JP5780450B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5780450B2
JP5780450B2 JP2011061648A JP2011061648A JP5780450B2 JP 5780450 B2 JP5780450 B2 JP 5780450B2 JP 2011061648 A JP2011061648 A JP 2011061648A JP 2011061648 A JP2011061648 A JP 2011061648A JP 5780450 B2 JP5780450 B2 JP 5780450B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fixing
temperature
magnetic
fixing device
heat generating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011061648A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012198341A (ja
Inventor
洋 ▲瀬▼尾
洋 ▲瀬▼尾
江原 正尚
正尚 江原
小川 禎史
禎史 小川
智志 上野
智志 上野
岳誠 長谷
岳誠 長谷
周太郎 湯淺
周太郎 湯淺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2011061648A priority Critical patent/JP5780450B2/ja
Publication of JP2012198341A publication Critical patent/JP2012198341A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5780450B2 publication Critical patent/JP5780450B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる誘導加熱方式の定着装置及びこれを備えた画像形成装置に関するものである。
複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、印刷機、これらの複合装置などの画像形成装置においては、潜像担持体上に形成したトナー像などの可視像を記録紙などの記録媒体に転写することで画像出力を行っている。記録媒体上のトナー像は、定着装置の定着部材と加圧部材とによって形成される定着ニップを通過する際に熱と圧力とによる融解、浸透作用によって記録媒体上に定着させる。
このような定着装置に採用される加熱方式としては、発熱源としてハロゲンヒータのように、発熱体に電流を印加する方式が広く用いられている。このような加熱方式に対して、近年、誘導加熱を用いた加熱方式の定着装置が注目されている(例えば、特許文献1〜5)。
誘導加熱方式の定着装置では、高周波電源によってコイル状の励磁部材に電流を印加することにより高周波磁界を発生し、この高周波磁界によって磁性体からなる発熱部材に誘導磁束が作用にして渦電流を発生させる。この渦電流が磁性体を流れる際の抵抗と電流とによって生じるジュール熱で発熱部材が発熱する。そして、この発熱部材の熱をローラ状やベルト状の定着部材に伝達し、定着ニップにおいて記録媒体上のトナーを加熱して定着する。
誘導加熱方式の定着装置では、ハロゲンヒータのように発熱体に電流を印加する方式の定着装置に比して、所定の温度までの立ち上がり時間が短くなるという利点がある。
また、特許文献2には、誘導加熱方式の定着装置として、発熱部材としてキュリー温度が概ね定着温度に設定された整磁合金を用いるものが記載されている。この定着装置は、整磁合金のキュリー温度に達するまでは強磁性の性質であるため急速に加熱し、キュリー温度に達すると整磁合金が磁性を失うことにより、昇温せず、一定の温度を保持するというものである。このとき、整磁合金のキュリー温度は概ね定着温度に設定されているので、整磁合金は概ね定着温度に保持される。
しかし、整磁合金を用いた発熱部材において、実際は、キュリー温度近傍で透磁率が大きく落ち込むが、キュリー温度に達した後も磁性を完全に失うわけではなく、発熱効率は低下するものの、加熱は継続される。
特許文献3〜5には、発熱部材を励磁部材との間に挟むように、銅等からなる消磁部材を配置した構成が記載されている。この消磁部材に誘導磁束が到達すると、低抵抗の消磁部材の内部に渦電流を発生させる。消磁部材に発生した渦電流は励磁部材からの誘導磁束を打ち消す方向に磁束(反発磁束)を発生させるため、誘導磁束が発熱部材に作用しなくなり、発熱部材は自動的に発熱しなくなる。このように消磁部材を備えた誘導加熱方式の定着装置では、自己温度制御機能が発揮されるため整磁合金のキュリー温度以上への加熱を防止することができる。
しかしながら、発熱部材に整磁合金を用いた構成では、発熱部材の温度がキュリー温度に近づくにつれて、発熱効率が低下するため、その分、立ち上げ時間が長くなるという課題があった。
図6は、キュリー温度が190[℃]の整磁合金の透磁率の温度依存性の一例を示すグラフである。
図6に示す例では、キュリー温度が190[℃]であるが、透磁率は180[℃]から下がり続け、キュリー温度が190[℃]といっても、透磁率が高い状態から下がりきるまではある程度の温度領域がある。
ここで、所望の定着温度が190[℃]の定着装置に、温度依存性が図6のようになる整磁合金を用いた場合、透磁率が低下し始める180[℃]から190[℃]までの間の発熱効率が低下する。このため、所望の定着温度(190[℃])に到達するまでの立ち上げ時間が長くなる。
このような消磁部材を備えた構成で、発熱効率の低下を防ぐため、温度依存性が図6のようになる整磁合金を所望の定着温度が180[℃]の定着装置に用いた場合、所望の定着温度に到達するまでの発熱効率の低下を防げるが、その分消磁部材が作用する温度までの温度差が大きいため、過昇温となりやすい。
