JP2008046531A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡易な構成で昇温効率が高く、ニップ部におけるニップ量が充分に確保されて出力画像上における定着性が良好で、効率のよい自己温度制御性が確保されて定着ローラの過昇温が確実に防止される、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】磁束を発生させる磁束発生手段24と、磁束によって加熱される発熱層20bと発熱層20bの温度がキューリー点に達したときに磁束を制御する磁束制御層20dとを具備する定着ローラ20と、定着ローラ20とのニップ部に搬送される記録媒体Pを加圧する加圧ローラ30と、を備える。定着ローラ20は、外周面側から内部に向けて離型層20a、発熱層20b、第1弾性層20c、磁束制御層20d、第2弾性層20e、芯金層20fの少なくとも6層が順次形成される。
【選択図】図2

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、定着ローラが設置された電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、装置の立ち上がり時間が短く省エネルギー化された、電磁誘導加熱方式の定着装置が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1等において、電磁誘導加熱方式の定着装置は、発熱層(磁性層)を有する定着ローラ(加熱ローラ)、定着ローラに対向する磁束発生手段(励磁部材)、定着ローラに圧接する加圧ローラ、等で構成される。
そして、定着ローラ(発熱層)は、磁束発生手段との対向位置で加熱される。加熱された定着ローラは、加圧ローラとの当接位置(ニップ部である。)に搬送される記録媒体上のトナー像を加熱して定着する。詳しくは、磁束発生手段に高周波の交番電流を流すことで、磁束発生手段の周囲に交番磁界が形成されて、定着ローラの発熱層に渦電流が生じる。発熱層に渦電流が生じると、発熱層の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、定着ローラ全体が加熱される。
このような電磁誘導加熱方式の定着装置は、発熱部材が電磁誘導によって直接的に加熱されるために、熱ローラ方式(ヒータランプ加熱方式)等の他方式のものに比べて熱変換効率が高く、少ないエネルギー消費で短い立ち上げ時間にて定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
特に、定着ローラを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置は、定着ベルトを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置(例えば、特許文献2参照。)に比べて、部品点数が少なくて装置の構成がコンパクトであるとともに、熱容量が小さくて昇温特性に優れている。
その一方で、電磁誘導加熱方式の定着装置は、幅方向サイズが小さな記録媒体(小サイズ紙)を連続的に定着した場合等に、定着ローラの両端部が過昇温しやすいことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
これに対して、特許文献1等には、定着ローラの発熱層を所定のキューリー点を有する整磁合金で構成する技術が開示されている。この技術は、発熱層に自己温度制御性をもたせることで、定着ローラの一部が過昇温する不具合を抑止するものである。さらに、特許文献1等には、発熱層の温度がキューリー点に達したときの自己温度制御性をさらに高めるために、発熱層上に磁束制御層(アルミニウム層)を設ける技術が開示されている。
また、特許文献2等には、定着ベルト(ベルト)を用いた電磁誘導加熱方式の定着装置であって、発熱層(発熱ローラ)の温度がキューリー点に達したときの自己温度制御性を高めるために、発熱層の内側(下層)にアルミニウムからなる磁束制御層(導電性部材)を設ける技術が開示されている。
他方、特許文献3等には、定着ローラを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置であって、定着ローラの内側から外側に順に支持層、スポンジ層、発熱層(電磁誘導発熱性層)、弾性層、離型層を形成する技術が開示されている。この技術は、高い昇温特性を維持しつつ、定着ローラへの記録媒体の巻き付きや光沢ムラ画像の発生を抑止することを目的とするものである。ここで、定着ローラの弾性層は、定着ローラと加圧ローラとのニップ部において充分なニップ量を確保するためのものであって、これにより出力画像における良好な定着性が維持されることになる。
特開2000−35724号公報 特許第3527442号公報 特開2000−214702号公報
上述した従来の定着装置は、効率のよい自己温度制御性と、ニップ部における充分なニップ量に基づく良好な定着性と、を両立することが難しかった。
以下、詳しく説明する。
本願発明者は、研究を重ねた結果、定着ローラの自己温度制御性を向上させるために、所定のキューリー点を有する発熱層の下層に銅やアルミニウム等からなる磁束制御層をある程度近設させる必要があることを知るに至った。
しかし、発熱層の下層に磁束制御層を近設させた場合(特許文献1等のような場合である。)、発熱層と磁束制御層との間に形成する弾性層の層厚が薄くなって、定着ローラと加圧ローラとのニップ部において充分なニップ量を確保するのが難しくなってしまう。このような場合には、出力画像上にニップ不良に基づく定着不良が生じてしまうことになる。
これに対して、発熱層と磁束制御層との間に形成する弾性層の層厚を充分に厚くした場合(特許文献2等のような場合である。)、発熱層と磁束制御層との距離が大きくなって、充分な自己温度制御性を確保できなくなってしまう。このような場合には、小サイズ紙を連続的に定着したとき等に、定着ローラの両端部が過昇温してしまうことになる。
他方、特許文献3等の技術は、自己温度制御性を有さない発熱層を挟むように弾性層及びスポンジ層を設けるものであって、上述した問題を解決するものではない。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、比較的簡易な構成で昇温効率が高く、ニップ部におけるニップ量が充分に確保されて出力画像上における定着性が良好で、効率のよい自己温度制御性が確保されて定着ローラの過昇温が確実に防止される、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、交番電流が印加されて磁束を発生させる磁束発生手段と、前記磁束によって加熱される発熱層と、当該発熱層の温度がキューリー点に達したときに前記磁束を制御する磁束制御層と、を具備する定着ローラと、前記定着ローラとのニップ部に搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラと、を備え、前記定着ローラは、外周面側から内部に向けて離型層、前記発熱層、第1弾性層、前記磁束制御層、第2弾性層、芯金層の少なくとも6層が順次形成されたものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記発熱層は、キューリー点が100〜250℃になるように形成された磁性材料からなるものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記発熱層は、その層厚が前記交番電流の周波数に対応した浸透深さと同等になるように形成されたものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記磁束制御層は、前記発熱層の体積抵抗率よりも低い体積抵抗率を有する非磁性導電材料からなるものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項4に記載の発明において、前記非磁性導電材料を、銅又はアルミニウムとしたものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記磁束制御層は、その層厚が10〜200μmになるように形成されたものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記第1弾性層の硬度が前記第2弾性層の硬度よりも低いものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記第2弾性層の熱伝導率が前記第1弾性層の熱伝導率よりも高いものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記第1弾性層は、発泡ゴムからなるものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発明において、前記第1弾性層は、その層厚が2mm以上になるように形成されたものである。
また、請求項11記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発明において、前記第2弾性層は、ソリッドゴムからなるものである。
また、請求項12記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発明において、前記芯金層は、アルミニウムからなるものである。
また、この発明の請求項13記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、電磁誘導加熱方式の定着装置に設置される定着ローラにおいて、外周面側から内部に向けて離型層、発熱層、第1弾性層、磁束制御層、第2弾性層、芯金層を順次形成している。これにより、比較的簡易な構成で昇温効率が高く、ニップ部におけるニップ量が充分に確保されて出力画像上における定着性が良好で、効率のよい自己温度制御性が確保されて定着ローラの過昇温が確実に防止される、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
実施の形態.
