JP2002043047A - 誘導加熱装置 - Google Patents

誘導加熱装置

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JP2002043047A
JP2002043047A JP2000221918A JP2000221918A JP2002043047A JP 2002043047 A JP2002043047 A JP 2002043047A JP 2000221918 A JP2000221918 A JP 2000221918A JP 2000221918 A JP2000221918 A JP 2000221918A JP 2002043047 A JP2002043047 A JP 2002043047A
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induction coil
generating means
induction
field generating
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JP2000221918A
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Yorihisa Tsubaki
頼尚 椿
Shogo Yokota
昌吾 横田
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導コイルの発熱を抑えるとともに、ウォー
ムアップが速く、熱効率にすぐれ、安全性および信頼性
の高い誘導加熱装置を提供する。 【解決手段】 誘導加熱装置40は変動磁場によって発
熱する加熱ローラ1と、加熱ローラ1に被加熱材である
記録用紙8を押圧する加圧ローラ2を基本に構成されて
いる。加熱ローラ1の外周部には、磁界発生手段3が配
置される。この磁界発生手段3は、半円弧状断面の支持
部材5と導電性薄板から成る誘導コイル4とから構成さ
れている。加熱ローラ1は、この磁界発生手段3によっ
て発生する変動磁場を受けて、渦電流によって所定の温
度に昇温される。誘導コイル4を導電性薄板で構成する
ことによって、コイル線素の断面積を導電膜に比べ大き
くできるため、誘導コイル4の全抵抗値を小さくするこ
とができ、電流を流すことによる誘導コイル4の自己発
熱(ジュール損)を低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾式電子写真機器
における定着装置、湿式電子写真機器における乾燥装
置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置、リライ
タブルメディア用消去装置などで好適に実施される誘導
加熱方式を用いた加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式の複写機やプリンタの定着
装置に誘導加熱を適用した構成が、特許2616433
号公報に記載されている。この定着装置は、図11に示
されるようにヒートローラ(加熱ローラ)201と、ヒ
ートローラ201に被加熱材である記録用紙216を押
圧する加圧ローラ202を基本に構成されている。ヒー
トローラ201の外周部には、半円弧状断面の絶縁支持
体(支持部材)208に導電膜が渦巻きパターンに形成
された誘導加熱体(磁界発生手段)207が配置されて
おり、ヒートローラ201は、この磁界発生手段によっ
て発生する変動磁場を受けて、渦電流によって所定の温
度に昇温される。
【0003】一方、現像工程(図示せず)を経て定着部
に送られてきた未定着像を有する記録用紙216は、所
定の温度に昇温されたヒートローラ201と加圧ローラ
202によって形成された接触ニップ部を通過する。こ
のとき、記録用紙216の未定着像は、熱と圧力により
記録用紙216に定着される。
【0004】このように、誘導加熱体207を、ヒート
ローラ201の半円周を覆う断面形状を有する絶縁支持
体上に膜状に形成することで、コンパクト化や製造・組
立の容易化を図ることができる。また、定着装置の小形
化が可能となることが述べられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の定着装置には、以下の(1)〜(3)のような問題
点があった。 (1)誘導加熱方式では、加熱ローラを発熱させるため
に、たとえば、5A以上の大きな高周波電流を加熱コイ
ル(誘導コイル)に流す必要がある。しかしながら、導
電膜を用いた誘導コイルでは、コイル線素の断面積が小
さいため、抵抗成分によってコイル自体がジュール熱に
より発熱し加熱効率が低下するという問題がある。その
ため、電流の流れる部分の断面積を大きくし、抵抗成分
を小さくする必要があるが、フォトリソグラフィやスク
リーン印刷などの手法で該導電膜パターンを厚膜化しよ
うとすると、膜厚の寸法管理や、コスト面などで制約が
あるため限度がある。 (2)電流印加時(加熱時)に誘導コイルの温度が急激
に上昇し、誘導コイルと絶縁支持体(支持部材)との間
に温度差が生じる。特に、誘導コイルを薄膜で形成し支
持部材と一体成型した場合においては、両者の線膨張係
数の差から誘導コイルと支持部材が接着面で剥離すると
いう界面皮破壊が発生するおそれがある。 (3)誘導加熱体(磁界発生手段)が半円弧状断面の形
状を示し、加熱ローラ外周面に沿って配設されるので、
位置決めなどの寸法形状を維持することが難しい。特に
加熱時は、絶縁支持体の温度が上昇して熱膨張するた
め、捩れやたわみを発生し均一な加熱ができなくなるお
それがある。
【0006】本発明の目的は、誘導コイルの昇温を抑え
