JP2007056897A - センタークランク式偏心揺動型減速機 - Google Patents

Abstract

【課題】 従来より大きな騒音の発生を抑えつつ中空孔の活用可能な面積を従来より増やすことができるセンタークランク式偏心揺動型減速機を提供する。
【解決手段】 偏心揺動型減速機１００は、内歯１１１を有したケース１１０と、外歯車１２３を有し内歯１１１の略中心に配置されケース１１０に対して回転運動する中空のクランク軸１２０と、内歯１１１に噛合する外歯１３１ａ、１３２ａを有しクランク軸１２０に係合してクランク軸１２０によって偏心運動させられる外歯歯車１３１、１３２と、外歯歯車１３１、１３２に係合して外歯歯車１３１、１３２によってケース１１０に対して回転運動させられるキャリア１４０と、モータ４０の出力軸４１に取り付けられた入力歯車１５０及び外歯車１２３に噛合して入力歯車１５０からの動力を外歯車１２３に伝達する伝達歯車１６０とを備え、伝達歯車１６０は、キャリア１４０に回転可能に支持される。
【選択図】 図１

Description

本発明は、中空孔が形成されたクランク軸が略中心に配置されたセンタークランク式偏心揺動型減速機に関するものである。

従来のセンタークランク式偏心揺動型減速機としては、内周にピンを等間隔に埋設配置した出力部と、ギヤを有し出力部のピンの略中心に配置され出力部に対して回転運動するカム軸と、出力部のピンに噛合する外歯を有しカム軸に係合してカム軸によって偏心運動させられる歯付き円盤と、歯付き円盤に係合する出力ピンを有するハウジングとを備え、カム軸のギヤにモータからの動力が伝達されるものが知られている（例えば、特許文献１参照。）。
特開２０００−６５１６２号公報（第２−３頁、第１図）

しかしながら、従来のセンタークランク式偏心揺動型減速機においては、モータの出力軸に取り付けられた入力歯車及びカム軸のギヤが互いに噛合して入力歯車からの動力がカム軸のギヤに直接伝達されるので、カム軸のギヤの径が小さい場合、カム軸の中空孔の一部がモータによって塞がれてしまい、中空孔の活用可能な面積を減少させてしまうという問題があった。

なお、カム軸のギヤの径が大きい場合には、モータの一部がカム軸の中空孔の一部を塞いでしまうことを防止することができるが、カム軸のギヤの周速が大きくなるので、入力歯車とカム軸のギヤとの噛合による叩き音が大きくなるという新たな問題が生じてしまう。

本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、従来より大きな騒音の発生を抑えつつ中空孔の活用可能な面積を従来より増やすことができるセンタークランク式偏心揺動型減速機を提供することを目的とする。

本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、内歯を有した第１の部材と、外歯車を有し前記内歯の略中心に配置され前記第１の部材に対して回転運動する中空のクランク軸と、前記内歯に噛合する外歯を有し前記クランク軸に係合して前記クランク軸によって偏心運動させられる外歯部材と、前記外歯部材に係合して前記外歯部材によって前記第１の部材に対して回転運動させられる第２の部材と、モータの出力軸に取り付けられた入力歯車及び前記外歯車に噛合して前記入力歯車からの動力を前記外歯車に伝達する伝達歯車とを備え、前記伝達歯車は、前記第２の部材に回転可能に支持された構成を有している。

この構成により、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、モータの出力軸に取り付けられた入力歯車と、クランク軸の外歯車とを離隔することができるので、モータと、クランク軸の中空孔との中心間距離を従来より大きくすることができる。したがって、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、クランク軸の中空孔のうちモータによって塞がれる面積を従来より減らすことができるので、中空孔の活用可能な面積を従来より増やすことができる。また、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、クランク軸の中空孔のうちモータによって塞がれる面積を従来より減らすことができるので、クランク軸の外歯車の径を従来より大きくする必要がない。したがって、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、伝達歯車と外歯車との噛合による叩き音が大きくなることを抑えることができ、従来より大きな騒音の発生を抑えることもできる。

