均値をそれぞれ周方向熱拡散率、長手方向熱拡散率、厚み方向熱拡散率とした。
熱拡散率から熱伝導率を換算するには、密度と比熱容量の各値が必要である。密度の計測には、例えば「SGM−6」(商品名、メトラー・トレド株式会社製)といった自動密度測定装置を用いる。
また、比熱容量の計測には、例えば「DSC823」(商品名、メトラー・トレド株式会社製)といった示差走査型熱量測定装置を用いる。このときに比熱容量を比較するために基準とする、比熱容量が既知の物質にはサファイアを用いた。この測定装置による比熱容量測定を5回行って、5回の平均値を比熱容量とした。熱伝導率は、こうして得られた密度と比熱容量とを乗算し、さらにその結果に上述の熱拡散率を乗算して求めた。
<性能評価>
性能評価は、図1に示した定着装置10に、実施例1乃至3の加圧ローラ、比較例1乃至3の加圧ローラをそれぞれ組み込んでなる図1に記載のフィルム加熱方式、A3タイプの定着装置を用いて行った。
性能評価は、図1に示した定着装置10に、実施例1乃至3の加圧ローラ、比較例1乃至3の加圧ローラをそれぞれ組み込んでなる図1に記載のフィルム加熱方式、A3タイプの定着装置を用いて行った。
(非通紙部昇温の評価)
非通紙部昇温の評価は、低温度(15℃程度)かつ低湿度(10%程度)の環境下で、定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)を246mm/secとする。そして、用紙Pとして、A4横サイズ紙(商品名「GF−C104」、キヤノン株式会社製)を用い、50枚/分で10分間連続プリントしたときの定着ベルト3の非通紙部の表面温度に基づいて行った。
非通紙部昇温の評価は、低温度(15℃程度)かつ低湿度(10%程度)の環境下で、定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)を246mm/secとする。そして、用紙Pとして、A4横サイズ紙(商品名「GF−C104」、キヤノン株式会社製)を用い、50枚/分で10分間連続プリントしたときの定着ベルト3の非通紙部の表面温度に基づいて行った。
具体的には、ニップ部N(図1参照)から用紙搬送方向上流側90°に位置する定着ベルト3の表面温度が170℃を維持するように、ヒータ1による加熱温度を調整しながら500枚連続プリントを行う。そして、500枚連続プリント中の定着ベルト3の非通紙部領域(A4横サイズ紙が通過しない領域)の表面温度を放射型温度計で測定した。本実施形態においては、定着ベルト3が所定温度(例えば250℃)以上にまで加熱されると定着装置10の耐久寿命に良くない影響を及ぼしてしまうことに鑑み、非通紙部領域の表面温度が230℃よりも低ければ非通紙部昇温の発生を抑制できているとした。
(立ち上がり時間の評価)
立ち上がり時間の評価も非通紙部昇温の評価と同様に、低温低湿環境下(15℃/10%)で行った。立ち上がり時間は、定着装置10が冷えている状態から、通紙を行わない空回転状態において、ヒータ1に1000Wの電力で通電を開始してから定着ベルト3の表面温度が170℃に達するまでにかかる時間を測定した。本実施形態においては、立ち上がり時間が表1に示した比較例1に対して10%以上短ければ、立ち上がり時間が短縮できているとした。
立ち上がり時間の評価も非通紙部昇温の評価と同様に、低温低湿環境下(15℃/10%)で行った。立ち上がり時間は、定着装置10が冷えている状態から、通紙を行わない空回転状態において、ヒータ1に1000Wの電力で通電を開始してから定着ベルト3の表面温度が170℃に達するまでにかかる時間を測定した。本実施形態においては、立ち上がり時間が表1に示した比較例1に対して10%以上短ければ、立ち上がり時間が短縮できているとした。
(紙搬送性の評価)