るとともに、ウォームアップが速く、熱効率に優れ、安
全性および信頼性の高い誘導加熱装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、変動磁場中で
発熱する導電層を少なくとも1つ以上備える加熱部材
と、被加熱材を加熱部材に押圧することにより、加熱部
材の熱を被加熱材に伝える誘導加熱装置において、前記
磁界発生手段は加熱部材の外周側に配置されており、導
電性薄板から成る誘導コイルで構成されることを特徴と
する誘導加熱装置である。
【0008】本発明に従えば、誘導コイルを導電性薄板
で構成することによって、コイル線素の断面積を薄膜に
比べて大きくできる。これによって、誘導コイルの全抵
抗値が、導電膜(薄膜)で形成する場合より小さくする
ことができ、電流を流すことによる誘導コイルの自己発
熱(ジュール損)を低減することができる。また、導電
性薄板で誘導コイルを構成するため、厚さのバラツキ
が、導電膜の場合より少なく、抵抗値の管理が容易で、
生産性も良好である。また、誘導コイル全体の抵抗値調
整も、該薄板の厚さを変化させることで容易に行える。
【0009】また本発明は、前記磁界発生手段は、複数
の導電性薄板を積層して構成されることを特徴とする。
【0010】誘導コイルを薄板で形成する方法は、薄膜
パターンの場合より線素断面積が大きくなるので、ジュ
ール損低減に有効である。しかし、該誘導コイルが加熱
ローラ(加熱部材)に曲率に沿った形状を有する場合
は、これを1枚の薄板で形成すると、曲げにくく寸法精
度が悪くなるため、使用できる薄板の厚さに限度があ
る。
【0011】本発明に従えば、導電性薄板を複数積層し
た構成にすることによって、トータルの抵抗値が低く、
かつ曲率に精度よく沿った形状を持つ誘導コイルを容易
に形成することができる。
【0012】また本発明は、前記磁界発生手段は、導電
性薄板から成る誘導コイルと絶縁部材とを積層して構成
されていることを特徴とするである。
【0013】誘導コイルでジュール損を低減し、加熱効
率の低下を防ぐためには、コイル抵抗成分は小さいほう
がよい。そのため誘導コイルを構成するコイル線素は、
断面積をできるだけ大きくすることが望ましい。しか
し、動作時に流れる電流が高周波電流であるため、表皮
効果によるジュール損が問題となる。
【0014】表皮効果とは、コイル電流の周波数が高く
なるほど、電流が線材の表面に流れるようになる現象の
ことで、コイル線素断面積が同じであっても高周波にな
るほど抵抗値が大きくなることを意味する。すなわち、
高周波数ほどコイルでのジュール損が多くなり、損失増
大を招く。この表皮効果によるジュール損を低減するた
めには、表面が絶縁された細線を寄り合わせたリッツ線
を使用するのが有効である。これは表皮効果の影響が出
にくくなるくらい細くした線素を複数束ねることで、抵
抗値が周波数によらず一定になるように工夫された線材
である。
【0015】このようなリッツ線は、細線を撚り合わせ
た構造のため、線材の直線性とその維持性が悪いという
欠点を持つ。そのため該リッツ線を本構成のような磁界
発生手段に使用した場合、加熱ローラとの間の距離(空
隙)の管理や半円弧形状に成型すること自体が困難にな
るなどの問題があった。
【0016】本発明に従えば、表皮効果の影響が少なく
なるくらい薄い厚さの導電性薄板から成る誘導コイルと
絶縁部材(たとえば、シート状の絶縁部材である絶縁シ
ートなど)とを交互に積層するように構成することで、
加熱ローラとの空隙管理が容易で、表皮効果によるジュ
ール損が少ない磁界発生手段を提供することができる。
【0017】また本発明は、前記磁界発生手段は、少な
くとも一部分に良熱伝導性部材を備えることを特徴とす
る。
【0018】本発明に従えば、支持部材あるいは絶縁部
材の一部に良熱伝導層(良熱伝導性部材)を設けること
で、支持部材や絶縁部材の長手方向の温度分布を均一に
することができる。これによって、支持部材および絶縁
部材の温度ムラによる捩れ、たわみなどを防止すること
ができる。
【0019】また本発明は、前記導電性薄板の表面は、
耐熱性の絶縁部材で被膜されていることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、誘導コイルを形成する導
電性薄板の表面を、耐熱性の絶縁部材で被膜することで
誘導コイルと絶縁部材(たとえば、絶縁シートなど)と
を積層する必要がなくなり、コンパクトな磁界発生手段
を実現できる。
【0021】また本発明は、前記磁界発生手段は複数の
誘導コイルから構成され、これらの複数の誘導コイルの
パターンが異なることを特徴とする。
【0022】本発明に従えば、積層させる導電性薄板の
形状パターンを、複数用意することで加熱ローラにおけ
る発熱量分布を制御することができる。これによって、
たとえば、加熱ローラの両端部など、熱の逃げが多い部
分の発熱量を増加させるなど加熱ローラ全体の発熱量分
布を容易に制御できる。
【0023】また本発明は、前記誘導コイルを形成する
導電性薄板のパターンのコーナー部の形状が曲率を有す
ることを特徴とする。
【0024】本発明に従えば、誘導コイル(導電性薄
板)のパターンにおいて、コーナ部がRを持つ構成にす
る、つまり曲率を有するように形成することで、通電時
にノイズ、スパーク、リークなどの発生を防止すること
ができる。
【0025】また本発明は、前記磁界発生手段は、加熱
部材を回転支持する軸受の一部に固定され、該加熱部材
との距離が一定に保持されるように構成されることを特
徴とする。
【0026】本発明に従えば、磁界発生手段の少なくと
も一部を、加熱部材の軸受部に固定することによって、
該磁界発生手段と加熱部材との間の空隙管理が容易にな
