JP2006011144A - 発熱部材、定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 トナー像を記録媒体に定着する定着装置に設置されるとともに電磁誘導によって加熱される発熱部材22であって、定着温度の目標値近傍にキューリー点を有する導電層22bを備える。その導電層22bは、体積固有抵抗率が7.0×10-6Ωcm以下になるように形成される。
【選択図】 図3
Description
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
一般的な画像形成装置は、幅方向のサイズが異なる数種類の記録媒体に対して、画像形成ができるように構成されている。ここで、幅方向サイズの異なる記録媒体とは、JIS寸法のA列やB列における種々の定形サイズの記録媒体の他に、不定形サイズの記録媒体も含まれる。また、同一サイズ(例えば、A4サイズである。)の記録媒体であっても、長手方向を搬送方向にした場合と、短手方向(長手方向に直交する方向である。)を搬送方向にした場合とでは、幅方向サイズの異なる記録媒体を扱っていることになる。
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、18は像担持体としての感光体ドラム、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置を示す。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。そして、給紙部11に収納された記録媒体Pの最上方の1枚が、搬送経路Kの位置に向けて搬送される。その後、記録媒体Pは、搬送経路Kを通過してレジストローラ13の位置に達する。そして、レジストローラ13の位置に達した記録媒体Pは、感光体ドラム18上に形成されたトナー像と位置合わせをするためにタイミングを合わせて、転写部7に向けて搬送される。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置20は、主として、定着補助ローラ21、定着ベルト22、支持ローラ23、誘導加熱部24、加圧ローラ30、サーミスタ38、ガイド板35、分離板36等で構成される。
なお、浸透深さδは次式で求まる。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2
上式において、ρは材料の体積固有抵抗率であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数である。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23の温度がキューリー点に達しない場合には、支持ローラ23の比透磁率は1よりも大きくて磁性を有しているために、渦電流の生じる浸透深さが小さくなる。すなわち、支持ローラ23の表面近傍に渦電流が発生して、その領域における抵抗が大きくなって、その抵抗に比例して大きなジュール熱が発生する。
これに対して、誘導加熱部24によって加熱された支持ローラ23の温度がキューリー点を超えた場合には、支持ローラ23の比透磁率は1になって磁性を失うために、渦電流の生じる浸透深さが大きくなって抵抗が小さくなる。これにより、その抵抗に比例してジュール熱の発生量が低下して、過昇温が抑止される。
また、本実施の形態1において、支持ローラ23の材料によっては、支持ローラ23の内部にフェライト等の強磁性体からなる内部コアを設置することもできる。その場合、内部コアは、定着ベルト22を介してコイル部25に対向することになる。
図2を参照して、発熱部材としての定着ベルト22(定着部材)は、支持ローラ23と定着補助ローラ21とに張架・支持されている。
図3(A)に示すように、定着ベルト22は、基材22a上に導電層22b(発熱層)、弾性層22c、離型層22dが順次形成された、多層構造のエンドレスベルトである。基材22aは、絶縁性の耐熱樹脂材料からなり、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、フッ素樹脂等を用いることができる。基材22aの層厚は、熱容量及び強度の点から、30〜200μmに形成されている。
ここで、導電層22bの材料は、常温環境(20℃)における体積固有抵抗率が7.0×10-6Ωcm以下となる磁性導電性材料が選定されている。現実的には体積固有抵抗率が最も低い銀の値を考慮して、常温環境における体積固有抵抗率が1.5×10-6〜7.0×10-6Ωcmの範囲となる磁性導電性材料が選定されている。したがって、ニッケルの他には、コバルトやそれらの合金を選定することもできる。
さらに、導電層22bは、導電層22bの温度がキューリー点を超えた場合に、電磁誘導によって励磁されたときの渦電流の浸透深さδが、導電層22bの層厚よりも小さくなるように形成されている。
すなわち、誘導加熱部24によって加熱された導電層22bの温度がキューリー点に達しない場合には、渦電流の生じる浸透深さが小さくなる。すなわち、導電層22bの表面近傍に渦電流が発生して、大きなジュール熱が発生する。
これに対して、導電層22bの温度がキューリー点を超えた場合には、渦電流の生じる浸透深さが大きくなって、ジュール熱の発生量が低下することにより過昇温が抑止される。
なお、定着ベルト22の各層22a〜22dの間に、プライマ層等を設けることもできる。
図3(B)の定着ベルト22は、導電層22b、弾性層22c、離型層22dからなる。ここで、導電層22bは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS、フッ素樹脂等の樹脂材料に、磁性導電性粒子を分散したものを用いることもできる。その場合、樹脂材料に対して磁性導電性粒子を20〜90重量%の範囲内で添加する。具体的には、ワニス状態の樹脂材料中に、ロールミル、サンドミル、遠心脱泡装置等の分散装置を用いて磁性導電性粒子を分散する。これを溶剤により適当な粘度に調整して、金型により所望の層厚に成形する。
図3(D)の定着ベルト22は、基材22a上に複数の導電層22bを備えた弾性層22cを形成して、さらに表面層として離型層22dを形成している。
これらの場合にも、導電層22bを本実施の形態1と同様の構成とすることで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
ここで、コイル部25は、支持ローラ23に巻装された定着ベルト22の外周部を覆うように、細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである。コイルガイド27は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、コイル部25を保持する。コア26は、フェライト等の強磁性体からなり、センターコア26aやサイドコア26bが設けられている。コア26は、幅方向に延設されたコイル部25に対向するように設置されている。コイル部25は、不図示の高周波電源部に接続されていて、高周波電源部から10k〜1MHz(好ましくは、10k〜300kHzである。)の交番電流が印加される。
定着ベルト22と加圧ローラ30との当接部の出口側には、記録媒体Pの搬送を案内するとともに記録媒体Pが定着ベルト22から分離するのを促進する分離板36が配設されている。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、支持ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板35に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Yの搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
このような定着工程において、支持ローラ23及び導電層22bの温度がキューリー点を超えた場合には、先に説明したように、支持ローラ23及び導電層22bの発熱が適宜に制限されることになる。
図4にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は実施の形態2における画像形成装置の要部を示す断面図である。本実施の形態2の画像形成装置は、タンデム型のカラー画像形成装置である点と、発熱部材として定着ローラ31を用いている点とが、前記実施の形態1のものとは相違する。
転写ベルト8は、矢印方向から搬送される記録媒体Pを、各感光体ドラム18Y、18M、18C、18BKとの対向位置に順次搬送する。このとき、バイアスローラ9に印加される転写バイアスによって、記録媒体P上に各色のトナー像が重ねて転写される。こうして、記録媒体P上にフルカラーのトナー像が形成される。その後、フルカラーのトナー像が形成された記録媒体Pは、転写ベルト8から分離されて、定着装置20に向けて搬送されることになる。
定着ローラ31は、ニッケルからなる導電層22b、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。定着ローラ31は、加圧ローラ30の加圧力に抗するだけの機械的強度をもつ。
図5にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図5は実施の形態3における定着装置を示す断面図である。本実施の形態3の定着装置は、誘導加熱部24の構成が前記実施の形態1のものとは相違する。
本実施の形態3においても、定着ベルト22及び支持ローラ23の導電層の温度がキューリー点を超えた場合には、前記実施の形態1と同様に、導電層の発熱が適宜に制限されることになる。
図6にて、上記各実施の形態で述べた効果を確認するための実施例と比較例とについて説明する。
図6に示す実施例は、前記実施の形態1の定着ベルト22を用いて、交番電流の周波数fを130kHzとして、過昇温の有無について評価した。具体的に、実施例の定着ベルト22は、導電層22bの材料がニッケルであって、層厚(厚さ)が1.0mmに形成されている。導電層22bの常温における体積固有抵抗率は6.9×10-6Ωcmである。また、導電層22bの温度がキューリー点以下のとき(磁性時である。)、比透磁率が200となって浸透深さが0.03mmになる。これに対して、導電層22bの温度がキューリー点を超えたとき(非磁性時である。)、比透磁率が1となって浸透深さが0.36mmになる。
比較例1においては、導電層22bの層厚を0.2mmとして、非磁性時の浸透深さ0.36mmよりも小さく形成している。このような場合には、導電層22bがキューリー点を超えたときに、導電層22bの発熱を充分に抑えられない。図6の「過昇温防止」における「×」は、導電層22bがキューリー点を超えたときに、過昇温が生じた結果を示すものである。
比較例2においては、導電層22bの層厚が浸透深さよりも大きく形成されているものの、非磁性材料であるために、電磁誘導による発熱が生じなかった。
比較例3においては、導電層22bの層厚が浸透深さよりも大きく形成されているものの、体積固有抵抗率が大きいために、過昇温が生じてしまった。
また、実施例と比較例2とを比べて、電磁誘導加熱定着方式に用いる発熱部材の導電層22bにおいて、その材料が定着温度近傍にキューリー点を有しうる磁性導電性材料であることが過昇温を防止する条件になることがわかる。
また、実施例と比較例1とから、電磁誘導加熱定着方式に用いる発熱部材の導電層22bにおいて、その層厚が非磁性時の浸透深さよりも大きいことが過昇温を防止する条件になることがわかる。
4 プロセスカートリッジ(作像部)、 7 転写部、
8 転写ベルト、 9 バイアスローラ、
18、18BK、18Y、18M、18C 感光体ドラム、
20 定着装置、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(発熱部材、定着部材)、 22a 基材、
22b 導電層(発熱層)、 22c 弾性層、 22d 離型層、
23 支持ローラ(加熱部材)、 24 誘導加熱部、
25 コイル部、 26 コア、 30 加圧ローラ、
31 定着ローラ(発熱部材、定着部材)、 P 記録媒体、 T トナー像。
Claims (18)
- トナー像を記録媒体に定着する定着装置に設置されるとともに電磁誘導によって加熱される発熱部材であって、
定着温度の目標値近傍にキューリー点を有する導電層を備え、