このため、発熱部材の温度が、発熱効率が低下し始める温度になったことを検出し、その検出結果に基づいて、定着温度に達するまでは効率良く加熱を行い、且つ、過昇温となる前に加熱を停止するように、発熱部材の温度制御が可能な構成が求められる。これらの温度の状態を検出するために、発熱部材によって加熱される定着部材の表面温度を温度センサによって検出することが考えられる。しかし、接触型の温度センサでは定着部材に接触磨耗傷をつけるおそれがあり、非接触型の温度センサは高コストに繋がる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、誘導加熱方式を用いた構成で、温度センサを用いることなく、発熱部材の温度状態を検出し、その検出結果に基づいて発熱部材の温度制御が可能となる定着装置、及びこの定着装置を備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電流が印加されることにより磁場を形成する励磁部材と、該磁場の影響による誘導加熱で発熱し、キュリー温度が定着温度近傍である磁性体からなる発熱部材とを有し、該発熱部材の熱を用いて記録媒体の表面上の未定着画像を該記録媒体に定着する定着装置において、上記発熱部材の透磁率の変化を検出する透磁率変化検出手段を備え、該透磁率変化検出手段の検出部を上記励磁部材を挟んで該発熱部材とは反対側に配置することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、透磁率が下がり始める温度が上記定着温度と略一致する上記磁性体を上記発熱部材に用い、上記透磁率変化検出手段が、該発熱部材の透磁率が下がり始めたことを検出すると、上記励磁部材への電流の印加を停止し、該発熱部材の透磁率が元に戻ったことを検出すると、該励磁部材への電流の印加を再開させることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記透磁率変化検出手段は、検出電流が印加されるコイル状導体と、該コイル状導体の電気的特性の変化を検出する検出回路とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の定着装置において、上記検出回路は、上記コイル状導体に検出電流を印加する交流電源を有し、該コイル状導体のインダクタンスの変化を検出することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の定着装置において、上記発熱部材は、キュリー温度が異なる複数種の磁性体を上記励磁部材と対向する方向に重ねて配置したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の定着装置において、上記透磁率変化検出手段は、一つの上記励磁部材に対して、上記記録媒体の搬送方向に直交する方向である記録媒体幅方向について、複数箇所で上記発熱部材の透磁率を検出することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れか1項に記載の定着装置において、表面移動する回転体からなり、上記発熱部材によって加熱された部分が上記記録媒体の表面に接触することで、該記録媒体に熱を伝達する被加熱部材と、表面移動する回転体からなり、該被加熱部材に加圧当接し、その当接部で定着ニップを形成する加圧回転体とを備え、該定着ニップを該記録媒体が通過することで、該定着ニップにおける熱と圧力とによって該記録媒体の表面上の未定着画像を該記録媒体に定着することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、該記録媒体上に該未定着画像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、該定着手段として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とするものである。
本発明においては、透磁率変化検出手段を備えることにより、発熱部材のキュリー温度近傍で、透磁率が下がり始める温度状態となったことを検出することができる。そして、この検出結果に基づいて励磁部材への電流の印加を制御することにより、発熱部材の温度制御が可能となる。
本発明によれば、透磁率変化検出手段を備えることにより、誘導加熱方式を用いた構成で、温度センサを用いることなく、発熱部材の温度状態を検出し、その検出結果に基づいて発熱部材の温度制御が可能となるという優れた効果がある。
実施形態に係る定着装置の概略構成図。 実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 励磁コイルユニットの斜視説明図。 励磁コイルユニットとそれに接続された電気回路との概略構成図。 定着ローラの一部の拡大断面図。 キュリー温度が190[℃]の整磁合金の透磁率の温度依存性の一例を示すグラフ。 二種類の整磁合金層のインダクタンス透磁率の温度依存性を示すグラフ。 発熱部材の温度が、第一整磁層のキュリー温度よりも低い状態の定着ローラの説明図。 発熱部材の温度が、第一整磁層のキュリー温度よりも高く第二整磁層のキュリー温度よりも低い状態の定着ローラの説明図。 発熱部材の温度が、第二整磁層のキュリー温度よりも高い状態の定着ローラの説明図。 図1に示す定着装置が備える発熱部材の透磁率の温度依存性を示すグラフ。 用紙幅と検出コイルとの位置関係の一例を示す模式図。 ある用紙幅の記録材に対する定着動作を行ったときの幅方向位置と温度との関係を示すグラフ。 定着部材として定着ベルトを用いる定着装置の概略説明図。
以下、本発明を、電子写真方式によって画像を形成する画像形成装置であるプリンタ(以下、プリンタ100と呼ぶ)に適用した実施形態について説明する。なお、本実施形態では本発明の特徴部を備える画像形成装置がプリンタである構成について説明するが、複写機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。また、図2に示すプリンタ100は、単一色画像を作成する構成であるが、本発明を適用した定着装置はカラー画像を形成する画像形成装置にも用いることができる。
図2に示すプリンタ100は、潜像担持体として、ドラム形状の回転体である電子写真感光体(以下、単に感光体41という)を備える。また、感光体41の周りに、図中に矢印で示す回転方向に順次、帯電ローラからなる帯電装置42、露光手段の一部を構成するミラー43、現像ローラ44aを備えた現像装置44、転写紙等のシート状の記録材Pに現像された画像(トナー像)を転写する転写装置48、及び、感光体41の周面に摺接するブレード46aを具備したクリーニング装置46等が配置してある。そして、帯電装置42と現像ローラ44aとの間において、感光体41にはミラー43を介して露光光Lbを露光照射して走査するようになっている。この感光体41の表面上の露光光Lbの照射位置を露光部150と称する。