る。これによって、温度ムラのない安定した加熱が可能
となる。
【0027】また本発明は、前記磁界発生手段は、誘導
コイルとこの誘導コイルを支持する支持部材とから構成
され、この支持部材に補強部材が形成されることを特徴
とする。
【0028】本発明に従えば、支持部材上に補強リブ
(補強部材)を配置することで、熱膨張によって支持部
材が変形することを防止することができる。また、これ
によって寸法安定性と寸法精度がよくなるため、安定し
た加熱が可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1の実施形態
である誘導加熱装置40の概略断面図であり、これを利
用して基本構成を説明する。本実施形態の誘導加熱装置
40は、たとえば、電子写真方式の画像形成装置に用い
られる定着装置として適用されるものである。誘導加熱
装置40は、加熱部材である円筒状の磁気導電性ローラ
(以下、加熱ローラと呼称する)1、記録用紙8を加熱
ローラ1に押し付ける加圧ローラ2、加熱ローラ1を発
熱させるための磁界発生手段3、加熱ローラ1の温度を
検知するためのサーミスタ(温度検知素子)6、磁界発
生手段3に電流を流すための励磁回路7を含む。
【0030】加熱ローラ1は、図1の紙面に垂直な方向
に延びる軸9を中心に矢符Aの方向に回転する。加熱ロ
ーラ1と加圧ローラ2とは、被加熱材である記録用紙8
を挟んで対向して配置される。加圧ローラ2は、加熱ロ
ーラ1に当接し、加熱ローラ1の回転に従い矢符Bの方
向に従動回転する。加熱ローラ1と加圧ローラ2との間
には接触ニップ部が形成される。磁界発生手段3は、加
熱ローラ1の加圧ローラ2とは反対側の半円周を覆うよ
うに湾曲した形状で配置される。サーミスタ6は、加熱
ローラ1に当接して配置される。
【0031】加熱ローラ1は、磁界発生手段3によって
所定の温度に加熱昇温される。このように所定温度に加
熱された加熱ローラ1と加圧ローラ2との間に形成され
た接触ニップ部に、トナーなどの熱溶融樹脂で記録用紙
8に画像を形成した未定着用紙を通過させることで、熱
と圧力によって記録用紙8に画像を固定するように構成
されている。
【0032】以上が、誘導加熱装置40の基本的な構成
である。次に、それぞれの詳細構成について説明する。
【0033】加熱ローラ1は、磁界発生手段3による変
動磁場を受けて発熱するために、少なくとも1層以上の
導電層21を有するように構成されている。導電層21
は、比透磁率の大きいものが適している。たとえば、
鉄、磁性ステンレス(たとえば、SUS430など)、
珪素鋼板、電磁鋼板またはニッケル鋼などから構成され
ることが望ましい。また、比透磁率が低い材料であって
も、抵抗率が大きい材料(たとえば、非磁性ステンレ
ス:SUS304など)は、渦電流発生時の発熱量が大
きいので使用してもよい。あるいは、非磁性のベース部
材(たとえば、セラミックなど)に比透磁率の高い前記
材料が導電性を有するように配置されているような構成
であってもよい。本実施形態では、加熱ローラ1にφ=
30mm、厚さ0.4mmの鉄ローラ(材質:STK
M)を使用している。
【0034】加熱ローラ1の表面には、トナーがオフセ
ット(加熱ローラ1に付着)するのを防ぐために、離型
層22を有するように構成されている。離型層22に
は、PFA(テトラフルオロエチレンとペルフルオロア
ルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリ
テトラフルオロエチレン)などのフッ素系の材料やシリ
コンゴム、フッ素ゴムが適している。本実施形態では、
PTFEを20μmコートしている。
【0035】加熱ローラ1を加熱するための磁界発生手
段3は、高周波電流の流れる誘電コイル4とそれを支持
する支持部材5とから成る。磁界発生手段3は、図1に
示すように加熱ローラ1の外周部に、加熱ローラ1の半
円周を覆うよう湾曲した形状で配置される。このように
磁界発生手段3を加熱ローラ1の外側に配置すると、曲
率が存在するため、その中心側である加熱ローラ1側の
磁束が集中する。これによって加熱ローラ1の導電層2
1に、効率よく渦電流が発生するようになるので、発熱
効率が高くなる。
【0036】支持部材5は、加熱ローラ1の外周面を覆
うように湾曲した形状で構成されている。支持部材5の
材料には、たとえば、PPS(ポリフェニルサルファイ
ド)やPI(ポリイミド)、セラミックなどの耐熱性を
有するものが適している。また、熱の伝導を抑制するた
め、多孔質構造から成る部材であってもよいし、内部に
ガラス繊維を含有する複合部材であってもよい。また、
耐熱性のシリコンスポンジや、アラミド系などの耐熱繊
維で構成された不織布であってもよい。本実施形態で
は、PPS系の材料を使用している。また、支持部材5
の加熱ローラ1と対向する面に良熱伝導性の部材が配置
されていてもよいし、加熱ローラ1からの熱輻射を抑え
るために、表面(加熱ローラ1と対向する面)が低放射
率になるように表面処理されていてもよい。
【0037】加圧ローラ2は、鉄もしくはステンレスの
芯金上に、たとえば、シリコンゴムなどの耐熱弾性体層
を有するように構成されている。表面には、離型層が形
成されていてもよい。加圧ローラ2は、図示していない
弾性部材(バネ)によって、加熱ローラ1に100Nの
力で圧接されている。これによって、加熱ローラ1との
間に3.5mm程度の接触ニップ部が形成される。
【0038】次に上記のように構成された本実施形態の
誘導加熱装置40の動作について説明する。まず、ウォ
ームアップ時においては、誘導コイル4に接続された励
磁回路7がONとなり、磁界発生手段3が励磁される。
このとき、加熱ローラ1の導電層21に渦電流が誘起さ
