JP2009294398A - 定着装置およびこれを備える画像形成装置 - Google Patents

定着装置およびこれを備える画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定着ローラの過昇温の防止と共に定着性の低下の抑制を図ることが可能な電磁誘導加熱方式の定着装置を提供すること。
【解決手段】芯金111の周囲に断熱層112、キュリー温度以上になると非磁性体に変化する整磁合金層114を介して電磁誘導発熱層115が形成されてなる定着ローラ101の近傍に、ローラ軸方向に延設された励磁コイル131を配置すると共に、励磁コイル131の延設方向両端部に消磁コイル136、137をそれぞれ配置する。小サイズのプリント中に、定着ローラ101の軸方向において当該用紙が通過しない非通紙領域P2のローラ温度が上昇すると、消磁コイル136、137から消磁のための磁束G2と、整磁合金層114の非磁性体への変化に基づく整磁作用による磁束G3とが発せられるようにして、領域P2を通過する励磁コイル131からの磁束G1を打ち消させる。
【選択図】図7

Description

本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置に関する。
プリンタ等の画像形成装置に備えられる定着装置は、通常、回転する定着ローラと加圧ローラを圧接して両ローラ間に定着ニップを確保しつつ、定着ローラを熱源により加熱して、トナー像が形成された用紙を定着ニップを通過させることで、当該トナー像を加熱、加圧して当該用紙に定着させる。
定着装置の熱源には、従来、ハロゲンヒータが多く採用されてきたが、近年、ハロゲンヒータよりも省エネルギー化を図れる電磁誘導加熱方式のものが注目されている。
電磁誘導加熱方式の定着装置として、特許文献1には、電磁誘導発熱層を有する定着ローラと、定着ローラに圧接されて定着ローラとの間に定着ニップを確保する加圧ローラと、定着ローラ周面と所定距離だけ離れた位置にその軸方向に沿って延設され、定着ローラの電磁誘導発熱層を発熱させるための磁束を発生させる励磁コイルと、定着ローラの軸方向両端部に対応する位置に、励磁コイルに重なるように配された消磁コイルとを備えた装置が開示されている。
消磁コイルは、小サイズ紙が使用される場合に、励磁コイルからの磁束を打ち消す方向の磁界を発生させて、定着ニップにおける当該小サイズ紙が通過しない非通紙領域に相当する発熱層の部分の発熱を抑制して、非通紙領域の過昇温を防止する。
特開2007−226126号公報
上記特許文献1の消磁コイルを備える定着装置では、電磁誘導発熱層のうち、消磁により発熱の抑制される領域が用紙サイズに関わらず一定である。従って、例えば最小幅のB5サイズに合わせてB5サイズの用紙が使用されるときの非通紙領域全体に消磁作用が及ぶようにすると、B5サイズよりも少し幅が広い用紙、例えばA4サイズの用紙が使用される場合には、その幅方向端部が消磁作用の及ぶ領域内に入ってしまう。消磁作用が及ぶ領域では、ローラ温度が低下するので、A4用紙では、幅方向両端部の温度が中央の温度よりも下がって、定着性が低下することになる。
このような定着性の低下を防止するには、消磁作用を弱めれば良いが、そうすると定着ローラの両端部の温度が上昇してしまうという問題がある。
定着ローラの両端部の温度が上がり過ぎると、次に大サイズ、例えばA3サイズの用紙が使用されるときに、過昇温になった部分で所謂高温オフセットが生じるばかりか、熱負荷などによりローラ寿命が短くなるなどの影響を受けることになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、定着ローラの過昇温の防止と共に定着性の低下の抑制を図ることが可能な電磁誘導加熱方式の定着装置およびこれを備える画像形成装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、電磁誘導発熱層を有する定着ローラに加圧ローラを圧接して、当該定着ローラと加圧ローラの間に定着ニップを確保すると共に、前記定着ローラ周面から間隔をおいて離れた位置にその軸方向に沿って延設された励磁コイルを含む磁束発生部からの磁束により前記電磁誘導発熱層を発熱させ、搬送されて来るシートを前記定着ニップを通し、当該シート上の未定着画像を当該シートに熱定着する定着装置であって、前記磁束発生部は、前記励磁コイルの延設方向端部側であり、使用されるシートのうち、幅方向長さの最小のシートが前記定着ニップを通過するときのその通紙領域の幅方向外側の非通紙領域に対応するコイル部分に臨設された消磁コイルを備え、前記定着ローラは、低抵抗導電部材の周囲に、前記定着ニップを確保するための弾性層と、所定のキュリー温度を有する整磁合金層を介して前記電磁誘導発熱層が形成されてなることを特徴とする。
ここで、前記「幅方向長さの最小のシート」とは、ユーザにより通常に使用されるシート、具体的には画像形成装置の給紙カセットなどに収容されるシートのうち、その幅方向が最小のシートの意味であり、当該シートに合わせて消磁コイルが設けられることを示している。従って、使用可能であるが、通常に使用されるとはいえないシート、例えばいわゆる手差しにより給送可能な葉書や名刺サイズなどの極めて小さなシートや、オプションの給紙カセットを装着して初めて使用できるサイズのシートなどは除かれる。
また、前記定着ローラの前記非通紙領域に対応する部分の温度を検出する第1検出手段と、前記第1検出手段による検出温度が所定温度を超えると、前記消磁コイルを制御して、前記非通紙領域を消磁させる制御手段と、を備え、前記所定温度は、前記整磁合金層において温度上昇による非磁性体への磁性変化が生じ始める温度よりも高い温度に設定されていることを特徴とする。