紙搬送性の評価は、高温度(30℃程度)かつ高湿度(80%程度)の環境下において、後述する紙シワ、後端ハネそれぞれについて行った。定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)は246mm/secとし、評価紙として、SRA3サイズ紙(商品名「OKプリンス上質52」、王子製紙株式会社製)を用いた。さらに、小サイズ通紙耐久前後において同様の評価を行い、加圧ローラ4の外径形状変化に伴う紙搬送性の変化を確認した。
紙搬送性の評価は、高温度(30℃程度)かつ高湿度(80%程度)の環境下において、後述する紙シワ、後端ハネそれぞれについて行った。定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)は246mm/secとし、評価紙として、SRA3サイズ紙(商品名「OKプリンス上質52」、王子製紙株式会社製)を用いた。さらに、小サイズ通紙耐久前後において同様の評価を行い、加圧ローラ4の外径形状変化に伴う紙搬送性の変化を確認した。
(i)紙シワ
加圧ローラ4の長手方向(紙搬送方向に直交する方向)中央部と端部との温度差は、定着装置10が冷えている状態から加熱開始して、定着ベルト3の表面温度が定着可能温度まで立ち上がった直後において最も大きくなり易い。このため、立ち上がり直後の最初の1枚或いは数枚の画像形成時において、紙シワが生じ易い。
加圧ローラ4の長手方向(紙搬送方向に直交する方向)中央部と端部との温度差は、定着装置10が冷えている状態から加熱開始して、定着ベルト3の表面温度が定着可能温度まで立ち上がった直後において最も大きくなり易い。このため、立ち上がり直後の最初の1枚或いは数枚の画像形成時において、紙シワが生じ易い。
そこで、定着装置10が冷えている状態から、通紙を行わない空回転状態においてヒータ1による加熱を開始する。そして、定着ベルト3の表面温度が170℃に達した後に、トナー載り量1.0[mg/cm2]のブルーの全ベタ画像を5枚連続して通紙したときの紙シワ発生有無から紙搬送性を評価した。
表1では、5枚中全てでシワが発生しなかった場合を「○」、1枚でもシワが発生した場合を「×」とした。
(ii)後端ハネ
A4横サイズ紙(商品名「GF−C104」、キヤノン株式会社製)を500枚連続通紙(50枚/分で10分間連続通紙)して非通紙部昇温が発生した後に、トナー載り量1.0[mg/cm2]のブルーの全ベタ画像を5枚連続して通紙した。このときのチリメン画像発生有無から紙搬送性を評価した。
A4横サイズ紙(商品名「GF−C104」、キヤノン株式会社製)を500枚連続通紙(50枚/分で10分間連続通紙)して非通紙部昇温が発生した後に、トナー載り量1.0[mg/cm2]のブルーの全ベタ画像を5枚連続して通紙した。このときのチリメン画像発生有無から紙搬送性を評価した。
表1では、5枚中全てでチリメン画像が発生しなかった場合を「○」、1枚でもシワが発生した場合を「×」とした。
(iii)小サイズ通紙耐久
加圧ローラ4の長手逆クラウン形状が通紙耐久によって変化したときの紙搬送性の変化を評価するため、長手幅の狭い小サイズの記録材を30万枚通紙し、通紙前後で上述の紙シワ、後端ハネ評価を行った。小サイズの耐久紙として封筒(洋形長3号)を用い、定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)は80mm/secとして、17枚/分で連続通紙した。
加圧ローラ4の長手逆クラウン形状が通紙耐久によって変化したときの紙搬送性の変化を評価するため、長手幅の狭い小サイズの記録材を30万枚通紙し、通紙前後で上述の紙シワ、後端ハネ評価を行った。小サイズの耐久紙として封筒(洋形長3号)を用い、定着装置10における加圧ローラ4の回転速度(周速)は80mm/secとして、17枚/分で連続通紙した。
<評価結果>
後述する実施例1乃至3の加圧ローラ、及び比較例1乃至3の加圧ローラについて、非通紙部領域の表面温度(非通紙部温度)と加熱部材3の立ち上がり時間及び小サイズ通紙耐久前後での紙搬送性の評価結果を熱伝導率の測定結果とともに表1に示す。