れ、ジュール熱により発熱する。このときの発熱量は約
800Wである。また、励磁回路7による通電が開始す
ると同時に、加熱ローラ1が回転駆動することによって
加圧ローラ2が従動回転する。加熱ローラ1の表面温度
は、加熱ローラ1に当接して配置されたサーミスタ6の
検知結果をもとに、不図示のCPU(Central Processi
ng Unit)によって、励磁回路7の出力を調整すること
で所定の温度を維持するように制御される。
【0039】次に未定着トナー像が転写された記録用紙
8が接触ニップ部に搬送され、加熱ローラ1の熱および
加圧ローラ2の圧力によりトナー像は溶融定着され記録
用紙8に固定され堅牢な画像となる。
【0040】図2は、図1の磁界発生手段3の斜面図で
ある。誘導コイル4は、加熱ローラ1の一方側を外囲す
るように配置され、加熱ローラ1の両端部で折り返さ
れ、加熱ローラ1の軸線方向に長手状に巻回されてい
る。誘導コイル4は、導電性薄板から構成されている。
導電性薄板の材質は、低抵抗であることが望ましく、本
実施形態では厚さ0.2mmの銅板を用いているが、た
とえば、絶縁酸化皮膜を形成しやすいアルミニウムなど
で形成してもよい。また、導電性薄板の厚さを変化させ
ることによって、誘導コイル4の全抵抗値の調整が容易
に行える。誘導コイル4の全抵抗値は、ジュール損を抑
えるために、0.5Ω以下であればよいが、0.1Ω以
下になるようにするのが望ましい。また、定着させる用
紙サイズに応じた誘導コイルを複数個、加熱ローラ1の
軸線方向に配置する構成にしてもよい。
【0041】以上のように構成された誘導コイル4は、
図2に示すように、曲率を有する支持部材5の上に固定
され、この支持部材5には誘導コイル4の位置決めと固
定を容易にするため加熱ローラ1に対向する面とは反対
側の面に、誘導コイル4を嵌め込むための誘導コイル4
と同じ形状を持つ案内溝23と、誘導コイル4を案内溝
23に固定するためのつめ24とが形成されており、こ
れを利用して固定するようになっている。また、案内溝
23は、固定用のつめ24の数を増やすことでなくすこ
とも可能である。
【0042】以上のように構成することで、誘導コイル
4におけるジュール損を低減し、かつ動作時の熱膨張と
収縮による誘導コイル4と支持部材5との間の固定面の
剥離破壊を防止することができる。
【0043】また、誘導コイル4を支持部材5に固定す
る別の方法として、支持部材5に形成された案内溝23
の部分に、耐熱性と絶縁性を備えた弾性接着剤(たとえ
ば、シリコン系の耐熱シーリング剤など)を充填させて
おき、誘導コイル4の固定と絶縁を同時に行ってもよ
い。このように構成すると、支持部材に固定用つめを形
成する必要がないためコンパクトな誘導コイルを実現で
きるようになる。また、接着剤の弾性により、支持部材
5と誘導コイル4の熱膨張差を吸収できるので、加熱・
停止時の繰返しによって磁界発生手段3が変形すること
なく安定した加熱ができるようになる。
【0044】また、誘導コイル4は、図2に示すように
誘導コイル4のターン部において、エッジを形成しない
ようにR形状を有するよう、つまり曲率を有するように
構成されている。このように構成することで、加熱動作
である電流印加時にノイズ、スパーク、リークなどの発
生を低減することができるようになる。この曲率半径
は、たとえば、0.5〜0.5+誘導コイルの幅mm程
度に選ばれる。
【0045】次に、上記磁界発生手段3を固定するため
の軸受35について説明する。図3(a)は、軸受35
の斜視図であり、図3(b)は軸受35の正面図であ
り、図3(c)軸受35の側面図である。図3(a)に
示されるように、加熱ローラ1の外周面を覆うように湾
曲した形状で構成された支持部材5は、加熱ローラ1を
軸支する軸受35に取付けるように構成されている。軸
受35は、支持部材5を案内保持するための凹部37と
支持部材5の周方向位置を決める挿通孔39と加熱ロー
ラ1を軸支する開口部38で構成されている。軸受35
に設けられている凹部37は、開口部38から△Rの距
離を保つように形成されており、この部分で支持部材5
を挟持することによって磁界発生手段3と加熱ローラ1
の位置関係、すなわち空隙△Rの距離が維持管理され
る。また、この凹部37は、支持部材5が加熱ローラ1
の熱を受けて熱膨張した場合に、その伸びを吸収するよ
うに加熱ローラ1の周方向に長めに、加熱ローラ1の軸
線方向に深めに構成されている。支持部材5を固定する
際の周方向の位置決めは、支持部材5に配置された位置
決めピン36を、軸受35の挿通孔39に嵌合すること
で行う。
【0046】以上のように構成することで、支持部材5
が熱によって伸びることによる捩れなどの変形を抑えて
安定した加熱を行えるようになる。
【0047】次に、本発明の第2の実施形態の誘導加熱
装置について説明する。本実施形態の誘導加熱装置と前
記第1の実施形態の誘導加熱装置40とは、磁界発生手
段のみが異なる。図4は、本実施形態の磁界発生手段4
3の斜視図である。また、前記第1の実施形態と同様の
部材には同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0048】本実施形態の磁界発生手段43は、前記第
1の実施形態の磁界発生手段3と同様に加熱ローラ1の
外周部に、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した
形状で配置される。磁界発生手段43の誘導コイル44
Aは、誘導コイル44を複数重ねて構成され、図2に示
す支持部材5と同様な、加熱ローラ1の半円周を覆うよ
うに湾曲した形状で配置された支持部材25によって支