転写装置48が感光体41の下面と対向する部位は、記録材Pにトナー像が転写される転写部47となっており、この転写部47より記録材搬送方向上流側には一対のローラからなるレジストローラ対49が設けてある。レジストローラ対49には、何れかの給紙トレイ40に収納した記録材Pが、給紙コロ群110のコロによって送り出され、図示を省略した搬送ガイドおよび搬送ローラ群111に案内されながら搬送されてくる。また、転写部47よりも記録材搬送方向下流の位置には、定着装置20が配置してある。定着装置20より記録材搬送方向下流側には両面記録実行時に転写紙の表裏を反転させ記録済みの紙面を下向きにして転写部47に再給紙する自動両面装置39が配置してある。
以下、プリンタ100における画像形成動作の概略を説明する。
プリンタ100が画像形成動作を開始すると、装置上部側では、先ず感光体41が回転を始める。感光体41は、この回転中に暗中において帯電装置42により均一に帯電され、作成すべき画像に対応する露光光Lbが露光部150に照射および走査されることで、作成すべき画像に対応した潜像が感光体41上に形成される。この潜像は感光体41の回転により現像装置44の現像ローラ44aと対向する位置で、トナーにより可視像(顕像)化されて、感光体41の表面上にトナー像が形成される。
一方、装置下部側では、何れかの給紙トレイ40の給紙コロ群110により、給紙トレイ40内の記録材Pを呼び出し、例えば図中に破線で示すような所定の搬送経路を経てレジストローラ対49の位置まで搬送し、一旦停止させる。
その後、感光体41上のトナー像が転写部47で記録材Pの所定位置に対向するようなタイミングでレジストローラ対49を駆動し、記録材Pを送り出す。すなわち、好適なタイミングが到来すると、レジストローラ対49の位置で停止していた記録材Pを、レジストローラ対49で送り出し、転写部47に向けて搬送する。
感光体41上のトナー像とこのトナー像が転写されるべき記録材Pの所定位置とは、その位置が転写部47で合致し、転写装置48によって形成される電界により、感光体41上からトナー像は記録材P上へ移動し、転写される。
転写部47で感光体41からトナー像を転写された記録材Pは、定着装置20に向けて送り出される。そして、記録材P上のトナー像が、定着装置20を通過する間に加熱、加圧されて記録材Pに定着された後、記録材Pは排紙部101に排紙される。
また、記録材Pの両面に画像形成をする場合、図示しない分岐爪により自動両面装置39に排紙された記録材Pが、自動両面装置39でスイッチバック反転され、レジストローラ対49の手前の搬送経路に搬送される。
一方、転写部47で記録材Pに転写されずに感光体41上に残った残留トナーは、感光体41の回転と共にクリーニング装置46との対向部に至り、このクリーニング装置46との対向部を通過する間に感光体41上から清掃・除去され、次の画像形成に移行可能となる。
定着装置20は、詳細は後述するが、一対のローラを採用した定着構成としている。このため、定着装置20には、定着回転体を加熱するための熱源を備え、この定着回転体に加圧ローラが当接、押圧している。
次に、定着装置20について説明する。図1は、実施形態に係る定着装置20の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、定着装置20は、定着部材である定着ローラ21と、加圧部材である加圧ローラ22と、高周波磁界を発生させる磁束発生部である励磁コイルユニット29とを備える。定着ローラ21は、回転する定着スリーブ210と、定着スリーブ210の内部に配置され、励磁コイルユニット29が発生させる磁界によって発熱する発熱部材30とを備える。さらに定着ローラ21は、定着スリーブ210の内部から定着スリーブ210を介して加圧ローラ22に当接し、定着ニップNを形成するニップ形成パット23を備える。
また、励磁コイルユニット29は、アーチコア24、センターコア25及びサイドコア26から構成されるフェライトなどの強磁性体からなるコア部材を備える。さらに、アーチコア24及びサイドコア26によって覆われる空間に、詳細は後述する励磁コイル27及び検出コイル28が配置されている。
定着装置20では、未定着トナーTを担持した記録材Pは、図1の破線矢印で示すように、定着ニップNへと搬送される。
図3は、励磁コイルユニット29を図1中の斜め下方から見た斜視説明図であり、図4は、励磁コイルユニット29を下方から見た図であって、励磁コイル27及び検出コイル28に接続された電気回路(インバータ270及び検出回路280)を追記した励磁コイルユニット29の構成の概略を示す概略構成図である。なお、図3では、検出コイル28の表記は省略している。
図3及び図4に示すように、励磁コイル27は、アーチコア24と定着ローラ21との間に位置し、定着スリーブ210の回転軸の軸方向に延在するセンターコア25の回りに巻きつけるように配置されている。
定着装置20では、励磁コイルユニット29が備える励磁コイル27を誘導加熱回路であるインバータ270により高周波駆動することによって高周波磁界を発生させる。そして、この高周波磁界によって、主に金属性の発熱部材30に渦電流が流れるようにして発熱させ、定着スリーブ210の温度を上昇させているものである。
ここで、従来の定着装置の加熱手段について説明する。
定着装置に採用される加熱方式には、発熱源としてハロゲンランプなどを用いた加熱ローラとこれに対向当接する加圧ローラを備えて定着ニップ部を構成可能な熱ローラ定着方式、ローラ自体よりも熱容量が小さくてすむフィルムを加熱部材として用いたフィルム定着方式がある。近年、加熱方式に電磁誘導加熱方式を用いた定着方式(例えば、特許文献1参照)が注目されている。
特許文献1に開示されている電磁誘導加熱方式を用いた定着方式においては、加熱ローラの内部においてボビンに巻いた誘導加熱コイルを設け、誘導加熱コイルに電流を印加することにより加熱ローラに渦電流を発生させ、それによって加熱ローラを発熱させる構成が備えられている。この構成においては、熱ローラ定着方式のような余熱を必要とせず、瞬時に所定の温度まで立ち上げることができるという利点がある。
また電磁誘導加熱方式を用いた定着方式として、特許文献2には、高周波電源により高周波電圧が印加される誘導加熱コイルからなる高周波誘導加熱装置と、加熱ローラ等の加熱回転体に設けられた磁性を有する発熱層とを有する構成が記載されている。この構成の発熱層は、キュリー温度が概ね定着温度に設定され、高周波誘導加熱装置に高周波電源により高周波電圧が印加されたとき発熱する。
特許文献2に記載の定着装置では、高周波誘導加熱装置により接着剤中に含有された強磁性体がキュリー温度に達する迄瞬時に昇温し、キュリー温度に達すると強磁性体が磁性を失うことにより昇温せず、一定の温度を保持する。この強磁性体のキュリー温度は概ね定着温度に設定されているので、強磁性体は概ね定着温度に維持される。したがって、定着装置として要求される加熱回転体表面の高離型性、耐熱性等を損なうことなく、また複雑な制御装置を必要とすることなく、加熱回転体の立ち上がり時間の短縮及び高精度の温度制御を行なうことができるとされる。