ここで、前記「磁性変化が生じ始める温度」とは、整磁合金層が強磁性体の状態から昇温によりキュリー温度以上になって非磁性体に変化するまでの間において、非磁性体への変化が生じ始める温度のことであり、例えば、整磁合金層が加熱されたときに、その温度が略一定の割合で上昇している状態から、上昇率が小さく変化するときのその変化点の温度と規定できる。
さらに、前記定着ローラの前記通紙領域に対応する部分の温度を検出する第2検出手段を備え、前記制御手段は、前記第2検出手段による検出温度に基づいて、前記通紙領域における温度が熱定着のための目標温度に維持されるように前記励磁コイルを制御し、前記キュリー温度をTk、前記目標温度をT0、前記所定温度をT1、前記磁性変化が生じ始める温度をT2としたとき、T0<Tk<T1かつT2<Tkの関係を満たすことを特徴とする。
ここで、前記所定温度は、幅方向長さの異なるシート毎に、その幅方向長さが小さいほど低い温度に設定されていることを特徴とする。
また、前記低抵抗導電部材は、アルミニウムまたは銅からなり、前記定着ローラの軸芯を兼ねることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、シート上に形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、前記定着部として、上記の定着装置を備えることを特徴とする。
このようにすれば、消磁コイルによる消磁の作用と、整磁合金層と低抵抗導電部材による、励磁コイルからの磁束を打ち消す方向の磁束を発生させる作用との相乗により、最小幅のシートよりも幅が少し広いシートが使用される場合に当該シートの幅方向端部における温度低下の抑制を図りつつ、定着ローラの非通紙領域における過昇温を防止して、良好な定着を行うことができる。
以下、本発明に係る定着装置および画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)を例にして説明する。
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、画像プロセス部10と、ベルト搬送部20と、給送部30と、定着部40および制御部50を備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
画像プロセス部10は、Y〜K色のそれぞれに対応する作像部10Y〜10Kを備えている。作像部10Yは、感光体ドラム11Yと、その周囲に配設された帯電器12Y、露光部13Y、現像器14Y、一次転写ローラ15Y、感光体ドラム11Yの表面を清掃するためのクリーナなどを備えており、公知の帯電、露光、現像工程を経て感光体ドラム11Y上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部10M〜10Kについて同様であり、対応する色のトナー像が感光体ドラム11M〜11K上に作像される。
給送部30は、記録用のシートとしての用紙Sを収容する給紙カセット31、32を備え、ジョブ実行時にはユーザにより選択された給紙カセットから用紙Sを搬送路35に向けて1枚ずつ繰り出して、ベルト搬送部20に送る。給紙カセット31、32には、使用される用紙として、例えばB5〜A3サイズの用紙Sが収容可能である。本実施の形態では、用紙Sが搬送路35上の搬送路幅方向略中央の位置を基準に搬送する、いわゆるセンター基準の搬送方式になっている。なお、給紙カセットに収容されている用紙Sのサイズを検出するための公知のサイズ検出センサ(不図示)が配設されている。サイズ検出センサによる検出信号は、制御部50に送られる。
ベルト搬送部20は、矢印方向に循環走行される搬送ベルト21を備え、給送部30からの用紙Sを搬送ベルト21に密着させた状態で感光体ドラム11Y〜11Kの転写位置に順次搬送する。用紙Sが各転写位置を通過する際に、各転写位置において転写ローラ15Y〜15Kと感光体ドラム11Y〜11K間に生じる電界による静電力の作用を受けて感光体ドラム11Y〜11K上のトナー像が用紙S上に多重転写される。この際、各色の作像動作は、用紙S上において同じ位置に転写されるようにタイミングをずらして実行される。各色トナー像が転写された後、用紙Sは、搬送ベルト21から離間して定着部40に送られる。
定着部40は、電磁誘導加熱方式によるものであり、搬送ベルト21から送られて来る用紙Sを加熱、加圧して、用紙S上の各色トナー像を定着させる。定着後の用紙Sは、排出トレイ39上に排出される。
なお、装置前面の、ユーザが操作し易い位置には、操作パネル60が配置されている。操作パネル60には、ユーザからの操作入力を受け付けるためのキー、例えば用紙選択キーなどを備える。ユーザは、用紙選択キーを操作することにより、自己が所望する用紙とその通紙方向をその用紙が収容された給紙カセットを指定することにより選択することができる。操作パネル60は、受け付けた入力情報を制御部50に送る。
制御部50は、操作パネル60からの入力情報によりユーザにより選択された用紙を判断することができる。プリント実行時には、給送部30を制御して、選択された用紙が収容されている給紙カセットから当該用紙Sを搬送路35に繰り出させる。
図2は、定着部40の構成を示す斜視図であり、図3は、定着部40の概略平面図であり、図4は、図3のD−D線における定着部40の矢視横断面図である。なお、図2では、構成を判り易くするために一部を切り欠いて示している。また、図3は、図2に示すカバー139を取り外した状態になっている。
各図に示すように、定着部40は、定着ローラ101と、加圧ローラ102と、磁束発生部103と、励磁コイル駆動回路104(図11)と、スイッチング回路105(図11)を備える。
定着ローラ101は、芯金111(図4)の周囲に断熱層112が形成されてなるローラ本体110と、ローラ本体110の外周に嵌め込まれたスリーブ113とから構成される。
芯金111は、低抵抗導電材料として例えば銅などからなる円柱状の軸状部材である。