持されている。支持部材25は、図3に示す軸受35に
固定されている。また、誘導コイル44は、前記第1の
実施形態の誘導コイル4と同様の形状、材料から成る。
【0049】誘導コイルは、導電性薄板の厚さが厚い場
合、半円弧状に形成するのが困難であるが、薄い導電性
薄板を重ねて用いることにより容易に形成することが可
能になる。このように構成することで、誘導コイルを半
円弧形状の支持部材25に取付ける際の曲げ性を維持し
たまま、誘導コイルの線素断面積を容易に大きくするこ
とができる。そのため、誘導コイル44Aでのジュール
損を低減させることができる。また、誘導コイル44の
材質や厚さは一定である必要はなく、これらを変えて構
成してもよい。また、複数の導電性薄板を導電性の接着
剤を用いて接着しても構わない。なお、図4に示す磁界
発生手段43では、説明のため誘導コイル44を2つ重
ねた構成(2層)としたが、誘導コイル44の積層数は
任意選択可能である。
【0050】以上のように構成することによって、誘導
コイル44Aにおけるジュール損を低減することができ
る。
【0051】次に、本発明の第3の実施形態の誘導加熱
装置について説明する。本実施形態の誘導加熱装置と前
記第1の実施形態の誘導加熱装置40とは、磁界発生手
段のみが異なる。図5(a)は、本実施形態の磁界発生
手段53の斜視図であり、図5(b)は、その断面図で
ある。また、前記第1の実施形態と同様の部材には同一
の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0052】本実施形態の磁界発生手段53は、前記第
1の実施形態の磁界発生手段3と同様に加熱ローラ1の
外周部に、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した
形状で配置される。図5(b)に示すように、磁界発生
手段53では、誘導コイル54は、たとえば、PPSや
PIなどから成るシート状の絶縁部材(以下、絶縁シー
トと呼称する)25を介して積層され、図2に示す支持
部材5と同様な、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾
曲した形状で配置された支持部材55に支持されてい
る。支持部材55は、図3に示す軸受35に固定されて
いる。また、誘導コイル54は、前記第1の実施形態の
誘導コイル4と同様の形状、材料から成る。
【0053】また、下層(図5(a)に示す絶縁シート
25の下方側)の誘導コイル54と上層(図5(a)に
示す絶縁シート25の上方側)の誘導コイル54の位置
関係は、図5(b)に示すように、絶縁シート25を介
してほぼ同じ位置になるように積層される。絶縁シート
25を介して積層された誘導コイル54は、端部で接続
されており、積層化することでコイルの全抵抗値を低く
抑えることができる。
【0054】このように構成すると、個々の積層された
誘導コイル54が絶縁シート25を介して絶縁されてい
るのでリッツ線と同様の効果があり、高周波でのジュー
ル損が少なくなる。また、誘導コイル54に導電性薄板
を使用しているため、直線性がよくなるとともに半円弧
形状に成型するのが容易になり、リッツ線を用いた場合
の課題を解決できる。また、誘導コイル54の厚さや材
質は一定である必要はなく、これらを変えて構成しても
よい。なお、図5(a)に示す磁界発生手段53および
図5(b)に示すその断面図は、説明のためそれぞれ誘
導コイル54を2つ重ねた構成(2層構造)、3つ重ね
た構成(3層構造)としているが、誘導コイル54の積
層数は任意選択可能である。
【0055】以上のように構成することで、周波数の影
響の少ない低抵抗の誘導コイルを実現することができ
る。また、リッツ線では解決できない直線性と寸法安定
性、半円弧形状への成型性を改善した誘導コイルを実現
できるようになる。
【0056】また、図6に示すように積層されている支
持部材55や絶縁シート25の一部(図6では、絶縁シ
ート25の片側一面)に耐熱性で熱伝導性がよいシリコ
ンゴム層(良熱伝導層)56を配置してもよい。このよ
うに構成することで、支持部材55や絶縁シート25の
熱変形を防止することができるようになる。
【0057】次に、本発明の第4の実施形態の誘導加熱
装置について説明する。本実施形態の誘導加熱装置と前
記第1の実施形態の誘導加熱装置40とは、磁界発生手
段のみが異なる。図7(a)は、本実施形態の磁界発生
手段73の斜視図であり、図7(b)は、その平面図で
ある。
【0058】本実施形態の磁界発生手段73は、前記第
1の実施形態の磁界発生手段3と同様に加熱ローラ1の
外周部に、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した
形状で配置される。磁界発生手段73では、誘導コイル
74Aと、この誘導コイル74Aとは異なった形状パタ
ーンを有する誘導コイル74Bとが、絶縁シート75を
介して積層され、図2に示す支持部材5と同様な、加熱
ローラ1の半円周を覆うように湾曲した形状で配置され
た支持部材(不図示)に支持されている。この支持部材
は、図3に示す軸受35に固定されている。また、誘導
コイル74A,74Bの形状は、前記第1の実施形態の
誘導コイル4と同様の形状、材料から成る。また、誘導
コイル74A,74Bは、加熱ローラ1の軸線方向の長
さW1,W2が同じで、加熱ローラ1の両端部の折り返
し部分である周方向の長さL1,L2が異なるように設
定され(W1=W2,L1>L2)、各誘導コイル74
A,74Bは直列に接続されている。誘導コイル74A
と誘導コイル74Bとは、加熱ローラ1の円周方向bの
パターンを重ね、加熱ローラ1の軸9に平行な方向aの
パターンは重ならないように積層される。また、絶縁シ
ート75は、前記第3の実施形態の絶縁シート25と同
様な形状、材料から成る。
【0059】このように構成すると、誘導コイル74
A,74Bの加熱ローラ1の両端部での折り返し部分の
長さ(図7(b)に示すd)を短く抑えることができる
ようになる。この図7(b)に示すdの部分は、他の部
分と磁束の向きが異なるので加熱ローラ上の発熱量が少
なくなる傾向があり、そのためこの部分の長さをできる
だけ短くする必要がある。しかし、単一形状のコイルだ
けで誘導コイルを構成した場合は、総巻数が少なくて総
発熱量の低下を招くので、形状の異なる誘導コイル74
A,74Bを積層することで発熱量の低下を防止するこ
とができるようになる。
【0060】また、磁界発生手段73では、誘導コイル
74A,74Bを直列に接続したが、並列に接続しても
よい。また、積層する誘導コイル74A,74Bの加熱
ローラ1の軸方向の長さを同じにしたが、この部分の長
さやコイルパターンの空隙ピッチ(誘導コイルの隣合う
伝導性薄板の間隔)l1,l2を変えたものを積層して
もよい。l1は、加熱ローラ1の軸線方向に延びる部分
の誘導コイルの隣合う導電性薄板の間隔を表し、l2
は、加熱ローラ1の周方向の延びる部分の誘導コイルの
隣合う導電性薄板の間隔を表す。また、誘導コイル74
A,74Bの材質や厚さは一定である必要はなく、これ
らを変えて構成してもよい。なお、図7(a),(b)
に示す磁界発生手段73の誘導コイル74A,74B
は、説明のため2つ重ねた構造(2層構造)としている
が、誘導コイル74A,74Bの積層数は任意選択可能
である。
【0061】以上のように構成することで、加熱ローラ
端部での温度の落ち込み(低下)が少なく、加熱効率の
よい磁界発生手段73を実現できるようになる。
【0062】次に、本発明の第5の実施形態の誘導加熱
装置について説明する。本実施形態の誘導加熱装置と前
記第1の実施形態の誘導加熱装置40とは、磁界発生手
段のみが異なる。図8(a)は、本実施形態の磁界発生
手段83の斜視図であり、図8(b)は、その断面図で
ある。前記第1の実施形態と同様の部材には同一の参照
符号を付し、その説明を省略する。
【0063】本実施形態の磁界発生手段83は、前記第
1の実施形態の磁界発生手段3と同様に加熱ローラ1の
外周部に、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した
形状で配置される。磁界発生手段83では、図8に示す
ように、誘導コイル84の周囲を絶縁性の樹脂(たとえ
ば、エナメルやPI系の樹脂など)で被膜している(絶
縁被膜81を形成)。この絶縁被膜した誘導コイル84
は積層され端部を接続し、図2に示す支持部材5と同様
な、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した形状で
配置された支持部材(不図示)に支持される。この支持
部材は、図3に示す軸受35に固定されている。また、
誘導コイル84は、前記第1の実施形態の誘導コイル4
と同様な形状、材料から成る。
【0064】以上のように構成することで、前記第3お
よび4の実施形態のように誘導コイルを積層する場合に
おいて絶縁シート25を配置する必要がなくなるため、
コンパクトな組立て性能のよい磁界発生手段83を実現
できるようになる。また、誘導コイル4の材質や厚さは
一定である必要はなく、これらを変えて構成してもよ
い。なお、図8(a),(b)に示す磁界発生手段83
の絶縁被膜81を形成した誘導コイル84は説明のため
2つ重ねた構造(2層構造)としているが、絶縁被膜8
1を形成した誘導コイル84の積層数は任意選択可能で
ある。また、誘導コイル4を積層しない場合において
も、高湿下におけるリーク防止に有効である。
【0065】次に、本発明の第6の実施形態の誘導加熱
装置について説明する。本実施形態の誘導加熱装置と前
記第1の実施形態の誘導加熱装置40とは、磁界発生手
段のみが異なる。図9(a)は、本実施形態の磁界発生
手段93の斜視図であり、図9(b)は、その断面図で
ある。前記第1の実施形態と同様の部材には同一の参照
符号を付し、その説明を省略する。
【0066】本実施形態の磁界発生手段93は、前記第
1の実施形態の磁界発生手段3と同様に加熱ローラ1の
外周部に、加熱ローラ1の半円周を覆うように湾曲した
形状で配置される。誘導コイル94は、前記第1の実施
形態の誘導コイル4と同様な形状、材料から成る。誘導
コイル94を支持する支持部材95は、加熱ローラ1か
らの熱を受けて膨張収縮を繰返すため、非常に歪みやす
いという欠点がある。特に、その断面形状が半円弧状を
しているので発生した歪みがさらに大きくなる可能性が
ある。そこで、図9(a),(b)に示すように、支持
部材95の加熱ローラ1とは反対側の面上に補強リブ9
1を配置することで支持部材95の変形を防止すること
ができるようになる。図9(a),(b)に示す磁界発
生手段93では、この補強リブ91の形状を誘導コイル
94の形状に沿うように形成することによって、支持部
材95の面上に案内溝やつめを形成しなくても補強リブ
91を誘導コイル94の案内ガイドとして使用できるよ
うに形成しているが、補強リブ91を形成する位置はこ
れに限らない。
【0067】また、支持部材95の加熱ローラ側の面に
良熱伝導層96を配置し、支持部材95の温度の均一化
を図ることで、さらに捩れや変形を防止することも可能
である。また、その際の良熱伝導層96は、誘導コイル
を取付ける側に配置されていてもよい。この良熱伝導層
96には、比透磁率の低いアルミニウムや銅、またはカ
ーボンを含有した耐熱樹脂などが適している。また、こ
の良熱伝導層96が加熱ローラ1に対向する面側にある
場合は、その表面を低放射率の表面処理(アルミニウム
などの放射率の低い材料で構成するか、あるいは、これ
らの材料を鏡面処理したもの)を行うことで、加熱ロー
ラ1からの熱輻射を抑えるようにしてもよい。
【0068】また、補強リブ91および良熱伝導層96
は、本実施形態の磁界発生手段93だけではなく、前記
第1〜5の実施形態の磁界発生手段においても同様に支
持部材に形成することができる。
【0069】以上のように構成することで、磁界発生手
段93の歪みがなく安定した加熱を実現できるようにな
る。
【0070】前記第1〜6の実施形態の誘導加熱装置
は、定着装置に限らず、湿式電子写真機器における乾燥
装置、インクジェットプリンタにおける乾燥装置、リラ
イタブルメディア用消去装置などの加熱装置としても用
いることができる。
【0071】最後に、本発明の第1の実施形態の誘導加
熱装置40を用いたカラー画像形成装置10の構成とそ
の動作説明を行う。なお、誘導加熱装置40の代わりに
本発明の第2〜6の実施形態の誘導加熱装置のいずれを
用いても実施可能である。
【0072】カラー画像形成装置10は、図10に示す
ように、4色の可視像形成ユニット10Y,10M,1
0C,10Bを記録媒体搬送路に沿って配列した所謂タ
ンデム式のプリンタである。具体的には、記録用紙8の
供給トレイ20と誘導加熱装置40とを繋ぐ記録用紙8
の搬送路に沿って4組の可視像形成ユニット10Y,1
0M,10C,10Bを配設し、無端状ベルトの記録紙
搬送手段30によって搬送される記録用紙8に各色トナ
ーを多重転写した後、定着装置である誘導加熱装置40
によってこれを定着してフルカラー画像を形成するもの
である。前記記録紙搬送手段30は、一対の駆動ローラ
31およびアイドリングローラ32によって架張され、
所定の周速度(本実施例では134mm/s)に制御さ
れて回動する無端状の搬送ベルト33を有し、このベル
ト上に記録用紙8を静電吸着させて搬送する。各可視像
形成ユニット10Y,10M,10C,10Bは、感光
体ドラム11の周囲に帯電ローラ12、レーザ光照射手
段13、現像器14、転写ローラ15、クリーナ16を
配置しており、各ユニット10Y,10M,10C,1
0Bの現像器にはY(イエロー)、M(マゼンタ)、C
(シアン)、B(ブラック)の各トナーが収容されてい
る。そして各可視像形成ユニット10Y,10M,10
C,10Bは、以下の工程によりトナー画像を記録用紙
8に形成する。すなわち感光体ドラム11表面を帯電ロ
ーラ12で一様に帯電した後、レーザ光照射手段13に
よって感光体ドラム11表面を画像情報に応じてレーザ
露光し静電潜像を形成する。その後、現像器14により
感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像に対しト
ナー像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナー
とは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ15
により記録紙搬送手段30によって搬送される記録用紙
8に順次転写するようになっている。
【0073】その後、記録用紙8は駆動ローラ31の曲
率により搬送ベルト33から剥離された後、誘導加熱装
置40に搬送される。そこで所定の温度に保たれた加熱
ローラ1と加圧ローラ2とによって適度な温度と圧力が
与えられる。そして、トナーは溶解し記録用紙8に固定
され堅牢な画像となる。
【0074】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、誘導コイ
ルを導電性薄板で構成するので、コイル線素の断面積を
薄膜に比べて大きくできる。これによって、誘導コイル
の全抵抗値が、導電膜(薄膜)で形成する場合より小さ
くすることができ、電流を流すことによるコイルの自己
発熱(ジュール損)を低減することができる。また、導
電性薄板でコイルを構成するため、厚さのバラツキが、
導電膜の場合より少なく、抵抗値の管理が容易で、生産
性も良好である。また、コイル全体の抵抗値調整も、該
薄板の厚さを変化させることで容易に行える。
【0075】また本発明によれば、導電性薄板を複数積
層した構成にするので、トータルの抵抗値が低く、かつ
曲率に精度よく沿った形状を持つ誘導コイルを容易に形
成することができる。
【0076】また本発明によれば、表皮効果の影響が少
なくなるくらい薄い厚さの導電性薄板から成る誘導コイ
ルと絶縁部材(たとえば、シート状の絶縁部材である絶
縁シートなど)とを交互に積層するように構成するの
で、加熱ローラとの空隙管理が容易で、表皮効果による
ジュール損が少ない磁界発生手段を提供することができ
る。
【0077】また本発明によれば、支持部材あるいは絶
縁部材の一部に良熱伝導層(良熱伝導性部材)を設ける
ので、支持部材や絶縁部材の長手方向の温度分布を均一
にすることができる。これによって、支持部材および絶
縁部材の温度ムラによる捩れ、たわみなどを防止するこ
とができる。
【0078】また本発明によれば、誘導コイルを形成す
る導電性薄板の表面を耐熱性の絶縁部材で被膜するの
で、誘導コイルと絶縁部材(たとえば、絶縁シートな
ど)とを積層する必要がなくなり、コンパクトな磁界発
生手段を実現できる。
【0079】また本発明によれば、積層させる導電性薄
板の形状パターンを複数用意するので、加熱ローラにお
ける発熱量分布を制御することができる。これによっ
て、たとえば、加熱ローラの両端部など、熱の逃げが多
い部分の発熱量を増加させるなど加熱ローラ全体の発熱
量分布を容易に制御できる。