ここで、キュリー温度が概ね定着温度に設定された整磁合金が、磁性体から非磁性体に変化することによる特性変化について説明する。
整磁合金は、キュリー温度を境にして磁性体から非磁性体に変化するが、磁性体から非磁性体に変化するということは、表皮深さ(磁束が浸透する深さ)が変化することになる。つまり、磁性体と非磁性体とでは励磁コイルからの磁束が浸透する深さが異なり、磁性体に比べて非磁性体のほうが圧倒的に磁束が浸透する(浸透深さが深い)。この温度の違いによる浸透深さの違いをうまく利用することにより、キュリー温度以上の温度に上がらないような構成を実現することができる。
しかし、整磁合金を用いた発熱部材において、実際は、キュリー温度近傍で透磁率が大きく落ち込み、発熱効率は低下するものの、加熱は継続される。
このような整磁合金のキュリー温度よりも高温域における加熱を防止する構成として、発熱部材励磁部材との間に挟むように、消磁部材を配置した構成がある。消磁部材を備えた誘導加熱方式の定着装置では、自己温度制御機能が発揮されるため整磁合金のキュリー温度以上への加熱を防止することができる。
しかし、消磁部材を備えた構成であっても、発熱部材の透磁率が下がり始める温度と、消磁部材の作用によって加熱が停止する温度との間に温度差があるため、これらの温度と所望の定着温度との関係によって課題が生じることがあった。すなわち、発熱部材の透磁率が下がり始める温度を所望の定着温度に合わせると、定着温度まで瞬時に加熱がなされたあと、加熱効率は低下するものの消磁部材の作用によって加熱が停止する温度まで加熱されるため、過昇温となる。一方、消磁部材の作用によって加熱が停止する温度を所望の定着温度に合わせると、過昇温は防止できるものの、発熱部材の透磁率が下がり始める温度から加熱効率が低下し続けるために、その分、立ち上げ時間が長くなるという課題があった。
このような問題に対して、本実施形態の定着装置20では、励磁コイル27と、キュリー温度が定着温度近傍である磁性体からなる発熱部材30を備え、発熱部材30の透磁率の変化を検出する透磁率変化検出手段として、検出コイル28及び検出回路280を備える。
定着装置20は、検出コイル28及び検出回路280によって、発熱部材30のキュリー温度近傍で透磁率が下がり始めるタイミングを検出することができる。そして、発熱部材30の透磁率が下がり始める温度が所望の定着温度となるように設定し、且つ、検出回路280が発熱部材30の透磁率が下がり始めたことを検出したときには、不図示の制御装置がインバータ270を制御し、励磁コイル27への電流の印加を停止する。
透磁率が下がり始める温度を所望の定着温度とすることで、所望の定着温度に到達するまでに発熱効率が低下しない領域で加熱することができるため、効率的に加熱ができ、立ち上げ時間の短縮を図ることができる。さらに、発熱部材30が所望の定着温度に到達し、検出回路280が発熱部材30の透磁率が下がり始めを検出すると、インバータ270による励磁コイル27への電流の印加を停止するため、過昇温を確実に防止することができる。
また、従来の消磁部材を設けた構成では、過昇温を確実に防止すべく、発熱部材を構成する整磁合金の透磁率が下がりきったときの温度が所望の定着温度となるように設定する構成が考えられる。このような構成では、発熱部材が所望の定着温度となると、消磁部材から発生する反発磁束によって励磁コイルが発生する誘導磁束を打ち消し、所望の定着温度よりも高温となることを防止することができる。しかし、近年の画像形成装置は、通紙する紙種(紙の厚さや種類)、モード(光沢モード、非光沢モードをユーザーが選択可能)によって、通常の定着温度よりも高温とすることが求められる場合がある。このような要望に対して本発明を適用した定着装置では、定着に用いる温度に応じて励磁コイル27への電流の印加(以下、「通電」とも言う)を停止する制御を行う透磁率を変えることで対応可能である。例えば、通常の定着温度を発熱部材の透磁率が下がり始める温度に設定し、通常の定着時には透磁率が下がり始めたことを検出すると、通電を停止する。これにより、通常の定着時には効率よく加熱を行うことができ、且つ、過昇温を防止することができる。一方、通常よりも高温で定着を行うときには、その温度のときの発熱部材の透磁率となったことを検出したときに通電を停止するように制御する。透磁率が下がり始める温度よりも高い温度で定着を行うため、その温度に到達するまでの発熱効率は低下するが、このような高温で定着を行うことはイレギュラーなケースであり、通常の定着時には効率良く加熱を行うことができるため、大きな問題とはならない。
図4に示すように、定着装置20は、詳細の図示は省略したインバータ270に接続された複数(図では3つ)の励磁コイル27を有し、励磁コイル27と重ねるように電気特性検出のための検出コイル28を配置し、この検出コイル28に接続された検出回路280を備える。
検出回路は良く知られた交流ブリッジ法に代表されるインダクタンス検出回路や、インピーダンス測定回路のリアクタンス成分の算出でよく、検出されるインダクタンスを用いてJISC2531で説明される計算によりインダクタンス透磁率の変化を、図示しない制御コントロール部で演算、算出するが計算方法は本発明の特徴となるものではない。
また、本発明は、その励磁コイル27の数に限定されるものではなく、配置した検出コイル28の数に応じて、軸方向の過昇温を検出することができるものである。
ここで、励磁コイル27に高周波電流が印加され、励磁コイル27の周りに高周波磁界が発生している状態では、誘導磁束によって検出コイル28にも逆起電力が発生する。これに対して、定着装置20では、加熱の際にインバータ270が励磁コイル27に対して連続的に通電を行わず、周期的に通電のON/OFFを繰り返す構成となっており、この通電がOFFとなっているタイミングで検出コイル28及び検出回路280によるインダクタンス透磁率の検出動作を行う。そして、この検出動作によって、整磁合金の温度が所定温度よりも高いことを検出した場合には、上述したON/OFFを繰り返す周期的な通電自体を停止する。
図5は、定着ローラ21の一部を拡大して取り出して示す断面図である。図5中の矢印方向が定着ローラ21の表面側となる。
定着スリーブ210は、直径が例えば40[mm]で形成され、発熱部材30は、整磁合金層(31及び32)を備える。発熱部材30としては、整磁合金層(31及び32)の外側に、励磁コイルからの誘導磁束で発熱する発熱層を酸化防止層で挟んだ構成でも良く、整磁合金層そのものが発熱しても良い。
本実施形態の定着装置20の定着ローラ21では、キュリー温度が異なる二層の整磁合金層からなる構成を示している。