また、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機の前記第２の部材は、前記外歯部材からトルクが伝達されるトルク伝達ピンを有し、前記伝達歯車は、前記トルク伝達ピンに回転可能に支持された構成を有している。

この構成により、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、外歯部材からのトルクの伝達だけでなく伝達歯車の支持をもトルク伝達ピンが行うので、伝達歯車の支持のための部品が増えることを抑えることができる。

また、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、前記伝達歯車と、前記トルク伝達ピンとの間に配置された軸受を備え、前記トルク伝達ピンは、軸受鋼材からなり、表面が前記軸受の転動面である構成を有している。

この構成により、本発明のセンタークランク式偏心揺動型減速機は、軸受の構造を簡略化することができる。

本発明は、従来より大きな騒音の発生を抑えつつ中空孔の活用可能な面積を従来より増やすことができるセンタークランク式偏心揺動型減速機を提供することができるものである。

以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。

まず、本実施の形態に係るセンタークランク式偏心揺動型減速機の構造について説明する。

図１に示すように、産業用ロボットの関節１０は、基台２０と、基台２０に対して旋回する旋回体３０と、旋回体３０に固定されて基台２０に対して旋回体３０を回転させるための動力を発生させるモータ４０と、基台２０及び旋回体３０に固定されてモータ４０によって発生させられた動力を減速して基台２０に対する旋回体３０の動力とする本実施の形態に係るセンタークランク式偏心揺動型減速機としての偏心揺動型減速機１００とを備えている。

偏心揺動型減速機１００は、内歯１１１を有した第１の部材としてのケース１１０と、偏心部１２１、偏心部１２２及び外歯車１２３を有し内歯１１１の略中心に配置されケース１１０に対して回転運動する中空のクランク軸１２０と、内歯１１１に噛合する外歯１３１ａを有しクランク軸１２０の偏心部１２１に係合してクランク軸１２０によって偏心運動させられる外歯部材としての外歯歯車１３１と、内歯１１１に噛合する外歯１３２ａを有しクランク軸１２０の偏心部１２２に係合してクランク軸１２０によって偏心運動させられる外歯部材としての外歯歯車１３２と、外歯歯車１３１に係合して外歯歯車１３１によってケース１１０に対して回転運動させられる第２の部材としてのキャリア１４０と、モータ４０の出力軸４１に取り付けられた入力歯車１５０と、入力歯車１５０及び外歯車１２３に噛合して入力歯車１５０からの動力を外歯車１２３に伝達する伝達歯車１６０と、ケース１１０に対してキャリア１４０を回転可能に支持する軸受１７１、１７２と、クランク軸１２０に対して外歯歯車１３１を回転可能に支持する軸受１７３と、クランク軸１２０に対して外歯歯車１３２を回転可能に支持する軸受１７４と、クランク軸１２０に対してキャリア１４０を回転可能に支持する軸受１７５、１７６とを備えている。

クランク軸１２０は、基台２０の孔２０ａや、旋回体３０の孔３０ａに挿入されている。

キャリア１４０は、外歯歯車１３１の孔１３１ｂ及び外歯歯車１３２の孔１３２ｂに挿入される柱部１４１ａを有した円板１４１と、円板１４１とともに外歯歯車１３１、１３２を挟む位置に配置された円板１４２と、円板１４１、１４２を締結するボルト１４３と、円板１４１、１４２に圧入されて外歯歯車１３１からトルクが伝達されるトルク伝達ピン１４４と、外歯歯車１３１の孔１３１ｃ及び外歯歯車１３２の孔１３２ｃに挿入されるとともにトルク伝達ピン１４４が回転自在に挿入されて外歯歯車１３１、１３２及びトルク伝達ピン１４４に係合するローラ１４５とを備えている。柱部１４１ａ、ボルト１４３、トルク伝達ピン１４４、ローラ１４５は、クランク軸１２０の軸線を中心とした円周上にそれぞれ複数配置されている。また、キャリア１４０は、図２に示すように、入力歯車１５０、伝達歯車１６０及び外歯車１２３が収納される溝１４０ａが形成されている。