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は転写ベルト17を清掃する転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が記録媒体P上に重ねて担持されるように記録媒体Pを搬送する転写ベルト、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、転写ベルト17上の記録媒体Pに、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(転写工程である。)。
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された記録媒体Pは、図中の矢印方向に走行して、分離チャージャ18との対向位置に達する。そして、分離チャージャ18との対向位置で、記録媒体Pに蓄積された電荷が中和されて、トナーのちり等を生じさせることなく記録媒体Pが転写ベルト17から分離される。
その後、転写ベルト17表面は、転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、転写ベルト17上に付着した付着物が転写ベルトクリーニング部16に回収される。
ここで、転写ベルト17上に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、不図示の搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、転写ベルト17の位置に向けて搬送される。
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、転写ベルト17から分離された後に定着装置19に導かれる。定着装置19では、定着ローラと加圧ローラとの間(ニップ部である。)にて、カラー画像(トナー)が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、不図示の排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、画像形成装置本体1に設置される定着装置19の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置19は、磁束発生手段としての誘導加熱部24、定着ローラ20、加圧ローラ30、等で構成される。
ここで、定着ローラ20(定着部材)は、その外径が40mm程度であって、芯金層(芯金)20f上に、第2弾性層20e、磁束制御層20d、第1弾性層20c、発熱層20b、離型層20a、が積層された多層構造体である。
発熱層20bは、所定のキューリー点を有する整磁合金で形成されていて、自己温度制御性を有する。磁束制御層20dは、発熱層20bの温度がキューリー点に達したときに、発熱層20bに作用する磁束を制御する機能を有する。なお、定着ローラ20の構成・動作については、後で詳しく説明する。
加圧ローラ30は、アルミニウム、銅等からなる円筒部材32上にフッ素ゴム、シリコーンゴム等の弾性層31が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層31は、肉厚が0.5〜2mmで、アスカー硬度が60〜90度となるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ローラ20に圧接している。そして、定着ローラ20と加圧ローラ30との当接部(ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
磁束発生手段としての誘導加熱部24は、定着ローラ20の外周面に対向するように配設されている。誘導加熱部24は、励磁コイル25、第1コア28、第2コア29(センターコア)、コイルガイド27、等で構成される。
励磁コイル25は、外周面が絶縁被覆された外径0.15mmの銅線が90本束ねられた線束であって、定着ローラ20の外周面に対向するように配設されている。詳しくは、図3を参照して、励磁コイル25は、第2コア29(センターコア)の周りを周回するように、定着ローラ20の表面を覆うコイルガイド27上の全域にわたって渦巻状に配設されている。励磁コイル25の幅方向の長さは、定着ローラ20の幅方向(回転軸方向)の長さとほぼ等しい。
コイルガイド27は、耐熱性が高く絶縁性の樹脂材料等からなり、定着ローラ20との対向面の側で励磁コイル25を保持する。
図2を参照して、第1コア28は、定着ローラ20の外周面に対して励磁コイル25を介して周方向に対向するように配設されている。第1コア28の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
第2コア29は、第1コア28よりも定着ローラ20の外周面に近接して対向するとともに、幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設されている。第2コア29の幅方向の長さは、定着ローラ20の幅方向の長さとほぼ等しい。第2コア29の材料としては、フェライト、パーマロイ等の強磁性体であって電気抵抗率の高いものが好ましい。
また、図示は省略するが、定着ローラの外周面に対向する位置であって、誘導加熱部24から離れた位置には、定着ローラ20の温度を検知する温度センサが配設されている。本実施の形態では、温度センサとして、定着ローラ20表面の温度を非接触で検知するサーモパイルを用いている。サーモパイルは、反応速度が早いため、細やかな温度制御が可能となる。そして、温度センサによる定着温度の検知結果に基いて、誘導加熱部24による加熱量を調整する。なお、温度センサとしては、サーモパイルの他に、接触型のサーミスタ等を用いることもできる。
このように構成された定着装置19は、次のように動作する。
不図示の駆動モータによって、定着ローラ20が図2の時計方向に回転駆動されると、加圧ローラ30も反時計方向に回転する。そして、定着ローラ20は、誘導加熱部24との対向位置(対向面)で、誘導加熱部24から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、不図示の電源部から励磁コイル25に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、発熱層20bの温度がキューリー点に達していないときに、励磁コイル25から発熱層21に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、定着ローラ20の発熱層21に渦電流が生じて、発熱層21はその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、定着ローラ20は、自身の発熱層21の誘導加熱によって加熱される。
その後、誘導加熱部24によって加熱された定着ローラ20表面は、加圧ローラ30とのニップ部に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、不図示のガイド板に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される。
定着位置を通過した定着ローラ20表面は、その後に再び誘導加熱部24との対向位置に達する。このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
ここで、発熱層20bの温度がキューリー点に達したときには、発熱層20bが磁性を失い誘導加熱部24による誘導加熱がおこなわれない。これにより、定着ローラ20の局部的な過昇温が抑止される。この自己温度制御性については、後で詳しく説明する。