断熱層112は、断熱性の高い弾性材料、例えばゴム材や樹脂材のスポンジ体が用いられており、その厚みLが約10〔mm〕になっている。
スリーブ113は、図5に示すように、断熱層112側から整磁合金層114、発熱層115、弾性層116、離型層117の順に積層されてなる。
整磁合金層114は、ニッケルと鉄の合金などの磁性金属層からなり、厚みが約30〔μm〕であり、所定温度(キュリー温度)以上になると非磁性体に変化する特性を有する。整磁合金層114を設けた理由については、後述する。
発熱層115は、厚みが約10〔μm〕のニッケルなどからなり、磁束発生部103から発せられる磁束により発熱する。なお、発熱層115の材料は、電磁誘導発熱するものであればニッケルに限られず、例えば鉄や銅などを用いることもできる。
弾性層116は、厚みが約200〔μm〕の耐熱性を有するシリコンゴムなどからなる弾性部材であり、用紙Sと定着ローラ101の表面との密着性を高める役割を果たす。
最外層の離型層117は、厚みが約20〔μm〕のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などからなり、定着ローラ101の表面の離型性を高める役割を果たしている。
定着ローラ101の軸方向(用紙Sの幅方向に相当)長さは、最大サイズ、例えばA3サイズの用紙が縦方向(用紙の長辺が用紙搬送方向に平行な方向に搬送されるときの用紙の向き)に通紙された場合におけるシートの幅方向長さよりも長くなっている。以下、用紙を縦方向に搬送することを縦通紙という。図2では、最小サイズのB5サイズの用紙が縦通紙されている様子を示している。
加圧ローラ102は、長尺で円柱状の芯金121の周囲に、弾性層122を介して離型層123が積層されてなり、図示しないバネなどを含む押圧手段により定着ローラ101に押圧され、定着ローラ101との間に定着ニップ107を確保する。
芯金121は、アルミニウム等からなり、弾性層122は、シリコンスポンジゴム等からなり、離型層123は、PFAやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)コート等からなる。
定着ローラ101と加圧ローラ102は、芯金111、121の軸方向両端部が図示しないフレームに軸受部材などを介して回転自在に支持されると共に、加圧ローラ102は、駆動モータ(不図示)からの駆動力により矢印B方向に回転駆動される。この加圧ローラ102の回転に伴って、定着ローラ101が矢印A方向に従動回転する。
磁束発生部103は、励磁コイル131と、メインコア132と、裾コア133と、温度検出センサ134、135(図4)と、消磁コイル136、137(図3)と、コイルボビン138と、カバー139を有し、定着ローラ101の軸方向に沿うように延設される。
コイルボビン138は、用紙幅方向に伸びる長尺状の部材であり、定着ローラ101の表面に対向する面が定着ローラ101の周方向に沿って円弧状に湾曲すると共に、定着ローラ101の周面との間に所定の間隔、例えば3〔mm〕の間隔が開くように、その長手方向両端部が図示しないフレームなどに固定されている。励磁コイル131、メインコア132、裾コア133、消磁コイル136、137は、コイルボビン138の、定着ローラ101側とは反対側の面に配置される。
励磁コイル131は、用紙幅方向に沿って長く伸びると共に横断面が円弧状の形状になるようにコイルボビン138に導線を巻き回してなる。励磁コイル131の長手方向長さは、定着ローラ101の軸方向長さよりもやや長くなっている。励磁コイル131は、公知の高周波インバータを含む励磁コイル駆動回路104に接続され、励磁コイル駆動回路104からの交流電力の供給により、定着ローラ101の発熱層115を発熱させるための磁束を発生させる。
メインコア132、裾コア133は、高透磁率のフェライトなどからなり、励磁コイル131から発せられた磁束を定着ローラ101に導く。定着ローラ101に導かれた磁束は、定着ローラ101の発熱層115の、主に磁束発生部103に対向する部分を貫き、この発熱層115の部分に渦電流を発生させて発熱層115を発熱させる。この発熱量が用紙幅方向にどの位置でも略均一になるように、励磁コイル131、メインコア132や裾コア133の大きさ、形状等が設定されている。
発熱層115の発熱した部分の熱が定着ローラ101の回転により定着ニップ107の位置で加圧ローラ102に伝わることにより定着ニップ107の温度が昇温される。
温度検出センサ134は、非接触式の温度センサであり、コイルボビン138の長手方向略中央部に設けられた貫通孔を介して定着ローラ101の表面を臨む位置に配され、定着ローラ101の軸方向略中央部における表面温度(ローラ温度)を検出する。この中央部は、搬送路35上における幅方向略中央の位置に相当する。本実施の形態では、上記のようにセンター基準の搬送方式なので、当該中央部は、どのサイズの用紙Sが使用される場合でもその用紙Sの幅方向における中央に略一致し、全てのサイズの用紙Sについてその通過領域内に存することになる。
温度検出センサ135は、非接触式の温度センサであり、コイルボビン138の長手方向一方端であり定着ローラ101の表面を臨む位置に配され、定着ローラ101の軸方向一方端の部分におけるローラ温度を検出する。この一方端の部分とは、どのサイズの用紙が使用される場合でも用紙の通過領域から外れている領域内のある部分を示している。
温度検出センサ134、135による検出信号は、制御部50に送られる。
制御部50のCPU52(図11参照)は、温度検出センサ134、135からの検出信号により現在のローラ温度を検出する。本実施の形態では、温度検出センサ134の検出信号に基づき定着ローラ101の略中央部のローラ温度が目標温度T0(定着に必要な温度:例えば180〔℃〕)に維持されるように励磁コイル131への電力供給を制御する。ローラ温度が目標温度T0に維持された状態で用紙Sが定着ニップ107を通過する際に、用紙S上の未定着のトナー像が加熱、加圧されて当該用紙S上に熱定着される。