発熱部材30は、キュリー温度が異なる第一整磁層31と第二整磁層32とから構成され、第一整磁層31及び第二整磁層32は共に層厚が0.5[mm]である。
定着スリーブ210は、発熱部材30と摺動する基材210a、弾性層210b及び表層である離型層210cから構成される。
基材210aは、層厚が50[μm]のPI(ポリイミド)の層であり、弾性層210bは、層厚150[μm]のシリコーンゴムの層である。そして、離型層210cは層厚が30[μm]PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)が用いられる。ただし、これらはすべて一例である。
整磁層は、キュリー温度が例えば180[℃]になるように形成された磁性体(例えば鉄、ニッケルを含む整磁合金材料)からなり、この整磁層の存在により、検出コイル28からの磁束の透過が抑制されインダクタンス透磁率が変化する。その詳細は以下に説明する。
図6は、代表的な整磁合金を含む整磁層の、温度に対する検出コイル28のインダクタンス透磁率変化データである。代表的な一例であるが、キュリー温度が190[℃]に調整された整磁合金を用いたデータを示している。
検出コイル28に誘起される誘導磁界が、整磁合金が強磁性体の状態で誘導した場合(整磁合金がキュリー温度以下)には整磁合金の透磁率が高いため、大きなインダクタンス透磁率を示す。一方、整磁合金がキュリー温度以上になると非磁性体となり透磁率が低下しインダクタンス透磁率も低下する。
このインダクタンス透磁率は、検出回路280の信号値から制御部で算出可能である。
図7はキュリー温度と各温度状態における透磁率とが異なる二種類の整磁合金層のインダクタンス透磁率の温度依存性を示すグラフである。略190[℃]のキュリー温度を持つTc=Aの材料と、略240[℃]のキュリー温度を持つTc=Bの材料データである。
本実施形態の定着装置20では、第一整磁層31にTc=Aの整磁合金を使用し、第二整磁層32にTc=Bの整磁合金を使用している。
図7に示す二種類の整磁合金からなる発熱部材30を備えた定着装置20の定着ローラ21及び励磁コイルユニット29近傍の磁束の流れについて図8〜図10を用いて説明する。図中の実線の矢印は検出コイル28からの誘導磁束の概略を示す。
図8は、発熱部材30の温度(Th)が、第一整磁層31のキュリー温度(A)よりも低い状態の説明図である。この状態では、発熱部材30を構成する第一整磁層31の温度(Th)がキュリー温度(A)未満のため、第一整磁層31を構成する整磁合金が磁性体のままである。すなわち第一整磁層31及び第二整磁層32が共に磁性体のままである。このため、図8中の矢印で示すように、検出コイル28が発生させた誘導磁束が第一整磁層31と誘導している状態となる。すなわち、発熱部材30の温度が第一整磁層31のキュリー温度未満であると、第一整磁層31が磁束を透過させず、検出されるインダクタンス透磁率は第一整磁層31を構成する整磁合金の透磁率が支配的となり、本実施形態の定着装置20では、2000以上の値を示す。
図9は、発熱部材30の温度(Th)が、第一整磁層31のキュリー温度(A)よりも高く、第二整磁層32のキュリー温度(B)よりも低い状態の説明図である。この状態では、発熱部材30を構成する第一整磁層31の温度(Th)がキュリー温度(A)以上であるため、第一整磁層31を構成する整磁合金が非磁性体となり、誘導磁束が第一整磁層31を透過して第二整磁層32に届いた状態となる。一方、発熱部材30を構成する第二整磁層32の温度(Th)がキュリー温度(B)未満のため、第二整磁層32を構成する整磁合金が磁性体のままである。すなわち第一整磁層31は非磁性体となり、第二整磁層32は磁性体のままである。このため、第整磁層32は磁束を透過させず、検出されるインダクタンス透磁率は第二整磁層32を構成する整磁合金の透磁率が支配的となり、本実施形態の定着装置20では、1500程度の値を示す。
図10は、発熱部材30の温度(Th)が、第二整磁層32のキュリー温度(B)よりも高い状態の説明図である。この状態では、この状態では、発熱部材30を構成する第二整磁層32の温度(Th)がキュリー温度(B)以上であるため、第一整磁層31を構成する整磁合金が非磁性体となり、第二整磁層32を構成する整磁合金も非磁性体となる。このため、部材の温度がキュリー温度以上となった第一整磁層31及び第二整磁層32は、ともに磁束を透過させるため、検出されるインダクタンス透磁率は、非磁性に対して磁束を透過させるため、透磁率は500程度の値を示す。
このような関係の本実施形態の定着装置20が備える発熱部材30の透磁率の温度依存性を図11のグラフに示す。
二層構造の発熱部材30は、図11に示すように、透磁率として2000から1500への変局点が190[℃]の状態を示し、1500から500への変局点を監視すれば240[℃]の過昇温が検知可能となる。
したがって、整磁層をなす材料のキュリー温度が、この種の定着装置において使用可能上限温度である240[℃]になるように形成した磁性体で構成しておけば、定着ローラ21の異常加熱を検知可能となり、高価な温度センサを用いることなく異常状態のみを検知可能となる。
また、第一整磁層31のキュリー温度(A)を所望の温度(例えば定着下限温度140[℃])にすれば、二種類以上の温度監視が可能となる。
定着部材としての回転体としては、ローラ、スリーブ、ベルトの何れでも良く、整磁層が発熱層と別体の場合は、整磁層は発熱層に対して固定されている必要はなく摺動回転にて伝熱させ整磁合金を感温させることも可能である。
図12は、用紙幅dと検出コイル28との位置関係の一例を示す模式図であり、図13は、ある用紙幅dの記録材Pに対する定着動作を行ったときの幅方向位置と温度との関係を示すグラフである。
三つの励磁コイル27を図中左側から第一励磁コイル27a、第二励磁コイル27b及び第三励磁コイル27cとしている。また、五つの検出コイル28を図中左側から第一検出コイル28a、第二検出コイル28b、第三検出コイル28c、第四検出コイル28d及び第五検出コイル28eとし、各検出コイルに接続された五つの検出回路280を、第一検出回路280a、第二検出回路280b、第三検出回路280c、第四検出回路280d及び第五検出回路280eとしている。
図12に示す例では、用紙幅dに対し適切な熱量を印加すべく三つの励磁コイル27(a〜c)は共に駆動され、各励磁コイル27に対向する位置の発熱部材30を誘導加熱する。しかしながら用紙幅dの軸方向外側となる非通紙部は熱量が記録材Pに奪われることがないため、過昇温する(いわゆる非通紙部過昇温)。この過昇温時、幅方向の温度分布は図13に示されるようになる。このとき第一検出コイル28a及び第五検出コイル28eの誘導磁束は、第二整磁層32も透過するため、第一検出回路280a及び第五検出回路280eはインダクタンス透磁率として500以下を検出する。このように過昇温を検出した場合は、スループットを低下させる、電力を遮断する等の公知の技術を用い安全性を確保する。