後述する実施例1乃至3の加圧ローラ、及び比較例1乃至3の加圧ローラについて、非通紙部領域の表面温度(非通紙部温度)と加熱部材3の立ち上がり時間及び小サイズ通紙耐久前後での紙搬送性の評価結果を熱伝導率の測定結果とともに表1に示す。
表1に示すように、実施例1乃至3、及び比較例2,3の加圧ローラにおいては、弾性層4bの長手方向の熱伝導率(λy)及び周方向の熱伝導率(λx)は、厚み方向の熱伝導率(λz)よりも6倍以上である。
実施例1乃至3の加圧ローラ、及び比較例1乃至3の加圧ローラ4はすべて共通に、基体4aにはA3サイズ用(弾性層4b形成域長さ327mm)の鉄製芯金を用いた。芯金の周面に塗布するプライマーは、「DY39−051」(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)を用いた。プライマーは、芯金周面に塗布した後、熱風循環式オーブンで180℃、30分間焼成した。
離型層4cには、内径φ29.0のフッ素樹脂(PFA)チューブを用いた。そして、図10のように、予め内径φ30.2の中空円筒状金型5内に挿入したフッ素樹脂チューブの両端部を中空円筒状金型5の外壁面側に折り返すことにより、円筒状金型5の内壁面に設置(添装)した。フッ素樹脂チューブ4cの内面にはプライマー「DY39−067」(商品名、東レ・ダウコーニング株式会社製)を塗布し、熱風循環式オーブンで70℃、20分間乾燥した。
プライマー処理後の芯金4aを中空円筒状金型5の内に同心状に設置し、上下端部に駒型6、7を嵌め込んで、中空円筒状金型5と両端の駒型6、7を治具12、13によって押さえ込む。これにより、中空円筒状金型5内に芯金4aを同心上に固定して配置した。
後述する実施例1乃至3、及び比較例1乃至3の弾性層4b形成用の液状ゴム混合物を、金型内壁5に配置したフッ素樹脂チューブと芯金4a間に注入し、金型両端の駒型6、7を密閉した後、金型11ごと90℃の熱風循環式オーブン中で1時間放置する。これにより、液状ゴム混合物を硬化するとともに、芯金4aとゴム4bとチューブ4cを接着、一体化させた。
加熱した金型11を水冷方式や空冷方式によって冷却した後に、金型5から両端の駒型6、7をはずし、金型5の両端部が開放された状態で金型5ごと180℃の熱風循環式オーブン中で2時間放置して、弾性層4b内の水分を蒸発させる。これにより、弾性層4b内に空孔部4b2を形成した。
金型5を冷却した後、金型5からチューブ被覆ローラ4を脱型し、ローラ4を200℃の熱風循環式オーブン中で4時間放置して弾性層4bを二次硬化させた。
以上の工程を経て、実施例1乃至3の加圧ローラ、及び比較例1乃至3の加圧ローラを得た。基体4a、弾性層4b、離型層4cを積層した加圧ローラの長手中央部外径はφ30mmとし、加圧ローラの長手逆クラウン量は200μmとした。なお、逆クラウン量は以下の計算式により算出される。
逆クラウン量(μm)={(DB1+DB2)/2−DA}×1000
ここで、DB1、DB2は弾性層4b形成域の両端部から各々10mm中央部側の位置における外径でいずれもφ30.2mm、DAは弾性層4b形成域の中央部における外径でφ30.0mmである。
ここで、DB1、DB2は弾性層4b形成域の両端部から各々10mm中央部側の位置における外径でいずれもφ30.2mm、DAは弾性層4b形成域の中央部における外径でφ30.0mmである。
(実施例1の加圧ローラ)
弾性層4b用の液状ゴム混合物は、付加反応架橋型の液状シリコーンゴムに含水ゲルを体積比50%の割合で混合したものを使用した。
弾性層4b用の液状ゴム混合物は、付加反応架橋型の液状シリコーンゴムに含水ゲルを体積比50%の割合で混合したものを使用した。