【0080】また本発明によれば、誘導コイル(導電性
薄板)のパターンにおいて、コーナ部がRを持つ構成に
する、つまり曲率を有するように形成するので、通電時
にノイズ、スパーク、リークなどの発生を防止すること
ができる。
【0081】また本発明によれば、磁界発生手段の少な
くとも一部を、加熱ローラの軸受部に固定するので、該
磁界発生手段と加熱ローラの間の空隙管理が容易にな
る。これによって、温度ムラのない安定した加熱が可能
となる。
【0082】また本発明によれば、支持部材上に補強リ
ブ(補強部材)を配置するので、熱膨張によって支持部
材が変形することを防止することができる。また、これ
によって寸法安定性と寸法精度がよくなるため、安定し
た加熱が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の誘導加熱装置40の
概略断面図である。
【図2】図1の誘導加熱装置40の磁界発生手段3の構
成を示す斜視図である。
【図3】(a)は、図1の磁界発生手段3の支持部材5
と加熱ローラ1とを固定する軸受35の斜視図であり、
(b)は、軸受35の正面図であり、(c)は、軸受3
5の切断面線VI−VIから見た断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態である誘導加熱装置の
磁界発生手段43の構成を示す斜視図である。
【図5】(a)は、本発明の第3の実施形態である誘導
加熱装置の磁界発生手段53の構成を示す斜視図であ
り、(b)は、その断面図である。
【図6】図5の磁界発生手段53の他の構成を示す断面
図である。
【図7】(a)は、本発明の第4の実施形態である誘導
加熱装置の磁界発生手段73の構成を示す斜視図であ
り、(b)は、その平面図である。
【図8】本発明の第5の実施形態である誘導加熱装置の
磁界発生手段83の構成を示す斜視図である。
【図9】(a)は、本発明の第6の実施形態である誘導
加熱装置の磁界発生手段93の構成を示す斜視図であ
り、(b)は、その断面図である。
【図10】図1に示す誘導加熱装置40の一適用例であ
るカラー画像形成装置10を示す図である。
【図11】典型的な従来技術の誘導加熱方式の定着装置
の断面図である。
【符号の説明】
1 加熱ローラ(加熱部材) 2 加圧ローラ 3,43,53,73,83,93 磁界発生手段 4,44,44A,54,74A,74B,84,94
誘導コイル(磁界発生手段) 5,25,55,95 支持部材 21 導電層 23 案内溝 24 つめ 25,75 絶縁シート(絶縁部材) 35 軸受 56,96 良熱伝導層(良熱伝導性部材) 91 補強リブ(補強部材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA01 EA25 EB14 EB30 EC14 EC29 HA46 2H033 AA03 AA21 AA23 AA30 AA31 AA42 AA49 BA25 BA58 BB23 BE06 3K059 AA08 AD02 AD03 AD10 AD26 CD52 CD72

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 変動磁場中で発熱する導電層を少なくと
    も1つ以上備える加熱部材と、 被加熱材を加熱部材に押圧することにより、加熱部材の
    熱を被加熱材に伝える誘導加熱装置において、 前記磁界発生手段は加熱部材の外周側に配置されてお
    り、導電性薄板から成る誘導コイルで構成されることを
    特徴とする誘導加熱装置。
  2. 【請求項2】 前記磁界発生手段は、複数の導電性薄板
    を積層して構成されることを特徴とする請求項1記載の
    誘導加熱装置。
  3. 【請求項3】 前記磁界発生手段は、導電性薄板から成
    る誘導コイルと絶縁部材とを積層して構成されているこ
    とを特徴とする請求項2記載の誘導加熱装置。
  4. 【請求項4】 前記磁界発生手段は、少なくとも一部分
    に良熱伝導性部材を備えることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1つに記載の誘導加熱装置。
  5. 【請求項5】 前記導電性薄板の表面は、耐熱性の絶縁
    部材で被膜されていることを特徴とする請求項1または
    2記載の誘導加熱装置。
  6. 【請求項6】 前記磁界発生手段は複数の誘導コイルか
    ら構成され、これらの複数の誘導コイルのパターンが異
    なることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記
    載の誘導加熱装置。
  7. 【請求項7】 前記誘導コイルを形成する導電性薄板の
    パターンのコーナー部の形状が曲率を有することを特徴
    とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の誘導加熱装
    置。
  8. 【請求項8】 前記磁界発生手段は、加熱部材を回転支
    持する軸受の一部に固定され、該加熱部材との距離が一
    定に保持されるように構成されることを特徴とする請求
    項1〜7のいずれか1つに記載の誘導加熱装置。
  9. 【請求項9】 前記磁界発生手段は、誘導コイルとこの
    誘導コイルを支持する支持部材とから構成され、この支
    持部材に補強部材が形成されることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれか1つに記載の誘導加熱装置。
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