また、偏心揺動型減速機１００は、図３に示すように、トルク伝達ピン１４４に回転可能に挿入されて円板１４１（図１参照。）及び伝達歯車１６０の相互干渉を防止する台座１８１と、トルク伝達ピン１４４に対して伝達歯車１６０を回転可能に支持するラジアル軸受１８２と、トルク伝達ピン１４４に圧入されて伝達歯車１６０がトルク伝達ピン１４４から抜け出ることを防止する抜け止め具１８３と、伝達歯車１６０との接触による抜け止め具１８３の磨耗を防止するワッシャ１８４とを備えている。なお、トルク伝達ピン１４４は、軸受鋼材（高炭素クロム軸受鋼、例えば、ＳＵＪ２材）からなり、表面がラジアル軸受１８２の転動面である。

また、図１に示すように、関節１０は、基台２０及びクランク軸１２０の隙間を封じるオイルシール５１と、旋回体３０及びクランク軸１２０の隙間を封じるオイルシール５２と、ケース１１０及び円板１４１の隙間を封じるオイルシール５３と、基台２０及びケース１１０を固定するボルト６１と、旋回体３０及びモータ４０を固定するボルト６２と、旋回体３０及び円板１４１の位置決めをする位置決めピン６３と、旋回体３０及び円板１４１を固定するボルト６４と、旋回体３０の孔３０ａ及びクランク軸１２０の中空孔１２０ａを通る配線７０とを備えている。なお、ボルト６１、６４は、クランク軸１２０の軸線を中心とした円周上にそれぞれ複数配置されている。また、ボルト６２は、モータ４０の出力軸４１の軸線を中心とした円周上に複数配置されている。

また、基台２０及びケース１１０の係合面、旋回体３０及びモータ４０の係合面、旋回体３０及び円板１４１の係合面は、それぞれシール剤等によって封じられている。

次に、関節１０の動作について説明する。

モータ４０が動力を発生すると、モータ４０によって発生させられた動力は、モータ４０の出力軸４１に取り付けられた入力歯車１５０、伝達歯車１６０、クランク軸１２０の外歯車１２３を介して減速されてクランク軸１２０に伝達され、クランク軸１２０の偏心部１２１、１２２を介して外歯歯車１３１、１３２に伝達され、外歯歯車１３１、１３２の外歯１３１ａ、１３２ａ、ケース１１０の内歯１１１、トルク伝達ピン１４４を介して減速されてキャリア１４０に伝達される。

したがって、ケース１１０に対してキャリア１４０が回転し、キャリア１４０に固定された旋回体３０は、ケース１１０が固定された基台２０に対して回転する。

以上に説明したように、偏心揺動型減速機１００は、モータ４０の出力軸４１に取り付けられた入力歯車１５０と、クランク軸１２０の外歯車１２３とに噛合して入力歯車１５０からの動力を外歯車１２３に伝達する伝達歯車１６０を備えることによって、入力歯車１５０と、外歯車１２３とを離隔することができるので、図４に示すように、モータ４０と、クランク軸１２０の中空孔１２０ａとの中心間距離を従来より大きくすることができる。したがって、偏心揺動型減速機１００は、クランク軸１２０の中空孔１２０ａのうちモータ４０によって塞がれる面積を従来より減らすことができるので、中空孔１２０ａの活用可能な面積を従来より増やすことができる。

また、偏心揺動型減速機１００は、クランク軸１２０の中空孔１２０ａのうちモータ４０によって塞がれる面積を従来より減らすことができるので、クランク軸１２０の外歯車１２３の径を従来より大きくする必要がない。したがって、偏心揺動型減速機１００は、伝達歯車１６０と外歯車１２３との噛合による叩き音が大きくなることを抑えることができ、従来より大きな騒音の発生を抑えることもできる。

また、偏心揺動型減速機１００は、外歯歯車１３１、１３２からのトルクの伝達だけでなく伝達歯車１６０の支持をもトルク伝達ピン１４４が行うので、伝達歯車１６０の支持のための部品が増えることを抑えることができる。もちろん、偏心揺動型減速機１００は、トルク伝達ピン１４４以外の部品によって伝達歯車１６０を支持するようになっていても良い。