含水ゲルは、材料としてポリアクリル酸ナトリウムを主成分として含み、かつ、スメクタイト系粘土鉱物を含む増粘剤(商品名「ベンゲルW−200U」、株式会社ホージュン製)が重量比1%に対して、重量比99%のイオン交換水を加える。これを十分に撹拌し、膨潤させることにより調製した。さらに、多孔質弾性層4b用の液状ゴム混合物には、針状フィラー4b1を体積比10%の割合で混合してある。
実施例1では、針状フィラー4c1として平均繊維長が250μmのピッチ系炭素繊維(商品名「GRANOCミルドファイバー(XN−100−25M)」、日本グラファイトファイバー株式会社製)を用いた。このピッチ系炭素繊維は、平均繊維径が9um、フィラー長手方向の熱伝導率が900W/(m・k)である(以下、同じ)。
そして、実施例1では、図4の(a)に示すように、多孔質弾性層4bの長手中央部厚み(多孔質弾性層4bのニップ部Nの長手中央部に対応する位置4Aにおける厚み)Aを3.0mmとした。また、長手端部厚み(同じく、長手端部に対応する位置4Bにおける厚み)Bを2.4mmとした。より具体的には、Aは弾性層4b形成域の長手中央部における厚み、Bは弾性層4b形成域の両端部から各々10mm中央部側の位置における厚みである。
多孔質弾性層4bの厚みを上述とするため、基体4aには長手で逆クラウン形状の鉄製芯金を用い、基体4aの中央部外径DAはφ24.0、端部外径DB1、DB2はφ25.4とした。実施例1の加圧ローラ4は、図4の(a)に示すような構成である。
(実施例2の加圧ローラ)
弾性層4b用の液状ゴム混合物には、針状フィラー4b1を体積比5%の割合で混合したものを使用した。実施例2では、針状フィラー4c1として平均繊維長が150μmのピッチ系炭素繊維(商品名「GRANOCミルドファイバー(XN−100−15M)」、日本グラファイトファイバー株式会社製)を用いた。含水ゲルは実施例1と同様のものを使用し、液状ゴム混合物中における含水ゲルの割合を体積比45%とした。
弾性層4b用の液状ゴム混合物には、針状フィラー4b1を体積比5%の割合で混合したものを使用した。実施例2では、針状フィラー4c1として平均繊維長が150μmのピッチ系炭素繊維(商品名「GRANOCミルドファイバー(XN−100−15M)」、日本グラファイトファイバー株式会社製)を用いた。含水ゲルは実施例1と同様のものを使用し、液状ゴム混合物中における含水ゲルの割合を体積比45%とした。
そして、多孔質弾性層4bの長手中央部厚みAを4.0mm、長手端部厚みBを1.6mmとした。多孔質弾性層4bの厚みを上述とするため、基体4aには長手で逆クラウン形状の鉄製芯金を用い、基体4aの中央部外径DAはφ22.0、端部外径DB1、DB2はφ27.0とした。実施例2の加圧ローラ4は、図4(a)に示すような構成である。
(実施例3の加圧ローラ)
弾性層4b用の液状ゴム混合物には、針状フィラー4b1を体積比10%の割合で混合したものを使用した。実施例2では、針状フィラー4c1として平均繊維長が100μmのピッチ系炭素繊維(商品名「GRANOCミルドファイバー(XN−100−10M)」、日本グラファイトファイバー株式会社製)を用いた。含水ゲルは実施例1と同様のものを使用し、液状ゴム混合物中における含水ゲルの割合を体積比40%とした。
(実施例3の加圧ローラ)
弾性層4b用の液状ゴム混合物には、針状フィラー4b1を体積比10%の割合で混合したものを使用した。実施例2では、針状フィラー4c1として平均繊維長が100μmのピッチ系炭素繊維(商品名「GRANOCミルドファイバー(XN−100−10M)」、日本グラファイトファイバー株式会社製)を用いた。含水ゲルは実施例1と同様のものを使用し、液状ゴム混合物中における含水ゲルの割合を体積比40%とした。
そして、図4の(b)のように、多孔質弾性層4bの長手中央部厚み(多孔質弾性層4bのニップ部Nの長手中央部に対応する位置4Aにおける厚み)Aを3.0mm、長手端部厚み(長手端部に対応する位置4Bにおける厚み)Bを1.5mmとした。