以下、本実施の形態において特徴的な、定着ローラ20について詳述する。
図4を参照して、定着ローラ20は、外周面側から内部(内周面側)に向けて、離型層20a、発熱層20b、第1弾性層20c、磁束制御層20d、第2弾性層20e、芯金層20fの6層が順次形成されている。
離型層20aの材料としては、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂、これらの樹脂の混合物、又は、これらの樹脂を耐熱性樹脂に分散させたものを用いることができる。離型層20aの層厚は、5〜50μm(好ましくは、10〜30μmである。)に形成されている。これにより、定着ローラ20上のトナー離型性が担保されるとともに、定着ローラ20の柔軟性が確保される。
発熱層20bの材料としては、ニッケル、鉄、クロム、又は、それらの合金等の磁性導電性材料を用いることができる。
本実施の形態では、発熱層20bの材料として、キューリー点が100〜250℃になるように形成された整磁合金を用いている。具体的に、発熱層20bの材料は、ニッケル、鉄、クロムの合金であって、各材料の添加量と加工条件とを調整して所望のキューリー点を設定している(本実施の形態では、キューリー点を180℃に設定している。)。このように、キューリー点が定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層20bを形成することで、定着ローラ20に電磁誘導による過昇温が生じる不具合が抑止される。
また、発熱層20bの層厚は、熱容量を小さくするために、50μmに設定した。ここで、発熱層20bの層厚は、誘導加熱部24に印加される交番電流の周波数に対応した浸透深さと同等になるように設定することが好ましい。これにより、定着ローラ20に電磁誘導による過昇温が生じる不具合が抑止される。
ここで、「浸透深さ」について説明する。
交番電流によって形成される交番磁束が金属に誘導する渦電流は、金属の表面に近いほど大きくなり、内部に近いほど指数関数的に小さくなる。金属が磁性体であるとき、誘導される渦電流はさらに金属表面に集中する。渦電流が表面における電流密度に対して0.368倍に減少した位置における表面からの深さを、電流の浸透深さδと呼ぶ。なお、浸透深さδは次式で求まる。
δ=503・〔ρ/(μf)〕1/2 …(式1)
上式において、ρは材料の体積抵抗率(Ω・m)であり、μは材料の比透磁率であり、fは材料を励磁する交番電流の周波数(Hz)である。
金属表面から浸透深さより内部に流れる渦電流は、表面と比較して非常に小さく、誘導加熱にほとんど影響を与えない。金属の厚さが浸透深さ以上であれば、金属表面から進入した磁束は金属層中でエネルギーを消失し、金属板をほとんど透過することができなくなる。
すなわち、発熱層20bの層厚を浸透深さよりも極端に薄くしてしまうと、整磁合金の温度がキューリー点以下であっても(磁性状態であっても)、励磁コイル25の磁束が整磁合金を透過して磁束制御層20dまで達してしまうため、発熱層20bに誘導加熱のエネルギーを集中させることができなくなるとともに、自己温度制御性が低下する。
これに対して、発熱層20bの層厚を浸透深さよりも極端に厚くしてしまうと、整磁合金の温度がキューリー点以下になっても(非磁性状態になっても)、発熱層20bで消費される誘導加熱のエネルギーが大きくなり発熱するため、自己温度制御性が低下する。
したがって、発熱層20bの層厚は、浸透深さと概ね同じ厚みであることが望ましい。ここでいう概ね同じ厚みとは、浸透深さの±50%以内である。本実施の形態では、誘導加熱部24に30kHzの交流電流を供給している。このとき、発熱層20bの浸透深さは約80μmであるため、発熱層20bの層厚は40〜120μm程度が好適である。
第1弾性層20cの材料としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等の弾性体を使用することができる。第1弾性層20cを設けることにより、定着ローラ20のたわみを促してニップ部における充分なニップ量を確保することができる。また、第1弾性層20cを設けることにより、定着ローラ20の硬度が加圧ローラ30の硬度よりも小さくなって、記録媒体Pの排紙性・分離性を向上させることができる。
なお、第1弾性層20cの材料としては、特に、発泡ゴムを用いることが好ましい。第1弾性層20cとして発泡ゴムを用いることにより、発熱層20bの発熱を断熱保持することができる。これにより、定着ローラ20外周面側にある離型層20aが迅速に加熱されて、定着ローラ20表面が所望の温度に迅速に到達するとともに、記録媒体Pに熱が奪われても熱供給が追従しやすくなる。これらのことを考慮すると、第1弾性層の層厚は2mm以上であることが望ましい。すなわち、第1弾性層の層厚を2mm以上に設定することで、良好なニップ部を形成することができるとともに、発熱層20bの発熱を断熱保持して定着ローラ20内側への伝熱を軽減することができる。
具体的に、本実施の形態では、第1弾性層20cとして、層厚が3mmの発泡シリコーンゴムを使用している。これにより、定着ローラ20の表層側に配置されている発熱層20bの熱が定着ローラ20の内部に移動しにくくなって、効率的な加熱をおこなうことができる。
磁束制御層20dは、発熱層20bの体積抵抗率よりも低い体積抵抗率を有する非磁性導電材料で形成されている。発熱層20bの体積抵抗率が8.0ラ10-7Ω・mであるために、磁束制御層20dは体積抵抗率が8.0ラ10-7Ω・mよりも低い体積抵抗率を有する材料にて形成されている。具体的に、磁束制御層20dの材料として、体積抵抗率が3.0ラ10-8Ω・m以下となる、銅、アルミニウム、金、銀、等を用いることができる。
本実施の形態では、磁束制御層20dの材料として、非磁性材料のアルミニウムを用いている。非磁性かつ良伝導性の材料を使用することで、磁束制御層20d自身の発熱を抑えつつ磁束を遮蔽する効果を得ることができる。
以下、詳しく説明する。励磁コイルから発生した磁束が金属を貫くと、貫いた磁束を打ち消す方向に、金属に逆起電力が発生して、金属層中に渦電流が流れる。金属層中に渦電流が流れると、金属は励磁コイルから発生した磁束を打ち消す方向に磁束(反作用磁界)を発生させるとともに、金属の実効抵抗によってジュール熱も発生させる。したがって、誘導加熱は実効抵抗の大きな金属を発熱体にすると効率の良い加熱をおこなうことができる。しかし、非磁性かつ低抵抗の材料は実効抵抗が小さいため、ジュール熱による発熱が非常に小さく、励磁コイルから発生した磁界に対する反作用磁界を多く発生させる。そのため、磁束制御層20dの材料は、非磁性であって、発熱層20bの体積抵抗率よりも低い体積抵抗率を有する導電性材料で形成することが好ましい。
また、磁束制御層20dの層厚は、10〜200μmであることが好ましい。磁束制御層20dの磁束を制御する機能だけに着目すれば、磁束制御層20dの層厚は厚い方が良い。これは上述したとおり、磁束制御層20dの層厚を厚くすることにより、磁束制御層20dの実効抵抗を低くすることができるため、磁束制御層20dの発熱を小さくし、励磁コイルから発生した磁界に対する反作用磁界を多く発生させることができるためである。磁束制御層20dの層厚を薄くしすぎると、磁束制御層20dの実効抵抗が高くなってしまい、磁束制御層20d自身の発熱量が大きくなってしまい自己温度制御性が低下する。したがって、磁束制御層20dの磁束を制御する機能だけに着目すれば、磁束制御層20dの層厚は、誘導加熱部24に印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以上の厚みであることが望ましい。磁束制御層20dが浸透深さ以上の厚みを有していれば、磁束制御層20d表面から進入した磁束は層中でエネルギーを消失して、磁束制御層20dをほとんど透過することができなくなる。そのため、磁束制御層20dの層厚は、その浸透深さよりも著しく厚くする必要はない。これにより、発熱層20bの温度がキューリー点に達したときに、磁束を遮蔽する効果が高まり、定着ローラ20の自己温度制御性が向上する。
本実施の形態では30kHzの交流電流により誘導加熱をおこなっているために、磁束を制御する機能だけに着目すれば磁束制御層20dであるアルミニウムの層厚は0.5mm程度が望ましいといえる。しかしながら、磁束制御層20dを0.5mmまで厚くしてしまうと、定着ローラ20がたわみにくくなってしまい、ニップ部におけるニップ量(ニップ幅)が小さくなってしまう。磁束制御層20dは、自己温度制御機能だけではなく、定着ロー20が必要なニップ量を形成するための変形を阻害しない厚さにしなければならない。以上のことから、本実施の形態では、磁束制御層20dの層厚を100μmに設定している。
第2弾性層20eの材料としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム等の弾性体を使用することができる。第2弾性層20eを設けることにより、定着ローラ20のたわみを促してニップ部における充分なニップ量を確保することができる。また、第2弾性層20eを設けることにより、定着ローラ20の硬度が加圧ローラ30の硬度よりも小さくなって、記録媒体Pの排紙性・分離性を向上させることができる。
本実施の形態では、第2弾性層20eとして、層厚が6mmのシリコーンソリッドゴムを用いている。これにより記録媒体P上にトナー像を良好に定着するために必要なニップ量を確保することができる。
また、本実施の形態では、第1弾性層20cの硬度が第2弾性層20eの硬度よりも低くなるように設定するとともに、第2弾性層20eの熱伝導率が第1弾性層20cの熱伝導率よりも高くなるように設定している。これについては、後で詳しく説明する。
芯金層20f(芯金)は、ニップ部を形成するために定着ローラ20にかけられる荷重に耐えうる剛性を持たせるために設けるものである。したがって、鉄等の剛性の高い金属を使用することができる。また、芯金層が誘導加熱に影響を与えないようにするために、セラミック等の非磁性かつ絶縁性の材料で芯金層を構成することもできる。
本実施の形態では、芯金層20fの材料として、非磁性かつ体積抵抗率の低い良伝導の材料としてのアルミニウムを用いている。非磁性かつ良伝導の材料を使用することで、芯金層20f自身に磁束を遮蔽する効果を持たせることができるため、定着ローラ20の過昇温を防止する効果を高めることができる。なお、本実施の形態では、芯金層20fの材料としてアルミニウムを使用したが、銅、銀、アルミニウム、マグネシウム等の合金を用いることもできる。
また、芯金層20fの層厚は、印加する交流電流の周波数における電流の浸透深さ以上の厚みであることが望ましい。これにより、芯金層20fの磁束遮蔽効果を大きくすることができる。本実施の形態では30kHzの交流電流により誘導加熱をおこなっているため、芯金層20fであるアルミニウムの層厚を0.5mm以上に設定することが望ましい。具体的に、本実施の形態における芯金層20fは、外径が22mmに設定され、層厚が2.0mm(アルミニウムの浸透深さの4倍程度である。)に設定されている。このように構成された芯金層20fは、磁束遮蔽効果を有するとともに、ニップ部を形成するために定着ローラ20にかけられる荷重に耐えうる剛性を有することになる。
以上説明したように、本実施の形態における定着ローラ20は、外周面側から内部に向けて、離型層20a、発熱層20b、第1弾性層20c、磁束制御層20d、第2弾性層20e、芯金層20fが順次形成されている。これにより、比較的簡易な構成で昇温効率が高く、ニップ部におけるニップ量が充分に確保されて出力画像上における定着性が良好で、効率のよい自己温度制御性が確保されて定着ローラ20の過昇温を確実に防止することができる。
以下、図5〜図16を用いて、上述した本実施の形態における効果について詳述する。
まず、図5にて、整磁合金が自己温度制御性を有するメカニズムについて説明する。
図5は、整磁合金の自己温度制御メカニズムを説明するための模式図であって、誘導加熱部24によって発生される磁束の状態を示している。図5において、定着ローラ20は、模式的に、整磁合金からなる発熱層20b(層厚50μmである。)とアルミニウムからなる磁束制御層20d(層厚1mmである。)とで構成される。発熱層20bと磁束制御層20dとの間は、模式的に、空隙になっている。
図5(A)は、整磁合金20b(発熱層)の温度がキューリー点以下であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。図5(A)に示すように、整磁合金20bの温度がキューリー点以下であるとき、励磁コイル25から発生する磁束Bは、コア28、29を経路として発熱層20bを通り、再びコア28、29に戻る。このとき、発熱層20bである整磁合金は磁性体であるため浸透深さが非常に浅い。そのため磁束は磁束制御層20dを透過しない磁気回路を形成する。そして、発熱層20bにのみ誘導電流が流れてジュール熱により発熱する。
図5(B)は、整磁合金20b(発熱層)の温度がキューリー点以上であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。図5(B)に示すように、励磁コイル25から発生する磁束Bは、基本的な経路をコア28、29とするところに変化はないが、磁束Bが発熱層20bを透過して磁束制御層20dにまで達する。これは、発熱層20bである整磁合金の温度がキューリー点以上になり、整磁合金が非磁性体となり浸透深さが非常に深くなることによる。結果として、磁束Bは発熱層20b及び磁束制御層20dを含めた磁気回路を形成する。磁束制御層20dは非磁性かつ低抵抗であるアルミニウムで形成されているため、励磁コイル25からの磁界に対する反作用磁界が多く発生して、定着ローラ20の実効抵抗が小さくなりジュール熱による発熱が非常に小さくなる。なお、磁束制御層20dは非磁性かつ低抵抗であればよく、例えば、金、銀、銅、マグネシウム、又は、それらの合金を用いることもできる。
このような図5(A)及び図5(B)の磁束Bの違いによって、整磁合金の温度がキューリー点以上に昇温すると、発熱量が非常に小さくなり自己温度制御機能が働くことになる。
次に、図6及び図7にて、整磁合金を実際に定着ローラ20に搭載したときの問題点について説明する。
上述したように、整磁合金を用いる技術は、自己温度制御性を得ることができるために、幅方向の温度コントロールが難しい電磁誘導加熱方式の定着装置において非常に有用である。しかしながら、本願発明者は、自己温度制御性が発熱層20bと磁束制御層20dとの距離に大きく依存することを知得した。すなわち、発熱層20bと磁束制御層20dとの距離が大きくなると、自己温度制御性が著しく低減する。
図6は、従来の定着ローラに、整磁合金からなる発熱層20bとアルミニウムからなる磁束制御層20dとを搭載したときの、磁束の状態を示す図である。図6における定着ローラ20(外径が40mmである。)は、外周面側から、離型層(不図示である。)、弾性層(不図示である。)、整磁合金からなる発熱層20b(層厚50μmである。)、発泡シリコーンゴムからなる弾性層20c(層厚9mmである。)、アルミニウムからなる芯金層20f(層厚2mmである。)、が積層されている。ここで、芯金層20fは、非磁性かつ低抵抗であるアルミニウムで形成されているために、磁束を遮蔽する磁束制御層として機能することになる。図6の定着ローラ20は、充分なニップ量を確保するために、図5の模式的な定着ローラと比較して、弾性層20cを設けている分だけ発熱層20bと磁束制御層(芯金層)20fとの距離が大きくなっている。
図6(A)は、整磁合金20b(発熱層)の温度がキューリー点以下であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。このとき、図5(A)と同様に、磁束Bは、発熱層20bだけを通り磁束制御層(芯金層)を透過しない磁気回路を形成する。
図6(B)は、整磁合金20b(発熱層)の温度がキューリー点以上であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。このとき、図5(B)とは異なり発熱層20bと芯金層20fとの距離が遠すぎるため、芯金層20fにほとんど磁束Bが届かずに、発熱量が低下しなくなってしまう。
図7は、図6の定着ローラ(定着装置)を用いて、幅方向サイズの小さな記録媒体(小サイズ紙)を連続通紙したときの、定着ローラの温度の経時変化(昇温特性)を示すグラフである。
図7において、実線Q1は発熱層20b(整磁合金)と芯金層20f(磁束制御層)との距離を9mmに設定したときの昇温特性を示し、実線Q2は発熱層20bと芯金層20fとの距離を6mmに設定したときの昇温特性を示し、実線Q3は発熱層20bと芯金層20fとの距離を3mmに設定したときの昇温特性を示す。また、実線Q0は、比較のため、発熱層として整磁合金を用いずにニッケルを用いた定着ローラの昇温特性を示す。ここで、実線Q0〜Q3はいずれも定着ローラの非通紙領域の昇温特性を示すものである。参考のため、実線Sにて、定着ローラの通紙領域の昇温特性を示す。
実線Sに示すように、連続通紙が開始されると、定着ローラの通紙領域(記録媒体が接触する領域である。)の温度は、定着設定温度である170℃を維持するように制御される。そのため、記録媒体Pから熱量が奪われない定着ローラ端部(非通紙領域)の温度は上昇していく。
実線Q0に示すように、発熱層に整磁合金を用いない場合には、時間の経過とともにそのまま定着ローラ端部の温度が上昇しつづける。
これに対して、実線Q1〜Q3に示すように、発熱層に整磁合金を使用した定着ローラは、整磁合金の温度がキューリー点を超えることにより発熱量が制限されて、定着ローラ端部の昇温が鈍化していく。また、発熱層と芯金層との距離が大きいものほど、定着ローラ端部の昇温を抑える効果が低減している。具体的に、発熱層と芯金層との距離を9mmに設定した定着ローラ(実線Q1である。)は、自己温度制御性が不充分であるために、小サイズ紙の連続通紙により、定着ローラ端部に過昇温が発生してしまう。
以上の結果から、発熱層20bと芯金層20fとの距離を小さくする方策が考えられるが、そのためには弾性層20cの厚さを薄くする必要がある。それでは、ニップ量が小さくなってしまい、記録媒体Pに充分な熱量を与えることができなくなってしまう。なお、図7の実験において、発熱層と芯金層との距離が6mm、3mmの定着装置(実線Q2、Q3の定着装置である。)においてトナー像を定着したところ、どちらの装置もニップ量が狭いために、コールドオフセットが発生した。
以上説明したように、整磁合金を実際に定着ローラ20に搭載するには大きな問題がある。
その一方で、定着ローラを用いた定着装置(ローラ方式)は、定着ベルトを用いた定着装置(ベルト方式)に比べて、熱容量が小さいため昇温特性(立上特性)が非常に良好であるというメリットがある。ここで、「昇温特性」は、定着ローラがトナーを定着するのに必要な温度まで昇温する時間の長短であって、昇温時間が短いほどユーザーにとって使いやすい装置ということになる。
図8は、実線で示すローラ方式の昇温特性と、一点鎖線で示すベルト方式の昇温特性と、を示すグラフである。立上げ時に必要な定着設定温度は170℃である。図8に示すように、ローラ方式の定着装置は、ベルト方式のものに比べて、定着設定温度まで昇温する時間が非常に早い。ベルト方式の立上時間が18秒であるのに対して、ローラ方式の立上時間は10秒であった。しかし、上述した問題のために、ローラ方式の定着ローラ20の温度は、キューリー点(180℃)を越えても昇温を続ける。
本願発明者は、鋭意検討の結果、本実施の形態のように薄層の磁束制御層20dを2層の弾性層(第1弾性層20c及び第2弾性層20e)の間に挟設することにより、上述の問題が解決され、昇温特性が良好で過昇温を防止するローラ方式の定着装置を提供することができることを知得した。
すなわち、2層の弾性層20c、20eの間の磁束制御層20dが薄層であるため、定着ローラ20の弾性層20c、20eは充分に変形することができる。そのため、ニップ部において充分なニップ量を確保することができる。さらに、小サイズ紙の連続通紙や装置の暴走等によって定着ローラ20が過昇温してしまうような状況になっても、発熱層20bから充分に近い距離に磁束制御層20dが配置されているため、発熱層20bの温度がキューリー点を超えて磁性を失ったときには自己温度制御性が充分に発揮されて定着ローラの発熱量が低下する。
図9は、本実施の形態における定着ローラ(図2に示す定着ローラである。)に作用する磁束の状態を示す図である。
図9(A)は、整磁合金からなる発熱層20bの温度がキューリー点以下であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。図9(A)に示すように、磁束Bは、コア28、29を経路として発熱層20bを通り、再びコア28、29に戻る。このとき、発熱層20bは磁性を有しているため、浸透深さが非常に浅い。そのため、磁束Bは磁束制御層20dを透過しない磁気回路を形成する。したがって、渦電流はほとんど発熱層20bに流れて、発熱層20bが集中的に加熱される。
図9(B)は、整磁合金からなる発熱層20bの温度がキューリー点以上であるときに励磁コイル25から発生する磁束Bの状態を示している。図9(B)に示すように、磁束Bは、基本的な経路をコア28、29とするところに変化はないが、磁束Bが発熱層20bを透過して磁束制御層20dをも透過する。これは、発熱層20bである整磁合金の温度がキューリー点以上になり、整磁合金が非磁性となり浸透深さが非常に深くなることによる。結果として、磁束Bは発熱層20b、磁束制御層20dを含めた磁気回路を形成する。磁束制御層20dは非磁性かつ低抵抗であるアルミニウムで形成されているため、励磁コイル25からの磁界に対する反作用磁界が多く発生して、定着ローラ20の実効抵抗が小さくなるためジュール熱による発熱が非常に小さくなる。
ここで、定着ローラ20の弾性層20c、20eの変形を妨げないために磁束制御層20d(アルミニウム)を薄層にする必要がある。アルミニウムは薄層にすることにより発熱してしまうが、電磁気物性的に発熱しにくい材料であることと、定着ローラの表面から離れた位置にあることと、から定着ローラ表面の端部昇温を防止することができる。
このような図9(A)及び図9(B)の磁束Bの違いにより、発熱層20bの温度がキューリー点以上に昇温すると、発熱層20bの発熱量が非常に小さくなり自己温度制御機能が働く。したがって、キューリー点が定着温度近傍となる磁性導電性材料にて発熱層20bを形成することで、定着ローラ20は電磁誘導によって過昇温されることなく加熱されることになる。
図10は、定着ローラ20の自己温度制御性を確認するために、交流磁場解析シミュレーションにより計算した発熱量の結果を示すグラフである。
図10(A)は、本実施の形態における定着ローラ(発熱層20b:整磁合金50μm、第1弾性層20c:発泡シリコーンゴム3mm、磁束制御層20d:アルミニウム100μm、第2弾性層20e:シリコーンソリッドゴム6mm、芯金層20f:アルミニウム2mm)において、発熱層20bの温度がキューリー点以下のときとキューリー点以上のときとの発熱量をそれぞれ表している。図中、W1は発熱層20bの発熱量を示し、W2は磁束制御層20dの発熱量を示し、W3は励磁コイル25の発熱量を示す。
図10(B)は、図6に示す従来の定着ローラ(発熱層20b:整磁合金50μm、弾性層20c:発泡シリコーンゴム3mm、芯金層20f:アルミニウム2mm)において、発熱層20bの温度がキューリー点以下のときとキューリー点以上のときとの発熱量をそれぞれ表している。図中、W1は発熱層20bの発熱量を示し、W3は芯金層20fの発熱量を示し、W3は励磁コイル25の発熱量を示す。
なお、図10(A)及び図10(B)のどちらの定着装置においても、誘導加熱部24に30kHzの交番電圧を印加している。
図10(B)に示すように、従来の定着ローラを用いた場合には、発熱層20bの温度がキューリー点に達して整磁合金の磁性が失われることで、金属層の総発熱量はキューリー点以下のときの発熱量に対して約40%に低減する。
これに対して、図10(A)に示すように、本実施の形態における定着ローラを用いた場合には、発熱層20bの温度がキューリー点に達したときの、金属層の総発熱量はキューリー点以下のときの発熱量に対して約23%にまで低減する。したがって、本実施の形態における定着ローラを用いた場合には、自己温度制御性が大きく向上していることがわかる。
図11は、本実施の形態における定着ローラ(定着装置)を用いて、幅方向サイズの小さな記録媒体(小サイズ紙)を連続通紙したときの、非通紙領域における定着ローラの温度の経時変化(昇温特性)を示すグラフである。
図11において、実線R1は本実施の形態における定着ローラの昇温特性を示す。また、実線R0は図6に示す従来の定着ローラにおいて発熱層20b(整磁合金)と芯金層20f(磁束制御層)との距離を3mmに設定したときの昇温特性を示す。また、実線Sは、定着ローラの通紙領域の昇温特性を示す。
図11の実線R1に示すように、本実施の形態における定着ローラを用いた場合には、通紙が開始された後、整磁合金の温度がキューリー点を超えるとその発熱量が制限されて、定着ローラ端部の昇温が抑えられていることがわかる。また、実線R0のものに比べて、定着ローラ端部の昇温速度は遅く、上述のシミュレーション結果の同様に、自己温度制御性が高いことが確認できる。
さらに、トナー像を定着した後の出力画像の定着性を評価したところ、実線R0のもの(従来の定着ローラ)は、弾性層の層厚が3mmと薄いために、ニップ量が小さくなり、熱量が不足してコールドオフセットが発生していた。それに対して、実線R1のもの(本実施の形態における定着ローラ)は、弾性層の層厚が合計9mm(第1弾性層20cが3mm、第2弾性層20eが6mmである。)になっていて、さらに弾性層20c、20eの間に配置されている磁束制御層20dが薄層であることから、充分なニップ量を確保することができて良好な定着性が得られていた。
図12は、実線で示す本実施の形態における定着ローラの昇温特性と、一点鎖線で示すベルト方式における定着部材(定着ベルト)の昇温特性と、を示すグラフである。図12に示すように、本実施の形態における定着装置はローラ方式であって、ベルト方式のものに比べて、定着設定温度まで昇温する時間が非常に早い。ベルト方式の立上時間が18秒であるのに対して、ローラ方式の立上時間は10秒であった。さらに、本実施の形態における定着装置は、キューリー点(180℃)を越えたところで昇温が停止する。
次に、図13を用いて、磁束制御層20dの層厚と、自己温度制御性と、の関係について説明する。
図13において、横軸は磁束制御層20dの層厚を示し、縦軸は発熱層20b(整磁合金)の温度がキューリー点以上であるときの発熱層20bの発熱量Q2を、キューリー点以下であるときの発熱層20bの発熱量Q1で割った値を示す。なお、発熱量Q1、Q2は、交流磁場解析シミュレーションによって計算したものである。Q2/Q1の値が小さいほど、キューリー点以上になったときの発熱量Q2が小さく、自己温度制御性が高いことになる。
図13から、磁束制御層20dの層厚が厚くなるほど、自己温度制御性が高まることがわかる。先に図10(B)で説明したように、従来の定着ローラ(発熱層と芯金層との距離が3mmのものである。)におけるQ2/Q1の値は約40%であることから、磁束制御層20dの層厚が10μmよりも薄くなると、磁束制御層20dを配置しても大きな効果が得られないことがわかる。
また,図13から、磁束制御層20dの層厚が100μmよりも厚くなると、自己温度制御性の増加率が低減することがわかる。磁束制御層20dは、定着ローラの弾性変形を妨げないために、厚すぎることは好ましくない。
以上のことから、本実施の形態において、磁束制御層20dの層厚は、10〜200μmの範囲に設定した。これにより、高い自己温度制御性が得られ、ニップ部の形成を妨げないことになる。なお、磁束制御層20dの層厚の下限値(10μm)は、Q2/Q1が約1/3になるように設定したものである。
次に、図14を用いて、磁束制御層20dの体積抵抗率について説明する。
図14(A)は磁束制御層20dを銅で形成した場合の交流磁場解析シミュレーションによる発熱量を示し、図14(B)は磁束制御層20dをアルミニウムで形成した場合の交流磁場解析シミュレーションによる発熱量を示す。図14(A)及び図14(B)のグラフの構成は、先に説明した図10(A)のものと同様なので、その説明を省略する。なお、磁束制御層20dの層厚は、いずれも100μmとした。
図14(B)に示すように、磁束制御層20dをアルミニウムで形成した場合、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときの金属層の総発熱量は、キューリー点以下のときの発熱量の約29%にまで低減している。これに対して、図14(A)に示すように、磁束制御層20dを銅で形成した場合、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときの金属層の総発熱量は、キューリー点以下のときの発熱量の約23%にまで低減しており、自己温度制御能力が向上している。
これは、銅の体積抵抗率が1.72ラ10-8ル・mであって、発熱層20b(整磁合金)の体積抵抗率(8.0ラ10-7ル・m)よりも低く、さらにはアルミニウムの体積抵抗率(2.70ラ10-8ル・m)よりも低いことによるものである。
図15は、磁束制御層20dの体積抵抗率と、自己温度制御性と、の関係を示すグラフである。
図15において、横軸は磁束制御層20dの体積抵抗率を示し、縦軸は先に図13で説明した自己温度制御性Q2/Q1(交流磁場解析シミュレーションによる計算値である。)を示す。磁束制御層20dの体積抵抗率は、発熱層20bと同じ体積抵抗率8.0ラ10-7ル・mから1.0ラ10-8ル・mまでの範囲として、解析をおこなった。なお、磁束制御層20dの層厚は、100μmに設定した。
図15から、磁束制御層20dの体積抵抗率が低くなるのにしたがい、自己温度制御性が向上していることがわかる。特に、磁束制御層20dの体積抵抗率が1.6ラ10-7ル・m以下(発熱層20bの体積抵抗率8.0ラ10-7ル・mの5分の1以下である。)になると、急激に自己温度制御性が向上していることがわかる。このように、磁束制御層20dに、発熱層20bよりも体積抵抗率が低い非磁性導電性材料を用いることにより、自己温度制御性を向上させることができる。
また、磁束制御層20dの体積抵抗率は発熱層20bの体積抵抗率に対して5分の1以下であることが望ましい。具体的には、体積抵抗率が3.0ラ10-8ル・m以下となる、銅、アルミニウム、金、銀、等を磁束制御層20dとして用いることが好ましい。
先に図13にて説明したように、磁束制御層20dの層厚が薄くなるほど自己温度制御性が低下してしまう。したがって、磁束制御層20dとして、体積抵抗率が3.0ラ10-8ル・m以下の材料を使用することにより、磁束制御層20dをできるだけ薄くすることができる。これにより、磁束制御層20dは、充分なニップ量を確保するための層厚に設定されるとともに、所望の自己温度制御性を得ることができる。したがって、本実施の形態では、磁束制御層20dの材料として、銅、アルミニウム、金、銀、等を用いることが好ましい。
次に、図16を用いて、弾性層20c、20eの熱伝導率について説明する。
本実施の形態では、第2弾性層20eの熱伝導率が第1弾性層20cの熱伝導率よりも高くなるように設定している。これにより、定着ローラ20の自己温度制御性を高め、小サイズ紙を連続通紙した場合であっても定着ローラ20の幅方向の温度分布を均一化することができる。
先に示した図10を用いて詳しく説明する。図10(B)に示す従来の定着ローラは、アルミニウムで形成され磁束制御層として機能する芯金層20fの層厚が2mm以上であることから、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときに、アルミニウムはほとんど発熱していない。それに対して、図10(A)に示す本実施の形態の定着ローラは、アルミニウムで形成された磁束制御層20dの層厚が100μmと薄層であることから、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときに、アルミニウムが良く発熱する。磁束制御層20dの発熱量は、全体の発熱量の50%程度である。
したがって、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときに、磁束制御層20dの発熱を、定着ローラ表層側に伝導しにくくすることにより、定着ローラの自己温度制御性をさらに高めることができる。そのためには、磁束制御層20dでの発熱が第1弾性層20c側ではなくて第2弾性層20e側に伝熱しやすい構成にする必要がある。なお、熱の伝わりやすさは、次式のごとく、熱抵抗で表すことができる。
熱抵抗(℃/W)=d/(A・λ) …(式2)
上式において、dは層厚(m)であって、Aは伝熱断面積(m2)であって、λは熱伝導率(W/m℃)である。
熱抵抗が大きいほど熱が伝熱しにくく、熱抵抗が小さいほど伝熱しやすい。したがって、第2弾性層20eの熱抵抗を第1弾性層20cの熱抵抗よりも小さく設定すればよい。伝熱断面積Aは各弾性層20c、20eが磁束制御層20dと接触している面積であり、第1弾性層20cの伝熱断面積Aと第2弾性層20eの伝熱断面積Aとはほとんど差異がない。したがって、層厚d又は熱伝導率λによって熱抵抗を制御すればよいことになる。
しかし、弾性層20c、20eの層厚は、定着ローラ20が充分なニップ部を形成できるかどうかが重要であるので、第1弾性層20cの熱伝導率λと第2弾性層20eの熱伝導率λとを異ならせることにより、熱抵抗を制御することが好ましい。
具体的には、以下の式を満たすように各弾性層20c、20eの熱伝導率λを設定すればよい。
d1/(A・λ1)>d2/(A・λ2) …(式3)
上式において、d1は第1弾性層20cの層厚(m)であって、d2は第2弾性層20eの層厚(m)であって、Aは伝熱断面積(m2)であって、λ1は第1弾性層20cの熱伝導率(W/m℃)であって、λ2は第2弾性層20eの熱伝導率(W/m℃)である。
式3を満たすように各弾性層20c、20eの熱伝導率λ1、λ2を設定することで、発熱層20bの温度がキューリー点以上のときに、磁束制御層20dでの発熱が表層側(第1弾性層20c側)に伝熱しにくくなり、定着ローラ内側(第2弾性層20e側)に伝熱されやすくなる。このため、定着ローラ表層の温度が上がらずに、自己温度制御性が高まる。
なお、定着ローラ内側(第2弾性層20e側)に伝熱した熱量は、芯金層20fを通して定着ローラの幅方向に伝熱するために、幅方向の温度分布が均一化される。
磁束制御層20dの発熱が定着ローラ内側に伝熱するのであれば、定着ローラ表層の昇温に関わる熱は発熱層20bの発熱量だけとなる。図10(A)より、キューリー点以上のときの発熱層20bの発熱量は、キューリー点以下のときの発熱量の約14%であることから、自己温度制御性が極めて高い定着ローラを提供することができる。
図16は、第2弾性層20dの熱伝導率を変更したときの、小サイズ紙連続通紙時の定着ローラの昇温特性を示すグラフである。
図16において、実線K1は、第1弾性層20c(発泡シリコーンゴム:層厚3mm)の熱伝導率と、第2弾性層20e(発泡シリコーンゴム:層厚6mm)の熱伝導率と、をともに0.1W/m℃に設定している。
これに対して、実線K2は、第1弾性層20c(発泡シリコーンゴム:層厚3mm)の熱伝導率を0.1W/m℃に設定して、第2弾性層20e(シリコーンソリッドゴム:層厚6mm)の熱伝導率を0.5W/m℃に設定している。
図16に示すように、実線K1と実線K2とは、どちらも、非通紙領域がキューリー点である180℃を超えると昇温が鈍化する。しかし、実線K1は緩やかに昇温しているのに対して、実線K2は180℃の温度を維持している。
これは、実線K2の定着ローラでは、第2弾性層20eの熱抵抗が第1弾性層20cの熱抵抗よりも小さく設定されているため、発熱層20bの温度がキューリー点以上になったときの磁束制御層20dの発熱が、第2弾性層20eを通して定着ローラ内側に伝熱され、定着ローラ表面への伝熱が減少したためである。このような構成により、自己温度制御性を高めて、小サイズ紙を連続通紙するときの定着ローラ20の幅方向の温度分布を均一化することができる。
なお、本実施の形態では、ニップ部を形成するために、第1弾性層20cの層厚よりも第2弾性層20eの層厚を厚く形成している。そのために、双方の弾性層20c、20eに同じ材料を選択した場合には式3を満足するのが難しくなる。したがって、第2弾性層20eの熱伝導率が第1弾性層20cの熱伝導率よりも充分に高くなるように、各弾性層20c、20eにそれぞれ最適な材料を選択することで、第1弾性層20c及び第2弾性層20eの熱抵抗の差を小さくすることができる。これにより、磁束制御層20dの発熱が、第2弾性層20eを通して定着ローラ内側に伝熱されやすくなる。
次に、弾性層20c、20eの硬度について説明する。
本実施の形態では、第1弾性層20cの硬度が第2弾性層20eの硬度よりも低くなるように設定している。これにより、ニップ部において充分なニップ量と加圧力とを確保することができて、定着ローラの耐久性を向上させることができる。
本実施の形態では、第1弾性層20cを発泡ゴムとしての発泡シリコーンゴムで形成した。第1弾性層20cの材料として発泡シリコーンゴムを使用するメリットは、断熱性が高く熱を芯金層20fに伝えにくいため立上特性が良好になること、ソリッドゴムと比較して低硬度にできるため定着ローラと加圧ローラとを接触させるときに比較的低い加圧力で広いニップ量が得られること、である。しかし、発泡ゴムは、その構造上から機械的強度が低く、高圧条件での使用には適していない。
一方、本実施の形態では、第1弾性層20cと第2弾性層20eとの間に、磁束制御層20dを配置している。磁束制御層20dは、薄層であるため、定着ローラのゴム変形を妨げてニップ量を狭めることはないが、弾性層20c、20eの間に磁束制御層20dを配置しない定着ローラに比べると、高い加圧力を定着ローラに加えなければ必要なニップ量を得ることができない。しかし、定着ローラへの加圧力を増加すると、定着ローラの弾性層が変形したり、駆動時の歪み応力により弾性層内部の気泡が破れる破泡現象が発生して硬度が低下してローラ外径が縮小してしまったりするため、定着ローラの長期的な使用によりニップ量が減少してしまう。そのため、新品の定着ローラが形成するニップ量が、定着に必要なニップ量よりも広くなるように設計する必要がある。すなわち、第1弾性層20cの層厚は厚めに設定する必要がある。
しかし、本実施の形態のように、第2弾性層20eを第1弾性層20cよりも硬度の高いソリッドゴムで形成することで、芯金層20fと発泡シリコーンゴムで形成した第1弾性層20cとの間に生じる歪みを、第2弾性層20eで緩衝することができる。すなわち、本実施の形態の構成によれば、定着ローラの耐久性を向上させることができる。
また、記録媒体上へのトナーの定着性を良好にするためには、所定の熱量と加圧力とが必要であるが、硬度の低い弾性層を定着ローラに使用すると、加圧ローラの圧接力が弾性層に分散吸収されてしまい、ニップ部において充分な加圧力が得られなくなってしまう。
これに対して、本実施の形態では、第2弾性層20eの硬度を第1弾性層20cの硬度よりも高く設定しているために、第1弾性層20cに硬度の低い材料を使用しても、ニップ部において充分な加圧力を与えることができる。なお、本実施の形態では、第1弾性層20cのアスカーC硬度が20〜30度になるように設定され、第2弾性層20eのアスカーC硬度が30〜60度になるように設定されている。
以上説明したように、本実施の形態では、電磁誘導加熱方式の定着装置19に設置される定着ローラ20において、外周面側から内部に向けて、離型層20a、発熱層20b、第1弾性層20c、磁束制御層20d、第2弾性層20e、芯金層20fを順次形成している。これにより、比較的簡易な構成で昇温効率が高く、ニップ部におけるニップ量が充分に確保されて出力画像上における定着性が良好で、効率のよい自己温度制御性が確保されて定着ローラ20の過昇温を確実に防止することができる。
なお、本実施の形態では、定着ローラ20として、芯金層(芯金)20f上に、第2弾性層20e、磁束制御層20d、第1弾性層20c、発熱層20b、離型層20a、が積層されたものを用いた。しかし、定着ローラ20の構成はこれに限定されることなく、上述した6層が上述した順に直接的又は間接的に積層されていればよい。例えば、定着ローラ20として、芯金層20f上に、第2弾性層20e、磁束制御層20d、第1弾性層20c、発熱層20b、第3の弾性層(層厚が50〜500μmである。)、離型層20a、が積層されたものであっても、本実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。特に、離型層20aの直下に薄層の第3の弾性層を設けることにより、記録媒体と定着ローラ表面との密着性が高まり、良好な画像を得ることができる。
また、本実施の形態では、磁束制御層20dを第2弾性層20eの外周面全域にわたって形成したが、磁束制御層20dを第2弾性層20eの外周面の周方向に隙間をあけて分割して形成することもできる。この場合、分割された磁束制御層20d同士は非接触になるが、充分な磁束遮蔽効果を得ることができる。磁束制御層20dを分割する場合には、磁束制御層の接着加工が可能になり、定着ローラの製造効率が向上することになる。なお、磁束制御層20dをローラ外周面の一部に形成する場合、定着ローラ全周の2/3以上の範囲に磁束制御層20dが形成されることが望ましい。
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す断面図である。 励磁コイルを示す斜視図である。 定着ローラを示す断面図である。 誘導加熱部によって発生される磁束の状態を示す図である。 従来の定着ローラに作用する磁束の状態を示す図である。 図6の定着ローラにおける昇温特性を示すグラフである。 ローラ方式の昇温特性とベルト方式の昇温特性とを示すグラフである。 本実施の形態における定着ローラに作用する磁束の状態を示す図である。 自己温度制御性を示すグラフである。 本実施の形態における定着ローラの昇温特性を示すグラフである。 本実施の形態における定着ローラの昇温特性を示すグラフである。 磁束制御層の層厚と、自己温度制御性と、の関係を示すグラフである。 磁束制御層の材料を変更したときの、自己温度制御性を示すグラフである。 磁束制御層の体積抵抗率と、自己温度制御性と、の関係を示すグラフである。 第2弾性層の熱伝導率を変更したときの、定着ローラの昇温特性を示すグラフである。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
19 定着装置、
20 定着ローラ、
20a 離型層、 20b 発熱層、 20c 第1弾性層、
20d 磁束制御層、 20e 第2弾性層、 20f 芯金層(芯金)、
24 誘導加熱部(磁束発生手段)、
25 励磁コイル、 27 コイルガイド、
28 第1コア、 29 第2コア、
30 加圧ローラ。

Claims (13)

  1. トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
    交番電流が印加されて磁束を発生させる磁束発生手段と、
    前記磁束によって加熱される発熱層と、当該発熱層の温度がキューリー点に達したときに前記磁束を制御する磁束制御層と、を具備する定着ローラと、
    前記定着ローラとのニップ部に搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラと、を備え、
    前記定着ローラは、外周面側から内部に向けて離型層、前記発熱層、第1弾性層、前記磁束制御層、第2弾性層、芯金層の少なくとも6層が順次形成されたことを特徴とする定着装置。
  2. 前記発熱層は、キューリー点が100〜250℃になるように形成された磁性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記発熱層は、その層厚が前記交番電流の周波数に対応した浸透深さと同等になるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記磁束制御層は、前記発熱層の体積抵抗率よりも低い体積抵抗率を有する非磁性導電材料からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
  5. 前記非磁性導電材料は、銅又はアルミニウムであることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記磁束制御層は、その層厚が10〜200μmになるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記第1弾性層の硬度が前記第2弾性層の硬度よりも低いことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記第2弾性層の熱伝導率が前記第1弾性層の熱伝導率よりも高いことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記第1弾性層は、発泡ゴムからなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記第1弾性層は、その層厚が2mm以上になるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
  11. 前記第2弾性層は、ソリッドゴムからなることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置。
  12. 前記芯金層は、アルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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