また、温度センサを用いることなく発熱部材30がキュリー温度以上なったことを検出回路280で検出できる。非通紙部の過昇温については、定着部材に接触磨耗傷をつけることを防止するには、非接触で検知する必要があるが、温度センサによる温度検知に関しては上限温度の検出のみで良いにも関わらず非接触温度センサ設置する必要があり高機能高コストであった。これに対して、本発明の定着装置20では、発熱部材30の透磁率の変化を検出することで、定着部材に熱を付与する発熱部材30の上限温度の検出を行うことができる。
また、より効果的にはキュリー温度(A)を定着下限温度付近に設定することで、通紙領域内での温度センサの検知域外の温度(例えば用紙エッジ近辺)を定着下限温度以上に監視しながら、キュリー温度(B)への非通紙部過昇温の検知が可能となる。
本発明を適用可能な定着装置は、少なくとも整磁合金層を有する発熱部材と、その透磁率の変化を検出する検出手段との併用に関わるものであり、定着部材としては、ローラ状に限るものではない。すなわち、ベルト定着、サーフ定着など、定着方式により適用範囲が限られるものではない。
図14は、定着部材として無端ベルトからなる定着ベルト211を用いる定着装置20の概略説明図である。図1を用いて説明した定着装置20では、励磁コイルユニット29は整磁層(31または32)を介して定着部材である定着スリーブ210を加熱する構成である。一方、図14に示す定着装置20は、励磁コイルユニット29によって定着ベルト211を直接的に加熱する構成となっている。
すなわち、図14に示す定着装置20の定着ベルト211は、図示しないが内層として非磁性の発熱層(例えば銅(Cu)層)を具備しており、励磁コイルユニット29の磁力線が定着ベルト211内の発熱層を横切る際に、発熱層には、磁力線の交流磁界の変化を妨げる磁界を生成するように渦電流が生じる。この渦電流が発熱層を流れることによって、発熱層の抵抗値に比例したジュール熱が発生し、定着ベルト211が加熱される構成になっている。
また、定着ベルト211を介して加圧ローラ22とニップ形成パット23とが圧接し定着ニップNが形成されている。この定着ニップNの出口側は、ニップ形成パット23により加圧ローラ22を変形させるようにし、記録材Pのこしにより分離性を向上させるようにしている。但し、より確実に記録材Pを定着ベルト211から分離するために分離部材128を設けるようにしても良い。
本実施形態の定着装置20では、ニップ形成パット23を有しているが整磁合金からなる発熱部材30、励磁コイル27、検出コイル28及び検出回路280を有する定着装置であれば良く、本発明の定着装置はニップ形成方法で限定されるものではない。
また、本実施形態の定着装置20では、消磁部材を設けない構成について説明したが、発熱部材の透磁率変化を検出する構成と、消磁部材を備える構成とを組み合わせてもよい。発熱部材の透磁率変化の検出結果に基づいて励磁部材への通電を制御することにより、温度センサを用いない構成であっても精度よく定着部材の温度制御を行うことができる。しかし、検出タイミングや検出回路の異常等によって定着部材が所定の温度以上となっても励磁部材への通電が停止されなくなる現象が起こり得る。このような問題に対して、消磁部材を配置することにより、発熱部材のキュリー温度を超えて、誘導磁束が消磁部材に到達する温度となると、反発磁束の作用によって励磁部材に通電されたままの状態であっても加熱を停止することができ、過昇温をより確実に防止することができる。
以上、本実施形態の定着装置20では、インバータ270から交流電流が印加されることにより磁場を形成する励磁部材である励磁コイル27と、磁場の影響による誘導加熱で発熱し、キュリー温度が定着温度近傍である磁性体からなる発熱部材30とを有する。そして、発熱部材30の熱を用いて記録媒体である記録材Pの表面上の未定着画像である未定着トナーTを記録材Pに定着する。このような定着装置20において、発熱部材30の透磁率の変化を検出する透磁率変化検出手段として検出コイル28及び検出回路280を備えることによって、発熱部材30のキュリー温度近傍で透磁率が下がり始める温度状態となったことを検出することができる。また、発熱部材30の透磁率が下がり始める温度が所望の定着温度となるように設定し、且つ、検出回路280が発熱部材30の透磁率が下がり始めたことを検出したときには、不図示の制御装置がインバータ270を制御し、励磁コイル27への電流の印加を停止する。透磁率が下がり始める温度を所望の定着温度とすることで、所望の定着温度に到達するまでに発熱効率が低下しない領域で加熱することができるため、効率的に加熱ができ、立ち上げ時間の短縮を図ることができる。また、発熱部材30が所望の定着温度に到達し、検出回路280が発熱部材30の透磁率が下がり始めを検出すると、インバータ270による励磁コイル27への電流の印加を停止するため、過昇温を確実に防止することができる。このように、定着装置20は、整磁合金による自己温度制御機能を発揮させず、整磁合金の温度による透磁率の変化を過昇温検知に特性を利用するものである。具体的には、キュリー温度近傍になると透磁率が変化する特性を利用し、温度センサを配することなく過昇温の検出が可能となる。また、検出コイル28の配置によって非通紙部のみの過昇温の検出も可能となる。
また、定着装置20では、励磁コイル27に重ねるように電気特性変化検出のための検出コイル28を配するため、定着部材である定着スリーブ210の周囲の占有面積の増加を招くことなく過昇温検知を可能としている。
また、定着装置20として、所望の定着温度を180[℃]とし、透磁率が下がり始める温度が定着温度と略一致する第一整磁層31を発熱部材30に用い、検出回路280が、発熱部材30の透磁率が下がり始めたことを検出すると、励磁コイル27への電流の印加を停止し、発熱部材30の透磁率が元に戻ったことを検出すると、励磁コイル27への電流の印加を再開させる構成としてもよい。このような構成により、所望の定着温度近傍で、発熱部材の温度を安定させることができる。
また、定着装置20は、透磁率変化検出手段として、検出電流が印加されるコイル状導体である検出コイル28と、検出コイル28の電気的特性の変化を検出する検出回路280とを備える。この構成では、検出電流が印加された際に検出コイル28の周りに誘導磁束を形成し、この誘導磁束の範囲内に発熱部材30が配置されていることにより、発熱部材30がキュリー温度に到達したときの透磁率の変化の変化を検出することができる。