前記導電層は、体積固有抵抗率が7.0×10-6Ωcm以下になるように形成されたことを特徴とする発熱部材。 - 前記導電層は、その温度が前記キューリー点を超えた場合に電磁誘導によって励磁されたときの渦電流の浸透深さがその層厚よりも小さくなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の発熱部材。
- 前記導電層は、前記キューリー点が100〜350℃の範囲内になるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発熱部材。
- 前記導電層を励磁する交番電流の周波数は10k〜1MHzの範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発熱部材。
- 前記導電層は、ニッケルからなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発熱部材。
- 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発熱部材と、前記発熱部材を電磁誘導によって加熱する誘導加熱部と、を備えたことを特徴とする定着装置。
- 前記誘導加熱部のコイル部に印加される交番電流の周波数は10k〜1MHzの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
- 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記誘導加熱部は、前記定着ベルトの外周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項8に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトは、支持ローラと定着補助ローラとに張架され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項9に記載の定着装置。 - 前記支持ローラは、前記誘導加熱部に対して前記定着ベルトを介して対向するように配設されたことを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記誘導加熱部は、前記定着ベルトの外周面及び内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項8に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトは、支持ローラと定着補助ローラとに張架され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設され、
前記誘導加熱部は、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設されたことを特徴とする請求項12に記載の定着装置。 - 前記定着部材は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであって、
前記誘導加熱部は、前記定着ローラの外周面又は/及び内周面に対向することを特徴とする請求項8に記載の定着装置。 - 前記発熱部材は、トナー像を溶融する定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項6〜請求項14のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
前記支持ローラは、前記定着ベルトの外周面に対向する前記誘導加熱部に対して当該定着ベルトを介して対向するように配設され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項15に記載の定着装置。 - 前記定着部材は、定着ベルトであって、
前記加熱部材は、定着補助ローラとともに前記定着ベルトを張架する支持ローラであって、
前記誘導加熱部は、前記定着ベルトの外周面に対向するとともに、前記支持ローラを介して前記定着ベルトの内周面に対向するように配設され、
前記定着補助ローラは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項15に記載の定着装置。 - 請求項6〜請求項17のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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JP2004189704A JP2006011144A (ja) | 2004-06-28 | 2004-06-28 | 発熱部材、定着装置、及び、画像形成装置 |
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JP2008033085A (ja) * | 2006-07-31 | 2008-02-14 | Ricoh Co Ltd | 定着装置、これを用いた画像形成装置 |
JP2008046531A (ja) * | 2006-08-21 | 2008-02-28 | Ricoh Co Ltd | 定着装置及び画像形成装置 |
US7447475B2 (en) | 2005-12-21 | 2008-11-04 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing device and image forming apparatus |
JP2009294398A (ja) * | 2008-06-04 | 2009-12-17 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 定着装置およびこれを備える画像形成装置 |
US7668496B2 (en) | 2006-12-25 | 2010-02-23 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Laminated body, endless belt, fixing device and image forming apparatus |
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