また、CPU52は、温度検出センサ135の検出信号に基づき、定着ローラ101の一方端のローラ温度が所定温度T1を超えると、消磁コイル136、137による消磁を行わせる。
消磁コイル136、137は、励磁コイル131の、定着ローラ101の両端部に対応するコイル部分に重ねられるようにして配置されている。消磁コイル136、137は、スイッチング回路105に接続されており、スイッチング回路105により閉回路に切り換えられると、励磁コイル131から発せられる磁界を打ち消す方向の磁界を発生させて、定着ローラ101の発熱層115のうち、消磁コイル136、137に対応する部分の発熱を抑制させる。
図6は、消磁コイル136、137と定着ニップ107を通過する用紙Sとの位置関係を説明するための模式図である。同図に示すように、消磁コイル136、137は、縦通紙されるB5サイズの用紙Sが定着ニップ107を通過する領域N(B5T幅:最小幅)の外側の領域Pに対応する位置に配されている。本実施の形態では、消磁コイル136、137により定着ローラ101の発熱層115の領域Pに相当する部分の発熱が抑制される。以下、消磁コイル136、137をまとめていうときは、単に消磁コイルといい、消磁コイルにより発熱が抑制される作用を消磁作用という。
消磁作用が及ぶ領域Pは、用紙サイズに関わらず一定である。なお、領域Pのうち、A4サイズの用紙(以下、「A4用紙」という。)Sが縦通紙される場合の通紙領域(A4T幅)に重なる領域を領域P1、重ならない領域を領域P2という。
領域P1は、A4用紙が縦通紙される場合に当該A4用紙の幅方向端部が通過する領域に相当し、消磁作用に加えて当該A4用紙により熱を奪われるので、領域P2(熱を奪われない領域)よりもローラ温度が低下することになる。
このとき、従来のように消磁作用を弱めると領域P1のローラ温度を上昇させることができるが、領域P2のローラ温度も上昇してしまい、過昇温を防止できない。
そこで、本実施の形態では、消磁コイルによる消磁作用に加えて、整磁合金層114の温度による磁性の変化特性を利用することにより過昇温の防止を図っている。以下、図7を用いて具体的に説明する。
図7は、A4用紙を縦通紙した場合における発熱層115と整磁合金層114を通過する磁束の様子を模式的に示す図であり、図7(a)は、領域N、図7(b)は、領域P1、図7(c)は、領域P2にそれぞれ相当する部分の例を示している。
図7(a)に示すように、領域Nでは、励磁コイル131からの磁束G1が発熱層115と整磁合金層114を通り抜けることにより、主に発熱層115が発熱して、目標温度T0に維持される。磁束G1の密度は、用紙幅方向にそれぞれの位置で略一様である。
領域P1では、図7(b)に示すように磁束G1により発熱層115が発熱するが、消磁コイルからの磁束G2による消磁作用の影響を受ける。従って、領域P1では、発熱量がある程度抑制されることになり、磁束G2による消磁作用の影響を受けない領域Nよりもローラ温度がある程度下がることになる。領域P1は、領域Nと同様にA4用紙の通過領域であるため、温度差はできるだけ少ない方が望ましく、そのために消磁コイルによる消磁作用が従来よりも弱められている。
一方、領域P2は、A4用紙が通過しない領域なので、用紙に熱を奪われることがなく、温度が上昇し易い。領域P2のローラ温度が上昇して、ある温度を超えると、整磁合金層114が非磁性体に変化し始め、図7(c)に示すように芯金111において磁束G1を打ち消す方向の磁束G3が発生する。
これにより強磁性体のときよりも磁束G1の発熱層115への収束が弱まり(発散傾向になり)始めると共に、磁束G1が発熱層115から整磁合金層114、断熱層112を介して芯金111までの間を通り抜け易くなっていく。この作用は、キュリー温度Tkに達するまで継続され、キュリー温度Tk以上になると最大になる。
このようになると発熱層115を貫く磁束の割合の低減に加えて、反磁性体の銅からなる芯金111において、その磁束を打ち消す方向の渦電流によるキャンセル磁界が発生する。このキャンセル磁界による磁束G3と消磁コイルの磁束G2が相乗され、領域P2における磁束G1が打ち消されるようになって、領域P2において発熱層115の発熱が抑制される。以下、整磁合金層114の磁性変化により発熱が抑えられる作用を整磁作用といい、この整磁作用が働き始める温度(上記のある温度に相当)を発動温度T2という。
発動温度T2は、例えば整磁合金層114が加熱されたときに、その温度が略一定の割合で上昇している(単位時間当たりの上昇率(傾き)が略一定である)状態から、その上昇率が小さく(傾きがゆるく)変化するときのその変化点における温度と規定することができる。
整磁作用は、定着ローラ101のうち、発動温度T2を超えた部分に主に働き、温度T2以下の部分ではほとんど働かない。なお、発動温度T2を超えた部分であっても、再びT2以下になると磁性を取り戻す。これにより整磁作用が働かなくなる。
このことから、例えば温度T0≦T2<Tk<T1の関係を満たすようにすれば、領域P2では、温度T1を超えたときに消磁作用が働くと共に、その時点では整磁作用が最大限に働いているはずなので、これらの相乗により発熱抑制の効果を最も発揮することができる。整磁作用による発熱抑制の効果の分だけ、消磁コイルのみを備える従来構成よりも消磁作用を弱めることが可能になる。
一方、領域P1では、温度T0よりもある程度温度が下がるが、消磁作用が従来構成よりも弱められるので、領域Nとの温度差が従来構成よりも少なくなる。また、領域P1の温度は、温度T0よりも下がるので整磁作用は働かない。
領域Nでは、温度T0に維持されるので整磁作用がほとんど働かず、元々消磁作用も働かないので、磁束G1による発熱を効率良く行うことができる。
なお、整磁作用をより強める方法の例として、整磁合金層114と芯金111との間隔を縮めて磁束G3による打ち消しの効果をより高める方法がある。この方法をとる場合、断熱層112の厚みLを薄くすれば良いが、断熱層112の厚みを薄くするほど定着ニップ107を必要な量、確保することが困難になるため、実際には定着ニップ107を確保できる範囲で厚みLの量が設定されることになる。
図8は、本実施の形態に係る定着ローラ101の軸方向における温度分布を示す図である。同図のグラフにおいて、位置0〔mm〕のところが搬送路35の幅方向中央の位置に相当する。同図は、公知の温度分布解析ソフトを用いて温度分布をシミュレーションしたものであり、用紙を連続して10枚通紙したときの通紙直後の温度を示している。なお、温度T0は、上記目標温度T0であり、ここでは180〔℃〕である。また、温度T1は、上記所定温度T1であり、ここでは185〔℃〕である。発動温度T2は、約180〔℃〕としている。
同図に示すように、A4用紙(実線のグラフ)を用いた場合、領域P1の温度は、目標温度T0よりもやや低下しているものの、その低下量は、数℃程度に収まっており、中央の領域Nとの温度差が大変小さく、定着不良や定着ムラの発生には至らない。
一方、領域P2の温度は、温度T1に略等しく、定着ローラ101等の熱劣化の進行が早まり易い温度範囲、例えば200〔℃〕以上の高温域に入っておらず、発熱抑制の効果が十分に発揮されていることが判る。なお、同図は、10枚の用紙を連続通紙した直後の結果であるが、引き続いてさらに多数枚、例えば10枚の用紙を連続通紙すると、本実施の形態に係る定着部40の構成では、領域Pの温度が徐々に上昇することになる。
このようになるのは、領域P1の温度の低下をできるだけ抑えつつ領域P2の温度上昇を抑制するために、整磁作用を発揮させながら消磁作用をできるだけ弱くしているからである。従って、10枚連続通紙直後の時点では、領域P2の温度が高温域に入っていなくても、続いてさらに10枚の連続通紙を行うと、高温域に入ってしまうこともある。そこで、本実施の形態では、10枚の連続通紙直後の温度が190〔℃〕以下、ここでは185〔℃〕になるようにして、20枚の連続通紙直後でも領域P2の温度が高温域に入ることがないように構成している。
このように構成することで、少なくとも20枚のA4用紙を連続通紙しても、領域P2の温度が高温域に至ることなく、領域P1の温度低下を少なくすることができる。
図9は、消磁コイルのみを備える従来相当の構成における温度分布を示す図であり、図10は、整磁合金層を備えるが消磁コイルを備えない構成における温度分布を示す図である。両図とも本実施の形態に対する比較例として、10枚の連続通紙直後における温度分布をシミュレーションにより現している。
図9に示すように、消磁コイルのみを備える構成においてA4用紙を用いる場合、用紙サイズに応じて電力調整を行わない制御(破線)では、消磁作用が強すぎて領域P2の温度を抑えることができても、領域P1の温度が150〔℃〕程度まで下がってしまい、定着不良が発生してしまう。これに対し、電力調整を行う制御(一点鎖線)では、破線よりも消磁作用が弱められるため、領域P1の温度の落ち込み量が少なくなるが、それでも10〔℃〕程度下がっており、かつ領域P2の温度は高温域に入っている。
10枚の連続通紙直後でも高温域に入っていることからすると、20枚の連続通紙直後では、さらに温度が上がることになり、熱劣化の進行を早めることになってしまう。なお、同図では、消磁コイルさえも備えない構成のグラフを二点鎖線で示している。この構成では、領域P(P1とP2共)の温度が約230〔℃〕まで上昇することになる。
一方、図10に示すように、整磁合金層を備えるが消磁コイルを備えない構成では、A4用紙を用いる場合、領域NとP1では同様にA4用紙に熱を奪われるので、領域P1の温度は、領域Nの温度と略同じになり、T0=T2の場合、領域N、P1では、ローラ温度の微小な変動幅に応じて整磁作用が少し働く状態と働かない状態とが繰り返される。
領域P2では、A4用紙に熱を奪われないため温度が上昇し、その温度を整磁作用だけで抑制せざるを得ないが、上記のように定着ニップ107の確保のために断熱層112の厚みLをある程度大きな値に設定しており、整磁合金層114と芯金111との間隔が大きくなっていることから整磁作用だけでは温度上昇を止められず、高温域に達してしまっている。このようになると、上記図9と同様に20枚の連続通紙直後では、さらに温度が上がることになり、熱劣化の進行を早めることになる。
これに対し、本実施の形態では、上記のように消磁作用と整磁作用が相乗されることにより、定着ニップ107の確保と共に、領域P1のローラ温度の低下を抑制しつつ領域P2のローラ温度の過昇温を防止して、良好な定着を行うことができる。なお、上記の温度、通紙枚数、用紙サイズなどが一例であることはいうまでもなく、装置構成による許容温度範囲や連続通紙枚数の値などに応じて、整磁作用と消磁作用の相乗による効果の程度が実験などから決められる。
上記では、A4用紙を用いる場合の例を説明したが、他のサイズ、例えばB4サイズの用紙が縦通紙される場合も同様に、消磁作用と整磁作用による領域P1(領域PのうちB4用紙が通過する部分)の温度低下を抑制しつつ、領域P2(領域PのうちB4用紙が通過しない部分)の過昇温を防止することができる。この際、所定温度T1については、使用される用紙について、その幅方向長さが長くなる(用紙幅が広くなる)ほど高い温度に切り換えられるようになっている。このようにしているのは、次の理由による。
すなわち、用紙幅が広くなるほど幅方向にその用紙に奪われる熱量が多くなるので、消磁作用を弱めても過昇温には至り難い。また、領域NとP1の温度差は、消磁作用を弱めた方がより少なくなり、消磁作用が働いていない状態で最も少なくなる。定着性の点からすれば、領域NとP1の温度差が少ない状態がより長く続く方が好ましい。
消磁作用の働いていない状態をより長くとるには、消磁作用がより遅く開始されれば良く、消磁作用をより遅く開始するには、消磁作用の契機となる所定温度T1を高くすれば良い。一方で、消磁作用の開始を遅らせても、用紙幅の広い用紙を用いる場合には、上記のように過昇温には至り難い。
そこで、本実施の形態では、使用される用紙毎にその用紙幅が広いほど所定温度T1を高くなるように設定を切り換えることにより、過昇温を防止しつつ消磁作用の働く時間を短くして領域NとP1の温度差を低減させて、定着性のさらなる向上を図るものである。
このような温調制御を以下、制御部50の構成と共に具体的に説明する。
図11は、制御部50の構成を示すブロック図である。
同図の示すように制御部50は、主な構成要素として通信インターフェース(I/F)部51、CPU52、ROM53、RAM54および用紙/温度対応情報格納部55などを備え、バス59を介して相互に信号をやりとりできるようになっている。
通信I/F部51は、LANカード、LANボードといったLANに接続するためのインターフェースである。
用紙/温度対応情報格納部55は、使用される用紙のサイズと通紙方向と、消磁作用を発動させる閾値となる所定温度T1とを対応させた用紙/温度対応情報を格納している。具体的には、例えばA4縦通紙の場合に所定温度T1=185〔℃〕、B4縦通紙の場合に所定温度T1=190〔℃〕といった具合である。
CPU52は、ROM53から必要なプログラムを読み出して、画像プロセス部10、ベルト搬送部20、給送部30などの動作をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なプリント動作を実行させる。また、操作パネル60からの入力信号を参照して、例えばジョブ実行に際しユーザがどの給紙カセットを選択したのかを判断する。
また、CPU52は、温度検出センサ134からの検出信号を参照して定着ローラ101の略中央部のローラ温度を検出し、検出したローラ温度が目標温度T0以下の場合には、励磁コイル駆動回路104に指示して励磁コイル131に交流電力を供給させ、目標温度T0を超えている場合には、交流電力の供給を停止させる。
さらに、温度検出センサ135からの検出信号を参照して定着ローラ101の一方端のローラ温度を検出し、検出したローラ温度が所定温度T1を超えている場合には、スイッチング回路105に指示して閉回路を形成させる。ここでは、スイッチング回路105に設けられているスイッチ(不図示)が閉じられることにより、消磁コイルを含む閉回路が形成され、消磁作用が働く状態になるようになっている。
一方、検出したローラ温度が所定温度T1以下の場合には、閉回路を遮断させる。ここでは、スイッチング回路105のスイッチが開くことにより、消磁コイルを含む閉回路が遮断され(回路が開いた状態に切り換わり)、消磁作用が働かない状態になる。以下、閉回路を消磁コイルが閉の状態、閉回路の遮断を消磁コイルが開の状態という。
図12は、消磁コイルの開閉制御処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、CPU52によりプリント中に実行される。
同図に示すように、スイッチング回路105に指示して、消磁コイルを開の状態にさせる(ステップS1)。そして、使用される用紙のサイズと通紙方向を判断し、判断したサイズと通紙方向がA3縦通紙である場合には(ステップS2で「YES」)、そのまま当該処理を終了する。A3縦通紙の場合には、消磁作用が働かない。なお、用紙のサイズと通紙方向の判断は、ユーザによる操作パネル60からの用紙選択キーの入力を受け付けることにより行われる。なお、搬送中の用紙のサイズと通紙方向を検出するためのセンサ等を搬送路近辺に配置して、そのセンサの検出結果から現に搬送されている用紙のサイズと通紙方向を自動的に判断する構成をとることもできる。
A3縦通紙ではなく、B5縦通紙と判断すると(ステップS2で「NO」、S3で「YES」)、用紙/温度対応情報格納部55に格納されている用紙/温度対応情報を参照し、B5縦通紙に対応する所定温度T1、上記例では180〔℃〕を示す情報を読み出して、読み出した温度を所定温度T1に設定し(ステップS4)、ステップS8に移る。当該情報を参照して所定温度T1の値を設定することは、他のサイズについて同様である。
一方、A4縦通紙と判断すると(ステップS3で「NO」、S5で「YES」)、A4縦通紙に対応する所定温度T1、例えば185〔℃〕に設定し(ステップS6)、ステップS8に移る。
また、A3、B5、A4縦通紙ではない、例えばB4縦通紙と判断するとと(ステップS5で「NO」、S7で「YES」)、B4縦通紙に対応する所定温度T1、例えば190〔℃〕に設定し(ステップS7)、ステップS8に移る。
ステップS8では、温度検出センサ135からの検出信号に基づき現在の定着ローラ101の端部温度を検出し、その検出温度が上記設定された所定温度T1よりも高いと判断すると(ステップS8で「YES」)、スイッチング回路105に指示して、消磁コイルを閉の状態にさせて(ステップS9)、ステップS11に移る。これにより、消磁作用が働き始め(既に整磁作用は働いている)、定着ローラ101における領域P2のローラ温度が下降に転じる。
一方、検出温度が所定温度T1以下と判断すると(ステップS8で「NO」)、消磁コイルを開の状態にさせて(ステップS10)、ステップS11に移る。その時点で開の状態であればそのまま開の状態が継続される。これにより、消磁作用の働きが停止する。
ステップS11では、プリント終了か否かを判断する。プリントが終了しておらずプリント中であることを判断すると(ステップS11で「NO」)、ステップS8に戻り、ステップS8以降の処理を実行する。ステップS11においてプリント終了と判断されるまで、ステップS8〜S11の処理が繰り返し実行される。消磁コイルの開閉の切換により定着ローラ101における領域P2のローラ温度が略、所定温度T1に維持される。
プリント終了と判断されると(ステップS11で「YES」)、当該処理を終了する。
以上、説明したように本実施の形態では、消磁コイルによる消磁作用に整磁合金による整磁作用の働きが相乗されるようにしたので、消磁コイルだけが配される構成に比べて消磁作用の働きを抑えることができ、定着ローラ101の端部の過昇温を防止すると共に、用紙通過領域であり消磁作用が働かない領域Nと消磁作用が働く領域P1との温度差を低減して定着性の向上を図ることができる。
また、整磁合金層を配する構成をとる場合、必要な定着ニップ107を確保しようとすると、整磁合金層114と芯金111の間に介在する断熱層(弾性層)112の厚みLを薄くできない。そのため、整磁合金層114と芯金111とを近接配置できなくなり整磁作用だけでは過昇温を防止することが困難であるが、本実施の形態のように消磁作用が相乗されることにより、必要な定着ニップ107を確保しつつ過昇温防止も実現できるようになる。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、温度T0≦T2<Tk<T1の関係を満たす構成例を説明したが、消磁作用と整磁作用の相乗により、領域NとP1の温度差を抑制しつつ領域P2の過昇温を防止することができれば、上記の関係に限られることはない。
例えば、T2<T0<Tk<T1とすることができる。T2<T0とすると、例えばA4縦通紙の場合、領域Nについてはローラ温度が目標温度T0に維持されている状態で整磁作用がある程度働き、領域P1については温度T0よりも低下する温度の程度によっては整磁作用がある程度働いたり働かなかったりするが、両領域に働く作用の差分は、一方がゼロ、他方が最大限まで作用する場合に比べて小さく、かつ消磁作用の働きも弱められているので、領域NとP1の温度差が定着ムラに至る程度まで大きくなることはない。領域P2については、上記同様に整磁作用と消磁作用が相乗されるのでローラ温度の過昇温が防止される。
また、T0<T2<T1の関係としても良い。なお、T2<Tkとしたが、例えば両者の差がほとんどないような場合にはT2をTkに設定する(T2=Tk)としても良い。
さらに、Tk<T0<T1とすることもできる。この場合、定着の際には常時、整磁作用が働いていることになり、整磁作用を最大限に発揮させつつ消磁作用をできるだけ低減させた構成をとることができる。また、T2<T1<Tkとすることもできる。この場合、少なくとも消磁作用が働く時点では整磁作用がある程度働いている状態になる。装置構成に応じて上記各温度について適切な大小関係が実験などから決められる。
(2)上記実施の形態では、消磁コイルとして、閉回路を形成すると励磁コイル131からの磁束により、その磁界を打ち消す方向の磁界を発生させるものを用いたが、消磁作用が発揮されるものであれば、これに限られない。例えば、電力供給を受けて、励磁コイル131による磁界をキャンセルする磁界を発生させるコイルを用いることもできる。
(3)上記実施の形態では、用紙幅に応じて所定温度T1の値を切り換えて設定する構成例を説明したが、これに限られない。定着性に影響を与えないような場合には、例えば所定温度T1を固定値として設定する構成をとるとしても構わない。
また、定着ローラ101の一方端の部分におけるローラ温度を検出して、その検出結果から消磁コイルを作動の要否を判断するとしたが、ローラ温度の検出箇所は、これに限られない。最小幅の用紙(上記例ではB5)が定着ニップ107を通過する際の通過領域よりも外側の非通紙領域内であれば良い。例えば、最大幅のA3縦通紙を行う場合のA3用紙の幅方向端部付近に相当する箇所の温度を検出するとしても良い。
(4)上記実施の形態では、定着ローラ101を、ローラ本体110の外周にスリーブ113が嵌め込まれつつ、ローラ本体110とスリーブ113が接着剤などにより接着される構成のものを用いたが、これに限られない。例えば、接着せずに、熱膨張によりスリーブ113がローラ本体110に密着する構成のものを用いることもできる。
(5)上記実施の形態では、整磁合金層114の材料をニッケルと鉄としたが、整磁作用を発揮できる材料であれば、これらに限られることはない。また、低抵抗導電部材としての芯金111の材料を銅としたが、これに限られない。整磁作用が働き易い低抵抗導電材料、例えばアルミニウムなどを用いることができる。また、表面に低抵抗導電材料としての金や銀などを鍍金したものを芯金として用いるとしても良い。
(6)さらに、発熱層115の材料としてニッケルを用いるとしたが、電磁誘導発熱するものであれば、これに限られず、例えば鉄、アルミニウムなどを用いることもできる。また、断熱層112の厚みLは、定着ニップ107を確保できるだけの厚みがあれば良く、上記の値に限られないことはいうまでもない。
(7)上記実施の形態では、本発明に係る定着装置および画像形成装置をタンデム型カラーデジタルプリンタに適用した場合の例を説明したが、これに限られない。カラーやモノクロの画像形成に関わらず、(a)低抵抗導電部材の周囲に、定着ニップを確保するための弾性層、整磁合金からなる金属層を介して電磁誘導発熱層が形成されてなる定着ローラを加圧ローラで押圧して定着ニップを確保すると共に、(b)定着ローラの周面から所定距離だけ離れた位置にその軸方向に沿って延設された励磁コイルを含む磁束発生部を配置しつつ、(c)励磁コイルの延設方向端部側であり、使用されるシートのうち、幅方向長さの最小のシートが定着ニップを通過するときのその通紙領域の幅方向外側の非通紙領域に対応するコイル部分に消磁コイルが臨設された構成の電磁誘導加熱方式の定着装置、およびこれを備える画像形成装置であれば、例えば複写機、FAX、MFP(Multiple Function Peripheral)等に適用できる。
さらに、上記ではセンター基準の搬送方式の構成例を説明したが、これに限られない。例えば、シートSの搬送路幅方向一端側の辺が搬送路35の一方端側に設けられた基準位置に沿うようにシートSを搬送する、いわゆる片側基準の搬送方式にも適用できる。この場合、例えば消磁コイルは、定着ローラの軸方向に基準位置の反対側の一方端に配することができる。もちろん、使用される用紙Sのサイズも上記のものに限られることはない。
また、上記では最小サイズをB5用紙とし、B5用紙が通過する領域の用紙幅方向外側の非通紙領域に対応する位置に消磁コイルを配設するとしたが、最小サイズの用紙がB5に限られないことはいうまでもない。ユーザが通常に使用する用紙のうち、最小の用紙に対する非通紙領域に合わせて消磁コイルを配置すれば良い。
通常に使用される用紙とは、例えば給紙カセットに収容可能などユーザの使用頻度の高いと想定される用紙とすることができる。使用可能であるがあまり使用されない用紙、例えば葉書や名刺などの極小サイズの用紙などに対応して消磁コイルを設けると、そのサイズよりも大きく使用頻度の高い中程度のサイズの用紙全てについて、用紙幅方向の端部で消磁作用が働き、中央部で働かないといったことが生じるということになってしまう。
従って、どのサイズの用紙に対応して消磁コイルを設けるのが適切であるかが、消磁作用、過昇温防止、用紙の使用頻度の関係から装置構成に応じて決められ、その決められた用紙のサイズが最小サイズということになる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置に適用することができる。
実施の形態に係るプリンタの全体の構成を示す図である。 プリンタに配される定着部の構成を示す斜視図である。 定着部の概略平面図である。 定着部の構成を示す横断面図である。 定着部に配される定着ローラのスリーブの構成を示す断面図である。 定着部に配される消磁コイルと定着ニップを通過する用紙Sとの位置関係を説明するための模式図である。 A4用紙を縦通紙した場合における定着ローラの発熱層と整磁合金層を通過する磁束の様子を模式的に示す図である。 定着ローラの軸方向における温度分布を示す図である。 消磁コイルのみを備える従来相当の構成における温度分布の例を示す図である。 整磁合金層を備え、消磁コイルを備えない構成における温度分布の例を示す図である。 プリンタに配される制御部の構成を示すブロック図である。 消磁コイルの開閉制御処理の内容を示すフローチャートである。
符号の説明
1 プリンタ
40 定着部
50 制御部
101 定着ローラ
102 加圧ローラ
103 磁束発生部
107 定着ニップ
111 芯金
112 断熱層(弾性層)
114 整磁合金層
115 発熱層
131 励磁コイル
134、135 温度検出センサ
136、137 消磁コイル

Claims (6)

  1. 電磁誘導発熱層を有する定着ローラに加圧ローラを圧接して、当該定着ローラと加圧ローラの間に定着ニップを確保すると共に、前記定着ローラ周面から間隔をおいて離れた位置にその軸方向に沿って延設された励磁コイルを含む磁束発生部からの磁束により前記電磁誘導発熱層を発熱させ、搬送されて来るシートを前記定着ニップを通し、当該シート上の未定着画像を当該シートに熱定着する定着装置であって、
    前記磁束発生部は、
    前記励磁コイルの延設方向端部側であり、使用されるシートのうち、幅方向長さの最小のシートが前記定着ニップを通過するときのその通紙領域の幅方向外側の非通紙領域に対応するコイル部分に臨設された消磁コイルを備え、
    前記定着ローラは、
    低抵抗導電部材の周囲に、前記定着ニップを確保するための弾性層と、所定のキュリー温度を有する整磁合金層を介して前記電磁誘導発熱層が形成されてなることを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着ローラの前記非通紙領域に対応する部分の温度を検出する第1検出手段と、
    前記第1検出手段による検出温度が所定温度を超えると、前記消磁コイルを制御して、前記非通紙領域を消磁させる制御手段と、を備え、
    前記所定温度は、
    前記整磁合金層において温度上昇による非磁性体への磁性変化が生じ始める温度よりも高い温度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着ローラの前記通紙領域に対応する部分の温度を検出する第2検出手段を備え、
    前記制御手段は、
    前記第2検出手段による検出温度に基づいて、前記通紙領域における温度が熱定着のための目標温度に維持されるように前記励磁コイルを制御し、
    前記キュリー温度をTk、前記目標温度をT0、前記所定温度をT1、前記磁性変化が生じ始める温度をT2としたとき、
    T0<Tk<T1かつT2<Tkの関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記所定温度は、
    幅方向長さの異なるシート毎に、その幅方向長さが小さいほど低い温度に設定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の定着装置。
  5. 前記低抵抗導電部材は、
    アルミニウムまたは銅からなり、
    前記定着ローラの軸芯を兼ねることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. シート上に形成された未定着画像を定着部により熱定着する画像形成装置であって、
    前記定着部として、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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