また、定着装置20が備える検出回路280は、検出コイル28に検出電流を印加する不図示の交流電源を有し、検出コイル28のインダクタンスの変化を検出する。実施形態では、5つの検出コイル28に対して、発熱部材30を介した検出回路280のインダクタンス変化を検出する。インダクタンス変化の検出は通常のブリッヂ回路で実施し、検出値をコントローラ部にて演算する。
また、定着装置20が備える発熱部材30は、キュリー温度が異なる二数種の磁性体からなる第一整磁層31及び第二整磁層32を励磁コイル27と対向する方向に重ねて配置している。このような構成においては、所望の定着温度を、(A)〜(B)までの温度に設定し、キュリー温度の低い第一整磁層31のキュリー温度(A)を定着下限温度とする。そして、温度(A)に対応した透磁率となったことを検出したとき、定着装置20の不図示の制御部は立ち上がりが完了したことをプリンタ100本体側の制御部に通知する。これにより、定着ニップNが定着下限温度以上となった状態で記録材Pを定着装置20に搬送し、安定した定着を行うことができる。また、キュリー温度の高い第二整磁層32のキュリー温度(B)を定着上限温度とし、温度(B)に対応した透磁率となったことを検出したとき、励磁コイル27への通電を停止することで過昇温を防止することができる。なお、このような温度検知を幅方向における小サイズの記録材Pが通過する領域である通紙領域とそれ以外の非通紙領域とのそれぞれで行うことにより、通紙部をキュリー温度(A)以上に維持する共に、非通紙部が、キュリー温度の高い第二整磁層32のキュリー温度(B)以上に過昇温したことを検出可能となる。
また、第一整磁層31のキュリー温度(A)近傍で、第一整磁層31を貫いた磁束が第二整磁層32の発熱に用いられるため、一層の整磁層を発熱部材30とした構成に比べてウォーミングアップ時間の短縮を図ることができる。
また、定着装置20は、図12で示すように、一つの励磁コイル27(a、c)に対して、記録材Pの搬送方向に直交する方向である記録媒体幅方向について、二つの検出コイル28(a及びb、d及びe)を配置し、二箇所で発熱部材30の透磁率を検出する構成となっている。
このような配置により、用紙幅dの内側の用紙通紙領域に配置された検出コイル28(b、d)によって定着下限温度となるキュリー温度(A)を検出するとともに、用紙幅dの外側となる非通紙領域に配置された検出コイル28(a、e)によって定着上限温度となるキュリー温度(B)を検出し、非通紙領域の過昇温を検出することが可能となる。
また、定着装置20は、表面移動する回転体からなり、発熱部材30によって加熱された部分が記録材Pの表面に接触することで、記録材Pに熱を伝達する被加熱部材である定着スリーブ210と、表面移動する回転体からなり、定着スリーブ210に加圧当接し、その当接部で定着ニップNを形成する加圧回転体である加圧ローラ22とを備える。そして、定着ニップNを記録材Pが通過することで、定着ニップNにおける熱と圧力とによって記録材Pの表面上の未定トナーを記録材Pに定着する。このような構成により、誘導加熱によって発熱した発熱部材30の熱を記録材Pに付与することができ、誘導加熱を用いた定着を実現することができる。また、被加熱部材はスリーブ状のものに限るものではなく、ローラ状やベルト状などの表面移動する回転体であれば適用可能である。
また、プリンタ100は、記録材P上に未定着トナーTからなる未定着画像を形成する画像形成手段であるに感光体41、帯電装置42、露光手段、現像装置44及び転写装置48等からなる作像部と、記録材P上に未定着画像を定着せしめる定着手段とを備え、定着手段として、本実施形態の定着装置20を用いることにより、過昇温を防止し、安定した画像形成を行うことが出来る。
20 定着装置
21 定着ローラ
22 加圧ローラ
24 アーチコア
25 センターコア
26 サイドコア
27 励磁コイル
28 検出コイル
29 励磁コイルユニット
30 発熱部材
31 第一整磁層
32 第二整磁層
41 感光体
42 帯電装置
44 現像装置
46 クリーニング装置
48 転写装置
100 プリンタ
150 露光部
210 定着スリーブ
211 定着ベルト
270 インバータ
280 検出回路
N 定着ニップ
P 記録材
特開2001−013805号公報 特許2975435号 特開2004−325678号公報 特開2008−224953号公報 特開2009−092743号公報

Claims (8)

  1. 電流が印加されることにより磁場を形成する励磁部材と、
    該磁場の影響による誘導加熱で発熱し、キュリー温度が定着温度近傍である磁性体からなる発熱部材とを有し、
    該発熱部材の熱を用いて記録媒体の表面上の未定着画像を該記録媒体に定着する定着装置において、
    上記発熱部材の透磁率の変化を検出する透磁率変化検出手段を備え
    該透磁率変化検出手段の検出部を上記励磁部材を挟んで該発熱部材とは反対側に配置することを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    透磁率が下がり始める温度が上記定着温度と略一致する上記磁性体を上記発熱部材に用い、
    上記透磁率変化検出手段が、該発熱部材の透磁率が下がり始めたことを検出すると、上記励磁部材への電流の印加を停止し、該発熱部材の透磁率が元に戻ったことを検出すると、該励磁部材への電流の印加を再開させることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1または2の定着装置において、
    上記透磁率変化検出手段は、検出電流が印加されるコイル状導体と、該コイル状導体の電気的特性の変化を検出する検出回路とを備えることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項3の定着装置において、
    上記検出回路は、上記コイル状導体に検出電流を印加する交流電源を有し、該コイル状導体のインダクタンスの変化を検出することを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載の定着装置において、
    上記発熱部材は、キュリー温度が異なる複数種の磁性体を上記励磁部材と対向する方向に重ねて配置したことを特徴とする定着装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の定着装置において、