また、偏心揺動型減速機１００は、トルク伝達ピン１４４が軸受鋼材からなり、トルク伝達ピン１４４の表面がラジアル軸受１８２の転動面であるので、ラジアル軸受１８２の構造を簡略化することができる。

また、偏心揺動型減速機１００は、入力歯車１５０、伝達歯車１６０及び外歯車１２３がキャリア１４０の溝１４０ａに収納されるので、入力歯車１５０、伝達歯車１６０及び外歯車１２３の少なくとも１つがキャリア１４０の溝１４０ａの外に完全に出ている構成と比較して、クランク軸１２０の軸線の延在方向に短くすることができる。

また、偏心揺動型減速機１００は、伝達歯車１６０及び外歯車１２３がキャリア１４０の溝１４０ａに完全に収納されるので、例えば産業用ロボットとしてではなく偏心揺動型減速機１００単独で輸送や搬送されているときに伝達歯車１６０及び外歯車１２３が他の部材に接触して損傷することを防止することができる。

なお、関節１０は、基台２０及びクランク軸１２０の隙間、旋回体３０及びクランク軸１２０の隙間、ケース１１０及び円板１４１の隙間がそれぞれオイルシール５１、５２、５３によって封じられ、基台２０及びケース１１０の係合面、旋回体３０及び円板１４１の係合面がそれぞれシール剤等によって封じられているので、旋回体３０及びモータ４０の係合面がシール剤等によって封じられて旋回体３０にモータ４０が取り付けられることによって偏心揺動型減速機１００内に潤滑剤を密封することができる。

以上のように、本発明に係るセンタークランク式偏心揺動型減速機は、従来より大きな騒音の発生を抑えつつ中空孔の活用可能な面積を従来より増やすことができるという効果を有し、産業用ロボット等の産業用機械の関節部分に使用されるセンタークランク式偏心揺動型減速機等として有用である。

本発明の一実施の形態に係るセンタークランク式偏心揺動型減速機を備えた産業用ロボットの関節の側面断面図 図１に示すセンタークランク式偏心揺動型減速機のクランク軸、キャリア、入力歯車及び伝達歯車のＡ−Ａ矢視断面図 図１に示す関節のモータと、センタークランク式偏心揺動型減速機のクランク軸、トルク伝達ピン、入力歯車及び伝達歯車との側面断面図 図１に示す関節のモータと、センタークランク式偏心揺動型減速機のクランク軸、キャリア、入力歯車及び伝達歯車との上面図

符号の説明

４０ モータ
４１ 出力軸
１００ 偏心揺動型減速機（センタークランク式偏心揺動型減速機）
１１０ ケース（第１の部材）
１１１ 内歯
１２０ クランク軸
１２３ 外歯車
１３１、１３２ 外歯歯車（外歯部材）
１３１ａ、１３２ａ 外歯
１４０ キャリア（第２の部材）
１４４ トルク伝達ピン
１５０ 入力歯車
１６０ 伝達歯車
１８２ ラジアル軸受

Claims (3)

1. 内歯を有した第１の部材と、外歯車を有し前記内歯の略中心に配置され前記第１の部材に対して回転運動する中空のクランク軸と、前記内歯に噛合する外歯を有し前記クランク軸に係合して前記クランク軸によって偏心運動させられる外歯部材と、前記外歯部材に係合して前記外歯部材によって前記第１の部材に対して回転運動させられる第２の部材と、モータの出力軸に取り付けられた入力歯車及び前記外歯車に噛合して前記入力歯車からの動力を前記外歯車に伝達する伝達歯車とを備え、
   前記伝達歯車は、前記第２の部材に回転可能に支持されたことを特徴とするセンタークランク式偏心揺動型減速機。
2. 前記第２の部材は、前記外歯部材からトルクが伝達されるトルク伝達ピンを有し、
   前記伝達歯車は、前記トルク伝達ピンに回転可能に支持されたことを特徴とする請求項１に記載のセンタークランク式偏心揺動型減速機。
3. 前記伝達歯車と、前記トルク伝達ピンとの間に配置された軸受を備え、
   前記トルク伝達ピンは、軸受鋼材からなり、表面が前記軸受の転動面であることを特徴とする請求項２に記載のセンタークランク式偏心揺動型減速機。

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