多孔質弾性層4bの厚みを上述とするため、基体4aとして外径がφ22.0の長手ストレート形状の鉄製芯金を用いた。そして、加圧ローラの逆クラウン形状を調整するために、芯金4aと多孔質弾性層4bとの間に、非多孔質のソリッドシリコーンゴムからなる弾性層4dを設けた。基体4aに弾性層4dを積層した状態での中央部外径DAはφ22.0、端部外径DB1、DB2はφ27.2である。実施例3の加圧ローラ4は、図4の(b)に示すような構成である。
(比較例1の加圧ローラ)
弾性層4b用の液状ゴムとして、実施例のような含水ゲルと針状フィラー4b1を含む液状ゴム混合物ではなく、通常の付加反応架橋型の液状シリコーンゴムを用いた。これにより形成された弾性層4bの熱伝導率は、方向に依らず0.3W/m・Kであった。
弾性層4b用の液状ゴムとして、実施例のような含水ゲルと針状フィラー4b1を含む液状ゴム混合物ではなく、通常の付加反応架橋型の液状シリコーンゴムを用いた。これにより形成された弾性層4bの熱伝導率は、方向に依らず0.3W/m・Kであった。
(比較例2、3の加圧ローラ)
比較例2は、弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが実施例2に比べて小さい点が実施例2と異なる。
比較例2は、弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが実施例2に比べて小さい点が実施例2と異なる。
比較例3は、弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが実施例1に比べて大きい点が実施例1と異なる。
比較例1は非通紙部温度が250℃であり、非通紙部昇温の発生を抑制できていない。これは、弾性層4bに高熱伝導性フィラー4b1が混入されていないために、非通紙部の熱が通紙部や加圧ローラ両端部に伝わり難いからである。さらに、立ち上がり時間が実施例1〜実施例3及び比較例2,3に比べて長い。これは、弾性層4bに空孔部4b2が形成されていない(非多孔質)がために弾性層4bの熱容量が大きく、厚み方向の熱伝導率(λz)も高いために、加熱部材3が加熱されてもその熱が加圧ローラ4に伝わりやすいからである。
これに対し、比較例2,3は非通紙部温度が230℃未満であり、非通紙部昇温の発生を抑制できている。また、立ち上がり時間も比較例1に対して10%以上短縮できている。
しかし、小サイズ通紙耐久後において、比較例2ではチリメンが発生し、比較例3では紙シワが発生している。比較例2では、弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが0.4未満である。そのために、小サイズ通紙した後の加圧ローラ中央部の外径収縮量が端部の外径収縮量よりも大きく、結果として逆クラウン量が大きくなりすぎてしまうことによって後端ハネに伴うチリメンが発生してしまう。
一方、比較例3では、弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが0.8を超えて端部厚みが厚い。そのために、小サイズ通紙での非通紙部昇温に伴う加圧ローラ端部の外径収縮量が、中央部の外径収縮量よりも大きいために、逆クラウン量が小さくなってしまい紙シワが発生してしまう。
これに対し、実施例1〜実施例3では非通紙部温度が230℃より低く、かつ立ち上がり時間が比較例1よりも10%以上短くなっている。加えて、小サイズ通紙耐久後においても紙搬送性が低下して紙シワや後端ハネが発生することもない。
これは、多孔質弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが適正な範囲に設定されていることによる。即ち、小サイズ紙を大量に通紙した後においても、端部あるいは中央部の外径収縮量が他方に比べて大きくなりすぎることがなく、紙搬送性に影響を及ぼすほどの逆クラウン量変化が生じていないことによるものである。
以上のように、本発明に係るニップ部形成部材としての加圧ローラ4は、その弾性層4bとして、長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが0.4以上0.8以下である多孔質弾性層を含む。即ち、多孔質弾性層4bのニップ部Nの長手中央部に対応する位置4A(図4)における厚みをAmm、同じく長手端部に対応する位置4Bにおける厚みをBmmとしたときに、B/Aが0.4以上0.8以下であることを特徴とする。
多孔質弾性層4bの特性としては、厚み方向の熱伝導率(λz)に比較して長手方向の熱伝導率(λy)及び周方向の熱伝導率(λx)が高く、低熱容量である。このような特性を有する多孔質弾性層4bを含むが故に、加熱部材3の立ち上がり時間を短くすることができかつ非通紙領域での過度な温度上昇の発生を抑制することができるとともに、長期にわたって安定した紙搬送性を得ることができる。
なお、上述した実施例では、弾性層4bとして多孔質弾性層が単層として形成された例(図4の(a))と、多孔質弾性層4bと基体4aとの間に非多孔質弾性層4dを形成した2層構造を例(図4の(b))に示したが、これに限らない。例えば、弾性層4bをより多くの特性の異なる層に分けて形成されていてもよい。ただし、多孔質弾性層4bは弾性層4bの最外層として積層されており、多孔質弾性層4bの長手中央部厚みAに対する端部厚みBの比B/Aが本発明における範囲内になければならない。
[その他の事項]
(1)上述した実施例では、ニップ部形成部材として回転体である加圧ローラ4を用いた例を説明したがこれに限らない。例えば、ニップ部形成部材4は、回転体である無端状の加圧ベルトの形態であってもよい。より具体的には、基体4aとして、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の薄肉耐熱性樹脂もしくはステンレス(SUS)やニッケル(Ni)等の薄肉金属からなる無端状(ベルト状)の部材を用いる。この基体の上に前記のような構成の弾性層4bを具備させた形態である。
(1)上述した実施例では、ニップ部形成部材として回転体である加圧ローラ4を用いた例を説明したがこれに限らない。例えば、ニップ部形成部材4は、回転体である無端状の加圧ベルトの形態であってもよい。より具体的には、基体4aとして、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の薄肉耐熱性樹脂もしくはステンレス(SUS)やニッケル(Ni)等の薄肉金属からなる無端状(ベルト状)の部材を用いる。この基体の上に前記のような構成の弾性層4bを具備させた形態である。
回転体としてのニップ部形成部材4は、回転駆動されて、もしくは加熱部材3の回転に従動して回転してニップ部Nにて記録材を挟持搬送する。
(2)ニップ部形成部材4は上記の回転体の形態に限られない。回転駆動される加熱部材3及び記録材Pよりも表面の摩擦係数が小さい、図11の(a)と(b)あるいは(c)と(d)のように横長のパッド状部材などの非回転部材の形態のものにすることもできる。
ニップ部Nに導入された記録材Pは裏面側(非画像形成面側)が非回転部材の形態のニップ部形成部材4の摩擦係数が小さい表面に対して摺動しながら、加熱部材3の回転搬送力でニップ部Nを挟持搬送されていく。
(3)加熱部材3は熱ローラであってもよい。加熱部材3の加熱方式は、セラミックヒータに限られず、ハロゲンラン等を用いた熱線照射方式、電磁誘導加熱方式、熱線照射方式などであってもよい。内部加熱方式に限られず、外部加熱方式であってもよい。
(4)記録材Pに対するトナー像の形成原理や作像プロセスは転写方式の電子写真プロセスに限られない。記録材として感光紙を用いる直接方式の電子写真プロセスでもよい。像担持体として誘電体を用いる転写方式あるいは直接方式の静電記録プロセス、磁性体を用いる中間転写方式あるいは直接方式の磁気記録プロセスなどであってもよい。
(5)定着装置10には、未定着トナー画像を固着像として定着する以外にも、記録材に仮定着されたトナー像あるいは一度加熱定着されたトナー像を再度加熱加圧して光沢度を向上させる装置(この場合も熱定着装置と呼ぶ)も包含される。
1…セラミックスヒータ、2…ベルトガイド、3…定着ベルト、3a…基材、3b…ベルト弾性層、3c…表層、4…加圧ローラ(ニップ部形成部材)、4a…基体、4b…弾性層、4b1…針状の高熱伝導性フィラー(針状フィラー)、4c2…空孔部、4c…離型層、4d…非多孔質弾性層、10…定着装置、P…記録材、T…トナー像
Claims (10)
- 基体と、前記基体の上に形成され、加熱部材との圧接で弾性変形することによりトナー像を担持したシート状の記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成する弾性層と、を有するニップ部形成部材であって、前記弾性層は、少なくとも熱伝導性フィラーと空孔部とを含む多孔質弾性層を含んでおり、前記多孔質弾性層の前記ニップ部の長手中央部に対応する位置における厚みをAmm、長手端部に対応する位置における厚みをBmmとしたときに、B/Aが0.4以上0.8以下であることを特徴とするニップ部形成部材。
- 前記多孔質弾性層は、面方向の熱伝導率が層厚方向の熱伝導率の6倍以上であることを特徴とする請求項1に記載のニップ部形成部材。
- 前記多孔質弾性層に含まれる熱伝導性フィラーは、熱伝導異方性を有する針状フィラーであり、前記針状フィラーは前記多孔質弾性層の少なくとも記録材搬送方向に交差する方向に配向されることを特徴とする請求項1又は2に記載のニップ部形成部材。
- 前記針状フィラーはピッチ系炭素繊維であることを特徴とする請求項3に記載のニップ部形成部材。
- 前記弾性層は、前記多孔質弾性層と空孔部を含まない非多孔質弾性層とを含んだ複層構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のニップ部形成部材。
- 前記弾性層は、前記非多孔質弾性層を前記基体の外周面に、前記多孔質弾性層を前記非多孔質弾性層の外周面に配したことを特徴とする請求項5に記載のニップ部形成部材。
- 前記ニップ部形成部材は、回転駆動される、もしくは前記加熱部材の回転に従動回転する回転体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のニップ部形成部材。
- 前記ニップ部形成部材は、回転駆動される前記加熱部材および前記記録材よりも表面の摩擦係数が小さい非回転部材であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のニップ部形成部材。
- 加熱部材と、前記加熱部材との圧接で弾性変形してトナー像を担持した記録材を挟持搬送して加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、を備えた定着装置であって、前記ニップ部形成部材が請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のニップ部形成部材であることを特徴とする定着装置。
- 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のニップ部形成部材の製造方法であって、
(1)未架橋のゴムおよび前記ゴムに分散されてなる針状フィラー並びに含水材料を含む弾性層形成用の液体組成物を前記基体の長手に沿う方向に流動させて、前記液体組成物の層を前記基体の上に形成する工程と、
(2)含水材料中の水分を保持した状態で前記液体組成物の層中のゴムを架橋させる工程と、
(3)前記ゴムが架橋してなる層から含水材料中の水分を蒸発させ、多孔質の弾性層を形成する工程と、
を有することを特徴とするニップ部形成部材の製造方法。
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