    上記透磁率変化検出手段は、一つの上記励磁部材に対して、上記記録媒体の搬送方向に直交する方向である記録媒体幅方向について、複数箇所で上記発熱部材の透磁率を検出することを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の定着装置において、
    表面移動する回転体からなり、上記発熱部材によって加熱された部分が上記記録媒体の表面に接触することで、該記録媒体に熱を伝達する被加熱部材と、
    表面移動する回転体からなり、該被加熱部材に加圧当接し、その当接部で定着ニップを形成する加圧回転体とを備え、
    該定着ニップを該記録媒体が通過することで、該定着ニップにおける熱と圧力とによって該記録媒体の表面上の未定着画像を該記録媒体に定着することを特徴とする定着装置。
  8. 記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、
    該記録媒体上に該未定着画像を定着せしめる定着手段とを備える画像形成装置であって、
    該定着手段として、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
JP2011061648A 2011-03-18 2011-03-18 定着装置及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP5780450B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011061648A JP5780450B2 (ja) 2011-03-18 2011-03-18 定着装置及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011061648A JP5780450B2 (ja) 2011-03-18 2011-03-18 定着装置及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012198341A JP2012198341A (ja) 2012-10-18
JP5780450B2 true JP5780450B2 (ja) 2015-09-16

Family

ID=47180639

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011061648A Expired - Fee Related JP5780450B2 (ja) 2011-03-18 2011-03-18 定着装置及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5780450B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6468794B2 (ja) * 2013-12-03 2019-02-13 エイチピー プリンティング コリア カンパニー リミテッド 定着装置及び画像形成装置
JP6579812B2 (ja) * 2014-11-27 2019-09-25 株式会社東芝 定着装置
JP2017090855A (ja) * 2015-11-17 2017-05-25 株式会社東芝 定着装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03256086A (ja) * 1990-03-06 1991-11-14 Hitachi Metals Ltd 加熱定着装置
JP2007140330A (ja) * 2005-11-22 2007-06-07 Canon Inc 画像形成装置
JP4725603B2 (ja) * 2008-06-23 2011-07-13 コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 定着装置および画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012198341A (ja) 2012-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4936430B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5673053B2 (ja) 定着装置、及び、画像形成装置
JP5569159B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP4636605B2 (ja) 定着装置、及び、画像形成装置
JP5585839B2 (ja) 定着装置、及び、画像形成装置
JP4917903B2 (ja) 加熱装置、定着装置、加熱部材の温度制御方法及び画像形成装置
KR100886280B1 (ko) 화상 가열 장치
JP2013037056A (ja) 像加熱装置
JP2007079131A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2007334081A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2007017723A (ja) 加熱装置、定着装置、及び、画像形成装置
JP2011090087A (ja) 像加熱装置
JP5207775B2 (ja) 定着装置
JP5780450B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP2006146173A (ja) 画像加熱装置
JP4962201B2 (ja) 定着装置及び発熱ローラ並びにそれを用いた画像形成装置
JP2008216390A (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5800688B2 (ja) 像加熱装置
JP5008120B2 (ja) 画像形成装置
JP4873532B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP5656376B2 (ja) 電磁誘導加熱方式の加熱装置
JP4708878B2 (ja) 像加熱装置
JP5523049B2 (ja) 像加熱装置
JP4947685B2 (ja) 定着装置及び画像形成装置
JP6579812B2 (ja) 定着装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150702

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5780450

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees